(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058890
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】センサアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01L 19/00 20060101AFI20220405BHJP
G01L 19/14 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
G01L19/00 A
G01L19/14
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015866
(22)【出願日】2022-02-03
(62)【分割の表示】P 2018521915の分割
【原出願日】2016-10-27
(31)【優先権主張番号】15192057.6
(32)【優先日】2015-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508355068
【氏名又は名称】シンテフ ティーティーオー エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】トベット,ラース ゲール ウィスト
(72)【発明者】
【氏名】オスビィ,ムーアール マルティン
(72)【発明者】
【氏名】グロット,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クラウセン,インゲリン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】体液や組織又はその生体物質による潜在的な腐食及び/又は汚れからセンサ素子を保護する。
【解決手段】体液や組織を生体内においてモニタリングするためのセンサアッセンブリ1であって、微小電気機械システム(MEMS)を備えると共に使用中に体液や組織の圧力を検出するように配置された圧力センサ素子108と、概して圧力センサ素子を囲むシールド102であって、使用中に圧力センサ素子を保護すると共にその圧力センサ素子が変形することを防ぐために、シールドの内容積内に圧力センサ素子を収めるようにしたシールドと、を備える。圧力センサ素子は、体液や組織又はその生体物質による圧力センサ素子108の表面の腐食及び/又は汚れを防止するための生体適合性を有する薄膜層108bを備える。圧力センサ素子及びシールドは、相互に固定関係にある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液又は組織(F)を生体内においてモニタリングするためのセンサアッセンブリ(1)であって、
微小電気機械システム(MEMS)を備えると共に使用中に体液又は組織(F)の圧力を検出するように配置された圧力センサ素子(108)と、
使用中に保護すると共に前記圧力センサ素子(108)が変形することを防ぐために、シールド(102)の内容積内に前記圧力センサ素子(108)を収めるように概して圧力センサ素子を囲むシールド(102)と、を備え、
前記圧力センサ素子(108)は、前記体液、組織(F)、又はその生体物質による前記圧力センサ素子(108)の表面の腐食及び/又は汚れを防止するための生体適合性を有する薄膜層(108b)を備え、
前記圧力センサ素子(108)及び前記シールド(102)は、相互に固定関係にある、センサアッセンブリ(1)。
【請求項2】
前記圧力センサ素子(108)を前記シールド(102)の内容積内に支持する支持体を備え、前記シールド(102)は、前記支持体の剛性より大きい剛性を有する、請求項1に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項3】
前記圧力センサ素子(108)は、前記シールド(102)の前記内容積内の空洞を埋めるフィラー材(110)によって前記シールド(102)に対して固定されている、請求項1又は2に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項4】
前記シールド(102)は、任意選択的に長円形の断面を有するチューブを構成する、上記請求項のいずれかに記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項5】
前記圧力センサ素子(108)は、前記チューブの第1の端部開口部(102c)に隣接して配置されている、請求項4に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項6】
前記フィラー材(110)は、前記チューブの第2の端部開口部をシールし、前記第2の端部開口部を通じた前記体液又は組織(F)の通過を防止するために配置されている、請求項3に従属する請求項5に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項7】
前記フィラー材は、任意選択的に生体適合性を有する接着剤である硬化接着剤から成る、請求項3から6のいずれか一項に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項8】
前記チューブは、前記第1の端部開口部(102c)と交差する開口窓(102f;102f')を形成する切り出し部(102e;102e')を備え、前記圧力センサ素子(108)は、前記開口窓(102f;102f')の下に位置する、請求項4から7のいずれか一項に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項9】
前記切り出し部(102e)は、前記チューブの前記長手方向軸(X)に対して傾いている、請求項8に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項10】
前記切り出し部(102e')は、側面視でS形状となるように平板部及び湾曲部を備える、請求項8に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項11】
前記生体適合性を有する薄膜層(108b)は、サブミクロンの厚さを有し、好ましくは20と200nmの間、更に好ましくは約30nmの厚さを有する、上記請求項のいずれかに記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項12】
前記生体適合性を有する薄膜層(108b)は、Al2O3+TiO2を含んでいる、上記請求項のいずれかに記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項13】
前記請求項のいずれかに記載のセンサアッセンブリ(1)と、
前記センサアッセンブリ(1)の前記シールド(102)に接続されるように構成されたカテーテルホース(104)と、を備えるセンサシステム。
【請求項14】
前記シールド(102)と前記カテーテルホース(104)はそれぞれ長円形の断面を備え、
前記シールド(102)の端は、前記カテーテルホース(104)の端に挿入可能であり、
前記システムは、前記カテーテルホース(104)を受けるための長円形の断面を有するチューブ又はカニューレを備え、
前記シールド(102)の端が前記カテーテルホース(104)の端に挿入されて前記カテーテルホース(104)が前記チューブ又はカニューレに挿入されるとき、前記チューブ又はカニューレの長手方向軸を中心に前記圧力センサ素子(108)が回転するのを防ぐ、請求項13に記載のセンサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液や組織を生体内においてモニタリングするためのセンサアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
人や動物の体において、液体や組織の圧力をモニター可能にすることで医学上の利点が得られる場所が多くある。例えば、患者の健康状態を理解したり、患者の頭部液体内や嚢、筋肉コンパートメント、循環器系における圧力に対する治療効果を理解したりすることにおいて、極めて有益である。こうした有益な点ゆえに、患者の体内に挿入でき、圧力測定値を提供することができる圧力モニタリングシステムが開発されてきている。
【0003】
多くの場合、従来の圧力モニタリングシステムは、カテーテルの先端に圧力センサ素子を備える。シーラント(例えば、シリコーンジェルを備える)が、圧力伝達媒体を提供するためにセンサ素子上に設けられ、センサ素子をシールする。この種の装置が持つ問題として、シーラントが変形しやすく、結果として効果的なシールを行えないため、測定対象の液体がセンサアッセンブリ内及びセンサ素子の表面上に漏れることが挙げられる。この漏れによって、センサ素子やその電気接続/回路が損傷し、使用不能になってしまう可能性がある。また、センサアッセンブリは、特にシーラントが変形可能なことによるヒステリシス効果のため、信頼できない圧力測定値を示す場合がある。このヒステリシス効果は、液体漏れによって更に悪化する。また、微少なフレキシブルチップが使用中に屈曲することにより、圧力測定に乱れが生じ、好ましくない信号が圧力検出系に入り込むことになる。
【0004】
本発明は、従来技術の問題点の1つ以上を少なくともある程度緩和することを目的としている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、添付の請求の範囲に示されている。
【0006】
本発明の態様によれば、体液又は組織の生体内モニタリングのためのセンサアッセンブリであって、微小電気機械システム(MEMS)を備えると共に使用中に体液又は組織の圧力を検出するように配置された圧力センサ素子と、使用中に保護すると共に前記圧力センサ素子が変形することを防ぐために、自身の内容積内に前記圧力センサ素子を収めるように概して前記圧力センサ素子を囲むシールドと、を備え、前記圧力センサ素子は、前記体液、組織、又はその生体物質による前記圧力センサ素子の表面の腐食及び/又は汚れを防止するための生体適合性を有する薄膜層を備え、前記圧力センサ素子及び前記シールドは、相互に固定関係にある、センサアッセンブリが提供される。
【0007】
本発明は、体液や組織又はその生体物質による潜在的な腐食及び/又は汚れからセンサ素子を保護する生体適合性を有する薄膜層を提供する。センサ素子はまた、センサ素子と固定関係にある周囲のシールドによって保護されている。シールドは、例えばセンサチップが屈曲やねじれることによってセンサ素子(及び好ましくはその電気接続)に加わるストレスを減じることや取り除くのに十分な剛性を有する「強化材」である。よって、センサ素子の圧力検知部の有害なたわみ及びそれによる測定誤差に繋がる可能性があるセンサ素子の不意の機械的ストレスを、防止することができる。従って、不正確な圧力測定及びセンサの損傷が避けられる。
【0008】
従って、生体適合性を有する薄膜層及びシールドが共に相乗効果的に機能し、センサ素子を腐食/生物付着及び機械的なストレスから保護する。有利な点として、本明細書にて記載したような従来センサの問題を有するシーラントを、省くことができる。よって、本発明のセンサアッセンブリは、より改善された測定精度と共により良い信頼性及び効率のよいシステムを提供する。
【0009】
センサアッセンブリは、圧力センサ素子をシールドの内容積内において支持する支持体を備えてもよく、シールドは、支持体の剛性より大きな剛性を持つ。支持体は、プリント回路基板(PCB)の部分を備えても良い。好ましくは、シールドは、圧力センサ素子及び圧力センサ素子と関連回路(例えばプリント回路基板)との間の電気的な相互接続に加わる好ましくないストレスを減じることや取り除くのに十分な剛性又は硬さを有する。シールド構造は、圧力センサ素子よりも高い剛性を有してもよい。
【0010】
圧力センサ素子は、シールドの内容積内の空洞を埋めるフィラー材によってシールドに対して固定されていてもよい。シールドは、チューブを構成してもよい。チューブは、長円形の断面を有する。圧力センサ素子は、チューブの第1の端部開口部の近傍に配置されてもよい。存在する場合には、フィラー材は、第2の端部開口部を通じて体液や組織が移動することを防止するようにチューブの第2の端部開口部をシールするように配置されてもよい。フィラー材は、硬化接着剤であってもよい。接着剤は、生体適合性を有する。
【0011】
チューブは、第1の端部開口部と交差する開口窓を形成する切り出し部を備えてもよく、圧力センサ素子は、この開口窓の下に位置する。切り出し部は、チューブの長手方向軸に対して傾いていてもよい。または、切り出し部は、側面視でS字形状となるように平板部及び湾曲部を備えていてもよい。切り出し部によって設けられる開口窓により、液体の流れ及び/又は循環が改善され、改善された測定対象の組織との接触が可能となる。これにより、組織や体液又はその生体材料による圧力センサ素子の詰まりを防止するのに役立ち、センサ素子の機能に干渉する望ましくないガス状泡がセンサ素子上に形成されるのを防止することができる。シールド及び開口窓は、圧力センサ素子からのアーティファクトが軟骨や骨、繊維組織などの体内のより密集した構造体と接触するのを防止する。
【0012】
生体適合性を有する薄膜層は、サブミクロンの厚さを有してもよい。上記層の厚さは、20と200nmの間であってもよい。上記層の厚さは、約30nmであってもよい。上記層は、コーティングを備えてもよい。上記層は、Al-Ti酸化物を含んでもよい。上記層は、Al2O3+TiO2を含んでいてもよい。圧力センサ素子の腐食及び/又は生物付着を防止する(又は少なくとも減じる)ことも可能な薄膜層に対して、他の生体適合性を有する材料を使用してもよい。上記薄膜層に対する他の好適な材料の例としては、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)やヒドロキシアパタイト(HA)、シリコンカーバイト(SiC)、パリレンが挙げられるが、これらに限らない。上記薄膜層は、これら好適な材料のいずれかの組み合わせを含むサンドイッチ構造を備えてもよい。
【0013】
本発明の態様によれば、本明細書で上記したようなセンサアッセンブリと、前記センサアッセンブリのシールドに接続されるように構成されたカテーテルホースとを備えるセンサシステムが提供される。前記シールドとカテーテルホースはそれぞれ長円形の断面を備えてもよく、シールドの端は、カテーテルホースの端に挿入可能であり、前記システムは、前記カテーテルホースを受けるための長円形の断面を有するチューブ又はカニューレを備え、前記シールドの端がカテーテルホースの端に挿入されてカテーテルホースがチューブ又はカニューレに挿入されるとき、前記チューブ又はカニューレの長手方向軸を中心に前記圧力センサ素子が回転するのを防ぐ。有利な点として、楕円形状によって、圧力センサ素子がカニューレに対して回転することが防止され、これによって、挿入中及び取出し中における圧力センサ素子の位置的及び/又は方向的な制御が改善する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
実施形態を、例示のみを目的として、添付図面を参照して説明する。この図面において:
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態によるセンサアッセンブリの透視切欠き図を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1のセンサアッセンブリの縦断面図を示す図である。
【
図3】
図3a及び
図3bは、本発明の第2の実施形態によるセンサアッセンブリのそれぞれ透視切欠き図と縦断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び
図2に示すように、センサアッセンブリ1は、支持端部102aと自由端部102bを有する細長い強化チューブ102を備える。本実施形態において、強化チューブ102は、AISI316ステンレス鋼で構成されている。強化チューブ102は、長さ約5mm、外径約1.2mm、壁の厚さ約0.1mmを有する。(他の実施形態においては、長さは約5から10mmの間であってもよい)。
【0016】
支持端部102aは、強化チューブ102がカテーテルホース104の外側に延在するように、カテーテルホース104の端内に挿入される。強化チューブ102の端開口部102cは、自由端部102bの末端においてリップ102dによって形成されている。本実施形態において、斜め切り出し部102eは、強化チューブ102に対して傾いた面においてリップ102dから自由端部102bに沿って延在し、これにより、端開口部102cと交差する半楕円形の開口窓102fを形成する。
【0017】
概して平坦なフレキシブルプリント回路基板(PCB)106は、フレキシブルPCB106の端106aが端開口部102cに配置されるように、強化チューブ102の長手方向軸Xに実質的に平行な面に位置するとともに、強化チューブ102の内部を通過するようにカテーテルホース104から延在する。より詳細には、フレキシブルPCB106の端106aは、リップ102dから短い距離d(例えば、約0.1mm)において自由端部102bの内部に位置する。すなわち、端106aは、強化チューブ102から突き出ていない。
【0018】
圧力センサ素子108は、フレキシブルPCB106の端106aまで延在するフレキシブルPCB106の支持部106bの頂点に装着されている。圧力センサ素子108は、微小電気機械システム(MEMS)を備える。本実施形態において、MEMSは、ダイアフラム108aの膜によって覆われた(すなわち、下に配設された)埋め込みピエゾ抵抗素子及びパッド、導体(
図1及び
図2においては不可視)を備える。ダイアフラム108aは、センサアッセンブリ1の使用中に体液や組織によってダイアフラム108aに加わる圧力によって屈曲するように構成されている。ピエゾ抵抗素子は、加わった圧力が測定できるようにダイアフラム108aの屈曲を検出するように構成されている。
【0019】
生体適合性を有する薄膜層108bは、ダイアフラム108aを覆うようにダイアフラム108aの上に延在している。本実施形態において、薄膜層108bは、Al2O3+TiO2を含んでいる。本実施形態において、薄膜層108bは、約30nmの厚さを有する。または、薄膜層108bがどのような構成材料で形成されていても、典型的には、厚さは、20から200nmの間の値をとってもよく、またはそれよりも厚くてもよい。典型的には、厚さは、サブミクロンの厚さとなる。使用中において、薄膜層108bは、圧力センサ素子108の表面の体液や組織またはその生体物質による腐食及び/又は汚れを阻む(及び好ましくは防ぐ)。従って、薄膜層108bは、圧力センサ素子108の表面が損傷しないように、圧力検知ダイアフラム108a及びピエゾ抵抗素子、パッド、導体を保護するように覆う。
【0020】
または、パッド及び導体は、ピエゾ抵抗素子がダイアフラム108aによって覆われる(すなわち、ダイアフラム108aの下に配設される)ようにダイアフラム108aの上に(すなわち、上方に)配設されてもよい。この場合、生体適合性を有する薄膜層108bは、ダイアフラム108aとともにパッド及び導体を直接覆うことになる。
【0021】
圧力センサ素子108は、本実施形態においては金で形成されている複数の線106cによって、フレキシブルPCB106と電気的に接続されている。または、線は、当業者にとって明らかであるような、例えばアルミニウムなどの他の金属で形成されていてもよい。線106cの端は、圧力センサ素子108及びフレキシブルPCB106の過渡領域において、圧力センサ素子108とフレキシブルPCB106に結合している。強化チューブ102の剛性は、過渡領域の剛性より大きい。線106cの端は、また、本明細書中で後述するようなグロブトップ106dによって保護されている。
【0022】
圧力センサ素子108の端は、フレキシブルPCB106の端と位置合わせをされている。従って、圧力センサ素子108の一部は、端開口部102cに隣接して配設されており、特に、圧力センサ素子108の一部は、自由端部102bの半楕円形の開口窓102fの下に位置する。圧力センサ素子108において、リップ102dを超えたり半楕円形の開口窓102fの外に出るように突き出たりするような部分は存在しない。すなわち、圧力センサ素子108は、その全てが、強化チューブ102の内容積内に収容されている。従って、強化チューブ102は、圧力センサ素子108の周辺において保護シースまたはシールドを提供する。言い換えれば、圧力センサ素子108は、強化チューブ102によって保護されるように覆われている。
【0023】
本実施形態において、硬化エポキシ接着剤110は、強化チューブ102の内容積の大部分を占めており、フレキシブルPCB106と圧力センサ素子108のそれぞれの一部は、PCB106及び圧力センサ素子108と強化チューブ102とが実質的に固定関係に維持されるように、エポキシ接着剤110に埋め込まれている。圧力センサ素子108のダイアフラム108aは、エポキシ接着剤110によって覆われておらず、使用中において、ダイアフラム108aは、体液や組織に触れることができ、上記したように、その圧力によって屈曲可能である。
【0024】
センサアッセンブリ1は、患者の状態を評価するために、患者の体の様々な場所における液体や組織Fの圧力レベルを監視するのに使用することができる。例えば、カテーテルホース104及び強化チューブ102(圧力センサ素子108を含む)を、尿路を経て患者の嚢内へと従来の方法で挿入してもよい。本発明のセンサアッセンブリ1は、患者の腹壁を経て恥骨上挿入に対しても好適である。センサアッセンブリ1は、適切な技術を用いて体の他の部位に挿入することもできることを理解されたい。保護強化チューブ102は、圧力センサ素子108の変形や損傷に繋がるような、圧力センサ素子108と例えば体の組織や異物との衝撃を防止する。
【0025】
センサアッセンブリ1が圧力を監視するために所定の位置に設置されると、監視対象の体液や組織Fが端開口部102cと半楕円形の開口窓102fを通じて圧力センサ素子108のダイアフラム108aと直接接触することができるようになり、正確な圧力測定を実施することが可能になる。センサアッセンブリ1は、患者の体の外に設置されるとともに信号処理部を備える電子モジュール(図には示されていない)に接続される。または、電子モジュールは、圧力センサ素子108から所定の距離において患者の体の内部又は皮膚の下に配置されてもよく、信号がモジュールから外部受信部に対して無線で送信されてもよい。圧力測定値を、例えば、数時間や数日、数年にわたる期間の間、圧力センサ素子108から得ることができ、信号処理部で処理される。圧力検知素子108aは圧力を監視し、強化チューブ102の内容積内にある固形エポキシ接着剤110は、カテーテルホース104及びフレキシブルPCB106内に液体が漏れ出すことを防止するシールを提供する。
【0026】
圧力監視期間が終わると、センサアッセンブリ1は患者の体から取り出される。強化チューブ102は、圧力センサ素子108が衝撃を受けたり、ゆがんだり、損傷したりすることから保護する。
【0027】
本明細書中で上述した実施形態では、圧力センサ素子を保護するための円筒状シースを備えるが、当業者であれば、圧力センサ素子に対するゆがみや損傷を防ぐような適切な保護が提供される限りにおいて、シールド構造は様々な形状の中からどのようなものを採用してもよいことは理解されたい。好ましくは、シールド構造(例えば、円筒状をなすシース)は、圧力センサ素子及び圧力センサ素子-PCB間の電気的接続に加わる好ましくないストレスを減じ又は取り除き、圧力測定誤差を防止するのに十分な剛性や硬さを有する。
【0028】
圧力センサ素子(上述した実施形態においては、ダイアフラム)の少なくとも一部が、媒体の圧力を特定するために監視対象の媒体(例えば、体液や組織など)と圧力センサ素子が接触できるように露出している限りにおいて、圧力センサ素子は、様々な方法の中からどのような方法で保護的な構造内において構成され固定されていてもよく、これら全ては本願発明の範囲内にあることを理解されたい。
【0029】
図3a及び
図3bに示すように、本発明の別の実施形態は、強化チューブ102の切り出し部の形に関して上記実施形態と異なる。本実施形態において、切り出し部102e'は、開口窓102f'を画定し、切り出し部102e'が側面視(
図3bで最もよく示されているように)で概してS形状となるように、強化チューブ102の長手方向軸Xと実質的に平行に延在する平坦部と湾曲部とを備える。この切り出し部の形態は、センサ素子108上の開口窓102f'内において、もし存在すればセンサ素子108の機能に干渉する可能性がある気体の泡が形成されるのを防止することに関して特に効果的であると考えられる。
【0030】
本発明によるセンサアッセンブリ1は、以下の手順に従って作られてもよい。
【0031】
圧力センサ素子108は、圧力センサ素子108の端がフレキシブルPCB106の端と面一となるように、フレキシブルPCB106の支持部106bに装着される。線106cの端は、フレキシブルPCB106と圧力センサ素子108に結合され、それらの間に電気接続を提供できるようにする。グロブトップ106dは、線106cが残りのアッセンブリ処理の間に所定の位置に留まるように設けられ、これにより線106cが短絡や断線する可能性を減らすことができる。
【0032】
装着され電気的に接続された圧力センサ素子108を伴うフレキシブルPCB106が、フレキシブルPCB106の端と圧力センサ素子108の端が自由端部102bのリップ102dから上記距離dとなり、圧力センサ素子108が半楕円形の開口窓102f(又は、開口窓102f')の下に位置するまで、強化チューブ102の自由端部102b内に引き入れられる。エポキシ接着剤110が加えられ、圧力センサ素子108(電気的接続の端とグロブトップ106dのみ)及びフレキシブルPCB106と、強化チューブ102の内壁102gとの間の空洞が埋められる。エポキシ接着剤110は、フレキシブルPCB106と圧力センサ素子108を周辺の強化チューブ102に対して所定の位置に固定し、維持するために、固化される。
【0033】
フレキシブルPCB106と圧力センサ素子108が固定可能なように装着された状態で、強化チューブ102の支持端部102aは、カテーテルホース104内に引き入れられ、ぴったりと嵌合するようにそこに維持される。強化チューブ102とカテーテルホース104の寸法は、機械的に安定した接合をもたらし、強化チューブ102とカテーテルホース104との間で液体の漏れが無いように、選択的に一致されている。
【0034】
本発明を好ましい実施形態に関して説明してきたが、本発明は、添付の請求の範囲で定義されているような発明の範囲から離れること無く、様々な方法で変形してもよいことを理解されたい。
【0035】
強化チューブ102は、実質的にAISI316L低炭素鋼で作られてもよい。または、強化チューブ102は、実質的に、金属や金属合金よりも長期間生体内で使用することに適した材料であるプラスチックで作られてもよい。更に、当業者にとっては、複合材料など他の材料が強化チューブ102に使用するのに適していることは明らかであり、これら全ては本願発明の範囲内にあることは明らかである。
【0036】
線は省略されてもよく、代わりに、圧力センサ素子108がフリップチップボンディングによってフレキシブルPCB106と電気的に接続されてもよい。この場合、組立中は、金製バンプがフレキシブルPCB106又は圧力センサ素子108のどちらかの接合パッド上に設けられる。そして、圧力センサ素子108は、反転され、接合パッドが金製バンプと接合されてパッド-バンプ-パッドの層を形成するように、フレキシブルPCB106上に押圧される。
【0037】
センサ素子108は、アンダーフィルエポキシ接着剤を使用して更に固定してもよい。これにより、圧力センサ素子108の機械的固定性及び電気接続が確実になる。
【0038】
上記実施形態において、圧力センサ素子108及び強化チューブ102は、主に硬化エポキシ接着剤110によって互いに固定関係を維持している一方で、この固定関係は、完全に又は部分的に異なる手段によって実現されていてもよく、これら全ては本願発明の範囲内にあることは理解されたい。例えば、いくつかの硬い支持体が、圧力センサ素子108と強化チューブ102を接合又は接続するために提供されてもよい。または、圧力センサ素子108を支持する支持部106bを備えるフレキシブルPCB106は、圧力センサ素子108と強化チューブ102との間において効果的な固定関係を提供するために、十分に硬いものであってもよい。固形エポキシ接着剤110が無いので、別のシール手段をカテーテルホース104及びフレキシブルPCB106内への液体の漏れ防止のために設けてもよい。
【0039】
強化チューブ102の切り出し部は、センサ素子上へ開口窓を提供することができる様々な形態としてもよく、これら全ては本願発明の範囲内にあることを理解されたい。
【0040】
ある実施形態において、センサアッセンブリ1は、カテーテルを備え、PCB106は、カテーテルの壁に埋め込まれた薄い(例えば、金の)線に置き換えられる。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液又は組織を生体内においてモニタリングするためのセンサアッセンブリ(1)であって、
前記アッセンブリ(1)の先端部に位置し、微小電気機械システム(108a)を備えると共に使用中に体液又は組織の圧力を検出するように配置された圧力センサ素子(108)と、
内容積内に前記圧力センサ素子(108)を収めるように前記圧力センサ素子(108)の基端部を囲む管状基端部を有するシールド(102)と、を備え、
前記圧力センサ素子(108)は、表面上に、前記体液、組織、又はその生体物質による前記圧力センサ素子(108)の表面の腐食及び/又は汚れを防止するための生体適合性を有する薄膜層(108b)を有し、
硬化接着剤であるフィラー材(110)によって前記圧力センサ素子(108)が前記シールドに対して相互に固定された位置関係で保持され、前記圧力センサ素子(108)の前記基端部を係合するために前記シールド(102)の一部である管状基端部が前記フィラー材(110)によって埋められ、
前記シールド(102)は、前記管状基端部と一体の先端部をさらに有し、当該先端部は、斜めの切り出し部(102e)として形成されるとともに、軸方向先端部(102c)を呈し、かつ前記切り出し部(102e)は、前記シールド(102)の前記軸方向先端部(102c)と交差する開口窓(102f)を呈し、前記圧力センサ素子(108)は、前記開口窓(102f)の下に位置するように前記微小電気機械システム(108a)を有するとともに、前記シールド(102)の前記軸方向先端部(102c)に前記圧力センサ素子(108)の先端面が現れており、前記切り出し部(102e)は、前記シールド(102)の長手方向軸(X)に対して傾いている、センサアッセンブリ(1)。
【請求項2】
体液又は組織を生体内においてモニタリングするためのセンサアッセンブリ(1)であって、
前記アッセンブリ(1)の先端部に位置し、微小電気機械システム(108a)を備えると共に使用中に体液又は組織の圧力を検出するように配置された圧力センサ素子(108)と、
内容積内に前記圧力センサ素子(108)を収めるように前記圧力センサ素子(108)の基端部を囲む管状基端部を有するシールド(102)と、を備え、
前記圧力センサ素子(108)は、表面上に、前記体液、組織、又はその生体物質による前記圧力センサ素子(108)の表面の腐食及び/又は汚れを防止するための生体適合性を有する薄膜層(108b)を有し、
硬化接着剤であるフィラー材(110)によって前記圧力センサ素子(108)が前記シールドに対して相互に固定された位置関係で保持され、前記圧力センサ素子(108)の前記基端部を係合するために前記シールド(102)の一部である管状基端部が前記フィラー材(110)によって埋められ、
前記シールド(102)は、前記管状基端部と一体の先端部をさらに有し、当該先端部は、切り出し部(102e')として形成されるとともに、軸方向先端部を形成し、かつ前記切り出し部(102e')は、側面視で、前記シールド(102)の長手方向軸(X)に沿って前記軸方向先端部から延在する平板部と、前記シールド(102)の前記管状基端部に繋がる湾曲部と、呈し、前記圧力センサ素子(108)は、前記平板部の領域に位置するように前記微小電気機械システム(108a)を有するとともに、前記シールド(102)の前記軸方向先端部に前記圧力センサ素子(108)の先端面が表れている、センサアッセンブリ(1)。
【請求項3】
前記フィラー材(110)は、生体適合性を有する、請求項1又は2に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項4】
前記シールド(102)の前記管状基端部は、長円形の断面を呈する、請求項1又は2に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項5】
前記シールド(102)の内容積内を通過するように延在するフレキシブルプリント回路基板(106)を備え、前記圧力センサ素子(108)は、前記フレキシブルプリント回路基板(106)の支持部(106b)の上に設置され、前記フレキシブルプリント回路基板(106)及び前記圧力センサ素子(108)のそれぞれの一部は、材料が硬化するときに前記フレキシブルプリント回路基板(106)及び前記圧力センサ素子(108)が前記シール(102)との固定関係が保持されるように、前記フィラー材(110)に埋め込まれている、請求項1又は2に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項6】
前記シールド(102)の前記管状基端部の内側にある前記フィラー材(110)は、体液又は組織が前記シールド(102)の基端側開口部(102a)を通過するのを防ぐように、前記基端側開口部(102a)をシールする、請求項1又は2に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項7】
前記湾曲部は、側面視でS形状である、請求項2に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項8】
前記生体適合性を有する薄膜層(108b)は、20と200nmの間のサブミクロン厚さを有する、請求項1又は2に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項9】
前記生体適合性を有する薄膜層(108b)は、Al2O3+TiO2を含んでいる、請求項1、2、又は8に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項10】
前記シールド(102)の前記管状基端部の基端部分(102a)は、カテーテルホース(104)の先端部分に挿入して係合するように構成され、前記シールド(102)の前記管状基端部及び前記カテーテルホース(104)はいずれも、係合する際に相互に回転しないように、長円形の断面を呈する、請求項1又は2に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項11】
前記圧力センサ素子(108)の前記先端面と前記シールド(102)の前記軸方向先端部との距離は、約0.1mmである、請求項1又は2に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項12】
前記シールド(108)は、ステンレス鋼で構成されている、請求項1又は2に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項13】
前記シールド(102)は、約5から10mmの軸長を有している、請求項12に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項14】
前記シールド(102)の前記管状基端部は、約1.2mmの外径を有する、請求項13に記載のセンサアッセンブリ(1)。
【請求項15】
請求項1又は2に記載のセンサアッセンブリ(1)を備え、
カテーテルホースは、その先端部分が前記センサアッセンブリのシールド(102)の基端部分(102a)に対して外嵌され、
前記カテーテルホースの先端部分及び前記センサアッセンブリのシールドの基端部分(102)は、相互に回転しないように、整合する長円形の断面を有する、センサユニット。
【請求項16】
前記センサアッセンブリ(1)が取り付けられた前記カテーテルホースは、長円形の断面のチューブまたはカニューレを通して挿入できるように構成されている、請求項15に記載のセンサユニット。
【請求項17】
前記カテーテルホース(104)の内容積内の長さを通過して延在するフレキシブルプリント回路基板を備え、前記センサアッセンブリ(1)の前記圧力センサ素子(108)は、前記フレキシブルプリント回路基板(106)の支持部(106b)の上に設置されている、請求項15に記載のセンサユニット。
【請求項18】
前記フレキシブルプリント回路基板(106)及び前記圧力センサ素子(108)のそれぞれの一部は、材料が硬化するときに前記フレキシブルプリント回路基板(106)及び前記圧力センサ素子(108)が前記シール(102)との固定関係が保持されるように、前記フィラー材(110)に埋め込まれている、請求項17に記載のセンサユニット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液や組織を生体内においてモニタリングするためのセンサアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
人や動物の体において、液体や組織の圧力をモニター可能にすることで医学上の利点が得られる場所が多くある。例えば、患者の健康状態を理解したり、患者の頭部液体内や嚢、筋肉コンパートメント、循環器系における圧力に対する治療効果を理解したりすることにおいて、極めて有益である。こうした有益な点ゆえに、患者の体内に挿入でき、圧力測定値を提供することができる圧力モニタリングシステムが開発されてきている。
【0003】
多くの場合、従来の圧力モニタリングシステムは、カテーテルの先端に圧力センサ素子を備える。シーラント(例えば、シリコーンジェルを備える)が、圧力伝達媒体を提供するためにセンサ素子上に設けられ、センサ素子をシールする。この種の装置が持つ問題として、シーラントが変形しやすく、結果として効果的なシールを行えないため、測定対象の液体がセンサアッセンブリ内及びセンサ素子の表面上に漏れることが挙げられる。この漏れによって、センサ素子やその電気接続/回路が損傷し、使用不能になってしまう可能性がある。また、センサアッセンブリは、特にシーラントが変形可能なことによるヒステリシス効果のため、信頼できない圧力測定値を示す場合がある。このヒステリシス効果は、液体漏れによって更に悪化する。また、微少なフレキシブルチップが使用中に屈曲することにより、圧力測定に乱れが生じ、好ましくない信号が圧力検出系に入り込むことになる。
【0004】
本発明は、従来技術の問題点の1つ以上を少なくともある程度緩和することを目的としている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、添付の請求の範囲に示されている。
【0006】
本発明の態様によれば、体液又は組織の生体内モニタリングのためのセンサアッセンブリであって、微小電気機械システム(MEMS)を備えると共に使用中に体液又は組織の圧力を検出するように配置された圧力センサ素子と、使用中に保護すると共に前記圧力センサ素子が変形することを防ぐために、自身の内容積内に前記圧力センサ素子を収めるように概して前記圧力センサ素子を囲むシールドと、を備え、前記圧力センサ素子は、前記体液、組織、又はその生体物質による前記圧力センサ素子の表面の腐食及び/又は汚れを防止するための生体適合性を有する薄膜層を備え、前記圧力センサ素子及び前記シールドは、相互に固定関係にある、センサアッセンブリが提供される。
【0007】
本発明は、体液や組織又はその生体物質による潜在的な腐食及び/又は汚れからセンサ素子を保護する生体適合性を有する薄膜層を提供する。センサ素子はまた、センサ素子と固定関係にある周囲のシールドによって保護されている。シールドは、例えばセンサチップが屈曲やねじれることによってセンサ素子(及び好ましくはその電気接続)に加わるストレスを減じることや取り除くのに十分な剛性を有する「強化材」である。よって、センサ素子の圧力検知部の有害なたわみ及びそれによる測定誤差に繋がる可能性があるセンサ素子の不意の機械的ストレスを、防止することができる。従って、不正確な圧力測定及びセンサの損傷が避けられる。
【0008】
従って、生体適合性を有する薄膜層及びシールドが共に相乗効果的に機能し、センサ素子を腐食/生物付着及び機械的なストレスから保護する。有利な点として、本明細書にて記載したような従来センサの問題を有するシーラントを、省くことができる。よって、本発明のセンサアッセンブリは、より改善された測定精度と共により良い信頼性及び効率のよいシステムを提供する。
【0009】
センサアッセンブリは、圧力センサ素子をシールドの内容積内において支持する支持体を備えてもよく、シールドは、支持体の剛性より大きな剛性を持つ。支持体は、プリント回路基板(PCB)の部分を備えても良い。好ましくは、シールドは、圧力センサ素子及び圧力センサ素子と関連回路(例えばプリント回路基板)との間の電気的な相互接続に加わる好ましくないストレスを減じることや取り除くのに十分な剛性又は硬さを有する。シールド構造は、圧力センサ素子よりも高い剛性を有してもよい。
【0010】
圧力センサ素子は、シールドの内容積内の空洞を埋めるフィラー材によってシールドに対して固定されていてもよい。シールドは、チューブを構成してもよい。チューブは、長円形の断面を有する。圧力センサ素子は、チューブの第1の端部開口部の近傍に配置されてもよい。存在する場合には、フィラー材は、第2の端部開口部を通じて体液や組織が移動することを防止するようにチューブの第2の端部開口部をシールするように配置されてもよい。フィラー材は、硬化接着剤であってもよい。接着剤は、生体適合性を有する。
【0011】
チューブは、第1の端部開口部と交差する開口窓を形成する切り出し部を備えてもよく、圧力センサ素子は、この開口窓の下に位置する。切り出し部は、チューブの長手方向軸に対して傾いていてもよい。または、切り出し部は、側面視でS字形状となるように平板部及び湾曲部を備えていてもよい。切り出し部によって設けられる開口窓により、液体の流れ及び/又は循環が改善され、改善された測定対象の組織との接触が可能となる。これにより、組織や体液又はその生体材料による圧力センサ素子の詰まりを防止するのに役立ち、センサ素子の機能に干渉する望ましくないガス状泡がセンサ素子上に形成されるのを防止することができる。シールド及び開口窓は、圧力センサ素子からのアーティファクトが軟骨や骨、繊維組織などの体内のより密集した構造体と接触するのを防止する。
【0012】
生体適合性を有する薄膜層は、サブミクロンの厚さを有してもよい。上記層の厚さは、20と200nmの間であってもよい。上記層の厚さは、約30nmであってもよい。上記層は、コーティングを備えてもよい。上記層は、Al-Ti酸化物を含んでもよい。上記層は、Al2O3+TiO2を含んでいてもよい。圧力センサ素子の腐食及び/又は生物付着を防止する(又は少なくとも減じる)ことも可能な薄膜層に対して、他の生体適合性を有する材料を使用してもよい。上記薄膜層に対する他の好適な材料の例としては、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)やヒドロキシアパタイト(HA)、シリコンカーバイト(SiC)、パリレンが挙げられるが、これらに限らない。上記薄膜層は、これら好適な材料のいずれかの組み合わせを含むサンドイッチ構造を備えてもよい。
【0013】
本発明の態様によれば、本明細書で上記したようなセンサアッセンブリと、前記センサアッセンブリのシールドに接続されるように構成されたカテーテルホースとを備えるセンサシステムが提供される。前記シールドとカテーテルホースはそれぞれ長円形の断面を備えてもよく、シールドの端は、カテーテルホースの端に挿入可能であり、前記システムは、前記カテーテルホースを受けるための長円形の断面を有するチューブ又はカニューレを備え、前記シールドの端がカテーテルホースの端に挿入されてカテーテルホースがチューブ又はカニューレに挿入されるとき、前記チューブ又はカニューレの長手方向軸を中心に前記圧力センサ素子が回転するのを防ぐ。有利な点として、楕円形状によって、圧力センサ素子がカニューレに対して回転することが防止され、これによって、挿入中及び取出し中における圧力センサ素子の位置的及び/又は方向的な制御が改善する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
実施形態を、例示のみを目的として、添付図面を参照して説明する。この図面において:
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態によるセンサアッセンブリの透視切欠き図を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1のセンサアッセンブリの縦断面図を示す図である。
【
図3】
図3a及び
図3bは、本発明の第2の実施形態によるセンサアッセンブリのそれぞれ透視切欠き図と縦断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び
図2に示すように、センサアッセンブリ1は、支持端部102aと自由端部102bを有する細長い強化チューブ102を備える。本実施形態において、強化チューブ102は、AISI316ステンレス鋼で構成されている。強化チューブ102は、長さ約5mm、外径約1.2mm、壁の厚さ約0.1mmを有する。(他の実施形態においては、長さは約5から10mmの間であってもよい)。
【0016】
支持端部102aは、強化チューブ102がカテーテルホース104の外側に延在するように、カテーテルホース104の端内に挿入される。強化チューブ102の端開口部102cは、自由端部102bの末端においてリップ102dによって形成されている。本実施形態において、斜め切り出し部102eは、強化チューブ102に対して傾いた面においてリップ102dから自由端部102bに沿って延在し、これにより、端開口部102cと交差する半楕円形の開口窓102fを形成する。
【0017】
概して平坦なフレキシブルプリント回路基板(PCB)106は、フレキシブルPCB106の端106aが端開口部102cに配置されるように、強化チューブ102の長手方向軸Xに実質的に平行な面に位置するとともに、強化チューブ102の内部を通過するようにカテーテルホース104から延在する。より詳細には、フレキシブルPCB106の端106aは、リップ102dから短い距離d(例えば、約0.1mm)において自由端部102bの内部に位置する。すなわち、端106aは、強化チューブ102から突き出ていない。
【0018】
圧力センサ素子108は、フレキシブルPCB106の端106aまで延在するフレキシブルPCB106の支持部106bの頂点に装着されている。圧力センサ素子108は、微小電気機械システム(MEMS)を備える。本実施形態において、MEMSは、ダイアフラム108aの膜によって覆われた(すなわち、下に配設された)埋め込みピエゾ抵抗素子及びパッド、導体(
図1及び
図2においては不可視)を備える。ダイアフラム108aは、センサアッセンブリ1の使用中に体液や組織によってダイアフラム108aに加わる圧力によって屈曲するように構成されている。ピエゾ抵抗素子は、加わった圧力が測定できるようにダイアフラム108aの屈曲を検出するように構成されている。
【0019】
生体適合性を有する薄膜層108bは、ダイアフラム108aを覆うようにダイアフラム108aの上に延在している。本実施形態において、薄膜層108bは、Al2O3+TiO2を含んでいる。本実施形態において、薄膜層108bは、約30nmの厚さを有する。または、薄膜層108bがどのような構成材料で形成されていても、典型的には、厚さは、20から200nmの間の値をとってもよく、またはそれよりも厚くてもよい。典型的には、厚さは、サブミクロンの厚さとなる。使用中において、薄膜層108bは、圧力センサ素子108の表面の体液や組織またはその生体物質による腐食及び/又は汚れを阻む(及び好ましくは防ぐ)。従って、薄膜層108bは、圧力センサ素子108の表面が損傷しないように、圧力検知ダイアフラム108a及びピエゾ抵抗素子、パッド、導体を保護するように覆う。
【0020】
または、パッド及び導体は、ピエゾ抵抗素子がダイアフラム108aによって覆われる(すなわち、ダイアフラム108aの下に配設される)ようにダイアフラム108aの上に(すなわち、上方に)配設されてもよい。この場合、生体適合性を有する薄膜層108bは、ダイアフラム108aとともにパッド及び導体を直接覆うことになる。
【0021】
圧力センサ素子108は、本実施形態においては金で形成されている複数の線106cによって、フレキシブルPCB106と電気的に接続されている。または、線は、当業者にとって明らかであるような、例えばアルミニウムなどの他の金属で形成されていてもよい。線106cの端は、圧力センサ素子108及びフレキシブルPCB106の過渡領域において、圧力センサ素子108とフレキシブルPCB106に結合している。強化チューブ102の剛性は、過渡領域の剛性より大きい。線106cの端は、また、本明細書中で後述するようなグロブトップ106dによって保護されている。
【0022】
圧力センサ素子108の端は、フレキシブルPCB106の端と位置合わせをされている。従って、圧力センサ素子108の一部は、端開口部102cに隣接して配設されており、特に、圧力センサ素子108の一部は、自由端部102bの半楕円形の開口窓102fの下に位置する。圧力センサ素子108において、リップ102dを超えたり半楕円形の開口窓102fの外に出るように突き出たりするような部分は存在しない。すなわち、圧力センサ素子108は、その全てが、強化チューブ102の内容積内に収容されている。従って、強化チューブ102は、圧力センサ素子108の周辺において保護シースまたはシールドを提供する。言い換えれば、圧力センサ素子108は、強化チューブ102によって保護されるように覆われている。
【0023】
本実施形態において、硬化エポキシ接着剤110は、強化チューブ102の内容積の大部分を占めており、フレキシブルPCB106と圧力センサ素子108のそれぞれの一部は、PCB106及び圧力センサ素子108と強化チューブ102とが実質的に固定関係に維持されるように、エポキシ接着剤110に埋め込まれている。圧力センサ素子108のダイアフラム108aは、エポキシ接着剤110によって覆われておらず、使用中において、ダイアフラム108aは、体液や組織に触れることができ、上記したように、その圧力によって屈曲可能である。
【0024】
センサアッセンブリ1は、患者の状態を評価するために、患者の体の様々な場所における液体や組織Fの圧力レベルを監視するのに使用することができる。例えば、カテーテルホース104及び強化チューブ102(圧力センサ素子108を含む)を、尿路を経て患者の嚢内へと従来の方法で挿入してもよい。本発明のセンサアッセンブリ1は、患者の腹壁を経て恥骨上挿入に対しても好適である。センサアッセンブリ1は、適切な技術を用いて体の他の部位に挿入することもできることを理解されたい。保護強化チューブ102は、圧力センサ素子108の変形や損傷に繋がるような、圧力センサ素子108と例えば体の組織や異物との衝撃を防止する。
【0025】
センサアッセンブリ1が圧力を監視するために所定の位置に設置されると、監視対象の体液や組織Fが端開口部102cと半楕円形の開口窓102fを通じて圧力センサ素子108のダイアフラム108aと直接接触することができるようになり、正確な圧力測定を実施することが可能になる。センサアッセンブリ1は、患者の体の外に設置されるとともに信号処理部を備える電子モジュール(図には示されていない)に接続される。または、電子モジュールは、圧力センサ素子108から所定の距離において患者の体の内部又は皮膚の下に配置されてもよく、信号がモジュールから外部受信部に対して無線で送信されてもよい。圧力測定値を、例えば、数時間や数日、数年にわたる期間の間、圧力センサ素子108から得ることができ、信号処理部で処理される。圧力検知素子108aは圧力を監視し、強化チューブ102の内容積内にある固形エポキシ接着剤110は、カテーテルホース104及びフレキシブルPCB106内に液体が漏れ出すことを防止するシールを提供する。
【0026】
圧力監視期間が終わると、センサアッセンブリ1は患者の体から取り出される。強化チューブ102は、圧力センサ素子108が衝撃を受けたり、ゆがんだり、損傷したりすることから保護する。
【0027】
本明細書中で上述した実施形態では、圧力センサ素子を保護するための円筒状シースを備えるが、当業者であれば、圧力センサ素子に対するゆがみや損傷を防ぐような適切な保護が提供される限りにおいて、シールド構造は様々な形状の中からどのようなものを採用してもよいことは理解されたい。好ましくは、シールド構造(例えば、円筒状をなすシース)は、圧力センサ素子及び圧力センサ素子-PCB間の電気的接続に加わる好ましくないストレスを減じ又は取り除き、圧力測定誤差を防止するのに十分な剛性や硬さを有する。
【0028】
圧力センサ素子(上述した実施形態においては、ダイアフラム)の少なくとも一部が、媒体の圧力を特定するために監視対象の媒体(例えば、体液や組織など)と圧力センサ素子が接触できるように露出している限りにおいて、圧力センサ素子は、様々な方法の中からどのような方法で保護的な構造内において構成され固定されていてもよく、これら全ては本願発明の範囲内にあることを理解されたい。
【0029】
図3a及び
図3bに示すように、本発明の別の実施形態は、強化チューブ102の切り出し部の形に関して上記実施形態と異なる。本実施形態において、切り出し部102e'は、開口窓102f'を画定し、切り出し部102e'が側面視(
図3bで最もよく示されているように)で概してS形状となるように、強化チューブ102の長手方向軸Xと実質的に平行に延在する平坦部と湾曲部とを備える。この切り出し部の形態は、センサ素子108上の開口窓102f'内において、もし存在すればセンサ素子108の機能に干渉する可能性がある気体の泡が形成されるのを防止することに関して特に効果的であると考えられる。
【0030】
本発明によるセンサアッセンブリ1は、以下の手順に従って作られてもよい。
【0031】
圧力センサ素子108は、圧力センサ素子108の端がフレキシブルPCB106の端と面一となるように、フレキシブルPCB106の支持部106bに装着される。線106cの端は、フレキシブルPCB106と圧力センサ素子108に結合され、それらの間に電気接続を提供できるようにする。グロブトップ106dは、線106cが残りのアッセンブリ処理の間に所定の位置に留まるように設けられ、これにより線106cが短絡や断線する可能性を減らすことができる。
【0032】
装着され電気的に接続された圧力センサ素子108を伴うフレキシブルPCB106が、フレキシブルPCB106の端と圧力センサ素子108の端が自由端部102bのリップ102dから上記距離dとなり、圧力センサ素子108が半楕円形の開口窓102f(又は、開口窓102f')の下に位置するまで、強化チューブ102の自由端部102b内に引き入れられる。エポキシ接着剤110が加えられ、圧力センサ素子108(電気的接続の端とグロブトップ106dのみ)及びフレキシブルPCB106と、強化チューブ102の内壁102gとの間の空洞が埋められる。エポキシ接着剤110は、フレキシブルPCB106と圧力センサ素子108を周辺の強化チューブ102に対して所定の位置に固定し、維持するために、固化される。
【0033】
フレキシブルPCB106と圧力センサ素子108が固定可能なように装着された状態で、強化チューブ102の支持端部102aは、カテーテルホース104内に引き入れられ、ぴったりと嵌合するようにそこに維持される。強化チューブ102とカテーテルホース104の寸法は、機械的に安定した接合をもたらし、強化チューブ102とカテーテルホース104との間で液体の漏れが無いように、選択的に一致されている。
【0034】
本発明を好ましい実施形態に関して説明してきたが、本発明は、添付の請求の範囲で定義されているような発明の範囲から離れること無く、様々な方法で変形してもよいことを理解されたい。
【0035】
強化チューブ102は、実質的にAISI316L低炭素鋼で作られてもよい。または、強化チューブ102は、実質的に、金属や金属合金よりも長期間生体内で使用することに適した材料であるプラスチックで作られてもよい。更に、当業者にとっては、複合材料など他の材料が強化チューブ102に使用するのに適していることは明らかであり、これら全ては本願発明の範囲内にあることは明らかである。
【0036】
線は省略されてもよく、代わりに、圧力センサ素子108がフリップチップボンディングによってフレキシブルPCB106と電気的に接続されてもよい。この場合、組立中は、金製バンプがフレキシブルPCB106又は圧力センサ素子108のどちらかの接合パッド上に設けられる。そして、圧力センサ素子108は、反転され、接合パッドが金製バンプと接合されてパッド-バンプ-パッドの層を形成するように、フレキシブルPCB106上に押圧される。
【0037】
センサ素子108は、アンダーフィルエポキシ接着剤を使用して更に固定してもよい。これにより、圧力センサ素子108の機械的固定性及び電気接続が確実になる。
【0038】
上記実施形態において、圧力センサ素子108及び強化チューブ102は、主に硬化エポキシ接着剤110によって互いに固定関係を維持している一方で、この固定関係は、完全に又は部分的に異なる手段によって実現されていてもよく、これら全ては本願発明の範囲内にあることは理解されたい。例えば、いくつかの硬い支持体が、圧力センサ素子108と強化チューブ102を接合又は接続するために提供されてもよい。または、圧力センサ素子108を支持する支持部106bを備えるフレキシブルPCB106は、圧力センサ素子108と強化チューブ102との間において効果的な固定関係を提供するために、十分に硬いものであってもよい。固形エポキシ接着剤110が無いので、別のシール手段をカテーテルホース104及びフレキシブルPCB106内への液体の漏れ防止のために設けてもよい。
【0039】
強化チューブ102の切り出し部は、センサ素子上へ開口窓を提供することができる様々な形態としてもよく、これら全ては本願発明の範囲内にあることを理解されたい。
【0040】
ある実施形態において、センサアッセンブリ1は、カテーテルを備え、PCB106は、カテーテルの壁に埋め込まれた薄い(例えば、金の)線に置き換えられる。
【0041】
上述の内容は、次のように特定することもできる。
(1)
体液又は組織(F)を生体内においてモニタリングするためのセンサアッセンブリ(1)であって、
微小電気機械システム(MEMS)を備えると共に使用中に体液又は組織(F)の圧力を検出するように配置された圧力センサ素子(108)と、
使用中に保護すると共に前記圧力センサ素子(108)が変形することを防ぐために、シールド(102)の内容積内に前記圧力センサ素子(108)を収めるように概して圧力センサ素子を囲むシールド(102)と、を備え、
前記圧力センサ素子(108)は、前記体液、組織(F)、又はその生体物質による前記圧力センサ素子(108)の表面の腐食及び/又は汚れを防止するための生体適合性を有する薄膜層(108b)を備え、
前記圧力センサ素子(108)は、その一部が前記シールド(102)の前記内容積内の空洞を埋める硬化性接着材であるフィラー材(110)に埋め込まれ、かつ前記フィラー材(110)が硬化することによって、前記シールド(102)に対して堅固に固定される、センサアッセンブリ(1)。
(2)
前記フィラー材(110)は、生体適合性を有する、上記(1)に記載のセンサアッセンブリ(1)。
(3)
前記シールド(102)は、長円形の断面を有するチューブを構成する、上記(1)又は(2)に記載のセンサアッセンブリ(1)。
(4)
前記圧力センサ素子(108)を前記チューブの内容積内に支持しかつ前記チューブの内部を通過するように延在するフレキシブルプリント回路基板(106)を備え、
前記フレキシブルプリント回路基板(106)は、前記フィラー材(110)が硬化することによって、前記圧力センサ素子(108)とともに、前記チューブに対して固定される、上記(3)に記載のセンサアッセンブリ(1)。
(5)
前記圧力センサ素子(108)は、前記チューブの第1の端部開口部(102c)に隣接して配置されている、上記(3)又は(4)に記載のセンサアッセンブリ(1)。
(6)
前記フィラー材(110)は、前記チューブの端部開口部であって前記第1の端部開口部とは異なる端部側の第2の端部開口部をシールし、前記第2の端部開口部を通じた前記体液又は組織(F)の通過を防止するために配置されている、上記(5)に記載のセンサアッセンブリ(1)。
(7)
前記チューブは、前記第1の端部開口部(102c)と交差する開口窓(102f;102f')を形成する切り出し部(102e;102e')を備え、前記圧力センサ素子(108)は、前記開口窓(102f;102f')の下に位置する、上記(5)又は(6)に記載のセンサアッセンブリ(1)。
(8)
前記切り出し部(102e)は、前記チューブの長手方向軸(X)に対して傾いている、上記(7)に記載のセンサアッセンブリ(1)。
(9)
前記切り出し部(102e')は、側面視でS形状となるように平板部及び湾曲部を備える、上記(7)に記載のセンサアッセンブリ(1)。
(10)
前記生体適合性を有する薄膜層(108b)は、サブミクロンの厚さを有し、20と200nmの間の厚さを有する、上記(1)から(9)のいずれか一つに記載のセンサアッセンブリ(1)。
(11)
前記生体適合性を有する薄膜層(108b)は、Al2O3+TiO2を含んでいる、上記(1)から(10)のいずれか一つに記載のセンサアッセンブリ(1)。
(12)
上記(1)から(11)のいずれか一つに記載のセンサアッセンブリ(1)と、
前記センサアッセンブリ(1)の前記シールド(102)に接続されるように構成されたカテーテルホース(104)と、を備えるセンサシステム。
(13)
前記シールド(102)の端は、前記カテーテルホース(104)の端に挿入可能であり、
前記シールド(102)と前記カテーテルホース(104)はそれぞれ長円形の断面を備えることで、前記カテーテルホース(104)の長手方向軸を中心に前記圧力センサ素子(108)が回転するのを防ぐ、上記(12)に記載のセンサシステム。
(14)
前記システムは、前記カテーテルホース(104)を受けるための長円形の断面を有するチューブ又はカニューレを備え、
前記シールド(102)の端が前記カテーテルホース(104)の端に挿入されて前記カテーテルホース(104)が前記チューブ又はカニューレに挿入されるとき、前記チューブ又はカニューレの長手方向軸を中心に前記圧力センサ素子(108)が回転するのを防ぐ、上記(13)に記載のセンサシステム。
(15)
体液又は組織(F)を生体内においてモニタリングするためのセンサアッセンブリ(1)であって、
微小電気機械システム(MEMS)を備えると共に使用中に体液又は組織(F)の圧力を検出するように配置された圧力センサ素子(108)と、
使用中に保護すると共に前記圧力センサ素子(108)が変形することを防ぐために、シールド(102)の内容積内に前記圧力センサ素子(108)を収めるように概して圧力センサ素子を囲むシールド(102)と、を備え、
前記圧力センサ素子(108)は、前記体液、組織(F)、又はその生体物質による前記圧力センサ素子(108)の表面の腐食及び/又は汚れを防止するための生体適合性を有する薄膜層(108b)を備え、
前記シールド(102)は、長円形の断面を有するチューブを構成し、
前記圧力センサ素子(108)は、前記チューブの第1の端部開口部(102c)に隣接して配置され、
前記圧力センサ素子(108)は、その一部が前記シールド(102)の前記内容積内の空洞を埋める硬化性接着材であるフィラー材(110)に埋め込まれ、かつ前記フィラー材(110)が硬化することによって、前記シールド(102)に対して堅固に固定され、
前記シールド(102)に接続されるように構成されたカテーテルホース(104)を備え、
前記シールド(102)の端は、前記カテーテルホース(104)の端に挿入可能であり、
前記シールド(102)と前記カテーテルホース(104)はそれぞれ長円形の断面を備えることで、前記カテーテルホース(104)の長手方向軸を中心に前記圧力センサ素子(108)が回転するのを防ぐ、センサアッセンブリ(1)。
(16)
前記チューブは、前記第1の端部開口部(102c)と交差する開口窓(102f;102f')を形成する切り出し部(102e;102e')を備え、前記圧力センサ素子(108)は、前記開口窓(102f;102f')の下に位置する、上記(15)に記載のセンサアッセンブリ(1)。
(17)
前記切り出し部(102e)は、前記チューブの長手方向軸(X)に対して傾いている、上記(16)に記載のセンサアッセンブリ(1)。
(18)
前記切り出し部(102e')は、側面視でS形状となるように平板部及び湾曲部を備える、上記(16)に記載のセンサアッセンブリ(1)。
(19)
前記カテーテルホース(104)を受けるための長円形の断面を有するチューブ又はカニューレを備え、
前記シールド(102)の端が前記カテーテルホース(104)の端に挿入されて前記カテーテルホース(104)が前記チューブ又はカニューレに挿入されるとき、前記チューブ又はカニューレの長手方向軸を中心に前記圧力センサ素子(108)が回転するのを防ぐ、上記(15)から(18)のいずれか一つに記載のセンサアッセンブリ(1)。