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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059282
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】制動キャスター
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
B60B33/00 501A
B60B33/00 501D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166921
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】591102659
【氏名又は名称】シシクアドクライス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100210295
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 誠心
(74)【代理人】
【識別番号】100088133
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正道
(72)【発明者】
【氏名】家倉 平八
(57)【要約】
【課題】異なる制動条件に対応可能な制動キャスターを提供すること。
【解決手段】制動キャスター1Aは、車輪21を回動可能に支持するキャスター本体2と、このキャスター本体2を移動体に取り付けるための取り付けシャフト3と、キャスター本体2と取り付けシャフト3とをこの取り付けシャフト3の軸線方向に離間させる方向に付勢する弾性部材4と、取り付けシャフト3と一体となっており車輪を制動する制動部材5とを備える。制動キャスター1Aを取り付けた移動体に荷重が加わると車輪21の制動解除状態から車輪21の制動状態になる場合と、移動体に荷重が加わると車輪21の制動状態から車輪21の制動解除状態になる場合とを切り替え可能となっている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を回動可能に支持するキャスター本体と、このキャスター本体を移動体に取り付けるための取り付けシャフトと、キャスター本体と取り付けシャフトとをこの取り付けシャフトの軸線方向に離間させる方向に付勢する弾性部材と、取り付けシャフトと一体となっており車輪を制動する制動部材とを備える制動キャスターにおいて、
移動体に荷重が加わると車輪の制動解除状態から車輪の制動状態になる場合と、移動体に荷重が加わると車輪の制動状態から車輪の制動解除状態になる場合とを切り替え可能となっていることを特徴とする制動キャスター。
【請求項2】
車輪の側面には、内歯歯車状に車輪の外周から中心に向って凹凸が全周方向に連続して形成されており、
制動部材は、車輪の凹凸と篏合可能となっている篏合部を有しており、
制動部材は、篏合部が車輪の凹凸と篏合する位置を変えられるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の制動キャスター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に取り付けられ、移動体に加わる荷重に応じて車輪を制動する制動キャスターに関する。
【背景技術】
【0002】
移動が可能な家具などの移動体おいては、下端部にキャスターを取り付けることによって、移動体の円滑な移動が実現されるようになっている。このような移動体の一例としてキャスターが取り付けられた椅子がある。
【0003】
このようなキャスターが取り付けられた椅子は、使用者が座っているかどうかに関わらず容易に移動してしまう。椅子の使用状況によっては、使用者が椅子に座っていない時は椅子が動かないことが望ましい場合や、逆に使用者が椅子に座っている時は椅子が動かないことが望ましい場合がある。
【0004】
移動体に取り付けられ、移動体に加わる荷重に応じて車輪を制動する制動キャスターとして、特許文献1に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5800651号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の制動キャスターは、入手時に、移動体に荷重が加わると車輪の制動解除状態から車輪の制動状態になる場合、又は、移動体に荷重が加わると車輪の制動状態から車輪の制動解除状態になる場合のどちらか一方の機能のみを有していることとなる。
【0007】
制動キャスターを入手後に、移動体に荷重が加わると車輪の制動解除状態から車輪の制動状態になる場合と、移動体に荷重が加わると車輪の制動状態から車輪の制動解除状態になる場合とを選択したい場合がある。しかしながら、特許文献1に記載の制動キャスターでは、入手後に、上記のような異なる制動条件に対応できないという問題がある。
【0008】
そこで、上記問題を解決すべく、本発明は、異なる制動条件に対応可能な制動キャスターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の制動キャスターは、車輪を回動可能に支持するキャスター本体と、このキャスター本体を移動体に取り付けるための取り付けシャフトと、キャスター本体と取り付けシャフトとをこの取り付けシャフトの軸線方向に離間させる方向に付勢する弾性部材と、取り付けシャフトと一体となっており車輪を制動する制動部材とを備える制動キャスターにおいて、移動体に荷重が加わると車輪の制動解除状態から車輪の制動状態になる場合と、移動体に荷重が加わると車輪の制動状態から車輪の制動解除状態になる場合とを切り替え可能となっている。
【0010】
請求項1の制動キャスターによれば、複数の異なる制動条件を実現することができる。
【0011】
請求項2の制動キャスターは、請求項1の制動キャスターにおいて、車輪の側面には、内歯歯車状に車輪の外周から中心に向って凹凸が全周方向に連続して形成されており、制動部材は、車輪の凹凸と篏合可能となっている篏合部を有しており、制動部材は、篏合部が車輪の凹凸と篏合する位置を変えられるようになっている。
【0012】
請求項2の制動キャスターによれば、請求項1の制動キャスターと同様の作用に加えて、篏合部が車輪の凹凸と篏合する位置を変えられるようになっている。そのため、容易に制動条件を変更することができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1又は2の制動キャスターは、制動キャスターが取り付けられた移動体に求められる制動条件に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態の制動キャスターの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態の制動キャスターの内部の構成が見えるようにした側面図であり、荷重が加わると車輪の制動状態から車輪の制動解除状態となる場合を示す。
図3】本発明の一実施形態の制動キャスターの内部の構成が見えるようにした側面図であり、荷重が加わると車輪の制動解除状態から車輪の制動状態となる場合を示す。
図4図1の制動キャスターの制動部材を示す側面図、正面図及び平面図である。
図5】本発明の別の実施形態の制動キャスターの内部の構成が見えるようにした側面図であり、荷重が加わると車輪の制動状態から車輪の制動解除状態となる場合を示す。
図6】本発明の別の実施形態の制動キャスターの内部の構成が見えるようにした側面図であり、荷重が加わると車輪の制動解除状態から車輪の制動状態となる場合を示す
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態の制動キャスター1Aを図1及び図2に基づいて説明する。
【0016】
制動キャスター1Aは、2個の車輪21,21を回動可能に支持するキャスター本体2と、このキャスター本体2を移動体に取り付けるための取り付けシャフト3と、キャスター本体2と取り付けシャフト3とをこの取り付けシャフト3の軸線方向に離間させる方向に付勢する弾性部材4と、取り付けシャフト3と一体となっており車輪を制動する制動部材5とを備える。
【0017】
車輪21の側面には、内歯歯車状に車輪21の外周から中心に向って凹凸が全周方向に連続して形成されている。
【0018】
キャスター本体2は、車輪21を支持する車輪支持部22と弾性部材4の下端が当接するようになっている弾性部材下端受け部23とを備える。
【0019】
車輪支持部22は、2個の車輪21,21の間に位置している。この車輪支持部22のキャスターの進行方向側に弾性部材下端受け部23が設けられている。
【0020】
弾性部材下端受け部23は筒体からなり、取り付けシャフト3が貫通可能な貫通孔が形成されている。
【0021】
図2に示すように、取り付けシャフト3は、棒体からなる。取り付けシャフト3は弾性部材4及びキャスター本体2の弾性部材下端受け部23を貫通しており、この貫通した取り付けシャフト3の下端には、取り付けシャフト3が弾性部材下端受け部23の貫通孔から抜けることを防止するために抜け防止手段であるナット31が取り付けられている。
【0022】
制動キャスター1Aを組み立てた状態で、取り付けシャフト3には、キャスター本体2の弾性部材下端受け部23と取り付けシャフト3の上端との間の位置に弾性部材4の上端が当接するようになっている弾性部材上端受け部32が設けられている。
【0023】
弾性部材4は、コイルバネからなり、上端から下端にかけて貫通孔が設けられている。
【0024】
弾性部材下端受け部23には、取り付けシャフト3が貫通しており、弾性部材4の貫通孔には取り付けシャフト3も貫通している状態となっている。
【0025】
弾性部材4は、キャスター本体2の弾性部材下端受け部23と取り付けシャフト3の弾性部材上端受け部32とに挟まれている。弾性部材4は、弾性部材下端受け部23と弾性部材上端受け部32とを遠ざける方向に付勢しており、結果的にキャスター本体2と取り付けシャフト3とをこの取り付けシャフト3の軸線方向に離間させる方向に付勢する。
【0026】
弾性部材4とキャスター本体2の弾性部材下端受け部23との間にはボールベアリング41が介在している。弾性部材4の付勢力がキャスター本体2と取り付けシャフト3に加わっても、取り付けシャフト3の軸線周りにキャスター本体2がスムーズに旋回可能となっている。
【0027】
弾性部材4は、キャスター本体2の弾性部材下端受け部23と取り付けシャフト3の弾性部材上端受け部32とに囲まれた空間内に収容されている。
【0028】
図4は、(a)が制動部材5の側面図、(b)が制動部材5の正面図、及び、(c)が制動部材5の平面図を示す。制動部材5は、車輪21の凹凸の凹に嵌合可能となっているピン51A、51Bと、そのピン51を支持するピン支持部52とを備える。ピン51A、51Bが篏合部の役割を果たす。
【0029】
ピン支持部52の一端は、取り付けシャフト3の弾性部材下端受け部23を貫通した部分に取り付けられており、ピン支持部52の二股に分かれた他端は凹凸が形成されている車輪21の側面側に延出するようになっている。この二股に分かれた他端にそれぞれピン51A及びピン51Bの基部が取り付けられている。ピン51A及びピン51Bの先端は、それぞれ、凹凸が形成されている車輪21,21の側面に向って延びている。
【0030】
ピン51A及びピン51Bは、取り付けシャフト3の軸線と略平行な方向に上下に配置されている。
【0031】
図1及び図2に示す制動キャスター1Aは、取り付けシャフト3の弾性部材下端受け部23を貫通した部分において、ピン支持部52の一端、スペーサー53の順に取り付けられている。
【0032】
制動部材5のピン支持部52は取り付けシャフト3に固定されているので、制動部材5全体は取り付けシャフト3と一体となって変位するようになっている。
【0033】
図2(a)のように取り付けシャフト3に荷重が加わっていないと、制動部材5のピン51Aが、車輪21の凹凸の凹に嵌合する状態となっている。ピン51Bは、車輪21の凹凸の凹とは篏合していない。この状態ではピン51Aによって車輪21が回動できないようになっている。
【0034】
図2(b)に示すように、矢印αの方向に取り付けシャフト3に荷重が加わると、ピン51Aは取り付けシャフト3とともに下降して、車輪21の凹凸の凹との嵌合が解除された状態となる。ピン51Bは、車輪21の凹凸の凹とは篏合していない。この状態では車輪21が回動できるようになっている。
【0035】
図2(a)のように取り付けシャフト3に荷重が加わっていなくても、図2(b)のように取り付けシャフト3に荷重が加わっていても、ピン51Bは、取り付けシャフト3と一体となって変位する範囲において、車輪21の凹凸の凹とは篏合しないようになっている。
【0036】
ピン51Aは、取り付けシャフト3と一体となって変位する範囲において、車輪21の凹凸の凹に嵌合する状態と、車輪21の凹凸の凹との嵌合が解除された状態とが存在する。
【0037】
ピン51Aの変位によって、図2の制動キャスター1Aを取り付けた移動体に荷重が加わると車輪21の制動状態から車輪21の制動解除状態になることを実現できる。
【0038】
図3に示す制動キャスター1Bは、取り付けシャフト3の弾性部材下端受け部23を貫通した部分において、スペーサー53、ピン支持部52の一端の順に取り付けられている。図3に示す制動キャスター1Bは、スペーサー53とピン支持部52の位置関係が上下逆になっている点が図1及び図2の制動キャスター1Aとは異なる。
【0039】
図3(a)のように取り付けシャフト3に荷重が加わっていないと、制動部材5のピン51Bが、車輪21の凹凸の凹との嵌合が解除された状態となっている。ピン51Aは、車輪21の凹凸の凹とは篏合していない。この状態では車輪21が回動できるようになっている。
【0040】
図3(b)に示すように、矢印αの方向に取り付けシャフト3に荷重が加わると、ピン51Bは取り付けシャフト3とともに下降して、車輪21の凹凸の凹に嵌合する状態となる。ピン51Aは、車輪21の凹凸の凹とは篏合していない。この状態では車輪21の回動できないようになっている。
【0041】
図3(a)のように取り付けシャフト3に荷重が加わっていなくても、図3(b)のように取り付けシャフト3に荷重が加わっていても、ピン51Aは、取り付けシャフト3と一体となって変位する範囲において、車輪21の凹凸の凹とは篏合しないようになっている。
【0042】
ピン51Bは、取り付けシャフト3と一体となって変位する範囲において、車輪21の凹凸の凹に嵌合する状態と、車輪21の凹凸の凹との嵌合が解除された状態とが存在する。
【0043】
ピン51Bの変位によって、図3の制動キャスター1Bを取り付けた移動体に荷重が加わると車輪21の制動解除状態から車輪21の制動状態になることを実現できる。
【0044】
このように、取り付けシャフト3の弾性部材下端受け部23を貫通した部分において、ピン支持部52及びスペーサー53の取り付ける順番を変更することによって、スペーサー53は、取り付けシャフト3に対するピン支持部52が固定される位置を変える役割を果たす。
【0045】
ピン支持部52が固定される位置を変えることによって、移動体に荷重が加わると車輪21の制動解除状態から車輪21の制動状態になる制動キャスター1Bと、移動体に荷重が加わると車輪21の制動状態から車輪21の制動解除状態になる制動キャスター1Aとを、容易に切り替えることができる。
【0046】
図2の制動キャスター1Aと図3の制動キャスター1Bに示すように、篏合部であるピン51A又はピン51Bが車輪の凹凸と篏合する位置を変えられるようになっている。
【0047】
取り付けシャフト3に対するピン支持部52が固定される位置を変える役割をインデックスプランジャー6によって実現する別の実施について図5及び図6に基づいて説明する。前述の制動キャスター1A、1Bと共通する構成は説明を省略する。
【0048】
図5の制動キャスター1C及び図6の制動キャスター1Dでは、ピン支持部52の一端が取り付けシャフト3の弾性部材下端受け部23を貫通した部分にインデックスプランジャー6を介して取り付けられている。
【0049】
インデックスプランジャー6は、プランジャー本体61と、プランジャー本体61からの出し入れ自在となっているノーズ62と、ノーズ62の出し入れ操作を行うノブ63とを有する。
【0050】
取り付けシャフト3の弾性部材下端受け部23を貫通した部分には、ノーズ62が嵌まり込んで位置決め固定される穴33、34が取り付けシャフト3の軸線方向に離間して2か所に形成されている。
【0051】
図5は、インデックスプランジャー6のノーズ62が取り付けシャフト3の軸線方向上側の穴33に位置決め固定された状態を示す。
【0052】
制動部材5のピン支持部52はインデックスプランジャー6を介して取り付けシャフト3に固定されているので、制動部材5全体は取り付けシャフト3と一体となって変位するようになっている。
【0053】
図5(a)のように取り付けシャフト3に荷重が加わっていないと、制動部材5のピン51Aが、車輪21の凹凸の凹に嵌合する状態となっている。ピン51Bは、車輪21の凹凸の凹とは篏合していない。この状態ではピン51Aによって車輪21が回動できないようになっている。
【0054】
図5(b)に示すように、矢印αの方向に取り付けシャフト3に荷重が加わると、ピン51Aは取り付けシャフト3とともに下降して、車輪21の凹凸の凹との嵌合が解除された状態となる。ピン51Bは、車輪21の凹凸の凹とは篏合していない。この状態では車輪21が回動できるようになっている。
【0055】
図5(a)のように取り付けシャフト3に荷重が加わっていなくても、図5(b)のように取り付けシャフト3に荷重が加わっていても、ピン51Bは、取り付けシャフト3と一体となって変位する範囲において、車輪21の凹凸の凹とは篏合しないようになっている。
【0056】
ピン51Aは、取り付けシャフト3と一体となって変位する範囲において、車輪21の凹凸の凹に嵌合する状態と、ピン51Aが車輪21の凹凸の凹との嵌合が解除された状態とが存在する。
【0057】
ピン51Aの変位によって、図5の制動キャスター1Cを取り付けた移動体に荷重が加わると車輪21の制動状態から車輪21の制動解除状態になることを実現できる。
【0058】
図6は、インデックスプランジャー6のノーズ62が取り付けシャフト3の軸線方向下側の穴34に位置決め固定された状態を示す。
【0059】
図6(a)のように取り付けシャフト3に荷重が加わっていないと、制動部材5のピン51Bは、車輪21の凹凸の凹との嵌合が解除された状態となっている。ピン51Aは、車輪21の凹凸の凹とは篏合していない。この状態では車輪21が回動できるようになっている。
【0060】
図6(b)に示すように、矢印αの方向に取り付けシャフト3に荷重が加わると、ピン51Bは取り付けシャフト3とともに下降して、車輪21の凹凸の凹との嵌合する状態となる。ピン51Aは、車輪21の凹凸の凹とは篏合していない。この状態では車輪21の回動できないようになっている。
【0061】
図6(a)のように取り付けシャフト3に荷重が加わっていなくても、図6(b)のように取り付けシャフト3に荷重が加わっていても、ピン51Aは、取り付けシャフト3と一体となって変位する範囲において、車輪21の凹凸の凹とは篏合しないようになっている。
【0062】
ピン51Bは、取り付けシャフト3と一体となって変位する範囲において、車輪21の凹凸の凹に嵌合する状態と、車輪21の凹凸の凹との嵌合が解除された状態とが存在する。
【0063】
ピン51Bの変位によって、図6の制動キャスター1Dを取り付けた移動体に荷重が加わると車輪21の制動解除状態から車輪21の制動状態になることを実現できる。
【0064】
このように、取り付けシャフト3の弾性部材下端受け部23を貫通した部分において、インデックスプランジャー6は、取り付けシャフト3に対するピン支持部52が固定される位置を変える役割を果たす。
【0065】
ピン支持部52が固定される位置を変えることによって、移動体に荷重が加わると車輪21の制動解除状態から車輪21の制動状態になる制動キャスター1Dと、移動体に荷重が加わると車輪21の制動状態から車輪21の制動解除状態になる制動キャスター1Cとを、容易に切り替えることができる。
【0066】
図5の制動キャスター1Cと図6の制動キャスター1Dに示すように、篏合部であるピン51A又はピン51Bが車輪の凹凸と篏合する位置を変えられるようになっている。
【0067】
上記実施形態では、制動部材のピン51A又は51Bが車輪21の凹凸の凹に嵌合可能となっている場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば制動部材は、車輪に当接可能となっており、摩擦によって制動するものであってもよい。
【0068】
上記実施形態の制動キャスター1A及び制動キャスター1Bでは抜け防止手段としてナットを使用する場合について説明したが、これに限定されることはない。抜け防止手段として例えばピンなど使用してもよい。
【0069】
上記実施形態では、コイルバネを使用する場合について説明したが、これに限定されることはない。弾性部材下端受け部の上部及びシャフトが貫通可能な貫通孔が設けられている例えば円筒形状のゴムなどの弾性部材であってもよい。
【0070】
上記実施形態では、ピン支持部52は、一端が取り付けシャフト3の弾性部材下端受け部23を貫通した部分に取り付けられている場合について説明したが、これに限定されることなく、ピン支持部の一端が取り付けシャフト3の別の位置に取り付けられていてもよい。
【0071】
上記実施形態の制動キャスター1C及び制動キャスター1Dでは、取り付けシャフト3に対するピン支持部52が固定される位置を変える役割をインデックスプランジャー6によって実現する場合について説明したが、これに限定されることはない。取り付けシャフト3に対するピン支持部52が固定される位置を変える役割は、他の機械要素によって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1A、1B、1C、1D 制動キャスター
2 キャスター本体
3 取り付けシャフト
4 弾性部材
5 制動部材
6 インデックスプランジャー
21 車輪
22 車輪支持部
23 弾性部材下端受け部
31 ナット
32 弾性部材上端受け部
33、34 穴
41 ボールベアリング
51A、51B ピン
52 ピン支持部
53 スペーサー
61 プランジャー本体
62 ノーズ
63 ノブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6