(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058720
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】外科バスケット
(51)【国際特許分類】
A61B 17/221 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
A61B17/221
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022007952
(22)【出願日】2022-01-21
(62)【分割の表示】P 2020033846の分割
【原出願日】2020-02-28
(31)【優先権主張番号】16/290,231
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・ダブリュー・フライト
(57)【要約】
【課題】本発明は、外科バスケットに関する。
【解決手段】この方法は、少なくとも2つの第1のループペタルを含む第1のループペタル群と、少なくとも2つの第2のループペタルを含む第2のループペタル群と、を具備する少なくとも2つのループペタル群を備えており、前記第1のループペタルの大きさが、前記第2のループペタルと異なる大きさとされるバスケット装置を準備するステップと、シースを前記バスケット装置に接続するステップと、を備えている。前記バスケット装置と前記シースとが、長手方向に互いに相対的に滑動するように構成されている。前記第1のループペタル群は、前記シースによって、前記第2のループペタル群と異なる速度で移動されるような大きさ及び形状とされる。前記第1のループペタルのうちの少なくとも2つは、ベースから遠位端部にかけて、前記第2のループペタルのうちの少なくとも他の1つと異なる長さを有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスケット部を備えており、前記バスケット部は、収縮状態と、延在状態と、の二つの状態を取り得るように構成されている、バスケット装置を準備するステップであって、前記バスケット部が、少なくとも2つの第1のループペタルを含む第1のループペタル群と、少なくとも2つの第2のループペタルを含む第2のループペタル群と、を具備する少なくとも2つのループペタル群を備えており、前記第1のループペタルの大きさが、前記第2のループペタルと異なる大きさとされる、前記ステップと、
シースを前記バスケット装置に接続するステップであって、前記バスケット装置と前記シースとが、長手方向において互いに対して相対的に滑動するように構成されており、前記第1のループペタル群が、前記バスケット装置と前記シースとが長手方向において互いに対して相対的に滑動される場合に、前記シースによって、前記第2のループペタル群と異なる速度で移動されるような大きさ及び形状とされる、前記ステップと、
を備えており、
前記第1のループペタルのうちの少なくとも2つは、ベースから遠位端部にかけて、前記第2のループペタルのうちの少なくとも他の1つとは異なる長さを有している
方法。
【請求項2】
前記方法が、制御部を前記バスケット装置及び前記シースに接続するステップを備えており、
前記制御部が、物体に接触した状態で前記バスケット部を閉じるために、長手方向において前記バスケット装置及び前記シースを互いに対して相対的に移動させるように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バスケット装置を準備する前記ステップには、前記バスケット部が、前記バスケット装置と前記シースとが長手方向において互いに対して相対的に滑動される場合に、前記バスケット部と前記シースとの接触によって少なくとも2つの前記第1のループペタルが互いに向かって移動開始される前に、前記バスケット部と前記シースとの接触によって少なくとも2つの前記第2のループペタルが互いに向かって移動開始されるように構成されるような、大きさ及び形状とされることが含まれている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バスケット装置を準備する前記ステップが、前記第1のループペタルが略直線状のプロファイルを有していること、前記第2のループペタルが湾曲したプロファイルを有していること、及び、前記第1のループペタルが前記第2のループペタルより小さいことを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記バスケット装置を準備する前記ステップが、前記シースが長手方向において前記バスケット装置の上を滑動される場合に、前記第1のループペタル群及び前記第2のループペタル群が、物体と接触状態になるように移動されるように構成されていることを備えており、
前記第2のループペタル群が、前記第1のループペタル群が前記物体に接触する前に前記物体に接触するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記バスケット装置を準備する前記ステップが、前記第1のループペタルそれぞれが、前記バスケット部の、前記第2のループペタルそれぞれと同じ側部に位置していることを備えており、
前記第1のループペタルが、前記第2のループペタルより小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
長手方向においてシース及びバスケット装置を互いに対して相対的に滑動させるステップであって、前記バスケット装置が、バスケット部を備えており、前記バスケット部は、収縮状態と、延在状態と、との二つの状態を取り得るように構成されており、前記バスケット部が、少なくとも2つの第1のペタルを含む第1のペタル群と、少なくとも2つの第2のペタルを含む第2のペタル群と、を具備する少なくとも2つのペタル群を備えており、前記第1のペタルの大きさが、前記第2のペタルの大きさと異なる、前記ステップと、
前記バスケット装置と前記シースとが長手方向において互いに対して相対的に滑動される場合に、前記シースによって、第1の速度で前記第1のペタル群を移動させるステップと、
前記バスケット装置と前記シースとが長手方向において互いに対して相対的に滑動される場合に、前記シースによって、異なる第2の速度で前記第2のペタル群を移動させるステップと、
を備えており、
前記第1のループペタルのうちの少なくとも2つは、ベースから遠位端部にかけて、前記第2のループペタルのうちの少なくとも他の1つとは異なる長さを有している
方法。
【請求項8】
前記シースによって、異なる第2の速度で前記第2のペタル群を移動させる前記ステップが、
前記第2のペタル群の少なくとも一部分が、前記第1のペタル群より速く移動すること、
少なくとも2つの前記第1のペタルが互いに向かって移動開始する前に、少なくとも2つの前記第2のペタルが互いに向かって移動開始されること、及び
前記第1のペタル群がそれらの間に位置する物体に接触する前に、前記第2のペタル群がそれらの間に位置する前記物体に接触すること、
のうち少なくとも1つを引き起こす、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示のかつ非限定的な実施形態は、一般的にはバスケットを有するデバイスに関し、より詳細には閉じることが可能なバスケットのための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1が、バスケットを有する医用デバイスを開示している。特許文献2が、様々な大きさの回収バスケットを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6764499号明細書
【特許文献2】米国特許第8211115号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下の概要は、専ら例示として意図される。この概要は、特許請求の範囲を限定するようには意図されない。
【0005】
一態様によれば、一例の実施形態が、バスケット部を備えるバスケット装置と、バスケット装置上のシースとを備え、バスケット装置及びシースが、互いに対して長手方向に滑動するように構成され、バスケット部が、少なくとも2つの第1のループペタルを備える第1の群と少なくとも2つの第2のループペタルを備える第2の群とを備える少なくとも2つのループペタル群を備え、第1のループペタルが、第2のループペタルとは異なる大きさを有する、装置において提供され得る。
【0006】
別の態様によれば、一例の実施形態が、バスケット部を備えるバスケット装置と、バスケット装置上のシースとを備え、バスケット装置及びシースが、互いに対して長手方向に滑動するように構成され、バスケット部が、第1のペタル群及び第2のペタル群を備える少なくとも2つのペタル群を備え、第1のペタル群が、バスケット装置及びシースが互いに対して長手方向に滑動される場合に、シースにより第2のペタル群とは異なる速度で移動されるように大きさ設定及び形状設定される、装置において提供され得る。
【0007】
別の態様によれば、バスケット部を備えるバスケット装置を用意するステップであって、バスケット部が少なくとも2つの第1のループペタルを備える第1の群及び少なくとも2つの第2のループペタルを備える第2の群を備える少なくとも2つのループペタル群を備え、第1のループペタルが第2のループペタルとは異なる大きさを有する、ステップと、バスケット装置にシースを接続するステップであって、バスケット装置及びシースが、互いに対して長手方向に滑動するように構成され、第1のペタル群が、バスケット装置及びシースが互いに対して長手方向に滑動される場合に、シースにより第2のペタル群とは異なる速度で移動されるように大きさ設定及び形状設定される、ステップとを含む、一例の方法が提供され得る。
【0008】
別の態様によれば、シース及びバスケット装置を互いに対して長手方向に滑動するステップであって、バスケット装置がバスケット部を備え、バスケット部が少なくとも2つの第1のペタルを備える第1の群及び少なくとも2つの第2のペタルを備える第2の群を備える少なくとも2つのペタル群を備え、第1のペタルが第2のペタルとは異なる大きさを有する、ステップと、バスケット装置及びシースが互いに対して長手方向に滑動される場合に、第1の速度でシースにより第1のペタル群を移動させるステップと、バスケット装置及びシースが互いに対して長手方向に滑動される場合に、異なる第2の速度でシースにより第2のペタル群を移動させるステップとを含む、一例の方法が提供され得る。
【0009】
前述の態様及び他の特徴は、添付の図面に関連してなされる以下の詳細な説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本明細書において説明されるような特徴を備える一例の装置の概略側面図である。
【
図3】
図2に示す装置の遠位端部の拡大側面図である。
【
図4】
図3に示すような装置の遠位端部の平面図である。
【
図5】把持対象の物体に向かって移動しつつあるのが示される、
図3に示す装置の遠位端部の側面図である。
【
図6】物体が装置により把持されているのを示す、
図5のような側面図である。
【
図7】
図6に示すような装置及び物体の平面図である。
【
図8】より小さな結石を把持しているバスケット部を示す、
図6のような側面図である。
【
図9】2つの異なるタイプのペタルの遠位先端部それぞれの異なる移動速度を示すグラフである。
【
図10】別の例の実施形態の
図9に示すようなグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、本発明の特徴を組み込んだ内視鏡10の側方立面図が示される。本発明は、図面に示す実施形態を参照として説明されるが、本発明は、多数の代替的な実施形態において具現化されてもよい点を理解されたい。さらに、任意の適切な大きさ、形状、又はタイプの要素又は材料が使用され得る。
【0012】
この実施形態では、内視鏡10は、軟性尿管腎盂鏡である。内視鏡10は、ハンドル12と、ハンドル12に接続された可撓性シャフト14と、能動的偏向性能を有するシャフトの遠位端部18とを一般的に備える。これは、内視鏡の単なる一例に過ぎない点に留意されたい。本明細書において説明されるような特徴は、作業チャネルを有する任意の適切なタイプの内視鏡と共に使用され得る。
【0013】
ハンドル12は、遠位端部18の能動的偏向性能を制御するための制御システムの一部である。この制御システムは、ハンドル12、2つのアクチュエータ16、17、ブレーキアクチュエータ22、及び3つの制御ワイヤ(図示せず)を一般的に備える。しかし、代替的な実施形態では、制御システムは、追加の又は代替的な構成要素を備えることが可能である。これらの3つのアクチュエータ16、17、22は、ハンドル12に対して可動的に装着される。これらのワイヤの近位端部は、2つの制御アクチュエータ16、17に対して接続される。ブレーキアクチュエータ22は、第2の制御アクチュエータ17を固定位置にロックするための制動機構に対して接続される。しかし、代替的な一実施形態では、任意の適切なタイプのブレーキ機構又はロッキング機構が設けられ得る。あるタイプの代替的な実施形態では、内視鏡は、制御アクチュエータブレーキを備えなくてもよい。図示する実施形態では、第1の制御アクチュエータ16は、ブレーキを備えない。
【0014】
又はンドル12は、光源ポスト28、接眼レンズ30、潅注入口31、及び作業器具入口32を備える。しかし、代替的な実施形態では、ハンドル12は、追加の構成要素又は代替的な構成要素を備えることが可能である。作業チャネル34が、入口32と遠位端部20の出口との間においてハンドル12及びシャフト14を貫通して延在する。内視鏡10は、光源ポスト28と遠位端部20との間においてシャフト14を貫通して延在する光ファイバ照明バンドルを備える。光ファイバイメージバンドルが、接眼レンズ30と遠位端部20との間においてシャフト14を貫通して延在する。
【0015】
さらに
図2を参照すると、内視鏡10と共に使用するための医用デバイス又は医用器具36の概略側面図が示される。本明細書において使用されるような用語「側部」及び「上
部」という用語は、明瞭化のために使用される単なる例に過ぎない。装置36及びバスケット部52は、患者内部に位置する場合に任意の適切な配向を取り得る。器具36は、内視鏡10に対して装着されるように構成され、作業チャネル34からシャフト14の遠位端部20の外へと延在するように構成される。この例では、器具36は、外科医制御式バスケット装置(SCBD:Surgeon Controlled Basket Device)である。器具36は、バスケット装置50及びシース56を備えるアセンブリ33を備える。バスケット装置50は、遠位端部に位置するバスケット部52と、シース56を貫通して器具36の近位端部まで延在するシャフト部54とを備える。シース56及びバスケット装置50は、バスケット装置50に対して前方位置と後方位置との間でシース56を移動させるように互いに対して長手方向において可動である。
【0016】
シース56が、バスケット装置50に対して前方位置に位置する場合に、バスケット部52は、シース56の内部に位置し、バスケット部52は、シース56によりさらに小さな形状へと収縮されることによってシース56の内部に収まる。シース56内部におけるバスケット部52のこの相対位置は、内視鏡10の入口32に器具36を挿入するために及び作業チャネル34に器具36を挿通するために利用される。
【0017】
さらに
図3及び
図4を参照すると、これらの図面は、バスケット装置50に対する後方位置におけるシース56を示す。バスケット部52は、シース56の前方端部アパーチャ66から外に延在する。バスケット部52が前方端部アパーチャ66から外に露出されることにより、バスケット部52は、図示する形状へと弾性的に拡張する。
【0018】
図2に示すように、器具36の近位端部はコントローラ70を備える。アセンブリ33は、コントローラ70に対して取外し可能に接続され得る。コントローラ70は、ユーザが器具36を操作することが可能となるように作業チャネル34の外部に留まるように意図される。コントローラ70は、第1のセクション72及び第2のセクション74を一般的に備える。シャフト部54の近位端部は、シャフト部54の近位端部がコントローラ70に対して移動しないように、第1のセクション72に対して固定的に接続される。シース56の近位端部は、第2のセクション74に対して接続される。第2のセクション74は、シャフト部54に対してシース56を長手方向に移動するように構成される。したがって、シース56は、バスケット部52を覆うように前方位置に位置するか、又はバスケット部52が覆われた状態から解除され得るように後方位置に位置することが可能である。代替的な例の実施形態では、シース56及びバスケット装置50を互いに対して移動させるための任意の適切なタイプのコントローラが用意され得る。また、コントローラ70は、物体に接触した状態でバスケット部を閉じるためにバスケット装置及びシースを互いに対して長手方向に移動させるように構成される。
【0019】
特に
図3~
図4を参照すると、この例では、バスケット部52は、シャフト部54の遠位端部から延在するペタル58を備える。ペタル58は、例えばニチノールワイヤもしくは他の形状記憶合金、又は形状記憶材料の組合せなどから形成され得る。ペタル58それぞれは、シャフト部54から延在する略ループ形状を有する。しかし、他の形状を用いることが可能である。この例の実施形態では、ペタル58は、第1のペタル群60及び第2のペタル群62を備える。代替的な例の実施形態では、3つ以上のペタル群を用意することが可能である。第1のペタル群60は、2つの第1のペタル58aを備える。第2のペタル群62は、2つの第2のペタル58bを備える。しかし、代替的な例の実施形態では、3つ以上の第1のペタル及び3つ以上の第2のペタルを用意することが可能である。第1のペタル58aは、第2のペタル58bとは異なる大きさ及び形状を有する。より具体的には、第1のペタル58aは、第2のペタル58bより小さく、第1のペタル58aは、第2のペタル58bの比較的湾曲したプロファイルに対して略直線状の側部プロファイルを有する(
図3において最もよく示されるように)。
図3において最もよく示されるよ
うに、第1のペタル58aそれぞれは、バスケット部の、第2のペタル58bそれぞれと同じ側部に位置している。以下でさらに理解されるように、第1のペタル群60は、バスケット装置及びシースが互いに対して長手方向に滑動される場合に、シース56によって第2のペタル群62とは異なる速度で移動されるように大きさ設定及び形状設定される。これは、第1のペタル及び第2のペタルならびに第1のペタル群及び第2のペタル群の単なる一例に過ぎない点に留意されたい。他の大きさ、形状、及び相対構成を用意することが可能である。
【0020】
バスケット部52が、
図3~
図4に示すようにシース56に対して展開された後に、シース56は、前方に移動されることにより、シース56内へとペタル58の後方部分を部分的に移動させて戻し得る。これにより、バスケット部52の収縮運動が生じる。この収縮運動は、シースがバスケット装置上で長手方向に滑動されることにより、バスケット部52を物体と接触状態にするために利用され得る。これは、例えば
図5~
図7に示される。これらの図面に示すように、例えば腎結石などの物体64が、位置特定されてもよく、次いで器具36が、矢印Aにより示されるような位置へと移動される。次いで、器具は、物体64に対する後の除去動作又はさらなる動作のために物体64を把持するために使用される(
図6~
図7)。より具体的には、展開されたバスケット部52は、物体が対抗し合うペタル58の間に位置するような位置へと移動され、次いでシース56は、対抗し合うペタル58を相互方向に偏向させ、これらのペタル58間に物体64をクランプ固定するように、バスケット装置50上を前方に移動される。この例では、ペタル58は、
図3において最もよく示すように実質的に開いた状態にある前方端部68をバスケット部52に与えるように配置される。これは、ペタル58bが結石に対して閉じる前に、より大きな結石64がより大きなペタル58b同士の間に進入することを助ける。
【0021】
この特定の例では、第2のペタル群62は、第1のペタル群60が物体64に接触する前に、物体64に接触するように構成される。より具体的には、第2のペタル58bは、バスケット装置50及びシース56が互いに対して長手方向に滑動される場合に、第1のペタル58a同士が互いに向かって移動され始める前に、ペタル58a、58bの後方端部とシース56との間の接触により第2のペタル58b同士が互いに向かって移動され始めるように、第1のペタル58aに対して大きさ設定及び形状設定される。さらに、第1のペタル58aに対する第2のペタル58bの大きさ及び形状により、第2のペタル58b同士は、第1のペタル58a同士が互いに向かって移動する速度より速く互いに向かって移動される。したがって、この例では、これらの移動速度は、内方偏向開始時間及び内方偏向速度の両方に関してそれぞれ異なる。代替的な例では、開始時間は同じであってもよく相対速度が異なるか、又は相対速度が同じであってもよく開始時間が異なり得る。収縮の開始時点を含む、第1のペタル群60及び第2のペタル群62それぞれ異なる収縮運動速度は、第2のペタルに対する第1のペタルの大きさ及び/又は形状の相違に基づきいずれも構成され得る。さらに
図9を参照すると、この例においてそれぞれ異なる速度を示す概略図が示される。シース56が、バスケット装置50上で前方に移動されることにより、より大きなペタル58bが、線80により示されるように偏向され、次いでより小さなペタル58aが、線82により示されるように後から偏向される。偏向80は、湾曲したプロファイルを有し、偏向82は、直線状プロファイルを有する。しかし、代替的な例の実施形態では、これは異なることが可能である。さらに
図10を参照すると、これらの両偏向が実質的に同時に開始されるが、偏向速度は依然としてそれぞれ異なる別の例が示される。これらは、種々の速度差コンセプトを例示するための例に過ぎない。
【0022】
展開された捕捉デバイスの遠位端部は、捕捉デバイスのより大きな外方ペタル58bが結石64の最遠位位置まで延在するように、結石64を越えて前進され得る。外方シースが捕捉デバイスを閉じるように前進されることにより、より大きな外方ペタル58bは、結石64の最遠位端部を囲み捕捉し得る一方で、より小さな内方ペタル58aは、捕捉デ
バイス内において対向側の両側部にて結石を固定するように内方へと閉じる。必要な場合には、捕捉された結石64は、外方シースを後退させてバスケット部52をその元の完全展開形状へと再び開かせることにより、再位置決めのためにバスケット部52から解放され得る。
【0023】
本明細書において説明されるような特徴を用いることにより、除去のために多様な大きさの結石を捕捉及び保持することが可能である、又はさらに大きな結石の場合には例えばより小さな粒子への破砕及びその後の除去のためなどより望ましい位置に再位置決めするために捕捉、保持、及び解放することが可能である、遠位捕捉デバイスが提供され得る。従来のバスケット設計は、部分的に閉じられたバスケット内の空きエリアがより広いことにより、より小さな結石を保持することが困難である場合がある。さらに、遠位末端部にて共に接続された複数のチューブ状捕捉レッグを有する従来の遠位捕捉デバイスは、より大きな結石を解放することが困難である場合がある。本明細書において説明されるような特徴は、より短い内方ペタルを使用することにより、除去のためにより小さな捕捉された結石を保持するだけでなく、より大きな結石をさらに保持する能力を改善することを含み得る。したがって、バスケット部52は、より広範な結石大きさに対して効率的な使用が可能である。これは、より小さな結石65を把持するバスケット部52を示す
図8を参照として示される。この例では、より小さな結石65は、より大きなペタル58bによる把持接触を伴わずにより小さなペタル58aによって把持されるに過ぎない。
【0024】
本明細書において説明されるような特徴を用いることにより、第2のペタル58bなどの一次的最遠位結石捕捉ペタル内に第1のペタル58aなどの二次的漸進作動把持ペタルを設けることによって、部分的に閉じられたバスケット部内における結石保持の改善が可能となる。また、上述の例により、バスケット部が開く時の漸進的なペタル動作による、再位置決めのためのより大きな結石のより可制御的な解放と、除去のためのより小さな結石の保持能力の改善とが可能となる。
【0025】
本明細書において説明されるような特徴を備えるデバイスと従来のデバイスとの違いは、結石除去のために又はより小さくより容易に除去可能な砕片へと破砕すべきより大きな結石の再位置決めのために、最初に結石を捕捉し(第2のペタル58bにより)次いでその後にバスケット部内に結石を固定する(第2のペタル58b及び第1のペタル58aの両方により)ための漸進運動(閉じる/開く)動作である。遠位端部捕捉能力を有するこのタイプの結石回収デバイスは、例えば典型的には腎臓下極内の及び腎臓壁に対接する結石を回収する場合などに使用され得るものであり、従来の側方捕捉結石回収バスケットであれば、バスケット内への結石の侵入を促進するために結石を越えて遠位に延在することが必要であった。内方ペタル58aが追加されたこのデバイスの設計により、除去のためにより小さな捕捉された結石を保持する能力が改善されるのに対して、従来の遠位捕捉把持タイプデバイスは、捕捉された結石の保持が困難であり、それらの典型的な単ワイヤ把持レッグは、患者に対して損傷を与える可能性がより高い。本明細書において説明されるような特徴を備えることにより、従来のデバイスに比べて患者に対して損傷を与える可能性がより低くなる。
【0026】
一例の実施形態によれば、近位端部、遠位端部、及び近位端部から遠位端部にかけて延在するシース内の中空通路を有するシースと、レッグがシースのルーメン内において収縮する収縮位置とレッグがシースの遠位端部からルーメン外へと延在する別の位置とを有する少なくとも4つの対向レッグとを備える、医用デバイス又は医療器具が提供され得る。これらのレッグは、開位置と閉位置との間で可動であり、レッグは、閉位置にある場合には開位置にある場合より遠位端部にて共により近くに位置することにより、材料の捕捉及び解放を可能にし、レッグのうち少なくとも2つが、ベースから遠位端部にかけてレッグの少なくとも他の1つとは異なる長さを有する。
【0027】
一例の実施形態が、バスケット部を備えるバスケット装置と、バスケット装置上のシースとを備える装置において提供され得る。バスケット装置及びシースは、互いに対して長手方向に滑動するように構成され、バスケット部は、少なくとも2つの第1のループペタルを備える第1の群と、少なくとも2つの第2のループペタルを備える第2の群とを備える少なくとも2つのループペタル群を備え、第1のループペタルは、第2のループペタルとは異なる大きさを有する。
【0028】
この装置は、バスケット装置及びシースに接続された制御部をさらに備えてもよく、この制御部は、物体に接触した状態でバスケット部を閉じるためにバスケット装置及びシースを互いに対して長手方向に移動させるように構成される。第1のループペタル群は、バスケット装置及びシースが互いに対して長手方向に滑動される場合に、シースにより第2のループペタル群とは異なる速度で移動されるように大きさ設定及び形状設定され得る。バスケット部は、バスケット装置及びシースが互いに対して長手方向に滑動される場合に、バスケット部とシースとの間の接触によって少なくとも2つの第1のループペタルが互いに向かって移動を開始する前に、バスケット部とシースとの間における接触により、少なくとも2つの第2のループペタルの互いに向かう移動を開始させるように構成されるように、大きさ設定及び形状設定され得る。第1のループペタルは、略直線状のプロファイルを有してもよく、第2のループペタルは、湾曲したプロファイルを有する。第1のループペタル群及び第2のループペタル群は、シースがバスケット装置上を長手方向に滑動される場合に、物体との接触状態へと移動されるように構成されてもよく、第2のループペタル群は、第1のループペタル群が物体と接触する前に、物体に接触するように構成される。第1のループペタルは、第2のループペタルより小さくてもよい。第1のループペタルそれぞれは、バスケット部の、第2のループペタルそれぞれと同じ側部に位置している。
【0029】
一例の実施形態が、バスケット部を備えるバスケット装置と、バスケット装置上のシースとを備える装置において提供され得る。バスケット装置及びシースは、互いに対して長手方向に滑動するように構成され、バスケット部は、第1のペタル群及び第2のペタル群を備える少なくとも2つのペタル群を備え、第1のペタル群は、バスケット装置及びシースが互いに対して長手方向に滑動される場合に、シースにより第2のペタル群とは異なる速度で移動されるように大きさ設定及び形状設定される。
【0030】
この装置は、バスケット装置及びシースに接続された制御部をさらに備えてもよく、制御部は、物体に接触した状態でバスケット部を閉じるためにバスケット装置及びシースを互いに対して長手方向に移動するように構成される。バスケット部は、バスケット装置及びシースが互いに対して長手方向に滑動される場合に、バスケット部とシースとの間の接触によって少なくとも2つの第1のペタルが互いに向かって移動を開始する前に、バスケット部とシースとの間における接触により、少なくとも2つの第2のペタルの互いに向かう移動を開始させるように構成されるように、大きさ設定及び形状設定されてもよい。第1のペタルは、略直線状のプロファイルを有してもよく、第2のペタルは、湾曲したプロファイルを有する。第1のペタル群及び第2のペタル群は、シースがバスケット装置上で長手方向に滑動される場合に、物体と接触状態になるように移動されるように構成されてもよく、第2のペタル群は、第1のペタル群が物体と接触する前に、物体に接触するように構成される。第1のペタルは、第2のペタルより小さくてもよい。第1のペタルそれぞれが、バスケット部の、第2のペタルそれぞれと同じ側部に位置している。
【0031】
バスケット部を備えるバスケット装置を用意するステップであって、バスケット部が、少なくとも2つの第1のループペタルを備える第1の群及び少なくとも2つの第2のループペタルを備える第2の群を備える少なくとも2つのループペタル群を備え、第1のルー
プペタルが第2のループペタルとは異なる大きさを有する、ステップと、バスケット装置にシースを接続するステップであって、バスケット装置及びシースが互いに対して長手方向に滑動されるように構成され、バスケット装置及びシースが互いに対して長手方向に滑動される場合に、第1のペタル群がシースにより第2のペタル群とは異なる速度で移動されるように大きさ設定及び形状設定される、ステップとを含む、一例の方法が提供され得る。
【0032】
この方法は、バスケット装置及びシースに制御部を接続するステップをさらに含んでもよく、制御部は、物体に接触した状態でバスケット部を閉じるためにバスケット装置及びシースを互いに対して長手方向に移動させるように構成される。バスケット装置を用意するステップは、バスケット装置及びシースが互いに対して長手方向に滑動される場合に、バスケット部とシースとの間の接触によって少なくとも2つの第1のループペタルが互いに向かって移動を開始する前に、バスケット部とシースとの間の接触により少なくとも2つの第2のループペタルが互いに向かう移動を開始するように構成されるように、バスケット部が大きさ設定及び形状設定されることを含んでもよい。バスケット装置を用意するステップは、第1のループペタルが略直線状のプロファイルを有し、第2のループペタルが湾曲したプロファイルを有し、第1のループペタルが第2のループペタルより小さいことを含んでもよい。バスケット装置を用意するステップは、シースがバスケット装置上を長手方向に滑動される場合に、第1のループペタル群及び第2のループペタル群が物体と接触状態になるように移動されるように構成されることを含んでもよく、第2のループペタル群は、第1のループペタル群が物体と接触する前に物体に接触するように構成される。バスケット装置を用意するステップは、第1のループペタルそれぞれが、バスケット部の、第2のループペタルそれぞれと同じ側部に位置していることを含んでもよい。
【0033】
シース及びバスケット装置を互いに対して長手方向に滑動させるステップであって、バスケット装置がバスケット部を備え、バスケット部が少なくとも2つの第1のペタルを備える第1の群及び少なくとも2つの第2のペタルを備える第2の群を備える少なくとも2つのペタル群を備え、第1のペタルが第2のペタルとは異なる大きさを有する、ステップと、バスケット装置及びシースが互いに対して長手方向に滑動される場合に、第1の速度でシースにより第1のペタル群を移動させるステップと、バスケット装置及びシースが互いに対して長手方向に滑動される場合に、異なる第2の速度でシースにより第2のペタル群を移動させるステップとを含む、一例の方法が提供され得る。
【0034】
異なる第2の速度でシースにより第2のペタル群を移動させるステップにより、第2のペタル群の少なくとも一部分が第1のペタル群より高速で移動する、又は少なくとも2つの第2のペタルを互いに向かって移動させることの開始が、少なくとも2つの第1のペタルを互いに向かって移動させることの開始の前に行われる、又は第1のペタル群がそれらの間に位置する物体に接触する前に、第2のペタル群がそれらの間に位置する物体に接触することのうち少なくとも1つが引き起こされる。
【0035】
前述の説明は単なる例示に過ぎない点を理解されたい。様々な代替形態及び変更形態が、当業者により考案され得る。例えば、様々な従属請求項に挙げられる特徴は、任意の適切な組合せにおいて相互に組み合わされることが可能である。さらに、上述の種々の実施形態による特徴は、新規の実施形態へと選択的に組み合わされることが可能である。したがって、この詳細な説明は、添付の特許請求の範囲内に含まれるすべてのかかる代替形態、変更形態、及び変形形態を包含するように意図される。
【符号の説明】
【0036】
10 内視鏡
12 ハンドル
14 可撓性シャフト
16 第1の制御アクチュエータ
17 第2の制御アクチュエータ
18 遠位端部
20 遠位端部
22 ブレーキアクチュエータ
28 光源ポスト
30 接眼レンズ
31 潅注入口
32 作業器具入口
33 アセンブリ
34 作業チャネル
36 医用器具、装置、医用デバイス
50 バスケット装置
52 バスケット部
54 シャフト部
56 シース
58 ペタル
58a 第1のペタル、より小さなペタル、より小さな内方ペタル
58b 第2のペタル、より大きなペタル、より大きな外方ペタル
60 第1のペタル群
62 第2のペタル群
64 物体、より大きな結石
65 より小さな結石
66 前方端部アパーチャ
68 前方端部
70 コントローラ
72 第1のセクション
74 第2のセクション
80 線、偏向
82 線、偏向
【外国語明細書】