(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059515
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】机
(51)【国際特許分類】
A47B 13/02 20060101AFI20220406BHJP
A47B 13/08 20060101ALI20220406BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20220406BHJP
A47B 91/00 20060101ALI20220406BHJP
A47B 17/04 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
A47B13/02
A47B13/08 A
A47B13/00 B
A47B91/00 Z
A47B13/00 Z
A47B17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167321
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000152228
【氏名又は名称】株式会社内田洋行
(71)【出願人】
【識別番号】000140007
【氏名又は名称】株式会社稲葉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 健太
(72)【発明者】
【氏名】河手 遥
(72)【発明者】
【氏名】秋田 美紀
(72)【発明者】
【氏名】立川 秀樹
【テーマコード(参考)】
3B053
3B069
【Fターム(参考)】
3B053NN04
3B053NQ02
3B053NQ06
3B053NQ07
3B053NR01
3B053NR04
3B053PA05
3B053PB01
3B053PB03
3B053PB05
3B053PC06
3B069DA03
3B069EA00
3B069HA09
3B069HA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡素で組み立てし易い又は広い下肢空間を確保可能な机を提供する。
【解決手段】天板10と、上端面が前記天板の下面に接続され、下端面が床面上に載置されて、前記天板を支持する一対のT字形脚部20とを備え、前記一対のT字形脚部が、それぞれ、前記天板の下面の幅方向において側端付近に、平面視が奥行方向に長手となる平板状の側板部21と、前記側板部の平面視において、奥行方向中央で前記側板部と直交し、前記天板の幅方向内側に向けて張り出した平板状の補強板部22とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、
上端面が前記天板の下面に接続され、下端面が床面上に載置されて、前記天板を支持する一対のT字形脚部と、を備え、
前記一対のT字形脚部が、それぞれ、
前記天板の下面の幅方向において側端付近に、平面視が奥行方向に長手となる平板状の側板部と、
前記側板部の平面視において、奥行方向中央で前記側板部と直交し、前記天板の幅方向内側に向けて張り出した平板状の補強板部と、
を備えた机。
【請求項2】
前記天板と、前記側板部と、前記補強板部とが、互いに直交して接続され、前記天板の下面と、前記側板部と、前記補強板部とによって三面が画定されたスペースを収納什器の収容スペースとして備えた請求項1に記載の机。
【請求項3】
平面視において前記収納什器の収容スペースと重ならない位置であって、前記補強板部の内側端部と接する位置に、前記補強板部の上下方向に沿って配線を通すための配線スペースを覆う配線カバーを有する請求項2に記載の机。
【請求項4】
前記T字形脚部は、前記側板部と前記補強板部の一方が、前記天板の下面に対して係止される係止部と、
前記係止部によって、前記側板部と前記補強板部のうち一方が前記天板に仮固定された状態で、仮固定された前記側板部と前記補強板部のうち一方に他方を取り付ける連結部と、を備える請求項1~3の何れか1項に記載の机。
【請求項5】
前記T字形脚部が、
前記側板部の上面奥行方向における手前側端部に設けられ、前記天板の下面に対して締結される第一締結部と、
前記側板部の上面奥行方向における奥側端部に設けられ、前記天板の下面に対して締結される第二締結部と、
を備えた請求項4に記載の机。
【請求項6】
前記一対のT字形脚部のうち、少なくとも一方を前記天板の下面に取り付ける取付部が、前記天板の幅方向において位置を異ならせて複数設けられている請求項1~5の何れか1項に記載の机。
【請求項7】
前記側板部が、幅方向内側面に棚板を受け止める棚受け部を備えた請求項1~6の何れか1項に記載の机。
【請求項8】
前記側板部が、幅方向内側面の下部にトレイを備えた請求項1~7の何れか1項に記載の机。
【請求項9】
前記一対のT字形脚部の間に仕切り部材を設けた請求項1~8の何れか1項に記載の机。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、T字形脚部を備えた机に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、デスクの側面視において四角形で板状の端部脚を天板の左右端に設けた組立式デスクが提案されている。端部脚は、上端にデスク内側に向けた取付片を有し、この取付片が天板の裏面にネジ止めされ、天板に対して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した組立式デスクのように、板状の脚部を天板の側端に配置すると、前後方向の強度は確保しやすいが、左右方向の強度を確保しにくいという問題があった。この場合、取付片の数を増加させることや、取付片と別の補強部を追加すること等が考えられるが、このように取付片の増加や補強部の追加を行うと、部品点数の増加に伴うコストの増加や、組み立て時の作業性の悪化を招くという問題があった。また、補強部の追加に伴い、天板下の下肢を入れる空間(以下、下肢空間とも称す)が狭くなり、ワゴン等の収納什器を天板下に収める際に使用感を損ねるといった不具合もあった。
【0005】
そこで、本発明は、簡素で組み立てし易い又は広い下肢空間を確保可能な机の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用した。
本発明の机は、
天板と、
上端面が前記天板の下面に接続され、下端面が床面上に載置されて、前記天板を支持する一対のT字形脚部と、を備え、
前記一対のT字形脚部が、それぞれ、
前記天板の下面の幅方向において側端付近に、平面視が奥行方向に長手となる平板状の側板部と、
前記側板部の平面視において、奥行方向中央で前記側板部と直交し、前記天板の幅方向内側に向けて張り出した平板状の補強板部と、
を備える。
【0007】
このように前記机は、板状の部材を組み合わせてT字形脚部を構成したことにより、取付片や別の補強部を追加することなく剛性を確保できるので、簡素で組み立てし易い机を達成できる。また、T字形脚部を平面(床面)に投影した際の投影面積が小さいため、広い下肢空間を確保でき、収納什器等を配置する際の自由度が高く、使い勝手の良い机を達成できる。
【0008】
前記机は、前記天板と、前記側板部と、前記補強板部とが、互いに直交して接続され、前記天板の下面と、前記側板部と、前記補強板部とによって三面が画定されたスペースを収納什器の収容スペースとして備えてもよい。
【0009】
前記机は、平面視において前記収納什器の収容スペースと重ならない位置であって、前記補強板部の内側端部と接する位置に、前記補強板部の上下方向に沿って配線を通すための配線スペースを覆う配線カバーを有してもよい。
【0010】
前記T字形脚部は、前記側板部と前記補強板部の一方が、前記天板の下面に対して係止される係止部と、
前記係止部によって、前記側板部と前記補強板部のうち一方が前記天板に仮固定された状態で、仮固定された前記側板部と前記補強板部のうち一方に他方を取り付ける連結部と、を備えてもよい。
【0011】
前記T字形脚部が、
前記側板部の上面奥行方向における手前側端部に設けられ、前記天板の下面に対して締結される第一締結部と、
前記側板部の上面奥行方向における奥側端部に設けられ、前記天板の下面に対して締結される第二締結部と、
を備えてもよい。
【0012】
前記机は、前記一対のT字形脚部のうち、少なくとも一方を前記天板の下面に取り付ける取付部が、前記天板の幅方向において位置を異ならせて複数設けられてもよい。
【0013】
前記机は、前記側板部が、前記幅方向内側面に棚板を受け止める棚受け部を備えてもよい。
【0014】
前記机は、前記側板部が、前記幅方向内側面の下部にトレイを備えてもよい。
【0015】
前記机は、前記一対のT字形脚部の間に仕切り部材を備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡素で組み立てし易い又は広い下肢空間を確保可能な机を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図6】天板を
図5に示すA-A線で縦断した場合の模式断面図である。
【
図9】天板下面におけるT字形脚部の取り付け部分を示す図である。
【
図10】
図9からT字形脚部を外した状態を示す図である。
【
図12】補強板部を天板下面に係止する係止部(フック)の説明図である。
【
図14】変形例1の机における天板の下面のT字形脚部を取り付ける部分を示す図である。
【
図15】変形例2に係るトレイを備えた机を示す斜視図である。
【
図16A】変形例2に係るトレイを展開した状態を示す斜視図である。
【
図16B】変形例2に係るトレイを閉じた状態を示す斜視図である。
【
図17】棚板を側板部間に設けた変形例3を示す図である。
【
図18】変形例3に係る棚受け部を示す斜視図である。
【
図19】側板部間に仕切り部材を設けた変形例4を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、一実施形態に係る机について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、当該机は実施形態の構成に限定されるものではない。
【0019】
《装置構成》
図1は、本実施形態に係る机の外観斜視図、
図2は、本実施形態に係る机の正面図、
図3は、本実施形態に係る机の左側面図、
図4は、本実施形態に係る机の平面図、
図5は、本実施形態に係る机の底面図である。なお、本実施形態に係る机において、右側面は
図3の左側面と左右対称に表れるので図示を省略する。また、本実施形態に係る机において、背面は
図2の正面と左右対称に表れるので図示を省略する。
【0020】
本実施形態に係る机1は、天板10と、天板10の左右両端に一対のT字形脚部20とを有する。机1は、例えば、椅子に座り正面に位置した使用者により、天板10の上面が事務作業等に使用される。
【0021】
天板10は、少なくとも上面(天面)を平面とした板状の部材である。天板10は、
図4に示すように平面形状が四角形である。天板10は、電子機器等のケーブルを通すため、上面から下面へ貫通した孔11が設けられている。孔11には、開閉可能な蓋が設けられてもよい。
【0022】
左右一対のT字形脚部20は、それぞれ、側板部21と、補強板部22と、配線カバー23とを有している。側板部21は、前後方向の長さが天板10と同じか天板10よりも短い平板状の部材であり、天板10の下面の左右方向(幅方向)において側端付近に、平面視が奥行方向に長手となるように設けられる。
【0023】
補強板部22は、平板状の部材であり、平面視において、側板部21の奥行方向中央で側板部21と直交し、天板10の幅方向内側に向けて張り出すように設けられる。
【0024】
天板10と、側板部21と、補強板部22とは、互いに直交するように接続され、天板10と、側板部21と、補強板部22とが、直方体状のスペースの一つの頂点を共有する三つの面を画定し、このスペースを収納什器の収容スペースとしている。また、天板10、側板部21、及び補強板部22は、収容スペース側に突出する構成を有しないため、概ね直方体の外形を有する収納什器を配置した際に、これら天板10、側板部21、及び補強板部22と、収納什器との間にデッドスペースを生じさせず、無駄なく収納什器を配置できる。即ち、収納什器の収容スペースを広く確保できる。
【0025】
なお、本実施形態の補強板部22は、机1の奥行方向中央に設けられており、この補強板部22の手前側と奥側に収容スペースを形成している。具体的には、補強板部22の前側面と、天板10の下面と、側板部21の内側面とによって手前側収容スペースの三面を確定している。また、補強板部22の奥側面と、天板10の下面と、側板部21の内側面とによって奥側収容スペースの三面を確定している。そして、左右一対のT字形脚部20が、それぞれ手前側と奥側の収容スペースを形成するので、一台の机1の天板下に4つの収容スペースを形成している。
【0026】
これらの収容スペースに規定のサイズの収納什器を収容する場合には、天板10、側板部21、及び補強板部22のサイズが、収容什器に合わせたサイズに設定されてもよい。例えば、補強板部22の前側面から、天板10の前側端面や側板部21の前側端面までの長さが、収納什器の奥行方向の長さと、ほぼ一致するように設定されてもよい。これにより、収納什器の奥側端面を補強板部22の前側面に当接するように収納什器を配置した際、天板10の前側端面や側板部21の前側端面が、収納什器の前側端面と面一となる。また、収容スペースに収納什器を収めた際、収納什器の天面と天板10の下面との隙間が、必要最小限となるように、側板部21及び補強板部22の高さが、収納什器に合わせた高さに設定されてもよい。これにより、収納什器と天板10との間に無駄なスペースが生じることがなく、天板下のスペースが有効に活用される。また、このように天板10、側板部21、及び補強板部22を収容什器に合わせたサイズに設定することにより、収容スペース内に配置した収納什器と、机1との一体感が高まり、審美性を向上させることができる。
【0027】
天板10、側板部21、及び補強板部22の材質は、机1の使用に耐える剛性を有するものであれば、特に限定されるものでは無く、例えば、金属、木材、合成樹脂、これらを組み合わせたものが挙げられる。
【0028】
図6は、天板10を
図5に示すA-A線で縦断した場合の模式断面図である。なお、
図6は、天板10の構造を分かり易く示すために模式化しており、部材の厚さや長さの比率等は、実際の天板10と同じであるとは限らない。また、
図6では、天板10以外の部材を省略して示している。
【0029】
本実施形態の天板10は、天板10の上面側に配置される上板17と、上板17を補強する複数の補強部12~16とを有する。上板17及び補強部12~16は、鋼板であり、曲げ加工によって成形される。上板17は、天板10の天面を成すと共に、前後端及び左右端が下方へ曲げられ、天板10の側面を成している。
【0030】
補強部12~16は、左右方向へ長手に形成され、例えば溶接等によって上板17の下面に接合されている。補強部12~16は、下面が同じ高さに位置するように形成され、これら複数の補強部12~16の下面に掛け渡されて、T字形脚部20が取り付けられる。
【0031】
配線カバー23は、上下方向に長手の樋状の部材であり、平面視においてコ字形となっている。即ち、配線カバー23は、コ字形に配置された三つの側面で四角柱状の空間の三方の面を画定し、一方の面を開放した形状となっている。配線カバー23は、解放面側を補強板部22側に向けて、補強板部22の内側端部に補強板部22とほぼ同じ厚みになるように取り付けられ、内部空間を配線スペースとする。即ち、配線カバー23は、平面視において、収納什器の収容スペースと重ならない位置に配線スペースを設けている。配線カバー23による配線スペースは、上端及び下端が開口しており、天板10上から孔11を通した配線を上端開口から入れ、上下に通して下端から配線を出し床上へ配設させる。
【0032】
図7は、T字形脚部20の斜視図、
図8は、T字形脚部20の斜視分解図である。側板部21は、底部から下側へ突出したアジャスター210を備えている。なお、
図7,
図8では、左右一対のT字形脚部20のうち、一方のみを示しているが、左右のT字形脚部20は同一の構成であり左右対称に取り付けられるので、以下同一の要素については一方について説明する。また、補強板部22は、下面から下側へ突出したアジャスター221を備えている。この構成によりT字形脚部20は、机1を配置する床に対して、アジャスター210・210・221の三点で接し、それ以外の下端面を床から離間させている。このため机1は、床の平面性が悪い場合でも、ぐらつきを抑えることができる。また、アジ
ャスター210・210・221は、高さの調整機構を有し、側板部21又は補強板部22の下端面と床との距離を調整できる。
【0033】
また、側板部21は、上面奥行方向における手前側端部に、前側へ突出させた第一締結部211を備え、上面奥行方向における奥側端部に後側へ突出させた第二締結部212を備えている。補強板部22は、上面幅方向において内側端部、即ち側板部21と接する外側端部と反対側の端部に、机1の内側へ突出させた第三締結部223を備えている。これら締結部211,212,223は、後述のように天板10に対して締結される部分であり、本例では、締結用のボルトを通すボルト孔を有している。
【0034】
補強板部22は、天板の下面に対して係止するフック(係止部)222を備えている。フック222は、補強板部22の前面及び後面の一部を上面よりも上側へ延出して設けられている。また、補強板部22は、側板部21を係止し、補強板部22と側板部21とを連結するフック(連結部)224を備えている。フック224は、補強板部22の前面及び後面の一部を側面よりも外側へ延出して設けられている。
【0035】
配線カバー23は、補強板部22の内側端部に係止するフック231を備えている。フック231は、配線カバー23の前面及び後面の一部を外側へ延出して設けられている。一方、補強板部22の内側端部には、配線カバー23のフック224を係止するためのスリット225が設けられている。
【0036】
図9は、天板下面におけるT字形脚部20の取り付け部分を示す図、
図10は、
図9からT字形脚部20を外した状態を示す図である。なお、
図9,
図10では、左側のみを示したが、右側部分も同様に構成されている。
【0037】
図9に示すように、側板部21の第一締結部211及び第二締結部212は、ボルト213によって天板10の下面に締結される。同様に、補強板部22の第三締結部223は、ボルト226によって天板10の下面に締結される。このため、締結部211,212,223を締結する天板10の下面には、
図10に示すように、ボルト213,226を螺合する取付部(雌ネジ部)214、215が設けられている。本例では、補強部12と補強部16の下面に、側板部21の取付部214が設けられ、補強部14の下面に補強板部22の取付部215が設けられている。
【0038】
また、補強部14の下面には、補強板部22のフック222を係止するためのスリット216が設けられている。同様に、側板部21の内側側面には、奥行方向の中央付近に補強板部22のフック224を係止するためのスリット207が設けられている。
【0039】
<組み立て方法>
図11は、机1の組み立て方法を示す図である。先ず、工程Aでは、天板10を裏返した状態、即ち下面を上へ向けて載置し、この天板10の下面に補強板部22を取り付ける。この場合、
図12に示すように、天板10における補強部14のスリット216に、補強板部22のフック222を挿入し、フック222を天板内側に沿って移動させ、天板裏面の補強部14に係止する。
【0040】
フック222は、補強板部22の上面22Aよりも上方向に延出し、先端22Bが前側に屈曲し、この先端側内壁22Cと補強板部上面22Aとの間に溝22Dが形成されている。補強板部22のフック222をスリット216に挿入した後、補強板部22を前側へ移動させ、スリット216の前側に位置する鋼板をフック222の溝22D内に入れ、先端側内壁22Cと補強板部上面22Aとの間で挟持することで、補強板部22が天板10に対して仮固定される。
【0041】
このとき補強板部22は、フック222により、上面22Aが補強部14の下面14Aに圧接した状態が維持されるため、人が支えていなくても下面14A上に自立する。また、補強板部22は、フック222をスリット216に挿入することで、天板10の奥行方向における位置が決まり、フック222の基端側内壁22Eをスリット前側の鋼板に突き当てることで、天板10の幅方向における位置が決まる。これにより、補強板部22は、天板10に締結する位置、即ち補強板部22の第三締結部223と天板10の取付部215とが一致した位置に仮固定される。なお、左右一対のT字形脚部20は、それぞれ同様に組み立てられるため、以下、一方のT字形脚部20について説明する。
【0042】
次に工程Bでは、側板部21を補強板部22に係止する。具体的には、補強板部22のフック224を側板部21のスリット207(
図8)に入れ、側板部21の上面が天板10の下面に突き当たるまで側板部21を天板10側へ移動させ、側板部21を補強板部22に仮固定する。なお、フック224による係止は、
図12に示したフック222と略同じため、再度の説明を省略する。
【0043】
工程Cでは、側板部21の第一締結部211と第二締結部212をボルト213で天板10の取付部214(
図10)に締結し、補強板部22の第三締結部223をボルト226で天板10の取付部215(
図10)に締結する。なお、本実施形態の補強板部22は、フック222及びフック224を有し、天板10及び側板部21と係合する。このため、第三締結部223、ボルト226、及び取付部215は必須の構成ではなく、これらを省略し、第一締結部211と第二締結部212の二点でT字形脚部20と天板10とを締結してもよい。
【0044】
工程Dでは、倒立した状態の机1の上下を入れ替え、T字形脚部20を床に設置させる。工程Eでは、天板10上に載せた機器31の電源ケーブルや、ネットワークケーブル、電話線などの配線32を、机1の上から天板10の孔11を介して机1の下へ通す。
【0045】
そして、配線32を配線カバー23内の溝に入れ(工程F)、配線カバー23のフック231をスリット225(
図8)に挿入して係止させ、配線カバー23を補強板部22に取り付ける。なお、フック231による係止は、
図12に示したフック222と略同じため、再度の説明を省略する。このように配線カバー23を補強板部22の内側端部に取り付けることで、配線カバー23内の空間を配線スペースとし、この配線スペースを通して天板10上に載置した機器の配線を床面側へ配設できる(工程G)。
【0046】
<実施形態の効果>
本実施形態の机1では、側板部21と補強板部22とを平面視においてT字形に組み合わせたT字形脚部20を採用したことにより、取付片や別の補強部を追加することなく剛性を確保できるので、部品点数を抑えつつ、剛性を確保でき、組み立てのし易い机1を提供できる。また、T字形脚部を平面(床面)に投影した際の投影面積が小さいため、非常に広い下肢空間を得ることができる。このため、収納什器等を配置する際の自由度が高く、使い勝手の良い机を達成できる。
【0047】
また、机1は、T字形脚部20を第一締結部211、第二締結部212、第三締結部223の三か所で締結できるので、締結箇所が少なく組み立てが容易である。例えば、四隅に柱状の脚を設けた一般的な机では、四つの脚をそれぞれ複数のネジ、例えば4つのネジで締結する場合、合計16か所の締結作業が必要になる。これに対し、本実施形態では、一対のT字形脚部20をそれぞれ3箇所で締結するので、合計6箇所の締結作業で組み立てることができ、組み立てが容易である。
【0048】
また、本実施形態の机1では、フック222,224により、補強板部22や側板部21を仮固定できるので、締結時に補強板部22や側板部21を人が支えている必要がなく、組み立てが容易である。このため、例えば複数台をオフィスに設置する際に、同じ時間であれば少ない人数で組み立てが可能になる。
【0049】
更に、本実施形態の机1では、天板10上に載置した機器等の配線を補強板部22と同じ幅の配線カバー23内を通して配設できるので、配線時の美観を保ちつつ、机奥行き方向の下肢空間も損なうことが無く、更に、配設に影響を与える事なく、ワゴン等の収容を適切に行う事が出来る。
【0050】
<変形例1>
図13は、変形例1に係る机1の正面図、
図14は、変形例1の机1における天板10の下面のT字形脚部20を取り付ける部分を示す図である。本変形例では、
図2の机1と比べ、T字形脚部20の取り付け位置を机1の内側へオフセットした点が異なっており、その他の構成は同じである。なお、前述の実施形態と同一の要素には、同一の符号を付すなどして再度の説明を省略する。
【0051】
図13に示すように、本変形例では、T字形脚部20が、天板10の幅方向において端部から所定距離LAだけ内側に取り付けられている。このため、T字形脚部20の締結部211,212,223を締結する天板10の下面には、
図14に示すように、ボルト213,226を螺合する取付部(雌ネジ部)217、218が、
図9の取付部214、215と比べて内側に設けられている。また、天板10の下面には、フック222を係止するスリット219が、
図9のスリット216と比べて内側に設けられている。なお、
図14の例では、取付部217、218及びスリット219と別に、取付部214、215及びスリット216を
図9と同じ位置に設けている。このように取付部214、215及びスリット216と、取付部217、218及びスリット219とを天板10の幅方向において複数の異なる位置に設け、T字形脚部20の取り付け位置を選択できるようにしている。なお、机1は、これに限らず、取付部214、215及びスリット216を省略し、取付部217、218及びスリット219のみを設けた構成でもよい。
【0052】
T字形脚部20の取り付け位置を机1の内側へオフセットすることにより、机1の側部下にスペースが空くので、このスペースに足を入れて座り、机1を囲んで会議や作業を行うといった利用が容易となる。また、このスペースにキャビネット等を配置することができる。
【0053】
<変形例2>
図15は、変形例2に係るトレイ27を備えた机1を示す斜視図、
図16Aは、変形例2に係るトレイ27を展開した状態を示す斜視図、
図16Bは、変形例2に係るトレイ27を閉じた状態を示す斜視図である。本変形例は、前述の実施形態と比べて、側板部21の内側下部にトレイ27を備えた点が異なっており、その他の構成は同じである。なお、前述の実施形態と同一の要素には、同一の符号を付すなどして再度の説明を省略する。
【0054】
トレイ27は、平板状の部材であり、側板部21と接続する端部側面に回動軸271を有している。また、側板部21は、トレイ27を収容可能な凹部270を有し、凹部270の下端でトレイ27の回動軸271を回動可能に保持している。なお、本変形例では、トレイ27を側板部21に設けたが、トレイ27を補強板部22に設けてもよい。
【0055】
トレイ27は、
図15に示すように開いた状態で上面が水平になり、上面に物を載せることができるようになり、
図16に示すように閉じた状態で側板部21の凹部270内に収容される。
【0056】
このように本変形例によれば、トレイ27を展開することで鞄や靴等を載せることができ、不要時にはトレイ27を閉じ、邪魔にならないように側板部21内へ収容することができる。即ち、収納什器等を用いる場合には、トレイ27を閉じて、収納什器等を配置するスペースを広く確保することができる。
【0057】
<変形例3>
図17は、棚板28を側板部21間に設けた変形例3を示す図、
図18は、変形例3に係る棚受け部29を示す斜視図である。本変形例は、前述の実施形態と比べて、側板部21の内側面に棚受け部29を設け、棚受け部29により棚板28を架設した点が異なっており、その他の構成は同じである。なお、前述の実施形態と同一の要素には、同一の符号を付すなどして再度の説明を省略する。
【0058】
図18に示すように、本変形例では、側板部21の内側面に、複数の孔280を高さ方向に列設し、この孔280の列を奥行方向に2列設けている。なお、各列の孔280は、夫々奥行方向に並ぶ孔280と同じ高さに設けられている。
【0059】
棚受け部29は、板状の基体部291と、基体部291の上部から鉤状に曲げられた爪部292と、基体部291の下端と繋がり爪部292と反対側へ突出した突部293とを有している。
【0060】
棚受け部29は、棚板28を設ける高さにある孔280に爪部292が挿入されることで孔280から吊り下げられ、この状態で突部293上に棚板28が載せられることで、棚板28を保持する。
【0061】
このように高さの異なる複数の孔280のうち、任意に選択した孔280に棚受け部29を取り付け、この棚受け部29に棚板28を保持させることにより、所望の高さに棚板28を設けることができる。また、棚板28は補助脚部分を避けて設置する事で、配線カバー23を通しての配設を損なう事は無い。
【0062】
<変形例4>
図19は、側板部21間に仕切り部材を設けた変形例4を示す図である。本変形例は、前述の実施形態と比べて、T字形脚部20の間に仕切り部材を設けた点が異なっており、その他の構成は同じである。なお、前述の実施形態と同一の要素には、同一の符号を付すなどして再度の説明を省略する。
【0063】
図19に示すように、仕切り部材26は、上縁に設けた取付部261により、T字形脚部20の配線カバー23や、天板10の下面に吊り下げられ、左右一対のT字形脚部20の間に配置されている。即ち、仕切り部材26は、天板10の下側の空間を奥行方向の中央において前後に仕切っている。
【0064】
なお、仕切り部材は、高い剛性を必要とするものでは無く、視線を遮ることや、温調した空気を机下部の空間に留めること等ができる部材であればよい。例えば、仕切り部材は、薄板、プラスチック製シート、布、紙等であってもよい。また、薄板やプラスチック製シートであれば、比較的軽量となるため、取付部261による取付構造もネジ等による締結に限らず、フックや磁石等による簡易な構成を採用することができる。
【0065】
このように、仕切り部材26を設けることにより、例えば、机1の正面に座った際、向い側からの視線を、仕切り部材26で遮ることができ、足元を気にせずに作業をすることができる。
【0066】
<変形例5>
図20は、変形例5に係る机1Aの正面図である。本変形例では、
図2の机1と比べて、幅の狭い天板10Aを採用した点が異なっており、その他の構成は同じである。なお、前述の実施形態と同一の要素には、同一の符号を付すなどして再度の説明を省略する。
【0067】
本変形例において、T字形脚部20は、
図2の机1と同一である。このため、天板10以外の多くの部品を共用でき、部品の種類を少なく抑えつつ、幅の異なる机の品揃えを増やすことができる。
【符号の説明】
【0068】
1 :机
10,10A:天板
11 :孔
12-16 :補強部
17 :上板
20 :T字形脚部
21 :側板部
22 :補強板部
23 :配線カバー
26 :仕切り部材
27 :トレイ
28 :棚板
29 :棚受け部
31 :機器
32 :配線
207 :スリット
210 :アジャスター
211 :第一締結部
212 :第二締結部
213 :ボルト
214,215:取付部
216 :スリット
217 :取付部
218 :取付部
219 :スリット
221 :アジャスター
222 :フック
223 :第三締結部
224 :フック
225 :スリット
226 :ボルト
231 :フック
261 :取付部
270 :凹部
271 :回動軸
280 :孔
291 :基体部
292 :爪部
293 :突部