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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058731
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/583 20210101AFI20220405BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20220405BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20220405BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20220405BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20220405BHJP
   H01M 50/503 20210101ALI20220405BHJP
   H01M 50/522 20210101ALI20220405BHJP
   H01M 50/526 20210101ALI20220405BHJP
   H01R 13/696 20110101ALI20220405BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20220405BHJP
   H01R 4/58 20060101ALI20220405BHJP
   H01M 50/249 20210101ALN20220405BHJP
【FI】
H01M50/583
H01M50/296
H01M50/209
H01M50/507
H01M50/50 101
H01M50/503
H01M50/522
H01M50/526
H01R13/696
H01R11/01 Q
H01R4/58 A
H01R4/58 C
H01M50/249
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008474
(22)【出願日】2022-01-24
(62)【分割の表示】P 2019546686の分割
【原出願日】2018-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2017195514
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】505083999
【氏名又は名称】ビークルエナジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綿引 祥隆
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆幸
(57)【要約】
【課題】ヒューズ部の溶断時に、溶融した金属によって新たな電流経路が形成されることを防止して、従来よりも安全性を向上させることができる電池モジュールを提供する。
【解決手段】モジュール端子101N,101Pと、複数の単電池1を含む電池群10と、この電池群10の複数の単電池1を接続するとともにこの電池群10をモジュール端子101P,101Nに接続する複数のバスバー2とを備えた電池モジュールである。複数のバスバー2の少なくとも一つは、ヒューズ部2aを有している。電池モジュールは、ヒューズ部2aの下方に、溶融したヒューズ部2aを落下させるための空隙Sを有している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール端子と、複数の単電池を含む電池群と、該電池群の前記複数の単電池を接続するとともに該電池群を前記モジュール端子に接続する複数のバスバーとを備えた電池モジュールであって、
前記電池群は、扁平角形の前記単電池を厚さ方向に積層させて構成され、
前記モジュール端子は、前記単電池の積層方向において前記電池群の両側に配置され、
前記複数のバスバーのうち、少なくとも前記電池群を前記モジュール端子に接続する一対のバスバーの一つは、ヒューズ部を有し、
前記ヒューズ部の下方に、前記ヒューズ部の体積よりも大きい容積の空隙を有することを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記一対のバスバーは、平板状の一対の接続部と、該一対の接続部の間で該接続部に交差する方向に屈曲された屈曲部と、を有し、
前記ヒューズ部は、前記接続部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記一対のバスバーは、平板状の一対の接続部と、該一対の接続部の間で該接続部に交差する方向に屈曲された屈曲部と、を有し、
前記ヒューズ部は、前記屈曲部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記一対のバスバーは、平板状の一対の接続部と、該一対の接続部の間で該接続部に交差する方向に屈曲された屈曲部と、を有し、
前記ヒューズ部は、前記屈曲部と前記接続部の双方に跨って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記バスバーは、銅製の銅部分とアルミニウム製のアルミニウム部分とが接合された構成を有し、
前記ヒューズ部は、前記アルミニウム部分に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記複数の単電池を保持する筐体を備え、
前記空隙は、前記単電池と前記筐体とによって画定され、前記単電池が配置されていないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池を備える電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、たとえば電気自動車等に搭載される電池モジュールに関する発明が知られている(下記特許文献1を参照)。この発明に係る電池モジュールは、複数の二次電池と、複数の二次電池の端子同士を接続する金属製のバスバーとを備える。バスバーは、二次電池の端子に接続される接続部と、複数の接続部を有する本体部とを備える。接続部には、本体部との間に配設されるヒューズが一体成形されている(同文献、請求項1等を参照)。この発明によれば、バスバーにおける二次電池の端子に接続される接続部にヒューズを一体成形したので、ヒューズを二次電池毎に設ける場合に部品点数の増加を抑制することができる(同文献、第0014段落等を参照)。
【0003】
また、複数の単電池およびバスバーを備えた蓄電装置に関する発明が知られている(下記特許文献2を参照)。この発明に係る蓄電装置は、複数の単電池を含む第1電池ブロックと、他の複数の単電池を含む第2電池ブロックと、前記第1電池ブロックに含まれる複数の前記単電池と前記第2電池ブロックに含まれる複数の前記単電池とを電気接続するバスバーと、を備えている。前記バスバーは、第1バスバー部と、第2バスバー部と、第3バスバー部と、を有している。
【0004】
第1バスバー部は、前記第1電池ブロックに含まれる複数の前記単電池における正極および負極のうちの一方にヒューズを介して接続される。第2バスバー部は、前記第2電池ブロックに含まれる複数の前記単電池における正極および負極のうちの他方に接続される。第3バスバー部は、前記第1バスバー部に隣接する第1部分と、前記第1部分よりも前記第2バスバー部の側に位置する第2部分と、を含み、前記第1バスバー部と前記第2バスバー部とを接続する。この第3バスバー部は、前記第1部分の放熱量に比べて、前記第2部分の放熱量の方が大きくなっている(同文献、請求項1等を参照)。
【0005】
上記の構成によれば、第3バスバー部のうち、ヒューズに近い部分(第1部分)については放熱量が小さく、ヒューズから遠い部分(第2部分)については放熱量が大きい。したがって、ヒューズに近い部分(第1部分)について、電流遮断時の電流値などといったヒューズ機能が制約されることはほとんどなく、ヒューズは本来の機能を発揮できる。一方、ヒューズから遠い部分(第2部分)については、放熱量が大きいため、ヒューズで発生した熱を放射の作用によって効果的に低減することができ、熱が他の単電池に伝導することを抑制できる(同文献、第0011段落等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-141801号公報
【特許文献2】特開2016-066455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来の電池モジュールや蓄電装置では、短絡の発生時にヒューズを溶断させて短絡回路を開放する。しかし、ヒューズの溶断時に、溶融した金属によって新たな電流経路が形成され、再度、短絡現象が発生するおそれがある。
【0008】
本発明は、ヒューズ部の溶断時に、溶融した金属によって新たな電流経路が形成されることを防止して、従来よりも安全性を向上させることができる電池モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、本発明の電池モジュールは、モジュール端子と、複数の単電池を含む電池群と、該電池群の前記複数の単電池を接続するとともに該電池群を前記モジュール端子に接続する複数のバスバーとを備えた電池モジュールであって、前記複数のバスバーの少なくとも一つは、ヒューズ部を有し、前記ヒューズ部の下方に、溶融した前記ヒューズ部を落下させるための空隙を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電池モジュールは、たとえば短絡等によってヒューズ部に過大な電流が流れると、ジュール熱によってヒューズ部が溶断される。ここで、本発明の電池モジュールは、ヒューズ部の下方に、溶融したヒューズ部を落下させるための空隙を有している。そのため、ジュール熱によって溶融したヒューズ部を構成する金属は、重力の作用によって空隙に落下する。したがって、本発明によれば、溶融した金属によって新たな電流経路が形成されることを防止して、従来よりも安全性を向上させることができる電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る電池モジュールの外観斜視図。
図2図1に示す電池モジュールの分解斜視図。
図3図1に示す電池モジュールのモジュール端子の拡大斜視図。
図4図3のIV-IV線に沿うモジュール端子の拡大断面図。
図5図3に示すモジュール端子に接続されたバスバーの斜視図。
図6図5に示すバスバーの変形例1を示す斜視図。
図7図5に示すバスバーの変形例2を示す斜視図。
図8図5に示すバスバーの変形例3を示す斜視図。
図9図5に示すバスバーの変形例4を示す斜視図。
図10】本発明の実施形態2に係る電池モジュールの拡大断面図。
図11図10に示すバスバーの斜視図。
図12】本発明の実施形態3に係る電池モジュールの拡大斜視図。
図13図12に示すXIII-XIII線に沿う拡大断面図。
図14図12に示すモジュール端子に接続されたバスバーの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る電池モジュールの実施の形態を説明する。以下の各図面では、電池モジュールの各部を図面に表示したx軸、y軸、z軸の直交座標系を用いて説明する場合がある。また、以下の説明において、上下左右前後の各方向は、たとえば図面に表示された状態に対応する便宜的な方向であって、電池モジュールの姿勢や配置を限定するものではない。
【0013】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る電池モジュール100の外観斜視図である。図2は、図1に示す電池モジュール100の分解斜視図である。
【0014】
本実施形態の電池モジュール100は、主に、モジュール端子101P,101Nと、複数の単電池1を含む電池群10と、この電池群10の複数の単電池1を接続するとともにこの電池群10をモジュール端子101P,101Nに接続するバスバー2とを備えている。詳細については後述するが、本実施形態の電池モジュール100は、複数のバスバー2の少なくとも一つがヒューズ部2aを有し、このヒューズ部2aの下方に、溶融したヒューズ部2aを落下させるための空隙S(図4参照)を有することを最大の特徴としている。
【0015】
以下、本実施形態の電池モジュール100の各部の構成について、より詳細に説明する。本実施形態の電池モジュール100は、前述のモジュール端子101P,101N、電池群10、および複数のバスバー2に加えて、たとえば、筐体20と、図示を省略する電子回路基板などを備えている。
【0016】
電池群10は、たとえば、扁平角形の単電池1、すなわち厚さ寸法が幅寸法と高さ寸法よりも小さい薄型の六面体または直方体形状の単電池1を、厚さ方向(x軸方向)に積層させて構成されている。単電池1は、たとえば、角形リチウムイオン二次電池であり、扁平角形の電池容器1aと、この電池容器1aの内部に収容された図示を省略する電極群および電解液と、この電極群に接続されて電池容器1aの高さ方向の上端面に配置された一対のセル端子1p,1nとを備えている。
【0017】
単電池1のセル端子1p,1nは、電池容器1aの上端面から高さ方向に突出したおおむね直方体の立体的な形状を有している。セル端子1p,1nと電池容器1aとの間、および、電池容器1aと電極群との間は、それぞれ、樹脂製の絶縁部材によって電気的に絶縁されている。電池群10を構成する複数の単電池1は、互いに隣接する一方の単電池1の正極のセル端子1pと、他方の単電池1の負極のセル端子1nとが、積層方向(x軸方向)に隣り合うように交互に180°反転させて積層されている。
【0018】
電池モジュール100の筐体20は、長さ方向(x軸方向)の寸法が、幅方向(y軸方向)および高さ方向(z軸方向)の寸法よりも大きいおおむね直方体の形状を有し、電池群10を構成する複数の単電池1を保持している。より具体的には、筐体20は、たとえば、複数のセルホルダ21と、一対のエンドプレート22と、一対のサイドプレート23と、インシュレーションカバー24と、モジュールカバー25を有している。
【0019】
セルホルダ21は、たとえばポリブチレンテレフタレート(PBT:Polybutylene terephthalate)等の樹脂材料によって構成されている。セルホルダ21は、たとえば厚さ方向(x軸方向)に積層された複数の単電池1の互いに隣接する単電池1の間に介在され、個々の単電池1を厚さ方向(x軸方向)の両側から挟み込むように保持している。電池群10を構成する複数の単電池1の積層方向(x軸方向)において、電池群10の両側に配置された一対のセルホルダ21に、たとえば電池モジュール100の外部端子であるモジュール端子101P,101Nが設けられている。
【0020】
一対のエンドプレート22は、たとえば金属製の板状の部材である。一対のエンドプレート22は、電池群10を構成する複数の単電池1の積層方向(x軸方向)において、電池群10の両側に配置された一対のセルホルダ21を介して、電池群10の両側に配置されている。一対のエンドプレート22は、一方の面がセルホルダ21に保持された複数の単電池1を挟み込むように対向し、電池群10と反対側の外側を向く他方の面に固定部22aが設けられている。
【0021】
一対のエンドプレート22に設けられた固定部22aは、おおむね円筒状に形成され、円筒面の一部がエンドプレート22の外側の面から、外側へ向けて突出している。円筒状の固定部22aは、エンドプレート22の高さ方向(z軸方向)に平行な中心軸に沿って穿孔されたボルト孔を有している。このエンドプレート22の固定部22aは、たとえば車両やその他の機械などの外部機構に対して、電池モジュール100を固定するための部分である。このエンドプレート22の固定部22aの下端面は、上記のような外部機構によって支持される筐体20の支持面20aである。
【0022】
すなわち、電池モジュール100は、たとえばエンドプレート22の固定部22aの底面である筐体20の支持面20aを外部機構によって支持し、固定部22aのボルト孔に挿通させたボルトを、外部機構の雌ねじまたはナットに螺合させて締結することで、外部機構に固定することができる。換言すると、電池モジュール100は、ボルトによって外部機構に固定された状態で、エンドプレート22の固定部22aの下端面である筐体20の支持面20aが、外部機構に支持された状態になる。
【0023】
たとえば、電池モジュール100が電気自動車やハイブリッド自動車などの車両に搭載される場合、電池モジュール100が固定される外部機構は、これらの車両の車体である。特に限定はされないが、たとえば、電池モジュール100が固定される車両が水平な路面上に置かれた状態で、電池モジュール100の筐体20の長さ方向(x軸方向)および幅方向(y軸方向)は、水平方向におおむね平行であり、電池モジュール100の筐体20の高さ方向(z軸方向)は、鉛直方向におおむね平行である。また、この状態で、筐体20の支持面20aは、おおむね水平面と平行になる。
【0024】
一対のサイドプレート23は、電池群10を構成する複数の単電池1の幅方向(y軸方向)の両側に、セルホルダ21を介して配置されている。一対のサイドプレート23は、たとえば、おおむね矩形板状の金属製の部材であり、筐体20の幅方向(y軸方向)の両側に互いに対向するように配置されている。一対のサイドプレート23は、たとえば、おおむね長方形であり、電池群10を構成する複数の単電池1の積層方向(x軸方向)が長辺方向すなわち長手方向とされ、電池群10を構成する複数の単電池1の高さ方向(z軸方向)が短辺方向すなわち短手方向とされている。一対のサイドプレート23は、長手方向の両端部が、たとえばリベットやボルトなどの締結部材によって一対のエンドプレート22に締結され、短手方向の両端部がそれぞれセルホルダ21に設けられた凹状の溝部に係合している。
【0025】
インシュレーションカバー24は、たとえばPBT等の電気絶縁性を有する樹脂製の板状の部材であり、単電池1のセル端子1p,1nが設けられた電池容器1aの上端面に対向して配置されている。インシュレーションカバー24は、複数の単電池1のセル端子1p,1nの上端面を露出させる開口部と、互いに隣接する単電池1のセル端子1p,1nの間および互いに隣接するバスバー2の間を絶縁する隔壁と、を有している。インシュレーションカバー24の隔壁は、たとえば、単電池1のセル端子1p,1nおよびバスバー2の周囲を囲むように設けられている。また、インシュレーションカバー24には、電池群10および電子回路基板に接続される各種の電気配線が配置される。
【0026】
図示を省略する電子回路基板は、たとえば、インシュレーションカバー24とモジュールカバー25との間、すなわち筐体20の高さ方向において、インシュレーションカバー24の電池群10と反対側に配置され、電気配線を介してバスバー2に接続されている。
【0027】
バスバー2は、電池群10の複数の単電池1を接続するとともに、電池群10をモジュール端子101P,101Nに接続する。より具体的には、電池群10の複数の単電池1を接続する単電池1間のバスバー2Aは、インシュレーションカバー24の開口に露出した電池群10の複数の単電池1のセル端子1p,1nの上端面に、たとえば溶接されて接続されている。この単電池1間の複数のバスバー2Aは、たとえば、積層方向に互いに隣接する一対の単電池1のうち、一方の単電池1の正極のセル端子1pと、他方の単電池1の負極のセル端子1nとに接続され、すべての単電池1を直列に接続している。なお、単電池1間のバスバー2Aは、たとえばボルトやリベットなどの締結部材によって単電池1のセル端子1p,1nに接続してもよい。
【0028】
また、電池群10をモジュール端子101P,101Nに接続する一対のバスバー2Bの一端は、それぞれ、複数の単電池1の積層方向の両端に配置された一対の単電池1のうち、一方の単電池1の正極のセル端子1pと他方の単電池1の負極のセル端子1nとに接続されている。これら一対のバスバー2Bの一端は、たとえば単電池1のセル端子1p,1nの上端面に溶接されて接続されている。また、これら一対のバスバー2Bの他端は、それぞれ、電池群10の複数の単電池1の積層方向の両側に配置された正極のモジュール端子101Pと負極のモジュール端子101Nに、たとえばリベットやボルトなどの締結部材によって締結されて接続されている。これら正極のモジュール端子101Pと負極のモジュール端子101Nは、電池モジュール100の外部端子である。
【0029】
モジュールカバー25は、たとえばPBT等の電気絶縁性を有する樹脂製の板状の部材である。モジュールカバー25は、筐体20の高さ方向(z軸方向)において、電池群10と反対側の筐体20の上端に、インシュレーションカバー24および電子回路基板を覆うように配置されている。モジュールカバー25は、電池群10の複数の単電池1の積層方向(x軸方向)の両端のモジュール端子101P,101Nに対応する位置に、モジュール端子101P,101Nの上部を覆う端子カバー25aを有している。モジュールカバー25は、たとえば、インシュレーションカバー24の枠部24aに設けられた係合爪24bを側縁に係合させることによって、インシュレーションカバー24の上部に固定されている。
【0030】
以上のように、本実施形態の電池モジュール100において、電池群10は、扁平角形の単電池1を厚さ方向(x軸方向)に積層させて構成され、モジュール端子101P,101Nは、単電池1の積層方向(x軸方向)において電池群10の両側に配置されている。電池モジュール100は、これら正極のモジュール端子101Pと負極のモジュール端子101Nを介して外部の発電機や電動機に接続され、これら外部の発電機や電動機との間で電力の授受を行う。以下、本実施形態の電池モジュール100の特徴部分について、より詳細に説明する。
【0031】
図3は、図1に示す電池モジュール100のモジュール端子101Pの拡大斜視図である。図4は、図3のIV-IV線に沿うモジュール端子101Pの拡大断面図である。図5は、図3に示すモジュール端子101Pに接続されたバスバー2Bの斜視図である。なお、図3では、モジュールカバー25の端子カバーを切除した状態を示している。
【0032】
本実施形態の電池モジュール100は、前述のように、モジュール端子101P,101Nと、複数の単電池1を含む電池群10と、この電池群10の複数の単電池1を接続するとともにこの電池群10をモジュール端子101P,101Nに接続するバスバー2とを備えている。そして、複数のバスバー2の少なくとも一つは、ヒューズ部2aを有し、ヒューズ部2aの下方に、溶融したヒューズ部2aを落下させるための空隙Sを有している。ここで、下方とは、筐体20の支持面20aが水平になるように電池モジュール100を設置したときの鉛直方向の下方を意味する。
【0033】
本実施形態の電池モジュール100において、ヒューズ部2aは、たとえば、電池群10をモジュール端子101P,101Nに接続する一対のバスバー2Bのうちの一方のバスバー2Bに設けられている。より具体的には、たとえば、電池群10を構成する複数の単電池1の積層方向(x軸方向)の両端に配置された一対の単電池1のうちの一方の単電池1の正極のセル端子1pと、正極のモジュール端子101Pとを接続するバスバー2Bに、ヒューズ部2aが設けられている。なお、ヒューズ部2aは、電池群10を構成する複数の単電池1の積層方向(x軸方向)の両端に配置された一対の単電池1のうち、他方の単電池1の負極のセル端子1nと負極のモジュール端子101Nとを接続するバスバー2Bに設けられていてもよい。
【0034】
バスバー2のヒューズ部2aは、たとえば、単電池1のセル端子1p,1nとモジュール端子101P,101Nとを接続するバスバー2Bの電流経路における体積が最小の部分である。図5に示す例において、バスバー2は、たとえば、アルミニウム、銅、鉄などの金属製の板状の部材である。単電池1の幅方向(y軸方向)において、両端部を残してバスバー2を横断するように延びる長孔2bが形成されている。バスバー2の長孔2bは、電池群10を構成する単電池1の厚さ方向(x軸方向)および高さ方向(z軸方向)に対して垂直な単電池1の幅方向(y軸方向)におおむね平行に延びている。この単電池1の幅方向(y軸方向)に延びるバスバー2の長孔2bの両端部が、バスバー2の電流経路における体積が最小のヒューズ部2aになっている。
【0035】
バスバー2は、たとえば、平板状の一対の接続部2cと、この一対の接続部2cの間で接続部2cに交差する方向に屈曲された屈曲部2dと、を有している。ヒューズ部2aは、たとえば、屈曲部2dに設けられている。また、ヒューズ部2aは、接続部2cに設けられていてもよい。図3から図5に示す本実施形態の電池モジュール100において、ヒューズ部2aは、屈曲部2dと接続部2cとの間の角部に長孔2bを形成することで、屈曲部2dと接続部2cの双方に跨って設けられている。
【0036】
また、図1に示すように、本実施形態の電池モジュール100において、筐体20は、外部機構に支持される支持面20aを有している。本実施形態の電池モジュール100において、バスバー2の接続部2cは、筐体20の支持面20aにおおむね平行である。また、本実施形態の電池モジュール100において、電池群10を構成する複数の単電池1のセル端子1p,1nの上端面も、筐体20の支持面20aにおおむね平行である。
【0037】
なお、バスバー2Bの構成は、図5に示す構成に限定されない。図6から図9は、それぞれ、図5に示すバスバー2Bの変形例1から変形例4を示す斜視図である。
【0038】
図6に示す変形例1のバスバー2Bは、銅製の銅部分2eとアルミニウム製のアルミニウム部分2fとが接合されたクラッド材からなり、ヒューズ部2aは、アルミニウム部分2fに設けられている。より詳細には、変形例1のバスバー2Bは、セル端子1p,1nに接続される接続部2cから、単電池1の高さ方向(z軸方向)における屈曲部2dの途中までの部分がアルミニウム部分2fである。また、単電池1の高さ方向(z軸方向)における屈曲部2dの途中から、モジュール端子101P,101Nに接続される接続部2cまでの部分が銅部分2eである。ヒューズ部2aは、たとえば、アルミニウム部分2fの接続部2cと屈曲部2dに跨って設けられている。
【0039】
図7に示す変形例2のバスバー2Bは、変形例1と同様に、銅製の銅部分2eとアルミニウム製のアルミニウム部分2fとが接合されたクラッド材からなり、ヒューズ部2aは、アルミニウム部分2fに設けられている。より詳細には、変形例2のバスバー2Bは、電池1の高さ方向(z軸方向)における屈曲部2dの上端部を除く部分がアルミニウム製のアルミニウム部分2fである。また、セル端子1p,1nに接続される平板状の接続部2cと、単電池1の高さ方向(z軸方向)における屈曲部2dの上端部からモジュール端子101P,101Nに接続される接続部2cまでの部分が銅部分2eである。
【0040】
なお、図7に示す変形例2のバスバー2Bにおいて、単電池1の高さ方向(z軸方向)の下方側の接続部2cは、電池群10を構成する複数の単電池1のうち、最も低電位側に位置する単電位1の負極のセル端子1nに溶接される。一方、図7に示す変形例2のバスバー2Bにおいて、単電池1の高さ方向(z軸方向)の上方側の接続部2cは、図2に示す負極のモジュール端子101Nに接続される。
【0041】
また、単電位1の負極のセル端子1nに溶接される接続部2cは、単電池1の幅方向(y軸方向)の寸法が、負極のモジュール端子101Nに接続される接続部2cの同方向の寸法よりも大きくされ、単電池1の幅方向(y軸方向)に突出している。なお、本変形例のヒューズ部2aの構成として、以下の変形例3または4に示す構成を適用してもよい。
【0042】
図8に示す変形例3のバスバー2Bは、たとえば、単電池1の高さ方向(z軸方向)における屈曲部2dの中間部に、バスバー2Bを単電池1の幅方向(y軸方向)に横断する半円筒状の凹溝2gが形成され、この凹溝2gの底部にバスバー2Bの他の部分よりも肉厚が薄い薄肉部2hが設けられている。この薄肉部2hがバスバー2Bの電流経路における体積が最小のヒューズ部2aになっている。
【0043】
図9に示す変形例4のバスバー2Bは、たとえば、単電池1の高さ方向(z軸方向)における屈曲部2dの中間部に、単電池1の幅方向(y軸方向)においてバスバー2Bの両端から中間部まで延びる切り欠き部2iが設けられている。このバスバー2Bの切り欠き部2iの間に残されたくびれ部2jである中間部が、バスバー2Bの電流経路における体積が最小のヒューズ部2aになっている。
【0044】
前述のように、電池モジュール100は、複数の単電池1を保持する筐体20を備えている。図4に示すように、溶融したヒューズ部2aを落下させるための空隙Sは、単電池1と筐体20によって画定されている。より詳細には、ヒューズ部2aの下方の空隙Sは、たとえば、単電池1のセル端子1p,1nおよび電池容器1aと、筐体20のセルホルダ21とによって画定された筐体20の内部の空間である。
【0045】
また、電池モジュール100の電池群10を構成する複数の単電池1は、前述のように、支持面20aに垂直な方向(z軸方向)に突出したセル端子1p,1nを備えている。そして、バスバー2Bの接続部2cは、支持面20aに平行なセル端子1p,1nの先端面に接続されている。さらに、ヒューズ部2aの下方の空隙Sは、単電池1に対向するバスバー2Bの下面に臨み、筐体20の支持面20aに垂直な方向(z軸方向)において、セル端子1p,1nの高さ以上の深さを有している。
【0046】
以下、本実施形態の電池モジュール100の作用について説明する。
【0047】
本実施形態の電池モジュール100は、たとえば、車両や機械などの外部機構に搭載され、モジュール端子101P,101Nを介して外部機構の発電機や電動機に接続される。これにより、電池モジュール100は、電池群10を構成する複数の単電池1と、外部機構の発電機や電動機との間で、電力の授受を行うことができる。たとえば、電池モジュール100の電池群10を構成する単電池1に何らかの異常が発生し、ヒューズ部2aを有するバスバー2に過大な電流が流れると、ジュール熱によってヒューズ部2aがバスバー2を構成する金属の融点に達して溶断される。
【0048】
たとえば、前記特許文献1や特許文献2に記載された従来の電池モジュールや蓄電装置では、短絡の発生時にヒューズを溶断させて短絡回路を開放する。しかし、ヒューズの溶断時に、溶融した金属によって新たな電流経路が形成され、再度、短絡現象が発生するおそれがある。より具体的には、前記従来の電池モジュールおよび蓄電装置は、円筒形の二次電池を用いている。このような円筒形の二次電池は、長手方向である軸方向の両端に正極端子と負極端子を有し、二次電池の筐体の電位は、たとえば負極端子の電位に等しくなっている。また、ヒューズ部の下方には二次電池の筐体が存在している。そのため、ヒューズ部が溶融して溶断されても、二次電池の筐体と正極端子に溶融した金属が付着し、二次電池の正極端子と負極端子との間に新たな電流経路が形成されるおそれがある。
【0049】
これに対し、本実施形態の電池モジュール100は、前述のように、モジュール端子101P,101Nと、複数の単電池1を含む電池群10と、この電池群10の前記複数の単電池1を接続するとともにこの電池群10をモジュール端子101P,101Nに接続するバスバー2とを備えている。そして、複数のバスバー2の少なくとも一つは、ヒューズ部2aを有し、このヒューズ部2aの下方に、溶融したヒューズ部2aを落下させるための空隙Sを有している。そのため、バスバー2に過大な電流が流れてジュール熱によってヒューズ部2aを構成する金属が溶融すると、ヒューズ部2aが重力の作用によって下方に落下する。このとき、ヒューズ部2aは、ヒューズ部2aの下方に形成され、溶融したヒューズ部2aを落下させるための空隙Sに落下する。したがって、本実施形態の電池モジュール100によれば、ヒューズ部2aの溶断時に溶融した金属によって新たな電流経路が形成されることを防止して、従来よりも安全性を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態の電池モジュール100は、電池群10を構成する複数の単電池1を保持する筐体20を備えている。そして、溶融したヒューズ部2aを落下させるための空隙Sは、単電池1と筐体20によって画定されている。これにより、ヒューズ部2aの体積よりも十分に大きい容積の空隙Sを確保して、溶融して落下したヒューズ部2aより、単電池1の正極のセル端子1pと負極のセル端子1nとの間に新たな電流経路が形成されるのを、より確実に防止できる。
【0051】
また、本実施形態の電池モジュール100において、バスバー2は、平板状の一対の接続部2cと、これら一対の接続部2cの間で接続部2cに交差する方向に屈曲された屈曲部2dと、を有している。これにより、筐体20の高さ方向(z軸方向)における単電池1のセル端子1p,1nとモジュール端子101P,101Nとの間の位置の相違を、バスバー2の屈曲部2dによって補填し、バスバー2Bによって単電池1のセル端子1p,1nとモジュール端子101P,101Nとを接続することができる。
【0052】
また、本実施形態の電池モジュール100において、バスバー2のヒューズ部2aは、バスバー2の屈曲部2dに設けられている。このように、単電池1のセル端子1p,1nとモジュール端子101P,101Nに接続される接続部2cの間の屈曲部2dにヒューズ部2aを設けることで、ヒューズ部2aを単電池1のセル端子1p,1nとモジュール端子101P,101Nの間の限られたスペースに配置することが可能になる。したがって、ヒューズ部2aが溶融して下方に落下したときに、溶融した金属がセル端子1p,1nやモジュール端子101P,101Nに付着するのを防止できる。
【0053】
また、本実施形態の電池モジュール100において、バスバー2のヒューズ部2aは、接続部2cに設けられている。このように、バスバー2の接続部2cにヒューズ部2aを設けることで、ヒューズ部2aを鉛直方向に交差する方向、すなわち水平方向に沿う方向に延在させることができ、溶融したヒューズ部2aを落下させやすくすることができる。また、バスバー2に長孔2bを形成してヒューズ部2aを設ける場合に、ヒューズ部2aおよび屈曲部2dの形成を容易にすることができる。具体的には、たとえば、平板状のバスバー2に長孔2bを形成してヒューズ部2aを設け、そのヒューズ部2aを屈曲させて屈曲部2dを設けることができる。
【0054】
また、本実施形態の電池モジュール100において、筐体20は、外部機構に支持される支持面20aを有し、バスバー2の接続部2cは、筐体20の支持面20aに平行になっている。電池モジュール100の筐体20の支持面20aは、電池モジュール100を搭載する外部機構が水平な場所に置かれたときに、水平面におおむね平行になる。そのため、バスバー2の接続部2cを筐体20の支持面20aに平行にすることで、電池モジュール100を搭載する外部機構が水平な場所に置かれたときに、バスバー2の接続部2cを水平面におおむね平行にすることができる。
【0055】
また、本実施形態の電池モジュール100において、単電池1は、筐体20の支持面20aに垂直な方向(z軸方向)に突出したセル端子1p,1nを備えている。そして、バスバー2の接続部2cは、支持面20aに平行なセル端子1p,1nの先端面に接続されている。また、ヒューズ部2aの下方の空隙Sは、単電池1に対向するバスバー2の下面に臨み、支持面20aに垂直な方向においてセル端子1p,1nの高さ以上の深さを有している。このような構成により、電池モジュール100の筐体20内の限られたスペースに、溶融したヒューズ部2aを落下させるための十分な空間を確保することが可能になる。
【0056】
また、本実施形態の電池モジュール100において、バスバー2は、前述のように、銅製の銅部分2eとアルミニウム製のアルミニウム部分2fとが接合されたクラッド材からなり、ヒューズ部2aがアルミニウム部分2fに設けられていてもよい。この場合、一対の接続部2cの材質を異ならせることができ、セル端子1p,1nとの異材溶接を回避することができるだけでなく、銅部分2eよりも強度が高いアルミ部分にヒューズ部2aを設けることで、バスバー2の強度低下を抑制できる。
【0057】
また、本実施形態の電池モジュール100において、バスバー2は、前述のように、他の部分よりも肉厚が薄い薄肉部2hが設けられ、この薄肉部2hがバスバー2の電流経路における体積が最小のヒューズ部2aになっていてもよい。この場合、たとえば、バスバー2の一対の接続部2cの内の一方の接続部2cを単電池1のセル端子1p,1nに溶接によって接続し、他方の接続部2cをモジュール端子101P,101Nにボルトなどの締結部材によって締結するときに、バスバー2のねじれに対する強度を向上させることができる。
【0058】
また、本実施形態の電池モジュール100において、バスバー2は、前述のように、切り欠き部2iの間に残されたくびれ部2jが、バスバー2の電流経路における体積が最小のヒューズ部2aになっていてもよい。この場合、長孔2bの両端にヒューズ部2aを形成する場合と比較して、ヒューズ部2aの溶断時間の制御が容易になる。これは、長孔2bの両端にヒューズ部2aを形成すると、電流経路が二手に分かれるのに対し、切り欠き部2iの間のくびれ部2jである中間部のみに電流経路を集約することができるためである。
【0059】
また、本実施形態の電池モジュール100において、電池群10は、扁平角形の単電池1を厚さ方向(x軸方向)に積層させて構成され、モジュール端子101P,101Nは、単電池1の積層方向(x軸方向)において電池群10の両側に配置されている。このような構成により、電池群10の体積効率を向上させ、高性能の電池モジュール100を提供することができるだけでなく、単電池1と筐体20との間の空間を有効に利用して、溶融したヒューズ部2aを落下させるための空隙Sを形成することができる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、バスバー2のヒューズ部2aの溶断時に、溶融した金属によって新たな電流経路が形成されることを防止して、従来よりも安全性を向上させることができる電池モジュール100を提供することができる。
【0061】
[実施形態2]
次に、図1および図2ならびに図6から図8を援用し、図10および図11を参照して本発明の実施形態2に係る電池モジュール100Aについて説明する。図10は、本発明の実施形態2に係る電池モジュール100Aの拡大断面図である。図11は、図10に示すバスバー2Aの斜視図である。
【0062】
本実施形態の電池モジュール100Aは、電池群10の複数の単電池1を接続する単電池1間のバスバー2Aがヒューズ部2aを有している点で、前述の実施形態1の電池モジュール100と異なっている。本実施形態の電池モジュール100Aのその他の点は、前述の実施形態1の電池モジュール100と同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
本実施形態の電池モジュール100Aにおいて、単電池1間の複数のバスバー2Aの少なくとも一つは、ヒューズ部2aを有している。そして、電池モジュール100Aは、ヒューズ部2aの下方に、溶融したヒューズ部2aを落下させるための空隙Sを有している。この空隙Sは、一対の単電池1の一対のセル端子1p,1nおよび電池容器1aと、筐体20のセルホルダ21によって画定されている。また、バスバー2は、平板状の一対の接続部2cと、この一対の接続部2cの間で接続部2cに交差する方向に屈曲された屈曲部2dと、を有している。
【0064】
また、バスバー2のヒューズ部2aは、バスバー2に長孔2bを形成することによって、屈曲部2dと接続部2cに跨るように設けられている。なお、本実施形態の電池モジュール100Aにおいても、図6および図7に示すクラッド材によってバスバー2Aを構成してもよいし、図8に示す薄肉部2hや図9に示すくびれ部2jによって、ヒューズ部2aを屈曲部2dに形成してもよい。
【0065】
本実施形態の電池モジュール100Aによれば、前述の実施形態1の電池モジュール100と同様の効果を得ることができる。なお、電池モジュール100Aは、電池群10の複数の単電池1を接続するバスバー2Aと、電池群10をモジュール端子101P,101Nに接続するバスバー2Bの双方にヒューズ部2aを有してもよい。
【0066】
[実施形態3]
次に、図1および図2を援用し、図12ないし図14を参照して本発明の実施形態3に係る電池モジュール100Bについて説明する。図12は、本発明の実施形態3に係る電池モジュール100Bの拡大斜視図である。図13は、図12に示すXIII-XIII線に沿う拡大断面図である。図14は、図12に示すモジュール端子101Nに接続されたバスバー2Bの斜視図である。なお、図12では、モジュールカバー25の一部である端子カバーを切除した状態を示している。
【0067】
本実施形態の電池モジュール100Bにおいて、ヒューズ部2aは、電池群10を負極のモジュール端子101Nに接続するバスバー2Bに設けられている。バスバー2Bのヒューズ部2aは、単電池1の負極のセル端子1nと負極のモジュール端子101Nとを接続するバスバー2Bの電流経路において通電面積が最小となる部位である。本実施形態の電池モジュール100Bは、バスバー2Bのヒューズ部2aの下方に、溶融したヒューズ部2aを落下させるための空隙Sを有している。
【0068】
バスバー2は、平板状の一対の接続部2cと、この一対の接続部2cの間で接続部2cに交差する方向に屈曲された屈曲部2dと、を有している。より詳細には、屈曲部2dは、第1屈曲部2d1と、第2屈曲部2d2と、これらを接続するヒューズ部2aとを有している。
【0069】
第1屈曲部2d1は、バスバー2Bにおいて単電池1の高さ方向(z軸方向)の上方側に配置されて負極のモジュール端子101Nに接続される接続部2cの一側に接続されている。第1屈曲部2d1は、接続部2cの単電池1の幅方向外側(図12および図14に示すy軸負方向側)の一側において、単電池1の高さ方向(z軸方向)の下方へ向けて、接続部2cに対しておおむね直角にL字状に屈曲されている。
【0070】
第1屈曲部2d1は、さらに、接続部2cの一側から単電池1の高さ方向(z軸方向)の下方へ向けて延び、単電池1の幅方向外側へ向けておおむね直角にL字状に屈曲されている。第1屈曲部2d1は、さらに、単電池1の幅方向外側へ向けて延びる部分がその上に折り重なるように180°反対方向に向けてU字状に折り返された折り返し部2hを有している。第1屈曲部2d1は、さらに、折り返し部2hから単電池1の幅方向内側(図12および図14に示すy軸正方向側)へ向けて延びるブリッジ部2gを有している。第1屈曲部2d1は、この単電池1の幅方向内側へ向けて折り返されたブリッジ部2gが、ヒューズ部2aを介して第2屈曲部2d2のブリッジ部2gに接続されている。
【0071】
第2屈曲部2d2は、バスバー2Bにおいて単電池1の高さ方向(z軸方向)の下方側に配置されて単電池1のセル端子1nに接続される接続部2cの一側に接続されている。第2屈曲部2d2は、接続部2cの単電池1の幅方向外側(図12および図14に示すy軸負方向側)の一側に接続され、接続部2cの一側から単電池1の幅方向外側へ向けて延びている。
【0072】
第2屈曲部2d2は、さらに、単電池1の幅方向外側へ向けて延びる部分がその上に折り重なるように180°反対方向に向けてU字状に折り返された折り返し部2hを有している。第2屈曲部2d2は、さらに、折り返し部2hから単電池1の幅方向内側(図12および図14に示すy軸正方向側)へ向けて延びるブリッジ部2gを有している。第2屈曲部2d2は、この単電池1の幅方向内側へ向けて折り返されたブリッジ部2gが、ヒューズ部2aを介して第1屈曲部2d1のブリッジ部2gに接続されている。
【0073】
第1屈曲部2d1のブリッジ部2gと第2屈曲部2d2のブリッジ部2gとを接続するヒューズ部2aにおける通電面積は、第1屈曲部2d1における通電面積および第2屈曲部2d2における通電面積よりも小さくなっている。
【0074】
バスバー2Bは、たとえば、二つの接続部2cと、第1屈曲部2d1の一部と、第2屈曲部2d2の一部が銅製の銅部分2eである。より具体的には、銅部分2eは、負極のモジュール端子101Nに接続される接続部2cと、単電池1のセル端子1nに接続される接続部2cとを含む。また、銅部分2eは、第1屈曲部2d1のうち、接続部2cの一側で90°屈曲されて単電池1の高さ方向(z軸方向)の下方へ向けて延び、再び90°屈曲されて単電池1の幅方向外側へ向けて延び、さらに180°反対方向に向けて屈曲された部分を含む。また、銅部分2eは、第2屈曲部2d2のうち、接続部2cの一側から単電池1の幅方向外側へ向けて延び、180°反対方向に向けて屈曲された部分を含む。
【0075】
また、バスバー2Bは、たとえば、第1屈曲部2d1の残部と、ヒューズ部2aと、第2屈曲部2d2の残部が、アルミニウム製のアルミニウム部分2fである。より具体的には、アルミニウム部分2fは、第1屈曲部2d1のうち180°屈曲された部分から単電池1の幅方向内側へ向けて延びる平板状の部分と、第2屈曲部2d2のうち180°屈曲された部分から単電池1の幅方向内側へ向けて延びる部分と、これらの部分の間のヒューズ部2aと、を含む。銅部分2eとアルミニウム部分2fとは、たとえばクラッド接合により接合されている。
【0076】
なお、バスバー2Bは、たとえば、二つの接続部2cと、第1屈曲部2d1の一部が、銅製の銅部分2eであってもよい。より具体的には、銅部分2eは、二つの接続部2cと、負極のモジュール端子101Nに接続される接続部2cの一側から単電池1の高さ方向(z軸方向)の下方側に延びて単電池1の幅方向外側へ向けて曲折された第1屈曲部2d1の一部を含んでもよい。
【0077】
また、バスバー2Bは、たとえば、第1屈曲部2d1の残部と、ヒューズ部2aと、第2屈曲部2d2の全体が、アルミニウム製のアルミニウム部分2fであってもよい。より具体的には、アルミニウム部分2fは、第1屈曲部2d1のうち単電池1の幅方向外側へ向けて延び180°反対方向に向けて屈曲され単電池1の幅方向内側へ向けて延びている部分と、ヒューズ部2aと、第2屈曲部2d2とを含んでもよい。
【0078】
なお、本実施形態では、インシュレーションカバー24のバスバー収納スペースの関係で折り返し部2hを設けているが、バスバー収納スペースが大きくとれる場合には、折り返し部2hは省略してもよい。また、負極のモジュール端子101Nと負極のセル端子1nとの高さ位置が同じになるように設計されている場合には、屈曲部2dも省略でき、一対の接続部2cとブリッジ部2gでバスバー2Bを構成できる。
【0079】
以上説明した本実施形態によれば、ヒューズ部2aの位置を、第1実施形態よりもセル端子1nから遠い位置に配置することができる。したがって、バスバー2Bのヒューズ部2aが溶断されるときに、溶融した金属によって新たな電流経路が形成されることをより確実に防止し、安全性をさらに向上させることができる。
【0080】
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0081】
1 単電池
1p セル端子
1n セル端子
2 バスバー
2A バスバー
2B バスバー
2a ヒューズ部
2c 接続部
2d 屈曲部
2e 銅部分
2f アルミニウム部分
10 電池群
100 電池モジュール
20 筐体
20a 支持面
101P モジュール端子
101N モジュール端子
S 空隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14