(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058792
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】炎症関連疾患及び障害を治療するための求電子的に強化されたフェノール化合物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/352 20060101AFI20220405BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20220405BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220405BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220405BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20220405BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20220405BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20220405BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20220405BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220405BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220405BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220405BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20220405BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20220405BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20220405BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220405BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220405BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220405BHJP
A61K 47/56 20170101ALI20220405BHJP
【FI】
A61K31/352
A61K31/7048
A61P31/04
A61P31/12
A61P31/16
A61P31/14
A61K9/50
A61K9/48
A61K9/20
A61K47/38
A61K47/36
A61K9/127
A61K9/10
A61K9/70
A61K9/14
A61K9/06
A61K9/08
A61K47/56
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012056
(22)【出願日】2022-01-28
(62)【分割の表示】P 2018560998の分割
【原出願日】2017-05-16
(31)【優先権主張番号】15/156,021
(32)【優先日】2016-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518407593
【氏名又は名称】グローバル バイオライフ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】GLOBAL BIOLIFE INC.
【住所又は居所原語表記】4800 Montgomery Lane, Suite 210, Bethesda, MD 20814, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,ダリル,リー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】炎症関連疾患及び状態の治療的処置に使われうる求電子的に強化されたフェノール化合物を提供する。
【解決手段】ミリセチン、ヘスペリジン及びピペリンからなるequivirを含む、医薬組成物を提供する。カプセル、ピル、タブレット、頬、舌下及び口腔内崩壊剤を含む特殊タブレット、薄膜、エリキシル、液体の溶液又は懸濁液、粉末又は結晶からなる全身投薬形態であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリセチン、ヘスペリジン及びピペリンからなるequivirを含む、医薬組成物。
【請求項2】
慣用の全身投薬形態へ組み込まれる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記全身投薬形態がカプセル、ピル、タブレット、頬、舌下及び口腔内崩壊剤を含む特殊タブレット、薄膜、エリキシル、液体の溶液又は懸濁液、粉末又は結晶からなるグループから選ばれる、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
クリーム、ゲル、塗布薬、バーム、ローション、軟膏、又は肌パッチ中に組み込まれる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
ウイルス/細菌疾患の状態を治療するための治療的有効量のequivirを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物を、疾患の状態の治療を必要とする非ヒトほ乳類種へ投与することを含む、非ヒトほ乳類種の治療方法。
【請求項7】
前記非ヒトほ乳類種が家畜、馬、牛、羊、豚、犬、及び猫からなるグループから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
治療的有効量を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が生理学的に許容される増量剤、崩壊剤、担体物質、賦形剤、滑沢剤、緩衝剤、抗菌剤、充填剤、及び/又は結合剤、および抗酸化剤を含む、請求項1~5及び8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、コーンスターチ、又は微結晶セルロースからなるグループから選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
リポソーム、薬物ポリマーコンジュゲート、ヒドロゲル、ミクロスフェア、又はマイクロカプセル化を用いた徐放性製剤に製剤化される、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記ウイルス/細菌がデング熱/デングウイルス、インフルエンザ、ライノウイルス及びエボラウイルスから選ばれる、請求項5に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願に関連するクロスリファレンス
本願は2016年5月16日に出願された米国特許出願第15/156021の特典を主張し、ここに参照として組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、フラボノイド化合物を含むがフラボノイド化合物に限定されない求電子的に強化されたフェノール化合物、及び炎症関連疾患及び障害を含む炎症性ネクサスを有する障害を含む様々な障害を治療するためのこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
生物の代謝、酵素システムは、全ての主要な代謝システムの関連した生化学的な経路に、植物食料資源由来の環境中から容易に利用できる、フェノール類、フェノール酸、及びフラボノイドを組み入れるよう発達した。フラボノイドが多数の代謝システムに生理的な効果を有するだけでなく、それらは本質的にこれらのシステムの通常動作の一部である。自然の進化の一部として、フラボノイド結合部位はこれら経路を通して広く保存され、分布されている。化学反応が試薬、例えば過剰なグルコースのために過負荷にさらされるとき、又はもし例えばタンパク質の変形のような、代謝成分の欠陥があれば、中間代謝産物は濃縮して生産され、経路又は関連する経路の機能障害、及び疾患状態の発現に導きうる。フラボノイドの主要な役割は、ある酵素のダウン及び/又はアップレギュレートによって、これら中間産物の蓄積を減少させ、これら生物の負の効果を改善することである。
【0004】
複数の経路にわたるフラボノイド結合部位の分布により、フラボノイドは疾患状態に関するシステムにおいていくつかの酵素の調節作用を有する。疾患状態のためのほとんどの他の治療学は、疾患に関連した1から2の対象の酵素を対象にするが、フラボノイドは複数を対象にする。
【0005】
疾患の分類
6つの疾患カテゴリーにわたって分布している64の鍵酵素がある。これらの疾患を治療するために用いられるほとんどの薬は、これらの疾患に関連した対象の酵素をダウンレギュレート又はアップレギュレートするのどちらかである。
【0006】
それぞれの主要な疾患分類及びそのような疾患に関連した対象の酵素のリストは次のとおりである。
【0007】
癌
対象の酵素:イノシトール 1,4,5 3トリリン酸キナーゼ(IP3K)、プロテインキナーゼCK2、DNA トポイソメラーゼ II、有糸分裂促進活性化タンパクキナーゼ、CYP 181、キナーゼ1(MEK)、MAPK キナーゼ4(MKK4)、グリコキサラーゼ、CYP 1A1、シクロオキシゲナーゼ、チオレドキシンレダクターゼ、核内要素カッパーB(NF-Kappa B)、チロシンキナーゼ(MET)、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK 1-2)、HSP 70 ATPase、キサンチンオキシダーゼ、ホスファチジルイノシトール-3、RAFキナーゼ、マトリックスメタロプロテアーゼ1-18、MRP-1、ウロキナーゼ、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、アロマターゼ(CYP-19)、X タンパクキナーゼ(XK)、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、及びイノシトールポリリン酸マルチキナーゼ(IPMK)。
【0008】
糖尿病、及びメタボリックシンドローム(1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満、グリコーゲン蓄積症)
対象の酵素:ピルビン酸カルボキシラーゼ、脂肪酸シンターゼ、αアミラーゼ、有糸分裂促進活性化タンパクキナーゼ、MAPK(4)、コレステロールアシルトランスフェラーゼ、肝臓キサンチンオキシダーゼ、グルコキナーゼ、細胞外調整酵素(ERK)、アルドースレダクターゼ、リパーゼ、アセチルCoA、キナーゼ(1)、グルコシダーゼ、アンギオテンシン変換酵素(ACE)、12-リポ-オキシゲナーゼ、及びHMG-CoA、キナーゼ(MEK)
【0009】
心疾患(高コレステロール血症、虚血、高血圧、心内膜炎、心筋炎、脳血管障害、血管透過、虚血)
対象の酵素:アセトアセチルCoA、スクアレンシンターゼ、オキシドスクアレンシクラーゼ、アンギオテンシン変換酵素、アセチルCoA、HMG CoAレダクターゼ、HMG CoA、及びコレステロールトランスフェラーゼ。
【0010】
炎症と痛み(急性疼痛障害、偏頭痛、頭痛、関節炎、乾癬、喘息、アルコール毒性、クローン病、炎症性腸疾患、大腸炎、過敏性腸症候群、酒さ)
対象の酵素:グリオキサラーゼ 1、グリオキサラーゼ 2、キナーゼ(1)、ポリメラーゼ(PARP-1)、有糸分裂促進活性化タンパクキナーゼ(MAPK)、核内酵素ポリメラーゼ(ADP リボース)、カスパーゼ 8、MAPK(4)、MKK4、エラスターゼ、COX 1、及びCOX2。
【0011】
神経疾患(アルツハイマー病、ハンチントン病、統合失調症、外傷性脳損傷、パーキンソン病)
対象の酵素:チロシンキナーゼ、αセクレターゼ、カスパーゼ3、プロテアーゼ、β部位APP切断酵素1(BACE-1)、キナーゼ(PLK2)、タウタンパクキナーゼ、βセクレターゼ、γセクレターゼ、細胞間接着分子1(ICAM-1)、グルタチオントランスフェラーゼ、M(TOR)、ジヒドロ葉酸還元酵素、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、及びアスパラギン酸プロテアーゼ。
【0012】
ウイルス/細菌の疾患(ヒトライノウイルス、インフルエンザ、SARS、MERS、エボラウイルス、デング熱、マラリア、MRSA、スタフィロコッカス、大腸菌、HIV)
対象の酵素:逆転写酵素、RNAポリメラーゼ(全て)、ヘリカーゼ、トポイソメラーゼ、インテグラーゼ、プロテアーゼ(ウイルスの出芽)、カスパーゼ(特にカスパーゼ8)、アラントイナーゼ、ジヒドロオロターゼ、ブチリルコリンエステラーゼ、及びアセチルコリンエステラーゼ。
【0013】
ある病気の具体例:糖尿病
1型糖尿病(以前は若年型糖尿病として知られた)は体でインスリンを生産したり放出する能力が無いことによって特徴付けられる。2型糖尿病(成人発症の糖尿病としても知られている)は、体がインスリンに反応する能力が無い、又はインスリンに抵抗することによって特徴付けられる。両方とも高血糖症をもたらし、しばしば心疾患、網膜症、神経障害、腎障害のような合併症が続く。1型糖尿病は外因性インスリンの投与を必要とする。2型糖尿病は、最初は食事だけによってしばしばコントロールできるが、しかし通常抗高血糖剤を必要とする。2型糖尿病の制御のための最も広く処方される薬は、ビグアニド類のメトホルミンの塩酸塩である。これらの化合物は、肝臓のグルコースの放出(糖新生)を阻害すること、及びグルコーストランスポーター4(GLUT4)を刺激することによって、末梢の組織(例えば筋肉)によるグルコースの取り込みを増加させることによって作用する。薬、及びこれらの作用の様態のリストは表1に示される。
【表1】
【0014】
最も広く処方される抗糖尿病薬に関連した非順守に導く理由は胃腸の不快感である。特に、αグルコシダーゼ阻害剤及びアミリンアナログは複雑な炭水化物及び脂肪が直ぐに吸収される単分子へと変換するのをゆっくりにする、又は阻害することによって働く。これは炭水化物及び脂質が豊富な環境を残し、腸の微生物叢に容易に利用可能にする。その結果、よく下痢、腸の張り、炎症、及び腸内層の劣化をおこす。
【0015】
フラボノイドは基本的な構造:
【化1】
を有し、フラボノイド(例はケルセチン及びルチンを含む)、イソフラボノイド(例はダイゼイン及びゲニステイン)又はネオフラボノイド(例はダルベルギン及びネオフラビンを含む)としてIUPC(International Union of Pure and Applied Chemistry)に基づいて分類される。
【0016】
フラボノイドは、
1) それらのフェノール環上に有するヒドロキシル基ユニット数、
2) 分子の平面性、及び
3) 環上のそのユニットの位置
によって効果的な酵素阻害剤又は刺激剤である。平面性及び位置がドッキング能力を決定する。一般に、ヒドロキシル基ユニットが多くなればなるほど、その化合物はより反応性となる。同時に、反応性の増加は安定性の低下を意味する。ヒドロキシル基ユニットの数が大きくなるほど、その効果はより迅速になる。より少ないユニットは効果の遅れを導く。それぞれヒドロキシル基ユニット数を変えたフラボノイドの製剤は多様な効果を引き出す方法として用いられ得る。これは異なる数及びヒドロキシル基ユニットの配向を有する異なるフラボノイドの比率を交互に入れ替えることによって成し遂げられるだろう。
【0017】
科学文献は、フラボノイドがα-グルコシダーゼの阻害、グルコーストランスポーター2(腸から血流へグルコースを輸送する)の阻害、グルコーストランスポーター4(血流から筋組織へグルコースを輸送する)の刺激、インスリンの放出の刺激、糖新生の阻害、含脂肪細胞の成長と発達の阻害、脂肪分解の刺激、脂肪酸合成の阻害、及びインスリン感度の上昇を介して血糖を低下させる効果を十分に備えている。フラボノイドは、胃腸区域のいくつかの他の叢と同様に、主要な胃腸の損傷の主要原因であるhelicobacter pyloriの活性を阻害することが報告されている。加えて、フラボノイドは抗炎症活性を示し、腸内層の治癒を助ける。
【発明の概要】
【0018】
発明の要約
本発明は求電子的に強化されたフェノール化合物に関する。求電子的に強化されたフェノール化合物は、フラボノイド化合物を含むが、それに制限されない。その化合物は、炎症関連疾患及び障害を含む炎症性ネクサスを有する障害を含む様々な障害を治療する為に使用されうる。1つの、限定されない例は求電子的に強化されたミリセチンである。求電子的に強化したこれらのフラボノイドはそれらの結合活性を上昇し、Kmを低下させ、したがってそれらの効力を増加する。
【0019】
一つの形式において、合成物はフラボノイドのようなフェノール化合物との共有結合を介した求電子的部分の付加を含み、それは結合エネルギーの上昇を引き出し、6(6)つの炎症関連疾患分類(本明細書の以下に規定)に関連する酵素のアップ、又はダウンレギュレーションを上昇し、及び/又はその天然状態よりもフラボノイドの効果を上昇する。これらの化合物は、有利には、炎症関連疾患及び障害を治療するのに効果的である。これらの障害は炎症成分、ジェネシス又はネクサスを有する上記規定の6(6)疾患分類を含む。求電子的に強化されたフェノール化合物は一般式(I)、
【化2】
(ここで、少なくとも1つのR、R
1、R
2、R
3及びR
4は、
ハロゲン、アルデヒド、ハロアルケン、アルケン、ブチリル、フルロフェノール、スルホンアミド、フルロフェノールスルホキシド、
から選ばれる求電子基であり、そして
残りのR、R
1、R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立して、
水素、ヒドロキシル基、アルコシキ基、ルチノシル基、カルボキシル基、クロモン、ベンゾピラン、ラムノシル基、置換アルコシキ基又は置換アシルオキシ基(前記置換はヒドロキシル、アルコキシ、アリ-ルオキシ、フェニル、ハロゲン、及びアミド基から選ばれる)
を有する。有利な形態としては、求電子的に強化されたフェノール化合物は、炎症疾患又は関連した障害の治療の必要な患者に投与された際に、天然の形態を超えて効果を上昇した。求電子的に強化されたミリセチンの1つの例は、ミリセチンが1つ以上のハロゲン、例えば塩素で置換されている。
【0020】
1つの有利な形態としては、R
1は式(II)及び(III)の一般的なフラボノイドを有するクロモン、
【化3】
【化4】
(ここで、少なくとも1つのR、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、
ハロゲン、アルデヒド、ハロアルケン、アルケン、ブチリル、フルロフェノール、スルホンアミド、フルロフェノールスルホキシド、
から選ばれる求電子基であり、そして
残りのR、R
1、R
2、R3、R
4、R
5及びR
6はそれぞれ独立して水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ルチノシル基、ラムノシル基、置換アルコキシ基又は置換アシルオキシ基(前記置換はヒドロキシル、アルコキシ、アリ-ルオキシ、フェニル、ハロゲン、及びアミド基から選ばれる)である。有利な形態としては、化合物はその天然の非求電子的に強化された形態を超えて効果を上昇し、ここで、強化された効果は、本開示に基づいた対象の疾患及び状態を治療する能力に基づく。
【0021】
なお更なる形態では、フラボノイドは2-フェニルクロメン-4-オン由来の化合物から選択される。なおさらに、さらに追加の実施形態において、フラボノイドは3-ヒドロキシ-2-フェニルクロメン-4-オン由来の化合物、例えば、フィシテン(fisiten)、ガランギン、ヘスペリチン、イソラムネチン、ケンペロール、ミリセチン、ナリンギン、ケルセチン、及びルチンを含むがそれらに限定されない。
【0022】
本発明は、その別の形態では、一般式(I)の化合物又は本開示の式(I)のさらに精製された種のいずれかの治療に効果的な量の化合物を、それからの治療が必要な患者に投与することを含む炎症関連疾患を含むが、それに限定されない、疾患又は病状の治療の為の方法に関する。代わりの方法としては、その治療は、前述の一般式(I)の特定の形態のいずれかを投与することを含み得、これらフィシテン、ガランギン、ヘスペリチン、イソラムネチン、ケンペロール、ミリセチン、ナリンギン、ケルセチン、及びルチンを含むがそれらに限定されない。なお代わりの方法は、式(I)の化合物(フェノール化合物)は a)ミリセチン又はb) 求電子的に強化された、ミリセチンの改変された形態であり、そしてその化合物はさらにヘスペリチン及びピペリンとの組み合わせである。ある形態では、ミリセチンはヘスペリジン及びピペリンと製剤化され、Equivirを形成する。
【0023】
本発明に従い、ミリセチン、ヘスペリジン、及びピペリンの化合物の組み合わせはEquivirとして知られる組成物を形成する。そのミリセチンは天然、又は求電子的に強化され得る。
【化5】
【化6】
【化7】
【0024】
Equivirは、本開示に基づき、様々な疾患を治療するための効力を有し、それは本開示に基づき、デング熱/デングウイルス、インフルエンザ、ライノウイルス、及びエボラウイルスを含むが、それらに限定されない。
【0025】
1つの有利な形態としては、化合物は
【化8】
【化9】
【化10】
からなるグループから選択される式を有する。
【0026】
化合物は、慣用の非侵襲性の全身投薬形態としての医薬組成物中に製剤化され得る。非侵襲性の全身投薬形態はカプセル、ピル、タブレット、頬、舌下及び口腔内崩壊剤を含む特殊タブレット、薄膜、エリキシル、液体の溶液又は懸濁液、粉末又は結晶からなるグループから選択されうる。化合物はまたクリーム、ゲル、塗布薬、バーム、ローション、軟膏、皮膚用パッチ剤内へ組み込まれうる。
【0027】
前述の三つの化合物は様々な病状、障害及び/又は疾患の治療のために使われうる。これらは炎症関連疾患、癌疾患の状態、糖尿病/メタボリックシンドローム疾患の状態、心疾患の状態、炎症/痛みの疾患の状態、神経疾患の状態、及びウイルス/細菌疾患の状態を含むが、これらに限定されない。これらの疾患の状態はヒト及び非ヒトにありうる。
【0028】
前述の3つの化合物の医薬化合物は、生理学的に許容される増量剤、崩壊剤、担体物質、賦形剤、滑沢剤、緩衝剤、抗菌剤、充填剤、及び/又は結合剤、および抗酸化剤を含み得る。崩壊剤はクロスカルメロースナトリウム、ポビドン、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、コーンスターチ、又は微結晶セルロースからなるグループから選択されうる。さらに、組成物はリポソーム、薬物ポリマーコンジュゲート(conjugates)、ヒドロゲル、ミクロスフェア、又はマイクロカプセル化を用いた徐放性製剤に製剤化されうる。
【0029】
1つの特に有利な形態は、組成物は求電子的に強化され、修飾された形態のミリセチンを含み、化合物はさらにヘスペリジン及びピペリンと組み合わされる。1つの例では、求電子的に強化され、修飾された形態のミリセチン(例えば、塩素化された形態)が、ヘスペリジン及びピペリンと製剤化され、Equivirを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図の簡潔な記載
【
図1】
図1は、感染試験後の、試験化合物の処置によるライノウイルス14型の阻害が示される、MRC-5生存パーセントと濃度パーセントとを比較している。
【0031】
【
図2】
図2は、感染試験前の、試験化合物の処置によるライノウイルス14型の阻害パーセントを示す。
【0032】
【
図3】
図3は、試験化合物の処置によるMRC-5生存パーセントを示すチャートである。
【0033】
【
図4】
図4は、7日目のMDCK細胞におけるEquivirの細胞毒性及びCPE分析でのIFV A/Texas/36/91(H1N1)に対する阻害効果を示す。
【0034】
【
図5】
図5は、7日目のMDCK細胞におけるZanamivir IRの細胞毒性及びCPE分析でのIFV A/Texas/36/91(H1N1)に対する阻害効果を描写する。
【0035】
【
図6】
図6は、7日目のMDCK細胞におけるEquivirの細胞毒性及びCPE分析でのIFV A/Perth/265/09に対する阻害効果を示す。
【0036】
【
図7】
図7は、MDCK細胞におけるZanamivirの細胞毒性及びCPE分析でのIFV A/Perth/265/09に対する阻害効果を示すグラフである。
【0037】
【
図8】
図8は、7日目のMDCK細胞におけるEquivirの細胞毒性及びCPE分析でのIFV A/HK/1/68(H3N2)に対する阻害効果を示すグラフである。
【0038】
【
図9】
図9は、7日目のMDCK細胞におけるZanamivirの細胞毒性及びCPE分析でのIFV A/HK/1/68(H3N2)に対する阻害効果を示すグラフである。
【0039】
【
図10】
図10は、樹状細胞におけるDENV-2の阻害を示すチャートである。
【0040】
【
図11】
図11は、本発明に基づく樹状細胞の特徴を方向付けた一連の6枚のパネルを含む。
【0041】
【
図12】
図12は、DCsにおけるサイトカインプロファイルを示すチャートである。
【0042】
【
図13】
図13は、WTエボラウイルスが感染したHepG2細胞におけるEquivir の効果を示すチャートである。
【0043】
【
図14】
図14は、WTエボラウイルスが感染したHepG2細胞におけるT-705の効果を示すチャートである。
【0044】
【
図15】
図15は、WTエボラウイルスが感染したTHP-1細胞におけるEquivir の効果を示すチャートである。
【0045】
【
図16】
図16は、WTエボラウイルスが感染したTHP-1細胞におけるT-705 の効果を示すチャートである。
【0046】
【
図17】
図17は、HepG2での0時間で示される抗EBOV活性による実験データのチャートである。
【0047】
【
図18】
図18は、THP-1での0時間で示される抗EBOV活性による実験データのチャートである。
【0048】
【
図19】
図19は、HepG2での36時間で示される抗EBOV活性による実験データのチャートである。
【0049】
【
図20】
図20は、THP-1での36時間で示される抗EBOV活性による実験データのチャートである。
【0050】
【
図21】
図21は、HepG2での72時間で示される抗EBOV活性による実験データのチャートである。
【0051】
【
図22】
図22は、THP-1での72時間で示される抗EBOV活性による実験データのチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
詳細な記述
本発明は本化合物及び様々な障害を処置するためのその使用の更なる理解を提供するために、具体的な実施形態及び典型例に関してここに記載されるだろう。
【0053】
1つの有利な形態では、治療上の化合物は一般式(I)の改変されたフェノール化合物
【化11】
(ここで、少なくとも1つのR、R
1、R
2、R
3及びR
4は、
ハロゲン、アルデヒド、ハロアルケン、アルケン、ブチリル、フルロフェノール、スルホンアミド、フルロフェノールスルホキシド、
から選ばれる求電子基であり、そして
残りのR、R
1、R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立して、
水素、ヒドロキシル基、アルコシキ基、ルチノシル基、カルボキシル基、クロモン、ベンゾピラン、ラムノシル基、置換アルコシキ基又は置換アシルオキシ基(前記置換はヒドロキシル、アルコキシ、アリ-ルオキシ、フェニル、ハロゲン、及びアミド基から選ばれる)
を有し、前記化合物は天然の形態を超えて効果を増大する。
【0054】
治療化合物は炎症成分、ジェネシス又はネクサスを有し、癌、糖尿病/メタボリックシンドローム疾患状態、心疾患、炎症/痛み、神経疾患、及びウイルス学の/生物学の疾患状態を含むがこれに限定されない、様々な疾患を治療するために使われうる。
【0055】
治療化合物は医薬組成物として製剤化され得、カプセル、ピル、タブレット、特殊タブレット(頬、舌下及び口腔内崩壊剤)、薄膜、エリキシル、液体の溶液又は懸濁液、粉末又は結晶を含むがそれらに限定されない、非回避性(non-evasive)の全身の投与形態によってさらに改変されうる。
【0056】
組成物は、いずれかの一連の物理的形態を含む適切な医薬担体によって運ばれる医薬担体を含み得、そして当該技術においてよく知られる広範囲な医薬的に許容な担体、希釈剤、及び/又は賦形剤を含み得る。従って、適切な医薬担体は溶解剤、コーティング剤、抗細菌及び抗真菌剤、等張剤及び吸着遅延剤等を含み得る。「医薬的に許容な」とは、前記担体が組成物又は製剤中の活性成分又はその他の成分と実質的に共存でき、そしてその治療を受けている患者にとって実質的に有害ではないことを意味する、と一般的に理解される。適する担体の一般的な例は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、スターチ、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、低融点ろう、ココアバター等を含む。
【0057】
本組成物及びその製剤の性質により、本開示による本化合物/組成物の投与は、粘膜吸収、鼻、頬/舌下、膣、目、直腸(坐薬、浣腸剤)への組み込み、及び吸入(エアロゾル、吸入器、噴霧器、気化器、煙)を通してできる。
【0058】
一般式(I)の化合物を投与するための好ましい投薬量及び本開示による医薬組成物は状態の発生を制限し、疾患の状態に関連する病状を減少し、そして/又は有限時間の発生を防止する量である。当業者は患者の状態の性質によってその量が大きく変わるであろうことを容易に認識するだろう。本開示における、一般式(I) の化合物又は一般式(I)の化合物を含む医薬組成物の「有効量」又は「治療的有効量」は、非毒性だが、十分な量の化合物、組成物、医薬組成物、又は要求された予防又は治療上の効果を生み出す全てのものを意味することが意図される。したがって、当業者は容易に理解するように、要求される正確な量の化合物、医薬組成物又は特定の薬剤は、患者の種類、対象の年齢及び全身状態、治療される状態の重篤度、使用される特定の担体又はアジュバント及び投与の様式などに依存して、対象により異なるであろう。同様に、投薬管理もまた組成物が投与される患者に適合するように調整されるべきで、対象の年齢、体重、代謝などで再び変わるだろう。それゆえ、いずれの特定の化合物、組成物又は薬剤の「有効量」は特定の状況に基づき変化するであろうし、そして当業者が通常の実験のみを用いることによってそれぞれの適用のケースで適切な有効量が決められ得る。
【0059】
本組成物及びその製剤の性質により、本化合物の投与は、粘膜吸収、鼻、頬/舌下、膣、目、直腸(坐薬、浣腸剤)への組み込み、及び吸入(エアロゾル、吸入器、噴霧器、気化器、煙)を通してできる。
【0060】
化合物のミリセチン、ヘスペリジン、及びピペリンの組み合わせは、Equivirとして知られる組成物を形成する。本開示によると、Equivirは、本開示の様々な不調を治療する効力を有し、それはデング熱/デングウイルス、インフルエンザ、ライノウイルス、及びエボラウイルスを含むが、それらに限定されない。
【化12】
【化13】
【化14】
【0061】
本開示による塩素化されたフラボノイドは慣用の非侵襲性の全身投薬形態,例えばカプセル、ピル、タブレット、特殊タブレット(頬、舌下及び口腔内崩壊剤)、薄膜、エリキシル、液体の溶液又は懸濁液、粉末又は結晶、に組み込まれうる。上記投薬形態は、所用の、生理学的に許容される増量剤、崩壊剤(例えばクロスカルメロースナトリウム、ポビドン、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、コーンスターチ、又は微結晶セルロース)、担体物質、賦形剤、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバろう)、緩衝剤、抗菌剤、充填剤、及び/又は結合剤(例えばラクトース、砂糖、アラビアゴム、コーンスターチ、改変コーンスターチ、ポリビニルピロリドン、マンニトール、ソルビトール、無機塩、例えば炭酸カルシウム、及び/又はセルロース誘導体、例えば木質セルロース、微結晶セルロース、カルナウバろう、パラフィン、鯨ろう、ポリエチレン又は微結晶ろう)、抗酸化剤(アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム)又は類似物もまた含む。
【0062】
本開示による塩素化されたフラボノイドはクリーム、ゲル、塗布薬、バーム、ローション、軟膏、又は肌パッチ中に組み込まれて投与されうる。
【0063】
本開示による塩素化されたフラボノイドは、粘膜吸収、鼻、頬/舌下、膣(注水、ペッサリー)、目、直腸 (坐薬、浣腸剤)、及び吸入(エアロゾル、吸入器、噴霧器、蒸発器、煙)を通して投与されうる。
【0064】
本開示による塩素化されたフラボノイドは、皮内、皮下、筋肉内、骨内、腹腔内、静脈内注射を通して投与されうる。
【0065】
本開示による塩素化されたフラボノイドは、リポソーム、薬物ポリマーコンジュゲート、ヒドロゲル、又はミクロスフェアを組み込むことによる徐放性製剤を通して投与されうる。
【実施例0066】
実施例
次の実施例は本組成物及び治療の理解を高める為の典型的な目的のために提供される。実施例から、開示に従って、化合物、治療組成物及び治療処置を外挿できる。
【0067】
実施例1
この開示に従って、1つ以上のフラボノイド、例えばミリセチン、が塩素化される。化合物は個別に用いられるか、又は、例えばカプセル、液体の溶液又は懸濁液、シロップ、タブレット、粉末のような単一製剤、並びに放出制御製剤で組み合わされ得る。
【0068】
好ましい実施形態では、1から1000mgの塩素化されたフラボノイドがカプセルの形態で経口投与される。
【0069】
実施例2
本開示による塩素化されたフラボノイドは、例えば飼い慣らされた動物、馬、牛、羊、豚、犬、猫、ヒト、など、これらの治療を必要とする様々なほ乳類種に投与され得る。
【0070】
次の例は「ライノウイルス14型に対する抗ウイルス活性のためのある試験化合物の非GLP評価」の表題が与えられる。
【0071】
試験製品は次のように調製された:0.312gの試験製品は10mlのDMSOに溶かされ、100mM濃度の試験製品を得た;100μM試験製品の1/1000希釈が維持用培地中で調製され、100uM濃度が得られた;後の連続的な希釈溶液は維持用培地中で2.15のプログレッションファクターを用いて作られた。培地中のDMSOの1/1000希釈溶液の細胞毒性が評価された。合計8つの異なる濃度の試験製品が、ライノウイルス14型1059株(ATCC#VR-284) に対する抗ウイルス特性の為に評価された。感染後及び感染前の試験製品の抗ウイルス活性が評価された。平板培養は6度繰り返し行われ、試験は二度行われた。
実験方法
試験製品:試験製品の記述は表2に提供される。最初の試験製品がDMSO中で調製され、細胞培養培地中の続く濃度が調製された。
【表2】
【0072】
ウイルス:
ヒトライノウイルス14型1059株(ACTCC#VR-284)。ウイルス投与量:0.1 MOI。
【0073】
宿主細胞
MRC-5(ヒト肺繊維芽細胞、ATCC 11CCL-171)。
【0074】
培地
維持用培地 - 2%のウシ胎仔血清(Atlas)及び抗-抗(ペニシリン-ストレプトマイシン-アンフォテリシン B[Gibco])を有するEMEM(ATCC)。
【0075】
MTT細胞増殖分析:ATCC #30-1010K。
方法論:抗ウイルス特性及び細胞毒性は細胞変性効果(CPE)に基づく分析を用いて評価された。CPEはMTT細胞増殖分析を用いて決められた。
【0076】
感染後の抗ウイルス活性:およそ90%コンフルエントな細胞はPBSで洗浄された。0.1 MOI試験ウイルス(細胞毒性試験用培地)の100ul アリコートは細胞に加えられ、33℃±2℃でウイルスの吸着のために1時間 CO2インキュベーターでインキュベートされた。インキュベート後、ウイルス接種材料は取り除かれた;感染した細胞はPBSで洗浄され、試験製品濃度の100μlでオーバーレイされた。プレートはCO2インキュベーターで72時間インキュベートされた。インキュベート終了後、プレートはMTT分析を用いるCPE阻害によって評価された:細胞はPBSで洗浄され;100μlの培地及び10μlのMTT試薬がプレートのそれぞれのウェルに加えられた;プレートはインキュベーターに戻され、4時間37℃±2℃でインキュベートされた;インキュベーション後、培地は取り除かれ、100μlのDMSOが紫ホルマザンを溶かすために加えられた。
【0077】
感染前の抗ウイルス活性:およそ90%コンフルエントな細胞はPBSで洗浄された。試験製品濃度の100ul アリコートは細胞に加えられ、37℃±2℃で1時間 CO2インキュベーターでインキュベートされた。インキュベート後、0.1 MOI試験ウイルスの100ul アリコートが加えられ、CO2インキュベーター中33℃±2℃で72時間インキュベートされた。インキュベート終了後、プレートはMTT分析を用いるCPE阻害によって評価された:細胞はPBSで洗浄され;100μlの培地及び10μlのMTT試薬がプレートのそれぞれのウェルに加えられた;プレートはインキュベーターに戻され、4時間37℃±2℃でインキュベートされた;インキュベーション後、培地は取り除かれ、100μlのDMSOが紫ホルマザンを溶かすために加えられた。
【0078】
試料の光学密度は、570nmへセットされた「VERSAmax」Tunable Microplate Reader(SOFTmaxRPRO Softwareを有する)を用いブランクウェルとともに決定された。結果はCPEの阻害パーセントを、100%阻害CPEが細胞コントロールの平均におよそ等しいとして計算された。IC50値はμM濃度で表され、非線形回帰分析、GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを用いて計算された。
【0079】
【0080】
表4及び表5、並びに
図1は試験製品の感染後の適用に対する阻害濃度(IC)を表す。
【表4】
【表5】
【0081】
表6及び表7、並びに
図2は感染前の試験製品の適用に対する阻害濃度(IC)を表す。
【表6】
【表7】
【0082】
表8及び
図3はMRC-5細胞に対する毒濃度50%(TC50)を表す。
【表8】
【0083】
実施例3
インフルエンザウイルス及びデングウイルスに対するEquivirの分析。
【0084】
次の例及び実験は次の目的を有した:
・CPE分析における3つのA型インフルエンザウイルスに対するEquivirの抗ウイルス活性の決定:
- A/TX/36/91(H1N1)
- A/Perth/265/09(H1N1)及び
- A/HK/1/68(H3N2);
・ 7日目のMDCK細胞における細胞毒性の決定;
・ 樹状細胞におけるDENV-2ニューギニアCに対する抗ウイルス活性の決定(産出抑制試験);及び
・ 感染後(MSD)の樹状細胞におけるサイトカインプロファイル(IFN-γ, IL-1β, IL-2, IL-4,IL-6, IL-8, IL-10, IL-12p70, IL-13 及び TNF-α)の決定
【表9】
【0085】
MDCK細胞におけるウイルスの影響に対するデータ
データはMDCK細胞におけるインフルエンザウイルスに関して
図4~8中に示される。
【0086】
CPEに基づくEC50分析。
以下の実験は次のように行われた:
細胞は96ウェルプレートに植えられ、一晩インキュベートされた。
翌日コントロール化合物と同様に被検物質(初発50μM、2倍希釈)の連続希釈試料が培地中で調製された。
生育培地が細胞から吸引され、希釈化合物が1時間のインキュベーションを目的として加えられた。
その後、0.01MOIのウイルスが加えられ、細胞は7日間インキュベートされた。
細胞はその後固定化され、グルタルジアルデヒド溶液中クリスタルバイオレットで染色された。
最適密度が決められ、EC50は、ODの4-PL曲線適合を用いて、0%CPEとしての非感染(細胞のみ)コントロールと100%CPEとしての、化合物のないコントロール(ウイルスのみ)を用いて計算された。
【0087】
細胞毒性分析
細胞毒性は次のように試験された。細胞は黒壁の96ウェルプレートへ植えられ、一晩インキュベートされた。翌日、被検物質の連続希釈試料が調製された。生育培地が細胞から吸引され、希釈化合物が加えられた。培地のみでインキュベートされた細胞が、0%細胞毒性データの為に用いられた。培地は吸引され、細胞はPromega's CelltiterGlo kit(MDCK 細胞:7日目)を用いるATP含量の評価のために溶解された。生じるルシフェラーゼ発光が定量化され、4-PL曲線適合を用いてCC50を計算するために用いられた。
【0088】
樹状細胞におけるデングウイルス
【0089】
デングウイルスは樹状細胞における次の実験で
図10に示されるデータで測定された。
【0090】
行われた実験を次に要約する。
単球の分化
精製され、凍らされた単球がドナーから提供された。3つのフラスコ中、GM-CSF及びIL-4で分化が開始された。収穫、感染、及び特徴付けは7日後に行われた。
【0091】
樹状細胞の特徴付け
次の特徴付けは
図11のパネルA~F中に示した結果で行われた。
・ 非付着細胞(DCs)は7.0x10
6と数えられた。
・ 回復したDCsは特徴的プロファイルを示した。
【0092】
DENV-2でのDCの感染
以下の実験は次のように行われた:
・ 5x105の新鮮に収穫した細胞はDENV-2ニューギアナC、M01 1.0で37℃2時間感染された。
・ 感染後、細胞は洗浄され、希釈化合物(50, 25, 5, 及び1μM)は2度加えられた。
・ 上清は2日後収穫され、イムノプラーク分析で滴定された。
【0093】
イムノプラーク分析
以下の実験は次のように行われた:
・ ベロ細胞は24ウェルプレートにウェル当たり1x105細胞で植えられ、一晩付着するのを許した。
・ 上清は1:100から始めて10倍に希釈された。
・ ベロ細胞は感染され、1時間37℃でインキュベートされた。
・ インキュベーション後、1 mlの0.8%メチルセルロースが、それぞれのウェルに加えられた。
・ 細胞は固定化され、プラークは4日後検出された。
・ インキュベーション終了後、重ね合わせは取り除かれ、細胞はメタノール/エタノールで固定化された。
・ 感染の焦点はDENV Eタンパクに対する抗体で検出され、HRP基質で染色された。
・ プラークは数えられ、EC50は4-PL曲線適合に基づいて計算された。
【0094】
サイトカインプロファイル
サイトカインプロファイルを決定するために、次の実験が行われた。
【0095】
MSD
以下のことは次のようにしてMSDに対する実験を特徴付ける:
・ 樹状細胞由来の上清は1:5及び1:50に希釈され、MSD human proinflammatory kit 1 platesを用いてIFN-γ, IL-10, IL-2, Iβ L-4, IL-6, IL-8, IL-10, IL-12p70, IL-13 及び TNF-αのレベルが分析された。
・ データはEquivirの濃度に対してプロットされた。
【0096】
DCs中のサイトカインプロファイルは
図12中のグラフで示される。
Equivirを含む本化合物はインフルエンザ、デングウイルス及びエボラを含むがそれらに限定されない炎症性疾患を治療する効力の観点から強化された特性を有することが実験及び実施例を含む次の開示から見てここではっきりとするだろう。
本化合物のこの強化された特性はこれまでに知られたフラボノイドを含むこれまでに知られた化合物と相関する。
【0097】
実施例4:エボラウイルススクリーニング分析
次の実験はエボラの治療での効力を実証している。
【0098】
これらの実験の目的は(1)Global Research及びDiscovery Group化合物の、Equivirの、HepG2及びTHP-1細胞におけるエボラウイルス(EBOV)に対して抗ウイルス効果、細胞毒性、及びサイトカイン反応への効果を評価することである。
【0099】
Equivirは可溶化前ストックとして調製された。可溶化ストックは分析の日まで4℃で保存された。ストックは、分析設定の日に室温に解凍され、分析に使われる希釈作業薬を産み出すのに用いられた。化合物は4つの異なる試験濃度(50μM、25μM、5μM、2μM)を用いた分析で評価された。EBOV阻害剤T-705は5つの追加の連続的なハーフlog希釈(濃度範囲=1.26μMから400μM)で400μM高-試験濃度を用いたポジティブコントロールとして使われた。
【0100】
産出抑制試験によるEBOV抗ウイルス実験の記載
産出抑制試験のために、HepG2及びTHP-1細胞は10%のウシ胎仔血清アルブミン(FBS)を有する改変イーグル培地(MEM)中に維持され、1X GlutaMaxが24ウェルプレート中に置かれた。コンフルエントな単層は0.1のMOIでEBOVに、15分ごとに揺らしながら37℃で1時間感染させられた。感染後、ウイルスを含む培地は取り除かれ、プレートは残ったウイルスを取り除くためにPBSで3度洗浄された。洗浄後、試験製品は4つの濃度で2つずつ培地中に加えられ、プレートは37℃で72時間インキュベートされた。培地は感染後0,36及び72時間で、ウイルスRNA標準と比較して同等のEBOVのゲノムを決定するためのリアルタイムRT-PCRによる評価のために集められた。加えて、サイトカイン反応への効果は、ProcartaPlex immunoassay kit (cat. no. EPX180-12165-901, eBioscience, San Diego, CA)を用いて評価された。EBOV阻害剤T-705はポジティブコントロールとして使われ、培地のみのネガティブコントロール(ウイルス無し)及びウイルスのみのコントロール(化合物無し)が含められた。
【0101】
細胞の調製
HepG2及びTHP-1細胞はATCCから得られ、供給者によって提供された仕様に基づいた通常の組織培養技術を用いて、T-75フラスコ中で日常的に継代された。実験の前日に、それらが感染の時に対数増殖期であることを保証する為に細胞は1:2に分けられた。総細胞数及び生存パーセントの決定はメマサイトメーター及びトリパンブルー除外を用いて行われた。細胞生存は、分析に使用される細胞に対して95%よりも大きいものでなければならない。産出抑制試験のために、細胞は24ウェルプレートで100μlの量で加えられた。細胞毒性分析のために、細胞は分析の前日に、96ウェルプレートに100μlの量で加えられた。
【0102】
ウイルスの調製
この分析のために用いたウイルスはZaire ebolavirus strain 199510621である。それぞれの分析で、滴定前のウイルスのアリコートはフリーザー(-80℃)から移され、BSL-4実験室中の生物学上の安全キャビネット中で室温へゆっくりと解凍された。ウイルスは組織培養培地で希釈され、100lit がそれぞれのウェルに加えられた(およそ0.1のMOI)。
【0103】
細胞毒性分析
試験製品は細胞に4つの濃度で4つずつ加えられ、プレートは37℃で36及び/又は72時間インキュベートされた。毒プレートは細胞コントロールウェル(細胞のみ)および薬比色分析コントロールウェル(薬のみ)もまた含む。分析終了で、分析プレートは細胞生存を測定するため、及び化合物の有毒性を定量化するために可溶性テトラゾリウム-基準色素MTS(CellTiterR96 Reagent, Promega)で染色された。MTSは、代謝活性細胞のミトコンドリアの酵素によって代謝され可溶性フォルマザン産物を産み出し、細胞生存及び化合物の細胞毒性の素早い定量分析を可能にする。この試薬は使用前の調製を必要としない安定な単一溶液である。分析の終了で、10~25μlのMTS試薬がウェル毎に加えられ(容量に基づき終濃度を10%にした)、次いでマイクロタイタープレートは細胞の生存を評価するために、37℃、5%CO2で4~6時間インキュベートされた。粘着プレートシールが蓋の代わりに用いられ、シールされたプレートは可溶性フォルマザン産物を混合するために何度かひっくり返され、プレートはMolecular Devices SpectraMax i3 プレートリーダーを用いて490/650nmで分光光度法で読まれた。
【0104】
サイトカイン分析
サイトカイン反応への効果は、製造業者の取扱説明書に従って、ProcartaPlex immunoassay kit(cat. no. EPX180-12165-901, eBioscience, San Diego, CA) を用いて評価された。この分析は次の抗原を検出する:IL-12, IL-23, IL-27, GM-CSF, IFN γ, IL-1β, IL-10, IL-13, IL-17A, IL-18, IL-2, IL-21, IL-22, IL-4, IL-5, IL-6, IL-9,及びTNFα。化合物のないコントロール(ウイルスのみ)及び培地のみ(ウイルスなし)コントロールが比較の為の分析に含まれた。分析はLuminex 機器で読まれ、その結果はProcartaPlex Analyst Software 1.0を用いて分析された。
【0105】
結果
行われた実験からの結果の要約は下記の表10及び11並びに
図13~22に示されたデータで提供される。
【0106】
EquivirはTHP-1細胞において感染後0時間及びHepG2細胞において感染後72時間のEBOVに対して最も抗ウイルス活性を示した。全体として、化合物はHepG2又はTHP-1細胞に毒性がなかった。T-705コントロールはHepG2細胞で期待したように働いたが、しかしTHP-1細胞では活性がなかった。評価したサイトカインのほとんどは分析の定量化の下限値を下回っており、それゆえ結果の解釈は決定的ではなかった。
【表10】
【表11】
【0107】
討論
EquivirはHepG2及びTHP-1細胞でのEBOVに対する抗ウイルス活性について評価された。これらの分析から得られた実験データ及びグラフの結果は
図13~22中に組み込まれる。Equivirは感染後0時間のTHP-1細胞及び感染後72時間のHepG2細胞中のEBOVに対して活性があった。EquivirはTHP-1細胞で早い時点で即時の抗ウイルス効果を持つが、しかしウイルスが複製されるにつれ効果は失われるようである。対照的に、EquivirはHepG2細胞でのEBOVに対して遅い時点で活性がある。この活性は両方の細胞株での評価された全ての濃度で観察された。概して、これらの結果はEquivirがEBOVに対して活性があるという証拠を提供する。これらの結果を確認し投薬反応を決めるために、更なる実験が完了されるべきである。
【0108】
全ての分析のパフォーマンスはコントロール化合物T-705について確認され、それはHepG2細胞を用いる分析で予期された水準の抗ウイルス活性を提示した。けれども、コントロール化合物はTHP-1細胞で予期されたのと同様の活性がなかった。THP-1細胞はこの分析のために用いられた標準の細胞株ではなく、これらの結果はさらなるコントロール化合物の最適化が必要とされることを示す。評価したほとんどのサイトカインは分析の定量の下限値以下であり、それゆえ結果の解釈は決定的ではなかった。
【0109】
当業者はここに開示された主題の教示から外れることなしに追加の実施態様もまた可能であることを認識するだろう。この詳細な記述、及び特に本明細書に開示された典型的な実施態様の特定の詳細は、主に明瞭な理解の為に与えられ、不必要ではない限定がそれから理解されなければならないし、修正に対しては本開示を読んで当業者に明らかになるであろうし、ここに開示された主題の精神及び範囲から逸脱することなく行われうる。