(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058856
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】断熱的コンデンサ間電荷輸送の容易化のためのインダクタを有するDC-DC変圧器
(51)【国際特許分類】
H02M 3/07 20060101AFI20220405BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20220405BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
H02M3/07
H02M3/155 H
H02M3/28 H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015291
(22)【出願日】2022-02-03
(62)【分割の表示】P 2017567039の分割
【原出願日】2016-03-11
(31)【優先権主張番号】62/132,934
(32)【優先日】2015-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】311000579
【氏名又は名称】ピーセミ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアーノ デイヴィッド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】断熱的コンデンサ間の電荷輸送を容易にする電力変換器を提供する。
【解決手段】第1の電圧V1を第2の電圧V2へと変換する電力変換10は、3端子チャージポンプ14と、電力変換器10により提供される電力を調整する第1のレギュレータ12と、3端子チャージポンプ14の端子に接続される磁気フィルタ24とを有する。磁気フィルタ24が接続される特定の端子は、3端子チャージポンプ14内の断熱的コンデンサ間の電荷輸送を容易にするように選択される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年3月13日に出願された、米国仮特許出願第62/132,934号明細書の優先日の利益を主張する。その内容は、本明細書に全体として組み込まれる。
【0002】
この開示は、電力変換に関し、特に、DC電力変換に関する。
【背景技術】
【0003】
知られている電力変換器は、チャージポンプと直列にレギュレータを配置することによって得られる。そのようなレギュレータの例は、何らかの切換デューティサイクル(switch duty cycle)に従い、インダクタを1つの状態へ、また第2の状態へと切り換えること
によって動作する。このレギュレータ中のインダクタは、2つの機能を実施する。一方は、変換器の出力電圧を制御することである。他方は、チャージポンプ内のコンデンサ間で、断熱的な電荷移動(adiabatic charge transfer)を促進することである。
【0004】
上の原理に従って動作する、知られている電力変換器は、その内容が全て全体として参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,860,396号明細書、米国特許第8,743,553号明細書、米国特許第8,503,203号明細書、米国特許第8,693,224号明細書、米国特許第8,339,184号明細書、米国特許第8,619,445号明細書、米国特許第8,723,491号明細書、及び米国特許第8,817,501号明細書に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8,860,396号明細書
【特許文献2】米国特許第8,743,553号明細書
【特許文献3】米国特許第8,503,203号明細書
【特許文献4】米国特許第8,693,224号明細書
【特許文献5】米国特許第8,339,184号明細書
【特許文献6】米国特許第8,619,445号明細書
【特許文献7】米国特許第8,723,491号明細書
【特許文献8】米国特許第8,817,501号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、レギュレータの、調整及び断熱的な電荷移動の促進という2つの機能は、異なる構成要素によって行えるという認識に基づく。
【0007】
本発明は、2つの機能を行うように常に使用されてきた構成要素の機能性を減少させること、及び構成要素がそれらの機能のうちの1つをもはや行えないように構成要素を再配置することを含む。新しい回路構成要素を追加して、以前には既存の構成要素が行っていた機能を行う。本発明は、こうして、従来技術で必要でなかった、追加構成要素を有するより複雑な回路に達した。
【0008】
本発明は、ダイ上に配置される必要がある構成要素の数を増加させることによって、回
路に必要なダイ面積も減少させる。
【0009】
チップ面積を減少させることに加えて、本明細書に記載される本発明は、電力変換器全体の性能におけるある種の穴もふさぎ、いっそう多くのチャージポンプ内の電圧変換を行うことを可能にし、電圧変換を最も効率的に成すことができる。
【0010】
一般的な態様では、電力変換器の1又は2以上の配置は、少なくとも、「電圧変換器」と、「磁気フィルタ」と、「電流レギュレータ」とを含む、セクションの相互接続の組合せからなり、これらの表示は、さらなる暗示的な意味を有さない。
【0011】
電力変換器は、「制御」対の端子とも呼ばれる、第1の対の端子及び第2の対の端子を含む端子を有する。少なくともいくつかの実施形態では、動作電力変換器が制御対の端子(controlled pair of terminals)間で測定される電圧を制御する。典型的には、電力変換器は、電源(例えば、調整されていない電圧源)から、「電力」対の端子( “powered” pair ofterminals)と呼ばれる第1の対の端子で電力を受け入れ、「負荷」対の端子(“load” pair of terminals)と呼ばれる第2の対の端子で(例えば、実質的に抵抗性負荷に)制御した電圧で電力を提供する。しかし、他の配置を使用できることを理解されたい。
【0012】
電圧変換器は、従来型の磁心交流「変圧器」と混同されるべきでなく、少なくとも3つの端子を有し、コンデンサの切換配置を備える。一般的に、電圧変換器中のスイッチの順次動作によって、電圧変換器の第1の対の端子と電圧変換器の第2の対の端子との間に、一般的に有理数倍により、電圧変換を引き起こす。一般的に、1対の端子は、他の対よりも高い電圧に関連する。これらの対の単位は、以降では、それぞれ「高電圧」対の端子(
“high voltage” pair ofterminals)及び「低電圧」対の端子(“low voltage” pair of terminals)と呼ばれる。
【0013】
スイッチの順次動作によって、電荷が電圧変換器のコンデンサ間で転送することを引き起こす。電荷移動の速度は、電圧変換器の端子のうちの少なくとも1つを通る電流によって制約される。この端子は、「電荷移動速度制約」端子(“charge transfer rate constraint”terminal)と呼ばれることになる。
【0014】
電圧変換器の少なくとも1つのコンデンサにおけるコンデンサ間の電荷移動の速度が、少なくとも一部の時間の間、例えば電荷移動速度制約端子における電流によって制約されるとき、電圧変換器は、「断熱的」(adiabatic)であると見なされる。少なくとも一部だ
が必ずしも全てではない電荷移動が制御される場合、電圧変換器は、「部分的に断熱的」(partially adiabatic)と称される。そうでない場合、電圧変換器は、「完全に断熱的」(fully adiabatic)である。
【0015】
磁気フィルタは、切換活動なしで回路経路に結合される2つの端子を備える。磁気フィルタは、磁気フィルタの、以降は「フィルタ端子」(filtered terminal(s))と呼ばれる端子のうちの少なくとも1つを通って流れる電流の変化に対抗し、一般的に、電力変換器の安定状態動作期間に、フィルタ端子を通る実質的に一定の電流を維持する。いくつかの例では、端子を連結する回路経路は、受動的なインダクタを含む。何らかの場合では、2つの端子間の経路がスイッチを必要としないために、動作期間に経路上に存在し得る最大電圧又は電流に適合するようにサイズ決定される、又は選択されるべき経路上のスイッチがない。
【0016】
電流レギュレータは、少なくとも2つの端子を有し、少なくとも1つのインダクタの切換配置を備える。一般的に、電流レギュレータの1又は2以上のスイッチの、制御された順次動作は、電流レギュレータの、以降では「制御端子」(controlled terminal)と呼ば
れる端子のうちの少なくとも1つを通る電流を制御する。一般的に、電流レギュレータは電流を調整することができるが、電流の調整は、出力電圧(例えば時間平均電圧)に基づく可能性があり、これは、電流レギュレータの1対の端子間、又は電力変換器内若しくは電力変換器のインターフェースにおける他の端子間で測定することができる。
【0017】
いくつかの実施形態の共通した特徴とは、電力変換器の電圧変換器、磁気フィルタ、及び電流レギュレータの配置が、磁気フィルタのフィルタ端子が電圧変換器の第1の端子に直接(すなわち、スイッチを介在することなく)結合され、この第1の端子が電荷移動制御端子であるような配置であるということである。好ましくは、電流の大きさは、電圧変換器の高電圧端子におけるよりも、低電圧端子において高いことが一般的に認められるので、磁気フィルタは、低電圧対の端子にそのように結合される。
【0018】
別の共通した特徴は、電流レギュレータの制御端子が、電圧変換器の(第1の端子と異なる)第2の端子に直接(すなわち、スイッチを介在することなく)結合されることである。第2の端子は、必ずというわけではないが、電圧変換器の電荷移動速度制御端子であってよい。
【0019】
いくつかの例では、電流レギュレータは、電圧変換器の複数の端子、又は電力変換器の複数の別個の電圧変換器セクションに結合される。他の例では、複数の電流レギュレータ又は複数の別個の制御端子を有する電流レギュレータが、電圧変換器の複数の端子、又は複数の別個の電圧変換器に結合される。
【0020】
電力変換器の動作では、電流レギュレータは、電力変換器の制御端子において、制御された電圧を達成するように制御される。
【0021】
電圧変換器、磁気フィルタ、及び電流レギュレータのいくつかの構成を、「直列」(series)、「シグマ」(sigma)、及び「疑似直列」(pseudo series)と呼ばれる(場合によっては重複する)クラスへとグループ化することができるが、これらの名前によって特定の属性を暗示することはない。
【0022】
直列クラスの構成は、電流レギュレータ、電圧変換器、及び磁気フィルタが、電力変換器の第1の対の端子と第2の対の端子との間で直列に接続される構成を含む。これらの構成の少なくとも一部では、磁気フィルタは、電力変換器の制御/負荷端子に結合され、電流レギュレータは、レギュレータの電力端子に結合される。これらの構成の少なくとも他のものでは、磁気フィルタは、電力変換器の電力端子に結合され、電流レギュレータは、電力変換器の制御端子に結合される。
【0023】
シグマクラス及び疑似直列クラスの構成は、電流レギュレータの1つの制御端子が電力変換器の制御端子に結合される構成を含む。電圧変換器は、磁気フィルタが電圧変換器の電荷移動速度制御端子から制御端子への経路を提供するように、磁気フィルタを介して電力変換器の同じ(又は、場合によっては異なる)制御端子にやはり結合される。シグマクラスの少なくとも一部の構成では、動作時に、電流レギュレータの制御が電圧変換器の第1の対又は第2の対の端子上の電圧に影響を及ぼすように、電流レギュレータの別の端子が電圧変換器に結合される。例えば電圧変換器の第1の対の端子のうちの一端子が、磁気フィルタを介して電流レギュレータの制御端子がやはり結合される、電力変換器の制御端子に結合される場合、電流レギュレータの別の端子が、電圧変換器の第2の対の端子のうちの一端子に結合される。
【0024】
シグマクラスの構成は、電圧変換器を通過することなく電流レギュレータを通過する、電力変換器の第1の対の端子のうちの一端子から電力変換器の第2の対の端子のうちの一
端子への経路が存在する構成を含む。
【0025】
疑似直列クラスの構成は、電圧変換器が、磁気フィルタを介するが電流レギュレータを介さずに通過する第1の経路を通ると共に、電流レギュレータを介するが磁気フィルタを介さずに通過する第2の経路を介して電力変換器の制御端子に結合される構成を含む。
【0026】
シグマクラス及び疑似並列クラスの少なくともいくつかの構成の利点は、電力変換器を通る電力の流れの一部が磁気フィルタを通るが、電流レギュレータを通らないことである。磁気フィルタは、磁気フィルタを通る電力の流れの経路上にスイッチを導入しないため、電力損失(例えばスイッチ中の抵抗性及び容量性損失)が減少し、電力変換器の全体的な効率が改善される。
【0027】
いずれかのクラスの少なくともいくつかの構成の利点は、電力変換器によりサポートされる端子電圧の組合せの数又は範囲を、閾値電圧未満の電圧分だけ異なる、電流レギュレータの端子の対間の電圧差についての制約によって影響を受ける他の構成と比較して、増加させることができることである。
【0028】
少なくともいくつかの構成の別の利点は、電圧変換器及び/又は電流レギュレータのスイッチの、電圧又は電流処理要件を、他の構成と比較して減少できることである。これらの減少した要件によって、電力変換器の一部又は全部の集積回路実装のサイズを減少できる、物理的により小さい半導体デバイスをもたらすことができる。
【0029】
一態様では、本発明は、電力変換のための装置を特徴とする。そのような装置は、チャージポンプと、電力変換器により提供される電力を調整する第1のレギュレータと、チャージポンプの端子に接続される磁気フィルタとを有する電力変換器を含む。磁気フィルタが接続される特定の端子は、チャージポンプ内の断熱的コンデンサ間電荷輸送を容易にするように選択される。
【0030】
実施形態としては、チャージポンプが第1の端子及び第2の端子を有するものがある。動作では、第1の端子が第1の電圧に維持され、第2の端子は、第1のものよりも低い第2の電圧に維持される。これらの実施形態では、磁気フィルタは、より低い電圧を有する端子である、第2の端子に接続される。
【0031】
他の実施形態では、第1のレギュレータは、電力変換器により提供される電力の第1の部分を奪取する(intercept)ように配設される。一方、チャージポンプは、電力変換器に
より提供される第2の部分の電力を奪取するように配設される。磁気フィルタも、第2の部分を奪取するように配設される。第2の部分は、第1の部分よりも、大きさが大きい。
【0032】
他の実施形態では、第1のレギュレータは、電力変換器により提供される電力の第1の部分を奪取するように配設される。一方、チャージポンプは、電力変換器により提供される第2の部分の電力を奪取するように配設される。磁気フィルタも、第2の部分を奪取するように配設される。第1の部分と第2の部分は、電力変換器の出力で組み合わされる。
【0033】
別の実施形態では、磁気フィルタと第1のレギュレータの両方が、電力変換器の出力に接続される。この実施形態では、第1のレギュレータは、第1の端子に接続される。第1の端子にやはり接続される接地端子を第1のレギュレータが含む実施形態も、これらの実施形態の中である。
【0034】
別の実施形態では、チャージポンプが、第1及び第2の電荷輸送経路を含む。これらの実施形態では、第1のレギュレータが第1の電荷輸送経路に接続され、磁気フィルタが第
2の電荷輸送経路に接続される。これらの中には、第2の電荷輸送経路が第1の電荷輸送経路よりも大きい電流を有する実施形態、及び第1の電荷輸送経路が第2の電荷輸送経路よりも大きい電流を有する実施形態がある。これらの中には、第2のレギュレータが存在する実施形態もあり、磁気フィルタは、第2のレギュレータの構成部分である。これらの実施形態の一部では、第1のレギュレータが第1のデューティサイクルで動作し、第2のレギュレータが第1のデューティサイクルと独立に制御される第2のデューティサイクルで動作する。
【0035】
いくつかの実施形態は、電力変換器の出力に基づいて、レギュレータの動作を制御するためのコントローラを含む。他のものは、レギュレータ又はチャージポンプのいずれかにクロック信号を提供するように構成されるクロックを含む。
【0036】
実施形態の中には、電力変換器の測定された出力に基づいて、電力変換器の動作を制御するように構成される制御システムを有する実施形態もある。これらの中には、レギュレータを制御するためのコントローラを有するもの、チャージポンプを制御するためのコントローラを有するもの、両方を有するもの、クロック信号を受け取ることができるクロック信号入力を有するもの、コントローラがデジタル入力を有するもの、コントローラがアナログ入力を有するもの、及び上記の任意の組合せがある。
【0037】
様々なチャージポンプ及びレギュレータを使用することができる。例えば実施形態の中には、多相チャージポンプ(multi-phasecharge pump)を有するもの、単相チャージポン
プ(single-phase charge pump)を有するもの、マルチステージチャージポンプ(multi-stage charge pump)を有するもの、2相チャージポンプ(two-phasecharge pump)を有するもの、共振電力変換器(resonant power converter)を有するもの、スイッチモード電力変換器(switch mode power converter)を有するもの、バックコンバータ(buckconverter)を
有するもの、双方向レギュレータ(bidirectional regulator)を有するもの、及び多相レ
ギュレータ(multi-phase regulator)を有するものがある。
【0038】
いくつかの実施形態では、チャージポンプは、スイッチの組によって相互接続されたコンデンサを備える。動作期間に、第1の組のスイッチは、第2の組のスイッチに対して状態が反対である。
【0039】
いくつかの実施形態では、チャージポンプは、再構成可能なチャージポンプである。これらの中には、レギュレータが、チャージポンプの再構成期間に、第1の電圧を提供することから第2の電圧を提供することへ移行するように構成される実施形態がある。
【0040】
別の態様では、本発明は、電力変換のための装置を特徴とする。そのような装置は、チャージポンプと、電力変換器により提供される電力を調整する第1のレギュレータと、チャージポンプの端子に接続される磁気フィルタとを有する電力変換器を含む。磁気フィルタが接続される特定の端子は、チャージポンプ内のコンデンサ間電荷輸送における制約を引き起こすことを容易にするように選択される。
【0041】
別の態様では、本発明は、コンピュータシステム上で実行可能なプログラムによって作動されるべきデータ構造を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を特徴としており、そのようなプログラムによって作動されると、データ構造が、データ構造により記載される回路を含む集積回路を製造するためのプロセスの少なくとも部分を生じさせ、データ構造により記載される回路が、チャージポンプと、電力変換器により提供される電力を調整するように構成される第1のレギュレータと、前記チャージポンプの端子に接続され前記チャージポンプ内の断熱的コンデンサ間電荷輸送を容易にするように選択される磁気フィルタとを備える電力変換器で使用されるように構成されるスイッチングネットワークを含む
。
【0042】
本発明のこれら及び他の特徴は、以下の詳細な説明及び添付図面から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図2】
図1に示されるもののような電力変換器で使用するためのスイッチトキャパシタ(switched-capacitor)チャージポンプを示す図である。
【
図3A】
図2のチャージポンプがその様々な状態を通って移行するときに形成され、また形成されない様々なキャパシタネットワークに接続する端子を示す図である。
【
図3B】
図2のチャージポンプのための、スイッチの第1の構成に対応する第1のキャパシタネットワークを示す図である。
【
図3C】
図2のチャージポンプのための、スイッチの第2の構成に対応する第2のキャパシタネットワークを示す図である。
【
図4】
図2の4端子チャージポンプを示すブロック図である。
【
図5】
図3Aの3端子チャージポンプを示すブロック図である。
【
図6A】
図1に示されるもののような電力変換器で使用することができる典型的なレギュレータの構成要素を示す図である。
【
図6B-6D】
図1に示されるもののような電力変換器で使用するための代替レギュレータを示す図である。
【
図7A-7B】
図1の実施形態で使用できる磁気フィルタを示す図である。
【
図8】チャージポンプの不作動時間の間に、行き場のない、磁気フィルタ中の電流を導通させるためにダイオードが使用される実施形態を示す図である。
【
図9】
図1の電力変換器であるが、並列チャージポンプと並列磁気フィルタとを有する電力変換器を示す図である。
【
図10】
図9の電力変換器であるが、磁気フィルタが共通インダクタを共有する電力変換器を示す図である。
【
図11】
図1の電力変換器であるが、レギュレータが共通インダクタを共有するスイッチを有する電力変換器を示す図である。
【
図12】
図1に示されるものと同様であるが、4端子チャージポンプを有する実施形態を示す図である。
【
図13】電力変換器を通る分岐した電力経路を有する実施形態を示す図である。
【
図14A】レギュレータに与えられる電圧がチャージポンプに与えられるものの2倍であるように入力電圧が分割された、
図13の分岐した電力経路を実装する回路を示す図である。
【
図14B】レギュレータに与えられる電圧がチャージポンプに与えられるものの半分であるように入力電圧が分割された、
図13の分岐した電力経路を実装する回路を示す図である。
【
図15A】電力変換器を通る分岐した電力経路を有する別の実施形態を示す図である。
【
図16A】
図15Aに示されるアーキテクチャで使用するのに適した分離したチャージポンプを示す図である。
【
図16B】
図16Aに示される分離したチャージポンプの単相実装形態を示す図である。
【
図16C】
図16Aに示される分離したチャージポンプの2相実装形態を示す図である。
【
図18A-18C】分岐した電力経路がチャージポンプを接地する回路トポロジを示す図である。
【
図19A-19C】チャージポンプの代わりに接地されるレギュレータ以外は
図18A~
図18C中のものと同様の回路トポロジを示す図である。
【
図21A】調整されたチャージポンプを示す図である。
【
図21B-21C】
図21Aの調整されたチャージポンプのためのスイッチ構成及びネットワーク状態を示す図である。
【
図22A】スイッチが省略されている
図21Aの調整されたチャージポンプを示す図である。
【
図22B】
図22Aの調整されたチャージポンプのためのスイッチ構成を示す図である。
【
図23A】安定化コンデンサを有する
図22Aの調整されたチャージポンプを示す図である。
【
図23B-23C】
図23Aの調整されたチャージポンプのためのスイッチ構成及びネットワーク状態を示す図である。
【
図24A】レギュレータの両方のスイッチが除去されている調整されたチャージポンプを示す図である。
【
図24B】
図24Aの調整されたチャージポンプのためのスイッチ構成を示す図である。
【
図25A-26B】
図24Aの調整されたチャージポンプのための、チャージポンプを動作させるために必要なただ3つの状態及び構成が存在する、追加のスイッチ構成及びネットワーク状態を示す図である。
【
図27B】
図27Aの調整されたチャージポンプのためのネットワーク状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
チャージポンプは、高電圧端子及び低電圧端子を有する。エネルギーの節約のために、高電圧端子はより小さい電流に関連し、一方低電圧端子はより大きい電流に関連する。レギュレータは、原理的に、いずれかの端部に配置することができる。
【0045】
しかし、レギュレータ中のインダクタが、チャージポンプ中の全てのコンデンサの断熱的充電に関与することを可能にするために、レギュレータが低電圧側に接続されることが重要である。この構成には、一方は物理的な点、他方は動作の点という、2つの欠点がある。
【0046】
物理的欠点は、チャージポンプの低電圧端子は、そこから多くの電流が流出するということから生じる。これは、レギュレータ内のスイッチが、非常に大きい電流に適合できなければならないことを意味する。これは、スイッチを実装するトランジスタを物理的により大きく作ることによって達成されることが最も多く、その結果、トランジスタ内の任意の点における電流密度がより小さくなることになる。残念ながら、このスイッチは極めて広いダイ面積を要し、より大きいダイを使用することが必要となる可能性がある。これが、製造費用並びに電力変換器のサイズを全体として増加させる。
【0047】
動作の点の欠点は、電圧変換を実行することにおいて、チャージポンプは、レギュレータよりも一般的により効率的であるということから生じる。レギュレータは、電圧を変換することもできるが、そうすることが特に効果的であるわけではない。レギュレータが優れているのは、電圧の微調整を実現して電流リップル(current ripple)を抑制することである。したがって、電力変換器が第1の電圧を第2の電圧へと変換することを求められる
とき、チャージポンプが電圧変換のできるだけ大部分を行い、レギュレータは電圧変換をできるだけ少なく成すことが好ましい。
【0048】
これを達成するのに影響を及ぼす2つの制約がある。第1の制約は、チャージポンプが特定の整数比n/mを中心として設計されることである。したがって、所与の入力電圧Vi
nについて、チャージポンプの出力電圧Voutは、Vin*(n/m)である。チャージポンプ
の特定の構成では、この比が固定される。レギュレータの機能には、電圧の目標値に達するのに必要な全体的な係数と、チャージポンプが寄与する係数(n/m)との間のギャップを
埋めることがある。
【0049】
知られている設計に生じる第2の制約は、最小電圧マージン(minimum voltage margin)がレギュレータの入力と出力との間に存在しなければならないことである。レギュレータがチャージポンプの低電圧端子に配置される場合、チャージポンプの出力における電圧と目標電圧が、この最小電圧マージンより小さい値だけ異なることがかなりあり得る。
【0050】
例えば所望の電力変換器出力が1.0ボルトであり、Vinが4.2ボルトである場合、低電圧出力において1.4ボルトを維持するために、m/n=3で設計されるチャージポン
プを使用することができる。これは目標電圧をわずかに超えるが、レギュレータが、1.4ボルトと所望の1.0ボルトとの間のギャップを埋めることが意図される。これは、必要な電圧変換の大きな部分を、より効率的なチャージポンプが行ったことになるために望ましい。
【0051】
しかし、この出力が例えば0.6ボルトの最小電圧マージンを必要とするレギュレータに提供される場合、レギュレータは1.0ボルトを出力できないことになる。これが、電力変換器の性能においてギャップとなる。
【0052】
もちろん、この問題は、代わりに、m/n=2で設計されるチャージポンプを使用すること
によって容易に解決することができる。これが行われる場合、チャージポンプの出力は、2.1ボルトとなり、0.6の電圧マージンを提供するのに十分となる。しかし、2.1ボルトを所望の1.0ボルトへと変換する仕事は、今度はレギュレータによって行われなければならず、レギュレータは、そうするのに特に効率的でない。
【0053】
図1に示される第1の実施形態では、電力変換器10が、第1の電圧V1を第2の電圧V2へと変換する。電力変換器10は、レギュレータ12と3端子チャージポンプ14とを直列に含む。3端子チャージポンプ14は、第1のCP端子16、第2のCP端子18、及び第3のCP端子17を有する。
【0054】
レギュレータ制御出力132に接続されるレギュレータコントローラ13は、第2の電圧V2に接続されるフィードバック線144からのフィードバックに少なくとも部分的に基づいて、レギュレータ12の切換活動を制御する。しかし、レギュレータコントローラ13は、フィードフォワード線141、第1の中間フィードバック線142、及び第2の中間フィードバック線143などの他の入力に依拠することができる。レギュレータ制御入力131は、デジタル入力又はアナログ入力であってよいが、レギュレータ12の動作のための設定点を入力することを可能にする。
【0055】
一方、チャージポンプ制御出力152に接続されるチャージポンプコントローラ15は、3端子チャージポンプ14の切換活動を制御する。チャージポンプ制御入力151は、デジタル入力又はアナログ入力であってよいが、3端子チャージポンプ14の動作のための設定点を入力することを可能にする。
【0056】
電力変換器10は、チャージポンプコントローラ15とレギュレータコントローラ13の両方に接続されるクロック145をさらに含み、スイッチを、確実に正しい時間に同期して開閉させる。
【0057】
分かりやすくするために、レギュレータコントローラ13、チャージポンプコントローラ15、及びクロック145は、ある種の図からは省略されている。しかし、暗黙のうちに常にそれらは存在していると理解される。
【0058】
3端子チャージポンプ14の動作期間に、レギュレータ12は、第1のCP端子16を高電圧に維持するが、小電流にそれを通過させる。第2のCP端子18は、3端子チャージポンプ14の活動によって、比較的低電圧に維持される。第1のCP端子16と第2のCP端子18の両方は、第3のCP端子17において、共通の接地基準を共有する。
【0059】
特に、第1のCP端子16における入力電圧Vhでは、第2のCP端子18における電圧は、Vh*(m/n)であり、ここでm/nは、特定のチャージポンプの規定電圧変換比である。
しかし、第2のCP端子18では、やはり、より大きい電流にそれを通過させる。理想的な場合では、損失が生じることなく、3端子チャージポンプ14に入る電力は、3端子チャージポンプ14を出る電力に等しくなければならない。これは、第2のCP端子18における大電流と低電圧の積が、第1のCP端子16における高電圧と低電流の積に等しくなければならないことを意味する。
【0060】
3端子チャージポンプ14は、ラダー型、ディクソン型、直並列型、フィボナッチ型、及びダブラ型などの多くの異なるチャージポンプトポロジを使用して実装することができる。これらのトポロジのいくつかは、第1のCP端子16に関連する接地基準と第2のCP端子18に関連する設置基準とが異なり、4端子を有する4端子チャージポンプ74をもたらすように構成する場合がある。
【0061】
図2は、カスケード乗算器(cascade multiplier)としても知られているディクソン型チャージポンプ(Dickson charge pump)の2相変形形態(two-phasevariant)である、4端子チャージポンプ74を図示する。第1のCP端子16及び第2のCP端子18に加えて、4端子チャージポンプ74は、第4のCP端子116及び第5のCP端子118も含む。3端子チャージポンプ14の場合とは異なり、4端子チャージポンプ74中の第1のCP端子16と第2のCP端子18は、共通の接地基準を共有しない。その代わり、第1のCP端子16は、それ自体の接地基準を第4のCP端子116に有し、第2のCP端子18は、それ自体の接地基準を第5のCP端子118に有する。
【0062】
4端子チャージポンプ74は、第1の状態と第2の状態との間の移行を生じさせるスイッチングネットワークを特徴とする。4端子チャージポンプ74の内側のスイッチトキャパシタネットワーク21は、これらのスイッチのどれが開でありどれが閉であるかに応じて、第1の状態と第2の状態との間で交番する。第1のスイッチ構成は、スイッチトキャパシタネットワーク21を、第1の状態から第2の状態に移行させる。第2のスイッチ構成は、スイッチトキャパシタネットワーク21を、第2の状態から第1の状態に移行させる。スイッチがスイッチトキャパシタネットワーク21をこれらの状態間で切り換えさせることの結果として、電荷ポンピング活動が生じる。
【0063】
動作中、異なる量の電流が、異なるスイッチを通って流れることになる。したがって、スイッチを通って流れる電流に適した様式でスイッチをサイズ決定するのが有用である。例えば第2のCP端子18及び第5のCP端子118に接続されるスイッチは、
図2中の他のスイッチよりも大きい電流を伝える。これらのスイッチを他のスイッチよりも大きく作ることによって、不必要に大きいスイッチを有する必要を回避し、したがって、より小
さい回路面積となる。これによって、スイッチのサイズに比例する、不必要な追加の容量性損失も回避する。
【0064】
図3Aは、4端子チャージポンプ74のスイッチトキャパシタネットワーク21に接続する端子を示す。4端子チャージポンプ74は、その各々が異なるキャパシタネットワークである状態間で常時移行する。以降の議論では、
図2に示されるスイッチトキャパシタネットワーク21は、一方の状態又は他方でのみ示されることになる。結果として、もはや、
図2に示される多数のスイッチを示す必要がない。
【0065】
もちろん、ムービー(movie)を規定する1つのフレームを識別するのが可能でないのと
同様に、1つの状態が4端子チャージポンプ74を実際に規定すると言うことはできない。これを認めて、スイッチトキャパシタネットワーク21は、
図3Aでは空白のスクリーンとして示される。第1の状態21A又は第2の状態21Bのいずれかが、空白のスクリーンへと投影されることになる。
図3Aに存在する実際のスイッチトキャパシタネットワークは、正確に、いつそれを見るのかに依存することになる。スイッチトキャパシタネットワーク21は、ときには、
図3Bに示されるように、その第1の状態21Aとなり、スイッチトキャパシタネットワーク21は、ときには、
図3Cに示されるように、その第2の状態21Bとなる。
【0066】
第1の状態21Aと第2の状態21Bは、本質的に対称である。トポロジは同一であるように見えるが、
図3Bと
図3Cを精密に考察すると、コンデンサは、切り換えた位置を有することが明らかになる。この切り換えた位置は、
図2に示されたスイッチが達成するものである。
【0067】
図4に示される4端子チャージポンプ74では、3つの内部的な電荷輸送経路がある。第5のCP端子118と第2のCP端子18との間の第1の電荷輸送経路は、第1の電流i
Pを伝える。この第1の電荷輸送経路は、最大電流を伝える。第1のCP端子16と第2のCP端子18との間の第2の電荷輸送経路は、第2の電流i
Hを伝える。第5のCP端子118と第4のCP端子116との間の第3の電荷輸送経路は、第3の電流i
Lを伝える。第2のCP端子18において存在する電流は、したがって、和(i
P+i
H)である。こ
れは、N*i
Hにほぼ等しく、ここで、Nはスイッチトキャパシタネットワーク21のトポロジに依存する。この実施形態では、接地は、完全には分離されていない。というのは、それらの間に電荷輸送経路が存在するからである。
【0068】
3端子チャージポンプ14は、第4のCP端子116を第2のCP端子18に短絡し、第5のCP端子118を3端子チャージポンプ14の第3のCP端子17に短絡することによって、4端子チャージポンプ74から作ることができる。結果として得られるチャージポンプのブロック図が
図5に示される。
【0069】
図5から、3端子チャージポンプ14内に、2つの内部的な電荷輸送経路があることが明らかである。第3のCP端子17と第2のCP端子18との間の第1の電荷輸送経路が、第1の電流i
P+i
Lを伝える。この第1の電荷輸送経路は、最大電流を伝える。第1のC
P端子16と第2のCP端子18との間の第2の電荷輸送経路は、第2の電流i
Hを伝える。第2のCP端子18において存在する電流は、したがって、和(i
P+i
H+i
L)である。これは、(N+1)i
Hにほぼ等しく、ここで、Nはスイッチトキャパシタネットワーク21のト
ポロジに依存する。
【0070】
図1に示される実施形態では、レギュレータ12は、変換されるべき第1の電圧V1と、3端子チャージポンプ14の第1のCP端子16との間に配置される。これは、3端子チャージポンプ14中のコンデンサ間の、断熱的コンデンサ間電荷輸送を促進するレギュ
レータの能力を妨げる。この能力を改善するために、レギュレータ12を第2のCP端子18に接続することが好ましい。
【0071】
第2のCP端子18にレギュレータ12を配置することの望ましさは、
図3B~
図3Cから明らかである。ネットワークトポロジを考察すると、第2のCP端子18に結合されるインダクタが、スイッチトキャパシタネットワーク21中の全てのコンデンサに結合されることが明らかになる。したがって、全ての3つの電荷輸送経路に同時に影響を与えることが可能となる。対照的に、第1のCP端子16に結合されるインダクタは、第1のCP端子16と第2のCP端子18との間の第2の電荷輸送経路に影響を与えることだけが可能となる。より悪いことには、第2の電荷輸送経路は、第5のCP端子118と第2のCP端子18との間の第1の電荷輸送経路とほぼ同じだけの電流を伝えない。したがって、損失を減らすため、第1の電荷輸送経路に影響を与えることがより重要である。
【0072】
図1に示される構成では、レギュレータ12は、部分的にじゃまをされている。レギュレータ12は、依然として、第2のCP端子18における電流を調整することができる。しかし、レギュレータ12は、断熱的コンデンサ間電荷輸送を促進する能力を失っている。
【0073】
しかし、レギュレータ12を、第2のCP端子18の代わりに第1のCP端子16に接続させるのは、その利点をなくしはしない。特に、第1のCP端子16において、ほんの小さい電流iHが、レギュレータ12を通して流れる。これは、レギュレータ12中の様々な構成要素を、第2のCP端子18に存在するより大きい電流(iH+iP)に適合するよう
にサイズ決定する必要がもはやないことを意味する。
【0074】
特に、
図6Aに示されるものなどの、レギュレータ12の通例の実施形態では、スイッチ20は、デューティサイクルに従って、インダクタ22を第1の状態及び第2の状態へと周期的に接続する。このスイッチ20は、最終的に、レギュレータ12を通過する電流の負担全部を担う。実際のスイッチ20は、半導体材料で実装されるので、スイッチ20が過熱する何らかのリスクがある。バルク材料中で生成される熱は抵抗率と電流密度の積であるので、半導体スイッチ20が大量の電流に適合できるように半導体スイッチ20の余分の加熱を減少させるための1つの方法は、単に、より広い面積の半導体材料にわたって電流を拡散し、電流密度を下げることである。しかし、これは、半導体ダイ上で非常に広い面積を要するスイッチ20をもたらす。
【0075】
多くの他のレギュレータ構成は、調整するために、インダクタを第1の状態と第2の状態とに周期的に接続するそのようなスイッチ20を有する。他の例が
図6B~
図6Dに示され、
図6Bではブーストコンバータ、
図6Cではブーストバックコンバータ、
図6Dではフライバックコンバータを特徴とする。これらのレギュレータはトポロジがいくぶん異なるが、それらは全て、インダクタ22(又は変圧器)を変調するスイッチ20を特徴とする。示されない他の好適なレギュレータとしては、フライバックコンバータ(Flyback converters)、疑似共振フライバックコンバータ(quasi-resonantFlyback converters)、
アクティブクランプフライバックコンバータ(active-clamp Flyback converters)、イン
ターリーブフライバックコンバータ(interleaved Flyback converters)、Cukコンバータ(Cuk converters)、SEPICコンバータ(SEPIC converters)、共振コンバータ(resonant converters)、マルチレベルコンバータ(multi-level converters)、フォワードコン
バータ(Forward converters)、2スイッチフォワードコンバータ(two-switch Forward converters)、アクティブクランプフォワードコンバータ(active-clamp Forward converters)、インターリーブフォワードコンバータ(interleaved Forward converters)、マルチ共振フォワードコンバータ(multi-Resonant Forward converters)、ハーフブリッジコンバ
ータ(Half-Bridge converters)、非対称ハーフブリッジコンバータ(asymmetric Half-Bri
dge converters)、マルチ共振ハーフブリッジコンバータ(multi-resonant Half-Bridge converters)、LLC共振ハーフブリッジコンバータ(LLC resonant Half-Bridge converters)、及びフルブリッジコンバータ(Full-Bridge converters)がある。
【0076】
図1に示されるように、レギュレータ12を第1のCP端子16に接続することの結果として、スイッチ20は、スイッチ20が第2のCP端子18に接続された場合に適合しなければならないものよりも小さい電流に適合する必要があるだけである。もちろん、スイッチ20は、第1のCP端子16における高電圧に適合するように設計される必要がある可能性がある。しかし、このトレードオフは、通常、ほとんどの設計で好都合である。
【0077】
レギュレータ12を第1のCP端子16に接続する別の利点は、インダクタ22が第2のCP端子18に接続された場合にインダクタ22が持つことになるのと同じ大きさのインダクタンスをインダクタ22が必要としないことである。これは、インダクタ22のDC抵抗値を減少させ、したがってインダクタ22を通る電流に関連するエネルギー損失を減少させる。
【0078】
レギュレータ12がどこに配置されるかに関係なく、断熱的コンデンサ間電荷輸送が望ましいままである。レギュレータ12内のインダクタ22はこの目的のためにもはや利用できないため、別の構成要素を電力変換器10に追加する必要がある。これは、構成要素数の増加と、その結果得られる回路の複雑さの増加をもたらす。
【0079】
3端子チャージポンプ14内の断熱的コンデンサ間電荷輸送を促進するため、
図1中で図示される実施形態は、第2のCP端子18に接続される磁気フィルタ24を特徴とする。磁気フィルタ24は、3端子チャージポンプ14内の断熱的コンデンサ間電荷輸送を促進することになるインダクタを含む。
【0080】
図2に示されるスイッチは、何らかのスイッチング周波数で状態間を移行することになる。損失を減少させるため、チャージポンプ14は、そのスイッチング周波数で断熱的に動作することが望ましい。確実に事例となる1つの方法は、スイッチの抵抗値が非常に大きいので、スイッチング周波数よりも長くない場合にはコンデンサ間の電荷移動のRC時定数が同様であるように、スイッチの抵抗値を選択することである。残念ながら、これは抵抗性損失を増加させる。磁気フィルタ24は、かなりの再分布損失を招くことなく、スイッチの抵抗値を減少させること、したがって断熱的に動作することを可能にする。したがって、スイッチは、再分布損失を心配することなく、最高効率用に最適にサイズ決定することができる。各スイッチについての最適サイズは、所与のスイッチング周波数及び所与の電流で、各スイッチ中で抵抗性及び容量性損失を分散させることによって選択される。
【0081】
レギュレータ12を第1のCP端子16に接続するさらに別の利点は、ある種の動的に再構成可能なチャージポンプで生じる。
【0082】
いくつかの場合では、
図1に示される第1の電圧V1が、かなり変動することがあり得る。例えば、レギュレータ12にかかる電圧が正しい動作をするには不十分となるだけ電圧が落ちるときがある場合がある。これは、3端子チャージポンプ14の電圧変換比を減らし、したがって、レギュレータ12が機能するのに十分な余分な電圧を提供することを要求する。そのような動的な再構成は、米国特許第8,817,501号明細書に記載されるものなどのチャージポンプを使用して行うことができる。
【0083】
チャージポンプが新しい構成であるとき、チャージポンプ中のコンデンサにかかる電圧は、新しい構成に好適であるように変わらなければならない場合がある。この変化は、迅
速に起こらなければならないことが多い。コンデンサの電圧の迅速な変化は、非常に大きい電流を必要とする。
【0084】
いくつかのチャージポンプでは、コンデンサの電圧は、第2のCP端子18に存在するものによって設定される。そのような構成の例が
図3A~
図3Cに示されるものであり、コンデンサにかかる電圧は、第2のCP端子18と第3のCP端子17との間の電圧の関数であることが明らかである。これらのチャージポンプ構成では、動的な再構成によって、チャージポンプがその新しい構成で動作し始めると、かなりの電流を第1のCP端子16を通して引き込む場合がある。
【0085】
図1に図示されるように3端子チャージポンプ14の前にレギュレータ12を配置すること、及びレギュレータ12の動作を3端子チャージポンプ14の動的な再構成と注意深く同期させることによって、この擾乱を回避することができる。特に、3端子チャージポンプ14が古い構成である間、レギュレータ12は、第1のCP端子16を介して3端子チャージポンプ14に第1の中間電圧を供給する。次いで、再構成が実際に起こっている短い間隔の間、レギュレータ12は、第1の中間電圧を提供する代わりに、チャージポンプの新しい構成にとってより好適な第2の中間電圧を提供するように、迅速に調整される。動的な再構成が完了すると、3端子チャージポンプ14は動作を再開する。しかし、この時までに、レギュレータ12は、準備が既にできており、第1のCP端子16において正しい第2の中間電圧を3端子チャージポンプ14に供給するのを待っている。
【0086】
磁気フィルタ24は、多くの異なる方法で作成することができる。
図7Aは、第1のインダクタ26を特徴とする、及びコンデンサ28を特徴としていてもよい、磁気フィルタ24の一実装形態を示す。
【0087】
図7Bは、第1のインダクタ26及びコンデンサ28に加えて第2のインダクタ27を特徴とする代替の磁気フィルタ24を示す。磁気フィルタ24のこの実施形態は、3次ローパスフィルタであり、したがって、高い周波数を減衰させる点で、
図7A中の磁気フィルタ24よりも効果的である。
【0088】
チャージポンプは、1又は2以上のスイッチを常時開閉している。特にインダクタが回路中に存在すると、スイッチが開にされるときはいつでも、回路中を流れる電流がどこか行き先を有することが重要である。さもなければ、電流がスイッチを損傷する可能性がある。
【0089】
チャージポンプ(例えば、3端子チャージポンプ14)の第1の状態と第2の状態との間に、スイッチトキャパシタネットワーク21中のスイッチの全てが開である、不作動時間間隔がある。原理的には必要でないが、スイッチが瞬間的には移行しないので、この不作動時間間隔は、現実的に必要である。したがって、同時にスイッチを閉にするという望ましくない結果を回避するためにマージンを設けることが必要である。
【0090】
好ましい実施形態では、電力変換器10中の第2のCP端子18に接続される磁気フィルタ24は、さもなければ3端子チャージポンプ14の不作動時間の間に場所がないことになる電流を安全に分流するための回路要素を含むように修正される。
図8に示される1つのそのような実施形態では、そのような電流を導くために分流ダイオード29が使用される。或いは、スイッチトキャパシタネットワーク21中の不作動時間間隔がそれほど長く続かない場合、その間隔の間に過剰な電荷を一時的に格納し、スイッチが正しく再接続されると過剰な電荷を解放するように、分流コンデンサを接地に対して接続することができる。いくつかの場合では、分流コンデンサが必要でないときに回路から切断することができるように、分流コンデンサと直列にスイッチが配置される。これは、分流コンデンサ
が回路動作に干渉するのを回避する。
【0091】
図9は、調整回路12の出力が複数の3端子チャージポンプ14に並列に接続する、
図1中の電力変換器10の変形形態を示す。各3端子チャージポンプ14は、その第2のCP端子18に対応する磁気フィルタ24を有する。各磁気フィルタ24の出力は、次いで、電力変換器10の第2の電圧V2である、共通ノードで組み合わされる。
【0092】
図10は、磁気フィルタ24が結合されたインダクタ26を使用して構築される、
図9中の実施形態の変形形態を示す。結合されたインダクタ26は、2つの巻線が共通のコアを共有することによって構築される。
【0093】
図10に示されるような結合されたインダクタのアイデアを、レギュレータ12で使用することもできる。これは
図11に示されており、
図11では、
図6Aに示されるものなどのレギュレータ12を展開して、2つのスイッチ20によって共有される結合されたインダクタ22を明らかにしている。
【0094】
図12は、さらに別の実施形態を図示しており、
図12では、レギュレータ12、4端子チャージポンプ74、及び磁気フィルタ24が直列に接続される。しかし、
図1中の実施形態とは異なり、4端子チャージポンプ74が3端子チャージポンプ14の代わりに使用される。この4端子チャージポンプ74は、
図1に示されるような3端子チャージポンプ14ではなく、4端子チャージポンプである。より多くの端子があるので、相互接続について、より多くの選択肢がある。例えば、示されている特定の例では、接地の向きの結果として、第1の電圧V1と第2の電圧V2は反対の極性である。これは、追加ステージ(例えば極性反転ステージ)を持つことなく、入力電圧の極性を変える簡単な方法を提供する。
【0095】
ここまで議論した実施形態では、電力変換器10を通過する全電力は、レギュレータ12と3端子チャージポンプ14の両方を通って流れる。しかし、ある種の実施形態では、電力の一部がレギュレータ12を完全にバイパスするように、電力変換器内で電力経路を分岐する。
【0096】
図13は、一方が他方よりも多くの電力を伝える、分岐した電力経路を達成する一実施形態を示す。
図13では、第1の電力経路30及び第2の電力経路32が電力変換器10を横断する。第2の電力経路32の太線は、それが2つの電力のうちのより多くを伝えることを示す。逆に、第1の電力経路30の細線は、それが2つの電力のうちのより少ない量を伝えることを示す。
【0097】
第2の電力経路32は、3端子チャージポンプ14を通る電力を伝える。一方、第1の電力経路30は、レギュレータ12を通過し、プロセス中の3端子チャージポンプ14をバイパスする。3端子チャージポンプ14は、電圧変換を実行する点でより効率的であるため、電力のほとんどが第2の電力経路32を使用することが望ましい。
【0098】
分岐した電力経路に対するさらなる利点は、レギュレータ12を使用して、3端子チャージポンプ14の第1のCP端子16と第3のCP端子17との間の電圧差に、付加的なオフセットを提供できることである。結果として、電力変換器10の出力における電圧を制御するのに利用可能な、追加の自由度が存在することになる。これは、より大きいフレキシビリティをもたらし、したがって、電力変換器10が所望の出力電圧を提供することが可能でない電圧範囲がより狭くなる。
【0099】
図13中に示される実施形態では、レギュレータ12の出力83における電圧は、磁気
フィルタ24の出力38における電圧と同じである。これは、レギュレータ12の接地端子86を、3端子チャージポンプ14の第1のCP端子16に接続することによって達成される。
図1中で第1のCP端子16に接続されたレギュレータ12の出力83は、この場合、代わりに磁気フィルタ24の出力38に接続される。
【0100】
図14Aは、12ボルトの入力電圧を、負荷40で、1ボルトの出力へと変換する
図13の構成を使用する例示的な回路を示す。3端子チャージポンプ14の第1のCP端子16で4ボルトの入力が提供される。3端子チャージポンプ14は、4:1のチャージポンプであり、その第2のCP端子18で1ボルトを出力する。
【0101】
一方、残りの8ボルトは、レギュレータ12の入力端子81と接地端子86との間に与えられ、これが、レギュレータ12の出力83において、-3ボルトを与える。しかし、この-3ボルトは、3端子チャージポンプ14の接地と同じではないレギュレータ12の接地に対して測定される。レギュレータ12の接地端子86は3端子チャージポンプ14の第1のCP端子16に接続されるため、それも4ボルトとならなければならない。したがって、レギュレータ12の出力83で測定される電圧は、3端子チャージポンプ14の接地に対して測定されると、実際には1ボルト(すなわち、4-3)となる。結果として、レギュレータ12の出力83及び磁気フィルタ24の出力38における電圧は、それらがそうでなければならないように、負荷40において同じになることになる。
【0102】
図14Bは、12ボルトの入力電圧を、負荷40で、2ボルトの出力へと変換するために使用される
図14Aの回路を示す。
図14A中の回路と異なり、レギュレータ12に与えられる電圧は、逆にする代わりに、3端子チャージポンプ14に与えられる電圧の半分である。
【0103】
動作時に、3端子チャージポンプ14の第1のCP端子16に、8ボルトの入力が提供される。3端子チャージポンプ14は、4:1のチャージポンプであり、必要に応じて、その第2のCP端子18で2ボルトを出力する。
【0104】
一方、残りの4ボルトは、レギュレータ12の入力端子81と接地端子86との間に与えられ、これが、レギュレータ12の出力83に、-6ボルトを与える。しかし、この-6ボルトは、3端子チャージポンプ14の接地と同じではないレギュレータ12の接地に対して測定される。レギュレータ12の接地端子86は3端子チャージポンプ14の第1のCP端子16に接続されるため、それも8ボルトとならなければならない。したがって、レギュレータ12の出力83で測定される電圧は、3端子チャージポンプ14の接地に対して測定されると、実際には2ボルト(すなわち、8-6)となる。結果として、レギュレータ12の出力83及び磁気フィルタ24の出力38における電圧は、それらがそうでなければならないように、負荷40において同じになることになる。
【0105】
4端子チャージポンプ74などの分離したチャージポンプを用いると、全電力の単に一部がレギュレータ12を通過する、電力経路を分岐するための代替アーキテクチャを作ることが可能になる。
図15は、そのようなアーキテクチャを示す。
【0106】
図15Aを参照すると、第1の電力経路30は、第4のCP端子116で始まり、レギュレータ12の入力端子81に通じる。一方、第2の電力経路32は、第2のCP端子18で始まり、磁気フィルタ24に通じる。電力の大部分は、第2の電力経路32を通る。電力変換器10を通る全ての電力を伝える負担をレギュレータ12が担う必要がもはやないため、この構成は有利である。
図13の場合のように、レギュレータ12の出力83と磁気フィルタ24の出力38とは、負荷40が接続されることになる共通ノードにおいて、電力変換器10の第2の電圧V2で合流する。
【0107】
図15Bは、
図15Aに示される実施形態の具体化例(implementation)である。示される構成は、
図15Bでは、接地されるのがレギュレータであり、浮遊しているのがチャージポンプであることを除いて、
図14Bに示される構成と類似する。
【0108】
図15Aに示されるタイプの実施形態は、レギュレータ12と4端子チャージポンプ74が別個の接地を有することを必要とする。これは、4端子チャージポンプ74の完全に分離したバージョンを必要とし、その例は、
図16Aに示される。
【0109】
動作時に、
図16Aに示される4端子チャージポンプ74の完全に分離したバージョンは、第1の状態と第2の状態との間で移行する。第1の状態の期間に、第1のスイッチの組1の中のスイッチは開であり、第2のスイッチの組2の中のスイッチは閉である。第2の状態の期間に、第2のスイッチの組2の中のスイッチは開であり、第1のスイッチの組1の中のスイッチは閉である。
【0110】
4端子チャージポンプ74がその第1の状態であるとき、結合コンデンサCCは、第1のCP端子16と第4のCP端子116との間の電圧を維持するのに十分な電荷を格納する。この場合、チャージポンプ74がその第2の状態へと移行すると、結合コンデンサCcは、その維持した電圧を、4端子チャージポンプ74内に含有される3端子チャージポンプ14に与える。
【0111】
この方法は、任意のタイプのチャージポンプトポロジで動作し、その2つの例が、
図16B及び
図16Cに示される。
【0112】
特に、
図16Bは、
図3A~
図3C中のチャージポンプと同様の、カスケード乗算器タイプで使用する、
図16A中のチャージポンプ74のアーキテクチャを示し、差は、電圧変換比が異なり、位相の数が異なることである。
【0113】
図16Cは、
図16B中の4端子チャージポンプ74の2相バージョンである。
図16Bに示される実装形態とは対照的に、この実装形態は、常時入力電流を引き込むことができる。これによって、
図15B中の第1のDCコンデンサC
DC1、第2のDCコンデンサC
DC2のサイズを減少させることができる結果となる。
【0114】
図16B及び
図16Cに示される特定の実装形態は、同じスイッチの組に属し、直列であるスイッチでのスイッチ対を有する。例えば
図16B中の実施形態は、結合コンデンサC
cとポンプコンデンサC
1との間に1つのそのようなスイッチ対を有する。これらのスイッチ対の各々中のスイッチが第1のスイッチの組1に属するために、それらは常に一緒に開閉する。この場合、各スイッチ対中のスイッチをマージすることによって、追加のスイッチをなくすことが可能である。
図16C中の実施形態は、同様の位置に2つのそのようなスイッチ対を有するが、図ではマージされた。
【0115】
図17A~
図17Dは、
図15のアーキテクチャ用の、4つの可能な変形形態の構成を示す。これらは、磁気フィルタ24を使用するか全く使用しないか、もし使用されるなら、どのチャージポンプの端子が磁気フィルタ24に接続されるかが異なる。
【0116】
図17Aに示される第1の構成42では、レギュレータ12は、4端子チャージポンプ74の第2のCP端子18に接続され、一方、磁気フィルタ24は、4端子チャージポンプ74の第4のCP端子116に接続される。この構成にとっての好適なレギュレータは、ブーストコンバータである。
【0117】
図17Bに示される第2の構成44は、第1の構成42の反対である。この第2の構成44は、電流のほとんどが第2のCP端子18を通って流れるため、特に有利である。この場合、レギュレータ12は、より小さい電流の端子に配置され、したがって、既に議論されたようなそのような配置に関連する全ての利点がもたらされる。
【0118】
図17Cに示される第3の構成46は、磁気フィルタ24を全く不要にし、4端子チャージポンプ74の第2のCP端子18及び第4のCP端子116に接続されるレギュレータ12を単に有する。
【0119】
図17Dに示される第4の構成48は、磁気フィルタ24をやはり不要にするが、第2のCP端子18と第4のCP端子116とにおいて別個のレギュレータ12を使用する。この第4の構成は、各レギュレータ12のデューティサイクルを互いに独立に制御できるため、かなりのフレキシビリティを提供する。
【0120】
図17Cに示される第3の構成46では、第2の電圧V2に対する乗算制御だけが存在する。特に、第2の電圧V2は、第1の電圧V1と((N+1)/(D+1))との積により与えられ
、Nは4端子チャージポンプ74中のステージ数であり、Dはレギュレータ12のデューティサイクルであり、D=1は、恒久的に閉のスイッチに対応する。
【0121】
一方、
図17Aに示される第1の構成42及び
図17Bに示される第2の構成44は、第2の電圧V2に対し、加算と乗算の組合せ制御を提供する。
【0122】
特に、
図17Aに示される第1の構成42では、第2の電圧V2は、第1の電圧V1と(1+N/(1-D))との積により与えられる。
【0123】
図17Bに示される第2の構成44では、第2の電圧V2は、第1の電圧V1と(N+1/(1-D))との積により与えられる。これは、加算と乗算の制御が分離されるために、より大
きいフレキシビリティを提供する。
【0124】
図17Dに示される第4の構成48は、別の自由度が存在するため、制御により大きいフレキシビリティを提供する。第4の構成48では、第2の電圧V2は、第1の電圧V1と((1/(1-D2))+(N/(1-D1)))との積により与えられ、D1及びD2は、
図17Dに示され
る2つのレギュレータについてのデューティサイクルである。
【0125】
【0126】
図18A~
図18Cは、4端子チャージポンプ74がレギュレータ12の接地とは別個の接地を有する3つのトポロジを示す。「ダウン」及び「アップ」という用語は、電圧変換の方向を示す。したがって、「ダウン」により識別される回路要素は、その出力が回路要素の入力よりも低い電圧となることになる。対照的に、「アップ」により識別される回路要素は、その出力が回路要素の入力よりも高い電圧となることになる。
【0127】
図19A~
図19Cは、3端子チャージポンプ14ではなく、レギュレータ12が分離されているトポロジを示す。これらのトポロジは、フライバックコンバータなどの変圧器を組み込むレギュレータを必要とする。
図18A~
図18Cの場合でのように、レギュレータとチャージポンプは、縦列又は反対方向に動作することができる。
【0128】
図20は、
図1、
図12、
図13、及び
図15Aに示される実施形態を集約してまとめており、特に、本明細書に記載される概念の基本モジュール方式に注目している。本明細
書に記載される構成要素の3つの一般的なクラス、すなわち、レギュレータ12(分離されたバージョン又は分離されないバージョンが適用可能である)、4端子チャージポンプ74(分離されたバージョン又は分離されないバージョンが適用可能である)、及び磁気フィルタ24は、様々な技術目標を達成するため様々な方法でうまく組み合わせることができる。しかし、実施形態が共通に有するものは、3端子チャージポンプ14内で、調整する仕事を断熱的な電荷移動を促進する仕事から分割する能力である。
【0129】
本明細書に記載される回路トポロジは、こうして、低電圧大電流を有するチャージポンプの端子にレギュレータを接続させることに関連する大きいスイッチをなくすことを可能にする。その代わり、インダクタがレギュレータを置き換える。インダクタは、従来技術におけるレギュレータの機能の1つ、すなわち、チャージポンプ内で断熱的コンデンサ間電荷輸送を促進することを行うことができる。しかし、レギュレータをチャージポンプの低電圧の第2のCP端子18に固定したのは、まさにこの機能であった。レギュレータが第2のCP端子18に固定されたことによって、都合悪く位置決めされる場合があるデッドゾーンの導入、及びその位置で必要であった特大スイッチに対する多くのダイ空間を割り当てる必要を含む、非常に多くの技術的問題がもたらされた。チャージポンプの第2のCP端子18におけるその位置決めから自由にされたので、今や、レギュレータを、様々な他の位置に配置することができる。これは、次に、電力変換器の要件に基づいて動作のデッドゾーンの位置を調整することを、回路設計者に可能にする。それは、レギュレータにおいてより程よいサイズのスイッチを使用し、それによってかなりのダイ空間を節約するのを可能にすることももたらす。
【0130】
ここまで記載された一部の実施形態では、レギュレータ12は、3端子チャージポンプ14の第1のCP端子16に接続する。これは、より少ない電流がレギュレータ12中のスイッチ20を通って流れることを意味する。結果として、スイッチ20のサイズを減らすことが可能である。しかし、これらの実施形態は、依然として、ゼロよりも大きいスイッチサイズを有するという欠点を有する。
【0131】
ここまで記載された他の実施形態では、電力の大部分がレギュレータ12、したがってスイッチ20を完全にバイパスするように、電力経路が分岐される。この手法は、やはり、スイッチ20をより小さくすることを可能にする。しかし、この手法には、一部の電流が依然としてスイッチ20を通るという欠点がある。
【0132】
別の実施形態では、スイッチサイズはゼロに減らされ、問題を完全に効果的になくすが、レギュレータ12の調整機能をやめることはない。結果として得られる回路は、「調整されたチャージポンプ」と呼ばれ、3端子チャージポンプ14とレギュレータ12とに共通のスイッチの組を共有させることによって、スイッチ20に起因する損失を最小化し、3端子チャージポンプ14とレギュレータ12のいずれも電力変換器10を通過する全ての電流の負担全部を担持しない。
【0133】
第1の例として、
図21Aは、第1の調整されたチャージポンプ41を作るためにマージされているバックコンバータ12及び3端子チャージポンプ14を示す。第1の調整されたチャージポンプ41は、元はレギュレータ12の中にあったスイッチ20を依然として有する。このスイッチ20はかなりの電流を伝える。第1の調整されたチャージポンプ41の動作は、
図21B~
図21Cに示されるように、第1の組のスイッチ構成61を使用して、回路を、第1の組のネットワーク状態51を通して循環させることを含む。したがって、第1の調整されたチャージポンプ41の欠点は、スイッチ20が依然として存在することである。
【0134】
図22Aに示される第2の調整されたチャージポンプ42は、スイッチ20をなくす。
実際には、スイッチ20の機能性が、3端子チャージポンプ14へと組み込まれている。この第2の調整されたチャージポンプ42の動作は、同じ第1の組のネットワーク状態51を達成するが、
図22Bに示される、異なる第2の組のスイッチ構成62を使用することを含む。
【0135】
第2の調整されたチャージポンプ42の欠点は、全てのスイッチが同じ周波数で動かなければならないことである。これは、コンデンサ及びインダクタが異なるエネルギー密度を有する傾向があるために不都合な場合がある。しかし、電流が非常に大きい場合では、スイッチ20をなくすことに関連する利点がこの欠点を上回ることができる。
【0136】
第2の調整されたチャージポンプ42の別の欠点は、全体の回路が、潜在的に不安定発振器となる可能性があることである。不安定発振が起こる可能性を減少させるため、
図23Aに示される第3の調整されたチャージポンプ43は、安定化コンデンサ94及び安定化スイッチ96を導入する。少ない量の電流だけが安定化コンデンサ94へと流れなければならないために、安定化スイッチ96から生じる損失は最小である。この第3の調整されたチャージポンプ43の動作は、
図23B~
図23Cに示されるように、第3の組のスイッチ構成63を使用して第2の組のネットワーク状態53を通して循環することを含む。
【0137】
調整されたチャージポンプでは、ここまで、レギュレータ12の第1のスイッチ20がなくされたが、第2のスイッチは残っている。
図24Aに示される第4の調整されたチャージポンプ44では、このスイッチさえなくされる。結果として得られる回路は、本質的に、その出力端にLC回路98を有する3端子チャージポンプ14である。この第4の調整されたチャージポンプ44の動作は、それぞれ
図21B及び
図24Bに示されるように、第4の組のスイッチ構成64を使用して、第1の組のネットワーク状態51を通して循環することを含む。
【0138】
第4の調整されたチャージポンプ44は、4つの代わりに3つのネットワーク状態を通して循環することによって動作することもできる。これは、サイクル当たりのスイッチ移行がより少ないため、各スイッチ移行に関連する切換損失を減少させる。
図25A~
図26Bに示されるように、2つの代替形態は、第3の組のネットワーク状態58及び第4の組のネットワーク状態59によって表され、その各々は、4つの状態ではなく3つの状態、並びに対応する第5の組の3つのスイッチ構成68及び第6の組の3つのスイッチ構成69からなる。
【0139】
図24Aに示される第4の調整されたチャージポンプ44に関して使用されたレギュレータ12から両方のスイッチをなくすために使用された技法を使用して、
図27Aに示される第5の調整されたチャージポンプ45である2相バージョンを実装することができる。
【0140】
この第5の調整されたチャージポンプ45の動作は、それぞれ
図27B及び
図24Bに示されるように、第4の組のスイッチ構成64を使用して、第5の組のネットワーク状態55を通して循環することを含む。
【0141】
いくつかの実装形態では、コンピュータアクセス可能な記憶媒体は、変換器の1又は2以上の構成要素を表すデータベースを含む。例えばデータベースは、チャージポンプの低損失動作を促進するように最適化されたスイッチングネットワークを表すデータを含むことができる。
【0142】
一般的に言えば、コンピュータアクセス可能記憶媒体としては、コンピュータに命令及
び/又はデータを提供するために使用する間、コンピュータがアクセス可能な任意の非一時的記憶媒体が挙げられる。例えばコンピュータアクセス可能記憶媒体としては、磁気又は光学ディスク及び半導体メモリなどの記憶媒体が挙げられる。
【0143】
一般的に、システムを表すデータベースは、プログラムによって読み取られて、直接的又は間接的に、システムを備えるハードウェアを製造するために使用することができる、データベース又は他のデータ構造であってよい。例えばデータベースは、ベリログ又はVHDLなどの、高レベル設計言語(HDL)中のハードウェア機能性の、ビヘイビアレベル記述又はレジスタ転送レベル(RTL)記述であってよい。記述は、合成ライブラリからのゲートのリストを備えるネットリストを生成するための記述を合成することができる合成ツールによって読み取ることができる。ネットリストは、システムを備えるハードウェアの機能性をやはり表すゲートの組を備える。ネットリストは、次いで、マスクに適用される幾何形状を記載するデータセットを生成するように、配置及び経路指定することができる。マスクは、次いで、システムに対応する1又は2以上の半導体回路を生成するため、様々な半導体製造ステップで使用することができる。他の例では、代替的に、データベースは、それ自体が(合成ライブラリを備える又は備えない)ネットリスト又はデータセットである場合がある。
【0144】
本発明及びその好ましい実施形態を記載してきたが、新規であるとして特許請求され、特許証により保証されるものは以下である。