(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059265
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】乾燥海苔製造システム
(51)【国際特許分類】
A23L 17/60 20160101AFI20220406BHJP
【FI】
A23L17/60 103A
A23L17/60 103Z
A23L17/60 103G
A23L17/60 103D
A23L17/60 103H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166891
(22)【出願日】2020-10-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】505455417
【氏名又は名称】株式会社イツワ工業
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直人
【テーマコード(参考)】
4B019
【Fターム(参考)】
4B019LT21
4B019LT31
4B019LT41
4B019LT51
4B019LT71
4B019LT73
(57)【要約】
【課題】海苔原藻から水に流出した色素や泡などの影響を受けることなく、海苔生地本来の重量を正確に測定すること。
【解決手段】本発明では、乾燥海苔製造システム(1)において、搬送経路上の抄製装置(10)よりも上流側に空の重量測定用海苔簀(15)を搬送装置(3)に搬入する搬入装置(16)を設けるとともに、搬送経路上の脱水装置(11)よりも下流側に抄製装置(10)で海苔生地を抄製した重量測定用海苔簀(15)を搬送装置(3)から搬出する搬出装置(17)を設け、搬出装置(17)に海苔生地及び重量測定用海苔簀(15)の重量を測定する重量測定器(20)を設けることにした。また、本発明では、前記搬入装置(16)は、循環搬送される海苔簀(4)の上部に重量測定用海苔簀(15)を搬入し、前記搬出装置(17)は、循環搬送される海苔簀(4)から重量測定用海苔簀(15)だけを搬出することにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔簀を循環搬送するための搬送装置の搬送経路上に、海苔生地を抄製するための抄製装置と、抄製した海苔生地を脱水するための脱水装置と、脱水した海苔生地を乾燥させるための乾燥装置とを順に配置して、循環搬送される海苔簀に抄製された海苔生地を脱水し乾燥させて乾燥海苔を製造する乾燥海苔製造システムにおいて、
搬送経路上の抄製装置よりも上流側に空の重量測定用海苔簀を搬送装置に搬入する搬入装置を設けるとともに、搬送経路上の脱水装置よりも下流側に抄製装置で海苔生地を抄製した重量測定用海苔簀を搬送装置から搬出する搬出装置を設け、搬出装置に海苔生地及び重量測定用海苔簀の重量を測定する重量測定器を設けたことを特徴とする乾燥海苔製造システム。
【請求項2】
前記搬入装置は、循環搬送される海苔簀の上部に重量測定用海苔簀を搬入し、前記搬出装置は、循環搬送される海苔簀から重量測定用海苔簀だけを搬出することを特徴とする請求項1に記載の乾燥海苔製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥海苔を製造する乾燥海苔製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乾燥海苔の製造においては、海苔原藻と水とを調合して海苔原料を作成し、その海苔原料を海苔簀に抄製して海苔生地を形成し、海苔簀上に形成された海苔生地を乾燥装置で乾燥して乾燥海苔を製造している。
【0003】
この乾燥海苔の製造には、乾燥海苔製造システムが用いられている。乾燥海苔製造システムでは、海苔簀を循環搬送するための搬送装置の搬送経路上に、海苔生地を抄製するための抄製装置と、抄製した海苔生地を脱水するための脱水装置と、脱水した海苔生地を乾燥させるための乾燥装置とを順に配置して、循環搬送される海苔簀に抄製された海苔生地を脱水し乾燥させて乾燥海苔を製造している。
【0004】
製造された乾燥海苔は、色や艶や厚みや重量や密度などによって品質が評価される。そのため、乾燥海苔製造システムでは、乾燥海苔の品質を左右する重量を適正に制御することが求められている。
【0005】
そこで、従来においては、海苔原藻と水とを調合した海苔原料の段階で厚みを検出するために、海苔原料に光を照射し、海苔原料を透過する光の量からその海苔原料の厚みを認識するようにしている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、海苔原藻は、鮮度や品質や調合前のミンチ(細断)処理などに起因して、細胞から色素等が流出したり泡等が発生することがある。
【0008】
そのため、上記従来の乾燥海苔製造システムのように、海苔原藻と水を調合した海苔原料の透過光量を測定すると、海苔原藻から水に流出した色素や泡などの影響で測定した透過光量に誤差が生じてしまうおそれがあった。
【0009】
そして、測定した海苔原料の透過光量に誤差が生じていると、乾燥海苔製造システムにおける制御が不適正となってしまい、所望の品質(重量)の乾燥海苔を安定して製造することが困難となるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、請求項1に係る本発明では、海苔簀を循環搬送するための搬送装置の搬送経路上に、海苔生地を抄製するための抄製装置と、抄製した海苔生地を脱水するための脱水装置と、脱水した海苔生地を乾燥させるための乾燥装置とを順に配置して、循環搬送される海苔簀に抄製された海苔生地を脱水し乾燥させて乾燥海苔を製造する乾燥海苔製造システムにおいて、搬送経路上の抄製装置よりも上流側に空の重量測定用海苔簀を搬送装置に搬入する搬入装置を設けるとともに、搬送経路上の脱水装置よりも下流側に抄製装置で海苔生地を抄製した重量測定用海苔簀を搬送装置から搬出する搬出装置を設け、搬出装置に海苔生地及び重量測定用海苔簀の重量を測定する重量測定器を設けることにした。
【0011】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記搬入装置は、循環搬送される海苔簀の上部に重量測定用海苔簀を搬入し、前記搬出装置は、循環搬送される海苔簀から重量測定用海苔簀だけを搬出することにした。
【発明の効果】
【0012】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0013】
すなわち、本発明では、、海苔簀を循環搬送するための搬送装置の搬送経路上に、海苔生地を抄製するための抄製装置と、抄製した海苔生地を脱水するための脱水装置と、脱水した海苔生地を乾燥させるための乾燥装置とを順に配置して、循環搬送される海苔簀に抄製された海苔生地を脱水し乾燥させて乾燥海苔を製造する乾燥海苔製造システムにおいて、搬送経路上の抄製装置よりも上流側に空の重量測定用海苔簀を搬送装置に搬入する搬入装置を設けるとともに、搬送経路上の脱水装置よりも下流側に抄製装置で海苔生地を抄製した重量測定用海苔簀を搬送装置から搬出する搬出装置を設け、搬出装置に海苔生地及び重量測定用海苔簀の重量を測定する重量測定器を設けることにしているために、海苔原藻から水に流出した色素や泡などの影響を受けることなく、海苔生地本来の重量を正確に測定することができ、所望の品質(重量)の乾燥海苔を安定して製造することが可能となる。
【0014】
特に、循環搬送される海苔簀の上部に重量測定用海苔簀を搬入し、循環搬送される海苔簀から重量測定用海苔簀だけを搬出することにした場合には、乾燥海苔の製造途中で乾燥海苔の製造と同時に海苔生地の重量を測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る乾燥海苔製造システムの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1及び
図2に示すように、乾燥海苔製造システム1は、ケーシング2の内部に搬送装置3を設けている。
【0018】
ここで、搬送装置3は、左右に並べた複数枚(ここでは、8枚)の海苔簀4を着脱自在に取付けた簀枠5を間欠的に搬送するものであり、前側ケーシング6に設けた無端状の前側搬送機構7と後側ケーシング8に設けた無端状の後側搬送機構9とを連動させて駆動するようになっている。
【0019】
この搬送装置3は、前側搬送機構7の上部側において前側搬送機構7で海苔簀4が装着された簀枠5を水平にした状態で前方から後方に向けて搬送した後に、簀枠5を前側搬送機構7の上部後端部から後側搬送機構9の上部前端部に受渡し、後側搬送機構9の上部側において簀枠5を垂直にした状態で前方から後方に向けて搬送した後に後側搬送機構9の下部側において後方から前方に向けて搬送し、その後、簀枠5を後側搬送機構9の下部前端部から前側搬送機構7の下部後端部に受渡し、前側搬送機構7の下部側において簀枠5を水平にした状態で後方から前方に向けて搬送するようにしている。これにより、搬送装置3は、前側搬送機構7の上部前方から上部後方、後側搬送機構9の上部前方から上部後方、同じく後側搬送機構9の下部後方から下部前方、前側搬送機構7の下部後方から下部前方に海苔簀4を簀枠5ごと循環して搬送させる搬送経路を形成している。
【0020】
乾燥海苔製造システム1では、搬送装置3による海苔簀4の搬送経路に沿って抄製装置10、脱水装置11、乾燥装置12、剥離装置13、海苔簀洗浄装置14を順に配置して、搬送装置3によって循環搬送される海苔簀4に抄製された海苔生地を脱水し乾燥させて乾燥海苔を製造する。
【0021】
しかも、本発明に係る乾燥海苔製造システム1では、海苔簀4の搬送経路上の抄製装置10よりも上流側に空の重量測定用海苔簀15を搬送装置3(前側搬送機構7)に搬入するための搬入装置16を設けるとともに、搬送経路上の脱水装置11よりも下流側に抄製装置10で海苔生地を抄製した重量測定用海苔簀15を搬送装置3(前側搬送機構7)から搬出するための搬出装置17を設けている。
【0022】
なお、これら搬送装置3、抄製装置10、脱水装置11、乾燥装置12、剥離装置13、海苔簀洗浄装置14、搬入装置16、搬出装置17は、制御装置で連動して制御されている。
【0023】
ここで、抄製装置10は、前側ケーシング6の上部前側に配置されており、生海苔と水分とからなる海苔原料を搬送装置3が停止中に各海苔簀4の上面に所定量供給して各海苔簀4に海苔生地を所定形状に抄製するものである。
【0024】
脱水装置11は、前側ケーシング6の上部後側に配置されており、搬送装置3が停止中に各海苔簀4に抄製された海苔生地にスポンジ等を押圧して海苔生地の脱水を行うものである。
【0025】
乾燥装置12は、後側ケーシング8の側部に複数台(ここでは、6台)の乾燥機を前後に並べて配置しており、各乾燥機で発生した温風の熱によって各海苔簀4に抄製された海苔生地を乾燥させるものである。
【0026】
剥離装置13は、前側ケーシング6の下部後側に配置されており、乾燥装置12で乾燥させた乾燥海苔を搬送装置3が停止中に各海苔簀4から剥離して回収するものである。
【0027】
海苔簀洗浄装置14は、前側ケーシング6の下部前側に配置されており、各海苔簀4の上下面を洗浄するものである。
【0028】
搬入装置16は、搬送装置3で搬送される簀枠5に装着された海苔簀4の上部に、予め重量を計測している空の重量測定用海苔簀15を載置するものである。
【0029】
搬入装置16は、ケーシング2の側部に複数の重量測定用海苔簀15を上下に重ねて収容したストッカー18を設けるとともに、搬送装置3で搬送される簀枠5とストッカー18との間で重量測定用海苔簀15を移送する移送機構19を設けている。
【0030】
そして、搬入装置16は、ストッカー18の上方に移送機構19を移動させ、移送機構19によってストッカー18から1枚の重量測定用海苔簀15を吸着して取出させ、移送機構19を簀枠5のいずれかの海苔簀4の上方に移動させ、搬送装置3が停止している間に移送機構19の吸着を解除して海苔簀4の上部に重量測定用海苔簀15を載置する。これにより、重量測定用海苔簀15は、搬送装置3によって簀枠5(海苔簀4)とともに搬送され、抄製装置10によって所定量の海苔生地が抄製された後に脱水装置11で海苔生地が脱水される。
【0031】
搬出装置17は、搬送装置3で搬送される簀枠5のいずれかの海苔簀4の上部に載置され抄製装置10による抄製と脱水装置11による脱水とが行われた重量測定用海苔簀15を搬送装置3から搬出してその重量を測定するものである。
【0032】
搬出装置17は、ケーシング2の側部に海苔生地及び重量測定用海苔簀15の重量を測定する重量測定器20を設けるとともに、搬送装置3で簀枠5(海苔簀4)とともに搬送される重量測定用海苔簀15と重量測定器20との間で重量測定用海苔簀15を移送する移送機構21を設けている。
【0033】
そして、搬出装置17は、移送機構21を重量測定用海苔簀15の上方に移動させ、搬送装置3が停止している間に移送機構21で重量測定用海苔簀15を吸着して取出させ、移送機構21を重量測定器20の上方に移動させるとともに吸着を解除して重量測定用海苔簀15を重量測定器20に載置する。これにより、重量測定器20によって海苔生地と重量測定用海苔簀15との合計の重量を計測することができ、既知の重量測定用海苔簀15の重量を差し引くことで海苔生地だけの重量を計測することができる。
【0034】
乾燥海苔製造システム1では、乾燥海苔の製造途中において制御装置によって定期的に搬入装置16及び搬出装置17を駆動させて、抄製装置10で抄製される海苔生地の重量を計測し、その重量に応じて抄製装置10で海苔簀4に供給する海苔生地の量を調整するように制御している。なお、重量測定用海苔簀15を載置する位置(簀枠5に装着された複数の海苔簀4のいずれか)は、常に同一でもよく、定期的に異ならせてもよく、また、複数の重量測定用海苔簀15を搬入及び搬出するようにしてもよい。
【0035】
以上に説明したように、上記乾燥海苔製造システム1は、搬送経路上の抄製装置10よりも上流側に空の重量測定用海苔簀15を搬送装置3に搬入する搬入装置16を設けるとともに、搬送経路上の脱水装置11よりも下流側に抄製装置10で海苔生地を抄製した重量測定用海苔簀15を搬送装置3から搬出する搬出装置17を設け、搬出装置17に海苔生地及び重量測定用海苔簀15の重量を測定する重量測定器20を設けた構成となっている。
【0036】
そのため、上記構成の乾燥海苔製造システム1では、海苔原藻から水に流出した色素や泡などの影響を受けることなく、海苔生地本来の重量を正確に測定することができ、所望の品質(重量)の乾燥海苔を安定して製造することが可能となる。
【0037】
また、上記乾燥海苔製造システム1は、循環搬送される海苔簀4の上部に重量測定用海苔簀15を搬入し、循環搬送される海苔簀4から重量測定用海苔簀15だけを搬出する構成となっている。
【0038】
そのため、上記構成の乾燥海苔製造システム1では、乾燥海苔の製造途中で乾燥海苔の製造と同時に海苔生地の重量を測定することが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1 乾燥海苔製造システム 2 ケーシング
3 搬送装置 4 海苔簀
5 簀枠 6 前側ケーシング
7 前側搬送機構 8 後側ケーシング
9 後側搬送機構 10 抄製装置
11 脱水装置 12 乾燥装置
13 剥離装置 14 海苔簀洗浄装置
15 重量測定用海苔簀 16 搬入装置
17 搬出装置 18 ストッカー
19 移送機構 20 重量測定器
21 移送機構
【手続補正書】
【提出日】2021-11-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔簀を循環搬送するための搬送装置の搬送経路上に、海苔生地を抄製するための抄製装置と、抄製した海苔生地を脱水するための脱水装置と、脱水した海苔生地を乾燥させるための乾燥装置とを順に配置して、循環搬送される海苔簀に抄製された海苔生地を脱水し乾燥させて乾燥海苔を製造する乾燥海苔製造システムにおいて、
搬送経路上の抄製装置よりも上流側に空の重量測定用海苔簀を搬送装置に搬入する搬入装置を設けるとともに、搬送経路上の脱水装置よりも下流側に抄製装置で海苔生地を抄製した重量測定用海苔簀を搬送装置から搬出する搬出装置を設け、搬出装置に海苔生地及び重量測定用海苔簀の重量を測定する重量測定器を設け、
搬入装置は、循環搬送される海苔簀の上部に重量測定用海苔簀を搬入し、
搬出装置は、循環搬送される海苔簀から重量測定用海苔簀だけを搬出することを特徴とする乾燥海苔製造システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
そこで、請求項1に係る本発明では、海苔簀を循環搬送するための搬送装置の搬送経路上に、海苔生地を抄製するための抄製装置と、抄製した海苔生地を脱水するための脱水装置と、脱水した海苔生地を乾燥させるための乾燥装置とを順に配置して、循環搬送される海苔簀に抄製された海苔生地を脱水し乾燥させて乾燥海苔を製造する乾燥海苔製造システムにおいて、搬送経路上の抄製装置よりも上流側に空の重量測定用海苔簀を搬送装置に搬入する搬入装置を設けるとともに、搬送経路上の脱水装置よりも下流側に抄製装置で海苔生地を抄製した重量測定用海苔簀を搬送装置から搬出する搬出装置を設け、搬出装置に海苔生地及び重量測定用海苔簀の重量を測定する重量測定器を設け、搬入装置は、循環搬送される海苔簀の上部に重量測定用海苔簀を搬入し、搬出装置は、循環搬送される海苔簀から重量測定用海苔簀だけを搬出することにした。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】