(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059172
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】位置ずれ防止パーツ、及び、その取付構造
(51)【国際特許分類】
B65D 19/44 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
B65D19/44 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166741
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA11
3E063BA01
3E063BA05
3E063CA01
3E063CA04
3E063CA10
3E063EE01
3E063EE03
3E063FF04
3E063FF06
(57)【要約】
【課題】支持手段に載置されたコンテナの位置ずれを防止することのできる位置ずれ防止パーツ、及び、位置ずれ防止パーツの取付構造を提供する。
【解決手段】コンテナ21を載置可能な載置面8を有するパレット1に取付可能な位置ずれ防止パーツ31は、パレット1に取付けられた状態において載置面8よりも上方に突出する凸部32と、載置面8に設けられた開口部15の周縁部に係止される係止部33と、開口部15を介した下方への脱落を防止するストッパー部34とを備えている。凸部32には、平面視略十字状に延在し、コンテナ21の下面側に設けられた略格子状の下面リブ22のうち十字に交差する交差部位を挿入可能な十字溝部35が設けられている。また、位置ずれ防止パーツ31は、十字溝部35の底面を構成する底壁部37の下面から下方に突出し、十字溝部35に対応して下面視略十字状に延在するリブ49を備えている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナを載置可能な載置面を有する支持手段に取付可能な位置ずれ防止パーツにおいて、
前記支持手段に取付けられた状態において、前記載置面よりも上方に突出する凸部と、
前記支持手段に取付けられた状態において、前記載置面に設けられた開口部の周縁部に係止される係止部と、
前記支持手段に取付けられた状態において、前記開口部を介した下方への脱落を防止するストッパー部とを備え、
前記凸部には、平面視略十字状に延在し、前記コンテナの下面側に設けられた略格子状の下面リブのうち十字に交差する交差部位を挿入可能な十字溝部が設けられ、
前記十字溝部の底面を構成する底壁部の下面から下方に突出し、前記十字溝部に対応して下面視略十字状に延在するリブを備えていることを特徴とする位置ずれ防止パーツ。
【請求項2】
前記位置ずれ防止パーツ同士を上下に積み重ねた場合に、前記凸部の表面側に重なる前記位置ずれ防止パーツの前記係止部を収容可能な凹部と、
前記位置ずれ防止パーツ同士を上下に積み重ねた場合に、前記凸部の突出方向先端部側の先端面よりも前記凸部の突出方向基端部側の位置において、前記凸部の表面側に重なる前記位置ずれ防止パーツに対し上下方向に当接して支持する支持部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の位置ずれ防止パーツ。
【請求項3】
前記位置ずれ防止パーツが平面視略矩形状をなす構成において、
前記位置ずれ防止パーツのコーナー部に対応して設けられ、前記支持手段に取付けられた状態において、前記開口部に挿入され、当該開口部の開口縁に当接、又は、近接する保護突部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の位置ずれ防止パーツ。
【請求項4】
前記請求項1乃至3のいずれかに記載の位置ずれ防止パーツを前記支持手段としてのパレットに対して取付けてなる位置ずれ防止パーツの取付構造において、
前記パレットは、前記位置ずれ防止パーツが取付けられた前記パレット同士を積み重ねた場合に、下側の前記パレットに取付けられた前記位置ずれ防止パーツを挿入可能とする下面側開口部を備えていることを特徴とする位置ずれ防止パーツの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナをパレット等の支持手段に載置して運搬する場合に使用される位置ずれ防止パーツ、及び、位置ずれ防止パーツの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテナを載置可能な載置面を有する支持手段(パレット等)に載置されたコンテナの水平方向における相対変位(位置ずれ)を防止するべく、パレットの載置面側に対して位置ずれ防止パーツを取付けるといった技術がある。位置ずれ防止パーツは、載置面よりも上方に突出する凸部を備えており、コンテナをパレットに載置した場合に、位置ずれ防止パーツの凸部が、コンテナの下面側に設けられた略格子状の下面リブによって囲われた領域に相対的に挿入されることにより、コンテナの位置ずれが防止されるようになっている(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、位置ずれ防止パーツとしては、パレットの載置面の所望とする位置に載置されたコンテナの位置ずれをより好適に防止するべく、更なる改善が求められている。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、支持手段に載置されたコンテナの位置ずれを防止することのできる位置ずれ防止パーツ、及び、位置ずれ防止パーツの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.コンテナを載置可能な載置面を有する支持手段に取付可能な位置ずれ防止パーツにおいて、
前記支持手段に取付けられた状態において、前記載置面よりも上方に突出する凸部と、
前記支持手段に取付けられた状態において、前記載置面に設けられた開口部の周縁部に係止される係止部と、
前記支持手段に取付けられた状態において、前記開口部を介した下方への脱落を防止するストッパー部とを備え、
前記凸部には、平面視略十字状に延在し、前記コンテナの下面側に設けられた略格子状の下面リブのうち十字に交差する交差部位を挿入可能な十字溝部が設けられ、
前記十字溝部の底面を構成する底壁部の下面から下方に突出し、前記十字溝部に対応して下面視略十字状に延在するリブを備えていることを特徴とする位置ずれ防止パーツ。
【0008】
手段1によれば、位置ずれ防止パーツの凸部は、十字溝部により少なくとも4つのブロックに分割されており、支持手段に載置されたコンテナの下面リブの交差部位が十字溝部に挿入されることで、下面リブの交差部位が位置ずれ防止パーツの凸部の各ブロックに適宜当接して、水平方向における相対変位(位置ずれ)が防止される。このため、例えば、位置ずれ防止パーツの凸部に十字溝部を設けることなく、コンテナの下面リブにより四角枠状に区画された1つの領域に凸部の全体を挿入することでコンテナの(前後・左右方向への)位置ずれを防止する場合に比べ、位置ずれ防止パーツにコンテナを設置し難くなる(凸部を下面リブで囲われた領域に挿入し難い)といった事態を抑制しつつ、水平方向における凸部と下面リブとの間の距離を極力短くすることができる。従って、支持手段の載置面の所望とする位置に載置されたコンテナの位置ずれをより確実に防止することができる。
【0009】
また、底壁部の下面側には略十字状に延在するリブが設けられており、十字溝部を形成することによる位置ずれ防止パーツの強度低下等を効果的に抑止することができる。従って、位置ずれ防止パーツの変形等を防止することができ、位置ずれ防止パーツの支持手段への取付状態の安定化、ひいては、コンテナの支持手段への設置状態の安定化を図ることができる。さらに、位置ずれ防止パーツは、係止部、及び、ストッパー部を備え、載置面の開口部に対応して取付けることができる。従って、支持手段側に位置ずれ防止パーツ用の特別な加工を施す必要がなく、位置ずれ防止パーツ、及び、支持手段の汎用性の向上等を図ることができる。
【0010】
手段2.前記位置ずれ防止パーツ同士を上下に積み重ねた場合に、前記凸部の表面側に重なる前記位置ずれ防止パーツの前記係止部を収容可能な凹部と、
前記位置ずれ防止パーツ同士を上下に積み重ねた場合に、前記凸部の突出方向先端部側の先端面よりも前記凸部の突出方向基端部側の位置において、前記凸部の表面側に重なる前記位置ずれ防止パーツに対し上下方向に当接して支持する支持部とを備えていることを特徴とする手段1に記載の位置ずれ防止パーツ。
【0011】
手段2によれば、凹部により、位置ずれ防止パーツ同士を積み重ねた(段積みした)場合の係止部による干渉を回避することができる。従って、位置ずれ防止パーツを好適に段積みすることができ、例えば、複数の位置ずれ防止パーツを無作為に箱や袋等に収容して保管する場合に比べ、位置ずれ防止パーツ同士が好ましくない姿勢で圧接し、損傷する等の事態を回避しつつ、複数の位置ずれ防止パーツをよりコンパクトに収納することができる。さらに、支持部により、位置ずれ防止パーツを段積みした場合に、凸部の裏面側に重なる位置ずれ防止パーツが凸部の内側に挿入され過ぎてしまうことを規制することができ、位置ずれ防止パーツが変形、及び、損傷したり、位置ずれ防止パーツの段積み状態の不安定化を招いたりするといった事態を防止することができる。
【0012】
手段3.前記位置ずれ防止パーツが平面視略矩形状をなす構成において、
前記位置ずれ防止パーツのコーナー部に対応して設けられ、前記支持手段に取付けられた状態において、前記開口部に挿入され、当該開口部の開口縁に当接、又は、近接する保護突部を備えていることを特徴とする手段1又は2に記載の位置ずれ防止パーツ。
【0013】
手段3によれば、支持手段に取付けられた位置ずれ防止パーツに対して水平方向における力が加えられた場合に、保護突部により位置ずれ防止パーツの変位を規制することができ、係止部に作用する負担を軽減させる(或いは、なくす)ことができる。従って、係止部の変形や損傷等を抑止することができ、結果として、位置ずれ防止パーツの耐久性の向上等を図ることができる。特に、保護突部は、位置ずれ防止パーツのコーナー部に対応して設けられているため、保護突部自体の強度・剛性の向上を図ることができ、位置ずれ防止パーツの取付状態の安定化、ひいては、コンテナの支持手段への設置状態の安定化等を図ることができる。
【0014】
手段4.前記支持手段に対する前記位置ずれ防止パーツの取付向きを教示する教示部を備えていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の位置ずれ防止パーツ。
【0015】
手段4によれば、支持手段に対する位置ずれ防止パーツの正規の取付向きを把握することができ、支持手段に対して位置ずれ防止パーツを意図せず間違えた向きで取付けようとしてしまう事態を抑止するとともに、位置ずれ防止パーツが支持手段に対して正規の向きで取付けられているかの確認を簡単に行うことができる。従って、位置ずれ防止パーツの取付作業性の向上等を図ることができる。
【0016】
手段5.前記手段1乃至4のいずれかに記載の位置ずれ防止パーツを前記支持手段としてのパレットに対して取付けてなる位置ずれ防止パーツの取付構造において、
前記パレットは、前記位置ずれ防止パーツが取付けられた前記パレット同士を積み重ねた場合に、下側の前記パレットに取付けられた前記位置ずれ防止パーツを挿入可能とする下面側開口部を備えていることを特徴とする位置ずれ防止パーツの取付構造。
【0017】
手段5によれば、パレットに位置ずれ防止パーツを取付けて使用するといった作業環境において、パレットの未使用時に、位置ずれ防止パーツを取付けた状態のまま、パレット同士を積み重ねて(段積みして)保管等することができ、作業性の向上等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】位置ずれ防止パーツが取付けられたパレットにコンテナが載置された状態を示す斜視図である。
【
図3】パレットに取付けられた位置ずれ防止パーツを示す平面図である。
【
図4】パレット、及び、位置ずれ防止パーツを示す部分拡大斜視図である。
【
図5】位置ずれ防止パーツの下面側を示す斜視図である。
【
図6】段積みされた位置ずれ防止パーツを示す斜視図である。
【
図7】段積みされた位置ずれ防止パーツを示す斜視図である。
【
図8】位置ずれ防止パーツが取付けられたパレットにコンテナが載置された状態を示す
図3のA-A線断面を含む斜視図である。
【
図9】位置ずれ防止パーツが取付けられたパレットにコンテナが載置された状態を示す
図3のB-B線断面を含む斜視図である。
【
図10】位置ずれ防止パーツが取付けられたパレットにコンテナが載置された状態を示す一部断面を含む斜視図である。
【
図11】位置ずれ防止パーツが取付けられたパレットが段積みされた状態を示す一部断面を含む斜視図である。
【
図12】別の実施形態における位置ずれ防止パーツの上面側を示す斜視図である。
【
図13】別の実施形態における位置ずれ防止パーツの下面側を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1、
図11に示すように、支持手段としてのパレット1は、平面視略矩形状をなしている。また、パレット1は、パレット1の4隅に設けられる4本の隅柱部2、パレット1の各側辺部に沿って並ぶ一対の隅柱部2の中間部位に設けられる中間柱部3、及び、パレット1の中央部に設けられる中央柱部4と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上端部間を連結する上デッキ部5と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の下端部間を連結する下デッキ部6とを備えている。各隅柱部2と中間柱部3との間には、フォークリフト等のフォークを差込み可能なフォーク差込み部7が形成されている。本実施形態では、パレット1の外周面を構成する4つの側面からフォークを差込み可能な4方差しタイプのパレットとなっている。
【0020】
また、本実施形態では、隅柱部2、中間柱部3、中央柱部4、及び、上デッキ部5の上面によって物品を載置可能な「載置面8」が構成されている。さらに、隅柱部2、中間柱部3、中央柱部4、及び、下デッキ部6の下面によって、パレット1が設置される床面等の設置面に接地する「接地面9」が構成されている。
【0021】
また、パレット1は、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上側部分と、上デッキ部5とを具備する上構成部11と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の下側部分と、下デッキ部6とを具備する下構成部12とを備えている。上構成部11、及び、下構成部12は、それぞれポリプロピレンにより一体的に形成されている。そして、上構成部11の隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の下縁部と、下構成部12の隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上縁部とが溶着(例えば、熱溶着)されることにより、上構成部11と下構成部12とが一体化され、これにより本実施形態のパレット1が構成されている。
【0022】
上デッキ部5は、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上縁部間を連結する略板状の上板部13と、上板部13の下面から下方に突出する上補強リブ14とを備えている。上補強リブ14は、上デッキ部5の各側辺部に沿った方向に延在するリブにより、上板部13の全域にわたって、略格子状に設けられている。また、
図11に示すように、上デッキ部5のうち、上デッキ部5の各側辺部に沿った方向において柱部2、3、4間を連結するようにして延びる部位における上補強リブ14の形成ピッチは、それ以外の部位(フォーク差込み部7が交差している部位)における上補強リブ14の形成ピッチよりも短くなっている。
【0023】
さらに、
図1、
図11に示すように、上板部13には、上下に貫通する平面視略矩形状の開口部15が設けられている。本実施形態では、フォーク差込み部7同士が交差している4箇所に対応してそれぞれ複数の開口部15が形成されている。加えて、
図9等に示すように、各開口部15の開口縁は、当該開口部15を囲う上補強リブ14から離間しており、開口部15の開口縁と、当該開口部15を囲う上補強リブ14との間には、上板部13が存在するように構成されている。
【0024】
図11に示すように、下デッキ部6には、図示しないハンドフォークリフトのフォークの下面側に設けられるキャスターを床面等に接地させるための下面側開口部16が設けられている。すなわち、下デッキ部6は、下デッキ部6の各側辺部に沿った方向において柱部2、3、4間を連結するようにして延設されており、フォーク差込み部7が交差している部位に関しては、上下に貫通する下面側開口部16となっている。
【0025】
図1に示すように、コンテナ21は、上方に開口する矩形箱状をなしており、パレット1を使用してコンテナ21を運搬等する場合には、パレット1に対して2つのコンテナ21が横並びで載置されるようになっている。また、
図2に示すように、コンテナ21の下面側には、下方に突出する略格子状の下面リブ22が設けられている。下面リブ22は、コンテナ21の下面の外周に沿って設けられる四角枠状の外枠部23と、外枠部23の内面間を連結して格子状に延在する内周部24とを備え、内周部24を構成するリブとしては、下縁部の高さが外枠部23の下縁部と同じ高さとなる接地補助部25と、下縁部の高さが外枠部23の下縁部よりも上方に位置する補強部26とが設けられている。尚、下面リブ22は基本的にいずれの部位においても同じ厚みとなっている。また、コンテナ21は、ポリプロピレンにより一体的に形成されている。
【0026】
さて、
図1、
図3に示すように、本実施形態では、パレット1を使用してコンテナ21を運搬等する場合に、パレット1の載置面8側に対して平面視略矩形状(本例では、略正方形状)の位置ずれ防止パーツ31が取付けられるようになっている。
図1、
図8、
図9等に示すように、位置ずれ防止パーツ31は、パレット1に取付けられた状態において、載置面8よりも上方に突出する凸部32と、パレット1に取付けられた状態において、載置面8に設けられた開口部15の周縁部(上板部13)に係止される係止部33と、パレット1に取付けられた状態において、開口部15を介した下方への脱落を防止するストッパー部34とを備えている。本実施形態の位置ずれ防止パーツ31は、ポリプロピレンにより一体的に形成されている。
【0027】
尚、
図1、
図3に示すように、本実施形態のパレット1の上板部13に設けられた開口部15のうち、位置ずれ防止パーツ31を取付可能とする平面視略正方形状の開口部15は、フォーク差込み部7同士が交差する4箇所において、それぞれパレット1の所定の側辺部に対して平行に延びる方向(
図3の二点鎖線の矢印で示す方向。以下、「特定方向」とも称する)に沿って、互いに所定距離を隔てて3つずつ並ぶようにして設けられている。本実施形態では、パレット1の上板部13のうちフォーク差込み部7同士が交差する4箇所においてそれぞれ前記特定方向に沿って並ぶ3つの開口部15のうち前記特定方向において最もパレット1の側辺部側に位置する開口部15に対応して位置ずれ防止パーツ31が取付けられる。さらに、位置ずれ防止パーツ31を取付可能とする開口部15の(前記特定方向に対して直交する方向における)両側方には、前記特定方向に対して直交する方向における幅の狭い平面視略矩形状の開口部(以下、「補助開口部18」と称する)が設けられている。
【0028】
また、
図4に示すように、凸部32には、位置ずれ防止パーツ31の各側辺部と略平行して平面視略十字状に延在し、上方、及び、位置ずれ防止パーツ31の外周側に開口する十字溝部35が設けられている。
図8~
図10に示すように、十字溝部35は、パレット1に載置されるコンテナ21の下面リブ22のうち十字に交差する交差部位を挿入可能に構成されている。本実施形態では、パレット1に載置されるコンテナ21の下面リブ22のうち補強部26同士の交差部位が十字溝部35に挿入されるようになっている。
【0029】
さらに、
図4に示すように、凸部32は、十字溝部35が設けられることにより、4つのブロック36に分割され、各ブロック36間が、十字溝部35の底面を構成する底壁部37によって連結されているような格好となっている。より具体的には、
図4、
図5に示すように、各ブロック36は、略矩形板状をなし、略水平方向に延在する天壁部38と、天壁部38の各側辺部から下方に延びる側壁部39とを備えて、下方に開口する略箱状をなしている。天壁部38と、各側壁部39との境界部は、基本的に面取り形状(傾斜面)とされている。但し、各側壁部39の少なくとも下半分は、鉛直方向に近い角度で延在している。
【0030】
各ブロック36の側壁部39のうち、下縁部が底壁部37と連結される位置ずれ防止パーツ31の内周側の2つの側壁部39(以下、「内壁部40」と称する)は、位置ずれ防止パーツ31の外周側の2つの側壁部39(以下、「外壁部41」と称する)よりも、下縁部が上方に位置している。このため、底壁部37は、位置ずれ防止パーツ31の外周面を構成する外壁部41の下縁部よりも上方に位置している。また、位置ずれ防止パーツ31は、底壁部37の各側辺部から下方に向けて、外壁部41の下縁部と同じ高さまで延びる折返し壁部42を備えている。折返し壁部42の両側部は、外壁部41と連結されており、折返し部42は、外壁部41とともに、位置ずれ防止パーツ31の外周面を構成している。
【0031】
また、本実施形態では、位置ずれ防止パーツ31の相対する一対の側辺部に対応しては、各ブロック36の外壁部41に対応して係止部33が設けられ、折返し壁部42に対応してストッパー部34が設けられている。これに対し、位置ずれ防止パーツ31のもう一対の側辺部に対応しては、各ブロック36の外壁部41に対応してストッパー部34が設けられ、折返し壁部42に対応して係止部33が設けられている。これにより、位置ずれ防止パーツ31の外周側には、位置ずれ防止パーツ31の周方向において、係止部33、及び、ストッパー部34が交互に配置される(位置ずれ防止パーツ31の周方向において、各係止部33が一対のストッパー部34に挟まれた配置とされる)ようになっている。
【0032】
さらに、
図3、
図4等に示すように、本実施形態では、ストッパー部34が設けられた折返し壁部42間を連結する底壁部37の横幅が、係止部33が設けられた折返し壁部42間を連結する底壁部37の横幅よりも広く構成されている。これに伴い、十字溝部35の幅(ブロック36間の距離)についても、ストッパー部34が設けられた折返し壁部42間に位置する部位の幅が、係止部33が設けられた折返し壁部42間に位置する部位の幅よりも広く構成されている。
【0033】
ストッパー部34は、折返し壁部42、又は、外壁部41の下縁部から位置ずれ防止パーツ31の外周側に突出する略板状をなしている。また、折返し壁部42に対応して設けられるストッパー部34は、対応する底壁部37(折返し壁部42)よりも横幅が若干広く構成され、外壁部41とも連結されている。さらに、各ストッパー部34の上面と、外壁部41の外面との間を連結する略三角形板状の補助リブ43が設けられている。
【0034】
また、本実施形態では、折返し壁部42に対応して設けられたストッパー部34のうち一方には、折返し壁部42からの突出方向先端部側の各コーナー部が面取り形状とされることで傾斜部44aが形成されている。さらに、折返し壁部42に対応して設けられたストッパー部34のうち他方には、折返し壁部42からの突出方向先端部側の辺部の中間位置がV字状に切欠かれることで傾斜部44bが形成されている。加えて、外壁部41に対応して設けられたストッパー部34のうち、傾斜部44aを有するストッパー部34側に位置するストッパー部34は、傾斜部44aを有するストッパー部34側の側辺部が、傾斜部44aと略同じ角度で延在する傾斜部44cとなっている。
【0035】
また、
図1に示すように、本実施形態では、パレット1に(直接当接して)載置される1つのコンテナ21に対して2つの位置ずれ防止パーツ31が使用される構成となっており、一対のコンテナ21が横並びで載置されるパレット1には、4つの位置ずれ防止パーツ31が取付けられる。つまり、パレット1の上板部13のうちフォーク差込み部7同士が交差する4箇所にそれぞれ設けられた開口部15に対応してそれぞれ位置ずれ防止パーツ31が取付けられるようになっている。さらに、パレット1に載置されるコンテナ21に対する位置ずれ防止パーツ31の向きが決まっており、十字溝部35のうち幅の広い方の部位(ストッパー部34が設けられた折返し壁部42間に延在する部位)の延在方向が、コンテナ21の短手方向に沿って延在する向きとなることで、コンテナ21が位置ずれ防止パーツ31により好適に保持される設定とされている。
【0036】
加えて、パレット1に対して一対のコンテナ21が横並びで載置されることから、パレット1に対する4つの位置ずれ防止パーツ31の取付向きも定められることとなる。特に、
図3等に示すように、本実施形態の位置ずれ防止パーツ31は、十字溝部35のうち幅の短い方の部位の形成位置が、十字溝部35のうち幅の広い方の部位の延在方向において、位置ずれ防止パーツ31の中央部よりも、傾斜部44aが形成されたストッパー部34側に変位しており、本実施形態では、位置ずれ防止パーツ31を取付可能とする開口部15が並んでいる方向であるパレット1の前記特定方向において、十字溝部35のうち幅の短い方の部位をパレット1の側辺部側に寄せる向きとして、位置ずれ防止パーツ31をパレット1に取付けることで、一対のコンテナ21がパレット1に好適に載置されるように設定されている(
図1参照)。
【0037】
上記のように、位置ずれ防止パーツ31に設けられたストッパー部34には、傾斜部44a、傾斜部44b、及び、傾斜部44cが設けられており、
図3に示すように、傾斜部44a、傾斜部44b、及び、傾斜部44cが設けられたストッパー部34の平面視形状によって作業者に「矢印」をイメージさせるようになっている。そして、
図1、
図3、
図11等に示すように、「矢印」が前記特定方向において近い側のパレット1の側辺部を指し示す向きとなるように位置ずれ防止パーツ31をパレット1に取付けることによって、位置ずれ防止パーツ31をパレット1に対して正規の向きで取付けることが可能となっている。尚、パレット1に載置される一対のコンテナ21のうち一方のコンテナ21に対応して設けられる一対の位置ずれ防止パーツ31は、互いに同じ向きで「矢印」がパレット1の同じ側辺部を指し示す向きとされ、パレット1に載置される一対のコンテナ21のうち他方のコンテナ21に対応して設けられる一対の位置ずれ防止パーツ31は、前記一方のコンテナ21に対応して設けられる位置ずれ防止パーツ31とは反対向き(180度旋回した向き)とされている。本実施形態では、傾斜部44a、傾斜部44b、及び、傾斜部44cが形成されたストッパー部34により教示部が構成されている。
【0038】
加えて、
図4等に示すように、係止部33は、外壁部41の下縁部、又は、折返し壁部42の下縁部から下方に延びる係止片47と、係止片47の下端部から位置ずれ防止パーツ31の外周側に突出する係止爪48とを備えている。
図8、
図9に示すように、位置ずれ防止パーツ31のパレット1への取付状態では、係止片47が開口部15を介して上板部13を貫通し、各係止片47の外面側が開口部15の開口縁に対して当接、又は、近接し、ストッパー部34の下面が上板部13の上面に当接して支持され、係止爪48が上板部13の下面に係止される。
【0039】
また、
図10等に示すように、位置ずれ防止パーツ31が取付けられたパレット1にコンテナ21を載置した場合、位置ずれ防止パーツ31の十字溝部35に対し、コンテナ21の下面リブ22のうち補強部26同士の交差部位が挿入され、図示は省略するが、下面リブ22のうち外枠部23、及び、接地補助部25が、パレット1の載置面8に当接して支持される。当該パレット1の載置状態においては、下面リブ22(補強部26)の下縁部が、十字溝部35の底部(底壁部37の上面)に対して近接するようになっている。
【0040】
さらに、
図5に示すように、位置ずれ防止パーツ31は、十字溝部35の底壁部37の下面から下方に突出し、十字溝部35に対応して下面視略十字状に延在するリブ49を備えている。リブ49は、底壁部37の各部位の幅の中央部を通るようにして設けられている。尚、ストッパー部34が設けられた折返し壁部42間を連結する底壁部37(底壁部37のうち幅の広い部位)には、リブ49を避けた位置に略半円形状の孔部50が設けられている。
【0041】
加えて、リブ49のうち交差部位を含む範囲の下縁部は、外壁部41、及び、折返し壁部42の下縁部よりも下方に位置するとともに、リブ49のうち各側端部を含む部位の下縁部は、位置ずれ防止パーツ31の外周側に向けて上方傾斜している。本実施形態では、リブ49のうちストッパー部34が設けられた折返し壁部42間を連結する底壁部37(底壁部37のうち幅の広い部位)に設けられた部位は、両側端部が折返し壁部42と連結されており、当該リブ49の下縁部は、折返し壁部42の下縁部と連接している。その一方で、リブ49のうち係止部33が設けられた折返し壁部42間を連結する底壁部37に設けられた部位の下縁部は、折返し壁部42と、底壁部37との境界部に連接しており、係止片47の弾性変形が極力阻害されないようになっている。
【0042】
また、
図6、
図7に示すように、位置ずれ防止パーツ31は、位置ずれ防止パーツ31同士を上下に積み重ねた(段積みした)場合に、凸部32の表面側(
図6では上側、
図7では下側)に重なる位置ずれ防止パーツ31の係止部33を収容可能な凹部51を備えている。さらに、位置ずれ防止パーツ31は、位置ずれ防止パーツ31を段積みした場合に、凸部32の突出方向先端部側の先端面、すなわち、各ブロック36の天壁部38の表面(
図6では上側を向き、
図7では下側を向く上面)よりも凸部32の突出方向基端部側の位置(下方位置)において、凸部32の表面側に重なる位置ずれ防止パーツ31に対し上下方向に当接して支持する支持部52を備えている。
【0043】
図4、
図5に示すように、係止部33が設けられた外壁部41の上部は、当該外壁部41の下部に比べ、位置ずれ防止パーツ31の内周側に厚みを増加させるようにして厚肉に構成されている。
図6等に示すように、位置ずれ防止パーツ31の段積み状態において外壁部41に対応して設けられた係止部33を収容するための凹部51は、係止部33が設けられた外壁部41の外面側の上部において、上方、及び、位置ずれ防止パーツ31の外周側に開口するようにして設けられている。さらに、位置ずれ防止パーツ31の段積み状態において折返し壁部42に対応して設けられた係止部33を収容するための凹部51は、対応する十字溝部35の横幅を位置ずれ防止パーツ31の外周側に向けて次第に拡幅させるようにして、対応するブロック36のコーナー部を面取り形状とすることで設けられている。
【0044】
支持部52は、係止部33が設けられた外壁部41を、凹部51の両側方位置において上方に露出させることで、当該露出された外壁部41の上面により構成されている。尚、支持部52は、天壁部38の上面よりも下方に位置しており、位置ずれ防止パーツ31の段積み状態において、ブロック36のうち支持部52よりも上方に位置する部位が、凸部32の表面側に重なる位置ずれ防止パーツ31の凸部32(ブロック36)の内側に挿入されるようになっている。
【0045】
図6に示すように位置ずれ防止パーツ31を段積みした場合には、下側の位置ずれ防止パーツ31の凸部32(ブロック36)の上端部が、上側の位置ずれ防止パーツ31の凸部32(外壁部41、及び、折返し壁部42により構成される位置ずれ防止パーツ31の外周壁)の内側に挿入され、上側の位置ずれ防止パーツ31の係止部33が、下側の位置ずれ防止パーツ31の凹部51に挿入され、上側の位置ずれ防止パーツ31の係止部33が設けられた外壁部41の下縁部が、下側の位置ずれ防止パーツ31の支持部52に当接して支持される。当該位置ずれ防止パーツ31の段積み状態では、上側の位置ずれ防止パーツ31の外壁部41から下方に突出する係止部33の下端部が、下側の位置ずれ防止パーツ31の凹部51の底面に対して上方に離間するようになっている。尚、本実施形態では、リブ49の中央部を含む部位の下縁部は、係止部33の下端部と同じ高さとされ、
図6のように位置ずれ防止パーツ31を設置面に設置する場合には、リブ49の下縁部、及び、係止部33の下端部が設置面と当接する。また、
図7に示すように、位置ずれ防止パーツ31を上下逆向きとして位置ずれ防止パーツ31を設置面に設置する場合には、凸部32の略平坦な先端面(ブロック36の天壁部38)が設置面に当接することとなる。
【0046】
また、
図11に示すように、本実施形態では、位置ずれ防止パーツ31が取付けられたパレット1同士を積み重ねる(段積みする)ことが可能となっている。すなわち、パレット1の段積み状態において、下側のパレット1に取付けられた位置ずれ防止パーツ31は、上側のパレット1の下面側開口部16に挿入されるようになっている。これにより、下側のパレット1に取付けられた位置ずれ防止パーツ31が上側のパレット1に干渉することなく、上側のパレット1の接地面9が、下側のパレット1の載置面8に当接して支持されるようになっている。
【0047】
以上詳述したように、本実施形態によれば、位置ずれ防止パーツ31の凸部32は、十字溝部35により4つのブロック36に分割されており、パレット1に載置されたコンテナ21の下面リブ22の十字に交差した交差部位が十字溝部35に挿入されることで、下面リブ22の交差部位が位置ずれ防止パーツ31の凸部32の各ブロック36に適宜当接して、水平方向における相対変位(位置ずれ)が防止される。このため、例えば、位置ずれ防止パーツ31の凸部32に十字溝部35を設けることなく、コンテナ21の下面リブ22により四角枠状に区画された1つの領域に位置ずれ防止パーツの凸部の全体を挿入することでコンテナ21の(前後・左右方向への)位置ずれを防止する場合に比べ、位置ずれ防止パーツ31にコンテナ21を設置し難くなる(凸部32を下面リブ22で囲われた領域に挿入し難い)といった事態を抑制しつつ、水平方向における凸部32と下面リブ22との間の距離を極力短くすることができる。従って、パレット1の載置面8の所望とする位置に載置されたコンテナ21の位置ずれをより確実に防止することができる。
【0048】
また、底壁部37の下面側には、十字溝部35に対応して略十字状に延在するリブ49が設けられており、十字溝部35を形成することによる位置ずれ防止パーツ31の強度低下等を効果的に抑止することができる。従って、位置ずれ防止パーツ31の変形等を防止することができ、位置ずれ防止パーツ31のパレット1への取付状態の安定化、ひいては、コンテナ21のパレット1への設置状態の安定化を図ることができる。
【0049】
さらに、位置ずれ防止パーツ31は、係止部33、及び、ストッパー部34を備え、載置面8の開口部15に対応して取付けることができる。従って、パレット1側に位置ずれ防止パーツ31用の特別な加工を施す必要がなく、位置ずれ防止パーツ31、及び、パレット1の汎用性の向上等を図ることができる。
【0050】
また、位置ずれ防止パーツ31には、位置ずれ防止パーツ31を段積みした場合に、凸部32の表面側(
図6に示す向きで段積みした場合には上側)に重なる位置ずれ防止パーツ31の係止部33を収容可能な凹部51が設けられている。当該凹部51により、位置ずれ防止パーツ31を段積みした場合の係止部33による干渉を回避することができる。従って、位置ずれ防止パーツ31を好適に段積みすることができ、例えば、複数の位置ずれ防止パーツ31を無作為に箱や袋に収容して保管する場合に比べ、位置ずれ防止パーツ31同士が好ましくない姿勢で圧接し、損傷する等の事態を回避しつつ、複数の位置ずれ防止パーツ31をよりコンパクトに収納することができる。
【0051】
さらに、位置ずれ防止パーツ31には、位置ずれ防止パーツ31を段積みした場合に、凸部32の突出方向先端部側の先端面(天壁部38の上面)よりも凸部32の突出方向基端部側の位置(下方位置)において、凸部32の表面側に重なる位置ずれ防止パーツ31に対し上下方向に当接して支持する支持部52が設けられている。当該支持部52により、位置ずれ防止パーツ31を段積みした場合に、凸部32の裏面側に重なる位置ずれ防止パーツ31が凸部32の内側に挿入され過ぎてしまうことを規制することができ、位置ずれ防止パーツ31が変形、及び、損傷したり、位置ずれ防止パーツ31の段積み状態の不安定化を招いたりするといった事態を防止することができる。尚、
図7に示すように、凸部32の先端面(天壁部38の上面)を設置面に接地させる向きで位置ずれ防止パーツ31を段積みすることで、係止部33と設置面との接触を回避することができ、係止部33の損傷をより確実に回避しつつ、位置ずれ防止パーツ31の段積み状態の安定化を図ることができる。
【0052】
また、位置ずれ防止パーツ31は、ストッパー部34に傾斜部44a、44b、44cが設けられることより、平面視で略矢印形状をなしている。本実施形態では、パレット1に対する位置ずれ防止パーツ31の取付向きが定められており、位置ずれ防止パーツ31の矢印形状を、パレット1の特定方向においてパレット1の側辺部側に向けることで、位置ずれ防止パーツ31がパレット1に対して好適な向き(コンテナ21の位置ずれがより効果的に抑止される向き)で取付けられるようになっている。このため、パレット1に対する位置ずれ防止パーツ31の正規の取付向きを把握することができ、パレット1に対して位置ずれ防止パーツ31を意図せず間違えた向きで取付けようとしてしまう事態を抑止するとともに、位置ずれ防止パーツ31がパレット1に対して正規の向きで取付けられているかの確認を簡単に行うことができる。従って、位置ずれ防止パーツ31の取付作業性の向上等を図ることができる。
【0053】
尚、位置ずれ防止パーツ31が取付けられる開口部15の両側方には、特定方向が長手幅方向となる補助開口部18が設けられており、当該補助開口部18の長手方向と、位置ずれ防止パーツ31の矢印の方向とを合わせることで、位置ずれ防止パーツ31が取付けられる開口部15に近い位置にあるパレット1の互いに略直交して連接する2つの側辺部のうちどちらの側辺部に前記矢印を向けるのかをより認識させ易くすることができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、位置ずれ防止パーツ31が取付けられたパレット1を段積みした場合に、下側のパレット1に取付けられた位置ずれ防止パーツ31が、上側のパレット1の下面側開口部16に挿入されるようになっている。このため、パレット1に位置ずれ防止パーツ31を取付けて使用するといった作業環境において、パレット1の未使用時に、位置ずれ防止パーツ31を取付けた状態のまま、パレット1を段積みして保管等することができ、作業性の向上等を図ることができる。
【0055】
加えて、各ブロック36の天壁部38と、側壁部39との境界部が面取り形状とされている。このため、位置ずれ防止パーツ31が取付けられたパレット1にコンテナ21を載置する際に、コンテナ21の下面リブ22を位置ずれ防止パーツ31の十字溝部35に挿入させ易くなる。さらに、位置ずれ防止パーツ31を段積みする際に、凸部32の表面側に重なる位置ずれ防止パーツ31の凸部32の内側(裏面側)に対し、凸部32(ブロック36)を挿入させ易くなる。従って、コンテナ21をパレット1に載置する場合、及び、位置ずれ防止パーツ31を段積みする場合の作業性の向上を図ることができる。
【0056】
また、位置ずれ防止パーツ31の底壁部37の下面側に設けられたリブ49のうち各側端部を含む部位の下縁部は、位置ずれ防止パーツ31の外周側に向けて上方傾斜しており、リブ49のうち、係止部33が設けられた折返し壁部42間を連結する底壁部37に設けられた部位の下縁部は、折返し壁部42と、底壁部37との境界部に連接している。このため、位置ずれ防止パーツ31をパレット1に取付ける際に係止部33が位置ずれ防止パーツ31の内周側に弾性変形しても、当該係止部33がリブ49に接触することが回避される。さらに、係止部33が設けられている折返し壁部42にもリブ49は連結されておらず、係止部33が弾性変形する際に、折返し壁部42についても若干追従して変形させることが可能となる。これにより、外壁部41に対応して設けられた係止部33に比べて折返し壁部42に対応して設けられた係止部33が弾性変形し難くなってしまい、開口部15の周縁部に係止させ難くなるといった事態を回避することができる。従って、位置ずれ防止パーツ31をパレット1に取付ける場合の作業性の向上を図ることができる。
【0057】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0058】
(a)
図12、
図13に示すように、位置ずれ防止パーツ31のコーナー部に対応して、パレット1に取付けられた状態において開口部15に挿入され、当該開口部15の開口縁に当接、又は、近接する保護突部61を設けることとしてもよい。保護突部61は、各ブロック36(側壁部39)の下縁部のうち、外壁部41同士が連結された境界部を挟んで一方の外壁部41から他方の外壁部41にかけて延在する範囲から下方に突出し、水平断面略L字状に構成されている。
【0059】
当該構成を採用する場合には、パレット1に取付けられた位置ずれ防止パーツ31に対して水平方向における力が加えられた場合に、保護突部61により位置ずれ防止パーツ31の変位を規制することができ、係止部33(係止片47)に作用する負担を軽減させる(或いは、係止部33を保護突部61よりも位置ずれ防止パーツ31の内周側に位置させることで、係止部33の負担をなくす)ことができる。従って、係止部33の変形や損傷等を抑止することができ、結果として、位置ずれ防止パーツ31の耐久性の向上等を図ることができる。特に、保護突部61は、位置ずれ防止パーツ31のコーナー部に対応して設けられているため、保護突部61自体の強度・剛性の向上を図ることができ(断面略L字状に構成することができ)、位置ずれ防止パーツ31のパレット1への取付状態の安定化、ひいては、コンテナ21のパレット1への設置状態の安定化等を図ることができる。
【0060】
尚、
図12、
図13では、保護突部61の下端部は、係止部33の下端部よりも上方に位置しているが、例えば、保護突部61の下端部を係止部33の下端部と同じ高さ、或いは、係止部33の下端部よりも下方に位置するように構成してもよい。この場合、位置ずれ防止パーツ31を凹部51の裏面側を下向きとして設置面に設置した場合等における係止部33の保護等を図ることができる。また、保護突部61の外壁部41から下方への突出長を比較的長くした場合、位置ずれ防止パーツ31を段積みした場合に、凸部32の表面側に重なる位置ずれ防止パーツ31の保護突部61を収容可能とする凹部を適宜設けることとしてもよい。
【0061】
(b)上記実施形態では、位置ずれ防止パーツ31が平面視略矩形状をなしているが、特にかかる形状に限定されるものではなく、係止部33、及び、ストッパー部34により位置ずれ防止パーツ31がパレット1に取付可能な構成となっていればよい。また、係止部33、及び、ストッパー部34の数や形成位置についても特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。但し、係止部33、及び、ストッパー部34を少なくとも位置ずれ防止パーツ31の相対する一対の側辺部に対応して設けることが望ましい。
【0062】
さらに、上記実施形態では、凸部32に十字溝部35が設けられることで凸部32が4つのブロック36に分割されるように構成されているが、少なくとも凸部32においてコンテナ21の下面リブ22の交差部位を挿入可能とする十字溝部35が形成されていればよく、例えば、凸部32が5つを超えるブロックに分割されるように構成してもよい。加えて、上記実施形態では、十字溝部35(底壁部37)のうち、コンテナ21の長手幅方向に対して直交する方向に延在する部位の幅が比較的幅広に構成されているが、十字溝部35の幅についても適宜変更可能であり、例えば、十字溝部35はいずれの部位においても基本的には(例えば、位置ずれ防止パーツ31の段積み状態において、折返し壁部42に設けられた係止部33を収容可能とする凹部51を構成する部位は除く)同じ幅とされるように構成してもよい。
【0063】
(c)上記実施形態では、位置ずれ防止パーツ31の段積み状態において、所定の位置ずれ防止パーツ31の支持部52と、当該位置ずれ防止パーツ31の凸部32の表面側に重なる位置ずれ防止パーツ31の外壁部41の下縁部とが上下に当接して、上側の位置ずれ防止パーツ31が支持されるように構成されているが、当該構成に加えて、又は、代えて、位置ずれ防止パーツ31の段積み状態において、所定の位置ずれ防止パーツ31のリブ49と、当該位置ずれ防止パーツ31の凸部32の裏面側に重なる位置ずれ防止パーツ31の底壁部37とが上下に当接するように構成してもよい。尚、位置ずれ防止パーツ31の段積み状態において位置ずれ防止パーツ31の凸部32が、当該凸部32の表面側に重なる位置ずれ防止パーツ31の凸部32の内側に挿入され過ぎてしまうことを防止する構成を省略することも可能である。但し、支持部52等を設けることで、位置ずれ防止パーツ31を段積みした場合に、位置ずれ防止パーツ31の損傷等を抑制したり、段積み状態の安定化を図ったりすることができる。
【0064】
また、凹部51を省略し、係止部33が位置ずれ防止パーツ31の段積みを阻害しないような形状(例えば、位置ずれ防止パーツ31の外周側に延出してから下方に延びる鉤状)としてもよいが、係止部33を強度の低下や位置ずれ防止パーツ31の大型化等を回避するべく、凹部51を設けることが望ましい。
【0065】
(d)上記実施形態では、パレット1に対する位置ずれ防止パーツ31の取付向きが定められるとともに、位置ずれ防止パーツ31が平面視で略矢印形状(矢印をイメージさせる形状)とされ、当該矢印の向きを目安として位置ずれ防止パーツ31をパレット1に取付ける構成とされているが、パレット1に対する位置ずれ防止パーツ31の取付向きを作業者に教示する構成については特に限定されるものではない。例えば、位置ずれ防止パーツ31の上面側に矢印形状の凸部又は凹部を形成することとしてもよいし、位置ずれ防止パーツ31の所定の側辺部に対応して(例えば、折返しリブ49に対応して設けられるストッパー部34のうち一方に対して)所定の目印を設けるとともに、パレット1の位置ずれ防止パーツ31の取付位置においても、かかる所定の目印に対応する目印を設けることとしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、パレット1に対する位置ずれ防止パーツ31の取付向きとして、位置ずれ防止パーツ31の矢印形状が、パレット1の特定方向においてパレット1の側辺部側を向く向きに定められているが、例えば、位置ずれ防止パーツ31の十字溝部35のうち幅(ブロック36間の距離)の広い方の部位の延在方向と、パレット1の特定方向とが一致すれば正規の取付向きとされる構成としてもよいし(この場合、例えば、傾斜部44aと、傾斜部44bとを同じ形状とする)、位置ずれ防止パーツ31の上面側及び下面側の形状を4回対称形状として、パレット1の側辺部と、位置ずれ防止パーツ31の側辺部とが略平行すれば正規の取付向きとされる構成としてもよい。
【0067】
(e)上記実施形態において、パレット1の開口部15の形状や数等については特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、上板部13のうちフォーク差込み部7同士が交差する部位において位置ずれ防止パーツ31を取付可能な開口部15が3つずつ設けられているが、2つ以下(例えば、1つだけ)としてもよいし、4つ以上としてもよい。また、例えば、補助開口部18に代えて、位置ずれ防止パーツ31を取付可能な開口部15を行列状に設けることとしてもよい。さらに、上デッキ部5のほぼ全体を網目状に構成すること、例えば、上板部13を省略し、上補強リブ14のみで上デッキ部5を構成することも可能である。この場合、位置ずれ防止パーツ31の係止部は、上デッキ部5の下面に係止されるように構成する。尚、位置ずれ防止パーツ31を取付可能な開口部15を互いに近接した位置において複数設けることにより、例えば、パレット1に載置されるコンテナ21を別のコンテナに変更する場合に、位置ずれ防止パーツ31、及び、パレット1を変更することなく対応したり、コンテナの変更に応じて位置ずれ防止パーツ31を変更する場合に、パレット1を変更することなく対応したりすることが可能となり、汎用性の向上等を図ることができる。
【0068】
加えて、上記実施形態では、パレット1に対して2つのコンテナ21が横並びで載置される構成となっているが、例えば、1つのコンテナを直接載置面に載置することは可能であるが、コンテナを2つ横並びで載置することのできないパレットに適用したり、3つ以上のコンテナを横並びで載置可能なパレットに適用したりすることも可能である。尚、1つのパレットに対して位置ずれ防止パーツ31を取付ける数については、載置されるコンテナの数や大きさ(コンテナを用いて運搬等される物品)等に応じて適宜変更可能であり、1つの位置ずれ防止パーツ31で1つのコンテナの位置ずれを防止したり、3つ以上の位置ずれ防止パーツ31で1つのコンテナの位置ずれを防止したりすることとしてもよい。
【0069】
(f)また、コンテナ21の形状等についても特に限定されるものではなく、位置ずれ防止パーツ31の十字溝部35に挿入される下面リブ22を備える構成であればよい。例えば、上記実施形態では、下面リブ22のうち下縁部が外枠部23及び接地補助部25よりも高い位置とされる補強部26が設けられ、補強部26同士が交差した部位を、パレット1に取付けられた位置ずれ防止パーツ31の十字溝部35に挿入させるように構成されているが、下面リブ22の下縁部をいずれの部位においても同じ高さとするように構成してもよい。但し、位置ずれ防止パーツ31への負担を軽減するべく、上記実施形態のように、コンテナ21は、外枠部23や接地補強部26がパレット1の載置面8に当接して支持される構成とすることが望ましい。尚、十字溝部35の底壁部37に対し、下面リブ22が当接し得る(例えば、コンテナ21の底壁部が撓むようにして変形した場合に当接する)設定としてもよいし、当接し得ない設定としてもよい。加えて、下面リブ22の内周部24全体の下縁部を外枠部23の下縁部よりも上方に位置させ、外枠部23のみが接地する構成とすることも可能である。
【0070】
尚、位置ずれ防止パーツ31のパレット1への取付状態において底壁部37の上面が載置面8よりも下方に位置する、又は、面一とされ、折返し壁部42にはストッパー部34が設けられないように構成してもよい。この場合、下面リブ22の下縁部の高さが一定のコンテナをパレット1に載置する場合であっても、下面リブ22と底壁部37との圧接を回避することができる。
【0071】
(g)上記実施形態では、位置ずれ防止パーツ31、及び、コンテナ21はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、上記実施形態では、位置ずれ防止パーツ31が取付けられる支持手段として4方差しタイプのパレット1に具体化されているが、例えば、2方差しのパレット、台車の台板、棚の棚板等に適用することも可能である。さらに、パレット1(支持手段)の構成材料としても特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料や、金属等により構成されることとしてもよい。加えて、上記実施形態では、上構成部11と、下構成部12とが別々に形成された後、互いに溶着されることでパレット1が構成されているが、全体が一体的に構成されるパレット(例えば、下デッキ部6が省略されたようなパレット)に具体化することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…パレット、7…フォーク差込み部、8…載置面、13…上板部、15…開口部、16…下面側開口部、21…コンテナ、22…下面リブ、31…位置ずれ防止パーツ、32…凸部、33…係止部、34…ストッパー部、35…十字溝部、36…ブロック、37…底壁部、41…外壁部、42…折返し壁部、44a,44b,44c…傾斜部、49…リブ、51…凹部、52…支持部、61…保護突部。