(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059110
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】転倒防止具
(51)【国際特許分類】
A47B 97/00 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
A47B97/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166628
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】518102849
【氏名又は名称】河津 ▲頼▼實
(74)【代理人】
【識別番号】100199668
【弁理士】
【氏名又は名称】林 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】河津 ▲頼▼實
(57)【要約】 (修正有)
【課題】設置場所の自由度が高く、耐用年数も永いうえに、地震などによる振動で家屋や家具が破損し難い転倒防止具を提供する。
【解決手段】壁面などに固定する第1の固定部10と、家具類に固定する第2の固定部20と、第1の固定部10の壁面などに当接する面である第1の裏面11ではないもう一方の面である第1の表面12に設けられた第1の係止部15と、第2の固定部20の家具類に当接する面である第2の裏面21ではないもう一方の面である第2の表面22に設けられた第2の係止部25と、第1の係止部15と第2の係止部25との間に掛け渡されるベルト部30とを具備する転倒防止具1であって、第1の係止部15と第2の係止部25が、第1の表面12と第2の表面22に其々立設された其々1組の立設部13,23と、立設部間に架設される掛け渡し部14,24とからなり、掛け渡し部14,24が弾性体である構成からなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面や柱に固定する第1の固定部と、家具類に固定する第2の固定部と、前記第1の固定部の壁面や柱に当接する面である第1の裏面ではないもう一方の面である第1の表面に設けられた第1の係止部と、前記第2の固定部の家具類に当接する面である第2の裏面ではないもう一方の面である第2の表面に設けられた第2の係止部と、前記第1の係止部と前記第2の係止部との間に掛け渡されるベルト部とを具備する転倒防止具であって、前記第1の係止部と前記第2の係止部が、前記第1の表面と前記第2の表面に其々立設された其々1組の立設部と、前記立設部間に架設される掛け渡し部とからなり、前記掛け渡し部が弾性体からなることを特徴とする転倒防止具。
【請求項2】
前記掛け渡し部は、前記立設部間に着脱自在に架設されていることを特徴とする請求項1に記載の転倒防止具。
【請求項3】
前記立設部の前記掛け渡し部を架設する面である架設面と、前記第1の裏面もしくは前記第2の裏面とが水平な関係にないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転倒防止具。
【請求項4】
前記架設面と、前記第1の裏面及び前記第2の裏面とが水平な関係にないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転倒防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種家具、本棚、各種機器などが地震等による振動で転倒することを防止する転倒防止具に関し、詳しくは、家具などの転倒を防止すると共に、地震などによる建物や家具に対する振動を吸収する効果も有する転倒防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、地震時などにおいて、家具の転倒を防止するために数々のものが提案されている。例えば、L字型座金部材の背面を家具及び柱に沿わせて、それぞれ家具及び柱に蝶着し固定する、所謂、L字型金具が一般的である。しかし、L字型金具を取り付けて一定の効果を期待するためには、間柱など強度を有する柱に固定することが必要であるため設置個所が限定される問題と、一度設置した後に家具を移動する場合の作業が煩雑である問題があった。
【0003】
また、特許文献1には、壁面にクッション部を介して貼り付けられた固定側部材と、固定側部材に対してクッション部の圧縮方向で位置決められ、家具の上面に取り付けられる支持体側部材と、固定側部材及び支持体側部材に各別に結合されて両者間を連結する連結部材を備えた耐震支持具(転倒防止具)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の転倒防止具では、クッション部にウレタン製スポンジ等の弾性体が採用されていることから、耐用年数が短く、耐用年数が到来する度に交換する必要があった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、設置場所の自由度が高く、設置後の家具移動作業も煩雑でなく、耐用年数も永いうえに、地震などによる振動で家屋や家具が破損し難い転倒防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために案出されたものである。詳述するならば、壁面や柱など家屋に固定する矩形板状からなる第1の固定部と、家具類や什器など転倒を防止するものに固定する矩形板状からなる第2の固定部と、前記第1の固定部の壁面や柱に当接する面である第1の裏面ではない、もう一方の面である第1の表面に設けられた第1の係止部と、前記第2の固定部の家具類に当接する面である第2の裏面ではない、もう一方の面である第2の表面に設けられた第2の係止部と、前記第1の係止部と前記第2の係止部との間に掛け渡されるベルト部とを具備する転倒防止具であって、前記第1の係止部と前記第2の係止部が、前記第1の表面と前記第2の表面に其々立設された其々1組の立設部と、前記立設部間に架設される掛け渡し部とからなり、前記掛け渡し部がポリカーボネイト系の合成樹脂やばね鋼などの弾性体からなることを特徴とする転倒防止具。
【0008】
本発明の転倒防止具は、弾性体を介して家具類を家屋に固定していることで、地震等の振動で家屋や家具などの被固定物が破損し難いことと共に、ポリカーボネイトやばね鋼などの弾性体を使用することで耐用年数を永く、一度設置した後であってもベルト部を容易に取り外すことが出来るため家具の移動が容易となる効果がある。
【0009】
本発明には、前記掛け渡し部が、前記立設部間に着脱自在に架設されている構成が含まれる。
【0010】
本発明の転倒防止具は、掛け渡し部が立設部に着脱自在の構成であるために、被固定物の重量等によって弾性体である掛け渡し部を選択交換することが出来ると共に、合成樹脂製を選択した場合に、耐用年数が到来した時は、掛け渡し部のみ交換することで対応可能となる効果がある。
【0011】
本発明には、前記立設部の前記掛け渡し部を架設する面である架設面と、前記第1の裏面もしくは前記第2の裏面の一方が水平な関係にない構成が含まれる。
【0012】
本発明の転倒防止具は、壁面や柱などの家屋と、家具類や什器などの被固定物に第1及び第2の固定部を付設する場所に合わせ、架設面に所要の角度を付けることでより弾性体の作動きがスムーズになる効果がある。
【0013】
本発明には、前記架設面と、前記第1の裏面及び前記第2の裏面の両方共に水平な関係になく角度を持たせた構成が含まれる。
【0014】
本発明の転倒防止具は、上述した一方が水平な関係にない固定具よりさらに、固定部を付設する場所に合わせ易くなることで、弾性体の作動がスムーズになり、設置個所の自由度が増す効果がある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の転倒防止具は、設置場所の自由度が高く、耐用年数も永いうえに、地震などによる振動で壁や柱などの家屋や、家具類や什器などの被固定物が破損し難く、一度設置した後であっても、ベルト部の取外しが容易なために家具の移動が容易であり、さらに、簡易タイプであるために経済的負担も少ない効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る転倒防止具を組み立てた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に係る転倒防止具のベルト部を取り外した状態を示す平面図である。
【
図3】
図1に係る転倒防止具の使用状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3に係る使用例以外の他の実施形態を示す部分拡大正面図である。
【
図5】
図4に係る使用例以外の他の実施形態を示す部分拡大正面図である。
【
図6】本発明に係る一方の固定部に掛け渡し部を架設した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。ただし、図面は模式的に図示しており、実際の寸法や比率等とは必ずしも一致しない。また、図面相互間において、お互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることがある。
なお、本実施形態において、転倒防止具の使用状態で係止部のある側を表側、家屋や家具側を裏側ということとする。
【0018】
(実施形態)
図1乃至
図3に示されるように、本実施形態に係る転倒防止具1は、壁面100や柱200など家屋に固定する矩形板状からなる第1の固定部10と、家具類300や什器(図示せず)など転倒を防止するものに固定する矩形板状からなる第2の固定部20と、第1の固定部10の壁面や柱に当接する面である第1の裏面11ではない、もう一方の面である第1の表面12に設けられた第1の係止部15と、第2の固定部20の家具類300に当接する面である第2の裏面21ではない、もう一方の面である第2の表面22に設けられた第2の係止部25と、第1の係止部15と第2の係止部25との間に掛け渡されるベルト部30とで形成されている。
【0019】
また、第1の係止部15と第2の係止部25は、第1の表面12と第2の表面22に其々立設された各々1組の平面視略矩形状の立設部13,13,23,23と、その立設部間に架設される平板状の掛け渡し部14,24とからなり、その掛け渡し部14,24は、ポリカーボネイト系の合成樹脂や、ばね鋼などの弾性体で形成すればよい。
【0020】
掛け渡し部14,24は、立設部13,13,23,23に固定ネジ41で着脱自在に螺着されている。第1の固定部10に係る掛け渡し部14と、第2の固定部20に係る掛け渡し部24との間には、帯状のベルト部30が掛け渡され、蝶ネジ31と固定ボルト33と固定ワッシャ32,32で固定されている。
【0021】
さらに、第1の固定部10と第2の固定部20の周縁部近傍所要位置に、取付時に取付ネジ43や釘(図示せず)を使用するための固定孔42を形成している。
第1の固定部10と第2の固定部20と立設部13,13,23,23は、木材や合成樹脂のプラスチックなどで一体に形成すれば良い。
【0022】
ベルト部30は、帯状布製ベルトの所要位置に複数の孔35を形成し、孔35の内縁部を補強するための金属製のハトメ34を付設している。
ベルト部30を取付ける時には、ベルト部30の端部を掛け渡し部14,24に巻着し、2か所の孔35を重ね合わし、孔35の上下に固定ワッシャ32を配置した後に、蝶ネジ31と固定ボルト33とで螺着し固定されている。
【0023】
本実施形態では、
図4に示されるように、第1の固定部10を連結板400に取付ネジ43で固定した状態で、連結板400を壁面100に接着固定することで直接固定するより強力に固定している。また、
図5に示されるのは、第1の固定部10を連結板400に取付ネジ43で固定した状態で、さらに、連結板400を柱200に取付ネジ43で固定した場合であり、より強固に固定出来ることとなる。
【0024】
図6に示す第1の固定部10は、側面視において、立設部13の掛け渡し部を架設する面である架設面16と、第1の裏面11が水平な関係になく所用の角度を持たせて形成されている。また、同様に第2の固定部20も所用の角度を持たせた状態にすると、転倒防止具1を設置した状態で弾性体である掛け渡し部14,24の作動がスムーズとなる効果が期待できる。
【実施例0025】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で適宜変更して実施できる。
【0026】
本発明の転倒防止具1を実施するには、各部の寸法を以下の様に設定する。
具体的には、第1の固定部10と第2の固定部20の全長を180mmとし、幅は80mmとし、厚さは9mmの合板材を使用した。また、立設部13,13,23,23は、全長を50mmとし、幅は45mmとし、厚さは9mmの合板材を使用した。さらに、掛け渡し部14,24は、全長を136mmとし、幅は30mmとし、厚さは3mmのポリカーボネイト板材を使用した。最後に、ベルト部30は、全長を550mmとし、幅は40mmの布ベルトを使用し、所要位置に孔あけ及びハトメ処理を施した。
【0027】
以上本実施形態と実施例の転倒防止具は、設置場所の自由度が高く、耐用年数も永いうえに、地震などによる振動で壁や柱などの家屋や、家具類や什器などの被固定物が破損し難く、設置後の家具移動が容易であり、ベルト部の孔が複数あることで第1の固定部と第2の固定部間の距離に拘わらず対応可能であり、さらに、簡易タイプであるために経済的負担も少ない効果がある。
【0028】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、上記記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態や実施例では、固定部を平面視略矩形状と説明したが形状を限定するものではなく、円形、楕円形などの形状で作成しても良い。
【0029】
また、上記実施形態や実施例では、固定部を取付ネジや釘で家屋に固定すると説明したが、取り付け方法を限定するものではなく、例えば、接着剤や両面テープなどで接着固定することとしても良い。
【0030】
以上のように、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、材質、数量、使用用途、位置若しくは配置等に対して当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、既に開示した形状等の限定をした記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に示したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状等の限定を一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。