(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058676
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】LIV1-ADC及び化学療法剤を用いた併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20220405BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220405BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20220405BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20220405BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220405BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20220405BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220405BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220405BHJP
A61K 38/08 20190101ALN20220405BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20220405BHJP
【FI】
A61K47/68
A61P35/00 ZNA
A61K31/337
A61K31/282
A61P43/00 121
A61K31/704
A61K39/395 T
A61K39/395 L
A61K45/00
A61K38/08
C07K16/18
【審査請求】有
【請求項の数】38
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006944
(22)【出願日】2022-01-20
(62)【分割の表示】P 2018546036の分割
【原出願日】2017-03-15
(31)【優先権主張番号】62/308,639
(32)【優先日】2016-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/317,792
(32)【優先日】2016-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/367,510
(32)【優先日】2016-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503188759
【氏名又は名称】シージェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サスマン,ジアンゴ
(72)【発明者】
【氏名】リー,フー
(72)【発明者】
【氏名】コスティチ,アナ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】LIV-1抗体-薬物複合体及び化学療法剤を投与することにより、癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法を提供する。
【解決手段】癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及び化学療法剤を投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記化学療法剤が、カルボプラチン、ドキソルビシン、及びパクリタキセルのうちの1つである、方法である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及び化学療法剤を投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記化学療法剤が、カルボプラチン、ドキソルビシン、及びパクリタキセルのうちの1つである、方法。
【請求項2】
前記対象が乳癌を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記乳癌が、トリプルネガティブ乳癌、トリプルポジティブ乳癌、HER2陽性乳癌、またはホルモン受容体陽性癌である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象がトリプルネガティブ乳癌を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記対象が、前立腺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膵臓癌、肺癌、子宮頸癌、黒色腫、または扁平上皮癌を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記LIV-1-ADCが、前記対象の体重に基づいて1.5mg/kg~4mg/kgの投薬量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記LIV-1-ADCが、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記LIV-1-ADCが3週間に1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記LIV-1-ADCが静脈注射によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記化学療法剤がカルボプラチンであり、前記カルボプラチンが200mg/m2~750mg/m2の投薬量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記化学療法剤がカルボプラチンであり、前記カルボプラチンが静脈注射によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記化学療法剤がドキソルビシンであり、前記ドキソルビシンが40mg/m2~80mg/m2の投薬量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記化学療法剤がドキソルビシンであり、前記ドキソルビシンが静脈注射によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記化学療法剤がパクリタキセルであり、前記パクリタキセルが100mg/m2~260mg/m2の投薬量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記化学療法剤がパクリタキセルであり、前記パクリタキセルが静脈注射によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にカルボプラチン及びLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)の組合せを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記LIV-1-ADCが、前記対象に3週間に1回、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で経静脈投与され、前記カルボプラチンが300mg/m2の投薬量で投与される、方法。
【請求項17】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にドキソルビシン及びLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)の組合せを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記LIV-1-ADCが、前記対象に3週間に1回、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で経静脈投与され、前記ドキソルビシンが60mg/m2の投薬量で投与される、方法。
【請求項18】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にパクリタキセル及びLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)の組合せを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記LIV-1-ADCが、前記対象に3週間に1回、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で経静脈投与され、前記パクリタキセルが175mg/m2の投薬量で投与される、方法。
【請求項19】
トリプルネガティブ乳癌を有するまたはトリプルネガティブ乳癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及び化学療法剤を投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記化学療法剤が、カルボプラチン、ドキソルビシン、及びパクリタキセルのうちの1つである、方法。
【請求項20】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びトラスツズマブを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、方法。
【請求項21】
前記LIV-1-ADCが、前記対象の体重に基づいて0.5mg/kg~2.8mg/kgの投薬量で投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記LIV-1-ADCが、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記LIV-1-ADCが3週間に1回投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記トラスツズマブが、前記対象の体重に基づいて4mg/kgの初回用量で90分の静脈注入を通じて投与され、次に前記対象の体重に基づいて2mg/kgで30分の静脈注入を通じて投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記トラスツズマブが、前記対象の体重に基づいて8mg/kgの初回用量で90分の静脈注入を通じて投与され、次に前記対象の体重に基づいて6mg/kgで30~90分の静脈注入を通じて投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びトラスツズマブ・エムタンシンを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、方法。
【請求項27】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びペルツズマブを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、方法。
【請求項28】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びチェックポイント阻害剤を投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、方法。
【請求項29】
前記チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体、B7-DC-Fc、LAG3、またはTIM3である、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年3月15日に出願された米国仮出願第62/308,639号、2016年4月4日に出願された米国仮出願第62/317,792号、及び2016年7月27日に出願された米国仮出願第62/367,510号の利益を主張し、これらの開示内容はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照
2017年3月1日に作成された16KBの0710-00313PC配列表ST25.txtと称される配列表が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、LIV1-ADC及び化学療法剤を投与することを含む、癌の治療方法に関する。
【背景技術】
【0004】
LIV-1は、亜鉛トランスポータータンパク質におけるLZT(LIV-1-ZIP亜鉛トランスポーター)サブファミリーのメンバーである。Taylor他、Biochim.Biophys.Acta 1611:16-30(2003)。LIV-1タンパク質のコンピューター解析からは、亜鉛メタロプロテアーゼの触媒的亜鉛結合部位モチーフのコンセンサス配列を適合させる、潜在的なメタロプロテアーゼモチーフが明らかになっている。LIV-1 mRNAは、主に乳房、前立腺下垂体、及び脳組織に発現する。
【0005】
LIV-1タンパク質も、あるいくつかの癌性状態(例えば、乳癌及び前立腺癌)において関与してきた。LIV-1の検出は、エストロゲン受容体陽性乳癌(McClelland他、Br.J.Cancer 77:1653-1656(1998))やこれらの癌の局部リンパ節への転移性拡散に関連するものである。Manninget他、Eur.J.Cancer 30A:675-678(1994)。
【0006】
SGN-LIV1Aは、以下の3つの成分からなるLIV-1指向性抗体-薬物複合体(ADC)である:1)ヒトLIV-1に特異性のヒト化抗体hLIV22、2)微小管阻害薬のモノメチルアウリスタチンE(MMAE)、及び3)MMAEをhLIV22に共有結合させる安定性のリンカー、バリン-シトルリン(vc)。提唱される作用機構(MOA)はSGN-LIV1Aが細胞表面上でLIV-1に結合することによって開始し、次にADCの内面化が生じる。リソソームへの輸送に伴い、送達された薬物(MMAE)がvcリンカーのタンパク質分解を介して放出される。放出された薬物が微小管に結合することで微小管ネットワークを中断させ、細胞周期の抑止及びアポトーシスがもたらされる。
【0007】
SGN-LIV1Aはin vivoで腫瘍体積を減少させることが示されており、現在、フェーズ1臨床試験においてLIV-1陽性転移性乳癌の患者を対象に評価が行われている。しかし、癌療法には改良が必要とされている。本発明は、この問題及びその他の問題を解決する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Taylor他、Biochim.Biophys.Acta 1611:16-30(2003)
【非特許文献2】McClelland他、Br.J.Cancer 77:1653-1656(1998)
【非特許文献3】Manninget他、Eur.J.Cancer 30A:675-678(1994)
【発明の概要】
【0009】
本発明は、癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法を提供する。当該方法は、対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及び化学療法剤を投与することを含む。LIV-1-ADCは、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、化学療法剤は、カルボプラチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、トラスツズマブ、及びmTOR阻害剤のうちの1つである。任意選択により、対象は、前立腺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膵臓癌、肺癌、子宮頸癌、黒色腫、扁平上皮癌、または乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌、トリプルポジティブ乳癌、HER2陽性乳癌、またはホルモン受容体陽性乳癌)を有する。
【0010】
一部の実施形態では、LIV-1-ADCは、対象の体重に基づいて1.5mg/kg~4mg/kgの投薬量で投与される。一実施形態では、LIV-1-ADCは、対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で投与される。一実施形態では、LIV-1-ADCは3週間に1回投与される。一実施形態では、LIV-1-ADCは静脈注射によって投与される。
【0011】
一実施形態では、化学療法剤はカルボプラチンであり、200mg/m2~750mg/m2の投薬量で投与される。一実施形態では、カルボプラチンは静脈注射によって投与される。別の実施形態では、化学療法剤はドキソルビシンであり、40mg/m2~80mg/m2の投薬量で投与される。一実施形態では、ドキソルビシンは静脈注射によって投与される。別の実施形態では、化学療法剤はパクリタキセルであり、100mg/m2~260mg/m2の投薬量で投与される。一実施形態では、パクリタキセルは静脈注射によって投与される。
【0012】
また、本発明は、癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びトラスツズマブ・エムタンシンまたはペルツズマブのいずれかを投与することを含む方法も提供する。LIV-1-ADCは、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む。
本発明はまた、以下に関する。
[項目1]
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及び化学療法剤を投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記化学療法剤が、カルボプラチン、ドキソルビシン、及びパクリタキセルのうちの1つである、方法。
[項目2]
前記対象が乳癌を有する、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記乳癌が、トリプルネガティブ乳癌、トリプルポジティブ乳癌、HER2陽性乳癌、またはホルモン受容体陽性癌である、項目2に記載の方法。
[項目4]
前記対象がトリプルネガティブ乳癌を有する、項目3に記載の方法。
[項目5]
前記対象が、前立腺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膵臓癌、肺癌、子宮頸癌、黒色腫、または扁平上皮癌を有する、項目1に記載の方法。
[項目6]
前記LIV-1-ADCが、前記対象の体重に基づいて1.5mg/kg~4mg/kgの投薬量で投与される、項目1に記載の方法。
[項目7]
前記LIV-1-ADCが、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で投与される、項目1に記載の方法。
[項目8]
前記LIV-1-ADCが3週間に1回投与される、項目1に記載の方法。
[項目9]
前記LIV-1-ADCが静脈注射によって投与される、項目1に記載の方法。
[項目10]
前記化学療法剤がカルボプラチンであり、前記カルボプラチンが200mg/m2~750mg/m2の投薬量で投与される、項目1に記載の方法。
[項目11]
前記化学療法剤がカルボプラチンであり、前記カルボプラチンが静脈注射によって投与される、項目1に記載の方法。
[項目12]
前記化学療法剤がドキソルビシンであり、前記ドキソルビシンが40mg/m2~80mg/m2の投薬量で投与される、項目1に記載の方法。
[項目13]
前記化学療法剤がドキソルビシンであり、前記ドキソルビシンが静脈注射によって投与される、項目1に記載の方法。
[項目14]
前記化学療法剤がパクリタキセルであり、前記パクリタキセルが100mg/m2~260mg/m2の投薬量で投与される、項目1に記載の方法。
[項目15]
前記化学療法剤がパクリタキセルであり、前記パクリタキセルが静脈注射によって投与される、項目1に記載の方法。
[項目16]
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にカルボプラチン及びLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)の組合せを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記LIV-1-ADCが、前記対象に3週間に1回、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で経静脈投与され、前記カルボプラチンが300mg/m2の投薬量で投与される、方法。
[項目17]
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にドキソルビシン及びLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)の組合せを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記LIV-1-ADCが、前記対象に3週間に1回、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で経静脈投与され、前記ドキソルビシンが60mg/m2の投薬量で投与される、方法。
[項目18]
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にパクリタキセル及びLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)の組合せを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記LIV-1-ADCが、前記対象に3週間に1回、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で経静脈投与され、前記パクリタキセルが175mg/m2の投薬量で投与される、方法。
[項目19]
トリプルネガティブ乳癌を有するまたはトリプルネガティブ乳癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及び化学療法剤を投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記化学療法剤が、カルボプラチン、ドキソルビシン、及びパクリタキセルのうちの1つである、方法。
[項目20]
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びトラスツズマブを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、方法。
[項目21]
前記LIV-1-ADCが、前記対象の体重に基づいて0.5mg/kg~2.8mg/kgの投薬量で投与される、項目20に記載の方法。
[項目22]
前記LIV-1-ADCが、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で投与される、項目20に記載の方法。
[項目23]
前記LIV-1-ADCが3週間に1回投与される、項目20に記載の方法。
[項目24]
前記トラスツズマブが、前記対象の体重に基づいて4mg/kgの初回用量で90分の静脈注入を通じて投与され、次に前記対象の体重に基づいて2mg/kgで30分の静脈注入を通じて投与される、項目20に記載の方法。
[項目25]
前記トラスツズマブが、前記対象の体重に基づいて8mg/kgの初回用量で90分の静脈注入を通じて投与され、次に前記対象の体重に基づいて6mg/kgで30~90分の静脈注入を通じて投与される、項目20に記載の方法。
[項目26]
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びトラスツズマブ・エムタンシンを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、方法。
[項目27]
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びペルツズマブを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、方法。
[項目28]
癌を有するまたは癌のリスクがある対象を治療する方法であって、前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びチェックポイント阻害剤を投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、方法。
[項目29]
前記チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体、B7-DC-Fc、LAG3、またはTIM3である、項目28に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態における、MCF-7細胞に対する複数の薬剤の生存率を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態における、MCF-7細胞に対するSGN-LIV1A及びドキソルビシンの効果を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態における、MCF-7細胞に対するSGN-LIV1A及びパクリタキセルの効果を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態における、MCF-7細胞に対するSGN-LIV1A及びゲムシタビンの効果を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態における、MCF-7細胞に対するSGN-LIV1A及びエベロリムスの効果を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態における、SGN-LIV1Aと、ドキソルビシン(左)またはアブラキサン(nab-パクリタキセル)(右)のいずれかとが、NOD Scidガンマ(NSG)マウスの腫瘍成長に及ぼす効果を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態における、SGN-LIV1Aと、カルボプラチン(左)またはシクロホスファミド(右)のいずれかとが、NOD Scidガンマ(NSG)マウスの腫瘍成長に及ぼす効果を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態における、SGN-LIV1Aと、ゲムシタビン(左)またはパクリタキセル(右)のいずれかとが、NOD Scidガンマ(NSG)マウスの腫瘍成長に及ぼす効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
「抗体」という用語は、インタクトな抗体及びその結合断片を含む。典型的には、抗体断片は、ターゲット(別々の重鎖、軽鎖、Fab、Fab’、F(ab’)2、F(ab)c、ダイアボディ、Dab、ナノボディ、及びFvを含む)に対する特異性結合に関して自らが由来したところのインタクトな抗体と競合する。断片は、組換えDNA技法により、またはインタクトな免疫グロブリンの酵素的分離もしくは化学的分離により、生成することができる。「抗体」という用語は、ダイアボディ(ホモダイマーのFv断片)またはミニボディ(VL-VH-CH3)、二重特異性抗体などを含む。二重特異性抗体または二機能性抗体とは、2つの異なる重鎖/軽鎖ペア及び2つの異なる結合部位を有する人工的なハイブリッド抗体である(例えば、Songsivilai及びLachmann、Clin.Exp.Immunol.,79:315-321(1990);Kostelny他、J.Immunol.,148:1547-53(1992)を参照)。「抗体」という用語は、抗体単体(裸の抗体)、または細胞毒性薬物もしくは細胞分裂抑制薬物に結合した抗体を含む。
【0015】
「細胞毒性効果」とは、ターゲット細胞の枯渇、排除、及び/または殺滅を指す。「細胞毒性薬」とは、細胞に細胞毒性効果を及ぼす薬剤を指す。細胞毒性薬は、抗体に結合していても、抗体と組み合わせて投与されてもよい。
【0016】
「細胞分裂抑制効果」とは、細胞増殖を阻害することを指す。「細胞分裂抑制薬」とは、細胞に細胞分裂抑制効果を及ぼして、特定のサブセットの細胞の成長及び/または拡大を阻害する薬剤を指す。細胞分裂抑制薬は、抗体に結合していても、抗体と組み合わせて投与されてもよい。
【0017】
本明細書で使用する「医薬に許容される」という用語は、妥当な医学的評価の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、合理的な利益/リスクの比率に応じてヒト及び動物の組織に接触させるのに適した化合物、物質、組成物、及び/または剤形を指す。「医薬的に適合性の成分」という用語は、抗LIV-1抗体と共に投与される、医薬的に許容される希釈剤、賦形剤、または担体を指す。
【0018】
「医薬的に許容される塩」という表現は、抗LIV-1抗体もしくはその複合体の、または抗LIV-1抗体と共に投与される薬剤の、医薬的に許容される有機塩または無機塩を指す。例示的な塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’メチレンビス-(2ヒドロキシ3ナフトエート))が挙げられる。医薬的に許容される塩は、他の分子(例えば、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオン)を含むことを伴い得る。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化する任意の有機部分または無機部分とすることができる。さらに、医薬的に許容される塩は、その構造内に2つ以上の荷電原子を有することがある。複数の荷電原子が医薬的に許容される塩の一部である場合に、複数の対イオンが生じ得る。したがって、医薬的に許容される塩は、1つ以上の荷電原子及び/または1つ以上の対イオンを有することができる。
【0019】
「有効量」という用語は、対象におけるLIV-1関連障害の1つ以上の臨床的または診断的症状の発生阻害または改善のために十分なLIV-1-ADC(例えば、SGN-LIV1A)の量を指す。薬剤の有効量は、本明細書に記載の方法に従って「有効なレジメン」にて投与される。「有効なレジメン」という用語は、LIV-1占有率を高く維持するために適切な薬剤の量と投薬量頻度の組合せを指し、LIV-1占有率を高く維持することでLIV-1関連障害の治療または防止を遂行することができる。好ましい実施形態では、有効なレジメンは、投与間隔の間、LIV-1発現細胞におけるほぼ完全な(例えば、90%より大きい)LIV-1占有率を維持する。
【0020】
本明細書で使用する「治療」及び「療法」などの用語は、任意の臨床的に望ましいまたは有益な影響につながる、疾患または障害の、治療または抑制の手段を含むことが意図されており、これには以下に限定するものではないが、1つ以上の症状の緩和または軽減、疾患または障害の進行の後退、緩徐化、または休止が含まれる。例えば、治療には、LIV-1発現障害の臨床的または診断的症状の発生後に、対象に抗LIV-1抗体または他のLIV-1結合薬を投与することによる、当該臨床的または診断的症状の減少または排除が含まれる。治療は、症状の重症度、症状の数、または再発の頻度の減少によって証明することができる。
【0021】
注記されている場合を除いて、「対象」または「患者」という用語は互換的に使用され、ヒト患者及び非ヒト霊長類、さらに実験動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、及び他の動物)などの哺乳類を指す。したがって、本明細書で使用する「対象」または「患者」という用語は、本発明のLIV-1結合薬が投与され得る任意の哺乳類の患者(患畜)または対象を意味する。好ましい実施形態では、対象または患者という用語は、ヒト患者を指すために使用される。本発明の対象にはLIV-1発現癌と診断された対象が含まれ、LIV-1発現癌には、例えば、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膵臓癌、肺癌、子宮頸癌、黒色腫、または扁平上皮癌が含まれる。あるいくつかの実施形態では、対象は難治性または再発型のLIV-1発現癌を有することになる。
【0022】
1つ以上の列挙された要素を「含む」組成物または方法は、具体的に列挙されていない他の要素を含んでもよい。例えば、抗体を含む組成物は、抗体を単体で含有しても他の成分との組合せで含有してもよい。
【0023】
値範囲の指示は、範囲内のまたは定義範囲の全ての整数を含む。
【0024】
本明細書で使用する「約」という用語は、指定された値のプラスまたはマイナス10%というおよその範囲を示す。例えば、「約20%」という語は18~22%の範囲を包含する。本明細書で使用する約は正確な量も含む。したがって、「約20%」は「約20%」も「20%」も意味する。
【0025】
I.概要
本発明は、癌、とりわけ乳癌を治療する方法を提供する。発明者らは、2つの異なるクラスの抗癌化合物:抗体-薬物複合体化合物及び化学療法薬を用いた併用療法が、癌にかかっている対象に対する治療的利益を向上させ得ることを発見した。詳細には、発明者らは、(1)アウリスタチン化合物に結合した抗LIV-1抗体及び(2)化学療法薬を用いた併用療法が、癌の治療で相乗的治療効果をもたらすことを見いだした。
【0026】
II.LIV-1-ADC
別段の指示がない限り、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)は、細胞毒性薬に結合したヒトLIV-1タンパク質に特異的な抗体を含む。例示的なヒトLIV-1配列は、Swiss Protアクセッション番号Q13433に割り当てられている。Q13433は、本明細書では配列番号1として含まれている。3つのバリアントアイソフォーム及び1つの多型が知られている。ヒトLIV-1タンパク質の第2のバージョンであるアクセッション番号AAA96258.2は、本明細書では配列番号2として含まれている。4つの細胞外ドメインは、それぞれQ13433の残基29~325、377~423、679~686、及び746~755によって結合している。
【0027】
SGN-LIV1Aは、薬物リンカーvcMMAE(モノメチルアウリスタチンE及びバリン-シトルリンリンカー)をヒト化抗体hLIV22に結合することによって生成されるLIV-1指向性抗体-薬物複合体(ADC)である。hLIV22はマウスBR2-22a抗体のヒト化形態であり、米国特許第9,228,026号に記載されている。hLIV22抗体は、実験誤差範囲内で本質的にBR2-22aと同じであり、7つの復帰突然変異を含有する。hLIV22抗体を作製する方法も米国特許第9,228,026号で開示されている。hLIV22の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号3として提供されている。hLIV22の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号4として提供されている。薬物リンカーvcMMAE(以下に示す;また1006とも呼ばれる)の合成及び結合は、米国特許第9,228,026号及び米国特許公開第20050238649号でさらに記載されている。
【化1】
【0028】
III.化学療法薬及びLIV-1-ADCの併用療法
癌は、SGN-LIV1A及び化学療法薬の組合せを用いて治療することができる。化学療法薬とは、カルボプラチン、ドキソルビシンまたはパクリタキセル、トラスツズマブ、チェックポイント阻害剤、またはmTOR阻害剤(例えば、エベロリムス)のいずれかである。カルボプラチン(PARAPLATIN(登録商標);Bristol Myers Squibb,New York,NY)はアルキル化薬である。ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、RUBEX(登録商標)、DOXIL(登録商標)、MYOCEL(登録商標)、またはCAELYX(登録商標))は、抗悪性腫瘍活性を有するアントラサイクリン抗生剤である。パクリタキセル(ABRAXANE(登録商標);Celgene,Summit,NJ)は、微小管分解を阻害するタキサンである。トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標);Genentech,South San Francisco,CA)は、HER2受容体に結合するモノクローナル抗体である。チェックポイント阻害剤(免疫チェックポイントをブロックする阻害剤)の例としては、抗PD-1抗体(例えば、MEDI0680、AMP-224、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、及びピディリズマブ)、抗PD-L1抗体(例えば、MEDI4736及びMPDL3280A)、及び抗CTLA4抗体(例えば、イピリムマブ及びトレメリムマブ)が挙げられる。他のチェックポイント阻害剤/活性剤としては、B7-DC-Fc、LAG3、及びTIM3が挙げられる。
【0029】
SGN-LIV1A及び化学療法薬の組合せは、癌細胞の成長を阻害すると同時に対象が許容するレベルにおいて、対象に投与することができる。一実施形態では、当該組合せの投与は、化学療法薬単体の投与によって引き起こされる毒性効果を減少する。一部の実施形態では、SGN-LIV1A及び化学療法薬の組合せは相乗的または相加的である。一部の組合せに関しては、組合せ中の各薬剤は、単体で投与される場合よりも低いレベルで有効に投与され得る。
【0030】
上で論じたように、本発明の併用療法は、癌の治療に使用することができる。このような癌の一部は、タンパク質レベル(例えば、例示された抗体の1つを用いたイムノアッセイによって)またはmRNAレベルのいずれかでの測定において、検出可能なLIV-1レベルを示す。このような癌の一部は、同じタイプの、好ましくは同じ患者からの非癌性組織に比べて高いLIV-1レベルを示す。治療が適用可能な癌細胞における例示的なLIV-1レベルは、細胞当たり5000~150000LIV-1分子であるが、これより高いレベルであっても低いレベルであっても治療され得る。任意選択により、癌におけるLIV-1レベルは、治療実施前に測定される。
【0031】
LIV-1発現に関連し、本発明の併用療法を用いた治療が適用可能な癌の例としては、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膵臓癌、子宮頸癌、肝臓癌、胃癌、腎臓癌、及び扁平上皮癌(例えば、膀胱、頭部、頸部、及び肺)、皮膚癌(例えば、黒色腫)、小細胞肺癌、または肺カルチノイドが挙げられる。当該治療は、これらの種類の原発性または転移性の腫瘍を有する患者に適用することができる。また、当該治療は、従来の治療(例えば、乳癌についてはホルモン、タモキシフェン、HERCEPTIN(登録商標))に対して難治性の患者や、このような治療に応答した後に再発した患者にも適用することができる。また、当該方法は、トリプルネガティブ乳癌に使用することもできる。トリプルネガティブ乳癌は、検出可能なエストロゲン受容体及びプロゲステロン受容体が欠如しており、例えば本実施例に記載のように、これらの受容体のいずれかに対する抗体で染色した場合にHER2/neuの過剰発現が欠如している癌を指す専門用語である。また、当該方法は、トリプルポジティブ乳癌、ホルモン受容体陽性乳癌、及びHER2陽性乳癌に使用することもできる。染色は、無関係な対照抗体に対して実施することができ、発現の欠如は、実験誤差の範囲内で対照と同じまたは同様である染色のバックグラウンドレベルから示される。同様に、過剰発現の欠如は、実験誤差の範囲内で非癌性乳房組織(好ましくは同じ患者から得られたもの)と同じまたは同様のレベルでの染色によって示される。代替または追加として、トリプルネガティブ乳癌は、これらの受容体と相互作用するホルモンへの応答性の欠如、攻撃的な挙動、及び独特の転移パターンによって特徴づけられる。
【0032】
一部の実施形態では、SGN-LIV1A及び化学療法薬は、当該組合せが患者におけるLIV-1関連癌の治療において相乗的または相加的な効果をもたらすように投与される。投与は、所望の治療効果をもたらすのであれば、任意の好適な手段によって行うことができる。好ましい実施形態では、SGN-LIV1A及び化学療法薬は、同じ治療サイクル中に、例えば1治療サイクル中、例えば3週間または4週間の期間中に投与される。
【0033】
SGN-LIV1A及び化学療法薬は、有効なレジームで、すなわち、発症を遅らせ、重症度を低減し、さらなる悪化を阻害し、かつ/または少なくとも1つの癌の徴候もしくは症状を改善する投薬量、投与経路、及び投与頻度で、投与される。患者が既に癌にかかっている場合、当該レジームを治療有効レジームと呼ぶことができる。患者が一般集団に比べて癌のリスクが高いがまだ症状を経験していない場合、当該レジームを予防有効レジームと呼ぶことができる。場合によっては、治療有効性または予防有効性は、個々の患者について、歴史的対照または同じ患者における過去の経験と比較して観察され得る。他の場合には、治療有効性または予防有効性は、前臨床試験または臨床試験において、治療する患者の集団を治療しない患者の対照群と比較して実証され得る。
【0034】
SGN-LIV1Aの例示的な投薬量は、患者の体重に基づいて0.1mg/kg~50mg/kg、より典型的には、1mg/kg~30mg/kg、1mg/kg~20mg/kg、1mg/kg~15mg/kg、1mg/kg~12mg/kg、1mg/kg~10mg/kg1、2mg/kg~30mg/kg、2mg/kg~20mg/kg、2mg/kg~15mg/kg、2mg/kg~12mg/kg、2mg/kg~10mg/kg、3mg/kg~30mg/kg、3mg/kg~20mg/kg、3mg/kg~15mg/kg、3mg/kg~12mg/kg、または3mg/kg~10mg/kgである。一部の方法では、患者は少なくとも1.5mg/kg、少なくとも2mg/kg、または少なくとも3mg/kgの用量を投与され、3週間またはそれ以上に1回投与される。一実施形態では、患者は2.5mg/kgの用量を投与される。さらなる実施形態では、患者は2.5mg/kgの用量を投与され、3週間に1回投与される。投薬量は、因子の中でも特に、投与頻度、患者の状態、治療前の応答(ある場合)、治療が予防的であるか治療的であるか、及び障害が急性であるか慢性であるかに依存する。
【0035】
カルボプラチンとの組合せにおいて、SGN-LIV1Aは0.5mg/kgから6mg/kgの間の用量で投与される。当該組合せにおけるSGN-LIV1Aの他の適切な用量範囲は、1mg/kg~5mg/kg、及び2mg/kg~3mg/kgである。一実施形態では、SGN-LIV1Aはカルボプラチンとの組合せにおいて2.5mg/kgの用量で投与される。SGN-LIV1Aとの組合せにおいて、カルボプラチンは100mg/m2から950mg/m2の間の用量で投与される。当該組合せにおけるカルボプラチンの他の適切な用量範囲は、200mg/m2~750mg/m2、及び300mg/m2~600mg/m2である。一実施形態では、カルボプラチンはSGN-LIV1Aとの組合せにおいて300mg/m2の用量で投与される。別の実施形態では、カルボプラチンはSGN-LIV1Aとの組合せにおいてAUC6静注の用量で投与される。
【0036】
ドキソルビシンとの組合せにおいて、SGN-LIV1Aは0.5mg/kgから6mg/kgの間の用量で投与される。当該組合せにおけるSGN-LIV1Aの他の適切な用量範囲は、1mg/kg~5mg/kg、及び2mg/kg~3mg/kgである。一実施形態では、SGN-LIV1Aはドキソルビシンとの組合せにおいて2.5mg/kgの用量で投与される。SGN-LIV1Aとの組合せにおいて、ドキソルビシンは30mg/m2から90mg/m2の間の用量で投与される。当該組合せにおけるドキソルビシンの他の適切な用量範囲は、40mg/m2~80mg/m2、及び60mg/m2~75mg/m2である。一実施形態では、ドキソルビシンはSGN-LIV1Aとの組合せにおいて60mg/m2の用量で投与される。
【0037】
パクリタキセルとの組合せにおいて、SGN-LIV1Aは0.5mg/kgから6mg/kgの間の用量で投与される。当該組合せにおけるSGN-LIV1Aの他の適切な用量範囲は、1mg/kg~5mg/kg、及び2mg/kg~3mg/kgである。一実施形態では、SGN-LIV1Aはパクリタキセルとの組合せにおいて2.5mg/kgの用量で投与される。SGN-LIV1Aとの組合せにおいて、パクリタキセルは50mg/m2から300mg/m2の間の用量で投与される。当該組合せにおけるパクリタキセルの他の適切な用量範囲は、100mg/m2~260mg/m2、及び135mg/m2~175mg/m2である。一実施形態では、パクリタキセルはSGN-LIV1Aとの組合せにおいて175mg/m2の用量で投与される。別の実施形態では、パクリタキセルはSGN-LIV1Aとの組合せにおいて80mg/m2の用量で投与される。
【0038】
トラスツズマブとの組合せにおいて、SGN-LIV1Aは0.5mg/kgから2.8mg/kgの間の用量で投与される。一実施形態では、SGN-LIV1Aはトラスツズマブとの組合せにおいて1mg/kgから2.8mg/kgの間の用量で投与される。別の実施形態では、SGN-LIV1Aはトラスツズマブとの組合せにおいて2.5mg/kgの用量で投与される。一実施形態では、SGN-LIV1Aは1週間に1回投与される。一実施形態では、SGN-LIV1Aは3週間に1回投与される。一実施形態では、SGN-LIV1Aとの組合せにおいて、トラスツズマブは8mg/kgの初回用量で90分の静脈注入を通じて投与され、次に6mg/kgが30~90分の静脈注入を通じて投与される。さらなる実施形態では、6mg/kgの30~90分にわたる静脈注入は、3週間ごとに投与される。さらなる実施形態では、6mg/kgの30~90分にわたる静脈注入は、3週間ごとに52週間投与される。別の実施形態では、SGN-LIV1Aとの組合せにおいて、トラスツズマブは4mg/kgの初回用量で90分の静脈注入を通じて投与され、次に2mg/kgが30分の静脈注入を通じて投与される。さらなる実施形態では、2mg/kgの30分にわたる静脈注入は、1週間に1回投与される。さらなる実施形態では、2mg/kgの30分にわたる静脈注入は、1週間に1回、52週間投与される。
【0039】
チェックポイント阻害剤との組合せにおいて、SGN-LIV1Aは0.5mg/kgから2.8mg/kgの間の用量で投与される。一実施形態では、SGN-LIV1Aはトラスツズマブとの組合せにおいて1mg/kgから2.8mg/kgの間の用量で投与される。別の実施形態では、SGN-LIV1Aはトラスツズマブとの組合せにおいて2.5mg/kgの用量で投与される。一実施形態では、SGN-LIV1Aは1週間に1回投与される。一実施形態では、SGN-LIV1Aは3週間に1回投与される。
【0040】
SGN-LIV1A、カルボプラチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、トラスツズマブ、またはmTOR阻害剤の投与は、非経口、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、髄腔内、腹腔内、局所、鼻腔内、または筋肉内とすることができる。一実施形態では、SGN-LIV1Aは腹腔内注射によって投与される。別の実施形態では、SGN-LIV1Aは静脈注射によって投与される。別の実施形態では、カルボプラチンは静脈注射によって投与される。別の実施形態では、パクリタキセルは静脈注射によって投与される。別の実施形態では、ドキソルビシンは静脈注射によって投与される。投与は、直接腫瘍内に局在化することもできる。静脈内または皮下の投与による体循環への投与が好ましい。静脈内投与は、例えば、30~90分などの期間にわたる注入、または単回ボーラス注射によるものとすることができる。
【0041】
当該組合せにおける各薬剤(SGN-LIV1A、カルボプラチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、トラスツズマブ、またはmTOR阻害剤)の投与頻度は、因子の中でも特に、循環における半減期、患者の状態、及び投与経路に依存する。頻度は、患者の状態の変化または治療する癌の進行に応じて、1日1回、週に1回、月に1回、年に4回、または不規則な間隔とすることができる。静脈内投与の例示的な頻度は、継続的な治療期間を通じて週に2回から年に4回の間であるが、これより高いまたは低い頻度の投薬も可能である。静脈内投与の他の例示的な頻度は、継続的な治療期間を通じて週に1回から4週間に3回の間であるが、これより高いまたは低い頻度の投薬も可能である。一実施形態では、当該組合せの一方または両方の薬剤は、3週間に1回投与される。別の実施形態では、当該組合せの一方または両方の薬剤は、4週間に1回投与される。皮下投与に関しては、例示的な投薬頻度は1日に1回~月に1回であるが、これより高いまたは低い頻度の投薬も可能である。
【0042】
投与するSGN-LIV1Aの投薬回数は、癌の性質(例えば、急性の症状を示すか慢性の症状を示すか)及び障害の当該治療への応答に依存する。急性障害または慢性障害の急性憎悪に関しては、1用量から10用量の間が十分であることが多い。時として、単回ボーラス用量(任意選択により分割形態)は、急性障害または慢性障害の急性憎悪に対して十分である。急性障害または急性憎悪の再発に対して治療を繰り返してもよい。慢性障害に関しては、抗体は規則的な間隔、例えば、週に1回、隔週に1回、月に1回、年に4回、6ヵ月に1回を少なくとも1年、5年、または10年間、あるいは患者の一生を通して、投与することができる。
【0043】
非経口投与用のSGN-LIV1Aの医薬組成物は、好ましくは、無菌であり、実質的に等張であり、GMP条件下で製造される。医薬組成物は、単位剤形(すなわち、単回投与用の投薬)で提供することができる。医薬組成物は、1つ以上の生理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、または助剤を用いて製剤化することができる。製剤は、選択する投与経路に依存する。注射に関しては、SGN-LIV1Aは水性溶液に製剤化することができ、好ましくは、ハンクス液、リンガー液、または生理食塩水もしくは酢酸緩衝液などの生理学的に適合性の緩衝液(注射部位の不快感を低減するため)に製剤化することができる。当該溶液は、懸濁剤、安定剤、及び/または分散剤などの製剤化薬剤を含有してもよい。代替方法として、SGN-LIV1Aは凍結乾燥形態をとって、使用前に好適な担体(例えば、無菌のパイロジェンフリー水)を用いて構成することができる。液体製剤中のSGN-LIV1A濃度は、例えば1~100mg/ml(例えば10mg/ml)とすることができる。
【0044】
本発明の併用療法を用いた治療は、さらに、追加の化学療法、放射線、幹細胞治療、手術、治療する障害に有効な他の治療と組み合わせることができる。本発明の併用療法と共に投与することができる有用な他の薬剤クラスとしては、例えば、癌性細胞で発現する他の受容体に対する抗体(これにはHER2受容体に対する他の抗体(例えば、ラスツズマブ(rastuzumab)・エムタンシン(KADCYLA(登録商標)、Genentech、South San Francisco、CA)、抗チューブリン薬(例えば、アウリスタチン)、ペルツズマブ(PERJETA(登録商標)、Genentech、South San Francisco、CA)が含まれる)、または他の抗体薬物複合体(例えば、サシツズマブ・ゴビテカン)、チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1、抗PD-L1)、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、アルキル化薬(例えば、シス-プラチン、モノ(白金)、ビス(白金)、及び三核白金錯体などの白金錯体ならびにカルボプラチン)、アントラサイクリン、抗生剤、抗葉酸剤、抗代謝剤、化学療法増感剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン、ニトロソウレア、プラチノール、予形成化合物、プリン抗代謝剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイドなどが挙げられる。
【0045】
本発明の併用療法を用いた治療は、腫瘍(例えば、乳房、前立腺、黒色腫)を有する患者の進行なしの生存期間中央値または全体の生存期間を、特に再発性または難治性の場合において、本発明の併用療法を伴わない同じ治療(例えば、化学療法)と比べて、少なくとも30%または40%、ただし好ましくは50%、60%から70%、またはさらに100%もしくはそれより長く増加させることができる。追加または代替として、本発明の併用療法を含めた治療(例えば、標準的な化学療法)は、腫瘍を有する患者の完全奏効率、部分奏効率、または客観的奏効率(完全+部分)を、本発明の併用療法を伴わない同じ治療(例えば、化学療法)と比べて、少なくとも30%または40%、ただし好ましくは50%、60%から70%、またはさらに100%増加させることができる。
【0046】
上記または下記の全ての特許出願、ウェブサイト、他の刊行物、アクセッション番号などは、各個々の項目が具体的かつ個々に参照により組み込まれていることが示されている場合と同じ程度に、その全体が参照により全ての目的のために組み込まれる。異なるバージョンの配列が異なる時期にアクセッション番号と関連付けられている場合は、本出願の有効な出願日においてアクセッション番号に関連付けられたバージョンが意図されている。有効な出願日とは、該当する場合、アクセッション番号に言及している実際の出願日または優先権出願日のうちのより早い方を意味する。同様に、異なるバージョンの刊行物、ウェブサイトなどが異なる時期に公表されている場合、別段の指示がない限り、本出願の有効な出願日の最も直近に公表されたバージョンが意図されている。本発明における任意の特徴、ステップ、要素、実施形態、または態様は、別段の明確な指示がない限り、任意の他のものと組み合わせて使用することができる。本発明について、明快性のために説明及び例としてある程度詳細に記載してきたが、付属の請求項の範囲内で、あるいくつかの変更及び改変が実施されてもよいことは明白であると考えられる。
【0047】
実施例
以下の実施例は例示のために提供するものであり、特許請求対象の発明を制限するためのものではない。
【0048】
I.in vitroの細胞毒性アッセイ及び組合せアッセイ
材料
ドセタキセル、パクリタキセル、ドキソルビシン、ゲムシタビン、及びNVP-BEZ235をLC Laboratories(Woburn,MA)から購入し、in vitroアッセイ用にDMSO中で再構成した。シクロホスファミドをSelleckchem(Houston,TX)から購入した。SGN-LIV1Aを抗体当たり平均4MMAEと結合させた。米国特許第9,228,026号は、vcMMAEとhLIV22との結合方法についてさらに開示している。
【0049】
アッセイ
MCF-7(乳癌)細胞をATCCから入手した。アッセイの1日前に、MCF-7細胞を96ウェルプレートにおいてウェル当たり2000細胞の密度で、10%ウシ胎児血清及び0.01μg/mLのインシュリンを追加したアール最小必須培地中にプレーティングした。
【0050】
次に、in vitro細胞毒性アッセイを使用して、MCF-7細胞における各薬物の活性を決定した。簡潔に述べると、示された薬物を滴定の濃度で用いて120時間細胞をインキュベートした。各薬物における生存率をCell-titer Glo(Promega,Wisconsin)を用いて測定した(
図1、上)。別のアッセイでは、SGN-LIV1A(hLIV22-vcMMAE)における生存率もCell-titer Gloを用いて測定した(
図1、下)。
【0051】
次の日に、SGN-LIV1Aと、以下薬剤のうちの1つ:ドセタキセル、パクリタキセル、ドキソルビシン、ゲムシタビン、NVP-BEZ235、エベロリムス、またはシクロホスファミド、との組合せを細胞に添加し、5% CO2のインキュベーター内に37℃で120時間保管した。次に、細胞をCell Titer Glo(Promega;Seattle,WA)で60分間溶解してから、Envisionプレートリーダー(PerkinElmer;Waltham,MA)上で生存率を決定した。
【0052】
組合せ指数(CI)を評価するため、SGN-LIV1A、ドキソルビシン、ゲムシタビン、及びパクリタキセルを、それらのED50濃度で、または2倍高いもしくは低い濃度で合わせて、10ポイントのデータセットを得た。CalcuSynソフトウェア(Biosoft;Cambridge,UK)を用いて、CI値を決定した。このソフトウェアは、Chou and Talalayによって説明される半数影響(Median Effect)法を用いて、多剤の用量効果の計算を実施する。Chou TC(2010)を参照。薬剤組合せの研究及び組合せの相乗作用の定量化を、Chou-Talalay法を用いて実施した。Cancer Res 70:440-446。下記の表1で結果を示す。
【表1】
【0053】
表1及び
図2は、SGN-LIV1A及びドキソルビシンが、それぞれのED50及びED75の濃度では中程度に相乗的であり(CI<1)、ED90の濃度ではわずかに拮抗的であったことを示している。表1及び
図3は、SGN-LIV1A及びパクリタキセルが、ED50の濃度では非常に相乗的であったが、ED75またはED90では拮抗的であったことを示している。表1及び
図4は、SGN-LIV1A及びゲムシタビンが、ED50濃度では相乗的であったが、ED75またはED90の濃度では相乗的でなかったことを示している。表1及び
図5は、SGN-LIV1A及びエベロリムスが、ED50、ED75、及びED90の濃度で相乗的であったことを示している。
II.in vivoアッセイ
【0054】
NOD Scidガンマ(NSG)マウスをJackson Laboratoryから入手し、細胞移植の1日前に、17-β-エストラジオールペレット(Innovative Research of America;Sarasota,FL)を移植した。500万個のMCF-7細胞をMatrigel(BD Biosciences;Franklin Lakes,NJ)と共に皮下に移植し、式:体積=1/2×長さ 幅2を用いて、週に2回、デジタルキャリパーによって腫瘍体積を決定した。
【0055】
マウスは、平均腫瘍体積が100mm
3に達したときに治療を受けた。各薬剤の治療レジメンは以下の通りであった:ドキソルビシン、1mg/kg、q4d×3、静脈内(IV);SGN-LIV1、1mg/kg、q4d×4、腹腔内(IP);nab-パクリタキセル(ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)、20mg/kg、q4d×3、IP;カルボプラチン、10mg/kg、q7d×3、IP;シクロホスファミド、40mg/kg、q7d×3、IV;ゲムシタビン、20mg/kg、q7d×2、IP;及びパクリタキセル、10mg/kg、q3d×5、IP。組合せ群に対し、第1の用量のSGN-LIV1A及び組合せ薬物を同じ日に投与した。各群につきn=6。各薬物及びそれらの組合せが腫瘍成長に及ぼす効果を、
図6~8にプロットした。
【0056】
組合せの利益をin vivoで決定するため、動物を安楽死させた日における未治療群、単剤群、及び組合せ群の間の曲線下面積を用いて、腫瘍成長阻害(TGI)を比較した(表2)。以下の式をTGIの計算に使用した:TGI=1-AUC
薬物x/AUC
未治療。したがって、組合せについての予測相加的TGIは(1-TGI
薬物x)×(1-TGI
薬物y)である。組合せ群のTGIが予測TGIよりも10%大きい場合、当該組合せレジメンはin vivoで相乗的であると考えられる。表2のデータは、ドキソルビシン、10mg/kgのnab-パクリタキセル、及びカルボプラチンが高い組合せの利益をもたらすことを示している。さらに、20mg/kgのゲムシタビン及び20mg/kgのnab-パクリタキセルは、SGN-LIV1Aと組み合わせた場合にほぼ相加的であることが見いだされた。
【表2】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)を含む医薬組成物であって、前記医薬組成物はチェックポイント阻害剤と組み合わせた使用のためのものであり、前記使用はLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びチェックポイント阻害剤を前記対象に投与することを含み、前記LIV-1-ADCはvcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、前記医薬組成物。
【請求項2】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びチェックポイント阻害剤を含む医薬組成物であって、前記使用はLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びチェックポイント阻害剤を前記対象に投与することを含み、前記LIV-1-ADCはvcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、前記医薬組成物。
【請求項3】
前記チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体、B7-DC-Fc、LAG3、またはTIM3である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記チェックポイント阻害剤が、MEDI0680、AMP-224、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、MEDI4736、MPDL3280A、イピリムマブ、及びトレメリムマブからなる群から選択される、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記チェックポイント阻害剤が、ペムブロリズマブである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)を含む医薬組成物であって、前記医薬組成物はトラスツズマブと組み合わせた使用のためのものであり、前記使用はLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びトラスツズマブを前記対象に投与することを含み、前記LIV-1-ADCはvcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、前記医薬組成物。
【請求項7】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びトラスツズマブを含む医薬組成物であって、前記使用はLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びトラスツズマブを前記対象に投与することを含み、前記LIV-1-ADCはvcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、前記医薬組成物。
【請求項8】
前記トラスツズマブが、前記対象の体重に基づいて4mg/kgの初回用量で90分の静脈注入を通じて投与され、次に前記対象の体重に基づいて2mg/kgで30分の静脈注入を通じて投与される、請求項6または7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記トラスツズマブが、前記対象の体重に基づいて8mg/kgの初回用量で90分の静脈注入を通じて投与され、次に前記対象の体重に基づいて6mg/kgで30~90分の静脈注入を通じて投与される、請求項6または7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)を含む医薬組成物であって、前記医薬組成物はトラスツズマブ・エムタンシンと組み合わせた使用のためのものであり、前記使用は前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びトラスツズマブ・エムタンシンを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、前記医薬組成物。
【請求項11】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びトラスツズマブ・エムタンシンを含む医薬組成物であって、前記使用は前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びトラスツズマブ・エムタンシンを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、前記医薬組成物。
【請求項12】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)を含む医薬組成物であって、前記医薬組成物はペルツズマブと組み合わせた使用のためのものであり、前記使用は前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びペルツズマブを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、前記医薬組成物。
【請求項13】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びペルツズマブを含む医薬組成物であって、前記使用は前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びペルツズマブを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含む、前記医薬組成物。
【請求項14】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)を含む医薬組成物であって、前記医薬組成物は化学療法剤と組み合わせた使用のためのものであり、前記使用は前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及び化学療法剤を投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記化学療法剤が、カルボプラチン、ドキソルビシン、及びパクリタキセルのうちの1つである、前記医薬組成物。
【請求項15】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及び化学療法剤を含む医薬組成物であって、前記使用は前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及び化学療法剤を投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記化学療法剤が、カルボプラチン、ドキソルビシン、及びパクリタキセルのうちの1つである、前記医薬組成物。
【請求項16】
前記化学療法剤がカルボプラチンであり、前記カルボプラチンが200mg/m2~750mg/m2の投薬量で投与される、請求項14または15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記化学療法剤がカルボプラチンであり、前記カルボプラチンが静脈注射によって投与される、請求項14~16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記化学療法剤がドキソルビシンであり、前記ドキソルビシンが40mg/m2~80mg/m2の投薬量で投与される、請求項14または15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記化学療法剤がドキソルビシンであり、前記ドキソルビシンが静脈注射によって投与される、請求項14、15、及び18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記化学療法剤がパクリタキセルであり、前記パクリタキセルが100mg/m2~260mg/m2の投薬量で投与される、請求項14または15に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記化学療法剤がパクリタキセルであり、前記パクリタキセルが静脈注射によって投与される、請求項14、15、及び20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記対象が乳癌を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記乳癌が、トリプルネガティブ乳癌、トリプルポジティブ乳癌、HER2陽性乳癌、またはホルモン受容体陽性癌である、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記対象がトリプルネガティブ乳癌を有する、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記対象が、前立腺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膵臓癌、肺癌、子宮頸癌、黒色腫、または扁平上皮癌を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記LIV-1-ADCが、前記対象の体重に基づいて1.5mg/kg~4mg/kgの投薬量で投与される、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記LIV-1-ADCが、前記対象の体重に基づいて0.5mg/kg~2.8mg/kgの投薬量で投与される、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記LIV-1-ADCが、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で投与される、請求項1~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記LIV-1-ADCが3週間毎に1回投与される、請求項1~28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記LIV-1-ADCが静脈注射によって投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)を含む医薬組成物であって、前記医薬組成物はカルボプラチンと組み合わせた使用のためのものであり、前記使用は前記対象にカルボプラチン及びLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)の組み合わせを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記LIV-1-ADCが、前記対象に3週間毎に1回、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で経静脈投与され、前記カルボプラチンが300mg/m2の投薬量で投与される、前記医薬組成物。
【請求項32】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びカルボプラチンを含む医薬組成物であって、前記使用は前記対象にカルボプラチン及びLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)を投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記LIV-1-ADCが、前記対象に3週間毎に1回、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で経静脈投与され、前記カルボプラチンが300mg/m2の投薬量で投与される、前記医薬組成物。
【請求項33】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)を含む医薬組成物であって、前記医薬組成物はドキソルビシンと組み合わせた使用のためのものであり、前記使用は前記対象にドキソルビシン及びLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)の組み合わせを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記LIV-1-ADCが、前記対象に3週間毎に1回、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で経静脈投与され、前記ドキソルビシンが60mg/m2の投薬量で投与される、前記医薬組成物。
【請求項34】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びドキソルビシンを含む医薬組成物であって、前記使用は前記対象にドキソルビシン及びLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)の組み合わせを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記LIV-1-ADCが、前記対象に3週間毎に1回、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で経静脈投与され、前記ドキソルビシンが60mg/m2の投薬量で投与される、前記医薬組成物。
【請求項35】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)を含む医薬組成物であって、前記医薬組成物はパクリタキセルと組み合わせた使用のためのものであり、前記使用は前記対象にパクリタキセル及びLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)の組み合わせを投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記LIV-1-ADCが、前記対象に3週間毎に1回、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で経静脈投与され、前記パクリタキセルが175mg/m2の投薬量で投与される、前記医薬組成物。
【請求項36】
癌を有するまたは癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及びパクリタキセルを含む医薬組成物であって、前記使用は前記対象にパクリタキセル及びLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)を投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記LIV-1-ADCが、前記対象に3週間毎に1回、前記対象の体重に基づいて2.5mg/kgの投薬量で経静脈投与され、前記パクリタキセルが175mg/m2の投薬量で投与される、前記医薬組成物。
【請求項37】
トリプルネガティブ乳癌を有するまたはトリプルネガティブ乳癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)を含む医薬組成物であって、前記医薬組成物は化学療法剤と組み合わせた使用のためのものであり、前記使用は前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及び化学療法剤を投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記化学療法剤が、カルボプラチン、ドキソルビシン、及びパクリタキセルのうちの1つである、前記医薬組成物。
【請求項38】
トリプルネガティブ乳癌を有するまたはトリプルネガティブ乳癌のリスクがある対象の治療における使用のための、LIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及び化学療法剤を含む医薬組成物であって、前記使用は前記対象にLIV-1抗体薬物複合体(LIV-1-ADC)及び化学療法剤を投与することを含み、前記LIV-1-ADCが、vcMMAE(バリン-シトルリン-モノメチルアウリスタチンE)に結合したヒト化hLIV22抗体を含み、前記化学療法剤が、カルボプラチン、ドキソルビシン、及びパクリタキセルのうちの1つである、前記医薬組成物。