(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059542
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】横型製袋充填包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 57/00 20060101AFI20220406BHJP
B65B 57/02 20060101ALI20220406BHJP
【FI】
B65B57/00 H
B65B57/00 C
B65B57/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167373
(22)【出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108567
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 浩之
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 雅行
(57)【要約】
【課題】エンドシール装置が製品を噛み込むことに起因して包装機が警報停止して、包装機に不良品となりうる製品が残存していても、当該製品を自動的に包装機から排出することで、停止後の通常運転への早期の復旧を可能にする横型製袋充填包装機を提供する。
【解決手段】エンドシール装置3による製品Pの噛込みが生じた時には、包装機の各装置の運転は警報停止され、この状態で起動スイッチ40がON操作されることに応じて、エンドシール装置3を運転停止状態に制御したまま、エンドシール装置3以外の各装置がサイクル動作される。当該サイクル動作の回数は、略筒状包装材内と筒状包装材Ft内に既に送り込まれている製品Pを包装したときに不良品の袋包装体となる袋の数として設定されている排出袋数に対応した回数である。警報停止時に包装機に残る排出袋数の製品Pは、非作動状態にあるエンドシール装置3を通過して自動的に排出される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状包装材を供給する包装材供給装置、
前記包装材供給装置から供給された前記帯状包装材が送り移動される間に、当該帯状包装材を湾曲形成させた略筒状包装材を経て、筒状包装材に形成する包装材形成装置、
前記包装材形成装置によって湾曲形成される前記略筒状包装材内に袋包装すべき製品を順次送り込む製品供給装置、
前記製品の袋包装体を製造するため、隣り合う前記製品間で前記筒状包装材を挟み込んでエンドシールを施すシール位置と、前記筒状包装材の挟込みから離れた退避位置との間で作動するエンドシール装置、
前記各装置が前記製品の包装のためにそれぞれが担うべき動作を制御する制御装置、
前記各装置の一括的な運転起動と運転停止のため、オペレータによるON操作とOFF操作が行われる起動スイッチ
を備えており、
前記制御装置は、前記エンドシール装置による前記製品の噛込みが検出されることに応じて、前記各装置の前記サイクル動作を警報停止させるとともに前記エンドシール装置を前記筒状包装材から離れた退避位置に移動させる横型製袋充填包装機において、
前記制御装置に関連して、前記エンドシール装置による前記製品の噛込みが生じた後も前記各装置の前記サイクル動作を継続するとしたときに不良品となると想定される袋包装体の数に相当する袋数として設定される排出袋数を記憶する記憶装置が設けられており、 前記制御装置は、前記不良品となると想定される前記袋包装体の製造を回避するため、前記エンドシール装置による前記製品の噛込みが生じた場合に、前記起動スイッチが前記ON操作されることに応じて、前記記憶装置に記憶されている前記排出袋数に対応した数のサイクルの回数だけ、前記エンドシール装置についてはその前記サイクル動作を停止し、且つ前記エンドシール装置以外の前記各装置についてはそれらの前記サイクル動作を行わせること
から成る横型製袋充填包装機。
【請求項2】
前記各装置において、前記記憶装置に記憶されている前記排出袋数に対応した前記サイクル動作が終了したときには、前記制御装置は、一旦、すべての前記装置の動作を停止する制御を行うこと
から成る請求項1に記載の横型製袋充填包装機。
【請求項3】
前記横型製袋充填包装機は、前記各装置の動作を表示することが可能な表示装置と、前記エンドシール装置が前記製品の噛込みを生じたときに音や光等の手段で警報を発する報知装置を備えており、
前記制御装置は、前記噛込み発生の後の前記各装置に、前記記憶装置に記憶されている前記排出袋数に対応した数の回数の前記サイクル動作をさせる間、前記表示装置を利用してその旨の表示をさせるとともに、前記報知装置を利用してその旨の警報音を発する制御を行うこと
から成る請求項1又は2に記載の横型製袋充填包装機。
【請求項4】
前記排出製品数は、前記製品を袋包装する袋の長さと前記横型製袋充填包装機の仕様とに基づいて自動計算された製品数、又は当該自動計算された製品数に対して計算誤差が手動補正された製品数として設定されること
から成る請求項1~3のいずれか一項に記載の横型製袋充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、横型製袋充填包装機、特に、エンドシール動作時にエンドシーラ間に製品の噛み込みが生じた場合に、その噛込み後における横型製袋充填包装機の通常運転への復帰作業性を向上させた横型製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横型製袋充填包装機(以下、
図5~
図12に基づく説明において「包装機」と略す。)は、側面図である
図5及び平面図である
図6に一例として示すように、基本的な構成として、原反ロールFrから繰り出した帯状包装材Fwをその帯状長手方向に搬送し、当該帯状包装材Fwの両側縁部分fe,feを近接させて略筒状に曲成するフォーマ22を有する包装材供給装置2と、曲成された帯状包装材Fwに製品(被包装物)Pを一定間隔で送り込む製品供給装置1と、曲成された帯状包装材Fwの両側縁部分fe,feにセンターシールを施して筒状包装材Ftに成形するセンターシール装置(センターシールローラ23及び紙引きローラ24)と、製品Pを内部に有した筒状包装材Ftについて隣り合う製品P,Pの間の位置で横切る方向にエンドシールを施すエンドシール装置3を備えている。後述するように、エンドシール装置3にはエンドシール部Seの中間で筒状包装材Ftを切断するカッタ装置を組み込むことができ、製品供給装置1、包装材供給装置2及びエンドシール装置3はサーボモータによってそれぞれ別々に駆動される。制御装置4Aがこれら装置1~3を互いにタイミングを取って動作させている。こうした駆動制御により、帯状包装材Fwにシールを施して袋が製作され、当該袋内に製品Pを収納した袋包装体(ピロー包装体)Bpが連続して製造される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
包装機の包装材供給装置2は、紙送りローラ21と紙引きローラ23を有する紙送り機構により、原反ロールFrから帯状包装材Fwを繰り出して送る。紙送りローラ21は、フィルム送り用サーボモータSM2Aによって駆動される。紙引きローラ23は、フィルム送り用サーボモータSM2Bによって駆動される左右のローラ23a,23bから構成されており、回転しながらローラ周面間に包装材の両側縁部分fe,feを挟み込むことで帯状包装材Fwを紙引きする。フォーマ22は、帯状包装材Fwの両側縁部分fe,feを互いに近づけて略筒状にまで曲成させた湾曲状包装材に成形する。センターシーラ24は、フィルム送り用サーボモータSM2Cによって駆動されるシールローラ24a,24bから構成されている。シールローラ24a,24bは、回転しながらローラ周面間に略筒状に曲成された湾曲包装材の両側縁部分fe,feを挟み込むとともに加熱・加圧することでセンターシールを施す。湾曲状包装材は、センターシール部Scが形成されることにより筒状包装材Ftに形成され、下流に搬送される。
【0004】
製品供給装置1は、製品Pの後部を押して搬送するプッシャアタッチメント11が所定の間隔で取り付けられている無端チェーン12を備えた供給コンベヤである。無端チェーン12は搬送方向の前後の端部に配置されたスプロケット14,14に巻き掛けられており、供給コンベヤ駆動用サーボモータSM1の回転出力が動力伝達機構を介して下流側のスプロケット14に伝達され、当該スプロケット14を回転駆動する。製品供給装置1においては、プッシャアタッチメント11が製品Pを押しながら搬送して、製品Pをフォーマ22内に送り込む。フォーマ22においては、帯状包装材Fwが略閉じた湾曲状に成形されるので、フォーマ22の出口側では、製品Pは略筒状に湾曲形成された帯状包装材Fwの内部に置かれた状態で当該包装材と共に送り出される。製品供給装置1は、プッシャアタッチメント11を探知する供給原点センサ10を備えている。
【0005】
図7は、包装機のエンドシール装置に備わるヒータブロックの軌跡の一例を示す図である。
図5~
図7を参照すると、エンドシール装置3は、筒状包装材Ftの移送路を間に置いて上下に対向する一対のヒータブロック31a,31bを有している。両ヒータブロック31a,31bは、筒状包装材Ftを挟み込んだ状態で筒状包装材Ftの移送に合わせて移送方向(水平方向)に移動する間、筒状包装材Ftにヒートシールを施してエンドシール部Seを形成する。当該移動中に、ヒータブロック31aの貫通孔34に内蔵されたカッタ33が、適宜に配設されているアクチュエータによってヒータブロック31bに形成されている貫通孔35側に向かって突き出され、エンドシール部Seの中央部分がカットされる。その後、両ヒータブロック31a,31bは、カッタ33を引き込みつつ互いに離間し、次の包装サイクルで再び、上記したように互いに当接して水平移動する。エンドシール装置のヒータブロック31a,31bは、包装サイクル毎に、軌跡32a,32bのような公転軌道を辿る動作を繰返す。このような動作は、辿る軌道が箱形に近い公転軌道であるので、「ボックスモーション動作」と称される。上記の装置1~3の所定のタイミングを調整することによって、帯状包装材Fwから筒状包装材Ftを経て形成された袋の内部に、製品Pが収容・包装された袋包装体Bpが製造される。
【0006】
エンドシール装置3の公転軌道を辿る動作は、サーボモータと溝カムのようなカムを用いて上下のヒータブロック31a,31bに公転移動を行わせることで得られる。また、カムに代えて、ヒータブロック31a,31bを上下駆動(噛合い方向に開閉移動)させるサーボモータSM3Aと、水平駆動(包装材送り方向に前後進移動)させるサーボモータSM3Bとを適宜のタイミングと動作量で作動させることで開閉移動と前後進移動とを合成し、この合成運動の結果として、ヒータブロック31a,31bにボックスモーション動作をさせてもよい。
【0007】
図5、
図6に示すように、包装材供給装置2は、帯状包装材Fwには、袋長さLb(
図6参照)に対応した間隔を置いて印刷されているレジマークRMを検出するマークセンサ20を有しており、エンドシール装置3は、ヒータブロック31a,31bが停止するときに占める最も離間し且つ水平移動の中心となる位置(水平中間位置)を探知するエンドシーラ原点センサ30を有している。初期状態においては、製品供給装置1、包装材供給装置2及びエンドシール装置3はそれぞれの基準点で停止した状態にある。包装材供給装置2の停止位置は、マークセンサ20が、帯状包装材Fwに印刷されたレジマークRMを探知した位置である。エンドシール装置3の停止位置は、ヒータブロック31a,31bが水平中間位置を占めるときの当該ヒータブロック31aを探知するエンドシーラ原点センサ30がONした位置である。製品供給装置1の停止位置は、プッシャアタッチメント11を探知する供給原点センサ10がONした位置である。
【0008】
図8は、包装機に備わる制御装置4Aの概略を示すブロック図である。
図8に示すように、上記の各センサ10,20,30からの検出信号は、初期位相差調整部70及び通常運転制御部71に入力される。初期位相差調整部70は製品供給装置制御部75と包装材供給装置制御部76とに、そして通常運転制御部71は両制御部75,76に加えてエンドシール装置制御部77に運転制御信号を出力して、それぞれの制御部75~77が対応するサーボモータに駆動用の制御信号を出力する。エンドシール装置制御部77は、上下駆動用サーボモータ制御部78と水平駆動用サーボモータ制御部79とを備えている。即ち、制御装置4Aは、上記各センサ10,20,30からの信号の入力を受けて、製品供給装置1の供給コンベヤ駆動用サーボモータSM1、包装材供給装置2の紙送りローラ21を駆動するためのフィルム送り用サーボモータSM2A、紙引きローラ23を駆動するためのフィルム送り用SM2B及びセンターシーラ24を駆動するためのフィルム送り用SM2C、並びにヒータブロック31a,31bを上下駆動用サーボモータSM3A及び水平駆動用のサーボモータSM3Bのタイミングを伴った駆動制御を行い、これら装置1~3を、所定のタイミングを保ちながら動作させる。
【0009】
制御装置4Aは、包装機の運転状態(各種設定状態)を記憶する記憶装置5と、当該包装機の運転状態を設定する操作が可能であると共に当該運転状態を表示可能な操作・表示装置6と、装置1~3の異常時にオペレータに包装材の状態の点検・監視を促す旨の報知を行う報知装置7と接続されている。制御装置4Aは、当該包装機の運転に際して、記憶装置5、操作・表示装置6又は報知装置7と個別的に、或いは相互間で情報を遣り取りしている。包装機を用いて袋包装体を製造しようとするときは、操作・表示装置6を操作して、製造する袋の長さなどの基本設定値を機械に設定し、更に包装材供給装置2、エンドシール装置3、製品供給装置1間のタイミング(位相差)を調整する必要がある。なお、報知装置7による報知は、例えば、ブザー、メッセージ、警告灯のような一つ又は組み合わせた手段で行うことができる。
【0010】
噛込み検出の一例として、
図8に示すように、上下駆動用サーボモータ制御部78は、上下駆動用サーボモータSM3Aのパルス制御における溜まりパルス数をカウントする溜まりパルス数カウンタ8を備えていて、接触検出判定部72は、溜まりパルス数カウンタ8から送られてくる溜まりパルス数の入力を受けて、当該溜まりパルス数が所定のカウント数以上になることに応答して、エンドシール装置3のヒータブロック31a,31bにおいて製品や異物との「接触検出」があったか否かを判定する(特許文献2参照)。なお、エンドシール装置における製品の噛込み事象に対処するため、上下のエンドシーラが包装材を挟み込んでいる間を検出区間とし、エンドシーラによる製品の噛込みを検出する種々の技術が、従来から提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
退製品噛込み時の動作制御の一例として、製品供給装置1と包装材供給装置2とについては運転継続するが、エンドシール装置3については退避運転制御部73によって退避運転をさせる制御が行われる。退避運転制御部73は、エンドシール装置制御部77に接続されており、エンドシール装置制御部77の上下駆動用サーボモータ制御部78と水平駆動用サーボモータ制御部79とに制御信号をそれぞれ出力する。接触検出判定部72による「接触検出」の判定に応じて、退避運転制御部73は、水平駆動用サーボモータSM3Bの運転制御を継続し、上下駆動用サーボモータ制御部78が上下駆動用サーボモータSM3Aに制御信号を出力して、ヒータブロック31a,31bを上下に開く動作をさせて退避位置へ移動させる退避運転制御を行う。噛込みに対する点検・清掃が行われた後、操作・表示部6からの運転再開の指令信号を受けると、運転再開制御部74がエンドシール装置制御部77に対してエンドシール装置の運転再開をするように制御する。即ち、両サーボモータ制御部78,79は両サーボモータSM3A,SM3Bにそれぞれ上下駆動用及び水平駆動用の制御信号を出力して通常動作再開を行わせ、その後は通常運転制御部71の制御の下に入り、制御部75~77に対して、それぞれが対応するサーボモータに駆動用の制御信号を出力する通常の運転制御が行われる。
【0012】
上記のような包装機においては、
図9(a)に示すように、製品Pを載置した状態で横方向に走行する筒状包装材Ftを、包装単位毎の製品P,P間の位置でエンドシール装置3のヒータブロック31a,31bで挟み込んでエンドシールを施すことで、袋包装体Bpが正常に製造される。しかしながら、筒状包装材Ft内に製品Pの滓が散らばる、或いは製品Pそのものが筒状包装材Ft内で滑るなどして位置ずれが生じた場合には、
図9(b)に示すように、エンドシール動作時に、上下のヒータブロック31a,31bが筒状包装材Ftを介して製品Pを挟み込むことがある(噛込みが生じて不良品となる製品Pを格子状のハッチングで示す)。製品Pを噛み込んだ状態でカッタ33(
図7)が動作したときには、カッタ33やヒータブロック31a,31bが製品Pに触れて汚れることもある。噛み込み事象が生じると、
図9(c)に示すように、包装機は、上記したように、一般的にそれ以上の噛込みが酷くならないように包装機を緊急停止し、上下のヒータブロック31a,31bを筒状包装材Ftから離れた位置に移動(通常、筒状包装材Ftから上下方向に最も離れた退避位置にまで移動)して噛み込み状態から離脱させる動作を行う。製品Pの噛込みが生じた包装体は、後続の搬出路において不良品として排除される。
【0013】
エンドシール装置3のヒータブロック31a,31bによる製品Pの噛込みが生じたときには、筒状包装材Ft内に既に送り込まれている後続の製品Pも、噛み込まれた製品Pと同じように、例えば、筒状包装材Ft内への送込みタイミングのずれに起因して筒状包装材Ft内における位置ズレが既に生じている可能性がある。また、包装機の緊急停止の際に、急停止する筒状包装材Ftに対して製品Pが前方へ慣性移動して、より噛み込まれやすくなるような方向に助長された位置ズレを生じる可能性もある。そうした状態で包装機の運転を再開すると、後続の製品P(
図9(c)において縦のハッチングを付した製品)もエンドシール動作時に噛込みを生じ、包装体としても不良品となる可能性がある。
【0014】
エンドシール動作時の製品噛込みを検出した場合の処理として、カッタ動作のみを行わず、複数の袋包装体Bpを連包として排出する処理の仕方もある。カッタ動作前に噛込みが検出されればこうした処理で問題ないこともあるが、カッタ動作後に噛込みが検出された場合には噛込みが生じた不良品が包装機の下流の搬出路に流れるおそれがある。製品Pの性質(べたつき、又は硬さ)によっては、停止後にヒータブロック31a,31bやカッタ33の汚れや破損を点検する必要もある。そこで、不良品の流出阻止と包装機の健全性について確実性を期すために、噛込みの警報を発するとともに、上記したように包装機を停止させ(以下、「警報停止」という)、実際に生じた不良品や、不良品となる可能性がある後続の製品Pに関しては、エンドシール動作をさせずに、製品Pとそれを包装する袋数相当分の長さの筒状包装材Ftを包装機から除去することが選択される。
【0015】
包装機とそのエンドシーラ動作を停止させるため、包装機にはオペレータがスイッチ操作をする「起動スイッチ」と「エンド停止スイッチ」が通常装備として備わっている。
図10(a)にはエンド停止スイッチ45の一例が示されている。エンド停止スイッチ45には、当該スイッチのOFF状態では消灯し、スイッチのON操作時に点灯するエンド停止ランプ46が設けられている。エンド停止スイッチ45は、包装機のメンテナンス作業時や調整作業時に用いるスイッチであり、タッチパネル上に設けてもよく、また、別途、ハードスイッチとして設けてもよいものである。
図10(b)には、包装機に備わっている起動スイッチ40の一例が示されている。起動スイッチ40には、オペレータによる当該スイッチのOFF状態では消灯し、スイッチのON操作時に点灯する起動ランプ41が設けられている。エンド停止スイッチ45がOFF状態にあるときに、起動スイッチ40がON操作されて包装機が起動されると、エンドシール装置3を含めてすべての装置が通常どおり動作する。エンド停止スイッチ45がON状態(エンド停止ランプ46は点灯)にあるときに、包装機の起動スイッチ40がON操作(消灯していた起動ランプ41が点灯)されると、
図10(c)に示すように、エンドシール装置3以外の装置(フィルム搬送、センターシール及び製品供給の各装置)は通常どおり動作しても、エンドシール装置3は動作停止した状態に維持される。
【0016】
不良品が発生する事態、或いは不良品となってしまう可能性がある製品Pがエンドシール装置3を通過するような事態が生じるときに、エンド停止スイッチ45を操作して、不良品又はその可能性のある製品については袋包装体を作らず、包装機の動作を通常の包装動作に戻す対処を取るときの一連の様子が
図11に示されており、その手順が
図12のフローチャートに示されている。即ち、包装機の運転中にエンドシール装置3が製品Pを噛み込むような事態が生じると、
図9(c)に示したように、通常は、製品Pの噛込み検出に基づいて包装機は警報停止し、エンドシール装置3はその上下のヒータブロック31a,31bが退避位置に移行する。
図11(a)には、包装機が警報停止した状態を示しており、警報を受けたオペレータが、エンドシール装置3による製品の噛込みを確認(監視)する様子が示されている。当該確認中、オペレータが自身の判断でエンド停止スイッチ45をON操作し(ステップ10;「S10」と略す。以下同様)、エンドシール装置3が作動しないようにする。オペレータは、ヒータブロック31a,31bやカッタ33が損傷等を受けているか否かの点検を行う。次に、オペレータは、包装機の起動スイッチ40をON操作する(S11)。エンド停止スイッチ45はON状態のままであるので、起動スイッチ40をON操作しても、エンドシール装置3は作動せず、製品供給装置1と包装材供給装置2がそれぞれ作動して製品Pの供給と包装材Fwの送りが開始される。
【0017】
帯状包装材Fwはフォーマ22に送り続けられて筒状包装材Ftに形成され、供給コンベヤ1から筒状包装材Ft内に製品Pの送り込みが続けられる。オペレータは、包装材と製品Pの供給が更に進んで、不良品となってしまう可能性があるすべての製品P(噛込み発生時に既に略筒状に曲成された包装材Fwや筒状包装材Ft内に送り込まれていたすべての製品)がエンドシール装置3を通過し切るまで、繰り返し監視・確認をする(
図11(b)、
図11(c);S12)。次に、オペレータは、その後に正常に送られてくる製品Pとエンドシーラ装置3の位置関係から、製品Pがエンドシール装置3の動作時にヒータブロック31a,31bによって噛み込まれないことを確認し、オペレータは自身の判断でエンド停止スイッチ45をOFF操作する(
図11(d);S13)。包装機の起動スイッチ40はON状態にあるので、エンド停止スイッチ45がOFF操作されることで、エンドシール装置3を含め、すべての装置が動作して、包装機は通常の包装動作に復帰する。位置ズレを生じた製品Pは、個別には包装されずに筒状包装材Ftとともに包装機から排出されるので、不良品であることが一目瞭然である。位置ズレの生じていない製品Pから通常の包装が再開される(
図11(e))。
【0018】
エンドシーラ装置の上下のヒータブロックが閉じ動作している間を検出区間として製品の噛込みを検出する技術により、袋包装体の不良品の発生を確実に検出できるようになり、不良品が下流の搬出路に送られて出荷されるような危険性は確実に減ってきた。しかしながら、エンドシール装置において製品の噛込みが発生したときには、ヒータブロックやカッタを点検し、その結果、それらに汚れや破損があるときには清掃・交換をし、機械の調整動作をやり直すという一連の作業をするという手続が必要である。袋包装体の製造はそうした手続を踏んだ後に再開される。特に、包装機が警報停止した場合には、既に筒状包装材内に送り込まれている製品は位置ズレを生じている可能性があるため、これらの製品についてはエンドシール動作を非作動として、筒状包装材とともに全て取り除く必要がある。この場合、オペレータが目視にて筒状包装材と製品の移動を監視し、エンドシール装置における製品の噛込み発生の後、袋包装体を製造してしまうと不良品として取り除かれるべき袋包装体に相当する袋の数をカウントする必要があり、こうした作業は、手間のかかる作業であって、作業に誤認が生じると製品や包装材のロスのみならず、時間のロスやヒータブロックやカッタの再度の点検が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特公平7-110645号公報
【特許文献2】特許第6084034号公報
【特許文献3】特許第5068490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
そこで、横型製袋充填包装機において、エンドシール装置が製品を噛み込むことに起因して、横型製袋充填包装機が警報停止するとともにエンドシール装置が退避位置に移動するような事態が生じたときには、製品を包装した袋包装体を製造してしまうと不良品として取り除かれるべき袋包装体となる当該製品と筒状包装材については、不作動の状態にあるエンドシール装置を通過させることで、不良品となる袋包装体を製造せずに、横型製袋充填包装機の早期の復旧を可能にする点で解決すべき課題がある。
【0021】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、エンドシール装置による製品の噛込みに起因して包装機が警報停止し包装材内部に、袋内に製品を包装した袋包装体を製造してしまうと不良品の原因となりうる製品が残存していても、当該製品に対応して設定される袋の数に相当する分、自動的に袋包装体を製造しないことで、停止後の通常運転への復旧の作業性を向上するとともに早期の復旧を可能にする横型製袋充填包装機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の課題を解決するため、この発明による横型製袋充填包装機は、
帯状包装材を供給する包装材供給装置、
前記包装材供給装置から供給された前記帯状包装材が送り移動される間に、当該帯状包装材を湾曲形成させた略筒状包装材を経て、筒状包装材に形成する包装材形成装置、
前記包装材形成装置によって湾曲形成される前記略筒状包装材内に袋包装すべき製品を順次送り込む製品供給装置、
前記製品の袋包装体を製造するため、隣り合う前記製品間で前記筒状包装材を挟み込むシール位置を占めるときに当該筒状包装材にエンドシールを施すエンドシール装置、
前記製品毎の包装のために前記各装置が繰り返して担うべきサイクル動作を制御する制御装置、
前記各装置の一括的な運転起動と運転停止のため、オペレータによるON操作とOFF操作が行われる起動スイッチ
を備えており、
前記制御装置は、前記エンドシール装置による前記製品の噛込みが検出されることに応じて、前記各装置の前記サイクル動作を警報停止させるとともに前記エンドシール装置を前記筒状包装材から離れた退避位置に移動させる横型製袋充填包装機において、
前記制御装置に関連して、前記エンドシール装置による前記製品の噛込みが生じた後も前記各装置の前記サイクル動作を継続するとしたときに不良品となると想定される袋包装体の数に相当する袋数として設定される排出袋数を記憶する記憶装置が設けられており、 前記制御装置は、前記不良品となると想定される前記袋包装体の製造を回避するため、前記エンドシール装置による前記製品の噛込みが生じた場合に、前記起動スイッチが前記ON操作されることに応じて、前記記憶装置に記憶されている前記排出袋数に対応した数のサイクルの回数だけ、前記エンドシール装置についてはその前記サイクル動作を停止し、且つ前記エンドシール装置以外の前記各装置についてはそれらの前記サイクル動作を行わせることから成っている。
【0023】
この横型製袋充填包装機によれば、エンドシール装置による製品の噛込みが生じた後も各装置のサイクル動作を継続するとしたときに不良品となると想定される袋包装体の数に相当する袋数として排出袋数が設定され、制御装置に関連して設けられる記憶装置には、当該排出袋数が記憶される。エンドシール装置による製品の噛込みが生じた場合には、従前と同様に、制御装置は、各装置のサイクル動作を警報停止させるとともにエンドシール装置を退避位置に移動させる。この状態で、オペレータが起動スイッチをON操作するときに、制御装置は、エンドシール装置を退避位置に移動させたまま、エンドシール装置以外の各装置について、製品の包装のためにそれぞれが担うべきサイクル動作をするように制御を行う。このときの制御装置が各装置についてする制御は、記憶装置に記憶されている排出袋数に対応した数のサイクル動作を各装置がするように司る制御である。即ち、制御装置は、包装材供給装置については帯状包装材を当該排出袋数の袋に相当する長さだけ送る制御をし、包装材形成装置については当該長さの帯状包装材を湾曲形成させた略筒状包装材を経て、更に筒状包装材に形成する制御をし、製品供給装置については当該排出袋数に対応した数の製品(包装毎に製品単位に相当)を略筒状包装材内に新たに送り込む制御をする。製品供給装置によって略筒状に曲成された包装材と筒状包装材内に既に送り込まれていて、包装したときに袋包装体として不良品となる可能性がある製品については、噛込み後の制御装置の制御により、エンドシール装置によるエンドシールの施しによって袋包装体を製造することなく、筒状包装材とともにエンドシール装置の下流側に自動的に排出される。
【0024】
この横型製袋充填包装機において、前記各装置において、前記記憶装置に記憶されている前記排出袋数に対応した前記サイクル動作が終了したときには、前記制御装置は、一旦、すべての前記装置の動作を停止する制御を行うとすることができる。
排出袋数に対応したサイクル動作が終了した時は、袋包装体として不良品となる可能性がある製品が、すべてエンドシール装置を通過した時であるので、この時点で、制御装置が、エンドシール装置を含めてすべての装置の動作を一旦、停止する制御を行うことで、オペレータは、その後に包装される製品とエンドシール装置との相互位置や各装置のサイクル動作のタイミング関係等をチェックすることができる。
【0025】
この横型製袋充填包装機において、前記横型製袋充填包装機は、前記各装置の動作を表示することが可能な表示装置と、前記エンドシール装置が前記製品の噛込みを生じたときに音や光等の手段で警報を発する報知装置を備えているものとし、前記制御装置は、前記噛込み発生の後の前記各装置に、前記記憶装置に記憶されている前記排出袋数に対応した数の回数の前記サイクル動作をさせる間、前記表示装置を利用してその旨の表示をさせるとともに、前記報知装置を利用してその旨の警報音を発する制御を行うことができる。
横型製袋充填包装機に備わる表示装置と報知装置を利用して、噛込み発生の後の各装置について、記憶装置に記憶されている排出袋数に対応した回数のサイクル動作をさせている間にその旨の表示と警報を行わせることで、オペレータは、横型製袋充填包装機が当該動作を行っていることを認識することができ、安全に資するものとなる。
なお、表示装置と報知装置においては、現在何個目の袋についての動作中であるのかの表示と警報を行うことも可能である。
【0026】
この横型製袋充填包装機において、前記排出製品数については、前記製品を袋包装する袋の長さと前記横型製袋充填包装機の仕様とに基づいて自動計算された製品数、又は当該自動計算された製品数に対して計算誤差が手動補正された製品数として設定することができる。
横型製袋充填包装機の仕様としては、包装材形成装置(例えば、帯状包装材を略筒状の包装材に形成するフォーマ)からエンドシール装置に至る距離とすることができる。当該距離を袋一つの長さで割ることで、製品噛込み時に略筒状に成形された包装材と筒状包装材との中に既に残っている製品に対応した排出袋数を自動計算することができる。また、割り算に端数が出るような場合を含めて、不良品となる袋包装体を製造しないように、安全側に排出袋数を設定可能にする手動補正ができるようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
この発明による横型製袋充填包装機は、上記のように構成されているので、エンドシール装置が製品を噛み込んだ後においては、制御装置の制御により、包装材供給装置、包装材形成装置及び製品供給装置については所定の回数のサイクル動作が自動的に行われ、エンドシール装置については当該回数のサイクル動作の間、エンドシール動作をしない不作動の状態とされる。製品供給装置によって略筒状包装材と筒状包装材内に既に送り込まれていて、包装したときに袋包装体として不良品となる可能性がある製品と、当該製品を載せた筒状包装材とは、当該筒状包装材にエンドシールが施されることなく、排出袋数の分だけエンドシール装置を通過する。したがって、包装したときに不良品と成り得る製品は、エンドシール装置によって筒状包装材にエンドシールが施されることで個別に袋包装されることがないので、搬出ラインから排出すべきものであることが確実に認識され、誤って不良品となる袋包装体が出荷される事態を回避することができる。また、従来必要であったエンド停止スイッチの操作が不要となるので、横型製袋充填包装機の正常な包装動作へ復帰させるための作業性の向上を図ることができるとともに、包装機の正常な包装動作への復帰を早めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、この発明による横型製袋充填包装機の一実施例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す横型製袋充填包装機の一実施例に対応した噛込み後の排出袋数の設定を説明する図である。
【
図3】
図3は、
図1及び
図2に示す横型製袋充填包装機の一実施例に対応した作動の様子を示す説明図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す横型製袋充填包装機の一実施例に対応した作動の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、従来の横型製袋充填包装機の一例を示す側面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す横型製袋充填包装機の平面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示す横型製袋充填包装機に備わるエンドシール装置のヒータブロックの軌跡の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図5に示す横型製袋充填包装機に備わる制御装置の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、
図5に示す横型製袋充填包装機の作動を説明する図である。
【
図10】
図10は、
図5に示す横型製袋充填包装機に備わるエンドシール停止スイッチの一例と、包装機の起動スイッチの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、
図5に示す横型製袋充填包装機において製品の噛込みが生じたときの対処を説明する図である。
【
図12】
図12は、
図5に示す横型製袋充填包装機において製品の噛込みが生じたときの対処の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による横型製袋充填包装機の実施例を説明する。この発明による横型製袋充填包装機それ自体の構造は、従来の横型製袋充填包装機と比べて実質的な相違はないので、
図5及び
図6に示すような構造をそのまま援用することとし、ここでは横型製袋充填包装機の構造についての再度の説明を省略する。
【0030】
図1はこの発明による横型製袋充填包装機(以下、実施例の説明において「包装機」と略す)の一実施例を示すブロック図であり、包装機の構成要素間の関係と信号等の入出力関係を示している。
図1(a)に示す包装機の制御装置4は、その基本的な構成として
図8に示す従来の制御装置4Aと同等のものを備えている。したがって、従来の制御装置4Aに備わる構成要素と同等の構成要素には制御装置4Aに用いた符号と同じ符号を付すことで再度の説明を省略し、ここでは、本発明に特有なものとして追加される構成を中心として説明をする。
図1(b)は、
図1(a)に示す制御装置4のうち、製品排出制御部80を中心として、その詳細を示した部分ブロック図である。
【0031】
包装機の包装動作に対応して、各装置が行うサイクル動作は、1個の袋包装体Bpを製造するため、サイクル開始と終了までのサイクル期間を合わせて、各装置が包装に関連してそれぞれする動作のことである。エンドシール装置3であれば、開き位置(退避位置)から筒状包装材Ftを挟み込んでエンドシールを施し、その後、開き位置に戻るまでの動作をいう。製品供給装置1であれば、包装単位の製品(1個の袋に1個の製品を包装するのであれば1個の製品)をフォーマにおいて略筒状に曲成された包装材に送り込む動作である。また、包装材供給装置2であれば、1包装単位の袋分の長さを送る動作である。各サイクル動作では、動作タイミングが調整される。
【0032】
制御装置4への入力スイッチとして、従来にも備わっていたものであるが、包装機のメインスイッチ、即ち、すべての装置のONとOFFを操作する起動スイッチ40と、ONとされたときにエンドシール装置3を停止させるエンド停止スイッチ45が設けられており、これらスイッチ40,45のスイッチ操作が制御装置4に入力される。制御装置4では、エンド停止スイッチ45の操作内容は起動スイッチ40の操作内容に優先して扱われる。エンド停止スイッチ45がOFF状態であれば、起動スイッチ40がON操作されると製品供給装置1、包装材供給装置2及びエンドシール装置3が作動するが、エンド停止スイッチ45がON状態であれば、起動スイッチ40がON操作されてもエンドシール装置3は作動しない。
【0033】
操作・表示部6は包装機の運転状態を表示しつつ包装機の操作を指示可能にするモニタ(ディスプレイ)である。操作・表示部6は、包装機を運転させるための各種の運転項目(袋長さ、包装速度等)を表示させながら設定することも可能な設定部も兼ねている。その設定項目の一つとして、操作・表示部6には、エンドシール装置3において製品Pの噛込みが生じたときに、その対処として、筒状包装材Ft等に残っている製品Pに関して、袋包装すると可能性のある場合を含めて不良品となる袋包装体に対応した袋の数として、排出袋数Nを設定することができる排出袋数設定部61が設けられている。排出袋数設定部61で設定された排出袋数Nは、記憶装置5の排出袋数記憶部51において記憶される。更に、報知装置7には、特に詳細を記載しないが、アラームを知らせる警報音や、音声を生じさせる警報音声、あるいは回転灯のような光警報手段を備えることができる。
【0034】
制御装置4の本体内には、エンドシール装置3において製品Pの噛込みが生じたときに、その対処を行う製品排出制御部80が備わっている。製品排出制御部80には、退避運転制御部73の制御情報(ヒータブロック31a,31bが上下に退避して開いているか否かの情報)と、起動スイッチ40の操作内容(ONかOFF)と、記憶装置5の排出袋数記憶部51に記憶されている排出袋数Nが入力される。確実を期するため、「接触検出」判定部72が判定した製品Pの噛込み検出情報を製品排出制御部80に入力してもよい。製品排出制御部80は、これらの入力情報に基づいて、製品供給装置制御部75、包装材供給装置制御部76及びエンドシール装置制御部77にそれぞれの運転制御信号を出力する。
【0035】
製品供給装置制御部75は、具体的には、排出袋数Nの数に相当する数(1製品1包装の場合にはその製品(袋)の数;多製品1包装の場合には、1袋に包装される1包装単位の製品の数)の製品Pを新たにフォーマ22内の包装材の内部に順次送り込む制御を行う。包装材供給装置制御部76は、排出袋数Nの数に相当する長さの包装材(フィルム)を送る制御を行う。エンドシール装置3は、この制御を行う間、即ち、排出袋数Nの数に相当する長さの包装材(筒状包装材Ft)がエンドシール装置3を通過し切るまで運転停止を継続する制御を行う。当該長さの包装材の送りが行われれば、当該包装材に載る製品(袋包装したときに不良品の袋包装体となる)は、個別に袋包装されることなく、自動的にエンドシール装置3を通過することになる。製品排出制御部80によって、排出袋数Nに見合う数の製品と排出袋数Nに見合う長さの包装材の送りが行われると、制御装置4の統合制御機能により、運転再開制御部74が通常の包装運転を再開する制御を行う。
【0036】
図2は、
図1に示す包装機の排出袋数設定部61に備わる排出袋数設定画面の一例を示す図である。
図2に示す画面は、操作・表示部6を構成するモニタ(ディスプレイ)において、設定機能モードとして使用するときに表示される設定画面の一つとしての排出袋数設定画面62である。
図2(a)に示すように、排出袋数設定画面62の排出袋数設定欄63に、上記した排出袋数Nが設定される。一般に、例えば
図6に示すように、フォーマ22からエンドシール装置3までの長さ(製品の送り込みが開始される略筒状包装材及び筒状包装材Ftの長さ)Lfは機械仕様によって把握できているので、袋長さLbの設定値から筒状包装材Ft等内に何個(多製品1包装の場合は包装単位数として何個)の製品Pが存在しているのかは、長さLfをLbで割り算することで計算可能である(小数点以下の端数が生じるときは、不良品が搬出ラインに流れ出ないように、安全側として、割り算の商を繰り上げて製品Pの製品数を算出することも可能である)。このような計算に基づいて、予め「噛込み後の排出袋数」(この例では袋数として「4」)が設定される。
【0037】
図2(b)は、
図2(a)に示す排出袋数設定画面の変更例を示す図である。
図2(a)に示す排出袋数Nについては、筒状包装材Ft等内に存在している製品Pの数には計算誤差等があり得るので、排出袋の設定数を手動で補正できるようにしておくことが好ましい。そこで、
図2(b)に示すように、排出袋数設定画面64では、「噛込み後の排出袋数」として設定される袋数、即ち、排出袋数設定欄65に排出されるべき袋数として表示されている袋数(この例では袋数として「4」)を手動で補正をすることができるように、手動補正ボタン66が設けられている。手動補正ボタン66を押すことで、適宜のテンキーでの入力又は増減ボタン(図示しない)の操作によって、排出袋数設定欄65に表示される設定袋数Nを増減変更することができる。
【0038】
図3は
図1に示す包装機の一実施例の作動状態を説明する図であり、
図4は
図1に示す包装機の一実施例の要部に対応した作動の一例を示すフローチャートである。
図3に示す作動状態と、
図4に示すフローチャートに基づいて、エンドシール装置3が製品Pを噛み込んだ後の対処として、袋包装体BPが不良品となる可能性のある製品を包装したものとなることなく排出する動作の説明をする。状況として、包装機は、エンドシール装置3が製品Pを噛み込んで、エンドシール装置3のヒータブロック31a,31bが上下方向に開いた退避状態で停止した状態にあるとする。
【0039】
エンドシール装置3が退避状態にあるときに、
図3(a)に示されているように、オペレータは起動スイッチ40をON操作する(
図4のステップ1;「S1」と略す。以下、同じ)。起動スイッチ40の起動ランプ41が点灯してON状態にあることが示される。ON操作された起動スイッチ40の起動が噛込み停止後の起動であるか否かが判定される(
図4のS2)。この判定において、起動スイッチ40の起動が噛込み停止後の起動でなければ、通常包装動作(S3)に移行する。起動スイッチ40の起動が噛込み停止後であれば、噛込み対処が続行され、エンドシール装置3については、設定された排出袋数Nに相当する回数のサイクル動作の間、ヒータブロック31a,31bが上下方向に開いた退避状態にある。これにより、正常であれば筒状包装材Ftを挟み込んでシールするというヒータブロック31a,31bのサイクル動作が停止される(S4)。
【0040】
包装機が設定された排出袋数Nの回数のサイクル動作をしたか否かが判定される(S5)。当該判定がNoであるときは、S4に戻り、エンドシール装置3のサイクル動作を停止させたままでエンドシール装置3以外の各装置のサイクル動作が続行される。包装機は、エンドシール装置3のヒータブロック31a,31bが上下方向に開いた退避状態のまま、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)に示すように、製品供給装置1と包装材供給装置2がそれぞれのサイクル動作を開始し、順次続行する。S5の判定がYesであり、包装機が排出袋数Nに対応する回数のサイクル動作をしたと判定されたときには、袋包装体が不良品となるような可能性のある製品Pがエンドシール装置3を通過し切ったと判断して、エンドシール装置3のサイクル動作を中止状態から自動的に動作復帰させる(S6)。製品供給装置1と包装材供給装置2の各サイクル動作のみならず、エンドシール装置3のヒータブロック31a,31bが筒状包装材Ftを挟み込んでヒートシールを施すサイクル動作を行い、包装機は通常の包装動作の運転に復帰する(
図3(e);噛込み事象の発生後の対処の終了)。この再開最初のエンドシール装置3のサイクル動作(噛込みを生じない動作)を確認するため、包装機の運転動作を一時的に停止させることができる。
【0041】
本実施例において、包装機としてエンド停止スイッチ45を設けてもよいが、本発明における包装機の噛込み対処については、エンド停止スイッチ45の操作は不要である。製品Pの噛込みを検出すれば自動的にエンドシール装置3のサイクル動作が停止され、再開時には、オペレータによる起動スイッチ40の操作だけで、包装機の各装置1~3は通常どおり、それぞれのサイクル動作を再開することができる。噛込みが生じて包装機が停止しているときに、エンドシール装置3(ヒータブロック31a,31b)の点検・清掃をし、清掃後に起動スイッチ40をON操作することで、エンドシール装置3を含めて包装機を通常運転に自動復帰させることができる。このように、製品Pの噛込みが生じたときに、不良品となりうる製品Pの自動排出と通常運転への再開の作業が煩わしくなく、包装機の通常運転への復帰のための作業性が改善される。
【0042】
上記の実施例では、エンドシール装置3はボックスモーションをする型式のものとして説明したが、これに代えて、上下のヒータブロックがそれぞれの回転軸の回りに回転し、互いに接近するときに筒状包装材を挟み込んでシールを施す型式のものであってもよい。回転型式のエンドシール装置では、上下のヒータブロックが製品を噛み込んだときには、停止後に例えば、回転角度として90度程度、逆回転させることで、両ヒータブロックを筒状包装材から離れた退避位置に移動させることができる。更に、包装機が連続動作運転ではなく、例えば、エンドシール装置が、その上下のヒータブロックが上下動のみをする間欠動作に作動する場合にも、本発明は適用可能であることは明らかであり、包装したときに不良品の袋包装体となる製品と筒状包装材については、排出回数の袋分だけ、エンドシール装置のサイクル動作を中止しつつ、その他の装置を間欠動作にてサイクル動作をさせることで、動作中止状態にあるエンドシール装置を通過させてよい。また、不良な袋包装体となる製品と筒状包装材については、サイクル動作を中止しているエンドシール装置を排出回数の袋分だけ通過させる場合に、他の装置が連続運転可能なモードを備えていれば、当該他の装置を連続動作のモードとして通過させてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 製品供給装置 2 包装材供給装置
3 エンドシール装置 4,4A 制御装置
5 記憶装置 6 操作・表示部
7 報知装置 8 溜まりパルス数カウンタ
10 供給原点センサ
11 プッシャアタッチメント 12 無端チェーン
14 スプロケット 20 マークセンサ
21 紙送りローラ 22 フォーマ
23 紙引きローラ 23a,23b ローラ
24 センターシーラ 24a,24b シールローラ
30 エンドシーラ原点センサ
31a 上側ヒータブロック 31b 下側ヒータブロック
32a,32b 軌跡 33 カッタ
34 貫通孔 35 貫通孔
40 起動スイッチ 41 起動ランプ
45 エンド停止スイッチ 46 エンド停止ランプ
51 排出製品数記憶部 61 排出製品数設定部
62 排出製品数設定画面 63 排出製品数設定欄
64 排出製品数設定画面 65 排出製品数設定欄
66 手動補正ボタン
70 初期位相差調整部 71 通常運転制御部
72 接触検出判定部 73 退避運転制御部
74 運転再開制御部 75 製品供給装置制御部
76 包装材供給装置制御部 77 エンドシール装置制御部
78 上下駆動用サーボモータ制御部 79 水平駆動用サーボモータ制御部
80 製品排出制御部
P 製品 N 排出袋数
Fw 帯状包装材 Ft 筒状包装材
fe,fe 側縁部分
Sc センターシール部 Se エンドシール部
Bp 袋包装体 RM レジマーク
SM1 供給コンベヤ駆動用サーボモータ
SM2A,SM2B,SM2C フィルム送り用サーボモータ
SM3A 上下駆動用サーボモータ SM3B 水平駆動用サーボモータ
Lf 不良品となる製品が残存する筒状包装材等の包装材の長さ
Lb 袋長さ