(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059562
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】有機凝結剤及びその製造方法、並びに水浄化剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01D 21/01 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
B01D21/01 105
B01D21/01 110
B01D21/01 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116847
(22)【出願日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】P 2020167207
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】卯松 幸樹
(72)【発明者】
【氏名】小幡 慶
(72)【発明者】
【氏名】廣芝 泰祐
(72)【発明者】
【氏名】伊東 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】和久 香緒里
【テーマコード(参考)】
4D015
【Fターム(参考)】
4D015BA08
4D015BA12
4D015BA17
4D015BA19
4D015CA17
4D015DA04
4D015DA05
4D015DA13
4D015DA15
4D015DA16
4D015DA24
4D015DB01
4D015DB02
4D015DB12
4D015DB33
4D015DB36
4D015DC02
4D015DC04
(57)【要約】
【課題】水に溶解しない成分の含有量が少なく、水浄化性能に優れた水浄化剤及びその製造方法、並びに前記水浄化剤に好適に用いることができる有機凝結剤及びその製造方法の提供。
【解決手段】植物抽出物を含有する有機凝結剤、並びに前記有機凝結剤と、高分子凝集剤と、を含有する水浄化剤などである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物抽出物を含有することを特徴とする有機凝結剤。
【請求項2】
有機凝結剤における固形分の含量を0.1質量%とした場合の導電率が、12~350mS/mである請求項1に記載の有機凝結剤。
【請求項3】
ゼータ電位が、アニオン性である請求項1から2のいずれかに記載の有機凝結剤。
【請求項4】
前記植物抽出物が、水溶性天然リグノセルロースを含有する請求項1から3のいずれかに記載の有機凝結剤。
【請求項5】
前記植物抽出物の植物が、藁、葦、及び麻からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1から4のいずれかに記載の有機凝結剤。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の有機凝結剤の製造方法であって、
植物を粉砕する粉砕工程と、
粉砕した植物と水とを混合し、植物抽出物を得る抽出工程と、
前記植物抽出物をろ過し、液体成分を得るろ過工程と、
を含むことを特徴とする有機凝結剤の製造方法。
【請求項7】
前記抽出工程が、常温、加熱、及び加熱加圧のいずれかの条件下で行われる請求項6に記載の有機凝結剤の製造方法。
【請求項8】
請求項1から5のいずれかに記載の有機凝結剤と、
高分子凝集剤と、を含有することを特徴とする水浄化剤。
【請求項9】
粒子である請求項8に記載の水浄化剤。
【請求項10】
前記有機凝結剤と、前記高分子凝集剤との質量比(有機凝結剤/高分子凝集剤)が、0.01/99.99~99.99/0.01である請求項8から9のいずれかに記載の水浄化剤。
【請求項11】
水浄化剤における水に対する不溶解成分の含有量が、5質量%以下である請求項8から10のいずれかに記載の水浄化剤。
【請求項12】
請求項1から5のいずれかに記載の有機凝結剤と高分子凝集剤とを含有する水浄化剤の製造方法であって、
前記高分子凝集剤と、請求項1から5のいずれかに記載の有機凝結剤とを混錬して混練物を得る混練工程と、
前記混練物を乾燥して乾燥物を得る乾燥工程と、
前記乾燥物を粉砕して粉砕物を得る粉砕工程と、
前記粉砕物を分級して水浄化剤を得る分級工程と、
を含むことを特徴とする水浄化剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機凝結剤及びその製造方法、並びに水浄化剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場等で種々の製品を製造する過程において、無機イオンとして金属イオンやフッ素イオン等の環境負荷物質を含む廃液が大量に発生しており、水浄化剤を用いた水浄化処理が行われている。
【0003】
これまでに、植物が有する電荷中和の役割を活かした水浄化剤として、植物粉末と高分子凝集剤との混合物を含む造粒物からなる水浄化剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。前記提案の技術は、水浄化性能に優れ、排水の自動化浄化装置にも好適に使用し得る非常に有益な技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1に記載の技術は、非常に有益な技術である。その一方で、植物には水に溶解しない成分が含まれるため、凝集剤として使用した際に前記水に溶解しない成分が沈降するのを防ぐために、溶解時の粘度を比較的高い状態とする必要があった。そのため高粘度の材料しか用いることができなかったり、水浄化剤における各成分の組成の比率など製品特性の範囲が限定されてしまったりしていた。また、粘度が十分でない(低い)場合は、沈殿した前記水に溶解しない成分が配管などに詰まる可能性も考えられる。したがって、水に溶解しない成分の含有量が少ない水浄化剤の速やかな開発が強く求められている。
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、水に溶解しない成分の含有量が少なく、水浄化性能に優れた水浄化剤及びその製造方法、並びに前記水浄化剤に好適に用いることができる有機凝結剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、植物抽出物を含むことにより、植物に含まれる水に溶解しない成分を取り除きつつも、優れた水浄化性が得られることを見出した。また、水に溶解させた際に沈降する成分を取り除くことができたため、低粘度の材料とすることも可能となり、粘度や配合比などの水浄化剤の設計の自由度を大幅に向上させることができることを見出した。
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 植物抽出物を含有することを特徴とする有機凝結剤である。
<2> 有機凝結剤における固形分の含量を0.1質量%とした場合の導電率が、12~350mS/mである前記<1>に記載の有機凝結剤である。
<3> ゼータ電位が、アニオン性である前記<1>から<2>のいずれかに記載の有機凝結剤である。
<4> 前記植物抽出物が、水溶性天然リグノセルロースを含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の有機凝結剤である。
<5> 前記植物抽出物の植物が、藁、葦、及び麻からなる群から選択される少なくとも1種である前記<1>から<4>のいずれかに記載の有機凝結剤である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の有機凝結剤の製造方法であって、
植物を粉砕する粉砕工程と、
粉砕した植物と水とを混合し、植物抽出物を得る抽出工程と、
前記植物抽出物をろ過し、液体成分を得るろ過工程と、
を含むことを特徴とする有機凝結剤の製造方法である。
<7> 前記抽出工程が、常温、加熱、及び加熱加圧のいずれかの条件下で行われる前記<6>に記載の有機凝結剤の製造方法である。
<8> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の有機凝結剤と、
高分子凝集剤と、を含有することを特徴とする水浄化剤である。
<9> 粒子である前記<8>に記載の水浄化剤である。
<10> 前記有機凝結剤と、前記高分子凝集剤との質量比(有機凝結剤/高分子凝集剤)が、0.01/99.99~99.99/0.01である前記<8>から<9>のいずれかに記載の水浄化剤である。
<11> 水浄化剤における水に対する不溶解成分の含有量が、5質量%以下である前記<8>から<10>のいずれかに記載の水浄化剤である。
<12> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の有機凝結剤と高分子凝集剤とを含有する水浄化剤の製造方法であって、
前記高分子凝集剤と、前記<1>から<5>のいずれかに記載の有機凝結剤とを混錬して混練物を得る混練工程と、
前記混練物を乾燥して乾燥物を得る乾燥工程と、
前記乾燥物を粉砕して粉砕物を得る粉砕工程と、
前記粉砕物を分級して水浄化剤を得る分級工程と、
を含むことを特徴とする水浄化剤の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、水に溶解しない成分の含有量が少なく、水浄化性能に優れた水浄化剤及びその製造方法、並びに前記水浄化剤に好適に用いることができる有機凝結剤及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、試験例1~5の濁度を測定した結果を表すグラフである。
【
図2】
図2は、試験例1~5の濁度を測定した際の状態を撮影したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(有機凝結剤)
本発明の有機凝結剤は、植物抽出物を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0012】
<植物抽出物>
前記植物抽出物の植物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記植物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記植物の中でも、藁、葦、及び麻からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
前記麻としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、長朔黄麻が好適に挙げられる。
【0013】
前記長朔黄麻としては、中国の長沙市産の長朔黄麻、又は中国農業科学院麻類研究所による鑑定番号が国鑑麻2013の「中黄麻4号」、鑑定番号が皖品▲鑑▼登字第1209006の「中黄麻3号」、鑑定番号がXPD005-2005の「中黄麻1号」、若しくは鑑定番号が皖品▲鑑▼登字第1209001の「中紅麻」などが好ましく使用できる。これらの中でも、前記「中黄麻4号」、前記「中黄麻3号」、前記「中紅麻」がより好ましく、前記「中黄麻4号」が特に好ましい。
【0014】
前記「中黄麻4号」は、以下の特性を有する。
農産物種類:黄麻
品種の出所:湘黄麻3号×0-4(l)交雑F1代と湘黄麻3号で繁殖したもの
特徴特性:中黄麻4号は、長果種の通常品の黄麻で、緑茎で、茎が円筒状で、葉っぱが分散した針の形で、葉の柄が緑色で、主茎との角が小さくて、側芽・托葉がある。萼が緑色で、長果円筒形で、五室、種が晩熟品種である。
【0015】
前記植物抽出物は、水溶性天然リグノセルロースを含有することが好ましい。
【0016】
-水溶性天然リグノセルロース-
前記水溶性天然リグノセルロース(以下、「リグノセルロース」と称することがある。)は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンから構成されている。前記リグニンは、多糖類(セルロース、ヘミセルロース)と共に、植物の植物体細胞壁を構成する主要成分である。
前記リグノセルロースの植物抽出物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0017】
前記植物抽出物の調製方法としては、特に制限はなく、公知の植物抽出物の調製方法を目的に応じて適宜選択することができるが、後述する本発明の有機凝結剤の製造方法における抽出工程により調製することが好ましい。
【0018】
前記植物抽出物の有機凝結剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
<その他の成分>
前記有機凝結剤におけるその他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分の有機凝結剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0020】
前記有機凝結剤の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、液体であってもよいし、固体であってもよい。前記有機凝結剤は、後述するように液体成分として製造することができるが、前記液体成分を固化させ、使用時に水に溶解させて使用することもできる。
【0021】
<粘度>
前記有機凝結剤の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分量が0.1質量%の水溶液とした場合の粘度として、0.5~5mPa・sなどが挙げられる。
前記粘度は、東機産業製TVC-10型粘度計(B型粘度計)を使用し、23℃下、0号ローターにて測定することができる。
【0022】
<導電率>
前記有機凝結剤の導電率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分量が0.1質量%の水溶液とした場合の導電率として、12~350mS/mが好ましく、50~350mS/mがより好ましい。
前記導電率は、液温22℃において導電率計:卓上型 F-70(堀場製作所製)にて測定することができる。
【0023】
<ゼータ電位>
前記有機凝結剤のゼータ電位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アニオン性であることが好ましい。
【0024】
また、前記有機凝結剤は、下記のようにして測定し、算出したΔゼータ電位が、40mV以上が好ましく、45mVがより好ましく、50mV以上が特に好ましい。
[測定]
フッ化カリウムの濃度を500ppmに調整したフッ化カリウム水溶液600mLをビーカーにとり、よく撹拌しながら35質量%フッ化カルシウム水溶液を3.5mL加える。
次に、5質量%硫酸をよく撹拌しながら添加し、pHを4.5±0.25に調整する。
上記でpHを調整した液のゼータ電位(以下、「CaF2ゼータ電位」と称することがある。)を測定する。
また、上記でpHを調整した液を100mL採取し、500rpmで撹拌しながら、前記有機凝結剤をその濃度が1質量%となるように加える。撹拌停止後、上澄みをサンプリングし、ゼータ電位(以下、「有機凝結剤添加後ゼータ電位」と称することがある。)を測定する。
前記CaF2ゼータ電位(A)と、前記有機凝結剤添加後ゼータ電位(B)との差をΔゼータ電位として算出する。
前記ゼータ電位は、動的散乱法により測定することができる。
【0025】
前記有機凝結剤は、後述する本発明の有機凝結剤の製造方法により、好適に製造することができる。
【0026】
前記有機凝結剤は、後述する実施例の項目に示したように、優れた凝集効果を有するため、高分子凝集剤と組み合わせた水浄化処理に用いることができる。また、前記水浄化処理は、アルミニウム系無機凝集剤、鉄系無機凝集剤、消石灰などの無機凝集剤を使わずに行うことも可能である。前記有機凝結剤は、後述する本発明の水浄化剤にも好適に使用することができる。
【0027】
(有機凝結剤の製造方法)
本発明の有機凝結剤の製造方法は、上記した本発明の有機凝結剤の製造方法であって、粉砕工程と、抽出工程と、ろ過工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0028】
<粉砕工程>
前記粉砕工程は、植物を粉砕する工程である。
【0029】
前記植物の部位(以下、「抽出原料」と称することがある。)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、葉、茎、皮などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記抽出原料は、乾燥物であってもよいし、未乾燥物であってもよいが、乾燥物が好ましい。
【0031】
前記植物を粉砕する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
前記粉砕の程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0032】
<抽出工程>
前記抽出工程は、粉砕した植物と水とを混合し、植物抽出物を得る工程である。
前記抽出工程の回数としては、1回であってもよいし、2回以上であってもよい。
前記抽出工程は、水を抽出溶媒として用いる抽出を少なくとも1回行っていればよく、酢酸エチルなどの有機溶媒による抽出を組み合わせてもよいが、水のみで抽出することが好ましい。
【0033】
前記水の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水などが挙げられる。
【0034】
前記抽出工程では、粉砕した植物を抽出溶媒に添加してもよいし、抽出溶媒を粉砕した植物に添加してもよい。また、前記抽出工程では、必要に応じて撹拌を行ってもよい。
【0035】
前記抽出の際の抽出原料の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1~10質量%などが挙げられる。
【0036】
前記抽出における温度及び圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常温、加熱、加熱加圧などが挙げられる。
前記常温とは、20~28℃程度のことをいう。
前記加熱とは、前記常温よりも高い温度にすることをいう。
前記加熱加圧とは、前記常温よりも高い温度且つ、常圧よりも高い圧力のことをいい、例えば、常圧よりも高い圧力は2atm程度とすることができる。
【0037】
前記抽出の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10分間~24時間などが挙げられる。
【0038】
前記植物抽出物中にリグノセルロースが含まれているか否かを確認する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、熱分解GC-MSにより検出された分解物から確認することができる。
【0039】
<ろ過工程>
前記ろ過工程は、前記植物抽出物をろ過し、液体成分(以下、「ろ液」と称することがある。)を得る工程である。
前記ろ過を行うことで、水に対する不溶解成分を含まない植物抽出物を得ることができる。
【0040】
前記ろ過の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
【0041】
前記液体成分における固形分量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.05~2質量%などが挙げられる。
前記固形分量の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ろ液を乾燥し、得られた固化物の量から算出することができる。
【0042】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0043】
(水浄化剤)
本発明の水浄化剤は、本発明の有機凝結剤と、高分子凝集剤とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0044】
<有機凝結剤>
前記有機凝結剤は、上記した本発明の有機凝結剤を用いる。
前記有機凝結剤の水浄化剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記有機凝結剤の含有量を調整することで、水浄化剤における植物抽出物の量を調整することができる。
【0045】
<高分子凝集剤>
前記高分子凝集剤としては、排水中の前記無機系不要物を除去する効果を示すものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリルアミドを含むポリマー(単に、「ポリアクリルアミド」、「PAM」と称することがある。)、ポリアミン、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム塩などが挙げられる。これらの中でも、アクリルアミドを含むポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。
前記高分子凝集剤は、イオン構造を有していてもよい。イオンがカチオンの場合は、例えば、アンモニウム塩、スルホニム塩などが挙げられる。イオンがアニオンの場合には、例えば、カルボン酸塩などが挙げられる。
前記高分子凝集剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記高分子凝集剤の水浄化剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0046】
前記ポリアクリルアミドとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、Flopam AN 905、Flopam AN 926、Flopam AN 956(いずれも、株式会社エス・エヌ・エフ製);アコフロック A-100、アコフロックA-150(いずれも、MTアクアポリマー株式会社製)などが挙げられる。
ポリアクリル酸ナトリウムとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、アコフロック A-190(MTアクアポリマー株式会社製)、PA-331(栗田工業株式会社製)などが挙げられる。
【0047】
前記有機凝結剤と、前記高分子凝集剤との質量比(有機凝結剤/高分子凝集剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01/99.99~99.99/0.01が好ましい。前記好ましい範囲内であると、十分なミクロフロックの吸着効果を有する優れた水浄化性能が発揮される。なお、本発明において、前記有機凝結剤と、前記高分子凝集剤との質量比は、各成分の乾燥質量をもとに算出したものである。
【0048】
<その他の成分>
前記水浄化剤におけるその他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、防腐剤、フィラー、増粘剤、着色剤、チキソ性付与剤等の添加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の水浄化剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0049】
前記水浄化剤の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒子(以下、「顆粒」、「造粒物」と称することがある。)が好ましい。
【0050】
前記水浄化剤における水に対する不溶解成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%以下であることが好ましく、水に対する不溶解成分を含まないことがより好ましい。
前記水に対する不溶解成分とは、25℃の純水に500rpmで30分間攪拌の条件において溶解しない成分のことをいう。
前記水に対する不溶解成分の含有量を算出する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶液を遠心力2,500Gで5分間遠心分離を行い、上澄みを取り除き、その残渣の乾燥物の重量を測定し、その値から水浄化剤における水に対する不溶解成分の含有量を算出することができる。
【0051】
前記水浄化剤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する本発明の水浄化剤の製造方法により製造することが好ましい。
【0052】
前記水浄化剤は、後述する実施例の項目に示したように、植物に含まれる水に溶解しない成分を低減しつつも、優れた水浄化作用を有する。そのため、低粘度の材料とすることもでき、粘度や配合比などの水浄化剤の設計の自由度を大幅に向上させることができる。
【0053】
(水浄化剤の製造方法)
本発明の水浄化剤の製造方法は、本発明の有機凝結剤と高分子凝集剤とを含有する水浄化剤の製造方法であって、混練工程と、乾燥工程と、粉砕工程と、分級工程とを少なくとも含み、必要に応じて更に成形工程などのその他の工程を含む。
【0054】
<混練工程>
前記混練工程は、前記高分子凝集剤と、本発明の有機凝結剤とを混錬して混練物を得る工程である。
前記混練の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記高分子凝集剤に、液体の有機凝結剤を添加し、混錬する方法などが挙げられる。前記混練工程では、必要に応じて水を加えてもよい。
混練は、ミキサー、例えばプラネタリーミキサーなどの縦型ミキサー等を用い、回転数、及び時間を所定の範囲に設定して行う。
ミキサーにおける混練の際の回転数、及び時間は、有機凝結剤と高分子凝集剤との混合比等の条件を考慮しつつ適宜設定することができるが、例えば、回転数は20rpm~150rpmが好ましく、時間は、5分~25分が好ましい。
【0055】
<乾燥工程>
前記乾燥工程は、前記混練物を乾燥して乾燥物を得る工程である。
【0056】
前記混練工程と前記乾燥工程との間に、前記混練物をシート状に成形した成形物を得る成形工程(「延伸・シート化工程」と称することもある。)を含んでもよい。
前記成形工程では、得られた混練物に対しローラーを用いた延伸法により、厚さ2mm~30mmになるよう、好ましくは10mm程度になるまで延伸し、シート状に成形するとよい。
【0057】
前記乾燥工程では、前記混練物又は前記成形物に対し、多段階熱風式乾燥機を用い、80℃~150℃の温度で2時間~12時間乾燥させるとよい。
【0058】
<粉砕工程>
前記粉砕工程は、前記乾燥物を粉砕して粉砕物を得る工程である。
【0059】
前記粉砕工程では、粉砕機、例えば気流式超微粉砕機を用いメジアン径が150μm~900μmの範囲になるよう粉砕するとよい。
【0060】
<分級工程>
前記分級工程は、前記粉砕物を分級して水浄化剤を得る工程である。
前記分級工程では、粉砕した粉末を、分級機、例えば振動ふるい機、あるいはカートリッジ式ふるい機を用い、メジアン径が150μm~900μmの範囲になるよう粒子径が所定の範囲にある造粒物を分級するとよい。
【0061】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した成形工程などが挙げられる。
【0062】
上記製造方法により、顆粒状の水浄化剤を製造することができる。
【0063】
(水浄化方法)
本発明は、本発明の水浄化剤を用いる水浄化方法にも関する。
前記水浄化方法は、前記水浄化剤を水に溶かし、有機凝結剤と高分子凝集剤との分散液を得、前記分散液を排水に供することにより排水中の無機系不要物を除去する。
【0064】
前記無機系不要物としては、例えば、ニッケル、フッ素、鉄、銅、亜鉛、クロム、ヒ素、カドミウム、錫、鉛などが挙げられる。これらは、1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
【0065】
前記水浄化方法について具体的に説明する。
排水中の無機系不要物におけるニッケルイオン、フッ素イオン、鉄イオン、銅イオン、亜鉛イオン、クロムイオン、ヒ素イオン、カドミウムイオン、錫イオン、鉛イオンなどの無機イオンに対して無機凝集剤を添加する不溶化処理を施し、ミクロフロックを形成させる。この排水に、0.05質量%~0.2質量%の水溶液とした前記分散液を供する。そして、ミクロフロックを凝集沈降させ、沈降分離された沈殿物を取り除くと、排水は浄化される。
前記不溶化処理では、例えば、排水に塩基を加え排水を塩基性にしてから無機凝集剤を添加し前記無機イオンを不溶化させることが好ましい。
無機凝集剤としては、例えば、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、消石灰などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【実施例0066】
以下、本発明の実施例等を説明するが、本発明は、これらの実施例等に何ら限定されるものではない。
【0067】
(実施例1:有機凝結剤1)
<有機凝結剤1の製造>
抽出原料には長朔黄麻の中国農業科学院麻類研究所による鑑定番号2013、「中黄麻4号」の葉の乾燥物を用い、抽出溶媒には純水を用い、下記のようにして抽出を行った。
前記抽出原料は、天日乾燥により、水分量5質量%以下になるまで乾燥した後、アトマイザー(ハンマーミル、増幸産業株式会社製)により粉砕し、さらに粒子径が100μm~400μmの範囲に入るもののみを使用した。
【0068】
-抽出-
前記純水に、前記抽出原料をその濃度が4質量%となるように入れ、撹拌し、下記の抽出条件で抽出を行った後、ろ過を行い、不溶解成分を取り除いたろ液(固形分量:1.3質量%)を得た。前記固形分量は、前記ろ液をオーブンで乾燥し得られた固化物の量から算出した。
〔抽出条件〕
・ 温度 ・・・ 25℃
・ 時間 ・・・ 60分間
・ 圧力 ・・・ 常圧(圧力操作なし)
【0069】
前記ろ液を、固形分量が0.1質量%となるように純水にて希釈し、有機凝結剤1とした。
【0070】
<評価>
-粘度-
前記有機凝結剤1の粘度を、東機産業製TVC-10型粘度計(B型粘度計)を使用し、23℃下、0号ローターにて測定した。
【0071】
-導電率-
前記有機凝結剤1の導電率を、液温22℃において導電率計:卓上型 F-70(堀場製作所製)にて測定した。
【0072】
-ゼータ電位-
フッ化カリウムの濃度を500ppmに調整したフッ化カリウム水溶液600mLをビーカーにとり、よく撹拌しながら35質量%フッ化カルシウム水溶液を3.5mL加えた。
次に、5質量%硫酸をよく撹拌しながら添加し、pHを4.5±0.25に調整した。
上記でpHを調整した液のゼータ電位(以下、「CaF2ゼータ電位」と称することがある。)を、ゼータサイザーナノZSP(Malvern Panalytical製)にて測定した。
また、上記でpHを調整した液を100mL採取し、500rpmで撹拌しながら、前記有機凝結剤1をその濃度が1質量%となるように加えた。撹拌停止後、上澄みをサンプリングし、上記と同様にしてゼータ電位(以下、「有機凝結剤添加後ゼータ電位」と称することがある。)を測定した。
前記CaF2ゼータ電位(A)と、前記有機凝結剤添加後ゼータ電位(B)との差をΔゼータ電位として算出し、電荷の中和による凝結性能を評価した。
【0073】
-水浄化処理-
処理する排水として、フッ素原水(フッ素濃度 500mg/L)を600mL用いた。
次に、上記排水に、35質量%CaCl2を3.5mL、前記有機凝結剤1を100mg/L添加し、5質量%NaOHを添加しながら撹拌した(pH7.5に調整)。この操作により、排水は、ミクロフロックを含む上澄み液と沈殿物に分離した。
次に、上記ミクロフロックを含む上澄み液と沈殿物からなる排水に対して、アニオン系高分子凝集剤(クリフロックPA-331(栗田工業株式会社製))を2mg/L添加し、1分間撹拌を維持した後、以下のようにして、「フッ素(F)濃度」を測定した。
【0074】
--フッ素濃度の測定--
撹拌停止2分間後の上澄みをサンプリングし、ランタン-アリザリンコンプレキソン吸光光度法によるデジタルウオーターアナライザーであるデジタルパックテスト(株式会社 共立理化学研究所製)により、フッ素濃度を測定した。
【0075】
(実施例2:有機凝結剤2)
<有機凝結剤2の製造>
前記実施例1の<有機凝結剤1の製造>における〔抽出条件〕を下記とした以外は、前記実施例1と同様にしてろ液(固形分量:1.6質量%)を得た。
〔抽出条件〕
・ 温度 ・・・ 70℃
・ 時間 ・・・ 60分間
・ 圧力 ・・・ 常圧(圧力操作なし)
次いで、前記ろ液を、固形分量が0.1質量%となるように純水にて希釈し、有機凝結剤2とした。
【0076】
<評価>
前記実施例1の<評価>と同様にして、粘度、導電率、ゼータ電位、及び水浄化処理の評価を行った。
【0077】
(実施例3:有機凝結剤3)
<有機凝結剤3の製造>
前記実施例1の<有機凝結剤1の製造>における〔抽出条件〕を下記とした以外は、前記実施例1と同様にしてろ液(固形分量:3.5質量%)を得た。
〔抽出条件〕
・ 温度 ・・・ 100℃
・ 時間 ・・・ 60分間
・ 圧力 ・・・ 常圧(圧力操作なし)
次いで、前記ろ液を、固形分量が0.1質量%となるように純水にて希釈し、有機凝結剤3とした。
【0078】
<評価>
前記実施例1の<評価>と同様にして、粘度、導電率、ゼータ電位、及び水浄化処理の評価を行った。
【0079】
(実施例4:有機凝結剤4)
<有機凝結剤4の製造>
前記実施例1の<有機凝結剤1の製造>における〔抽出条件〕を下記とした以外は、前記実施例1と同様にしてろ液(固形分量:4.5質量%)を得た。
〔抽出条件〕
・ 温度 ・・・ 130℃
・ 時間 ・・・ 60分間
・ 圧力 ・・・ 2atm
次いで、前記ろ液を、固形分量が0.1質量%となるように純水にて希釈し、有機凝結剤4とした。
【0080】
<評価>
前記実施例1の<評価>と同様にして、粘度、導電率、ゼータ電位、及び水浄化処理の評価を行った。
【0081】
(実施例5:有機凝結剤5)
<有機凝結剤5の製造>
前記実施例1の<有機凝結剤1の製造>における抽出原料及び〔抽出条件〕を下記とした以外は、前記実施例1と同様にしてろ液(固形分量:0.06質量%)を得た。
〔抽出原料〕
長朔黄麻の中国農業科学院麻類研究所による鑑定番号2013、「中黄麻4号」の全部位(茎、皮、葉)の乾燥物。前記抽出原料は、天日乾燥により、水分量5質量%以下になるまで乾燥した後、アトマイザー(ハンマーミル、増幸産業株式会社製)により粉砕し、さらに粒子径が100μm~400μmの範囲に入るもののみを使用した。
〔抽出条件〕
・ 温度 ・・・ 25℃
・ 時間 ・・・ 60分間
・ 圧力 ・・・ 常圧(圧力操作なし)
次いで、前記ろ液を、固形分量が0.1質量%となるように減圧濃縮し、有機凝結剤5とした。
【0082】
<評価>
前記実施例1の<評価>と同様にして、粘度、導電率、ゼータ電位、及び水浄化処理の評価を行った。
【0083】
(実施例6:有機凝結剤6)
<有機凝結剤6の製造>
抽出原料には長朔黄麻の中国農業科学院麻類研究所による鑑定番号2013、「中黄麻4号」の葉の乾燥物を用い、下記のようにして抽出を行った。
前記抽出原料は、天日乾燥により、水分量5質量%以下になるまで乾燥した後、アトマイザー(ハンマーミル、増幸産業株式会社製)により粉砕し、さらに粒子径が100μm~400μmの範囲に入るもののみを使用した。
【0084】
-抽出-
前記抽出原料に対して酢酸エチルを加え10質量%溶液とし、室温(23℃)で8時間静置し、ろ過を行った。残渣は酢酸エチルで洗浄した。その後、前記残渣をさらに純水によって抽出して(温度:25℃、時間:60分間、圧力:常圧(圧力操作なし))上澄みを得、その上澄みから透析操作によって、分画分子量12,000以上の成分を分離した。
前記分離した溶液における固形分量が0.1質量%となるように減圧濃縮し、有機凝結剤6とした。
【0085】
<評価>
前記実施例1の<評価>と同様にして、粘度、導電率、ゼータ電位、及び水浄化処理の評価を行った。
【0086】
(実施例7:有機凝結剤7)
<有機凝結剤7の製造>
前記実施例6の<有機凝結剤6の製造>における透析操作によって得られた分画分子量12,000未満の成分を更に透析して分画分子量6,000未満の成分を得、更に分画分子量6,000未満の成分を透析して分画分子量3,000未満の成分を分離した。
前記分離した溶液における固形分量が0.1質量%となるように減圧濃縮し、有機凝結剤7とした。
【0087】
<評価>
前記実施例1の<評価>と同様にして、粘度、導電率、ゼータ電位、及び水浄化処理の評価を行った。
【0088】
(比較例1:無機凝集剤)
<評価>
-水浄化処理-
前記実施例1の-水浄化処理-において、有機凝結剤1を100mg/L添加していた点を8質量%Al2(SO4)3・16H2Oを32mg/L添加に変えた以外は、実施例1と同様にして水浄化処理を行った。
【0089】
(比較例2:有機凝結剤及び無機凝集剤なし)
<評価>
-水浄化処理-
前記実施例1の-水浄化処理-における有機凝結剤1を用いなかった以外は、実施例1と同様にして水浄化処理を行った。
【0090】
(比較例3:比較凝結剤1)
<比較凝結剤1の製造>
抽出原料には、籾殻の殻の乾燥物を用い、抽出溶媒には純水を用い、下記のようにして抽出を行った。
前記抽出原料は、天日乾燥により、水分量5質量%以下になるまで乾燥した後、アトマイザー(ハンマーミル、増幸産業株式会社製)により粉砕し、さらに粒子径が100μm~400μmの範囲に入るもののみを使用した。
【0091】
-抽出-
前記純水に、前記抽出原料をその濃度が4質量%となるように入れ、撹拌し、下記の抽出条件で抽出を行った後、ろ過を行い、不溶解成分を取り除いたろ液(固形分量:0.005質量%)を得た。
〔抽出条件〕
・ 温度 ・・・ 95℃
・ 時間 ・・・ 60分間
・ 圧力 ・・・ 常圧(圧力操作なし)
次いで、前記ろ液を、固形分量が0.1質量%となるように減圧濃縮し、比較凝結剤1とした。
【0092】
<評価>
前記実施例1の<評価>と同様にして、粘度、導電率、ゼータ電位、及び水浄化処理の評価を行った。
【0093】
(比較例4:比較凝結剤2)
<比較凝結剤2の製造>
前記比較例3の<比較凝結剤1の製造>における〔抽出条件〕を下記とした以外は、前記比較例3と同様にしてろ液(固形分量:0.015質量%)を得た。
〔抽出条件〕
・ 温度 ・・・ 130℃
・ 時間 ・・・ 60分間
・ 圧力 ・・・ 2atm
次いで、前記ろ液を、固形分量が0.1質量%となるように減圧濃縮し、比較凝結剤2とした。
【0094】
<評価>
前記実施例1の<評価>と同様にして、粘度、導電率、ゼータ電位、及び水浄化処理の評価を行った。
【0095】
上記した実施例1~7及び比較例1~4の結果を下記の表1及び表2に示す。
【0096】
【表1】
表1中の「※」は、段落〔0084〕参照。
【0097】
【0098】
表1及び表2に示されたように、本発明の有機凝結剤を用いた場合、水浄化処理後の上澄みにおけるフッ素濃度が低減されていることが確認された。
【0099】
(試験例1:水浄化剤1)
<水浄化剤1の製造>
前記実施例5の有機凝結剤5を用い、下記のようにして顆粒状の水浄化剤1を製造した。
高分子凝集剤(AN926VHM(株式会社エス・エヌ・エフ製))に、前記有機凝結剤5を5質量%添加して得られた混合物(高分子凝集剤+有機凝結剤=30kg)を、プラネタリーミキサー(株式会社愛工舎製作所製、混合機ACM-110、容量110L)に入れ、回転数150rpm、20分間混合の条件にてシェアをかけ混練した。
得られた混練物をプレス機(コマツ産機株式会社製、45tプレス機)を用いてローラーによる延伸を施し、厚さ10mm程度のシート状の成形物を作製した。
この成形物を、多段階熱風式乾燥機(株式会社七洋製作所製、ラック式オーブン装置)を用いて、120℃で3時間、更に150℃で2時間乾燥させた。
次に、乾燥させたシートを、気流式超微粉砕機(増幸産業株式会社製、セレンミラー)を用いてメジアン径が400μmになるよう粉砕した。なお、メジアン径は、マスターサイザー2000(マルバーン インスツルメント製)により測定した。
粉砕した粉末を、分級機(株式会社ダルトン製、振動ふるい機)を用い、粒子径が200μm~900μmの範囲に入るもののみを使用するために、200μm未満と900μmより大きいものはふるいにかけ取り除いた。
このようにして、造粒物を得、水浄化剤1とした。前記水浄化剤1における水に対する不溶解成分の含有量は、5質量%以下であった。
【0100】
<評価>
-濁度-
試験排水として、カオリナイトを分散させた溶液500mL(カオリナイト濃度 50ppm)を用いた。
次に、上記排水に、10質量%ポリ塩化アルミニウム(PAC)を0.07mL添加し、5質量%水酸化ナトリウム0.21mLでpHを7~8に調整した。
その後、前記水浄化剤1を0.1質量%含有する水溶液を1.5mL添加し、添加後10秒以内の上澄みの濁度を測定した。測定は、JIS K 0101:1998(工業用水試験方法 9.2 透過光濁度)に準じ、分光光度計HACH社製DR 3900を用いた。
【0101】
(試験例2:水浄化剤2)
<水浄化剤2の製造>
前記試験例1における高分子凝集剤と有機凝結剤5の混合物を、前記有機凝結剤5の製造に用いた抽出原料(植物粉末)と、高分子凝集剤(AN926VHM(株式会社エス・エヌ・エフ製))とを合わせた固形分の質量に対し3倍の質量の水を加えて得られた混合物(植物粉末+高分子凝集剤+水=30kg)に代えた以外は、試験例1と同様にして、水浄化剤2を製造した。前記水浄化剤2における水に対する不溶解成分の含有量は、20質量%であった。
【0102】
<評価>
前記試験例1と同様にして、濁度を測定した。
【0103】
(試験例3:水浄化剤3)
<水浄化剤3の製造>
前記試験例2における植物粉末を用いなかった以外は、試験例2と同様にして、水浄化剤3を製造した。前記水浄化剤3は、水に対する不溶解成分を含まない。
【0104】
<評価>
前記試験例1と同様にして、濁度を測定した。
【0105】
(試験例4:水浄化剤4)
<水浄化剤4の製造>
前記試験例1における有機凝結剤5を、前記実施例6の有機凝結剤6に代えた以外は、試験例1と同様にして、水浄化剤4を製造した。前記水浄化剤4における水に対する不溶解成分の含有量は、5質量%以下であった。
【0106】
<評価>
前記試験例1と同様にして、濁度を測定した。
【0107】
(試験例5:水浄化剤5)
<水浄化剤5の製造>
前記試験例1における有機凝結剤5を、前記実施例7の有機凝結剤7に代えた以外は、試験例1と同様にして、水浄化剤5を製造した。前記水浄化剤5における水に対する不溶解成分の含有量は、5質量%以下であった。
【0108】
<評価>
前記試験例1と同様にして、濁度を測定した。
【0109】
上記した試験例1~5の結果を
図1及び
図2に示す。
図1は濁度を測定した結果を表すグラフであり、
図2は濁度を測定した際の状態を撮影したものである。
図1及び
図2に示されたように、本発明の水浄化剤である水浄化剤1、4、及び5では、濁度が十分に低く、優れた水浄化効果を奏することが確認された。