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特開2022-59116冷凍装置、冷凍車両、冷媒漏洩検査システム及び冷媒漏洩検査方法
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  • 特開-冷凍装置、冷凍車両、冷媒漏洩検査システム及び冷媒漏洩検査方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059116
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】冷凍装置、冷凍車両、冷媒漏洩検査システム及び冷媒漏洩検査方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20220406BHJP
   F25B 41/24 20210101ALI20220406BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20220406BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20220406BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
F25B49/02 520B
F25B49/02 520H
F25B41/04 A
F25B1/00 101E
F25B1/00 391
F25D11/00 101D
F25B49/02 D
F25D23/00 301N
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166638
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】神野 弘樹
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045LA05
3L045LA17
3L045MA08
3L045MA12
3L045NA16
3L045NA19
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
3L345AA02
3L345AA14
3L345AA23
3L345DD31
3L345DD32
3L345DD33
3L345DD35
3L345DD36
3L345DD37
3L345DD51
3L345DD52
3L345EE04
3L345EE21
3L345EE22
3L345EE33
3L345EE35
3L345EE45
3L345EE48
3L345FF21
3L345FF25
3L345FF44
3L345FF45
3L345FF48
3L345JJ07
3L345JJ16
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】冷媒漏洩を検出する機能を有する冷凍装置を提供する。
【解決手段】冷凍装置は、庫内ユニットと、庫外ユニットと、庫内ユニットと庫外ユニットとの間の冷媒の流れを遮断する遮断弁を備え、遮断弁を閉として、庫外ユニットの閉回路を形成し、庫外ユニットに冷媒を充満させ、その後、遮断弁を開として、ガス冷媒を庫内ユニットへ移動させ、再び、遮断弁を閉として、庫内ユニットにガス冷媒を閉じ込め、庫内ユニットにおける冷媒圧力低下に基づいて冷媒漏洩を検出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、コンデンサと、エバポレータと、膨張弁と、これらを接続する冷媒配管を備える冷媒回路と、
前記冷媒回路のうち、前記エバポレータが設けられた庫内ユニットと、前記圧縮機及び前記コンデンサが設けられた庫外ユニットとの間の冷媒の移動を制御する前記冷媒配管に設けられた遮断弁と、
前記遮断弁を閉にして、前記圧縮機を駆動し、前記庫外ユニットの冷媒の圧力が第1閾値に達すると、前記遮断弁を開とし、前記庫内ユニットの冷媒の圧力が第2閾値に達すると、前記遮断弁を閉とする制御部と、
前記第2閾値からの圧力低下に基づいて、前記庫内ユニットにおける冷媒漏洩の有無を判定する判定部と、
を備える冷凍装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記遮断弁を閉としてから所定時間経過後の前記庫内ユニットにおける冷媒圧力が第3閾値以下の場合、冷媒漏洩があると判定する、
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記第3閾値は、前記庫内ユニットによって制御される庫内の温度に応じて設定される、
請求項2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記遮断弁は、前記庫外ユニットに設けられている、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記遮断弁は、前記コンデンサと前記庫内ユニットを接続する前記冷媒配管と、前記圧縮機の吐出側と前記庫内ユニットを接続する前記冷媒配管と、前記庫内ユニットと前記圧縮機の吸入側を接続する前記冷媒配管と、に設けられる、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の冷凍装置。
【請求項6】
前記冷媒回路では、前記圧縮機の吐出側に設けられた前記コンデンサの冷媒流れの出口側と前記圧縮機の吸入側を接続するバイパス配管と、前記バイパス配管に設けられたバイパス弁が設けられ、前記制御部は、前記第1閾値に達するまで前記バイパス弁を開に制御する、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の冷凍装置。
【請求項7】
前記冷媒は、燃焼性を有する冷媒であって、
前記第3閾値は、前記冷媒の圧力が前記第3閾値となったときに漏洩している冷媒の量が、燃焼および爆発が発生しない量となるように設定されている、
請求項2から請求項6の何れか1項に記載の冷凍装置。
【請求項8】
前記判定部が、冷媒漏洩があると判定すると、
前記制御部は、前記庫内ユニットと前記圧縮機の吸入側を接続する前記冷媒配管に設けられた前記遮断弁を開き、所定のポンプダウン運転時間だけ圧縮機を運転することにより、前記庫内ユニット側の冷媒を前記庫外ユニットへ回収し、前記ポンプダウン運転時間の経過後、前記遮断弁を閉止する、
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の冷凍装置。
【請求項9】
前記庫内ユニットには、不燃性ガスが封入されたタンクが設けられ、
前記判定部が冷媒の漏洩ありと判定すると、
前記制御部は、前記タンクから前記不燃性ガスを放出させる、
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の冷凍装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記庫外ユニットの冷媒の圧力が第1閾値に達すると、所定時間待機し、前記圧力の前記第1閾値からの低下の程度に基づいて、前記庫外ユニットにおける冷媒漏洩の有無を判定する、
請求項1から請求項9の何れか1項に記載の冷凍装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10の何れか1項に記載の冷凍装置と、
前記庫内ユニットを設置した保冷庫と、
を備える冷凍車両。
【請求項12】
電池と、前記電池の電力を前記冷凍装置に供給する電源回路と、
をさらに備える請求項11に記載の冷凍車両。
【請求項13】
前記冷凍装置とネットワークを介して接続された端末装置と、
請求項11または請求項12に記載の冷凍車両と、
を備え、
前記制御部は、前記端末装置が送信した指示信号に基づいて、前記圧縮機および前記遮断弁を制御する、冷媒漏洩検査システム。
【請求項14】
圧縮機と、コンデンサと、エバポレータと、膨張弁と、これらを接続する冷媒配管を備える冷媒回路のうち、前記エバポレータが設けられた庫内ユニットと、前記圧縮機及び前記コンデンサが設けられた庫外ユニットと、の間の冷媒の移動を制御する前記冷媒配管に設けられた遮断弁を閉にして、前記圧縮機を駆動し、前記庫外ユニットの冷媒の圧力が第1閾値に達すると、前記遮断弁を開とし、前記庫内ユニットの冷媒の圧力が第2閾値に達すると、前記遮断弁を閉とし、その後の前記第2閾値からの圧力低下に基づいて、前記庫内ユニットにおける冷媒漏洩の有無を判定する、
冷媒漏洩検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置、冷凍車両、冷媒漏洩検査システム及び冷媒漏洩検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍空調分野では、GWP(地球温暖化係数)の低い冷媒の使用が進められている。このような冷媒は、微燃性を有するものが多い。微燃性冷媒が漏洩すると、火災が発生するおそれがある。特許文献1には、冷媒回路からの冷媒漏洩を検知する方法が開示されている。特許文献1に記載の方法では、コンテナ内に積荷が搬入されていない状態で、冷蔵運転、冷凍運転、除雪運転等を行って、運転中の圧縮機吐出側の冷媒温度比に基づいて冷媒の漏洩を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-51723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷蔵運転や冷凍運転を行いながら、微燃性冷媒の漏洩を検知しようとすると、仮に冷媒の漏洩が検知された場合、液冷媒がコンテナ内に漏洩している状態を生じさせることになり、火災のリスクがある。微燃性冷媒に適した冷媒の漏洩検知方法が求められている。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる冷凍装置、冷凍車両、冷媒漏洩検査システム及び冷媒漏洩検査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、冷凍装置は、圧縮機と、コンデンサと、エバポレータと、膨張弁と、これらを接続する冷媒配管を備える冷媒回路と、前記冷媒回路のうち、前記エバポレータが設けられた庫内ユニットと、前記圧縮機及び前記コンデンサが設けられた庫外ユニットとの間の冷媒の移動を制御する前記冷媒配管に設けられた遮断弁と、前記遮断弁を閉にして、前記圧縮機を駆動し、前記庫外ユニットの冷媒の圧力が第1閾値に達すると、前記遮断弁を開とし、前記庫内ユニットの冷媒の圧力が第2閾値に達すると、前記遮断弁を閉とする制御部と、前記第2閾値からの圧力低下に基づいて、前記庫内ユニットにおける冷媒漏洩の有無を判定する判定部と、を備える。
【0007】
本開示の一態様によれば、冷凍車両は、上記の冷凍装置と、前記庫内ユニットを設置した保冷庫と、を備える。
【0008】
本開示の一態様によれば、冷媒漏洩検査システムは、前記冷凍装置とネットワークを介して接続された端末装置と、上記の冷凍車両と、を備え、前記制御部は、前記端末装置が送信した指示信号に基づいて、前記圧縮機および前記遮断弁を制御する。
【0009】
本開示の一態様によれば、冷媒漏洩検出方法は、圧縮機と、コンデンサと、エバポレータと、膨張弁と、これらを接続する冷媒配管を備える冷媒回路のうち、前記エバポレータが設けられた庫内ユニットと、前記圧縮機及び前記コンデンサが設けられた庫外ユニットと、の間の冷媒の移動を制御する前記冷媒配管に設けられた遮断弁を閉にして、前記圧縮機を駆動し、前記庫外ユニットの冷媒の圧力が第1閾値に達すると、前記遮断弁を開とし、前記庫内ユニットの冷媒の圧力が第2閾値に達すると、前記遮断弁を閉とし、その後の前記第2閾値からの圧力低下に基づいて、前記庫内ユニットにおける冷媒漏洩の有無を判定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、微燃性冷媒の漏洩を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態における冷媒漏洩検査システムの一例を示す図である。
図2】本開示の一実施形態における冷媒回路の一例を示す図である。
図3】本開示の一実施形態におけるコントローラの一例を示すブロック図である。
図4】本開示の一実施形態における冷媒漏洩検査処理の一例を示すフローチャートである。
図5】本開示の一実施形態におけるコントローラのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、本開示の一実施形態による冷媒漏洩検査システムを図1図5を参照して説明する。
(構成)
図1は、本開示の一実施形態における冷媒漏洩検査システムの一例を示す図である。
図1に示すとおり冷媒漏洩検査システム100は、冷凍車両200と、ユーザ端末300を含む。冷媒漏洩検査システム100は、冷凍車両200における冷媒の漏洩を検知するシステムである。冷媒の種類に限定は無いが、本実施形態の冷媒漏洩検査は、微燃性冷媒に適用することができる。冷凍車両200は、第1の保冷庫201aと、第2の保冷庫201bと、庫外ユニット202と、第1の庫内ユニット203aと、第2の庫内ユニット203bと、コントローラ205と、電源ユニット206と、キャビンコントローラ207と、を備えている。次に図2を用いて説明するように、庫外ユニット202と、庫内ユニット203aおよび庫内ユニット203bは冷媒配管で接続されており、これらは、冷凍車両200で輸送する荷物を冷却または加温する冷凍装置204を構成する。庫内ユニット203aは保冷庫201aに設けられ、保冷庫201aに積載された荷物を冷却または加温し、庫内ユニット203bは保冷庫201bに設けられ、保冷庫201bに積載された荷物を冷却または加温する。コントローラ205は、冷凍装置204を制御する。例えば、コントローラ205は、保冷庫201a,201bの庫内温度が設定温度となるよう冷凍装置204を運転する。コントローラ205は、冷凍装置204が有する冷媒が封入された機器や配管から、冷媒が漏洩していないかどうかを検査する冷媒漏洩検査を実行する機能を有している。コントローラ205は、通信機能を備えている。ユーザ端末300とコントローラ205とは、インターネットなどのネットワークを介して通信可能に接続されている。例えば、ユーザ端末300からコントローラ205へ冷媒漏洩検査の実行を指示し、ユーザ端末300はコントローラ205から冷媒漏洩検査の結果を取得することができる。なお、コントローラ205自体は通信機能を有しておらず、外部の通信装置と接続されていて、当該通信装置が、ネットワークを通じてユーザ端末300と通信を行ってもよい。電源ユニット206は、高圧電力を供給する電池、電源回路、インバータを備え、冷凍装置204へ電力を供給する。例えば、電源ユニット206が備えるインバータから圧縮機1(図2)へ印加し、圧縮機1を駆動する。キャビンコントローラ207は、冷凍車両200の運転席に設けられ、冷凍装置204の運転状況(運転、停止、冷却、加温など)、設定温度、庫内温度などを表示するディスプレイと、各種操作用スイッチを備えている。キャビンコントローラ207は、コントローラ205と通信可能に接続されている。キャビンコントローラ207は、冷凍装置204の運転状況や設定温度、庫内温度などの情報をコントローラ205から取得してディスプレイに表示する。また、キャビンコントローラ207は、ユーザが操作用スイッチに対して行った操作に応じて各種制御信号を生成し、制御信号をコントローラ205へ出力する。例えば、ユーザが、冷媒漏洩検査の実行を指示する操作を行うと、キャビンコントローラ207は、冷媒漏洩検査の実行を指示する制御信号をコントローラ205へ出力し、コントローラ205は、冷媒漏洩検査を開始する。
【0013】
図2は、本開示の一実施形態における冷媒回路の一例を示す図である。
冷媒回路は、電動式の圧縮機1と、コンデンサ2と、レシーバ3と、膨張弁4a,4bと、エバポレータ5a,5bと、アキュムレータ6とを備える。圧縮機1は、ガス冷媒(例えば、微燃性冷媒)を圧縮する。圧縮機1とコンデンサ2は、配管P1で接続され、配管P1には圧力センサ11が設けられている。圧縮機1によって圧縮されたガス冷媒は、配管P1を通じてコンデンサ2へ至り、コンデンサ2によって凝縮する。コンデンサ2とレシーバ3は、配管P2で接続されている。凝縮した液冷媒は、配管P2を通じてレシーバ3にて貯留される。レシーバ3には、配管P3が接続され、レシーバ3が貯留する液冷媒は、配管P3を通じて庫内ユニット側へ流れる。配管P3は、庫内ユニット203aに繋がる配管P4、庫内ユニット203bに繋がる配管P5に分岐する。レシーバ3とエバポレータ5aは配管P3、P4で接続され、配管P4には、電磁弁EV1aと膨張弁4aが設けられている。膨張弁4aによって減圧された冷媒は、エバポレータ5aにて気化する。エバポレータ5aは、配管P6と接続され、気化した冷媒は、配管P6を通じて庫外ユニット202側へ流れる。配管P6には、圧力センサ12aと電磁弁EV2aが設けられている。レシーバ3とエバポレータ5bは配管P3、P5で接続され、配管P5には、電磁弁EV1bと膨張弁4bが設けられている。膨張弁4bによって減圧された冷媒は、エバポレータ5bにて気化する。エバポレータ5bは、配管P7に接続し、気化した冷媒は、配管P7を通じて庫外ユニット202側へ流れる。配管P7には、圧力センサ12bと電磁弁EV2bが設けられている。配管P6、P7は、アキュムレータ6に接続された配管P8に接続されている。配管P6、P7を通じて流れてきた冷媒は、配管P8を通じてアキュムレータ6へ至る。アキュムレータ6は、液冷媒とガス冷媒とを分離する装置である。アキュムレータ6によって分離された冷媒のうちガス冷媒のみが配管P9を通じて圧縮機1に送られる。
【0014】
配管P1には配管P11が接続しており、配管P11は、庫内ユニット203aに繋がる配管P12,庫内ユニット203bに繋がる配管P13に分岐する。配管P12は、配管P4における膨張弁4aの後段に接続し、配管P13は、配管P5における膨張弁4bの後段に接続する。配管P12には、電磁弁EV3aが設けられ、配管P13には、電磁弁EV3bが設けられている。また、配管P3と配管P8を接続する配管P10が設けられている。配管P10には、電磁弁EV4が設けられている。通常、電磁弁EV4は閉状態であるが、圧縮機1の吐出側の圧力が閾値以上となる場合等に、コントローラ205によって、適切な開度に制御される。
【0015】
冷凍装置204が冷却運転を行う場合、コントローラ205は、電磁弁EV1a,EV1b,EV2a,EV2bを開、電磁弁EV3a,EV3bを閉、電磁弁EV4の開度を調節して、圧縮機1を駆動する。冷媒は、図2の実線矢印が示す方向に流れる。冷凍装置204が加温運転を行う場合、コントローラ205は、電磁弁EV1a,EV1bを閉、EV2a,EV2b,EV3a,EV3bを開、電磁弁EV4の開度を調節して、圧縮機1を駆動する。冷媒は、図2の破線矢印が示す方向に流れる。
【0016】
図示するように、庫外ユニット202は、圧縮機1と、コンデンサ2と、レシーバ3と、電磁弁EV1a,EV1b,EV2a,EV2b,EV3a,EV3bを備える。庫内ユニット203aは、膨張弁4aと、エバポレータ5aと、を備える。庫内ユニット203bは、膨張弁4bと、エバポレータ5bと、を備える。
【0017】
例えば、電磁弁EV1a,EV1b,EV2a,EV2b,EV3a,EV3bを閉にすると、庫外ユニット202と、庫内ユニット203a,203bの間の冷媒の流れを遮断することができる。換言すれば、電磁弁EV1a~EV3bを全て閉にすることによって、庫外ユニット202を閉回路とすることができ、庫内ユニット203aおよび庫内ユニット203bを閉回路とすることができる。冷凍車両に微燃性冷媒を使用した場合、庫外ユニット202は密封されていない為、冷媒が漏洩しても比較的火災は生じにくい。しかし、庫内ユニット203a,203bにて冷媒の漏洩が発生すると、保冷庫201a、201bは密封された空間の為、微燃性ガスが充満し、火災や爆発が発生しやすくなる。従って、本実施形態では、庫内ユニット側の冷媒の漏洩検知を主な対象として、冷媒漏洩検査を行う。具体的には、微燃性のガス冷媒を庫内ユニット203a,203bへ供給し、電磁弁EV1a~EV3bを全て閉とすることで、庫内ユニット203aおよび庫内ユニット203bの閉回路を形成する。そして、庫内ユニット203aおよび庫内ユニット203bでの冷媒圧力の低下を監視することで冷媒の漏洩を検出する。この際、電磁弁EV1a~EV3bが全て庫外ユニット202側に設けられているので、庫内ユニット203aおよび庫内ユニット203bにおける冷媒の漏洩を漏れなく検出することができる。
【0018】
同様に、庫外ユニット202に冷媒を供給して閉回路を形成し、冷媒を庫外ユニット202へ閉じ込め、その後の冷媒圧力の低下を監視することで、庫外ユニット202における冷媒の漏洩を検出することができる。なお、電磁弁EV1a,EV1bを液ライン電磁弁、電磁弁EV3a,EV3bをホットガス電磁弁、電磁弁EV2a,EV2bを低圧ライン電磁弁と呼ぶ。
【0019】
さらに、庫内ユニット203aは、不燃性ガス容器13aを備えている。不燃性ガス容器13aには、窒素ガスやCOなどの不燃性のガスが、保冷庫201aの庫内容積比で消炎濃度以上となる量だけ封入されている。不燃性ガス容器13aには不燃性ガスを放出する放出口が設けられ、放出口には弁14aが設けられている。同様に、庫内ユニット203bは、不燃性ガス容器13bを備え、不燃性ガス容器13bには、保冷庫201bの庫内容積比で消炎濃度以上となる量の不燃性ガスが封入されている。不燃性ガス容器13bの放出口には弁14bが設けられている。弁14a,14bの開閉は、コントローラ205によって制御される。
【0020】
図3は、本開示の一実施形態におけるコントローラの一例を示すブロック図である。
コントローラ205は、データ取得部211と、制御部212と、検査実行部213と、判定部214と、記憶部215と、出力部216と、通信部217と、を備える。
データ取得部211は、圧力センサ11,12a、12bが計測した圧力値や、キャビンコントローラ207にて入力された操作情報などを取得する。
制御部212は、冷凍装置204を制御する。例えば、制御部212は、圧縮機1の起動・停止や電磁弁EV1a~EV4、膨張弁4a,4b、弁14a,14bの開度を制御する。
検査実行部213は、微燃性冷媒に適用可能な冷媒漏洩検査を実行する。冷媒漏洩検査については、次に図4を用いて説明する。
判定部214は、冷媒漏洩検査の結果に基づいて、冷媒漏洩の有無を判定する。
記憶部215は、後述する閾値1~4など、冷媒漏洩検査の実行に必要な情報を記憶する。
出力部216は、冷媒漏洩検査の結果をキャビンコントローラ207等に出力する。
通信部217は、ユーザ端末300と通信を行う。
【0021】
(動作)
次に図4を参照して、冷媒漏洩検査について説明する。
図4は、本開示の一実施形態における冷媒漏洩検査処理の一例を示すフローチャートである。
まず、データ取得部211が、冷媒漏洩検査の開始指示信号を取得する(ステップS10)。例えば、ユーザが、冷媒漏洩検査の開始を指示する操作をキャビンコントローラ207に対して行うと、キャビンコントローラ207は、開始指示信号を生成し、コントローラ205に開始指示信号を出力する。あるいは、ユーザが、冷媒漏洩検査の開始を指示する操作をユーザ端末300に対して行うと、ユーザ端末300は、開始指示信号を生成し、コントローラ205に開始指示信号を送信する。コントローラ205では、通信部217を通じて、データ取得部211が、開始指示信号を取得する。データ取得部211は、開始指示信号を検査実行部213に出力する。
【0022】
冷媒漏洩検査は、例えば、冷凍車両200の運行開始前の点検作業の一環として行われてもよいし、運行終了後の点検作業の一環として行われてもよい。例えば、ユーザ端末300には、冷凍車両200の運行スケジュールが登録されていて、ユーザ端末300は、この運行スケジュールに基づいて、運行開始より所定時間前の時刻となると、開始指示信号をコントローラ205に送信するように構成されていてもよい。冷凍装置204は、電源ユニット206が供給する電力によって動作するため、冷凍車両200のエンジンが起動していない状態でも、冷媒漏洩検査の実行は可能である。また、ユーザ端末300は、コントローラ205から冷凍装置204の運転状況や、保冷庫201a,201bの設定温度および庫内温度を定期的に受信し、保冷庫201a,201bの庫内温度が設定温度を達成し、且つ、冷凍装置204が一時的に冷却運転または加温運転を停止していることが確認されると、開始指示信号をコントローラ205に送信するように構成されていてもよい。また、運転手は、荷物の搬送中であっても、冷却運転または加温運転に影響が出ないタイミングを見計らって、キャビンコントローラ207から冷媒漏洩検査の開始を指示してもよい。
【0023】
開始指示信号が発せられると、検査実行部213が冷媒漏洩検査を開始する。まず、検査実行部213は、液ライン電磁弁(電磁弁EV1a,EV1b)、ホットガス電磁弁(電磁弁EV3a,EV3b)、低圧ライン電磁弁(電磁弁EV2a,EV2b)の閉を制御部212に指示する。制御部212は、電磁弁EV1a,EV1b,EV2a,EV2b,EV3a,EV3bを閉じる(ステップS11)。これにより、庫外ユニット202の閉回路、庫内ユニット203a,203bの閉回路が形成される。
【0024】
次に、検査実行部213は、圧縮機1を所定の低速度(例えば、最低速度)で運転するよう制御部212へ指示する。制御部212は、圧縮機1を低速度で運転する(ステップS12)。圧力センサ11は、圧縮機1の吐出側の冷媒圧力を計測し、その値を、データ取得部211へ出力する。検査実行部213は、データ取得部211が取得した庫外ユニット202の冷媒圧力を監視する。圧縮機1の運転により、庫外ユニット202の冷媒圧力は上昇する。検査実行部213は、庫外ユニット202の冷媒圧力が所定の閾値1以上となるか否かを判定する(ステップS13)。冷媒圧力が閾値1に達するまでは、圧縮機1の運転が継続される。庫外ユニット202の冷媒圧力の急激な上昇を緩和するために、制御部212は、電磁弁EV4を所定の開度で開いてもよい。電磁弁EV4を開くことにより、冷媒は、圧縮機1、配管P1、コンデンサ2、配管P2、レシーバ3、配管P3、配管P10、配管P8、アキュムレータ6、配管P9、圧縮機1の順に循環する。これにより、庫外ユニット202に形成された閉回路内の冷媒圧力の上昇を緩やかにすることができる。
【0025】
冷媒圧力が閾値1以上となると(ステップS13;Yes)、検査実行部213は、圧縮機1の停止と、ホットガス電磁弁Ev3a,Ev3bの開を、制御部212へ指示する。制御部212は、圧縮機1を停止し、ホットガス電磁弁Ev3a,Ev3bを閉から開へ制御する(ステップS14)。庫外ユニット202に充満する冷媒のうち、高圧のガス冷媒は、庫外ユニット202から、庫内ユニット203a,203bへ移動する。これにより、庫内ユニット203a,203bの冷媒圧力は上昇する。圧力センサ12a、12bは、冷媒圧力を計測し、その値を、データ取得部211へ出力する。検査実行部213は、データ取得部211が取得した庫内ユニット203a,203bの冷媒圧力を監視する。検査実行部213は、庫内ユニット203a,203bの冷媒圧力が所定の閾値2以上となるか否かを判定する(ステップS15)。冷媒圧力が閾値2に達するまでは、ホットガス電磁弁Ev3a,Ev3bの開状態は継続される。
【0026】
冷媒圧力が閾値2以上となると(ステップS15;Yes)、検査実行部213は、ホットガス電磁弁Ev3a,Ev3bの閉を、制御部212へ指示する。制御部212は、ホットガス電磁弁Ev3a,Ev3bを開から閉へ制御する(ステップS16)。これにより、再び、庫外ユニット202の閉回路と、庫内ユニット203a,203bの閉回路が形成される。閉回路が形成されると、検査実行部213は、所定時間待機する(ステップS17)。この間も、検査実行部213は、圧力センサ12a,12bが計測した圧力を監視する。閉回路内にガス冷媒を閉じ込めても、一定の時間が経過すれば、冷媒圧力は多少低下する。しかし、その低下の程度が自然な低下の範囲を超える場合、庫内ユニット203a,203bの機器や配管からガス冷媒が漏れていると考えることができる。検査実行部213は、所定時間待機後に圧力センサ12a,12bが計測した圧力が、所定の閾値3以下か否かを判定する(ステップS18)。
【0027】
閾値3には、自然な冷媒圧力の低下の範囲を超える値が設定される。また、閾値3には、仮に冷媒圧力が閾値2から閾値3まで低下したとしても、そのときまでに漏洩した微燃性ガス冷媒の量では、重大な火災や爆発に至らない値が設定される。閾値3は、保冷庫201a、201bの容積、保冷庫201a、201bの庫内温度、冷媒圧力(=閾値2)に応じて設定される。例えば、同じ保冷庫の容積、冷媒圧力であって、同量の冷媒が漏洩したとしても、庫内温度が高い方が、圧力センサ12a等が計測する冷媒圧力の低下速度は遅い為、閾値3の値は高く設定される。閾値3には、様々な保冷庫の容積、庫内温度、冷媒圧力の条件下で、所定時間経過後に保冷庫内に漏洩する冷媒の量を計算し、その値が、爆発や燃焼が生じやすくなる限界値に達することがないような値が設定される。例えば、ある冷凍車両200については、保冷庫の容積、冷媒圧力(=閾値2)を固定することができるが、その場合、閾値3は、冷媒漏洩検査実行時の庫内温度に応じて設定することができる。つまり、ステップS18では、検査実行部213は、記憶部215から庫内温度ごとに予め登録された閾値3を読み出して、この閾値3と圧力センサ12a,12bが計測した圧力との比較を行う。
【0028】
冷媒圧力が閾値3以下ではない場合(ステップS18;No)、判定部214は、冷媒の漏洩なしと判定する(ステップS19)。出力部216は、キャビンコントローラ207へ判定結果“漏洩なし”を出力する(ステップS20)。キャビンコントローラ207は、“漏洩なし”をディスプレイに表示する。あるいは、出力部216は、通信部217を用いて、“漏洩なし”をユーザ端末300に送信する。ユーザ端末300は、“漏洩なし”をディスプレイに表示する。
【0029】
冷媒圧力が閾値3以下の場合(ステップS18;Yes)、判定部214は、冷媒の漏洩ありと判定する(ステップS21)。出力部216は、キャビンコントローラ207へ判定結果“漏洩あり”を出力する(ステップS22)。キャビンコントローラ207は、“漏洩あり”をディスプレイに表示する。あるいは、出力部216は、通信部217を用いて、“漏洩あり”をユーザ端末300に送信する。ユーザ端末300は、“漏洩あり”をディスプレイに表示する。漏洩ありの場合、検査実行部213は、冷媒漏洩への対処を行う(ステップS23)。例えば、検査実行部213は、ポンプダウン運転を実行し、庫内ユニット203a,203bのガス冷媒を庫外ユニット202へ回収する。具体的には、検査実行部213が制御部212にポンプダウン運転の実行を指示する。この指示に基づいて制御部212は、液ライン電磁弁EV1a,EV1bとホットガス電磁弁EV3a,EV3bを閉としたまま、低圧ライン電磁弁Ev2a,Ev2bを開とし、圧縮機1を起動する。制御部212は、ポンプダウン運転用の所定の回転数(例えば、最大回転数)で所定時間tだけ圧縮機1を稼働する。これにより、庫内ユニット203a,203b側の冷媒が庫外ユニット202へ回収される。所定時間tには、冷媒を十分に回収でき、且つ、系統に問題が生じないような長さの時間が設定されている。所定時間tが経過すると、制御部212は、圧縮機1を停止し、低圧ライン電磁弁Ev2a,Ev2bを閉とする。以上でポンプダウン運転が完了する。最後に低圧ライン電磁弁Ev2a,Ev2bを閉じることで、庫外ユニット202へ回収された冷媒が、再び庫内ユニット203a、202bへ戻り、保冷庫201a、201bへ漏洩することを防ぐことができる。
【0030】
また、ステップS17にて所定時間待機した後の庫内ユニット203a,203bの冷媒圧力が、閾値3を超え、さらに爆発や燃焼が生じやすい量の冷媒が漏洩したことを示す閾値4以下となるような場合、検査実行部213は、弁14a,14bの開を、制御部212へ指示する。制御部212は、弁14a,14bを開に制御する。これにより、不燃性ガスが庫内ユニット203a,203bおよび保冷庫201a,201bへ放出され、これらの空間における冷媒濃度が低下し、火災や爆発を防ぐことができる。
【0031】
以上、説明したように本実施形態によれば、庫外ユニット202と、庫内ユニット203a,203bの間の冷媒の流れを遮断して、庫外ユニット202内に冷媒を充満させた後、ホットガス電磁弁を開とし、ガス冷媒を庫内ユニット203a、203bへ移動させる。そして、再び、ホットガス電磁弁を閉とすることで、ガス冷媒を庫内ユニット203a、203bに充満させ、冷媒圧力の低下に基づいて、冷媒の漏洩を検出する。また、冷媒漏洩の判定は、上記のように設定された閾値3によって行う。これにより、仮に微燃性冷媒が漏洩している場合であっても、火災や爆発のリスクを抑えながら検査を行うことができる。例えば、通常の冷却運転を行いつつ、冷媒の漏洩を検出する方法では、検査のために液冷媒が庫内ユニット側に漏洩する状況を作り出してしまう可能性があり、微燃性冷媒に適用する場合、火災のリスクが無視できない。これに対し、本実施形態の検査方法によれば、ガス冷媒を用いて検査するため、仮に冷媒の漏洩が生じたとしても、少量の漏洩が生じた時点でリークを検出することができ、火災のリスクを低下させることができる。また、本実施形態の冷媒漏洩検査は、積荷をした後でも実行可能であり、輸送の途中で、積荷に影響がない状態(例えば、庫内温度が設定温度を達成している状態)で任意に行うことができる。また、閾値3は、庫内温度に応じて設定されているので、冷凍車両200の運行前、運行中、運行後の何れのタイミングでも適切な閾値3に基づいて、精度よく、冷媒の漏洩を検出することができる。これらにより、安心して、微燃性冷媒を冷凍車両200の冷凍装置204に使用することができる。
【0032】
上記の説明では、庫内ユニット側の冷媒漏洩検査を行う場合を例に説明を行ったが、例えば、ステップS13において、庫外ユニット202の冷媒圧力が閾値1以上となると、その後、所定時間待機して、所定時間待機の冷媒圧力が所定の閾値5以下に低下していたら、判定部214は庫外ユニット202において冷媒が漏洩していると判定してもよい。
また、ステップS14にて、圧縮機1を停止させることとしたが、例えば、ステップS16にて圧縮機1を停止させてもよい。
また、庫内ユニットが2つの場合を例に説明を行ったが、庫内ユニットは1つでも、3つ以上であってもよい。
【0033】
図5は、本開示の一実施形態におけるコントローラのハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。上述のコントローラ205は、コンピュータ900を備える。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。
【0034】
少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。
【0035】
上述したコントローラ205における各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをそれぞれの装置のコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。制御システムは、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0036】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0037】
<付記>
各実施形態に記載の冷凍装置、冷凍車両、冷媒漏洩検査システム及び冷媒漏洩検査方法は、例えば以下のように把握される。
【0038】
(1)第1の態様に係る冷凍装置204は、圧縮機1と、コンデンサ2と、エバポレータ5a、5bと、膨張弁4a、4bと、これらを接続する冷媒配管P1~P13を備える冷媒回路と、前記冷媒回路のうち、前記エバポレータ5a,5bが設けられた庫内ユニット203a、203bと、前記圧縮機1及び前記コンデンサ2が設けられた庫外ユニット202との間の冷媒の移動を制御する前記冷媒配管に設けられた遮断弁(電磁弁EV1a~Ev3b)と、前記遮断弁を閉にして、前記圧縮機1を駆動し、前記庫外ユニット202の冷媒の圧力が第1閾値(閾値1)に達すると、前記遮断弁を開とし、前記庫内ユニット202a、202bの冷媒の圧力が第2閾値(閾値2)に達すると、前記遮断弁を閉とする制御部212と、前記第2閾値からの圧力低下に基づいて、前記庫内ユニット203a、203bにおける冷媒漏洩の有無を判定する判定部214と、を備える。
これにより、庫内ユニットからの冷媒の漏洩を検出することができる。
【0039】
(2)第2の態様に係る冷凍装置204は、(1)の冷凍装置204は、前記判定部214は、前記遮断弁を閉としてから所定時間経過後の前記庫内ユニットにおける冷媒圧力が第3閾値以下の場合、冷媒漏洩があると判定する。
第3閾値を適切に設定することにより、微燃性冷媒の場合でも、火災のリスクを抑制しつつ、冷媒の漏洩を検出することができる。
【0040】
(3)第3の態様に係る冷凍装置204は、(2)の冷凍装置204であって、前記第3閾値は、前記庫内ユニットによって制御される庫内の温度に応じて設定される。
庫内温度に応じて、第3閾値を設定することにより、火災のリスクを抑制しつつ、精度の良い冷媒漏洩の検出が可能になる。
【0041】
(4)第4の態様に係る冷凍装置204は、(1)~(3)の冷凍装置204であって、前記遮断弁は、前記庫外ユニットに設けられている。
これにより、庫内ユニットに含まれる配管や機器からの冷媒の漏洩を漏れなく検出することができる。
【0042】
(5)第5の態様に係る冷凍装置204は、(1)~(4)の冷凍装置204であって、前記遮断弁は、前記コンデンサと前記庫内ユニットを接続する前記冷媒配管と、前記圧縮機の吐出側と前記庫内ユニットを接続する前記冷媒配管と、前記庫内ユニットと前記圧縮機の吸入側を接続する前記冷媒配管と、に設けられる。
これにより、庫内ユニットと庫外ユニットを分離することができる。また、圧縮機1の吐出側と庫内ユニット203a,203bを接続する冷媒配管P12,P13に遮断弁(ホットガス電磁弁Ev3a,Ev3b)を設けることで、この遮断弁の開閉により、液冷媒ではなく、ガス冷媒を庫内ユニット側へ移動させることができる。
【0043】
(6)第6の態様に係る冷凍装置204は、(1)~(5)の冷凍装置204であって、前記冷媒回路では、前記圧縮機の吐出側に設けられた前記コンデンサの冷媒流れの出口側と前記圧縮機の吸入側を接続するバイパス配管と、前記バイパス配管に設けられたバイパス弁が設けられ、前記制御部は、前記第1閾値に達するまで前記バイパス弁を開に制御する。
これにより、庫外ユニットに冷媒を満たす段階で、急激な圧力上昇を防ぐことができる。
【0044】
(7)第7の態様に係る冷凍装置204は、(2)~(6)の冷凍装置204であって、前記冷媒は、燃焼性を有する冷媒であり、前記第3閾値は、前記冷媒の圧力が前記第3閾値となったときに漏洩している冷媒の量が、燃焼および爆発が発生しない量となるように設定されている。
これにより、冷媒漏洩検査中に冷媒が漏洩している場合でも火災のリスクを低減することができる。
【0045】
(8)第8の態様に係る冷凍装置204は、(1)~(7)の冷凍装置204であって、前記判定部が、冷媒漏洩があると判定すると、前記制御部は、前記庫内ユニットと前記圧縮機の吸入側を接続する前記冷媒配管に設けられた前記遮断弁を開き、所定のポンプダウン運転時間(所定時間t)だけ圧縮機を運転することにより、前記庫内ユニット側の冷媒を前記庫外ユニットへ回収し、前記ポンプダウン運転時間の経過後、前記遮断弁を閉止する。
これにより、庫内ユニット側から冷媒を庫外ユニットへ回収することができる。また、回収した冷媒を庫外ユニットにて保持することにより、再び庫内ユニットから冷媒が漏洩することを防ぐことができる。
【0046】
(9)第9の態様に係る冷凍装置204は、(1)~(8)の冷凍装置204であって、前記庫内ユニットには、不燃性ガスが封入されたタンクが設けられ、前記判定部が冷媒の漏洩ありと判定すると、前記制御部は、前記タンクから前記不燃性ガスを放出させる。
冷媒漏洩検査中に冷媒が漏洩した場合でも、不燃性ガスを放出して火災の発生を防ぐことができる。
【0047】
(10)第10の態様に係る冷凍装置204は、(1)~(9)の冷凍装置204であって、前記判定部214は、前記庫外ユニット202の冷媒の圧力が第1閾値に達すると、所定時間待機し、前記圧力の前記第1閾値からの低下の程度に基づいて、前記庫外ユニットにおける冷媒漏洩の有無を判定する。
これにより、庫内ユニット203a等に加え、庫外ユニット202における冷媒漏洩を検出することができる。
【0048】
(11)第11の態様に係る冷凍車両200は、(1)~(10)の何れか1つに記載の冷凍装置204と、前記庫内ユニットを設置した保冷庫201a、201bと、を備える。
これにより、冷凍車両における微燃性冷媒の漏洩を安全に検出することができる。
【0049】
(12)第12の態様に係る冷凍車両200は、(11)の冷凍車両200であって、電池と、前記電池の電力を前記冷凍装置204に供給する電源回路と、をさらに備える。
これにより、エンジンが起動していない場合でも、冷凍装置204の冷媒漏洩を検出することができる。また、静かに冷媒漏洩検査を実行することができる。
【0050】
(13)第13の態様に係る冷媒漏洩検査システム100は、前記冷凍装置204とネットワークを介して接続された端末装置(ユーザ端末300)と、(11)~(12)に記載の冷凍車両200と、を備え、前記制御部212は、前記端末装置が送信した指示信号に基づいて、前記圧縮機1および前記遮断弁を制御する。
これにより、遠隔から冷媒漏洩検査を行うことができる。これにより、ユーザの安全性を確保することができる。
【0051】
(14)第14の態様に係る冷媒漏洩検査方法は、圧縮機と、コンデンサと、エバポレータと、膨張弁と、これらを接続する冷媒配管を備える冷媒回路のうち、前記エバポレータが設けられた庫内ユニットと、前記圧縮機及び前記コンデンサが設けられた庫外ユニットとの間の冷媒の移動を制御する前記冷媒配管に設けられた遮断弁を閉にして、前記圧縮機を駆動し、前記庫外ユニットの冷媒の圧力が第1閾値に達すると、前記遮断弁を開とし、前記庫内ユニットの冷媒の圧力が第2閾値に達すると、前記遮断弁を閉とし、その後の前記第2閾値からの圧力低下に基づいて、前記庫内ユニットにおける冷媒漏洩の有無を判定する。
【符号の説明】
【0052】
100・・・冷媒漏洩検査システム
200・・・冷凍車両
300・・・ユーザ端末
201a、201b・・・保冷庫
202・・・庫外ユニット
203a、203b・・・庫内ユニット
204・・・冷凍装置
205・・・コントローラ
206・・・電源ユニット
207・・・キャビンコントローラ
211・・・データ取得部
212・・・制御部
213・・・検査実行部
214・・・判定部
215・・・記憶部
216・・・出力部
217・・・通信部
1・・・圧縮機
2・・・コンデンサ
3・・・レシーバ
4a,4b・・・膨張弁
5a,5b・・・エバポレータ
6・・・アキュムレータ
11,12a、12b・・・圧力センサ
13b、13a・・・不燃性ガス容器
14a,14b・・・弁
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5