(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058888
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】テープ供給装置
(51)【国際特許分類】
B65H 23/022 20060101AFI20220405BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20220405BHJP
B65H 20/20 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B65H23/022
H05K13/02 B
B65H20/20
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015830
(22)【出願日】2022-02-03
(62)【分割の表示】P 2020522554の分割
【原出願日】2018-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓太
(72)【発明者】
【氏名】細井 規生
(57)【要約】
【課題】キャリアテープの幅方向へのずれや傾斜を防止すること。
【解決手段】テープ供給装置は、本体部材に回転可能に支持された、キャリアテープの送り穴に係合可能な歯を有するスプロケットと、本体部材に取り付けられた、スプロケットの歯が送り穴に係合する係合状態においてキャリアテープの下面に対向してキャリアテープの下面を支持する下壁部と、キャリアテープの搬送方向に離間して配置されてそれぞれ下壁部よりも上方に突出し係合状態のキャリアテープの一側面に対向する複数の突出部と、を有する支持プレートと、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部材に回転可能に支持された、キャリアテープの送り穴に係合可能な歯を有するスプロケットと、
前記本体部材に取り付けられた、前記スプロケットの前記歯が前記送り穴に係合する係合状態において前記キャリアテープの下面に対向して前記キャリアテープの下面を支持する下壁部と、前記キャリアテープの搬送方向に離間して配置されてそれぞれ前記下壁部よりも上方に突出し前記係合状態の前記キャリアテープの一側面に対向する複数の突出部と、を有する支持プレートと、
を備える、テープ供給装置。
【請求項2】
前記支持プレートとは別体で設けられた、前記キャリアテープの上面に対向する上壁部を有し前記キャリアテープの上方への移動を規制する押さえガイド部材を備える、請求項1に記載のテープ供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、テープ供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テープフィーダなどのテープ供給装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。テープフィーダには、キャリアテープが巻回されたテープリールが装填される。キャリアテープは、基板に装着される電子部品を収容するキャビティと、テープフィーダの有するスプロケットが係合する送り穴と、を有している。テープフィーダは、部品装着機の保持台にセットされた状態でスプロケットがモータ駆動により回転されることで、テープリールから引き出されたキャリアテープをピッチ送りしてそのキャリアテープ内の部品を部品吸着位置に供給する。部品吸着位置に供給された部品は、部品装着機の吸着ノズルなどで吸着されて基板に移載される。
【0003】
ところで、キャリアテープの幅は、収容する部品の大きさなどに応じて変わる。テープ供給装置に装填されるキャリアテープとしては、主に8mm幅のキャリアテープが使用されており、4mmや12mm,16mm,24mm幅などのキャリアテープもある。テープフィーダは、ピッチ送りするキャリアテープの幅に対応して個別に構成されることが一般的である。一方、テープフィーダの部品構成の大部分が、ピッチ送りするキャリアテープの幅ごとに異なるものとすると、製造コストが上昇してしまう。そこで、製造コストを抑えるため、できるだけ部品構成を共通化することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、テープフィーダにおいて、キャリアテープの上面及び側面を押さえるテープガイドが共通化されると、テープ幅の小さいキャリアテープの幅方向への移動をそのテープガイドで規制することが困難となる。テープ幅の小さいキャリアテープの幅方向への移動は、スプロケットとキャリアテープの送り穴との係合によってある程度は規制されるが、これだけでは、スプロケットと送り穴とのガタ分だけキャリアテープが幅方向にずれる可能性があると共に、キャリアテープがテープガイド内で傾斜する可能性がある。かかる事態が生じると、キャリアテープの幅方向位置を安定させることができず、部品を正しい部品吸着位置に供給することができないので、部品の吸着不良や基板への装着精度不良が生じるおそれがある。
【0006】
本明細書は、キャリアテープの幅方向へのずれや傾斜を防止することが可能なテープ供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、本体部材に回転可能に支持された、キャリアテープの送り穴に係合可能な歯を有するスプロケットと、前記本体部材に取り付けられた、前記スプロケットの前記歯が前記送り穴に係合する係合状態において前記キャリアテープの下面に対向して前記キャリアテープの下面を支持する下壁部と、前記キャリアテープの搬送方向に離間して配置されてそれぞれ前記下壁部よりも上方に突出し前記係合状態の前記キャリアテープの一側面に対向する複数の突出部と、を有する支持プレートと、を備える、テープ供給装置を開示する。
【0008】
本開示によれば、キャリアテープがスプロケットに係合する係合状態において、キャリアテープの一側面を支持プレートの複数の突出部に支持することができる。このため、キャリアテープが搬送方向に直交する幅方向にずれるのを防止することができると共に、キャリアテープが搬送方向に対して傾斜するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係るテープ供給装置の斜視図である。
【
図3】キャリアテープの
図2に示すIII-IIIで切断した際の断面図である。
【
図4】テープ供給装置が備える押さえガイド部材の斜視図である。
【
図5】テープ供給装置の要部を斜め上方から見た際の斜視図である。
【
図6】テープ供給装置の本体部材とは別体で形成された支持プレートの斜視図である。
【
図7】テープ供給装置の
図5に示すVII-VIIで切断した際の断面図である。
【
図8】テープ供給装置の
図5に示すVIII-VIIIで切断した際の断面図である。
【
図9】テープ供給装置の
図5に示すIX-IXで切断した際の断面図である。
【
図10】一変形形態に係るテープ供給装置の
図5に示すVII-VIIに相当する部位で切断した際の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、テープ供給装置を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
テープ供給装置1は、部品装着機に組み込まれる例えばカセット式テープフィーダである。テープ供給装置1は、
図1に示す如く、カセットケース10に覆われている装置である。カセットケース10は、透明又は不透明のプラスチック板又は金属板により薄肉矩形状に形成されている。カセットケース10は、側面部に開閉可能なカバーを有している。
【0011】
テープ供給装置1は、テープ装填部20を備えている。テープ装填部20は、カセットケース10内に設けられている。テープ装填部20は、キャリアテープ30が巻回されたテープリール31を着脱可能に装填する部位である。テープ装填部20は、カセットケース10に設けられたリール保持軸21を有している。リール保持軸21は、テープリール31を回転可能に保持する部位である。
【0012】
キャリアテープ30は、長尺状に形成されている。キャリアテープ30は、テープ幅方向に所定の幅寸法(すなわちテープ幅)を有している。一般的には、キャリアテープ30のテープ幅は、キャリアテープ30の種類或いは収容する電子部品に応じて異なり、予め規格として定められている。例えば、4mmや8mm,12mm,16mm,24mm幅などのキャリアテープ30がある。テープ供給装置1に装填されるキャリアテープ30は、例えば4mm幅のテープである。
【0013】
キャリアテープ30は、
図2及び
図3に示す如く、ベーステープ32と、トップテープ33と、を有している。ベーステープ32には、キャビティ34が設けられている。尚、キャリアテープ30は、キャビティ34が設けられた収容部が下方に突出したエンボス型のテープであってもよいし、表面に溝状のキャビティ34が設けられた紙テープであってもよい。キャビティ34は、部品装着機で基板に装着される電子部品2を収容する孔又は溝である。キャビティ34は、ベーステープ32のテープ幅方向の略中央に設けられている。キャビティ34は、テープ長手方向に沿って複数設けられており、所定間隔で一列に並んでいる。尚、
図3に示す如く、キャビティ34がベーステープ32を貫通する孔であるときは、そのキャビティ34の底部を塞ぐボトムテープ35がベーステープ32の下面に接着される。
【0014】
ベーステープ32には、送り穴36が設けられている。送り穴36は、キャリアテープ30をテープ長手方向に搬送するために設けられた貫通穴である。送り穴36は、略円形に形成されている。送り穴36は、ベーステープ32のテープ幅方向の一端部に設けられている。送り穴36は、テープ長手方向に沿って複数設けられており、所定間隔で一列に並んでいる。キャビティ34及び送り穴36は、テープ幅方向に二列に並んで、それぞれテープ長手方向に沿って配置されている。
【0015】
トップテープ33は、ベーステープ32の上面に剥離可能に接着されるテープである。トップテープ33は、ベーステープ32の上面側に開口するキャビティ34を上方から覆うように配置される。トップテープ33は、ベーステープ32のテープ幅よりも小さい所定のテープ幅を有している。尚、トップテープ33のテープ幅は、キャリアテープ30の種類すなわちベーステープ32のテープ幅に応じて異なっていてよい。
【0016】
テープ供給装置1は、テープガイド40と、テープ送り機構部41と、を備えている。テープガイド40は、テープリール31から引き出されたキャリアテープ30の下面を支持してそのキャリアテープ30を部品吸着位置Pに向けて案内する部位である。テープガイド40の上面は、テープ搬送路40aを形成している。また、テープガイド40の上面には、エンボス型のキャリアテープ30における下方に突出する収容部が係合可能な溝40bが設けられている。溝40bは、収容部が最大となるエンボス型のキャリアテープ30に対応した大きさに形成されている。尚、溝40b内には、エンボス型のキャリアテープ30の収容部を支持する付勢部材などが配設されていてよい。
【0017】
テープ送り機構部41は、テープリール31から引き出されたキャリアテープ30をピッチ送りする部位である。テープ送り機構部41は、スプロケット42と、モータ43と、を有している。テープ搬送路40aは、テープリール31側からスプロケット42側にかけて斜め上方に傾斜するように長尺状に延びている。また、テープ搬送路40aのスプロケット42近傍は、略水平に延びている。
【0018】
スプロケット42は、テープガイド40のテープ搬送路40aの下方に配置されている。スプロケット42は、カセットケース10又はテープガイド40に回転可能に支持されている。スプロケット42は、略円板状に形成されている。スプロケット42は、径方向外側に向けて突出する歯42aを有している。歯42aは、キャリアテープ30の送り穴36の間隔に対応した角度間隔で複数設けられている。歯42aは、スプロケット42の最上端付近に位置したときに、テープガイド40に形成された貫通穴(図示せず)からテープ搬送路40aよりも上方へ突出する。テープガイド40から上方へ突出した歯42aは、キャリアテープ30の送り穴36に係合する。
【0019】
モータ43は、スプロケット42に連結されたギアに係合している。モータ43は、回転駆動によりギアを回転させることでスプロケット42を回転させる。モータ43は、一駆動当たり所定角度だけ回転するように間欠駆動される。モータ43が間欠駆動されると、スプロケット42が、その歯42aがテープ搬送路40a上のキャリアテープ30の送り穴36に係合した状態で回転することで、そのキャリアテープ30が搬送方向Yに部品吸着位置Pに向けて搬送される。
【0020】
テープ供給装置1は、テープ剥離機構部50を備えている。テープ剥離機構部50は、部品吸着位置Pの直前でキャリアテープ30のベーステープ32からトップテープ33を剥離する部位である。テープ剥離機構部50は、押さえガイド部材51と、トップテープ送りギア部52と、モータ53と、を有している。
【0021】
押さえガイド部材51は、部品吸着位置P近傍に配置されている。押さえガイド部材51は、テープ搬送路40a上のキャリアテープ30の上面を押さえることが可能であると共に、キャリアテープ30のベーステープ32からトップテープ33を剥離することが可能である。押さえガイド部材51は、下方に付勢されており、キャリアテープ30のテープ厚が変わってもそのキャリアテープ30の上面を押さえることで、テープ搬送路上で搬送されるキャリアテープ30の浮き上がりを防止して送り穴36をスプロケット42に確実に係合させる機能を有している。
【0022】
押さえガイド部材51は、
図4に示す如く、断面U字状に形成されている。押さえガイド部材51は、上壁部51aと、二つの横壁部51bと、を有している。上壁部51aは、テープ搬送路40aの上方に配置され、キャリアテープ30の上面に対向する部位である。上壁部51aは、特にスプロケット42とキャリアテープ30の送り穴36との係合位置の近傍を含む。上壁部51aは、キャリアテープ30の上方への移動を規制してキャリアテープ30の浮き上がりを防止するガイド部位である。横壁部51bは、上壁部51aの幅方向端部から下方へ延びる部位である。横壁部51bは、最も汎用性のある8mm幅のキャリアテープ30の幅方向への移動を規制する壁として機能し得る。
【0023】
上壁部51aには、貫通穴51cが設けられている。貫通穴51cは、押さえガイド部材51の搬送方向上流端からスプロケット42とキャリアテープ30の送り穴36との係合位置を経由して部品吸着位置Pに亘って延在している。貫通穴51cは、ベーステープ32から剥離したトップテープ33を上壁部51aの下方側から上方側へ引き抜くためのスリットであると共に、キャリアテープ30の送り穴36に係合するスプロケット42の歯42aとの干渉を避ける貫通穴である。
【0024】
トップテープ送りギア部52は、上壁部51aの上方側に引き抜かれたトップテープ33を送る機構である。トップテープ送りギア部52は、ギアにより構成されている。モータ53は、トップテープ送りギア部52に係合している。モータ53は、回転駆動によりトップテープ送りギア部52を作動させる。カセットケース10内には、トップテープ33を回収するトップテープ回収部11が設けられている。トップテープ回収部11は、カセットケース10内において上部後側に配置されている。トップテープ送りギア部52は、モータ53の回転駆動により、上壁部51aの上方側に引き抜かれたトップテープ33をベーステープ32の搬送方向Yとは逆方向に引っ張ってトップテープ回収部11へ送り込む。モータ53の回転駆動は、テープ送り機構部41のモータ43の回転駆動と同期して行われる。
【0025】
カセットケース10内には、ベーステープ排出通路60が設けられている。ベーステープ排出通路60は、カセットケース10内の前側において上部から下部に延びるように配置されている。部品吸着位置Pで電子部品2が取り出されたベーステープ32は、ベーステープ排出通路60に案内されて、カセットケース10の下部の排出口60aから排出される。
【0026】
テープ供給装置1は、
図5及び
図6に示す如く、支持プレート70を備えている。支持プレート70は、スプロケット42が支持されるカセットケース10又はテープガイド40とは別体で形成されている。支持プレート70は、搬送方向Yに延びると共に上下方向に延びるように板状に形成されている。
【0027】
スプロケット42は、テープ供給装置1の組付時において、カセットケース10の一方の側方(具体的には、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向いて左側方)側からそのカセットケース10に接近する方向に移動されて、カセットケース10又はテープガイド40に支持されるように組み付けられる。支持プレート70は、スプロケット42の組付後、カセットケース10の一方の側方からそのカセットケース10に接近する方向にすなわちカセットケース10との間にスプロケット42を挟持するように移動されて、カセットケース10又はテープガイド40に固定されるように組み付けられる。支持プレート70は、スプロケット42に対して幅方向に空いた空間すなわちカセットケース10又はテープガイド40にスプロケット42を取り付けるための空間を埋めるプレート部材である。支持プレート70は、カセットケース10又はテープガイド40にスプロケット42に対して幅方向に隣接して配置される。支持プレート70は、カセットケース10又はテープガイド40にボルトなどで締結固定される。
【0028】
支持プレート70は、プレート本体部71を有している。プレート本体部71は、板状の部位であって、搬送方向Yに直交する水平方向に所定幅を有するように形成されている。プレート本体部71には、キャリアテープ30の下面に対向する下壁部72が形成されている。下壁部72は、搬送方向Yに延在している。下壁部72は、テープガイド40のテープ搬送路40aに対して幅方向で隣接しており、そのテープ搬送路40aと面一をなしている。下壁部72は、テープ搬送路40a上のキャリアテープ30の下面を支持する上面である。
【0029】
支持プレート70は、突出部73を有している。突出部73は、プレート本体部71の上面から上方へ突出する部位である。突出部73の突出位置は、押さえガイド部材51の横壁部51bよりもテープ搬送路40aの幅方向内側である。突出部73は、プレート本体部71の上面において幅方向のスプロケット42側に隣接して下壁部72が形成されるように設けられている。すなわち、突出部73は、プレート本体部71の上面の幅方向中途から上方へ突出している。
【0030】
突出部73は、プレート本体部71の上面に二箇所設けられている。二箇所の突出部73は、互いに搬送方向Yに離間して配置されている。二箇所の突出部73の配置位置は、スプロケット42の歯42aがキャリアテープ30の送り穴36に係合する係合位置を搬送方向Y前後で挟む位置であって、テープ搬送路40aに対して幅方向同じ側(例えば、キャリアテープ30の幅方向の送り穴36側或いは搬送方向上流側から下流側を見て左側)である。二箇所のうち一箇所の突出部73は、部品吸着位置Pに近接した位置(例えば、真横の位置)に設けられている。
【0031】
各突出部73にはそれぞれ、キャリアテープ30の側面に対向する側壁部74が形成されている。側壁部74は、幅方向のスプロケット42側に向いた側面である。側壁部74は、テープ搬送路40aに沿って搬送されるキャリアテープ30(具体的には、搬送対象となる4mm幅のキャリアテープ30)の幅方向(具体的には、キャビティ34側及び送り穴36側のうち送り穴36側)への移動を規制するガイド部位である。側壁部74は、押さえガイド部材51の横壁部51bよりもテープ搬送路40aの幅方向内側に形成されている。すなわち、押さえガイド部材51の横壁部51bは、上壁部51aから側壁部74よりもテープ搬送路40aの幅方向外側において下方へ延びている。側壁部74の幅方向位置は、スプロケット42の歯42aから、キャリアテープ30の送り穴36とその送り穴36側のテープ幅方向端部との距離に対応した距離だけ離間している。
【0032】
側壁部74の搬送方向上流端及び下流端にはそれぞれ、搬送方向Yに対して傾斜するテーパ部75が形成されている。側壁部74は、搬送方向中央部が最もスプロケット42側に寄るように形成されている。搬送方向上流端側のテーパ部75は、搬送方向上流側から下流側にかけて幅方向のスプロケット42側に寄るようにすなわち下壁部72の幅が狭まるように形成されている。また、搬送方向下流端側のテーパ部75は、搬送方向上流側から下流側にかけて幅方向のスプロケット42側から離れるようにすなわち下壁部72の幅が広がるように形成されている。テーパ部75は、キャリアテープ30の搬送方向Yへの搬送を円滑にする機能を有している。
【0033】
押さえガイド部材51の上壁部51aは、突出部73の上部が係合する係合部51dを有している。係合部51dは、支持プレート70の突出部73に対応した位置に設けられた、上壁部51aを貫通する穴である。係合部51dは、二つの突出部73に対応して二箇所設けられている。尚、二箇所の係合部51dのうち、部品吸着位置Pに近接した位置に配置される突出部73が係合する係合部51dは、トップテープ33を引き抜くための貫通穴51cに連通して一体化されたものであってよい。
【0034】
上記構造を有するテープ供給装置1において、キャリアテープ30は、巻回されたテープリール31がテープ装填部20に装填される際、そのテープリール31から引き出されると共に、ベーステープ32の先端部からトップテープ33が引き剥がされた状態にされる。そして、そのキャリアテープ30は、テープガイド40のテープ搬送路40aに沿うように、かつ、ベーステープ32とトップテープ33の先端部以外の部位とがテープ搬送路40aと押さえガイド部材51の上壁部51aとの間に挿入されつつ、トップテープ33の先端部が押さえガイド部材51の貫通穴51cを通じてその押さえガイド部材51の上方へ引き抜かれながら搬送方向下流側の引っ掛け位置で引っ掛かるように取り回される。この場合、ベーステープ32は、送り穴36にスプロケット42の歯42aが係合された状態になると共に、トップテープ33は、引っ掛け位置で引っ掛かれた状態でトップテープ送りギア部52に係合される。キャリアテープ30は、送り穴36にスプロケット42の歯42aが係合されると、テープ搬送路40a上における幅方向位置がある程度位置決めされた状態になる。
【0035】
かかる状態で、モータ43,53が回転駆動されると、キャリアテープ30のベーステープ32が搬送方向Yに送られることで電子部品2が部品吸着位置Pに供給されると共に、トップテープ33が、ベーステープ32と共に搬送方向Yに送られて部品吸着位置Lの直前でベーステープ32から剥がされた後、ベーステープ32の搬送方向Yとは逆方向に引っ張られてトップテープ回収部11に回収される。
【0036】
また、テープ供給装置1において、キャリアテープ30がテープ搬送路40a上での搬送時にカセットケース10の上端近傍に達すると、そのキャリアテープ30の上面が押さえガイド部材51の上壁部51aに当接可能になる。この当接可能状態は、部品吸着位置P近傍に至るまで継続される。このため、キャリアテープ30は、搬送中、押さえガイド部材51の上壁部51aに支持されるので、上方への浮き上がりを防止することができ、特に送り穴36とスプロケット42の歯42aとの係合位置近傍が押さえガイド部材51の上壁部5aに押さえられるので、送り穴36とスプロケット42の歯42aとを確実に係合させることができる。
【0037】
また、テープ供給装置1において、押さえガイド部材51の横壁部51bよりもテープ搬送路40aの幅方向内側には、側壁部74が設けられている。側壁部74は、支持プレート70のプレート本体部71の下壁部72から上方へ突出した突出部73に形成されている。この突出部73ひいては側壁部74は、支持プレート70に二箇所形成されている。
【0038】
テープ搬送路40aと押さえガイド部材51の上壁部51aとの間に挿入されたキャリアテープ30は、そのキャリアテープ30の下面の一部が支持プレート70のプレート本体部71の下壁部72に支持されると共に、そのキャリアテープ30の側面(具体的には、送り穴36側の側面)が二箇所の側壁部74に当接した状態になる。そして、キャリアテープ30は、その送り穴36がスプロケット42の歯42aに係合した後は、そのスプロケット42の回転により、送り穴36側の側面が二箇所の側壁部74それぞれに支持されながら搬送方向Yに搬送される。
【0039】
このため、キャリアテープ30の搬送中、キャリアテープ30の送り穴36側の側面が搬送方向Yに離れた二箇所の側壁部74に支持されるので、キャリアテープ30が搬送方向Yに直交する幅方向にずれて搬送方向Yに搬送されるのを防止することができると共に、キャリアテープ30が搬送方向Yに対して傾斜して搬送方向Yに搬送されるのを防止することができる。
【0040】
特に、二箇所の側壁部74は、スプロケット42の歯42aとキャリアテープ30の送り穴36との係合位置を搬送方向前後で挟んだ、テープ搬送路40aの幅方向同じ側に設けられている。このため、送り穴36が係合されるスプロケット42の回転によって搬送されるキャリアテープ30に、スプロケット42の歯42aに係合される送り穴36を中心にした回転方向の力が働いても、その係合位置を搬送方向前後で挟んだ二箇所の側壁部74でキャリアテープ30が支持されるので、そのキャリアテープ30が搬送方向Yに対して傾斜するのを確実に防止することができる。
【0041】
また、各側壁部74はそれぞれ、搬送方向上流端及び下流端それぞれに設けられたテーパ部75を有している。搬送方向上流側のテーパ部75は、搬送方向上流側から下流側にかけて幅方向のスプロケット42側に寄るように形成されている。この構造では、キャリアテープ30が側壁部74の搬送方向位置に到達する前においてテープ搬送路40a上でのキャリアテープ30の幅方向位置が僅かに突出部73の搬送方向上流側の端面に当接する側に寄っている場合、そのキャリアテープ30の先端角部がテーパ部75に当接してそのキャリアテープ30の幅方向位置が反対側に矯正される。従って、キャリアテープ30が突出部73の搬送方向上流側の端面に当接してその搬送が妨げられるのを防止することができる。また、突出部73の搬送方向上流側の端面と側壁部74の端面とが交差する角部で搬送中のキャリアテープ30の側面に傷が付くのを防止することができ、円滑な搬送を実現することができる。
【0042】
搬送方向下流側のテーパ部75は、搬送方向上流側から下流側にかけて幅方向のスプロケット42側から離れるように形成されている。この構造によれば、キャリアテープ30の突出部73の搬送方向下流側の端面と側壁部74の端面とが交差する角部で、搬送方向Yへの搬送中又はその搬送方向Yとは反対方向への逆送中のキャリアテープ30の側面に傷が付くのを防止することができ、円滑な搬送を実現することができる。
【0043】
更に、側壁部74は、突出部73に形成されている。そして、二箇所の側壁部74のうち搬送方向下流側に配置された側壁部74が形成された突出部73は、部品吸着位置Pに近接した位置に設けられている。すなわち、搬送方向下流側の側壁部74は、部品吸着位置Pに近接している。このため、特に部品吸着位置P近傍で、キャリアテープ30が搬送方向Yに直交する幅方向にずれるのを防止することができ、キャリアテープ30が搬送方向Yに対して傾斜するのを防止することができる。従って、キャリアテープ30内の電子部品2を部品吸着位置Pに精度よく供給することができ、電子部品2の吸着不良やその後の電子部品2の基板への装着精度不良を未然に防ぐことができる。
【0044】
このように、テープ供給装置1によれば、側壁部74が搬送方向Yに離間した二箇所に設けられてそれぞれキャリアテープ30の送り穴36側の側面を支持することで、キャリアテープ30の搬送を搬送方向Yに沿った精度良いものとすることができる。
【0045】
上記したキャリアテープ30の側面を支持する側壁部74は、スプロケット42が支持されるカセットケース10又はテープガイド40とは別体で形成された支持プレート70に形成されている。支持プレート70は、スプロケット42に対して幅方向に隣接して配置され、カセットケース10又はテープガイド40にスプロケット42を取り付けるための空間を埋めるプレート部材である。上記の如く、側壁部74は、押さえガイド部材51の横壁部51bよりもテープ搬送路40aの幅方向内側に設けられている。
【0046】
仮に支持プレート70として突出部73ひいては側壁部74が設けられていないものが用いられる構造では、押さえガイド部材51の横壁部51bが、テープ搬送路40a上のキャリアテープ30を支持する壁となる。この点、支持プレート70での突出部73ひいては側壁部74の有無で、互いに異なるテープ幅のキャリアテープ30をその側面を側壁部74又は横壁部51bで支持させつつテープ搬送路40a上で搬送させることができる。また、支持プレート70として突出部73ひいては側壁部74の幅方向位置が異なるものが取り替えられて用いられれば、互いに異なるテープ幅のキャリアテープ30をその側面をそれぞれの側壁部74で支持させつつテープ搬送路40a上で搬送させることができる。
【0047】
すなわち、テープ供給装置1を、主に支持プレート70の取り替え(具体的には、その支持プレート70の切り替えに伴うスプロケット42の取り替えなどを含む。)により複数のテープ幅のキャリアテープ30に適切に対応させることができる。このため、複数のテープ幅それぞれのキャリアテープ30に対応したテープ供給装置1を構成するうえで、大部分の部品の共通化を図ることができる。従って、テープ供給装置1の部品共通化に伴うコスト削減を図ることができる。
【0048】
ところで、上記の実施形態においては、キャリアテープ30の側面に対向して支持する側壁部74が、支持プレート70における、スプロケット42の歯42aとキャリアテープ30の送り穴36とが係合する係合位置を搬送方向前後に挟んだ二箇所に設けられている。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。側壁部74が、支持プレート70に三箇所以上設けられていてもよく、また、搬送方向Yに板状に延びていてもよい。
【0049】
また、上記の実施形態においては、キャリアテープ30の側面に対向して支持する側壁部74が、スプロケット42が支持されるカセットケース10又はテープガイド40とは別体で形成された支持プレート70に形成されている。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、
図10に示す如く、押さえガイド部材51が、キャリアテープ30の側面に対向して支持する側壁部51eを有していてもよい。この側壁部51eは、横壁部51bよりもテープ搬送路40aの幅方向内側において下方に延びており、上壁部51aから下方へ突出する部位51fに形成されている。この構造においても、側壁部51eにてキャリアテープ30の側面が支持されるので、キャリアテープ30が幅方向にずれ或いは搬送方向Yに対して傾斜するのを防止することができる。
【0050】
更に、上記の実施形態においては、テープ供給装置1が、本体がカセットケース10に覆われたカセット式テープフィーダである。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。テープ供給装置1は、カセット式テープフィーダ以外のテープフィーダに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1:テープ供給装置、10:カセットケース、30:キャリアテープ、34:キャビティ、36:送り穴、40:テープガイド、40a:テープ搬送路、42:スプロケット、42a:歯、51:押さえガイド部材、51a:上壁部(第一ガイド部)、51b:横壁部、51c:貫通穴、51d:係合部、51e:側壁部、70:支持プレート、71:プレート本体部、72:下壁部、73:突出部、74:側壁部(第二ガイド部)。