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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059209
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】胸腰椎装具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20220406BHJP
   A61F 5/02 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
A61F5/01 E
A61F5/01 K
A61F5/02 D
A61F5/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166802
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】500202780
【氏名又は名称】アドバンフィット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】児玉 春生
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB03
4C098BB04
4C098BB05
4C098BC02
4C098BC13
4C098BC18
4C098BC36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】個々の患者の体形に合わせ緊締囲繞可能に構成することにより腰部から胸部に至るまで最適な状態で体躯の患部を固定保持することができると同時に、過度な緊締圧迫による皮膚への負担などの不都合が発生することを防止することができる胸腰椎装具を提供する
【解決手段】本発明は、患者の胸部と腹部のそれぞれの前面左右側面、背面に亘って緊締囲繞するように次のパッドとベルトの構成よりなる胸腰椎装具に関する。略湾曲状の左右外胸部パッドA・A′・左右外胸部パッドA・A′の基部を上下調整自在に連結した左右上下調節杆F・F′略湾曲状の左右外下腹部パッドB・B′一定幅員の背当てパッドC、また、これらの部材は左右上下側背当てベルトG・G′・H・H′や胸連結ベルトDや腹連結ベルトE等により患者の胸部と腹部との外周面を緊締囲繞可能に構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の胸部と腹部のそれぞれの前面左右側面、背面に亘って緊締囲繞するように次の構成よりなることを特徴とする胸腰椎装具。
・患者の胸部左側前面に当接する略湾曲状の左外胸部パッド。
・左外胸部パッドを胸部に囲繞固定するために端部に連設した左上側背当てベルト。
・患者の腰部左側面に当接する略湾曲状の左外下腹部パッド。
・左外下腹部パッドを腰部に囲繞固定するために端部に連設した左下側背当てベルト。
・左外胸部パッドの基部と左外下腹部パッドの基部とを上下位置で調整自在に連結した左上下調節杆。
・患者の胸部右側前面に当接する略湾曲状の右外胸部パッド。
・右外胸部パッドを胸部に囲繞固定するために端部に連設した右上側背当てベルト。
・患者の腰部右側面に当接する略湾曲状の右外下腹部パッド。
・右外下腹部パッドを腰部に囲繞固定するために端部に連設した右下側背当てベルト。
・右外胸部パッドの基部と右外下腹部パッドの基部とを上下位置で調整自在に連結した右上下調節杆。
・左外胸部パッドと右外胸部パッドとの対向端部を締付け自在に連結した胸連結ベルト。
・左外下腹部パッドと右外下腹部パッドとの対向端部を締付け自在に連結した腹連結ベルト。
・患者の腰部に対応する下腹部の前面から、背面にかけて囲繞する一定幅員の背当てパッド。
しかも、背当てパッドの両端上下部に左右二個ずつ突設し、左上突設部は左上側背当てベルトの先端部と、左下突設部は左下側背当てベルトの先端部と、右上突設部は右上側背当てベルトの先端部と、右下突設部は右下側背当てベルトの先端部とそれぞれ着脱自在に連結して左外胸部パッドと左外下腹部パッドと右外胸部パッドと右外下腹部パッドと背当てパッドとにより、患者の胸部と腹部との外周面を緊締囲繞可能に構成したことを特徴とする胸腰椎装具。
【請求項2】
患者の体に接する胸腰椎装具の内側には、緩衝を目的とした次の部材より構成したことを特徴とする請求項1に記載の胸腰椎装具。
・左外胸部パッドの内側に着脱自在に貼設された可撓性を有する左内胸部パッド。
・左外下腹部パッドの内側に着脱自在に貼設された可撓性を有する左内下腹部パッド。
・右外胸部パッドの内側に着脱自在に貼設された可撓性を有する右内胸部パッド。
・右外下腹部パッドの内側に着脱自在に貼設された可撓性を有する右内下腹部パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胸腰椎の前屈を制限し、伸展位保持を目的とした胸腰椎装具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、骨粗鬆症や脊椎圧迫骨折等の治療際に矯正装具を使用する場合がある。
この矯正装具は、一般に、患者の体幹形状に合わせ製作されたものや、個人的な体型の違いに対して、弾性材や軟質な材質で製作された器具などを用いることがある。
【0003】
このような矯正装具として、板状の軟質合成樹脂からなり体に装着した際に胸から腹部や腰部にわたり体躯前面体と体躯背面体とをぐるりと囲繞する形状に構成し、体躯前面体と体躯背面体とは分離あるいは折り曲げ自在として装着に便利とした軟質フレーム本体からなり、これらの形状を維持するためにポリカーボネートなどからなる可撓性の芯体を内蔵させて装着時においてフイット感が出ると共に体躯を一定の姿勢に強制的に拘束して矯正具としての機能も付与するように構成されており、矯正という医療機能の安定性と共に、装着時の快適さや装着外出時の美観などを提供することができるようにした医療用矯正装具が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2013-215246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に骨粗鬆症や脊椎圧迫骨折等の重症的な治療に用いる矯正装具は、かえって患者の体幹形状に合っていないものを使用すると、要望する矯正効果が得られないばかりか、過度な締付けや装具のもたらす偏奇荷重の体躯負荷により骨格への悪影響のみならず装着した接触皮膚面への圧迫により血行障害を起こしたり皮膚障害を生起したりする等の種々の問題が生じていた。かかる欠点を解消すべく下記のような先行技術文献が開示されている。
【0006】
特許文献1に記載の矯正装具にあっては、軟質合成樹脂と可撓性のポリカーボネートで形成され、矯正装具をゴム帯体にて体に装着させることで、患者の体の外周面に沿うように装着できる構成とており、ゴム帯体の調整により胴回りは患者に対応するサイズや形状に矯正することが可能であった。
【0007】
しかしながら、患者の身長による背丈の違い等に基づく矯正具の上下の調整までは考慮されておらず、従って装着時に本来は腰回りまで囲繞する装着形態を必要としているにもかかわらず、腹部までの寸法となり本来の矯正治療を十分に行えない欠点が生起し、また、矯正装具の構造が各構成要素の全体を一体として連結固定させているため、胸部や腹部で個別にそれぞれを調整して患者各人の体躯に対応することもできなかった。
【0008】
このように従来の矯正装具では各種体躯の異なるそれぞれの患者の体幹形状に適合するようなものでなかった。
【0009】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、個々の患者の体形に合わせ緊締囲繞可能に構成することにより腰部から胸部に至るまで最適な状態で体躯の患部を固定保持することができると同時に、過度な緊締圧迫による皮膚への負担などの不都合が発生することを防止することができる胸腰椎装具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る胸腰椎装具は、患者の胸部と腹部のそれぞれの前面、左右側面、背面に亘ってここに緊締囲繞することができるように次のような構成としたことを特徴とする胸腰椎装具に係る。
【0011】
すなわち、患者の胸部左側前面に当接する略湾曲状の左外胸部パッドと、左外胸部パッドを胸部に囲繞固定するためにその端部に連設した左上側背当てベルトと、患者の腰部左側面に当接する略湾曲状の左外下腹部パッドと、左外下腹部パッドを腰部に囲繞固定するためにその端部に連設した左下側背当てベルトと、左外胸部パッドの基部と左外下腹部パッドの基部とを上下位置のスライドにより無段階に上下位置調整自在に連結した左上下調節杆と、患者の胸部右側前面に当接する略湾曲状の右外胸部パッドと、右外胸部パッドを胸部に囲繞固定するためにその端部に連設した右上側背当てベルトと、患者の腰部右側面に当接する略湾曲状の右外下腹部パッドと、右外下腹部パッドを腰部に囲繞固定するためにその端部に連設した右下側背当てベルトと、右外胸部パッドの基部と右外下腹部パッドの基部とを上下位置調整自在に連結した右上下調節杆と、左外胸部パッドと右外胸部パッドとの対向端部を締付け自在に連結した胸連結ベルトと、左外下腹部パッドと右外下腹部パッドとの対向端部を締付け自在に連結した腹連結ベルトと、患者の腰部に対応する下腹部の前面から背面にかけて囲繞する一定幅員の背当てパッドと、により構成すると共に、背当てパッドの両端上下部に左上突設部と左下突設部と右上突設部と右上突設部とを左右二個ずつ突設し、左上突設部は左上側背当てベルトの先端部と、左下突設部は左下側背当てベルトの先端部と、右上突設部は右上側背当てベルトの先端部と、右下突設部は右下側背当てベルトの先端部と、それぞれ着脱自在に連結するように構成することにより、左外胸部パッドと左外下腹部パッドと右外胸部パッドと右外下腹部パッドと背当てパッドとが患者の胸部と腹部との外周面を緊締囲繞することができるように構成したことを特徴とする。
【0012】
また、患者の体と接する胸腰椎装具の内側は、緩衝を目的とした次の部材より構成したことを特徴とする。
【0013】
すなわち、胸腰椎装具の内側は左外胸部パッドの内側に着脱自在に貼設された可撓性を有する左内胸部パッドと、左外下腹部パッドの内側に着脱自在に貼設された可撓性を有する左内下腹部パッドと、右外胸部パッドの内側に着脱自在に貼設された可撓性を有する右内胸部パッドと、右外下腹部パッドの内側に着脱自在に貼設された可撓性を有する右内下腹部パッドと、より構成したことにも特徴がある。
【発明の効果】
【0014】
請求項1にかかる胸腰椎装具によれば、患者の胸部と腹部のそれぞれの前面左右側面、背面に亘って緊締囲繞するように、患者の胸部左側前面に当接する略湾曲状の左外胸部パッドと、左外胸部パッドを胸部に囲繞固定するために端部に連設した左上側背当てベルトと、患者の腰部左側面に当接する略湾曲状の左外下腹部パッドと、左外下腹部パッドを腰部に囲繞固定するために端部に連設した左下側背当てベルトと、左外胸部パッドの基部と左外下腹部パッドの基部とを上下位置のスライドにより無段階に調整自在に連結した左上下調節杆と、患者の胸部右側前面に当接する略湾曲状の右外胸部パッドと、右外胸部パッドを胸部に囲繞固定するために端部に連設した右上側背当てベルトと、患者の腰部右側面に当接する略湾曲状の右外下腹部パッドと、右外下腹部パッドを腰部に囲繞固定するために端部に連設した右下側背当てベルトと、右外胸部パッドの基部と右外下腹部パッドの基部とを上下位置で調整自在に連結した右上下調節杆と、左外胸部パッドと右外胸部パッドとの対向端部を締付け自在に連結した胸連結ベルトと、左外下腹部パッドと右外下腹部パッドとの対向端部を締付け自在に連結した腹連結ベルトと、患者の腰部に対応する下腹部の前面から、背面にかけて囲繞する一定幅員の背当てパッドとより構成し、且つ背当てパッドの両端上下部に左右二個ずつ突設し、左上突設部は左上側背当てベルトの先端部と、左下突設部は左下側背当てベルトの先端部と、右上突設部は右上側背当てベルトの先端部と、右下突設部は右下側背当てベルトの先端部とそれぞれ着脱自在に連結して左外胸部パッドと左外下腹部パッドと右外胸部パッドと右外下腹部パッドと背当てパッドにより患者の胸部と腹部との外周面を緊締囲繞可能に構成したため、次のような効果を奏することができる。
【0015】
すなわち、本件の胸腰椎装具は、左右外胸部パッドや左右下腹部パッドや背当てパッドなどの主要の構成部材がベルトや左右上下調節杆で連結されているために各種形状の多数の腰椎装具を構成する構成部材が体躯の各種肉体部分に適合することになり体躯との適合性が向上し、しかもこれらのパッド等の構成部材はそれなりの連結部材として上下調節杆やベルトを介して一体に連結されており、人によって異なる体躯形状に適合しやすく胸腰椎装具の機能を円滑に、かつ確実に果たすことができる効果があり、特に多数のパッドの構成部材が患者の腰部から胸部に至る患者の体形に合わせやすく最適な体躯の固定保持治療が行える効果がある。同時に、患者の装具の着用状況に応じて体位や姿勢が変化し装具の適合性が乱れても連結技術のベルトや上下調整杆によって腹部や胸部へ過度な圧迫を行うことなく適正な圧迫治療を行うことができる効果がある。
【0016】
また、請求項2に係る胸腰椎装具によれば、それぞれ柔軟性のある、左内胸部パッドと、左内下腹部パッドと、右内胸部パッドと、右内下腹部パッドとを胸腰椎装具の内側に布設しているために肉体的な緊締にもかかわらず皮膚面は過圧迫の負荷を受けることなく快適な装着感覚を得ることができる。しかも、それぞれ柔軟性のある素材を用いているために、各種の多数のパッドなどの構成部材でベルトなどを介して体躯外表部の緊締治療を行っても皮膚との接触部分は柔軟にいたわりながらも柔軟性パッド内装の硬質パッドは体躯表面から胸や腰の治療圧迫を十分に行えて治療に必要な緊締負荷を患部に十分に付与することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は胸腰椎装具の構成を示す正面図。
図2図2は胸腰椎装具の構成部材を示す模式的斜視図。
図3図3は胸腰椎装具の構成を示す側面図。
図4図4は胸腰椎装具の構成を示す背面図。
図5図5は本発明の胸腰椎装具Mの装着状態を示した模式的参考図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明は、患者Pの胸部と腹部のそれぞれの前面左右側面、背面に亘って緊締囲繞するように、患者Pの胸部左側前面に当接する略湾曲状の左外胸部パッドAと、左外胸部パッドAを胸部に囲繞固定するために端部に連設した左上側背当てベルトGと、患者Pの腰部左側面に当接する略湾曲状の左外下腹部パッドBと、左外下腹部パッドBを腰部に囲繞固定するために端部に連設した左下側背当てベルトHと、左外胸部パッドAの基部と左外下腹部パッドBの基部とを上下位置のスライドにより無段階に調整自在に連結した左上下調節杆Fと、患者Pの胸部右側前面に当接する略湾曲状の右外胸部パッドA′と、右外胸部パッドA′を胸部に囲繞固定するために端部に連設した右上側背当てベルトG′と、患者Pの腰部右側面に当接する略湾曲状の右外下腹部パッドB′と、右外下腹部パッドB′を腰部に囲繞固定するために端部に連設した右下側背当てベルトH′と、右外胸部パッドA′の基部と右外下腹部パッドB′の基部とを上下位置で調整自在に連結した右上下調節杆F′と、左外胸部パッドAと右外胸部パッドA′との対向端部を締付け自在に連結した胸連結ベルトDと、左外下腹部パッドBと右外下腹部パッドB′との対向端部を締付け自在に連結した腹連結ベルトEと、患者Pの腰部に対応する下腹部の前面から、背面にかけて囲繞する一定幅員の背当てパッドCとより構成し、且つ背当てパッドの両端上下部に左右二個ずつ左右上下突設部を4個突設し、左上突設部は左上側背当てベルトGの先端部と、左下突設部は左下側背当てベルトHの先端部と、右上突設部は右上側背当てベルトG′の先端部と、右下突設部は右下側背当てベルトG′の先端部とそれぞれ着脱自在に連結して左外胸部パッドAと左外下腹部パッドBと右外胸部パッドA′と右外下腹部パッドB′と背当てパッドCとにより患者Pの胸部と腹部との外周面を緊締囲繞可能に構成したことに要旨がある。
【0019】
その結果、患者Pの体形に合わせ腰部から胸部までに亘り最適な状態で固定保持できるのと同時に、着用状況に応じて体位や姿勢が変化しても腹部や胸部への過度な圧迫などの不都合の発生を防止することができる。
【0020】
また、それぞれ柔軟性のある、左内胸部パッドaと、左内下腹部パッドbと、右内胸部パッドa′と、右内下腹部パッドb′とを患者Pの体と接する胸腰椎装具Mの内側に構成したことにより、過度な圧迫による皮膚への負担を軽減できる点にも特徴を有する。
【0021】
以下、本発明に係る胸腰椎装具Mの実施例を図面に基づいて詳説する。
図1は胸腰椎装具Mの構成を示す正面図、図2は胸腰椎装具Mの構成部材を示す模式的斜視図、図3は胸腰椎装具Mの構成を示す側面図、図4は胸腰椎装具Mの構成を示す背面図である。
【0022】
胸腰椎装具Mは、図1図4に示すように、左外胸部パッドAと、左上側背当てベルトGと、左外下腹部パッドBと、左下側背当てベルトHと、左上下調節杆Fと、右外胸部パッドA′と、右上側背当てベルトG′と、右外下腹部パッドB′と、右下側背当てベルトH′、右上下調節杆F′と、胸連結ベルトDと、腹連結ベルトEと、背当てパッドC等の各種構成部材から構成されている。
【0023】
かかる各種構成部材はそれぞれ個別に単体として製作され各種ベルト等を介して組み立てることにより最終製品としての本発明に係る胸腰椎装具Mを構成する。
【0024】
特に本発明に係る胸腰椎装具Mでは、左外胸部パッドAと、左外下腹部パッドBと、右外胸部パッドA′と、右外下腹部パッドB′と、背当てパッドC等の5個の構成部材が本発明に係る胸腰椎装具Mの主要構成部材となる。
【0025】
これらの主構成部材が以下の連結部材によって連結固定されて胸腰椎装具Mとしての各種の機能を有する。
【0026】
連結部材としては、左上下調節杆Fと、右上下調節杆F′と、左上側背当てベルトGと、左下側背当てベルトHと、右上側背当てベルトG′と、右下側背当てベルトH′と、胸連結ベルトDと、腹連結ベルトEとがある。
【0027】
以下に各種構成部材について詳細に説明する。
[1.左外胸部パッドAと右外胸部パッドA′]
左外胸部パッドAは、患者Pの胸部左側前面に着用当接する平面視略湾曲状に形成している。
【0028】
図2に示すように、着用時に先端部が後端部より胸部上方に位置するよう略斜め長方形に形成しており、後端部のやや前部、すなわち、着用時に胸横側部に位置する場所には下方に突出した連結用突出を垂設している。
【0029】
また、左外胸部パッドAと右外胸部パッドA′は、後述する左上側背当てベルトGと右上側背当てベルトG′を構成する面ファスナー1を介して背当てパッドCに一体連結可能に構成されている。
【0030】
なお、図中2は、面ファスナー1の端部に設け、左外胸部パッドAと右外胸部パッドA′とを連結固定するための固定具2を示す。
【0031】
従って、左外胸部パッドAはパッド本体を略胸の横側面からやや上方に向けて斜めに傾斜した形状としながら後部の下方に連結用突出片3を垂設し、胸横面で湾曲した形状構成としている。胸横面での湾曲は患者Pの肋骨横側面に沿った湾曲形状とすることにより該パッドを装着時に確実な締付け応力で胸部に当接することができる。
【0032】
該パッドは厚さ1.5mm~2.5mmほどの板状プラスチックを材料とし、胸横側面部分
は湾曲状に形成して胸部側面から胸部半前面の体躯に可及的に沿うように先端部略斜め上がりの形状に構成している。
【0033】
左外胸部パッドAと左右対照的に形成した右外胸部パッドA′も同様の斜め形状、連結用突出片3を有する形状で同様の厚さと板状のプラスチック材によって形成している。
【0034】
左外胸部パッドAと左右対照的な右外胸部パッドA′との組合せによって胸部の左右側面から前部の拘束に必要とされる硬さと、患者Pの胸体躯に合わせたなじみやすい可撓性機能を保有させる。
【0035】
特に後述するようにかかる左外胸部パッドAと左右対照的な右外胸部パッドA′との組合せによって胸部の前面の鳩尾部分は左外下腹部パッドB及び右外下腹部パッドB′との位置関係で空間Sが形成されており、この空間Sは胸腰椎装具Mの体躯締付け応力が及ばないエリアとなり、特に内臓の鳩尾という軟弱器官の集合部分であるために体躯に無理な押圧をかけることなく快適に患者Pへの治療行為を遂行することができる。
【0036】
更には、左右外胸部パッドA、A′は基部を患者の脇下に当接してそこからパッド本体を順次上り傾斜して胸部に当接するように構成したために特に両パッドの上縁部を適正な線形状とし胸部に無駄な押圧力をかけることなく、しかし、可及的に胸部にフイットするように構成している。すなわち、左右外胸部パッドA、A′の上端縁は脇下部分から胸部横側面部分、胸部正面部分に至る線形状を次のような傾斜直線形状からやや凸湾曲形状、そしてなだらかな凹湾曲形状のように連なるなだらかな波形状としている。
【0037】
かかる上縁部形状の変遷による機能として腋窩に干渉せず上腕を動かしやすくなり、胸郭を側面から前面に向かって支持することができることになり安定した脊椎固定ができる。
【0038】
なお、左右外胸部パッドA、A′を全体としてかかるブーメラン類似の形状としたのは、固定すべき胸部を固定しながら長時間装着しても胸部周辺の通気性と共に、女性の乳房の逃げ空間を確保して装着感を向上することができるためである。
【0039】
また、左右外下腹部パッドB、B′の下面をフレア加工することにより腹部を圧迫固定するためにパッドの下面が皮膚に食い込む恐れを可及的に軽減することができる。
【0040】
かかる左外胸部パッドAと右外胸部パッドA′は背当てパッドCと左右腹部パッドB、B′に面ファスナー1及び左右上側背当てベルトG、G′等を介して連結固定されている。
【0041】
なお、面ファスナー1及び左右上側背当てベルトG、G′等と、左外胸部パッドAと右外胸部パッドA′と、背当てパッドCとが面ファスナー1及び左右上側背当てベルトG、G′等を介して連結固定される場合の連結固定個所は面ファスナー1及び左右上側背当てベルトG、G′等の連結固定位置をと調整変位することにより自在に調整して最適の締付け応力を生起することができる。
【0042】
なお、左外胸部パッドAと右外胸部パッドA′の各前端部は胸連結ベルトDの架設によって両パッドの連結構造を構成することにより確実に、かつ、自在に連結して患者Pの胸部前面から横側面を覆い締めつけ可能に構成している。
【0043】
後述するように左右外胸部パッドA、A′の後部は左右上側背当てベルトG、G′等を介して背当てパッドC連結固定されて患者Pの側面から背面を覆い、患者Pの胸部外周面を緊締囲繞することができる。
【0044】
このように背当てパッドCは左右外胸部パッドA、A′の後部を固定する支持部材としての機能を果たすことができると共に、左右外胸部パッドA、A′が確実に体躯の矯正押圧機能を果たす。すなわち、胸部を背当てパッドCと左右外胸部パッドA、A′で挟持することにより胸部での確実な支持と共に矯正機能も確実に果たすことができるように構成している。
【0045】
なお、連結ベルトDは、左外胸部パッドAと右外胸部パッドA′のいずれかにベルト帯部4を連設し、他方のパッドにベルトの締付け調整機能を有するベルト調節部5を設けている。
【0046】
[2.左外下腹部パッドB及び右外下腹部パッドB′]
左外下腹部パッドB及び右外下腹部パッドB′は、左外胸部パッドAと右外胸部パッドA′と同様に患者Pの腰部左右側面に当接する平面視略湾曲状に形成されており、左外下腹部パッドBと右外下腹部パッドB′の後端部は、それぞれ後述する背当てパッドCに左下側背当てベルトHと右下側背当てベルトH′を構成する面ファスナー6を介して連結されていると共に、各パッドB、B′の前端部は腹連結ベルトEの架設によって連結されている。
図中7は、該ベルトH、H′の端部に設けた面ファスナー6の固定具7である。
【0047】
このように、左外胸部パッドAと右外胸部パッドA′、及び左外腹部パッドBと右外腹部パッドB′とは連結部材を介して上下一体に連結して胸部と腹部とを囲繞し締付け緊締して胸腰椎装具Mによる体躯の正しい矯正治療を行うことができるように構成している。
【0048】
しかも、左外腹部パッドBと右外腹部パッドB′とは下腹部の左右側面の位置で湾曲して下腹部を背当てパッドCと共に下腹部を囲繞した状態とする。
【0049】
そのために左外腹部パッドBと右外腹部パッドB′とは略方形状として体躯の腹部前面と横側面にわたって囲繞し腹部緊締を行うと共に、左右外胸部パッドA、A′を下方から支持して胸部で確実に支持する機能を果たす。すなわち、左外腹部パッドBと右外腹部パッドB′の後部上端縁には突状部11が上方向きに形成されこの突状部11は左右外胸部パッドA、A′の後部に垂設した連結用突出片3と互い重なり固定金具12によって垂直方向に回動可能に枢支連結されている。
【0050】
しかも、連結用突出片3には複数個の複数の調節孔10を縦列に設けており、突状部11先端部と連結用突出片3下端部とを連結位置調整可能に枢着している。
【0051】
すなわち、それぞれのパッドの突状部11と連結用突出片3とを枢軸で枢着し両パッドA、A′とB、B′は回動可能に枢支連結されている。
【0052】
かかる連結構造とすることにより左右外胸部パッドA、A′と左右外腹部パッドB、B′とは一体に連結され患者Pの体躯に確実に密着可能に装着することができると共に、斜め傾斜の長方形状の左右外胸部パッドA、A′と略水平状の左右外腹部パッドB、B′とは固定金具12を介した一体組合せによって各パッドの前面間にはパッドが被覆しない空間Sが形成され下腹前面がパッド外に露出することになり本発明の胸腰椎装具Mの装着時における発汗防止と皮膚の乾燥を促し快適なコルセット装着の治療生活を過ごすことができるように構成している。
【0053】
かかる連結構造により、左右外胸部パッドA、A′と左右外腹部パッドB、B′との装着位置を正しく設定することができると共に、互いにパッドの位置ずれを防止し確実に胸腰椎装具Mの装着機能を得ることができるようにしている。
【0054】
しかも、この枢支連結構造は上下の調整が可能なように固定金具12の位置を上下に調整することができるように左右外胸部パッドA、A′の連結用突出片3には複数の調節孔10を縦列設けている。
【0055】
かかる調整は体躯の異なる患者Pに対して胸腰椎装具Mを装着調整することができるように構成している。
【0056】
すなわち、特に身長と胸囲と腹囲の異なる患者Pに対していかようにも調整ができることになり胸腰椎装具Mの利用可能範囲を拡張することができる効果を有する。
【0057】
このような突状部11先端部と連結用突出片3下端部とを連結位置調整可能に枢着することにより、両者の連結固定を緊密に行うことができると共に、更に左外胸部パッドA及び右外胸部パッドA′の先端部にかけての斜め登り傾斜形状に関連して次のような機能を果たすことができる。
【0058】
すなわち、左外胸部パッドA及び右外胸部パッドA′の装着時には両パッドの下部基端部分は丁度患者の脇の下に位置することになり、他方両パッドの斜め傾斜の本体部分は患者の胸部に位置することになり脇の下による両パッドの締付け固定が
両パッドの斜め本体部分を確実に胸部にあてがうことにもなり両パッドの押圧固定機能が格段に向上すると共に、患者が腕の運動をするときにも左右外胸部パッドA、A′が干渉することなく円滑な腕運動を遂行することができる。
【0059】
更には、患者の体躯に応じて突状部11先端部と連結用突出片3下端部との連結位置を調整することにより身長による適応性を向上する。
【0060】
また、突状部11先端部と連結用突出片3下端部との連結枢支部分を回転させることによって左外胸部パッドA及び右外胸部パッドA′の傾斜本体部分が胸に適切に当接するような傾斜角度を得ることができる。すなわち、左右外胸部パッドA、A′の先端部を縦方向に変位回転させれば胸部の位置が高い、すなわち身長が高い患者の胸部に適切に胸部パッドを左右外胸部パッドA、A′に密着する調整ができる。
【0061】
また、かかる突状部11先端部と連結用突出片3下端部との連結回転位置調整をすることができるように構成したことにより後述するように患者が背中の屈曲した骨粗鬆症患者の時は屈曲した姿勢に適合する左右外胸部パッドA、A′の装着を適切に行うことができる。
【0062】
このように左外下腹部パッドB及び右外下腹部パッドB′は左右外胸部パッドA、A′と共に骨粗鬆症患者の屈曲した円背姿勢に適合するように機能することができる。特に左右外下腹部パッドB、B′の横側面部分が骨盤の横側方を囲繞する円弧状に形成されているので骨盤形状に対応する湾曲状のカーブで骨盤を的確に把握して腹部パッドのずれを防止することができる。
【0063】
更には、左右外下腹部パッドB、B′の前面で下腹部を締付け圧迫することにより脊椎体幹を安定させて脊椎への圧力負荷を軽減することができる。
【0064】
また、左右外下腹部パッドB、B′の横側面部分を腹部の横側部に沿いながらも腹部側部とパッド横断面の略凹部との間隙形成により長時間の腹部装着にもかかわらず腹部周辺の通気性や贅肉の逃げ間を確保することができ装着感を向上し左右外下腹部パッドB、B′の側方へのずれを防止しうる。
【0065】
また、左右外下腹部パッドB、B′の下面をフレア加工することにより腹部を圧迫固定するためにパッドの下面が皮膚に食い込む恐れを可及的に軽減することができる。
【0066】
左右外腹部パッドB、B′の材料は、左外胸部パッドA及び右外胸部パッドA′と同様に板状のプラスチックを材料とし患者Pの腹部前面と側面に当接する平面視略湾曲状の略長方形状に形成している。
【0067】
なお、板状のプラスチック材により形成することにより右外胸部パッドA′及び左外胸部パッドAと同様に患部Pの拘束に必要とされる硬さと、患者Pの体に合わせなじませる可撓性の機能を有する。
【0068】
上記した左外胸部パッドAと右外胸部パッドA′、及び左外腹部パッドBと右外腹部パッドB′とは連結部材を介して連結されて体躯外表面に囲繞装着されるものであるが、材料は板状のプラスチックを材料とするとともに、必要に応じて多孔質の材料を使用することもできる。すなわち、例えば、数ミリの孔を一面に穿設して通気性を確保しながら矯正機能を有するような材料と形状の構成とすることも可能である。ただし、これらのパッドの内部には後述するように左内胸部パッドaと右内胸部パッドa′及び左内下腹部パッドbと右内下腹部パッドb′が収納されており、数ミリの孔を多数設けることにより内側のパッドの通気性と前面押圧から派生する圧迫感を緩衝して装着感を良好とすることができる。
【0069】
[3.背当てパッドC]
背当てパッドCについて説明する。
背当てパッドCは本案の胸腰椎装具Mを装着した際に左右外胸部パッドA、A′と左右外腹部パッドB、B′を患者Pの背後から支持するものである。
【0070】
背当てパッドCは、略方形に構成しその四隅は左右に伸延して左右外胸部パッドA、A′と左右外腹部パッドB、B′の上下部に係合するように構成されている。
【0071】
すなわち、胸部と下腹部に左右外胸部パッドA、A′と左右外腹部パッドB、B′を密着取付ける際に患者Pの背面に背当てパッドCを当接装着してその四隅の伸延部を、面ファスナー1,6を介して、左右外胸部パッドA、A′と左右外腹部パッドB、B′と背当てパッドCとに一体に連設する。
【0072】
このようにして左右外胸部パッドA、A′と左右外腹部パッドB、B′とが背当てパッドCを仲介して一体に連結された状態となる。
【0073】
なお、背当てパッドCの装着位置は患者Pの背中部であり、左右外胸部パッドA、A′と左右外腹部パッドB、B′とを体躯上下部に装着した場合に背中部に形成される空間部分を背当てパッドCで補充することになり、かかる機能を果たす位置に背当てパッドCは配設される。
【0074】
また、当てパッドCは内表面に多数の先端先鋭状の突起を突設しておけば本案の胸腰椎装具Mを装着した場合に患者Pの背中部を突起で押圧して刺激を付与して血行の促進を図り腰椎装具Mの機能と相乗して患者Pの健康促進に貢献することができる。
【0075】
なお、必要に応じて背当てパッドCの内部に通電振動機能を有する電動振動機や低周波発生機能を有する低周波治療器を収納しておけば本案の胸腰椎装具Mの矯正治療機能と共に背後から低周波の振動を受けてより血行促進治療に加えて体躯の矯正機能も果たし全身にわたる健康増進を図ることができる。
【0076】
背当てパッドCは長方形の両端上下部に左右二個ずつ突設した略工字状に形成されており、胸腰椎装具Mの外周面を形成する面には面ファスナーの雌の役割を果たすように、例えば多孔質シートやメッシュ素材で形成される。
【0077】
背当てパッドCの四隅には、左上突設部16と左下突設部17と右上突設部18と右下突設部19が形成されており、腰椎装具Mの装着時において、左上突設部16に左上側背当てベルトGの面ファスナー1で貼着し、左下突設部17に左下側背当てベルトHの面ファスナー6で貼着し、右上突設部18に右上側背当てベルトG′の面ファスナー1で貼着し、右下突設部19に右下側背当てベルトH′の面ファスナー6で貼着する。
【0078】
更に、背当てパッドCの端部と左右外胸部パッドA、A′及び左右外腹部パッドB、B′の端部との各端部同士を重複状態に配設しておけば、背当てパッドCが内蔵している低周波発生器からの低周波が左右外胸部パッドA、A′及び左右外腹部パッドB、B′に伝播して胸部や下腹部前面にも低周波機能を及ぼして胸部及び下腹部の各周辺全般にわたって低周波治療を行いながらの胸腰椎装具Mの治療を相乗的に付加することができより良好な体躯治療を行うことができる。
【0079】
このように、左外胸部パッドAと右外胸部パッドA′の湾曲状の内側にはパッドと略同形状の左内胸部パッドaと右内胸部パッドa′とがそれぞれ面ファスナーを介してそれぞれ剥離自在に貼着収納されていると共に、左外下腹部パッドBと右外下腹部パッドB′の湾曲状の内側にも緊張弛緩自在に左外下腹部パッドBと右外下腹部パッドB′と略同形状の左内下腹部パッドbと右内下腹部パッドb′とがそれぞれ面ファスナーを介してそれぞれ剥離自在に貼着収納される。
【0080】
左内胸部パッドaと右内胸部パッドa′と左内下腹部パッドbと右内下腹部パッドb′とは、吸湿性及び緩衝性を有する軟質な素材を使用する。
【0081】
このような素材とすることにより可撓性プラスチック材の体への締付け効果を奏することができる。
【0082】
また、可撓性プラスチック材等から構成された左右外胸部パッドA、A′もしくは左右外下腹部パッドB、B′の硬質素材のパッド面から受ける圧迫負荷を緩衝して皮膚面や表面筋肉質部を保護することができると共に、囲繞部全体に均一な圧力を伝えることができるため患部Pへの不用意な拘束を回避して適切な胸腰椎装具Mによる治療効果を上げることができる。
【0083】
更には左右外胸部パッドA、A′もしくは左右外下腹部パッドB、B′の硬質素材に多数の孔を穿設することにより通気性を持たせておけば、更に内左胸部パッドaと右内胸部パッドa′と左内下腹部パッドbと右内下腹部パッドb′に対する通気性をより高度に保持することができる。
【0084】
また、左外胸部パッドA又は右外胸部パッドA′もしくは左外胸部パッドAと右外胸部パッドA′の内側面には図示しない面ファスナーの雄側が固着されており、補充用胸当てパッド20が該面ファスナーにより着脱自在に貼設される。
【0085】
補充用胸当てパッド20は、左内胸部パッドaと右内胸部パッドa′及び左内下腹部パッドbと右内下腹部パッドb′と同様の素材よりなり、略長方形で厚みの均一なパッド20aと、側面視テーパー形状のパッド20bとの2種類があり、患者Pのそれぞれの体躯に応じて交換しながら適切な装着を行うことができる。
【0086】
なお、特殊な体躯の患者の場合、例えばその原因が骨粗鬆症にある円背(エンパイ)姿勢の患者の場合には、胸部は凹部に背中部は凸部になっているためかかる形状の体躯に本案の左外胸部パッドA又は右外胸部パッドA′を装着して矯正治療を行う際には次項で詳説する左右上下調節杆F、F´を中央で折り曲げて略くの字状に加工し、同時に胸パッドと腹パッドの上下間隔調整もしながら胸部パッドをあてがい矯正押圧力を正確に適正にかけて治療することができる。
【0087】
左右上下調節杆F、F´の素材は可撓性の金属を使用して一定の応力で略くの字形状に積極するものであればよい。くの字状に積極する角度は現場で調整して患者の体躯に対応した円背特有の形状に加工し骨の矯正治療を行うことができる。
【0088】
[4. 左右上下調節杆F、F´]
また、左右外胸部パッドA、A′の先端部と左右外下腹部パッドB、B′の先端部との間にはそれぞれ左右側に左右上下調節杆Fが平行して縦方向に連結されている。
【0089】
かかる左右上下調節杆F、F′は上下調整自在に左右外胸部パッドA、A′の先端部と左右外下腹部パッドB、B′の先端部との間に架設されており、左右外胸部パッドA、A′の先端部に上端を固定して垂設し、下端部を左右外下腹部パッドB、B′の先端部に設けた調整部15に連結して調整部15によって左右外胸部パッドA、A′の先端部と左右外下腹部パッドB、B′の先端部との間の距離間隔を調整することができるように構成している。
【0090】
すなわち、左右上下調節杆F、F′は左右外胸部パッドA、A′と左右外下腹部パッドB、B′との間に介在されて各パッドの装着上下位置を着用者の体躯に合わせて調整する機能を有すると共に、特に、左右外胸部パッドA、A′を胸部に確実に固定するために比較的に安定して装着した左右外下腹部パッドB、B′を固定基盤として左右外胸部パッドA、A′を左右上下調節杆F、F′を介して連結固定する。
【0091】
図中、15の調整部は固定解除具に左右上下調節杆F、F′を差込み調整することにより上下距離を無段階に調整可能に構成している。
【0092】
なお、左上下調節杆Fと右上下調節杆F′の無段階の調整機構としては、左上下調節杆Fと同じ例えばラッチェット構造を用いることができる。
【0093】
すなわち、調節杆13の他の実施例として係止め歯14を形成し、動作方向を一方向と制限することにより上下位置の調整を行うことができるように構成し、解除ボタン15を操作することにより係止め歯14の係合を解除し調整後の係合を弛緩する。
【0094】
しかも、患者の背骨の形状、すなわち、円背の状態に合わせて前の方向に略く字状に折り曲げ自在にしており、左右外胸部パッドA、A′や左右外腹部パッドB、B´による調整で患者の体躯の形状に合わせると共に最終的には左右上下調節杆F、F´を略く字状に折り曲げ加工することにより円背のような体躯のものでも的確に胸腰椎装具Mを装着することができるように構成している。
【0095】
[5.各種のパッドを連結固定するためのベルト群]
・左右上側背当てベルトG、G′
左右外胸部パッドA、A′と背当てパッドCとを連結するためのベルトであり、各パッドの端部同士を連結する。本ベルトの先端部は背当てパッドCの四隅における左上突設部16と右上突設部18とに連結される。
・左右下側背当てベルトH、H′
本ベルトの先端部は背当てパッドCの左下突設部17と右下突設部19に連結される。
・胸連結ベルトD
左外胸部パッドAと右外胸部パッドA′との対向端部を締付け自在に連結し、胸部の前部で各パッドA、A′を支持緊締する。
・腹連結ベルトE
左右外下腹部パッドB、B′の先端部同士を連結するための腹連結ベルトである。
腹部の前部で各パッドB、B′を支持緊締する。
左外下腹部パッドBと右外下腹部パッドB′は、互いを腹連結ベルトEで連結さ
れる。
左右外下腹部パッドB、B′の左右下側背当てベルトH、H′が背当てパッドCと連結されると腹連結ベルトEは腹部の側面から背面を覆って患者Pの下腹部外周面を緊締囲繞することになり腹部に確実に左外下腹部パッドBと右外下腹部パッドB′を装着固定することができる。
腹連結ベルトEは、左外腹部パッドBと右外腹部パッドB′のどちらか一方にベルト帯部8を固定し、もう一方にベルトの締付け調整機能を有するベルト調節部9を固定する。
この理は、胸連結ベルトDに関しても同様である。
・面ファスナー1、6
左上側背当てベルトGと右上側背当てベルトG′に設けた面ファスナー1は貼
着の雄面であり、ベルト本体の内面に圧着されている。
左下側背当てベルトHと右下側背当てベルトH′に設けた面ファスナー6は貼着の雄面であり、ベルト本体の内面に圧着されている。
【0096】
また、上述した各種効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0097】
M 胸腰椎装具
A 左外胸部パッド
A′ 右外胸部パッド
B 左外下腹部パッド
B′ 右外下腹部パッド
C 背当てパッド
D 胸連結ベルト
E 腹連結ベルト
F 左上下調節杆
F′ 右上下調節杆
G 左上側背当てベルト
G′ 右上側背当てベルト
H 左下側背当てベルト
H′ 右下側背当てベルト
P 患者
図1
図2
図3
図4
図5