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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058718
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】反転型の経カテーテル的弁とその方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20220405BHJP
   A61F 2/962 20130101ALI20220405BHJP
【FI】
A61F2/24
A61F2/962
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007912
(22)【出願日】2022-01-21
(62)【分割の表示】P 2020070179の分割
【原出願日】2013-06-18
(31)【優先権主張番号】61/675,744
(32)【優先日】2012-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】13/797,633
(32)【優先日】2013-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム シー.ブラックマン
(72)【発明者】
【氏名】コーディ エル.ハートマン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小さい直径に圧縮可能であり且つ血管内において送達されることが可能である、耐久性がある経カテーテル的人工弁を提供する。
【解決手段】弁は、リーフレットフレーム130と、本体フレーム120と、弁のサイズと機能とに適合可能な、折り畳み形態と拡張形態とを有する任意の個数のリーフレット140とを備え、弁は、反転形態と非反転形態を備えることが可能である。
【選択図】図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経カテーテル的弁において、
本体フレーム管腔を形成する概ね環状の形状を有する本体フレームと、
基部と複数の支柱とを各々が形成する複数のU字形部分を形成する概ね環状の形状を有するリーフレットフレームであって、前記本体フレームは、前記リーフレットフレームに隣接して、且つ、前記リーフレットフレームから間隔を置いて、同軸的に延び、前記U字形部分の各々の前記基部は、前記本体フレームの第1の本体フレーム端部の付近に且つ前記第1の本体フレーム端部に対して非接触状態に配置されており、前記リーフレットフレームの前記U字形部分は前記本体フレームから離れて延び、且つ、前記支柱は前記本体フレームから離れて延び、及び、前記支柱は、前記第1の本体フレーム端部から遠位にあるリーフレットフレームと、
フィルムであって、前記フィルムは、前記U字形部分と前記本体フレームとの間を端から端まで延び、及び、前記本体フレームと前記リーフレットフレームとの間を延びる前記フィルムは折り目領域を形成し、前記U字形部分の各々の間を延びる前記フィルムはリーフレットを形成し、及び、前記リーフレットフレームは、前記リーフレットフレームが少なくとも部分的に前記本体フレーム管腔の内側に少なくとも部分的に同軸的に配置される位置に前記折り目領域を中心に回転することによって反転位置に反転する働きをし、及び、前記リーフレットの各々は開放位置と閉鎖位置との間を移動可能であるフィルムとを備える経カテーテル的弁。
【請求項2】
前記フィルムは前記本体フレームと前記リーフレットフレームとをサンドイッチする請求項1に記載の経カテーテル的弁。
【請求項3】
前記リーフレットはポリマー材料を含む請求項1に記載の経カテーテル的弁。
【請求項4】
前記リーフレットは積層物を含む請求項3に記載の経カテーテル的弁。
【請求項5】
前記積層物は、フルオロポリマー膜の3つ以上の層を有する請求項4に記載の経カテーテル的弁。
【請求項6】
前記リーフレットは、複数の細孔を有する少なくとも1つのフルオロポリマー膜の層と、フルオロポリマー膜の少なくとも1つの層の細孔の実質的にすべての中に存在するエラストマーとを有する、複合材料を含む請求項4に記載の経カテーテル的弁。
【請求項7】
前記複合材料は約10重量%から約80重量%のフルオロポリマー膜を含む請求項6に記載の経カテーテル的弁。
【請求項8】
前記エラストマーは(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)を含む請求項6に記載の経カテーテル的弁。
【請求項9】
前記エラストマーは、テトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルとのコポリマーを含む請求項6に記載の経カテーテル的弁。
【請求項10】
前記フルオロポリマー膜はePTFEを含む請求項6に記載の経カテーテル的弁。
【請求項11】
前記本体フレームは非形状記憶材料を含む請求項1に記載の経カテーテル的弁。
【請求項12】
前記本体フレームは、前記本体フレームが折り畳み輪郭に圧縮されることと異なる直径の間で拡張されることとを可能にする働きをする、概ね開いた穴のパターンを形成する概ね管状の部材である請求項1に記載の経カテーテル的弁。
【請求項13】
経カテーテル的弁送達システムにおいて、
送達カテーテルと、
経カテーテル的弁であって、
本体フレーム管腔を形成する概ね管状の形状を有する本体フレームと、
基部と複数の支柱とを各々が形成する複数のU字形部分を形成する概ね環状の形状を有するリーフレットフレームであって、前記本体フレームは、前記リーフレットフレームに隣接して、且つ、前記リーフレットフレームから間隔を置いて同軸的に延び、及び、前記U字形部分各々の前記基部は、前記本体フレームの第1の本体フレーム端部の付近に且つ前記第1の本体フレーム端部に対して非接触状態で配置されており、前記リーフレットフレームの前記U字形部分は前記本体フレームから離れて延び、及び、前記支柱は前記本体フレームから離れて延び、及び、前記支柱は、第1の本体フレーム端部から遠位にあるリーフレットフレームと、
フィルムであって、前記フィルムは前記U字形部分と前記本体フレームとの間を端から端まで延び、及び、前記本体フレームと前記リーフレットフレームとの間を延びる前記フィルムは折り目領域を形成し、及び、前記U字形部分の各々の間を延びる前記フィルムはリーフレットを形成し、及び、前記リーフレットフレームは、前記リーフレットフレームが少なくとも部分的に前記本体フレーム管腔の内側に少なくとも部分的に同軸的に配置される位置に前記折り目領域を中心に回転することによって反転位置に反転する働きをし、及び、前記リーフレットの各々は開放位置と閉鎖位置との間を移動可能である、フィルムとを備え、
前記経カテーテル的弁は、反転形態と非反転形態とを備え、及び、前記送達カテーテルは、前記経カテーテル的弁を移植部位に前進させる働きをする、経カテーテル弁とを備える経カテーテル的弁送達システム。
【請求項14】
前記送達カテーテルは、圧縮形態から拡張形態への前記経カテーテル的弁の拡張を容易化する働きをする請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項15】
前記送達カテーテルはバルーンを備える請求項14に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項16】
前記送達カテーテルは、前記経カテーテル的弁の上にぴったりと被さり且つ前記経カテーテル的弁を圧縮形態に保持するための取り外し自在なシースを備える請求項14に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項17】
前記経カテーテル的弁は反転形態と非反転形態とを備える請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項18】
前記経カテーテル的弁は前記非反転形態で送達される請求項17に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項19】
前記経カテーテル的弁の前記本体フレーム管腔の中に前記リーフレットフレームを反転させる働きをする反転装置をさらに備える請求項18に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項20】
前記本体フレームは、前記リーフレットフレームよりも硬質である請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項21】
前記リーフレットはポリマー材料を含む請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項22】
前記リーフレットは、2つ以上のフルオロポリマー膜を有する積層物を含む請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項23】
前記リーフレットは、エラストマー層を有する積層物を含む請求項22に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項24】
前記リーフレットは、複数の細孔を有する少なくとも1つのフルオロポリマー膜の層と、少なくとも1つのフルオロポリマー膜の層の前記細孔の実質的にすべての中に存在するエラストマーとを有する、複合材料を含む請求項22に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項25】
前記複合材料は、約10重量%から約90重量%のフルオロポリマー膜を含む請求項24に記載の経カテーテル的弁。
【請求項26】
前記エラストマーは(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)を含む請求項25に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項27】
前記エラストマーは、テトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルとの熱可塑性コポリマーを含む請求項25に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項28】
前記フルオロポリマー膜はePTFEを含む請求項22に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項29】
前記本体フレームは非形状記憶材料を含む請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項30】
前記本体フレームは、中心軸線に対して垂直な平面に関して実質的に対称的である請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項31】
前記本体フレームは開放フレームワークを備える請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項32】
前記本体フレームは実質的に軸方向に硬質である請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項33】
前記経カテーテル的弁の拡張された直径に対する前記経カテーテル的弁の長さの縦横比が1未満である請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項34】
前記本体フレームの長さは約20mm未満である請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項35】
前記リーフレットフレームは、中心軸線に対して垂直な平面に関して実質的に非対称的である請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項36】
前記リーフレットフレームは形状記憶材料を含む請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項37】
前記リーフレットフレームは金属材料を含む請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項38】
前記リーフレットフレームはワイヤで形成されている請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項39】
前記折り畳み形態は、6mm未満の折り畳み直径を有する請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項40】
前記経カテーテル的弁はバルーン拡張型である請求項13に記載の経カテーテル的弁送達システム。
【請求項41】
経カテーテル的弁において、
概ね管状の形状を形成する本体フレームと、
概ね環状の形状を形成するリーフレットフレームであって、その間に折り目領域を形成する本体フレームに対して同軸的に配置されており、且つ、前記本体フレームから離れて且つ間隔を置いて延び、及び、前記リーフレットフレームは、基部と複数の支柱とを各々が形成する複数のU字形部分を形成し、及び、前記U字形部分各々の前記基部は、前記本体フレームの第1の本体フレーム端部の付近に且つ前記第1の本体フレーム端部に対して非接触状態で配置されており、及び、前記リーフレットフレームの前記U字形部分は前記本体フレームから離れて延び、及び、前記支柱は前記本体フレームから離れて延び、及び、前記支柱は、前記第1の本体フレーム端部から遠位にあるリーフレットフレームと、
前記本体フレームと前記リーフレットフレームとの間を端から端まで延び、前記折り目領域を架橋し、且つ、前記本体フレームを前記リーフレットフレームに連結するフィルムであって、前記リーフレットフレームと前記フィルムは、各々の前記U字形部分内に配置されている複数のリーフレットを形成し、前記リーフレットの各々はリーフレット自由端縁を有し、及び、前記リーフレットフレームは、前記リーフレットフレームを前記本体フレームの内側に少なくとも部分的に配置するように前記折り目領域に沿って反転する働きをし、前記リーフレットフレームは、前記リーフレット自由端縁が隣接するリーフレット自由端縁に当接し且つ開放位置と閉鎖位置との間を移動可能である弁を形成する、フィルムとを備える経カテーテル的弁。
【請求項42】
前記本体フレームは前記リーフレットフレームよりも硬質であり、
前記フィルムはポリマー材料を含む請求項41に記載の経カテーテル的弁。
【請求項43】
前記フィルムは積層物を含む請求項42に記載の経カテーテル的弁。
【請求項44】
前記積層物はフルオロポリマー膜の2つ以上の層を有する請求項43に記載の経カテーテル的弁。
【請求項45】
前記フィルムは、複数の細孔を有する少なくとも1つのフルオロポリマー膜の層と、少なくとも1つのフルオロポリマー膜の層の前記細孔の実質的にすべての中に存在するエラストマーとを有する、複合材料を含む請求項42に記載の経カテーテル的弁。
【請求項46】
前記複合材料は約80重量%未満のフルオロポリマー膜を含む請求項45に記載の経カテーテル的弁。
【請求項47】
前記エラストマーは(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)を含む請求項45に記載の経カテーテル的弁。
【請求項48】
前記エラストマーは、テトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルとのコポリマーを含む請求項45に記載の経カテーテル的弁。
【請求項49】
前記フルオロポリマー膜はePTFEを含む請求項45に記載の経カテーテル的弁。
【請求項50】
前記本体フレームは前記リーフレットフレームよりも硬質であり、
前記本体フレームは、前記本体フレームが折り畳み形態に圧縮されることと異なる直径の間で拡張されることとを可能にする働きをする開放フレームワークを備え、
前記本体フレームは、前記本体フレームが異なる直径の間で圧縮及び拡張されることを可能にする働きをする概ね開いた穴のパターンを形成する概ね管状の部材である請求項41に記載の経カテーテル的弁。
【請求項51】
前記本体フレームは前記リーフレットフレームよりも硬質であり、前記リーフレットフレームは形状記憶材料を含む請求項41に記載の経カテーテル的弁。
【請求項52】
前記本体フレームは前記リーフレットフレームよりも硬質であり、前記リーフレットフレームは金属材料を含む請求項41に記載の経カテーテル的弁。
【請求項53】
前記本体フレームは前記リーフレットフレームよりも硬質であり、前記リーフレットフレームはワイヤで形成されている請求項41に記載の経カテーテル的弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年7月25日付けで出願された仮出願第61/675,744号に基づく優先権を主張し、この仮出願の全体が本明細書中に参照として援用される。
【0002】
本発明は、概して人工弁に関し、さらに特に、リーフレット型人工弁装置と、そのシステムと、その経カテーテル的送達の方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテルによって血管内において送達されることが可能な経カテーテル的人工弁が、心臓切開外科処置と比較して、患者の外傷を最小限にすることを促進することが可能である。心臓切開手術は、付随的な病的状態と長期的な回復とを伴う、患者に対する多大な外傷をもたらす。カテーテルによってレシピエント部位に送達される弁が、心臓切開手術の外傷を回避し、及び、過剰に重症であるか体力が弱いために心臓切開手術に耐えて生存することができない患者に対して実施されるだろう。
【0004】
現在利用可能な経カテーテル的弁とこれに関連した送達カテーテル(共に、本明細書では「送達システム」と呼称する)とを使用する経カテーテル的弁移植は、処置に関連した幾つかの合併症を生じさせる。末梢血管系に対する外傷と、上行大動脈及び下行大動脈の切開とが、観察されている。この外傷は、部分的に、送達システムの比較的大きい直径に関連付けられる。こうした外傷を最小限にすることが、関連した送達カテーテル上の弁の輪郭によって部分的に決定される送達システムの直径を最小化することによって、容易化されることが可能である。
【0005】
送達カテーテル上の人口心臓弁の輪郭を縮小することは技術的に難題である。例えば、直径23mmの大動脈人工弁が、配置部位に到達するために、直径10mmの脈管構造の中を前進させられなければならないだろう。このことは、この人工弁と送達カテーテルとが10mmよりも幾分か小さい直径を呈するように、送達カテーテル上においてこの人工弁がより小さい直径に圧縮されることを必要とする。
【0006】
この弁の輪郭は、部分的に、弁構成要素に依存している。幾つかの経カテーテル的弁装置は、管状金属フレームの内側に装着されている可撓性リーフレットを有する弁を備える。この金属フレームは、配置前の圧縮直径から配置後の機能的直径に自己拡張するか又はバルーン拡張させられるだろう。この送達システムの直径は、送達カテーテル上に弁リーフレットが装着されている時の、金属フレーム内の圧縮された弁リーフレットの結果的な厚さに部分的に依存している。
【0007】
経カテーテル的弁は、例えば配置後の人口弁の脱落又は移動を回避するために、血管内における配置後に移植部位の組織開口部に堅固に連結されることが可能でなければならない。人口弁を移植部位に連結することは、一般的に、組織開口部に付勢係合(urging engagement)されたそのフレームの比較的高いフープ強度によって容易化される。
【0008】
先天的な弁の機能と性能とを模倣しようと試みる生体弁が開発されてきた。可撓性リーフレットが、牛心膜等の生物組織から作成されている。幾つかの弁設計では、生物組織が、移植時にリーフレットを支持し且つ寸法安定性を実現する比較的堅固なフレームの上に縫い付けられている。生体弁は卓越した血液力学的及び生体力学的な性能を短期的には実現することが可能であるが、特に破損形態の中でも、石灰化及びカスプ引き裂き(cusp tear)を被る傾向があり、再手術と交換を必要とする。
【0009】
本明細書では「合成リーフレット弁(SLV)」と呼称されている、より耐久性が高い可撓性リーフレット人工弁を提供するために、生体組織に対する代替物として、特に、ポリウレタン等の合成材料を使用する試みが行われてきた。しかし、特に、最適以下の設計と、耐久性が高い合成材料の欠如との故に、こうした合成リーフレット弁が時期尚早の破損を被るので、合成リーフレット弁は有効な弁置換の選択肢とはなっていない。
【0010】
個別のリーフレットをフレームに縫い付けること(生体及び合成)と、合成リーフレットだけの場合には、フレーム上へポリマーを射出成形して浸漬被覆することとを含む、幾つかの作成方法が、リーフレットをフレームに連結するために使用されてきた。各々の場合に、結果的に得られたリーフレットはフレーム上に支持され、及び、このリーフレットが、このリーフレットがフレームに連結されている装着端縁と、そのフラップ(flap)が動くことを可能にする自由端縁とを有するフラップを形成する。このフラップは、流体圧力の影響を受けて動く。動作時には、上流の流体圧力が下流の流体圧力を超える時にリーフレットが開き、下流の流体圧力が上流の流体圧力を超える時にリーフレットが閉じる。下流の血液が弁の中を通過して逆流することを防止するように、リーフレットの自由端縁が下流の流体圧力の影響を受けて接合して弁を閉じる。
【0011】
リーフレットの開閉の反復的な荷重を受ける弁の耐久性が、部分的に、リーフレットとフレームとの間の荷重分布に左右される。さらに、リーフレットが閉鎖状態である時にリーフレット上に大きな荷重が生じる。このリーフレットの機械的破損は、例えば、比較的に堅固なフレームによって可撓性リーフレットが支持されている場合に、例えば装着端縁において生じる可能性がある。リーフレット開閉の反復的な荷重が、そのリーフレット材料に部分的に応じて、疲労、クリープ(creep)、又は、他のメカニズムによって、材料損傷を結果的にもたらす。装着端縁における機械的破損は、特に合成リーフレットにおいて広く生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
(原文に記載なし)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
小さい直径に圧縮可能であり且つ血管内において送達されることが可能である、耐久性がある経カテーテル的人口弁が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
説明されている実施態様が、心臓弁置換術等の弁置換術のための装置とシステムと方法とに関する。さらに明確には、説明されている実施態様は、多部品型の支持部材又はフレームを有する可撓性リーフレット弁装置及びシステムと、この弁装置を作成及び送達する方法とに関する。
【0015】
一実施態様では、弁は、リーフレットフレームと、本体フレームと、この弁のサイズと機能とに適合可能な、折り畳み形態と拡張形態とを有する任意の個数のリーフレットとを備える。別の実施態様では、この弁は、反転形態と非反転形態とを備えることが可能である。
【0016】
一実施態様では、フィルムによって互いに連結されている本体フレームとリーフレットフレームとを備える、経カテーテル的弁が提供される。本体フレームは、本体フレーム管腔を形成する概ね管状の形状を有する。リーフレットフレームは、基部と複数の支柱(post)とを各々が形成する複数のU字形部分を形成する概ね環状の形状を有する。本体フレームは、リーフレットフレームに隣接して、且つ、リーフレットフレームから間隔を置いて、同軸的に延びる。各U字形部分の基部は、本体フレームの第1の本体フレーム端部の付近に且つこの第1の本体フレーム端部に対して非接触状態に配置されており、リーフレットフレームのU字形部分は本体フレームから離れて延び、且つ、支柱は本体フレームから離れて延び、及び、この支柱は、本体フレームの第1の本体フレーム端部から遠位にある。フィルムがU字形部分と本体フレームとの間を端から端まで延びる。本体フレームとリーフレットフレームとの間を延びるフィルムが折り目領域(fold region)を形成する。U字形部分の各々の間を延びるフィルムがリーフレットを形成する。そのリーフレットフレームは、そのリーフレットフレームが少なくとも部分的に本体フレーム管腔の内側に少なくとも部分的に同軸的に配置される位置に折り目領域を中心に回転することによって、反転位置に反転する働きをし、及び、各々のリーフレットは開放位置と閉鎖位置との間を移動可能である。
【0017】
一実施態様では、フィルムによって連結されている本体フレームとリーフレットフレームとを備える経カテーテル的弁が提供される。本体フレームは概ね管状の形状を形成する。リーレットフレームは概ね環状の形状を形成する。リーフレットフレームは、本体フレームに対して同軸的に配置されており、本体フレームから離れて延びており且つ本体フレームから間隔が置かれており、及び、折り目領域をその間に形成する。リーフレットフレームは、基部と複数の支柱とを各々が形成する複数のU字形部分を形成する。各々のU字形部分の基部は本体フレームの第1の本体フレーム端部に隣接して且つ第1の本体フレーム端部に対して非接触状態に配置されており、及び、リーフレットフレームのU字形部分は本体フレームから離れて延び、及び、支柱は本体フレームから離れて延び、及び、支柱は第1の本体フレーム端部から遠位にある。フィルムが本体フレームとリーフレットフレームとの間を端から端まで延び、及び、折り目領域を架橋し、及び、本体フレームをリーフレットフレームに連結する。リーフレットフレームとフィルムとが、各々のU字形部分の内側に配置されている複数のリーフレットを形成し、及び、各々のリーフレットはリーフレット自由端縁を有する。リーフレットフレームは、少なくとも部分的に本体フレームの内側にリーフレットフレームを配置して弁を形成するために折り目領域に沿って反転する働きをし、及び、リーフレット自由端縁は、隣接するリーフレット端縁に当接し、及び、開放位置と閉鎖位置との間を移動可能である。
【0018】
一実施態様では、送達カテーテルと、フィルムによって互いに連結された本体フレームとリーフレットフレームとを有する経カテーテル的弁とを備える、経カテーテル的弁送達システムが提供される。本体フレームは、本体フレーム管腔を形成する概ね管状の形状を有する。リーフレットフレームは、基部と複数の支柱とを各々が形成する複数のU字形部分を形成する概ね環状の形状を有する。本体フレームは、リーフレットフレームに隣接して、且つ、リーフレットフレームから間隔を置いて、同軸的に延びる。各U字形部分の基部は、本体フレームの第1の本体フレーム端部の付近に且つこの第1の本体フレーム端部に対して非接触状態に配置されており、リーフレットフレームのU字形部分は本体フレームから離れて延び、且つ、支柱は本体フレームから離れて延び、及び、この支柱は、第1の本体フレーム端部から遠位にある。フィルムがU字形部分と本体フレームとの間を端から端まで延びる。本体フレームとリーフレットフレームとの間を延びるフィルムが折り目領域を形成する。U字形部分の各々の間を延びるフィルムがリーフレットを形成する。そのリーフレットフレームは、そのリーフレットフレームが少なくとも部分的に本体フレーム管腔の内側に少なくとも部分的に同軸的に配置される位置に折り目領域を中心に回転することによって、反転位置に反転する働きをし、及び、各々のリーフレットは開放位置と閉鎖位置との間を移動可能である。この経カテーテル的弁は、折り畳み形態と拡張形態とを備えることが可能である。送達カテーテルは、経カテーテル的弁を移植部位に前進させる働きをする。
【0019】
別の実施態様では、経カテーテル的弁置換システムが、リーフレットフレームと本体フレームと任意の個数のリーフレットとを有する弁とカテーテルとを備え、及び、この弁は、折り畳み形態と拡張形態とを有する。このシステムは、さらに、反転形態から非反転形態に弁を移行させるための反転装置を備えることが可能である。
【0020】
別の実施態様では、経カテーテル的弁を作成する方法が、本明細書で説明する生体適合性材料によってリーフレットフレームと本体フレームとを同時に又は連続的に連結する段階と、これによってさらにリーフレットを形成する段階とを含む。
【0021】
他の方法が、リーフレットフレームと本体フレームと任意の個数のリーフレットとを有する弁を備えており且つ折り畳み形態と拡張形態とを有する経カテーテル的弁を、血管内的な処置によって送達する段階を含むことが可能である。この方法は、経カテーテル的弁がその移植部位に位置した後に、その弁を反転させる段階を含むことが可能である。
【0022】
別の実施態様では、経カテーテル的弁を送達する方法が、近位端部と遠位端部とを有する細長い可撓性カテーテルの遠位部分上に、折り畳み形態の形で経カテーテル的弁を装着する段階と、経カテーテル的弁を先天的な弁開口部に血管内において送達する段階と、先天的な弁開口部の中に経カテーテル的弁を展開する段階と、経カテーテル的弁の本体フレーム管腔の中にリーフレットフレームを反転させる段階とを含む。この経カテーテル的弁は、フィルムによって互いに連結されている本体フレームとリーフレットフレームとを備える。本体フレームは、本体フレーム管腔を形成する概ね管状の形状を有する。リーフレットフレームは、基部と複数の支柱とを各々が形成する複数のU字形部分を形成する概ね環状の形状を有する。この本体フレームは、リーフレットフレームに隣接して且つリーフレットフレームから間隔を置いて同軸的に延びる。各U字形部分の基部は、本体フレームの第1の本体フレーム端部の付近に且つこの第1の本体フレーム端部に対して非接触状態に配置されており、リーフレットフレームのU字形部分は本体フレームから離れて延び、且つ、支柱は本体フレームから離れて延び、及び、この支柱は、第1の本体フレーム端部から遠位にある。フィルムがU字形部分と本体フレームとの間を端から端まで延びる。本体フレームとリーフレットフレームとの間を延びるフィルムが折り目領域を形成する。U字形部分の各々の間を端から端まで延びるフィルムがリーフレットを形成する。そのリーフレットフレームは、そのリーフレットフレームが少なくとも部分的に本体フレーム管腔の内側に少なくとも部分的に同軸的に配置される位置に折り目領域を中心に回転することによって、反転位置に反転する働きをし、及び、各々のリーフレットは開放位置と閉鎖位置との間を移動可能である。
【0023】
添付図面が、本開示のさらに詳細な理解を実現するために含まれており、及び、本明細書の一部分に組み入れられており且つ本明細書の一部分を構成し、本明細書で説明されている実施形態を例示し、及び、説明と共に、この開示で論述されている原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A】非反転形態の形の2部品型(two piece)弁の実施形態の側面図である。
図1B】反転形態の形の2部品型弁の実施形態の側面図である。
図1C】反転形態の形の図1Aの2部品型弁の実施形態の斜視図である。
図1D】拡張形態の形の弁の図である。
図1E】圧縮形態の形の弁の図である。
図2】平坦な方向配置に展開された図1Aの2部品型弁の実施形態の図である。
図3A】開いた形態の形の図1Aの2部品型弁の実施形態の軸方向の図である。
図3B】閉鎖形態の形の図1Aの2部品型弁の実施形態の側面図である。
図3C図1Bの反転した2部品型弁の実施形態の側面断面図である。
図4】解剖学的組織内の送達システムの実施形態の側面図である。
図5A】送達カテーテル上に装着されている2部品型弁の実施形態の断面図である。
図5B】反転装置(everter)の実施形態の側面図である。
図5C図5Bの反転装置の実施形態の側面図である。
図6】リーフレットフレームの形にワイヤを形成するための巻線治具(winding jig)の実施形態の斜視図である。
図7】一実施形態によるアセンブリマンドレル上の弁構成要素の側面図である。
図8A】一実施形態による、リーフレットを形成するための2部品型マンドレル上の弁構成要素の側面図である。
図8B図8Aの実施形態のリーフレットを形成するための2部品型マンドレルの側面図である。
図9A】一実施形態によるePTFEの走査電子顕微鏡写真画像である。
図9B】別の実施形態によるePTFEの走査電子顕微鏡写真画像である。
図9C図9BのePTFEの走査電子顕微鏡写真画像の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
当業者は、本発明の開示の様々な側面が、意図された機能を果たすように構成されている任意の数の方法及び装置によって実現されることが可能であることを容易に理解するだろう。言い換えると、他の方法及び装置が、意図された機能を果たすために、本明細書に取り入れられることが可能である。さらに、本明細書で言及されている添付図面が必ずしも一定の縮尺で描かれてはおらず、本開示の様々な側面を図示するために誇張表現されていることがあるということが指摘されなければならず、及び、この点において、添付図面を限定的なものと解釈してはならない。
【0026】
本明細書における実施形態が様々な原理と見解とに関連付けて説明されるだろうが、説明されている実施形態は、理論によって拘束されるべきはない。例えば、実施形態が、本明細書において、人口弁、さらに具体的には心臓人工弁に関連付けて説明されている。しかし、本開示の範囲内の実施形態が、類似した構造及び/又は機能のあらゆる弁又は機構に対して適用されることが可能である。さらに、本開示の範囲内の実施形態は非心臓的用途に適用されることが可能である。
【0027】
人口弁に関連して本明細書で使用される術語「リーフレット」は、そのリーフレットが圧力差の作用を受けて開放位置と閉鎖位置との間を移動する働きをする一方向弁の構成要素である。開放位置では、このリーフレットは、血液が弁を通過して流れることを可能にする。閉鎖位置では、このリーフレットは、弁を通過する逆流を実質的に阻止する。複数のリーフレットを備える実施形態では、各リーフレットは少なくとも1つの隣接するリーフレットと協働して、血液の逆流を阻止する。血液の圧力差が、例えば心臓の心室又は心房の収縮によって生じさせられ、及び、こうした圧力差は典型的には、閉鎖時におけるリーフレットの一方の側での流体圧力の増大の結果として生じる。その弁の流入側の圧力がその弁の流出側の圧力よりも高く増大する時には、リーフレットが開いて血液がその中を通って流れる。血液がその弁を通過して隣接する室又は血管の中に入る時に、流入側の圧力は流出側の圧力と同等化する。その弁の流出側の圧力がその弁の流入側の圧力よりも高く増大する時には、リーフレットは閉鎖位置に戻り、弁を通過する血液の逆流を概ね防止する。
【0028】
本明細書で使用されている術語「膜」は、非限定的に延伸フルオロポリマー等の単一の組成物を含む材料のシートを意味する。
【0029】
本明細書で使用されている術語「複合材料」は、非限定的に延伸フルオロポリマー等の膜と、非限定的にフルオロエラストマー等のエラストマーとの組み合わせを意味する。このエラストマーは、膜の多孔性構造の中に吸収されているか、又は、膜の片側又は両側に塗布されているか、又は、その膜上に塗布されていることと膜中に吸収されていることとの組み合わせが可能である。
【0030】
本明細書で使用されている術語「積層物」は、膜、複合材料、又は、エラストマー等の他の材料、及び、これらの組み合わせの多重層を意味する。
【0031】
本明細書で使用されている術語「フィルム」は、総称的に、膜、複合材料、又は、積層物の1つ又は複数を意味する。
【0032】
本明細書で使用されている術語「生体適合性材料」は、総称的に、非限定的に牛心膜等のフィルム又は生物材料を意味する。
【0033】
本明細書で使用されている術語「反転させる(evert)」、「反転させること(everting)」、「反転させられた(everted)」、「反転(evertion)」、及び、「反転可能な(evertable)」は、内方に折り曲げることによって裏返し(inside out)に曲げられることの作用、その状態、その可能性を意味する。本明細書で使用される場合に、リーフレットフレームは非反転状態で本体フレームから離れて延び、及び、リーフレットフレームは、本体フレームの中に少なくとも部分的に延びるように、内方にリーフレットフレームを折り曲げることによって反転させられるだろう。
【0034】
術語「先天的な弁開口部及び組織開口部(native valve orifice and tissue Orifice)」は、人工弁が中に配置されることが可能な解剖学的構造を意味する。こうした解剖学的構造は、非限定的に、心臓弁が外科的に取り除かれているか又は取り除かれていないことがある場所を含む。人工弁を受け入れることがある他の解剖学的構造が、非限定的に、静脈、動脈、導管、分路を含むということを理解されたい。本明細書では先天的な弁を人工弁で置き換えることを論じるが、弁開口部又は移植部位が、さらに、特定の目的のために弁を受け入れることが可能である合成導管又は生物導管の中の場所を意味することがあり、したがって、本明細書に示されている実施形態の範囲が弁置換だけに限定されないということが理解及び認識される。
【0035】
本明細書で使用される場合に、術語「連結する(couple)」は、直接的に又は間接的に、及び、恒久的に又は一時的に、「接合する(joint)」、「結合する(couple)」、「接続する(connect)」、「取り付ける(attach)」、「接着する(adhere)」、「固定する(affix)」、「接着する(bond)」を意味する。
【0036】
本明細書の実施形態は、非限定的に心臓弁置換術等の経カテーテル的置換術に適している人工弁のための様々な装置とシステムと方法とを含む。この弁は一方向弁として作動可能であり、この場合に、この弁は、リーフレットが流れを可能にするためにその中に開き、及び、リーフレットが流体圧力差に応答して弁開口部を閉塞させて流れを阻止するようにその中に閉じる、弁開口部を形成する。
【0037】
実施形態では、弁が、本体フレームの外側にあるリーフレットフレームによって弁リーフレットが支持されている配置前の形態と、リーフレットが本体フレームの内側に反転させられて本体フレームの内側にリーフレットを向ける配置後の形態とを有するように作動可能である。このことが、送達中において、リーフレットフレーム及びリーフレットが本体フレーム内に存在している形態に比較して、より小さい直径に弁を半径方向により強く圧縮することを可能にする。
【0038】
さらに、本体フレームとリーフレットフレームの各々が、特定の目的に適している異なる物理的特性を有することもある。実施形態では、本体フレームは、組織開口部に当接して固定的に係合するために、且つ、弁に対して寸法的安定性を与えるために、比較的に硬いだろう。リーフレットフレームは、本体フレームに比較して硬さが少ないだろう。本体フレームに比べて相対的に硬さがより少ないリーフレットフレームの利点が、リーフレット上の荷重速度(rate of loading)を低下させてリーフレット上の応力レベルを低減させ、これによって弁の耐久性を向上させることである。本明細書で使用されており且つ工学技術で一般に使用されている「硬い(stiff)」と「硬さ(stiffness)」は、身体によって与えられる変形に対する抵抗の度合である。「硬い」と「硬さ」は、特に、物体の材料特性及び形状と物体上の境界状態との関数である。リーフレットフレーム130(図1Cを参照されたい)の硬さは、当業で公知の様々な方法で測定されることが可能だろう。1つの方法では、ケーブルが3つの支柱131の各々に連結され、及び、リーフレットフレームが屈曲点136の周りに拘束されている時に、又は、リーフレットフレームが本体フレーム120によって保持されている時に、これらのケーブルがリーフレットフレームの軸線に沿って同時に引っ張られることを可能にするように一体状にまとめられるだろう。その軸線に向かって3つの支柱を曲げるために必要とされるケーブル上の力の量が、硬さの測度を示す。同じことが、折り目領域144とは反対側に位置したダイヤモンド形の開口部120の頂点等の、本体フレーム120上の3つの等間隔の箇所に連結されたケーブルによって、本体フレーム120に対して行われることも可能である。この硬さ測定は、非反転形態(図1Aを参照されたい)又は反転形態(図1Bを参照されたい)において行われることが可能である。
【0039】
実施形態では、この弁は、リーフレットフレームが本体フレーム内において正確に且つ確実に割り出しされて位置合わせされることを確実なものにするための手段を備える。このことは、リーフレットフレームを本体フレームの中に反転させることを可能にする要素と、これに加えて、位置合わせ要素とによって実現される。
【0040】

図1A図1Bは、それぞれに、実施形態による非反転形態と反転形態との側面図である。図1C図1Bの実施形態の斜視図である。図2は、弁100が長手方向に切断されており且つ概ね管状の形態の弁100の要素をより適切に示すために展開された状態にある、図1の実施形態を示す。図3A図3Bは、それぞれに、開放形態と閉鎖形態の形である、弁100の軸方向図である。弁100は、本体フレーム120と、リーフレットフレーム130と、本体フレーム120とリーフレットフレーム130とを覆い且つ本体フレーム120をリーフレットフレーム130に連結し且つリーフレット140を形成するフィルム160を備える。
【0041】
フィルム
フィルム160は、概して、生体適合性であり且つ本体フレーム120及びリーフレットフレーム130に連結するように構成されている任意のシート状の材料である。リーフレット140もフィルム160によって構成されている。フィルム160は、一般的に、特定の目的に適している1つ又は複数の生体適合性の材料のために使用されるということを理解されたい。さらに、本体フレーム120に連結されているフィルム160が、リーフレットフレーム130に連結されている同一のフィルム160ではないことがあるということも理解されたい。様々なタイプのフィルムの詳細が後述されている。一実施形態では、フィルム160は、本体フレーム120とリーフレットフレーム130とを少なくとも部分的に覆うために、概ね管状の材料から形成されているだろう。このフィルム160は、膜、複合材料、又は、積層物の1つ又は複数を含むことが可能である。様々なタイプのフィルム160の詳細が後述されている。
【0042】
本体フレーム
本体フレーム120は、図1A図1C図3Aとに示されている、本体フレーム内側表面129を有する本体フレーム管腔123を形成する概ね管状の部材である。本体フレーム120は、異なる直径の間で本体フレーム120が圧縮及び拡張されることを可能にすることが可能な、概ね開いた穴のパターン122を形成する。本体フレーム120は、ステントとして当業で知られている構造を備えることがある。ステントは、解剖学的組織の中への経皮的で経カテーテル的な送達に適している小さい直径を有し、且つ、解剖学的組織の中に配置される時に、より大きい直径に拡張されることが可能な、管状部材である。様々なデザインと材料特性を有するステントが当業者に公知である。
【0043】
例えば、図1Aから図1C図2との実施形態に示されているように、弁100は、図1Dに示されているように、より大きい直径の形態の形である時に概ねスクエアダイヤモンド形(square diamond shape)の形状を有する穴122を有するステントを形成する本体フレーム120を含む。より小さい直径への圧縮時に、穴122は変形して、図1Eに示されている細長いダイヤモンド形状を概ね形成する。より大きい直径に再び拡張される時には、穴122は拡張して、概ねスクエアダイヤモンド形の形状を再び形成する。
【0044】
ステントの開放フレームワークが、幾何学的形状及び/又は直線状の又は蛇行した一連の正弦曲線等の反復的な又は他の形の任意の個数の特徴要素を形成することが可能である。幾何学的形状は、実質的に均一な円周方向の圧縮及び拡張を容易にする任意の形状を有することが可能である。開放フレームワークは、材料の管又はシートの形にエッチングされるか、切断されるか、レーザ切断されるか、打ち抜かれることが可能であり、この後で、このシートは実質的に円筒形の構造に形成される。あるいは、代替案として、ワイヤ、屈曲自在なストリップ、又は、その連続のような細長い材料が、曲げられるか又は編まれ、及び、実質的に円筒形の構造の形に形成されることが可能であり、及び、この円筒の壁が、概ね均一に且つ円周状に、より小さい直径に圧縮可能であり、及び、より大きい直径に拡張可能である、開放フレームワークを備える。
【0045】
様々なデザインのステントが、ばね荷重を受けて自己拡張するように、弾性変形可能であってもよいということが知られている。さらに、様々なデザインのステントが、バルーンを用いる場合のように機械的に拡張可能であるように、可塑変形可能であってもよいということも知られている。さらに、様々なデザインのステントが可塑的に変形可能であり且つ弾性的に変形可能であることがあるということも知られている。本明細書に示されている本体フレーム120の実施形態は、特定のステントのデザイン又は拡張の形態に限定されることはない。
【0046】
本体フレーム120は、任意の金属材料又はポリマー材料を含むことが可能である。例えば、本体フレーム120は、ニチノール、コバルト/ニッケル合金、ステンレス鋼、ポリプロピレン、アセチルホモポリマー、アセチルコポリマー、ePTFE、他の合金又はポリマー、又は、本明細書で説明するように機能するための適切な物理的特性及び機械的特性を有する概ね生体適合性である任意の他の材料等の材料を含むことが可能である。
【0047】
実施形態では、本体フレーム120は、図4に示されているように、弁100を移植部位に堅固に固定するために、移植部位との確実な係合を実現するように構成されることが可能である。一実施形態では、本体フレーム120は、位置を維持するように組織開口部150に対して十分な付着成長を維持するために、小さい弾性反跳(elastic recoil)を有する十分に硬いフレームを備えることが可能である。別の実施形態では、本体フレーム120は、弁100が組織開口部150の中に拡張する時に弁100がその中に堅固に固定されることが可能であるように、組織開口部150よりも大きい直径に拡張するように構成されることが可能である。別の実施形態では、本体フレーム120は、弁100を移植部位に固定するために、組織開口部150等の移植部位に係合するように構成されている1つ又は複数のアンカー(図示されていない)を備えることが可能である。
【0048】
弁100を移植部位に連結するための他の要素又は手段が想定されることを理解されたい。例えば、非限定的に、機械的手段又は接着手段等の他の手段が、合成導管又は生物学的導管に弁100を連結するために使用される可能性がある。
【0049】
リーフレットフレーム
リーフレットフレーム130は、図1A図2に示されている、予め決められた反復パターンを形成する概ね環状の部材を備える。リーフレットフレーム130は、ワイヤ、リボン、切断チューブ(cut tube)、又は、この特定の目的に適している他の任意の要素を含むだろう。図2に示されているように、リーフレットフレーム130は、互いに連結した3つのU字形部分132を備える。このU字形部分132の各々は、基部134を形成する2つの側部133を形成し、及び、側部133の各々は自由端部135を有する。この実施形態では、基部134は、さらに詳細に後述する屈曲点136を形成する。1つのU字形部分132の自由端部135は、支柱131を形成する隣のU字形部分132の自由端部135と相互連結させられる。
【0050】
図2に示されているように、非反転形態の形である時には、3つの支柱131は本体フレーム120から離れる形で延びている。
【0051】
リーフレットフレーム130は、経皮的で経カテーテル的な装着と送達とに対応するために比較的に小さい直径を得るように弾性的に圧縮可能である。図2に示されている実施形態では、リーフレットフレーム130は、より小さい直径に圧縮される時にリーフレットフレーム130のための優先的な屈曲箇所を提供するために、1つ又は複数の屈曲点136を備えるだろう。屈曲点136は、拡張状態から折り畳み状態への移行、又は、これとは反対の移行の際に、最大度の屈曲を受けるリーフレットフレーム130上の場所を備える。一実施形態では、少なくとも1つの屈曲点136が支柱131の付近にあり、及び、少なくとも1つの屈曲点136がU字形部分132の基部134の付近にある。屈曲点136は、圧縮される時に屈曲点136で曲がるようにインレットフレーム130を偏倚させる、構造変更又は材料変更を含むことが可能である。
【0052】
リーフレットフレーム130は、図1Aに示されている非反転の拡張状態から図3Cに示されている反転形態に反転させられる時にリーフレットフレーム130が屈曲することを可能にするために、弾性的に変形可能である。さらに、リーフレット140を支持する比較的に硬さがより少ないリーフレットフレーム130が、より硬いリーフレットフレーム130に比較して、リーフレット140を開閉することによって遭遇させられる荷重を低減させる可能性がより高い。比較的により低い硬さ特性を有するリーフレットフレーム130は、リーフレット加速度(leaflet acceleration)を減少させ、及び、リーフレット140上の閉鎖応力(closing stress)を減少させるだろう。
【0053】
リーフレットフレーム130は、非限定的に、生体適合性である任意の弾性変形可能な金属材料又はポリマー材料を含むだろう。リーフレットフレーム130は、ニチノール、ニッケル-チタン合金等の、形状記憶材料を含むだろう。リーフレットフレーム130に適している他の材料が、非限定的に、他のチタン合金、ステンレス鋼、コバルト-ニッケル合金、ポリプロピレン、アセチルホモポリマー、アセチルコポリマー、他の合金又はポリマー、又は、本明細書で説明するリーフレットフレーム130として機能するために適切な物理的特性及び機械的特性を有する概して生体適合性である任意の他の材料を含む。
【0054】
一実施形態では、リーフレットフレーム130は、荷重を受けて屈曲し、及び、荷重が取り除かれる時にその当初の形状を維持し、したがってリーフレットフレーム130が圧縮形状から予め決められた形状に自己拡張することを可能にする働きをする、形状記憶材料を含む。リーフレットフレーム130と本体フレーム120は、互いに同一であるか又は異なる材料を含むことがある。一実施形態では、本体フレーム120は、バルーンによって拡張されるように可塑的に変形可能であり、及び、リーフレットフレーム130は、自己拡張するように弾性的に変形可能である。
【0055】
リーフレット
リーフレット130のU字形部分132の各々が、内側領域137を形成する。各々の内側領域137は、フィルム160等の生体適合性材料を備えており、この生体適合性材料は、リーフレットフレーム130の側部133と基部134に連結されており、及び、フィルム160はリーフレット140を形成する。各々のリーフレット140はリーフレット自由端縁142を形成する。
【0056】
一実施形態では、リーフレット140を形成する生体適合性材料は、非限定的に牛心膜等の生物学的組織を含む。別の実施形態では、生体適合性材料は、生物学的原料のものではないが、生体適合性ポリマー等の特定の用途のための充分に適合的で丈夫であるフィルム160である。一実施形態では、リーフレット140は、複合材料と呼ばれる、エラストマーと組み合わされた生体適合性ポリマーを含む。
【0057】
リーフレット140の形状は、リーフレットフレーム130の形状とリーフレット自由端縁412とによって部分的に形成される。一実施形態にしたがって後述されているように、リーフレット140の形状は、さらに、予め決められた形状をリーフレット140に付与する成形プロセスを使用する、リーフレット140の成形に部分的に依存する。
【0058】
一実施形態では、反転形態において、実質的にリーフレットフレーム130の全体が、本体フレームの内側表面129に隣接している。したがって、リーフレット140が完全な開放状態にある時には、弁100は、図3Aに示されている実質的に円形の弁開口部102を呈し、この場合にリーフレットフレーム130は流れ開口部(flow orifice)内に最小限にだけ延びる。リーフレット140が開放状態である時には、流体流が弁開口部102を通過することが可能にされる。
【0059】
リーフレット140が開閉する時に、リーフレット140は概ねU字形部分132の基部134の周りで屈曲する。弁100が閉じられている時には、リーフレット自由端縁142各々の概ね約半分が、図3Bに示すように、隣接するリーフレット140のリーフレット自由端縁142の隣接する半分部分に当接する。図3Bの実施形態の3つのリーフレット140が三重点(triple point)148で接触する。リーフレット140が閉鎖状態にある時に弁開口部102が閉塞させられ、流体流を阻止する。
【0060】
リーフレット140は、例えば心臓の心室又は心房の収縮によって生じさせられる血液の圧力差において作動させられるように構成されることが可能であり、この圧力差は、典型的には、弁100が閉じられる時の弁100の片側での流体圧力の増大の結果として生じる。弁100の流入側の圧力が弁100の流出側の圧力よりも高く上昇するのに応じて、リーフレット140が開き、血液が弁100の中を通って流れる。血液流が弁100の中を通って隣接する室又は血管の中に流れ込むにつれて、圧力が均等になる。弁100の流出側の圧力が弁100の流入側の血液圧力よりも高く上昇するにつれて、リーフレット140は閉鎖状態に戻り、血液の流れが弁140の流入側を通過して逆行することを概ね阻止する。
【0061】
リーフレットフレーム130が、特定の目的に適している、任意の個数のU字形部分132と、したがって任意の個数のリーフレット140とを備えることができるということを理解されたい。1つ、2つ、又は、3つ以上のU字形部分132とこれに対応するリーフレット140とを備える、リーフレットフレーム130が想定される。
【0062】
弁フィルム
図1Aに示されているように、本体フレーム120は、リーフレットフレーム130に横方向に隣接して且つリーフレットフレーム130から間隔を開けて同軸的に位置しており、及び、図2に示されているように、弁100の巻き解された図においては、リーフレットフレーム130と同一平面上に位置している。U字形部分132の基部134は、本体フレーム120の第1の本体フレーム端部127に隣接して配置されており、及び、リーフレットフレーム130のU字形部分132は本体フレーム120から離れる形で延びる。本体フレーム120とリーフレットフレーム130との間の空間が、フィルム160と架橋される時に、弁100の折り目領域144を形成する。弁100は、さらに、本体フレーム120とリーフレットフレーム130とに連結されているフィルム160を備え、このフィルム160は、少なくとも折り目領域144にまたがって、本体フレーム120をリーフレットフレーム130に連結する。後述するように、反転した形態では、フィルム160は、折り目領域144内で概ね円周線146に沿って折り曲げられている。折り目領域144内のフィルム160は、リーフレットフレーム130がそのヒンジを中心に本体フレーム120の中に反転することが可能なヒンジを実現する。
【0063】
フィルム160が、特定の目的に適合可能な様々な形で、リーフレットフレーム130と本体フレーム120とに連結されるだろう。例えば、非限定的に、本体フレーム120が、第1の組成を有するフィルム160の重なり層を巻き付けられることがある。リーフレットフレーム130が、第2の組成を有するフィルム160の重なり層を巻き付けられることがある。この巻き付けられたリーフレットフレーム130と巻き付けられた本体フレーム120は両方とも、リーフレットフレーム130と本体フレーム120との間の折り目領域144を架橋する、第3の塑性を有するフィルム160の重なり層を巻き付けられることがある。
【0064】
別の実施形態では、フィルム160は、リーフレットフレーム130と本体フレーム120の内側表面又は外側表面に連結されることがある。別の実施形態では、フィルム160は、リーフレットフレーム130と本体フレーム120の内側表面と外側表面とに連結され、フィルム160の間にリーフレットフレーム130と本体フレーム120とをサンドイッチすることがある。
【0065】
フィルム160は、リーフレット140が開放状態にある時に、血液が弁開口部102を通過せずに弁の中を通過して又は弁を横切って移動することを防止するように構成されている。したがって、フィルム160は、このフィルム160が覆う本体フレーム120とリーフレットフレーム120とのあらゆる1つ又は複数の間隙空間の中と、本体フレーム120とリーフレットフレーム120の間で、血液の流れに対する障壁を形成する。
【0066】
フィルム160は、テーピング(taping)、熱収縮、接着、及び、当業で公知の他の方法の1つ又は複数を使用して、本体フレーム120とリーフレットフレーム130との内側表面又は外側表面の単一又は複数の位置に固定されているか又は他の形で連結されている。幾つかの実施形態では、複数の膜/複合材料層、即ち、積層物が使用され、及び、フィルム160の少なくとも一部分を形成するために、本体フレーム120とリーフレットフレーム130との内側表面及び外側表面に連結されることが可能である。
【0067】
フィルム160は、本明細書で説明されている機能を果たすための適切な物理的特性及び機械的特性を有する1つ又は複数の任意の材料を含む。フィルム160は、上述したように、リーフレット140が含む同一の材料、又は、異なる材料を含むことがある。同様に、フィルム160は、材料の組成において均質であっても均質でなくてもよい。フィルム160の異なる部分が、異なる物理的及び機械的な特性をその部分に与えることが可能な、異なる材料を含むことが可能である。
【0068】
図1Aを再び参照すると、一実施形態では、非反転形態において、本体フレーム120は、リーフレットフレーム130に横方向に隣接し且つリーフレットフレーム130から間隔を置いて同軸的に配置されている。図2に示されているように、非反転形態にある時には、U字形部分132の基部134は、本体フレーム120の第1の本体フレーム端部127に隣接して且つこの第1の本体フレーム端部127に対して接触せずに配置されており、及び、リーフレットフレーム130のU字形端部132は本体フレーム120から離れて延び、及び、支柱131は本体フレーム120から離れて延びる。支柱131が本体フレーム120の第1の本体フレーム端部127から遠位にあるということに留意されたい。フィルム160はU字形部分132の間を端から端まで延びる。U字形部分132の間を延びるフィルム160は、反転形態である時に、本体フレーム120とリーフレットフレーム130との間を血液が流れることを阻止する。U字形部分132の間を延びるフィルム160は、リーフレット140を形成する。
【0069】
カテーテル荷重輪郭
図1Aに示されているように、非反転形態では、リーフレットフレーム130は、本体フレーム120と同軸的に配置されており、及び、本体フレーム120から離れて延びる。反転形態の形では、リーフレットフレーム130は、図3Cに示されているように、本体フレーム120と同軸であることを維持しながら本体フレーム120の中に配置されるように、折り目領域144の周りで折り曲げることによって、本体フレーム120内に反転させられている。非反転形態から反転形態への移行は、一般的に配置時点において、生体内原位置において、血管内で行われるだろう。
【0070】
図1Dから図1Eを参照すると、弁100は、この弁100が折り畳み形態で血管内で送達されて、図4に示されているように組織開口部150内での配置時に拡張されることが可能であるように、より小さい直径を有する折り畳み形態に圧縮され、及び、拡張形態に拡張されるだろう。リーフレットフレーム130と本体フレーム120は、折り畳み形態から拡張形態への移行時に円周方向の均一性を回復する働きをする。
【0071】
弁100は、特定の目的に適している反転形態又は非反転形態で送達カテーテル上に取り付けられるだろう。一実施形態では、弁100は、反転形態の形で送達カテーテル上に取り付けられる。折り畳み形態の弁100の輪郭が、本体フレーム120内に存在するリーフレットフレーム130の厚さによって部分的に決定されることがあるが、反転形態の形の弁100は非反転形態に比較してより短い長さを有する。
【0072】
別の実施形態では、弁100は、非反転形態の形で送達カテーテル上に取り付けられる。折り畳み形態の弁100の輪郭が、本体フレーム120の外側に存在するリーフレットフレーム130の厚さによって部分的に決定されることはないが、非反転形態の形の弁100は反転形態に比較してより長い長さを有するだろう。したがって、非反転形態の形の弁100は、送達カテーテル上に取り付けられて圧縮される時に、より小さい輪郭を有するだろう。言い換えると、非反転形態の形の弁100は、反転形態の形である弁100に比較して、送達カテーテル上でより小さい直径の形に折り畳まれることが可能である。
【0073】
再び図1Aを参照すると、一実施形態では、非反転形態において、本体フレーム120は、リーフレットフレーム130に横方向に隣接して、且つ、リーフレットフレーム130から間隔を置いて、同軸的に配置されている。図2に示されているように、U字形部分132の基部134は、本体フレーム120の第1の本体フレーム端部127に隣接して、且つ、この第1の本体フレーム端部127に接触せずに配置されており、及び、非反転形態にある時に、リーフレットフレーム130のU字形部分132は本体フレーム120から離れて延び、及び、支柱131は本体フレーム120から離れて延びる。
【0074】
リーフレットフレーム130は本体フレーム120に接触しないということに留意されたい。本体フレーム120とリーフレットフレーム130との間の空間が、フィルム160によって架橋される時に、弁100の折り目領域144を形成する。特に、弁100が送達カテーテル上に取り付けられている時に、及び、非反転形態で移植部位に送達する最中に、折り目領域144は、本体フレーム120とリーフレットフレーム130との間の非接触との組み合わせにおいて、折り目領域の周りでの弁100の(継手の形での)関節接合を可能にする。
【0075】
反転リーフレットフレームの係合
一実施形態では、リーフレットフレーム130が本体フレーム120の中に反転させされた後に、リーフレットフレーム130は、最終的な作動形態を実現するために本体フレームの内側表面129に対して押し付けられるだろう。一実施形態では、リーフレットフレーム130は反転形態に向かうばね偏倚を有し、リーフレットフレーム130は偏倚された付勢係合(biased urging engagement)の形で本体フレーム120に係合する。
【0076】
一実施形態では、図1Cに示されているように、反転形態において、支柱131が本体フレーム120の本体フレーム内側表面129に当接する。一実施形態では、支柱131は、リーフレットフレーム130のばね偏倚によって、本体フレームの内側表面129に隣接した形で保持されている。別の実施形態では、支柱131は、リーフレットフレーム130のばね偏倚によって、本体フレームの内側表面129と付勢係合の形で保持されている。さらに別の実施形態では、支柱131は、本体フレーム120によって形成されている係合要素(図示されていない)によって本体フレームの内側表面129と連結されている。
【0077】
一実施形態では、図1C図3Cに示されているように、支柱131は、リーフレットフレーム130のばね偏倚によって、本体フレームの内側表面129に隣接した形で保持され、及び、さらには、本体フレーム120によって形成されている凹み128の中に位置している支柱131の係合によって位置合わせされる。凹み128は、本体フレーム120に対して支柱131を優先的に配置するように、凹み128の頂点に向けて支柱131を方向付ける働きをする。この支柱が本体フレーム120内に完全に位置していることがあり、又は、本体フレーム120から、及び、本体フレーム120の外側に、少なくとも部分的に延びるということを理解されたい。
【0078】
本体フレーム130に対するリーフレットフレーム130の支柱13の係合が、リーフレットフレーム130が本体フレーム120によって支持されていない場合よりも大きな度合でリーフレットフレーム130を支持することを実現する。本体フレーム130に対する支柱13の係合は、リーフレット140上の荷重のリーフレットフレーム130への伝達と、その後の本体フレーム130への伝達とを可能にする。一実施形態では、実質的にリーフレットフレーム130の全体が、本体フレーム内側表面129と付勢係合している。本体フレーム120に対するリーフレットフレーム130の係合の度合が、本体フレーム120によってリーフレットフレーム130上に与えられる支持の度合を決定するだろうし、及び、この本体フレーム120によってリーフレットフレーム130上に与えられる支持の度合は個別の用途に対して予め決められているだろうということが想定される。
【0079】
他の実施形態では、支柱131は、弁の動作中に、特に開閉時に、リーフレット140の荷重を受けて支柱131が内方に屈曲することを可能にするように、本体フレーム内側表面129との係合状態に保持されることがない。支柱131の屈曲は、リーフレット自由端縁142が閉鎖時に密着シールを形成するように接合することを確実なものにするだろう。
【0080】
弁100の実施形態では、本体フレーム120及びリーフレットフレーム130との包含が、特定の目的に適している本体フレーム120とリーフレットフレーム130の各々に異なる物理的特性を与えるための手段を実現する。一実施形態では、本体フレーム120は、リーフレットフレーム130に比較して概して非弾性的である。本体フレーム120は、図4に示されているように組織開口部150に係合するように拡張される時に、組織開口部150に対する付勢係合の状態のままであるように、且つ、より小さい直径へと大きく反跳しないように、又は、生理学的荷重(physiological loading)を受けて変形しないように、充分に硬質である。
【0081】
本体フレーム120及びリーフレットフレーム130の物理的特性は、部分的に、本体フレーム120及びリーフレットフレーム130のサイズ、形状、厚さ、材料特性と、フィルム160の様々な物理的特性と、層又はラッピング(wrapping)の個数とに依存する。
【0082】
クラスプ(clasp)及び/又は係合要素
一実施形態では、1つ又は複数のクラスプ(図示されていない)又は幾つかの他の同様の係合機構が、支柱131を本体フレーム120に固定し、及び、予め決められた量の構造的剛性をリーフレットフレーム130に付与することが可能である。したがって、リーフレットフレーム130上の力が、少なくとも部分的に、本体フレーム120に伝達又は分配されるだろう。この点で、クラスプは、リーフレットフレーム130と本体フレーム120とを相互固着するか、互いに連結するか、互いに締め付け固定するか、又は他の形で一体状に保持するための任意の構造を備える。リーフレットフレーム130を本体フレーム120に連結するクラスプは、リーフレットフレーム130上の力の少なくとも一部分を本体フレーム120に伝達する働きをする。
【0083】
リーフレットフィルム
リーフレット140を形成する生体適合性材料が、生物組織、又は、生体適合性ポリマー等の充分に適合的で可撓性である合成生体適合性材料を含むことが可能である。一実施形態では、リーフレット140は、複合材料と呼ばれる、エラストマーと組み合わされている生体適合性ポリマーを含む。一実施形態による材料は、フィブリルのマトリックス内に複数の空間を有する延伸フルオロポリマー膜と、エラストマー材料とを含む複合材料を含む。本開示の範囲内において、多様なタイプのフルオロポリマー膜と多様なタイプのエラストマー材料とが、積層物を形成するために組み合わされることが可能であるということを理解されたい。さらに、このエラストマー材料は、本開示の範囲内において、多様なエラストマーと、多様なタイプの非エラストマー性成分(例えば、無機充填材、治療薬剤、放射線不透過性マーカー、又は、これらと同種のもの)を含むことが可能であるということを理解されたい。
【0084】
一実施形態では、この複合材料は、例えばBacinoに対する米国特許第7,306,729号明細書に概して説明されている、多孔性ePTFE膜で作られている延伸フルオロポリマー材料を含む。
【0085】
上述した延伸フルオロポリマー材料を形成するために使用される延伸性フルオロポリマーは、PTFEホモポリマーを含むことがある。別の実施形態では、PTFE、延伸性変性PTFE、及び/又は、PTFEの延伸コポリマーのブレンドが使用されることがある。適しているフルオロポリマー材料の非限定的な例が、例えば、Brancaに対する米国特許第5,708,044号明細書、Baillieに対する米国特許第6,541,589号明細書、Sabol他に対する米国特許第7,531,611号明細書、Fordに対する米国特許出願公開第11/906,877号明細書、及び、Xu他に対する米国特許出願公開第12/410,050号明細書に記載されている。
【0086】
延伸フルオロポリマー膜は、所望のリーフレット性能を実現するために任意の適切な微細構造を有することが可能である。一実施形態では、延伸フルオロポリマーは、図9Aの走査電子顕微鏡写真画像に示されている、Gore対する米国特許第3,953,566号明細書に記載されているもの等の、フィブリルで相互連結されたノードの微細構造を含む。フィブリルは複数の方向にノードから半径方向に延び、及び、その膜は概ね均質の構造を有する。この微細構造を有する膜は、典型的には、2未満の、及び、おそらくは1.5未満の、2つの直交方向におけるマトリックス引張強度比(ratio of matrix tensile strength)を示すだろう。本明細書に示されている延伸フルオロポリマー膜の実施形態は、約1μm未満である直径を有する大多数のフィブリルを含む。本明細書に示されている延伸フルオロポリマー膜の他の実施形態は、約0.1μm未満である直径を有する大多数のフィブリルを含む。本明細書に示されている実施形態は、そのフィブリルの大多数が約1μm未満から約0.1μm未満を超えるフィブリルを含む膜は、リーフレット材料として使用される時に少なくとも(非限定的に)心臓弁の耐久性と寿命とに対して大きな改善をもたらすということを認める。本明細書に示されている延伸フルオロポリマー膜の実施形態は、実施形態によって、約5μm未満、約1μm未満、及び、約0.10μmの平均流動孔径(mean flow pore size)を有するだろう。
【0087】
別の実施形態では、実施形態による図9Bの走査電子顕微鏡写真画像に示されているように、Bacinoに対する米国特許第7,306,729号明細書に概して教示されている通りの、実質的にフィブリルだけの微細構造を有する。図9Cは、図9Bの走査電子顕微鏡写真画像のより高倍率の拡大像であり、実質的にフィブリルだけを有する均質の微細構造をより明瞭に示す。実質的にフィブリルだけを有する延伸フルオロポリマー膜は、例えば20m2/gより大きいか又は25m2/gより大きい大きな表面積を有することが可能であり、及び、幾つかの実施形態では、この延伸フルオロポリマー膜は、少なくとも1.5×105MPa2の2直交方向におけるマトリックス引張強度の積、及び/又は、4未満、おそらくは1.5未満の2直交方向におけるマトリックス引張強度比を有する、高度に均衡した強度の材料を提供することが可能である。本明細書に示されている延伸フルオロポリマー膜の実施形態は、約1μm未満である直径を有する大多数のフィブリルを含む。本明細書に示されている延伸フルオロポリマー膜の他の実施形態は、約0.1μm未満である直径を有する大多数のフィブリルを含む。本明細書に示されている実施形態は、そのフィブリルの大多数が約1μm未満から約0.1μm未満を超えるフィブリルを含む膜が、リーフレット材料として使用される時に少なくとも(非限定的に)心臓弁の耐久性と寿命とに対して大きな改善をもたらすということを認める。本明細書に示されている延伸フルオロポリマー膜の実施形態は、実施形態によって、約5μm未満、約1μm未満、及び、約0.10μmの平均流動孔径を有するだろう。
【0088】
延伸フルオロポリマー膜は、所望のリーフレット性能を実現するために任意の適切な厚さ及び質量を有するように調整されることが可能である。例えば、しかし非限定的に、リーフレット140は、約0.1μmの厚さを有する延伸フルオロポリマー膜を備える。この延伸フルオロポリマー膜は、約1.15g/m2の単位面積当たりの質量(mass per area)を有することが可能である。本発明の一実施形態による膜は、長手方向における約411MPaのマトリックス引張強度と、横方向における315MPaのマトリックス引張強度とを有することが可能である。
【0089】
リーフレットの所望の特性を強化するために、追加の材料が、細孔内に、又は、膜の材料の中に、又は、膜の層の間に組み入れられることがある。本明細書で説明する複合材料は、所望のリーフレット性能を実現するために、任意の適切な厚さと質量とを有すように調整されることが可能である。実施形態による複合材料はフルオロポリマー膜を含むことが可能であり、及び、約1.9μmの厚さと、約4.1g/m2の単位面積当たりの質量とを有することが可能である。
【0090】
複合材料を形成するためにエラストマーと組み合わされている延伸フルオロポリマー膜は、本開示の要素に、様々な形で心臓弁リーフレット等の高サイクル曲げインプラント用途(high-cycle flexural implant application)での使用のために必要とされる性能属性を与える。例えば、エラストマーの付加が、ePTFEだけの材料に認められる硬化(stiffening)を除去するか又は減少させることによって、リーフレットの疲労性能を向上させることが可能である。さらに、エラストマーの追加は、この材料が、性能の低下を生じさせることもある皺又は折り目等の恒久的な固化変形(set deformation)を被る可能性を減少させるだろう。一実施形態では、エラストマーが、延伸フルオロポリマー膜の多孔性構造中の細孔の体積又は空間の実質的にすべてを占拠する。別の実施形態では、エラストマーが少なくも1つのフルオロポリマー層の細孔の実質的にすべての中に存在している。細孔体積を満たすか又は実質的にすべての細孔の中に存在しているエラストマーを含むことが、外来材料が望ましくない形で複合材料の中に取り込まれる可能性がある空間を減少させる。こうした外来材料の一例が、血液との接触からその膜の中に取り込まれることがあるカルシウムである。心臓弁リーフレットで使用されるような複合材料の中にカルシウムが取り込まれる場合には、開閉を繰り返す間に機械的損傷が発生する可能性があり、したがって、リーフレットの穴の形成と血行動態の劣化との原因となる。
【0091】
一実施形態では、ePTFEと組み合わされているエラストマーは、Chang他に対する米国特許第7,462,675号明細書に記載されているもの等の、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)との熱可塑性コポリマーである。上述したように、このエラストマーは、このエラストマーが複合材料を形成するために延伸フルオロポリマー膜の空所又は細孔の実質的にすべてを占拠するように、延伸フルオロポリマー膜と組み合わされる。延伸フルオロポリマー膜の細孔をエラストマーで充填することが、様々な方法で行われることが可能である。一実施形態では、延伸フルオロポリマー膜の細孔を充填する方法は、延伸フルオロポリマー膜の細孔の中に部分的に又は完全に流れ込み、溶媒が蒸発することを可能にし、及び、充填材を残留させるために適している、粘度と表面張力とを有する溶液を生じさせるのに適合している溶媒の中に、エラストマーを溶解させる諸段階を含む。
【0092】
一実施形態では、複合材料は、3つの層、即ち、ePTFEの2つの外側層と、この外側層の間に配置されたフルオロエラストマーの内側層とを備える。追加のフルオロエラストマーが適していることが可能であり、及び、Chang他に対する米国特許出願公開第2004/0024448号明細書に記載されている。
【0093】
別の実施形態では、延伸フルオロポリマー膜の細孔を充填する方法が、延伸フルオロポリマー膜の細孔を部分的に又は完全に満たすために分散によって充填材を配送する諸段階を含む。
【0094】
別の実施形態では、延伸フルオロポリマー膜の細孔を充填する方法が、延伸フルオロポリマー膜の細孔の中にエラストマーが流れ込むことを可能にする熱及び/又は圧力の条件の下で、多孔性延伸フルオロポリマー膜をエラストマーのシートに接触させる諸段階を含む。
【0095】
別の実施形態では、延伸フルオロポリマー膜の細孔を充填する方法が、最初に延伸フルオロポリマー膜の細孔にエラストマーのプレポリマーを充填し、その次に、そのエラストマーを少なくとも部分的に硬化させることによって、延伸フルオロポリマー膜の細孔の中でエラストマーを重合させる諸段階を含む。
【0096】
エラストマーの最小の重量パーセントに達した後に、フルオロポリマー材料又はePTFEで構成されたリーフレットは、概して、エラストマーのパーセンテージの増大に応じて、より良好に機能し、及び、サイクル寿命の著しい増大を結果的にもたらした。一実施形態では、ePTFEと組み合わされたエラストマーは、Chang他に対する米国特許第7,462,675号明細書、及び、当業者に知られている他の参考文献に記載されているような、テトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルとの熱可塑性コポリマーである。リーフレット140に使用するのに適していることが可能な他の生体適合性ポリマーは、非限定的に、ウレタン、シリコーン(オルガノポリシロキサン)、ケイ素-ウレタンのコポリマー、スチレン/イソブチレンコポリマー、ポリイソブチレン、ポリエチレン-co-ポリ(酢酸ビニル)、ポリエステルコポリマー、ナイロンコポリマー、フッ化炭化水素ポリマー及びコポリマー、又は、上記ポリマー各々の混合物を含む。
【0097】
他の考慮事項
一実施形態では、弁100は、大動脈弁置換処置で遭遇することがあるように、移植される時に左心室内の索枝を覆わないことによって、心臓刺激伝導系への干渉を防止するように構成されることが可能である。例えば、弁100は、約25mm未満の長さ、又は、約18mm未満の長さを有することが可能である。弁100は、さらに、1未満の縦横比を有することが可能であり、この場合に、この縦横比は、弁100の長さと拡張された機能的直径との間の関係を表す。しかし、弁100は、任意の長さに、及び、さらに一般的には、任意の所望の寸法に、構成されることが可能である。
【0098】
弁100は、折り畳み状態では、拡張輪郭の約35%未満である折り畳み輪郭を有することが可能である。例えば、26mmの拡張直径を有する弁100は、約8mm未満の、又は、約6mm未満の折り畳み直径を有することが可能である。直径におけるパーセント差(percent difference)が、弁100の寸法及び材料とその様々な用途とに依存しており、及び、したがって、実際のパーセント差は本開示によっては限定されない。
【0099】
弁100は、さらに、生理活性剤を含むことが可能である。生理活性剤は、弁100が移植された後のその生理活性剤の調整された放出のために、フィルム160の一部分又は全体の上に塗布されることが可能である。生理活性剤は、非限定的に、血管拡張剤、血液凝固阻止剤、抗血小板物質、及び、非限定的にヘパリン等の抗血栓薬を含むことが可能である。他の生理活性剤は、さらに、非限定的に、例えばビンカアルカロイド(すなわちビンブラスチン、ビンクリスチン、及び、ビノレルビン)等の天然生成物と、パクリタキセル、エピジポドフィロトキシン(すなわちエトポシド、テニポシド)、抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)ダウノルビシン、ドキソルビシン、及び、イダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)及びミトマイシン、酵素(L-アスパラギンを全身的に代謝し、その細胞自体のアスパラギンを合成する能力を有さない細胞を取り除くL-アスパラギナーゼ)を含む抗増殖/抗分裂剤と、例えばG(GP)IIb/IIIa阻害剤及びビトロネクチン受容体拮抗薬等の血小板凝集抑制薬と、例えば窒素マスタード(メクロレタミン、シクロホスファミド及び類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミン及びメチルメラミン(ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、アルキルスルホナート-ブスルファン、ニトロソ尿素(カルムスチン(BCNU)及び類似体、ストレプトゾシン)、トラゼネス-ダカルバジニン(DTIC)等の抗増殖/抗有糸分裂アルキル化剤と、例えば葉酸類似体(メトトレキサート)、ピリミジン類似体(フルオロウラシル、フロクスウリジン、及び、シタラビン)、プリン類似体及び関連阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、及び、2-クロロデオキシアデノシン{クラドリビン})等の抗増殖/抗有糸分裂抗代謝剤と、白金配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミドと、ホルモン(すなわちエストロゲン)と、抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩、及び、他のトロンビン阻害剤)と、線維素溶解剤(例えば組織プラスミノゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼ)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブと、抗遊走剤と、抗分泌剤(ブレベルジン)と、例えば副腎皮質ステロイド(コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α-メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベータメタゾン、及び、デキサメタゾン)、非ステロイド剤(サリチル酸誘導体、即ち、アスピリン)等の抗炎症剤と、パラ-アミノフェノール誘導体、即ち、アセトミノフェンと、インドール、及び、インデン酢酸(インドメタシン、スリンダク、及び、エトダラク)、ヘテロアリール酢酸(トルメチン、ジクロフェナク及びケトロラク)、アリールプロピオン酸(イブプロフェン及び誘導体)、アントラニル酸(メフェナム酸、及び、メクロフェナム酸)、エノール酸(ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、及びオキシフェンタトラゾン)、ナブメトン、金化合物(オーラノフィン、アウロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム)と、免疫抑制剤:(シクロスポリン、タクロリムス(FK-506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル)と、血管新生剤と、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)と、アンギオテンシン受容体遮断薬と、一酸化窒素供与体と、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びその組み合わせと、細胞周期阻害剤、mTOR阻害剤、及び、成長因子受容体シグナル伝達キナーゼ阻害剤と、レチノイドと、サイクリン/CDK阻害剤と、HMG補酵素還元酵素阻害剤(スタチン)と、プロテアーゼ阻害薬とを含むことが可能である。
【0100】
送達システム
一実施形態では、図4図5A-5Cとを参照すると、弁送達システム500が、上述した折り畳み形態と拡張形態とを有する弁100と、弁100を血管内において配置するように構成されているバルーンカテーテル等の細長い可撓性のカテーテル480とを備える。カテーテル480は、弁100を拡張するための、及び/又は、必要に応じて、適切な固定を確実なものにするように弁100を修正するための、バルーンを備えることが可能である。弁100は、脈管構造の中を通した送達のためにカテーテル480の遠位部分に取り付けられることが可能である。カテーテル480上に折り畳み形態で弁を保持するために、弁送達システムは、さらに、経カテーテル的弁(transcatheter valve)100上に密接的にぴったりと被さる取り外し可能なシース(theath)482を備えることもある。
【0101】
弁送達システム500は、非反転形態から反転形態へ弁100を血管内において移行させるように働く。例えば、送達システム500は、図5B-5Cに示されている反転装置(enverter)485を備える。この反転装置485は、非反転形態から反転形態への移行を容易化するための任意の機構を備える。一実施形態では、反転装置485は、非反転形態の形である間は本体フレーム120の支柱131の上にぴったりと被さるように構成されている。反転装置485は、弁100に対して相対的に、図5Bに示されている遠位位置と、図5Cに示されている近位位置との間を移動可能であり、これによって、このことはリーフレットフレーム130を拡張位置から反転位置に移動させる。反転装置485は、支柱131を半径方向に圧縮する環状又は漏斗形の構造を備えることが可能である。反転装置485は、弁100の弁開口部102の中を通って延びており且つ反転を容易化するために臨床医によって使用されることが可能である、細長い部材に繋ぎ止められることが可能である。一実施形態が上述されているが、しかし、任意の形状構成の任意の装置が反転を容易化するために使用されることが可能である。
【0102】
送達の方法が、近位端部と遠位端部を有する細長い可撓性カテーテルの遠位端部上において、反転した弁を折り畳み形態の形に半径方向に圧縮する段階と、この弁を、経大腿経路又は経心尖部(transapical)経路を経由して、大動脈弁の先天的な開口部等の組織開口部に送達する段階と、この弁を組織開口部の中に拡張させる段階とを含むことが可能である。この弁は、バルーンを膨張させることによって拡張させられることが可能である。
【0103】
送達方法が、近位端部と遠位端部を有する細長い可撓性カテーテルの遠位部分上において、非反転形態の状態である反転可能な弁を折り畳み形態の形に半径方向に圧縮する段階を含むことが可能である。弁の開口部とカテーテルの管腔との中を通る繋ぎ紐(Tether)に連結されることが可能な拘束装置(restraint)が、弁の支柱の周りに取り付けられる。その次に、この弁は、送達経路を経由して先天的な大動脈弁開口部等の先天的な弁開口部に送達され、この先天的な開口部の中に拡張させられる。送達経路は、経大腿経路又は経心尖部経路を含むことが可能である。この弁は、バルーンを膨張させることによって拡張させられることが可能である。その次に、臨床医は、拘束装置を遠位位置から近位位置に軸方向に移動させることによって、その弁のリーフレットフレームを反転させるだろう。その次に、リーフレットフレームは、本体フレーム上のクラスプの中に支柱を固定することによって本体フレームに連結されることが可能である。
【0104】
外科的な実施形態
弁100の実施形態が、経カテーテル的方法を使用するのではなく、外科的に移植されてもよいということを理解されたい。外科的に移植された弁100の実施形態は、一実施形態による本体フレームの外側表面127の周りの縫合カフ(sewing cuff)を付加することを伴うが、上述した実施形態と実質的に同一だろう。当業で公知の縫合カフは、組織開口部等の移植部位に弁100を連結するための縫合糸を受け入れる構造を提供する働きをする。縫合カフは、非限定的に例えば二重ベロアポリエステル(double velour polyester)等の、任意の適切な材料を含むだろう。縫合カフは、基部フレームに応じて、本体フレーム120の周りに円周方向に配置されるか、又は、弁周囲に配置されるだろう。リーフレットフレーム130は、本体フレーム120が移植部位に固定される前に、又は、固定された後に、本体フレーム120の中に反転させられるだろう。
【0105】
作成方法
本明細書で説明されている実施形態は、さらに、本明細書で説明されている弁の実施形態を作成する方法にも関する。様々な実施形態を作成するために、巻線治具(winding jig)と2部品型リーフレットマンドレルとが使用されることが可能である。図6を参照すると、巻線治具590は、弁の弁開口部を形成する構造的形状と、所望のリーフレットフレーム形状の形にワイヤを形成することを容易化するように構成されているリーフレットフレームガイド591とを有する。図8A-8Bを参照すると、2部品型マンドレル595は、リーフレットを形成するために管状の膜又は複合材料を成形するようにマンドレルを一体的に形成する、リーフレットクランプ596と基部型(base mold)597とを備える。リーフレットクランプ596は、リーフレットフレーム130に所望の湾曲又は屈曲を形成するために支柱131が中に配置される、リーフレットクランプ596の継ぎ目に沿った輪郭形成溝(contoured groove)594を備える。
【0106】
図6を参照すると、リーフレットフレームを作成する方法が、リーフレットフレーム130を形成するためにワイヤを成形する段階を含むことが可能である。巻線治具590は、リーフレットフレーム130を形成するために使用されることが可能であり、ワイヤが支柱とガイドとの周りで曲げられ、その次に熱硬化させられる。
【0107】
図7図8A-8Bとを参照すると、非反転形態の弁100を作成する方法の一実施形態が、例えば本明細書で説明されている複合材料等のフィルム160等の生体適合性材料の第1の層を、第1のマンドレル710の周りに管状の形状に巻き付ける段階と、図7に示されている、リーフレットフレーム130と本体フレーム120とをフィルム160の第1の層の上に配置する段階と、リーフレットフレーム130と本体フレーム120との上にフィルム160の第2の層を形成する段階と、このアセンブリを熱によって硬化させる段階と、第1のマンドレル710からそのアセンブリを取り外して、そのアセンブリを2部品型マンドレル596の中に挿入する段階と、リーフレットクランプ696をリーフレット140と付勢係合させながらリーフレットクランプ696を用いてリーフレット140を成形する段階と、リーフレット140を熱硬化させる段階とを含む。
【0108】
実施例
一例として、反転可能な弁の一実施形態が次のように作成されることが可能である。
【0109】
リーフレットフレームを、図6に示されているように、ニチノールワイヤ(直径0.51mm(0.020インチ))を巻線治具上に巻き付けることによって作成した。図2に示されているパターンが得られた後に、そのフレームを、10分間にわたって、450℃に設定された炉の中で形状硬化(shape set)させた。その次に、リーフレットフレームに対して、そのフレームに対する膜の接着を強化するために、粗面処理工程を行なった。このフレームを、約5分間にわたって、アセトンの超音波浴の中に沈めた。フレーム表面に対して、当業者に公知な方法を用いてプラズマ処理を加えた。
【0110】
FEP粉末(Daikin America,Orangeburg N.Y.)をそのリーフレットフレームに付着させた。その次に、リーフレットフレームを、約3分間にわたって、320℃に設定された強制空気循環炉(forced air oven)内で加熱した。このようにして、FEP粉末を溶融し、及び、薄いコーティングとしてそのフレーム全体に接着させた。リーフレットフレームを炉から取り出して、室温に冷えるまで放置した。
【0111】
本体フレームを、約0.5mm(0.02インチ)の壁厚さと、約2.5cm(1.0インチ)の直径と、2cmの長さとを有する316ステンレス鋼の管からレーザで切断した。図2に示されている環状の本体フレームを形成するために、ダイヤモンド形のパターンをその管の中に切り込んだ。上述した表面処理及びFEP粉末被覆段階と同じ表面処理及びFEP粉末被覆段階を、本体フレームに対して行った。
【0112】
リーフレット材料が得られた。ePTFEの膜を、Bacino他に対する米国特許第7,306,729号明細書に記載されている概括的な教示内容にしたがって製造することが可能である。ePTFE膜は、約1.15g/m2の単位面積当たり質量と、約79.7MPaの泡立ち点と、約1.016μmの厚さと、長手方向における約410.9MPaのマトリックス引張強度と、横方向における約315.4MPaのマトリックス引張強度とを有した。
【0113】
Chang他に対する米国特許第7,462,675号明細書に記載されているテトラフルオロエチレンとパーフルオロメ(チルビニルエーテル)とを含むコポリマーであるフルオロエラストマーが得られた。このコポリマーは、基本的に、約65重量%から約70重量%のパーフルオロメチルビニルエーテルと、補完的に約35重量%から約30重量%のテトラフルオロエチレンとから成っていた。
【0114】
このコポリマーを、Novec HFE7500(3M,St Paul,MN)中に濃度2.5%に溶解した。ePTFE膜を(ポリプロピレン剥離フィルムによって支持されている間に)メーヤバー(mayer bar)を使用して、調製された溶液で被覆し、及び、145℃に設定された熱対流炉内で30秒間にわたって乾燥させ、及び、これによって膨潤複合材料を作成した。2つの被覆段階の後に、最終的なePTFE/フルオロエラストマー又は複合材料が、約4.08g/m2の単位面積当たり質量と、28.22重量%のフルオロポリマーと、15.9KPaのドーム破裂強度(dome burst strength)と、1.89μmの厚さとを有した。
【0115】
この複合材料の15個の層を、エラストマー含有量が高い側がそのマンドレルから外方に向く形で、図7に示されている組み合わされた直径25mmのアルミニウム製マンドレルアセンブリの周囲に巻き付けた。この複合材料の15個の層の各々を、複合材料の横断方向をマンドレルの長手軸線に沿って方向配置するために、マンドレルの周囲に円周状に巻き付けた。リーフレットフレームを、そのワイヤ巻き付け状態から反転させ、その次に、図8Aに示されているように、マンドレル上に同軸状に配置した。その次に、本体フレームを、図7に示されているように、マンドレルの上に置いた。
【0116】
追加の5個の複合材料層を、各層のエラストマー含有量が高い側がリーフレットフレームと本体フレームとに面する形で、リーフレットフレームと本体フレームとの周囲に巻き付けた。
【0117】
その次に、このアセンブリに、ポリイミド剥離フィルムの犠牲層を円周方向に巻き付けた。このアセンブリを、約30分間にわたって、約280℃に設定された強制空気循環型炉の中で加熱した。このアセンブリを炉から取り出し、水で冷却した。弁を露出させるように、犠牲層を取り除いた。3つの交連部(commissure)又は接合表面領域を形成するために、図1A図8Aに示されているように、フレーム支柱の頂部から各リーフレットの共通の三重点まで自由端縁を形成するために、過剰なリーフレット材料をハサミを使用して切り落とした。非反転フレームアセンブリをその工作機械から取り出した。
【0118】
その次に、図8A図8Bとに示されているようにリーフレットクランプ596を配置し、その次に、このリーフレットクランプ596をリーフレットに対して閉じることによって、リーフレットを予め決められた形状に形成した。その次に,組み合わされたマンドレルアセンブリを、リーフレット形状を硬化させるために熱処理した。
【0119】
試験方法
特定の方法及び機器が以下で説明されているが、当業者によって適切であると判断される任意の方法及び機器が代替策として使用されてもよいということを理解されたい。
【0120】
泡立ち点及び平均流動気孔径
泡立ち点及び平均流動気孔径(mean flow pore size)を、ASTM F31 6-03の全般的な教示に従って、Capillary Flow Porometer、Model CFP 1500AEXL(Porous Materials,Inc.,Ithaca,NY,USA)を使用して測定した。このサンプル膜をサンプルチャンバー内に配置し、20.1ダイン/cmの表面張力を有するSilWick Silicone Fluid (Porous Materials Inc.より入手可能)で濡らした。このサンプルチャンバーの底部クランプは直径2.54cmの穴を有した。試験流体はイソプロピルアルコールだった。Capwinソフトウェア バージョン7.73.012を用いて、以下のパラメータを下記の表に指定されている通りに設定した。本明細書では、平均流動気孔径と気孔径は互換的に使用されている。
パラメータ 設定値
Maxflow(cm3/m) 200000
Bublflow(cm3/m) 100
F/PT(old bubltime) 50
Minbpres(PSI) 0
Zerotime(sec) 1
V2incr(cts) 10
Preginc(cts) 1
Pulse delay(sec) 2
Maxpre(PSI) 500
Pulse width(sec) 0.2
Mineqtime(sec) 30
Presslew(cts) 10
Flowslew(cts) 50
Eqiter 3
Aveiter 20
Maxpdif(PSI) 0.1
Maxfdif(PSI) 50
Sartp(PSI) 1
Sartf(cm3/m) 500
【0121】
細孔内のエラストマーの存在
細孔内のエラストマーの存在が、表面及び/又は横断面の画像、又は、他の分析等の、当業者に公知の幾つかの方法で判定されることが可能である。この分析は、複合材料からのエラストマーの除去の前と後に行われることが可能である。
【0122】
フィブリルの直径
フィブリルの平均直径が、図9A-9Cの走査電子顕微鏡検査(SEM)顕微鏡写真等の、多数のフィブリルを示すために適している倍率を有する得られた顕微鏡写真を検査することによって推定された。複合材料の場合には、フィブリルを露出させるために、任意の適切な手段によって、細孔を満たしている可能性があるエラストマー又は他の材料を取り出すことが必要だろう。
【0123】
ePTFEの質量、厚さ、及び、密度
膜厚さが、Kaefer FZ1000/30厚さ挟みゲージ(Kaefer Messuhrenfabrik GmbH,Villingen-Schwenningen,Germany)の2つのプレートの間に膜を置くことによって測定された。3つの測定値の平均が報告された。
【0124】
膜サンプルが、重量測定(Mettler-Toledo分析天秤モデルAG204を使用)及び厚さ測定(Kaefer FZ1000/30挟みゲージを使用)のために、約2.54cm×約15.24cmの長方形切片を形成するように打ち抜かれた。これらのデータを使用して、次式
ρ=m/(w*l*t)
を使用して密度が計算され、前式中で、ρ=密度(g/cm3)、m=質量(g)、w=幅(cm)、l=長さ(cm)、及び、t=厚さ(cm)である。3つの測定値の平均が報告された。
【0125】
ePTFE膜のマトリックス引張強度(matrix tensile strength)(MTS)
引張破断荷重(tensile break load)を、平面グリップ(flat-faced grip)と0.445kNロードセルとを備えたINSTRON 122引張試験装置を使用して測定した。ゲージ長さは約5.08cmであり、及び、クロスヘッド速度は約50.8cm/分だった。サンプル寸法が約2.54cm×約15.24cmだった。最大強度測定のために、サンプルのより長い方の寸法(longer dimension)を最大強度方向に方向配置した。直交MTS測定のために、サンプルのより大きい方の寸法(larger dimension)を最大強度方向に対して垂直に方向配置した。各々のサンプルを、Mettler Toledo Scale Model AG204を使用して重量測定し、その次に、厚さをKaefer FZ1000/30挟みゲージを使用して測定し、あるいは、この代わりに、厚さ測定のための任意の適切な手段を使用してもよい。その次に、サンプルを、引張試験機上で個別的に試験した。各サンプルの3つの異なる部分を測定した。3つの最大荷重(即ち、最大負荷)測定値の平均が報告された。長手方向及び横断方向のマトリックス引張強度(MTS)を、次式
MTS=(最大荷重/横断面積)*(PTFEの嵩密度)/(多孔性膜の密度)
を使用して計算し、前式中で、PTFEの嵩密度を約2.2g/cm3であるように選んだ。
【0126】
装置及び/又は方法の構造及び機能の詳細と共に様々な代替案を含む、様々な特徴と利点とを上記の記載内容において説明してきた。この開示は、単に例示的なものであることを意図されており、したがって、網羅的であることは意図されていない。添付されている特許請求項が表現されている術語の広範で概括的な意味によって示されている限りにおいて、特に組合せを含む部品の構造、材料、要素、構成要素、形状、サイズ、及び、配置に様々な変更が加えられることが可能であるということが当業者に明らかだろう。こうした様々な変更は、添付されている特許請求項の着想と範囲とから逸脱しない限りは、この着想と範囲に含まれることが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
【手続補正書】
【提出日】2022-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経カテーテル的弁において、
前記経カテーテル的弁は、流体がそれを通して選択的に流れることができる流れ管腔を形成している多部品型のフレームを備え、
前記多部品型のフレームは、
第1の管腔を形成している概ね管状を有する外側支持部分と、
概ね管状を有する反転可能な支持部分と、
反転可能な支持部分を前記外側支持部分に結合する、可撓性のある架橋材料であって、前記反転可能な支持部分は、前記外側支持部分に対して横方向に隣接している、第1の位置と、前記反転可能な支持部分が少なくとも部分的に前記外側支持部分の前記第1の管腔内に位置する、第2の反転位置との間で移行可能である、可撓性のある架橋材料とを備え、
前記経カテーテル的弁は、前記多部品型のフレームに結合されている複数のリーフレットであって、前記複数のリーフレットの各々は、前記多部品型のフレームの前記流れ管腔を選択的に遮断及び遮断解除するように、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能である、複数のリーフレットをさらに備える、経カテーテル的弁。
【請求項2】
前記可撓性のある架橋材料は、前記反転可能な支持部分が前記第2の反転位置に移行された時に、前記多部品型のフレームの前記外側支持部分の遠位端にわたって折り曲げられる、請求項1に記載の経カテーテル的弁。
【請求項3】
前記反転可能な支持部分が前記第1の位置にある時、前記経カテーテル的弁は、前記反転可能な支持部分が前記第2の反転位置にある時に実現可能な圧縮された輪郭と比較して、送達カテーテル上に取り付けられて圧縮される時の比較的に圧縮された輪郭を有する、請求項1又は2に記載の経カテーテル的弁。
【請求項4】
前記外側支持部分は、前記反転可能な支持部分とは異なる硬さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の経カテーテル的弁。
【請求項5】
前記経カテーテル的弁は、前記反転可能な支持部分が前記第1の位置にある、折り畳み形態の送達カテーテルに圧縮させられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の経カテーテル的弁。
【請求項6】
経カテーテル的弁において、
前記経カテーテル的弁は、多部品型のフレームを備え、
前記多部品型のフレームは、
本体フレーム管腔を形成する概ね管状を有する本体フレームと、
複数の基部と複数の支柱とを形成する概ね環状の形状を有するリーフレットフレームであって、前記本体フレームは、前記リーフレットフレームに隣接して、且つ、前記リーフレットフレームから間隔を置いて、同軸的に延びている、リーフレットフレームとを備え、
前記経カテーテル的弁は、前記複数の支柱の間において前記複数の基部と連結されている複数のリーフレットであって、前記多部品型のフレームは、前記リーフレットフレームが前記本体フレームから軸方向に離間している、軸方向に拡張した非反転形態から、前記リーフレットフレームが前記本体フレームの前記管腔内に少なくとも部分的に受け入れられている、反転形態へそれ自身に反転されるように構成されている、複数のリーフレットをさらに備える、経カテーテル的弁。
【請求項7】
前記経カテーテル的弁は、前記リーフレットフレームと前記本体フレームの間にありかつ前記本体フレームを前記リーフレットフレームに連結する折り目領域を架橋する、前記本体フレームと前記リーフレットフレームの間を端から端まで延びているフィルムをさらに備え、前記多部品型のフレームは、前記リーフレットフレームを少なくとも部分的に前記本体フレーム内に配置するように前記折り目領域に沿って反転する働きをする、請求項6に記載の経カテーテル的弁。
【請求項8】
前記多部品型のフレームが前記非反転形態にある時、前記経カテーテル的弁が、前記多部品型のフレームが前記反転形態にある時に実現可能な圧縮された輪郭と比較して、送達カテーテル上に取り付けられて圧縮される時の比較的に圧縮された輪郭を有する、請求項6又は7に記載の経カテーテル的弁。
【請求項9】
前記フィルムは前記本体フレームと前記リーフレットフレームとをサンドイッチする請求項6~8のいずれか一項に記載の経カテーテル的弁。
【請求項10】
前記リーフレットはポリマー材料を含む請求項6~9のいずれか一項に記載の経カテーテル的弁。
【請求項11】
前記リーフレットは積層物を含む請求項6~10のいずれか一項に記載の経カテーテル的弁。
【請求項12】
前記積層物は、フルオロポリマー膜の3つ以上の層を有する請求項11に記載の経カテーテル的弁。
【請求項13】
前記リーフレットは、複数の細孔を有する少なくとも1つのフルオロポリマー膜の層と、フルオロポリマー膜の少なくとも1つの層の細孔の実質的にすべての中に存在するエラストマーとを有する、複合材料を含む請求項6~12のいずれか一項に記載の経カテーテル的弁。
【請求項14】
前記複合材料は約10重量%から約80重量%のフルオロポリマー膜を含む請求項13に記載の経カテーテル的弁。
【請求項15】
前記エラストマーは(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)を含む請求項13又は14に記載の経カテーテル的弁。
【請求項16】
前記エラストマーは、テトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルとのコポリマーを含む請求項13又は14に記載の経カテーテル的弁。
【請求項17】
前記フルオロポリマー膜はePTFEを含む請求項12~16のいずれか一項に記載の経カテーテル的弁。
【請求項18】
前記本体フレームは非形状記憶材料を含む請求項6~17のいずれか一項に記載の経カテーテル的弁。
【請求項19】
前記本体フレームは、前記本体フレームが折り畳み輪郭に圧縮されることと異なる直径の間で拡張されることとを可能にする働きをする、概ね開いた穴のパターンを形成する概ね管状の部材である請求項6~17のいずれか一項に記載の経カテーテル的弁。
【請求項20】
前記本体フレームと前記リーフレットフレームは、異なる相対硬さを有する請求項6~19のいずれか一項に記載の経カテーテル的弁。
【請求項21】
前記本体フレームは前記リーフレットフレームよりも高い相対硬さを有する請求項6~20のいずれか一項に記載の経カテーテル的弁。