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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059533
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】テープ貼り付け機並びにテープ押圧具
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/02 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
E01C23/02
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167358
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000233653
【氏名又は名称】ニチレキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501294445
【氏名又は名称】汎高圧工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003074
【氏名又は名称】特許業務法人須磨特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛行
(72)【発明者】
【氏名】外山 昌幸
【テーマコード(参考)】
2D053
【Fターム(参考)】
2D053AA27
2D053AB09
2D053AD03
(57)【要約】
【課題】 構造が簡単で、狭隘な施工現場でも使用することができる、舗装用材料のテープ貼り付け機並びにテープ押圧具を提供することを課題とする。
【解決手段】 ロール支持板とロール抑え板とを、内側面同士が平行で互いの間に間隔をあけて対向する対向位置と、内側面同士が対向しない開放位置との間で、相対的に移動可能に連結する連結部材と、前記ロール支持板の前記連結部材からは遠い側の先端部近傍から垂直に突出するロール挿入軸と、前記連結部材及び/又は前記ロール支持板に連結されている把持部とを有し、前記ロール抑え板は、前記対向位置において、その内側面が前記ロール挿入軸の先端面の少なくとも一部を覆う位置にまで延在している、テープ貼り付け機、並びに外周端面が全周にわたって半径方向に突出している押圧輪を有するテープ押圧具を提供することによって上記課題を解決する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール支持板と、
ロール抑え板と、
前記ロール支持板と前記ロール抑え板とを、それぞれの内側面同士が平行で互いの間に間隔をあけて対向する対向位置と、それぞれの内側面同士が対向しない開放位置との間で、相対的に移動可能に連結する連結部材と、
前記ロール支持板の前記内側面の前記連結部材からは遠い側の先端部近傍から、当該内側面に対して垂直に突出するロール挿入軸と、
前記連結部材及び/又は前記ロール支持板に連結されている把持部とを有し、
前記ロール抑え板は、前記対向位置において、その内側面が前記ロール挿入軸の先端面の少なくとも一部を覆う位置にまで延在しているテープ貼り付け機。
【請求項2】
前記ロール支持板及び前記ロール抑え板が、前記連結部材からは遠い側の先端部が先端側に向かって凸状に膨らんだ平面形状を有している請求項1記載のテープ貼り付け機。
【請求項3】
前記連結部材が、前記対向位置における前記ロール支持板と前記ロール抑え板との内側面間の距離を調節する調節機構を備えている請求項1又は2記載のテープ貼り付け機。
【請求項4】
前記ロール挿入軸が、前記ロール支持板の内側面からの突出長さを調節する機構を備えている請求項1~3のいずれかに記載のテープ貼り付け機。
【請求項5】
前記把持部の前記連結部材及び/又は前記ロール支持板に対する連結角度を調節する調節機構を備えている請求項1~4のいずれかに記載のテープ貼り付け機。
【請求項6】
外周端面が全周にわたって半径方向に突出している押圧輪と、前記押圧輪を回転軸の回りに回転自在に支持するフレームと、前記フレームと連結される操作棒とを有している、テープ押圧具。
【請求項7】
前記押圧輪の外周端面が全周にわたって半径方向に90度未満、90度、又は90度超の角度で突出している請求項6記載のテープ押圧具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料を施工面に貼り付けるテープ貼り付け機とテープ押圧具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アスファルト舗装のジョイント部や舗装端部からの雨水等の浸入を防止するために、テープ状に成型された成型目地材が用いられており、斯かる成型目地材を舗装端部などの垂直面に貼り付ける装置も、例えば特許文献1、2にみられるとおり、種々提案されている。
【0003】
しかし、これら従来の貼り付け機が適用される成型目地材は、断面形状がほぼ一定のテープ状の目地材であり、これを雨水の浸入防止のために例えばアスファルト舗装のジョイント部や、舗装端部と縁石との継ぎ目部などにおける垂直面に貼り付けようとしても、ジョイント部の垂直断面には通常凹凸やダストがあるため、一旦は貼り付くものの、すぐに上端部からよれてしまい、ジョイント部に確実に密着させるのが難しいという欠点があった。
【0004】
一方、特許文献3には、想定される折り曲げ線に沿った折り曲げ用の凹みを片面又は両面に有するテープ状に成型された成型目地材が開示されている。この成型目地材は、折り曲げ用の凹みを有しているので、容易にL字型に折り曲げて、例えば切削オーバーレイ工法などによる補修工事に際して生じる段差部、すなわち、断面L字型の切削端面における水平面と立ち上がり面の双方に貼り付け密着させることができ、ジョイント部からの雨水の浸透を効果的に防止することができる非常に優れた成型目地材である。
【0005】
しかし、上記のL字型に折り曲げることができる成型目地材は、断面L字型の切削端面における入り隅を挟んだ水平面と立ち上がり面の双方に貼り付けるものであるので、上記特許文献1、2に開示されたような専ら垂直面だけに貼り付けることを想定した貼付装置を用いて貼り付けることはできなかった。
【0006】
この不都合を解消する装置として、例えば、特許文献4には、舗装用材料を巻回したロールを回転可能に保持する舗装用材料保持部と、水平から傾いた押圧貼着輪とを備えた舗装用材料押圧貼着装置が開示されている。この装置によれば、ロールからの舗装用材料の繰り出しと、段差部の入り隅を挟んだ水平な底面と垂直な立ち上がり面の双方に、テープ状の舗装用材料を押し当てて、押圧、貼着することができ、作業者は立ったままの姿勢で成型目地材等の舗装用材料の貼着作業を行うことが可能となり、作業者への負担の大いなる軽減が実現される。
【0007】
しかしながら、上記特許文献4に開示された装置は、構造が複雑であるとともに、施工に際しては、施工箇所となる段差部の底面に上記装置を走行させるだけの空間を必要とし、狭隘な現場での使用には向かないという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5-17907号公報
【特許文献2】実用新案登録第3062202号公報
【特許文献3】実用新案登録第3189337号公報
【特許文献4】特許第6605273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術の状況に鑑みて為されたもので、成型目地材などのテープ状の舗装用材料を、段差部の入り隅を挟んだ底面及び側面の双方に貼着することができ、かつ、構造が簡単で、狭隘な施工現場でも使用することができるテープ貼り付け機と、テープ状の舗装用材料の貼り付けをより確実なものとするテープ押圧具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、鋭意研究と試行錯誤を重ねた結果、本発明者らは、テープ状の舗装用材料が巻回された舗装用材料のロールを回転可能に支持し、かつロールから繰り出されるテープ状の舗装用材料を施工面に適用するのに必要とされる最低限の部材を効果的に組合わせることで、テープ貼り付け機の構造を極めて簡単なものとすることができるとともに、狭い施工現場においても使用することができるコンパクトさを備えたテープ貼り付け機が得られることを見出した。また、張り付けられたテープ状の舗装用材料の上を、回転自在の押圧輪を備えた押圧具を走行させることにより、テープ状の舗装用材料の貼り付けをより確実なものとすることができること見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、ロール支持板と、ロール抑え板と、前記ロール支持板と前記ロール抑え板とを、それぞれの内側面同士が平行で互いの間に間隔をあけて対向する対向位置と、それぞれの内側面同士が対向しない開放位置との間で、相対的に移動可能に連結する連結部材と、
前記ロール支持板の前記内側面の前記連結部材からは遠い側の先端部近傍から、当該内側面に対して垂直に突出するロール挿入軸と、
前記連結部材及び/又は前記ロール支持板に連結されている把持部とを有し、
前記ロール抑え板は、前記対向位置において、その内側面が前記ロール挿入軸の先端面の少なくとも一部を覆う位置にまで延在している、テープ貼り付け機を提供することによって上記課題を解決するものである。
【0012】
また、本発明は、外周端面が全周にわたって半径方向に突出している押圧輪と、前記押圧輪を回転軸の回りに回転自在に支持するフレームと、前記フレームと連結される操作棒とを有しているテープ押圧具を提供することによって上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るテープ貼り付け機によれば、テープ貼り付け機を施工対象箇所である段差部に沿って走行させるだけで、段差部の入り隅を挟んだ底面と側面の双方をカバーする位置に、テープ状の舗装用材料を、連続して貼り付けることができるという利点が得られる。本発明に係るテープ貼り付け機は、構造が簡単で、コンパクトであるので、持ち運びが容易で、比較的狭い施工現場にも適用できるという利点を有している。また、本発明に係るテープ貼り付け機は、断面L字型の段差部だけでなく、水平又は垂直な施工面に対しても、テープ状の舗装用材料を貼り付けることができるという利点を有している。また、本発明に係るテープ押圧具によれば、施工面に貼り付けられているテープ状の舗装材料の上から走行させることにより、テープ状の舗装用材料の貼り付けをより確実なものとすることができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のテープ貼り付け機の一例を示す正面図である。
図2】本発明のテープ貼り付け機の一例を示す右側面図である。
図3】ロール支持板とロール抑え板とが開放位置にあるときのテープ貼り付け機の正面図である。
図4】ロール支持板とロール抑え板とが対向位置にあるときのテープ貼り付け機の正面図である。
図5】ロール支持板とロール抑え板とが対向位置にあるときのテープ貼り付け機の平面図である。
図6】ロール抑え板とロール支持板との距離を変化させたときのテープ貼り付け機の正面図である。
図7図6の右側面図である。
図8】ロール挿入軸とその近傍だけを取り出して示す部分拡大断面図である。
図9】ロール挿入軸の他の一例を示す部分拡大断面図である。
図10】連結部材に対する把持部の取付角度を変化させた状態を示す図である。
図11】本発明に係るテープ貼り付け機を用いた施工の一例を示す図である。
図12】本発明に係るテープ貼り付け機を用いた施工の他の一例を示す図である。
図13】本発明に係るテープ貼り付け機を用いた施工のさらに一例を示す図である。
図14】本発明に係るテープ押圧具の一例を示す図である。
図15】押圧輪の近傍だけを取り出して示す図である。
図16】テープ押圧具の他の一例を示す図である。
図17】押圧輪の近傍だけを取り出して示す図である。
図18】テープ押圧具を用いた施工の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明が図示されるものに限られないことは勿論である。
【0016】
図1は本発明に係るテープ貼り付け機の一例を示す正面図、図2は右側面図である。図1及び図2において、1はテープ貼り付け機であり、2はロール支持板、3はロール抑え板である。Rは、テープ状の舗装用材料を巻回したロールであり、その施工時のセット位置が破線で示してある。
【0017】
4はロール支持板2の内側面から垂直に突出するロール挿入軸である。本例において、ロール挿入軸4は、図2に示すとおり、第一部分4aと第二部分4bとから構成されている。5はロール挿入軸4を支持する支持軸である。支持軸5は、その基端がロール支持板2に固定され、第一部分4a及び第二部分4bの中心を貫通している。なお、5vは支持軸5のボルト頭である。
【0018】
6は連結部材であり、連結部材6の一方端(図2では右端)はロール支持板2の上部と連結され、他方端(図2では左端)は、可動板7及び蝶番8を介して、ロール抑え板3の上部と連結されている。可動板7に対して蝶番8を介して連結されているので、ロール抑え板3は、可動板7に対して回転移動可能である。14a、14bは、回転ネジつまみであり、回転ネジつまみ14a、14bを緩めたり、締めたりすることによって、可動板7を連結部材6に対して移動させたり、一時固定することができる。
【0019】
9は把持部であり、9a、9bはその脚部である。脚部9a、9bには、それぞれ支持板15a、15bが取り付けられている。10a、10bは取付板であり、それぞれ、脚部9a、9bと連結されている。取付板10bには、円弧状の位置調節孔hb、hbが設けられており、位置調節孔hb及びhbをそれぞれ貫通する係止ボルト11b、11bによって、連結部材6の側面に一時固定されている。なお、図2では見えないが、反対側に位置している取付板10aにも、同様に円弧状の位置調節孔ha、haが設けられており、位置調節孔ha及びhaをそれぞれ貫通する係止ボルト11a、11aによって、連結部材6の反対側の側面に一時固定されている。
【0020】
図2に示す状態で、ロール支持板2とロール抑え板3とは、互いの内側面同士が平行で間隔をあけて対向しており、この位置が対向位置に相当する。ロール抑え板3は、可動板7に対し蝶番8で連結されているので、蝶番8の軸を中心に、可動板7に対して、回転移動することができる。図2には、ロール抑え板3が、実線で示す位置から図中破線で示す位置まで、90度時計回りに回転移動した状態が示されている。ロール抑え板3が図中破線で示す位置にあるとき、ロール抑え板3の内側面とロール支持板2の内側面とは対向しておらず、ロール支持板2の内側面は露出している。この位置が開放位置に相当する。
【0021】
このように、連結部材6は、ロール支持板2とロール抑え板3とを、それぞれの内側面同士が平行で互いの間に間隔をあけて対向する対向位置と、それぞれの内側面同士が対向しない開放位置との間で、相対的に移動可能に連結している。この場合、可動板7、蝶番8、回転ネジつまみ14a、14bが連結部材6の一部を構成していることになる。
【0022】
なお、図2には、ロール抑え板3は、対向位置から約90度回転移動して開放位置に至っている状態が示されているが、対向位置から開放位置までのロール抑え板3の回転角度は90度に限られず、90度以下であっても良い。ただし、ロール抑え板3が開放位置にあり、ロール支持板2の内側面が露出している状態で、舗装用材料のロールRを、その中心間隙内にロール挿入軸4を挿入して、ロール支持板2上にセットするので、開放位置においては、ロール挿入軸4を含めて、ロール支持板2の内側面は大きく露出している方がロールRをセットする上では好都合である。したがって、対向位置から開放位置までのロール抑え板3の回転角度は90度以上であるのが好ましく、より好ましくは120度以上であり、135度以上がさらに好ましい。構造上許される限り回転角度の上限は特にないが、180度若しくは190度程度にとどめるのが好ましい。
【0023】
また、図示の例では、ロール抑え板3が連結部材6に対して移動して、対向位置から開放位置へ、またその逆へと移動しているが、ロール支持板2を連結部材6に対して相対的に移動させて、対向位置から開放位置へ、またその逆へと移動しても良い。
【0024】
また、図示の例では、対向位置から開放位置への移動は、ロール抑え板3の回転移動によって行われているが、ロール抑え板3の移動は直線移動であっても良い。例えば、ロール抑え板3を、連結部材6に対して、把持部9の先端側(すなわち、図1及び図2における上端側)に向かってスライド移動可能に連結し、ロール抑え板3を連結部材6に対して直線状にスライドさせることによって、対向位置と開放位置との間を移動させるようにしても良い。これは、ロール支持板2が移動する場合にも同様である。
【0025】
さらに、図示の例では、蝶番8の回転軸は水平であり、ロール抑え板3は、水平な軸の回りに回転移動して、対向位置と開放位置との間を移動しているが、蝶番8を、その回転軸を垂直にして、ロール抑え板3の左端又は右端に取り付け、ロール抑え板3を垂直な軸の回りに回転移動させることによって、対向位置と開放位置とを移動させても良い。これは、ロール支持板2が移動する場合にも同様である。
【0026】
図3は、ロール抑え板3が図2における破線の位置にあるときの正面図である。便宜上、把持部9の脚部9a、9bは一部分だけを描いてある。図3に示すとおり、開放位置においてロール支持板2の内側面は大きく露出しており、このような状態であれば、舗装用材料を巻回したロールRを、その中心間隙にロール挿入軸4を挿入し、さらにロールRの片側面をロール支持板2の内側面と当接させて、無理なく図中破線で示す施工開始位置にセットすることができる。
【0027】
ロール支持板2は、連結部材6との連結部からは遠い側の先端部2bが先端側に向かって凸状に膨らんだ平面形状を有している。本発明に係るテープ貼り付け機1を図3に示す向きにおいたときには、ロール支持板2と連結部材6との連結部はロール支持板2の上部に位置しているので、連結部からは遠い側の先端部とはロール支持板2の下方の先端部であるので、ロール支持板2は、その下方の先端部2bが下方に向かって凸状に膨らんだ平面形状を有していることになる。この凸状の膨らみは緩やかであるのが好ましく、その曲率半径はロール挿入軸4の曲率半径よりは大きいのが好ましい。
【0028】
また、ロール挿入軸4は、ロール支持板2の内側面から内側面に対して垂直に突出しているが、その突出位置は、先端部2bの近傍にあるのが望ましい。その理由は以下のとおりである。
【0029】
すなわち、施工時、図中破線で示す位置にセットされたロールRからは舗装用材料が次々と繰り出され、施工面に貼り付けられていくが、それに連れてロールRの径は小さくなっていく。したがって、もしもロール挿入軸4がロール支持板2の中央部付近から突出していると、ロールRに未だ舗装用材料が残っている状態で、ロールRの外周端がロール支持板2の先端部2bよりも内側に入ってしまい、それ以上、舗装用材料の貼り付けができなくなってしまうという不都合が生じる。
【0030】
このため、ロール挿入軸4は、なるべくロール支持板2の先端部2bに近い位置から突出しているのが望ましい。ただし、余りに先端部2bに近づいて、ロール挿入軸4の外周が先端部2bよりも下方に突出するほどになると、ロールRに巻回されている舗装用材料を使い切る時、ロール挿入軸4の外周面が露出して施工面と接触し、損傷を受ける恐れがある。このため、ロール挿入軸4は、ロールRに巻回されている舗装用材料を使い切った時においても、その外周がロール支持板2の先端部2bよりも外側に突出しない位置から突出させるのが好ましい。
【0031】
図3において、符号t2で示す距離は、ロール支持板2の先端部2bと、ロール挿入軸4の外周面との距離を表している。通常、使用されるテープ状の舗装用材料の厚さが約5mmであることを考慮すると、この距離t2は1mm以上5mm以下であるのが望ましく、2mm以上4mm以下であるのがより望ましい。つまり、ロール挿入軸4は、距離t2が前記範囲内となるように、ロール支持板2の先端部2bの近傍から突出させるのが良い。なお、その場合、ロールRに巻回されている舗装用材料を使い切る時、ロール支持板2の先端部2bが施工面と接触する恐れがあるが、ロール支持板2の先端部2bに例えば金属製の保護板を張り付けて、先端部2bの損傷又は摩耗を防止するようにしてもよい。
【0032】
図4は、ロール支持板2とロール抑え板3とが対向位置にあるときのテープ貼り付け機1の正面図であり、便宜上、把持部9の脚部9a、9bは一部分だけを描いてある。
【0033】
図4に示すとおり、ロール抑え板3は、ロール支持板2と同様に、連結部材6との連結部からは遠い側の先端部が先端側に向かって凸状に膨らんだ平面形状を有している。本発明に係るテープ貼り付け機1を図4に示す向きにおいたときには、ロール抑え板3と連結部材6との連結部はロール抑え板3の上部に位置しているので、連結部からは遠い側の先端部とはロール抑え板3の下方の先端部であるので、ロール抑え板3は、その下方の先端部3bが下方に向かって凸状に膨らんだ平面形状を有していることになる。この凸状の膨らみは緩やかであるのが好ましく、その曲率半径はロール挿入軸4の曲率半径よりは大きいのが好ましい。
【0034】
Vはロール抑え板3の下方の先端部に設けられた間隙である。この間隙Vは、ロール挿入軸4から突出する支持軸5の先端部を受け入れる間隙である。この間隙Vが設けられているので、ロール抑え板3の先端部3bは、3bと3bの2つに分かれている。なお、Wはロール抑え板3の蝶番8との連結部分の幅である。
【0035】
図4に示すとおり、対向位置において、ロール抑え板3の先端部3b及び3bは、ロール挿入軸4のロール抑え板3の側を向いた先端面の一部を覆う位置まで延在しており、ロール挿入軸4の先端面は、ロール抑え板3によって、その一部が覆われている。このように、対向位置において、ロール挿入軸4の先端面の少なくとも一部がロール抑え板3によって覆われているので、中心間隙にロール挿入軸4を挿入してロール支持板2とロール抑え板3との間にセットされているロールRが施工作業中、ロール挿入軸4から脱落する恐れがない。
【0036】
図中、符号t3で示す距離は、ロール抑え板3の先端部3b及び3bと、ロール支持板2に取り付けられたロール挿入軸4の外周面との距離を表している。距離t2について述べたと同様の理由により、この距離t3は1mm以上5mm以下であるのが望ましく、2mm以上4mm以下であるのがより望ましい。
【0037】
図5は、図4の平面図であり、把持部9の脚部9a、9bは断面を示してある。12は連結部材6に形成されている切り欠きであり、切り欠き12の図中左右方向の長さLは、先に図4に示したロール抑え板3の蝶番8との連結部分の幅Wよりも長くなっている。13a、13bは、連結部材6に形成されている長孔である。回転ネジつまみ14a、14bは、可動板7の上面から、それぞれ長孔13a、13bを貫通し、長孔13a、13bの下面で図示しないナットと螺合している。
【0038】
回転ネジつまみ14a、14bを回転させて前記ナットとの螺合を緩めることにより、可動板7を、連結されている蝶番8及びロール抑え板3とともに、長孔13a、13bに沿って、ロール支持板2の方向に移動させることができる。可動板7をロール抑え板3とともに所望の位置まで移動させ、その位置で回転ネジつまみ14a、14bと前記ナットとの螺合を締めることにより、可動板7及びロール抑え板3を連結部材6に対して一時固定することができる。
【0039】
図6は、上記のようにして、可動板7、蝶番8、及びロール抑え板3を連結部材6に対して移動させた状態を示している。この移動によって、ロール支持板2の内側面と、ロール抑え板3の内側面との距離を変えることができる。図6において、Sは、移動後のロール支持板2の内側面とロール抑え板2の内側面間の距離を示している。
【0040】
図7は、図6の右側面図である。図7において、Sは、移動前のロール支持板2の内側面とロール抑え板2の内側面間の距離を表している。Sは、上に述べたとおり、移動後のロール支持板2の内側面とロール抑え板3の内側面間の距離である。
【0041】
このように、ロール抑え板3は、連結部材6に設けられた長孔13a、13bに沿って、ロール支持板2の方向に移動させることができ、対向位置において、ロール抑え板3の内側面とロール支持板2の内側面との距離は変更することができる。すなわち、連結部材6に設けられた切り欠き12、長孔13a、13b、回転ネジつまみ14a、14b、及び回転ネジつまみ14a、14bと螺合するナットが、対向位置におけるロール支持板2とロール抑え板3との内側面間の距離を調節する調節機構を構成している。
【0042】
同様に、ロール挿入軸4は、ロール支持板2の内側面からの突出長さの調節機構を備えている。図7は、この調節機構により、ロール挿入軸4を構成する第一部分4aと第二部分4bとの距離が縮められ、ロール挿入軸4の突出長さが、ロール支持板2の内側面とロール抑え板3の内側面までの距離Sと同じ長さに調節された状態を示している。
【0043】
図8は、ロール挿入軸4とその近辺だけを取り出して拡大して示す部分拡大断面図である。図8に示すとおり、ロール挿入軸4の第一部分4aと第二部分4bは、それぞれ、その中心に軸孔4ac及び4bcを有している。軸孔4ac及び4bcの径は、中心軸方向両側で拡大しており、第一部分4aにおいては軸孔4acの両側に径拡大部4asが、第二部分4bにおいては軸孔4bcの両側に径拡大部4bsが形成されている。本例においては、軸孔4acと4bcの内周面にはネジが切られており、そのネジは、支持軸5の外周に切られているネジと螺合する。N1、N2、N3、N4は、支持軸5の外周に切られているネジと螺合するナットである。
【0044】
ロール挿入軸4の第二部分4bをロール支持板2に固定するには、支持軸5をロール支持板2を貫通させた状態で、第二部分4bを支持軸5のネジと螺合させながら回転させて、ロール支持板2の内側面と接する位置まで移動させればよい。第二部分4bをさらに回転させるか、支持軸5のボルト頭5vを回転させることによって、第二部分4bをその端面をロール支持板2の内側面に密着させた状態で固定することができる。固定が不安定と思われる場合には、支持軸5の先端部からナットN1を挿入し、第二部分4bの図中左側の径拡大部4bsと当接させることによって、さらに固定すればよい。
【0045】
次に、ロール挿入軸4の第一部分4aを支持軸5に取り付けるには、まず、一対のナットN2及びN3を支持軸5に挿入し、所望の位置で一時固定する。ナットN2とN3とは、互いに逆ネジの関係にあるので、両者を互いに接近する方向に回転させて締め付け、支持軸5の所望の位置に一時固定することができる。続いて、第一部分4aを支持軸5のネジと螺合させながら支持軸5に挿入し、その図中右側の径拡大部4asをナットN3と当接させればよい。それだけでは第一部分の固定が不安定と思われる場合には、支持軸5の先端部からナットN4を挿入し、第一部分4aの図中左側の径拡大部4asと当接させることによって、さらに固定すればよい。
【0046】
一対のナットN2及びN3を支持軸5に一時固定する位置を変えることによって、第一部分4aの支持軸5に対する一時固定位置を変更し、ロール挿入軸4のロール支持板2の内側面からの突出長さを調節することができる。なお、ナットN1を第二部分4bの径拡大部4bsと当接させ、ナットN4を第一部分4aの径拡大部4asと当接させる場合には、ロール挿入軸4の第一部分4aと第二部分4bの軸孔4ac及び4bcの内周面にはネジが切られていなくてもよい。
【0047】
テープ状の舗装用材料は、テープ幅の異なるものが複数種存在するので、それを巻回したロールRとしても、軸芯方向の幅が異なるものが複数種存在する。本発明に係るテープ貼り付け機1が、上記のように、対向位置において、ロール支持板2の内側面とロール抑え板3の内側面との距離を調節する機構を備え、さらに、ロール挿入軸4のロール支持板2の内側面からの突出長さを調節する機構を備えている場合には、舗装用材料のテープ幅が変わっても、換言すれば、舗装用材料を巻回したロールRの幅が変わっても、それに合わせて、ロール支持板2とロール抑え板3の内側面間の距離を調節し、さらに、ロール挿入軸4のロール支持板2の内側面からの突出長さを調節することによって、ロールRを緩みなくロール挿入軸4で支持し、ロール支持板2とロール抑え板3とで挟み、施工することができる。
【0048】
なお、ロール挿入軸4のロール支持板2の内側面からの突出長さを調節する機構は上記のものに限られない。例えば、図9に示すように、ナットN1~N3に代えて、複数のスペーサSPを支持軸5に挿入し、その数を適宜変更することによって、ロール支持軸4の第二部分4bと第一部分4aとの間の距離を調整し、ロール挿入軸4のロール支持板2の内側面からの突出長さを調節するようにしてもよい。この場合、用意する複数のスペーサSPの軸方向の厚みは全て同じであってもよいし、異なる厚みのものを1又は複数個ずつ用意しておき、必要に応じて最適な組合わせで使用するようにしてもよい。ロール挿入軸4のロール支持板2の内側面からの突出長さが所定の長さとなるように、ロール挿入軸4の第二部分4bと第一部分4aとの間に適宜の数又は厚みのスペーサSPを介在させ、その後、支持軸5の先端部からナットN4を挿入し、第一部分4aの図中左側の径拡大部4asと当接させることによって固定すればよい。この場合、ロール挿入軸4の第一部分4aと第二部分4bの軸孔4ac及び4bcの内周面にはネジが切られていなくてもよい。
【0049】
先に図2に基づいて説明したとおり、把持部9の脚部9a、9bは、それぞれ支持板15a、15bを介して取付板10a、10bと連結され、取付板10a、10bには円弧状の位置調節孔ha、ha及びhb、hbが設けられている。そして、取付板10a、10bは、円弧状の位置調節孔ha、ha及びhb、hbをそれぞれ貫通する係止ボルト11a、11a及び11b、11bによって、連結部材6の側面に一時固定されているので、係止ボルト11a、11a及び11b、11bを緩めることにより、取付板10a、10bの連結部材6に対する一時固定位置を変更し、連結部材6に対する把持部9の取り付け角度を変更することができる。
【0050】
図10は、上記のようにして、把持部9の連結部材6に対する取付角度を変化させた状態を示している。図10に示すとおり、把持部9は、取付板10a、10bに設けられている円弧状の位置調節孔ha、ha及びhb、hbが許す範囲で、連結部材6に対して、その角度をロール支持板2側又はロール抑え板3側に変更することができる。また、位置調節孔ha、ha及びhb、hbの円弧状の長さを変えることによって、変更可能な角度範囲を変えることが可能である。
【0051】
このように、テープ貼り付け機1は、把持部9の連結部材6に対する連結角度を調節する調節機構を備えており、取付板10a、10b、円弧状の位置調節孔ha、ha及びhb、hb、それらを貫通する係止ボルト11a、11a及び11b、11bがその位置調節機構を構成している。
【0052】
なお、上記の例においては、把持部9は連結部材6に連結されているが、ロール支持板2に連結されてもよく、さらには、連結部材6とロール支持板2の双方に連結されてもよい。いずれの場合においても、把持部9の連結部材6及び/又はロール支持板2に対する連結角度を調節する調節機構を備えておればよい。
【0053】
図11は、本発明に係るテープ貼り付け機1を用いた施工の一例を示す図であり、切削又は新設によって生じた舗装の段差部の入り隅を挟んだ側面と底面の双方にテープ状の舗装用材料を張り付ける場合を示している。
【0054】
図11において、Daは、施工対象となる段差部の上面、Dbはその側面、Dcは底面、γは入り隅である。Tはテープ状の舗装用材料であり、Hは、テープ状の舗装用材料Tの片面に貼られている剥離紙である。
【0055】
このような施工面の入り隅γを挟んだ側面Dbと底面Dcの双方にテープ状の舗装用材料Tを張り付けるには、舗装用材料のロールRをロール挿入軸4に挿入してロール支持板2とロール抑え板3との間にセットしたテープ貼り付け機1を用意し、まずはロールRから、若干長さだけテープ状の舗装用材料Tを繰り出し、その先端部分を人手によって対象とする段差部の側面Dbの上部に張り付け、その状態で、テープ貼り付け機1を図11に示す斜めに傾けた状態で、ロールRの両側部を側面Dbと底面Dcの双方に押し当てながら、テープ貼り付け機1を段差部に沿って走行させればよい。
【0056】
テープ貼り付け機1には把持部9が取り付けられているので、走行させる作業は作業員が把持部9を持ち、立ったままの姿勢で行うことができる。また、作業員は、テープTの張り付け状況をみながら、把持部9を介して、テープ貼り付け機1の走行角度を適宜調整することができるので、舗装用材料のテープTを、所定の位置に、位置ズレ少なく張り付けることができる。
【0057】
なお、テープ貼り付け機1を走行させる方向は、セットされるロールRの向きに応じて、ロールRからテープ状の舗装用材料Tが順次繰り出されていく方向に走行させればよい。本発明に係るテープ貼り付け機1は、ロール支持板2又はロール抑え板3と平行な方向であれば、どちら向きに走行させてもよいので、ロールRのセット方向を気にせず使用できるという利点を有している。また、図11では、ロール抑え板3の側が上になる向きで使用されているが、ロール支持板2の方を上にして使用しても全く差し支えない。
【0058】
図12は、本発明に係るテープ貼り付け機1を用いた施工の他の一例を示す図であり、新設又は既設舗装の側面Dbにテープ状の舗装用材料を張り付ける場合を示している。張り付け作業は、段差部における張り付け作業と基本的に同じであり、舗装用材料のテープTの先端部分を張り付け対象面に張り付けた後、テープ貼り付け機1を施工側面Dbに沿って走行させればよい。また、側面Dbに張り付ける場合には、テープ貼り付け機1を横に向ける必要があるが、把持部9を連結部材6に対して回転させ、連結角度を図12に示す位置に変えることによって、作業者にテープ貼り付け機1を走行させ易くして、作業負担を軽減することができる。このように、本発明に係るテープ貼り付け機1は、ほぼ垂直又は斜めに立ち上がる舗装の側面にも適用できるものである。
【0059】
また、必要があれば、ロール支持板2の外側面(ロール抑え板3と対向する内側面とは反対側の面)にローラ又は滑り易い板状部材を備えた支承体を取り付けるようにしてもよい。ロール支持板2の外側面がこのような支承体を有している場合には、テープ貼り付け機1がロール支持板2の外側面を施工現場の底面Dcと当接させながら、その上を滑らかに移動することができるので、テープ貼り付け機1を施工側面Dbに沿ってよりスムースに走行させることができるという利点が得られる。ロール抑え板3の側を下向きにしてテープ貼り付け機1を走行させる場合には、前記支承体をロール抑え板3の外側面に取り付けてもよいことは勿論である。また、そのような支承体は、テープ貼り付け機1とは別体のものとして用意しておき、必要に応じて、ロール支持板2と底面Dcとの間、若しくはロール抑え板3と底面Dcとの間に配置して使用するようにしてもよい。
【0060】
図13は、本発明に係るテープ貼り付け機1を用いた施工のさらに他の一例を示す図であり、新設又は既設舗装の底面又は上面となる水平面にテープ状の舗装用材料を張り付ける場合を示している。張り付け作業は、段差部における張り付け作業と基本的に同じであり、舗装用材料のテープTの先端部分を張り付け対象面に張り付けた後、テープ貼り付け機1を施工面に沿って走行させればよい。また、水平面に張り付ける場合には、テープ貼り付け機1をまっすぐに立てる必要があるが、把持部9を連結部材6に対して回転させ、連結角度を図13に示す位置に変えることによって、作業者にテープ貼り付け機1を走行させ易くして、作業負担を軽減することができる。このように、本発明に係るテープ貼り付け機1は、水平又は斜めに傾いた面にも適用できるものである。
【0061】
なお、本発明に係るテープ貼り付け機は、テープ押圧具と共に用いてもよい。
【0062】
図14は、本発明に係るテープ押圧具の一例を示す正面図である。図14において、20はテープ押圧具であり、21はテープ押圧具20が備える押圧輪である。押圧輪21は、図14に示すとおり、底面半径が同じで高さの異なる2つの円錐台形状の下部半輪21aと上部半輪21bとから構成されており、下部半輪21aと上部半輪21bとは、その底面の中心を一致させて底面同士が当接する向きに組合わされている。下部半輪21aと上部半輪21bは、フレーム22によって、それぞれの底面の中心を通り底面に対して垂直な回転軸rに対して回転自在に支持されている。下部半輪21aと上部半輪21bとは結合されていないので、回転軸rの回りに、それぞれ独立して回転可能である。23は、フレーム22と連結されている操作棒であり、作業者は、操作棒23を持って移動することにより、立ったままの姿勢で、テープ押圧具21を走行させることができる。
【0063】
下部半輪21aの円錐台形状の側面21asと、上部半輪21bの円錐台形状の側面21bsとが押圧輪21の外周端面を構成している。tは外周端面の稜線である。
【0064】
図15は、テープ押圧具20の押圧輪21の近辺だけを取り出して示す図である。図15に示すとおり、下部半輪21aの円錐台形状の底面Pと側面21asとの為す角A、及び、上部半輪21bの円錐台形状の底面Pと側面21bsとの為す角Aは、いずれも45度であり、AとAとを加算した角度、すなわち、押圧輪21の外周端面が押圧輪21の外周の全周にわたって半径方向に突出する角度は90度となっている。
【0065】
段差部の入り隅は、通常、90度であるので、押圧輪21の外周端面が半径方向に突出する角度が90度であることによって、押圧輪21は、下部半輪21aの側面21asと、上部半輪21bの側面21bsの双方を、段差部の底面及び側面と確実に当接させながら、段差部に沿って走行することができる。
【0066】
本発明に係るテープ貼り付け機1によってテープ状の舗装用材料を段差部の主として上部に貼り付けた後、段差部に貼り付けられているテープ状の舗装用材料Tの上を上述したテープ押圧具20の押圧輪21を走行させることによって、テープ状の舗装用材料Tを段差部の入り隅を挟んだ側面Dbと底面Dcの双方に、より確実に密着、貼着させることができる。その後、剥離紙Hを剥がせば良い。
【0067】
ただし、押圧輪21の外周端面が半径方向に突出する角度は90度には限られない。図16は、本発明に係るテープ貼り付け機とともに用いるテープ押圧具の他の一例を示す正面図である。図16において、30はテープ押圧具であり、31はテープ押圧具30が備える押圧輪である。押圧輪31は、図16に示すとおり、底面半径が同じで高さも同じである2つの円錐台形状の下部半輪31aと上部半輪31bとから構成されており、下部半輪31aと上部半輪31bとは、その底面の中心を一致させて底面同士が当接する向きに組合わされている。下部半輪31aと上部半輪31bは、フレーム32によって、それぞれの底面の中心を通り底面に対して垂直な回転軸rに対して回転自在に支持されている。下部半輪31aと上部半輪31bとは結合されていないので、回転軸rの回りに、それぞれ独立して回転可能である。33は、フレーム32と連結されている操作棒であり、作業者は、操作棒33を持って移動することにより、立ったままの姿勢で、テープ押圧具31を走行させることができる。下部半輪31aの円錐台形状の側面31asと、上部半輪31bの円錐台形状の側面31bsとが押圧輪31の外周端面を構成している。tは外周端面の稜線である。
【0068】
図17は、テープ押圧具30の押圧輪31の近辺だけを取り出して示す図である。図17に示すとおり、下部半輪31aの円錐台形状の底面Pと側面31asとの為す角B、及び、上部半輪31bの円錐台形状の底面Pと側面31bsとの為す角Bは、いずれも45度よりも小さく、BとBとを加算した角度、すなわち、押圧輪31の外周端面が押圧輪31の外周の全周にわたって半径方向に突出する角度は90度未満の鋭角となっている。
【0069】
段差部の入り隅は、通常90度ではあるが、90度よりも小さな角度の入り隅も存在する。押圧輪31の外周端面が半径方向に突出する角度が90度未満の鋭角であることによって、押圧輪31は、施工対象となる入り隅の角度が小さい場合であっても、その外周端面を入り隅部分に挿入して、テープ状の舗装用材料を入り隅部分に確実に押圧、貼着させることができる。
【0070】
なお、図には示さないが、押圧輪の外周端面が半径方向に突出する角度は90度を超える鈍角であってもよい。既設舗装の切削や舗装の新設によって生じる段差部の側面は、場合によっては、垂直ではなく、斜めに鈍角で立ち上がっている場合があるので、本発明に係るテープ貼り付け機1を用いてテープ状の舗装用材料をそのような鈍角で立ち上がる側面と底面とをカバーする位置に張り付けた場合には、押圧輪の外周端面が半径方向に突出する角度が90度を超える鈍角であるテープ押圧具を用いて、張り付けられたテープ上を走行させることにより、テープ状の舗装用材料の施工面への押圧、貼着をより確実なものとすることができる。
【0071】
上述した押圧輪の外周端面が半径方向に突出する角度がそれぞれに異なるテープ押圧具は、それぞれを単独で用いてもよいし、そのうちの2種、または3種を組合わせて用いてもよい。また、適宜の2種又は3種を組合わせて互いに連結して用いてもよい。
【0072】
テープ押圧具を構成する押圧輪は、例えば、ゴム、合成樹脂、金属など適宜の材料を用いて構成することができる。ただし、施工面である段差部が、通常、凹凸を有していることを考慮すると、押圧輪は、少なくともその表面が弾性を有する天然又は人工のゴム、例えばウレタンゴムなどで構成されているのが好ましい。
【0073】
図18は、本発明に係るテープ押圧具を用いた施工の一例を示す図である。図18において、Daは施工対象となる段差部の上面、Dbはその側面、Dcは底面、γは入り隅であり、Tはテープ状の舗装用材料、Hはテープ状の舗装用材料Tの片面に貼られている剥離紙である。
【0074】
例えば、本発明に係るテープ貼り付け機1によってテープ状の舗装用材料Tを段差部に貼り付けた後、テープ状の舗装用材料Tを段差部の入り隅γを挟んだ側面Dbと底面Dcの双方により確実に貼り付けるには、図18に示すように、段差部に貼り付けられているテープ状の舗装用材料Tの上を本発明に係るテープ押圧具20の押圧輪21を走行させれば良い。押圧輪21の走行によって、テープ状の舗装用材料Tは、押圧輪21の下部半輪21aの側面21asと、上部半輪21bの側面21bsとによって押圧され、段差部の底面Dcと側面Dbの双方に密着、貼着される。その後、剥離紙Hを剥がせば良い。
【0075】
なお、図14及び図15に示す押圧具20に代えて、図16及び図17に示す押圧具30を用いてもよく、入り隅γの角度が90度超である場合には、押圧輪の外周端面が半径方向に突出する角度が90度を超える押圧輪を備えた押圧具を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係るテープ貼り付け機によれば、テープ状の舗装用材料を効率良く、かつ、作業者が腰を屈めることなく段差部の入り隅を挟んだ底面及び側面からなる断面L字型の施工面のみならず、垂直又は斜めに立ち上がる側面や、水平又は傾いた底面などに押圧、貼着することができる。また、本発明に係るテープ押圧具によれば、テープ状の舗装用材料を効率良く、かつ、作業者が腰を屈めることなく、施工面に密着させ、より確実に貼り付けることができる。本発明は、舗装現場での作業の効率化並びに労力の軽減化に資すること多大であり、その産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0077】
1 テープ貼り付け機
2 ロール支持板
3 ロール抑え板
4 ロール挿入軸
5 支持軸
6 連結部材
7 可動板
8 蝶番
9 把持部
10a、10b 取付板
14a、14b 回転ネジつまみ
20、30 テープ押圧具
21、31 押圧輪
22、32 フレーム
Da 段差部上面
Db 段差部側面
Dc 段差部底面
H 剥離紙
N1、N2、N3、N4 ナット
R 舗装用材料のロール
SP スペーサ
T 舗装用材料
V 間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18