IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カルソニックカンセイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-送風装置 図1
  • 特開-送風装置 図2
  • 特開-送風装置 図3
  • 特開-送風装置 図4
  • 特開-送風装置 図5
  • 特開-送風装置 図6
  • 特開-送風装置 図7
  • 特開-送風装置 図8
  • 特開-送風装置 図9
  • 特開-送風装置 図10
  • 特開-送風装置 図11
  • 特開-送風装置 図12
  • 特開-送風装置 図13
  • 特開-送風装置 図14
  • 特開-送風装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059452
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   A62B 7/12 20060101AFI20220406BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20220406BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
A62B7/12
A41D13/11 Z
A41D13/002 105
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167223
(22)【出願日】2020-10-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【弁理士】
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176991
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100217696
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 英行
(72)【発明者】
【氏名】吉富 輝雄
【テーマコード(参考)】
2E185
3B011
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA02
2E185CB07
2E185CB09
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マスク内の蒸れを低減し、マスクを装着するユーザの快適性を向上させる。
【解決手段】送風装置は、ユーザUの口および鼻を覆う本体部101と、本体部101をユーザUの顔Fに保持させる環状部材102と、を有するマスク100内に、送風する。送風装置は、本体部101とユーザUの顔Fの間に挿入されるノズル23、24を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の口および鼻を覆う本体部と、前記本体部を前記装着者の顔に保持させる保持部と、を有するマスク内に送風する送風装置であって、
前記本体部と前記装着者の顔の間に挿入される送風ノズルを備えることを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記本体部と前記装着者の顔の間にクリアランスを設けるフレーム部を備え、
前記送風ノズルは前記フレーム部に設けられ、前記クリアランスに面した送風口を有することを特徴とする請求項1記載の送風装置。
【請求項3】
前記送風ノズルは前記フレーム部と一体の部材であることを特徴とする請求項2記載の送風装置。
【請求項4】
前記フレーム部は、前記装着者の左右の頬にそれぞれ当接する一対のパッドを備え、
前記送風ノズルは、前記一対のパッドの、前記装着者の頬に当接する面の対向面に設けられ、
前記フレーム部は、前記一対のパッドの間に設けられ、前記装着者の顔から離れる方向に張り出すフレーム部材を備えることを特徴とする請求項2または3記載の送風装置。
【請求項5】
前記フレーム部材が張り出す高さは、前記送風ノズルが前記パッドの前記対向面から膨出する高さに応じて設定することを特徴とする請求項4記載の送風装置。
【請求項6】
前記フレーム部材は、
前記一対のパッドの上部に接続する上フレームと、
前記一対のパッドの下部に接続し、前記上フレームと間隔を空けて設けられた下フレームと、を有することを特徴とする請求項4または5記載の送風装置。
【請求項7】
前記フレーム部材は、前記一対のパッドの間において、前記上フレームおよび前記下フレームに直交する方向に延び、前記上フレームと前記下フレームとを接続する中央フレームを有することを特徴とする請求項6記載の送風装置。
【請求項8】
外部から供給されたエアーが通流するチューブ部と、
前記送風ノズルと前記チューブ部とを分離可能に接続するコネクタと、を備えることを特徴とする請求項2記載の送風装置。
【請求項9】
前記コネクタは、
前記送風ノズルに設けられたノズル側磁石と、
前記チューブ部に設けられ、前記ノズル側磁石と磁力により接続可能なチューブ側磁石とを有することを特徴とする請求項8記載の送風装置。
【請求項10】
前記ノズル側磁石は、前記送風ノズルの開口を挟んで上側と下側にそれぞれ設けられ、互いに極性の異なる第1の磁石と第2の磁石から構成されることを特徴とする請求項9記載の送風装置。
【請求項11】
前記チューブ側磁石は、前記チューブ部の開口を挟んで上側と下側にそれぞれ設けられ、互いに極性の異なる第3の磁石と第4の磁石から構成され、前記第1の磁石は前記第3の磁石と異なる極性を有し、前記第2の磁石は前記第4の磁石と異なる極性を有することを特徴とする請求項10記載の送風装置。
【請求項12】
前記ノズル側磁石は、前記送風ノズルの開口中心に対して前記装着者の顔から離れる方向にオフセットした位置に設けられ、
前記チューブ側磁石は、前記チューブ部の開口中心に対して前記装着者の顔から離れる方向にオフセットした位置に設けられていることを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載の送風装置。
【請求項13】
前記フレーム部は、前記装着者の左右の頬にそれぞれ当接する一対のパッドを備え、
前記チューブ部は、前記一対のパッドのそれぞれに設けられた前記送風ノズルに接続する第1のチューブおよび第2のチューブと、前記装着者の背面側において前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを集合させる集合部とを備え、前記集合部には前記チューブ部を前記装着者に固定させる固定部が設けられていることを特徴とする請求項8記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウィルスまたは細菌を介した感染症予防の対策や、工場または病院等の施設における衛生管理のために、口および鼻の周りを覆うマスクの装着を求められることがある。
【0003】
しかしながら、夏等の温度の高い環境でマスクを長時間装着すると、マスク内の温度が上昇し、ユーザの不快感が増加することがある。その対策として、例えば、マスクに接触冷感素材を用いて、ユーザの不快感を軽減させることが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-52400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マスク内にユーザの呼気がこもることによって温度および湿度が上がって蒸れることがあり、接触冷感素材を用いてもユーザの不快感を軽減しにくいことがある。
【0006】
マスク内の蒸れを低減し、マスクを装着するユーザの快適性を向上させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る送風装置は、
装着者の口および鼻を覆う本体部と、前記本体部を前記装着者の顔に保持させる保持部と、を有するマスク内に送風する送風装置であって、
前記本体部と前記装着者の顔の間に挿入される送風ノズルを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マスク内が蒸れるのを低減することができ、マスクを装着するユーザの快適性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る送風装置の構成を示す図である。
図2】送風装置の装着状態を示す図である。
図3】送風装置の装着状態を示す図である。
図4】フレーム部をユーザの顔側から見た図である。
図5】フレーム部を図4の反対側から見た図である。
図6図5を面Aで切断した断面図である。
図7】分離状態のフレーム部とチューブ部を示す図である。
図8】ユーザの後ろ側から見たノズルのコネクタを示す模式図である。
図9】コネクタを構成するマグネットの極性を説明する図である。
図10】送風装置の装着の一例を説明する図である。
図11】(a)は、送風装置を装着したユーザを上から見た図であり、(b)は、コネクタを上から見た模式図である。
図12】(a)は、ユーザが頭を右側に回転させた状態を示す図であり、(b)は、コネクタを上から見た模式図であり、コネクタにかかる力を示している。
図13】比較例1を示す図である。
図14】比較例2を示す図である。
図15】変形例1を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
図1は、実施の形態に係る送風装置の構成を示す図である。
図2は、送風装置の装着状態を示す図であり、ユーザの全身を示す図である。
図3は、送風装置の装着状態を示す図であり、ユーザの頭部周りの拡大図である。
【0012】
実施の形態に係る送風装置は、ユーザの顔に装着されたマスク内にエアーを送るものである。
図1に示すように、送風装置1は、フレーム部2と、フレーム部2に接続するチューブ部4を備える。
図2に示すように、送風装置1の装着状態において、フレーム部2はユーザUの顔Fと、マスク100の間に挟み込まれて保持される。チューブ部4は、ユーザUの首から背中に掛け渡される。チューブ部4は、送風装置1の外部のファン150に接続している。
【0013】
以下の説明において、「上下方向」とは、ユーザUがマスク100および送風装置1を装着して立っている状態における「上下方向」を意味する。また、「前後方向」および「左右方向」は、マスク100および送風装置1を装着したユーザUにとっての「前後方向」および「左右方向」を意味する。そのため、いくつかの図面においては、図面に示している左右方向が、紙面の左右方向とは逆になっている。
【0014】
マスク100は、使い捨て可能または洗浄して繰り返し使用可能な市販品を用いることができる。
図3に示すように、マスク100は、ユーザUの口および鼻を覆う本体部101を備える。
本体部101は、たとえば、不織布およびガーゼ生地等のシートである。
本体部101は、たとえば、矩形状であっても良く、あるいは顔Fの凹凸に合わせた立体形状であっても良い。また、顔Fにフィットしやすいようにプリーツを付けても良い。また、本体部101に鼻の形状にフィットするように折り曲げ可能なワイヤ等を取り付けても良い。
【0015】
本体部101の左右方向の端部101aには、本体部101をユーザUの顔Fに保持させるための環状部材102が取り付けられている。環状部材102は、ゴムまたは不織布等の伸縮可能な素材から構成することができる。本体部101を顔Fに押し当てて環状部材102をユーザUの耳に引っ掛けることで、本体部101が顔Fにフィットした状態で保持される。すなわち、環状部材102は保持部として機能する。なお、保持部は環状部材102に限定されず、たとえば紐状部材とし、ユーザUの頭の後ろで結んだり、留め具で固定したりしても良い。
【0016】
フレーム部2は、マスク100の本体部101とユーザUの顔Fの間で保持される。図3において白抜き矢印で示すように、フレーム部2は、マスク100内にエアーを供給するものである。ここで、「マスク100内」とは、マスク100の本体部101と顔Fの間を意味する。
【0017】
図4は、フレーム部2をユーザUの顔F側から見た図である。
図5は、フレーム部2を図3と反対側から見た図である。
図6は、図5を面Aで切断した断面図であるが、わかりやすくするために一部を誇張した模式図である。また、図6では、ユーザUの顔Fの一部とマスク100の本体部101を仮想線で示している。
図4に示すように、フレーム部2は、左右方向に間隔を空けて配置されたパッド21およびパッド22を備える。フレーム部2は、パッド21に設けられたノズル23と、パッド22に設けられたノズル24と、を備える。フレーム部2は、パッド21およびパッド22を接続し、左右方向に延びる上フレーム25および下フレーム26と、フレーム部2の左右方向の中心に配置された中央フレーム27を備える。
【0018】
パッド21、22は、ユーザUの左右の頬にそれぞれ当接する部材である(図3参照)。
図4に示すように、パッド21、22は略長方形の板状部材で、長手方向が上下方向に延びる。パッド21、22は、フレーム部2の左右方向の中心線Yを挟んで線対称になるように配置されている。
【0019】
パッド21、22の、図4に図示される面21a、22aが、ユーザUの頬との当接面である。
頬は、一般的に、頬骨から顎に向かって顔Fの左右方向に中心寄りに傾斜している。パッド21は、頬の傾斜に沿いやすいように、上端部21cから下端部21dに向かって、中心線Yに傾斜している。パッド22も、上端部22cから下端部22dに向かって、中心線Yに傾斜している。すなわち、パッド21の上端部21cとパッド22の上端部22cの左右方向の間隔よりも、下端部21dと下端部22dの左右方向の間隔の方が短くなっている。
【0020】
頬は、一般的に、頬骨から顎に向かって後ろ側に傾斜している。そのため、フレーム部2の装着状態では、パッド22の下端部22dは上端部22cより後ろ側に位置する(図6参照)。図示は省略するが、パッド21の下端部21dも上端部21cより後ろ側に位置する。
【0021】
図5に示すように、ノズル23、24は、パッド21、22の上下方向の中心にそれぞれ接合されている。
ノズル23は、左右方向に沿って延び、両端が開口した筒状部材である。
ノズル23は、パッド21の面21bに接合する一端部23aと、一端部23aに接続し、パッド21から離れる方向に延びる他端部23bを有する。パッド21の面21bは、ユーザUの頬に当接する面21a(図4参照)と対向する面である。
【0022】
図6に示すように、ノズル23の一端部23aは、パッド21の面21bから、ユーザUの顔Fから離れる方向に膨出している。ノズル23の一端部23aは断面が略矩形となっており、面21bからの膨出する高さを抑えつつ、面21bとの接合面積が確保されている。
【0023】
図5に示すように、パッド21に接合していない他端部23bは、一端部23aから変形しており、断面円形(図6参照)となっている。他端部23bには後述するチューブ部4と接続するためのコネクタ31が設けられている。
【0024】
図5に示すように、ノズル23は、他端部23bから一端部23aに向かって上方に傾斜している。一端部23aの開口23cは、レーム部の中心線Yに向かって、斜め上方に開口している。一端部23aの開口23cから吐出されるエアーは、中心線Yに向かって上方に流れるようになっている。すなわち、一端部23aの開口23cはノズル23の送風口として機能する。
【0025】
ノズル24も、ノズル23と同じ形状でありノズル23と同じ態様でパッド22に接合されており、中心線Yを挟んでノズル23と線対称に配置されている。ノズル24の詳細な説明は省略するが、ノズル24の一端部24aの開口24cは中心線Yを挟んでノズル23の開口23cと向かい合っている。すなわち、ノズル23、24の双方から吐出されるエアーが、中心線Yに向かって上方に流れるようになっている。他端部24bには、後述するチューブ部4と接続するためのコネクタ32が設けられている。
【0026】
図3に示すように、送風装置1の装着状態において、パッド21、22に接合されたノズル23、24はマスク100内に挿入される。一方、他端部23b、24bに設けられたコネクタ31、32は、マスク100の外に露出する。ノズル23、24のコネクタ31、32の詳細な構成については、チューブ部4のコネクタ51、52と共に後述する。
【0027】
上フレーム25および下フレーム26は、パッド21、22の間に架け渡された柱状部材であり、上下方向に間隔を空けて配置されている。
図4および図5に示すように、上フレーム25は、パッド21の上端部21cとパッド22の上端部22cを接続する。下フレーム26は、パッド21の下端部21dとパッド22の下端部22dを接続する。
【0028】
上フレーム25および下フレーム26は、それぞれパッド21、22の面21b、22b側に接合されている。前記したように、パッド21、22の上下方向の中心部にはノズル23、24が接合されている。すなわち、ノズル23、24は、上下方向において、上フレーム25と下フレーム26の間に設けられている。
【0029】
前記したように、パッド21、22は、上端部21c、22c間の間隔よりも、下端部21d、22d間の間隔の方が短くなっているため、上端部21c、22cを接続する上フレーム25よりも、下端部21d、22dを接続する下フレーム26の方が短い。
【0030】
上下フレーム25、26は、パッド21、22の面21b、22bから離れる方向、すなわち装着状態においてユーザUの顔Fから離れる前方向に張り出している。
図6に示すように、上下フレーム25、26が面21b、22bから張り出す高さH1は、例えばノズル23、24が面21b、22bから膨出する高さH2に応じて設定する。図6の例では、高さH1が高さH2よりも高くなるように設定しているが、例えば、高さH1を高さH2と同じとしても良い。
【0031】
顔Fは、一般的には、左右の頬から顔Fの中心部の鼻に向かって前側に湾曲した形状である。
上フレーム25および下フレーム26は、パッド21、22から中心線Yに向かって前側に張り出すように湾曲しており、装着時に顔Fの形状に沿うようになっている。
【0032】
図5に示すように、中央フレーム27は、中心線Yに沿って延びる柱状部材で、上端部27aが上フレーム25に接合され、下端部27bが下フレーム26に接合されている。
中央フレーム27は、上下方向の中心が上端部27aおよび下端部27bに対して前側に張り出すように湾曲しており、図6に示すように、装着時にユーザUの唇に接触しにくいようになっている。
【0033】
フレーム部2は、たとえば、樹脂等の撓みやすい素材で構成することができる。フレーム部2は、たとえば3Dプリンタ等で、一体成型品として構成しても良い。あるいは、各部は接着剤等で接合しても良い。
【0034】
図1に示すように、チューブ部4は、三つ又のジョイント44を介して接続された3つのチューブ41、42、43から構成される。チューブ41、42、43は、樹脂またはゴム等の柔軟性のある素材から構成することができる。
【0035】
図1に示すように、チューブ41の一端41aにはコネクタ51が設けられ、このコネクタ51がノズル23のコネクタ31に接続している。チューブ41は他端41bにおいて、ジョイント44を介してチューブ42および43に接続している。
【0036】
チューブ42の一端42aにはコネクタ52が設けられ、このコネクタ52がノズル24のコネクタ32に接続している。チューブ42は他端42bにおいて、ジョイント44を介してチューブ41および43に接続している。すなわち、フレーム部2から右方向および左方向にそれぞれ延びたチューブ41、42が、ジョイント44において集合する。
【0037】
チューブ43の一端43aはジョイント44を介してチューブ41、42に接続する。チューブ43は一端43aから下方に延びる。すなわち、フレーム部2、チューブ41およびチューブ42が全体として環状を形成しており、チューブ43はそこから下方に垂れ下がっている。
【0038】
チューブ43は不図示の他端側において、送風装置1とは別に用意されたファン150に接続する。外部のファン150から供給されたエアーは、チューブ43からチューブ41、42に分かれて供給され、ノズル23、24から吐出される。
【0039】
図2に示すように、フレーム部2はユーザUの顔F、すなわち前面側に保持される。フレーム部2に接続するチューブ41、42は、ユーザUの前面から左右の肩の上を通ってユーザUの背面に回り込む。チューブ43は、ユーザUの背中に沿って下方に延びる。
【0040】
図1に示すように、チューブ41、42および43を接続するジョイント44には、固定具であるクリップ45が取り付けられている。図2に示すように、クリップ45でユーザUの衣服を挟むことで、チューブ部4はユーザUの衣服に固定される。図2では、クリップ45でユーザUの上着の襟を挟む例を示しているが、例えば、ユーザUが帽子をかぶっている場合は、帽子を挟むようにしても良い。また、固定具はクリップ45に限定されず、例えば、面ファスナー等としても良い。この場合は、ユーザUの衣服または帽子に面ファスナーを取り付けると良い。
【0041】
チューブ43が接続する外部のファン150は、ユーザUが携帯可能なものであれば良く、その性能や携帯の態様は限定されない。ユーザUは、例えば、ポーチ160にファン150を収納して、ベルト170でポーチ160を腰に取り付けても良い。あるいは、ユーザUの衣服に収納部を設け、ファン150を収納するようにしても良い。
【0042】
次に、ノズル23、24のコネクタ31、32と、チューブ41、42のコネクタ51、52の構成について説明する。
図7は、分離状態のフレーム部2とチューブ部4を示す図である。
図8は、ユーザUの後ろ側から見たコネクタ31、32を示す模式図である。なお、図8ではわかりやすくするためにコネクタ31、32を大きく図示しており、ユーザUとコネクタ31、32の大きさの比率は実際のものと異なる。
図9は、コネクタ31、32、51、52を構成するマグネットの極性を説明する図である。
なお、図7および8では、わかりやすくするためにマグネットにハッチングを付している。
【0043】
図7に示すチューブ41、42の一端41a、42aの開口41c、42cと、図8に示すノズル23、24の他端部23b、24bの開口23d、24dは、同径の円形である。コネクタ31、32、51、52を介して接続すると開口41c、42cと開口23d、24dは同軸(中心軸C1、図9参照)となり、エアーが漏れなく流通するようになっている。
【0044】
コネクタ31、32、51、52は、それぞれマグネットを備えており、磁力によって接続可能となっている。図7に示すように、ノズル23のコネクタ31が、チューブ41のコネクタ51と接続する。ノズル24のコネクタ32がチューブ42のコネクタ52と接続する。
【0045】
図8に示すように、コネクタ31は、ノズル23の他端部23bの開口23dを囲む外周から、上方向および下方向のそれぞれに膨出した膨出部31a、31bから構成される。膨出部31a、31bのそれぞれには、マグネットMA、MBが嵌め込まれている。マグネットMA、MBは、互いに異なる極性を有する。ここで、極性とは、他のマグネットと接続する面における極性を意味する。図9に一例を示しているが、マグネットMAがS正極性(S極)の場合、マグネットMBは負極性(N極)である。
【0046】
コネクタ31は、ノズル23の他端部23bの開口23dからオフセットするように配置されている。
具体的には、ノズル23の開口23dの中心軸C1に対して、コネクタ31のマグネットMA、MBの中心軸C2が、ユーザUの顔から離れる方向(図中右方向)にオフセットするように配置されている。
なお、マグネットMA、MBはそれぞれに別個の中心軸を有するが、ノズル23の中心軸の左右方向のオフセット量のみが問題となるため、マグネットMA、MBの中心軸をまとめて「中心軸C2」という。また、ノズル23はチューブ41と接続すると同軸となるため、ノズル23とチューブ41の中心軸をまとめて「中心軸C1」という。
【0047】
ノズル24のコネクタ32は、コネクタ31と中心線Yを挟んで線対称となるように配置されている。コネクタ32は、コネクタ31と同様に、ノズル24の開口24dを挟んで上下に膨出した膨出部32a、32bを有する。膨出部32a、32bには、互いに極性の異なるマグネットMA、MBが嵌め込まれる。また、コネクタ32は、ノズル24の他端部24bの開口24dからオフセットするように配置されている。すなわち、コネクタ32のマグネットMA、MBの中心軸C2が、ノズル24の他端部24bの開口24dの中心軸C1に対して、ユーザUの顔Fから離れる方向(図中左方向)にオフセットしている。なお、以降の説明において、「ユーザUの顔Fから離れる方向にオフセットしている」状態を、単に「外側にオフセットしている」ともいう。
【0048】
図7に示すように、チューブ41、42のコネクタ51、52も、コネクタ31、32と同様の構造である。すなわち、コネクタ51、52はチューブ41、42の開口41c、42cを挟んで上下に膨出した膨出部51a、51b、52a、52bを有する。膨出部51a、51bには互いに極性の異なるマグネットMC、MDが嵌め込まれる。膨出部52a、52bも、互いに極性の異なるマグネットMC、MDが嵌め込まれる。また、図7に示すように、コネクタ51、52は、チューブ41、42の開口41c、42cの中心軸C1に対して外側(ユーザUの顔Fから離れる方向)にオフセットしている。
【0049】
コネクタ51のマグネットMC、MDの極性は、接続するコネクタ31の極性に対応するように設定する。例えば、図9に示すように、コネクタ31の上側のマグネットMAがS極(正極性)の場合、コネクタ51の上側のマグネットMCはN極(負極性)である。コネクタ31の下側のマグネットMBがN極(負極性)の場合、コネクタ51の下側のマグネットMDは、S極(正極性)である。
図示は省略するが、コネクタ52のマグネットMC、MDの極性も、接続するコネクタ32のマグネットMA、MBの極性に対応して設定する。
【0050】
図10は、送風装置1の装着の一例を説明する図である。
図10に示すように、ユーザUが送風装置1を装着する際は、フレーム部2とチューブ部4は分離した状態で、フレーム部2を装着する。
【0051】
ユーザUは、フレーム部2のパッド21、22を左右の頬に当てて押さえながら、マスク100の本体部101を口および鼻周りに当て、環状部材120を耳に掛ける。図3に示すように、環状部材120によって、マスク100の本体部101はユーザUの顔Fに保持され、フレーム部2のパッド21、22が本体部101と頬とに挟み込まれることで、フレーム部2がマスク100内に保持される。この際、ノズル23、24のコネクタ31、32は、マスク100の外に露出している。
【0052】
ユーザUは、次に、チューブ部4をフレーム部2に接続する。ユーザUは、チューブ43を背面側に垂らした状態(図2参照)で、チューブ41を右肩から前面側に移動させる。
ユーザUは、チューブ41のコネクタ51を指でつまんで、ノズル23のコネクタ31に近づけて接続させる。コネクタ31、51は顔Fの近傍に位置するため、ユーザUからは見えにくい。しかし、実施の形態ではコネクタ31、51をマグネットで構成しているため、両者を近づければ磁気で誘導され、簡単に接続することができる。
【0053】
さらに、実施の形態では、コネクタ31、32、51、52それぞれにおいて、上下のマグネットの極性を異なるものとしている(図9参照)。すなわち、ノズル23の上のマグネットMAと、チューブ41の下のマグネットMDとは同じ極性となり、近づくと反発する。このため、ユーザUが誤って上のマグネットを下のマグネットに接続してしまうことを防ぎやすい。
【0054】
続いて、チューブ42とノズル24も、同様の方法で接続させることができる。
図10に示すように、ユーザUは、チューブ42を左肩から前面側に移動させ、コネクタ52を指でつまんで、ノズル23のコネクタ32に接続させる。これによって、チューブ部4がフレーム部2に接続される。
なお、チューブ41、42の接続順序は限定されず、逆にしても良い。
【0055】
ユーザUはさらに、チューブ部4のジョイント44に設けられたクリップ45(図1参照)を着衣に取り付ける。図2の例では、クリップ45をユーザUの上着の襟に取り付けているが、ユーザUが帽子をかぶっている場合は、帽子に固定しても良い。
【0056】
このように、ユーザUは送風装置1を装着することができる。
フレーム部2と共に環状を形成するチューブ41およびチューブ42がユーザUの首に掛けられ、クリップ45がユーザUの背面に取り付けられているため、チューブ部4がユーザUから脱落しにくく、またユーザUの動きを邪魔しないようになっている。
【0057】
ユーザUは、チューブ43に接続した外部のファン150(図2参照)を駆動させる。ファン150からチューブ43に供給されるエアーは、チューブ41、42に分岐してノズル23、24に供給される。ノズル23、24に供給されたエアーは、送風口である一端部23a、24aの開口23c、24cからマスク100内に供給される。
【0058】
図6に示すように、マスク100内において、フレーム部2のパッド21、22は頬に当接しているが、上下フレーム25、26と中央フレーム27は、頬から離れる方向に張り出している。この張り出しによって、マスク100の本体部101と顔Fの間にクリアランスCLが形成される。
【0059】
ノズル23、24の一端部23a、24aの開口23c、24cは、このクリアランスCLに面している。すなわち、クリアランスCLはノズル23、24から供給されたエアーの流通路として作用する。クリアランスCLがあることで、マスク100内にエアーが行き渡りやすくなる。
前記したように、上下フレーム25、26の張り出す高さH1は、ノズル23、24の膨出する高さH2に応じたものとなっているため、ノズル23、24から吐出されたエアーの流通路が適切に確保される。
【0060】
マスク100内はユーザUの呼気によって温度及び湿度が上がり蒸れやすいが、ノズル23、24から吐出されたエアーによって、マスク100内の温度および湿度が下がるため、蒸れにくく、長時間マスク100を装着しても快適性を維持しやすい。
【0061】
なお、上下フレーム25、26に対して直交する方向(Y方向)に延びる中央フレーム27は、クリアランスCLを形成すると共に、上下フレーム25、26の補強フレームとしても作用する。
【0062】
図11の(a)は、送風装置1を装着したユーザUを上から見た図であり、図11の(b)は、コネクタ32、52を上から見た模式図である。
図12の(a)は、ユーザUが頭を右側に回転させた状態を示す図であり、図12の(b)は、コネクタ32、52を上から見た模式図であり、コネクタ32、52にかかる力を示している。図11および図12では、チューブ部4のクリップ45(図1参照)を、ユーザUの着衣の襟に挟んで固定している場合を図示している。
なお、図11および図12では、各コネクタを構成するマグネットの図示は省略している。以下の説明において、「コネクタの中心軸C2」という場合は、コネクタを構成するマグネットの中心軸C2(図7図8参照)を意味する。
図11の(b)と図12の(b)では、わかりやすくするために、コネクタ32、52を示す部分にハッチングを付している。また、図11の(b)と図12の(b)はあくまで模式図であるため、図11の(a)および図12の(a)と寸法は完全に一致していない。
【0063】
ユーザUは送風装置1を装着したままで頭を動かすことがある。実施の形態の送風装置1は、ユーザUが頭を動かしても、フレーム部2とチューブ部4を接続するコネクタ31、32、51、52が外れにくいように構成されている。
【0064】
図11の(a)に示すように、ユーザUの顔Fが正面を向いた状態では、フレーム部2およびチューブ部4は動かない。図11の(b)に示すように、フレーム部2とチューブ部4を接続するコネクタ31、32、51、52にも、力はかかっていない。
【0065】
図12の(a)に示すように、ユーザUが顔Fを右側に回転させた場合、顔Fに保持されているフレーム部2とフレーム部2に接続するチューブ部4は顔Fの動きに追従して変位する。しかしながら、襟に固定されたクリップ45は頭の動きに追従しないため、変位しない。すると、クリップ45の左側に位置するチューブ42は、クリップ45によって左後方に引っ張られる。
【0066】
図12の(b)は、ユーザUが顔Fを右に動かした際にコネクタ52に作用する力を示している。チューブ42の内側(図中右側、ユーザUの顔F側)を支点位置として、コネクタ52の中心軸C2を作用位置とした場合、コネクタ52には左方向に回転させる力がかかる。コネクタ52は、マグネットの磁力によってコネクタ32に接続しているが、コネクタ52にかかる回転力が磁力を上回れば、コネクタ52はコネクタ32から分離することになる。なお、クリップ45の右側に位置しているチューブ41のコネクタ51はコネクタ31に向かって押し込まれるため、分離させる方向に力は作用しない。
【0067】
ここで、図11の(b)に示すように、実施の形態ではコネクタ52の中心軸C2をチューブ41の中心軸C1に対して外側(図中左側)にオフセットさせている。すなわち、図12の(b)に示すように、コネクタ52は、支点位置から作用位置までの距離D1が長くなるように配置されている。距離D1が長くなると、コネクタ52に作用する回転力も小さくなり、コネクタ52はコネクタ32から分離しにくくなる。
【0068】
図13は比較例1を示す図である。図13は、コネクタ32A、52Aを上から見た模式図であり、コネクタ32A、52Aにかかる力を示している。
図14は比較例2を示す図であり、図14は、コネクタ32B、52Bを上から見た模式図であり、コネクタ32B、52Bにかかる力を示している。
図13に示すように、比較例1では、コネクタ32A、52Aの中心軸C2をノズル24およびチューブ42の中心軸C1に対してオフセットさせていない。実施の形態と同様にユーザUの顔Fを右に向けた場合、コネクタ52Aには左方向に回転させる力がかかる。すなわち、コネクタ52Aをコネクタ32Aから分離させる方向に力がかかる。
【0069】
比較例1では、支点位置から作用位置までの距離D2は、実施の形態の距離D1(図12の(b)参照)よりも短い。そのため、コネクタ52Aに作用する回転力は実施の形態よりも大きくなる。そのため比較例1は実施の形態よりも、コネクタ52Aがコネクタ32Aから分離しやすくなる。
【0070】
図14に示すように、比較例2では、コネクタ52Bの中心軸C2をノズル24およびチューブ42の中心軸C1に対して内側、すなわちユーザUの顔Fに近い方向(図中右方向)にオフセットしている。実施の形態と同様にユーザUの顔Fを右に向けた場合、コネクタ52Bには左方向に回転させる力がかかる。
【0071】
比較例2では、支点位置から作用位置までの距離D3は、実施の形態の距離D1(図12の(b)参照)および比較例2の距離D2(図13参照)よりも短い。そのため、コネクタ52Bに作用する回転力は実施の形態および比較例よりも大きくなる。比較例2は実施の形態および比較例1よりも、コネクタ52Bがコネクタ32Bから分離しやすくなる。
【0072】
比較例1、2に対して、実施の形態では、コネクタ32、52の中心軸C2を、ノズル24、チューブ42の中心軸C1より外側にオフセットさせている。これによって、コネクタ52に回転力がかかった場合でも、支点位置から作用位置までの距離D1が長くなる。これによってコネクタ52にかかる回転力を低減し、コネクタ32、52を分離しにくくすることができる。
【0073】
なお、図示は省略するが、ユーザUが顔Fを左側に回転させた場合は、コネクタ51にコネクタ31から分離させる回転力がかかる。コネクタ31、51もコネクタ32、52と同様に中心軸C1がオフセットして設けられており、支点位置から作用位置までの距離D1が長くなっている。これによってコネクタ51にかかる回転力を低減し、コネクタ31、51を分離しにくくすることができる。
【0074】
以上の通り、実施の形態の送風装置1は、以下の構成を備える。
(1)送風装置1は、ユーザU(装着者)の口および鼻を覆う本体部101と、本体部101をユーザUの顔Fに保持させる環状部材102(保持部)と、を有するマスク100内に送風するものである。送風装置1は、本体部101とユーザUの顔Fの間に挿入されるノズル23、24(送風ノズル)を備える。
【0075】
マスク100内はユーザUの呼気によって蒸れやすいが、送風装置1がマスク100内に送風することによってマスク100内の温度および湿度を下げ、蒸れを軽減することができる。これによって、温度の高い夏でも、マスク100を快適に装着することができる。また、マスク100を長時間装着する場合にも快適性を維持することができる。
【0076】
マスク100は、衛生面を考慮して、不織布等で構成された使い捨て可能な市販品を装着することがある。実施の形態の送風装置1は、そのような使い捨て可能なマスク100に装着して送風することができ、利便性が高い。
【0077】
また、ノズル23、24は、マスク100の本体部101とユーザUの顔Fの間に挿入されが、本体部101は環状部材102によってユーザUの顔Fに保持されている。すなわち、ノズル23、24は本体部101とユーザUの顔Fに挟み込まれてマスク100内に保持される。これによって、ノズル23、24をユーザUの顔Fに保持させる専用の保持具が不要となるため、送風装置1の装着が容易となる。また、送風装置1を軽量化し、製造コストを抑えることができる。
【0078】
(2)送風装置1は、本体部101とユーザU(装着者)の顔Fの間にクリアランスCLを設けるフレーム部2を備える。ノズル23、24(送風ノズル)はフレーム部2に設けられ、クリアランスCLに面した開口23c、24c(送風口)を有する。
【0079】
マスク100内にクリアランスCLを設けることで、ノズル23、24の開口23c、24cから吐出されるエアーがマスク100内に行き渡りやすくなる。
【0080】
(3)ノズル23、24(送風ノズル)はフレーム部2と一体の部材である。
ノズル23、24とフレーム部2を一体的に成型することで、製造効率を向上させることができる。
【0081】
(4)フレーム部2は、ユーザU(装着者)の左右の頬にそれぞれ当接する一対のパッド21、22を備える。
ノズル23、24(送風ノズル)は、一対のパッド21、22の、装着者の頬に当接する面21a、22aに対向する面21b、22b(対向面)に設けられる。
フレーム部2は、一対のパッド21、22の間に設けられ、装着者の顔Fから離れる方向に張り出す上フレーム25、下フレーム26および中央フレーム27(フレーム部材)を備える。
【0082】
パッド21、22が、本体部101とユーザUの頬とに挟まれて保持されることで、フレーム部2がマスク100内でずれにくくなり、送風装置1の装着時の快適性を向上することができる。
また、フレーム部材(上フレーム25、下フレーム26および中央フレーム27)の張り出しによって、マスク100内のクリアランスCLが確保される。これによって、マスク100内にエアーが行き渡りやすい。
また、ノズル23、24がパッド21、22のそれぞれに設けられているため、フレーム部2の装着時にバランスが保たれやすい。さらにノズル23、24が左右方向の両側からマスク100内に送風するため、マスク100内にエアーが循環しやすい。
【0083】
実施の形態では、フレーム部材として上フレーム25、下フレーム26および中央フレーム27の組み合わせを説明したが、これに限定されない。例えば、中央フレーム27を省略しても良い。あるいは、複数の中央フレーム27を設けても良い。この場合は、複数の中央フレーム27を、中心線Yを挟んで間隔を空けて配置することができる。また、上フレーム25および下フレーム26の間に、左右方向に延びるフレームを更に設けても良い。
【0084】
(5)上フレーム25、下フレーム26および中央フレーム27(フレーム部材)が張り出す高さH1は、ノズル23、24(送風ノズル)がパッド21、22の面21b、22b(対向面)から膨出する高さH2に応じて設定する。
【0085】
これによって、ノズル23、24から吐出されるエアーがマスク100内に行き渡るクリアランスCLを適切に確保することができる。実施の形態では、高さH1を高さH2より高い設定する例を説明したが、これに限定されない。例えば、高さH1を高さH2と同じとしても良い。またクリアランスCLが十分に確保できるのであれば、高さH1を高さH2より低く設定しても良い。
【0086】
(6)フレーム部材は、
一対のパッド21、22の上端部21c、22c(上部)に接続する上フレーム25と、
一対のパッド21、22の下端部21d、22d(下部)に接続し、上フレーム25と間隔を空けて設けられた下フレーム26と、を有する。
【0087】
フレーム部材を上フレーム25および下フレーム26から構成することで、マスク100内の上下方向に均一にクリアランスCLを形成することができる。また、上フレーム25および下フレーム26が間隔を空けて設けられていることによって、エアーの通りやすさを確保することができる。
【0088】
(7)フレーム部材は、一対のパッド21、22の間において、上フレーム25および下フレーム26に直交する方向に延び、上フレーム25と下フレーム26とを接続する中央フレーム27を有する。
中央フレーム27が上フレーム25および下フレーム26に接続することによって、フレーム部2を補強することができる。また、中央フレーム27の張り出しによって、上フレーム25と下フレーム26の間にもクリアランスCLを確保することができる。
【0089】
(8)送風装置1は、外部から供給されたエアーが通流するチューブ部4と、
ノズル23、24(送風ノズル)とチューブ部4とを分離可能に接続するコネクタ31、32、51、52と、を備える。
【0090】
この構成によって、ユーザUは、フレーム部2をマスク100内に装着した後で、チューブ部4をノズル23、24に接続することができ、送風装置1の装着が容易となる。さらに、チューブ部4はマスク100の外に位置させることができるため、衛生面での要求はフレーム部2よりも高くない。そのため、チューブ部4は、外部のファン150と共に、複数のユーザUで共用することもできる。
【0091】
(9)コネクタ31、32、51、52は、
ノズル23、24(送風ノズル)に設けられたマグネットMA、MB(ノズル側磁石)と、
チューブ部4に設けられ、マグネットMA、MB(ノズル側磁石)と磁力により接続可能なマグネットMC、MD(チューブ側磁石)とを有する。
【0092】
コネクタ31、32、51、52はユーザUの顔Fの近傍に位置するため、ユーザUから見えにくいが、コネクタ同士を近づければ磁力によって誘導されるため、容易に接続することができる。
【0093】
(10)ノズル側磁石は、ノズル23、24(送風ノズル)の開口23c、24cを挟んで上側と下側にそれぞれ設けられ、互いに極性の異なるマグネットMA(第1の磁石)とマグネットMB(第2の磁石)から構成される。
【0094】
(11)チューブ側磁石は、チューブ41、42(チューブ部4)の開口41c、42cを挟んで上側と下側にそれぞれ設けられ、互いに極性の異なるマグネットMC(第3の磁石)とマグネットMD(第4の磁石)から構成される。マグネットMA(第1の磁石)はマグネットMC(第3の磁石)と異なる極性を有する。マグネットMB(第2の磁石)はマグネットMD(第4の磁石)と異なる極性を有する。
【0095】
ノズル23、24とチューブ41、42を接続する際に、それぞれの開口23c、24cと開口41c、42cの上下にマグネットMA、MB、MC、MDが配置されていることで、開口同士を合わせやすくなる。これによって、ノズル23、24とチューブ41、42を適切に接続することができ、チューブ41、42からノズル23、24に供給されるエアーが漏れにくくなる。さらに同じコネクタの上下のマグネットの極性を異なるものとすることで、ユーザUからコネクタ31、32、51、52が見えにくい状態でも、上側のマグネットMA、MCを相手側の下側のマグネットMB、MDに誤って接続することが防止される。
【0096】
(12)マグネットMA、MB(ノズル側磁石)は、ノズル23、24(送風ノズル)の中心軸C1(開口中心)に対してユーザU(装着者)の顔Fから離れる方向にオフセットした位置に設けられている。マグネットMC、MD(チューブ側磁石)は、チューブ41、42(チューブ部4)の中心軸C1(開口中心)に対してユーザU(装着者)の顔Fから離れる方向にオフセットした位置に設けられている。
【0097】
ユーザUが顔Fを動かした際に、コネクタ31、32、51、52を分離させる方向に回転力がかかることがある。この回転力がマグネットMA、MB、MC、MDの磁力を上回れば、コネクタ31、32、51、52が分離してしまう。
実施の形態の構成によれば、コネクタ31、32、51、52にかかる回転力の支点位置と作用位置の距離D1を長くすることができる。これによって、回転力を小さくすることができ、ユーザUが顔Fを動かしてもコネクタ31、32、51、52が分離しにくくなる。
【0098】
(13)チューブ部4は、一対のパッド21、22のそれぞれに設けられたノズル23、24(送風ノズル)に接続するチューブ41(第1のチューブ)およびチューブ42(第2のチューブ)を備える。チューブ部4は、ユーザU(装着者)の背面側においてチューブ41およびチューブ42を集合させるジョイント44(集合部)を備える。ジョイント44には、チューブ部4をユーザU(装着者)に固定させるクリップ45(固定部)が設けられている。
【0099】
チューブ41、42がユーザUの背面側で集合することによって、チューブ41、42がユーザUに干渉することを低減することができる。また、クリップ45をユーザUの衣服に固定させることで、チューブ部4はユーザUの動きに追従しやすくなる。これによって、ユーザUが身体を動かした際にチューブ部4がユーザUに干渉することを低減し、ユーザUの身体から脱落するのを防止しやすくなる。
【0100】
実施の形態では、クリップ45をユーザUの上着の襟に着ける例を説明したが、これに限定されない。ユーザUが帽子をかぶっている場合には、クリップ45で帽子を挟むようにしても良い。この場合は、クリップ45がユーザUの頭の動きに追従するため、ユーザUが頭を回転させても、コネクタ31、32、51、52を分離させる方向の回転力がかかりにくくなる。
【0101】
送風装置1の構成は、実施の形態の例に限定されず、本発明の範囲内で適宜変更可能である。
例えば、実施の形態では、コネクタ31、32、51、52はマスク100の外に露出していたが(図3参照)、コネクタ31、32、51、52はマスク100内に位置するようにしても良い。コネクタ31、32、51、52がマスク100内に位置することで目立たなくなり、外観をシンプルにすることができる。
【0102】
実施の形態では、コネクタ31、32、51、52の中心軸C2をノズル23、24およびチューブ41、42の中心軸C1に対してオフセットさせる例を説明したが(図7図8参照)、これに限定されない。例えば、マグネットの磁力を強くし、回転力がかかっても外れにくくした場合等には、図13の比較例のような構成としても良い。
【0103】
図15は、変形例1を説明する図である。
図15に示すように、変形例1では、パッド21には、面21bに接合されたノズル23の一端部23aの内部と連通する開口部29が設けられている。ノズル23は、外縁のみがパッド21の面21bに接合されている。送風装置1の装着時、パッド21はユーザUの頬に当接するため、開口部29は頬(図中破線)によって塞がれる。これによって、実施の形態と同様に、ノズル23はマスク内にエアーを供給することができる。図示は省略するが、パッド22およびノズル24も同様の構成とすることができる。
【0104】
変形例1の構成とすることで、フレーム部2を、例えば金型を用いて一体成型する場合に金型から抜きやすくなる。
【符号の説明】
【0105】
1 送風装置
2 フレーム部
4 チューブ部
21 パッド
21a、21b 面
21c 上端部
21d 下端部
22 パッド
22a、22b 面
22c 上端部
22d 下端部
22a、22b 面
23 ノズル
23a 一端部
23b 他端部
23c 開口
23d 開口
24 ノズル
24a 一端部
24b 他端部
24c 開口
24d 開口
25 上フレーム
26 下フレーム
27 中央フレーム
31 コネクタ
31a、31b 膨出部
32 コネクタ
32a、32b 膨出部
41 チューブ
41a 一端
41b 他端
41c 開口
42 チューブ
42a 一端
42b 他端
42c 開口
43 チューブ
43a 一端
44 ジョイント
45 クリップ
51 コネクタ
51a、51b 膨出部
52 コネクタ
52a、52b 膨出部
100 マスク
101 本体部
101a 端部
102 環状部材
150 ファン
160 ポーチ
170 ベルト
MA、MB マグネット
MC、MD マグネット
Y 中心線
U ユーザ
F 顔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2021-06-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の口および鼻を覆う本体部と、前記本体部を前記装着者の顔に保持させる保持部と、を有するマスク内に送風する送風装置であって、
前記本体部と前記装着者の顔の間に挿入される送風ノズルと、
前記本体部と前記装着者の顔の間にクリアランスを設けるフレーム部と、を備え、
前記送風ノズルは前記フレーム部に設けられ、前記クリアランスに面した送風口を有し、
前記フレーム部は、前記装着者の左右の頬にそれぞれ当接する一対のパッドを備え、
前記送風ノズルは、前記一対のパッドの、前記装着者の頬に当接する面の対向面に設けられ、
前記フレーム部は、前記一対のパッドの間に設けられ、前記装着者の顔から離れる方向に張り出すフレーム部材を備えることを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記送風ノズルは前記フレーム部と一体の部材であることを特徴とする請求項記載の送風装置。
【請求項3】
前記フレーム部材が張り出す高さは、前記送風ノズルが前記パッドの前記対向面から膨出する高さに応じて設定することを特徴とする請求項1または2記載の送風装置。
【請求項4】
前記フレーム部材は、
前記一対のパッドの上部に接続する上フレームと、
前記一対のパッドの下部に接続し、前記上フレームと間隔を空けて設けられた下フレームと、を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の送風装置。
【請求項5】
前記フレーム部材は、前記一対のパッドの間において、前記上フレームおよび前記下フレームに直交する方向に延び、前記上フレームと前記下フレームとを接続する中央フレームを有することを特徴とする請求項記載の送風装置。
【請求項6】
外部から供給されたエアーが通流するチューブ部と、
前記送風ノズルと前記チューブ部とを分離可能に接続するコネクタと、を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の送風装置。
【請求項7】
装着者の口および鼻を覆う本体部と、前記本体部を前記装着者の顔に保持させる保持部と、を有するマスク内に送風する送風装置であって、
前記本体部と前記装着者の顔の間に挿入される送風ノズルと、
前記本体部と前記装着者の顔の間にクリアランスを設けるフレーム部と、
外部から供給されたエアーが通流するチューブ部と、
前記送風ノズルと前記チューブ部とを分離可能に接続するコネクタと、を備え、
前記送風ノズルは前記フレーム部に設けられ、前記クリアランスに面した送風口を有し、
前記コネクタは、
前記送風ノズルに設けられたノズル側磁石と、
前記チューブ部に設けられ、前記ノズル側磁石と磁力により接続可能なチューブ側磁石とを有することを特徴とする送風装置。
【請求項8】
前記ノズル側磁石は、前記送風ノズルの開口を挟んで上側と下側にそれぞれ設けられ、互いに極性の異なる第1の磁石と第2の磁石から構成されることを特徴とする請求項記載の送風装置。
【請求項9】
前記チューブ側磁石は、前記チューブ部の開口を挟んで上側と下側にそれぞれ設けられ、互いに極性の異なる第3の磁石と第4の磁石から構成され、前記第1の磁石は前記第3の磁石と異なる極性を有し、前記第2の磁石は前記第4の磁石と異なる極性を有することを特徴とする請求項記載の送風装置。
【請求項10】
前記ノズル側磁石は、前記送風ノズルの開口中心に対して前記装着者の顔から離れる方向にオフセットした位置に設けられ、
前記チューブ側磁石は、前記チューブ部の開口中心に対して前記装着者の顔から離れる方向にオフセットした位置に設けられていることを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の送風装置。
【請求項11】
装着者の口および鼻を覆う本体部と、前記本体部を前記装着者の顔に保持させる保持部と、を有するマスク内に送風する送風装置であって、
前記本体部と前記装着者の顔の間に挿入される送風ノズルと、
前記本体部と前記装着者の顔の間にクリアランスを設けるフレーム部と、
外部から供給されたエアーが通流するチューブ部と、
前記送風ノズルと前記チューブ部とを分離可能に接続するコネクタと、を備え、
前記送風ノズルは前記フレーム部に設けられ、前記クリアランスに面した送風口を有し、
前記フレーム部は、前記装着者の左右の頬にそれぞれ当接する一対のパッドを備え、
前記チューブ部は、前記一対のパッドのそれぞれに設けられた前記送風ノズルに接続する第1のチューブおよび第2のチューブと、前記装着者の背面側において前記第1のチューブおよび前記第2のチューブを集合させる集合部とを備え、前記集合部には前記チューブ部を前記装着者に固定させる固定部が設けられていることを特徴とする送風装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係る送風装置は、
装着者の口および鼻を覆う本体部と、前記本体部を前記装着者の顔に保持させる保持部と、を有するマスク内に送風する送風装置であって、
前記本体部と前記装着者の顔の間に挿入される送風ノズルと、
前記本体部と前記装着者の顔の間にクリアランスを設けるフレーム部と、を備え、
前記送風ノズルは前記フレーム部に設けられ、前記クリアランスに面した送風口を有し、
前記フレーム部は、前記装着者の左右の頬にそれぞれ当接する一対のパッドを備え、
前記送風ノズルは、前記一対のパッドの、前記装着者の頬に当接する面の対向面に設けられ、
前記フレーム部は、前記一対のパッドの間に設けられ、前記装着者の顔から離れる方向に張り出すフレーム部材を備える。