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  • 特開-シートの反り修正装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059148
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】シートの反り修正装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/70 20060101AFI20220406BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20220406BHJP
   B65H 29/60 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
B65H29/70
B65H5/06 H
B65H29/60 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166700
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】592251396
【氏名又は名称】株式会社コスモグラフ
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】松田 光良
(72)【発明者】
【氏名】小室 直樹
【テーマコード(参考)】
3F049
3F053
【Fターム(参考)】
3F049AA05
3F049CA32
3F049DA04
3F049DA19
3F049DB04
3F049DB11
3F049EA12
3F049EA28
3F049LA01
3F049LB01
3F053EA01
3F053EC01
3F053EC15
3F053ED02
3F053ED12
3F053ED19
3F053HA03
3F053HB01
3F053HB09
3F053HB22
3F053LA01
3F053LB01
(57)【要約】
【課題】湿気及びシートの反り具合に応じてシートの反りを修正するシートの反り修正装置を提供する。
【解決手段】本発明のシートの反り修正装置10は、シート12の反り具合を検知する第1反り検知センサ22を有する供給部20と、
前記シート12を搬送しながら発生している反り方向と反対方向に湾曲させて前記反りを修正する反り修正部30と、
前記供給部の湿度を測定する湿度センサ40と、
前記第1反り検知センサ22と前記湿度センサ40と前記反り修正部30と電気的に接続し、前記第1反り検知センサ22と前記湿度センサ40の測定値に基づいて前記反り修正部30の搬送速度を制御する制御部50と、
を備えたことを特徴としている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの反り具合を検知する第1反り検知センサを有する供給部と、
前記シートを搬送しながら発生している反り方向と反対方向に湾曲させて前記反りを修正する反り修正部と、
前記供給部の湿度を測定する湿度センサと、
前記第1反り検知センサと前記湿度センサと前記反り修正部と電気的に接続し、前記第1反り検知センサと前記湿度センサの測定値に基づいて前記反り修正部の搬送速度を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするシートの反り修正装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたシートの反り修正装置であって、
前記反り修正部で修正した後の前記シートの反り具合を検知する第2反り検知センサを備え、
前記制御部は前記第2反り検知センサの測定値に基づいて前記反り修正部の搬送速度を制御することを特徴とするシートの反り修正装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたシートの反り修正装置であって、
前記反り修正部は、反対方向に湾曲させる頂点に前記シートの幅方向に跨って回転接触する反り修正シャフトと、径の異なる複数の前記反り修正シャフトを備えたシャフト交換部を備え、
前記制御部は、前記第1反り検知センサと前記湿度センサの測定値に基づいて前記反り修正部の前記シャフト交換部を介して前記反り修正シャフトのシャフト径を変えることを特徴とするシートの反り修正装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1に記載されたシートの反り修正装置であって、
前記供給部から前記反り修正部を通過しない平坦なシートの迂回路を設け、前記制御部は、前記第1反り検知センサの測定値に基づいて前記迂回路で選択して前記平坦なシートを搬送させる制御を行うことを特徴とするシートの反り修正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷紙、ロール紙をカットした紙、剥離紙など反りが生じたシートを平坦にするシートの反り修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷紙、ロール紙をカットした紙、剥離紙などのシートは反りが生じることがある。このような反りが生じたシートを搬送装置で搬送するとローラ間で紙詰まりを起こすため搬送することができない。このため反ったシートの仕分け作業は、自動仕分け搬送装置を利用することができず、手作業で仕分け作業を行わなければならなかった。
従来、シートの反りを除去する装置として特許文献1に開示の技術がある。この装置は、凹状弧が形成された固定ガイドと、凹状弧の半径に合うゴム状ローラを有する回転軸からなる。反ったシートが凹状弧とゴム状ローラの間を通過するときに、その反りとは反対方向に曲げられてシートの反りを除去できる。
【0003】
しかしながら、シートの反り具合は、シートの紙質(加熱、加圧など)に起因する要因と、装置の周辺(作業環境)の湿度に起因する要因の2つがある。特許文献1に開示の装置では、シートの種類、湿度が変化するとシートの反りを除去できないおそれがある。また、凹状弧の固定ガイドは単なるガイドの役割で回転軸と共に回転するゴム状ローラの構成では、搬送するシートとの接触面積が小さく、紙詰まりを起こし易い問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1-209268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、湿気及びシートの反り具合に応じてシートの反りを修正するシートの反り修正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、シートの反り具合を検知する第1反り検知センサを有する供給部と、
前記シートを搬送しながら発生している反り方向と反対方向に湾曲させて前記反りを修正する反り修正部と、
前記供給部の湿度を測定する湿度センサと、
前記第1反り検知センサと前記湿度センサと前記反り修正部と電気的に接続し、前記第1反り検知センサと前記湿度センサの測定値に基づいて前記反り修正部の搬送速度を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするシートの反り修正装置を提供することにある。
上記第1の手段によれば、作業環境の湿気及びシートの反り具合に応じてシートの反りを修正することができる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記反り修正部で修正した後の前記シートの反り具合を検知する第2反り検知センサを備え、
前記制御部は前記第2反り検知センサの測定値に基づいて前記反り修正部の搬送速度を制御することを特徴とするシートの反り修正装置を提供することにある。
上記第2の手段によれば、反り修正を行ったシートの状態に応じて反り修正部の反り強度を修正することができる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1又は第2の手段において、前記反り修正部は、反対方向に湾曲させる頂点に前記シートの幅方向に跨って回転接触する反り修正シャフトと、径の異なる複数の前記反り修正シャフトを備えたシャフト交換部を備え、
前記制御部は、前記第1反り検知センサと前記湿度センサの測定値に基づいて前記反り修正部の前記シャフト交換部を介して前記反り修正シャフトのシャフト径を変えることを特徴とするシートの反り修正装置を提供することにある。
上記第3の手段によれば、搬送速度の他にシャフトの径を変化させることにより反り修正のための強度を任意に変更することができる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、第1ないし第3のいずれか1の手段において、前記供給部から前記反り修正部を通過しない平坦なシートの迂回路を設け、前記制御部は、前記第1反り検知センサの測定値に基づいて前記迂回路を選択して前記平坦なシートを搬送させる制御を行うことを特徴とするシートの反り修正装置を提供することにある。
上記第4の手段によれば、反りの発生していない平坦なシートは迂回路に通して反り修正部を回避することができ、修正作業を短縮できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業環境の湿気及びシートの反り具合に応じてシートの反りを修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のシートの反り修正装置の構成概略図である。
図2】シャフト交換部の説明図である。
図3】迂回路の説明図である。
図4】湿度、反り具合、シャフト径と搬送速度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のシートの反り修正装置の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
本発明の搬送対象となる反った(反り状態の)シートとは、具体的には平面上に置いたシートの両端が上方に反り返って(下向きの放物線状)又は中心付近が上方に突出して(上向きの放物線状)湾曲しているシートである。
【0013】
[シートの反り修正装置10]
図1は、本発明のシートの反り修正装置の構成概略図である(シャフト交換部35は省略)。図示のように本発明のシートの反り修正装置10は、シート12の反り具合を検知する第1反り検知センサ22を有する供給部20と、シート12を搬送しながら発生している反り方向と反対方向に湾曲させて反りを修正する反り修正部30と、供給部20の湿度を測定する湿度センサ40と、第1反り検知センサ22と湿度センサ40と反り修正部30と電気的に接続し、第1反り検知センサ22と湿度センサ40の測定値に基づいて反り修正部30の搬送速度を制御する制御部50を備えている。
【0014】
供給部20は、反りを修正する前の反り状態(反った)シート12を保持するストッカーである。
供給部20は、第1反り検知センサ22を備えている。第1反り検知センサ22は、CCDカメラ等を用いることができ、シート12を上面又は側面から撮影して反り具合を検知できる。
【0015】
反り修正部30は、ローラベルト32と、反り修正シャフト34と搬送ガイド36を備えている。
ローラベルト32は、上流側(供給部20側)から下流側(排出部26側)に向けて第1、第2、第3のローラ32a,32b,32cを側面視でくの字に配置している。そして第1ないし第3のローラ32a,32b,32cにベルト33aを掛け回し矢印A方向に回転している。
搬送ガイド36は、ローラベルト32の下方に配置して「くの字」に湾曲したローラベルト32の下面に沿って凸状に形成した固定ガイドである。シート12はローラベルト32と搬送ガイド36の間を通過する。なおシート12は、ローラベルト32のくの字の湾曲と対向(図1に示すローラベルト32が下向きの「くの字」の場合、シート12は上向きの「くの字」に沿った状態)するように供給部20から搬送される。
このような反り修正部30は、ローラベルト32の構成により搬送するシート12との接触面積を大きくすることができ、シャフトのみが回転する構成と比べて紙詰まりを防止できる。
【0016】
反り修正シャフト34は側面視で「くの字」状の頂点箇所(搬送ガイド36の頂点箇所)に配置した第2ローラ32bの下方に取り付けて、ベルト33aを第2ローラ32bに向けて付勢している。これにより反り修正シャフト34はベルト33aに従動して回転する。反り修正シャフト34は軸心をシート12の幅方向(図1の紙面と直交する方向)に渡って配置し、シート12の反り方向と反対方向に湾曲させる支点となる。反り修正シャフト34の径は小さいほど反りの強いシート12を修正し易く、径が大きいほど反りの弱いシート12を修正し易い。このため反り修正シャフト34は径の異なるシャフトを複数用意して、交換可能なシャフト交換部35を備えている。
【0017】
図2はシャフト交換部の説明図である。シャフト交換部35は、第2ローラ32bの下方に配置している、図2に示すシャフト交換部35は一例として径の異なる3本の反り修正シャフト34a,34b,34cを回転式に配置したホルダー35aと、このホルダー35aを第2ローラ32bに向けて進退移動する伸縮機構35bを備えている。このような構成のシャフト交換部35は、交換時に第2のローラ32bから離れた状態で回転して利用する反り修正シャフト34を先端に移動して選択した後、第2のローラ32bに接近させることにより、複数の反り修正シャフト34を任意に交換できる。
【0018】
湿度センサ40は、供給部20付近に配置して修正作業する環境の湿度を測定する湿度計である。このほかにも湿度センサ40はシート12の主面湿度を測定するようにしても良い。
制御部50は、第1反り検知センサ22と湿度センサ40と反り修正部30と電気的に接続している。制御部50は、シート12の反り状態、湿度、搬送速度、反り修正シャフト34の径の過去の実績データを蓄積したデータベース52を備えている。
【0019】
図4は湿度、反り具合、シャフト径と搬送速度の関係を示すグラフであり、(1)は湿度と搬送速度の関係、(2)は反り具合と搬送速度の関係、(3)はシャフト径と搬送速度の関係を示す図である。
同図(1)に示すように湿度が低いと乾燥してシートの性質等によって反りが強くなるため、搬送速度を遅くして反対方向に湾曲する時間をかけてシート12の反りを修正する必要がある。一方、湿度が高いとシートの性質等によって反りが弱く、搬送速度を速くしてもシート12の反りを修正できる。
同図(2)に示すようにシート12の反りが弱いときは搬送速度を速くしてもシート12の反りを修正できる。一方、シート12の反りが強いときは搬送速度を遅くして反対方向に湾曲する時間をかけてシート12の反りを修正する必要がある。
同図(3)に示すようにシャフト径を太くすると搬送速度を遅くしてシート12の弱い反りを修正できる。一方、シャフト径を細くすると搬送速度を速くしてシート12の強い反りを修正できる。
データベース52は図4に示すような過去の実績データを蓄積している。そして制御部50は第1反り検知センサ22と湿度センサ40の測定値と過去の実績データを比較して反り修正部30の最適な搬送速度となるように制御している。
【0020】
(第2反り検知センサ24)
第2反り検知センサ24は、反り修正部30で反り修正して排出部26に保持されたシート12の反り具合を検知する第1反り検知センサ22と同様のCCDカメラである。
制御部50は第2反り検知センサ24と電気的に接続している。そして第2反り検知センサ24の測定値に基づいて反り修正部30の搬送速度又は反り修正シャフト34のシャフト径を任意に変更するフィードバック制御を行う。
【0021】
(迂回路60)
本実施形態は供給部20から反り修正部30を経て反り修正後の平坦なシート12を保持する排出部26の搬送ルートのほか、反りのない平坦なシート12が反り修正部30を迂回する迂回路60を通る迂回ルートを設けている。
図3は迂回路の説明図である。図示のように迂回路60は、供給部20と排出部26の同一平面上を通る複数の搬送ローラ62を配置した搬送路である。反り修正部30の第1ローラ32aの後方(下流側)に反り修正部30と迂回路60を切り換える切り替えゲート64を設けている。
制御部50は、切り替えゲート64と電気的に接続し、第1反り検知センサ22の測定値に基づいて迂回路60を選択して平坦なシート12を搬送させる制御を行う。
【0022】
[作用]
上記構成による本発明のシートの反り修正装置10の作用について、以下説明する。
第1反り検知センサ22で供給部20のシート12の反り状態を検知する。
(反ったシート)
反ったシート12は、供給部20から反り修正部30に搬送される。制御部50には、第1反り検知センサ22と湿度センサ40の測定値が入力される。この測定値に基づいて搬送速度又はシャフト径を決定している。一例として、データベース52の過去の実績データと実測データを比較してシート12の反り具合を修正できる最適な条件の過去の実績データを選択して搬送速度を決定しても良い。また、制御部50は、同様に反り具合を修正できる最適な条件の過去の実績データを選択して反り修正シャフト34のシャフト径をシャフト交換部35を介して交換しても良い。
【0023】
反ったシート12は、シート面の両面で回転しながら接触する反り修正部30のローラベルト32と反り修正シャフト34の間を通ると反り方向とから反対側に湾曲して平坦なシート12になる。平坦なシート12は排出部26に排出される。
第2反り検知センサ24で排出部26のシートの反り状態を検知する。制御部50は、第2反り検知センサ24の測定値に基づいて、反り修正部30の搬送速度又は反り修正シャフト34のシャフト径を任意に変更するフィードバック制御を行う。
(平坦なシート)
平坦なシート12は、制御部50により切り替えゲート64が迂回路に切り替えられて、迂回路60へ送られる。これにより、反り修正部を回避することができ、修正作業を短縮できる。
【0024】
このような本発明によれば、作業環境の湿気及びシートの反り具合に応じてシートの反りを修正することができる。
本実施形態の供給部及び排出部はシートを保持するストッカーの構成で説明したが、この構成に限らず、シートを搬送する搬送コンベア上で、第1反り検知カメラを設けた任意箇所を供給部とし、第2反り検知カメラを設けた任意箇所を排出部としても良い。
また第1及び第2反り検知センサは、シートの反り具合を検出できる構成であれば良く、このほかにも測距(距離)センサ等を適用することができる。
また排出部で反りが残ったシートが検出された場合、供給部へ戻す搬送路を別途設けても良い。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0025】
10 シートの反り修正装置
12 シート
20 供給部
22 第1反り検知センサ
24 第2反り検知センサ
26 排出部
30 反り修正部
32 ローラベルト
32a 第1ローラ
32b 第2ローラ
32c 第3ローラ
33a ベルト
34,34a,34b,34c 反り修正シャフト
35 シャフト交換部
35a ホルダー
35b 伸縮機構
36 搬送ガイド
40 湿度センサ
50 制御部
52 データベース
60 迂回路
62 搬送ローラ
64 切り替えゲート
図1
図2
図3
図4