(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059227
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】水路用蓋
(51)【国際特許分類】
E02B 5/00 20060101AFI20220406BHJP
E03F 5/04 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
E02B5/00 Z
E03F5/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166823
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000149424
【氏名又は名称】株式会社大塚工業
(74)【代理人】
【識別番号】110002996
【氏名又は名称】特許業務法人宮田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 貴之
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CB02
2D063CB03
2D063CB04
2D063CB12
(57)【要約】
【課題】 既設の水路に後付け可能で、且つ、傷つけずに蓋掛けすることが出来る水路用蓋の提供。
【解決手段】 既設の水路100の水路壁101を挟み込む略U字形の挟掴部24と、前記挟掴部24に固着された軸部23と、前記軸部23に回動可能に取り付けられた押さえ板21とを備えた固定具2と、前記固定具2に取付けられる蓋1とを備えたことを特徴とする水路用蓋。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の水路の水路壁を挟み込む略U字形の挟掴部と、前記挟掴部に固着された軸部と、前記軸部に回動可能に取り付けられた押さえ板と、を備えた固定具と、
前記固定具に取付けられる蓋と、を備えたことを特徴とする水路用蓋。
【請求項2】
前記挟掴部の一方の先端が、外側に向けて屈曲した屈曲部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の水路用蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開水路に後付けで設置できる水路用蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
農業用水路は、一般的に開水路が採用されており、四季問わずある程度の水量が流れている。近年この農業用の水路において、水路の様子を見に来るなどした高齢者の転落事故が相次いで発生しており、水路への注意を呼び掛ける事は勿論のこと、水路に蓋掛けをすることにも大きな関心が寄せられている。
開水路に蓋掛けをする場合、水路上を横断出来るようコンクリート蓋やグレーチング蓋が掛けられていることが多いが、上記蓋を設置するには水路天端に蓋の嵌め込みが出来るよう、文献1に示すような段差を設けたり、文献2のように水路天端にアンカーボルトを打ち込んだりする必要がある。
【0003】
また、上記水路蓋はその取り外しの際、蓋の両端部を掴んで持ち上げる方法が主流であるが、文献1に示すような蓋に蝶番を設けて開閉可能とした蓋も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3030474号
【特許文献2】公開実用昭和49-74032号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、蓋の設置箇所は設計段階で予め決められていることが多く、水路の施工後に蓋を後付けしようとすると上記のように水路本体に手を加える必要があり、水路本体の強度を下げてしまう虞があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、既設の水路を傷つけることなく設置することが出来る水路用蓋を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
既設の水路の水路壁を挟み込む略U字形の挟掴部と、前記挟掴部に固着された軸部と、前記軸部に回動可能に取り付けられた押さえ板と、を備えた固定具と、前記固定具に取付けられる蓋とを備えたことを特徴とする。
【0008】
前記挟掴部の一方の先端が、外側に向けて屈曲した屈曲部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によると、略U字形の挟掴部を備えた固定具を既設水路の天端に嵌め込むように設置することで、既設水路を傷めること無く後付けにて水路に蓋掛けを行うことが出来る。また、連結具によって蓋が取付けられている押さえ板は軸部に連接されているため、軸部を回転軸として水路上を回動させることができる。したがって、水路上に掛けられた蓋は、固定具と連接されていないほうの端部を持ち上げることで軸部を回転軸として回動自在に動かすことができ、従来の蓋のように両端を持ち上げて外さなくともよい。
【0010】
請求項2に記載の発明によると、挟掴部の一方端部が外側に向けて屈曲していることにより、水路壁に挟掴部をスムーズに嵌め込む際のガイドとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の水路用蓋を水路に設置した際の概略図である。
【
図2】本発明の水路用蓋を開いた状態を示す概略図である。
【
図3】本発明の水路用蓋の固定具であって、(a)は固定具の斜視図、(b)は水路壁へ設置する様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下より、本発明の水路用蓋における実施例について詳説する。
実施例における水路用蓋は、
図1及び
図2に示すように水路100を覆うように掛ける水路用蓋である。なお、蓋1の素材にはエキスパンドメタルを使用している。
【0013】
前記固定具2には、
図3(a)及び(b)に示すように、上下を逆さまにした略U字形の外形を有した挟掴部24を備えている。その内幅は水路壁101の厚みよりもやや狭くすることで、挟掴部24を水路壁101に嵌め込んだ際に挟掴部24の弾性により、挟み込んだ水路壁101を締め付けるように挟み込む。また、該挟掴部24の一方端には、外側に向け折れ曲がった屈曲部25が設けられており、挟掴部24を確実に水路壁101に嵌め込ませるためのガイドの役割を果たしている。
前記挟掴部24の上面には、挟掴部24の部材幅方向に沿うように、軸部23が溶接によって連接されている。前記軸部23には、略長方形状の金属板である押さえ板21が
図3(a)内の矢印の方向に回動可能となるようヒンジ26を介在して取り付けられている。該押さえ板21には、蓋1を取り付けるためにボルト4を挿通させるボルト孔22が設けられており、蓋1に使用されているエキスパンドメタルの孔と位置を合わせることで、ボルト4を押さえ板21と蓋1とに取り付け、蓋1を押さえ板21に固定することができる。
【0014】
上記した構成の水路用蓋を既設の水路100に設置する手順について説明する。
まず、水路壁101に2つの固定具2、2を蓋1の長さに応じて、且つ、軸部23が水路100の外側に来るよう設置する。この時、挟掴部24が水路壁101をしっかりと挟み込めるように、木槌等で叩いて押し込むと良い。
次に、蓋1を先だって設置した固定具2、2の位置に合わせて、且つ、押さえ板21と挟掴部24の間に挟入するように水路100上に載置する。押さえ板21のボルト孔22にボルト4を挿入し、座金3及びナット5で押さえ板21に蓋1を固定する。
なお、幅の広い水路に設置する場合、蓋1に撓みが生じる可能性があるため、角パイプを蓋1の長辺側に取り付けて支えとしても良い。
【0015】
このように構成された本発明の水路用蓋は、設置する既設水路に対してアンカーボルトのような別途固定用の器具等を必要としない上に、固定具2の挟掴部24で水路壁101を挟み込んで固定するだけで良い。ゆえに、蓋1の取付に時間がかからず、素早く水路の蓋掛けを行え、且つ、施工時に掛かる費用も安く抑えることができ経済性に優れている。加えて、既設の水路を傷つけることも無いため、水路の強度を損なわず、蓋の施工による水路の損傷が生じる虞もない。
【0016】
また、蓋1を水路100上で回動可能とすることにより、従来のような嵌め込み式の蓋よりも簡単に蓋を開けることができる。よって、水路底に溜まった泥等の清掃がし易くなり、水路の維持管理がより簡便なものになる。
【0017】
また、本発明の水路用蓋は、固定具2と蓋1との連結にボルト4やナット5を使用し、設置する場所で直接組み立てるものである。ゆえに簡単に分解できるため、ある程度コンパクトにして持ち運ぶことが出来る。そのうえ、本発明の水路用蓋は溶接部が少ないため、当該部分から発錆することによる劣化が生じる虞も少ない。
【0018】
本発明の水路用蓋は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で適宜変更できる。例えば、蓋1の素材をエキスパンドメタルではなく同等の強度を有するプラスチック等を用いても良い。
【符号の説明】
【0019】
1 蓋
2 固定具
21 押さえ板
22 ボルト孔
23 軸部
24 挟掴部
25 屈曲部
26 ヒンジ
3 座金
4 ボルト
5 ナット
100 水路
101 水路壁