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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059587
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】抜け止め具
(51)【国際特許分類】
   A01G 33/02 20060101AFI20220406BHJP
【FI】
A01G33/02 101D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160567
(22)【出願日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2020167255
(32)【優先日】2020-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】502076187
【氏名又は名称】株式会社九研
(71)【出願人】
【識別番号】000210975
【氏名又は名称】中央発条工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】田中 健一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 康晃
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊彦
【テーマコード(参考)】
2B026
【Fターム(参考)】
2B026CA04
(57)【要約】
【課題】耐久性に優れた抜け止め具を提供する。
【解決手段】抜け止め具10は、第1の挟持部20と、第2の挟持部30と、ステンレス鋼製丸棒50を備える。第2の挟持部30は、仮想平面60を基準として、第1の挟持部20と間隔を隔てて略鏡面対称となるように、第1の挟持部20に連接されている。第1の挟持部20は、第1の当接領域21と第1の要領域22を有し、第2の挟持部30は、第2の当接領域31と第2の要領域32を有する。第1の要領域22に第1の貫通穴20Aが形成され、第2の要領域32に第2の貫通穴30Aが形成されている。第2の貫通穴30Aの径方向30Bは、第1の貫通穴20Aの径方向20Bと略鏡面対称となるように、第1の貫通穴20Aと第2の貫通穴30Aとを結ぶ直線70に対して斜め方向であり、第1の貫通穴20Aの径方向20Bも、直線70に対して斜め方向である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の貫通穴が形成された第1の挟持部と、
所定の仮想平面を基準として、前記第1の挟持部と間隔を隔てて略鏡面対称となるように、同第1の挟持部に連接されており、かつ、同仮想平面を基準として、同第1の挟持部の前記第1の貫通穴と略鏡面対称となる位置に第2の貫通穴が形成されており、同第1の貫通穴の径方向と略鏡面対称となるように、同第1の貫通穴と同第2の貫通穴とを結ぶ直線に対して同第2の貫通穴の径方向が斜め方向である第2の挟持部と、
直線状に延びており、前記第1の挟持部の前記第1の貫通穴と前記第2の挟持部の前記第2の貫通穴とに挿通可能であり、所定の長さを有する棒体とを備える
抜け止め具。
【請求項2】
第1の貫通穴が形成された第1の挟持部と、
該第1の挟持部との間で被挟持物を挟持できるように同第1の挟持部と間隔を隔てて同第1の挟持部に連接されており、所定の仮想平面を基準として同第1の挟持部の前記第1の貫通穴と略鏡面対称となる位置に第2の貫通穴が形成されており、同第1の貫通穴の径方向と略鏡面対称となるように、同第1の貫通穴と同第2の貫通穴とを結ぶ直線に対して同第2の貫通穴の径方向が斜め方向である第2の挟持部と、
直線状に延びており、前記第1の挟持部の前記第1の貫通穴と前記第2の挟持部の前記第2の貫通穴とに挿通可能であり、所定の長さを有する棒体とを備える
抜け止め具。
【請求項3】
前記第1の貫通穴が、前記第1の挟持部と前記第2の挟持部の接続箇所と、同接続箇所とは反対側の同第1の挟持部の縁部との間に複数形成されており、
前記第2の貫通穴が、前記第1の挟持部と前記第2の挟持部との接続箇所と、同接続箇所とは反対側の同第2の挟持部の縁部との間に複数形成されており、
複数の前記棒体それぞれが、複数の前記第1の貫通穴及び前記第2の貫通穴それぞれに挿通可能である
請求項1に記載の抜け止め具。
【請求項4】
前記第1の挟持部は、前記第2の挟持部とは反対方向へ凸状に湾曲した第1の当接領域と、同第1の挟持部と同第2の挟持部の接続箇所及び同第1の当接領域の間に位置すると共に前記第1の貫通穴が形成された略平板状の第1の要領域とを有し、
前記第2の挟持部は、前記第1の挟持部とは反対方向へ凸状に湾曲した第2の当接領域と、同第1の挟持部と同第2の挟持部の接続箇所及び同第2の当接領域の間に位置すると共に前記第2の貫通穴が形成された略平板状の第2の要領域とを有する
請求項1、請求項2または請求項3に記載の抜け止め具。
【請求項5】
前記第1の挟持部及び前記第2の挟持部は、1枚の金属板で構成された
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の抜け止め具。
【請求項6】
前記第1の挟持部と前記第2の挟持部の接続箇所とは反対側の同第1の挟持部の縁部から所定の範囲の領域である第1の縁部領域、及び同第1の挟持部と同第2の挟持部の接続箇所とは反対側の同第2の挟持部の縁部から所定の範囲の領域である第2の縁部領域がそれぞれ、前記仮想平面へ向けて凸状に湾曲している
請求項1に記載の抜け止め具。
【請求項7】
前記第1の挟持部の縁部及び前記第2の挟持部の縁部がそれぞれ、同第1の挟持部の凹状の湾曲面と同第2の挟持部の凹状の湾曲面とに内接する仮想円内に位置する
請求項6に記載の抜け止め具。
【請求項8】
前記棒体は屈曲部を有し、同屈曲部は同棒体の一部が一方向に折れ曲げられて構成されており、かつ、同棒体の一端と同屈曲部の間及び同棒体の前記一端とは反対側の他端と同屈曲部の間はそれぞれ、同屈曲部において互いに所定の角度を成すよう直線状に延びており、
前記棒体は摘み部を有し、同摘み部は同棒体の一端に連接されていると共に同棒体が直線状に延びた方向に対して略直交する方向へ延びた
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7に記載の抜け止め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抜け止め具に関する。詳しくは、例えば支柱への貝類の付着を防止するリングが支柱から抜けることを防止するための抜け止め具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
海苔の養殖には、海底に支柱を建て海面付近に海苔網を張る「支柱式海苔養殖」と、ブイなどに海苔網を繋いで海面に浮かべる「浮流し海苔養殖」の2種類がある。
【0003】
日本の有明海の干満差は最大6mもあり、また有明海には広大な干潟も存在することから、有明海沿岸では支柱式海苔養殖が盛んに行われている。
なぜなら、干潟は水深が浅いため支柱を建て易く、また、最大6mの干満差を利用して、満潮時に海苔を海水に浸して海水の栄養を海苔に吸収させ、干潮時に海面から海苔を上げて日光を浴びさせ、旨味を海苔に蓄えさせると共に病気にかかり難くすることができるからである。
【0004】
また、港の岸壁など海水と接する箇所には、フジツボなどの貝類が付着し易く、支柱式海苔養殖においても、支柱が海水と接するので支柱にフジツボなどの貝類が付着し易い。
フジツボなどの貝類が支柱に多く付着すると、海苔網を吊っている吊り綱の調整が困難となり、海苔を海面から上げることが困難となる。
【0005】
そこで、支柱に付着したフジツボなどの貝類を削ぎ落すための様々な技術が提案されている。
例えば特許文献1には、図7に示す貝類付着防止具が記載されている。
【0006】
すなわち、特許文献1に記載の貝類付着防止具501は、支柱500の形状に応じて、支柱500に遊嵌できるリング状の形状を有している。
また、貝類付着防止具501の内周面521が支柱500の表面に接触できるように、貝類付着防止具501は支柱500に取付けられている。
また、貝類付着防止具501の内周面521には、突起形状部522が形成されている。
【0007】
また、貝類付着防止具501は、水面付近または水面下を浮遊する浮力体であって、潮流や海の干満などによって上下方向に動き、この動作の過程で支柱500に接触あるいは衝突して、支柱500の表面に付着した貝類を削ぎ落とす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-293155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、リング状の貝類付着防止具は、支柱に固定されておらず支柱に沿って上下方向に動くため、支柱から抜けてしまうことがあり、抜けてしまうと周囲は広大な海であるので、見つけ出すことは困難である。
【0010】
そこで、支柱が延びた方向に対して略直交する方向に延びた竹串を、ゴムなどによって支柱に取付け、貝類付着防止具が支柱から抜けようとしても竹串に当たって抜けないようにする対策が行われていた。
【0011】
しかし、ゴムが劣化すると竹串が抜けてしまい、竹串が抜けてしまうと貝類付着防止具の抜け防止効果を失ってしまうという問題があった。
さらに、劣化したゴム自体も支柱から外れてしまい、竹串に加えて劣化したゴムまでもゴミとなって環境に悪影響を与えていた。
【0012】
そこで、耐久性に優れた抜け止め具が求められていた。
【0013】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、耐久性に優れた抜け止め具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の抜け止め具は、第1の貫通穴が形成された第1の挟持部と、所定の仮想平面を基準として、前記第1の挟持部と間隔を隔てて略鏡面対称となるように、同第1の挟持部に連接されており、かつ、同仮想平面を基準として、同第1の挟持部の前記第1の貫通穴と略鏡面対称となる位置に第2の貫通穴が形成されており、同第1の貫通穴の径方向と略鏡面対称となるように、同第1の貫通穴と同第2の貫通穴とを結ぶ直線に対して同第2の貫通穴の径方向が斜め方向である第2の挟持部と、直線状に延びており、前記第1の挟持部の前記第1の貫通穴と前記第2の挟持部の前記第2の貫通穴とに挿通可能であり、所定の長さを有する棒体とを備える。
【0015】
ここで、第1の挟持部と、所定の仮想平面を基準として、第1の挟持部と間隔を隔てて略鏡面対称となるように、第1の挟持部に連接された第2の挟持部とによって、所定の力が加えられると、第1の挟持部と第2の挟持部が互いの接続箇所を軸にして、所定の力が加えられていない状態の位置から動く、すなわち互いに近づいたり離れたりし、第1の挟持部と第2の挟持部との間に被挟持物を挟持することができる。
【0016】
また、直線状に延びており、第1の挟持部の第1の貫通穴と第2の挟持部の第2の貫通穴とに挿通可能であり、所定の長さを有する棒体によって、抜け止め対象物が棒体に当たり、抜け止め対象物の移動を制限できる。
ここで、「所定の長さ」とは、抜け止め対象物に当たって抜け止め対象物の移動を制限できるほどの長さを意味する。
【0017】
また、仮想平面を基準として、第1の挟持部の第1の貫通穴と略鏡面対称となる位置に第2の貫通穴が形成されており、第1の貫通穴の径方向と略鏡面対称となるように、第1の貫通穴と第2の貫通穴とを結ぶ直線に対して第2の貫通穴の径方向が斜め方向であることによって、第1の貫通穴と第2の貫通穴とを結ぶ直線に対して第1の貫通穴の径方向も斜め方向であるが第2の貫通穴の径方向とは略鏡面対称であり、第1の挟持部と第2の挟持部に所定の力が加えられていないときには、挿通された棒体に第1の貫通穴の縁と第2の貫通穴の縁を押し当てて、棒体を固定することができる。
【0018】
ここで、第1の貫通穴と第2の貫通穴とを結ぶ直線が延びた方向は、第1の貫通穴と第2の貫通穴に挿通された棒体が延びた方向と同じである。
また、ここで言う「直線」は、実体のない仮想の直線である。
【0019】
また、第1の挟持部と第2の挟持部が互いの接続箇所を軸として互いに近づいたり離れたりできるので、第1の貫通穴の径方向及び第2の貫通穴の径方向それぞれの、挿通された棒体が延びた方向に対する角度を変えることができ、棒体に第1の貫通穴の縁や第2の貫通穴の縁を押し当てたり押し当てなくしたりすることができる。
ここで、棒体に第1の貫通穴の縁や第2の貫通穴の縁を押し当てなくすることで棒体の固定を解除することができる。
【0020】
また、上記の目的を達成するために、本発明の抜け止め具は、第1の貫通穴が形成された第1の挟持部と、該第1の挟持部との間で被挟持物を挟持できるように同第1の挟持部と間隔を隔てて同第1の挟持部に連接されており、所定の仮想平面を基準として同第1の挟持部の前記第1の貫通穴と略鏡面対称となる位置に第2の貫通穴が形成されており、同第1の貫通穴の径方向と略鏡面対称となるように、同第1の貫通穴と同第2の貫通穴とを結ぶ直線に対して同第2の貫通穴の径方向が斜め方向である第2の挟持部と、直線状に延びており、前記第1の挟持部の前記第1の貫通穴と前記第2の挟持部の前記第2の貫通穴とに挿通可能であり、所定の長さを有する棒体とを備える。
【0021】
ここで、第1の挟持部と、第1の挟持部との間で被挟持物を挟持できるように同第1の挟持部と間隔を隔てて同第1の挟持部に連接された第2の挟持部とによって、所定の力が加えられると、第1の挟持部と第2の挟持部が互いの接続箇所を軸にして、所定の力が加えられていない状態の位置から動く、すなわち互いに近づいたり離れたりし、第1の挟持部と第2の挟持部との間に被挟持物を挟持することができる。
【0022】
また、直線状に延びており、第1の挟持部の第1の貫通穴と第2の挟持部の第2の貫通穴とに挿通可能であり、所定の長さを有する棒体によって、抜け止め対象物が棒体に当たり、抜け止め対象物の移動を制限できる。
ここで、「所定の長さ」とは、抜け止め対象物に当たって抜け止め対象物の移動を制限できるほどの長さを意味する。
【0023】
また、所定の仮想平面を基準として第1の挟持部の第1の貫通穴と略鏡面対称となる位置に第2の貫通穴が形成されており、第1の貫通穴の径方向と略鏡面対称となるように、第1の貫通穴と第2の貫通穴とを結ぶ直線に対して第2の貫通穴の径方向が斜め方向であることによって、第1の貫通穴と第2の貫通穴とを結ぶ直線に対して第1の貫通穴の径方向も斜め方向であるが第2の貫通穴の径方向とは略鏡面対称であり、第1の挟持部と第2の挟持部に所定の力が加えられていないときには、挿通された棒体に第1の貫通穴の縁と第2の貫通穴の縁を押し当てて、棒体を固定することができる。
【0024】
ここで、第1の貫通穴と第2の貫通穴とを結ぶ直線が延びた方向は、第1の貫通穴と第2の貫通穴に挿通された棒体が延びた方向と同じである。
また、ここで言う「直線」は、実体のない仮想の直線である。
【0025】
また、第1の挟持部と第2の挟持部が互いの接続箇所を軸として互いに近づいたり離れたりできるので、第1の貫通穴の径方向及び第2の貫通穴の径方向それぞれの、挿通された棒体が延びた方向に対する角度を変えることができ、棒体に第1の貫通穴の縁や第2の貫通穴の縁を押し当てたり押し当てなくしたりすることができる。
ここで、棒体に第1の貫通穴の縁や第2の貫通穴の縁を押し当てなくすることで棒体の固定を解除することができる。
【0026】
また、本発明の抜け止め具において、第1の貫通穴が、第1の挟持部と第2の挟持部の接続箇所と、接続箇所とは反対側の第1の挟持部の縁部との間に複数形成されており、第2の貫通穴が、第1の挟持部と第2の挟持部との接続箇所と、接続箇所とは反対側の第2の挟持部の縁部との間に複数形成されており、複数の棒体それぞれが、複数の第1の貫通穴及び第2の貫通穴それぞれに挿通可能である構成とすることができる。
【0027】
この場合、第1の挟持部と第2の挟持部との間の、被挟持物例えば支柱が位置することになる空間を複数の棒体によって狭くすることができるので、被挟持物が小さくなっても対応することができる。
また、万一、一つの棒体が第1の貫通穴及び第2の貫通穴から抜け落ちても、他の棒体が存在するので、抜け止め防止効果を維持できる。
【0028】
さらに、本発明の抜け止め具において、第1の挟持部は、第2の挟持部とは反対方向へ凸状に湾曲した第1の当接領域と、第1の挟持部と第2の挟持部の接続箇所及び第1の当接領域の間に位置すると共に第1の貫通穴が形成された略平板状の第1の要領域とを有し、第2の挟持部は、第1の挟持部とは反対方向へ凸状に湾曲した第2の当接領域と、第1の挟持部と第2の挟持部の接続箇所及び第2の当接領域の間に位置すると共に第2の貫通穴が形成された略平板状の第2の要領域とを有する構成とすることができる。
【0029】
この場合、湾曲した表面を有する被挟持物例えば支柱に、第1の挟持部と第2の挟持部とが充分に当接することができ、さらに、第1の挟持部と第2の挟持部それぞれの小さい動きによって、棒体に第1の貫通穴の縁や第2の貫通穴の縁を押し当てたり押し当てなくしたりすることができる。
【0030】
また、本発明の抜け止め具において、第1の挟持部及び第2の挟持部が1枚の金属板で構成された場合、第1の挟持部と第2の挟持部に所定の力が加わると、板バネのように第1の挟持部と第2の挟持部が互いの接続箇所を軸にして一定の位置に戻ろうとする反力が働き易くなる。
【0031】
また、本発明の抜け止め具において、第1の挟持部と第2の挟持部の接続箇所とは反対側の第1の挟持部の縁部から所定の範囲の領域である第1の縁部領域、及び第1の挟持部と第2の挟持部の接続箇所とは反対側の第2の挟持部の縁部から所定の範囲の領域である第2の縁部領域がそれぞれ、仮想平面へ向けて凸状に湾曲している構成とすることができる。
【0032】
この場合、湾曲した表面を有する被挟持物例えば支柱に、本発明の抜け止め具を取付け易くなる。
【0033】
また、本発明の抜け止め具において、第1の挟持部の縁部及び第2の挟持部の縁部がそれぞれ、第1の挟持部の凹状の湾曲面と第2の挟持部の凹状の湾曲面とに内接する仮想円内に位置する構成とすることができる。
【0034】
この場合、本発明の抜け止め具を被挟持物例えば支柱に取付けたときに、第1の挟持部の縁部と第2の挟持部の縁部とが支柱の表面に引掛り、第1の挟持部と第2の挟持部が互いの接続箇所を軸にして支柱とは反対方向へ押されるので、第1の挟持部と第2の挟持部が支柱の方へ戻ろうとする力が発生し、支柱を挟持する力が向上する。
【0035】
また、本発明の抜け止め具において、棒体は屈曲部を有し、屈曲部は棒体の一部が一方向に折れ曲げられて構成されており、かつ、棒体の一端と屈曲部の間及び棒体の一端とは反対側の他端と屈曲部の間はそれぞれ、屈曲部において互いに所定の角度を成すよう直線状に延びており、棒体は摘み部を有し、摘み部は棒体の一端に連接されていると共に棒体が直線状に延びた方向に対して略直交する方向へ延びた構成とすることができる。
【0036】
この場合、摘み部によって、第1の貫通穴と第2の貫通穴とに挿通された棒体を、第1の貫通穴と第2の貫通穴とを結ぶ直線を回転中心軸線として回転させ易くなる。
【0037】
また、屈曲部によってと、棒体の一端と屈曲部の間及び棒体の一端とは反対側の他端と屈曲部の間はそれぞれ、屈曲部において互いに所定の角度を成すよう直線状に延びていることによって、第1の貫通穴と第2の貫通穴とに挿通された棒体を回転させたときに、第1の貫通穴の径方向及び第2の貫通穴の径方向に対する棒体が延びた方向の角度を変えることができるので、第1の挟持部と第2の挟持部を互いに近づけるように棒体を第1の貫通穴の縁と第2の貫通穴の縁とに押し当てて、例えば支柱に第1の挟持部と第2の挟持部とをさらに押し当てることができる。
ここで、屈曲部の折れ曲がり具合、すなわち屈曲部における所定の角度は、第1の貫通穴及び第2の貫通穴に棒体を挿通できる程度のものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る抜け止め具は、耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明を適用した第1の実施形態の抜け止め具のステンレス鋼製丸棒挿通前の状態を示す概略断面図(a)、及び本発明を適用した第1の実施形態の抜け止め具のステンレス鋼製丸棒挿通後の状態を示す概略図(b)である。
図2】本発明を適用した抜け止め具の使用状態の一例を示す概略図である。
図3】本発明を適用した第2の実施形態の抜け止め具のステンレス鋼製丸棒挿通前の第1の挟持部を示す概略図(a)、本発明を適用した第2の実施形態の抜け止め具のステンレス鋼製丸棒挿通前の第2の挟持部を示す概略図(b)、及び本発明を適用した第2の実施形態の抜け止め具のステンレス鋼製丸棒挿通後の状態を示す概略平面図(c)である。
図4】本発明を適用した第1の実施形態の抜け止め具の、第1の縁部領域及び第2の縁部領域の第1の変形例を示す部分概略図(a)、第2の変形例を示す部分概略図(b)及び第3の変形例を示す部分概略図(c)である。
図5】本発明を適用した第3の実施形態の抜け止め具のステンレス鋼製丸棒挿通前の状態を示す概略断面図(a)、及び本発明を適用した第3の実施形態の抜け止め具のステンレス製丸棒挿通後の状態を示す概略図(b)である。
図6】本発明を適用した第4の実施形態の抜け止め具の棒体が第1の状態であるときの概略図(a)、及び本発明を適用した第4の実施形態の抜け止め具の棒体が第2の状態であるときの概略図(b)である。
図7】貝類付着防止具の使用状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1(a)は、本発明を適用した第1の実施形態の抜け止め具の概略断面図であり、図1(b)は、本発明を適用した第1の実施形態の抜け止め具の概略平面図である。
【0041】
図1に示す本発明の第1の実施形態の抜け止め具10は、第1の挟持部20を備える。
また、本発明の抜け止め具10は、第2の挟持部30を備える。
【0042】
ここで、第2の挟持部30は、仮想平面60を基準として、第1の挟持部20と間隔を隔てて略鏡面対称となるように、第1の挟持部20に連接されている。
また、第1の挟持部20と第2の挟持部30は、1枚のステンレス鋼板で構成されている。
【0043】
また、第1の挟持部20は、第1の当接領域21を有する。
ここで、第1の当接領域21は、第2の挟持部30とは反対方向へ凸状に湾曲している。
【0044】
また、第1の挟持部20は、第1の要領域22を有する。
ここで、第1の要領域22は、第1の挟持部20と第2の挟持部30の接続箇所40と、第1の当接領域21との間に位置する。
また、第1の要領域22は略平板状であり、第1の貫通穴20Aが形成されている。
【0045】
また、第2の挟持部30は、第2の当接領域31を有する。
ここで、第2の当接領域31は、第1の挟持部20とは反対方向へ凸状に湾曲している。
また、第1の当接領域21と第2の当接領域31は互いに略同じ曲率を有する。
【0046】
すなわち、第1の挟持部20の第1の当接領域21と第2の挟持部30の第2の当接領域31の互いに向き合う面は、一つの共通する円の円周に当接できるよう湾曲している。
第1の挟持部20の第1の当接領域21と第2の挟持部30の第2の当接領域31に囲まれた空間には、例えば外径4.5cmの円柱を配置可能であるが、これに限定されないことは勿論である。
【0047】
このとき、第1の当接領域21と第2の当接領域31の互いに向き合う面を結んだ直線距離すなわち内径よりも若干大きい外径を有する円柱が配置されることが好ましい。
なぜなら、1枚のステンレス鋼板で構成された、第1の挟持部20と第2の挟持部30に反力が生じ、第1の当接領域21と第2の当接領域31が強固に円柱を挟持するからである。
【0048】
また、第2の挟持部30は、第2の要領域32を有する。
ここで、第2の要領域32は、第1の挟持部20と第2の挟持部30の接続箇所40と、第2の当接領域31との間に位置する。
【0049】
また、第2の要領域32は略平板状であり、第2の貫通穴30Aが形成されている。
また、第2の貫通穴30Aは、仮想平面60を基準として、第1の挟持部20の第1の貫通穴20Aと略鏡面対称となる位置に形成されている。
【0050】
また、接続箇所40とは反対側の第1の挟持部20の縁部から所定の範囲の領域例えば縁部から約3mmの領域は、仮想平面60へ向けて凸状に湾曲しており、第1の湾曲縁部領域21Aを成している。
また、接続箇所40とは反対側の第2の挟持部30の縁部から所定の範囲の領域例えば縁部から約3mmの領域は、仮想平面60へ向けて凸状に湾曲しており、第2の湾曲縁部領域31Aを成している。
【0051】
ここで、第1の湾曲縁部領域21Aと第2の湾曲縁部領域31Aは、仮想平面60を基準として互いに間隔を隔てて略鏡面対称となっている。
【0052】
図1に示すように、第1の挟持部20の第1の湾曲縁部領域21Aと第2の挟持部30の第2の湾曲縁部領域31Aは互いに離れているので、本発明の抜け止め具10を円柱などに取付けるときは、第1の湾曲縁部領域21Aと第2の湾曲縁部領域31Aとを円柱に押し付けながら取付ける。
【0053】
第1の湾曲縁部領域21Aと第2の湾曲縁部領域31Aは、円柱の表面と同様に湾曲しているので、円柱の表面上で滑り易く、円柱は円滑に第1の挟持部20の第1の当接領域21と第2の挟持部30の第2の当接領域31に囲まれた空間内に入り込むことができ、その結果、本発明の抜け止め具10を円柱に取付け易い。
【0054】
また、本発明の第1の実施形態の抜け止め具10は、ステンレス鋼製丸棒50を備える。
ここで、ステンレス鋼製丸棒50は、直線状に延びており、所定の長さ例えば25~30cmを有する。
また、ステンレス鋼製丸棒50は、第1の挟持部20の第1の貫通穴20Aと第2の挟持部30の第2の貫通穴30Aとに着脱自在に挿通可能である。
ステンレス鋼製丸棒50は棒体の一例であり、強度や耐久性などの点でステンレス鋼製丸棒と同等であれば、棒体は他の金属製丸棒または樹脂製丸棒とすることもできる。
【0055】
また、第2の貫通穴30Aの径方向30Bは、第1の貫通穴20Aの径方向20Bと略鏡面対称となるように、第1の貫通穴20Aと第2の貫通穴30Aとを結ぶ実体のない仮想の直線70に対して斜め方向である。
【0056】
ここで、第1の貫通穴20Aと第2の貫通穴30Aとを結ぶ直線70が延びた方向は、第1の貫通穴20Aと第2の貫通穴30Aに挿通されたステンレス鋼製丸棒50が延びた方向と同じである。
また、本発明において「貫通穴の径方向」は、各貫通穴の直径方向を意味する。
【0057】
また、第1の貫通穴20Aの径方向20Bは第2の貫通穴30Aの径方向30Bと略鏡面対称であり、第1の貫通穴20Aと第2の貫通穴30Aとを結ぶ直線70に対して斜め方向である。
【0058】
従って、第1の挟持部20と第2の挟持部30に所定の力が加えられていないときには、挿通されたステンレス鋼製丸棒50に、第1の貫通穴20Aの縁と第2の貫通穴30Aの縁を押し当てて、ステンレス鋼製丸棒50を固定することができる。
なお、ステンレス鋼製丸棒50の直径は、第1の挟持部20と第2の挟持部30に所定の力が加えられていないときに、第1の貫通穴20Aの縁と第2の貫通穴30Aの縁に当たる程度の長さとする。
【0059】
また、第1の当接領域21と第2の当接領域31の互いに向き合う面を結んだ直線距離すなわち内径よりも若干大きい外径を有する円柱に、本発明の抜け止め具10が取付けられている場合、第1の挟持部20と第2の挟持部30が押し拡げられるので、より一層、ステンレス鋼製丸棒50に、第1の貫通穴20Aの縁と第2の貫通穴30Aの縁を押し当てることができ、その結果、ステンレス鋼製丸棒50をさらに強く固定できる。
【0060】
また、ステンレス鋼製丸棒50を、第1の貫通穴20Aと第2の貫通穴30Aへ挿通したり抜き取ったりする場合、第1の挟持部20と第2の挟持部30を例えば指で挟んで所定の力を加え、接続箇所40を軸として第1の挟持部20と第2の挟持部30を互いに近づけて、第1の貫通穴20Aの径方向20Bと第2の貫通穴30Aの径方向30Bの、直線70に対する角度を直角へ近づける。
【0061】
これによって、ステンレス鋼製丸棒50に、第1の貫通穴20Aの縁及び第2の貫通穴30Aの縁を押し当てなくなって、ステンレス鋼製丸棒50を第1の貫通穴20A及び第2の貫通穴30Aに挿通したり、これら貫通穴から抜き取ったりすることができる。
【0062】
また、本発明の抜け止め具10を円柱などから取り外すときには、第1の貫通穴20A及び第2の貫通穴30Aに挿通したステンレス鋼製丸棒50に二本の指を引掛け、円柱が延びた方向に対して略直交する方向であって円柱から離れる方向へ本発明の抜け止め具10に力を加える。
【0063】
本発明の抜け止め具において、第1の挟持部は必ずしも第1の当接領域と第1の要領域を有していなくてもよく、また、第2の挟持部は必ずしも第2の当接領域と第2の要領域を有していなくてもよい。
【0064】
しかし、第1の挟持部が第1の当接領域と第1の要領域を有し、第2の挟持部が第2の当接領域と第2の要領域を有していれば、湾曲した表面を有する被挟持物例えば支柱に、第1の挟持部と第2の挟持部とが充分に当接することができ、さらに、第1の挟持部と第2の挟持部それぞれの小さい動きによって、ステンレス鋼製丸棒すなわち棒体に第1の貫通穴の縁や第2の貫通穴の縁を押し当てたり押し当てなくしたりすることができるので、好ましい。
【0065】
また、本発明の抜け止め具において、第1の挟持部及び第2の挟持部は必ずしも1枚のステンレス鋼板すなわち金属板で構成されていなくてもよく、例えば1枚のステンレス鋼板で構成された第1の挟持部と、1枚のステンレス鋼板で構成された第2の挟持部とを接合させることもできる。
【0066】
しかし、第1の挟持部及び第2の挟持部が1枚の金属板で構成されていれば、第1の挟持部と第2の挟持部に所定の力が加わると、板バネのように第1の挟持部と第2の挟持部が互いの接続箇所を軸にして一定の位置に戻ろうとする反力が働き易くなるので好ましい。
【0067】
また、本発明の抜け止め具において、接続箇所とは反対側の第1の挟持部の縁部及び接続箇所とは反対側の第2の挟持部の縁部は、必ずしも仮想平面へ向けて凸状に湾曲していなくてもよい。
【0068】
しかし、これら第1の挟持部の縁部及び第2の挟持部の縁部が仮想平面へ向けて凸状に湾曲していれば、湾曲した表面を有する被挟持物例えば支柱に、本発明の抜け止め具を取付け易くなるので好ましい。
【0069】
次に、本発明の抜け止め具の使用態様を説明する。
図2は、本発明を適用した抜け止め具の使用状態の一例を示す概略図である。
すなわち、図2は、本発明の抜け止め具10が、支柱式海苔養殖において使用されているグラスファイバー製の支柱80に取付けられた状態を示す。
【0070】
図2に示すように、支柱80の上端近くに、本発明の抜け止め具10を取付ける。
【0071】
また、本発明の抜け止め具10の鉛直方向下方の支柱80の位置には、海苔網82を吊るすための吊り綱83の一端が取付けられている。
また、吊り綱83の他端は、海苔網82を構成するロープ82Aに取付けられている。
【0072】
ここで、海苔網82は吊り綱83で吊るされているので、吊り綱83の長さの分だけ海苔網82の位置は上下に移動できる。
【0073】
図2は、干潮時に海苔網82が海面から上がって、ロープ82Aに付着した海苔84が空気中に晒されている状態を示しているが、干潮から満潮へ移行するにつれて海面が上昇し、海苔網82が海面に接した後は海面の上昇と共に海苔網82も上昇する。
また、支柱80に対する吊り綱83の取付位置は、満潮時に海苔網82が海面に位置するように適宜調整する。
【0074】
支柱80表面にフジツボなどの貝類が付着していると、この位置調整が困難となるので、支柱80には、フジツボなどの貝類の付着を防止するための貝類付着防止リング81が、支柱80に沿って上下に移動できるよう取付けられている。
【0075】
図2に示すように、貝類付着防止リング81よりも鉛直方向上方に本発明の抜け止め具10が配置されており、海面の上昇によって上方向へ移動した貝類付着防止リング81が支柱80から抜けようとしても、本発明の抜け止め具10が備えるステンレス鋼製丸棒50に当たり、それ以上は上方向へ移動できず、貝類付着防止リング81が支柱80から抜けることを防止できる。
【0076】
図3(a)は、本発明を適用した第2の実施形態の抜け止め具のステンレス鋼製丸棒挿通前の第1の挟持部を示す概略図であり、図3(b)は、本発明を適用した第2の実施形態の抜け止め具のステンレス鋼製丸棒挿通前の第2の挟持部を示す概略図であり、図3(c)は、本発明を適用した第2の実施形態の抜け止め具のステンレス鋼製丸棒挿通後の状態を示す概略平面図である。
【0077】
図3に示す本発明の第2の実施形態の抜け止め具110は、第1の挟持部120と第2の挟持部130とを備える。
ここで、第2の挟持部130は、仮想平面160を基準として、第1の挟持部120と間隔を隔てて略鏡面対称となるように、第1の挟持部120に連接されている。
【0078】
また、第1の挟持部120と第2の挟持部130は、1枚のステンレス鋼板で構成されている。
【0079】
また、第1の挟持部120は、第1の当接領域121を有する。
ここで、第1の当接領域121は、第2の挟持部130とは反対方向へ凸状に湾曲している。
【0080】
また、第1の挟持部120は、略平板状の第1の要領域122を有する。
ここで、第1の要領域122は、第1の挟持部120と第2の挟持部130の接続箇所140及び第1の当接領域121の間に位置する。
【0081】
また、第1の挟持部120と第2の挟持部130の接続箇所140と、接続箇所140とは反対側の第1の挟持部120の縁部との間、すなわち第1の当接領域121と第1の要領域122に貫通穴が複数形成されている。
【0082】
ここで、第1の挟持部120の縁部に近い箇所、すなわち第1の当接領域121の湾曲頂部と縁部との間の箇所に、第1の先端側貫通穴120Aが形成されている。
また、第1の当接領域121の湾曲頂部よりも第1の要領域122に近い箇所に、第1の基端側貫通穴120Bが形成されている。
さらに、第1の要領域122に第1の要領域貫通穴120Cが形成されている。
【0083】
また、第2の挟持部130は、第2の当接領域131を有する。
ここで、第2の当接領域131は、第1の挟持部120とは反対方向へ凸状に湾曲している。
また、第1の当接領域121と第2の当接領域131は互いに略同じ曲率を有する。
【0084】
また、第2の挟持部130は、略平板状の第2の要領域132を有する。
ここで、第2の要領域132は、第1の挟持部120と第2の挟持部130の接続箇所140及び第2の当接領域131の間に位置する。
【0085】
また、第1の挟持部120と第2の挟持部130の接続箇所140と、接続箇所140とは反対側の第2の挟持部130の縁部との間、すなわち第2の当接領域131と第2の要領域132に貫通穴が複数形成されている。
【0086】
ここで、第2の挟持部130の縁部に近い箇所、すなわち第2の当接領域131の湾曲頂部と縁部との間の箇所に、第2の先端側貫通穴130Aが形成されている。
また、第2の当接領域131の湾曲頂部よりも第2の要領域132に近い箇所に、第2の基端側貫通穴130Bが形成されている。
さらに、第2の要領域132に第2の要領域貫通穴130Cが形成されている。
【0087】
また、第1の先端側貫通穴120Aと第2の先端側貫通穴130Aは、仮想平面160を基準として、互いに略鏡面対称となる位置に形成されている。
また、第1の基端側貫通穴120Bと第2の基端側貫通穴130Bは、仮想平面160を基準として、互いに略鏡面対称となる位置に形成されている。
さらに、第1の要領域貫通穴120Cと第2の要領域貫通穴130Cは、仮想平面160を基準として、互いに略鏡面対称となる位置に形成されている。
【0088】
また、接続箇所140とは反対側の第1の挟持部120の縁部から所定の範囲の領域例えば縁部から約3mmの領域は、仮想平面160へ向けて凸状に湾曲しており、第1の湾曲縁部領域121Aを成している。
また、接続箇所140とは反対側の第2の挟持部130の縁部から所定の範囲の領域例えば縁部から約3mmの領域は、仮想平面160へ向けて凸状に湾曲しており、第2の湾曲縁部領域131Aを成している。
【0089】
ここで、第1の湾曲縁部領域121Aと第2の湾曲縁部領域131Aは、仮想平面160を基準として互いに間隔を隔てて略鏡面対称となっている。
【0090】
また、本発明の第2の実施形態の抜け止め具110は、貫通穴の数と同じ数のステンレス鋼製丸棒、すなわち第1のステンレス鋼製丸棒151と、第2のステンレス鋼製丸棒152と、第3のステンレス鋼製丸棒153とを備える。
ここで、第1~3のステンレス鋼製丸棒(151~153)は、直線状に延びており、所定の長さ例えば25~30cmを有する。
【0091】
また、第1のステンレス鋼製丸棒151は、第1の挟持部120の第1の先端側貫通穴120Aと第2の挟持部130の第2の先端側貫通穴130Aとに着脱自在に挿通可能である。
また、第2のステンレス鋼製丸棒152は、第1の挟持部120の第1の基端側貫通穴120Bと第2の挟持部130の第2の基端側貫通穴130Bとに着脱自在に挿通可能である。
また、第3のステンレス鋼製丸棒153は、第1の挟持部120の第1の要領域貫通穴120Cと第2の挟持部130の第2の要領域貫通穴130Cとに着脱自在に挿通可能である。
【0092】
また、図示していないが、第1の先端側貫通穴120Aの径方向と、第2の先端側貫通穴130Aの径方向は、第1の先端側貫通穴120Aと第2の先端側貫通穴130Aとを結ぶ実体のない仮想の直線に対して斜め方向である。
【0093】
また、図示していないが、第1の基端側貫通穴120Bの径方向と、第2の基端側貫通穴130Bの径方向は、第1の基端側貫通穴120Bと第2の基端側貫通穴130Bとを結ぶ実体のない仮想の直線に対して斜め方向である。
【0094】
さらに、図示していないが、第1の要領域貫通穴120Cの径方向と、第2の要領域貫通穴130Cの径方向は、第1の要領域貫通穴120Cと第2の要領域貫通穴130Cとを結ぶ実体のない仮想の直線に対して斜め方向である。
【0095】
ここで、各貫通穴同士を結ぶ直線が延びた方向は、各貫通穴に挿通された丸棒が延びた方向と同じである。
【0096】
従って、第1の挟持部120と第2の挟持部130に所定の力が加えられていないときには、挿通された第1のステンレス鋼製丸棒151に、第1の先端側貫通穴120Aの縁と第2の先端側貫通穴130Aの縁を押し当てて、第1のステンレス鋼製丸棒151を固定することができる。
【0097】
また、第1の挟持部120と第2の挟持部130に所定の力が加えられていないときには、挿通された第2のステンレス鋼製丸棒152に、第1の基端側貫通穴120Bの縁と第2の基端側貫通穴130Bの縁を押し当てて、第2のステンレス鋼製丸棒152を固定することができる。
【0098】
さらに、第1の挟持部120と第2の挟持部130に所定の力が加えられていないときには、挿通された第3のステンレス鋼製丸棒153に、第1の要領域貫通穴120Cの縁と第2の要領域貫通穴130Cの縁を押し当てて、第3のステンレス鋼製丸棒153を固定することができる。
【0099】
なお、第1~3のステンレス鋼製丸棒(151~153)それぞれの直径は、第1の挟持部120と第2の挟持部130に所定の力が加えられていないときに、各貫通穴の縁に当たる程度の長さとする。
【0100】
また、第1のステンレス鋼製丸棒151を、第1の先端側貫通穴120Aと第2の先端側貫通穴130Aへ挿通したり抜き取ったりする場合、第1の挟持部120の第1の湾曲縁部領域121Aと第2の挟持部130の第2の湾曲縁部領域131Aを例えば指でそれぞれ外方へ押して所定の力を加え、接続箇所140を軸として第1の挟持部120と第2の挟持部130を互いに遠ざけて、第1の先端側貫通穴120Aの径方向と第2の先端側貫通穴130Aの径方向の、第1の先端側貫通穴120Aと第2の先端側貫通穴130Aとを結ぶ仮想の直線に対する角度を直角へ近づける。
【0101】
これによって、第1のステンレス鋼製丸棒151に、第1の先端側貫通穴120Aの縁及び第2の先端側貫通穴130Aの縁を押し当てなくなって、第1のステンレス鋼製丸棒151を第1の先端側貫通穴120A及び第2の先端側貫通穴130Aに挿通したり、これら貫通穴から抜き取ったりすることができる。
【0102】
一方、第2のステンレス鋼製丸棒152と第3のステンレス鋼製丸棒153を、各貫通穴へ挿通したり抜き取ったりする場合、第1の挟持部120と第2の挟持部130を例えば指で挟んで所定の力を加え、接続箇所140を軸として第1の挟持部120と第2の挟持部130を互いに近づけて、第1の基端側貫通穴120Bの径方向と第2の基端側貫通穴130Bの径方向の、第1の基端側貫通穴120Bと第2の基端側貫通穴130Bとを結ぶ仮想の直線に対する角度を直角へ近づけたり、第1の要領域貫通穴120Cの径方向と第2の要領域貫通穴130Cの径方向の、第1の要領域貫通穴120Cと第2の要領域貫通穴130Cとを結ぶ仮想の直線に対する角度を直角へ近づけたりする。
【0103】
これによって、第2のステンレス鋼製丸棒152及び第3のステンレス鋼製丸棒153に、各貫通穴の縁を押し当てなくなって、第2のステンレス鋼製丸棒152及び第3のステンレス鋼製丸棒153を各貫通穴へ挿通したり、これら貫通穴から抜き取ったりすることができる。
【0104】
本発明の第2の実施形態の抜け止め具110は、複数の棒体すなわち第1のステンレス鋼製丸棒151と第2のステンレス鋼製丸棒152とによって、第1の挟持部120の第1の当接領域121と第2の挟持部130の第2の当接領域131とに囲まれた空間を狭くすることができ、この空間に配置される支柱の直径が小さい場合でも迅速に対応することができる。
【0105】
また、万一、第1~3のステンレス鋼製丸棒(151~153)の中の一つあるいは二つが貫通穴から抜け落ちても、残った丸棒が抜け止め防止効果を発揮し、抜け止め防止効果を維持し易い。
【0106】
図4(a)は、本発明を適用した第1の実施形態の抜け止め具の、第1の縁部領域及び第2の縁部領域の第1の変形例を示す部分概略図であり、図4(b)は第1の縁部領域及び第2の縁部領域の第2の変形例を示す部分概略図であり、図4(c)は第1の縁部領域及び第2の縁部領域の第3の変形例を示す部分概略図である。
【0107】
図4(a)に示すように、第1の挟持部20の縁部から所定の範囲の領域例えば縁部から約3mmの領域は、仮想平面60へ向けて凸状に湾曲しており、第1の湾曲縁部領域21Bを成している。
また、第2の挟持部30の縁部から所定の範囲の領域例えば縁部から約3mmの領域は、仮想平面60へ向けて凸状に湾曲しており、第2の湾曲縁部領域31Bを成している。
【0108】
一方、図1に示す第1の湾曲縁部領域21Aの縁部及び第2の湾曲縁部領域31Aの縁部とは異なり、図4(a)に示す第1の湾曲縁部領域21Bの縁部及び第2の湾曲縁部領域31Bの縁部、すなわち第1の挟持部20の縁部及び第2の挟持部30の縁部は、仮想円61内に位置する。
【0109】
ここで、第1の湾曲縁部領域21Bと第2の湾曲縁部領域31Bは、仮想平面60を基準として互いに間隔を隔てて略鏡面対称となっている。
【0110】
本明細書において、仮想円は、第1の挟持部の第1の当接領域の凹状の湾曲面と第2の挟持部の第2の当接領域の凹状の湾曲面とに内接する、実体のない仮想の円である。
また、仮想円61は、本発明の抜け止め具が取付けられる円柱状の支柱の断面形状に相当するものである。
【0111】
また、図4(b)に示すように、第1の挟持部20の縁部から所定の範囲の領域例えば縁部から約3mmの領域は、第1の縁部領域21Cを成している。
また、第2の挟持部30の縁部から所定の範囲の領域例えば約3mmの領域は、第2の縁部領域31Cを成している。
【0112】
一方、図1に示す第1の湾曲縁部領域21A及び第2の湾曲縁部領域31Aとは異なり、図4(b)に示す第1の縁部領域21C及び第2の縁部領域31Cは、仮想平面60へ向けて凸状に湾曲しておらず、仮想円61の径方向の延長線上に略直線状に延びている。
【0113】
ここで、第1の縁部領域21Cと第2の縁部領域31Cは、仮想平面60を基準として互いに間隔を隔てて略鏡面対称となっている。
【0114】
また、図4(c)に示すように、第1の挟持部20の縁部から所定の範囲の領域例えば縁部から約3mmの領域は、第1の縁部領域21Dを成している。
また、第2の挟持部30の縁部から所定の範囲の領域例えば約3mmの領域は、第2の縁部領域31Dを成している。
【0115】
一方、図1に示す第1の湾曲縁部領域21A及び第2の湾曲縁部領域31Aとは異なり、図4(c)に示す第1の縁部領域21D及び第2の縁部領域31Dは、仮想平面60へ向けて凸状に湾曲しておらず、そして、第1の縁部領域21Dの縁部及び第2の縁部領域31Dの縁部、すなわち第1の挟持部20の縁部及び第2の挟持部30の縁部は、仮想円61内に位置する。
【0116】
ここで、第1の縁部領域21D及び第2の縁部領域31Dは、仮想平面60を基準として互いに間隔を隔てて略鏡面対称となっている。
【0117】
また、図4(a)に示す第1の変形例や図4(c)に示す第3の変形例のように、第1の挟持部20の縁部及び第2の挟持部30の縁部が仮想円61内に位置する構成である本発明の抜け止め具は、支柱を挟持する力が向上している。
なぜなら、第1の挟持部20の縁部及び第2の挟持部30の縁部が支柱の表面に引掛り、また、引掛ることで、第1の挟持部20と第2の挟持部30は互いの接続箇所を軸にして支柱とは反対方向へ押されて移動し、その結果、第1の挟持部20と第2の挟持部30が支柱の方へ戻ろうとする力である反力が発生するからである。
【0118】
図5(a)は、本発明を適用した第3の実施形態の抜け止め具のステンレス鋼製丸棒挿通前の状態を示す概略断面図であり、図5(b)は、本発明を適用した第3の実施形態の抜け止め具のステンレス製丸棒挿通後の状態を示す概略図である。
【0119】
図5に示す本発明の第3の実施形態の抜け止め具210は、第1の挟持部220を備える。
また、本発明の抜け止め具210は、第2の挟持部230を備える。
【0120】
ここで、本発明の第3の実施形態の抜け止め具210は、本発明の第1の実施形態の抜け止め具10と異なり、第2の挟持部230は仮想平面260を基準として、第1の挟持部220と間隔を隔てて略鏡面対称となるように、第1の挟持部220に連接されてはいない。
【0121】
すなわち、図5に示すように、第2の挟持部230は第1の挟持部220と間隔を隔てて第1の挟持部220に連接されてはいるが、第2の挟持部230の長さに比べて第1の挟持部220の長さが極端に短くなっており、仮想平面260を基準として略鏡面対称とはなっていない。
ここで、第2の挟持部230は、第1の挟持部220との間で被挟持物例えば支柱を挟持できるように第1の挟持部220に連接されている。
【0122】
また、第1の挟持部220と第2の挟持部230は、1枚のステンレス鋼板で構成されている。
【0123】
また、第1の挟持部220は、第1の当接領域221を有する。
ここで、第1の当接領域221は、第2の挟持部230とは反対方向へ凸状に湾曲している。
【0124】
また、第1の挟持部220は、第1の要領域222を有する。
ここで、第1の要領域222は、第1の挟持部220と第2の挟持部230の接続箇所240と、第1の当接領域221との間に位置する。
また、第1の要領域222は略平板状であり、第1の貫通穴220Aが形成されている。
【0125】
また、第2の挟持部230は、第2の当接領域231を有する。
ここで、第2の当接領域231は、第1の挟持部220とは反対方向へ凸状に湾曲している。
【0126】
また、第1の当接領域221と第2の当接領域231は互いに略同じ曲率を有するが、第1の当接領域221の長さは第2の当接領域231の長さよりも極端に短い。
【0127】
また、第1の当接領域221と第2の当接領域231は互いに略同じ曲率を有するので、第1の当接領域221と第2の当接領域231の互いに向き合う面は、一つの共通する円の円周に当接できるよう湾曲している。
第1の挟持部220の第1の当接領域221と第2の挟持部230の第2の当接領域231に囲まれた空間には、例えば外径4.5cmの円柱を配置可能であるが、これに限定されないことは勿論である。
【0128】
また、第2の挟持部230は、第2の要領域232を有する。
ここで、第2の要領域232は、第1の挟持部220と第2の挟持部230の接続箇所240と、第2の当接領域231との間に位置する。
【0129】
また、第2の要領域232は略平板状であり、第2の貫通穴230Aが形成されている。
また、第2の貫通穴230Aは、仮想平面260を基準として、第1の挟持部220の第1の貫通穴220Aと略鏡面対称となる位置に形成されている。
【0130】
また、接続箇所240とは反対側の第1の挟持部220の縁部から所定の範囲の領域例えば縁部から約3mmの領域は、第1の縁部領域221Aを成している。
ここで、第1の縁部領域221Aは、第1の挟持部220の第1の当接領域221と第2の挟持部230の第2の当接領域231に囲まれた空間とは反対方向へ略直線状に延びている。
【0131】
また、接続箇所240とは反対側の第2の挟持部230の縁部から所定の範囲の領域例えば縁部から約3mmの領域は、第2の縁部領域231Aを成している。
ここで、第2の縁部領域231Aは、第1の挟持部220の第1の当接領域221と第2の挟持部230の第2の当接領域231に囲まれた空間とは反対方向へ略直線状に延びている。
【0132】
また、第1の縁部領域221Aは第2の縁部領域231Aとは反対方向へ傾斜して略直線状に延びており、また、第2の縁部領域231Aは第1の縁部領域221Aとは反対方向へ傾斜して略直線状に延びている。
【0133】
図5に示すように、第1の挟持部220の第1の縁部領域221Aと第2の挟持部230の第2の縁部領域231Aは互いに離れているので、本発明の抜け止め具210を円柱などに取付けるときは、第1の縁部領域221Aと第2の縁部領域231Aとを円柱に押し付けながら取付ける。
【0134】
第1の縁部領域221Aは第2の縁部領域231Aとは反対方向へ傾斜して略直線状に延びており、また、第2の縁部領域231Aは第1の縁部領域221Aとは反対方向へ傾斜して略直線状に延びているので、第1の縁部領域221Aと第2の縁部領域231Aとを円柱に押し付けたときに、第1の縁部領域221Aと第2の縁部領域231Aが円柱の表面上を滑って、円柱は円滑に第1の挟持部220の第1の当接領域221と第2の挟持部230の第2の当接領域231に囲まれた空間内に入り込むことができ、その結果、本発明の抜け止め具210を円柱に取付け易い。
【0135】
また、本発明の第1の実施形態の抜け止め具10と同様に、本発明の第3の実施形態の抜け止め具210においても第1の縁部領域221A及び第2の縁部領域231Aは、湾曲する構成とすることもできる。
この場合、仮想平面260に対して略直交する別の仮想平面へ向けて、第1の縁部領域221A及び第2の縁部領域231Aは凸状に湾曲する構成とすることができる。
【0136】
また、図4(a)または図4(c)に示す変形例と同様に、本発明の第3の実施形態の抜け止め具210においても第1の縁部領域221Aの縁部及び第2の縁部領域231Aの縁部、すなわち、第1の挟持部220の縁部及び第2の挟持部230の縁部は、仮想円内に位置する構成とすることもできる。
【0137】
また、本発明の第3の実施形態の抜け止め具210は、ステンレス鋼製丸棒250を備える。
ここで、ステンレス鋼製丸棒250は、直線状に延びており、所定の長さ例えば25~30cmを有する。
また、ステンレス鋼製丸棒250は、第1の挟持部220の第1の貫通穴220Aと第2の挟持部230の第2の貫通穴230Aとに着脱自在に挿通可能である。
ステンレス鋼製丸棒250は棒体の一例であり、強度や耐久性などの点でステンレス鋼製丸棒と同等であれば、棒体は他の金属製丸棒または樹脂製丸棒とすることもできる。
【0138】
また、第2の貫通穴230Aの径方向230Bは、第1の貫通穴220Aの径方向220Bと略鏡面対称となるように、第1の貫通穴220Aと第2の貫通穴230Aとを結ぶ実体のない仮想の直線270に対して斜め方向である。
【0139】
ここで、第1の貫通穴220Aと第2の貫通穴230Aとを結ぶ直線270が延びた方向は、第1の貫通穴220Aと第2の貫通穴230Aに挿通されたステンレス鋼製丸棒250が延びた方向と同じである。
また、本発明において「貫通穴の径方向」は、各貫通穴の直径方向を意味する。
【0140】
また、第1の貫通穴220Aの径方向220Bは第2の貫通穴230Aの径方向230Bと略鏡面対称であり、第1の貫通穴220Aと第2の貫通穴230Aとを結ぶ直線270に対して斜め方向である。
【0141】
従って、第1の挟持部220と第2の挟持部230に所定の力が加えられていないときには、挿通されたステンレス鋼製丸棒250に、第1の貫通穴220Aの縁と第2の貫通穴230Aの縁を押し当てて、ステンレス鋼製丸棒250を固定することができる。
なお、ステンレス鋼製丸棒250の直径は、第1の挟持部220と第2の挟持部230に所定の力が加えられていないときに、第1の貫通穴220Aの縁と第2の貫通穴230Aの縁に当たる程度の長さとする。
【0142】
また、第1の当接領域221と第2の当接領域231の互いに向き合う面を結んだ直線距離すなわち内径よりも若干大きい外径を有する円柱に、本発明の抜け止め具210が取付けられている場合、第1の挟持部220と第2の挟持部230が押し拡げられるので、より一層、ステンレス鋼製丸棒250に、第1の貫通穴220Aの縁と第2の貫通穴230Aの縁を押し当てることができ、その結果、ステンレス鋼製丸棒250をさらに強く固定できる。
【0143】
また、ステンレス鋼製丸棒250を、第1の貫通穴220Aと第2の貫通穴230Aへ挿通したり、これら貫通穴から抜き取ったりする場合、第1の挟持部220と第2の挟持部230を例えば指で挟んで所定の力を加え、接続箇所240を軸として第1の挟持部220と第2の挟持部230を互いに近づけて、第1の貫通穴220Aの径方向220Bと第2の貫通穴230Aの径方向230Bの、直線270に対する角度を直角へ近づける。
【0144】
これによって、ステンレス鋼製丸棒250に、第1の貫通穴220Aの縁及び第2の貫通穴230Aの縁を押し当てなくなって、ステンレス鋼製丸棒250を第1の貫通穴220A及び第2の貫通穴230Aに挿通したり、これら貫通穴から抜き取ったりすることができる。
【0145】
また、本発明の抜け止め具210を円柱などから取り外すときには、例えば第2の縁部領域231Aを例えば指で、第1の縁部領域221Aとは反対方向へ押して所定の力を加え、第2の挟持部230を第1の挟持部220から離した状態で、円柱が延びた方向に対して略直交する方向であって円柱から離れる方向へ本発明の抜け止め具210に力を加える。
【0146】
また、本発明の抜け止め具において、第1の挟持部と第2の挟持部の接続箇所は必ずしも湾曲していなくてもよく、例えば平坦な形状を有することもできる。
【0147】
図6(a)は、本発明を適用した第4の実施形態の抜け止め具の棒体が第1の状態であるときの概略図であり、図6(b)は、本発明を適用した第4の実施形態の抜け止め具の棒体が第2の状態であるときの概略図である。
【0148】
図6に示す本発明の第4の実施形態の抜け止め具310は、第1の挟持部320と、第2の挟持部330とを備える。
【0149】
また、第1の挟持部320は、第1の当接領域321と、第1の要領域322とを有する。
また、第2の挟持部330は、第2の当接領域331と、第2の要領域332とを有する。
【0150】
ここで、第1の要領域322は、第1の挟持部320と第2の挟持部330の接続箇所340と、第1の当接領域321との間に位置する。
また、第2の要領域332は、第1の挟持部320と第2の挟持部330の接続箇所340と、第2の当接領域331との間に位置する。
【0151】
また、第1の要領域322は略平板状であり、第1の貫通穴320Aが形成されている。
また、第2の要領域332は略平板状であり、第2の貫通穴330Aが形成されている。
また、第2の貫通穴330Aは、仮想平面360を基準として、第1の挟持部320の第1の貫通穴320Aと略鏡面対称となる位置に形成されている。
【0152】
また、接続箇所340とは反対側の第1の挟持部320の縁部から所定の範囲の領域例えば縁部から約3mmの領域は、第1の縁部領域321Aを成している。
ここで、第1の縁部領域321Aは、第1の挟持部320の第1の当接領域321と第2の挟持部330の第2の当接領域331に囲まれた空間とは反対方向へ略直線状に延びている。
【0153】
また、接続箇所340とは反対側の第2の挟持部330の縁部から所定の範囲の領域例えば縁部から約3mmの領域は、第2の縁部領域331Aを成している。
ここで、第2の縁部領域331Aは、第1の挟持部320の第1の当接領域321と第2の挟持部330の第2の当接領域331に囲まれた空間とは反対方向へ略直線状に延びている。
【0154】
また、第1の縁部領域321Aと第2の縁部領域331Aは、仮想平面360を基準として互いに間隔を隔てて略鏡面対称となっている。
【0155】
また、第1の縁部領域321Aは第2の縁部領域331Aとは反対方向へ傾斜して略直線状に延びており、また、第2の縁部領域331Aは第1の縁部領域321Aとは反対方向へ傾斜して略直線状に延びている。
【0156】
また、本発明の第4の実施形態の抜け止め具310が備える、第1の挟持部320及び第2の挟持部330は、本発明の第1の実施形態の抜け止め具10が備える、第1の挟持部20及び第2の挟持部30と同じであるので、第1の挟持部320と第2の挟持部330についての詳細な説明を省略する。
【0157】
また、本発明の第4の実施形態の抜け止め具310は、ステンレス鋼製丸棒350を備える。
ここで、ステンレス鋼製丸棒350は、直線状に延びた棒体の一部すなわち略中央部が一方向に折れ曲げられている。
この折れ曲げられた箇所が屈曲部351である。
【0158】
すなわち、図6に示すように、ステンレス鋼製丸棒350は屈曲部351を有し、ステンレス鋼製丸棒350の一端と屈曲部351の間及びステンレス鋼製丸棒350の一端とは反対側の他端と屈曲部351の間はそれぞれ、屈曲部351において互いに所定の角度を成すよう直線状に延びている。
ここで、所定の角度は例えば140度~160度である。
【0159】
また、ステンレス鋼製丸棒350は、摘み部352を有する。
ここで、摘み部352は、ステンレス鋼製丸棒350の一端に連接されていると共にステンレス鋼製丸棒350が直線状に延びた方向に対して略直交する方向へ延びている。
すなわち、図6に示す形態において、略90度に折れ曲がった箇所をステンレス鋼製丸棒350の一端とする。
【0160】
また、ステンレス鋼製丸棒350の一端から他端までの長さは例えば25~30cmである。
また、ステンレス鋼製丸棒350は、第1の挟持部320の第1の貫通穴320Aと第2の挟持部330の第2の貫通穴330Aとに着脱自在に挿通可能である。
また、ステンレス鋼製丸棒350の屈曲部351が、第1の要領域322と第2の要領域332の間の空間に位置するよう、ステンレス鋼製丸棒350は第1の貫通穴320Aと第2の貫通穴330Aへ挿通される。
【0161】
また、第2の貫通穴330Aの径方向は、第1の貫通穴320Aの径方向と略鏡面対称となるように、第1の貫通穴320Aと第2の貫通穴330Aとを結ぶ実体のない仮想の直線370に対して斜め方向である。
また、第1の貫通穴320Aの径方向は第2の貫通穴330Aの径方向と略鏡面対称であり、第1の貫通穴320Aと第2の貫通穴330Aとを結ぶ直線370に対して斜め方向である。
【0162】
ステンレス鋼製丸棒350は摘み部352を有するので、本発明の抜け止め具310を円柱に取付ける者は摘み部352を摘んで、図6(b)に示すようにステンレス鋼製丸棒350を、第1の貫通穴320Aと第2の貫通穴330Aとを結ぶ直線370を回転中心軸線として回転させることができる。
【0163】
そして、ステンレス鋼製丸棒350の一端と屈曲部351の間及びステンレス鋼製丸棒350の一端とは反対側の他端と屈曲部351の間はそれぞれ、屈曲部351において互いに例えば140度~160度を成すよう直線状に延びているので、第1の貫通穴320Aと第2の貫通穴330Aに挿通されたステンレス鋼製丸棒350を回転させたときに、図6(b)に示すように、第1の挟持部320と第2の挟持部330を互いに近づけるようにステンレス鋼製丸棒350を第1の貫通穴320Aの縁と第2の貫通穴330Aの縁とに押し当てることができる。
その結果、第1の挟持部320と第2の挟持部330とを円柱にさらに押し当てることができる。
【0164】
以上のように、本発明の抜け止め具は、第1の挟持部と第2の挟持部とを備えているので、支柱式海苔養殖で使用される支柱すなわち被挟持物を、第1の挟持部と第2の挟持部との間に挟持することができる。
【0165】
また、本発明の抜け止め具は、ステンレス鋼製丸棒すなわち棒体を備えているので、貝類付着防止リングすなわち抜け止め対象物を棒体に当てて抜け止め対象物の移動を制限できる。
【0166】
また、第1の貫通穴の径方向と第2の貫通穴の径方向は、仮想平面を基準として互いに略鏡面対称であり、第1の貫通穴と第2の貫通穴とを結ぶ直線に対して斜め方向であるので、第1の挟持部と第2の挟持部に所定の力が加えられていないときには、挿通された棒体に第1の貫通穴の縁と第2の貫通穴の縁を押し当てて、棒体を固定することができる。
【0167】
従って、本発明の抜け止め具は、耐久性に優れている。
その結果、本発明の抜け止め具は支柱などから簡単に外れることはなく、また、棒体も簡単に外れることはなく、抜け止め効果を長く維持でき、ゴミとなって環境に悪影響を与えることもない。
【符号の説明】
【0168】
10 抜け止め具
20 第1の挟持部
20A 第1の貫通穴
20B 第1の貫通穴の径方向
21 第1の当接領域
21A 第1の湾曲縁部領域
21B 第1の湾曲縁部領域
21C 第1の縁部領域
21D 第1の縁部領域
22 第1の要領域
30 第2の挟持部
30A 第2の貫通穴
30B 第2の貫通穴の径方向
31 第2の当接領域
31A 第2の湾曲縁部領域
31B 第2の湾曲縁部領域
31C 第2の縁部領域
31D 第2の縁部領域
32 第2の要領域
40 接続箇所
50 ステンレス鋼製丸棒
60 仮想平面
61 仮想円
70 直線
80 支柱
81 貝類付着防止リング
82 海苔網
82A ロープ
83 吊り綱
84 海苔
110 抜け止め具
120 第1の挟持部
120A 第1の先端側貫通穴
120B 第1の基端側貫通穴
120C 第1の要領域貫通穴
121 第1の当接領域
121A 第1の湾曲縁部領域
122 第1の要領域
130 第2の挟持部
130A 第2の先端側貫通穴
130B 第2の基端側貫通穴
130C 第2の要領域貫通穴
131 第2の当接領域
131A 第2の湾曲縁部領域
132 第2の要領域
140 接続箇所
151 第1のステンレス鋼製丸棒
152 第2のステンレス鋼製丸棒
153 第3のステンレス鋼製丸棒
160 仮想平面
210 抜け止め具
220 第1の挟持部
220A 第1の貫通穴
220B 第1の貫通穴の径方向
221 第1の当接領域
221A 第1の縁部領域
222 第1の要領域
230 第2の挟持部
230A 第2の貫通穴
230B 第2の貫通穴の径方向
231 第2の当接領域
231A 第2の縁部領域
232 第2の要領域
240 接続箇所
250 ステンレス鋼製丸棒
260 仮想平面
270 直線
310 抜け止め具
320 第1の挟持部
320A 第1の貫通穴
321 第1の当接領域
321A 第1の縁部領域
322 第1の要領域
330 第2の挟持部
330A 第2の貫通穴
331 第2の当接領域
331A 第2の縁部領域
332 第2の要領域
340 接続箇所
350 ステンレス鋼製丸棒
351 屈曲部
352 摘み部
360 仮想平面
370 直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7