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特開2022-58646先進的な検体センサの較正及びエラー検出
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058646
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】先進的な検体センサの較正及びエラー検出
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1495 20060101AFI20220405BHJP
   A61B 5/1473 20060101ALI20220405BHJP
   A61B 5/1486 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
A61B5/1495
A61B5/1473
A61B5/1486
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022005650
(22)【出願日】2022-01-18
(62)【分割の表示】P 2020080406の分割
【原出願日】2012-04-13
(31)【優先権主張番号】61/476,145
(32)【優先日】2011-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504016422
【氏名又は名称】デックスコム・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・エスティス
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・シー・シンプソン
(72)【発明者】
【氏名】アプルヴ・ウラス・カマス
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・ボーム
(72)【発明者】
【氏名】ダイティン・ロン
(57)【要約】
【課題】センサデータ及び自己較正を処理するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】初期の感度に基づいて連続検体センサを較正すると共に、基準測定値を使用せずに或いは使用を減少させて自己較正を連続的に実行することができるシステム及び方法が提供される。特定の実施形態においては、あるパラメータの関数である評価アルゴリズム(120)を適用することによって検体センサの感度(110)が決定される。センサ属性は、感度ドリフトのためにセンサデータを補償するべく、或いは温度、センサ膜の損傷、センサエレクトロニクス内の湿気進入、及びスケーリングファクタといったセンサに関連付けられている他の属性を決定するべく、使用することができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続検体センサにより生成されたセンサデータを較正する方法であって、
前記連続検体センサを使用してセンサデータを生成すること、
センサ感度情報を含む先験的な情報を適用することにより、前記連続検体センサの感度値を時間の関数として、電子的な装置により、反復的に決定すること、及び
前記決定された感度値に少なくとも部分的に基づいて前記センサデータを較正すること、
を含む方法。
【請求項2】
前記センサデータを較正することは、センサセッションの実質的に全体に亘って反復的に実行される、請求項1に記載した方法。
【請求項3】
感度値を反復的に決定することは、前記先験的な情報によって定まるように、定期的に実行され或いは不定期な間隔で実行される、請求項1に記載した方法。
【請求項4】
感度値を反復的に決定することは、実質的にセンサセッションの全体に亘って実行される、請求項1に記載した方法。
【請求項5】
感度値を決定することは、実質的にリアルタイムに実行される、請求項1に記載した方法。
【請求項6】
前記先験的な情報は、センサセッションが開始した後の予め定められた時間に関連付けられている少なくとも一つの予め定められた感度値に関連付けられている、請求項1に記載した方法。
【請求項7】
前記少なくとも一つの予め定められた感度値は、生体外での検体濃度測定から決定された感度と所定の時間における生体内での検体濃度測定から決定された感度との間の相関に関連付けられている、請求項6に記載した方法。
【請求項8】
前記先験的な情報は、入力として時間を使用する予め定められた感度関数に関連付けられている、請求項1に記載した方法。
【請求項9】
時間は、センサセッションが開始した後の時間に対応する、請求項8に記載した方法。
【請求項10】
時間は、製造の時点或いは製造からの時間のうちの少なくとも一つに対応する、請求項8に記載した方法。
【請求項11】
前記連続検体センサの前記感度値はまた、少なくとも一つの他のパラメータの関数である、請求項1に記載した方法。
【請求項12】
前記少なくとも一つの他のパラメータは、温度、pH、水和作用のレベル或いは期間、硬化条件、センサを作動開始する間に前記連続検体センサを囲む流体の検体濃度、及びそれらの組み合わせより成るグループから選択される、請求項11に記載した方法。
【請求項13】
前記センサデータを較正することは、基準血糖データを使用せずに実行される、請求項1に記載した方法。
【請求項14】
前記電子装置は、少なくとも約3日のセンサセッションを通じて約10%を超えない平均絶対相対差に対応する精度レベルをもたらすべく構成され、
且つ前記平均絶対相対差の計算に関連付けられている基準測定は血液の分析により決定される、請求項1に記載した方法。
【請求項15】
前記センサセッションは、少なくとも約4日である、請求項14に記載した方法。
【請求項16】
前記センサセッションは、少なくとも約5日である、請求項14に記載した方法。
【請求項17】
前記センサセッションは、少なくとも約6日である、請求項14に記載した方法。
【請求項18】
前記センサセッションは、少なくとも約7日である、請求項14に記載した方法。
【請求項19】
前記センサセッションは、少なくとも約10日である、請求項14に記載した方法。
【請求項20】
前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約7%を超えない、請求項14に記載した方法。
【請求項21】
前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約5%を超えない、請求項14に記載した方法。
【請求項22】
前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約3%を超えない、請求項14に記載した方法。
【請求項23】
前記先験的な情報は、較正コードに関連付けられている、請求項1に記載した方法。
【請求項24】
前記先験的な感度情報は、前記センサを使用する前に前記センサエレクトロニクスに格納される、請求項1に記載した方法。
【請求項25】
連続検体センサにより生成されるセンサデータを較正する方法であって、
連続検体センサを使用してセンサデータを生成すること、
前記連続検体センサの複数の異なる感度値を、時間の関数及び先験的な情報に関連付けられている感度情報の関数として、電子装置により決定すること、
及び前記複数の異なる感度値のうちの少なくとも一つに少なくとも部分的に基づいて前記センサデータを較正すること、
を含む方法。
【請求項26】
前記連続検体センサを較正することは、センサセッションの実質的に全体を通して反復的に実行される、請求項25に記載した方法。
【請求項27】
前記複数の異なる感度値は、コンピュータメモリのルックアップテーブルに格納される、請求項25に記載した方法。
【請求項28】
複数の異なる感度値を決定することは、センサセッションの実質的に全体を通して一度だけ実行される、請求項25に記載した方法。
【請求項29】
前記先験的な情報は、センサセッションが開始した後の予め定められた時間に関連付けられている少なくとも一つの予め定められた感度値に関連付けられている、請求項25に記載した方法。
【請求項30】
前記少なくとも一つの予め定められた感度値は、生体外での検体濃度測定から決定された感度と所定の時間において生体内での検体濃度測定から決定された感度との間の相関に関連付けられている、請求項29に記載した方法。
【請求項31】
前記先験的な情報は、入力として時間を使用する予め定められた感度関数に関連付けられている、請求項25に記載した方法。
【請求項32】
時間は、センサセッションが開始した後の時間に対応する、請求項25に記載した方法。
【請求項33】
時間は、製造の時点或いは製造からの時間に対応する、請求項25に記載した方法。
【請求項34】
前記複数の感度値はまた、時間以外の少なくとも一つのパラメータの関数である、請求項25に記載した方法。
【請求項35】
前記少なくとも一つの他のパラメータは、温度、pH、水和作用のレベル或いは期間、硬化条件、センサを作動開始する間の連続検体センサを囲む流体の検体濃度、及びそれらの組み合わせより成るグループから選択される、請求項25に記載した方法。
【請求項36】
前記連続検体センサを較正することは、基準血糖データを使用せずに実行される、請求項25に記載した方法。
【請求項37】
前記電子装置は、少なくとも約3日のセンサセッションを通じて約10%を超えない平均絶対相対差に対応する精度レベルをもたらすべく構成され、
且つ前記平均絶対相対差の計算に関連付けられている基準測定値は血液の分析により決定される、請求項25に記載した方法。
【請求項38】
前記センサセッションは、少なくとも約4日である、請求項37に記載した方法。
【請求項39】
前記センサセッションは、少なくとも約5日である、請求項37に記載した方法。
【請求項40】
前記センサセッションは、少なくとも約6日である、請求項37に記載した方法。
【請求項41】
前記センサセッションは、少なくとも約7日である、請求項37に記載した方法。
【請求項42】
前記センサセッションは、少なくとも約10日である、請求項37に記載した方法。
【請求項43】
前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約7%を超えない、請求項37に記載した方法。
【請求項44】
前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約5%を超えない、請求項37に記載した方法。
【請求項45】
前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約3%を超えない、請求項37に記載した方法。
【請求項46】
前記先験的な情報は、較正コードに関連付けられている、請求項37に記載した方法。
【請求項47】
連続検体センサからのデータを処理するための方法であって、
少なくとも一つのセンサデータポイントを含んでいる連続検体センサからのセンサデータを、電子装置によって、受け入れること、
前記連続検体センサの感度値を、時間の関数及びセンサセッションを開始した後の所定の時間に関連付けられている少なくとも一つの予め定められた感度値の関数として反復的に決定すること、
少なくとも部分的に前記感度値に基づいて変換関数を形成すること、
及び前記少なくとも一つのセンサデータポイントに前記変換関数を適用することによって、検体出力値を決定すること、
を含む方法。
【請求項48】
前記連続検体センサの感度を反復的に決定することは、連続的に実行される、請求項47に記載した方法。
【請求項49】
感度を反復的に決定することは、実質的にリアルタイムに実行される、請求項47に記載した方法。
【請求項50】
前記連続検体センサのベースラインを決定することを更に含み、前記変換関数は少なくとも部分的に前記ベースラインに基づく、請求項47に記載した方法。
【請求項51】
前記連続検体センサのベースラインを決定することは、連続的に実行される、請求項50に記載した方法。
【請求項52】
前記連続検体センサの感度を決定すること、及び前記検体センサのベースラインを決定することは、実質的に同時に実行される、請求項51に記載した方法。
【請求項53】
前記少なくとも一つの予め定められた感度値は、前記連続検体センサの製造施設において設定される、請求項47に記載した方法。
【請求項54】
少なくとも一つの較正コードを受け入れること、及び
センサセッションが開始した後の所定の時間に少なくとも一つの較正コードを電子装置に適用すること、を更に含む請求項47に記載した方法。
【請求項55】
感度を反復的に決定することは、前記少なくとも一つの較正コードによって定められるように、定期的な間隔で実行され或いは不定期な間隔で実行される、請求項54に記載した方法。
【請求項56】
少なくとも一つの較正コードは、少なくとも一つの予め定められた感度に関連付けられている、請求項55に記載した方法。
【請求項57】
前記少なくとも一つの較正コードは、入力として時間の関数における時間を使用する予め定められた感度関数に関連付けられている、請求項55に記載した方法。
【請求項58】
時間は、センサセッションを開始した後の時間に対応する、請求項47に記載した方法。
【請求項59】
時間は、製造の時点或いは製造からの時間に対応する、請求項47に記載した方法。
【請求項60】
前記連続検体センサの感度値はまた、少なくとも一つの他のパラメータの関数である、請求項47に記載した方法。
【請求項61】
前記少なくとも一つの他のパラメータは、温度、pH、水和作用のレベル或いは期間、硬化条件、センサを作動開始する間の連続検体センサを囲む流体の検体濃度、及びそれらの組み合わせより成るグループから選択される、請求項60に記載した方法。
【請求項62】
連続検体センサを較正する方法であって、
連続検体センサからセンサデータを受け入れること、
センサセッションを開始した後の所定の時間に関連付けられている少なくとも一つの予め定められた感度値の関数である、実質的にセンサセッションの全体に亘っての検体に対するセンサ感度の変化に対応する予め定められた感度プロフィールを、形成し又は受け入れること、及び
リアルタイム較正において、電子装置により、前記感度プロフィールを適用すること、
を含む方法。
【請求項63】
少なくとも一つの予め定められた感度値、予め定められた感度プロフィール、或いはその両方が前記連続検体センサの製造施設において設定される、請求項62に記載した方法。
【請求項64】
少なくとも一つの較正コードを受け入れること、及び
前記センサセッションを開始した後の所定の時間に少なくとも一つの較正コードを前記電子装置に適用すること、を更に含む請求項62に記載した方法。
【請求項65】
前記少なくとも一つの較正コードは、前記少なくとも一つの予め定められた感度に関連付けられている、請求項64に記載した方法。
【請求項66】
前記少なくとも一つの較正コードは、入力として時間を使用する予め定められた感度関数に関連付けられている、請求項64に記載した方法。
【請求項67】
前記感度プロフィールは、時間の関数である、請求項62に記載した方法。
【請求項68】
時間は、センサセッションを開始した後の時間に対応する、請求項67に記載した方法。
【請求項69】
時間は、製造の時点或いは製造からの時間に対応する、請求項67に記載した方法。
【請求項70】
前記感度値は、時間と、予め定められた感度値と、温度、pH、水和作用のレベル或いは期間、硬化条件、センサを作動開始する間の連続検体センサを囲む流体の検体濃度、及びそれらの組み合わせより成るグループから選択される少なくとも一つのパラメータの関数である、請求項62に記載した方法。
【請求項71】
連続検体センサからのデータを処理する方法であって、
少なくとも一つのセンサデータポイントを含んでいる連続検体センサからのセンサデータを、電子装置によって、受け入れること、
センサセッションの実質的に全体に亘ってのセンサ感度の変化に対応する、感度プロフィールを受け入れ又は形成すること、
前記感度プロフィールに少なくとも部分的に基づいて変換関数を形成すること、及び
前記少なくとも一つのセンサデータポイントに前記変換関数を適用することによって検体出力値を決定すること、
を含む方法。
【請求項72】
前記感度プロフィールは、前記連続検体センサの製造施設において設定される、請求項71に記載した方法。
【請求項73】
少なくとも一つの較正コードを受け入れること、
及びセンサセッションを開始した後の所定の時間に前記少なくとも一つの較正コードを前記電子装置に適用すること、を更に含む請求項71に記載した方法。
【請求項74】
前記少なくとも一つの較正コードは、前記少なくとも一つの予め定められた感度に関連付けられている、請求項73に記載した方法。
【請求項75】
前記少なくとも一つの較正コードは、前記感度プロフィールに関連付けられている、請求項73に記載した方法。
【請求項76】
前記感度プロフィールは、時間の関数である、請求項71に記載した方法。
【請求項77】
時間は、センサセッションを開始した後の時間に対応する、請求項76に記載した方法。
【請求項78】
時間は、製造の時点或いは製造からの時間に対応する、請求項76に記載した方法。
【請求項79】
前記感度が時間の関数であり、且つ少なくとも一つのパラメータが温度、pH、水和作用のレベル或いは期間、硬化条件、センサを作動開始する間の連続検体センサを囲む流体の検体濃度、及びそれらの組み合わせより成るグループから選択される、請求項71に記載した方法。
【請求項80】
受容者の内部の検体濃度をモニタするためのシステムであって、
受容者の内部の検体濃度を測定すると共に工場較正されたセンサデータを提供するべく構成された連続検体センサであり、前記工場較正されたセンサデータが基準血糖データを使用せずに較正される連続検体センサを備え、
前記システムは、少なくとも約3日のセンサセッションを通じて約10%を超えない平均絶対相対差に対応する精度レベルをもたらすべく構成され、
前記平均絶対相対差の計算に関連付けられている基準測定は、血液の分析により決定される、
システム。
【請求項81】
前記センサセッションは、少なくとも約4日である、請求項80に記載のシステム。
【請求項82】
前記センサセッションは、少なくとも約5日である、請求項80に記載のシステム。
【請求項83】
前記センサセッションは、少なくとも約6日である、請求項80に記載のシステム。
【請求項84】
前記センサセッションは、少なくとも約7日である、請求項80に記載のシステム。
【請求項85】
前記センサセッションは、少なくとも約10日である、請求項80に記載のシステム。
【請求項86】
前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約7%を超えない、請求項80に記載のシステム。
【請求項87】
前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約5%を超えない、請求項80に記載のシステム。
【請求項88】
前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約3%を超えない、請求項80に記載のシステム。
【請求項89】
連続検体センサの属性を決定する方法であって、
バイアス電圧を前記検体センサに印加すること、
前記バイアス電圧を上回る電圧ステップを前記検体センサに印加すること、
センサエレクトロニクスを使用して、前記電圧ステップの信号応答を測定すること、
センサエレクトロニクスを使用して、前記信号応答のピーク電流を決定すること、及び
センサエレクトロニクスを使用して、前記ピーク電流を予め定められた関係に関連付けることにより前記センサの属性を決定すること、
を含む方法。
【請求項90】
前記ピーク電流を前記予め定められた関係に関連づけることは、前記ピーク電流に基づいて前記センサのインピーダンスを計算すること、及び前記センサインピーダンスを前記予め定められた関係に関連づけること、を含む請求項89に記載した方法。
【請求項91】
前記センサの属性は、前記センサの感度或いは前記センサの温度である、請求項89に記載した方法。
【請求項92】
前記ピーク電流は、前記電圧ステップより前の応答の大きさと前記電圧ステップに起因する最も大きく測定された応答の大きさとの間の差である、請求項89に記載した方法。
【請求項93】
前記予め定められた関係はインピーダンスとセンサ感度との関係であり、且つ前記センサの属性は前記センサの感度である、請求項89に記載した方法。
【請求項94】
前記決定されたセンサの属性を使用してセンサデータを補償すること、を更に含む請求項89に記載した方法。
【請求項95】
前記補償することは、前記ピーク電流の予め定められた関係をセンサ感度或いはセンサ感度の変化に関連付けること及び関連付けられたセンサ感度或いはセンサ感度の変化に応じてセンサデータの値を修正することを含む、請求項94に記載した方法。
【請求項96】
前記予め定められた関係は、前記検体センサを使用する期間に亘って線形な関係である、請求項89に記載した方法。
【請求項97】
前記予め定められた関係は、前記検体センサを使用する期間に亘って非線形な関係である、請求項89に記載した方法。
【請求項98】
前記予め定められた関係は、前記検体センサに類似するセンサを先行テストすることにより決定される、請求項89に記載した方法。
【請求項99】
請求項89~98のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム。
【請求項100】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサにより実行されるときに、請求項89~98のうちの一つに記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項99に記載のセンサシステム。
【請求項101】
検体センサを較正する方法であって、
時間変化する信号を前記検体センサに印加すること、
印加された信号に対する信号応答を測定すること、
センサエレクトロニクスを使用し、前記信号応答の少なくとも一つの属性を予め定められた感度プロフィールに関連づけて、検体センサの感度を決定すること、
前記決定された感度及び前記検体センサにより生成されたセンサデータを使用して推定される検体濃度値を、センサエレクトロニクスを使用して生成すること、
を含む方法。
【請求項102】
前記感度プロフィールは、前記センサを植設してからの期間に亘って変化する感度値を含む、請求項101に記載した方法。
【請求項103】
前記予め定められた感度プロフィールは、複数の感度値を含む、請求項101に記載した方法。
【請求項104】
前記予め定められた感度プロフィールは、前記検体センサに類似する検体センサの感度変化を研究することから生成されるセンサ感度データに基づく、請求項101に記載した方法。
【請求項105】
前記センサにバイアス電圧を印加することを更に含み、
前記時間で変化する信号は、前記バイアス電圧を上回るステップ電圧或いは前記バイアス電圧に重なる正弦波電圧を含む、請求項101に記載した方法。
【請求項106】
前記決定することは、
測定された信号応答に基づいてインピーダンス値を計算すること、
及び前記インピーダンス値を予め定められた感度プロフィールの感度値に関連づけること、を更に含む請求項101に記載した方法。
【請求項107】
DCバイアス電圧を前記センサに印加してセンサデータを生成し、
前記検体濃度値を推定することが前記決定された感度を使用して修正されたセンサデータを生成すること、を含む請求項101に記載した方法。
【請求項108】
変換関数を前記修正されたセンサデータに適用して前記推定される検体濃度値を生成すること、を更に含む請求項107に記載した方法。
【請求項109】
前記決定された感度の少なくとも一部分に基づいて変換関数を形成することを更に含み、
推定される検体濃度値を生成するために前記変換関数をセンサデータに適用する、請求項107に記載した方法。
【請求項110】
前記属性は、前記信号応答のピーク電流値である、請求項101に記載した方法。
【請求項111】
前記決定することは、
前記信号応答データについて高速フーリエ変換を実行すること、前記信号応答の曲線の少なくとも一部を組み込むこと、及び前記信号応答のピーク電流を決定することのうちの少なくとも一つを使用することを含む、請求項101に記載した方法。
【請求項112】
前記決定することは、複数の異なる予め定められた感度プロフィールから決定されたセンサ属性に基づいて予め定められた感度プロフィールを選択することを更に含む、請求項101に記載した方法。
【請求項113】
前記選択は、前記決定されたセンサ属性と前記複数の異なる予め定められた感度プロフィールのそれぞれとの間の相関を決定するべくデータ関連分析を実行することを含み、
且つ前記選択された予め定められた感度プロフィールが最も高い相関を有する、請求項112に記載した方法。
【請求項114】
前記選択された感度プロフィールを使用して推定される検体濃度値を生成すること、を更に含む請求項111又は112に記載した方法。
【請求項115】
前記選択された感度プロフィールを使用して第2の感度値を決定すること、
推定される検体濃度値の第1のセットは、前記決定された感度値及び第1の時間周期に関連付けられているセンサデータを使用して生成され、
且つ濃度値の第2のセットは、第2の感度値及び第2の時間周期に関連付けられているセンサデータを使用して生成される、請求項114に記載した方法。
【請求項116】
請求項101~115のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム。
【請求項117】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサにより実行されるときに、請求項101~115のいずれか一項に記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項116に記載のセンサシステム。
【請求項118】
検体センサシステムが適切に機能しているかどうかを決定する方法であって、
刺激信号を前記検体センサに印加すること、
前記刺激信号に対する応答を測定すること、
信号応答に基づいてセンサ属性の値を推定すること、
前記センサ属性を、前記センサ属性の予め定められた関係及び予め定められたセンサ感度プロフィールに関連づけること、
及び前記相関が予め定められた相関閾値を超えない場合にエラールーチンを開始すること、
を含む方法。
【請求項119】
関連づけることは、データ関連分析を実行することを含む、請求項118に記載した方法。
【請求項120】
前記エラールーチンは、前記検体センサが適切に機能していないことを示すメッセージをユーザに表示することを含む、請求項118に記載した方法。
【請求項121】
前記センサ属性は、前記センサ膜のインピーダンスである、請求項118に記載した方法。
【請求項122】
請求項118~121のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム。
【請求項123】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサにより実行されるときに、請求項118~121のいずれか一項に記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項122に記載のセンサシステム。
【請求項124】
検体センサと関連付けられている温度を決定する方法であって、
刺激信号を前記検体センサに印加すること、
前記信号の信号応答を測定すること、
及び前記検体センサに関連付けられている温度を決定することであって、前記決定することが前記信号応答の少なくとも一つの属性を温度に対するセンサ属性の予め定められた関係に関連づけることを含む、方法。
【請求項125】
前記決定された温度及び前記検体センサから生成されたセンサデータを使用して推定される検体濃度値を生成すること、を更に含む請求項124に記載した方法。
【請求項126】
前記生成することは、前記決定された温度を使用して前記センサデータを補償すること、及び変換関数を使用して、前記補償されたセンサデータを生成される推定された検体値に変換することを含む、請求項125に記載した方法。
【請求項127】
前記生成することは、前記決定された温度を使用して変換関数を形成し或いは修正すること、及び前記形成された或いは修正された変換関数を使用して前記センサデータを生成された推定される検体値に変換すること、を含む請求項125に記載した方法。
【請求項128】
第2のセンサを使用して温度を測定することを更に含み、
前記決定することは、前記測定された温度を使用して前記検体センサに関連付けられる温度を決定することを更に含む、請求項124に記載した方法。
【請求項129】
前記第2のセンサはサーミスタである、請求項128に記載した方法。
【請求項130】
請求項124~129のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム。
【請求項131】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、請求項124~129のいずれか一項に記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項130に記載のセンサシステム。
【請求項132】
電子的なセンサシステム内への湿気進入を決定する方法であって、
特定の周波数を有する刺激信号或いは周波数スペクトルを含む信号を検体センサに印加すること、
前記刺激信号に対する応答を測定すること、
センサエレクトロニクスを使用し、前記測定された信号応答に基づいてインピーダンスを計算すること、
センサエレクトロニクスを使用して、前記インピーダンスが湿気進入に対応する予め定められたレベルに入るかどうかを決定すること、
及びインピーダンスがそれぞれの予め定められたレベルの一方又は両方を超過する場合、センサエレクトロニクスを使用してエラールーチンを開始すること、
を含む方法。
【請求項133】
前記エラールーチンは、前記センサシステムが適切に機能できないかもしれないことをユーザに警告するべく、可聴の警報及び表示スクリーン上の視覚的な警報の起動を一つ又は複数含む、請求項132に記載した方法。
【請求項134】
前記刺激信号は予め定められた周波数を有する、請求項132に記載した方法。
【請求項135】
前記刺激信号は、周波数のスペクトルを有する、請求項132に記載した方法。
【請求項136】
前記計算されるインピーダンスは、大きさの値と位相の値とを含み、
前記決定は、前記インピーダンスの大きさの値を予め定義されたインピーダンスの大きさ閾値と、且つ前記位相の値を予め定められた位相の閾値と、比較することを含む請求項132に記載した方法。
【請求項137】
前記計算されるインピーダンスは複素インピーダンス値である、請求項132に記載した方法。
【請求項138】
請求項132~137のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム
【請求項139】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、請求項132~137のいずれか一項に記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項138に記載のセンサシステム。
【請求項140】
センサシステムを使用する検体センサの膜損傷を決定する方法であって、
刺激信号を検体センサに印加すること、
前記刺激信号に対する応答を測定すること、
センサエレクトロニクスを使用し、前記信号応答に基づいてインピーダンスを計算すること、
センサエレクトロニクスを使用して、前記インピーダンスが膜損傷に対応する予め定義されたレベルに入るかどうかを決定すること、
センサエレクトロニクスを使用して、前記インピーダンスがあらかじめ定義されたレベルを超過する場合にエラールーチンを開始すること、
を含む方法。
【請求項141】
前記エラールーチンは、可聴の警報及び表示スクリーン上の視覚的な警報を一つ又は複数起動させることを含む、請求項140に記載した方法。
【請求項142】
前記刺激信号は予め定められた周波数を有する、請求項140に記載した方法。
【請求項143】
前記刺激信号は、周波数のスペクトルを有する、請求項140に記載した方法。
【請求項144】
前記計算されたインピーダンスは、大きさの値と位相の値とを含み、
前記決定は、前記インピーダンスの大きさの値を予め定義されたインピーダンスの大きさ閾値と、及び前記位相の値を予め定義された位相の閾値と比較することを含む、請求項140に記載した方法。
【請求項145】
前記計算されるインピーダンスは、複素インピーダンス値である、請求項140に記載した方法。
【請求項146】
請求項140~145のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム。
【請求項147】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサにより実行されるときに、請求項140~145のうちの一つに記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項146に記載のセンサシステム。
【請求項148】
検体センサの再利用を決定する方法であって、
刺激信号を検体センサに印加すること、
前記刺激信号に対する応答を測定すること、
前記応答に基づいてインピーダンス応答を計算すること、
前記計算されたインピーダンスを予め定められた閾値と比較すること、
及び前記インピーダンスが閾値を越えると決定された場合にセンサ再利用ルーチンを開始すること、
を含む方法。
【請求項149】
前記センサ再利用ルーチンは、不適切なセンサ再利用をユーザに通報する可聴の及び/又は視覚的な警報を起動させることを含む、請求項148に記載した方法。
【請求項150】
前記センサを再利用する作業工程は、前記センサシステムを完全に又は部分的にシャットダウンさせること及び/又は前記センサシステムのユーザーインターフェース上へのセンサデータの表示を中止すること、を含む請求項148に記載した方法。
【請求項151】
請求項148~150のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム。
【請求項152】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサにより実行されるときに、請求項148~150のいずれか一項に記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項151に記載のセンサシステム。
【請求項153】
検体センサの再利用を決定する方法であって、
刺激信号を検体センサに印加すること、
前記刺激信号に対する応答を測定すること、
応答に基づいてインピーダンスを計算すること、
データ関連関数を使用して計算されたインピーダンスと、一つ又は複数の記録されたインピーダンス値との相関を決定すること、
及び前記相関が予め定められた閾値を越えると決定された場合にセンサ再利用ルーチンを開始すること、
を含む方法。
【請求項154】
前記センサ再利用ルーチンは、不適切なセンサ再利用をユーザに通報する可聴の及び/又は視覚的な警報を起動させることを含む、請求項153に記載した方法。
【請求項155】
前記センサを再利用する作業工程は、前記センサシステムを完全に又は部分的にシャットダウンさせること及び/又は前記センサシステムのユーザーインターフェース上へのセンサデータの表示を中止することを含む、請求項153に記載した方法。
【請求項156】
請求項153~155のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム。
【請求項157】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサにより実行されるときに、請求項153~155のいずれか一項に記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項156に記載のセンサシステム。
【請求項158】
過剰電位を検体センサに印加する方法であって、
刺激信号を検体センサに印加すること、
前記刺激信号に対する応答を測定すること、
前記応答に基づいてセンサの感度或いはセンサの感度の変化を決定すること、
及び前記決定された感度或いは感度の変化に基づいて過剰電位をセンサに印加すること、
を含む方法。
【請求項159】
前記決定することは、応答に基づいてインピーダンスを計算すること、及びインピーダンスに基づいて感度或いは感度変化を決定することを含む、請求項158に記載した方法。
【請求項160】
前記感度或いは感度の変化を決定することは、予め定められたインピーダンスに対するインピーダンスを感度の関係に関連づけることを更に含む、請求項159に記載した方法。
【請求項161】
前記印加することは、過剰電位がセンサに印加された延べ時間を決定し或いは修正することを含む、請求項158に記載した方法。
【請求項162】
前記印加することは、前記センサに印加された過剰電位の大きさを決定し或いは修正することを含む、請求項158に記載した方法。
【請求項163】
請求項158~162のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム。
【請求項164】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサにより実行されるときに、請求項158~162のいずれか一項に記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項163に記載のセンサシステム。
【請求項165】
連続検体センサの属性を決定する方法であって、
第1の作用電極及び第1の基準電極を有している第1の検体センサに刺激信号を印加すること、
第2の作用電極及び第2の基準電極を有している第2の検体センサを使用して前記刺激信号の信号応答を測定すること、
及び前記応答を予め定められた関係に関連づけることによって、前記第1のセンサの属性を決定すること、
を含む方法。
【請求項166】
第1の作用電極にバイアス電圧を印加してセンサデータを生成すること、
及び前記バイアス電圧に対する応答を測定すること、を含む請求項165に記載した方法。
【請求項167】
前記決定された属性を使用してセンサデータを較正すること、を更に含む請求項166に記載した方法。
【請求項168】
前記決定された属性は、インピーダンス及び温度のうちの一つである、請求項165に記載した方法。
【請求項169】
前記決定された属性を使用してセンサ膜の損傷を決定すること、を更に含む請求項165に記載した方法。
【請求項170】
第1及び第2の検体センサを取り囲んでいるセンサシステム内への湿気侵入を、前記決定された属性を使用して決定すること、を更に含むことを特徴とする請求項165に記載した方法。
【請求項171】
請求項165~170のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム。
【請求項172】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサにより実行されるときに、請求項165~170のいずれか一項に記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項171に記載のセンサシステム。
【請求項173】
連続検体センサシステムにおいて使用されるスケーリングを決定する方法であって、
第1の刺激信号を検体センサの第1の作用電極に印加すること、
前記第1の刺激信号に対する応答を測定すること、
第2の刺激信号を検体センサの第2の作用電極に印加すること、
前記第2の刺激信号に対する応答を測定すること、
センサエレクトロニクスを使用して、前記第1及び第2の刺激信号に対する測定された応答に基づいてスケーリングファクタを決定すること、
及び検体センサにより生成されたセンサデータに基づいて推定される検体値を生成するべくスケーリングファクタを使用すること、
を含む方法。
【請求項174】
前記方法が周期的に実行される、請求項173に記載した方法。
【請求項175】
前記決定することは、
前記第1の刺激信号に対する応答を使用して第1のインピーダンスを計算すること、
前記第2の刺激信号に対する応答を使用して第2のインピーダンスを計算すること、を含み、
前記スケーリングファクタが前記第1のインピーダンスと前記第2のインピーダンスの比である、請求項173に記載した方法。
【請求項176】
第1の作用電極は、前記検体と反応するように構成された酵素を含む薄膜を有し且つ第2の作用電極は前記酵素を含まない薄膜を有する、請求項173に記載した方法。
【請求項177】
前記スケーリングファクタを決定することは、前記第1及び第2の刺激信号に対する測定された応答に基づいて以前のスケーリングファクタを更新することを含む、請求項173に記載した方法。
【請求項178】
スケーリングファクタがアセトアミノフェンのスケーリングファクタであり、
この方法は、前記アセトアミノフェンのスケーリングファクタに基づいて更なるスケーリングファクタを更新することを含み、
且つ前記更なるスケーリングファクタは、推定される検体値を生成するべくセンサデータに適用される、請求項173に記載した方法。
【請求項179】
請求項173~178のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム。
【請求項180】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサにより実行されるときに、請求項173~178のいずれか一項に記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項179に記載のセンサシステム。
【請求項181】
検体センサを較正する方法であって、
予め定められた信号を検体センサに印加すること、
印加された信号に対する応答を測定すること、
センサエレクトロニクスを使用し、前記測定された応答に基づいて前記検体センサの薄膜に関連付けられているインピーダンスの変化を決定すること、
前記決定されたインピーダンスに基づいて前記検体センサの感度の変化を計算すること、
前記計算された感度の変化及び前記検体センサの以前に使用された感度に基づいて修正された感度を計算すること、
及び前記修正された感度を使用して推定される検体値を生成すること、
を含む方法。
【請求項182】
前記感度の変化を計算することは、非線形補償関数を適用することを含む、請求項181に記載した方法。
【請求項183】
前記非線形補償関数は、以下の方程式として表され、
△S =(a*log(t)+b)*△I
ここで、△Sは感度の変化、tは検体センサを較正してからの時間、△Iは決定されたインピーダンスの変化、且つa及びbは予め定められた係数である、請求項182に記載した方法。
【請求項184】
a及びbは類似した検体センサを前もってテストすることにより決定される、請求項183に記載した方法。
【請求項185】
請求項181~184のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム。
【請求項186】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサにより実行されるときに、請求項181~184のいずれか一項に記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項185に記載のセンサシステム。
【請求項187】
検体センサを較正するための方法であって、
皮下検体センサを使用してセンサデータを生成すること、
植設前の情報、内部診断情報、及び/又は外部基準情報を入力として使用して、変換関数を形成し或いは修正すること、
前記変換関数を使用してセンサデータを較正すること、
を含む方法。
【請求項188】
植設前の情報は、
検体センサに関連付けられている予め定められた感度プロフィール、測定されたセンサ属性とセンサ感度との間の予め決定された関係、測定されたセンサ属性とセンサ温度との間の一つ又は複数の予め決定された関係からなるグループより選択される情報、
以前に使用された検体センサから取得されるセンサデータ、
検体センサに関連付けられている較正コード、
検体センサと感度、ベースライン、ドリフト及びインピーダンスのうちの一つ又は複数との間の患者に特有の関係、
センサの植設部位を表す情報、
検体センサの製造からの時間、
及び温度或いは湿度に暴露されている検体を表す情報、を含む請求項187に記載した方法。
【請求項189】
前記内部診断情報は、刺激信号の出力、前記センサにより測定された検体濃度を表すセンサデータ、センサ或いは別個のセンサを使用する温度測定、検体センサと実質的に同様に設計された冗長なセンサにより生成されるセンサデータ、検体センサとは異なる様式を有している補助センサにより生成されるセンサデータ、前記センサが植設されてから或いは前記センサに接続されるセンサエレクトロニクスに接続されてからの時間、センサ或いはセンサシステム上の圧力を表す圧力センサにより生成されるデータ、加速度計により生成されるデータ、湿気進入の基準、及び検体濃度信号のノイズ基準より成るグループから選択される、請求項187或いは188に記載した方法。
【請求項190】
前記基準情報は、基準モニタから取得されたリアルタイムの及び/又は先行する検体濃度情報、基準データを提供するために使用される基準モニタのタイプ/ブランドに関する情報、ユーザによって消費される炭水化物の量に関する情報、薬剤送達装置から受け入れる情報、グルカゴン感度情報、及び集団ベースのデータから集まった情報より成るグループから選択される情報を含む、請求項187,188又は189に記載した方法。
【請求項191】
請求項187~190のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム。
【請求項192】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサにより実行されるときに、請求項187~190のうちの一つに記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項191に記載のセンサシステム。
【請求項193】
実質的に明細書及び/又は図面に示され及び/又は記載されている装置。
【請求項194】
実質的に明細書及び/又は図面に示され及び/又は記載されている方法。
【請求項195】
実質的に明細書及び/又は図面に示され及び/又は記載されているシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2011年4月15日に出願された米国特許仮出願第第61/476,145号の利益を主張する。上述した出願は、参照によってその全体が本願明細書に組み込まれ、明らかにこの明細書の一部をなす。
【0002】
本願明細書に記載されている実施形態は全般的に、連続検体センサからのセンサデータの処理及び自動的な較正のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
真性糖尿病は慢性疾患であって、膵臓が十分なインシュリンを生産しないとき(タイプI)、又は膵臓が生産するインシュリンを身体が効果的に使用できないとき(タイプII)に生じる。この状態は典型的に、血液中のグルコース濃度の増加(高血糖)につながり、それは小さな血管の悪化に関連する多数の生理的な障害(例えば、腎不全、皮膚潰瘍、又は目のガラス質内の出血)を生じさせる場合がある。時には、低血糖反応(低血糖)は、インシュリンの不注意な過剰投与によって、又は驚くほどの運動或いは不十分な食物摂取に伴うインシュリン或いはグルコース低下薬剤の通常の投与の後に誘発される。
【0004】
血液グルコース濃度を連続的に測定するために様々なセンサデバイスが開発されてきた。従来、糖尿病の人は自己監視血糖(SMBG:self-monitoring blood glucose)モニタを携帯しているが、それは典型的に不快な指細胞穿刺法を伴う。快適さ及び便宜の欠如により、糖尿病患者は多くの場合に彼又は彼女のグルコースレベルを1日につき2~4回測定することになる。残念なことに、これらの測定はあまりに間隔が開いたものとなり得て、糖尿病患者が時には低血糖或いは高血糖の現象をあまりに遅く知ることとなり、それによって潜在的に危険な副作用を招く。実際に、糖尿病患者はタイムリーにSMBG測定をしそうにないばかりでなく、糖尿病患者がタイムリーにSMBG値を得ることができても、SMBGのみに基づいては、糖尿病患者は彼又は彼女の血糖値が増減しているかどうかを知ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4757022号明細書
【特許文献2】米国特許第5497772号明細書
【特許文献3】米国特許第4787398号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2011/0027127号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/0247856号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0027370号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2009/0242399号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまで、グルコース値を連続的に測定するために様々なグルコースセンサが開発されてきた。多くの植設可能グルコースセンサは、身体内部での合併症に苦しむと共に短期間の且つ決して正確ではない血糖値の測定をもたらす。同様に、経皮的なセンサは長期間にわたるグルコース値の正確な検出及び連続的な報告の問題に陥った。植設可能な装置から血糖データを得ると共に分析のために過去に遡って血糖の傾向を決定するいくつかの努力がなされてきたが、これらの努力は糖尿病患者がリアルタイムに血糖情報を決定する際の助けとならない。将来に関するデータ分析のために経皮的な装置から血糖データを得るいくつかの努力もまたなされてきたが、類似の問題が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様においては、連続検体センサによって生成されたセンサデータを較正するための方法であって、連続検体センサを使用してセンサデータを生成すること;センサ感度情報を含む先験的な情報を適用することにより、連続検体センサの感度値を時間の関数として電子的な装置によって反復的に決定すること;及び決定された感度値に少なくとも部分的に基づいてセンサデータを較正すること、を含む方法が提供される。
【0008】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサデータを較正することは、センサセッションの実質的に全体に亘って反復的に実行される。
【0009】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、感度値を反復的に決定することは、前記先験的な情報によって定まるように、定期的に実行され或いは不定期な間隔で実行される。
【0010】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、感度値を反復的に決定することは、実質的にセンサセッションの全体に亘って実行される。
【0011】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、感度値を決定することは、実質的にリアルタイムに実行される。
【0012】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記先験的な情報は、センサセッションが開始した後の予め定められた時間に関連する少なくとも一つの予め定められた感度値に関連する。
【0013】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、少なくとも一つの予め定められた感度値は、生体外での検体濃度測定から決定される感度と予め定められた時間における生体内での検体濃度測定から決定される感度との間の相関に関連する。
【0014】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記先験的な情報は、入力として時間を使用する予め定められた感度関数に関連する。
【0015】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、時間は、センサセッションが開始した後の時間に対応する。
【0016】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、時間は、製造の時点或いは製造からの時間のうちの少なくとも一つに対応する。
【0017】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記連続検体センサの感度値はまた、少なくとも一つの他のパラメータの関数である。
【0018】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、少なくとも一つの他のパラメータは、温度、pH、水和作用のレベル或いは期間、硬化条件、センサが運転開始する間の連続検体センサを囲んでいる流体の検体濃度、及びそれらの組み合わせからなるグループより選択される。
【0019】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、センサデータを較正することは、基準血糖データを使用せずに実行される。
【0020】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記電子装置は、少なくとも約3日のセンサセッションを通じて約10%を超えない平均絶対相対差に対応する精度レベルをもたらすべく構成され、且つ前記平均絶対相対差の計算に関連する基準測定は血液の分析によって決定される。
【0021】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約4日である。
【0022】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約5日である。
【0023】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約6日である。
【0024】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約7日である。
【0025】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約10日である。
【0026】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約7%を超えない。
【0027】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約5%を超えない。
【0028】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約3%を超えない。
【0029】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記先験的な情報は、較正コードに関連する。
【0030】
第1の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記先験的な感度情報は、前記センサを使用する前にセンサエレクトロニクスに格納される。
【0031】
第2の態様においては、第1の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するためのシステムがもたらされる。
【0032】
第3の態様においては、連続検体センサによって生成されたセンサデータを較正する方法であって、連続検体センサを使用してセンサデータを生成すること、連続検体センサの複数の異なる感度値を、時間の関数及び先験的な情報に関連する感度情報の関数として、電子装置により決定すること、及び複数の異なる感度値のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて前記センサデータを較正すること、を含む方法が提供される。
【0033】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、連続検体センサを較正することは、センサセッションの実質的に全体に亘って反復的に実行される。
【0034】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記複数の異なる感度値は、コンピュータメモリのルックアップテーブルに格納される。
【0035】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記複数の異なる感度値を決定することは、センサセッションの全体に亘って一度だけ実行される。
【0036】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記先験的な情報は、センサセッションが開始した後の予め定められた時間に関連する少なくとも一つの予め定められた感度値に関連する。
【0037】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記少なくとも一つの予め定められた感度値は、生体外での検体濃度測定から決定された感度と所定時間における生体内検体濃度測定から決定された感度との間の相関に関連する。
【0038】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記先験的な情報は、入力として時間を使用する予め定められた感度関数に関連する。
【0039】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、時間は、センサセッションが開始した後の時間に対応する。
【0040】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、時間は、製造の時点或いは製造からの時間に対応する。
【0041】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記複数の感度値はまた、時間以外の少なくとも一つのパラメータの関数である。
【0042】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記少なくとも一つの他のパラメータは、温度、pH、水和作用のレベル或いは期間、硬化条件、センサを作動開始する間の連続検体センサを囲む流体の検体濃度、及びそれらの組み合わせより成るグループから選択される。
【0043】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記連続検体センサを較正することは、基準血糖データを使用せずに実行される。
【0044】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記電子装置は、少なくとも約3日のセンサセッションを通じて約10%を超えない平均絶対相対差に対応する精度レベルをもたらすべく構成され、且つ前記平均絶対相対差の計算に関連する基準測定は血液の分析によって決定される。
【0045】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約4日である。
【0046】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約5日である。
【0047】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約6日である。
【0048】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約7日である。
【0049】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約10日である。
【0050】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約7%を超えない。
【0051】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約5%を超えない。
【0052】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約3%を超えない。
【0053】
第3の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記先験的な情報は較正コードに関連する。
【0054】
第4の態様においては、第3の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するためのシステムがもたらされる。
【0055】
第5の態様においては、連続検体センサからデータを処理するための方法であって、この方法は、少なくとも一つのセンサデータポイントを含んでいる連続検体センサからのセンサデータを電子装置によって受け入れること、時間の関数及びセンサセッションを開始した後の所定の時間に関連する少なくとも一つの予め定められた感度値の関数として前記連続検体センサの感度値を反復的に決定すること、少なくとも部分的に前記感度値に基づいて変換関数を形成すること、及び前記少なくとも一つのセンサデータポイントに前記変換関数を適用することによって検体出力値を決定すること、を含む方法が提供される。
【0056】
第5の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記連続検体センサの感度を反復的に決定することは、連続的に実行される。
【0057】
第5の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、感度を反復的に決定することは、実質的にリアルタイムに実行される。
【0058】
第5の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記方法は、前記連続検体センサのベースラインを決定し、且つ前記変換関数が少なくとも部分的に前記ベースラインに基づくこと、を更に含む。
【0059】
第5の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、連続検体センサのベースラインを決定することは、連続的に実行される。
【0060】
第5の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、連続検体センサの感度を決定すること及び前記検体センサのベースラインを決定することは、実質的に同時に実行される。
【0061】
第5の態様或いはその任意の他の実施形態の実施形態において、前記少なくとも一つの予め定められた感度値は、連続検体センサの製造施設においてセットされる。
【0062】
第5の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、この方法は、少なくとも一つの較正コードを受け入れること、及びセンサセッションが開始した後の所定時間に少なくとも一つの較正コードを電子装置に適用すること、を更に含む。
【0063】
第5の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、感度を反復的に決定することは、定期的に実行され、或いは前記少なくとも一つの較正コードによって定められる不定期な間隔で実行される。
【0064】
第5の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記少なくとも一つの較正コードは、少なくとも一つの予め定められた感度に関連する。
【0065】
第5の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記少なくとも一つの較正コードは、時間関数の時間を入力として使用する予め定められた感度関数と関連する。
【0066】
第5の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、時間は、センサセッションを開始した後の時間に対応する。
【0067】
第5の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、時間は、製造の時点或いは製造からの時間に対応する。
【0068】
第5の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記連続検体センサの感度値はまた、少なくとも一つの他のパラメータの関数である。
【0069】
第5の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記少なくとも一つの他のパラメータは、温度、pH、水和作用のレベル或いは期間、硬化条件、センサを作動開始する間の連続検体センサを囲む流体の検体濃度、及びそれらの組み合わせより成るグループから選択される。
【0070】
第6の態様においては、第5の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するシステムがもたらされる。
【0071】
第7の態様においては、連続検体センサを較正するための方法であって、連続検体センサからセンサデータを受け入れること、センサセッションを開始した後の所定の時間に関連付けられている少なくとも一つの予め定められた感度値の関数である、実質的にセンサセッションの全体に亘っての検体に対するセンサ感度の変化に対応する予め定められた感度プロフィールを、形成し又は受け入れること、及びリアルタイム較正において電子装置により感度プロフィールを適用すること、を含む方法がもたらされる。
【0072】
第7の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、少なくとも一つの予め定められた感度値、予め定められた感度プロフィール、或いはその両方が、連続検体センサの製造施設において設定される。
【0073】
第7の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、この方法は、少なくとも一つの較正コードを受け入れること、及びセンサセッションが開始した後の所定時間に少なくとも一つの較正コードを電子装置に適用すること、を含む。
【0074】
第7の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、少なくとも一つの較正コードは、少なくとも一つの予め定められた感度に関連する。
【0075】
第7の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記少なくとも一つの較正コードは、入力として時間を使用する予め定められた感度関数に関連する。
【0076】
第7の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記感度プロフィールは、時間の関数である。
【0077】
第7の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、時間は、センサセッションを開始した後の時間に対応する。
【0078】
第7の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、時間は、製造の時点或いは製造からの時間に対応する。
【0079】
第7の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記感度値は、時間の関数、予め定められた感度値、及び温度、pH、水和作用のレベル或いは期間、硬化条件、センサを作動開始する間の連続検体センサを囲む流体の検体濃度、且つそれらの組み合わせより成るグループから選択される少なくとも一つのパラメータの関数である。
【0080】
第8の態様においては、第7の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するためのシステムがもたらされる。
【0081】
第9の態様においては、連続検体センサからのデータを処理する方法であって、少なくとも一つのセンサデータポイントを含んでいる連続検体センサからのセンサデータを、電子装置によって、受け入れること、センサセッションの実質的に全体に亘ってのセンサ感度の変化に対応する、予め定められた感度プロフィールを受け入れ又は形成すること、前記感度プロフィールに少なくとも部分的に基づいて変換関数を形成すること、及び前記少なくとも一つのセンサデータポイントに前記変換関数を適用することによって検体出力値を決定すること、を含む方法、がもたらされる。
【0082】
第9の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記感度プロフィールは、前記連続検体センサの製造施設において設定される。
【0083】
第9の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、この方法は、少なくとも一つの較正コードを受け入れること、及びセンサセッションが開始した後の所定時間に少なくとも一つの較正コードを電子装置に適用すること、を含む。
【0084】
第9の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、少なくとも一つの較正コードは、少なくとも一つの予め定められた感度に関連する。
【0085】
第9の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記少なくとも一つの較正コードは、感度プロフィールに関連する。
【0086】
第9の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記感度プロフィールは、時間の関数である。
【0087】
第9の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、時間は、センサセッションを開始した後の時間に対応する。
【0088】
第9の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、時間は、製造の時点或いは製造からの時間に対応する。
【0089】
第9の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記感度は時間の関数であり、且つ少なくとも一つのパラメータは、温度、pH、水和作用のレベル或いは期間、硬化条件、センサが運転開始する間に前記連続検体センサを囲んでいる流体の検体濃度、及びそれらの組み合わせからなるグループより選択される。
【0090】
第10の態様においては、第9の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するためのシステムがもたらされる。
【0091】
第11の態様においては、受容者の検体濃度をモニタするためのシステムがもたらされ、このシステムは、受容者の検体濃度を測定して工場較正されたセンサデータを提供するべく構成された連続検体センサであり、前記工場較正されたセンサデータが基準血糖データを使用せずに較正される連続検体センサを備え、前記システムは、少なくとも約3日のセンサセッションを通じて約10%を超えない平均絶対相対差に対応する精度レベルをもたらすべく構成され、前記平均絶対相対差の計算に関連する基準測定は、血液の分析によって決定される。
【0092】
第11の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約4日である。
【0093】
第11の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約5日である。
【0094】
第11の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約6日である。
【0095】
第11の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約7日である。
【0096】
第11の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサセッションは、少なくとも約10日である。
【0097】
第11の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約7%を超えない。
【0098】
第11の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約5%を超えない。
【0099】
第11の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記平均絶対相対差は、前記センサセッションを通じて約3%を超えない。
【0100】
第12の態様においては、連続検体センサの特性を決定する方法であって、バイアス電圧を前記検体センサに印加すること、前記バイアス電圧を上回る電圧ステップを前記検体センサに印加すること、センサエレクトロニクスを使用して、前記電圧ステップの信号応答を測定すること、センサエレクトロニクスを使用して、前記信号応答のピーク電流を決定すること、センサエレクトロニクスを使用して、前記ピーク電流を前記予め定められた関係に関連づけることにより前記センサの特性を決定すること、を含む方法がもたらされる。
【0101】
第12の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記ピーク電流を前記予め定められた関係に関連づけることは、前記ピーク電流に基づいて前記センサのインピーダンスを計算すること、及び前記センサインピーダンスを前記予め定められた関係に関連づけることを含む。
【0102】
第12の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサの特性は、前記センサの感度或いは前記センサの温度である。
【0103】
第12の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記ピーク電流は、電圧ステップより前の応答の大きさと前記電圧ステップに起因する最も大きく測定された応答の大きさとの間の差である。
【0104】
第12の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記予め定められた関係はインピーダンスとセンサ感度の関係であり、且つ前記センサの特性は前記センサの感度である。
【0105】
第12の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、この方法は、前記決定されたセンサの特性を使用してセンサデータを補償することを更に含む。
【0106】
第12の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記補償することは、前記ピーク電流の予め定められた関係をセンサ感度或いはセンサ感度の変化に関連づけること、及び関連づけられたセンサ感度或いはセンサ感度の変化に応じてセンサデータの値を修正すること、を含む
【0107】
第12の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記予め定められた関係は、前記検体センサを使用する時間に亘って線形な関係である。
【0108】
第12の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記予め定められた関係は、前記検体センサを使用する時間に亘って非線形な関係である。
【0109】
第12の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記予め定められた関係は、検体センサに類似するセンサを先行テストすることによって決定される。
【0110】
第13の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記第12の態様或いはその任意の実施形態の方法を前記センサシステムに実施させる。
【0111】
第14の態様においては、検体センサを較正するための方法であって、時間変化する信号を前記検体センサに印加すること、印加された信号に対する信号応答を測定すること、センサエレクトロニクスを使用して、検体センサの感度を決定することであって、前記決定することは、前記信号応答の少なくとも一つの特性を予め定められたセンサ感度プロフィールに関連づけることを含むこと、前記決定された感度及び前記検体センサによって生成されたセンサデータを使用して推定される検体濃度値を、センサエレクトロニクスを使用して生成すること、を含む方法がもたらされる。
【0112】
第14の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、感度プロフィールは、センサを植設してからの期間に亘って変化する感度値を含むことを備える。
【0113】
第14の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記予め定められた感度プロフィールは、複数の感度値を含む。
【0114】
第14の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記予め定められた感度プロフィールは、前記検体センサに類似する検体センサの感度変化を調査することから生成されるセンサ感度データに基づく。
【0115】
第14の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記方法は、センサにバイアス電圧を印加することを含み、前記時間変化する信号は、前記バイアス電圧を上回るステップ電圧或いはバイアス電圧に重なる正弦波電圧を含む。
【0116】
第14の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記決定することは、測定された信号応答に基づいてインピーダンス値を計算すること、及び前記インピーダンス値を予め定められた感度プロフィールの感度値に関連づけること、を更に含む。
【0117】
第14の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記方法は、DCバイアス電圧を前記センサに印加してセンサデータを生成することを更に含み、前記検体濃度値を推定することが前記決定された感度を使用して修正されたセンサデータを生成することを含む。
【0118】
第14の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記方法は、変換関数を前記修正センサデータに適用して前記推定される検体濃度値を生成することを更に含む。
【0119】
第14の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記方法は、前記決定された感度の少なくとも一部分に基づいて変換関数を形成することを更に含み、且つ推定される検体濃度値を生成するために前記変換関数がセンサデータに適用される。
【0120】
第14の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記特性は、前記信号応答のピーク電流値である。
【0121】
第14の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記決定することは、信号応答データについて高速フーリエ変換を実行すること、信号応答の曲線の少なくとも一部を組み込むこと、信号応答のピーク電流を決定することのうちの少なくとも一つの使用を更に含む。
【0122】
第14の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記決定することは、複数の異なる予め定められた感度プロフィールから決定されたセンサ特性に基づいて予め定められた感度プロフィールを選択することを更に含む。
【0123】
第14の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記選択は、前記決定されたセンサ特性と前記複数の異なる予め定められた感度プロフィールのそれぞれとの間の相関を決定するべくデータ関連分析を実行することを含み、且つ前記選択された予め定められた感度プロフィールが最も高い相関を有する。
【0124】
第14の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記方法は、前記選択された感度プロフィールを使用して推定される検体濃度値を生成すること、を更に含む。
【0125】
第14の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記方法は、前記選択された感度プロフィールを使用して第2の感度値を決定することを更に含み、推定される検体濃度値の第1のセットは、前記決定された感度値及び第1の時間周期に関連するセンサデータを使用して生成され、且つ濃度値の第2のセットは、第2の感度値及び第2の時間周期に関連するセンサデータを使用して生成される。
【0126】
第15の態様においては、第14の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するためのセンサシステムがもたらされる。
【0127】
第15の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記第14の態様或いはその任意の実施形態の方法を前記センサシステムに実施させる。
【0128】
第16の態様においては、前記検体センサシステムが適切に機能しているかどうかを決定するための方法であって、刺激信号を前記検体センサに印加すること、前記刺激信号に対する応答を測定すること、信号応答に基づいてセンサ特性の値を推定すること、前記センサ特性値を、前記センサ特性の予め定められた関係及び予め定められたセンサ感度プロフィールに関連づけること、及び前記相関が予め定められた相関閾値を超えない場合にエラールーチンを開始すること、を含む方法がもたらされる。
【0129】
第16の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、関連づけることは、データ関連分析を実行することを含む。
【0130】
第16の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記エラールーチンは、前記検体センサが適切に機能していないことを示すメッセージをユーザに表示することを含む。
【0131】
第16の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサ特性は、前記センサ膜のインピーダンスである。
【0132】
第17の態様においては、第16の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するべく構成されたセンサシステムがもたらされる。
【0133】
第17の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記第16の態様或いはその任意の実施形態の方法を前記センサシステムに実施させる。
【0134】
第18の態様においては、連続検体センサに関連する温度を決定するための方法であって、刺激信号を前記検体センサに印加すること、前記信号の信号応答を測定すること、及び前記検体センサに関連する温度を決定すること、を含み、前記決定することは、前記信号応答の少なくとも一つの特性を温度に対するセンサ特性の予め定められた関係に関連づけることを含む方法がもたらされる。
【0135】
第18の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記方法は、前記決定された温度及び前記検体センサから生成されたセンサデータを使用して推定される検体濃度値を生成することを更に含む。
【0136】
第18の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記生成することは、前記決定された温度を使用して前記センサデータを補償すること、及び変換関数を使用して、前記補償されたセンサデータを生成される推定された検体値に変換することを含む。
【0137】
第18の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記生成することは、決定された温度を使用して変換関数を形成し或いは修正すること、及び前記形成された或いは修正された変換関数を使用して、前記センサデータを生成される推定された検体値に変換すること、を含む。
【0138】
第18の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記方法は第2のセンサを使用して温度を測定することを含み、前記決定することは、測定温度を使用して前記検体センサに関連する温度を決定することを更に含む。
【0139】
第18の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記第2のセンサはサーミスタである。
【0140】
第19の態様においては、第18の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するべく構成されたシステムがもたらされる。
【0141】
第19の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記第18の態様或いはその任意の実施形態の方法を前記センサシステムに実施させる。
【0142】
第20の態様においては、電子センサシステムへの湿気進入を決定する方法であって、特定の周波数を有する刺激信号或いは周波数スペクトルを含む信号を検体センサに印加すること、前記刺激信号に対する応答を測定すること、センサエレクトロニクスを使用し、前記測定された信号応答に基づいてインピーダンスを計算すること、センサエレクトロニクスを使用して、前記インピーダンスが湿気進入に対応する予め定義されたレベルに入るかどうかを決定すること、前記インピーダンスが予め定義されたレベルのそれぞれの一方又は両方を超過する場合に、センサエレクトロニクスを使用して、エラールーチンを開始すること、を含む方法がもたらされる。
【0143】
第20の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記方法は、前記センサシステムが適切に機能していないかもしれないことをユーザに警告するべく可聴の警報及び表示スクリーン上の視覚的な警報を一つ又は複数起動させることを含むエラールーチンを更に含む。
【0144】
第20の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記刺激信号は予め定められた周波数を有する。
【0145】
第20の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記刺激信号は、周波数のスペクトルを有する。
【0146】
第20の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記計算されたインピーダンスは大きさの値及び位相の値を有し、前記決定は、前記インピーダンスの大きさの値を予め定義されたインピーダンスの大きさ閾値と、及び前記位相の値を予め定義された位相の閾値と比較することを含む。
【0147】
第20の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記計算されるインピーダンスは複素インピーダンス値である。
【0148】
第21の態様においては、第20の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するためのセンサシステムがもたらされる。
【0149】
第21の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記第20の態様或いはその任意の実施形態の方法を前記センサシステムに実施させる。
【0150】
第22の態様においては、センサシステムを使用する検体センサの膜損傷を決定する方法であって、刺激信号を検体センサに印加すること、前記刺激信号に対する応答を測定すること、センサエレクトロニクスを使用し、前記信号応答に基づいてインピーダンスを計算すること、センサエレクトロニクスを使用して、前記インピーダンスが膜損傷に対応する予め定義されたレベルに入るかどうかを決定すること、センサエレクトロニクスを使用して、前記インピーダンスがあらかじめ定義されたレベルを超過する場合にエラールーチンを開始すること、を含む方法がもたらされる。
【0151】
第22の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、エラールーチンは、一つ又は複数の可聴の警報及びディスプレースクリーン上の視覚的な警報を起動させることを含む。
【0152】
第22の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、刺激信号は、予め定められた周波数を有する。
【0153】
第22の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、刺激信号は、周波数のスペクトルを有する。
【0154】
第22の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記計算されたインピーダンスは、大きさの値と位相の値とを含み、前記決定は、前記インピーダンスの大きさの値を予め定義されたインピーダンスの大きさ閾値と、及び前記位相の値を予め定義された位相の閾値と比較することを含む。
【0155】
第22の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記計算されるインピーダンスは、複素インピーダンス値である。
【0156】
第23の態様においては、第22の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するためのセンサシステムがもたらされる。
【0157】
第23の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納される命令を備え、この命令は、センサシステムの一つ以上のプロセッサによって実行されるときに、センサシステムに第22の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施させる。
【0158】
第24の態様においては、検体センサの再利用を決定する方法であって、刺激信号を検体センサに印加すること、前記刺激信号に対する応答を測定すること、前記応答に基づいてインピーダンス応答を計算すること、前記計算されたインピーダンスを予め定められた閾値と比較すること、及び前記インピーダンスが閾値を越えると決定された場合にセンサ再利用ルーチンを開始すること、を含む方法がもたらされる。
【0159】
第24の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサ再利用ルーチンは、ユーザに不適切なセンサの再利用を通報する可聴の及び/又は視覚的な警報を起動させることを含む。
【0160】
第24の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサを再利用するルーチンは、前記センサシステムを完全に又は部分的にシャットダウンさせること及び/又は前記センサシステムのユーザーインターフェース上へのセンサデータの表示を中止することを含む。
【0161】
第25の態様においては、第24の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するべく構成されたセンサシステムがもたらされる。
【0162】
第25の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記第24の態様或いはその任意の実施形態の方法を前記センサシステムに実施させる。
【0163】
第26の態様においては、検体センサの再利用を決定するためのシステムであって、刺激信号を検体センサに印加すること、前記刺激信号に対する応答を測定すること、応答に基づいてインピーダンスを計算すること、データ関連関数を使用して計算されたインピーダンスと一つ又は複数の記録されたインピーダンス値との相関を決定すること、及び前記相関が予め定められた閾値を越えると決定された場合にセンサ再利用ルーチンを開始すること、を含むシステムがもたらされる。
【0164】
第26の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサ再利用ルーチンは、不適切なセンサの再利用をユーザに通報する可聴の及び/又は視覚的な警報を起動させること、を含む。
【0165】
第26の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサを再利用するルーチンは、前記センサシステムを完全に又は部分的にシャットダウンさせること及び/又は前記センサシステムのユーザーインターフェース上へのセンサデータの表示を中止することを含む。
【0166】
第26の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記第25の態様の方法を前記センサシステムに実施させる。
【0167】
第27の態様においては、過剰電位を検体センサに印加する方法であって、刺激信号を検体センサに印加すること、前記刺激信号に対する応答を測定すること、前記応答に基づいてセンサの感度或いはセンサの感度の変化を決定すること、及び前記決定された感度或いは感度の変化に基づいて過剰電位をセンサに印加すること、を含む方法がもたらされる。
【0168】
第27の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記決定することは、応答に基づいてインピーダンスを計算すること、及び前記インピーダンスに基づいて感度或いは感度の変化を決定すること、を更に含む。
【0169】
第27の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記感度或いは感度の変化を決定することは、予め定められたインピーダンスに対するインピーダンスを感度の関係に関連づけることを更に含む。
【0170】
第27の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記印加することは、過剰電位がセンサに印加された延べ時間を決定し或いは修正することを含む。
【0171】
第27の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記印加することは、前記センサに印加された過剰電位の大きさを決定し或いは修正することを含む。
【0172】
第28の態様においては、第27の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するべく構成されたセンサシステムがもたらされる。
【0173】
第28の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記第27の態様或いはその任意の実施形態の方法を前記センサシステムに実施させる。
【0174】
第29の態様においては、連続検体センサの特性を決定するための方法であって、第1の作用電極及び第1の基準電極を有している第1の検体センサに刺激信号を印加すること、第2の作用電極及び第2の基準電極を有している第2の検体センサを使用して前記刺激信号の信号応答を測定すること、及び前記応答を予め定められた関係に関連づけることによって前記第1のセンサの特性を決定すること、を含む方法がもたらされる。
【0175】
第29の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、この方法は、第1の作用電極にバイアス電圧を印加してセンサデータを生成すること、及び前記バイアス電圧に対する応答を測定すること、を更に含む。
【0176】
第29の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、この方法は、前記決定された特性を使用してセンサデータを較正すること、を更に含む。
【0177】
第29の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記決定された特性は、インピーダンス及び温度のうちの一つである。
【0178】
第29の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記方法は、前記決定された特性を使用してセンサ膜の損傷を決定すること、を更に含む。
【0179】
第29の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記方法は、第1及び第2の検体センサを取り囲んでいるセンサシステム内への湿気侵入を、前記決定された特性を使用して決定すること、を更に含む。
【0180】
第30の態様においては、第29の態様或いはその任意の実施形態のうちの一つの方法を実施するべく構成されたセンサシステムがもたらされる。
【0181】
第30の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記第29の態様或いはその任意の実施形態の方法を前記センサシステムに実施させる。
【0182】
第31の態様においては、連続検体センサシステムにおいて使用されるスケーリングを決定する方法であって、第1の刺激信号を検体センサの第1の作用電極に印加すること、前記第1の刺激信号に対する応答を測定すること、第2の刺激信号を検体センサの第2の作用電極に印加すること、前記第2の刺激信号に対する応答を測定すること、センサエレクトロニクスを使用して、前記第1及び第2の刺激信号に対する測定された応答に基づいてスケーリングファクタを決定すること、及び検体センサにより生成されたセンサデータに基づいて推定される検体値を生成するべくスケーリングファクタを使用すること、を含む方法がもたらされる。
【0183】
第31の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記方法は、前記方法が周期的に実行されることを更に含む。
【0184】
第31の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記決定することは、前記第1の刺激信号に対する応答を使用して第1のインピーダンスを計算し、且つ、前記第2の刺激信号に対する応答を使用して第2のインピーダンスを計算し、前記スケーリングファクタが前記第1のインピーダンスと前記第2のインピーダンスの比である、ことを含む。
【0185】
第31の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、第1の作用電極は、前記検体と反応するように構成された酵素を含む薄膜を有し且つ第2の作用電極は前記酵素を含まない薄膜を有する。
【0186】
第31の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記スケーリングファクタを決定することは、前記第1及び第2の刺激信号に対する測定された応答に基づいて以前のスケーリングファクタを更新することを含む。
【0187】
第31の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、スケーリングファクタがアセトアミノフェンのスケーリングファクタであり、前記方法は、前記アセトアミノフェンのスケーリングファクタに基づいて更なるスケーリングファクタを更新することを含み、且つ前記更なるスケーリングファクタは、推定される検体値を生成するべくセンサデータに適用される。
【0188】
第32の態様においては、第31の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するべく構成されたセンサシステムがもたらされる。
【0189】
第32の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記第31の態様或いはその任意の実施形態の方法を前記センサシステムに実施させる。
【0190】
第33の態様においては、検体センサを較正する方法であって、予め定められた信号を検体センサに印加すること、印加された信号に対する応答を測定すること、センサエレクトロニクスを使用し、前記測定された応答に基づいて前記検体センサの薄膜に関連付けられているインピーダンスの変化を決定すること、前記決定されたインピーダンスに基づいて前記検体センサの感度の変化を計算すること、前記計算された感度の変化及び前記検体センサの以前に使用された感度に基づいて修正された感度を計算すること、及び前記修正された感度を使用して推定される検体値を生成すること、を含む方法がもたらされる。
【0191】
第33の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記感度の変化を計算することは、非線形補償関数を適用することを含む。
【0192】
第33の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記非線形補償関数は、以下の方程式として表される。
△S=(a*log(t)+b)*△I
ここで△Sは感度の変化、tは検体センサを較正してからの時間、△Iは決定されたインピーダンスの変化、且つa及びbは予め定められた係数である。
【0193】
第33の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、a及びbは類似した検体センサを前もってテストすることにより決定される。
【0194】
第34の態様においては、第33の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するべく構成されたセンサシステムがもたらされる。
【0195】
第34の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記第33の態様或いはその任意の実施形態の方法を前記センサシステムに実施させる。
【0196】
第35の態様においては、検体センサを較正するための方法であって、皮下検体センサを使用してセンサデータを生成すること、変換関数を形成し、又は修正することであって、植設前の情報、内部診断情報、及び/又は外部基準情報を入力として使用して、変換関数を形成し或いは修正すること、前記変換関数を使用してセンサデータを較正すること、を含む方法がもたらされる。
【0197】
第35の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記植設前の情報は、検体センサに関連付けられている予め定められた感度プロフィール、測定されたセンサ属性とセンサ感度との間の予め決定された関係、測定されたセンサ属性とセンサ温度との間の一つ又は複数の予め決定された関係からなるグループより選択される情報、以前に使用された検体センサから取得されるセンサデータ、検体センサに関連付けられている較正コード、検体センサと感度、ベースライン、ドリフト及びインピーダンスのうちの一つ又は複数との間の患者に特有の関係、センサの植設部位を表す情報、検体センサの製造からの時間、及び温度或いは湿度に曝されている検体を表す情報、を含む。
【0198】
第35の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記内部診断情報は、刺激信号の出力、前記センサにより測定された検体濃度を表すセンサデータ、センサ或いは別個のセンサを使用する温度測定、検体センサと実質的に同様に設計された冗長なセンサにより生成されるセンサデータ、検体センサとは異なる様式を有している補助センサにより生成されるセンサデータ、前記センサが植設されてから或いは前記センサに接続されるセンサエレクトロニクスに接続されてからの時間、センサ或いはセンサシステム上の圧力を表す圧力センサにより生成されるデータ、加速度計により生成されるデータ、湿気進入の基準、及び検体濃度信号のノイズ基準より成るグループから選択される情報を含む。
【0199】
第35の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記基準情報は、基準モニタから取得されたリアルタイム及び/又は前の検体濃度情報、基準データを提供するために使用されている基準モニタのタイプ/ブランドに関する情報、ユーザによって消費される炭水化物の量に関する情報、薬剤送達装置から受け取る情報、グルカゴン感度情報、及び集団ベースのデータから集められた情報より成るグループから選択される情報を含む。
【0200】
第36の態様においては、第35の態様或いはその任意の実施形態の方法を実施するべく構成されたセンサシステムがもたらされる。
【0201】
第36の態様の一つの実施形態或いはその他の実施形態において、前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに、前記第35の態様或いはその任意の実施形態の方法を前記センサシステムに実施させる。
【0202】
これらの及び他の特徴及び利点は、添付の図面を参照しつつ考慮するときに以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0203】
図1A】一つの実施形態による、センサセッションの間における時間の関数としてのセンサ感度の概略図を示している。
図1B図1Aの実施形態による、センサセッションの異なる時間周期における変換関数の概略図を示している。
図2A】センサ感度プロフィールを生成するためのプロセスの一の実施形態を示している。
図2B】センサ感度プロフィールを生成するためのプロセスの別な実施形態を示している。
図2C】センサ感度プロフィールを生成するためのプロセスのまた別な実施形態を示している。
図2D】センサ感度プロフィールを生成するためのプロセスの更に別な実施形態を示している。
図3A】一つの実施形態による、YSI基準測定と工場で較正された特定の生体内連続検体センサとの間の相違を示すブランド-アルトマンプロット(Bland-Altman plot)である。
図3B図3Aに関連する連続検体センサからのデータに関連するクラークエラーグリッド(Clarke error grid)である。
図4】一つの実施形態による、患者に挿入した後の約1時間における1つの基準測定を受け入れた、連続検体センサの精度レベルを検査する1つの研究からのデータを図示している。
図5】経時的なセンサ感度プロフィールを定めるためにセンサシステムに入力することができる異なるタイプの情報を示す図を示している。
図6】一つの実施形態による、センサ製造の完成とセンサセッションの開始との間の時間の関数としてのセンサ感度の概略図を示している。
図7A】一実施形態による、ベイジアン学習プロセスに対応する、センサ感度の分布曲線を示す概略図である。
図7B図7Aに示されている分布曲線に対応する、センサ感度プロフィールに関連する信頼水準を示す概略図である。
図8】一つの研究による、推定されたグルコース等価ベースラインと検出されたグルコース等価ベースラインとの間の比較を与えるグラフを示している。
図9】一つの実施形態による、モデルセンサ回路の概略図である。
図10】一つの実施形態による、検体センサのボード線図である。
図11】一つの実施形態による、センサのインピーダンスを決定するプロセスを記載するフローチャートである。
図12】一つの実施形態による、導関数応答に基づいてセンサのインピーダンスを決定するプロセスを記載するフローチャートである。
図13】一つの実施形態による、ピーク電流応答に基づいてセンサのインピーダンスを決定するプロセスを記載するフローチャートである。
図14A】一つの実施形態による、センサに印加されるステップ電圧を示している。
図14B図14Aのステップ電圧に対する応答を示している。
図15】一つの実施形態による、インピーダンス測定に基づいて修正された信号を使用して検体濃度値を推定するプロセスを記載するフローチャートである。
図16】一つの実施形態による、インピーダンス測定に基づいて選択された予め定められた感度プロフィールを使用して検体濃度値を推定するプロセスを記載するフローチャートである。
図17】一つの実施形態による、インピーダンス測定を用いて決定された感度が予め定められた感度に十分に対応するかどうかに基づいてエラーを決定するプロセスを記載するフローチャートである。
図18】一つの実施形態による、インピーダンス測定を予め定められた温度とインピーダンスとの関係に関連づけることによってセンサに関連する温度を決定するためにプロセスを記載するフローチャートである。
図19】一つの実施形態による、検体センサに関連するセンサエレクトロニクスにおける湿気放出(moisture egress)を決定するためにプロセスを記載するフローチャートである。
図20】一つの実施形態による、検体センサに関連する膜の損傷を決定するためのプロセスを記載するフローチャートである。
図21】一つの実施形態による、センサの再利用の決定に関連する第1のプロセスを記載するフローチャートである。
図22】一つの実施形態による、センサの再利用の決定に関連する第2のプロセスを記載するフローチャートである。
図23】一つの実施形態による、センサ特性を決定するために用いられる二電極構成の概略図である。
図24】一つの実施形態による、変換関数を形成するために様々な入力を使用する較正プロセスの図である。
図25】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図26】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図27】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図28】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図29】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図30】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図31】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図32】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図33】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図34】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図35】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図36】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図37】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図38】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図39】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図40】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図41】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図42】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図43】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図44】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図45】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図46】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図47】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図48】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図49】センサ特性を決定するために刺激信号を使用する研究の結果をまとめて示している。
図50】一つの実施形態による、インピーダンスの測定された変化に基づく補償アルゴリズムを用いて推定検体値を生成するプロセスを記載したフローチャートである。
図51】インピーダンスの測定された変化に基づく補償アルゴリズムの使用を比較する研究のグラフである
図52】インピーダンスの測定された変化に基づく補償アルゴリズムの使用を比較する研究のグラフである
図53】インピーダンスの測定された変化に基づく補償アルゴリズムの使用を比較する研究のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0204】
定義
本願明細書において記載されている実施形態の理解を容易にするために、多くの用語は、以下に定められる。
【0205】
本願明細書で使用する「検体(analyte)」という用語は、広義の用語であって、この分野の当業者に対しその通常的な及び慣例的な意味が与えられ(また特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ分析できる物質或いは生物流体中の化学的な成分(例えば、血液、組織液、脳脊髄液、リンパ流体或いは尿)を指すがそれには限定されない。検体は、自然発生物質、人工的な物質、代謝生成物及び/又は反応生成物を含むことができる。いくつかの実施形態では、本願明細書に開示されるセンサヘッド、装置、及び方法による測定のための検体はグルコースである。しかしながら、他の検体もまた同様に予測され、カルボキシプロトロンビン;アシルカルニチン;アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ;アデノシンデアミナーゼ;アルブミン;アルファフェトプロテイン;アミノ酸プロフィール(アルギニン(クレブス回路)、ヒスチジン/ウロカニン酸、ホモシステイン、フェニルアラニン/チロシン、トリプトファン);アンドロステンジオン(andrenostenedione);アンチピリン;アラビニトールエナンチオマー;アルギナーゼ;ベンゾイルエクゴニン(コカイン);ビオチニダーゼ;ビオプテリン;C-反応性タンパク質;カルニチン;カルノシナーゼ;CD4;セルロプラスミン;ケノデオキシコール酸;クロロキン;コレステロール;コリンエステラーゼ;抱合型1β-ヒドロキシ化コール酸;コルチゾル;クレアチンキナーゼ;クレアチンキナーゼMMイソ酵素;シクロスポリンA;d-ペニシラミン;デエチルクロロキン;硫酸塩デヒドロエピアンドロステロン;DNA(アセチル化多型、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルファ1―抗トリプシン、嚢胞性線維形成、デュシェンヌ/ベッカー筋ジストロフィー、検体-6-リン酸塩デヒドロゲナーゼ、ヘモグロビン異常症、ヘモグロビンA症,ヘモグロビンS症,ヘモグロビンC症,ヘモグロビンE症、Dパンジャブ型、ベータサラセミア、B型肝炎ウイルス、HCMV、HIV-1、HTLV―1、レーバー遺伝性視神経症、中鎖アシルCoA脱水素酵素(MCAD)、リボ核酸(RNA)、フェニルケトン尿症(PKU)、三日熱マラリア原虫、性分化、21-デオキシコルチソル);デスブチルハロファントリン;ジヒドロプテリジンレダクターゼ;ジフテリア/破傷風抗毒素;赤血球アルギナーゼ;赤血球プロトポルフィリン;エステラーゼD;脂肪酸/アシルグリシン;遊離βヒト絨毛性ゴナドトロピン;遊離赤血球ポルフィリン;遊離チロキシン(FT4);遊離トリヨードサイロニン(FT3);フマリルアセトアセターゼ;ガラクトース/ガル―1―リン酸塩;ガラクトース―1―リン酸塩ウリジルトランスフェラーゼ;ゲンタミシン;検体―6―リン酸塩デヒドロゲナーゼ;グルタチオン;グルタチオンペリオキシダーゼ;グリココール酸;グリコシル化されたヘモグロビン;ハロファントリン;ヘモグロビン変形;ヘキソサミニダーゼA;ヒト赤血球脱炭酸酵素I;17α―ヒドロキシプロゲステロン;ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ;免疫反応性トリプシン;乳酸;鉛;リポタンパク質((a)、B/A-1、β);リゾチーム;メフロキン;ネチルミシン;フェノバルビトン;フェニトイン;フィタン酸/プリスタン酸;プロゲステロン;黄体刺激ホルモン;プロリダーゼ;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;キニーネ;リバーストリヨードサイロニン(rT3);セレン;血清膵リパーゼ;シソミシン;ソマトメジンC;特異抗体(アデノウイルス、抗核抗体、アンチゼータ抗体、アルボウイルス、アウジェスキー病ウイルス、デング熱ウイルス、メジナ虫、い粒条虫、赤痢アメーバ、エンテロウイルス属、ランブル鞭毛虫、ヘリコバクターピロリ、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIV―l、IgE(アトピー性疾患)、インフルエンザウイルス、ドノバンリーシュマニア、レプトスピラ菌、はしか/流行性耳下腺炎/風疹、らい菌、肺炎マイコプラズマ、ミオグロビン、回旋糸状虫、パラインフルエンザウイルス、熱帯熱マラリア原虫、ポリオウイルス、緑膿菌、RSウイルス、リケッチア(つつが虫病)、マンソン住血吸虫、トキソプラズマ、梅毒トレポネーマ 、クルーズトリパノソーマ /ランゲルトリパノソーマ、水疱性口炎ウイルス、バンクロフト糸状虫、黄熱ウイルス);特異抗原(B型肝炎ウイルス、HIV-1);スクシニルアセトン;スルファドキシン;テオフィリン;甲状腺刺激ホルモン(TSH);チロキシン(T4);サイロキシン結合性グロブリン;微量元素;トランスフェリン;UDP―ガラクトース―4―エピメラーゼ;尿素;ウロポルフィリノーゲンIシンターゼ;ビタミンA;白血球;及び亜鉛プロトポルフィリンを含むが、これらには限定されない。塩類、糖質、タンパク質、脂肪、血液中に自然に生じるビタミン及びホルモン類或いは間質液もまた、ある実施形態において検体を構成し得る。検体は、例えば代謝産物、ホルモン、抗原、抗体等、生物流体中に自然に存在するものとすることができる。或いは、検体は体内に導入することができる、例えば、画像処理のためのコントラスト剤、ラジオアイソトープ、化学薬剤、フルオロカーボンベースの合成血液、又は以下の薬剤或いは医薬品組成物が挙げられるがこれらには限定されない:インシュリン;エタノール;大麻(マリファナ、テトラヒドロカンナビノール、ハシッシュ);吸入剤(笑気、亜硝酸アミル、亜硝酸ブチル、クロロ炭化水素、炭化水素);コカイン(クラックコカイン);刺激薬(アンフェタミン、メトアンフェタミン、リタリン、Cylert、Preludin、Didrex、PreState、Voranil、Sandrex、Plegine);抑制薬(バルビツル酸系催眠薬、メタカロン、精神安定剤(バリアム、リブリウム、ミルタウン、セラックス、メプロバメート、トランジーン);幻覚剤(フェンシクリジン、リセルグ酸、メスカリン、ペヨーテ、プシロシビン);麻薬(ヘロイン、コデイン、モルヒネ、アヘン、メペリジン、パーコセット、ペルコダン、Tussionex、フェンタニル、ダルボン、タルウィン、ロモティル);合成抗生物質(フェンタニル、メペリジン、アンフェタミン、メトアンフェタミン、及びフェンシクリジン、例えばエクスタシーの類似体);筋肉増強剤;及びニコチン。また、薬剤及び医薬品組成物の代謝産物も予想される検体である。身体内で生成される神経化学物質及び他の化学物質、例えば、アスコルビン酸、尿酸、ドーパミン、ノルアドレナリン、3-メトキシチラミン(3MT)、3、4-ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、ホモバニリン酸(HVA)、5-ヒドロキシトリプタミン(5HT)、及び5-ヒドロキシインドール酢酸(FHIAA)といった検体もまた分析される。
【0206】
本願明細書で使用する「連続検体センサ(continuous analyte sensor)」及び「連続グルコースセンサ(continuous glucose sensor)」という用語は広義の用語であると共に、この分野の当業者に対しその通常的な及び慣例的な意味が与えられ(また特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ検体/グルコースの濃度を連続的に或いは絶え間なく測定し、及び/又は、例えば秒の小数点以下の数から最大で例えば1、2若しくは5分にわたり、或いはそれより長い時間間隔で(例えば、センサの感度及びバックグラウンドを連続的に或いは絶え間なく調整し又は決定することにより)較正する装置を指すが、それらには限定されない。
【0207】
本願明細書で使用する「生体試料(biological sample)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者に対しその通常的な及び慣例的な意味が与えられ(また特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ例えば、血液、間質液、脊髄液、唾液、尿、涙液、汗或いは他の同様の流体といった身体或いは受容者の組織から由来する試料を指すが、それらには限定されない。
【0208】
本願明細書で使用する「受容者(host)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ人間を含む動物を指すが、それには限定されない。
【0209】
本願明細書で使用する「膜システム(membrane system)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ二つ或いはそれ以上の領域から構成できると共に、数ミクロン厚或いはより厚い物質から典型的に構成される、酸素に対して透過性の且つ選択的にグルコースに対して透過性の、透過性或いは半透性の膜を指すが、それには限定されない。一つの実施例において、この膜システムは、グルコース濃度を測定するための電気化学反応の発生を可能にする、固定化されたグルコースオキシダーゼ酵素を含む。
【0210】
本願明細書で使用する「領域(domain)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ一様な或いは一様でない勾配の(例えば異方性の)、物質の機能的な側面の層とすることができる膜の領域、又は膜の部分として与えられる領域を指すが、それには限定されない。
【0211】
本願明細書で使用する「検出領域(sensing region)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ特定の検体を検出する責任を負う監視装置の領域を指すが、それには限定されない。一実施形態において、この検出領域は、一般的に、非導電性の本体、少なくとも一つの電極、本体を貫通すると共に本体内に固定されて、本体の1つの位置に電気活性表面を且つ本体の他の位置に電子的な接続を形成する参照電極及び選択的なカウンタ電極、及び本体に固定されて電気活性表面を覆う膜システムを備える。
【0212】
本願明細書で使用する「電気活性表面(electroactive surface)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ電気化学反応が生じる電極表面を指すがそれには限定されない。一つの実施形態において、作用電極は、測定可能な電流を発生させる過酸化水素(H)を測定する。
【0213】
本願明細書で使用する「ベースライン(baseline)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ検体濃度に関連していない検体センサ信号の成分を指すがそれには限定されない。グルコースセンサの一実施例において、このベースラインは、実質的にグルコース以外のファクタ(例えば干渉する化学種、非反応関連の過酸化水素、又は過酸化水素と重なる酸化電位を有した他の電気活性化学種)による信号の貢献から成る。方程式y=mx+bを解くことによって較正が定められるいくつかの実施例においては、bの値が信号のベースラインを表す。ある種の実施形態では、このb(すなわちベースライン)の値は0或いはほぼ0とすることができる。このことは、例えば、ベースラインを減算した電極又は低いバイアスの電位設定の結果とすることができる。結果として、これらの実施形態においては、較正は方程式y=mxを解くことによって定めることができる。
【0214】
本願明細書で使用する「不活性酵素(inactive enzyme)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ(例えば酵素の変性によって)不活性にされて実質的に酵素活性を有しない酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ、GOx)を指すがそれには限定されない。酵素は、加熱、凍結融解、有機溶剤、酸或いは塩基中での変性、架橋、酵素的に重要なアミノ酸の遺伝的な変成等といった従来技術において公知の様々な技術を用いて不活化することができるが、それらには限定されない。いくつかの実施形態においては、活性な酵素を含む溶液をセンサに付加した後、加熱或いは不活性溶媒による処理によって付加した酵素を実質的に不活性化することができる。
【0215】
本願明細書で使用する「非酵素的な(non-enzymatic)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ酵素活性の欠如を指すがそれには限定されない。いくつかの実施形態においては「非酵素的な」膜部分は酵素を含まないが、他の実施形態においては「非酵素的な」膜部分が不活性な酵素を含む。いくつかの実施形態では、不活性酵素を含む或いは酵素を含まない酵素溶液が付加される。
【0216】
本願明細書で使用する「実質的に(substantially)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ特定されるものの大部分ではあるが必ずしも全体ではないことを指すが、それには限定されない。
【0217】
本願明細書で使用する「約(about)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ任意の数値或いは範囲に関連するときには、その用語が変更する量或いは条件が、開示の関数が実現される限りにおいて所定の量をいくらか越えて変化することができるという理解を指すがそれには限定されない。
【0218】
本願明細書で使用する「ROM」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ容量を固定して製造された一種のデータ記憶デバイスである読出し専用メモリを指すが、それには限定されない。ROMは、例えば、電気的に消去可能でプログラム可能なロム(ROM)、すなわちEEPROMを含む。
【0219】
本願明細書で使用する「RAM」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ異なる位置へのアクセスの命令がアクセス速度に影響を及ぼさないデータ記憶デバイスを指すがそれには限定されない。RAMは、例えば、電源が供給される限りそのメモリ内のデータビットを保持する静的ランダムアクセスメモリであるSRAMを含むのに十分に広義である。
【0220】
本願明細書で使用する「A/Dコンバータ」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つアナログ電気信号を対応するディジタル信号に変換するハードウェア及び/又はソフトウェアを指すがそれには限定されない。
【0221】
本願明細書で使用する「生データストリーム(raw data stream)」及び「データストリーム(data stream)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ検体センサによって測定された検体濃度に直接関連するアナログ或いはディジタル信号を指すがそれには限定されない。一つの実施例において、生データストリームは、検体濃度を表わすアナログ信号(例えば電圧或いはアンペア数)からA/Dコンバータによって変換されたカウントのディジタルデータである。この用語は、実質的に連続的な検体センサからの、秒の小数点以下の数から最大で、例えば1、2或いは5分、或いはより長い時間間隔において取得された単一測定値を含む、複数の時間間隔をあけたデータポイントを広く包含する。
【0222】
本願明細書で使用する「カウント(counts)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つディジタル信号の測定単位を指すがそれには限定されない。一つの実施例において、カウントにおいて測定された生データストリームは、作用電極からの電流に直接関連する(例えば、A/Dコンバータによって変換された)電圧に直接関連する。
【0223】
本願明細書で使用する「センサエレクトロニクス」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つデータを処理するように構成された装置の要素(例えばハードウェア又はソフトウェア)を指すがそれには限定されない。検体センサの場合、データは、センサによって取得された生物流体中の検体濃度に関する生物学的情報を含む。特許文献1、特許文献2及び特許文献3は、ある種の実施形態の装置で利用できる適切な電子的な回路を記載している。
【0224】
本願明細書で使用する「定電位装置(potentiostat)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ二つ或いは三つの電極の電池の作業電極と基準電極との間に設定量の電位を印加すると共に作業電極を通って流れる電流を測定する電気システムを指すがそれには限定されない。定電位装置は、必要とされる電池電圧及び電流が定電位装置の対応範囲を上回らない限りにおいて、所望の電位を保つべく作業電極とカウンタ電極との間に流れることを必要とする電流を強制する。
【0225】
本願明細書で使用する「使用可能な状態で接続される(operably connected)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つそれらの構成要素の間での信号の伝達を可能にするように他の構成要素に連結される一つ又は複数の構成要素を指すがそれには限定されない。例えば、サンプル中のグルコースの量を検出してその情報を信号に変換するために、一つ又は複数の電極を使用することができるが、その信号は続いて電子回路に伝達することができる。この場合、この電極は電子回路に「使用可能な状態で連結される」。これらの用語は、有線及び無線での接続を含むのに十分に広義である。
【0226】
本願明細書で使用する「フィルタリング」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ一そろいのデータをより滑らかに且つより連続的にすると共に、例えば生データストリームの移動平均を実行することによって広がっているポイントを取り除き或いは減少させる修正を指すが、それには限定されない。
【0227】
本願明細書で使用する「アルゴリズム」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ一つの状態から他への情報を変換する際に必要とする、例えばコンピュータ処理を使用する計算過程(例えばプログラム)を指すが、それには限定されない。
【0228】
本願明細書で使用する「較正(calibration)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ定量的な測定(例えば検体濃度)をもたらすセンサの目盛りを決定するプロセスを指すが、それには限定されない。一例として、較正は、センサの感度及びセンサのバックグラウンドの変化といったセンサに関連する変化を補償するために、時が経つにつれて更新し或いは再調整することができる。加えて、センサの較正は、自動的な、及び例えば使用時点より後の参照検体値を使用すること無しの自己的な較正を含むことができる。
【0229】
本願明細書で使用する「センサデータ」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ一つ又は複数の時間の間隔をあけたセンサデータポイントを含む連続検体センサから受け入れたデータを指すが、それには限定されない。
【0230】
本願明細書で使用する「基準検体値(reference analyte values)」及び「基準データ(reference data)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ一つ又は複数の基準データポイントを含む、血糖メーター或いはその他といった基準検体モニタからの基準データを指すが、それには限定されない。いくつかの実施形態において、基準グルコース値は、自己監視血糖(SMBG:self-monitored blood glucose)試験(例えば、指或いは前腕血液検査)から、又は例えばYSI(Yellow Springs Instrument)試験から取得される
【0231】
本願明細書で使用する「インターフェレント(interferents)」及び「妨害化学種(interfering species)」という用語は、広義の用語であり、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つセンサ中の関心のある検体の測定を妨害して検体測定値を正確に表さない信号を生成する効果又は化学種を指すが、それには限定されない。電気化学的なセンサの一つの実施例において、妨害化学種は、測定される検体とオーバーラップする酸化電位を有して、偽陽性の信号を生成する化合物である。
【0232】
本願明細書で使用する「センサセッション」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つセンサが受容者に適用される(例えば植設される)又はセンサ値を取得するために使用される期間を指すが、それには限定されない。例えば、いくつかの実施形態においては、センサセッションは、(例えば、皮下組織内へのセンサの挿入及び受容者の循環系と流体的に連通するようにセンサを配置することを含めて)センサを植設した時から、センサが取り外される時まで延びる。
【0233】
本願明細書で使用する「感度(sensitivity)」或いは「センサ感度(sensor sensitivity)」という用語は、広義の用語であり、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なそれらの意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ測定された検体のある濃度、又は測定される検体(例えば、グルコース)に関連して測定された化学種(例えばH)よって生成された信号の量を指すがそれには限定されない。例えば、一実施形態において、センサは、グルコース検体の1mg/dL毎に、約1~約300ピコアンペアの電流の感度を有する。
【0234】
本願明細書で使用する「感度プロフィール(sensitivity profile)」或いは「感度カーブ(sensitivity curve)」という用語は、広義の用語であり、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なそれらの意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つある期間の間に亘る感度の変化の表現を指すが、それには限定されない。
【0235】
概要
従来の生体内連続検体センシング技術は典型的に、連続検体センサを較正するために、センサセッションの間に実行される基準測定に依存している。この基準測定は、実質的に時間に対応するセンサデータと組み合わされ、組み合わされたデータペアを生じさせる。続いて、組み合わせされたデータペア上で(例えば、最小自乗回帰を用いて)回帰が実行され、センサシグナルと推定されるグルコース濃度との関係を定める変換関数を生成する。
【0236】
クリティカルケアの設定において、連続検体センサの較正は多くの場合、参照として、検体の濃度が公知の較正溶液を使用することによって実行される。この較正手法は、扱いにくいものとなる場合がある。点滴(静脈)バッグから分離し(且つ、それに追加される)較正バッグが典型的に使用されるからである。アンビュラトリーの設定において、連続検体センサの較正は、昔から毛管血糖の測定(例えば、指スティックグルコース試験)によって実行され、それによって基準データが取得されて連続検体センサシステムに入力される。この較正手法は、頻繁な指スティック測定を典型的に伴うが、それは不都合であり且つ痛みを伴う場合がある。
【0237】
これまで、製造業者(例えば、工場較正)による連続検体センサの生体外での較正のためのシステム及び方法は、周期的な再較正に依存しておらず、高水準のセンサ精度に関しては殆どの場合不十分だった。センサを使用する間に生じるセンサ特性(例えば、センサ感度)の変化は、この部分にあると考えることができる。これにより、連続検体センサの較正は、較正溶液に或いは指スティック測定に関連するかどうかには関係なく、基準データの定期的な入力を典型的に必要としている。このことは、アンビュラトリー設定における患者にとって、或いはクリティカルケア設定の病院スタッフにとって、大きな重荷となる場合がある。
【0238】
本願明細書に記載される連続検体センサは、基準検体モニタ(例えば、血糖メータ)からの基準データに依存すること無しに(又は、減少させつつ)、センサセッションの間に連続した自動的な自己較正ができると共に高水準の精度を達成することができる。いくつかの実施形態では、この連続検体センサは、侵襲性の、最小限に侵襲性の、或いは非侵襲性の装置である。連続検体センサは、皮下的、経皮的、或いは血管内の装置とすることができる。ある実施形態において、これらの装置のうちの一つ又は複数は連続検体センサシステムを形成することができる。例えば、この連続検体センサシステムは、皮下装置及び経皮的装置の組合せ、皮下装置及び血管内装置の組合せ、経皮的装置及び血管内装置の組合せ、又は皮下装置、経皮的装置及び血管内装置の組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、この連続検体センサは複数の間欠的な生体試料(例えば、血液サンプル)を分析することができる。連続検体センサは、酵素的、化学的、物理的、電気化学的、分光光度的、偏光測定、熱量計、イオン泳動及び放射分析メカニズム等に関わる方法を含む、任意のグルコース測定法を使用することができる。
【0239】
ある実施形態において、連続検体センサは、一つ又は複数の作業電極及び一つ又は複数の基準電極を含み、それらは受容者の検体濃度に関連する信号を測定するべく一緒に作動する。作業電極からの出力信号は、典型的に生のデータストリームであり、それは較正され、処理され、且つ推定される検体(例えば、グルコース)濃度を生じさせるために使用される。ある実施形態において、連続検体センサは、ベースライン及び/又はセンサの感度に関連する追加の信号を測定することができ、それによってベースラインのモニタ及び/又は時間が経つにつれて連続検体センサに生じる感度変化或いはドリフトの追加的なモニタが可能となる。
【0240】
いくつかの実施形態においては、センサは、ハウジングを通って延び、それはセンサを皮膚上に維持すると共にセンサエレクトロニクスへの電気的な接続をセンサにもたらす。一実施形態において、センサはワイヤから形成される。例えば、センサは、裸の細長い導電性コア(例えば、金属線)、又はそれぞれが導電性であり或いは導電性でない、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ或いはより多い材料層でコーティングされた細長い導電性コアといった、細長い導電性の本体を含むことができる。この細長いセンサは、長くて細いが、柔軟で強いものとすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、細長い導電性の本体の最小寸法は、約0.1インチ、0.075インチ、0.05インチ、0.025インチ、0.01インチ、0.004インチ或いは0.002インチ未満である。細長い導電性の本体の他の実施形態は、特許文献4に開示されている。なお、その全体が参照によって本願明細書に組み込まれる。好ましくは、膜システムは、センサ102の(作業電極及び選択的に基準電極を含む)少なくとも一部の電気活性表面上に付着して、露出した電極表面の生物学的環境からの保護、必要に応じて検体の拡散抵抗(制限)、酵素の反応を可能にする触媒、インターフェレントの制限或いは遮断、及び/又はセンサインターフェースの電気化学的な反応表面の親水性をもたらす。本願明細書に記載される実施形態に使用できる異なる膜システムに関する開示は、特許文献5に記載されており、その全体が参照によって本願明細書に組み込まれる。
【0241】
連続検体センサからのセンサデータの較正は、一般的に、センサが生成した測定値(例えば、nA或いはA/D変換後のデジタルカウントの単位)と一つ又は複数の基準測定値(例えば、mg/dL或いはmmol/Lの単位)との間の関係を定めることを含む。ある実施形態においては、検体センサが製造された直後に及びセンサを使用する前に取得した一つ又は複数の基準測定が、較正のために使用される。この基準測定値は、多くの形態で取得することができる。例えば、ある実施形態において、基準測定値は、ある期間における(例えば、あるセンサロットからの)センサの生体内での検体濃度測定に関する感度と、(例えば、実質的に同じ条件下で実質的に同じ方法で製造された同じロットからの)他のセンサの生体外での検体濃度測定に関する感度、との間の比率或いは相関から決定することができる。(本願明細書の他の部分で更に詳しく記載するように)予め定められた生体内と生体外の比率及び予め定められた感度プロフィールを連続検体センサに与えることにより、センサの自己較正を高水準のセンサ精度に関連させて達成することができる。
【0242】
自己較正により、センサセッションの間において基準データを使用する再較正の必要性を無くし、さもなければ少なくすることができ、センサ故障が検出されたときといった、ある限られた状況においてのみ再較正を要求することができる。それに加えて或いはそれに代えて、いくつかの実施形態においては、連続検体センサは、センサセッションの開始時に、(例えば、指スティックグルコース測定或いは較正溶液からの)一つ又は複数の基準測定を要請し且つ受け入れるように構成することができる。いくつかの実施形態においては、センサセッションの開始時に予め定められたセンサ感度プロフィールに関連する基準測定値を使用することは、更なる基準測定値の必要性を無くし或いは実質的に減少させることができる。
【0243】
ある種の植設可能な酵素ベースの電気化学的グルコースセンサについては、検知メカニズムは、グルコース濃度と全般的に線形関係を有するある種の現象に依存する。例えば(1)植設部位(例えば、皮下空間)と電気活性表面との間に位置している膜システムを通過する検体の拡散、(2)測定される化学種を膜システムの内部に生成する検体の酵素触媒反応の速度(例えば、グルコン酸及びHを生成させるグルコースのOとのグルコースオキシダーゼ触媒反応の速度)、及び(3)測定される化学種(例えばH)の電気活性表面に対する拡散。この全般的に線形関係により、センサの較正は方程式を解くことによって獲得される:
y=mx+b
ここで、yはセンサシグナル(カウント)を表し、xは推定されたグルコース濃度(mg/dL)を表し、mは検体濃度に対するセンサ感度(カウント/mg/dL)を表し、且つbはベースラインの信号(カウント)を表している。本願明細書の他の部分に記載されるように、ある実施形態においては、bの値(すなわち、ベースライン)を0或いはほぼ0とすることができる。その結果、これらの実施形態については、較正は方程式y=mxを解くことによって定めることができる。
【0244】
いくつかの実施形態においては、連続検体センサシステムは、センサセッションの全体におけるセンサの感度の変化或いはドリフトを、時間(例えば、センサセッションの開始からの経過時間)の関数として推定するべく構成される。本願明細書の他の部分に記載するように、時間に対してプロットされるこの感度関数は曲線に似ることができる。それに加えて或いはそれに代えて、システムは、時間及びセンサ感度に影響を及ぼし得る一つ又は複数の他のパラメータの関数としてセンサ感度の変化或いはドリフトを決定し、或いはセンサ感度に関する追加的な情報をもたらすように、構成することもできる。これらのパラメータは、センサ感度に影響を及ぼし、又はセンサの製造に関連するパラメータ(例えば、センサ膜を製造するために使用した材料、センサ膜の厚み、センサ膜を硬化させたときの温度、特定のコーティング溶液中にセンサを浸漬させた延べ時間、その他)といったセンサ感度に関する追加的な情報をセンサセッションの前に与えることができる。ある実施形態においては、パラメータのいくつかは、センサセッションの前に取得された、特定のセンサロットに関連する較正コードの原因となり得る情報を含む。他のパラメータは、例えば、あるレベルの湿度に対するセンサの曝露レベル、或いは製造施設から患者への移動中にセンサがパッケージ中にあった間における温度といった、センサを製造した後ではあるがセンサセッションの前にセンサを囲む状態に関連することができる。更に他のパラメータ(例えば、センサ膜の透過性、サンプルの場所の温度、サンプルの場所のpH、サンプルの場所における酸素レベル、その他)も、センサ感度に影響を及ぼし、又はセンサセッションの間におけるセンサ感度に関する追加の情報を与えることができる。
【0245】
予め定められたセンサ感度プロフィールに基づいたセンサセッションの異なる時点におけるセンサ感度の決定は、センサセッションの前に或いはセンサセッションを開始するときに実行することができる。加えて、ある実施形態において、センサ感度プロフィールに基づくセンサ感度の決定は、センサ感度に影響を及ぼし或いはセンサセッションの間にセンサ感度に関する追加的な情報を与えるパラメータを補償するために、連続的に調整することができる。センサ感度の変化或いはドリフトのこれらの決定は、自己較正を提供し、較正を更新し、(例えば基準検体モニタからの)測定に基づいて較正を補充し、及び/又は、基準検体モニタからの基準検体測定値を確認し或いはリジェクトするために使用することができる。いくつかの実施形態において、基準検体測定値の確認或いは拒絶は、基準検体測定値が予め定められたセンサ感度プロフィールに関連する値の範囲内であるかどうかに基づくことができる。
【0246】
本願明細書に記載されている連続検体センサのいくつかは、受容者の非検体定数に関連する信号を測定するべく構成することができる。好ましくは、非検体定数信号は、センサ上の膜システムの下で測定される。連続グルコースセンサの1つの実施例において、測定し得る非グルコース定数は酸素である。いくつかの実施形態においては、グルコース信号の感度における変化或いはドリフトを表す、酸素運搬の変化は、作業電極、酸素を測定する補助電極、酸素センサ、或いはその他のバイアス電位を切替えることによって測定することができる。
【0247】
加えて、本願明細書に記載される連続検体センサのいくつかは、信号中のバックグラウンドノイズの量の変化を測定するべく構成することができる。ある閾値を超過する変化の検出は、較正を起動すること、較正を更新すること、及び/又は基準検体モニタからの不正確な基準検体値を確認し或いはリジェクトすることの基礎をもたらすことができる。連続グルコースセンサの1つの実施例において、バックグラウンドノイズは、実質的にグルコース以外のファクタ(例えば、妨害化学種、非反応関連の過酸化水素、又は過酸化水素と重複する酸化電位を有する他の電気活性化学種)からの信号貢献を含む。すなわち、連続グルコースセンサは、受容者のセンサによって測定される(生成された非グルコース関連電流の実質的にすべてを含む)ベースラインに関連する信号を測定するべく構成される。いくつかの実施形態においては、膜システムの非酵素的な部分の下に位置する補助電極は、ベースライン信号を測定するために使用される。完全に又は実質的に完全にグルコース濃度に関連する信号を取得するために、ベースライン信号は、グルコース+ベースライン信号から減算することができる。この減算は、差動増幅器を用いてセンサにおいて、受信器においてデジタル的に、及び/又は、本願明細書の他の部分に更に詳細に記載されるように、センサ又は受信器のハードウェア或いはソフトウェアにおいて、電子的に達成することができる。
【0248】
一緒に、感度プロフィールに基づいてセンサ感度を決定することによって且つベースライン信号を測定することによって、連続検体センサは、センサセッションの間に、基準検体モニタ或いは較正溶液からの基準測定値への依存を無くして(又は、減らして)連続的に自己較正することができる。
【0249】
センサ感度の決定
本願明細書の他の部分に記載するように、ある実施形態においては、検体センサシステムの自己較正は、以下の方程式を解くことができるように、感度プロフィール(及び測定された或いは推定されたベースライン)に基づいてセンサ感度を決定することにより実行することができる。
y=mx+b
ここで、yはセンサシグナル(カウント)を表し、xは推定されたグルコース濃度(mg/dL)を表し、mは検体に対するセンサ感度(カウント/mg/dL)を表し、且つbはベースライン信号(カウント)を表す。この方程式から、変換関数を形成することができ、それによってセンサ信号は、推定されるグルコース濃度に変換される。
【0250】
ここで見出されたことは、センサセッションの間の検体濃度に対するセンサの感度が、多くの場合に時間の関数として変化し或いはドリフトすることである。図1Aは、この現象を図示すると共に連続グルコースセンサのグループのセンサセッションの間における時間の関数としてのセンサ感度110の図表を与えている。図1Bは、センサセッションの3つの異なる期間における、変換関数の図表を与えている。図1Bに示すように、3つの変換関数は異なる傾斜を有しており、それぞれが異なるセンサ感度に対応している。従って、時間の経過に対する傾斜の相違は、センサ感度の変化或いはドリフトがセンサセッションに亘って生じることを示している。
【0251】
図1Aに関連する研究をもう一度参照すると、センサは、実質的に同じ状態下で実質的に同じ方法で製造された。図表のy軸に関連するセンサ感度は、センサセッションを開始した後の約3日で到達した実質的に安定した状態の感度のパーセンテージとして表されている。加えて、これらのセンサ感度は、YSI試験から取得された測定に対応している。図表に示すように、測定された(定常状態の感度のパーセンテージとして表される)各センサの感度は、センサセッションの任意の所与の時点におけるグループの他のセンサの感度にきわめて近い。理論によって限定されることは望まないが、特にセンサセッションの早期の部分においてはっきりしている、感度について観察された(時間が経つにつれて)上方に向かう傾向は、作業電極の検出領域のコンディショニング及び水和作用に原因があると考えられることができる。センサの運転開始の間に連続グルコースセンサを囲む流体のグルコース濃度もまた、感度のドリフトに影響を及ぼすと考えられる。
【0252】
この研究においてテストされたセンサについては、センサセッションによって定められる時間の経過にわたる、(実質的に安定した状態の感度に対するパーセンテージとして表される)センサの感度の変化は、対数的な成長曲線に似ている。ここで理解されるべきことは、異なる技術で、異なる仕様(例えば、異なる膜厚或いは組成物)で、又は異なる製造条件の下で製造された他の連続検体センサが、(例えば、一つが線形関数に関連する)異なるセンサ感度プロフィールを示し得ることである。それにも拘わらず、センサ集団(例えば、センサロット)の個々のセンサによって示される感度プロフィールが実質的に類似しており、且つ時にはほぼ同一であるように、センサ製造プロセスの作動状態の改良された制御によって高水準の再現性が達成された。
【0253】
ここで発見されたことは、センサセッションにわたるセンサ感度の変化或いはドリフトが、実質的に同じ状態の下で実質的に同一の方法で製造されたセンサにおいて実質的に一貫するばかりでなく、この変化或いはドリフトを正確に推定できる数学的な関数によるモデリングを実行できることである。図1Aに示したように、センサセッションの間における時間とセンサ感度との間の関係を定めるために、評価アルゴリズム関数120を使用することができる。この評価アルゴリズム関数は、生体内及び/又は生体外の状態下におけるセンサロットからの(一つ又は複数のセンサを含む)サンプルセットをテストすることによって生成することができる。或いは、この評価アルゴリズム関数は、生体内及び/又は生体外の状態下で各センサをテストすることによって生成することができる。
【0254】
いくつかの実施形態では、センサは、生体外でのセンサ感度ドリフト試験を受けることができる。この場合、センサは状態の変化(例えば、溶液中のグルコース濃度のステップ変化)に曝され、センサの生体外でのある期間にわたる感度プロフィールが生成される。試験の期間は、対応する生体内センサのセンサセッションの全体にマッチさせることができるし、又はセンサセッションの一部(例えば、センサセッションの第1日、最初の2日或いは最初の3日、その他)を含むことができる。ここで考えられることは、上記の試験を、個々のセンサについて実行し、或いはセンサロットのうちの一つ又は複数のサンプルセンサについて実行することである。この試験から、生体外での感度プロフィールを生じさせることができ、それから生体内での感度プロフィールをモデル化し及び/又は形成することができる。
【0255】
この生体内での或いは生体外でのテストから、時間についての感度に関連するデータポイントをそれぞれ含む、一つ又は複数のデータセットを生成してプロットすることができる。感度プロフィール或いは曲線は、続いてデータポイントに適合させることができる。曲線のあてはめが満足である(例えば、生成されたデータポイントの標準偏差がある閾値より小さい)と決定された場合、センサ感度プロフィール或いは曲線が品質管理を通過して公開に適していると判断することができる。そこから、センサ感度プロフィールは、評価アルゴリズム関数に或いはルックアップテーブルに変換することができる。アルゴリズム関数或いはルックアップテーブルは、コンピュータ読取可能メモリに格納することができて、例えば、コンピュータープロセッサによってアクセスされる。
【0256】
評価アルゴリズム関数は、関数を調整することによって(例えば、関数の定数を調整することによって)データポイントに曲線を後退させて適合させる曲線の当てはめ技術を、利用可能なデータポイントに対する最適な当てはめが獲得されるまで適用することにより、形成することができる。簡単に言うと、一つのデータ値を一つ又は複数の他のデータに関連させる「曲線」(すなわち、時には「モデル」と呼ばれる関数)が当てはめられて生成され、その曲線がデータ値の関係を推定するように曲線のパラメータを選択する。例として、曲線のパラメータの選択は、多項式関数の係数の選択を含むことができる。いくつかの実施形態においては、曲線の当てはめプロセスは、最適な当てはめを決定するために、曲線当てはめプロセスにおいて決定された曲線がどれくらい密接にデータ値の間の関係を推定するかの評価を含むことができる。本願明細書で使用する「曲線」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、関数、或いは丸い曲線或いはまっすぐな曲線(すなわち、線)を含むことができる関数のグラフを指す。
【0257】
この曲線は、線形最小二乗当てはめ法、非線形最小自乗当てはめ法、ネルダーミードシンプレックス法、レーベンバーグ-マルカート法、及びその変形といった様々な曲線当てはめ技術のいずれかによって形成することができる。加えて、この曲線は、線形関数(定数関数を含む)、対数関数、二次関数、三次関数、平方根機能、べき関数、多項式関数、有理関数、指数関数、シヌソイド関数、及びそれらの変形及び組み合わせを含むが、これらには限定されない様々な関数のいずれかを使用して当てはめることができる。例えば、いくつかの実施形態においては、評価アルゴリズムは、第1の重みw1が与えられる線形関数要素、第2の重みw2が与えられる対数関数要素、及び第3の重みw3が与えられる指数関数要素を含む。更なる実施形態においては、各要素に関連する重みは時間及び/又は他のパラメータの関数として変化することができるが、代わりの実施形態においては、これらの重みのうちの一つ又は複数は時間の関数としての定数である。
【0258】
ある実施形態においては、サンプルセンサから取得されたデータについての評価アルゴリズム関数の相関(例えば、R2値)は、データポイントに対する曲線の当てはめ品質の計測であるが、関数が最適かどうかを決定するために用いる1つの測定の基準とすることができる。ある実施形態においては、曲線の当てはめ分析から形成された評価アルゴリズム関数は、他のパラメータ、例えばセンサ感度に影響を及ぼし或いはセンサ感度に関する追加の情報を与え得る他のパラメータを補償するために調整することができる。例えば、評価アルゴリズム関数は、過酸化水素或いは他の化学種に対するセンサの感度を補償するべく調整することができる。
【0259】
個々のセンサの感度を正確に推定するために形成されて使用される評価アルゴリズムは、センサセッションの間の任意の時間において、工場での較正及び/又は(例えば、単一ポイント血糖モニタを使用する)単一の早期の基準測定をベースとすることができる。いくつかの実施形態においては、実質的に同じ状態下で実質的に同じ方法で製造された連続検体センサの集団の全体のセンサは、生体内の生体外に対する感度の実質的に固定された関係を呈する。例えば、一実施形態において、センサ使用を開始した後のある時間(例えば、センサ使用後のt=5、10、15、30、60、120、又は180分)におけるセンサの生体内の感度は、そのセンサの又は等価のセンサの測定された生体外の感度と一貫して等しい。この関係から、生体内での感度の初期値を生成することができ、それからセンサ感度プロフィールに対応するアルゴリズムの関数を形成することができる。言い換えると、(センサ感度プロフィールの1つのポイントを表す)この初期値から、センサ感度プロフィールの全体の残りを決定し且つプロットすることができる。生体内の感度の初期値は、センサ感度プロフィールの任意の部分と関連することができる。ある実施形態においては、生体内での感度の、時間間隔を開けた、複数の生体外の感度に対応する複数の初期値は、計算して一緒に組み合わせ、センサ感度プロフィールを生成することができる。
【0260】
いくつかの実施形態においては、図2Aに示したように、生体内での感度の初期値210は、センサセッションの開始(開始に近い)に対応する時間に関連している。図2Bに示したように、この初期値210に基づいて、残りのセンサ感度プロフィール220がプロットされる(すなわち、時間に対応してx軸全体に前後でプロットされる)。しかしながら、図2Cに示したように、いくつかの実施形態においては、初期値210'はセンサセッションの任意の他の時間と関連することができる。例えば、図2Cに示したように、一実施形態において、生体内の感度の初期値210'は、感度が実質的に定常状態に達するときの時間(例えば、約3日)に関連する。初期値210'から、残りのセンサ感度プロフィール220'は図2Dに示したようにプロットされる。
【0261】
他の実施形態により、生体外に対する生体内の感度の関係は等しくなかったが、それにも拘わらず関係は一貫した固定された比率を含んでいる。生体外に対する生体内の感度の関係を実質的に一定とすることにより、本願明細書に記載されるセンサのいくつかは、特定のセンサロットからのセンサの生体外の感度特性(例えば、ある時間期間に測定された一つ以上の感度値)を製造施設において評価し、測定された生体外の感度特性との関係に基づいて同じセンサロットにおける他のセンサの生体内の感度特性を定め、計算された生体内の感度特性をセンサに関連するエレクトロニクス(例えば、本願明細書の他の部分において議論する、センサを使用する間に作動可能な状態でセンサに接続されるべく構成された、センサエレクトロニクスのコンピュータメモリ)上に格納することにより、工場較正することができる。
【0262】
従って、センサセッションの前に獲得される生体外に対する生体内のセンサ感度の関係に関する情報及び予め定められたセンサ感度プロフィールにより、高水準のセンサ精度での工場較正が達成される。例えば、いくつかの実施形態において、センサは、少なくとも約3日、時には少なくとも約4、5、6、7又は10日のセンサセッションを通じて約10%を超えない平均絶対相対差に対応する精度を達成することができた。いくつかの実施形態においては、センサは、少なくとも約3日のセンサセッションを通じて約7%、約5%或いは約3%を超えない平均絶対相対差に対応する精度を達成することができた。工場較正により、再較正の必要性は、無くすことができ、或いはセンサ故障の検出に応答するといった特定の状況で求められるのみである。
【0263】
図1Aに関連する研究を参照し直すと、センサは、グルコース+ベースライン信号を測定するべく構成された作業電極と、ベースライン信号のみを測定するべく構成された対応する補助極とを有して製造されている。センサシステムのセンサエレクトロニクスは、ベースライン信号をグルコース+ベースライン信号から減算して、グルコース濃度に完全に又は実質的に完全に関連する信号を取得する。加えて、アルゴリズム関数は、生成され且つセンサに関連するセンサエレクトロニクスに格納されて、それらのセンサの耐用期間の間にそれらのセンサの感度を推定する。このアルゴリズム関数は、図1Aにプロットされて、センサの測定されたセンサ感度の上に密接に横たわるように示されている。センサの寿命の間の任意の所与の時間におけるベースライン及び感度を決定することにより変換関数が形成され、それによってセンサシグナルが推定されるグルコース濃度に変換される。
【0264】
YSI基準測定と工場較正されたある生体内連続検体センサとの間の差を示すブランドオールトマンプロット線図である図3Aに示したように、これらのセンサからの測定値はきわめて高い精度を示している。図3A中のラインは、約40~75mg/dLのグルコース濃度における±10mg/dL未満、且つ約75mg/dLと400mg/dLとの間のグルコース濃度における±15%未満の、(YSI試験を使用した)実際の測定値からの偏差に対応する精度の基準を表している。実際に、予め定められたセンサ感度プロフィールを使用して計算される推定されるグルコース濃度値と、センサ寿命にわたる(YSI試験を使用した)実際の測定値との間の差は、約40~75mg/dLの間のグルコース濃度において約10mg/dLを超えず、また約75mg/dLと400mg/dlの間のグルコース濃度においては15%を超えていない。更に、約40mg/dLと75mg/dLの間のグルコース濃度においては、推定されるグルコース濃度値の約97%が対応するYSI測定値の±5mg/dLの内側にあり、且つ約70mg/dLと400mg/dLの間のグルコース濃度においては、推定されるグルコース濃度の約99%が対応するYSI測定値の±10%以内にあった。
【0265】
図3Bは、図3Aに関連する工場較正の研究と関連するクラークエラーグリッドを示している。図3Bのクラークエラーグリッドは、YSI測定の形態の参照法に対する上述した工場較正の方法の性能の相関プロットに基づいている。相関が完全である場合、すべてのポイントが45度の線にかかる。この線を囲んでいる領域は、工場較正法による測定値が線のどこに入るかに応じて決まる、患者によって取られる措置に対する臨床的な結果を予測するゾーンに分割されている。ゾーンAは臨床的に正確な決定(例えば、インシュリンを取る、グルコースを取る、或いは何もしない)に対応し、ゾーンBは臨床的に許容可能な決定に、且つゾーンDは臨床的に誤った決定に対応する。図3Bに示すように、工場較正研究からのデータポイントの全てが、ゾーンA或いはゾーンBのいずれかに入った。実際に、データポイントのほぼ全てがゾーンAに入り、従って、上述した工場較正の研究がきわめて正確なグルコース濃度の測定をもたらすことを確立している。
【0266】
実質的に同じ条件で製造されたセンサグループの個々のセンサが、全般的に実質的に類似した或いはほぼ同一のセンサ感度プロフィールを示し、且つ実質的に類似した或いはほぼ同一である生体外に対する生体内のセンサ感度の関係を有することが見出されたが、時には実際のセンサ感度(すなわち、実際の感度値として表される感度であり、実質的に安定した状態の感度のパーセンテージではない感度)が、センサ間で変化する場合があることが見出された。例えば、個々のセンサは実質的に同じ条件で製造することができるが、使用の間にそれらが異なる環境条件(例えば、放射線、非常に厳しい温度、異常な脱水状態、又はセンサ膜の酵素或いはセンサの他の部分、その他に損害を与えるであろう任意の環境への曝露)に曝された場合には、センサ製造とセンサ使用との間の時間で、それらは異なる感度特性を有する場合がある。
【0267】
従って、これらの状態から結果として生じる潜在的な効果を補償するために、ある実施形態においては、連続検体センサは、センサセッションの開始時に(例えば指スティックグルコース測定値から、又は較正溶液からの)一つ又は複数の参照測定値を要請して受け入れるように構成される。例えば、一つ又は複数の参照測定値のために要請は、センサを活性化した後、約15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、その他においてなすことができる。いくつかの実施形態においては、センサエレクトロニクスは、センサへの一つ又は複数の参照測定値の入力に応答してセンサ感度プロフィールを生成する(又は、調整する)べく、基準データを処理して使用するように構成される。例えば、グルコース濃度の参照測定値が取得されて時間=xにおいてセンサに入力された場合、時間=xにおけるセンサ感度プロフィールを基準測定値にマッチさせることにより、センサ感度のアルゴリズム関数を生成することができる。センサの開始時に予め定められたセンサ感度プロフィールに関連して一つ又は複数の基準測定値のうち一つを使用することは、更なる基準測定値の必要性無しに或いは必要性を減少させたセンサの自己較正を可能にする。
【0268】
図4は、YSI基準測定値と患者への挿入の後の約1時間後に1つの基準測定値を受け入れた生体内での連続検体センサとの間の相違を示す、ブランドオールトマンプロット線を示している。図4中の線は、(YSI試験を使用した)実際の測定値からの偏差に対応する、約40mg/dLと75mg/dLとの間のグルコース濃度において約±20mg/dL未満の、及び約75mg/dLと400mg/dLとの間のグルコース濃度において約+20%未満の精度基準を表している。この基準測定値から生体内でのセンサ感度の初期値が生成され、それは次には残りのセンサセッションの間の感度プロフィールに対応するアルゴリズム関数の形成を可能にする。センサは、作業電極によって取得されたグルコース+ベースライン信号から減算されるベースライン信号を測定するために使用される作業電極及び補助電極を有して製造される。図示のように、推定されるグルコース濃度の約85%が、約40mg/dLと75mg/dLとの間のグルコース濃度について対応するYSI測定値から±20mg/dL且つ約75mg/dLと400mg/dLとの間のグルコース濃度について対応するYSI測定値から±20%として定められる範囲410の内側にあった。加えて、約40mg/dLと75mg/dLとの間のグルコース濃度状態について、推定されるグルコース濃度値の約95%が対応するYSI測定値の±20mg/dLの範囲内にあった。この研究のセンサは、少なくとも7日のセンサセッションを通じて約12%の平均絶対相対差に対応するレベル精度、及び約11%の平均絶対相対差に対応する初日の精度レベルを獲得した。全体及び初日の両方の精度レベルについて、獲得された中央値絶対相対差は約10%であった。
【0269】
図5は、一実施形態において、ある期間に亘るセンサ感度プロフィールを定めるためにセンサシステムに入力できる、異なるタイプの情報を示す図である。この入力情報は、センサセッション510の前に取得された情報及びセンサセッション520の間に取得される情報を含むことができる。図5に示した実施形態においては、両方ともセンサセッション510の前に取得された情報及びセンサセッション520の間に取得された情報の両方が、センサ感度プロフィールに関連する、関数530を生成し、調整し且つ更新するために使用されるが、他の実施形態においては、センサセッションの前に取得された情報のみを使用するべくセンサシステムを構成することができる。ある実施形態においては、最初のセンサ感度プロフィールの形成は、センサセッションの前に、センサセッションの開始時に、又はセンサセッションを開始した直後に生じることができる。加えて、ある実施形態において、センサ感度プロフィールは、センサ感度に影響を及ぼし或いはセンサセッションの間にセンサ感度に関する追加の情報を与え得るパラメータを補償するために、連続的に調整し、再生し、或いは更新することができる。センサセッションの前に取得された情報は、例えば、前述したように、センサセッションの前に又はその開始時に生成されるセンサ感度プロフィールを含むことができる。それはまた、前述したように、生体外に対する生体内でのセンサ感度の実質的に固定された関係に関連する感度値を含むことができる。
【0270】
或いは、固定された感度値に代えて、生体外に対する生体内でのセンサ感度の関係は、センサ製造の完成(或いは同じロットからのセンサについて較正検査が実行される時間)とセンサセッションの開始との間の時間の関数として定めることができる。図6に示したように、検体濃度に対するセンサの感度は、センサ製造の完成とセンサセッションの開始との間の時間の関数として変化する場合があることが見出された。図6は、プロット線によってこの現象を示しているが、それはセンサ製造の完成とセンサセッションの開始との間のある期間に亘る感度の下向きの傾向に似ている。センサセッションのある期間に亘る感度の発見された変化或いはドリフトに類似して、センサ製造の完成とセンサセッションの開始との間のある期間に亘る感度のこの変化或いはドリフトは、実質的に同じ状態の下で実質的に同じ方法で製造されたばかりでなく、一定の条件(例えば、放射線、非常に厳しい温度、異常な脱水状態、又はセンサ膜の酵素或いはセンサの他の部分に損害を与え得る任意の環境、その他への暴露)への暴露が回避されたセンサの間で全般的に一貫している。従って、センサ製造の完成とセンサセッションの開始との間のある期間に亘る感度の変化或いはドリフトは、この変化或いはドリフトを正確に推定する数学的な関数620によってモデル化することもできる。評価アルゴリズム関数620は、例えば線形関数(定数関数を含む)、対数関数、二次関数、三次関数、平方根機能、べき関数、多項式関数、有理関数、指数関数、シヌソイド関数及びそれらの組み合わせといった、様々な関数のいずれかとすることができる。
【0271】
センサセッションの前に取得する情報は、あるセンサの特性或いは属性に関する情報を含むこともできる。実施例として、また限定するものではないが、センサセッションの前に取得される情報は、センサを製造するために使用する特定の材料(例えば、センサ膜を形成するために使用する材料)、センサ膜の厚み、グルコース或いは他の化学種に対する膜の透過性、実質的に同じ状態の下で実質的に同じ方法で製造された他のセンサの生体内での或いは生体外でのセンサ感度プロフィール、等を含むことができる。ある実施形態においては、センサセッションの前に取得される情報は、その下でセンサが製造されたプロセス条件に関する情報を含むことができる。この情報は、例えば、センサ膜が硬化された温度、センサが特定のコーティング溶液に浸漬された延べ時間、その他を含むことができる。他の実施形態においては、センサセッションの前に取得される情報は、患者の生理的情報に関連することができる。例えば、患者の年齢、肥満度指数、性別、及び/又は歴史的な患者の感度プロフィールを、センサ感度プロフィールを形成するパラメータとして使用することができる。センサセッションの前に取得されて使用され得る他の情報は、例えば位置(例えば、腹部対背中)或いはセンサ挿入の深さといったセンサの挿入に関する情報を含む。
【0272】
一般的に、センサの感度関数は、理論的な或いは経験的な方法或いはその両方によって生成することができ、且つ関数としてルックアップテーブルとして格納され、それによって基準測定値の必要性を無くす(又は、実質的に減らす)センサの自己較正を可能にする。センサの感度関数を、製造施設において生成させてシステムと共に出荷し、又は使用の直前(或いはその間)にシステムによって生成することができる。本願明細書で使用する「自己較正(self-calibration)」という用語は、広義の用語であると共に、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つそれは、制御システムの製造業者或いは設置者、センサの製造業者、或いはセンサの使用者以外の何者かによって実行されるセンサ或いは装置の較正を指すがそれには限定されない。センサの較正は、その上に制御システムが取り付けられている個々のセンサ上で実行することができ、又はそれは基準センサ、例えば同じセンサロットからの1つの上で実行することができ、且つ較正関数は1つの制御システムから他に移すことができる。いくつかの実施形態においては、システムはいくつかの自己較正関数と共に出荷することができ、且つセンサユーザによって他人に追加させることができる。また、センサシステムは、自己較正関数と共に出荷することができ、且つ使用の間に調整或いはタッチアップ較正のみを必要とする。
【0273】
ある実施形態においては、センサ感度プロフィールは、センサ感度に影響を及ぼし得る或いはセンサ感度に関する追加の情報を提供し得るパラメータをリアルタイムに補償するために、センサ使用の間に調整することができる。これらのパラメータは、例えばセンサ膜の透過性或いはセンサの水和作用のレベルといったセンサの属性に関連するパラメータ、又は例えば患者の体温(例えば、サンプル場所の温度或いは皮膚の温度)といった患者の生理的情報に関連するパラメータ、サンプル場所のpH、ヘマトクリット値のレベル、又はサンプル場所の酸素レベルを含むが、これらには限定されない。いくつかの実施形態においては、連続検体センサには、センサの生体外の部分の上にサーミスタ、及びサーミスタからサンプル場所へと延びる熱伝導性の配線を取り付けることができる。
【0274】
いくつかの実施形態においては、較正方法は、それぞれ固有のセンサ/ユーザ環境をアルゴリズム的に定量化することによって改良することができる。定量化は、感度プロフィールの生成或いは調整によって達成することができるが、それはベイジアンネットワーク(Bayesian network)といった因果確率ネットワークを含む推論エンジンを含むことができる。ベイジアンネットワークは、ベイズ定理(Bayes theorem)に依存する条件付き確率をベースとしたネットワークを含み、公知の事前確率(例えば、あるパラメータ状態の下で観察された生体内感度の有病率)及び新しく取得した情報(例えば、上述した状態の発生或いは不発生)に基づいて異なる結果の可能性を特徴づける。
【0275】
ある実施形態においては、定量化は、システムアルゴリズムの範囲内に既に存在するデータに対して分析ベイジアンフレームワークを適用することによって達成される。定量化は、(1)感度及びベースラインに関連するパラメータのための楔(例えば、最大或いは最小の)値;(2)センサセッションの間に計算される感度値;及び(3) センサセッションの間に計算されるベースライン、を含む。いくつかの実施形態においては、楔値の第1のセットは「先行」データ(例えば、以前の臨床的な研究から集められたデータ)のパラメータ分布に基づく。ベイジアンネットワークを使用することにより、システムはセンサセッションの間に集められたデータから学習することができ、且つその楔値(又は、他のアルゴリズムパラメータ及び/又は制約)を特定のセンサ/ユーザ環境に適合させる。その結果、より良い精度、信頼性及び全体的な性能を有するべく、システムの較正方法を改良することができる。
【0276】
一つの実施形態において、使用するベイジアンフレームワークは、公知の先行情報を使用してフレームワークを確立することを含み、続いて、集められた新しい情報を考慮してそれらの組合せ(すなわち、先行する及び新しい情報の組合せ)から推理を為し、後の情報を生成する。先行情報及び新しい情報が数学的に関連があって、機能的に表すことができる後の情報を形成するために結合されるときに、その関係は接合体として定められる。一実施形態のベイジアンフレームワークは、直接利用可能である後の分布パラメータ(例えば、平均値、分散)に帰着する接合された分布関係を使用する。このことは、時間及びリソースが限定される計算が限定される空間の下において有利であろう。
【0277】
いくつかの実施形態において、ベイジアンフレームワークの下では、楔パラメータが各パラメータのための先行する実質的に通常な分布に従い、アルゴリズム的に計算された感度及びベースライン値は新しい情報を表すそれらの実質的に通常な分布に従い、感度及び/又はベースラインのために独立した後の分布を生成することができる。続いてこれらの2つの後の分布は平行に使用されて、ユーザーのマニュアルの較正入力(例えば、指スティック測定値からの入力)の受け入れ、拒絶、又は修正のために使用されるグルコース閾値を作成する。ある実施形態においては、半自己較正のために感度及びベースラインの後の分布を使用することもでき、それによって手動較正のために必要な指スティック測定の数を減少させる。
【0278】
一つの例示的な実施形態においては、先行情報から、グルコースに対するセンサ感度のために楔の最小/最大値が、実質的に通常の分布において95%の信頼区間でA及びBであることが公知である。新しい情報としてアルゴリズム的に計算された感度値を使用することにより、手動較正によって計算された以前の3つ、4つ、5つ、6つ、7つ或いはより多くの感度値は、後の分布を生成するための新しい情報として使用することができ、後の分布は先行情報に基づく分布より減少した変動性を典型的に有すると共に、固有のセンサ/ユーザ環境の直接の定量化である。変動性の減少により、生成された後の分布はAとB、すなわち先行情報から生成された分布の楔値の間の差より近い楔値を典型的に有する。先行する分布と後の分布との間の楔値間の差のこの締付は、ユーザによって160mg/dLの入力であることが意図されていた60mg/dLという較正入力といった、明確に誤りである手動較正入力を、より確実にシステムが拒絶することを可能にする。
【0279】
ベイジアンネットワークは、異なるイベントの間の因果的知識を使い、及び確率論的依存また独立関係をモデルにする。図7Aは、一つの実施形態による、ベイジアン学習プロセスに対応するセンサ感度の分布曲線を示している。図7Bは、図7Aに示されている分布曲線に対応するセンサ感度プロフィールに関連する信頼水準を示している。分布曲線720及び信頼水準730(例えば、25%、33%、50%、75%、95%或いは99%の信頼水準)は、センサ感度に影響を及ぼし或いはセンサ感度に関する追加の情報を与えるあるパラメータについての最初の知識の不足に関連している。例えば、分布曲線720は、工場情報と関連することができる。あるパラメータに関する情報が取得されると、センサ感度プロフィール710の確実性が増加するにつれて、分布曲線720'はより急勾配になり、且つ信頼区間730'はより狭くなる。分布曲線を変えるために用いることができる情報の実施例は基準検体値、工場におけるセンサの較正検査、患者の病歴情報、及びセンサ感度に影響を及ぼし或いはセンサ感度に関する情報を提供し得る、本願明細書の他の部分に記載されている任意の他の情報を含むことができる。更に別のパラメータに関する情報が取得されると、センサ感度プロフィール710の確実性が更に増加するにつれて、分布曲線720″は更に急勾配となり、且つ信頼区間730″は更に狭くなる。
【0280】
センサを使用する間、信頼区間曲線730、730'及び/又は730″は、所与の時間において推定される感度値を与える感度プロフィール710を形成するために用いることができる。次に、センサを較正するために推定される感度値を用いることができる、それはユーザに表示するグルコース濃度値を生成するためにセンサデータを処理できるようにする。いくつかの実施形態においては、信頼区間曲線730、730'及び/又は730″から形成された、第1の推定感度プロフィール710を、グルコース濃度をモニタし且つ表示するために使用することができる。加えて、第1の推定感度プロフィールほど正確ではないが、それにも拘わらず第1の推定感度プロフィール710よりも低血糖或いは高血糖範囲の検出に帰結しそうな第2の推定感度プロフィールを形成するために、信頼区間曲線730、730'、730″或いはそれらの組み合わせを使用することができる。
【0281】
ベースラインの決定
センサが受容者に植設されるときに、様々なタイプのノイズは生じる場合がある。いくつかの植設可能センサは、ベースライン信号及び検体信号の2つの構成要素から成る信号(例えば、カウント)を測定する。ベースライン信号は実質的に測定検体以外のファクタ(例えば、妨害化学種、非反応関連の過酸化水素、又は検体或いは補助検体(co-analyte)と重なる酸化電位を有する他の電気活性化学種)からの信号貢献から成る。検体信号(例えば、グルコース信号)は、実質的に検体からの信号貢献から成る。従って、信号がこれらの2つの構成要素を含むので、検体(例えば、グルコース)濃度を決定するべく、方程式y=mx+bを解くことによって較正を実行することができ、ここでbの値が信号のベースラインを表している。いくつかの状況においては、ベースラインは一定の及び一定でない非検体ファクタから成る。一般に、患者或いはヘルスケアの専門家により正確な検体濃度を与えるために、バックグラウンド信号を減少させ或いは取り除くことが望ましい。
【0282】
ある実施形態においては、検体センサ(例えば、グルコースセンサ)は、受容者の内部の検体を測定するために受容者に挿入するべく構成される。このセンサは、センサ上の膜の活性酵素の部分の下に配置される作業電極、センサ上の膜の不活性或いは非酵素の部分の下に配置される補助電極、及び作業電極及び補助電極に作動可能な状態で接続されたセンサエレクトロニクスを含む。センサエレクトロニクスは、電極からの信号を処理するように構成されて、非グルコース関連のノイズアーチファクトからの信号貢献を実質的に除外する検体(例えば、グルコース)濃度の推定を生成する。
【0283】
いくつかの実施形態においては、作業電極は、検体と、第1の酸化電位未満或いはそれに類似した酸化電位を有する非検体関連の電気活性化合物とに関連する第1の信号を、センサエレクトロニクスを介して生成するべく構成される。補助電極は、非検体関連の電気活性化合物に関連する第2の信号を生成するべく構成される。非検体関連の電気活性化合物は、センサの局所的環境内に存在する任意の化合物であり、測定される化学種(例えば、H)の酸化電位未満の或いは類似した酸化電位を有している。理論によって束縛されることは望まないが、(第1の作業電極において酸化されたHを生成する)グルコースの酵素触媒反応に直接関連する信号、及びセンサを囲む細胞外環境にある未知の化合物からの信号の両方が、グルコースを測定する電極によって測定できると考えられる。これらの未知の化合物は、濃度及び/又は効果において一定であり或いは一定ではない(例えば、間欠的或いは一時的)。いくつかの状況においては、これらの未知化合物のいくつかが受容者の疾患状態に関連すると考えられる。例えば、心臓発作の間/後に、血液化学が劇的に変化することが知られている(例えば、pHの変化、様々な血液成分/タンパク質の濃度変化等)。他の実施例として、針タイプのセンサの経皮性挿入は、マクロファージによる様々な反応性分子の放出を含む、連続するイベントを開始させ得る。非グルコース関連の信号に貢献し得る他の成分は創傷治癒プロセスに関連する化合物であり、それは特許文献6を参照して更に詳細に記載されるように、センサの受容者への植設/挿入によって開始され得る。
【0284】
上述したように、補助電極は、第1の酸化電位未満の或いは類似した酸化電位を有する非検体関連の電気活性化合物に関連する、第2の信号を生成するべく構成される。非検体関連の電気活性化学種には、妨害化学種、測定される化学種に対応する非反応関連の化学種(例えば、H)、及び他の電気活性化学種が含んでいてよい。妨害化学種は、他の身体プロセス(例えば、細胞代謝、創傷治癒、疾患プロセス等)によって生成される局所的環境内の電気活性化学種といった、検体の酵素触媒反応によって生成される電気化学的な信号に直接関連しない任意の化合物を含む。非反応関連の化学種は、細胞の代謝の経過中に近くの細胞によって放出されるH、他の酵素反応(例えば、センサの周囲の、或いは近くの細胞が死ぬ間に放出され得る、又は活性化マクロファージによって放出され得る、細胞外酵素)によって生成されるHといった、酵素触媒反応以外の源からの任意の化合物等を含む。他の電気活性化学種には、Hの酸化電位未満或いはそれに類似した酸化電位を有する任意の化合物が含まれる。
【0285】
検体(例えば、グルコース)以外の化合物によって生成される非検体信号はバックグラウンドノイズと考えられ、検体に関連する信号を不明瞭にし、それによってセンサの不正確さに関与する。本願明細書の他の部分により詳細に記載するように、バックグラウンドノイズは、一定な及び一定でない成分の両方を含み、検体濃度を正確に計算するために取り除くことができる。
【0286】
ある実施形態において、検体センサシステムは、作業電極及び補助電極が、実質的に同じ外部/環境ファクタによって影響され、それによって一定及び一定でない化学種/ノイズの実質的に等価な測定が可能となるように(例えば、左右対称、同軸設計、及び/又は一体構成)に構成される。このことは、本願明細書の他の部分に記載されセンサエレクトロニクスを用いた、センサ信号上のノイズの実質的な除去を可能にする。その結果、一定でないノイズ(例えば、一過性の、予測不可能な生物学的に関連するノイズ)を含む、ノイズに関連する信号の効果の実質的な減少或いは除去は、連続センサシグナルの精度を高める。
【0287】
いくつかの実施形態においては、センサエレクトロニクスは、作動可能な状態で作業電極及び補助電極に接続される。このセンサエレクトロニクスは、電流(又は、電圧)を測定して第1及び第2の信号を生成するように構成することができる。非グルコース関連のノイズからの実質的な信号貢献無しにグルコース濃度データを生成するために、ひとまとめにして、第1及び第2の信号を使用することができる。このことは、例えば、実質的なノイズ貢献無しに検体濃度に関連する信号を生成するために、第1の信号から第2の信号を減算することによって、又は代わりのデータ分析技術によって実行することができる。
【0288】
他の実施形態においては、補助電極が必要でないので、センサエレクトロニクスは、一つ又は複数の作業電極だけに作動可能な状態で接続される。例えば、いくつかの実施形態のセンサ膜は、ポリマーから構成することができ、そのポリマーに化学的に取り付けられた媒介物及び酵素を含む。使用する媒介物は、過酸化水素より低い電位で酸化することができ、従ってこれらの低い電位において酸化可能な少しのインターフェレントが酸化される。従って、いくつかの実施形態においては、きわめて低いベースライン(すなわち、0ベースラインに接近すると共に非グルコース関連のノイズからの信号貢献を実質的に受け入れないベースライン)を達成することができ、それによって非グルコース関連のノイズからの信号貢献を測定する補助電極の必要性を潜在的になくす(又は、減少させる)。
【0289】
センサエレクトロニクスは、定電位装置、A/Dコンバータ、RAM、ROM、トランシーバ、プロセッサ及び/又はその他を含むことができる。定電位装置は、電極にバイアスをもたらすと共に、センサから集められた生データ(例えば、生のカウント)を検体濃度値(例えば、mg/dLの単位で表されるグルコース濃度値)に変換するために使用することができる。送信機は、第1及び第2の信号を受信器に伝達するために使用することができ、ここで検体濃度の追加的なデータ分析及び/又は較正を処理することができる。ある実施形態においては、センサエレクトロニクスは、例えばデータフィルタリング及び雑音分析といった、追加の操作を実行することができる。
【0290】
ある実施形態においては、センサエレクトロニクスは、ベースラインに代えて、検体等価ベースライン或いは正規化されたベースラインを分析するように構成することができる。正規化されたベースラインは、(方程式y=mx+bから)b/m或いは傾斜で除算されたy切片として計算される。検体等価ベースラインの単位は、連続検体センサの出力に関連する、検体濃度の単位(mg/dL)として表すことができる。検体等価ベースライン(正規化されたベースライン)を用いることにより、ベースラインへのグルコース感度の影響をなくすことができ、それによって(例えば、同じセンサロットからの、又は異なるセンサロットからの)異なるセンサのベースラインを異なるグルコース感度によって評価することが可能となる。
【0291】
グルコース+ベースライン信号からのベースライン信号の減算を可能にする補助電極を使用するいくつかの実施形態が本願明細書に記載されているが、ここで理解されるべきことは、この電極の使用が選択的なものであり、且つ他の実施形態においては使用できないことである。例えば、ある実施形態において、作業電極を覆う膜システムはインターフェレントを実質的に妨げることができ、ベースラインを無視できるレベルに実質的に低下させて、ベースラインを推定できるようにする。ベースラインの推定は、典型的な患者に関連する生理的な状態におけるセンサのベースラインの仮定に基づくことができる。例えば、ベースライン推定は、身体内部に特有なインターフェレントのある生理的なレベルに従うベースラインの生体内での或いは生体外での測定の後に、モデル化することができる。図8は、一つの研究によれば、推定されたグルコース等価ベースラインと検出されたグルコース等価ベースラインとの間の比較を提供するグラフである。推定されたグルコース等価ベースラインは、人間のインターフェレントの生理的レベルを模倣した溶液における、グルコースセンサのベースラインの生体外での測定値を導くことによって形成された。インターフェレントは、約4mg/dLの濃度の尿酸及びアスコルビン酸を含んでおり、アスコルビン酸の濃度は約1mg/dLである。図8に示すように、この研究においては、推定されたベースラインが検出されたベースラインに密接に似ていることが見出された。従って、ベースラインの正確な評価の可能性により及び/又は無視できるベースラインにより、予め定められたセンサ感度プロフィールの、単一の作業電極だけ(すなわち、補助電極の使用無し)で、センサシステムに自己較正を提供するのに十分である。
【0292】
いくつかの実施形態により、見いだされたことは、センサの感度が時間が経つにつれてドリフトする傾向にあるばかりでなく、センサのベースラインもまた時間が経つにつれてドリフトすることである。従って、ある実施形態において、感度のドリフトを予測するために使用される方法及びシステムの背後にある概念は、時間の経過に伴うベースラインのドリフトを予測するためのモデルを生じさせるために適用することができる。理論に束縛されることは望まないが、センサ電極によって受け入れられる全体的な信号が、グルコース信号の成分、インターフェレンス信号の成分、及び電極の関数であり且つ電極を取り囲んでいる周囲の状況(例えば、細胞外基質)から実質的に独立している電極に関連するベースライン信号の成分から構成されると考えられる。上記したように、本願明細書で使用される「ベースライン」という用語は、検体センサシグナルのうち検体濃度に関連しない成分を指すがそれには限定されない。従って、本願明細書において定められる用語としてのベースラインは、インターフェレンス信号の成分及び電極関連のベースラインの成分の信号から成る。理論によって束縛されることは望まないが、膜透過性の増加は典型的にセンサ膜全体でのグルコース拡散速度の増加に帰着するばかりでなく、センサ膜全体でのインターフェレント拡散速度の増加にも帰着すると考えられる。従って、センサ感度のドリフトを生じさせるセンサ膜の透過性の経時変化は、同様にベースラインのインターフェレンス信号の成分をドリフトさせる可能性がある。簡単に言うと、ベースラインのインターフェレンス信号成分は静的ではなく、且つ典型的に時間の関数として変化し、次いで、時間が経つにつれてベースラインのドリフトを生じさせる。ベースラインの上述した成分のそれぞれが状態の変化及び時間に対してどのように反応するか(例えば、時間、温度の関数として)を分析することにより、予測モデルは、センサのベースラインがセンサセッションの間にどれだけドリフトするかを予測するべく発展させることができる。センサの感度及びベースラインを将来を見通して予測できることにより、自己較正する連続検体センサ、すなわち較正のために基準測定値(例えば、指スティック測定値)の使用を必要としないセンサを達成できると考えられる。
【0293】
較正コード
連続検体センサを製造するプロセスは、時にはある程度のセンサロット間の変動に曝される場合がある。この変動を補償するために、センサ感度に影響を及ぼし或いは感度プロフィールに関する追加の情報を提供するパラメータを定めるべく、一つ又は複数の較正コードを各センサ或いはセンサの組に割り当てることができる。この較正コードは異なるセンサの変動を減らすことができ、差を調整するアルゴリズムを適用することにより、異なるセンサロットからのセンサを使用することから獲得される結果が全般的に等しく且つ一貫することを確かにする。一つの実施形態において、検体センサシステムは、一つ又は複数の較正コードがユーザによってシステムに手動で入力されるように構成することができる。他の実施形態においては、較正コードは、多数のセンサのパッケージに付着される(或いは、挿入される)較正が符合化されたラベルの一部とすることができる。この較正が符合化されたラベルそれ自身は、光学的技術、RFID(電波による個体識別)、その他、及びそれらの組み合わせを含むが、それらには限定されない様々な技術のいずれかによって読むことができ或いは問い合わせることができる。コードをセンサシステムに転送するためのこれらの技術は、より自動的で、正確で、且つ患者にとって便利で、また手動での入力に比較してエラーの傾向がより少ないものとすることができる。手動での入力には、例えば、間違ったコードを入力する患者或いは病院スタッフによって生じる、誤った較正、従って不正確なグルコース濃度表示につながるかもしれない、エラーの固有のリスクがある。その結果、このことは、患者或いは病院スタッフが不適切な措置(例えば、低血糖状態においてあると共に、インシュリンを注射する)を取ることに帰着する場合がある。
【0294】
いくつかの実施形態においては、センサに割り当てられる較正コードは、感度プロフィールに対応する予め定められた対数関数に関連する第1の較正コード、最初の生体内での感度値に関連する第2の較正コード、及び他の較正コードを含むことができ、各コードは、センサ感度に影響を及ぼし或いはセンサ感度に関する情報を提供するパラメータを定める。他の較正コードは、本願明細書の他の部分に記載される任意の先験的な情報或いはパラメータ、及び/又は測定された信号と検体濃度との間の数学的関係を定めることを助ける任意のパラメータに関連することができる。
【0295】
いくつかの実施形態においては、連続検体センサ(又は、センサセット)を格納して運送するために用いるパッケージは、センサ感度に影響を及ぼし、又はセンサ感度或いは他のセンサ特性に関する追加の情報を提供できるパラメータを測定するように構成される検出器を含む。例えば、一つの実施形態において、センサパッケージは、センサが、一つ又は複数の予め定められた温度値を超える(及び又は未満の)温度状態に曝されたかどうかに関する較正情報を提供するべく構成された温度検出器を含むことができる。いくつかの実施形態においては、一つ又は複数の予め定められた温度値は、華氏で約75度を超える、華氏で約80度を超える、華氏で約85度を超える、華氏で約90度を超える、華氏で約95度を超える、華氏で約100度を超える、華氏で約105度を超える、及び/又は華氏で約110度を超える値とすることができる。それに加えて或いはそれに代えて、一つ又は複数の予め定められた温度値は、華氏で約75度未満、華氏で約70度未満、華氏で約60度未満、華氏で約55度未満、華氏で約40度未満、華氏で約32度未満、華氏で約10度未満、及び/又は華氏で約0度未満の値とすることができる。ある実施形態においては、センサパッケージは、一つ又は複数の予め定められた湿度値を超える或いはそれ未満の湿度レベルにセンサが曝されたかどうかに関する較正情報を提供するべく構成された湿潤暴露インジケータを含むことができる。いくつかの実施形態においては、一つ又は複数の予め定められた湿度値は、相対湿度で約60%を超える、相対湿度で約70%を超える、相対湿度で約80%を超える、及び/又は相対湿度で約90%を超える値とすることができる。それに代えて又はそれに加えて、一つ又は複数の予め定められた湿度値は、相対湿度で約30%未満、相対湿度で約20%未満、及び/又は相対湿度で約10%未満の値とすることができる。
【0296】
温度及び/又は湿度のあるレベルに対するセンサの曝露が検出されると、センサ感度或いは他のセンサ特性に対するこの曝露の有り得る効果を補償するために、対応する較正コードを変更することができる。この較正コードの変更は、センサパッケージに関連する制御システムによって自動的に実行することができる。或いは、他の実施形態においては、ある環境に曝露されると変化(例えば、色を変化)するように適合された指示薬(例えば、変色指示薬)を使用することができる。実施例として、且つ限定するものではないが、センサパッケージは、華氏で約85度より高い温度にパッケージが曝露されると青色から赤色へと不可逆的に色を変える指示薬を含むことができると共に、指示薬が赤い色であるときにある較正コードを入力するというユーザに対する指示を含む。センサパッケージによって検出され得る状態の例として温度及び湿度に対する暴露が本願明細書に記載され、且つ較正コード情報の変更を起動するために用いられるが、ここで理解されるべきことは、較正コード情報の変化を起動させるために他の状態もまた検出し且つ使用できることである。
【0297】
ある実施形態において、連続検体システムは、一つ又は複数の較正コードに関連するセンサ感度関数或いは較正関数が格納されたライブラリを構成することができる。各感度関数或いは較正関数は、状態の異なる設定にシステムを較正する結果となる。センサ使用の間の異なる状態は、温度、肥満度指数、様々な状態、又はセンサ感度に影響を及ぼし或いはセンサ感度に関する追加の情報を提供し得るパラメータのいずれかに関連する場合がある。ライブラリは、感度プロフィール、又は異なるタイプのセンサ或いは異なるセンサロットのための較正を含むこともできる。例えば、単一の感度プロフィールライブラリは、異なるセンサロットから製造された、及び/又は異なる設計構成(例えば、肥満度指数が異なる患者のためにカスタマイズされた異なる設計構成)で製造された、異なるセンサのための感度プロフィールのサブライブラリを含むことができる。
【0298】
センサ属性の決定及び一つ又は複数の刺激信号を使用するセンサデータの較正
センサの属性を決定して及び/又はセンサデータを較正するために、いくつかの実施形態は、一つ又は複数の刺激信号をセンサに印加する。本願明細書で使用する「刺激信号」という用語は、広義の用語であり、この分野の当業者にとって通常の及び慣例的なその意味が与えられ(且つ特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されず)、且つ応答を生じさせ或いは引き出すために使用されるシステム(例えば、検体センサ)に印加される信号(例えば、電圧、電流或いは電界強度といった時間で変化する或いは空間で変化する量)を指すがそれには限定されない。
【0299】
本願明細書に記載される実施形態において使用できる刺激信号の非限定的な例は、第1の大きさの電圧のステップ増加、第2の大きさの電圧のステップ減少(ここで、第1及び第2の大きさは同じ或いは異なることができる)、ある期間の間の第1の速度での電圧の増加、ある期間の間の第2の速度での電圧の段階的な減少(ここで、第1の速度及び第2の速度は異なり或いは同じとすることができる)、入力信号に重ねられる同じ或いは異なる周波数及び/又は振幅の一つ又は複数の正弦波、のうちの一つ又は複数を含む波形とすることができる。刺激信号に対する応答は、続いて測定し且つ分析することができる(応答は本願明細書において「信号応答」とも称される)。分析は、インピーダンス値、静電容量値を計算すること、及び信号応答を一つ又は複数の予め定められた関係に関連づけることのうちの一つ又は複数を含むことができる。本願明細書において使用する「インピーダンス値」という用語は、電気的なインピーダンスを表す値を意味することができ、インピーダンスが極形式で表される場合はインピーダンスの大きさのみを表す値又はインピーダンスの大きさ及び位相を表す値、インピーダンスがデカルト形式で表される場合は実インピーダンスのみ或いは実及び複素インピーダンスの両方を表す値を含むが、これらには限定されない。計算されたインピーダンス値に基づいて、本願明細書で議論するセンサ属性のうちの一つ又は複数といった、キャパシタンス値及び/又は予め定められた関係、様々なセンサ属性を決定し及び/又は特徴づけることができる。
【0300】
次いで、検体センサが適切に機能しているかを決定するために、及び/又はセンサを較正するためにセンサ情報を使用することができる。例えば、本願明細書に記載されている技術は、較正情報(例えば、ベースライン、センサ感度及び温度情報のうちの一つ又は複数の)を生成するために使用することができるが、本願明細書の他の部分でより詳細に記載されるように、その較正情報は、センサデータ(例えば、電流を単位にする)を血糖データ(例えば、mg/dL或いは、mmol/Lを単位とするグルコース濃度値)に変換するために使用する変換関数或いは較正ファクタを形成し或いは修正するために使用される。センサ情報は、較正されていないセンサデータ(例えば、生のセンサデータ)を最初に修正するために代わりに或いは追加的に使用されることができ、次いで、修正された、較正されていないデータを較正されたセンサデータ(例えば、グルコース濃度を単位にするグルコース濃度値)に変換するために変換関数を適用する。
【0301】
例えば、使用するシステム(例えば、検体センサ)の属性を決定するために使用することができる一つの技術は、電気化学インピーダンス分光法(EIS:Electrochemical Impedance Spectroscopy)である。EISは、異なる周波数の範囲で使用されるシステムの電気インピーダンスの測定に基づく電気化学技術である。使用するシステムの変化は、周波数スペクトルの変化を反映し得る。一例として、使用するシステムの感度がある期間を通じて変化する場合、その期間において特定の周波数におけるインピーダンスの減少を観察することができる。以下に更に議論するように、使用するシステムの属性を決定するために他の技術も使用することができる。
【0302】
センサの属性を決定するために刺激信号を如何に使用することができるかの例証となる一つの例として、ここで図9に示されている等価センサ回路モデル900の概略図を参照する。センサ回路モデル900は、連続グルコースセンサの一実施形態といった検体センサの電気的な性質を表すことができる。回路900は、作業電極904及び基準電極902を含んでいる。基準電極に対し作動可能に直列接続されているものは、作業電極と基準電極との間のバルクの抵抗を表わすRsolutionである。このバルクは、ベンチ試験での研究例における緩衝溶液といった、その内部にセンサが配置される液体或いは他の媒体であるが、皮下に配置されるセンサの用途の例においては、このバルクは作業電極と基準電極との間の皮下組織の抵抗を表わすことができる。Rsolutionに作動可能に接続されているものは、センサ膜の静電容量を表わすCmembraneであり、且つセンサ膜の抵抗を表わすRmembraneである。Cdouble層及びRpolarizationの並列ネットワークが、Rmembraneに作動可能に接続されている。Cdouble層及びRpolarizationの並列ネットワークは、作業電極の白金インターフェースの表面に生じている反応を表わしている。特に、Cdouble層は白金電極がバルク中にあるときにビルトアップされる電荷を表しており、Rpolarizationは白金インターフェースに生じる電気化学反応の分極抵抗である。
【0303】
図10は、一実施形態の検体センサのボード線図である(すなわち、|Zreal|対logω、ここでZrealは実インピーダンス、ω=2πf、fは周波数である)。検体センサは、図9のセンサ回路モデル900の属性を有することができる。図10のボード線図に戻ると、x軸は、検体センサに印加された刺激信号の周波数であり、y軸は検体センサの応答信号に由来するインピーダンスである。理論に束縛されることは望まないが、センサの異なる材料属性を測定し或いは決定するために、異なる周波数を使用することができると考えられる。例えば、図10の図表において、入力信号に対して測定された応答に由来する周波数が約7Hzのインピーダンス値はCdouble層を表すことができ、約1kHzの周波数はRmembraneを表すことができ、且つ約10~20kHzの範囲の周波数はCmembraneを表す。
【0304】
この情報に基づくと、特定の周波数の或いは複数の周波数を含む刺激信号をセンサに印加し、且つ信号応答に基づいてセンサインピーダンスを決定することにより、センサの特定の属性の状態を決定することができる。例えば、図10のボード線図の特性を有するセンサの静電容量は、約1Hz~100Hzの範囲、例えば10Hz或いは10kHzを超える周波数の刺激信号を使用して決定することができる。加えて、センサの抵抗は、約100Hz~10kHzの範囲の、例えば1kHzの周波数の刺激信号を使用して決定することができる。
【0305】
図11は、一実施形態による、センサのインピーダンスを決定するためのプロセス1100を示すフローチャートである。ステップ1102において、所与の周波数の有効電流(交流)電圧の形の刺激信号が、研究するセンサの作業電極に印加される。AC電圧はバイアス電位に重ねることができると共に、バイアス電圧の約1%~10%の範囲の電圧といった、バイアス電圧に比較すると相対的に小さいものとすることができる。一つの実施形態において、交流電圧は、振幅が10~50mVの範囲で周波数が100~1kHzの範囲の正弦波である。この正弦波は、600mVのバイアス電位に重ねることができる。(例えば、電流を単位にする)応答信号は、続いてステップ1104において測定できると共に、所与の周波数におけるインピーダンスを決定するためにステップ1106で分析される。ある範囲の周波数におけるセンサのインピーダンスに関心がある場合は、プロセス1100は、関心のある各周波数で交流電圧を印加し対応する出力応答を分析することにより反復することができる。
【0306】
ここで図12を参照すると、一つ又は複数の刺激信号を印加すること及び応答信号を周波数領域に変換することにより、研究するセンサのインピーダンス或いは複数のインピーダンスを決定する、一実施形態によるプロセスが記載されている。データは、高速フーリエ変換(FFT:fast Fourier transform)、離散時間フーリエ変換(DTFT:discrete time Fourier transform)或いはその他といったフーリエ変換技法を使用して、周波数領域に変換することができる。ステップ1202においては、電圧ステップの形の刺激信号をセンサのバイアス電圧に適用することができる。電圧ステップは10~50mVの範囲、例えば10mVとすることができ、バイアス電圧は600mVとすることができる。次いで、ステップ1204において信号応答を測定して記録する(例えば、出力電流)ことができ、且つステップ1206において応答の導関数を取得することができる。ステップ1208においては、引き続いて応答の導関数のフーリエ変換を計算して周波数ドメインの交流電流を得ることができる。広スペクトルの周波数にわたるセンサの一つ又は複数のインピーダンスは、ステップ1210において、交流電流に基づいて計算することができる。
【0307】
図13は、一実施形態による、センサの膜のインピーダンスといった、研究するセンサのインピーダンスを決定するためのプロセス1300のフローチャートである。ステップ1302で、バイアス電圧を上回る電圧ステップの形の刺激信号がセンサに印加される。信号応答はステップ1304で測定され、且つステップ1306で応答のピーク電流が決定される。次いで、ステップ1308においてセンサの膜(例えば、Rmembrane)の一つ又は複数のインピーダンス特性(例えば、抵抗)がピーク電流に基づいて計算される。続いて、この一つ又は複数のインピーダンス特性は、センサの属性に関連付けることができる。
【0308】
代わりの実施形態においては、ピーク電流に基づいてセンサインピーダンスを計算する代わりに、センサ感度といったセンサの属性を決定するべく、ピーク電流を一つ又は複数の予め定められたセンサ関係に関連付けることができる。すなわち、代わりの実施形態においては、一つ又は複数のインピーダンス特性を計算するステップが省略される。
【0309】
電圧ステップの形の刺激信号から結果として生じる信号応答と検体センサの実施形態のセンサ膜抵抗との間の関係は、図14A図14B及び図9を参照してここで更に議論する。
【0310】
図14Aは、一つの実施形態による、ある期間に亘って検体センサに印加された入力電圧1400のグラフである。検体センサに最初に印加された入力電圧1400はバイアス電圧に対応しており、それは一実施形態においては約600mVである。続いて、電圧ステップの形の刺激信号が時間t1において入力電圧に適用される。電圧ステップの大きさ△vは10~50mVの範囲とすることができ、例えば10mVである。
【0311】
図14Bは、図14Aの入力電圧1400に対する検体センサの電流応答1402のグラフである。図14Bに示したように、電流応答1402は、電圧ステップが応答に影響を与え始める時間に対応する時間t2に始まる、鋭いスパイクを電流に含むことができる。電流応答1402は、ポイント1404にピーク電流を有し、そして電流応答1402は漸減し、電圧ステップの前に比較して入力電圧1400が増加したことによりわずかに高いレベルで安定する。
【0312】
一つの実施形態において、電圧ステップより前の電流応答1402の大きさと電圧ステップの結果として生じるピーク電流1404の大きさとの間の差として測定される電流の変化△iは、図9のRmembraneといった、センサ膜抵抗を推定するために使用することができる。一つの実施形態において、推定されるセンサ膜抵抗はオームの法則に基づいて計算することができる。ここで、
Rmembrane=△v/△i
である。
【0313】
上記したように、△vは電圧ステップの増加であり、且つ△iはステップ電圧の増加による電流応答の変化である。
【0314】
理論によって束縛されることは望まないが、センサのある実施形態は、センサの膜のインピーダンス特性(例えば、抵抗)に対する電圧ステップに応答する電流の変化の間の直接的な関係を提供すると考えられる。
【0315】
そのような関係の非限定的な例として、以下の説明は図9に戻ってセンサ回路モデル900を参照する。いくつかの実施形態においては、静電容量Cmembraneは、静電容量Cdouble層よりかなり小さい。例えば、Cmembraneの値は、Cdouble層より約1/1000小さい。センサ回路900のバルク抵抗Rsolutionは典型的に抵抗Rmembraneよりかなり小さく、且つ抵抗Rpolarizationは、約3メガオームといった非常に大きいものとなる場合がある。そのようなセンサ属性により、回路900に印加される電圧ステップ△vは、導線902からRsolution、Rmembrane、Cdouble層を通って最後に導線904へと続く経路に沿って、実質的に回路900を通って電流が流れるようにする。具体的には、容量抵抗が静電容量及び周波数に反比例し、理論的には電圧ステップは極めて高い周波数であるので、Cmembraneの容量抵抗は電圧ステップによって最初はきわめて大きい。実質的に全ての電流が、Cmembraneの高い容量抵抗のために、Cmembraneを通ってではなくRmembraneを通って流れる。更に電流は、実質的にRpolarizationの代わりにCdouble層を通って流れる。Cdoubleの容量抵抗は、電圧ステップ(Cdouble層の高い容量値は、高い周波数、例えば電圧ステップの時に低い容量抵抗に帰着する)及びRpolarizationの相対的に大きな抵抗により、最初は小さいからである。従って、ステップ電圧が回路900に印加されたときにそれを通って実質的に全て電流が回路900を通って流れる最初の全体抵抗は、RsolutionプラスRmembraneの直列抵抗としてまとめることができる。しかしながら、この例ではRsolutionがRmembraneよりかなり小さいので、全体抵抗は膜の抵抗、Rmembraneとして推定することができる。
【0316】
これにより、電圧ステップの時における膜の抵抗Rmembraneが本質的に回路900の抵抗であるので、Rmembraneの値は、ステップ的な増加△v、及び電圧ステップにより電流応答において測定された変化△iという公知の値を使用し、オームの法則を使用して推定できることが見出された。
【0317】
a. 感度
本願明細書で議論するように、センサセッションの間の検体濃度に対するセンサの感度は、多くの場合に時間の関数として変化するであろう。感度のこの変化は、特定レベルの感度について電流の増加として現れ得る。いくつかの実施形態においては、感度は、最初の24~48時間の間に、数十パーセントの相対変化として増加する。正確な検体濃度の測定値をユーザに提供するためには、基準測定(例えば、ストリップベースの血糖測定)を使用するシステム較正が必要となる場合がある。典型的に、較正の割合は、1日に1回、2回或いはそれ以上とすることができる。
【0318】
以下で更に議論するように、検体センサの実施形態において感度とインピーダンスの関係が観察されてきた。理論によって束縛されることは望まないが、検体センサの実施形態は、センサの膜のインピーダンスと膜の拡散係数との間に関係があると考えられる。例えば、検体センサのインピーダンスの変化は、検体センサの膜の拡散係数における比例的な変化を示すことができる。更に、拡散係数の増加は、測定される検体(例えば、グルコース)の膜を通る輸送の増加を生じさせ、センサ出力電流が増加する結果になる。すなわち、拡散係数の変化はセンサ感度の比例的な変化に帰着し得る。留意すべきことは、センサの特性及びセンサが使用される環境に応じて、現にセンサ膜の拡散係数の変化とは別の他のファクタが感度の変化に関与する場合があることである。
【0319】
感度とインピーダンスの関係は、センサの感度値を推定するために、及び/又はある期間におけるセンサの感度の経時変化を修正するために使用することができ、精度の向上、必要な較正の減少、或いはその両方に帰着する。感度の検出に加えて、いくつかの実施形態は、一つ又は複数の周波数上での電気インピーダンスの測定値に基づいて検体センサシステムの他の特性を検出することができる。これらの特性には、温度、センサエレクトロニクスを構成する部分への湿気進入、及びセンサ膜の損傷が含まれるが、これらには限定されない。
【0320】
いくつかの例示的な実施形態において、センサのインピーダンスとセンサの感度との間の関係は、検体センサの感度変化を計算して補償するために使用することができる。例えば、検体センサのインピーダンスの変化は、センサの感度の比例的な変化に対応する場合がある。加えて、検体センサのインピーダンスの絶対値は検体センサの感度の絶対値に対応することができ、且つ類似のセンサの先行する研究から決定された予め定められた関係に基づいて対応する感度値を決定することができる。センサデータは、インピーダンスと感度の関係に基づき、感度の変化に対して補償することができる。
【0321】
図15は、一つの実施形態による、感度の変化に対してセンサデータを補償するための例示的なプロセス1500のフローチャートである。ステップ1502では、図11を参照して議論したように、センサの膜のインピーダンスを決定するために使用することができる、所与の周波数を有する信号といった刺激信号を、センサに印加することができる。続いて、ステップ1504で印加された信号に対する応答が測定され、ステップ1506でセンサの膜のインピーダンスがその応答に基づいて決定される。次いで、ステップ1508で、決定されたインピーダンスが確立されたインピーダンスとセンサ感度との関係と比較される。この確立された関係は、現在使用している検体センサに類似したインピーダンスとセンサ感度の関係を示す検体センサ、例えば、現在使用しているセンサと実質的に同じ状態の下で実質的に同じ方法で製造されたセンサの先行する研究から決定することができる。ステップ1510では、現在使用しているセンサの(例えば、電流或いはカウントを単位にする)センサ信号が、インピーダンスと感度との関係を使用して修正される。続いてステップ1512では、修正されたセンサ信号に基づき、例えば変換関数を使用して、推定される検体濃度値が計算される。この推定された検体濃度値は、続いて、警報を起動し、推定された値を表す情報をユーザ装置上に表示し、及び/又は外部装置に情報を出力するといった、更なる処理及び/又は出力のために使用することができる。
【0322】
ここで理解されるべきことは、プロセス1500が、センサ感度の変化を補償するためにセンサのインピーダンスを使用する一つの例であり、且つその実施形態の範囲に含まれる様々な修正をプロセス1500に対して為し得ることである。例えば、使用するセンサの感度値を決定するために、確立したインピーダンスと感度の関係を使用することができる。続いて、使用するセンサのセンサ信号を一つ又は複数の推定されるグルコース濃度値に変換するために使用される変換関数を修正し或いは形成するために、感度値を使用することができる。加えて、刺激信号応答に基づいてインピーダンス値を計算することに代えて、刺激信号の応答の一つ又は複数の属性(例えば、ピーク電流値、カウント、その他)は、刺激信号の属性と感度との間の予め定められた関係に基づいて、感度と直接関連付けることができる。
【0323】
いくつかの実施形態は、検体センサの感度プロフィールを形成し、変更し、或いは選択するために、センサの一つ又は複数のインピーダンス値を使用する。上記のように、センサは、ある期間に亘るセンサの感度の変化を示す感度プロフィールを有することができる。実質的に同じ状態の下で実質的に同じ方法で製造されたセンサが類似した感度プロフィールを示し得るにも拘わらず、そのプロフィールはなお変化する場合がある。例えば、特定のセンサが使用される環境は、センサの感度プロフィールを他の類似したセンサとは異ならせる場合がある。従って、いくつかの実施形態は、例えば、計算された一つ又は複数のインピーダンス値と選択された感度プロフィールとの相関に基づいて、複数の予め定められた感度プロフィールから感度プロフィールを選択することができる。更に、いくつかの実施形態は、センサの感度プロフィールをより密接に予測するために、使用する検体センサに既に関連付けられているセンサ感度プロフィールを、一つ又は複数のインピーダンス値に基づいて修正する。
【0324】
図16は、一つの実施形態による、一つ又は複数のセンサ膜インピーダンス測定を使用して、予測された感度プロフィールを決定するための例示的なプロセス1600のフローチャートである。ステップ1602では、使用する検体センサに刺激信号が印加され、且つステップ1604で応答が測定される。次いで、ステップ1606での応答に基づいて一つ又は複数のセンサ膜インピーダンス値が計算される。図11図14を参照して議論した一つ又は複数の技法といったプロセス1600で使用することができる、応答に基づいてセンサ膜のインピーダンス値を計算する様々な技法が、本願明細書の他の部分に記載される。続いて、ステップ1608において、一つ又は複数の計算されたインピーダンス値に基づいて感度プロフィールが決定される。続いて、プロセス1600(過去にさかのぼって修正し及び/又は将来を見通して計算することを含むことができる)は、決定された感度プロフィールを使用して、推定される検体濃度値を計算する。続いて、推定される検体濃度値は、推定される値を表す情報をユーザ装置上に表示し及び/又は外部の計算機に情報を出力するといった、更なる処理及び出力のために使用することができる。
【0325】
ステップ1608に付け加えて、感度プロフィールを決定するために様々な技法を使用することができる。1つの例示的な技法は、一つ又は複数の計算されたインピーダンス値を複数の異なる予測された感度プロフィールと比較し、一つ又は複数の計算されたインピーダンス値に最も良くフィットする予測された感度プロフィールを選択する。複数の異なる予測された感度プロフィールは、予め定められることができて、例えば、センサエレクトロニクスのコンピュータメモリに格納されることができる。使用することができる他の技法には、一つ又は複数の計算されたインピーダンス値に基づいて感度プロフィールを予測し或いは決定するために、評価アルゴリズムを使用することが含まれる。更なる技法には、使用するセンサに関連付けられている感度プロフィール(例えば、センサを使用して推定グルコース値を生成するために以前に使用されたセンサプロフィール)を修正することによって感度プロフィールを決定することが含まれる。感度プロフィールを修正することには、一つ又は複数の計算されたインピーダンス値に基づいて使用するセンサの感度プロフィールをより密接に突き止めるべく、感度プロフィールを修正するために評価アルゴリズムを使用することが含まれる。
【0326】
いくつかの実施の形態においては、センサが適切に機能しているかどうか決定するために、使用される検体センサの一つ又は複数のインピーダンス値を、センサに関連付けられている予め定められた或いは予測された感度プロフィールと比較する。上記のように、センサは、例えば、実質的に同じ方法で製造され且つ実質的に同じ状態の下で使用されるセンサのある期間に亘る感度変化の研究に基づいて、特定の感度プロフィールを有していると予測することができる。しかしながら、例えば不適切なセンサ挿入、輸送の間のセンサの損傷、製造欠陥等により、センサのインピーダンス測定に由来する感度に基づいて予測されたその感度プロフィールを十分に追尾していないとセンサが見なされる場合は、センサが不適切に機能していると決定することができる。言い換えると、(例えば、センサ膜のインピーダンスはセンサの感度を示すことができるので)センサ膜の一つ又は複数のインピーダンス値がセンサの予測される感度プロフィールに十分に対応しない場合は、センサが適切に機能していないと決定することができる。
【0327】
図17は、予測された感度プロフィール及び一つ又は複数のインピーダンス測定に基づいて、使用する検体センサが適切に機能しているかどうかを決定するための例示的なプロセス1700のフローチャートである。ステップ1702で、使用する検体センサに刺激信号が印加され、且つステップ1704で応答が測定される。次いで、ステップ1706で、信号応答に基づいて一つ又は複数のセンサ膜インピーダンス値が計算される。図11図14を参照して議論した技法のいずれか一つといったプロセス1700で使用することができる、信号応答に基づいてセンサ膜インピーダンス値を計算するための様々な刺激信号及び技法は、本願明細書の他の部分に記載される。次いで、プロセス1700は、ステップ1708で、一つ又は複数の計算されたインピーダンス値と感度プロフィールとの対応を決定する。次いで、決定ステップ1710では、プロセス1700は、一つ又は複数の計算されたインピーダンス値が予測された感度プロフィールに十分に対応するかどうかを問い合わせる。一つ又は複数の計算されたインピーダンス値が予測された感度プロフィールに十分に対応すると決定された場合、続いて、プロセス1700は、使用される検体センサの適切な作動を確認する。ステップ1710で適切であると確認された場合、約1分から1日にわたる、例えば約10分、1時間、12時間或いは1日といった予め定められた時間遅れの後に、プロセス1700を反復することができる。しかしながら、一つ又は複数の計算されたインピーダンス値が予測された感度プロフィールに十分に対応しないと決定された場合は、プロセス1700はエラールーチン1712を開始することができる。エラールーチン1712は、可聴アラームを起動させること、エラーメッセージをユーザディスプレイに表示すること、ユーザディスプレイ上のセンサデータの表示を中断すること、セルラー電話網上の携帯電話或いはインターネット上等の遠隔コンピュータといった通信ネットワーク上の遠隔通信装置にメッセージを送信すること、のうちの一つ又は複数を含むことができる。エラールーチンは、例えば一つ又は複数のインピーダンス測定に基づいて予測された感度プロフィールを修正すること、又は一つ又は複数のインピーダンス測定に基づいて新しく予測された感度プロフィールを選択することを含むことができる。修正された予測感度プロフィール或いは新しく予測された感度プロフィールは、一つ又は複数であるインピーダンス測定に基づいて修正されていない或いは以前に使用した予測感度プロフィールと比較したときに、使用されるセンサの感度変化により密接に対応する感度プロフィールであることができる。
【0328】
プロセス1700のステップ1708に加えて、一つ又は複数のインピーダンス値と予測された感度プロフィールとの対応を決定するために、様々な統計解析技法を使用することができる。一つの例として、対応は、計算されたインピーダンス値に由来する(例えば、インピーダンス及び感度の予め定められた関係に由来する)感度値が、予測感度プロフィールから決定された予測感度値から、予め定められた閾値量以上に異なるかどうかに基づいて決定することができる。予め定められる閾値量は、絶対値或いはパーセンテージによることができる。他の例として、対応はデータ関連関数に基づいて決定することができる。本願明細書で使用する「データ関連関数」という用語は、広義の用語であり、且つデータの統計解析及び特に特定の曲線に対する相関或いは特定の曲線からの偏差を含む、その通常の意味において使用されるが、それには限定されない。データ関連関数は、データの関連を示すために用いることができる。例えば、本願明細書に記載されるインピーダンス測定に由来するセンサ感度データは、センサの感度プロフィールを定める曲線(例えば、線或いは線の組)に対する相関或いはそれからの偏差を決定するために、数学的に分析することができ、この相関或いは偏差がデータの関連である。使用することができるデータ関連関数の例には、線形回帰、非線形マッピング/回帰、ランク(例えば、母数によらない)相関、最小平均二乗当てはめ、平均絶対偏差(MAD:mean absolute deviation)、及び平均絶対相対差(mean absolute relative difference)が含まれるが、それらは限定されない。一つのそのような例において、線形回帰の相関係数は、感度プロフィールからのインピーダンス測定に由来する感度データのデータ関連の量、従ってデータ及び/又は感度プロフィールの品質を表す。もちろん、本願明細書に記載されるそれらに加えて、一つ又は複数のポイントの曲線に対する相関を決定する他の統計分析法を、プロセス1700において使用することができる。
【0329】
上記のように、プロセス1600及び1700は、一つ又は複数のインピーダンス値を使用することができる。一つより多くのインピーダンス値を使用するときには、各インピーダンス値は、他のインピーダンス値から時間の間隔を開けることができる。言い換えると、一つのインピーダンス値は、最初の時点t1で取得することができ(時間t1におけるセンサインピーダンスを表す)、第2のインピーダンス値は第2の、後の時間t2の時点で取得することができ(時間t2におけるセンサインピーダンスを表す)、そして第3のインピーダンス値は第3の、更にその後の時点t3で取得される(時間t3のセンサインピーダンスを表す)、ということになる。更に、t1とt2の間の時間は第1の期間とし、且つt2とt3の間の時間は、第1の期間と同じ或いは異なる第2の期間とすることができる。続いて、時間の間隔をあけたインピーダンス値は、別々に使用することができ、或いは(例えば、時間を開けた値の平均或いは中央値を計算する)統計アルゴリズムを使用して結合される。続いて、別々の値或いは結合された値は、例えば、プロセス1600のステップ1608において感度値及び/又は感度プロフィールを決定するために、又はプロセス1700のステップ1708において感度プロフィールとの対応を決定するために、使用することができる。それに加えて或いはそれに代えて、一つより多くのインピーダンス値を実質的に同じ時間に取得することができるが、それぞれは本願明細書に記載されている測定技法のうちの2つといった、異なる測定技法を使用して取り出される。例えば、第1のインピーダンスは、図13のプロセスに記載したようなステップ電圧法を使用して計算することができ、且つ第2のインピーダンスは、図11のプロセスに記載したような正弦波オーバレイ技法を使用して計算することができる。異なる測定技法で導き出されたインピーダンス値は、続いて、処理されたインピーダンス値を決定するために(例えば、平均或いは中央値を計算する)統計アルゴリズムに適用することができる。処理されたインピーダンス値は、続いて、例えば、プロセス1600のステップ1608において感度値及び/又は感度プロフィールを決定するために、又はプロセス1700のステップ1708において感度プロフィールとの対応を決定するために、使用することができる。
【0330】
b. 温度
いくつかの実施形態は、センサの温度を決定するために、信号処理技術を使用することができる。例えば、刺激信号はセンサに印加することができ、信号応答が測定され、且つ信号応答に基づいてセンサの温度を取り出すことができる。
【0331】
例えば、図11図14を参照して記載した技法のうちの一つを使用して決定されるセンサ膜のインピーダンスは、一つの実施形態によると、センサの温度を推定するために使用することができる。理論によって束縛されることは望まないが、センサの感度は温度の影響を受け、高い温度が高い感度に結び付き得ると共に、低い温度が低い感度に結び付き得ると考えられる。同様に、センサ膜のインピーダンスはセンサの感度と直接的な関係を有しているので、高い温度が低いインピーダンスに結び付き得ると共に、低い温度が高いインピーダンスに結び付き得ると考えられる。すなわち、感度及びインピーダンスは、センサの温度と直接的な関係を有することができる。従って、例えば実質的に類似したセンサの以前に行われた研究に基づくインピーダンスと温度の公知の関係を使用すると、センサのインピーダンス測定に基づいてセンサの温度を推定することができる。
【0332】
図18は、一つの実施形態による、センサ温度を決定するために例示的なプロセス1800のフローチャートである。ステップ1802で、使用する検体センサに刺激信号が印加され、そしてステップ1804で応答が測定されて記録される。インピーダンスは、ステップ1806で信号応答に基づいて計算される。インピーダンスは、例えば、図11図14を参照して記載した技法といった、本願明細書に記載されている技法のいずれかを使用して計算することができる。続いて、ステップ1808において、インピーダンスと温度との間の予め定められた関係に基づいて、センサの温度が推定される。続いて、温度は、センサデータを使用して検体濃度値(例えば、グルコース濃度)を推定するために、或いはさもなければ更なる処理及び/又は出力のために、使用することができる。例えば、温度は、センサの感度上への温度の効果を補償するために使用することができ、感度の補償に基づいてより正確な検体濃度値を推定することができ、且つより正確な検体濃度をディスプレイに出力することができ、或いはグルコース監視システムを使用して警報を起動させるために使用される。
【0333】
センサ感度と異なる温度との間の関係は(例えば、本願明細書に記載されているモデリング技法の1つを使用して、数学的な曲線をデータに当てはめることにより)数学的にモデル化することができ、続いて、この数学的なモデルは、センサの感度上の温度の効果を補償するために使用することができる。すなわち、(センサの温度に影響を受ける)センサの感度は、センサの測定されたインピーダンスを数学的な曲線に関連づけることに基づいて決定することができる。インピーダンスと温度との間の予め定められた関係は、ある範囲の温度における類似したセンサのインピーダンスを研究することによって決定することができる。続いて、センサデータは、決定されたセンサ感度に基づいて推定される検体濃度値に変換することができる。
【0334】
非限定的な実施例として、検体センサのいくつかの実施形態は、センサの慣らし期間(例えば、いくつかの実施形態では1~5時間持続し得る、センサ植設後のセンサが安定する期間)の後において、温度とインピーダンスの本質的に線形な関係を有することができる。直線相関の傾斜は、温度の範囲に亘って使用されるセンサと実質的に同一の方法で製造されたセンサの研究によって確立することができる。これにより、センサ温度は、センサ膜のインピーダンス値を測定すると共に、確立された直線相関にインピーダンス値を適用することによって推定することができる。他の実施形態はインピーダンスと温度の非線形な関係を有することができ、且つこれらの他の実施形態については、この関係は、確立された非線形な関係を使用することにより特徴付けられる。
【0335】
いくつかの実施形態は、第1のセンサ温度を第2のセンサ温度と比較することができ、第1の温度は検体センサのインピーダンス測定から導き出され、第2のセンサ温度はインピーダンス測定から独立して導き出される。第2の推定温度は、例えば、サーミスタを使用して測定することができる。サーミスタを使用する実施例において、サーミスタは、生体内での或いは生体外での温度を測定するべく構成できると共に、検体センサ上に或いは検体センサから離して配置することができる。非限定的な実施例として、サーミスタは、検体センサと一体とすることができて、その内部に検体センサが植設される挿入部位に隣接して受容者の皮膚の表面に配置され、挿入場所から離れた位置で受容者の皮膚上に配置され、或いは受容者によって携帯される携帯用デバイス上といったように、受容者から完全に間隔を開けて配置される。続いて、センサ感度の変化或いは他のセンサ属性の変化の原因となるファクタは、第1及び第2の温度の比較に少なくとも部分的に基づいて決定し或いは確認することができる。
【0336】
c. 湿気進入
いくつかの実施形態においては、センサエレクトロニクス内への湿気進入は、特定の周波数或いは周波数範囲においてセンサのインピーダンスを測定することに基づいて決定することができる。測定されたインピーダンスが予め定められたインピーダンス値と十分に対応しない場合、作動可能にセンサに接続されているセンサシステムは湿気進入エラールーチンを開始することができる。対応は、一つ又は複数の閾値、データ関連関数等を使用して決定することができる。更に、ここで留意されるべきことは、湿気放出を決定する際に、インピーダンスの位相情報が有益な情報を提供し得ることである。従って、いくつかの実施形態においては、インピーダンス測定は、別々のインピーダンスの大きさと位相成分に分けることができ、且つインピーダンスの成分の一方又は両方は、対応を決定するために、予め定められた値と比較することができる。
【0337】
図19は、湿気進入を決定するための例示的なプロセス1900のフローチャートである。ステップ1902では、特定の周波数を有する刺激信号又は周波数のスペクトル(例えば、電圧ステップ)を有する信号が使用する検体センサに印加され、且つステップ1904で信号応答が測定されて記録される。インピーダンスの大きさ及び位相は、ステップ1906で信号応答に基づいて計算される。続いてプロセス1900は、インピーダンスの大きさ及び位相値がそれぞれ予め定義されたレベルの範囲内に含まれるかどうかを、決定ステップ1908で決定する。インピーダンスの大きさ及び位相値がそれぞれ予め定義されたレベルの一方又は両方を超える場合、プロセス1900は、続いて、ステップ1910でエラールーチンを開始する。このエラールーチンは、センサシステムが適切に機能できないかもしれないことをユーザに警告するために、可聴の警報及び/又は表示スクリーン上の視覚的な警報の一つ又は複数の起動を含むことができる。この警報は、例えば、現在のセンサシステムに欠陥があることをユーザに通報することができる。他方では、インピーダンス及び位相値の一方又は両方がそれぞれ予め定義されたレベルに入る場合は、プロセス1900は終了する。
【0338】
上記は別々のインピーダンス及び位相値を計算することを記載しているが、ここで理解されることは、上記のプロセス1900が、データ関連関数を使用することにより、或いは決定された複素インピーダンスを予め定められた複素インピーダンス値の閾値或いは範囲と比較することにより、複素インピーダンス値を決定できること、及び決定された複素インピーダンス値と一つ又は複数の予め定められた複素インピーダンス値との対応を決定できることである。エラールーチンは、対応に応答して開始されることができる。
【0339】
d. 膜損傷
いくつかの実施形態においては、特定の周波数或いは周波数範囲においてインピーダンスを測定することに基づいて、膜損傷を検出することができる。測定されたインピーダンスが予め定められた一つ又は複数のインピーダンス値に十分に対応しない場合、センサに作動可能に接続されているセンサシステムは、続いて、膜損傷エラールーチンを開始することができる。対応は、データ関連関数を使用して決定することができる。
【0340】
図20は、膜損傷を決定するための例示的なプロセス2000のフローチャートである。ステップ2002では、特定の周波数の刺激信号、異なる周波数を有する複数の信号、及び/又は周波数のスペクトルを有する信号が使用する検体センサに印加され、且つステップ2004で信号応答が測定されて記録される。ステップ2006では、インピーダンスの大きさ及び位相の両方が信号応答に基づいて計算される。続いてプロセス2000は、インピーダンスの大きさ及び位相値がそれぞれ予め定義されたレベルの範囲内に含まれるかどうかを、決定ステップ2008において決定する。インピーダンスの大きさ及び位相値がそれぞれ予め定義されたレベルの一方又は両方を超える場合、プロセス2000は、続いて、ステップ2010でエラールーチンを開始する。このエラールーチンは、センサシステムが適切に機能していないことをユーザに警告するために、可聴の警報及び表示スクリーン上の視覚的な警報の起動を一つ又は複数含むことができる。この警報は、例えば、現在使用しているセンサが損傷していて取り替えが必要であることをユーザに通報できる。他方で、インピーダンスの大きさ及び位相値の一方又は両方がそれぞれ予め定義されたレベルに入る場合、プロセス2000は終了する。
【0341】
上の記載は別々のインピーダンスの大きさ及び位相値の使用を記載しているが、ここで理解されることは、上記のプロセス2000が、複素インピーダンス値を使用できると共に、複素インピーダンス値と予め定められた値或いはレベルとの対応を決定できることである。エラールーチンは、決定された対応に応答して開始されることができる。
【0342】
e. センサの再利用
いくつかの実施形態では、センサの再利用を検出することができる。本願明細書に記載されているグルコースセンサの実施形態は信頼性の高いセンサデータをセンサが提供できる、定められた寿命を有し得る。定められた寿命の後、センサの信頼性はもはや高くなく、不正確なセンサデータを与える場合がある。予め定義された寿命を越えた使用を防止するために、いくつかの実施形態は、センサはもはや使用するべきでないと決定された後、センサの取り替えをユーザに通報する。センサをもはや使用するべきでないかどうかを決定するために、様々な方法を使用することができる。例えば、センサが最初に使用されて(例えば、最初にユーザに植設されたとき、又はセンサエレクトロニクスモジュールに最初に電気的に接続されたとき)から生じた予め定められた期間、又はセンサに欠陥(例えば、膜の破裂、不安定な感度等)があるという決定である。センサをもはや使用するべきでないと一旦決定されると、センサシステムは、例えば、新しいセンサの使用をユーザに聞こえるように及び/又は視覚的に促し、及び/又はディスプレイをシャットダウンし、又はディスプレイ上でのセンサデータの表示を中止することによって、新しいセンサの使用をユーザに通報することができる。しかしながら、ユーザは、新しいセンサを使用する代わりに同じセンサを再利用しようとする場合がある。このことは、ユーザとって危険であろう。センサが与えるであろう不正確なデータにユーザが依存するからである。
【0343】
従って、いくつかの実施形態は、センサのインピーダンスの測定の一つ又は複数に少なくとも部分的に基づいてセンサの再利用を決定するべく構成することができる。本願明細書の他の部分でより詳細に記載するように、センサの膜抵抗に関するインピーダンスは、最初は典型的に高いが、センサの慣らしが進むにつれて次第に減少する。従って、一つの実施形態において、センサを植設したすぐ後に測定されるインピーダンスが、センサが最初に植設されたときにセンサが典型的に有すべきものを超過している場合は、このことがセンサに既に使用されていることを示すので、センサの再使用を検出することができる。
【0344】
図21は、一つの実施形態による、センサの再利用を決定するための例示的なプロセス2100のフローチャートである。ステップ2102において、センサ挿入イベントが起動される。挿入イベントは、新しいセンサが植設されたことをユーザがセンサシステムに入力すること、センサシステムがセンサに対する電気的接続を検出すること、システムがユーザに新しいセンサの使用を促してから生じた予め定められた期間等といった、新しいセンサが植設されたことを示す多くの可能なイベントのうちの一つであり得る。続いて、ステップ2104において、使用する検体センサに刺激信号が印加され、且つステップ2106で応答が測定されて記録される。ステップ2108で、信号応答に基づいてインピーダンスが計算される。ステップ2106及び2108においてインピーダンスを計算するための刺激信号及び技法は、図11図14を参照して記載したような、本願明細書に記載されている信号及び技法のいずれかとすることができる。続いて、決定ステップ2110において、計算されたインピーダンスが予め定められた閾値と比較される。インピーダンスが閾値を超過していることが決定された場合は、続いて、センサ再利用ルーチンがステップ2112で開始される。インピーダンスが閾値を超過していないと決定ステップ2110で決定された場合は、続いて、プロセス2100はステップ2114で終了する。
【0345】
ステップ2112のセンサ再利用ルーチンは、不適切なセンサの再利用をユーザに通報する可聴の及び/又は視覚的な警報を起動させることを含む。この警報はまた、不正確な及び信頼できないセンサ測定値を潜在的に出力するといった、なぜセンサの再利用が望ましくないかをユーザに知らせることもできる。前記センサ再利用ルーチン2112は、それに代えて又はそれに加えて、センサシステムの完全な又は部分的なシャットダウンを生じさせ、及び/又はセンサシステムのユーザーインターフェース上でのセンサデータの表示を中止することができる。
【0346】
一つの実施形態においては、既に使用されたセンサ(例えば、新しく植設されたセンサの直前に使用されたセンサ)の最近のインピーダンス測定値情報(例えば、一つ又は複数の最近のインピーダンス測定値)、又は予め定められたセンサプロフィールは、コンピュータメモリに格納することができ、且つ新しく植設されたセンサのインピーダンス測定値情報(例えば、新しく使用されるセンサであると推測されるもの)と比較される。続いて、既に使用されたセンサの前のセンサの使用が中断された(例えば、取り除かれた)ときの近い時点におけるインピーダンスと新しく挿入されたセンサのインピーダンスとがあまりに類似していることを、例えばデータ関連関数を使用した比較が示す場合は、新しいセンサが最初に植設されたすぐ後には、その使用の中断の実質的に前に既に使用されたセンサのインピーダンスとは大幅に異なるインピーダンスを有するべきであるので、センサが再利用されていると決定することができる。センサが再利用されていると決定された場合、続いて、センサシステムはエラールーチンを起動させることができるが、このエラールーチンは、ステップ2112を参照して上記したように、センサシステムのユーザーインターフェースを使用する可聴の及び/又は視覚的なアラームを介して不適切なセンサ再利用をユーザに通報すること、及びユーザに新しいセンサの使用を促すことを含んでいてよい。
【0347】
図22は、一つの実施形態による、センサの再利用を決定する他の例示的なプロセス2200のフローチャートである。ステップ2202では、センサ挿入イベントが起動される。挿入イベントは、新しいセンサが植設されたことをユーザがセンサシステムに入力すること、センサシステムがセンサに対する電気的接続を検出したこと、システムがユーザに新しいセンサの使用を促してから生じた予め定められた期間、等といった新しいセンサが植設されたことを示す多くの可能なイベントの1つであることができる。次に、ステップ2204で、使用される検体センサに刺激信号が印加され、且つステップ2206で応答が測定されて記録される。インピーダンスは、ステップ2208で信号応答に基づいて計算される。ステップ2206及び2208においてインピーダンスを計算するための刺激信号及び技法は、図11図14を参照して記載されたものといった、本願明細書に記載されている信号及び技法のいずれかとすることができる。続いて、決定ステップ2210では、計算されたインピーダンスは、(センサシステムに言わせると少なくとも既に植設されたセンサが何であったとしても)一つ又は複数の前に植設されたセンサを使用して測定された、一つ又は複数の前に測定されたインピーダンス値と比較される。計算されたインピーダンスが予め定められた量の範囲内で一つ又は複数の既に測定されたインピーダンス測定値と相関していると決定された場合は、続いて、センサ再利用ルーチンがステップ2112で開始される。相関は、本願明細書に記載されているデータ関連関数の一つといったデータ関連関数を使用して決定することができる。決定ステップ2110において、インピーダンスが既に測定されたインピーダンス値と予め定められた量の範囲内で相関しないと決定された場合は、プロセス2100はステップ2114で終了し、システムは受容者のグルコース濃度を測定するためにセンサの使用を継続する。
【0348】
ステップ2212のセンサ再利用ルーチンは、不適切なセンサの再利用をユーザに通報する可聴の及び/又は視覚的な警報の起動を含むことができる。この警報はまた、不正確な及び信頼できないセンサ測定値を潜在的に出力するといった、なぜセンサの再利用が望ましくないかをユーザに知らせることもできる。センサ再利用ルーチン2212は、それに代えて又はそれに加えて、センサシステムの完全な又は部分的なシャットダウンを生じさせ、及び/又はセンサシステムのディスプレイ上でのセンサデータの表示を中止することができる。
【0349】
f. センサ過剰電位
いくつかの実施形態は、センサ膜の一つ又は複数の測定されたインピーダンスに基づいて過剰電位ルーチンを適用する。検体センサのいくつかの実施形態に過剰電位(例えば、検体を連続的に検知するために使用するときにセンサに印加するバイアス電圧より高いボルテージ電圧)を印加することは検体センサの安定化を助け、それによってセンサの慣らし期間を短くすることが見出された。過剰電位は、センサが一旦十分に安定したら中断する必要があり、さもなければセンサの損傷が生じる場合がある。従って、センサの感度或いは感度の変化を決定するためにセンサの一つ又は複数のインピーダンス測定値を使用することができる。図11図14を参照して記載したようなものといった、本願明細書に記載されている技法のいずれかを、センサのインピーダンスを測定するために用いることができる。決定された感度或いは感度の変化は、次には、例えば測定されたインピーダンスと予め定められた感度とインピーダンスの関係との対応を決定することによってセンサが安定したか否か或いは決定された期間以内に安定するかを示すために、使用することができる。センサが安定した或いは決定された期間内に安定すると決定されると、過剰電位の印加を中断し或いは減少させることができる。加えて、過剰電位の大きさ及び/又は過剰電位をセンサに印加すべき延べ時間は、過剰電位を印加する前に或いは過剰電位を印加する間に取得された一つ又は複数のインピーダンス測定に基づいて、決定し或いは修正することができる。すなわち、いくつかの実施形態による、過剰電位ルーチンは、一つ又は複数のインピーダンス測定値に従って修正し或いは中断することができる。
【0350】
g. マルチ電極或いはマルチセンサ構成
センサシステムのいくつかの実施形態は、複数のセンサ電極を含む。例えば、上記したように、検体検知電極に加えて、いくつかの実施形態は検体+ベースライン信号からのベースライン信号の減算を可能にするための補助電極を含むことができる。いくつかの実施形態は、一つ又は複数の冗長な検体センサを含むこともできる。
【0351】
一つの実施形態によると、第1の刺激信号を第1センサに印加することができ、且つ第2の刺激信号を第2センサに印加することができる。第1センサは、検体濃度(例えばグルコース)を検出するべく構成することができるが、この点に関しては検体+ベースライン信号を生成することができる。第2センサは、第1センサの信号から減算し得るベースライン信号を測定するべく構成された、補助センサとすることができる。加えて、第1の刺激信号は、第2の刺激信号と同一の波形或いは異なる波形を有することができる。第1の刺激信号に対する応答及び第2の刺激信号に対する応答は、それぞれ測定して記録することができる。第1の応答及び第2の応答は処理することができ、且つ各センサに関連付けられたインピーダンス値といった処理に基づいてセンサ特性を決定することができる。この処理は、(例えば、本願明細書に記載されたデータ関連関数を使用して)第1及び第2の応答信号を互いに比較すること、及び/又は第1及び第2の応答信号のそれぞれを確立された関係と比較すること、を含むことができる。センサ特性は、第1の及び/又は第2の電極の感度値或いは感度の変化、第1の及び/又は第2の電極の温度、第1の電極の検出された膜損傷の大きさ等が含まれる、本願明細書に記載されているセンサ特性のいずれかを含むことができる。更に、センサデータは、第1及び第2の応答信号の処理に基づいて、例えばセンサ感度の変化といったセンサ特性の変化に対して補償されることができる。
【0352】
図23は、いくつかの実施形態によるセンサシステムで使用することができる二重センサ構成の概略図である。この二重センサ構成は、作業電極2304、基準電極2306及び膜2308を有する第1のセンサ2302、及び作業電極2312、基準電極2314及び膜2316を有する第2のセンサ2310を含む。各センサは、同じタイプの膜を有することを含めて本質的に同じものとすることができ、或いは各センサは、異なる膜を有し、更にはセンサの一つが膜を有していないといったように異なるものとすることもできる。一つの実施形態において、各センサ2302及び2310は、受容者の検体濃度を測定するように構成される。他の実施形態においては、第2のセンサ2310が別個の基準電極を有しない。この代わりの実施形態においては、第1のセンサの基準電極は、第2のセンサの基準電極として機能することもできる。
【0353】
図23に示すように、刺激信号は、信号発生器/検出器2318を使用して、第1のセンサ2302に印加することができる(刺激信号は、電圧ステップといった、本願明細書に記載されている任意の刺激信号とすることができる)。刺激信号は、第1のセンサ2302から生ずる電界線2320を誘発することができると共に、第2のセンサ2310の電気的な応答を引き起こす。電気的な応答は、第2のセンサ2314に電気的に接続された信号発生器/検出器2322を使用して測定することができる。信号発生器/検出器2318及び2322は、本願明細書に記載された所望の刺激信号を生成することができると共に刺激信号に対する応答を測定することができる、任意の公知の電気回路構成を含むことができる。
【0354】
図23に加えて、第2のセンサ2310において測定される応答は、次に、本願明細書に記載される任意のセンサ属性といったセンサ属性を決定するために、使用することができる。例えば、応答は、第1のセンサ2302のインピーダンスを計算するために使用することができ、その後、本願明細書に記載されているプロセスの1つを使用して、第1のセンサ2302の感度を決定するために及び/又は第1のセンサによって生成されたセンサデータを修正するために使用することができる。
【0355】
それに代えて或いはそれに加えて、第1の刺激信号は、第1のセンサ2302に印加して第2のセンサ2310を使用して測定することができると共に、第2の刺激信号は第2のセンサ2310に印加して第1のセンサ2302を使用して測定することができる。第1及び第2の刺激信号は、本質的に同じものとし、或いは異なるものとすることができる。第1及び第2の刺激信号のそれぞれに対する応答は、続いて、本願明細書に述べるセンサ属性のいずれかといったセンサ属性を決定するために使用することができる。
【0356】
刺激信号を印加するセンサはまた、刺激信号に対する応答を測定する他のセンサに加えて、刺激信号に対する応答を測定するために使用することもできる。例えば、第1の刺激信号は第1のセンサ2302に印加することができ、且つ第1の刺激信号に対する第1及び第2の応答は、第1のセンサ2302及び第2のセンサ2310によって、それぞれ測定することができる。第1及び第2の応答は、続いて、第1のセンサ2302及び第2のセンサ2310のどちらか或いは両方の、本願明細書に述べるセンサ属性を決定するために使用することができる。
【0357】
h. スケーリングファクタ
いくつかの実施形態においては、スケーリングファクタは、二電極検体センサの応答における差を修正するために使用することができる。いくつかの実施形態においては、使用できる二電極検体センサは、基準センサ/システムであり、それによって、外部の(例えば、システムとは別々の)検体測定装置を用いること無しに、較正のために(例えば、内側からシステムに対して)基準データを提供することができる。いくつかの実施形態においては、二電極検体センサは、特定の検体と反応する酵素を含む第1の電極(ブラス酵素電極と呼ぶことができる)と、酵素を含まない第2の電極(マイナス酵素電極と呼ぶことができる)とを有する。
【0358】
いくつかの実施形態においては、センサシステム(例えば、センサシステムのセンサエレクトロニクスモジュール)はスケーリングファクタ(k)を決定するように構成される。簡単に言うと、スケーリングファクタは、二電極検体センサの電極の間の関係を定める。従って、いくつかの実施形態においては、センサシステムは、第1及び第2の作業電極のそれぞれの差によって生じる不正確さを較正されたセンサデータが含まないように、スケーリングファクタを使用して検体センサデータを較正するように構成される。すなわち、スケーリングファクタは、センサシステムによって生成されたデータに基づいて推定される検体値を計算するために使用することができる。
【0359】
特許文献7は、いくつかの実施形態において使用することができる二電極検体センサシステム、スケーリングファクタ及びスケーリングファクタを使用する方法を、より詳細に記載しており、その内容の全体が参照によって本願明細書に組み込まれる。
【0360】
いくつかの実施形態によると、二電極システムの各電極の膜インピーダンスは、スケーリングファクタを決定し或いは更新するために使用することができる。スケーリングファクタは、続いて、センサシステムによって生成されたデータに基づいて推定される検体濃度値を計算するために使用することができる。
【0361】
以下は、一つの実施形態による、インピーダンスを使用してスケーリングファクタを決定するための例示的なプロセスを示している。最初に、二電極センサシステムの両方の電極について膜インピーダンスが測定される。図11図14を参照して「多電極或いは複数センサ構成」という見出しの下で記載されたものといった、本願明細書に記載される技法は、二電極検体センサの電極のそれぞれの膜インピーダンスを測定するために使用することができる。インピーダンスは、センサを使用する間に定期的に測定することができる。スケーリングファクタは、2つの電極の測定された膜インピーダンスの比率(例えば、プラス酵素電極の膜インピーダンスとマイナス酵素電極の膜インピーダンスとの比率)を使用して生成することができる。推定される検体値を生成するためのスケーリングファクタは、続いて、生成されたスケーリングファクタに基づいて、決定し或いは更新することができる。決定された或いは更新されたスケーリングファクタは、続いて、推定される検体値を生成するために使用することができる。
【0362】
アセトアミノフェンは、いくつかのセンサの実施形態を使用するグルコース測定を妨げ得ることが見出された。アセトアミノフェンの応答は、そのセンサ膜を通る拡散に比例し得ると共に、センサインピーダンスが膜インピーダンスを表し得ることが見出された。従って、スケーリングファクタを決定するための上記したプロセスは、プラス酵素電極及びマイナス酵素電極のインピーダンスの比率を決定することによって、アセトアミノフェンのスケーリングファクタを定期的に決定するために、使用することができる。アセトアミノフェンスケーリングファクタは、上述したもののうちの一つといったスケールファクタを更新するために使用し、推定されるグルコース濃度を計算するために使用することができる。
【0363】
i. 較正
いくつかの実施形態による例示的な較正プロセスについて、図24を参照してここで述べる。較正プロセス2400は、変換関数2408を形成し或いは修正するために、一つ又は複数の植設前情報2402、内部診断情報2404、及び入力としての外部参照情報2406を使用することができる。変換関数2408は、(例えば、電流或いはカウントを単位と)センサデータを(例えば、検体濃度を単位にする)推定される検体値2410に変換するために使用することができる。推定される検体値を表す情報が、続いて、ユーザディスプレイ上に表示され、外部装置(例えば、インシュリンポンプ、PCコンピュータ、モバイルコンピューティング装置、その他)に送信されるといったように出力2412され、及び/又は更に処理される。検体は、例えば、グルコースとすることができる。
【0364】
プロセス2400において、植設前情報2402は、現在較正されたセンサを植設する前に生成される情報を意味することができる。植設前情報2402は、以下のタイプの情報のうちのいずれかを含むことができる:
- 現在使用する(例えば、植設された)センサに関連付けられた、センサのある期間に亘る感度の変化の予測されるプロフィールといった予め定められた感度プロフィール;
- (例えば、センサのインピーダンス、静電容量或いは他の電気的或いは化学的な属性を表す出力である)特定の刺激信号の出力と、(例えば、先行する生体内での及び/又は生体外での研究から決定された)センサ感度との間の以前に決定された関係;
- (例えば、センサのインピーダンス、静電容量或いは他の電気的或いは化学的な属性を表す出力である)特定の刺激信号の出力と(例えば、先行する生体内で及び/又は生体外での研究から決定された)センサ温度との以前に決定された関係;
- 以前に植設された検体濃度センサから取得されたセンサデータ;
- 本願明細書に述べるように較正されるセンサに関連付けられた較正コード;
- センサと感度、ベースライン、ドリフト、インピーダンス、インピーダンス/温度関係との間の(例えば、患者或いは他の患者の先行研究から決定された、患者について共通する特性を有する)患者に特有な関係;
- センサ植設部位(腹部、腕、その他)に特定の関係(異なる部位は異なる脈管密度を有していてよい);
- センサ製造からの時間(例えば、センサが棚の上にあった時間、センサが製造され及び/又は出荷された日付、センサが製造され及び/又は出荷された時とセンサが植設された時との間の時間);及び
- 棚上げされたセンサの温度、湿度、外的因子に対する曝露。
【0365】
プロセス2400において、内部診断情報2402は、(そのデータが較正される)植設された検体センサがその内部で使用されるセンサシステムによって生成された情報を意味することができる。内部診断情報2402は、以下のタイプの情報のうちのいずれかを含むことができる:
- 本願明細書に記載される(刺激信号の出力がリアルタイムに取得され且つ処理され得る)刺激信号の技法のいずれかを使用するセンサの(例えば、その出力がセンサのインピーダンスを表す)刺激信号の出力;
- 植設されたセンサによって測定される検体濃度を表すセンサデータ(現在植設されたセンサを使用するリアルタイムデータ及び/又は以前に生成されたセンサデータ);
- 植設された検体センサと同じ位置に又は植設された検体センサとは別々に配置される、(サーミスタといった)植設されたセンサ又は補助センサを使用する温度の測定値;
- 例えばそのセンサの一つの電極が本願明細書に記載されるようにベースライン信号を決定するように設計されている、多電極センサからのセンサデータ;
- 冗長なセンサのうちの一つ又は複数が、他の冗長なセンサうちの全てではないにしても少なくともいくつかと実質的に同じであるように設計された(例えば、同じセンサ膜タイプを有する)冗長なセンサによって生成されるセンサデータ;
- (光学、熱、容量、その他といった)異なる様式を有すると共に検体センサと同じ位置に配置される或いは検体センサから離れて配置された、一つ又は複数の補助センサによって生成されるセンサデータ;
- センサが植設されてから及び/又はセンサシステムのセンサエレクトロニクスに(例えば、物理的に又は電子的に)接続されてからの時間;
- 例えば、圧力センサ(例えば、圧縮人工産物を検出するために)によって生成されるセンサ/センサシステムの上の圧力を表わすデータ;
- (例えば、受容者の運動/移動/活動を表す)加速度計によって生成されるデータ;
- (例えば、センサシステムの湿気シールの完全性を表す)一定量の湿気進入;及び
- (いくつかの実施形態において、生の信号とフィルタ処理された信号との間の残差と呼ぶことができる)検体濃度信号における一定量のノイズ。
【0366】
プロセス2400において、外部参照情報2402は、(そのデータが較正される)植設された検体センサが使用されている間にソースから生成される情報を意味することができる。外部参照情報2402は、以下のタイプの情報のうちのいずれかとすることができる:
- 基準モニタから取得されたリアルタイムの及び/又は先行する検体濃度情報(例えば、別々のセンサ、例えば指スティックグルコースメータから得られた検体濃度値);
- 基準メータのタイプ/ブランド(異なるメータは異なるバイアス/精度を有していてよい);
- 患者によって消費される炭水化物を表す情報;
- インスリン作用期間(insulin on board)、インシュリン感応性、グルカゴン作用期間(glucagon on board)といった薬剤ペン/ポンプからの情報;
- グルカゴン感度情報;及び
- (例えば、同じロットからのセンサといった類似した特性を有するセンサから集められたデータに基づく)母集団ベースのデータから集められた情報。
【0367】
例示的なセンサシステム構成
本発明の実施形態は、方法、装置及びコンピュータープログラム製品のフローチャートを参照しつつ上記及び以下に記載されている。ここで理解されることは、フローチャート図の各ブロック及びフローチャート図のブロックの組合せが、コンピュータープログラムの命令の実行によって実施できることである。これらのコンピュータープログラム命令は、機械を生産するために、センサエレクトロニクスシステムにおけるコンピュータ或いは他のプログラム可能なデータ処理機械(例えばコントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ或いはその他)上にロードすることができ、コンピュータ或いは他のプログラム可能なデータ処理機械上で実行される命令がフローチャートのブロックにおいて特定される機能を実施する命令を生じさせるようになっている。これらのコンピュータープログラム命令はまた、コンピュータ或いは他のプログラム可能なデータ処理機械が特定の仕方で機能するように命令するコンピュータ読取可能メモリに格納することができ、コンピュータ読取可能メモリに格納された命令が、フローチャートのブロックにおいて特定される機能を実行する命令を含む製品を生産するようになっている。コンピュータープログラム命令はまた、一連の機能を果たすステップがコンピュータ或いは他のプログラム可能な装置上で実行されるようにしてコンピュータ実行プロセスを生成するために、コンピュータ或いは他のプログラム可能なデータ処理機械上にロードすることができ、コンピュータ或いは他のプログラム可能である装置上で実行する命令が、本願明細書に示されているフローチャートのブロックにおいて特定される機能を実施するためのステップを提供するようになっている。
【0368】
いくつかの実施形態においては、受容者の内部の検体(例えば、グルコース)を連続的に測定するために、受容者の内部の検体の濃度を連続的に測定するべく構成された連続検体センサ及びセンサを使用する間に連続検体センサに物理的に接続されたセンサエレクトロニクスモジュールを含む、センサシステムが提供される。一つの実施形態において、センサエレクトロニクスモジュールは、連続検体センサによって測定される検体濃度に関連付けられたデータストリームを処理するべく構成された電子部品を含み、センサデータを処理して、例えば生のセンサデータ、変換されたセンサデータ及び/又は任意の他のセンサデータを含む表示可能なセンサ情報を生成する。センサエレクトロニクスモジュールは、連続検体センサによって測定される検体濃度に関連付けられたデータストリームを処理するべく構成された電子部品を含むことができ、センサデータを処理して、例えば生のセンサデータ、変換されたセンサデータ及び/又は任意の他のセンサデータを含む表示可能なセンサ情報を生成する。センサ電子部品モジュールは、プロセッサ、及び本願明細書に示されるフローチャートのブロックにおいて特定される機能を含む本願明細書に述べられているプロセスを実施するためのコンピュータープログラム命令、を含むことができる。
【0369】
いくつかの実施形態においては、表示装置と呼ぶこともできる受信器は、センサエレクトロニクスモジュールと(例えば、有線或いは無線通信を介して)通信する。受信器は、パーソナルコンピュータ、スマートホン、タブレット型コンピュータ等といった、特定用途向け携帯用デバイス或いは汎用デバイスとすることができる。一つの実施形態において、受信器は、生の及び/又は表示可能なデータといったセンサデータを受け入れるためにセンサエレクトロニクスモジュールとデータ通信することができると共に、受信したセンサデータを処理し及び/又は表示するための処理モジュールを含む。受信器はまた、例えば較正コード、基準検体値、及び本願明細書に述べられる任意の他の情報といった入力をキーボード或いはタッチ感応表示画面を介してユーザから受け入れるべく構成された入力モジュールを含むことができると共に、インシュリンポンプ及び基準メータといった外部装置から有線或いは無線データ通信を介して情報を受け入れるように構成することができる。この入力は、単独で、或いは、センサエレクトロニクスモジュールから受け入れた情報と組み合わせて処理することができる。受信器の処理モジュールは、プロセッサ、及び本願明細書に示されるフローチャートのブロックにおいて特定される機能を含めて本願明細書に述べるプロセスのいずれかを実施するためのコンピュータープログラム命令を含むことができる。
【0370】
実施例
以下の実施例において実施形態を更に詳述するが、それらは実例として提供されるものであり、如何なる方法であっても発明を限定することを意図しない。本願明細書に開示するように、緩衝液内に配置されたグルコースセンサの複素インピーダンスを分析するべく、Gamry定電位装置システムを使用する研究が実行された。このGamry定電位装置システムは、Ref600のモデル名でGamry社から商業的に入手可能である。緩衝液は、公知のグルコース濃度を有する改質されたイソライト(等張電解質製剤)である。多くの実施例において、グルコース濃度は約100mg/dLである。公知のインピーダンスでのシステムのテストにより、実施例におけるインピーダンス測定エラーが約1~5%であることが見いだされた。
【0371】
以下の実施例のいくつかは研究室の実験台で実行されているが、試験中のセンサは、受容者のグルコース濃度を連続的に或いは実質的に連続的に測定するべく生体内で使用するように構成されている。
【0372】
以下の実施例で使用する検体センサは、異なるタイプのセンサから選択された。試験中のセンサは、異なるセンサロットから選ばれたセンサを含み、第1のロットからのセンサは異なる方法で且つ異なる状態で製造され、異なるロットのセンサが異なる感度プロフィールを示す結果となる場合がある。更に、これらの実施例で研究されるセンサのいくつかは、受容者の経皮組織内に配置するべく構成されて受容者のグルコース濃度を測定するが、一方では他のセンサは受容者の静脈血糖濃度を測定するべく構成されている。以下の実験において、静脈血糖濃度を測定するために用いることを意図するセンサは「IVBGセンサタイプ」と呼ぶことができ、且つ受容者の経皮組織内の血糖濃度を測定することを意図するセンサは「経皮センサタイプ」と呼ぶことができる。
【0373】
[実施例1]
感度とインピーダンスの関係
実施例1は、センサの感度とセンサのインピーダンスとの関係を示している。この実施例では、IVBGセンサがGamry定電位装置システムに接続され、且つ100mg/dLのグルコース濃度を有する改質イソライトの緩衝溶液中に配置された。実験の間の温度は37℃であった。インピーダンススペクトルは固定間隔の時間で取得された。この実験において分析されたインピーダンススペクトルは、1Hzから100kHzの範囲であり、且つセンサインピーダンス及びセンサ感度の測定値は約1200分の期間において15分間隔で取得された。
【0374】
ここで図25を参照すると、1kHzの周波数の入力信号に基づく、センサの感度及びインピーダンスの絶対値がグラフに示されている。データポイント2502は、1200分(20時間)の期間にわたるセンサ感度の測定値を示しており、t=0はセンサが緩衝液内に最初に配置されたときの時間に対応している。データポイント1104は、同じ期間に亘って測定されたインピーダンスの値を表している。
【0375】
図25の感度及びインピーダンス値は、逆相関を有するように見える。すなわち、感度は最初は急速に増加するが、やがて増加の割合がスローダウンして横ばいとなり、インピーダンスは最初は急速に減少するが、やがて減少の割合が徐々にスローダウンして横ばいになる。理論によって束縛されることは望まないが、最初の感度の増加及びインピーダンスの減少は、センサの慣らしによるものと考えられる。
【0376】
図26図25のデータのプロットであるが、感度及びインピーダンスは絶対値の代わりに1時間当たりの増減率と成っている。これから分かるように、感度2602及びインピーダンス2604の1時間当たりの相対的な変化もまた、逆相関を有するように見える。
【0377】
[実施例2]
インピーダンスを使用しての感度ドリフトの過去に遡る補償
図27は、7つの異なるセンサ、センサA~Gを使用して様々な期間に亘って測定された感度及びインピーダンスポイントのプロットである。センサA~Gは経皮タイプのセンサであるが、いくつかの異なるセンサロットから選択されている。従って、センサA~Gはすべてが経皮センサではあるが、異なるロットからのセンサは、わずかに異なる方法で又はわずかに異なる状態下で製造されるため、異なるロットからのセンサが異なる感度プロフィールを示す結果となる場合がある。この実施例では、センサA及びDは第1ロットから選択され、センサBは第2ロットから選択され、且つセンサC、E、F及びGは第3ロットから選択されている。
【0378】
図27については、プロットされたデータポイントは、各センサA~Gの感度及びインピーダンス値である。各センサA~Gの感度は時間が経つにつれて徐々に増加するので、各センサのプロットされたデータポイントのうち最も右側のポイントはt=0頃に測定された値に一致する傾向があり、且つ最も左側のポイントはt=24時間頃の値に一致する傾向がある。
【0379】
図27から分かるように、各センサA~Gのインピーダンス及び感度値は本質的に線形関係を有し、時間の経過に応じて感度は徐々に増加し、且つインピーダンスは減少する。7つの全てのセンサA~Gから取得されたデータは全般的にこの線形関係に従うが、各センサのデータポイントは他のセンサのデータポイントに比較してシフトしている場合がある。言い換えると、各センサの最初のインピーダンス及び感度値は異なり得るが、各センサの感度及びインピーダンスの変化は同じ線形速度で変化する。
【0380】
図28は、センサA~Gのインピーダンスと感度の直線相関を更に示すグラフである。図28のグラフは図27で使用したものと同じデータに基づいているが、データは絶対値ではなく増減率でグラフ化されている。図28から分かるように、センサA~Gはインピーダンスの変化と感度の変化との間に極めて類似した対応を示すように見える。
【0381】
センサA~Gによって生成されたセンサデータの感度の変化とインピーダンス値の変化との間の関係をモデル化するために、コンピュータで実行する評価アルゴリズム関数を使用することができる。評価アルゴリズム関数は、感度プロフィールの評価曲線を形成することについて上記したように、利用可能なデータポイントに対する最適な当てはめが取得されるまで、関数を調整することにより(例えば、関数の定数を調整することにより)データポイントに対し曲線を回帰的に当てはめる曲線当てはめ技法を適用することによって形成することができる。それに加えて或いはそれに代えて、この関係は、コンピュータメモリに格納されるルックアップテーブル内にモデル化することができる。
【0382】
図28に更に付け加えると、センサA~Gの組み合わされたセンサデータの評価曲線2802がプロットされている。図28のカーブは直線であるが、センサのインピーダンスと感度との関係に応じて他のタイプの曲線となる場合がある。本願明細書において議論するように、曲線2802はセンサ感度のドリフトを補償するために用いることができる。
【0383】
図29及び図30は、評価曲線2802を取り出すために使用される同じセンサによって取得されたセンサデータの補償を示している。図29及び図30の測定値は、37℃で取得された。(図27及び図28を参照して上で議論したように、評価曲線2802は37℃で取得されたセンサ測定値に基づいて取り出されたことに留意されたい)図29は、センサA~Gを使用する補償されていない測定値のプロットである。図30は、評価曲線2802に基づく感度とインピーダンスとの関係を使用して補償された測定値のパーセント推定感度エラーのプロットである。補償されていないセンサデータの平均絶対相対差(MARD:Mean Absolute Relative Difference)は21.8%である。補償されたデータのMARDは1.8%であり、補償されていないデータに対し顕著な改善となっている。
【0384】
図31及び図32は、それぞれ補償されていないデータと補償されたデータのパーセント感度エラーのプロットである。図31及び図32のデータは、センサH~Lを使用した測定値に基づいている。センサH、J、K及びLは図27を参照して記載したセンサC、F及びGと同じロットから選択され、且つセンサIは図27を参照して記載したセンサA及びDと同じロットから選択された。更に、図31及び図32にプロットされている測定値は37℃の代わりに25℃で取得された。しかしながら、センサA~Gから導き出された評価曲線2802は、センサH~Lによって測定されたデータを補償するために使用した(評価曲線2802が37℃で取得された測定値に基づいている点に留意されたい)。補償されていないデータのMARDは21.9%であり、図29のセンサデータに関して計算されたMARDの21.8%とほぼ同じである。図18の補償されたデータのMARDは4.4%であり、図30の補償されたデータのMARDよりわずかに高いが、それに近く、補償されていないMARDよりずっと小さい。
【0385】
図33及び図34は、それぞれ補償されていないデータ及び補償されたデータのパーセント感度エラーのグラフである。図33及び図34のデータは、センサM~Qを使用して取得されたデータに基づいている。センサM、O、P及びQは、図27を参照して記載したセンサC、F及びGと同じロットから選択され、且つセンサNは図27を参照して記載したセンサA及びDと同じロットから選択された。センサM~Qの測定値は、42℃で取得された。センサA~Gから導き出された評価曲線2802もまた、図34のデータを補償するために使用された。ここで、補償されていないデータのMARDは13.1%であり、且つ補償されたデータのMARDは4.6%である。
【0386】
従って、実施例2は、第1の温度において決定された感度の変化とインピーダンスの変化との関係は、第1の温度とは異なる温度における感度のドリフトを補償するために使用できることを示している。
【0387】
[実施例3]
インピーダンス測定を使用するセンサデータの予測的な較正
実施例5は、予測的な較正に関する。更に、この実験における、センサデータの較正は、異なるセンサロットからのセンサから前もって導かれた感度の変化とインピーダンスの変化との関係に基づいている。すなわち、実施例3においては、評価曲線2802は、第4のセンサロットからそれぞれ選択されたセンサR~Uを使用して取得されたデータを補償するために使用されたが、その第4のセンサロットは、評価曲線2802を導き出すために使用されたセンサのグループには含まれていない。実施例5は、較正されるセンサのタイプとは異なるタイプのセンサから導き出された感度の変化とインピーダンスの変化との関係を使用して、データを較正できることを示している。このことは、感度ドリフトを補償するためにセンサの工場較正コードを用いる必要はないことを示している。
【0388】
図35及び図36は、センサR~Uから取得されたセンサデータの予測的な較正を示している。図35は、各センサのほぼ1400分にわたる、パーセント感度変化対30分のプロットである。図36は、補償されたデータのパーセント推定感度エラーを示している。補償されていないセンサデータのMARDは24.8%であり(図15の実施例における補償されていないデータのMARDは21.8%であった)、且つ補償されたセンサデータのMARDは6.6%である(図16の実施例における補償されたデータのMARDは1.8%であった)。
【0389】
ここで、センサの予測的な較正について図37図39を参照しつつ議論する。ここで、感度及びインピーダンスのデータは、浸漬法で形成された膜を有するセンサV~X、Z及びAAと、スプレー法で形成された膜を有するセンサYと、から集められた。図37を参照すると、評価曲線3702は、全6つのセンサV~Z及びAAからの感度及びインピーダンスのデータに基づいて(すなわち、浸漬法及びスプレー法の膜を有する両方のセンサから取得されたセンサデータを使用して)計算されている。図39は、6つのセンサのそれぞれ補償されていないデータの、パーセント感度変化対60分のグラフである。図39は、図37に関して上で議論した評価曲線3702を使用して補償された後の全6つのセンサのデータのパーセント推定感度エラーのグラフである。補償されていないデータのMARDは25.3%であり、且つ補償されたデータのMARDは5.2%である。
【0390】
従って、実施例5は、較正されたセンサよりも、異なるロットから選択されたセンサから導き出された感度の変化とインピーダンスの変化との関係を使用することの方が、それにも拘わらずセンサ感度のドリフトを大幅に補償し得ることを示している。ここで留意すべきことは、曲線3702が直線であることである。ここで考えられることは、非線形の当てはめ或いは相関をそれに代えて使用できることであり、それはより良好な結果を生じ得る。
【0391】
[実施例4]
温度の効果
図40は、センサのインピーダンス及び感度と温度の関係を示している。ポイント4002は3日の期間に亘って測定されたセンサの感度値であり、且つポイント4004は同じ期間に亘って測定されたセンサのインピーダンス値である。実施例4において、センサは経皮タイプのセンサである。図40に示すように、温度は最初に37℃に設定されて維持され、次いで45℃まで上昇し、最後に25℃まで低下する。
【0392】
図40に示したように、センサの感度及びインピーダンスの両方は、温度の変化につれて反比例する関係を有するように見える。
【0393】
図41は、図40の感度の測定値対インピーダンスの測定値のプロットである。図41は、センサの慣らしの間に測定されたポイントをひし形で、且つ慣らしの後に測定されたポイントを正方形で示している。
【0394】
[実施例5]
温度補償
図42は、実施例4のセンサによって測定された検体濃度データの補償の、センサ慣らしの後の温度の効果について示している。ここで、インピーダンスと温度の関係は、センサデータを補償するために使用された。この例では、その関係は図41のデータから導き出された評価曲線に基づいている。
【0395】
センサ感度と異なる温度との関係は、続いて、(例えば、本願明細書において使用するモデリング技法の一つを使用して、数学的な曲線をデータに当てはめることにより)数学的にモデル化することができ、且つこの数学的なモデルは、続いて、センサ感度に対する温度の効果を補償するために使用することができる。すなわち、(センサの温度の影響を受ける)センサの感度は、数学的な曲線が適用されるセンサの測定インピーダンスに基づいて決定することができる。センサデータは、続いて、決定されたセンサ感度に基づいて推定されるグルコース値に変換することができる。
【0396】
図42に更に付け加えると、補償されていないデータのMARDは9.3%と計算され、且つ補償されたデータのMARDは2.8%と計算された。
【0397】
[実施例6]
湿気進入の検出
実施例6は、センサを駆動するために使用されるセンサエレクトロニクスの構成部分内の湿気進入の検出を含んでいる。この実施例では、100Hzから1kHzにわたる周波数の入力信号がセンサに印加される。信号の応答は、続いて、周波数の範囲に亘って測定され、インピーダンス及び位相の変化の両方がそこから導き出される。次に、センサエレクトロニクスモジュールの密封部分の内側に典型的に配置される接点が濡らされる。入力信号の周波数は、100Hzと1000Hzとの間で変更される。応答がもう一度測定され、インピーダンス及び位相の変化の両方が導き出される。
【0398】
第1の実験においては、接点がセンサの著しい故障を生じさせるポイントに濡らされた。センサの電流は、乾燥しているときの2.3nAから濡れているときの36nAに増加した。第2の実験において、接点はわずかに濡らされただけであり、センサ電流は、乾燥しているときの2.3nAから濡れているときの6nAまで増加した
【0399】
図43は、第1の実験のインピーダンス及び位相の変化のグラフであり、接点はセンサシステムの著しい故障を生じさせるポイントまで濡らされていた。曲線4302及び曲線4304は、それぞれ接点を濡らす前のセンサのインピーダンス及び位相の値である。曲線4306及び曲線4308は、それぞれ、接触面を濡らした後のセンサのインピーダンス及び位相の値である。図43に示したように、乾燥した曲線4302及び湿った曲線4306のインピーダンスは、1000Hzあたりで顕著に異なり、且つ乾燥した曲線4304及び湿った曲線4308の位相は約100Hzにおいて顕著に異なる。
【0400】
図44は、第2の実験のインピーダンスと位相の変化のグラフであり、接点はわずかに濡らされているだけである。曲線4402及び曲線4404は、それぞれ、センサの接点を濡らす前のインピーダンス及び位相である。曲線4406及び曲線4408は、それぞれ、接点を濡らした後のセンサのインピーダンス及び位相である。図44に示したように、乾燥した曲線4402及び湿った曲線44006のインピーダンスは100Hzあたりで顕著に異なり、且つ乾燥した曲線4404及び湿った曲線4408の位相は約1kHzあたりで顕著に異なる。
【0401】
[実施例7]
膜損傷の検出
実施例7は、インピーダンス測定を使用するセンサ膜の損傷の検出を含んでいる。この実施例では、検体センサのインピーダンスは、100から1kHzにわたる周波数の範囲上で測定された。センサ膜の一部は、続いて、膜損傷を生じさせるためにかみそりの刃を使用して切断された。センサのインピーダンスは、同じ周波数の範囲でもう一度測定された。膜損傷を検出するためにインピーダンスを用いることができるかどうかを決定するために、膜を切断する前のセンサのインピーダンス測定値は、続いて、膜を切断した後のセンサの測定値と比較された。
【0402】
図45は、膜損傷の前後のセンサ測定値のグラフである。曲線4502及び曲線4504は、それぞれ、膜損傷の前のセンサのインピーダンス及び位相であり、且つ曲線4506及び曲線4508は、それぞれ、膜損傷の後のセンサのインピーダンス及び位相である。インピーダンス及び位相の関係の両方が1kHzあたりの周波数で変化するように見える。この関係は、続いて、膜損傷を検出するために用いることができる。
【0403】
[実施例8]
インピーダンスを計算するためにFFTを使用する研究
図46は、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を使用して計算されたインピーダンス、及び比較のためにGamryを使用して測定されたインピーダンスをプロットするグラフである。図46は、30分、1.5時間、3時間及び13時間の入力データについてのFFT及び対応するGamry測定値を示している。FFTデータは、約1kHzの周波数まで実質的にGamryデータを辿った。図33における周波数が1kHzより後の食い違いは、FFTを計算するために使用したシステムの公知の制限によるものと考えられる。従って、FFTの使用は、1kHzのスペクトルを過ぎてもなお正確なインピーダンスデータを提供でき、それによってGamryを使用して測定されたインピーダンスに対する良好な対応を提供すると考えられる。
【0404】
[実施例9]
生体内での感度変化の補償
図47図49は、生体内グルコースセンサを使用する、人間の内部における感度変化の補償に関する。
【0405】
図47は、(本明細書においてCGMセンサと呼ぶ)皮下連続グルコースセンサの25時間の期間にわたるセンサインピーダンス及び感度の生体内データを示すグラフである。図47図25に類似しているが、生体外データの代わりに生体内データを使用している。感度データは、血糖指スティック検出装置から取得されたデータ及びCGMセンサを使用する生センサ電流測定値を使用して生成された(すなわち、カウントを単位にする生CGMセンサ電流を、mg/dLを単位にする時間に対応するメータグルコース値で除算して感度値を生成した)。インピーダンスデータは、図13を参照して本願明細書で議論したように、ステップ電圧をCGMセンサに印加すること及び応答のピーク電流に基づいてインピーダンスを計算することによって生成された。図47に示したように、インピーダンス及び感度データは全般的に、図25の生体外データと類似したプロフィールを辿るように見える。
【0406】
図48は、図47のインピーダンス測定を使用する感度補償の前後における、CGMセンサによって生成されたデータを使用して推定されるグルコース値のグラフである。補償された及び補償されていないデータは、血糖基準メータの測定値を使用して、1時間マークにおいて(at the one hour mark)、一度較正された。補償は、図30の生体外での研究に関して上で議論したものに似た仕方で実行された。図48はまた、受容者の血糖基準測定を示している。図48のデータに基づくと、補償されたCGMセンサデータは、補償されていないCGMセンサデータよりも、基準測定値データにより密接に対応するように見える。
【0407】
図49は、補償されていない及び補償されたCGMセンサデータと指スティックメータ基準データとの間の差を示す精度プロットであり、基準データは図表のゼロラインに対応する。補償されていないCGMセンサデータのMARDは28.5%であり、且つ補償されたCGMセンサデータのMARDは7.8%である。従って、この補償は、CGMセンサデータの精度を高めるように見える。
【0408】
[実施例10]
線形感度とインピーダンスの相関及び非線形感度とインピーダンスの相関との比較
研究室での実験は、センサ感度の変化(ドリフト)とインピーダンスの変化との間に逆の関係があることを示した。測定されたインピーダンスに基づき、線形或いは非線形のセンサ感度とインピーダンスとの相関を使用して、センサ感度のドリフトは補償することができる。
【0409】
直線相関は、方程式として表することができる△S=a*△I+b、ここでa及びbは、類似するセンサの先行テストから決定される予め定められた係数とすることができる。非線形相関は、
△S =(a*log(t)+b)*△I
として表すことができる。ここでa及びbは、類似するセンサの先行テストから決定される定数である。類似するセンサの先行テストは、生体外でのベンチテストを使用して実行され、且つ定数はこの実験において従来のコンピュータープロット技法を使用して導き出された。
【0410】
線形及び非線形の方程式は、最後の較正からの時間tにおける感度の変化とインピーダンスの変化との関係から導き出された。時間tにおける感度の変化のパーセントは、以下のように表される。
△S=感度の%変化=(時間tにおける感度-Sc)/Sc*100%
ここで、Scは較正において決定される感度、且つtは最後の較正からの時間である。
【0411】
時間tからのセンサインピーダンスの変化は、以下のように表される。
△I=%インピーダンス変化=(時間tにおけるインピーダンス-Ic)/Ic*100%
ここで、Icは較正時のインピーダンスである。
【0412】
生体外でのテストデータに基づいて感度の変化(y軸)対インピーダンス変化(x軸)をプロットすると共に、データの最良の線形当てはめを決定するべく、線形相関を計算するために従来のコンピュータープロットソフトウェアを使用した。この実験において、最良の線形当てはめは、
△S=-4.807*△I-0.742
であった。この最良線形当てはめは、線形感度とインピーダンスの相関として使用された。
【0413】
インピーダンスの変化における感度の変化 △S/△I(y軸)対log(t)をプロットすべく、非線形相関を計算するために、従来のコンピュータープロットソフトウェアが使用された。プロットされたデータの最良線形当てはめは、続いて、△S/△I=a*log(t)+bを生じさせるべく、プロットソフトウェアを使用して決定され、そこから感度の変化が導き出される:△S =(a*log(t)+b)*△I。この実験では、プロットソフトウェアは △S/△I=-1.175*log(t)-1.233を生じさせた。この方程式から、△Sが導き出される:△S=(-1.175*log(t)-1.233)*△I。
【0414】
センサのインピーダンス測定値を使用してセンサの感度の変化を修正するために、線形或いは非線形相関を続いて適用することができる。
【0415】
図50は、この実験において使用する推定されるグルコース値を修正するためのプロセス5000を示している。プロセス5000はブロック5002において開始し、センサ挿入は時間t=0である。プロセス5000は、続いて2つの分岐に分かれる。
【0416】
第1の分岐はブロック5004において開始し、電流或いはカウントの形態の連続グルコースセンサを使用してセンサデータが生成される。第1の分岐は続いて決定ブロック5006に進み、プロセス5000は較正が必要であるかどうかを決定する。この実験においては、センサ挿入後の1時間及び24時間において較正が必要であると決定される。較正が必要でないと決定された場合、第1の分岐は本質的に終了する。他方、較正が必要であると決定された場合、プロセス5000はブロック5008及びブロック5010において、指スティックメータを使用して基準測定値を取得する。(時間Tcにおいて)基準測定値に対応するセンサデータはブロック5012で決定され、且つブロック5014においてセンサ感度(Sc)を計算するために基準データと共に使用される。
【0417】
プロセス5000の第2の分岐は、ブロック5016においてセンサのインピーダンスを測定することから開始する。インピーダンスは、図13を参照して本出願で議論するピーク電流技法を使用して測定される。次に、決定ブロック5018において、較正が必要であるかが決定される。この実験では、これは決定ブロック5006においてなされるのと同じ決定である。較正が必要であると決定された場合、続いて、ブロック5016で測定されたインピーダンスはフラグが立てられ、且つブロック5020においてインピーダンスIc(インピーダンス較正)として格納される。較正が必要でない場合、プロセス5000は、ブロック5020をスキップし、ブロック5022においてインピーダンスIcとしてフラグが立てられたインピーダンスからインピーダンスの変化を決定し、その変化はこの実験においてはブロック5016において測定されたインピーダンスとインピーダンスIcとの間の差である。(線形或いは非線形の補償アルゴリズムを使用する)補償アルゴリズムは、ブロック5022で決定されたインピーダンスの変化に基づいてブロック5026において感度の変化を計算するために、続いてブロック5024において使用される。
【0418】
プロセス5000の第1及び第2の分岐はブロック5028において合流し、修正感度が決定される。この修正感度は、続いて、電流或いはカウントを単位にするセンサデータをグルコース濃度を単位にする推定グルコース値に変換するために使用される。
【0419】
プロセス5000は、推定グルコース値に変換される各センサデータポイントのために反復される。
【0420】
この実験においては、インピーダンスの補償によるセンサ性能の改良が以下に証明される。センサは、ヒツジ血清中に2日間配置された連続グルコースセンサを使用してテストされた。センサ感度は、1時間及び24時間において計算された。図51においては、較正(1時間或いは24時間)のときに取得されたセンサ感度が、如何なる補正も無しにその日の全体に亘って使用された。図52においては、感度は、図50に示されているプロセスに従い、線形インピーダンス補正を使用して修正された。図53においては、感度は、図50に示されているプロセスに従い、非線形感度インピーダンス相関によって調整された。線形及び非線形補正の両方が改良されたセンサ性能を証明したが、非線形の補正がより良好な結果を生じさせた。
【0421】
本願明細書に開示されるいくつかの実施形態は、連続センサセッションの間に連続的に或いは反復的に刺激信号を印加し、或いは、ピーク電流測定の使用、EIS、その他といった、刺激に関連付けられた出力からの情報を使用し且つ外挿する。ある電気化学的な分析技術が本願明細書に記載されているが、ここで理解されることは本願明細書に記載されているセンサの特性を検出することに代えて、ボルタンメトリ、クロノポテンシオメトリ、電流或いは電位ステップ技法、微分クロノポテンシオメトリ、酸素吸収速度測定、電位/電流スイープ或いはパルス法、その他といった多くの他の技法を使用できることである。
【0422】
この開示は、図面及び前述の説明において詳細に図示され且つ記載されているが、そのような図面及び説明は例証的な或いは例示的なものであって限定的なものではないと考えられる。この開示は、開示された実施形態には限定されない。開示された実施形態に対する変更は、権利を主張する開示を実践する際に、図面、開示及び添付の請求の範囲の研究から、当業者によって理解され且つ遂行されることができる。
【0423】
本願明細書に引用されたすべての参考文献は、その全体が本願明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれる刊行物及び特許或いは特許出願がこの明細書に含まれる開示を否定する範囲において、この明細書が如何なるそのような矛盾材料にも取って代わり及び/又は優先することが意図される。
【0424】
他に定めがない限り、すべての用語(技術的及び科学的な用語を含む)はそれらの通常の及び当業者にとって慣習的な意味が与えられ、且つ本願明細書に明白にそのような定められない限り特別な或いはカスタマイズされた意味に限定されない。ここで留意されるべきことは、特定の用語の使用は、この開示のある特徴或いは態様を記載するときに、その用語が関連付けられるこの開示の特徴或いは態様に特有な特性を含むように、その用語が本願明細書において限定的に再定義されることを意味するものと取られるべきではないことである。この出願において使用される用語や表現、及びその変形は、特に添付の請求の範囲においては、明白に述べない限り、制限とは対照的に開放型であると解釈されるべきである。前述の実施例として、『含む』という用語は『限定無しに、含む』『含むが、それには限定されない』等を意味するものと読まれるべきである;本願明細書で用いる『備える』は『含む』『含有する』『によって特徴付けられる』と同義であって包括的或いは開放的であり、追加の、述べられていない要素或いは方法ステップを除外しない;『有する』という用語は『少なくとも有する』として解釈されるべきである;『含む』という用語は『含むが、これには限定されない』と解釈されるべきである;『実施例』と言う用語は、そのアイテムの例示的な事例をもたらすために用いる用語であり、網羅的な或いは限定するリストではない;『公知の』『正常な』『標準の』という形容詞、及び類似の意味の用語は、記載されている項目を所与の期間に或いは所与の時点において利用可能な項目に限定するものと解釈されるべきではなく、その代わりに現在又は将来の何時でも利用可能な或いは知られている公知の、正常な或いは標準の技術を含むものと読まれるべきある;そして、『好ましくは』『好ましい』『所望の』或いは、『望ましい』及び類似の意味の用語は、その発明の構造或いは機能にとってある特徴が決定的、必須、或いは重要であることを意味するものと理解されるべきではなく、それに代えて、その発明の特定の実施形態において利用され或いは利用されない代わりの或いは追加の特徴を単に強調することが意図されている。同様に、接続詞『及び』によって結びつけられた一群のアイテムは、それらのアイテムのうちの一つがそれぞれ及びすべてグループ化されて存在することを必要とするように読まれるべきではなく、むしろ明示的に述べた場合を除いて『及び/又は』と読まれるべきである。同様に、接続詞『或いは』で結びつけられた一群の項目は、そのグループの中の相互の排他性を必要とするものと読まれるべきではなく、むしろ明示的に述べた場合を除いて『及び/又は』と読まれるべきである。
【0425】
値の範囲が設けられている場合、ここで理解されることは、上限及び下限、及びその範囲の上限と下限との間に入っているそれぞれの値が実施形態の範囲内に包含されることである。
【0426】
実質的に複数及び/又は単数の用語の本願明細書における使用に関して、当業者は、文脈及び/又は適用に対して適切であるように、複数から単数へと及び/又は単数から複数へと翻訳することができる。様々な単一の/複数の入替えは、明確化のために本願明細書において明白に述べることができる。不定冠詞「a」或いは「an」は、複数を除外しない。単一のプロセッサ或いは他のユニットは、請求項に詳述されるいくつかの品目の機能を満たすことができる。ある手段が互いに異なる従属関係の請求項に詳述されるという単なる事実は、これらの手段の組合せが有効に使用できないことを示すものではない。請求項における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されない。
【0427】
当業者によって更に理解されることは、導入された請求項の記載のうち特定の数が意図される場合、そのような意図は請求項に明確に記載され、そのような記載がなければそのような意図は存在しないということである。例えば、理解に対する助けとして、以下の添付の請求の範囲は「少なくとも一つの」及び「一つ又は複数の」という請求項の記載を導入する導入フレーズの使用を含んでいてよい。しかしながら、そのようなフレーズの使用は、同じ請求項が「一つ又は複数の」或いは「少なくとも一つの」という導入フレーズ及び「a」或いは「an」といった不定冠詞を含むときであっても(例えば「a」及び/又は「an」は典型的に、少なくとも一つの」或いは「一つ又は複数である」ということを意味すると解釈される)、不定冠詞「a」或いは「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入された請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、そのような記載のみを含む実施形態に限定することを意味するものと解釈されるべきではない;同じことが、請求項の記載を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。加えて、導入された請求項の記載の特定の数が明確に記載されている場合であっても、そのような記載が、「少なくとも」記載された数を意味するものと典型的に解釈されるべきことを当業者は、理解するであろう(例えば「2つの」という他の修飾がないありのままの記載は、典型的に、「少なくとも2つ」という記載、又は「2つ或いはそれ以上」という記載を意味する)。更にまた「A、B及びC、その他のうちの少なくとも一つ」に類似する表記が用いられている事例においては、一般的に、そのような構成は、当業者がその表記を理解する意味であることが意図される(例えば、「A、B及びCのうち少なくとも一つを有するシステム」は、Aだけ、Bだけ、Cだけ、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、及び/又はA、B及びCを一緒、その他を有するシステムを含むが、それには限定されない)。「A、B、或いはC、その他のうちの少なくとも一つ」に類似する表記が用いられている事例においては、一般的に、そのような構成は、当業者がその表記を理解する意味であることが意図される(例えば、「A、B、或いはCのうち少なくとも一つを有するシステム」は、Aだけ、Bだけ、Cだけ、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、及び/又はA、B、及びCを一緒、その他を有するシステムを含むが、それには限定されない)。更に当業者が理解することは、実質的に任意選言的なワードである及び/又はフレーズは、二つ或いはそれ以上の代わりの用語を示すが、説明、請求の範囲或いは図面のいずれにあるかに関わらず、用語のうちの一つ、用語のうちのいずれか、或いは用語の両方を含むことの可能性を予測するものと理解されるべきである。例えば「A或いはB」というフレーズは、「A」或いは「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解される。
【0428】
明細書において使用される、成分の量、反応条件、その他を表すすべての数は、すべての事例において『約』という用語によって修正されるものと理解されるべきである。従って、特に明記しない限り、本願明細書において述べる数値パラメータは、取得しようとする所望の属性によって変化し得る近似値である。少なくとも、本願に対し優先権を主張する任意の出願における特許請求の範囲に対する均等論の適用の制限を試みようとすることなく、各数値パラメータは有効桁の数及び通常の丸め手法(rounding approaches)を考慮して解釈されるべきである。
【0429】
更にまた、前述のものは明瞭さ及び理解のために例証及び実例として少し詳しく記載したが、いくらかの変更及び修正を実施できることは当業者には明らかである。従って、説明及び実施例は、本願明細書に記載された特定の実施形態及び実施例に本発明の範囲を限定するものとは解釈されず、むしろ本発明の真の範囲及び精神に含まれるすべての修正及び変形例をカバーする。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
【手続補正書】
【提出日】2022-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続検体センサの感度を決定する方法であって、
バイアス電圧を前記検体センサに印加すること、
前記バイアス電圧を上回る電圧ステップを前記検体センサに印加すること、
センサエレクトロニクスを使用して、前記検体センサからの前記電圧ステップの信号応答を測定すること、
センサエレクトロニクスを使用して、前記信号応答のピーク電流を決定すること、
センサエレクトロニクスを使用して、前記ピーク電流をセンサの感度に対する予め定められた関係であって、前記検体センサを使用する期間に少なくとも部分的に基づいている関係に関連付けることにより前記検体センサの感度を決定すること、
センサエレクトロニクスを使用して、前記検体センサから検体濃度を示すセンサデータを受け入れること、及び
センサエレクトロニクスを使用して、前記センサデータ及び前記検体センサの感度に少なくとも部分的に基づく検体濃度の値を決定すること、
を含む方法。
【請求項2】
前記ピーク電流を前記予め定められた関係に関連づけることは、前記ピーク電流に基づいて前記検体センサのインピーダンスを計算すること、及び前記センサインピーダンスを前記予め定められた関係に関連づけること、を含む請求項に記載した方法。
【請求項3】
前記ピーク電流は、前記電圧ステップより前の応答の大きさと前記電圧ステップに起因する最も大きく測定された応答の大きさとの間の差である、請求項に記載した方法。
【請求項4】
前記予め定められた関係はインピーダンスとセンサ感度との関係であり、且つ前記センサの属性は前記センサの感度である、請求項に記載した方法。
【請求項5】
前記予め定められた関係は、前記検体センサを使用する期間に亘って線形な関係である、請求項に記載した方法。
【請求項6】
前記予め定められた関係は、前記検体センサを使用する期間に亘って非線形な関係である、請求項に記載した方法。
【請求項7】
前記予め定められた関係は、前記検体センサに類似するセンサを先行テストすることにより決定される、請求項に記載した方法。
【請求項8】
請求項のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム。
【請求項9】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサにより実行されるときに、請求項のうちの一つに記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項に記載のセンサシステム。
【請求項10】
センサの属性を決定する方法であって、
バイアス電圧を検体センサに印加すること、
前記バイアス電圧を上回る電圧ステップを前記検体センサに印加すること、
前記検体センサから前記電圧ステップの信号応答を測定すること、
前記信号応答のピーク電流を決定すること、及び
前記ピーク電流を検体センサの属性に関連付けて得られる関係に基づいて、前記検体センサの属性を決定すること、
前記検体センサから検体濃度を示すセンサデータを受け入れること、及び
少なくとも決定された前記センサの属性を使用して、前記センサデータを補償すること、
を含む方法。
【請求項11】
前記検体センサの属性を決定することは、前記ピーク電流に基づいて前記検体センサのインピーダンスを計算すること、を含む請求項10に記載した方法。
【請求項12】
前記センサの属性は、前記センサの感度または前記センサの温度である、請求項10に記載した方法。
【請求項13】
前記ピーク電流は、前記電圧ステップより前の応答の大きさと前記電圧ステップに起因する最も大きく測定された応答の大きさとの間の差である、請求項10に記載した方法。
【請求項14】
前記ピーク電流を前記検体センサの属性に関連付けて得られる関係は、前記検体センサを使用する期間に亘って線形な関係である、請求項10に記載した方法。
【請求項15】
前記ピーク電流を前記検体センサの属性に関連付けて得られる関係は、前記検体センサを使用する期間に亘って非線形な関係である、請求項10に記載した方法。
【請求項16】
前記ピーク電流を前記検体センサの属性に関連付けて得られる関係は、前記検体センサに類似するセンサを先行テストすることにより決定される、請求項10に記載した方法。
【請求項17】
請求項10~16のいずれか一項に記載した方法を実施するべく構成されたセンサシステム。
【請求項18】
前記センサシステムは、コンピュータメモリに格納された命令を備え、
前記命令は、前記センサシステムの一つ又は複数のプロセッサにより実行されるときに、請求項10~16のうちの一つに記載した方法を前記センサシステムに実施させる、請求項17に記載のセンサシステム。
【外国語明細書】