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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059410
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/16 20060101AFI20220406BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
H02K5/16 Z
H02K5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167146
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葉山 慎吾
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA00
5H605AA08
5H605BB01
5H605BB05
5H605CC02
5H605CC04
5H605DD07
5H605DD09
5H605DD11
5H605EB16
5H605EB26
5H605EB28
5H605EB33
(57)【要約】
【課題】油漏れを抑制可能な回転電機を提供することを目的とする。
【解決手段】回転電機は、第1の室と、第2の室と、が設けられた筐体と、前記第1の室と前記第2の室とに亘って延びる中心軸まわりに回転可能な、軸部と、前記第1の室と前記第2の室との間に位置し、前記軸部が通る第1の孔が設けられ、前記第1の孔を通る前記軸部から前記中心軸の径方向に第1の間隙を空けて離間した、隔壁部と、前記第2の室で前記軸部に設けられ、前記軸部と一体に前記中心軸まわりに回転可能な、回転体と、前記中心軸の軸方向において前記隔壁部と前記回転体との間に設けられ、前記軸部が通る第2の孔が設けられ、前記第2の孔を通る前記軸部から前記径方向に前記第1の間隙よりも大きい第2の間隙を空けて離間し、前記隔壁部から前記軸方向に前記第1の間隙よりも大きい第3の間隙を開けて離間した、第1の壁部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の室と、第2の室と、が設けられた筐体と、
中心軸に沿って前記第1の室と前記第2の室とに亘って延び、前記中心軸まわりに回転可能な、軸部と、
前記第1の室と前記第2の室との間に位置し、前記軸部が通る第1の孔が設けられ、前記第1の孔を通る前記軸部の外周面から前記中心軸の径方向に第1の間隙を空けて離間した、隔壁部と、
前記第2の室で前記軸部に設けられ、前記軸部と一体に前記中心軸まわりに回転可能な、回転体と、
前記中心軸の軸方向において前記隔壁部と前記回転体との間に設けられ、前記軸部が通る第2の孔が設けられ、前記第2の孔を通る前記軸部の外周面から前記径方向に前記第1の間隙よりも大きい第2の間隙を空けて離間し、前記隔壁部から前記軸方向に前記第1の間隙よりも大きい第3の間隙を空けて離間した、第1の壁部と、
を備え、
前記回転体の回転により生じた負圧により、前記第3の間隙から前記第2の間隙へ気流が生じる、
回転電機。
【請求項2】
前記軸方向において前記隔壁部と前記第1の壁部との間に亘って設けられ、前記径方向に前記軸部から離間した、第2の壁部、
をさらに備え、
前記筐体に、前記第1の室に開口する第1の開口端と、前記回転体から前記径方向に離間した位置で前記第2の室に開口する第2の開口端と、を有して前記第1の室と前記第2の室とを連通する流路が設けられ、
前記第2の壁部は、前記径方向において前記軸部と前記第2の開口端との間に位置する、
請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記回転体は回転整流器を有する、請求項1または請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記第2の間隙は、前記第3の間隙よりも小さい、請求項1~3のいずれか一項に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機において、主軸が通る孔を通じて潤滑油が漏れることを抑制するため、主軸が通る孔の内周面に油切り構造が設けられている。例えば、油切り構造として、ラビリンスシールが孔の内周面に設けられている。また、ブラシレス回転電機の場合、主軸には、主軸と共に一体に回転する、回転整流器が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020―078131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転整流器の回転により、回転整流器の主軸に近い位置に負圧が発生する場合がある。負圧により、油切り構造と主軸の隙間を通る潤滑油を含んだ気流が生じることで、いわゆる油漏れが発生しうる。
【0005】
このような問題を解決するため、本発明は、油漏れを抑制可能な回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る回転電機は、第1の室と、第2の室と、が設けられた筐体と、中心軸に沿って前記第1の室と前記第2の室とに亘って延び、前記中心軸まわりに回転可能な、軸部と、前記第1の室と前記第2の室との間に位置し、前記軸部が通る第1の孔が設けられ、前記第1の孔を通る前記軸部の外周面から前記中心軸の径方向に第1の間隙を空けて離間した、隔壁部と、前記第2の室で前記軸部に設けられ、前記軸部と一体に前記中心軸まわりに回転可能な、回転体と、前記中心軸の軸方向において前記隔壁部と前記回転体との間に設けられ、前記軸部が通る第2の孔が設けられ、前記第2の孔を通る前記軸部の外周面から前記径方向に前記第1の間隙よりも大きい第2の間隙を空けて離間し、前記隔壁部から前記軸方向に前記第1の間隙よりも大きい第3の間隙を開けて離間した、第1の壁部と、を備え、前記回転体の回転により生じた負圧により、前記第3の間隙から前記第2の間隙へ気流が生じる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、油漏れを抑制可能な回転電機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の回転電機の構成を示す模式図である。
図2図2は、上記実施形態の隔壁部と第2の室の周辺を示す断面図である。
図3図3は、上記実施形態の回転電機の軸部上部の隔壁部周辺を示す断面図(拡大図)である。
図4図4は、上記実施形態の回転電機の軸部下部の隔壁部周辺を示す断面図(拡大図)である。
図5図5は、上記実施形態の軸部及び隔壁部を示す、図3のA-A矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる回転電機を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0011】
図1および図2に示されるように、回転電機200は、筐体10と、隔壁部15と、回転子20と、固定子30と、冷却器66と、励磁装置100と、を有する。なお、本明細書中では、便宜上ブラシレス回転電機を挙げて説明するが、回転電機200はブラシレス回転電機に限定されない。
【0012】
筐体10には、第1の室10aと、第1の室10aに隣接する第2の室10bと、が設けられる。例えば、第1の室10aは機内側、第2の室10bは機外側とも称される。第1の室10aには、連結側軸受45aと、励磁機側軸受45bとが設けられる。また、第1の室10aには、連結側軸受ブラケット55aと、励磁機側軸受ブラケット55bとが設けられる。連結側軸受45aは連結側軸受ブラケット55aに、励磁機側軸受45bは励磁機側軸受ブラケット55bにそれぞれ固定されている。
【0013】
回転子20は、軸部21と、回転子鉄心22を有する。軸部21は、中心軸21aに沿って第1の室10aと第2の室10bとに亘って延び、連結側軸受45aおよび励磁機側軸受45bによって、中心軸21aまわりに回転可能に支持されている。また、軸部21の一端には、連結部13が形成される。軸部21は、回転電機200が電動機の場合は駆動対象と、また回転電機200が発電機の場合は原動機と、連結部13において結合する。
【0014】
中心軸21aは、軸部21の中心軸であるとともに、軸部21の回転の中心軸である。図1に示される径方向Ddは、中心軸21aと直交する方向である。また、図1に示される軸方向Daは、中心軸21aと平行な方向である。
【0015】
回転子鉄心22は、強磁性体製で中央に開口を有する円筒状の一体構造である。なお、回転子鉄心22は、円板状の鋼板が中心軸21aの軸方向Daに積層された積層構造であってもよい。回転子鉄心22は、第1の室10aにおいて、軸部21の径方向Ddの外側に取り付けられる。回転子鉄心22には図示しない界磁コイルが設けられている。
【0016】
第1の室10aにおいて、軸部21に内扇ファン25a,25bが取り付けられている。内扇ファン25a,25bは、軸部21と一体に中心軸21aまわりに回転することで、第1の室10aに気流を発生させる。回転子鉄心22は、内扇ファン25aと内扇ファン25bとの間に位置する。
【0017】
隔壁部15は、第1の室10aと第2の室10bとの間に位置し、軸部21が通る第1の孔16が設けられる。図3および図4に示すように第1の孔16の内周面には、例えば、軸部21に対向してラビリンスシール16aが設けられる。ラビリンスシール16aの軸部21を向いた先端16a1は、第1の孔16を通る軸部21の外周面21bから径方向Ddに第1の間隙G1を空けて離間する。なお、隔壁部15は油止環とも称される。
【0018】
隔壁部15は、励磁機側軸受ブラケット55bに取り付けられている。図2に示されるように、励磁機側軸受ブラケット55bは、励磁機側軸受45bを径方向Ddに囲う。また、励磁機側軸受ブラケット55bに取り付けられた隔壁部15は、励磁機側軸受45bを軸方向Daに囲う。励磁機側軸受ブラケット55bと隔壁部15とは、励磁機側軸受45bを径方向Ddおよび軸方向Daに囲う励磁機側軸受封止部56bを形成する。励磁機側軸受封止部56bは、潤滑油が充填されており、例えばオイルボックスとも称される。
【0019】
固定子30は、回転子20の径方向Ddの外側に設けられて、軸方向Daに延びた円筒状に形成される。固定子30は、固定子鉄心31と固定子巻線32を有する。固定子鉄心31は、例えば、強磁性体製で中央に開口を有する円板状の鋼板が軸方向Daに積層された積層構造である。回転子鉄心22の径方向Ddの外側に対向する固定子鉄心31の内側には、中心軸21aの周方向に互いに間隔をおいて軸方向Daに延びた図示しないスロットが形成されている。それぞれのスロット内および固定子鉄心31の軸方向Daの両外側には固定子巻線32が設けられている。
【0020】
筐体10は、第1の室10aの上部に、冷却器カバー62を有する。冷却器カバー62は、冷却器66を収納している。冷却器66は、例えば熱交換器である。第1の室10aと冷却器カバー62の内部の空間とは、冷却器入口開口51aと、冷却器出口開口51b,51cとによって連通している。冷却器入口開口51aは、冷却器出口開口51bと冷却器出口開口51cとの間に位置する。
【0021】
第1の室10a内には仕切り板51d,51fが設けられている。仕切り板51d,51fには、軸方向Daに当該仕切り板51d,51fを貫通する円形の開口が形成されている。
【0022】
仕切り板51dは、軸方向Daにおいて固定子鉄心31と連結側軸受45aとの間に設けられている。仕切り板51fは、軸方向Daにおいて固定子鉄心31と励磁機側軸受45bとの間に設けられている。
【0023】
軸部21の励磁機側軸受45bによって支持されている部分の延長部分には、励磁装置用軸部26が設けられる。励磁装置用軸部26は、第2の室10bに設けられた軸部21の一部であり、中心軸21aまわりに回転可能である。なお、励磁装置用軸部26は、第1の室10aに設けられた軸部21の一部と別体であってもよい。
【0024】
励磁装置100は、第2の室10bの内部に設けられ、回転体110および励磁機120を有する。回転体110は、例えば、回転整流器115を有する。回転整流器115は、例えば、周方向に等間隔に配置されるとともに放射状に延びる複数の整流器を有する。回転体110は、第2の室10bで励磁装置用軸部26に設けられ、励磁装置用軸部26と一体に中心軸21aまわりに回転可能である。励磁機120は、励磁機回転子巻線121aを有する励磁機回転子121、および励磁機固定子122を有する。
【0025】
励磁機固定子122は、径方向Ddに励磁機回転子121に対向するように設けられ、円環状であり、外部より固定されている。励磁機固定子122には図示しない電源から直流電力が供給される。なお、励磁機固定子122は、コイルによる電磁石には限定されない。たとえば、回転電機200の界磁電流すなわち回転子20のコイルに流れる電流の制御が不要な場合は、永久磁石であってもよい。
【0026】
励磁機固定子122による直流の界磁の内側で、励磁機回転子121が中心軸21aまわりに回転すると、励磁機回転子121の励磁機回転子121には、交流の誘導起電力が発生する。励磁機回転子巻線121aに発生する交流電力は、回転整流器115によって直流電力に変換され、同じく中心軸21aまわりに回転する回転子鉄心22に設けられた界磁コイルに供給される。この界磁によって、固定子巻線32すなわち電機子巻線に誘導起電力が発生する。
【0027】
筐体10は、第2の室10bを囲う励磁装置カバー63を有する。励磁装置カバー63と、冷却器カバー62の間には、励磁装置カバー63と冷却器カバー62を連通する励磁装置入口ダクト64が設けられている。また、励磁装置カバー63と励磁機側軸受ブラケット55b間には、励磁装置カバー63と励磁機側軸受ブラケット55bを連通する励磁装置出口ダクト65が設けられている。
【0028】
より詳細に述べると、第1の室10aは、軸方向Daの両端に設けられる連結側軸受ブラケット55aおよび励磁機側軸受ブラケット55bと、連結側軸受ブラケット55aおよび励磁機側軸受ブラケット55bの間で軸部21に沿って設けられたフレーム61により形成される。第2の室10bは、隔壁部15と、励磁機側軸受ブラケット55bと、励磁装置カバー63により形成される。
【0029】
励磁装置出口ダクト65には、第1の室10aと第2の室10bとを連通する流路59cが設けられる。流路59cの一方の端部である第1の開口端59aは、励磁機側軸受ブラケット55bの上端部に開口する。これにより、第1の開口端59aは、第1の室10aに開口する。また、流路59cの他方の端部である第2の開口端59bは、回転体110から径方向Ddに離間した位置で励磁装置カバー63に開口する。これにより、第2の開口端59bは、第2の室10bに開口する。本実施形態では、第2の開口端59bは、回転体110から上方向に離間した位置で第2の室10bに開口する。
【0030】
励磁装置入口ダクト64は、励磁装置出口ダクト65よりも第1の室10aから離間した位置で、励磁装置カバー63に連結される。軸方向Daにおいて、励磁装置入口ダクト64が励磁装置カバー63に連結された位置と、第2の開口端59bとの間に、励磁機120が設けられる。
【0031】
フレーム61と、冷却器カバー62と、励磁装置カバー63と、励磁装置入口ダクト64と、励磁装置出口ダクト65は、密閉空間70を形成する。密閉空間70は、励磁装置カバー部75と、フレーム中央部76と、冷却器カバー部77と、ファン入口部78,79と、を有する。励磁装置カバー部75は、第2の室10bに含まれる。フレーム中央部76およびファン入口部78,79は、第1の室10aに含まれる。
【0032】
フレーム中央部76は、仕切り板51dと仕切り板51fとの間に位置し、回転子鉄心22および固定子30が設けられている領域である。ファン入口部78は、内扇ファン25aおよび仕切り板51dと連結側軸受45aとの間の部分である。ファン入口部79は、励磁機側軸受45bと内扇ファン25bおよび仕切り板51fとの間の部分である。ファン入口部79は、流路59cを通じて励磁装置カバー部75に連通する。
【0033】
冷却器カバー部77は、冷却器カバー62により形成される。冷却器カバー部77は、冷却器入口開口51aを通じてフレーム中央部76に連通し、冷却器出口開口51b,51cを通じてファン入口部78,79に連通する。また、冷却器カバー部77は、励磁装置入口ダクト64を通じて励磁装置カバー部75に連通する。
【0034】
以上のように構成された本実施形態において、回転電機200の運転中、軸部21が回転する。この結果、内扇ファン25a,25bが回転し、密閉空間70内で冷却用気体を循環させる。
【0035】
冷却用気体は、フレーム中央部76から冷却器入口開口51aを経て冷却器カバー部77に流入する。冷却用気体は、冷却器カバー部77内の冷却器66において冷却された後、一部が、冷却器出口開口51bを経由してファン入口部78に流入し、さらにフレーム中央部76に流入する。また他の一部は、冷却器出口開口51cを経由してファン入口部79に流入し、さらにフレーム中央部76に流入する。このようにして、冷却用気体は、回転子鉄心22および固定子30を冷却する。図1は、冷却用気体の流れ(気流)を矢印で図示する。
【0036】
また、冷却器カバー部77からファン入口部79への流れに並行して、励磁装置カバー部75を経由する流れが存在する。すなわち、冷却用気体が、冷却器カバー部77内の冷却器66において冷却された後、励磁装置入口ダクト64を通過して励磁装置カバー部75に流入し、さらに、励磁装置出口ダクト65内の流路59cを経由して、ファン入口部79に流入する。励磁装置カバー部75を流れる冷却用気体が、励磁装置100を冷却する。
【0037】
回転電機200は、第1の壁部80と、第2の壁部90と、をさらに備える。図2に示されるように、第1の壁部80は、例えば、軸部21が通る第2の孔17が設けられることで円環形状に形成される。また、図3および図4に示されるように、第1の壁部80は、軸方向Daを向く面80aに、軸方向Daに沿う貫通穴80bが、周方向に略等間隔に6個穿孔されている。
【0038】
第1の壁部80は、軸方向Daにおいて隔壁部15と回転体110との間に設けられる。また、第1の壁部80は、第2の孔17を通る軸部21の外周面21bから径方向Ddに第1の間隙G1よりも大きい第2の間隙G2を空けて、第2の孔17の内周面80cが離間するように配置される。
【0039】
図3乃至図5に示されるように、隔壁部15は、励磁装置100に向いた端面15aに突出部15bを有する。突出部15bは、円柱形状に形成され、端面15aから軸方向Daに延びている。また突出部15bは、周方向に略等間隔に6個設けられる。さらに、突出部15bの各々は、励磁装置100に向いた端面15b1の中央に、軸方向Daにネジ穴15dが穿孔される。なお、突出部15bはボスとも称される。
【0040】
第1の壁部80の各々の貫通穴80bにネジ15eが挿通され、各々の端面15b1のネジ穴15dと、ネジ15eとがネジ止め固定される。これにより、第1の壁部80は、隔壁部15に取り付けられ、かつ隔壁部15から軸方向Daに第1の間隙G1よりも大きい第3の間隙G3を空けて離間する。すなわち、突出部15bが軸方向Daに端面15aから第3の間隙G3と等しい長さの分延び、端面15b1が面80aに当接することで、第3の間隙G3が形成される。第2の間隙G2は、第3の間隙G3よりも小さい。
【0041】
第2の壁部90は、半円筒形状を備え、第2の孔17の近傍で、面80aから第1の室10aに向かって軸方向Daに、第3の間隙G3と略等しい長さで延び、端面15aに当接する。すなわち、第2の壁部90は、軸方向Daにおいて隔壁部15と第1の壁部80との間に亘って設けられる。なお、第2の壁部90は第1の壁部80と別体に設けられていてもよい。
【0042】
また、第2の壁部90は、径方向Ddにおいて軸部21に向く内周面90bを有する。内周面90bは、径方向Ddに軸部21から離間する。また、第2の壁部90は、径方向Ddにおいて軸部21と第2の開口端59bとの間に位置する。すなわち、第2の壁部90は、径方向Ddにおいて、励磁装置出口ダクト65に向いた軸部21の外周面21bの略半分を覆うように、軸部21と第2の開口端59bとの間に設けられる。これにより、第2の壁部90は、第3の間隙G3を部分的に塞ぐ。また、第2の壁部90は、励磁装置出口ダクト65の反対側に向く軸部21の外周面21bの略半分を覆わずに露出させる。これにより、第2の壁部90は、第3の間隙G3を部分的に開放する。
【0043】
なお、第1の壁部80と、第2の壁部90とは、遮蔽板とも称され、軽量で取付性の良好なアルミ製であってもよい。第2の壁部90は、励磁装置出口ダクト65に向いた軸部21の外周面21bの半分を覆っていなくてもよい。
【0044】
図3図4に示されるように、隔壁部15には、内部空間15cが設けられる。内部空間15cは、例えば内扇ファン25a,25bの回転により生じた気流が図示しない空気配管等を通じて供給される。当該気流を第1の間隙G1へ流すことにより、第1の室10aの励磁機側軸受封止部56bから第1の間隙G1を経由して第2の室10bへ油が流れることを防ぐ、いわゆるエアシールが第1の間隙G1でなされている。
【0045】
一方、図2に示すように、回転体110の回転により、回転体110の軸部21に近い部分で負圧PN1が生じうる。負圧PN1は、周囲から冷却用気体を吸引する。例えば、負圧PN1は、第1の間隙G1の近傍の空間から、冷却用気体を吸引しようとする。しかし、第1の壁部80が、第1の間隙G1の近傍の空間と、負圧PN1との間に設けられる。このため、第1の壁部80は、第1の間隙G1の近傍の空間と、負圧PN1との間を遮蔽し、負圧PN1が第1の間隙G1の近傍の空間から冷却用気体を吸引しにくくする。
【0046】
第1の間隙G1の近傍の空間と、負圧PN1とは、第2の間隙G2を通じて連通する。このため、負圧PN1は、第2の間隙G2を通じて冷却用気体を吸引することで、第2の間隙G2を通る気流を発生させる。
【0047】
負圧PN1は、第1の室10aの励磁機側軸受封止部56bから第1の間隙G1を経由して第2の間隙G2へ向かう気流を生じるおそれがある。しかし、本実施形態の回転電機200は、負圧PN1が第3の間隙G3から第2の間隙G2へ気流を生じさせるように構成されるため、第1の間隙G1を通る気流の発生を抑制する。
【0048】
具体的には、負圧PN1は、第2の間隙G2を通る気流を発生させることで、第2の間隙G2の近傍における圧力を低下させる。このため、第1の間隙G1から第2の間隙G2への気流、又は第3の間隙G3から第2の間隙G2への気流が発生し得る。本実施形態では、第3の間隙G3は、第1の間隙G1よりも大きい。このため、第1の間隙G1を気流が流れる場合の抵抗は、第3の間隙G3を気流が流れる場合の抵抗よりも大きくなる。このため、第3の間隙G3から第2の間隙G2への気流が発生し、第1の間隙G1から第2の間隙G2への気流が発生することが抑制される。
【0049】
上述のように、励磁機側軸受封止部56bには、潤滑油が充填されている。このため、第1の間隙G1から第2の間隙G2への気流が発生すると、当該気流により、励磁機側軸受封止部56bの潤滑油が第2の室10bへ漏れるおそれがある。しかし、上述のように、本実施形態の回転電機200では、第1の間隙G1から第2の間隙G2への気流が発生することが抑制される。従って、第1の間隙G1を通じた励磁機側軸受封止部56bからの油漏れが抑制される。
【0050】
また、上述のように、励磁装置入口ダクト64から励磁装置カバー部75に流入した冷却用気体は、励磁装置出口ダクト65内の流路59cを経由して、ファン入口部79に流入する。すなわち、第1の室10aの内扇ファン25a,25bが、流路59cを通じて、第2の室10bから第1の室10aへ冷却用気体を吸引する。これにより、流路59cを経由して、第2の室10bから第1の室10aへ流れる気流が生じ、第2の開口端59bの近傍で負圧PN2が生じうる。
【0051】
負圧PN2は、第1の室10aの励磁機側軸受封止部56bから第1の間隙G1を経由して第3の間隙G3へ向かう気流を生じるおそれがある。しかし、本実施形態の回転電機200では、負圧PN2と第1の間隙G1との間に、第2の壁部90が設けられる。このため、第2の壁部90は、負圧PN2と第1の間隙G1との間を遮蔽し、第1の間隙G1から第3の間隙G3へ向かう気流の発生を抑制する。気流は、上述のように、第3の間隙G3から第2の間隙G2へ流れる。従って、第1の間隙G1を通じた励磁機側軸受封止部56bからの油漏れが抑制される。
【0052】
以上のように、本実施形態の回転電機200では、第2の室10bに設けられた回転体110が軸部21の回転に伴い回転すると、回転体110の近傍に負圧PN1が生じるため、油を含んだ気流が第1の室10aから第1の間隙G1を通過して、第2の室10bへ移動することで、いわゆる油漏れが生じるおそれがある。ここで、本実施形態では、軸部21が通る第2の孔17が設けられた第1の壁部80が、軸方向Daにおいて隔壁部15と回転体110との間に設けられる。そして、第1の壁部80は、第2の孔17を通る軸部21の外周面21bから径方向Ddに第1の間隙G1よりも大きい第2の間隙G2を空けて離間し、隔壁部15から軸方向Daに第1の間隙G1よりも大きい第3の間隙G3を開けて離間している。これにより、回転体110が生じさせた負圧PN1により、第3の間隙G3、第2の間隙G2の順に通過する気流が生じる。すなわち、本実施形態の回転電機200は、第2の間隙G2及び第3の間隙G3よりも幅の狭い第1の間隙G1からは油を含んだ気流が流れることを抑え、ひいては油漏れを抑えることができる。
【0053】
また、例えば筐体10内部の冷却のため、流路59cを通って第2の室10bから第1の室10aへ流れる気流が発生させられる場合がある。この場合、流路59cを通じて機体が第2の室10bから第1の室10aに吸引されることで、負圧PN2が第2の開口端59bの近傍で生じる。しかし、第2の壁部90が、軸方向Daにおいて隔壁部15と第1の壁部80との間に亘って設けられ、径方向Ddにおいて軸部21から離間し、かつ軸部21と第2の開口端59bとの間に位置するため、第2の壁部90は、第1の間隙G1の近傍の空間と負圧PN2との間を遮蔽する。すなわち、本実施形態の回転電機200は、負圧PN2が第2の開口端59bの近傍で生じても、第2の開口端59bの反対側より、第3の間隙G3、第2の間隙G2の順に通過する気流が生じる。よって、回転電機200は、油漏れを抑えることができる。また、回転電機200は、回転体110が回転整流器115を有する場合でも、上述の効果を得る。
【0054】
第2の間隙G2は、第3の間隙G3よりも小さい。すなわち、第2の間隙G2は、比較的小さく設けられる。よって、負圧PN1が第2の間隙G2の近傍で生じても、負圧PN1と第1の間隙G1の近傍の空間との間がより遮蔽され、第1の間隙G1は負圧PN1の影響を受けにくくなる。従って、本実施形態の回転電機200は、油漏れをより抑えることができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10 筐体、10a 第1の室、10b 第2の室、15 隔壁部、16 第1の孔、17 第2の孔、21 軸部、21a 中心軸、21b 外周面、59a 第1の開口端、59b 第2の開口端、59c 流路、80 第1の壁部、90 第2の壁部、110 回転体、115 回転整流器、200 回転電機、Da 軸方向、Dd 径方向、G1 第1の間隙、G2 第2の間隙、G3 第3の間隙、PN1 負圧
図1
図2
図3
図4
図5