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特開2022-59200仮締切構造物及び仮締切構造物を用いた河川内工事の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059200
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】仮締切構造物及び仮締切構造物を用いた河川内工事の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 19/04 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
E02D19/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166787
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 修作
(72)【発明者】
【氏名】野澤 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】江良 耕一
(72)【発明者】
【氏名】通山 剛
(72)【発明者】
【氏名】志岐 常和
(72)【発明者】
【氏名】豊島 幹大
(57)【要約】      (修正有)
【課題】施工性、経済性、安全性を向上できる仮締切構造物等を提供する。
【解決手段】水底Wbから水面Ws側に延長するように構成された固定仮締切構造体1と、当該固定仮締切構造体1上に着脱装置3を介して着脱可能に取付けられた着脱式仮締切構造体2とを備え、着脱式仮締切構造体2は、止水壁20と、止水壁20を補強する補強部21とを備え、補強部21が止水壁20の一方の壁面20aに取付けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底から水面側に延長するように構成された固定仮締切構造体と、当該固定仮締切構造体上に着脱装置を介して着脱可能に取付けられた着脱式仮締切構造体とを備え、
着脱式仮締切構造体は、止水壁と、止水壁を補強する補強部とを備え、補強部が止水壁の一方の壁面に取付けられたことを特徴とする仮締切構造物。
【請求項2】
着脱装置は、着脱式仮締切構造体が固定仮締切構造体から取り外された状態においては、固定仮締切構造体の上面より突出しないように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の仮締切構造物。
【請求項3】
固定仮締切構造体は、
水底地盤に打ち込まれて水面側に延長するように設けられた複数の鋼矢板により形成された外囲構造体と、外囲構造体で囲まれた内側空間に構築された内側構造体とを備え、
内側構造体は、外囲構造体で囲まれた内側空間における水底地盤の上に設けられた改良地盤部と、改良地盤部の上方に設けられた砕石層部と、砕石層部の上方に設けられたコンクリート部とを備えて、当該コンクリート部の上面が常時満水位に対応する位置に設けられて着脱式仮締切構造体の取付面となるように構成され、
着脱装置は、
コンクリート部の上面から下方に延長するように形成された有底孔と、
一端側が有底孔の孔底からコンクリート部に固定されて、他端側に形成されたねじ部が孔底より有底孔内に突出するように設けられたアンカーねじ部材と、
両端側にねじ部を有し、一端側のねじ部がコンクリート部に固定されたアンカーねじ部材の他端側のねじ部に取付けられた場合に他端側のねじ部がコンクリート部の上面より上方に突出するように構成されたねじ部材と、
補強部に形成された貫通孔と、
補強部に形成された貫通孔を貫通して貫通孔の上方に位置されたねじ部材の他端側のねじ部に締結されて補強部をねじ部材に固定する締結部材とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の仮締切構造物。
【請求項4】
固定仮締切構造体は、
水底地盤に打ち込まれて水面側に延長するように設けられた鋼管矢板と、鋼管矢板の上端に設けられた基板とを備えて、当該基板の上面が常時満水位に対応する位置に設けられて着脱式仮締切構造体の取付面となるように構成され、
着脱装置は、
基板を貫通するように形成された貫通孔と、
補強部に形成された貫通孔と、
補強部及び基板の貫通孔を貫通して補強部を基板に固定するねじ部材とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の仮締切構造物。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の仮締切構造物を用いた河川内工事の施工方法であって、
非出水期において着脱式仮締切構造体を固定仮締切構造体上に設置して河川内工事を実施した後に、出水期においては着脱式仮締切構造体を固定仮締切構造体から取り外して河川内工事を中止し、その後、非出水期になった場合に着脱式仮締切構造体を固定仮締切構造体上に再度設置して河川内工事を実施するようにしたことを特徴とする仮締切構造物を用いた河川内工事の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川内工事において使用する施工性に優れた仮締切構造物等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中橋脚の基礎上に筒状仮設体を備えた仮締切構造が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1の仮締切構造においては、河川内工事対象の水中橋脚を囲むように止水壁となる筒状仮設体を設け、この筒状仮設体の内側に補強部となる支保材を設け、この支保材が水中橋脚の基礎にアンカーボルトで取付けられた構成となっている。
また、橋脚の台座(基礎)上に止水壁と止水壁を支持する補強部となるフレームとを備えた締切構造物が知られている(特許文献2参照)。
特許文献2の締切構造物においては、所定の間隔を隔てて隣り合うように配置されてアンカーボルトで台座に取付けられた補強部としてのフレームを備え、止水壁が当該隣り合うフレームとフレームとの間に挟み込まれるように設置された構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-208389号公報
【特許文献2】特開2017-166314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の仮締切構造においては、筒状仮設体の構築作業が大変であるとともに、筒状仮設体を構築した後に支保材の取付作業を行わなければならず、作業工程が多くなり、仮締切構造の構築工事において、施工性等の面での課題があった。
また、特許文献2の締切構造物においては、止水壁の左右のうちの一方の側縁側が一方のフレームの縦部材を構成するH形鋼のフランジとウェブとで囲まれた断面凹状の部分に挟み込まれるとともに、止水壁の左右のうちの他方の側縁側が他方のフレームの縦部材を構成するH形鋼のフランジとウェブとで囲まれた断面凹状の部分に挟み込まれた状態となっている。従って、一方向から止水壁に加わる水圧を各H形鋼の一対のフランジのうちの一方のフランジで支持する構造となるため、当該フランジの強度が大きいH形鋼を使用しなければならず、部材コストが高くなるため、経済性の面での課題があった。
また、特許文献2の締切構造物において、フレームの縦部材を構成するH形鋼のフランジとウェブとで囲まれた断面凹状の部分に止水壁を挿入するためには、止水壁をH形鋼の高さよりも高く持ち上げて当該H形鋼の上方から断面凹状の部分に挿入しなくてはならないので、作業が煩雑となってしまうという施工性の面での課題、大型の揚重機が必要になってしまうという経済性の面での課題、重量物であるH形鋼を高く持ち上げるために安全性の面での課題があった。
即ち、従来の締切構造物においては、施工性、経済性、安全性の面での課題があった。
本発明は、上述した課題に鑑み、施工性、経済性、安全性を向上できる仮締切構造物等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る仮締切構造物は、水底から水面側に延長するように構成された固定仮締切構造体と、当該固定仮締切構造体上に着脱装置を介して着脱可能に取付けられた着脱式仮締切構造体とを備え、着脱式仮締切構造体は、止水壁と、止水壁を補強する補強部とを備え、補強部が止水壁の一方の壁面に取付けられたことを特徴とするので、施工性、経済性、安全性を向上できる仮締切構造物を提供できる。
また、着脱装置は、着脱式仮締切構造体が固定仮締切構造体から取り外された状態においては、固定仮締切構造体の上面より突出しないように構成されたことを特徴とするので、着脱式仮締切構造体を一端取り外した後、再度取付ける場合において、固定仮締切構造体の上面より突出する障害物がなくなるため、着脱式仮締切構造体の補強部の取付位置への設置作業及び取付作業を容易に行え、着脱式仮締切構造体を固定仮締切構造体上から撤去した後に固定仮締切構造体上に構築する際の施工性に優れた仮締切構造物を提供できる。
また、固定仮締切構造体は、水底地盤に打ち込まれて水面側に延長するように設けられた複数の鋼矢板により形成された外囲構造体と、外囲構造体で囲まれた内側空間に構築された内側構造体とを備え、内側構造体は、外囲構造体で囲まれた内側空間における水底地盤の上に設けられた改良地盤部と、改良地盤部の上方に設けられた砕石層部と、砕石層部の上方に設けられたコンクリート部とを備えて、当該コンクリート部の上面が常時満水位に対応する位置に設けられて着脱式仮締切構造体の取付面となるように構成され、着脱装置は、コンクリート部の上面から下方に延長するように形成された有底孔と、一端側が有底孔の孔底からコンクリート部に固定されて、他端側に形成されたねじ部が孔底より有底孔内に突出するように設けられたアンカーねじ部材と、両端側にねじ部を有し、一端側のねじ部がコンクリート部に固定されたアンカーねじ部材の他端側のねじ部に取付けられた場合に他端側のねじ部がコンクリート部の上面より上方に突出するように構成されたねじ部材と、補強部に形成された貫通孔と、補強部に形成された貫通孔を貫通して貫通孔の上方に位置されたねじ部材の他端側のねじ部に締結されて補強部をねじ部材に固定する締結部材とを備えたことを特徴とするので、施工性、経済性、安全性を向上できるとともに、着脱式仮締切構造体を固定仮締切構造体上から撤去した後に固定仮締切構造体上に構築する際の施工性に優れた仮締切構造物を提供できる。
また、固定仮締切構造体は、水底地盤に打ち込まれて水面側に延長するように設けられた鋼管矢板と、鋼管矢板の上端に設けられた基板とを備えて、当該基板の上面が常時満水位に対応する位置に設けられて着脱式仮締切構造体の取付面となるように構成され、着脱装置は、基板を貫通するように形成された貫通孔と、補強部に形成された貫通孔と、補強部及び基板の貫通孔を貫通して補強部を基板に固定するねじ部材とを備えたことを特徴とするので、施工性、経済性、安全性を向上できるとともに、着脱式仮締切構造体を固定仮締切構造体上から撤去した後に固定仮締切構造体上に構築する際の施工性に優れた仮締切構造物を提供できる。
また、上述した仮締切構造物を用いた河川内工事の施工方法は、非出水期において着脱式仮締切構造体を固定仮締切構造体上に設置して河川内工事を実施した後に、出水期においては着脱式仮締切構造体を固定仮締切構造体から取り外して河川内工事を中止し、その後、非出水期になった場合に着脱式仮締切構造体を固定仮締切構造体上に再度設置して河川内工事を実施するようにしたことを特徴とするので、着脱式仮締切構造体の撤去及び設置が繰り返される場合に、着脱式仮締切構造体の設置作業が容易となるため、複数回の非出水期と出水期とに亘って継続する河川内工事を、効率的に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】仮締切構造物を示す断面図(実施形態1)。
図2】着脱式仮締切構造体を示す斜視図(実施形態1)。
図3】着脱式仮締切構造体を示す平面図(実施形態1)。
図4】着脱装置を示す断面図(実施形態1)。
図5】止水壁と補強部との間の止水構造を示す断面図(実施形態1)。
図6】仮締切構造物を示す断面図(実施形態2)。
図7】仮締切構造物を示す正面図(実施形態2)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1に示すように、実施形態1に係る仮締切構造物は、河川内工事、例えば、堤体や橋脚などの河川内構造物の築造や改造工事等において、作業区域DW内にてドライワークを行えるように築造される仮設構造物であり、水底Wbから水面Ws側に延長するように構築された固定仮締切構造体1と、当該固定仮締切構造体1上に着脱装置3を介して着脱可能に取付けられた着脱式仮締切構造体2とを備えた構成である。
【0008】
固定仮締切構造体1は、水底地盤Wgに打ち込まれて水面Ws側に延長するように設けられた複数の鋼矢板11,11…により形成された外囲構造体11Fと、外囲構造体11Fで囲まれた内側空間に構築された内側構造体12とを備えて構成される。
内側構造体12は、上部にコンクリート部13を備えて、外囲構造体11Fを構成する鋼矢板11,11…の上端11t及びコンクリート部13の上面14が常時満水位(Normal Water Level)に対応する位置に設けられて、当該コンクリート部13の上面14が着脱式仮締切構造体2の取付面となるように構成されている。
【0009】
固定仮締切構造体1は、例えば、鋼矢板11,11…を所定の間隔を隔てて平行に対向するように水底地盤Wgに打設して、平行に対向するように設置された鋼矢板11と鋼矢板11とがタイロッド9で連結された二重締切構造の鋼矢板11,11…により、外囲構造体11Fが構築されたとともに、この外囲構造体11Fで囲まれた内側空間に、内側構造体12が築造された構造である。尚、外囲構造体11Fは、水平方向に長い上端部連結材(頭繋ぎ部材)10を用いて、隣り合う複数の鋼矢板11,11…の上端部同士が繋がれて構築されている。
【0010】
内側構造体12は、例えば、外囲構造体11Fで囲まれた内側の水底地盤Wgの上に設けられた改良地盤部15と、改良地盤部15の上方に設けられた粒度調整砕石層部16と、粒度調整砕石層部16の上方に設けられたコンクリート部13とを備えた構成である。
【0011】
着脱式仮締切構造体2は、止水壁20と、止水壁20を補強する補強部21とを備え、補強部21が止水壁20の一方の壁面20aに取付けられた構成であり、コンクリート部13の上面14に設置される当該着脱式仮締切構造体2の補強部21が着脱装置3を介して固定仮締切構造体1のコンクリート部13に着脱可能に取付けられる。
【0012】
止水壁20は、例えば所定の大きさの矩形状でかつ所定厚さの鋼板等の板材により形成される。
補強部21は、垂直補強部22と下側水平補強部23とを備えて構成される。
補強部21は、例えば形鋼等の長尺材により形成される。
【0013】
図1図2に示すように、垂直補強部22は、コンクリート部13の上面14上の水平方向(横方向)に沿って所定の間隔を隔てて複数個設けられる。
垂直補強部22は、支柱24と、水平支持材25と、斜め支持材26とを備え、これらを組み合わせて構成される。
尚、垂直補強部22は、例えば以下のように形鋼を組み合わせて構成されるが、使用する形鋼及び形鋼の組み合わせ形態については特に限定されない。
【0014】
支柱24は、例えばH形鋼により形成される。支柱24は、例えば、左右に隣り合うように配置される止水壁20,20の境界位置に設置されて、当該左右に隣り合うように配置される止水壁20,20を連結するための連結部材(ジョイント)及び補強材として機能する。
【0015】
水平支持材25は、例えば図2に示すように、2つの山形鋼25A,25Aを組み合わせて構成される。つまり、各山形鋼25A,25Aの前端面となる一端面と支柱24を構成するH形鋼の一方のフランジ24aの下端側の外面とが接触した状態で、各山形鋼25A,25Aの一方の板部25a,25aの外面25u,25uをコンクリート部13の上面14に対向させて、これら一方の板部25a,25aが、着脱装置3により、コンクリート部13に着脱可能に取付けられることにより、水平支持材25が断面凹状に形成されてコンクリート部13に取付けられる(図4参照)。
尚、図3:4では、水平支持材25は、2つの山形鋼25A,25Aの他方の板部25b,25b間で斜め支持材26の下端側を挟み込んで、かつ、2つの山形鋼25A,25Aの一方の板部25a,25aが互いに離れる方向に延長するように構成された形態を例示しているが、水平支持材25は、水平支持材25を構成する2つの山形鋼25A,25Aの他方の板部25b,25b間で斜め支持材26の下端側を挟み込んで、かつ、2つの山形鋼25A,25Aの一方の板部25a,25aが互いに近付く方向に延長して断面凹状となるように構成された形態であってもよい。
【0016】
斜め支持材26は、例えばH形鋼の長手方向の両端側を斜めに切断加工して構成される。
斜め支持材26は、一端に溶接などで取付けられた連結板26aが支柱24の上部側に連結手段5を用いて連結され、他端側が水平支持材25の後端側に連結手段5を用いて連結される。
具体的には、斜め支持材26の一端に設けられた連結板26aの板面と支柱24を構成するH形鋼の一方のフランジ24aの外面とを面接触させた状態で当該連結板26aとフランジ24aとが連結手段5により連結される。
また、水平支持材25を構成した各山形鋼25A,25Aの他方の板部25b,25bの後端側の内面と斜め支持材26を構成するH形鋼の他端側の各フランジの外面とを面接触させた状態で当該水平支持材25の後端側と斜め支持材26の他端側とが連結手段5により連結される。
尚、図3:4では、斜め支持材26を形成するH形鋼の各フランジが左右(水平)方向に並ぶように配置された形態を例示しているが、斜め支持材26は、H形鋼の各フランジが上下方向に並ぶように配置されて、斜め支持材26のH形鋼の各フランジの下端側と水平支持材25の各山形鋼25A,25Aの他方の板部25b,25bとが溶接にて接合された構成としてもよい。
【0017】
下側水平補強部23は、例えば図2図3に示すように、止水壁20を介して互いに隣り合う垂直補強部22の支柱24と垂直補強部22の支柱24との間において、止水壁20の一方の壁面20aの下端側に宛がわれて、着脱装置3を介してコンクリート部13に取付けられるとともに、連結手段4を用いて止水壁20の一方の壁面20a側に取付けられる。
例えば、下側水平補強部23としては、山形鋼が用いられ、当該山形鋼の一方の板部23aの外面をコンクリート部13の上面14に対向させるとともに、一方の板部23aの外面と直交する他方の板部23bの外面を止水壁20の一方の壁面20aと対向するように設置して、山形鋼の一方の板部23aとコンクリート部13とが着脱装置3により着脱可能に連結されたとともに、山形鋼の他方の板部23bと止水壁20とが連結手段4により連結された構成となっている。
【0018】
図4に示すように、着脱装置3は、例えば、コンクリート部13の上面14から下方に延長するように形成された有底孔31と、アンカーねじ部材32、ねじ部材33と、補強部21、即ち、水平支持材25の一方の板部25aや下側水平補強部23の一方の板部23aに形成された貫通孔34と、締結部材35とを備えて構成される。
【0019】
アンカーねじ部材32は、例えば、一端側が有底孔31の孔底31eからコンクリート部13に打ち込まれてコンクリート部13に固定されるアンカー部32aと、他端側に形成された雄ねじ部32bとを備える。
即ち、アンカーねじ部材32は、アンカー部32aが有底孔31の孔底31eからコンクリート部13に打ち込まれて固定されたことにより、雄ねじ部32bが孔底31eより有底孔31内に突出して、かつ、雄ねじ部32bがコンクリート部13の上面14より上方に突出しないように設けられたアンカーボルトにより形成される。
【0020】
ねじ部材33は、一端側が有底孔31のアンカーねじ部材32の雄ねじ部32bに螺着される雌ねじ部33aを有し、他端側がコンクリート部13の上面14より上方に突出する雄ねじ部33bを有した構成である。
【0021】
締結部材35は、水平支持材25の一方の板部25aや下側水平補強部23の一方の板部23aに形成された貫通孔34を貫通して貫通孔34の上方に位置されたねじ部材33の他端側の雄ねじ部33bに締結されて、水平支持材25や下側水平補強部23、即ち、補強部21をねじ部材33に固定する例えばナットである。
【0022】
着脱装置3は、着脱式仮締切構造体2が固定仮締切構造体1から取り外された状態においては、固定仮締切構造体1の上面14より突出しないように、つまり、コンクリート部13の上面14より上方に突出しないように構成される。
即ち、ねじ部材33の上端の治具操作部33cにスパナ等の工具をセットしてねじ部材33をアンカーねじ部材32から取り外すことにより、ねじ部材33と締結部材35とが外れ、補強部21をコンクリート部13の上面14から撤去できる。補強部21が撤去された後、コンクリート部13の上面14より上方に突出する部材がなくなり、コンクリート部13の上面14が平面に維持されるので、補強部21を再びコンクリート部13の上面14に取付ける際の作業が容易となる。
【0023】
尚、上述した連結手段4や連結手段5は、例えばボルト及びナットを用いた連結手段、即ち、連結対象板に形成されたボルト通し孔を貫通するように設けられたボルトと、ボルトの先端側から螺着されて連結対象板を固定するナットとで構成される。
【0024】
また、止水壁20の一方の壁面20aと補強部21との間、具体的には、図5に示すように、止水壁20の一方の壁面20aと支柱24を構成するH形鋼の他方のフランジ24bの外面24fとの間、止水壁20の一方の壁面20aと下側水平補強部23を構成する山形鋼の他方の板部23bの外面23fとの間には、止水ゴム板などの止水材27が挟まれた状態に設けられて、支柱24と止水壁20とが連結手段4により連結されているとともに、下側水平補強部23と止水壁20とが連結手段4により連結されている。
この場合、止水壁20、止水材27、支柱24や下側水平補強部23の板材に形成された貫通孔にボルト4aを貫通させた後に、貫通孔を貫通したボルト4aの先端側からナット4bを螺着して締結する。尚、ボルト4aの頭部と板面との間、及び、ナット4bと板面との間には、ワッシャ28を介在させることが好ましい。
【0025】
次に、着脱式仮締切構造体2の構築方法の一例について説明する。
まず、固定仮締切構造体1のコンクリート部13の上面14の所定の位置に水平支持材25,25…を設置して、これら水平支持材25,25…を着脱装置3を用いてコンクリート部13に取付ける。
次に、支柱24を構成するH形鋼の一方のフランジ24aの下端側の外面と水平支持材25の前端面とを接触させた状態で、水平支持材25の前方に支柱24を建てるとともに、斜め支持材26の他端側と水平支持材25の後端側とを連結手段5により連結し、かつ、斜め支持材26の一端側と支柱24とを連結手段5により連結する。以上により、コンクリート部13の上面14上の水平方向(横方向)に沿って所定の間隔を隔てた所定の位置に、それぞれ、垂直補強部22が取付けられる。
【0026】
そして、左右に隣り合う支柱24,24を構成するH形鋼の他方のフランジ24b,24bの外面24f,24fと止水壁20の一方の壁面20aにおける左右の側縁側とを対向させた状態で、止水壁20の左右の側縁側を連結手段4により左右の支柱24,24に取り付ける。この場合、上述したように、止水壁20の一方の壁面20aと支柱24との間に止水材27を挟み込んだ状態で止水壁20と支柱24とを連結する。
【0027】
さらに、左右の支柱24,24に取付けられた止水壁20の一方の壁面20aにおける下端側に下側水平補強部23を設置し、下側水平補強部23を構成する山形鋼の一方の板部23aの外面をコンクリート部13の上面14に対向させるとともに、山形鋼の他方の板部23bの外面と止水壁20の一方の壁面20aとの間に止水材27を挟み込んで当該他方の板部23bの外面と止水壁20の一方の壁面20aを対向させて状態とする。その後、当該下側水平補強部23の一方の板部23aを着脱装置3によりコンクリート部13に取付けるとともに、当該下側水平補強部23の他方の板部23bを連結手段4により止水壁20に取付ける。
【0028】
以上により、補強部21が止水壁20の一方の壁面20aに取付けられて補強部21が固定仮締切構造体1のコンクリート部13に固定された着脱式仮締切構造体2が、固定仮締切構造体1のコンクリート部13の上面14上に構築されることになる。
尚、止水を確実にするため、支柱24を構成するH形鋼の他方のフランジ24bの下端とコンクリート部13の上面14との間の隙間、下側水平補強部23の一方の板部23aとコンクリート部13の上面14との間の隙間、止水壁20の下端とコンクリート部13の上面14との間の隙間には、コーキング剤などの充填材を充填する止水処理を施すことが好ましい。
【0029】
実施形態1に係る仮締切構造物によれば、固定仮締切構造体1上に着脱可能に取付けられた着脱式仮締切構造体2が、止水壁20と、止水壁20の一方の壁面20aに取付けられた補強部21とを備えた構成としたので、着脱式仮締切構造体2を構成する止水壁20と補強部21との組立作業が容易となるため、施工性に優れた仮締切構造物を提供できる。
また、補強部21が止水壁20の一方の壁面20aに取付けられた構成としたので、補強部21を構成する各部材の全体で止水壁20を支持できるようになり、補強部21を構成する各部材の小型化を図ることが可能となるため、部材コストを削減できる。
また、補強部21を、垂直補強部22と下側水平補強部23とで構成したため、止水壁20に加わる力が垂直補強部22と下側水平補強部23とに分散されて支持されるため、垂直補強部22及び下側水平補強部23を構成する各部材の小型化が可能となり、部材コストを削減できる。
また、止水壁20を垂直補強部22よりも高く持ち上げる必要がないため、小型の揚重機を用いて安全かつ容易に作業を行えるようになる。
即ち、実施形態1に係る仮締切構造物によれば、特許文献1,2と比べて、施工性、経済性、安全性を向上できる仮締切構造物を提供できるようになった。
【0030】
また、実施形態1に係る仮締切構造物によれば、着脱装置3は、着脱式仮締切構造体2が固定仮締切構造体1から取り外された状態においては、固定仮締切構造体1の上面14より突出しないように構成されたので、着脱式仮締切構造体2を一端取り外した後、再度取付ける場合において、固定仮締切構造体1の上面14より突出する障害物がなくなるため、着脱式仮締切構造体2の補強部21の取付位置への設置作業及び取付作業を容易に行え、着脱式仮締切構造体2を固定仮締切構造体1上から撤去した後に固定仮締切構造体1上に構築する際の施工性に優れた仮締切構造物を提供できる。
即ち、引用文献1では、筒状仮設体の内側に設けられて補強部となる支保材が水中橋脚の基礎にアンカーボルトで取付けられ、特許文献2では、補強部となるフレームが橋脚の台座(基礎)にアンカーボルトで取付けられた構成となっているため、仮に、補強部を一端取り外した後、再度、取付ける場合においては、アンカーボルトが基礎面より上方に突出しているために、補強部を持ち上げてアンカーボルトに取付けなければならず、補強部の取付位置への設置作業及び取付作業を容易に行えないという課題があったが、実施形態1に係る仮締切構造物によれば、当該課題を解消できるようになった。
【0031】
尚、実施形態1では、改良地盤部15と砕石層部としての粒度調整砕石層部16とコンクリート部13とを備えて構成された内側構造体12を例示したが、上面側がコンクリート部13で構成されていれば、内側構造体におけるコンクリート部13の下方の構造は、改良地盤部15と粒度調整砕石層部16とを備えた構造以外の構造であってもかまわない。
【0032】
実施形態2
実施形態2に係る仮締切構造物は、図6及び図7に示すように、固定仮締切構造体1Aが、水底地盤Wg(図1参照)打ち込まれて水面Ws側に延長するように設けられた鋼管矢板11Aと、鋼管矢板11Aの上端に設けられた基板13Aとを備えて、当該基板13Aの上面14Aが常時満水位に対応する位置に設けられて着脱式仮締切構造体2Aの取付面となるように構成される。
尚、図6,7において、図1乃至図5の実施形態1と同一部分又は相当部分については、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0033】
着脱式仮締切構造体2Aは、止水壁20と、止水壁20を補強する補強部21Aとを備え、補強部21Aが止水壁20の一方の壁面20aに取付けられた構成である。
【0034】
止水壁20は、実施形態1と同様に、例えば所定の大きさの矩形状でかつ所定厚さの鋼板等の板材により形成される。
補強部21Aは、支柱24と、下側補強部23Aと、上側補強部23Bとを備えて構成される。
補強部21Aは、例えば形鋼等の長尺材より形成される。
【0035】
支柱24は、例えばH形鋼により形成される。支柱24は、例えば、実施形態1と同様に、左右に隣り合うように配置される止水壁20,20の境界位置に設置されて、当該の左右に隣り合うように配置される止水壁20,20を連結するための連結部材(ジョイント)及び補強材として機能する。
【0036】
下側補強部23Aは、横材40と、横材40を基板13Aに固定するための横材取付材42;42と、支柱24に下端に連結された連結板43と、横材40に連結された連結板44とを備える。
【0037】
横材40は、例えばH形鋼により形成され、当該H形鋼のウェブが水平面を形成して、各フランジの一方側の端面と基板13Aの上面14Aとが接触するように設置される。
そして、横材40の各フランジの他方側の端面側において支柱24の下端が位置される箇所には連結板44が設けられる。この連結板44は、例えば平鋼板により形成され、この平鋼板の一方の板面と横材40の各フランジの他方側の端面とが同一面上に位置されるように、連結板44と横材40とが溶接により連結される。
【0038】
横材取付材42は、例えば山形鋼により形成される。
そして、横材取付材42を形成する山形鋼の一方の板部の外面と横材40を形成するH形鋼のフランジの外面とを接触させるとともに、横材取付材42を形成する山形鋼の他方の板部の外面と基板13Aの上面14Aとを接触させた状態で、横材取付材42を形成する山形鋼の他方の板部が着脱装置3Aにより基板13Aに着脱可能に連結される。
尚、横材取付材42は、横材40を形成するH形鋼の一方のフランジの外面に沿って設けられるとともに、横材40を形成するH形鋼の他方のフランジの外面に沿って設けられる。
【0039】
上側補強部23Bは、横材41と、支柱24の上端に連結された連結板45とを備える。
横材41は、例えば溝形鋼により形成される。
連結板45は、例えば平鋼板により形成され、この平鋼板の一方の板面と支柱24の上端面とを接触させた状態で、支柱24と連結板45とが溶接により連結される。
【0040】
着脱装置3Aは、基板13Aを貫通するように形成された貫通孔と、補強部21A、即ち、横材取付材42を形成する山形鋼の他方の板部に形成された貫通孔と、基板13A及び補強部21A(横材取付材42)に形成された貫通孔を貫通して補強部21Aを基板13Aに固定するねじ部材とを備えた構成とした。
【0041】
尚、着脱装置3Aは、具体的には、以下のような構成とすればよい。
(1)図6及び図7に示すように、補強部21A(横材取付材42を形成する山形鋼の他方の板部)及び基板13Aに形成された貫通孔と、補強部21Aに形成された貫通孔及び基板13Aに形成された貫通孔を通過して先端部が基板13Aの下方に突出する雄ねじ部材(ボルト)と、基板13Aの下方に突出する雄ねじ部材の先端部に螺着されて基板13Aの下面に接触するように締結される締結部材(ナット)とを備えた構成。
(2)補強部21A及び基板13Aに形成された貫通孔と、基板13Aに形成された貫通孔及び補強部21Aに形成された貫通孔を通過して先端部が補強部21A(横材取付材42を形成する山形鋼の他方の板部)の上方に突出する雄ねじ部材(ボルト)と、補強部21Aの上方に突出する雄ねじ部材の先端部に螺着されて21A(横材取付材42を形成する山形鋼の他方の板部)の上面に接触するように締結される締結部材(ナット)とを備えた構成。
(3)補強部21A及び基板13Aに形成された貫通孔と、中心軸が貫通孔の中心軸と一致するように基板13Aの下面に固定された雌ねじ部材(ナット)と、補強部21Aに形成された貫通孔及び基板13Aに形成された貫通孔を通過して先端部が雌ねじ部材に螺着してかつ頭部が補強部21A(横材取付材42を形成する山形鋼の他方の板部)の上面に接触するように締結される雄ねじ部材(ボルト)とを備えた構成。
(4)補強部21A及び基板13Aに形成された貫通孔と、中心軸が貫通孔の中心軸と一致するように補強部21A(横材取付材42を形成する山形鋼の他方の板部)の上面に固定された雌ねじ部材(ナット)と、基板13Aに形成された貫通孔及び補強部21Aに形成された貫通孔を通過した先端部が雌ねじ部材に螺着してかつ頭部が基板13Aの下面に接触するように締結される雄ねじ部材(ボルト)とを備えた構成。
(5)補強部21A及び基板13Aに形成された貫通孔と、基板13Aに形成された貫通孔の孔内周面に形成された雌ねじ部と、補強部21Aに形成された貫通孔を通過した先端部が基板13Aの貫通孔に形成された雌ねじ部に螺着してかつ頭部が補強部21A(横材取付材42を形成する山形鋼の他方の板部)の上面に接触するように締結される雄ねじ部材(ボルト)とを備えた構成。
(6)補強部21A及び基板13Aに形成された貫通孔と、補強部21Aに形成された貫通孔の孔内周面に形成された雌ねじ部と、基板13Aに形成された貫通孔を通過した先端部が補強部21Aの貫通孔に形成された雌ねじ部に螺着してかつ頭部が基板13Aの下面に接触するように締結される雄ねじ部材(ボルト)とを備えた構成。
【0042】
次に、着脱式仮締切構造体2Aの構築方法の一例について説明する。
まず、所定長さの横材40と、横材40を構成するH形鋼の両方のフランジの外面に、それぞれ、横材取付材42を形成する山形鋼の一方の板部の外面を接触させた状態で、横材40を構成するH形鋼のフランジと横材取付材42を形成する山形鋼の一方の板部とを溶接にて接合する。この場合、横材40の長手方向の端面と横材取付材42の長手方向の端面とが一致しないようにする。例えば、各横材取付材42,42の長手方向の一端面から、横材40の長手方向の長さの半分程度の部分が突出するような状態に接合する。そして、この横材40と横材取付材42,42との接合体を、基板13Aの上面14A上の所定の位置に配置して、各横材取付材42,42の他方の板部の外面と基板13Aの上面14Aとを接触させた状態で、各横材取付材42,42を着脱装置3Aを用いて基板13Aに取付ける。
【0043】
その後、各横材取付材42,42の長手方向の一端面から突出する横材40を構成するH形鋼の両方のフランジの外面に、次の横材取付材42を形成する山形鋼の一方の板部の外面を接触させるとともに、当該山形鋼の他方の板部の外面を基板13Aの上面14Aに接触させた状態で、横材40と当該横材取付材42とを溶接にて接合するとともに、当該各横材取付材42,42を着脱装置3Aを用いて基板13Aに取付ける。
以上の工程を繰り返すことにより、所望の長さの横材40を横材取付材42を介して基板13Aに固定する。
【0044】
そして、支柱24の下端に設けられた連結板43の下側の板面と横材40に連結された連結板44の上側の板面とを接触させた状態で、連結板43と連結板44とを連結手段5により接合することで、支柱24の下端と横材40とを連結する。
さらに、止水壁20の横幅の長さに相当する間隔を隔てて互いに隣り合う2本以上の支柱24の上端間を跨ぐように、横材41を設置し、横材41を形成する溝形鋼のウェブの外面と支柱24の上端に連結された連結板45上側の板面とを接触させた状態で、当該横材41と連結板45とを連結手段5により接合することで、支柱24の上端と横材41とを連結する。
以上により、補強部21Aが構築される。
【0045】
次に、互いに隣り合う支柱24,24を構成する各H形鋼の各一方のフランジの外面間、及び、下の横材40を形成するH形鋼の一方のフランジの外面と上の横材41を形成する溝形鋼の一方のフランジの外面との間に跨るように、止水壁20を設置し、当該止水壁20の周辺部分と、左右の支柱24,24、及び、上下の横材41,40とを、連結手段4により連結する。尚、この場合、左右の支柱24,24、及び、上下の横材41,40の各フランジの外面と対向する止水壁の一方の壁面20aと当該各フランジの外面との間には止水材27を挟み込んで連結手段4により連結する(図5参照)。
【0046】
以上により、補強部21Aが止水壁20の一方の壁面20aに取付けられて補強部21が固定仮締切構造体1Aの基板13Aに固定された着脱式仮締切構造体2Aが、固定仮締切構造体1Aの基板13Aの上面14上に構築されることになる。
【0047】
実施形態2に係る仮締切構造物によれば、固定仮締切構造体1A上に着脱可能に取付けられた着脱式仮締切構造体2Aが、止水壁20と、止水壁20の一方の壁面20aに取付けられた補強部21Aとを備えた構成としたので、着脱式仮締切構造体2を構成する止水壁20と補強部21との組立作業が容易となるため、施工性に優れた仮締切構造物を提供できる。
【0048】
また、実施形態2に係る仮締切構造物によれば、着脱装置3Aは、着脱式仮締切構造体2Aが固定仮締切構造体1Aから取り外された状態においては、固定仮締切構造体1Aの上面14Aより突出しないように構成されたので、着脱式仮締切構造体2Aを一端取り外した後、再度、取付ける場合において、固定仮締切構造体1Aの上面14Aより突出する障害物がなくなるため、着脱式仮締切構造体2Aの補強部21Aの取付位置への設置作業及び取付作業を容易に行え、施工性に優れた仮締切構造物を提供できる。
【0049】
実施形態3
次に、実施形態1又は実施形態2の仮締切構造物を用いた河川内工事の施工方法について説明する。
まず、固定仮締切構造体1(又は固定仮締切構造体1A)を構築する。そして、非出水期においては、着脱式仮締切構造体2(又は着脱式仮締切構造体2A)を固定仮締切構造体1上に設置して河川内工事を実施する。その後、出水期においては、着脱式仮締切構造体2を固定仮締切構造体1から取り外して河川内工事を中止する。その後、非出水期になった場合に、着脱式仮締切構造体2を固定仮締切構造体1上に再度設置して河川内工事を実施する。
以上の工程を、河川内工事が完了するまで、繰り返し行う。
【0050】
実施形態3に係る河川内工事の施工方法によれば、河川内工事が、複数回の非出水期と出水期とに亘って継続する場合に、出水期において着脱式仮締切構造体を固定仮締切構造体から撤去した後に、非出水期において着脱式仮締切構造体を固定仮締切構造体上に再度設置する場合の設置作業が容易となるので、複数回の非出水期と出水期とに亘って継続する河川内工事を、効率的に行うことができるようになる。
つまり、着脱式仮締切構造体の撤去及び設置が繰り返される場合に、着脱式仮締切構造体の設置作業が容易となるため、複数回の非出水期と出水期とに亘って継続する河川内工事を、効率的に行うことができるようになる。
【0051】
着脱装置3としては、ケミカルアンカー(登録商標)、ホールインアンカー等のアンカーを用いてもかまわない。
【符号の説明】
【0052】
1 固定仮締切構造体、2 着脱式仮締切構造体、3,3A 着脱装置、
11 鋼矢板、11F 外囲構造体、11A 鋼管矢板、12 内側構造体、
13 コンクリート部、14 コンクリート部の上面(固定仮締切構造体の上面)、
15 改良地盤部、16 粒度調整砕石層(砕石層部)、
20 止水壁、20a 止水壁の一方の壁面、21 補強部、
31 有底孔、32 アンカーねじ部材、33 ねじ部材、
34 貫通孔、35 締結部材、Wb 水底、Ws 水面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7