IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊田合成株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-位置検出装置 図1
  • 特開-位置検出装置 図2
  • 特開-位置検出装置 図3
  • 特開-位置検出装置 図4
  • 特開-位置検出装置 図5
  • 特開-位置検出装置 図6
  • 特開-位置検出装置 図7
  • 特開-位置検出装置 図8
  • 特開-位置検出装置 図9
  • 特開-位置検出装置 図10
  • 特開-位置検出装置 図11
  • 特開-位置検出装置 図12
  • 特開-位置検出装置 図13
  • 特開-位置検出装置 図14
  • 特開-位置検出装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059468
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20220406BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
G01B11/00 B
G01B11/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167242
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】堀邊 隆介
(72)【発明者】
【氏名】安田 博
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA02
2F065AA06
2F065AA39
2F065GG07
2F065LL30
2F065NN05
2F065NN08
2F065QQ03
2F065QQ27
2F065QQ29
2F065QQ42
(57)【要約】
【課題】位置検出を精度良く行うことのできる位置検出装置を提供する。
【解決手段】この装置は、第1変調信号列に基づく検出光を出射する第1発光素子、第2変調信号列に基づく検出光を出射する第2発光素子、それら検出光が対象物で反射した反射光を受光してアナログ信号に変換する受光素子24、IV変換部33を備える。この装置は、アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部36、AD変換部36によって変換されたデジタル信号に基づいて対象物の位置を検出する同期検波部37、演算部38を備える。IV変換部33とAD変換部36との間に、IV変換部33から出力されるアナログ信号をオフセットして出力するオフセット部34が設けられる。オフセット部34は、変調期間においてAD変換部36に入力されるアナログ信号の平均値が、AD変換部36の入力電圧範囲の中央値に近づくようにオフセット量を調整する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる位相の変調信号列によって強度変調された検出光を出射する複数の発光部と、前記検出光が対象物で反射した反射光を受光してアナログ信号に変換する受光部と、前記アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、前記AD変換部によって変換されたデジタル信号に基づいて前記対象物の位置を検出する位置検出部と、を備える位置検出装置において、
前記受光部と前記AD変換部との間に設けられて、前記受光部から出力されるアナログ信号をオフセット量だけ直流的な電圧レベルをオフセットして前記AD変換部に出力するオフセット部を有し、
前記オフセット部は、前記変調信号列によって強度変調される変調期間において前記AD変換部に入力される前記アナログ信号の平均値が、前記AD変換部の入力電圧範囲の中央値に近づくように前記オフセット量を調整することを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記オフセット部は、前記平均値と、前記AD変換部の入力電圧範囲の中央値と、が一致するようになる値を前記オフセット量として定めるものである
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記平均値は、前記アナログ信号の最大値と最小値との平均値である
請求項1または2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記最大値は前記複数の発光部が同時に点灯しているときの前記アナログ信号の信号値であり、前記最小値は前記複数の発光部が同時に消灯しているときの前記アナログ信号の信号値である
請求項3に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記オフセット部は、前記複数の発光部のうちの一部のみが点灯しているときの前記アナログ信号の信号値あるいは信号値の平均値が、前記AD変換部の入力電圧範囲の中央値に近づくように前記オフセット量を調整する
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記複数の発光部のうちの一部のみが点灯しているときの前記アナログ信号の信号値あるいは信号値の平均値と、前記AD変換部の入力電圧範囲の中央値と、が一致するようになる値を前記オフセット量として定めるものである
請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記オフセット部による前記オフセット量の設定を、前記変調信号列が設定されていない期間において実行するものである
請求項1~6のいずれか一項に記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記位置検出装置は、
前記受光部と前記AD変換部との間に設けられて、ゲインを可変設定する可変ゲインアンプ部を有し、
前記AD変換部によって変換される前記デジタル信号の振幅が、予め定められた所定範囲の値になるように、前記可変ゲインアンプ部のゲインを制御するものである
請求項1~7のいずれか一項に記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記デジタル信号の振幅は、前記変調信号列によって強度変調される変調期間において前記複数の発光部が同時に点灯しているときの前記デジタル信号の信号値と、前記複数の発光部が同時に消灯しているときの前記デジタル信号の信号値と、の差分値である
請求項8に記載の位置検出装置。
【請求項10】
前記可変ゲインアンプ部によるゲインの変更を、前記変調信号列が設定されていない期間において実行するものである
請求項8または9に記載の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の位置を検出する位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
対象物の位置を検出する位置検出装置として、光学式のものがある(例えば特許文献1)。
光学式の位置検出装置としては、次のような構造のものが提案されている。位置検出装置は、対象物に対して検出光を出射する複数の発光部と、対象物体において反射した反射光を受光して電気信号に変換する受光部と、この電気信号に基づいて対象物の位置を検出する位置検出部(演算回路)とを有している。この装置では、遮断周波数よりも低い周波数の成分を減衰する低域遮断部を介して、電気信号が演算回路に入力されるようになっている。
【0003】
この位置検出装置による位置検出に際しては、複数の発光部が順次点灯されるとともに、それらの反射光が受光部によって検出されて演算回路に入力される。そして、それら検出した反射光の光量、詳しくは演算回路に入力される電気信号に基づいて対象物の位置が算出(検出)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-215099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、低域遮断部を構成するハイパスフィルタ回路は抵抗器やコンデンサを有しており、抵抗は所定電圧でバイアスされているため、低域遮断部に受光部によって検出されたパルス列が入力されたときの出力信号は次のように推移する。すなわち低域遮断部から出力される電気信号振幅(詳しくは、そのピーク値や平均値)は、同低域遮断部へのパルス列の入力開始時において、所定のバイアス電圧からパルス列の振幅に相当する振幅まで一旦到達するが、その後において抵抗器の抵抗値Rとコンデンサの静電容量Cとによって定まる時定数に応じて徐々に振幅が小さくなり、パルス列の平均値が所定のバイアス電圧に漸近する。ここで、パルス列の信号デューティ比が50%であるとした場合、全時間領域で見たときの最大・最小ピーク間の信号振幅は、低域遮断部の入力振幅に対して約1.5倍になってしまう。演算回路には高精度が求められ、アナログ的なオフセットやドリフトを抑えるため、初段にAD変換部を備え、入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換した後にデジタル回路にて信号処理する構成とすることが好ましいが、位置検出を正常に行うためには、演算回路の入力電圧範囲を超えないようにAD変換部に信号を入力する必要があるが、前述のように低域遮断部を通過したときに信号振幅が増大してしまうため、信号振幅を減衰させて入力する必要があった。
【0006】
一方、位置検出を精度良く行うためには、演算回路に入力される電気信号のSN比(信号対雑音比)を最大化する必要があり、AD変換部の量子化ノイズの影響を抑えるため、AD変換部に入力される電気信号振幅が入力電圧範囲を超えない範囲で最大化する必要があるといった相反する課題があった。
【0007】
また、受光部から出力される電気信号の信号値は、そのときどきにおいて受光部に入射される反射光の光量に応じて異なる値になる。そのため、単に受光部から出力されるアナログ信号をAD変換部に入力すると、反射光の光量が大きいときに、AD変換部に入力されるアナログ信号の最大値が同AD変換部の入力電圧範囲を超えてしまい、同アナログ信号を適正に変換することができず、位置検出を正常に行うことができなくなるおそれがある。
【0008】
こうした不都合の発生を抑えるためには、AD変換部の入力振幅を小さくすればよい。ただし、この場合には、反射光の光量が小さいときにおいて、AD変換部の入力電圧範囲に対して同AD変換部に入力されるアナログ信号の値が小さくなってしまうため、AD変換部のS/N比が低下して、位置検出装置による位置検出精度の低下を招くおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための位置検出装置は、異なる位相の変調信号列によって強度変調された検出光を出射する複数の発光部と、前記検出光が対象物で反射した反射光を受光してアナログ信号に変換する受光部と、前記アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部と、前記AD変換部によって変換されたデジタル信号に基づいて前記対象物の位置を検出する位置検出部と、を備える位置検出装置において、前記受光部と前記AD変換部との間に設けられて、前記受光部から出力されるアナログ信号をオフセット量だけ直流的な電圧レベルをオフセットして前記AD変換部に出力するオフセット部を有し、前記オフセット部は、前記変調信号列によって強度変調される変調期間において前記AD変換部に入力される前記アナログ信号の平均値が、前記AD変換部の入力電圧範囲の中央値に近づくように前記オフセット量を調整する。
【0010】
上記構成によれば、AD変換部の入力電圧範囲の中央値と、同AD変換部に入力されるアナログ信号のピーク値とボトム値の中央値とのずれが小さくなる方向に、同アナログ信号をオフセットすることができる。そのため、入力されるアナログ信号をAD変換部の入力電圧範囲の中央付近に入れることができ、入力電圧範囲を有効に利用することができるようになる。これにより、AD変換部に入力されるアナログ信号がAD変換部の入力電圧範囲を超えないように維持することができ、同AD変換部に入力されるアナログ信号の振幅を最大化することが可能になる。したがって上記構成によれば、AD変換部のS/N比を最大化して、位置検出装置による位置検出精度の向上を図ることができる。
【0011】
上記位置検出装置において、前記オフセット部は、前記平均値と、前記AD変換部の入力電圧範囲の中央値と、が一致するようになる値を前記オフセット量として定めるものであることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、AD変換部による信号変換に際して、入力されるアナログ信号を同AD変換部の入力電圧範囲の中央付近に入れることができるため、入力電圧範囲をより有効に利用することができるようになる。
【0013】
上記位置検出装置において、前記平均値を、前記アナログ信号の最大値と最小値との平均値にすることができる。
上記位置検出装置において、前記最大値は前記複数の発光部が同時に点灯しているときの前記アナログ信号の信号値であり、前記最小値は前記複数の発光部が同時に消灯しているときの前記アナログ信号の信号値であることが好ましい。
【0014】
受光部に入射される反射光の光量や、AD変換部に入力されるアナログ信号の信号値は、複数の発光部の同時点灯時において最も大きくなり、それら発光部の同時消灯時において最も小さくなる。上記構成によれば、そうした同時点灯時におけるアナログ信号の信号値を最大値とするとともに、同時消灯時におけるアナログ信号の信号値を最小値とすることができる。これにより、同時点灯時におけるアナログ信号の信号値(または、同信号値の相関値)と、同時消灯時におけるアナログ信号の信号値(または、同信号値の相関値)と、を検出するとともに、それら信号値に基づいてオフセット量を定めることができる。
【0015】
上記位置検出装置において、前記オフセット部は、前記複数の発光部のうちの一部のみが点灯しているときの前記アナログ信号の信号値あるいは信号値の平均値が、前記AD変換部の入力電圧範囲の中央値に近づくように前記オフセット量を調整するものである。
【0016】
上記位置検出装置において、前記複数の発光部のうちの一部のみが点灯しているときの前記アナログ信号の信号値あるいは信号値の平均値と、前記AD変換部の入力電圧範囲の中央値と、が一致するようになる値を前記オフセット量として定めるものであることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、AD変換部の入力電圧範囲の中央値と同AD変換部に入力されるアナログ信号の変動範囲の中央値とのずれが小さくなる方向に、同アナログ信号をオフセットすることができ、入力されるアナログ信号を同AD変換部の入力電圧範囲の中央付近に入れることができるため、入力電圧範囲をより有効に利用することができる。
【0018】
上記位置検出装置において、前記オフセット部による前記オフセット量の設定を、前記変調信号列が設定されていない期間において実行するものであることが好ましい。
上記構成によれば、同一の変調信号列によって定まる変調期間においては、オフセット部によるオフセット量が変更されることなく一定に保たれるようになる。これにより、変調期間の途中でオフセット量が変化することに起因する検出誤差の発生を回避することができるため、位置検出装置による位置検出を精度良く行うことができる。
【0019】
上記位置検出装置は、前記受光部と前記AD変換部との間に設けられて、ゲインを可変設定する可変ゲインアンプ部を有し、前記AD変換部によって変換される前記デジタル信号の振幅が、予め定められた所定範囲の値になるように、前記可変ゲインアンプ部のゲインを制御するものであることが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、可変ゲインアンプ部によるゲインの変更を通じて、AD変換部に入力されるアナログ信号が、同AD変換部の入力電圧範囲を超えることなく、かつ最大振幅で入力されるように調整することができる。これにより、AD変換部における量子化ノイズの影響を最小限に抑え、信号処理のSN比を向上させて位置検出装置による位置検出を精度良く行うことができる。
【0021】
上記位置検出装置において、前記デジタル信号の振幅は、前記変調信号列によって強度変調される変調期間において前記複数の発光部が同時に点灯しているときの前記デジタル信号の信号値と、前記複数の発光部が同時に消灯しているときの前記デジタル信号の信号値と、の差分値であることが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、ピークホールド回路などを設けずとも、同時点灯時のデジタル信号の信号値と同時消灯時のデジタル信号の信号値との差から、検出の遅延することなく同デジタル信号の振幅を求めることができる。
【0023】
上記位置検出装置において、前記可変ゲインアンプ部によるゲインの変更は、前記変調信号列が設定されていない期間において実行するものであることが好ましい。
上記構成によれば、同一の変調信号列によって定まる変調期間においては、可変ゲインアンプ部によるゲインを変更することなく一定値に保持することより、変調期間の途中でゲインが変化することに起因する検出のオフセット誤差の発生を回避することができるため、位置検出装置による位置検出を精度良く行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、AD変換部の入力電圧範囲を有効に利用して、位置検出装置による位置検出を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態の位置検出装置の距離検出モードを示す概略構成図。
図2】(a)~(c)距離検出モードでの検出態様を説明するための説明図。
図3】位置検出装置の傾斜角検出モードを示す概略構成図。
図4】(a)~(c)傾斜角検出モードでの検出態様を説明するための説明図。
図5】位置検出装置の検出回路を示す略図。
図6】(a)~(i)検出回路における各種信号波形を示すタイミングチャート。
図7】同期検波部の回路構造を示す略図。
図8】(a)および(b)比較例の位置検出装置における信号波形を示すタイミングチャート。
図9】AD変換信号の一例を示すタイミングチャート。
図10】オフセット部の作動制御処理の実行手順を示すフローチャート。
図11】(a)~(e)同実施形態の位置検出装置における信号波形を示すタイミングチャート。
図12】(a)はIV変換信号を示し(b)はオフセット信号を示すタイミングチャート。
図13】可変ゲインアンプ部の作動制御処理の実行手順を示すフローチャート。
図14】(a)および(b)変形例における信号波形を示すタイミングチャート。
図15】(a)~(c)変形例における信号波形を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、位置検出装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の位置検出装置は、下層ベース部21、中層ベース部22、および上層ベース部23によって構成された3層構造のベース部を有している。
【0027】
下層ベース部21には、中層ベース部22側(図1の上側)の面における中央に、入射光の光量を検出するための受光素子24(本実施形態では、フォトダイオード)が設けられている。この受光素子24は、下層ベース部21と上層ベース部23との間隙に配置されている。上層ベース部23には、受光素子24の受光部分に対向する位置に、ベース部の積層方向(図1の上下方向)において貫通する貫通孔(ピンホール25)が設けられている。本実施形態の位置検出装置は、このピンホール25を介して、外部の光が受光素子24の受光部分に入射される構造になっている。本実施形態では、受光素子24が受光部に相当する。
【0028】
本実施形態の位置検出装置は、位置検出のための検出光を出射する4つの発光素子26L,26R,27L,27R(本実施形態では、いずれも発光ダイオード)を有している。
【0029】
4つの発光素子のうちの2つ(内側発光素子26L,26R)は、中層ベース部22における上層ベース部23側の面(図1の上面)に設けられている。これら内側発光素子26L,26Rが配置された部分には上層ベース部23が配置されていない。内側発光素子26L,26Rは、中層ベース部22から離間する方向(図1の上方)に検出光を出射する態様で配置されている。
【0030】
4つの発光素子のうちの残りの2つ(外側発光素子27L,27R)は、下層ベース部21における中層ベース部22側の面(図1の上面)に設けられている。外側発光素子27L,27Rが配置された部分には、中層ベース部22および上層ベース部23が配置されていない。これら外側発光素子27L,27Rは、下層ベース部21から離間する方向(図1の上方)に検出光を出射する態様で配置されている。
【0031】
本実施形態の位置検出装置では、4つの発光素子26L,26R,27L,27Rと上記受光素子24とが、平面視(図1における上方から見た状態)で同一直線上において並ぶように配置されている。詳しくは、内側発光素子26L,26Rは、受光素子24を間に挟む位置であって、且つ、受光素子24との距離が同一になる位置にそれぞれ設けられている。また、外側発光素子27L,27Rは、受光素子24および内側発光素子26L,26Rを間に挟む位置であって、且つ、受光素子24との距離が同一になる位置にそれぞれ設けられている。外側発光素子27L,27Rは、内側発光素子26L,26Rよりも、4つの発光素子26L,26R,27L,27Rの並び方向における外側に設けられている。本実施形態の位置検出装置では、内側発光素子26L,26Rと受光素子24との距離が、外側発光素子27L,27Rと受光素子24との距離よりも近くなっている。本実施形態では、発光素子26L,26R,27L,27Rが発光部に相当する。
【0032】
本実施形態の位置検出装置では、同期検波を活用して、対象物についての位置検出が実行される。
本実施形態の位置検出装置は、発光素子を点滅させるための駆動信号として、位相が90度(具体的には、波長の1/4)ずれた2種類の変調信号列(第1変調信号列および第2変調信号列)を出力する。これら第1変調信号列および第2変調信号列は、所定の変調周波数(本実施形態では、40kHz)の矩形波である。
【0033】
本実施形態の位置検出装置による位置検出に際しては、先ず、第1発光素子LED1が第1変調信号列によって駆動されて発光するとともに、90度位相が遅れて第2発光素子LED2が第2変調信号列によって駆動されて発光する。そして、それら発光素子LED1,LED2の検出光(詳しくは、対象物OBで反射した反射光の光量)が受光素子24によって検出される。その後、受光素子24によって検出された反射光の光量に基づいて、対象物OBの位置(詳しくは、距離および傾斜角)が検出される。
【0034】
以下、位置検出装置の実行モードのうち、対象物OBの距離を検出する「距離検出モード」について説明する。
図1および図2に示すように、距離検出モードでは、上記第1発光素子LED1として外側発光素子27L,27Rが用いられるとともに、上記第2発光素子LED2として内側発光素子26L,26Rが用いられる。具体的には、外側発光素子27L,27Rが第1変調信号列によって駆動されて発光するとともに、内側発光素子26L,26Rが第2変調信号列によって駆動されて発光する。なお距離検出モードでは、外側発光素子27L,27Rから出射される検出光の光量が、内側発光素子26L,26Rから出射される検出光の光量よりも大きくなるように設定することが好ましい。その比率は、例えば2倍程度に設定される。
【0035】
図2(a)に示すように、対象物OBの距離が近い場合には、外側発光素子27L,27Rの検出光(詳しくは、対象物OBで反射した反射光)がピンホール25に入射する角度(入射角)が大きくなり、光路長も長くなる。そのため、外側発光素子27L,27Rから出射されて受光素子24に入射される反射光の光量、すなわち受光素子24によって検出される反射光の光量VD1は小さくなる。一方、内側発光素子26L,26Rは外側発光素子27L,27Rよりも受光素子24に近い位置に設けられているため、内側発光素子26L,26Rの検出光(詳しくは、対象物OBで反射した反射光)のピンホール25への入射角は、外側発光素子27L,27Rの検出光についての入射角よりも小さくなり、光路長も短くなる。そのため、内側発光素子26L,26Rから出射されて受光素子24に入射される反射光の光量、すなわち受光素子24によって検出される反射光の光量VD2は比較的大きくなる。
【0036】
本実施形態の位置検出装置では、外側発光素子27L,27Rの検出光の光量が内側発光素子26L,26Rの検出光の光量の2倍に設定されている。とはいえ、対象物OBの距離が近い場合には、内側発光素子26L,26Rの検出光についての検出値(上記光量VD2)が、外側発光素子27L,27Rの検出光についての検出値(光量VD1)よりも大きくなる。この場合には、それら光量VD1,VD2の比RD(=VD1/VD2)が「1」未満になる。また、対象物OBの距離が近いときほど、上記比RDは小さい値になる。
【0037】
図2(b)に示すように、対象物OBの距離が遠くなって同距離が中程度になると、内側発光素子26L,26Rについての上記入射角と、外側発光素子27L,27Rについての上記入射角との差が小さくなる。これにより、内側発光素子26L,26Rの検出光についての検出値(光量VD2)と、外側発光素子27L,27Rの検出光についての検出値(光量V1)との差が小さくなる。この場合には、光量VD1,VD2の比RD(=VD1/VD2)が「1」に近づくようになる。図2(b)に示す例では、光量VD1,VD2が等しくなっており、それら光量VD1,VD2の比RD(=VD1/VD2)が「1」になっている。
【0038】
図2(c)に示すように、対象物OBの距離がさらに遠くなると、内側発光素子26L,26Rについての上記入射角と、外側発光素子27L,27Rについての上記入射角との差が略「0」になる。これにより、上記光量VD1,VD2の関係が、外側発光素子27L,27Rから射出される検出光の光量と内側発光素子26L,26Rから射出される検出光の光量との関係に近づくようになる。すなわち、この場合には、外側発光素子27L,27Rの検出光についての検出値(光量VD1)が、内側発光素子26L,26Rの検出光についての検出値(光量VD2)の二倍に近づくようになり、光量VD1,VD2の比RD(=VD1/VD2)が「2」に近づくようになる。図2(c)に示す例では、上記光量VD1が光量VD2の略二倍になっており、それら光量VD1,VD2の比RD(=VD1/VD2)が略「2」になっている。
【0039】
距離検出モードでは、こうした光量VD1,VD2と対象物OBの距離との関係をふまえて、対象物OBの距離DISが検出される。具体的には、光量VD1,VD2が検出されるとともに、それら光量VD1,VD2の比RD(=VD1/VD2)に基づいて対象物OBの距離が算出(検出)される。
【0040】
次に、位置検出装置の実行モードのうち、対象物OBの傾斜角を検出する「傾斜角検出モード」について説明する。
図3および図4に示すように、傾斜角検出モードでは、一対の外側発光素子27L,27Rの一方(外側発光素子27L)が前記第1発光素子LED1として用いられるとともに、外側発光素子27L,27Rの他方(外側発光素子27R)が上記第2発光素子LED2として用いられる。具体的には、外側発光素子27Lが第1変調信号列によって駆動されて発光するとともに、90度位相が遅れて外側発光素子27Rが第2変調信号列によって駆動されて発光する。なお傾斜角検出モードでは、外側発光素子27L,27Rから出射される検出光の光量が同一に設定される。
【0041】
図4(a)に示すように、対象物OBが上記外側発光素子27L側(同図における左側)に傾斜している場合には、外側発光素子27Lと対象物OBとの距離が、外側発光素子27Rと対象物OBとの距離よりも近くなる。これにより、外側発光素子27Lから出射されて受光素子24に入射されるまでの光の経路(光路L1)が、外側発光素子27Rから出射されて受光素子24に入射されるまでの光の経路(光路L2)よりも短くなっている。
【0042】
ここで、受光素子24に入射される反射光の光量は、その光路の距離の逆二乗に比例する。そのため、そうした光路の距離が短い外側発光素子27Lについては、同外側発光素子27Lから出射された検出光が対象物OBで反射した反射光の光量、すなわち受光素子24によって検出される反射光の光量VA1が比較的大きくなる。これに対して、上記光路の距離が長い外側発光素子27Rについては、同外側発光素子27Rから出射された検出光が対象物OBで反射した反射光の光量、すなわち受光素子24によって検出される反射光の光量VA2が比較的小さくなる。
【0043】
この場合には、外側発光素子27L,27Rから出射される検出光の光量が同一に設定されているとはいえ、外側発光素子27Lの検出光についての検出値(上記光量VA1)が、外側発光素子27Rの検出光についての検出値(光量VA2)よりも大きくなる。この場合には、光量VA1,VA2の比RA(=VA1/VA2)が「1」よりも大きくなる(RA>1)。また、対象物OBの上記外側発光素子27L側への傾斜角が大きいときほど、上記比RAは大きい値になる。
【0044】
図4(b)に示すように、対象物OBが正対(傾斜角=0度)している場合には、各外側発光素子27L,27Rと対象物OBとの距離が等しくなる。そのため、外側発光素子27Lから出射されて受光素子24に入射されるまでの光の経路(光路L1)と、外側発光素子27Rから出射されて受光素子24に入射されるまでの光の経路(光路L2)とが等しくなる。この場合には、外側発光素子27Lの検出光についての検出値(上記光量VA1)と外側発光素子27Rの検出光についての検出値(光量VA2)とが等しくなり、光量VA1,VA2の比RA(=VA1/VA2)が「1」になる。
【0045】
図4(c)に示すように、対象物OBが上記外側発光素子27R側(同図における右側)に傾斜している場合には、外側発光素子27Lと対象物OBとの距離が、外側発光素子27Rと対象物OBとの距離よりも遠くなる。これにより、外側発光素子27Lから出射されて受光素子24に入射されるまでの光の経路(光路L1)が、外側発光素子27Rから出射されて受光素子24に入射されるまでの光の経路(光路L2)よりも長くなっている。
【0046】
そのため、そうした光路の距離が長い外側発光素子27Lについては、同外側発光素子27Lから出射された検出光が対象物OBで反射した反射光の光量、すなわち受光素子24によって検出される反射光の光量VA1が比較的小さくなる。これに対して、上記光路の距離が短い外側発光素子27Rについては、同外側発光素子27Rから出射された検出光が対象物OBで反射した反射光の光量、すなわち受光素子24によって検出される反射光の光量VA2が比較的大きくなる。
【0047】
この場合には、外側発光素子27L,27Rから出射される検出光の光量が同一に設定されているとはいえ、外側発光素子27Lの検出光についての検出値(上記光量VA1)が、外側発光素子27Rの検出光についての検出値(光量VA2)よりも小さくなる。この場合には、光量VA1,VA2の比RA(=VA1/VA2)が「1」よりも小さくなる(RA<1)。また、対象物OBの上記外側発光素子27R側への傾斜角が大きいときほど、上記比RAは小さい値になる。
【0048】
傾斜角検出モードでは、こうした光量VA1,VA2と対象物OBの傾斜角との関係をふまえて、対象物OBの傾斜角が検出される。具体的には、光量V1,V2が検出されるとともに、それら光量VA1,VA2の比RA(=VA1/VA2)に基づいて対象物OBの傾斜角TILが算出(検出)される。なお、上記光路L1,L2の相対関係は対象物OBと位置検出装置との距離に応じて変化するため、上記比RAも同距離に応じて変化する。そのため本実施形態の位置検出装置では、対象物OBの傾斜角TILを検出する際には、検出パラメータとして、上記比RAに加えて前記距離DISが用いられる。
【0049】
以下、発光素子26L,26R,27L,27Rから出射された検出光が対象物OBで反射した反射光の光量(詳しくは、上記光量VD1,VA1に相当する値V1や上記光量VD2,VA2に相当する値V2)を検出するための検出回路について説明する。検出回路は、マイクロプロセッサを有し、同マイクロプロセッサによって所定のソフトウェアを実行することで各種処理を行う構造をなしている。
【0050】
図5に示すように、検出回路30は、検出光を出射するための構成として、前記発光素子26L,26R,27L,27Rと、それら発光素子26L,26R,27L,27Rを発光させるべく駆動される駆動部31と、前記第1変調信号列および第2変調信号列を生成するタイミング生成部32とを有している。
【0051】
図6に示すように、タイミング生成部32は、第1変調信号列(同図(a))および第2変調信号列(同図(b))として、所定期間にわたり出力されるデューティ比が50%の矩形波状の信号であって、位相が90度ずれた2種類の変調信号列を生成する。
【0052】
図5に示すように、これら第1変調信号列および第2変調信号列はタイミング生成部32から駆動部31に出力される。そして、駆動部31は、第1変調信号列および第2変調信号列に基づいて発光素子26L,26R,27L,27Rを選択的に駆動して発光させる。なお、前記距離検出モードでは、内側発光素子26L,26Rが第1変調信号列に基づき駆動されて発光するとともに、外側発光素子27L,27Rが第2変調信号列に基づき駆動されて発光する。また、前記傾斜角検出モードでは、外側発光素子27Lが第1変調信号列に基づき駆動されて発光するとともに、外側発光素子27Rが第2変調信号列に基づき駆動されて発光する。
【0053】
また、検出回路30は、前記反射光の光量を検出するための構成として、受光素子24側から順に、同受光素子24、IV変換部33、オフセット部34、可変ゲインアンプ部35、AD変換部36、同期検波部37、および演算部38を有している。本実施形態では、同期検波部37および演算部38が位置検出部に相当する。
【0054】
受光素子24は、入射された反射光の光量に応じた電流信号を出力するものである。
IV変換部33には、受光素子24から出力される電流信号が入力される。IV変換部33は、入力された電流信号を電圧信号に変換して出力する。
【0055】
オフセット部34には、IV変換部33から出力される電圧信号(IV変換信号)が入力される。オフセット部34は、IV変換信号を所定量(目標オフセット量)だけ直流的な電圧レベルをオフセットして出力する。なお、オフセット部34によるオフセット量を設定する制御については後に詳述する。
【0056】
可変ゲインアンプ部35には、オフセット部34から出力される電圧信号(オフセット信号)が入力される。可変ゲインアンプ部35は、アンプの増幅率を可変設定するものである。本実施形態の位置検出装置では、可変ゲインアンプ部35のゲインの変更を通じて、同可変ゲインアンプ部35から出力される電圧信号(可変ゲイン信号)の振幅が適当な値に調整される。なお、可変ゲインアンプ部35によってゲインを可変設定する制御については後に詳述する。
【0057】
AD変換部36は、アナログ信号をデジタル信号に変換するものである。AD変換部36には、可変ゲインアンプ部35から出力された可変ゲイン信号が入力される。AD変換部36は、この可変ゲイン信号をデジタル信号(本実施形態では、16bit(65536段階)の値)に変換して出力する。なお、図6(c)に示すように、AD変換部36から出力される信号(AD変換信号)は、第1変調信号列に基づき第1発光素子LED1から出射される検出光についての反射光の光量(前記光量VD1,VA1)に相当する値V1と、第2変調信号列に基づき第2発光素子LED2から出射される検出光についての反射光の光量(前記光量VD2,VA2)に相当する値V2とが重畳された値である。
【0058】
なお、AD変換部36の前段には、一般的に用いられるアンチエイリアスフィルタを配置することでAD変換時に発生する折り返し誤差を抑制することができる。
同期検波部37は、2位相のロックインアンプによって構成されている。
【0059】
図7に示すように、同期検波部37は、測定信号(AD変換信号)に参照信号(第1変調信号列または第2変調信号列)を乗算する乗算器39i,39qと、乗算器39i,39qから出力される信号値(第1乗算信号または第2乗算信号)を積分する積分器40i,40qとを有する。積分器40i,40qは、ローパスフィルタ回路41i,41qとサンプルホールド回路42i,42qとによって構成されている。
【0060】
同期検波部37により、第1変調信号列に基づき第1発光素子LED1から出射される検出光についての反射光の光量(前記光量VD1,VA1)に相当する値V1を算出する処理は、次のように実行される。先ず、乗算器39iによって、測定信号としてのAD変換信号(図6(c))に参照信号としての第1変調信号列(詳しくは、図6(d)に示す第1参照信号)が乗算される。そして、乗算器39iから出力される第1乗算信号(図6(f))が、図6(h)に示すように積分器40iによって積分される。そして、積分器40iによって積分された値が上記値V1として出力される。
【0061】
また同期検波部37により、第2変調信号列に基づき出射される検出光についての反射光の光量(前記光量VD2,VA2)に相当する値V2を算出する処理が、次のように実行される。先ず、乗算器39qによって、測定信号としてのAD変換信号(図6(c))に参照信号としての第2変調信号列(詳しくは、図6(e)に示す第2参照信号)が乗算される。そして、乗算器39qから出力される第2乗算信号(図6(g))が、図6(i)に示すように積分器40qによって積分される。そして、この積分器40qによって積分された値が上記値V2として出力される。
【0062】
演算部38は、上記値V1,V2に基づく演算処理を通じて対象物OBの距離DISを算出して出力するとともに、この距離DISと上記値V1,V2とに基づく演算処理を通じて対象物OBの傾斜角TILを算出して出力する。詳しくは、距離検出モードにおいては、値V1(前記光量VD1)および値V2(前記光量VD2)に基づいて、演算部38に予め記憶されている関係(例えば演算式や演算テーブル)から、対象物OBの距離DISが算出される。また、傾斜角検出モードにおいては、値V1(前記光量VA1)、値V2(前記光量VA2)、および上記距離DISに基づいて、演算部38に予め記憶されている関係(例えば演算式や演算テーブル)から、対象物OBの傾斜角TILが算出される。なお本実施形態では、同期検波部37および演算部38が、AD変換部36によって変換されたデジタル信号を演算処理するデジタル信号処理部に相当する。
【0063】
ここで、受光素子24から出力される電流信号の信号値は、そのときどきにおいて受光素子24に入射される反射光の光量に応じて異なる値になる。そのため、単に受光素子から出力される電流信号(詳しくは、IV変換部33から出力されるIV変換信号)をAD変換部36に入力すると、以下のような不都合が生じる。図8に一例を示すように、反射光の光量が大きいときには(時刻t11~t12)、AD変換部36に入力されるアナログ信号の最大値が同AD変換部36の入力電圧範囲の最大値(例えば、±600mV)を超えてしまい、同アナログ信号を適正に変換することができず、位置検出を正常に行うことができなくなるおそれがある。一方、AD変換部36のゲインを小さくした場合には、反射光の光量が小さいときにおいて、AD変換部36の入力電圧範囲に対して同AD変換部36に入力されるアナログ信号の値が小さくなってしまう。この場合には、AD変換部36の量子化ノイズの影響により、AD変換部36のS/N比が低下するため、位置検出装置による位置検出精度の低下を招くおそれがある。
【0064】
この点をふまえて、本実施形態の位置検出装置では、図5に示すように、IV変換部33と可変ゲインアンプ部35との間に、IV変換部33から出力されるIV変換信号をオフセットするオフセット部34が設けられている。そして、このオフセット部34により、第1変調信号列および第2変調信号列によって強度変調される変調期間T0においてAD変換部36に入力される電気信号(アナログ信号)の最大値と最小値との平均値を、AD変換部36の入力電圧範囲(例えば±600mV)の中央値に一致させる態様で、IV変換信号にオフセットが印加され、直流的な電圧レベルが変更される。
【0065】
以下、オフセット部34によって電気信号をオフセットする構成について、詳しく説明する。
検出回路30は、オフセット検出部44を有している。本実施形態では、このオフセット検出部44により、図10に示すように、変調期間T0になる度に(ステップS11:YES)、以下の処理が実行される。
【0066】
先ず、変調期間T0においてAD変換部36から出力されるAD変換信号の最大値MAXと最小値MINとが、オフセット検出部44に取り込まれる(ステップS12)。
図9に示すように、変調期間T0において、第1変調信号列によって駆動されて発光する発光素子および第2変調信号列によって駆動されて発光する発光素子が同時に点灯しているときのAD変換信号の信号値は、AD変換信号の信号値のうちの最大値(MAX)に相当する。また変調期間T0において、第1変調信号列によって駆動されて発光する発光素子および第2変調信号列によって駆動されて発光する発光素子が同時に消灯しているときのAD変換信号の信号値は、AD変換信号の信号値のうちの最小値(MIN)に相当する。この点をふまえて、本実施形態では、上記最大値MAXとしては、変調期間T0における最初の同時点灯時のAD変換信号の信号値が取り込まれる。また、最小値MINとしては、変調期間T0における最初の同時消灯時のAD変換信号の信号値が取り込まれる。
【0067】
その後、図10に示すように、上記最大値MAXおよび最小値MINに基づいて、最大値MAXおよび最小値MINの平均値AVE(=(MAX+MIN)/2)と、AD変換部36の入力電圧範囲の中央値との偏差ΔAVEが算出される(ステップS13)。
【0068】
そして、上記偏差ΔAVEと、このとき設定されている目標オフセット量[前回値]とに基づいて、オフセット部34によるオフセット量についての制御目標値(目標オフセット量[最新値])が算出される(ステップS14)。
【0069】
本実施形態では、目標オフセット量[最新値]として、最大値MAXおよび最小値MINの平均値AVEとAD変換部36の入力電圧範囲の中央値とを一致させることの可能なオフセット量に相当する値が算出される。この算出については、可変ゲインアンプ部35のゲイン設定値も考慮して算出が行われる。本実施形態では、こうした目標オフセット量[最新値]の算出が可能になる関係(演算式)が求められて、オフセット検出部44に予め記憶されている。オフセット検出部44は、この関係をもとに目標オフセット量[最新値]を算出する。
【0070】
その後、第1変調信号列および第2変調信号列が設定されていない期間、すなわち変調期間T0が終了してから次の変調期間T0が開始されるまでの期間における所定の変更タイミングになると(ステップS15:YES)、目標オフセット量[最新値]がオフセット部34に出力される(ステップS16)。このときオフセット部34は、入力される目標オフセット量[最新値]と実際のオフセット量とを一致させるように作動して、同オフセット量を変更する。
【0071】
以下、オフセット部34によって電気信号をオフセットすることによる作用効果について説明する。
本実施形態では、図11に示すように、変調期間T0(a)(時刻t21~t22)におけるAD変換信号(図6(c)参照)の最大値MAXおよび最小値MINが検出されるとともに、それら最大値MAXおよび最小値MINに基づいてオフセット部34によるオフセット量についての制御目標値(目標オフセット量)が算出される。
【0072】
そして、変調期間T0(時刻t21~t22)が終了した後のタイミングであって、且つ次の変調期間T0(b)(時刻t24~t25)が開始される前の所定の変更タイミング(時刻t23)において、上記目標オフセット量に基づいてオフセット部34によるオフセット量が変更される。これにより、次回のオフセット部34へのIV変換信号の入力に先立ち、同オフセット部34のオフセット量が適正値(本例では、低い値)に変更された状態になる。
【0073】
本実施形態では、AD変換部36から出力されるAD変換信号の最大値MAXと最小値MINとの平均値AVEを、同AD変換部36の入力電圧範囲の中央値(本実施形態では、0V)に一致させる態様で、オフセット部34によってIV変換信号がオフセットされる。IV変換信号に適正なオフセットが設定されない場合には、変調期間T0(a)に示すようにAD変換部36に入力されるアナログ信号がAD変換部36の入力電圧範囲を超え、さらに中央値に対する電圧振幅の上下のバランスも崩れているが、が、適正なオフセットが設定された場合には、変調期間T0(b)に示すようにAD変換部36に入力されるアナログ信号がAD変換部36の入力電圧範囲内に入っており、入力電圧範囲の中央値に対する電圧振幅の上下のバランスも良く有効に利用することができるようになる。
【0074】
これにより、AD変換部36の入力電圧範囲に対して、同AD変換部36に入力されるアナログ信号(具体的には、同図(d)に示す可変ゲイン信号)の振幅を大きくすることが可能になる。したがって本実施形態によれば、AD変換部36の量子化ノイズの影響を抑えて、AD変換部36のS/N比を大きくすることができ、位置検出装置による位置検出精度の向上を図ることができる。
【0075】
本実施形態の位置検出装置では、このようにしてオフセット量を変更する制御が、所定周期で変調期間T0が設定される度(時刻t21~t24,t24~t27,t27~)に実行される。
【0076】
本実施形態の位置検出装置では、受光素子24に入射される反射光の光量に応じて、同受光素子24から出力される電流信号やIV変換信号、オフセット信号が変化するようになる。そのため、一定のゲインでAD変換部36による信号変換を行うようにすると、次のような不都合を招くおそれがある。すなわち、図12に一例を示すように、受光素子24に入射される反射光の光量が小さいときには、AD変換部36の入力電圧範囲に対する同AD変換部36に入力される電気信号(本例では、オフセット信号)の振幅が小さくなる。そして、この場合には、AD変換部36の量子化ノイズの影響により、位置検出装置による位置検出精度の低下を招くおそれがある。
【0077】
この点をふまえて、本実施形態の位置検出装置では、図5に示すように、オフセット部34とAD変換部36との間に、可変ゲインアンプ部35が設けられている。そして、AD変換部36に入力される電気信号の振幅が予め定められた所定範囲S(本実施形態では、AD変換部36の入力電圧範囲の90%程度)の値になるように、可変ゲインアンプ部35のゲインが制御される。
【0078】
以下、可変ゲインアンプ部35のゲインを変更するための構成について、詳しく説明する。
検出回路30は、AD変換部36から出力されるAD変換信号の振幅Mを検出する振幅検出部43を有している。本実施形態では、この振幅検出部43により、図13に示すように、変調期間T0になる度に(ステップS21:YES)、以下の処理が実行される。
【0079】
先ず、変調期間T0においてAD変換部36から出力されるAD変換信号の最大値MAXと最小値MINとが、振幅検出部43に取り込まれる(ステップS22)。本実施形態では、上記最大値MAXとしては、変調期間T0における最初の同時点灯時のAD変換信号の信号値が取り込まれる。また、最小値MINとしては、変調期間T0における最初の同時消灯時のAD変換信号の信号値が取り込まれる。
【0080】
そして、それら最大値MAXおよび最小値MINの差分値(MAX-MIN)が、AD変換信号の振幅Mとして算出される(ステップS23)。
その後、AD変換信号の振幅Mと、このとき設定されている可変ゲインアンプ部35のゲイン(具体的には、目標ゲイン[前回値])とに基づいて、同ゲインについての制御目標値(目標ゲイン[最新値])が算出される(ステップS24)。なお本実施形態の位置検出装置では、AD変換信号の振幅MをAD変換部36の入力電圧範囲における所定範囲Sの値にすることの可能なゲイン(目標ゲイン[最新値])と、AD変換信号の振幅Mと、可変ゲインアンプ部35のゲイン(目標ゲイン[前回値])との関係が求められて、振幅検出部43に予め記憶されている。振幅検出部43は、この関係をもとに目標ゲイン[最新値]を算出する。
【0081】
その後、第1変調信号列および第2変調信号列が設定されていない期間、すなわち変調期間T0が終了してから次の変調期間T0が開始されるまでの期間における所定の変更タイミングになると(ステップS25:YES)、目標ゲイン[最新値]が可変ゲインアンプ部35に出力される(ステップS26)。このとき可変ゲインアンプ部35は、入力される目標ゲイン[最新値]と実際のゲインとを一致させるように作動して、同ゲインを変更する。
【0082】
以下、可変ゲインアンプ部35のゲインを変更することによる作用効果について説明する。
図11に示す例では、変調期間T0(b)(時刻t24~t25)において、可変ゲインアンプ部35のゲインが適正値よりも小さくなっている。そのため、可変ゲインアンプ部35から出力される可変ゲイン信号の振幅がAD変換部36の入力電圧範囲に対して50%程度まで小さくなってしまっている。本実施形態の位置検出装置では、変調期間T0が短い周期で繰り返し設定されるため、同一の対象物OBについての位置検出を継続して行っている場合には上記差は図11に示す例と比較して小さくなる。
【0083】
本実施形態の位置検出装置では、変調期間T0(b)(時刻t24~t25)におけるAD変換信号(図6(c)参照)の最大値MAXおよび最小値MINが検出されるとともに、それら最大値MAXおよび最小値MINに基づいて可変ゲインアンプ部35のゲインについての制御目標値(目標ゲイン)が算出される。この算出については、オフセット部34のオフセット設定値も考慮して算出が行われる。
【0084】
そして、変調期間T0(b)(時刻t24~t25)が終了した後のタイミングであって、且つ次の変調期間T0(時刻t27~t28)が開始される前の所定タイミング(時刻t26)において、上記目標ゲインに基づき可変ゲインアンプ部35のゲインが変更される。
【0085】
これにより、次回の可変ゲインアンプ部35へのオフセット信号の入力に先立ち、可変ゲインアンプ部35のゲインが適正値(本例では、大きい値)に変更された状態になる。そのため、変調期間T0(c)(時刻t27~t28)においてオフセット信号が可変ゲインアンプ部35に入力されると、同可変ゲインアンプ部35から出力される可変ゲイン信号の振幅、ひいてはAD変換部36から出力されるAD変換信号の振幅Mが、予め定められた所定範囲Sの値(または、これに近い値)になる。
【0086】
本実施形態の位置検出装置では、こうした可変ゲインアンプ部35のゲインを変更する制御が、所定周期で変調期間T0が設定される度(時刻t21~t24,t24~t27,t27~)に実行される。
【0087】
本実施形態の位置検出装置では、受光素子24に入射される反射光の光量に応じてIV変換信号やオフセット信号が変化するとはいえ、可変ゲインアンプ部35のゲインの変更を通じて、AD変換部36に入力される可変ゲイン信号の振幅が、同AD変換部36の入力電圧範囲内であって、好ましくは入力電圧範囲の60%~90%の振幅となるように調整される。これにより、AD変換部36の量子化ノイズの影響を小さくして、位置検出装置による位置検出を精度良く行うことができる。
【0088】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)変調期間T0においてAD変換部36に入力される電気信号の最大値と最小値との平均値をAD変換部36の入力電圧範囲の中央値に一致させる態様で、オフセット部34によりIV変換信号をオフセットするようにした。そのため、AD変換部36の入力電圧範囲から外れることなく位置検出を正常に行うことができ、さらに、AD変換部36の入力電圧範囲に効率的に量子化ノイズの影響を抑えて、S/N比を大きくすることができ、位置検出装置による位置検出精度の向上を図ることができる。
【0089】
(2)第1変調信号列によって駆動されて発光する発光素子および第2変調信号列によって駆動されて発光する発光素子が同時に点灯しているときのAD変換信号の信号値を、同AD変換信号の最大値MAXとすることができる。また、第1変調信号列によって駆動されて発光する発光素子および第2変調信号列によって駆動されて発光する発光素子が同時に消灯しているときのAD変換信号の信号値を、AD変換信号の最小値MINとすることができる。そのため、検出の時定数を持つピークホールド回路やボトムホールド回路などを設けずとも、同時点灯時におけるAD変換信号の信号値(最大値MAX)と同時消灯時におけるAD変換信号の信号値(最小値MIN)とを検出するとともに、それら信号値に基づいてオフセット部34によるオフセット量を定めることができる。また、目標オフセット量を算出する際に、変調期間T0における最初の同時点灯時のAD変換信号の信号値(MAX)と、変調期間T0における最初の同時消灯時のAD変換信号の信号値(MIN)とを検出して用いるようにした。そのためAD変換信号の出力開始後において遅延なく速やかに目標オフセット量を算出することができる。
【0090】
(3)オフセット部34によるオフセット量の変更タイミングが、変調期間T0が終了してから次の変調期間T0が開始されるまでの間に定められている。そのため、同一の変調期間T0においては、オフセット量が変更されることなく一定に保たれるようになる。これにより、変調期間T0の途中でオフセット量が変化することに起因する検出誤差の発生を回避することができるため、位置検出装置による位置検出を精度良く行うことができる。
【0091】
(4)AD変換部36に入力される電気信号の振幅が予め定められた所定範囲Sの値になるように、可変ゲインアンプ部35のゲインを制御するようにした。これにより、量子化ノイズの影響を小さくして、位置検出装置による位置検出を精度良く行うことができる。
【0092】
(5)第1発光素子LED1および第2発光素子LED2の同時点灯時におけるAD変換信号の信号値(MAX)と、同時消灯時におけるAD変換信号の信号値(MIN)との差分値(MAX-MIN)を、AD変換信号の振幅Mとして検出するようにした。そのため、検出の時定数を持つピークホールド回路やボトムホールド回路などを設けずとも、同時点灯時の電気信号と同時消灯時の電気信号とから、AD変換信号の振幅Mを求めることができる。また、上記振幅Mを算出する際に、変調期間T0における最初の同時点灯時のAD変換信号の信号値(MAX)と、変調期間T0における最初の同時消灯時のAD変換信号の信号値(MIN)とを検出して用いるようにした。そのためAD変換信号の出力が開始された直後の短い期間で、同AD変換信号の振幅Mを検出することができる。
【0093】
(6)可変ゲインアンプ部35のゲインの変更タイミングが、変調期間T0が終了してから次の変調期間T0が開始されるまでの間に定められている。そのため、同一の変調期間T0においては、可変ゲインアンプ部35のゲインを変更することなく一定値に保持することができる。これにより、変調期間T0の途中でゲインが変化することに起因する検出誤差の発生を回避することができるため、位置検出装置による位置検出を精度良く行うことができる。
【0094】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0095】
・可変ゲインアンプ部35および振幅検出部43を省略して、オフセット部34から出力されるオフセット信号をAD変換部36に直接入力するようにしてもよい。
・AD変換信号の振幅Mを算出する方法は任意に変更することができる。例えば、変調期間T0の途中における同時点灯時のAD変換信号の信号値(MAX)と変調期間T0の途中における同時消灯時のAD変換信号の信号値(MIN)とを検出するとともに、それら信号値の差分値をAD変換信号の振幅Mとして算出するようにしてもよい。
【0096】
・可変ゲインアンプ部35のゲインを変更するタイミングは任意に変更することができる。例えば変調期間T0における所定のタイミングで、可変ゲインアンプ部35のゲインを変更するようにしてもよい。
【0097】
・目標オフセット量の算出パラメータとして、変調期間T0の途中における同時点灯時のAD変換信号の信号値(MAX)と変調期間T0の途中における同時消灯時のAD変換信号の信号値(MIN)とを検出して用いるようにしてもよい。
【0098】
・上記実施形態では、目標オフセット量[最新値]として、最大値MAXおよび最小値MINの平均値AVEとAD変換部36の入力電圧範囲の中央値とを一致させることの可能なオフセット量に相当する値が算出される。これに限らず、上記平均値AVEを入力電圧範囲の中央値に近づけることの可能なオフセット量に相当する値であれば、任意の値を目標オフセット量[最新値]として算出することができる。こうした構成によっても、IV変換信号をオフセットせずにAD変換部36に入力する場合と比較して、AD変換部36の入力電圧範囲をバランス良く有効に利用することができる。
【0099】
・目標オフセット量[最新値]として、第1発光素子LED1および第2発光素子LED2のうちの一方のみが点灯しているときにAD変換部36に入力される電気信号の信号値(中間値)と同AD変換部36の入力電圧範囲の中央値とを一致させることの可能なオフセット量に相当する値を、算出するようにしてもよい。
【0100】
同構成においては、次のように目標オフセット量[最新値]を算出することができる。先ず、図14に一例を示すように、変調期間T0においてAD変換部36から出力されるAD変換信号の中間値PAR1およびPAR2を、オフセット検出部44に取り込む。中間値PAR1、PAR2としては、第1発光素子LED1および第2発光素子LED2のうちのどちらか一方のみが点灯しているときにAD変換部36に入力される電気信号の信号値が取り込まれる。そして、オフセット検出部44は、上記中間値PAR1およびPAR2の平均値PARAとAD変換部36の入力電圧範囲の中央値との偏差ΔPARを算出する。その後、オフセット検出部44は、上記偏差ΔPARと、このとき設定されている目標オフセット量[前回値]とに基づいて、予め記憶されている関係(演算式)から、目標オフセット量[最新値]を算出する。
【0101】
上記構成によれば、図15に示すように、AD変換部36の入力電圧範囲の中央値と同AD変換部36に入力されるアナログ信号の変動範囲の中央値とのずれが小さくなる方向に、同アナログ信号をオフセットすることができる。そのため、IV変換信号をオフセットせずにAD変換部36に入力する場合とは異なり、図15(b)から明らかなように、AD変換部36の入力電圧範囲をバランス良く有効に利用することができるようになる。また、上記構成によれば、中間値PARに基づき目標オフセット量が算出されるため、前記最大値MAXおよび最小値MINがAD変換部36の入力電圧範囲を超えた場合においても破綻することなく制御可能であるため、安定な動作が実現できる。
【0102】
上記構成における目標オフセット量[最新値]として、上記中間値PAR1およびPAR2の平均値PARAとAD変換部36の入力電圧範囲の中央値とを一致させることの可能なオフセット量に相当する値を算出することに限らず、上記中間値PARを入力電圧範囲の中央値に近づけることの可能なオフセット量に相当する値であれば、任意の値を算出することができる。そうした目標オフセット量[最新値]としては、例えば上記中間値PAR1とAD変換部36の入力電圧範囲の中央値とを一致させることの可能なオフセット量に相当する値を算出したり、上記中間値PAR2とAD変換部36の入力電圧範囲の中央値とを一致させることの可能なオフセット量に相当する値を算出したりすることができる。こうした構成によっても、IV変換信号をオフセットせずにAD変換部36に入力する場合と比較して、AD変換部36の入力電圧範囲の中央値に対する電圧振幅の上下のバランス良く、入力電圧範囲を有効に利用することができる。
【0103】
・オフセット部34によるオフセット量を変更するタイミングは任意に変更することができる。例えば変調期間T0における所定のタイミング、具体的には、変調期間T0の先頭部の第1番目の変調周期でオフセット検出を完了した直後で、オフセット部34に目標オフセット量を出力して、同オフセット部34によるオフセット量を変更するようにしてもよい。
【0104】
・上記実施形態にかかる位置検出装置は、同一直線上において並ぶ複数の発光素子からなる素子群を複数備える位置検出装置にも適用することができる。そうした位置検出装置としては、例えば、4つの発光素子26L,26R,27L,27Rを有する素子群を2つ備え、それら素子群における発光素子の並び方向が直交する構造の位置検出装置を挙げることができる。
【0105】
・上記実施形態にかかる位置検出装置は、必ずしも3層構造のベース部で構成される必要はなく、受光素子24が上層ベース部23のピンホール25の下側の裏面側に実装され、受光素子24の実装面側で受光するような1層構造の構成であって構わない。この場合、受光素子24は遮光性を有する封止材でポッティングして背面側からの迷光の影響を受けないようにすることが好ましい。
【0106】
・上記実施形態にかかる位置検出装置は、オフセット部34の後段に可変ゲインアンプ部35を接続したが、逆転させて可変ゲインアンプ部35の後段にオフセット部34を接続しても構わない。
【0107】
・上記実施形態にかかる位置検出装置は、発光素子を駆動するための駆動信号として、位相が90度以外の任意の角度だけずれた2種類の変調信号列(第1変調信号列および第2変調信号列)を出力する位置検出装置にも適用することができる。その他、上記実施形態にかかる位置検出装置は、第1発光素子のみが発光する状態と第2発光素子のみが発光する状態とを交互に繰り返すようになる2種類の変調信号列(第1変調信号列および第2変調信号列)を出力する位置検出装置等にも適用可能である。
【0108】
・上記実施形態にかかる位置検出装置は、対象物OBの位置および傾斜角の両方を検出可能な位置検出装置に限らず、対象物OBの位置および傾斜角の一方のみを検出可能な位置検出装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
24…受光素子
26L,26R…内側発光素子
27L,27R…外側発光素子
30…検出回路
31…駆動部
32…タイミング生成部
33…IV変換部
34…オフセット部
35…可変ゲインアンプ部
36…AD変換部
37…同期検波部
38…演算部
43…振幅検出部
44…オフセット検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15