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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059435
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
B65H5/06 F
B65H5/06 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167181
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】森 健太郎
【テーマコード(参考)】
3F049
【Fターム(参考)】
3F049AA10
3F049CA33
3F049DA12
3F049DB02
3F049EA02
3F049LA16
3F049LB03
(57)【要約】
【課題】箔フィルムのムダを低減することを目的とする。
【解決手段】箔転写装置1は、カバー22と、箔フィルムFおよびシートSを加熱する加熱部材(加熱ローラ61)と、加熱部材との間で箔フィルムFおよびシートSを挟む加圧部材(加圧ローラ51)と、箔フィルムFをシートSから剥離させる剥離部材(第2案内軸42)と、第1搬送ローラ13と、第2搬送ローラ14とを備える。第1搬送ローラ13は、カバー22に設けられ、搬送方向において剥離部材の下流に位置し、シートSを搬送する。第2搬送ローラ14は、カバー22に設けられ、第1搬送ローラ13との間でシートSをニップしてシートSを搬送する。第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14のニップ力は、カバー22を閉位置から開位置に移動させた場合に、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14でニップしたシートSを箔フィルムFから剥がすことができる大きさである。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、シートに箔を転写する箔転写装置であって、
前記箔フィルムが巻回された供給リールを有するフィルムユニットと、
前記フィルムユニットを着脱するための開口を有する筐体本体と、
前記開口を塞ぐ閉位置と、前記開口を開放する開位置と、の間で移動可能なカバーと、
前記箔フィルムおよびシートを加熱する加熱部材と、
前記加熱部材との間で前記箔フィルムおよびシートを挟む加圧部材と、
前記加熱部材と前記加圧部材の間を通過した前記箔フィルムの進行方向を、シートの搬送方向とは異なる方向に変更することで、前記箔フィルムをシートから剥離させる剥離部材と、
前記カバーに設けられた第1搬送ローラであって、前記搬送方向において前記剥離部材の下流に位置し、シートを搬送する第1搬送ローラと、
前記カバーに設けられた第2搬送ローラであって、前記第1搬送ローラとの間でシートをニップしてシートを搬送する第2搬送ローラと、を備え、
前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラのニップ力は、前記カバーを閉位置から開位置に移動させた場合に、前記第1搬送ローラと前記第2搬送ローラでニップしたシートを前記箔フィルムから剥がすことができる大きさであることを特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
前記カバーは、前記搬送方向における前記剥離部材の下流でシートをガイドする排紙シュートを有し、
前記排紙シュートは、前記第2搬送ローラを有することを特徴とする請求項1記載の箔転写装置。
【請求項3】
前記排紙シュートは、前記第2搬送ローラが前記第1搬送ローラに向けて押し付けられるように前記第2搬送ローラを付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記付勢部材は、トーションバネであり、シートの幅方向の両端部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の箔転写装置。
【請求項5】
前記排紙シュートは、前記搬送方向における前記排紙シュートの下流端に位置し、前記搬送方向と交差し、上下方向に延びる面である第1面を有し、
前記筐体本体は、前記第1面の下に隣接し、前記搬送方向と交差し、上下方向に延びる面である第2面を有し、
前記第2面は、前記第1面に対して前記搬送方向に突出していないことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項6】
モータと、
回転方向に応じて前記モータの駆動力を伝達する伝達状態、または、駆動力を伝達しない非伝達状態となるワンウェイクラッチと、をさらに備え、
前記第1搬送ローラは、
前記モータがONの状態では、前記モータから前記ワンウェイクラッチを介して駆動が入力され、第1回転方向に回転することでシートを前記搬送方向に搬送し、
前記モータがOFFの状態で、前記第1回転方向に回転させる場合、前記ワンウェイクラッチが非伝達状態となることで、第1の回転抵抗力がかかり、
前記モータがOFFの状態で、前記第1回転方向と反対の第2回転方向に回転させる場合、前記ワンウェイクラッチが伝達状態となることで、前記第1の回転抵抗力よりも大きい第2の回転抵抗力がかかることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに箔を転写する箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、箔転写装置として、箔フィルムが巻回された供給リールと、箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、箔フィルムおよびシートを加熱する加熱ローラと、加熱ローラとの間で箔フィルムおよびシートを挟む加圧ローラと、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-290685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような箔転写装置においては、例えば、箔を転写するシートが途中で詰まった場合には、シートの搬送を停止するようになっている。このとき、搬送経路に残ったシートを取り除くために搬送方向に引っ張ると、シートに貼り付いている箔フィルムも一緒に引っ張られてしまうことがあった。箔フィルムがシートと一緒に引っ張られると、未使用の箔フィルムが不要に引き出されてしまうので、箔フィルムがムダになってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、箔フィルムのムダを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための箔転写装置は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、シートに箔を転写する装置であって、フィルムユニットと、筐体本体と、カバーと、加熱部材と、加圧部材と、剥離部材と、第1搬送ローラと、第2搬送ローラと、を備える。
フィルムユニットは、箔フィルムが巻回された供給リールを有する。筐体本体は、フィルムユニットを着脱するための開口を有する。カバーは、開口を塞ぐ閉位置と、開口を開放する開位置と、の間で移動可能である。加熱部材は、箔フィルムおよびシートを加熱する。加圧部材は、加熱部材との間で箔フィルムおよびシートを挟む。剥離部材は、加熱部材と加圧部材の間を通過した箔フィルムの進行方向を、シートの搬送方向とは異なる方向に変更することで、箔フィルムをシートから剥離させる。第1搬送ローラは、カバーに設けられ、搬送方向において剥離部材の下流に位置し、シートを搬送する。第2搬送ローラは、カバーに設けられ、第1搬送ローラとの間でシートをニップしてシートを搬送する。
第1搬送ローラと第2搬送ローラのニップ力は、カバーを閉位置から開位置に移動させた場合に、第1搬送ローラと第2搬送ローラでニップしたシートを箔フィルムから剥がすことができる大きさである。
【0007】
この構成によれば、シートが搬送経路にある状態でシートの搬送を停止させた場合に、カバーを閉位置から開位置に移動すると、箔フィルムに貼り付いているシートは、第1搬送ローラと第2搬送ローラの間にニップされた状態で箔フィルムから引き剥がされる。このため、未使用の箔フィルムがシートと一緒に引き出されてしまうことを抑制できる。この結果、箔フィルムがムダになることを低減できる。
【0008】
また、前記した構成において、カバーは、搬送方向における剥離部材の下流でシートをガイドする排紙シュートを有し、排紙シュートは、第2搬送ローラを有する構成としてもよい。
【0009】
また、前記した構成において、排紙シュートは、第2搬送ローラが第1搬送ローラに向けて押し付けられるように第2搬送ローラを付勢する付勢部材を有する構成としてもよい。
【0010】
また、前記した構成において、付勢部材は、トーションバネであり、シートの幅方向の両端部に設けられている構成としてもよい。
【0011】
また、前記した構成において、排紙シュートは搬送方向における排紙シュートの下流端に位置し搬送方向と交差し上下方向に延びる面である第1面を有し、筐体本体は第1面の下に隣接し搬送方向と交差し上下方向に延びる面である第2面を有し、第2面は、第1面に対して搬送方向に突出していない構成としてもよい。
【0012】
この構成によれば、シートが排出されるときに、シートの後端が本体筐体の第2面、または、第2面の上の筐体本体の上面に触れてしまうことを抑制できる。このため、シートが排出されるときに、シートの後端が本体筐体に引っ掛かってしまうことを抑制できる。
【0013】
また、前記した構成において、モータと、回転方向に応じてモータの駆動力を伝達する伝達状態、または、駆動力を伝達しない非伝達状態となるワンウェイクラッチと、をさらに備え、第1搬送ローラは、モータがONの状態では、モータからワンウェイクラッチを介して駆動が入力され、第1回転方向に回転することでシートを搬送方向に搬送し、モータがOFFの状態で、第1回転方向に回転させる場合、ワンウェイクラッチが非伝達状態となることで、第1の回転抵抗力がかかり、モータがOFFの状態で、第1回転方向と反対の第2回転方向に回転させる場合、ワンウェイクラッチが伝達状態となることで、第1の回転抵抗力よりも大きい第2の回転抵抗力がかかる構成としてもよい。
【0014】
この構成によれば、モータがOFFのとき、第1搬送ローラは、第1回転方向に回転させる場合よりも第2回転方向に回転させる場合の方が回転抵抗が大きくなる。このため、モータがOFFのときに、第1搬送ローラと第2搬送ローラとにニップされているシートを搬送方向に引っ張るときには、ワンウェイクラッチが非伝達状態になることで軽い力でシートを引き抜くことができる。一方、モータがOFFのときに、第1搬送ローラと第2搬送ローラとにニップされているシートを搬送方向とは反対方向に引っ張るときには、ワンウェイクラッチが伝達状態になることで軽い力でシートを引き抜くことができない。この結果、シートが第1搬送ローラと第2搬送ローラの間にニップされた状態でカバーを閉位置から開位置に移動させた場合に、第1搬送ローラと第2搬送ローラの間から回転して抜けてしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、箔フィルムのムダを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る箔転写装置を示す図(a)と、箔フィルムの構成を示す断面図(b)である。
図2】箔転写装置のカバーを開けた状態を示す図である。
図3】フィルムユニットを示す断面図(a)と、ホルダから箔転写用フィルムカートリッジを外した状態を示す断面図(b)である。
図4】カバーに設けられる排紙シュートを示す図である。
図5】フィルムユニットと排紙シュートを示す斜視図である。
図6】モータがONの状態での第1搬送ローラの回転方向を示す図(a)と、モータがOFFの状態で第1搬送ローラを第1回転方向に回転させる場合を示す図(b)と、モータがOFFの状態で第1搬送ローラを第2回転方向に回転させる場合を示す図(c)である。
図7】箔を転写するシートが途中で詰まり、箔転写を停止した状態を示す図である。
図8図7の状態からカバーを少し開けた状態を示す図である。
図9図8の状態からさらにカバーを開けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、方向は、図1(a)に示す方向で説明する。すなわち、図1(a)の右側を「前」とし、図1(a)の左側を「後」とし、図1(a)の紙面手前側を「左」とし、図1(a)の紙面奥側を「右」とする。また、図1(a)の上下を「上下」とする。
【0018】
箔転写装置1は、箔を含む箔フィルムFにシートSを重ねて、シートSに箔を転写するための装置である。図1(a)に示すように、箔転写装置1は、例えばレーザプリンタ等の画像形成装置によってシートS上に形成されたトナー像の上にアルミニウム等の箔を転写するための装置である。箔転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50とを備えている。
【0019】
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。筐体本体21は、上部に開口21A(図2参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述するフィルムユニットFUを着脱するための開口である。開口21Aは、上向きとなっている。カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、筐体本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを塞ぐ閉位置と、開口21Aを開放する開位置との間で移動可能である。本実施形態では、カバー22は、シートSの搬送方向とは異なる方向に開く。
【0020】
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルム等のシートSが載置されるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上に載置される。
【0021】
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを一枚ずつ転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラ11A、リタードローラ11Bおよび上流側搬送ローラ11Cを備えている。
【0022】
ピックアップローラ11Aは、シートトレイ3上のシートSを転写部50に向けて供給するためのローラである。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aによって搬送されるシートSを1枚に分離するためのローラである。
【0023】
リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aの上に配置されている。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSの上に重なっているシートSをシートトレイ3に向けて戻す方向に回転可能となっている。
【0024】
上流側搬送ローラ11Cは、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。上流側搬送ローラ11Cは、ピックアップローラ11Aと転写部50との間に配置され、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSを転写部50に搬送する。
【0025】
シート排出機構12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、第1搬送ローラ13と、第2搬送ローラ14と、第3搬送ローラ15と、第4搬送ローラ16とを備える。第1搬送ローラ13、第2搬送ローラ14、第3搬送ローラ15および第4搬送ローラ16は、カバー22に設けられている。
【0026】
第1搬送ローラ13は、シートSの搬送方向において、後述する剥離部材の一例としての第2案内軸42の下流に位置する。なお、以下の説明では、シートSの搬送方向を、単に「搬送方向」とも称する。第1搬送ローラ13は、搬送方向において、第2案内軸42と第3搬送ローラ15との間に位置する。第1搬送ローラ13は、転写部50から送り出されるシートSを第3搬送ローラ15に向けて搬送する。
【0027】
第2搬送ローラ14は、第1搬送ローラ13と向かい合っている。第2搬送ローラ14は、第1搬送ローラ13に従動して回転し、第1搬送ローラ13との間でシートSをニップしてシートSを搬送する。
【0028】
第3搬送ローラ15は、搬送方向において、第1搬送ローラ13の下流に位置する。第3搬送ローラ15は、第1搬送ローラ13で送り出されるシートSを筐体2の外に排出する。
【0029】
第4搬送ローラ16は、第3搬送ローラ15と向かい合っている。第4搬送ローラ16は、第3搬送ローラ15に従動して回転し、第3搬送ローラ15との間でシートSをニップした状態でシートSを搬送する。
【0030】
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように箔フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムユニットFUと、モータ80を備えている。
【0031】
フィルムユニットFUは、図2に示すように、筐体本体21に上から着脱可能となっている。フィルムユニットFUは、供給リール31と、巻取リール35と、第1案内軸41と、剥離部材の一例としての第2案内軸42と、規定部材の一例としての第3案内軸43とを備えている。フィルムユニットFUの供給リール31には、箔フィルムFが巻回されている。
【0032】
図1(b)に示すように、箔フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。
【0033】
被支持層F2は、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
【0034】
転写層F22は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウム等の薄い金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
【0035】
接着層F23は、転写層F22をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、後述する転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
【0036】
図1(a)に示すように、供給リール31は、樹脂などからなり、箔フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。巻取リール35は、樹脂などからなり、箔フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。供給リール31には、図示せぬ負荷付与機構が設けられている。この負荷付与機構は、供給リール31を回転可能に支持する供給ケース32との間で摩擦力を発生させることで供給リール31に負荷トルクを付与する機構である。供給リール31に負荷トルクが付与されることで、巻取リール35で箔フィルムFを巻き取ると、箔フィルムFに張力がかかる。
【0037】
なお、図1(a)等においては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に箔フィルムFが最大に巻回された状態を図示することとする。実際には、フィルムユニットFUが新品の状態においては、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となっており、巻取リール35には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となっている。また、フィルムユニットFUの寿命時(箔フィルムFを使い切ったとき)においては、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となり、供給リール31には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となる。
【0038】
第1案内軸41、第2案内軸42および第3案内軸43は、箔フィルムFの進行方向を変更するためのローラ状の軸である。第1案内軸41、第2案内軸42および第3案内軸43は、SUS(ステンレス鋼)などからなっている。
【0039】
第1案内軸41は、シートSの搬送方向において、転写部50の上流に位置する。第1案内軸41は、供給リール31から引き出される箔フィルムFの進行方向を、シートSの搬送方向と略平行となるように変更する。
【0040】
このような第1案内軸41によって案内される箔フィルムFは、被支持層F2(図1(b)参照)を上に向けた状態で、転写部50に向けて搬送される。また、シートSは、被支持層F2が上に向いた状態の箔フィルムFの上に重ねられて、箔フィルムFとともに転写部50に向けて搬送される。
【0041】
第2案内軸42は、シートSの搬送方向において、転写部50の下流に位置する。第2案内軸42は、転写部50を通過した箔フィルムFの進行方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更することで、箔フィルムFをシートSから剥離させている。
【0042】
第3案内軸43は、第2案内軸42によって変更される箔フィルムFの進行方向を規定する部材である。詳しくは、第3案内軸43は、シートSから箔フィルムFを剥離させるときの箔フィルムFの角度(以下、「剥離角度」ともいう。)を規定している。ここで、剥離角度は、箔フィルムFのうち、第1案内軸41と第2案内軸42の間で張架される部分と、第2案内軸42と第3案内軸43の間で張架される部分とのなす角である。第3案内軸43は、第2案内軸42で案内された箔フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内している。
【0043】
フィルムユニットFUを箔転写装置1に装着した状態において、巻取リール35は、筐体2に設けられたモータ80によって図示反時計回りに回転駆動される。巻取リール35が回転すると、供給リール31に巻回された箔フィルムFが引き出され、引き出された箔フィルムFが各案内軸41~43で案内されて巻取リール35に巻き取られていく。詳しくは、箔転写中において、後述する加圧ローラ51と加熱ローラ61によって箔フィルムFが送り出されることで、供給リール31から箔フィルムFが引き出される。そして、加圧ローラ51と加熱ローラ61から送り出された箔フィルムFが、巻取リール35に巻き取られていく。
【0044】
転写部50は、シートSと箔フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に転写層F22を転写するための部分である。転写部50は、加圧部材の一例としての加圧ローラ51と、加熱部材の一例としての加熱ローラ61とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと箔フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
【0045】
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、箔フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面である表面と反対側の面)と接触可能となっている。
【0046】
加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび箔フィルムFを挟み、モータ80によって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。
【0047】
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータを配置したローラであり、箔フィルムFおよびシートSを加熱している。加熱ローラ61は、箔フィルムFの下側に配置され、箔フィルムFと接触している。加熱ローラ61は、箔フィルムFおよびシートSを加熱する。
【0048】
なお、本実施形態では、加熱ローラ61を箔フィルムFに対して接触・離間させるための接離機構70によって加熱ローラ61を移動させている。接離機構70は、シートSの搬送方向において、供給リール31と巻取リール35の間に配置されている。接離機構70は、カバー22を閉じている状態においては、シートSが転写部50に供給されるタイミングに合わせて加熱ローラ61を、箔フィルムFに接触する接触位置に移動させている。また、接離機構70は、カバー22が開けられた場合や、転写部50においてシートSに箔転写を行わない場合には、加熱ローラ61を、箔フィルムFから離間する離間位置に位置させている。
【0049】
このように構成された箔転写装置1では、シートSの表面を下向きにしてシートトレイ3に載置されたシートSが、シート供給機構11により転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50の搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された箔フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と箔フィルムFが接触した状態で転写部50に搬送される。
【0050】
転写部50においては、シートSと箔フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に箔(被支持層F2)が転写される。
【0051】
箔が転写された後、シートSと箔フィルムFは貼り付いた状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと箔フィルムFが第2案内軸42を通過すると、箔フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから箔フィルムFが剥離、すなわち、トナー像に接着した被支持層F2が、箔フィルムFの支持層F1から剥離される。
【0052】
シートSから剥離され、シートS上のトナー像に接着した被支持層F2から剥離した支持層F1を含む箔フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、箔フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
【0053】
図3に示すように、フィルムユニットFUは、樹脂などからなるホルダ100と、ホルダ100に着脱可能な箔転写用フィルムカートリッジFCとを備えている。箔転写用フィルムカートリッジFCは、前述した供給リール31および巻取リール35を備えている。
【0054】
供給リール31および巻取リール35は、ホルダ100に対して、供給リール31の軸方向に直交する方向に着脱可能となっている。以下の説明では、供給リール31の軸方向を、単に「軸方向」とも称する。
【0055】
ホルダ100は、ベースフレーム110と、ベースフレーム110に回動可能(移動可能)に支持される回動フレーム120とを有している。ベースフレーム110は、第1支持部111と、第2支持部112と、連結部113と、第1案内軸41と、第2案内軸42とを備えている。
【0056】
第1支持部111は、第1案内軸41と供給リール31とを支持する部位である。詳しくは、供給リール31は、図5に示す供給ケース32内に収容されているため、第1支持部111は、供給ケース32を介して供給リール31を支持している。
【0057】
図3に示すように、第2支持部112は、第2案内軸42と巻取リール35とを支持する部位である。詳しくは、第2支持部112は、回動フレーム120とともに、中空のケースを構成しており、中空のケース内に巻取リール35を収容している。
【0058】
連結部113は、第1支持部111と第2支持部112とを連結する部位である。連結部113は、第1支持部111および第2支持部112の、軸方向における一端同士を連結している。
【0059】
回動フレーム120は、第3案内軸43と、第1ガイドG1とを備えている。回動フレーム120は、図3(a)に示す、第3案内軸43が箔フィルムFに接触する接触位置と、図3(b)に示す、第3案内軸43が箔フィルムFから離れる離間位置との間で、回動可能となっている。回動フレーム120は、ベースフレーム110の図示せぬ位置決め部と接触することで、接触位置に位置決めされる。
【0060】
第1ガイドG1は、搬送方向における第2案内軸42と第1搬送ローラ13の間でシートSをガイドする部材である(図5参照)。
【0061】
ここで、シートSを筐体2の外部に排出するシート排出機構12について詳しく説明する。図2に示すように、カバー22は、前述した加圧ローラ51、第1搬送ローラ13などの他、排紙シュート90を有している。排紙シュート90は、搬送方向における第2案内軸42の下流でシートSをガイドする部材である。排紙シュート90は、カバー22の下側にシートSが通る間隔を空けた状態で固定されている。シートSは、排紙シュート90の上側を通って筐体2の外部に排出される。
【0062】
図4に示すように、排紙シュート90は、第2搬送ローラ14と、軸受け14Aと、付勢部材の一例としてのトーションバネ91と、ボス92と、第4搬送ローラ16と、第2ガイドG2と、を有する。
【0063】
図5に示すように、軸受け14Aは、第2搬送ローラ14の両端部に設けられ、第2搬送ローラ14を回転可能に支持する。軸受け14Aは、排紙シュート90にスライド移動可能に支持されており、シートSの経路に近接・離間する方向に移動可能となっている。
【0064】
トーションバネ91は、シートSの幅方向の両端部に設けられている。図4に示すように、トーションバネ91は、コイル部91Aと、第1アーム91Bと、第2アーム91Cとを有している。コイル部91Aは、ボス92に係合している。ボス92は、排紙シュート90の両端部から軸方向に突出している。第1アーム91Bは、コイル部91Aから延びており、先端が排紙シュート90に係合している。第2アーム91Cは、コイル部91Aから延びており、先端が軸受け14Aに係合している。トーションバネ91は、軸受け14Aを第1搬送ローラ14に向けて常に付勢する。これにより、トーションバネ91は、第2搬送ローラ14が第1搬送ローラ13に向けて押し付けられるように第2搬送ローラ14を付勢する。
【0065】
第2搬送ローラ14が第1搬送ローラ13に押し付けられていることで、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14にシートSを挟持するニップ力が発生するようになっている。第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14のニップ力は、トーションバネ91の付勢力によって決定される。第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14のニップ力は、カバー22を閉位置から開位置に移動させた場合に、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14でニップしたシートSを箔フィルムFから剥がすことができる大きさである。別の言い方をすれば、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14のニップ力は、カバー22を閉位置から開位置に移動させた場合に、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14でニップしたシートSを箔フィルムFから剥がすのに十分な大きさである。
【0066】
第2ガイドG2は、シートSをガイドする部材である。具体的には、図5に示すように、第2ガイドG2は、軸方向に並ぶ複数の第1リブG21と、軸方向に並ぶ複数の第2リブG22とを有している。
【0067】
複数の第1リブG21は、搬送方向において、第2搬送ローラ14の上流に位置する。複数の第2リブG22は、搬送方向において、第2搬送ローラ14の下流に位置する。
【0068】
図1に示すように、排紙シュート90は、搬送方向における排紙シュート90の下流端に位置する第1面M1を有している。第1面M1は、搬送方向と交差し、上下方向に延びる面である。本実施形態では、第1面M1は、やや下を向いている。
【0069】
筐体本体21は、第1面M1の下に隣接する第2面M2を有している。第2面M2は、搬送方向と交差し、上下方向に延びる面である。第2面M2は、やや下を向いている。本実施形態では、第2面M2は、第1面M1と面一に配置されている。第2面M2は、第1面M1に対して搬送方向に突出していない。すなわち、第2面M2は、搬送方向において、第1面M1より下流側に位置しないように形成されている。
また、筐体本体21は、上面M21を有している。上面M21は、第2面M2の上の面であり、第2面M2と交差する方向に延びている。
【0070】
ここで、第1搬送ローラ13に駆動力が入力される構成について説明する。本実施形態では、巻取リール35に駆動を入力するモータ80が第1搬送ローラ13も駆動しているが、モータ80とは別のモータで第1搬送ローラ13を駆動してもよい。
図6(a)に示すように、箔転写装置1は、ワンウェイクラッチ81と、ギヤ列82とをさらに備える。第1搬送ローラ13は、ワンウェイクラッチ81と、ギヤ列82とを介してモータ80から駆動力が伝達される。
【0071】
ワンウェイクラッチ81は、内輪部81Aと、外輪部81Bとを有する。ワンウェイクラッチ81は、回転方向に応じて、内輪部81Aが外輪部81Bに駆動力を伝達する伝達状態と、内輪部81Aが外輪部81Bに駆動力を伝達しない非伝達状態となる。また、ワンウェイクラッチ81は、回転方向に応じて、外輪部81Bが内輪部81Aに駆動力を伝達する伝達状態と、外輪部81Bが内輪部81Aに駆動力を伝達しない非伝達状態となる。すなわち、ワンウェイクラッチ81は、回転方向に応じてモータ80の駆動力を伝達する伝達状態、または、駆動力を伝達しない非伝達状態となる。
【0072】
ギヤ列82は、ワンウェイクラッチ81から第1搬送ローラ13へ駆動力を伝達する1つまたは複数のギヤである。
【0073】
第1搬送ローラ13は、モータ80がONの状態では、モータ80からワンウェイクラッチ81を介して駆動が入力される。このとき、モータ80が所定の方向に回転するので、ワンウェイクラッチ81は、伝達状態となっている。ワンウェイクラッチ81によって駆動が伝達された第1搬送ローラ13は、第1回転方向D1に回転することでシートSを搬送方向に搬送する。
【0074】
図6(b)に示すように、第1搬送ローラ13は、モータ80がOFFの状態で、第1回転方向D1に回転させる場合、例えば、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14に挟持されたシートSを搬送方向に引っ張る場合、ワンウェイクラッチ81が非伝達状態となることで、比較的小さな第1の回転抵抗力がかかる。
【0075】
図6(c)に示すように、第1搬送ローラ13は、モータ80がOFFの状態で、第1回転方向D1と反対の第2回転方向D2に回転させる場合、例えば、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14に挟持されたシートSを搬送方向とは反対方向に引っ張る場合、ワンウェイクラッチ81が伝達状態となることで、第1の回転抵抗力よりも大きい第2の回転抵抗力がかかる。
【0076】
このように、モータ80がOFFの状態において、第1搬送ローラ13を第2回転方向D2に回転させるには、第1回転方向D1に回転させるよりも大きな力が必要となる。
【0077】
次に、図7図9を参照して、箔転写装置1において、シートSが搬送経路にある状態でシートSの搬送を停止した場合に、シートSを取り除くときの作用について説明する。
箔転写装置1は、シートSが途中で詰まったり、緊急停止が作動したり、停電したときなどの場合に、シートSが搬送経路にある状態で停止することがある。ここでは、箔転写装置1が停止したときに、シートSの前端部が第1搬送ローラ13より搬送方向において下流に位置し、シートSの後端部が加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部より搬送方向において上流に位置している場合について説明する。
【0078】
図7に示すように、シートSが搬送経路にある状態で、シートSの搬送が停止されると、シートSが搬送経路に残る。このとき、モータ80はOFFとなっている。また、箔フィルムFがシートSの一部に転写された後であるので、シートSは、一部が箔フィルムFに貼り付いた状態となっている。詳しくは、シートSは、加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部と、第2案内軸42との間では、箔フィルムFに貼り付いた状態となっている。
【0079】
図8に示すように、シートSが第1搬送ローラ13および第2搬送ローラ14にニップされた状態で、ユーザがカバー22を少し開けると、第1搬送ローラ13および第2搬送ローラ14が持ち上げられる。第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14のニップ力がシートSを箔フィルムFから剥がすことができる大きさであるため、シートSは、箔フィルムFから離れる方向(図8の矢印参照)に引っ張られ、シートSが箔フィルムFから剥がされていく。
【0080】
このとき、シートSからは、第1搬送ローラ13を第2回転方向D2に回転させる力が働く。しかし、第1搬送ローラ13を第2回転方向D2に回転させるには、第1の回転方向に回転させるよりも大きな力が必要であるので、第1搬送ローラ13は、第2回転方向D2にほとんど回転しない(図6(c)参照)。
【0081】
この場合において、第1搬送ローラ13が第2案内軸42から遠いほど、シートSを剥がす剥がし始めるときの角度が小さくなってしまう。しかし、第1搬送ローラ13は、第2案内軸42の近くに位置しているので、カバー22がほんの少しだけ開いた状態であっても、シートSが箔フィルムFから離れる方向に引っ張られることとなる。
【0082】
また、前述したように、供給リール31には、負荷付与機構によって、負荷トルクが付与されている。このため、シートSが箔フィルムFから離れる方向に引っ張られても箔フィルムFは、ほとんど動かない。
【0083】
そして、図8の状態から、さらにカバー22を開けると、シートSが箔フィルムFから徐々に剥がれていき、図9に示すように、シートSが箔フィルムFから完全に剥がされる。シートSが箔フィルムFから完全に剥がされた後は、シートSを引っ張って取り除けばよい。このように、シートSが搬送経路にある状態でシートSの搬送を停止した場合に、シートSを取り除いたとしても、未使用に箔フィルムFは、ほとんど引き出されない。
【0084】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
シートSが搬送経路にある状態でシートSの搬送を停止した場合には、ユーザは、シートSを取り除く必要がある。
仮に、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14のニップ力が、カバー22を閉位置から開位置に移動させた場合に、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14でニップしたシートSを箔フィルムFから剥がすことができない大きさである場合には、カバー22を開けたときに、シートSの前端部が第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14のニップ位置からすり抜けてしまう(図8参照)。この状態で、ユーザがシートSを搬送方向に引っ張ってしまうと、シートSに貼り付いた箔フィルムFも一緒に搬送方向に移動する。このため、未使用の箔フィルムFが引き出されてしまう。
しかし、箔転写装置1によれば、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14のニップ力は、カバー22を閉位置から開位置に移動させた場合に、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14でニップしたシートSを箔フィルムFから剥がすことができる大きさであるため、カバー22を閉位置から開位置に移動すると、シートSは、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14の間にニップされた状態で箔フィルムFから引き剥がされる。この場合、箔フィルムFに貼り付いているシートSは、カバー22が開く方向、すなわち、搬送方向と異なる方向に移動する。このため、未使用の箔フィルムFがシートSと一緒に引き出されてしまうことを抑制できる。この結果、箔フィルムFがムダになることを低減できる。
【0085】
また、筐体本体21の第2面M2は、排紙シュート90の下流端に位置する第1面M1の下に隣接して位置し、第1面M1に対して搬送方向に突出していない。このため、シートSが排出されるときに、シートSの後端が第2面M2、または、第2面M2の上の筐体本体21の上面M21に触れてしまうことを抑制できる。このため、シートSが排出されるときに、シートSの後端が筐体本体21に引っ掛かってしまうことを抑制できる。
【0086】
また、第1搬送ローラ13は、モータ80からワンウェイクラッチ81を介して駆動が入力され、モータ80がOFFの状態で、第1回転方向D1と反対の第2回転方向D2に回転させる場合、ワンウェイクラッチ81が伝達状態となることで、第1の回転抵抗力よりも大きい第2の回転抵抗力がかかる。このため、モータ80がOFFのときに、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14とにニップされているシートSを搬送方向に引っ張るときには、ワンウェイクラッチ81が非伝達状態になることで軽い力でシートSを引き抜くことができる。一方、モータ80がOFFのときに、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14とにニップされているシートSを搬送方向とは反対方向に引っ張るときには、ワンウェイクラッチ81が伝達状態になることで軽い力でシートSを引き抜くことができない。この結果、シートSが第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14の間にニップされた状態でカバー22を閉位置から開位置に移動させた場合に、第1搬送ローラ13と第2搬送ローラ14の間から回転して抜けてしまうことを抑制できる。
【0087】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0088】
前記実施形態では、第1面M1および第2面M2は、水平よりやや下を向いていたが、第1面M1および第2面M2は、水平方向(真横)を向いていてもよく、やや上を向いていてもよい。
【0089】
前記実施形態では、加圧部材として加圧ローラ51、加熱部材として加熱ローラ61を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、加圧部材は、加熱ローラとの間でシートおよび箔フィルムを挟むパッドなどであってもよい。また、加熱部材は、加圧ローラとの間でシートおよび箔フィルムを挟む板状の部材であってもよい。
【0090】
前記実施形態では、剥離部材としてローラ状の第2案内軸42を例示したが、本発明はこれに限定されず、剥離部材は、例えば、板状のブレードであってもよい。
前記実施形態では、規定部材としてローラ状の第3案内軸43を例示したが、本発明はこれに限定されず、規定部材は、例えば、板状のブレードであってもよい。
【0091】
前記実施形態では、箔転写用フィルムカートリッジFCに供給リール31と巻取リール35を設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、箔転写用フィルムカートリッジに供給リールを設け、筐体に巻取リールを設けてもよい。
【0092】
前記実施形態では、箔転写装置として、シート上に形成されたトナー像の上に箔を転写するものを例示したが、本発明はこれに限定されず、箔転写装置は、シートに箔を転写するものであればどのようなものであってもよい。
【0093】
前記実施形態では、箔フィルムFを4層で構成したが、本発明はこれに限定されず、箔フィルムは、転写層と支持層を有していれば、層の数はいくつであってもよい。
【0094】
前記実施形態では、フィルムユニットを箔転写用フィルムカートリッジとホルダとで構成したが、本発明はこれに限定されず、フィルムユニットは、ホルダを有していなくてもよい。また、ホルダは、箔転写用フィルムカートリッジを着脱不能に支持するものであってもよい。
【0095】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 箔転写装置
13 第1搬送ローラ
14 第2搬送ローラ
21 筐体本体
21A 開口
22 カバー
31 供給リール
41 第1案内軸
42 第2案内軸
43 第3案内軸
51 加圧ローラ
61 加熱ローラ
80 モータ
81 ワンウェイクラッチ
90 排紙シュート
91 トーションバネ
F 箔フィルム
FU フィルムユニット
M1 第1面
M2 第2面
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9