(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059527
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】指圧器
(51)【国際特許分類】
A61H 39/04 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
A61H39/04 U
A61H39/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167348
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】720006711
【氏名又は名称】伊藤 真
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 晢子
【テーマコード(参考)】
4C101
【Fターム(参考)】
4C101BA01
4C101BB02
4C101BB08
4C101BB10
4C101BC27
4C101BD12
4C101BD13
4C101BD16
4C101BD26
4C101BE02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被指圧部位の厚みによらず把持部の開きを最も握り易い開度で使用することができるとともに、被指圧部位に押圧力を効果的に作用させながらも、被指圧部位の反対側の身体表面に作用する押圧力に対抗する力を十分に緩和し、手軽かつ効果的に指圧を行うことができる指圧器を提供する。
【解決手段】一対の操作体2、3を支点ピン4により互いに回動可能に軸着し、一方の操作体2の先端部2aに指圧部位に当接させて指圧部位を押圧する押圧子6を、他方の操作体3の先端部3aに押圧子6の押圧力に対抗して釣り合う反力を支持する支持部7を、互いに対向させて装着する指圧器において、少なくとも押圧子6又は支持部7の一方が、操作体2、3の表面2b、3bからの高さを調整自在、かつ保持可能な調整部5により操作体2、3に装着されるようにしたことを特徴とする指圧器1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の操作体を支点ピンにより互いに回動可能に軸着し、一方の操作体の先端部に指圧部位に当接させて前記指圧部位を押圧する押圧子を、他方の操作体の先端部に前記押圧子の押圧力に対抗して釣り合う反力を支持する支持部を、互いに対向させて装着する指圧器において、少なくとも前記押圧子又は前記支持部の一方が、前記押圧子の頂部又は前記支持部の頂部の前記操作体の表面からの高さを調整自在、かつ保持可能な調整部により前記操作体に装着されるようにしたことを特徴とする指圧器。
【請求項2】
前記調整部は、先端に前記押圧子もしくは前記支持部を取付け、外周に形成した雄ねじ部に調整部材を螺合させた調整軸をその後端から前記操作体に形成した貫通孔に挿通し、前記調整部材を回動させて前記調整部材が前記操作体に当接する前記調整軸上の位置を変化させて前記押圧子の頂部又は前記支持部の頂部の前記操作体の表面からの高さを調整すると共に、前記貫通孔を挿通した前記調整軸の後端側から前記調整軸に螺合させた留め金と前記調整部材により前記操作体を挟んで締め付けて前記調整軸を前記操作体に固着させてその高さを保持する請求項1に記載の指圧器。
【請求項3】
前記押圧子は、先端を凸曲面形状に形成した柱状体、若しくは球状体、楕円体である請求項1又は2に記載の指圧器。
【請求項4】
前記押圧子は、先端を凸曲面形状に形成した柱状体、若しくは球状体、楕円体の主押圧子と複数の突起物を形成した副押圧子とを同軸上に配し、前記副押圧子を進退自在とした請求項1又は2に記載の指圧器。
【請求項5】
前記押圧子は、先端を凸曲面形状に形成した柱状体、若しくは球状体、楕円体と前記調整軸とを回動自在に軸着した請求項1又は2に記載の指圧器。
【請求項6】
前記支持部は、表面を凸曲面形状の弾性体で被覆した請求項1乃至5の何れか1項に記載の指圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自分自身で被押圧部位を手軽かつ効果的に指圧することができる指圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
指圧は、あん摩・マッサージのように揉んだり、叩いたりすることなく、主に手指で体表の一定部位を押圧することにより、生体の変調を矯正したり、健康の維持増進を図ったりする技法であり、手指で押圧する被押圧部位は「ツボ」と呼ばれている。
【0003】
ツボは体表面に数多く存在するが、特に、手のひら、手の甲、手首、足の裏には数多くのツボが存在し、特定のツボを指圧することにより肩コリや首コリを改善したり、倦怠感・自律神経のバランスを調節したりする等の効果があるため、専門家による指圧を受けるだけではなく、自分自身で手のひら、手の甲、手首、足の裏のツボを指圧することも広く行われている。
【0004】
指圧は、親指の腹でツボを押圧するのが基本であるが、押圧する際の原則として垂直の原則、持続の原則、集中の原則があるため、自分自身に対して指圧を行う場合には、親指で指圧するよりも、道具を使うとより少ない力でピンポイントにツボを刺激し易く、より高い効果が得られる。
【0005】
このような指圧器として、例えば、特許文献1には、中間位置において支点部材によって互い回動自在に連結された一対の支持体と、一対の支持体の基端側に設けられている指掛け部と、一対の支持体の先端部において互いに対向するように取付けられた押圧部材と、を具備するはさみ式指圧具が開示されている。
【0006】
このはさみ式指圧具では、支持体に設けた指掛け部に指を挿入し、一対の支持体を支点部材を介して互いに逆方向に回動させることによって、一対の支持体の先端側に取り付けた押圧部材で人体の所定の部位を押圧することができ、また指掛け部を通して一対の支持体に加える力を加減することによって押圧力を任意に調整し、人体の各部位を適宜挟んで指圧することができる。
【0007】
また、特許文献2には、互いに開閉可能にピボットを介して枢着された一対のレバー部材と、両レバー部材に把握操作による閉角方向の加圧力を付与する一対のハンドル部材と、両レバー部材の一方及び他方に互いに対向して設けられ、ハンドル部材の把握操作により互いに接近運動する指圧子及び受け台とからなる指圧器具が開示されている。
【0008】
この指圧器具では、ハンドル部材の把握操作により両レバー部材に閉角方向の加圧力を付与すると、指圧子と受け台に梃子の作用による所要の挟圧力が生じ、それによって身体の被指圧部位は指圧子により所要の指圧力で局部的に作用させて効果的に指圧することができ、その局部的な指圧力は被指圧部位の裏面において受け台により比較的広い面積で均等に受容されるので、有効且つ快適な指圧が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3147367号公報
【特許文献2】特開2001-346851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1のはさみ式指圧具は、一対の押圧部材により被指圧部を表裏両面から挟んで押圧する構成であるが、一対の押圧部材が同大、かつ同一形状であるため、押圧する被指圧部の反対側の身体部位にも押圧力と同じ大きさの力が作用する。人間の手指による指圧では、被指圧部に作用する押圧力に対抗する力は、被指圧部の反対側の身体表面や体全体に分散して付加されるため、押圧力に対抗する力が身体に作用することを意識することほとんどなく、快適に指圧を受けることができる。これに対して、特許文献1のはさみ式指圧具では、前述のとおり被指圧部の反対側の身体の部位にも押圧力と同じ大きさの力が押圧力に対抗して作用するために被指圧部以外にも押圧力を感じ、指圧の快適性が損なわれることになる。
【0011】
特許文献2の指圧器具では、指圧子よりも大面積の受け台を指圧子に対抗して設けているため、被指圧部の反対側の身体表面に作用する押圧力に対抗する力を緩和することができるが、受け台が簡単な平面で構成されているため、受け台を指圧子よりも大面積に設けた効果を十分に発揮することができない。
【0012】
これらに加え、特許文献1のはさみ式指圧具と特許文献2の指圧器具では、押圧部材や指圧子が支持体やハンドル部材に直接固定されているため、指圧部位の厚みの違いに応じて支持体やハンドル部材の開度を変化させる必要があり、足の裏等の比較的に厚みのある部位を指圧する際には支持体やハンドル部材の開きが大きくなり、より厚みが薄い手のひらを押圧する際には支持体やハンドル部材の開きが小さくなる結果、ハンドル部材等の把握操作を指圧部位の厚みに関わらず最も握り易い開度で行うことができない。
【0013】
本発明は、上記の課題点を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、被指圧部位の厚みによらず把持部の開きを握り易い開度で使用することができるとともに、被指圧部位に押圧力を効果的に作用させながらも、被指圧部位の反対側の身体表面に作用する押圧力に対抗する力を十分に緩和し、手軽かつ効果的に指圧を行うことができる指圧器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、一対の操作体を支点ピンにより互いに回動可能に軸着し、一方の操作体の先端部に指圧部位に当接させて指圧部位を押圧する押圧子を、他方の操作体の先端部に押圧子の押圧力に対抗して釣り合う反力を支持する支持部を、互い対向させて装着する指圧器において、少なくとも押圧子又は支持部の一方が、押圧子の頂部又は支持部の頂部の操作体の表面からの高さを調整自在、かつ保持可能な調整部により操作体に装着されるようにしたことを特徴とする指圧器である。
【0015】
請求項2に係る発明は、調整部は、先端に押圧子もしくは支持部を取付け、外周に形成した雄ねじ部に調整部材を螺合させた調整軸をその後端から操作体に形成した貫通孔に挿通し、調整部材を回動させて調整部材が操作体に当接する調整軸上の位置を変化させて押圧子の頂部又は支持部の頂部の操作体の表面からの高さを調整すると共に、貫通孔を挿通した調整軸の後端側から調整軸に螺合させた留め金と調整部材により操作体を挟んで締め付けて調整軸を操作体に固着させてその高さを保持する指圧器である。また、指圧部位の厚みの違いに応じやすくするため、貫通孔にはベアリングが組み込まれてもよい。
【0016】
請求項3に係る発明は、押圧子は、先端を凸曲面形状に形成した柱状体、若しくは球状体、楕円体である指圧器である。
【0017】
請求項4に係る発明は、押圧子は、先端を凸曲面形状に形成した柱状体、若しくは球状体、楕円体の主押圧子と複数の突起物を形成した副押圧子とを同軸上に配し、前記主押圧子に対して前記副押圧子を進退自在とした指圧器である。
【0018】
請求項5に係る発明は、押圧子は、先端を凸曲面形状に形成した柱状体、若しくは球状体、楕円体と調整軸とを回動自在に軸着した指圧器である。
【0019】
請求項6に係る発明は、支持部は、凸曲面形状の弾性体で被覆した指圧器である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によると、少なくとも押圧子又は支持部の一方が、押圧子の頂部又は支持部の頂部の操作体表面からの高さを調整自在、かつ保持可能な調整部により操作体に装着されるので、指圧器が挟持して指圧する部位の厚みが異なっても、調整部により押圧子の頂部及び/又は支持部の頂部の操作体の表面からの高さを調整することにより、操作体の把持部の開き幅を最も把持し易い幅に調整できるため、確実に把持力を作用させて効果的な押圧(指圧)を行うことができる。
【0021】
また、押圧子に対向させて支持部を設け、押圧子の押圧力に対抗して釣り合う反力を支持しているので、被指圧部位の反対側の身体表面に作用する反力を十分に緩和することができる。
【0022】
請求項2に係る発明によると、調整部材を回動させて調整部材が操作体に当接する調整軸上の位置を変化させて押圧子の頂部又は支持部の頂部の操作体表面からの高さを調整すると共に、貫通孔を挿通した調整軸の後端側から調整軸に螺合させた留め金と調整部材により操作体を挟んで締め付けて調整軸を操作体に固着させてその高さを保持するので、調整軸上で調整部材と留め金により操作体を挟んで締め付ける位置を変更するだけで押圧子の頂部又は支持部の頂部の操作体の表面からの高さを簡単に設定することができ、被指圧部位が変わっても操作体の把持部の開き幅を最も把持し易い幅に調整できる。
【0023】
また、調整軸から留め金を取り外すだけで操作体から押圧子を取り外し、押圧子の交換を簡単に行うことができる。
【0024】
請求項3に係る発明によると、押圧子は、先端を凸曲面形状に形成した柱状体、若しくは球状体、楕円体であるので、凸曲面形状の先端により被指圧部位に押圧力を垂直に、かつ集中して作用させることができるため、効果的に指圧することができる。
【0025】
請求項4に係る発明によると、押圧子は、先端を凸曲面形状に形成した柱状体、若しくは球状体、楕円体の主押圧子と複数の突起物を形成した副押圧子とを同軸上に配し、前記主押圧子に対して前記副押圧子を進退自在としたので、被指圧部の状態に合わせて主押圧子と副押圧子を一体又は分離し、押圧子を押圧力分散型或いは押圧力分布可変型に簡単に変更することができる。
【0026】
請求項5に係る発明によると、押圧子は、先端を凸曲面形状に形成した柱状体、若しくは球状体、楕円体と調整軸とを回動自在に軸着したので、被指圧部位を押圧する過程で押圧子が回動し、被指圧部位を押圧する押圧子の曲率が変化するため、人間の手指による指圧に似た感覚で被指圧部位を押圧することができる。
【0027】
請求項6に係る発明によると、支持部は、凸曲面形状の弾性体で被覆したので、最も押圧力が作用する被指圧部位の反対側の身体表面部を最も厚い弾性体で支持しながら支持部と当接する身体の部位に作用する反力を広範囲に分散し、身体表面部への支持部の過剰な当たりを緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明における指圧器の一実施例を説明する図面である。
【
図2】
図1の指圧器の調整部及び押圧子の部分拡大図面である。
【
図3】
図1の指圧器で手のひらを指圧する状態を示す図面である。
【
図4】
図1の指圧器で足の裏を指圧する状態を示す図面である。
【
図5】本発明における指圧器の他の実施例を説明する図面である。
【
図6】
図5の他の実施例で主押圧子に対し副押圧子が進退した状態を示す図である。
【
図7】本発明における指圧器のさらに他の実施例を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明における指圧器の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明における指圧器の外観を示す図であり、
図2は、本発明における指圧器の調整部及び押圧子の部分拡大図である。
【0030】
図1において、指圧器1は、一対の操作体2、3と、一対の操作体2、3を互いに回動可能に軸着する支点ピン4と、一方の操作体2の先端部2aに調整部5を介して装着された押圧子6と、他方の操作体3の先端部3aに装着された支持部7とにより構成さている。
【0031】
一対の操作体2、3は、
図1に示すように、第1の操作体2と第2の操作体3とからなり、第1の操作体2と第2の操作体3とは略同一形状に形成されており、略直線形状の把持部11、12と略直線形状の先端2a、3aとを湾曲形状部15、16で連接している。第1の操作体2と第2の操作体3の材質としては、強度と剛性に優れる炭素鋼工具やステンレス鋼が適しているが、エンジニアリングプラスチックを使用することもできる。
【0032】
湾曲形状部15、16には、支点ピン4を挿通するための挿通孔17、18が形成され、この挿通孔17、18に支点ピン4を挿通し、第1の操作体2と第2の操作体3とを互いに回動自在に軸着し、第1の操作体2と第2の操作体3とを開閉可能にしている。
【0033】
支点ピン4と第1の操作体2と第2の操作体3の把持部11、12の後端11a、12aまでの距離は、支点ピン4と第1の操作体2と第2の操作体3の先端2a、3aまでの距離よりも長く設定されているため、把持部11、12を手で握った際に、支点ピン4を支点とした梃の原理により把持力よりも大きな力が押圧子6を介して被押圧部に作用するので、小さな把持力でも効果的に指圧を行うことができる。
【0034】
第1の操作体2と第2の操作体3の把持部11、12には、手で握った際のすべり止めとして凸部を形成したり溝を刻設したりすることが好ましいが、合成樹脂で被覆しても良い。
【0035】
支点ピン4は、炭素鋼、ステンレス鋼等の強度の高い材質で形成され、第1の操作体2と第2の操作体3の挿通孔17、18を挿通させた支点ピン4の先端を適宜な方式でカシメて第1の操作体2と第2の操作体3とを互いに回動自在に軸着する。
【0036】
調整部5は、押圧子6の頂部6a又は支持部7の頂部7aの操作体2、3の表面2b、3bからの高さを調整するとともに、調整した高さを保持するための機構である。本実施例では、押圧子6側にのみ調整部5を設け、支持部7側には調整部5を設けていないが、押圧子6側に設ける場合であっても、支持部7側に設ける場合であっても、調整部5の構成、機能は同一であるので、以下、押圧子6側により調整部5の構成を説明する。
【0037】
図2は、調整部5の構成を説明する部分拡大図である。
図2において、調整部5は、第1の操作体2の先端部2aに形成した貫通孔19と、調整軸22と、調整部材23と、留め金24とから構成される。
【0038】
第1の操作体2の先端部2aに形成した貫通孔19は、調整軸22を挿通させて第1の操作体2に調整軸22を取り付けるための取付け孔であり、調整軸22を着脱自在とするため、調整軸22の径より大径に形成されている。
【0039】
調整軸22は、外周に雄ねじ部25を形成した軸であり、先端に適宜の方法で押圧子6を固着させている。なお、押圧子6で被指圧部を押圧する際には、調整軸22に大きな力が作用するため、調整軸22はその力に耐えることができるように金属で形成する必要がある。
【0040】
調整部材23は、内周に図示しない雌ねじ部を形成した短円筒状の部材であり、調整軸22の雄ねじ部25に螺合させた調整部材23を回動させて調整軸22上を移動させることにより、押圧子6の頂部6aの第1の操作体2の表面2bからの高さHを所望の高さに調整するために使用する。なお、調整部材23を指で回動させ易くするため、調整部材23の外周にはローレット加工等により滑り止めを施すことが好ましい。
【0041】
留め金24は、貫通孔19を挿通した調整軸22の後端に螺合させ、調整部材23と共に第1の操作体2を両側から挟み込んで締め付け、調整軸22を第1の操作体2に固定するために使用する。工具を使用せずに留め金24を手で締めたり緩めたりできるように、留め金24には蝶ナットを使用することが好ましい。
【0042】
以上のように調整部5を構成したので、押圧子6の第1の操作体2への着脱が自在となり交換が容易となると共に、押圧子6の頂部6aの操作体2の表面2bからの高さHを調整することにより、被指圧部を押圧子6と支持部7で挟んだ際の把持部11と把持部12の間の開き幅を手で握りやすい範囲に設定し、かつその高さを保持することができるので、確実に把持部11、12を把持して握りしめ、効果的に被押圧部を押圧(指圧)することができる。
【0043】
押圧子6は、被指圧部位を押圧するための部材であり、被指圧部位を傷つけることなく集中して押圧力を作用させるため、
図2に示すように、先端が凸曲面形状の柱状体、若しくは球状体、楕円体であり、合成樹脂により形成されている。また、前述のとおり、押圧子6は調整軸22の先端に取付けられて使用されるが、押圧子6と調整軸22との取り付け方法は強固に取り付けられるものであればどのような方法でも良く、例えば、押圧子6の後端面6bに形成した取り付穴に調子軸22を嵌装しても良いし、押圧子6の後端面6bに形成したねじ穴に調整軸22を螺着してもよい。
【0044】
支持部7は、押圧子6で被指圧部を押圧した際に、押圧子6の押圧力に対抗して釣り合う反力を支持するための部材であり、押圧子6に対向して設けられる。支持部7は、
図1に示すように、第2の操作体3の先端部3aを凸曲面形状の弾性体28で被覆している。
【0045】
支持部7をこのように形成したことにより、操作体2、3の把持部11、12を把持した際に、被指圧部位の反対側の身体表面に作用する反力を広範囲に分散し十分に緩和することができる。また、最も押圧子6による押圧力が作用する被指圧部位の反対側の身体表面部を凸曲面形状の弾性体28の最も厚い部分で支持することにより、身体表面部への支持部7の過剰な当たりを緩和することができる。
【0046】
また、本実施例では支持部7側には調整部を設けていないが、支持部側にも支持部7の頂部7aの操作体3の表面3bからの高さを調整する調整部を設ける場合には、前述した押圧子6の場合と同様の方法により調整部5を設けることができる。この場合には、押圧子側に加えて支持部側でも高さの調整が可能となるため、被指圧部を押圧子6と支持部7で挟んだ際の把持部11と把持部12の間の開き幅の調整範囲が拡大するので、本発明の指圧器を適用することができる身体部位が拡大する。
【0047】
次に、本実施例の指圧器の使用方法と作用を説明する。
図3は指圧器1により手のひらの被指圧部(ツボ)を押圧する状態を示し、
図4は足の裏の被指圧部を押圧する状態を示している。
図3、
図4に示すように、被指圧部が手のひらの場合と足の裏の場合では、押圧子6と支持部7で挟み込む部分の厚みが異なる結果、把持部11、12の開き幅も異なる。このため、把持部の開き幅が手のひらを押圧する際に握り易い範囲内にある場合には、足の裏を押圧する際には把持部の開き幅が大きくなって把握しにくくなり、把持部を確実に把握することが困難になる。
【0048】
本発明の指圧器1では、被指圧部位に押圧子6を当接し、被指圧部位の反対側の身体表面、例えば、手のひらのツボを指圧する場合には手の甲側に、支持部7を当接させた際、操作体2、3の開き幅が把握し易い範囲内にない場合には、調整部5により押圧子6の頂部6aの第1の操作体2の表面2bからの高さHを調整することで、把持部の開き幅を把握し易い範囲に設定することができる。
【0049】
この設定は、次の手順で行うことができる。先ず、押圧子6を被指圧部位に、支持部7を被指圧部位の反対側の身体表面に軽く当接させ、その状態で留め金24を緩めて調整部材23と留め金24の間に十分な間隙を設ける。その後、調整部材23が操作体2の表面2bに当接した状態を維持しながら調整部材23を回動させて調整軸22上を移動させ、第1の操作体2の表面2bからの押圧子6の頂部6までの高さHを変化させる。高さHの変化に伴って把持部の開き幅が変化するので、開き幅が握り易い幅となった状態で、留め金24を操作体2に向けて回動させ締め付け、調整部材23と留め金24で第1の操作体2を両側から挟み込んで締め付け、調整軸22を第1の操作体2に固定する。
【0050】
以上のように調整部7により第1の操作体2の表面2bからの押圧子6の頂部6aまでの高さHを調整し、操作体2、3の把持部11、12の開き幅を設定することにより、指圧器1を使用する身体の部位が異なっても、把持部11、12の開き幅を常に把握し易い範囲内に設定することができる。この結果、被指圧部位に作用する押圧力を調整しつつ、十分に押圧力を作用させ、効果的に指圧を行うことができる。また、押圧子6が略垂直方向に、かつ集中して被指圧部位を押圧するので、指圧効果をより一層高めることができる。
【0051】
続いて、本発明の他の実施例を説明する。この他の実施例では、押圧子が異なるのみで、その他の部分は
図1の指圧器1と同一であるので、押圧子以外の部分については説明を省略し、共通する部分については同一の符号を使用する。
【0052】
この実施例では、押圧子30は、
図5及び
図6に示すように、先端を凸曲面形状に形成した柱状体、若しくは球状体、楕円体の主押圧子31と複数の突起物32を形成した副押圧子33とを同軸上に配している。主押圧子31は、調整軸22の先端に取り付けられ、副押圧子33は、主押圧子31側の端面34に複数の突起物32を円周状に配置した短円筒35であり、短円筒35の中心には雌ねじ部36を形成した貫通孔37が設けられ、この雌ねじ部36を調整軸22の雄ねじ部25に螺合させている。
【0053】
押圧子30は、以上のように構成されているため、使用にあたって副押圧子33を回動させると副押圧子33が調整軸22上を移動するので、
図5に示すように、副押圧子33を主押圧子31に当接させると主押圧子31の頂部38と副押圧子33の突起物32の頂部39の高さが同じである押圧力分散型の押圧子としたり、
図6に示すように、主押圧子31と副押圧子33とを分離させると、主押圧子31の頂部38と副押圧子33の突起物32の頂部39の高さに違いがある押圧力分布可変型の押圧子としたり簡単に変更することができる。
【0054】
また、主押圧子31と副押圧子33との分離間隔を調整することにより、押圧子30の押圧分布状況を変更することが可能なので、被指圧部位の状況に応じて押圧分布状況を適宜変更することで、指圧効果を高めることができる。
【0055】
次に、さらに他の実施例を説明する。このさらに他の実施例では、他の実施例と同様に、押圧子が異なるのみで、その他の部分は
図1の指圧器1と同一であるので、押圧子以外の部分については説明を省略し、共通する部分については同一の符号を使用する。
【0056】
このさらに他の実施例では、押圧子41は、
図7に示すように、先端を凸曲面形状に形成した母指型柱状体42と、調整軸22の先端に螺合したロッドエンド型滑り軸受43と、取付け軸44と、母指型柱状体42の傾斜角を規制する調整部材45とから構成されている。
【0057】
母指型柱状体42は、母指で被指圧部位を押圧する際に、被指圧部位を押圧する母指の頭から腹の部分を模擬した形状を備え、母指型柱状体42の長手方向の略中心軸C1と直交する基端面46を有している。母指型柱状体42の材質は人の母指の柔らかさを模擬するため、心材を硬質の合成樹脂、木材、金属などの剛性の高い材料で形成し、表面を軟質の合成樹脂で被覆することが好ましい。
【0058】
また、母指型柱状体42は、取付け軸44を回転中心として回動するため、回動した際に調整軸22との干渉を防止するための切欠き溝47を基端面46に形成し、母指型柱状体42が、0度から略45度まで回動角度θを取れるようにしている。
【0059】
ロッドエンド形滑り軸受43は、雌ねじロッドエンドを備えたタイプを使用しているため、調整軸22の雄ねじ部25に螺着するだけで調整軸22への取り付を簡単に行うことができる。
【0060】
取付け軸44は、調整軸22の中心軸C2が母指型柱状体42の長手方向の略中心軸C1との交点に形成した軸孔48に取付け、ロッドエンド形滑り軸受43に母指型柱状体42取付けるための部材である。取付け軸44には、被指圧部を押圧する際には大きな力が作用するので、スチール等の金属で形成することが好ましい。
【0061】
調整部材45は、調整軸22に螺合させ、
図7に示すように、母指型柱状体42が回動した際に基端面46に当接させることにより、母指型柱状体42の回動角度θを調整するための部材である。調整部材45を回動させると調整軸22上を移動するので、母指型柱状体42の回動角度θを任意の角度に規制することができる。
【0062】
押圧子41は、以上のように構成されているため、使用にあたって母指型柱状体42を被指圧部位に当接させて押圧すると、押圧反力により取付け軸44を中心として母指型柱状体42が回動し、基端面46が調整部材45に当接することにより所定の回動角度θで回動を停止して安定した押圧を行うことができる。
【0063】
回動角度θが略0度の場合には、母指型柱状体42の先端部の凸曲面の曲率が略最大部位で被指圧部位に当接し、押圧子41は被指圧部位を集中的に押圧する集中押圧形態を形成する。回動角度θを増加させるにしたがって、押圧子41は被指圧部位に当接する部位が母指型柱状体42の腹部に移行して凸曲面の曲率が減少し、押圧子41は押圧力を広く分散して押圧する分散押圧形態を形成する。このため、押圧子41では、人の母指に近い指圧効果を得ることができる。
【0064】
以上説明したように、本発明の指圧器は、被指圧部位の厚みによらず把持部の開きを握り易い開度に調整し自分自身で手軽かつ効果的に指圧を行うことができ、また、簡単かつ安価に製造することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 指圧器
2 第1の操作体
2a 先端部
2b 表面
3 第2の操作体
3a 先端部
3b 表面
4 支点ピン
5 調整部
6 押圧子
6a 頂部
6b 後端面
7 支持部
7a 頂部
11 把持部
11a 後端
12 把持部
12a 後端
15 湾曲形状部
16 湾曲形状部
17 挿通孔
18 挿通孔
19 貫通孔
22 調整軸
23 調整部材
24 留め金
25 雄ねじ部
28 弾性体
30 押圧子
31 主押圧子
32 突起物
33 副押圧子
34 端面
35 短円筒
36 雌ねじ部
37 貫通孔
38 頂部
39 頂部
41 押圧子
42 母指型柱状体
43 ロッドエンド型滑り軸受
44 取付け軸
45 調整部材
46 基端面
47 切欠き溝
48 軸孔
H 高さ
C1 中心軸
C2 中心軸
θ 回動角度