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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059516
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】ブレーカ及び分電盤
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/02 20060101AFI20220406BHJP
   H01H 71/08 20060101ALI20220406BHJP
   H01H 73/20 20060101ALI20220406BHJP
   H02B 1/42 20060101ALI20220406BHJP
   G01B 5/08 20060101ALI20220406BHJP
   H02H 3/08 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
H01H73/02 B
H01H71/08
H01H73/20 B
H02B1/42
G01B5/08
H02H3/08 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167330
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 修平
(72)【発明者】
【氏名】松原 禄典
【テーマコード(参考)】
2F062
5G004
5G030
5G211
【Fターム(参考)】
2F062AA32
2F062BB02
2F062BC01
2F062CC05
2F062CC08
2F062CC23
2F062DD35
2F062EE05
2F062EE13
2F062EE62
2F062GG51
2F062GG62
2F062NN02
5G004AA01
5G004AB02
5G004BA04
5G004DA01
5G004DC07
5G030EA01
5G030FA11
5G030XX18
5G211DD04
(57)【要約】
【課題】ブレーカに接続された電線に、許容電流よりも大きな電流が流れるのを抑制する。
【解決手段】ブレーカ10は、電線21の導体211が直接かつ電気的に接続される接続端子101と、接続端子101に接続されている接点部11と、定格電流に応じて決まる電流閾値を超える電流が接点部11に流れると接点部11をオフさせる引き外し動作を行う引き外し部12と、接続端子101に接続された導体211の径を計測する計測部16と、計測部16で計測された導体211の径に基づいて、電線21の許容電流を推定する推定部171と、推定部171で推定された許容電流と定格電流との比較結果に基づいて、許容電流を超える電流が電線21に流れるのを制限する制限動作を行う制限部173と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の導体が直接かつ電気的に接続される接続端子と、
前記接続端子に接続されている接点部と、
定格電流に応じて決まる電流閾値を超える電流が前記接点部に流れると前記接点部をオフさせる引き外し動作を行う引き外し部と、
前記接続端子に接続された前記導体の径を計測する計測部と、
前記計測部で計測された前記導体の径に基づいて、前記電線の許容電流を推定する推定部と、
前記推定部で推定された前記許容電流と前記定格電流との比較結果に基づいて、前記許容電流を超える電流が前記電線に流れるのを制限する制限動作を行う制限部と、
を備える、
ブレーカ。
【請求項2】
前記制限動作は、前記接点部をオフに維持することを含む、
請求項1に記載のブレーカ。
【請求項3】
前記定格電流を設定するための定格電流設定部を更に備え、
前記制限動作は、前記定格電流設定部が前記許容電流よりも大きな値に前記定格電流を変更することを禁止することを含む、
請求項1又は2に記載のブレーカ。
【請求項4】
前記許容電流が前記定格電流未満の場合に、前記許容電流が前記定格電流未満であることを通知する通知部を更に備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載のブレーカ。
【請求項5】
前記接続端子は、弾性を有し、前記導体が接続される際に変形するばね部を備え、
前記計測部は、
前記ばね部の変形量を計測するセンサを備え、
前記センサで計測された前記変形量に基づいて前記導体の径を計測する、
請求項1~4のいずれか1項に記載のブレーカ。
【請求項6】
前記推定部は、前記導体の径と前記許容電流との間の対応関係を示す対応データに基づいて、前記許容電流を推定し、
前記ブレーカは、前記対応データを更新する更新部を更に備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載のブレーカ。
【請求項7】
前記制限動作を無効化する無効化部を更に備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載のブレーカ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のブレーカと、
前記ブレーカを収容する分電盤用キャビネットと、
を備える、
分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にブレーカ及び分電盤に関する。本開示は、より詳細には、ねじなし端子(速結端子)を備えるブレーカ、及びブレーカを備える分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回路の遮断電流容量を可変にできるノーヒューズブレーカが記載されている。
【0003】
このブレーカは、コイルが巻かれた鉄心と、この鉄心に吸引される回路遮断用鉄片とを備えている。コイルの端部及び途中の複数個所に、タップが設けられている。タップは、回路遮断電流容量に対応した起電力を生起する巻き数の個所に、取り付けられる。外部からの接点によってタップの切り替えを行うことで、回路遮断電流容量が決定される。
【0004】
コイルが挿入された回路に電流が流れ、その電流値が、接点を介して設定された回路遮断電流値を超過すると、鉄心が回路遮断用鉄心を吸引して回路が遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4-56029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたようなブレーカにおいて、回路遮断電流容量が大きな値に設定されている場合、許容電流が比較的小さな電線がブレーカに接続されると、ブレーカの回路遮断電流容量が電線の許容電流よりも大きくなる可能性がある。
【0007】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、ブレーカに接続された電線に、許容電流よりも大きな電流が流れるのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係るブレーカは、接続端子と、接点部と、引き外し部と、計測部と、推定部と、制限部と、を備える。前記接続端子には、電線の導体が直接かつ電気的に接続される。前記接点部は、前記接続端子に接続されている。前記引き外し部は、引き外し動作を行う。引き外し動作は、定格電流に応じて決まる電流閾値を超える電流が前記接点部に流れると前記接点部をオフさせる動作を含む。前記計測部は、前記接続端子に接続された前記導体の径を計測する。前記推定部は、前記計測部で計測された前記導体の径に基づいて、前記電線の許容電流を推定する。前記制限部は、前記推定部で推定された前記許容電流と前記定格電流との比較結果に基づいて、制限動作を行う。制限動作は、前記許容電流を超える電流が前記電線に流れるのを制限する動作を含む。
【0009】
本開示の一態様に係る分電盤は、前記ブレーカと、分電盤用キャビネットと、を備える。前記分電盤用キャビネットは、前記ブレーカを収容する。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、ブレーカに接続された電線に、許容電流よりも大きな電流が流れるのを抑制することが可能となる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るブレーカのブロック図である。
図2図2は、同上のブレーカを備えた分電盤の概略構成を示す説明図である。
図3図3は、同上の分電盤に設けられる分岐ブレーカの内部回路図である。
図4図4は、同上の分岐ブレーカの一部破断した側面図である。
図5図5は、一変形例のブレーカの接続端子の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係るブレーカ10、及び分電盤90について、添付の図面を参照して説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0013】
(1)概要
本実施形態のブレーカ10は、施設に設置された分電盤90に収容されている。
【0014】
図2に示すように、分電盤90には、主幹ブレーカ40と、複数の分岐ブレーカ50と、が収容されている。主幹ブレーカ40は、引込線20を介して、系統電源100に接続されている。各分岐ブレーカ50は、主幹ブレーカ40に接続されている。分岐ブレーカ50には、電線21を介して、電気機器、コンセント等の負荷が接続されている。
【0015】
本実施形態では、「施設」は、店舗、オフィス、工場、ビル、学校、福祉施設、又は病院等の非住宅施設、及び戸建住宅、集合住宅、又は集合住宅の各住戸等の住宅施設を含み得る。非住宅施設には、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、百貨店、ホテル、旅館、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅及び空港等も含み得る。さらには、本開示でいう「施設」には、建物(建造物)だけでなく、球場、庭、駐車場、グランド及び公園等の屋外施設を含み得る。
【0016】
本実施形態のブレーカ10は、分岐ブレーカ50として具体化されている。
【0017】
ブレーカ10は、図1に示すように、接続端子101と、接点部11と、引き外し部12と、計測部16と、推定部171と、制限部173と、を備えている。
【0018】
接続端子101には、電線21の導体211(図4参照)が直接かつ電気的に接続される。接点部11は、接続端子101に接続されている。引き外し部12は、引き外し動作を行う。引き外し動作は、電流閾値を超える電流が接点部11に流れると接点部11をオフさせる動作を含む。電流閾値は、ブレーカ10の定格電流に応じて決まる値である。
【0019】
計測部16は、接続端子101に接続された電線21の導体211の径を計測する。推定部171は、計測部16で計測された導体211の径に基づいて、電線21の許容電流を推定する。本開示では、「許容電流」は、定常的に電流を流した時に導体の温度上昇が導体を被覆している絶縁体の耐熱温度を超えない、という条件を満たす電流値であり、電線21の導体211の径、絶縁体212の種類等によって決まる値である。
【0020】
制限部173は、推定部171で推定された許容電流と定格電流との比較結果に基づいて、制限動作を行う。制限動作は、許容電流を超える電流が電線21に流れるのを制限する動作を含む。
【0021】
本実施形態のブレーカ10では、制限部173が、推定部171で推定された許容電流と定格電流との比較結果に基づいて、許容電流を超える電流が電線21に流れるのを制限する。そのため、本実施形態のブレーカ10によれば、ブレーカ10に接続された電線21に、電線21の許容電流よりも大きな電流が流れるのを抑制することが可能となる、とう効果がある。
【0022】
(2)詳細
以下、本実施形態のブレーカ10及び分電盤90について、図面を参照してより詳細に説明する。
【0023】
本実施形態のブレーカ10としての分岐ブレーカ50は、分電盤90の分電盤用キャビネット91内に収容されている。
【0024】
(2.1)分電盤
分電盤90は、図2に示すように、主幹ブレーカ40と、複数の分岐ブレーカ50と、分電盤用キャビネット91と、を備えている。
【0025】
分電盤用キャビネット91は、前面が開口した箱型のボディ92と、ボディ92の前面を塞ぐカバーと、を備えている。カバーは、閉位置と開位置との間で移動可能な状態でボディ92に取り付けられる。閉位置はボディ92の前面を覆う位置であり、開位置はボディ92の前面の少なくとも一部を覆わない位置である。図2においては、カバーの図示を省略している。分電盤用キャビネット91は、造営材(例えば建物の壁)に取り付けられる。
【0026】
分電盤用キャビネット91の内部には、内器として主幹ブレーカ40と複数の分岐ブレーカ50とが収納されている。図2は、分電盤用キャビネット91の内部における主幹ブレーカ40、及び複数の分岐ブレーカ50の配置を示しているが、これらの配置は一例であり、適宜変更が可能である。
【0027】
主幹ブレーカ40は、分電盤用キャビネット91の内部において、左右方向の中央において上側の位置に配置されている。主幹ブレーカ40は、第1端子44と、第2端子45と、第1端子44と第2端子45との間に電気的に接続された接点部と、を備えている。ここでは、第1端子44及び第2端子45は、ねじ端子である。また、主幹ブレーカ40は、接点部を内部に収容する筐体42を備えている。第1端子44は、筐体42の前面に配置されている。また、主幹ブレーカ40は、接点部をオン及びオフするためにユーザにより操作される操作レバー43を、筐体42の前面に備えている。また、主幹ブレーカ40は、接点部に短絡電流又は過負荷電流等の過電流が流れると接点部をオフさせる引き外し回路を備えている。引き外し回路は、例えば、電磁石装置を含んでいる。電磁石装置は、主幹ブレーカ40内の電路の一部を構成する励磁コイルを含んでいる。また、主幹ブレーカ40は、接点部に漏電電流が流れる異常状態を検出すると接点部をオフさせる漏電遮断機構を備えている。
【0028】
本実施形態の分電盤90では、配電方式として単相三線式を想定しているので、主幹ブレーカ40の第1端子44には、系統電源100(商用電源)の単相三線式の3本の引込線20が電気的に接続される。
【0029】
主幹ブレーカ40の第2端子45には、第1電圧極(L1相)の導電バー60(図3参照)、第2電圧極(L2相)の導電バー60、及び中性極(N相)の導電バー60が、導電部材23を介して電気的に接続されている。3本の導電バー60の各々は、金属板にプレス加工を施すことによって帯板状に形成されている。
【0030】
複数の分岐ブレーカ50は、分電盤用キャビネット91の内部に配置された矩形板状の取付部材30に取り付けられている。
【0031】
取付部材30は、平面形状が矩形状の金属板であり、分電盤用キャビネット91のボディ92の内壁に例えばねジで固定されている。取付部材30の左右方向における中央部には3本の導電バー60が取り付けられている。3本の導電バー60は、長手方向が上下方向と平行し、かつ前後方向において間隔をあけて並ぶように配置されている。取付部材30には、導電バー60に対して左右両側に、複数の分岐ブレーカ50が上下方向に並べて配置されるように、取り付けられている。なお、導電バー60の前面は、導電バー60の前側に配置される合成樹脂製のカバー61によって覆われている。
【0032】
取付部材30には、接地線24の一端を接続するためのネジ端子32が設けられている。接地線24の他端は接地端子33に電気的に接続されており、取付部材30は接地線24,25を介して接地されている。
【0033】
分岐ブレーカ50の電気的な構成を、図3に示す。図3に示すように、分岐ブレーカ50は、一対の第1端子501と、一対の第2端子502と、第3端子503と、第4端子504と、を備えている。また、分岐ブレーカ50は、第1端子501と第2端子502との間に電気的に接続される接点部51を備えている。
【0034】
図2図4に示すように、分岐ブレーカ50は、接点部51を内部に収容する筐体52を備えている。各分岐ブレーカ50の筐体52の前面には、接点部51をオン及びオフするためにユーザにより操作される操作レバー53(図2図4参照)が設けられている。
【0035】
分岐ブレーカ50には、100V用と200V用とがある。100V用の分岐ブレーカ50が備える一対の第1端子501は、第1電圧極の導電バー60及び第2電圧極の導電バー60のうちの一方と、中性極の導電バー60とにそれぞれ電気的に接続される。200V用の分岐ブレーカ50が備える一対の第1端子501は、第1電圧極の導電バー60と、第2電圧極の導電バー60とにそれぞれ電気的に接続される。また、分岐ブレーカ50の第2端子502には、対応する電線21が電気的に接続される。各分岐ブレーカ50の第2端子502に接続された電線21には、例えば、照明器具、給湯設備等の電気機器、コンセント又は壁スイッチ等の配線器具が負荷として1つ以上接続される。したがって、分電盤90は、分岐ブレーカ50の第2端子502に電線21を介して接続された電気機器、又はコンセントに接続された電気機器(例えば空調機器又はテレビ受像器等)等に電力を供給することができる。
【0036】
第3端子503には、負荷側からの電線22(接地分岐線)が接続される。第3端子503は、電線22が接続される接地分岐線端子となる。例えば、第3端子503には、コンセントの接地極に電気的に接続された電線22が接続される。
【0037】
第3端子503と第4端子504とは、短絡回路(導体)55によって電気的に接続されている。短絡回路55は、筐体52内に配置された導電板550(図4参照)により構成される。
【0038】
また、取付部材30には、例えば取付部材30の一部を切り起こすことによって、側面視の形状がL型に形成された係止片31が設けられている(図4参照)。取付部材30に分岐ブレーカ50が取り付けられると、係止片31が分岐ブレーカ50の第4端子504に電気的に接続されることによって、第4端子504が取付部材30に電気的に接続される。これにより、第3端子503に接続された電線22が、取付部材30に接続されて接地される。
【0039】
分岐ブレーカ50は、接点部51に短絡電流又は過負荷電流等の過電流が流れると接点部51を開極させる引き外し回路を備えている。引き外し回路は、例えば、電磁石装置を含んでいる。電磁石装置は、分岐ブレーカ50内の電路の一部を構成する励磁コイルを含んでいる。また、分岐ブレーカ50は、接点部51に漏電電流が流れる異常状態を検出すると接点部51を開極させる漏電遮断機構を備えている。
【0040】
次に、図4を参照して、分岐ブレーカ50の第2端子502及び第3端子503の構造について説明する。
【0041】
第2端子502は、ねじなし端子(いわゆる速結端子)70によって構成される。同様に、第3端子503は、速結端子80によって構成される。速結端子70には、導体211を絶縁体212で被覆した電線21の導体211が直接かつ電気的に接続される。また、速結端子80には、導体221を絶縁体222で被覆した電線22の導体221が直接かつ電気的に接続される。
【0042】
筐体52には、長手方向の一端側(図4の右側)に、第2端子502となる速結端子70と、第3端子503となる速結端子80とが、高さ方向(図4の上下方向)に2段に並ぶように(図2参照)設けられている。本実施形態では、速結端子70が図4の上側、速結端子80が図4の下側に位置するように筐体52に収納されている。
【0043】
図2に示すように、本実施形態の分岐ブレーカ50は、速結端子70及び速結端子80を2個ずつ備えている。2個の速結端子70は筐体52の幅方向(図4の紙面に垂直な方向)に並ぶように配置され、2個の速結端子80も筐体52の幅方向に並ぶように配置されている。筐体52の側面には、2個の速結端子70にそれぞれ対応する位置に2個の貫通孔57が設けられ、2個の速結端子80にそれぞれ対応する位置に2個の貫通孔58が設けられている。
【0044】
図4に示すように、速結端子70は、端子板71と、鎖錠ばね72と、解除レバー73とを備える。
【0045】
端子板71は、接点部51に電気的に接続されている。端子板71は、貫通孔57から筐体52の内部に挿入される電線21と対向する位置に配置されている。
【0046】
鎖錠ばね72は、帯板状の板ばねの長手方向における両端部を曲げることによって形成されている。鎖錠ばね72は、中央部分の長手方向における一端側に設けられた鎖錠片74と、中央部分の長手方向における他端側に設けられた押圧片75とを備えている。鎖錠片74は、鎖錠ばね72の中央部分の一端側をJ字形に曲げることによって形成されている。押圧片75は、鎖錠ばね72の中央部分の他端側をS字形に曲げることによって形成されている。鎖錠ばね72は、鎖錠片74及び押圧片75を端子板71に対向させるようにして筐体52の内部に収納されている。
【0047】
鎖錠片74は、押圧片75よりも貫通孔57に近い位置に配置されている。貫通孔57から筐体52の内部に電線21の導体211が挿入されると、導体211に鎖錠片74の先端が食い込み、速結端子70から電線21を取り外しできない状態となる。貫通孔57から筐体52の内部に挿入された導体211が端子板71と押圧片75との間に挿入されると、押圧片75の弾性力によって導体211が端子板71に押し付けられ、導体211と端子板71とが電気的に接続される。
【0048】
解除レバー73は、筐体52に支持された軸76を中心として回転自在に筐体52に取り付けられている。解除レバー73には、筐体52の開口59から露出する部位に操作突起77が設けられている。解除レバー73には、解除レバー73が回転させられることによって、端子板71から離れる向きに鎖錠片74を押す突起78が設けられている。鎖錠ばね72と端子板71との間に電線21の導体211が挿入されている状態で、操作突起77を操作して解除レバー73を図4中の時計回りに回転させると、突起78によって鎖錠片74が端子板71から離れる向きにたわめられる。鎖錠片74が端子板71から離れる向きにたわめられると、鎖錠片74の先端が導体211から離れるので、電線21の抜け止め状態が解除され、電線21の取り外しが可能になる。操作突起77を操作する力がなくなると、鎖錠片74の弾性復帰力によって突起78が押され、解除レバー73が操作前の回転位置まで移動した状態となる。
【0049】
速結端子80は、端子板81と、鎖錠ばね82と、解除部材83とを備える。
【0050】
端子板81は、貫通孔58から筐体52の内部に挿入される電線22(接地分岐線)と対向する位置に配置されている。端子板81には、溶接、ロウ付け、かしめ固定等の適宜の方法で、導電板550の一端が固定されており、端子板81と導電板550とが電気的に接続されている。
【0051】
鎖錠ばね82は、鎖錠片84と、押圧片85と、を備えている。鎖錠ばね82は、鎖錠片84及び押圧片85を端子板81に対向させるようにして筐体52の内部に収納されており、電線22の導体221を端子板81に電気的に接続させる。鎖錠ばね82の構造及び機能は、鎖錠ばね72と同様なので、詳細な説明は省略する。
【0052】
解除部材83は、筐体52の図4における右側壁を貫通して設けられた保持孔に、進退可能に配置されている。解除部材83の操作部86は筐体52の表面から外側に露出している。解除部材83には、操作部86が押されることによって、端子板81から離れる向きに鎖錠片84を押す突起87が設けられている。鎖錠ばね82と端子板81との間に導体221が挿入されている状態で、操作部86を押すと、突起87によって鎖錠片84が端子板81から離れる向きにたわめられる。鎖錠片84が端子板81から離れる向きにたわめられると、鎖錠片84の先端が導体221から離れるので、電線22の抜け止め状態が解除され、電線22の取り外しが可能になる。操作部86を押す力がなくなると、鎖錠片84の弾性復帰力によって突起87が押され、筐体52の表面から操作部86が突出した状態となる。
【0053】
(2.2)ブレーカ
上述のように、本実施形態では、ブレーカ10は分岐ブレーカ50として具体化されている。
【0054】
図1に示すように、ブレーカ10は、接続端子101と、接点部11と、引き外し部12と、表示部13と、操作部14と、通信部15と、計測部16と、処理部17と、記憶部18と、を備えている。
【0055】
接続端子101には、電線21の導体211(図4参照)が直接かつ電気的に接続される。本実施形態では、接続端子101は、分岐ブレーカ50の第2端子502(速結端子70)により構成されている。要するに、接続端子101は、弾性を有し、導体211が接続される際に変形するばね部105(鎖錠ばね72)を有している。
【0056】
接点部11は、接続端子101に接続されている。本実施形態では、接点部11は、分岐ブレーカ50の接点部51により構成されている。
【0057】
引き外し部12は、引き外し動作を行う。引き外し動作は、電流閾値を超える電流が接点部11に流れると接点部11をオフさせる動作を含む。本実施形態では、引き外し部12は、分岐ブレーカ50の引き外し回路により構成されている。電流閾値は、ブレーカ10(分岐ブレーカ50)の定格電流に応じて決まる値である。
【0058】
ここで、本実施形態のブレーカ10は、定格電流の値が可変である。定格電流の値は、記憶部18に記憶されており、例えば、ユーザからの操作部14への適宜の操作に応じて設定(変更)される。ただし、定格電流の変更可能な範囲は、ブレーカ10の電路を構成する導体(編組線等)等に応じて、上限が決められている。ユーザは、この変更可能な範囲内で、定格電流の値を設定する。
【0059】
また、ブレーカ10では、電流閾値も、定格電流の変更に応じて変更される。定格電流と電流閾値との間の対応関係を示す対応データ(第1対応データ)は、例えばデータテーブルの形式で、記憶部18に記憶されている。
【0060】
本実施形態のブレーカ10(引き外し部12)は、例えば、接点部51を含む電路に流れる電流の電流値を計測する電流センサと、プロセッサの一機能としての遮断制御部と、を備えている。遮断制御部は、電流センサで計測された電流値と電流閾値との比較を行い、電流値が電流閾値を超えると接点部11をオフさせる(引き外し動作)。
【0061】
表示部13は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を備えている。表示部13は、例えば、ブレーカ10としての分岐ブレーカ50の、筐体52の前面に設けられる。表示部13は、処理部17により制御されることで、種々の情報を表示する。表示部13は、例えば、ブレーカ10の定格電流の値を表示する。なお、図2では、表示部13の図示を省略している。
【0062】
操作部14は、ユーザの操作を受け付ける。操作部14は、スイッチ、釦、表示部13と一体化されたタッチパネルディスプレイ等の適宜のユーザインタフェースを含み得る。
【0063】
通信部15は、外部装置と通信可能に構成されている。通信部15は、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、外部装置との間で信号を授受する。外部装置は、例えば、ユーザが所有する情報端末(スマートフォン、タブレット端末等)である。その他、外部装置は、サーバ装置等であってもよい。
【0064】
計測部16は、接続端子101(第2端子502)に接続された電線21の導体211の径を計測する。
【0065】
計測部16は、ここでは、ばね部105(鎖錠ばね72)の変形量を計測するセンサ161を備えている。センサ161は、例えば、ばね部105の歪みを計測する歪みゲージを備える。センサ161は、例えば、鎖錠ばね72の鎖錠片74の屈曲部分(図4の「A1」で示す部分)に配置され、導体211が速結端子70に接続される際に変形する鎖錠片74の歪みを計測することで、鎖錠ばね72(ばね部105)の変形量を計測する。
【0066】
また、計測部16は、センサ161で計測されたばね部105の変形量に基づいて、導体211の径を計測(決定)する。計測部16は、例えば、ばね部105の変形量と導体211の径との間の対応関係を示す対応データ(第2対応データ)に基づいて、導体211の径を決定する。対応データは、例えば記憶部18に記憶されている。対応データは、例えば、所定のデータテーブル又は所定の関係式等であり得る。
【0067】
処理部17は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、処理部17としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0068】
処理部17は、定格電流設定部170、推定部171、比較判定部172、制限部173、通知部174、更新部175、無効化部176を備えている。なお、定格電流設定部170、推定部171、比較判定部172、制限部173、通知部174、更新部175、無効化部176は、実体のある構成を示しているわけではなく、処理部17によって実現される機能を示している。
【0069】
定格電流設定部170は、ブレーカ10の定格電流を設定する。定格電流設定部170は、操作部14へのユーザの適宜の操作、又は通信部15で受信した適宜の指示信号等に応じて、ブレーカ10の定格電流を設定(変更)する。
【0070】
推定部171は、計測部16で計測された導体211の径に基づいて、電線21の許容電流を推定する。
【0071】
推定部171は、導体211の径と許容電流との間の対応関係を示す対応データ(第3対応データ)に基づいて、電線21の許容電流を推定する。対応データは、例えば記憶部18に記憶されている。対応データは、例えば、所定のデータテーブル又は所定の関係式等であり得る。一具体例において、対応データは、JIS C 9335-1:2014で規定された、絶縁電線の断面積と許容電流との間の関係を示すデータデーブルに基づいたデータであり得る。
【0072】
比較判定部172は、許容電流と定格電流とを比較する。許容電流は、推定部171で推定された、導体211の径に基づく値である。定格電流は、記憶部18に記憶されている値である。比較判定部172は、比較結果に基づいて、許容電流が定格電流未満であるか否かを判定する。
【0073】
制限部173は、比較判定部172での比較結果に基づいて、制限動作を行う。制限動作は、許容電流を超える電流が電線21に流れるのを制限する動作を含む。
【0074】
制限部173は、許容電流が定格電流未満の場合に、制限動作を行う。要するに、制限部173は、接続端子101に電線21が接続された場合において、この電線21の許容電流がブレーカ10の定格電流未満の場合に、制限動作を行う。
【0075】
制限動作は、接点部11をオフに維持することを含み得る。制限部173は、電線21の許容電流がブレーカ10の定格電流未満の場合、接点部11をオフに維持させる。これにより、接続端子101に接続された電線21には、電流が供給されない。そのため、許容電流より大きな電流が電線21に流れるのが、未然に防止される。なお、接点部11をオフに維持する機構は、機械的なロック機構で実現され得るので、説明は省略する。
【0076】
制限動作は、定格電流設定部170が許容電流よりも大きな値に定格電流を変更することを禁止することを含み得る。より詳細には、制限動作は、接続端子101への電線21の接続後において、例えばユーザからの操作部14への操作に応じて定格電流設定部170が定格電流を変更する場合に、定格電流設定部170が電線21の許容電流よりも大きな値に定格電流を変更することを禁止する(操作部14への操作に応じた定格電流の変更を、受け付けない)ことを含み得る。これにより、ブレーカ10の定格電流が許容電流より大きな値に設定されるのが防止されるので、許容電流より大きな電流が電線21に流れるのが、未然に防止される。
【0077】
制限動作は、許容電流が定格電流未満となるように、ブレーカ10の定格電流を変更することを含み得る。すなわち、制限部173は、電線21の許容電流がブレーカ10の定格電流未満の場合、許容電流が定格電流未満となるように、ブレーカ10の定格電流を変更する(小さくする)。これにより、許容電流より大きな電流が電線21に流れるのが、未然に防止される。
【0078】
通知部174は、比較判定部172での比較結果に基づいて、許容電流が定格電流未満の場合に、許容電流が定格電流未満であることを通知する。すなわち、通知部174は、接続端子101に電線21が接続された場合において、電線21の許容電流がブレーカ10の定格電流未満である場合に、その旨をユーザに通知する。これにより、ユーザは、電線21の変更、ブレーカ10の定格電流の変更等の対処を行うことが可能となる。
【0079】
本実施形態では、通知部174は、表示部13を用いて通知を行う。表示部13は、通知部174に制御されることで、例えば、許容電流が定格電流未満であることを示す文字列等を表示する。
【0080】
更新部175は、対応データ(第3対応データ)を更新する。更新部175は、例えば、通信部15を介して外部装置から受信したデータに基づいて、記憶部18に記憶されている対応データを更新する。更新部175は、操作部14に対するユーザの所定の操作に応じて、対応データを更新してもよい。例えば、更新部175は、対応データの基となる規格が更新された場合に、対応データを更新してもよい。
【0081】
無効化部176は、制限動作を無効化する。無効化部176は、例えば、ユーザが操作部14に対して行う所定の操作(例えば、所定のスイッチの操作)に応じて、制限動作を無効化する。
【0082】
例えば、電線21の許容電流は、絶縁体212の種類によって異なり得る。そのため、電線21の絶縁体212の種類等によっては、推定部171によって推定された許容電流よりも、実際の電線21の許容電流の方が大きい場合があり得る。その場合に、ユーザからの所定の操作に応じて制限動作を無効化することで、接続端子101に接続された電線21の実際の許容電流までの電流を流すことが可能となる。
【0083】
記憶部18は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の電気的に書換え可能な不揮発性メモリ、及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ等を備える。その他、記憶部18は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)であってもよい。記憶部18は、処理部17を構成するマイクロコントローラのメモリと兼用されていてもよい。記憶部18は、定格電流と電流閾値との間の対応関係を示す第1対応データを記憶する。記憶部18は、計測部16が導体211の径を計測する際に用いる第2対応データを記憶する。記憶部18は、推定部171が電線21の許容電流を推定する際に用いる第3対応データを記憶する。記憶部18は、操作部14を用いて設定されたブレーカ10の定格電流の値を記憶する。
【0084】
以上説明したように、本実施形態のブレーカ10は、推定部171で推定された許容電流と定格電流との比較結果に基づいて、許容電流を超える電流が電線21に流れるのを制限する制限動作を行う制限部173を備えている。これにより、ブレーカ10に接続された電線21に、許容電流よりも大きな電流が流れるのを抑制することが可能となる。
【0085】
(3)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、ブレーカ10の推定部171及び制限部173と同様の機能は、ブレーカ10の制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0086】
一態様に係る制御方法は、電線21が接続される接続端子101と、接続端子101に接続されている接点部11と、定格電流に応じて決まる電流閾値を超える電流が接点部11に流れると接点部11をオフさせる引き外し動作を行う引き外し部12と、を備えるブレーカ10の制御方法である。制御方法は、接続端子101に接続された電線21の導体211の径を計測することと、計測された導体211の径に基づいて、電線21の許容電流を推定することと、推定された許容電流と定格電流との比較結果に基づいて、許容電流を超える電流が電線21に流れるのを制限する制限動作を行うことと、を含む。
【0087】
一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の制御方法を実行させるためのプログラムである。
【0088】
以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0089】
本開示におけるブレーカ10は、処理部17等にコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における処理部17としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0090】
また、処理部17における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることはブレーカ10に必須の構成ではなく、処理部17の各々の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。また、ブレーカ10における処理部17等の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ又はクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0091】
一変形例において、ブレーカ10は、主幹ブレーカ40により具体化されていてもよい。この場合、例えば、主幹ブレーカ40の第1端子44が、接続端子101となり得る。
【0092】
一変形例において、接続端子101のばね部105は、図5に示すように、側面視J字状に曲げられた、導電性を有する2つの板ばねを備えていてもよい。図5の例では、導体211をばね部105に差し込んだときの板ばねの移動量L1に基づいて、導体211の径を計測可能である。すなわち、計測部16が導体211の径を計測できれば、接続端子101の形状及び構造は特に限定されない。
【0093】
一変形例において、速結端子70の鎖錠ばね72は、導電性を有していなくてもよい。
【0094】
一変形例において、ばね部105は、導体211に直接接触する構造に限られない。
【0095】
一変形例において、センサ161は、歪みゲージに限られず、例えば鎖錠片74又は押圧片75に設けられた磁気センサであってもよい。磁気センサは、接続端子101(速結端子70)に電線21が接続されると、鎖錠片74又は押圧片75の移動に伴って移動する。この場合、例えば、端子板71に磁石が設けられ、磁気センサは、この磁石からの磁場の強さを計測してもよい。計測部16は、磁場の強さの変化に基づいて、導体211の径を計測することが可能である。
【0096】
一変形例において、表示部13は、文字列以外の手段、例えば適宜の表示灯の点灯等によって、許容電流が定格電流未満であることを通知してもよい。
【0097】
一変形例において、処理部17は、定格電流設定部170を備えていなくてもよい。すなわち、ブレーカ10は、定格電流が可変ではなく固定値であってもよい。
【0098】
一変形例において、通知部174は、通信部15を介して、許容電流が定格電流未満であることを外部装置に通知してもよい。
【0099】
一変形例において、通知部174は、表示部13及び通信部15以外の手段、例えば音声又は報知音等により、許容電流が定格電流未満であることを通知してもよい。
【0100】
一変形例において、更新部175は、第1対応データ又は第2対応データを更新可能であってもよい。
【0101】
(4)態様
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
【0102】
第1の態様のブレーカ(10)は、接続端子(101)と、接点部(11)と、引き外し部(12)と、計測部(16)と、推定部(171)と、制限部(173)と、を備える。接続端子(101)には、電線(21)の導体(211)が直接かつ電気的に接続される。接点部(11)は、接続端子(101)に接続されている。引き外し部(12)は、引き外し動作を行う。引き外し動作は、定格電流に応じて決まる電流閾値を超える電流が接点部(11)に流れると接点部(11)をオフさせる動作を含む。計測部(16)は、接続端子(101)に接続された導体(211)の径を計測する。推定部(171)は、計測部(16)で計測された導体(211)の径に基づいて、電線(21)の許容電流を推定する。制限部(173)は、推定部(171)で推定された許容電流と定格電流との比較結果に基づいて、制限動作を行う。制限動作は、許容電流を超える電流が電線(21)に流れるのを制限する動作を含む。
【0103】
この態様によれば、ブレーカ(10)に接続された電線(21)に、許容電流よりも大きな電流が流れるのを抑制することが可能となる、という利点がある。
【0104】
第2の態様のブレーカ(10)では、第1の態様において、制限動作は、接点部(11)をオフに維持することを含む。
【0105】
この態様によれば、許容電流より大きな電流が電線(21)に流れるのを未然に防止することが可能となる。
【0106】
第3の態様のブレーカ(10)では、第1又は第2の態様において、ブレーカ(10)は、定格電流を設定するための定格電流設定部(170)を更に備える。制限動作は、定格電流設定部(170)が許容電流よりも大きな値に定格電流を変更することを禁止することを含む。
【0107】
この態様によれば、ブレーカ(10)の定格電流が許容電流より大きな値に設定されるのが防止されるので、許容電流より大きな電流が電線(21)に流れるのを未然に防止することが可能となる。
【0108】
第4の態様のブレーカ(10)は、第1~第3のいずれか1つの態様において、通知部(174)を更に備える。通知部(174)は、許容電流が定格電流未満の場合に、許容電流が定格電流未満であることを通知する。
【0109】
この態様によれば、ユーザは、通知に基づいて、接続端子(101)に接続する電線(21)の変更、ブレーカ(10)の定格電流の変更等の対処を行うことが可能となる。
【0110】
第5の態様のブレーカ(10)では、第1~第4のいずれか1つの態様において、接続端子(101)は、弾性を有し導体(211)が接続される際に変形するばね部(鎖錠ばね72)を備える。計測部(16)は、ばね部の変形量を計測するセンサ(161)を備える。計測部(16)は、センサ(161)で計測された変形量に基づいて導体(211)の径を計測する。
【0111】
この態様によれば、ばね部の変形例を計測することで、導体(211)の径を間接的に計測することが可能となる。
【0112】
第6の態様のブレーカ(10)では、第1~第5のいずれか1つの態様において、推定部(171)は、導体(211)の径と許容電流との間の対応関係を示す対応データに基づいて、許容電流を推定する。ブレーカ(10)は、対応データを更新する更新部を更に備える。
【0113】
この態様によれば、例えば、対応データの基となる規格が更新された場合に、対応データを更新することが可能となる。
【0114】
第7の態様のブレーカ(10)は、第1~第6のいずれか1つの態様において、制限動作を無効化する無効化部(176)を更に備える。
【0115】
この態様によれば、推定部(171)によって推定された許容電流よりも実際の電線(21)の許容電流の方が大きい場合に、電線(21)の実際の許容電流までの電流を流すことが可能となる。
【0116】
第8の態様の分電盤(90)は、第1~第7のいずれか1つの態様のブレーカ(10)と、分電盤用キャビネット(91)と、を備える。分電盤用キャビネット(91)は、ブレーカ(10)を収容する。
【符号の説明】
【0117】
10 ブレーカ
101 接続端子
11 接点部
12 引き外し部
16 計測部
161 センサ
171 推定部
173 制限部
174 通知部
176 無効化部
21 電線
211 導体
90 分電盤
91 分電盤用キャビネット
図1
図2
図3
図4
図5