(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059391
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】窓用シートの張設構造及び張設具
(51)【国際特許分類】
E06B 9/52 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
E06B9/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167099
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】305014434
【氏名又は名称】株式会社コンテック
(71)【出願人】
【識別番号】514215457
【氏名又は名称】株式会社イノベックス
(74)【代理人】
【識別番号】100101605
【弁理士】
【氏名又は名称】盛田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】金子 信夫
(57)【要約】
【課題】網戸等が設けられていない窓等に防虫ネットを設けることができる。
【解決手段】シート張設具2を用いた窓用シートの取付構造1であって、上記シート張設具は、窓の枠部6に取り付けられるベース部材3と、このベース部材に着脱可能に止着されて、上記ベース部材との間でシート部材6を保持できる保持部材4とを備え、上記ベース部材は、一方の面が上記窓の枠部に取り付けられる板状取付部12と、上記板状取付部の他方の面に一体形成された止着部11とを備える一方、上記保持部材は、上記シート部材を上記止着部との間に挟んだ状態で、上記止着部に着脱可能に止着される保持部16を備え、上記シート張設具が、所定間隔で設けられているとともに、上記シートの縁部が上記シート張設具に止着されて、上記シートが上記窓開口の一部又は全部を覆うように張設される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート張設具を用いた窓用シートの取付構造であって、
上記シート張設具は、窓構成部材、窓の枠部又はその近傍に取り付けられるベース部材と、このベース部材に着脱可能に止着されて、上記ベース部材との間でシート部材を保持できる保持部材とを備え、
上記ベース部材は、一方の面が上記窓構成部材、窓の枠部又はその近傍に取り付けられる板状取付部と、上記板状取付部の他方の面に一体形成された止着部とを備える一方、
上記保持部材は、上記シート部材を上記止着部との間に挟んだ状態で、上記止着部に着脱可能に止着される保持部を備え、
上記シート張設具が、所定間隔で設けられているとともに、上記シートの縁部が上記シート張設具に止着されて、上記シートが上記窓開口の一部又は全部を覆うように張設される、窓用シートの取付構造。
【請求項2】
上記保持部は、上記止着部に弾性的に嵌着させられる、請求項1に記載の窓用シートの取付構造。
【請求項3】
上記ベース部材及び上記保持部材は、所定の長さを有する長尺状に形成されており、
上記ベース部材の長手方向に設けた所定の長さを有する上記止着部に、上記止着部の長さに対応した長さを有する上記保持部が、上記シート部材の縁部を所定長さ挟んだ状態で止着される、請求項1又は請求項2に記載の窓用シートの取付構造。
【請求項4】
上記ベース部材は、所定幅を有する長尺矩形状に形成された板状取付部と、母線に沿って上記板状取付部の長手方向に一体形成された柱状の止着部とを備え、
上記保持部材は、柱状の上記止着部に、側方から弾性的に嵌着できる長溝状の保持部を備えて構成されており、
上記シート部材の縁部が、所定長さに渡って上記止着部と上記保持部との間で挟圧保持される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の窓用シートの取付構造。
【請求項5】
上記ベース部材は、上記板状取付部に設けられた粘着剤を介して、上記各部位に取り付けられる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の窓用シートの取付構造。
【請求項6】
上記窓用シートが防虫ネットである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の窓用シートの取付構造。
【請求項7】
上記窓用シートが、所定の光透過率を有する遮光シートである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の窓用シートの取付構造。
【請求項8】
上記窓用シートが、断熱シートである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の窓用シートの取付構造。
【請求項9】
上記窓用シートが、防風シートである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の窓用シートの取付構造。
【請求項10】
ベース部材と、このベース部材に着脱可能に止着されて、上記ベース部材との間でシート部材を保持できる保持部材とを備える、窓用シート張設具であって、
上記ベース部材は、一側が窓構成部材、窓の枠部又はその近傍に止着される板状取付部と、上記板状取付部の他側に一体形成された止着部とを備え、
上記保持部材は、上記シート部材を挟んだ状態で、上記止着部に弾性的に嵌着させられる保持部とを備える、窓用シート張設具。
【請求項11】
上記ベース部材及び上記保持部材は、所定の長さを有する長尺状に形成されており、
上記ベース部材の長手方向に設けた所定の長さを有する上記止着部に、上記止着部の長さに対応した長さを有する上記保持部が、上記シート部材の縁を所定長さ挟んだ状態で弾性的に嵌着される、請求項10に記載の窓用シート張設具。
【請求項12】
上記ベース部材は、上記板状取付部の長手方向に延びるとともに、母線に沿って上記板状取付部の表面に一体形成された柱状の上記止着部を備える一方、
上記保持部材は、上記止着部の外面形態に対応した内面形態を備える長溝から構成されるとともに、上記シート部材を挟んだ状態で上記止着部を覆うように弾性的に嵌着できる保持部を備える、請求項11に記載の窓用シート張設具。
【請求項13】
上記ベース部材の裏面側に設けられた粘着剤層と、この粘着剤層を覆う剥離シートが設けられている、請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の窓用シート張設具。
【請求項14】
上記ベース部材と上記保持部材とがそれぞれ長尺状に形成され、所要の長手方向寸法に切断して用いるように構成されている、請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の窓用シート張設具。
【請求項15】
上記保持部材は、着脱操作を行うための操作部を備える、請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の窓用シート張設具。
【請求項16】
上記操作部は、上記保持部材の両端部を、上記ベース部材から延出させることにより構成されている、請求項15に記載の窓用シート張設具。
【請求項17】
上記操作部は、上記保持部材の外面から突起を延出させて構成されている、請求項15に記載のシート張設具。
【請求項18】
網戸枠体に設けられるシート張設具であって、
上記板状取付部に、防虫ネットを止着する溝の縁部に係止できる突起又は凸条が設けられている、請求項10から請求項17のいずれか1項に記載のシート張設具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、窓用シートの取付構造に関する。詳しくは、窓開口あるいは窓を構成するガラス等に種々の機能を有するシートを設けることができる。窓用シートの張設構造及び張設具に関する。
【背景技術】
【0002】
窓には種々のシートが設けられることがある。たとえば、開放した窓開口を覆って害虫の侵入を防止できる網戸を構成する防虫ネットや、ガラス面に積層するように設けられて室内に入射する光を制限する遮光シートが設けられる。また、窓を構成するガラスの内外面に、広告宣伝用のポスターや、装飾用のシート等が設けられることも多い。
【0003】
従来、上記シート類は、網戸のように、別途設けた網戸枠体に防虫ネットを張設して窓枠にスライド可能に保持したり、遮光シートのように、ガラス面に接着剤や粘着テープ等を用いて貼着することが多かった。また、面ファスナーを用いて防虫ネットを設ける手法も提供されている。
【0004】
また、コロナウイルス等のまん延を防止するため換気が推奨され、窓を開けることが多くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記網戸は、窓枠サッシにスライド可能に設けた枠体に張設されるため、窓枠サッシにレールが設けられていない場合設けることができない。木製の窓枠の場合は、縁部に沿って防虫ネットを押さえる樹脂製テープを用い、釘等によって上記樹脂テープと枠体表面との間で防虫ネットを挟圧して設置することも可能であるが、窓枠を傷つける恐れがあり、また、着脱可能に設けることは困難である。また、近年、面ファスナーを用いた防虫ネットの取付構造が提供されている。しかしながら、面ファスナーでの取付強度を確保するには、ある程度の幅が必要となり、見栄えが良いとは言えない。また、ネット状のものにしか適用できない。
【0007】
高層マンションの高層階では、害虫が上がって来ないため、網戸が設けられていない場合が多い。また、強風が吹き付けられるため網戸の枠体等に高い取付強度が要求され、低層住宅用の網戸をそのまま適用できない場合が多い。特に、オフィスビルでは、空調を用いることが前提となっているため窓を開けることが少なく、網戸を設ける必要性も低かった。
【0008】
ところが、コロナウイルス等の感染を防止するため、室内の通気性を確保する必要が高まり、高層マンションやオフィスビルにおいても、窓を開けて通気性を高めることが多くなった。高層階で窓を開口すると、強い風が吹き込む恐れがあるとともに、強い光が室内に直接射し込むことが多い。
【0009】
本願発明は、上述の課題を解決するために案出されたものであって、網戸等が設けられていない窓等に防虫ネットを設けることができる。また、窓の開状態のみならず閉状態において、窓に種々のシートを張設できる窓用シートの取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、シート張設具を用いた窓用シートの取付構造である。上記シート張設具は、窓構成部材、窓の枠部又はその近傍に取り付けられるベース部材と、このベース部材に着脱可能に止着されて、上記ベース部材との間でシート部材を保持できる保持部材とを備えて構成される。上記ベース部材は、一方の面が上記窓構成部材、窓の枠部又はその近傍に取り付けられる板状取付部と、上記板状取付部の他方の面に一体形成された止着部とを備える。一方、上記保持部材は、上記シート部材を上記止着部との間に挟んだ状態で、上記止着部に着脱可能に止着される保持部を備える。上記シート張設具が、所定間隔で設けられているとともに、上記シートの縁部が上記シート張設具に止着されて、上記シートが上記窓開口の一部又は全部を覆うように張設される。
【0011】
本願発明に係る張設具を取り付けることができる部位があれば、シートを取り付ける窓の種類や、構造は特に限定されることはない。引き違い窓、すべり出し窓、内倒し窓、外倒し窓、開き窓、突き出し窓、ルーバー窓、オーニング窓、天窓、掃き出し窓等、あらゆる窓に種々のシートを張設できる。また、窓のみならず換気扇の開口部や、通気穴等に防虫ネット等を設けることもできる。
【0012】
また、窓自体や窓枠等を構成する材料も特に限定されることはない。アルミサッシの他、木製のサッシや、樹脂製の枠体等を備える窓に適用できる。また、網戸に重ねるように設置することにより、遮光シートや防風シートを設けることもできる。
【0013】
また、窓構成部材にも特に限定されることはなく、ガラスやアクリル製の窓のみならず、通気性のある雨戸等に、防虫ネットや防風シートを設けることもできる。
【0014】
張設されるシートの種類は特に限定されることはない。たとえば、上記窓用シートとして、防虫ネット、遮光シート、断熱シート、防風シート等を採用することができる。また、看板として機能する広告用の印刷が施されたシートを窓構成部材のガラスの内外面に張設することもできる。
【0015】
また、シートの材料も特に限定されることはない。防虫ネット等の編製シート、樹脂製シート、紙製シート、布製シート等を採用できる。
【0016】
また、シートの取付位置も特に限定されることはなく、窓の全部又は一部を覆うように設けることができる。また、窓の開閉状態に係わらず、いずれの状態においても所要のシートを設けることができる。たとえば、引き戸窓の場合、所要の開放位置で開口部を覆う防虫ネットを設置できる。また、閉状態の窓に、遮光シート等を窓構成部材であるガラス面に容易に設置することができる。
【0017】
たとえば、防虫ネットや防風シート(防風ネット)の場合、窓を開けた部分に張設することができる。また、遮光シートの場合、窓の開閉状態に係わらず設けることができるとともに、太陽光が室内に射し込むのを防止できる領域のみに張設することもできる。たとえば、ガラス窓の場合、上部にのみ張設することもできる。外部からの覗き見を防止する遮光シートの場合にも、必要な領域のみに設けることができる。広告用のシートについては、窓を閉めた状態で外部から見えるように、ガラス板の内外に張設することができる。
【0018】
本願発明に係る上記シート張設具は、窓構成部材、窓の枠部又はその近傍に取り付けられるベース部材と、このベース部材に着脱可能に止着されて、上記ベース部材との間でシート部材を保持できる保持部材とを備える。上記ベース部材と上記保持部材を構成する材料は特に限定されることはない。たとえば、種々の樹脂材料や金属から形成することができる。また、上記ベース部材と上記保持部材とを異なる材料から形成することもできる。
【0019】
上記ベース部材は、一側が窓構成部材、窓の枠部又はその近傍に止着される板状取付部と、他側に一体形成された止着部とを備える。一方、上記保持部材は、上記シート部材を挟んだ状態で、上記止着部に弾性的に嵌着させられる保持部を備える。この構成を採用することにより、最少の部品点数でシート張設具を構成できるばかりでなく、シートをきわめて容易に止着することが可能となる。
【0020】
強度が低いシートや変形しやすいシートを確実に保持するには、ある程度の長さに渡って保持するのが好ましい。特に、防虫ネットの場合、一点で保持したり保持領域が小さいと、網糸が変位して網目開口が大きくなってしまったり、縁部の糸がほつれてしまう場合がある。
【0021】
本願発明では、上記ベース部材及び上記保持部材は、所定の長さを有する長尺状に形成するのが好ましい。そして、上記ベース部材の長手方向に設けた所定の長さを有する上記止着部に、上記止着部の長さに対応した長さを有する上記保持部が、上記シート部材の縁を所定長さ挟んだ状態で弾性的に嵌着されるように構成するのが望ましい。上記止着部の長さは特に限定されることはなく、シートの種類に応じて設定できる。たとえば、防虫ネットの場合3cm以上、好ましくは、4cm以上の長さで止着できるように構成するのが望ましい。
【0022】
上記ベース部材と上記保持部材の構造も特に限定されることはない。たとえば、上記ベース部材を、所定幅を有する長尺矩形状に形成された板状取付部と、母線に沿って上記板状取付部の長手方向に一体形成された柱状の止着部とを備えて構成できる。一方、上記保持部材を、柱状の上記止着部に、側方から弾性的に嵌着できる長溝状の保持部を備えて構成できる。これにより、上記シート部材の縁部を、所定長さに渡って上記止着部と上記保持部との間で挟圧保持できる。
【0023】
上記ベース部材と上記保持部材の長さを、上述した所定の長さにあらかじめ設定することもできるし、上記ベース部材と上記保持部材とを所定の断面形状を有する長尺状に形成し、所要の長手方向寸法に切断して用いるように構成することもできる。
【0024】
上記止着部の断面形態は特に限定されることはなく、多角形状、円形状等を採用できる。上記保持部は、上記止着部に弾性的に嵌着できる形態であればよい。上記止着部外面と上記長溝との間には、上記シート部材を所定の強度で挟持できる隙間が設定される。上記隙間の大きさは、保持するシートの厚み等によって設定される。さらに、上記止着部外面と上記長溝内面に滑り止めの凹凸を設けるのが好ましい。上記凹凸の形態は特に限定されることはなく、長手方向に延びる平行線状に設けることもできるし、所定間隔で突部を設けて構成することもできる。
【0025】
上記ベース部材を窓枠等に設ける手法は特に限定されることはない。たとえば、上記ベース部材の裏面側に設けられた粘着剤層を介して貼着するように構成できる。また、釘やネジで固定できるように構成することもできる。
【発明の効果】
【0026】
網戸等が設けられていない窓等に防虫ネットを設けることができるばかりでなく、窓に種々のシートを張設できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本願発明に係るシートの張設構造を防虫ネットに適用した場合の外観図である。
【
図2】実施形態に係るベース部材の構造を示す図である。(a)は、正面図である。(b)は、側面図である。(c)は、平面図である。(d)は、底面図である。
【
図4】実施形態に係る保持部材の構造を示す図である。(a)は、正面図である。(b)は、側面図である。(c)は、平面図である。(d)は、底面図である。
【
図6】ベース部材を網戸の枠体に貼着した状態を示す図である。
【
図7】防虫ネットを保持したベース部材と保持部材の断面図である。
【
図8】
図6に示すベース部材に、防虫ネット及び保持部材を装着する手順を示す斜視図である。
【
図9】ベース部材と保持部材の間に形成される隙間を示す断面図である。
【
図10】引き違い窓の開口に防虫ネットを設けた場合を示す外観図である。
【
図11】ガラス戸の上部に遮光シートを設けた状態を示す外観図である。
【
図12】ガラス窓に広告シートを設けた状態を示す外観図である。
【
図17】網戸枠体の溝を利用して装着する実施形態に係る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。
【0029】
図1に示すように、本実施形態に係る取付構造1は、理解を容易にするため、従来の網戸枠体6の全体に、本願発明に係るシート張設具を用いて防虫ネットを張設している。なお、通常の網戸枠体には、ネットを張設する溝が形成されており、通常はその溝に防虫ネットを挟んだ状態で押さえゴムを押し込んで防虫ネットが張設される。
【0030】
本実施形態では、シート張設具2を、網戸枠体6の表面に所定間隔で設け、これらシート張設具2に防虫ネット5の縁部を止着することにより、防虫ネット5を張設する。上記シート張設具2を設ける間隔は限定されることはないが、30cm以下の間隔で設けるのが好ましい。
【0031】
上記シート張設具2は、
図2~
図5に示すように、上記網戸枠体6の表面に貼着されるベース部材3と、このベース部材3と共働して、防虫ネット5を保持する保持部材4とを備えて構成される。
【0032】
上記ベース部材3は、上記網戸枠体等に取り付けられる板状取付部12と、上記板状取付部12に一体形成された止着部11とを備える。上記ベース部材3と上記保持部材4は、全体が樹脂で形成されており、所定長さを有する長尺状に形成されている。上記ベース部材3と上記保持部材4を構成する材料は特に限定されることはない。日光に晒される場合が多いため、耐候性の高い樹脂材料から形成するのが好ましい。たとえば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネイト樹脂等を用いて製造することができる。
【0033】
上記ベース部材3の長手方向に設けた所定の長さを有する上記止着部11に、上記止着部11の長さに対応した長さを有する上記保持部材4の上記保持部16が、上記防虫ネット5の縁を所定長さ挟んだ状態で弾性的に嵌着される。これにより、上記防虫ネット5の縁部を所要の長さで保持することが可能となり、ネットを構成する糸がほつれるのを防止しつつ、確実に防虫ネット5を止着できる。本実施形態に係る上記ベース部材3と上記保持部材4の長さは、約5cmに設定されているが、少なくとも3cm以上、好ましくは、4~7cmの範囲の長さに設定するのが好ましい。
【0034】
上記止着部11は、上記板状取付部12の長手方向に延びるとともに、母線に沿って上記板状取付部12の表面に一体形成された円柱状に形成されている。一方、保持部16は、上記止着部11の外面形態に対応した内面形態を備える長溝から構成されており、上記シート部材を挟んだ状態で上記止着部11を覆うように弾性的に嵌着させることができるように構成されている。
【0035】
上記保持部材4は、上記止着部11に嵌着させた際に、上記保持部16の内径が弾性的に拡径できるように構成されており、上記止着部11に、上記防虫ネット5を挟んだ状態で押し込むことにより、弾性的に嵌着できるように構成されている。また、上記止着部11の外周面と上記保持部16の内周面には、長手方向に延びる平行線状の凹凸13,17が設けられている。上記凹凸13,17を設けることにより、防虫ネットのすべりを防止し、所要の張力に対抗できるように構成している。
【0036】
図1及び
図6~
図8に基づいて、実施形態に係るシート張設具の設置方法について説明する。
【0037】
図1及び
図6に示すように、上記ベース部材3を上記網戸枠体6の表面に所定間隔で取り付ける。上記ベース部材3を設ける間隔は特に限定されることはないが、防虫ネット5の場合、30cm以下の間隔で設けるのが好ましい。また、角部には大きな力が作用する場合が多いため、隣接するベース部材3の間隔は上記間隔より狭く設定するのが好ましい。上記ベース部材3の板状取付部12の取付面には、剥離紙で粘着面が覆われた両面粘着テープが貼着されており、上記剥離紙を剥がして、上記網戸枠体6の開口を覆うように所定間隔で枠体表面に貼着する。
【0038】
図8に示すように、上記網戸枠体6の開口部を覆うとともに、上記シート張設具に重なるように、防虫ネット5を載置し、所要の張力を作用した状態で、上記ベース部材3の止着部11に、上記保持部材4の保持部16を嵌合させる。これにより、防虫ネット5が、上記網戸枠体6に連結されて、防虫ネット5が網戸枠の開口部に張設される。
【0039】
図7に示すように、上記ベース部材3の止着部11と上記保持部材4の保持部16には、長手方向に平行線状の凹凸が設けられており、上記防虫ネット5が、所要の強度で保持される。
【0040】
さらに、
図9に示すように、本実施形態に係る上記止着部11の外周と上記保持部16の内周との間で上記防虫ネット5を収容する隙間において、上記防虫ネット5が延出する部位において、挟圧力が最大となるように設定している。すなわち、防虫ネットを保持していない状態で、上記止着部11の首部近傍における隙間H2の寸法を、止着部11の頂部近傍における隙間H1の値より小さく設定している。上記H1と上記H2の寸法は特に限定されることはなく、シートの厚み等によって設定することができる。
【0041】
防虫ネット5に張力が作用すると、上記シート張設具2の、止着部11と保持部16の嵌合縁部、すなわち、H2の部分で挟持される領域に最も大きな張力が作用する。このため、上記領域の保持力が小さいと、上記保持部材4が弾性変形して、上記縁部の隙間H2が拡大し、防虫ネット5が弛んだり、外れてしまう恐れがある。上記防虫ネット5を止着する上記止着部11と保持部16の対向する領域の弾性挟圧力を設定することにより、防虫ネット5を確実に保持することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、上記シート張設具2の長さを5cmに設定したが、上記板状取付部の長さが長くなると、成形の際や長期の使用の場合に変形する恐れがある。このため、本実施形態では、上記板状取付部12の表面にV溝を設けて、上記変形を防止している。
【0043】
【0044】
図10に示す実施形態は、網戸が設置されていない窓に、防虫ネット35を設置した状態を示す。この図に示すように、引き違い窓の一方のガラス戸を所定の幅で開口し、この開口部30を覆うように、防虫ネット35が設けられている。
【0045】
図11に示す実施形態では、ガラス戸の上部に遮光シート25を張設した場合を示している。
図11に示すように、ガラス戸の所要の部位40に遮光シート25を設けることができる。
【0046】
図12に示す実施形態では、透明なガラス窓のガラスに、広告用シート35を張設した場合を示している。この実施形態に示すように、広告用シートの全面に接着剤を設けたり、縁部を粘着テープ等で固定することがないため、広告シートを容易に設けることができる。
【0047】
図13~
図15に、保持部材104に、着脱を容易にするための操作部201,202を設けた実施形態を示す。
【0048】
図13及び
図14に示す実施形態では、上記保持部材104の外面の中央部に、所定幅で、板状の突起を設けて上記操作部201,202を構成している。上記操作部を設けることにより、上記止着部への着脱を容易に行うことが可能となる。
【0049】
図15に示す実施形態では、保持部材4の軸方向長さを、ベース部材の長さより長く設定することにより、上記ベース部材から延出する上記保持部材4の端部が操作部201,202となるように構成している。この構成を採用することにより、上記保持部材4の端部を挟持して着脱操作を行うことが可能となる。
【0050】
【0051】
この実施形態では、上面にシートを保持できる長溝からなる止着部415を設けるとともに、上記止着部415の外側に止着段部414を設けたベース部材403を採用している。一方、上記シート部材5を上記止着部415に押し込むことができる保持部410を設けた第1のアーム部412と、先端が上記止着段部414に係止される係止部416を設けた第2のアーム部413を、環状のバネ420で弾力付勢した洗濯挟み状の保持部材404を採用している。上記保持部材404の操作部411を操作することにより、先端部を拡開し、シート部材を上記止着部415に押し込んで止着することができる。
【0052】
図17に、従来の網戸枠体を利用してシートを張設できる実施例を示す。
【0053】
傷んだ防虫ネットを張り替えるには、上記網戸枠体の溝に防虫ネットを挟んだ状態で押さえゴムを押し込む必要がある。上記押さえゴムを確実に押し込むには、網戸枠を水平面に載置する必要がある。ところが、集合住宅等では、網戸枠を水平に載置するスペースがない場合が多い。このため、網戸の張り替えを行うのが困難となり、穴の開いたネットを遣い続ける場合も多い。
【0054】
本実施形態では、上記のような場合、網戸枠体を利用して、防虫ネット等を張設できるシートの取付具を示す。なお、防虫ネットを本実施形態に係るシート張設具に止着する止着構造は、上述した実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0055】
網戸枠体には、元々防虫ネットを止着するための溝が設けられている。上述した実施形態のように、網戸枠体の平坦面に上述したシート取付具を設けることもできるが、上記溝を利用することにより、見栄えよく、かつ、強度高く防虫ネットを取り付けることができる。
【0056】
図17に本実施形態に係るシート張設具512の断面図を示す。なお、シート張設具502の長さ等は、上述した実施形態と同様である。本実施形態に係る上記ベース部材503には、一方の面が上記窓構成部材、窓の枠部又はその近傍に取り付けられる板状取付部512と、この板状取付部512の一方の側縁部に形成された縁部から上記板状取付部512から直角に延出する係止凸部505が設けられている。上記係止凸部505は、上記側縁部の全長に設けることもできるし、所定間隔で間欠的に設けることもできる。間欠的に設ける場合、上記板状取付部512の長手方向の端部近傍を含むように設けるのが好ましい。
【0057】
上記係止凸部505は、上記網戸枠体506の溝506cに突入できる長さに設定される。本実施形態では、網戸枠体506の内縁部506bの表面が、外側表面506aより所定高さ段落ち状に形成されている。本実施形態にかかるシート張設具502は、上記板状取付部512が上記外側表面506aに両面粘着テープ550を介して固定されるとともに、上記係止凸部505の外面505aが、上記溝506cの内縁506dに当接させられて係止される。
【0058】
上記実施形態では、上記係止凸部505の外面505aが、上記溝506cの内縁506dに当接させられるため、上記防虫ネット5の張力を、上記溝506cの内縁506dで支持することが可能となる。このため、上記粘着テープ550の接着力が低い場合にも、上記防虫ネット5から作用する張力に対抗できる。また、上記シート張設具502を、上記溝506cに沿って一直線上に配置できる。したがって、防虫ネットを、上記溝506cに押さえゴムを用いて張設した場合と同様に、見栄えよく張設することが可能となる。
【0059】
なお、本実施形態では、溝506cの内側縁にのみ係止されるように構成したが、溝506cの内外両縁部に弾性的に当接するように構成することもできる。
【0060】
また、網戸枠体に段落ち部分がない場合にも、上記係止凸部505aを網戸枠体の内側縁部に沿うようにして、上記シート張設具を設けることができる。
【0061】
本願発明は、上述の実施形態に限定されることはない。実施形態では、所定長さのシート張設具を用いたが、長尺状のベース部材と保持部材を採用し、所要の長さでシート部材を張設するように構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
網戸等が設けられていない窓等に、防虫ネットを容易に設けることができるばかりでなく、窓に種々のシートを張設することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 窓用シートの取付構造
2 シート張設具
3 ベース部材
4 保持部材
5 防虫ネット(シート部材)
6 窓の枠部
12 板状取付部
11 止着部
16 保持部