(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059600
(43)【公開日】2022-04-13
(54)【発明の名称】ゲーム制御方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/55 20140101AFI20220406BHJP
A63F 13/2145 20140101ALI20220406BHJP
A63F 13/426 20140101ALI20220406BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20220406BHJP
【FI】
A63F13/55
A63F13/2145
A63F13/426
G06F3/0488
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207752
(22)【出願日】2021-12-22
(62)【分割の表示】P 2021067750の分割
【原出願日】2020-10-01
(71)【出願人】
【識別番号】313011434
【氏名又は名称】エヌエイチエヌ コーポレーション
【住所又は居所原語表記】(Sampyeong-dong),16,Daewangpangyo-ro 645 beon-gil,Bundang-gu,Seongnam-si,Gyeonggi-do Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】516164173
【氏名又は名称】NHN PlayArt株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】林 智之
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA12
5E555AA76
5E555BA04
5E555BA06
5E555BA20
5E555BB04
5E555BB06
5E555BC04
5E555CA12
5E555CB16
5E555CB18
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5E555CB72
5E555CC01
5E555DB32
5E555DB53
5E555DB56
5E555DC09
5E555DC60
5E555DD06
5E555EA07
5E555EA08
5E555EA09
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】プレイヤキャラクタの攻撃態勢を維持させつつ、不要な攻撃動作の実行を防ぐこと。
【解決手段】画面に対する長押し操作による入力をトリガとして、操作対象の第1オブジェクトに攻撃動作の準備動作を実行させ、前記第1オブジェクトが前記準備動作を実行している状態において、攻撃対象の第2オブジェクトが第1条件を満たした場合に、前記第1オブジェクトに前記第2オブジェクトに対する前記攻撃動作を実行させる、ゲーム制御方法。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に対する長押し操作による入力をトリガとして、操作対象の第1オブジェクトに攻撃動作の準備動作を実行させ、
前記第1オブジェクトが前記準備動作を実行している状態において、攻撃対象の第2オブジェクトが第1条件を満たした場合に、前記第1オブジェクトに前記第2オブジェクトに対する前記攻撃動作を実行させる、ゲーム制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、画面内のオブジェクトを制御するためのゲーム制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の携帯端末で実行される様々なゲームプログラムが流通している。携帯端末においてゲームを実行する場合、ユーザによる操作は、タッチパネルを利用して入力される。画面内の操作対象となるオブジェクト(プレイヤキャラクタともいう)に対するコマンド(命令)は、画面に対するタッチ操作を介して入力される。タッチ操作には、例えば、ショートタップ操作(以下、「タップ操作」という)、ロングタップ操作(以下、「長押し操作」という)、スライド操作等が用いられる。
【0003】
動作系のゲームでは、画面内の限られたスペースでオブジェクトの移動、照準合わせ等の動作を制御する必要がある。そのため、画面に対する長押し操作は、単なるタップ操作と区別可能な、重要な操作の1つとして用いられている。例えば、特許文献1には、タッチディスプレイの画面に対して長押し操作を行うと、仮想キャラクタが、画面に表示された照星に向かって連続的なシューティング動作を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、画面に長押し操作を行うという簡易な操作により連続的なシューティング動作を実現できるものの、長押し操作を継続する間は、攻撃対象(例えば、敵キャラクタ)の有無にかかわらずシューティング動作が行われる。このような不要なシューティング動作は、例えば、弾薬の浪費を招いたり、常時発射される弾によって画面の視認性を低下させたりするなどの問題を生じる。
【0006】
本発明の一実施形態の課題の1つは、プレイヤキャラクタの攻撃態勢を維持させつつ、不要な攻撃動作の実行を防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態におけるゲーム制御方法は、画面に対する長押し操作による入力をトリガとして、操作対象の第1オブジェクトに攻撃動作の準備動作を実行させ、前記第1オブジェクトが前記準備動作を実行している状態において、攻撃対象の第2オブジェクトが第1条件を満たした場合に、前記第1オブジェクトに前記第2オブジェクトに対する前記攻撃動作を実行させる。
【0008】
前記第1オブジェクトが前記準備動作を実行している状態において、画面に対するスライド操作による入力が取得されると、前記スライド操作が示す方向に、前記準備動作を維持しつつ前記第1オブジェクトを移動させてもよい。
【0009】
前記第1条件は、前記第2オブジェクトが前記第1オブジェクトの攻撃領域の内側に位置することであってもよい。
【0010】
前記第1条件は、前記第2オブジェクトが前記画面に表示された照準領域に重畳することであってもよい。
【0011】
前記第2オブジェクトが前記第1条件を満たし、かつ、前記第1オブジェクトが第2条件を満たした場合、前記攻撃動作を実行させることなく前記第1オブジェクトに前記準備動作を実行させてもよい。
【0012】
前記第1オブジェクトが前記攻撃動作を実行している状態において、前記第1オブジェクトが第2条件を満たした場合、前記第1オブジェクトの動作を、前記攻撃動作から前記準備動作に移行させてもよい。
【0013】
前記第1オブジェクトが前記第2条件を満たした場合、前記画面に、前記第2条件を満たしていることを示す情報を表示してもよい。
【0014】
前記第2条件は、前記第1オブジェクトが前記第2オブジェクトを攻撃できない要因が存在することであってもよい。
【0015】
前記第2条件は、前記第1オブジェクトと前記第2オブジェクトとが所定の距離を超えて離間することであってもよい。
【0016】
前記準備動作は、武器を構える動作であってもよい。また、前記攻撃動作は、前記武器から攻撃媒体を放出する動作であってもよい。
【0017】
前記攻撃媒体に対する前記第2オブジェクトの衝突検知領域は、前記第2オブジェクトの占有領域よりも大きくてもよい。
【0018】
前記攻撃媒体に対する前記第2オブジェクトの衝突検知領域は、第1通信状態において、前記第2オブジェクトの占有領域に略等しく、前記第1通信状態よりも通信速度が低い第2通信状態において、前記第2オブジェクトの占有領域よりも大きくてもよい。
【0019】
前記長押し操作による入力に応じて、当該長押し操作が開始された接触点の位置に対して識別画像を表示してもよい。
【0020】
本発明の一実施形態におけるプログラムは、上記ゲーム制御方法をサーバまたは通信装置の制御部に実行させる。
【0021】
本発明の一実施形態におけるサーバまたは通信装置は、上記ゲーム制御方法を実行する制御部を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施形態によれば、プレイヤキャラクタの攻撃態勢を維持させつつ、不要な攻撃動作の実行を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態における通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態における通信装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態におけるサーバの構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1実施形態におけるゲーム画面の構成を示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態におけるゲーム画面において長押し操作が行われた状態を示す図である。
【
図6】本発明の第1実施形態におけるゲーム画面において長押し操作が行われた状態を示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態におけるゲーム画面において長押し操作を維持したままスライド操作が行われている状態を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態におけるゲーム画面において長押し操作を維持したままプレイヤキャラクタ画像の移動を停止した状態を示す図である。
【
図9】本発明の第1実施形態において攻撃動作に関する処理を説明するためのフローチャート図である。
【
図10】本発明の第2実施形態におけるゲーム画面において長押し操作が行われた状態を示す図である。
【
図11】本発明の第3実施形態におけるゲーム画面において長押し操作を維持したままスライド操作が行われている状態を示す図である。
【
図12】本発明の第3実施形態におけるゲーム画面において長押し操作を維持したままプレイヤキャラクタ画像の移動を停止した状態を示す図である。
【
図13】本発明の第4実施形態におけるゲーム画面において長押し操作が行われた状態を示す図である。
【
図14】本発明の第4実施形態におけるゲーム画面において照準領域を敵キャラクタ画像に重畳させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態である画像制御方法(ゲーム進行を制御する方法)について説明する。但し、本発明は、多くの異なる態様で実施することが可能である。すなわち、本発明は、以下に示す実施形態の記載内容に限定して解釈されない。本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様の機能を有する部分には、同一の符号または同一の符号の後にアルファベットを付した符号を用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0025】
本明細書および特許請求の範囲において、各用語は、次のように定義される。
【0026】
「オブジェクト」とは、コンピュータ上で操作または処理の対象となる物体を表現する画像を意味する。例えば、ゲーム画面内におけるユーザの操作対象であるプレイヤキャラクタ画像は、「操作対象のオブジェクト」である。
【0027】
「タッチ操作」とは、ユーザが、画面上のタッチパネル等に対し、指又はスタイラスペン等(以下、「指示物」という)を接触させて行う操作を指す。「タップ操作」とは、指示物の接触の開始から解除までが短いタッチ操作を指す。「長押し操作」とは、指示物の接触の開始から解除までがタップ操作よりも長いタッチ操作を指す。「スライド操作」とは、指示物の接触状態を維持したまま接触点を移動させる操作を指す。スライド操作は、スワイプ操作とも呼ばれる。
【0028】
「プログラム」とは、プロセッサ及びメモリを備えたコンピュータにおいてプロセッサより実行される命令又は命令群を指す。「コンピュータ」は、プログラムの実行主体を指す総称である。例えば、サーバ(またはクライアント)によりプログラムが実行される場合、「コンピュータ」は、サーバ(またはクライアント)を指す。また、サーバとクライアントとの間の分散処理により「プログラム」が実行される場合、「コンピュータ」は、サーバおよびクライアントの両方を含む。この場合、「プログラム」は、「サーバで実行されるプログラム」および「クライアントで実行されるプログラム」を含む。「プログラム」が、複数のサーバ間で分散処理される場合も同様に、「コンピュータ」は、複数のサーバを含み、「プログラム」は、各サーバで実行される各プログラムを含む。
【0029】
<第1実施形態>
[通信システムの構成]
図1は、本発明の第1実施形態における通信システム1000の構成を示すブロック図である。通信システム1000は、通信装置100およびサーバ200を有する。通信装置100およびサーバ200は、インターネット、通信回線などのネットワークNWに接続される。通信システム1000は、クライアントである通信装置100とサーバ200とで構成されるクライアントサーバシステムである。
【0030】
通信装置100は、例えば、スマートフォンなどの携帯端末である。通信装置100は、ネットワークNWに接続することにより、サーバ200または他の通信装置と通信を行うことができる。通信装置100は、ゲームプログラムをインストールすることが可能である。通信装置100にインストールされたゲームプログラムを実行することにより、ユーザの操作に応じて画面内のキャラクタ等のオブジェクトを操作可能なゲームが提供される。
【0031】
ゲームプログラムは、サーバ200からネットワークNWを介して通信装置100にダウンロードされる。ただし、ゲームプログラムは、予め通信装置100にインストールされていてもよい。さらに、ゲームプログラムは、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録した状態で提供されてもよい。この場合、通信装置100は、記録媒体を読み取る装置を備えた情報処理装置であればよい。
【0032】
ゲームプログラムの実行は、通信装置100が実行する場合、サーバ200が実行する場合、および通信装置100とサーバ200とで役割を分担して実行する場合(いわゆる分散処理を行う場合)のいずれの態様も採り得る。
【0033】
サーバ200は、通信装置100に対して、ゲームプログラムを提供したり各種のサービスを提供したりする情報処理装置である。各種のサービスには、例えば、通信装置100においてオンラインゲームを実行する際におけるログイン処理、同期処理などのサービスが含まれる。そのほか、各種のサービスには、例えば、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が含まれていてもよい。ゲームプログラムは、サーバ200に含まれる記憶装置、サーバ200が読み出し可能な記録媒体、またはサーバ200がネットワークNWを介して接続可能なデータベースに記録される。
図1において、サーバ200は、単一の情報処理装置として図示されているが、複数の情報処理装置で構成されていてもよい。
【0034】
[通信装置の構成]
図2は、本発明の第1実施形態における通信装置100の構成を示すブロック図である。本実施形態の通信装置100は、制御部11、記憶部12、表示部13、操作部14、センサ部15、撮像部16、位置検出部17、通信部18、音入出力部19、および報知部20を含む。ただし、通信装置100は、これらの要素をすべて含むものに限定されない。
【0035】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ(演算処理装置)およびRAM等の記憶装置を備える。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムをプロセッサにより実行して、各種機能を通信装置100において実現させる。通信装置100の各要素から出力される信号は、通信装置100において実現される各種機能によって使用される。
【0036】
記憶部12は、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブなどの恒久的な情報保持および情報の書き換えが可能な記録装置(記録媒体)である。記憶部12は、プログラムおよび当該プログラムの実行に必要となるパラメータ等の情報を格納する。例えば、前述のゲームプログラムは、記憶部12に格納される。
【0037】
表示部13は、制御部11の制御に応じて、各種の画面(例えば、ゲーム画面等)を表示する表示領域を有する。表示部13は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなどの表示装置である。
【0038】
操作部14は、ユーザの操作に応じた信号(例えば、命令または情報を示す信号)を制御部11に出力する操作装置である。操作部14は、表示部13の表面に配置されたタッチセンサである。操作部14は、表示部13と組み合わせることによってタッチパネルを構成する。ユーザの操作に応じた命令または情報は、ユーザの指又はスタイラスペン等の指示物で操作部14に接触することによって通信装置100へ入力される。ただし、操作部14は、通信装置100の筐体に配置されたスイッチを含んでもよい。
【0039】
センサ部15は、通信装置100の動き、通信装置100の周囲の環境などに関する情報を収集して信号に変換する機能を備える装置である。本実施形態のセンサ部15は、例えば、加速度センサである。制御部11は、センサ部15の出力信号に基づいて、通信装置100の動き(例えば、傾き、振動など)に関する情報を取得する。ただし、センサ部15は、照度センサ、温度センサ、磁気センサその他のセンサを含んでもよい。
【0040】
撮像部16は、撮像対象の像を信号に変換する撮像装置(カメラ)である。通信装置100は、撮像部16から出力された撮像信号に基づいて画像ファイル(静止画ファイルおよび動画ファイルを含む)を生成する。撮像部16は、一次元コードまたは二次元コードなどの識別コードを読み取るスキャナーとしても機能する。
【0041】
位置検出部17は、位置情報に基づいて通信装置100の位置を検出する。本実施形態の位置検出部17は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて通信装置100の位置を検出する。
【0042】
通信部18は、制御部11の制御により、ネットワークNWと接続して、ネットワークNWに接続されたサーバ200など、他の通信装置と情報の送信および受信を行う無線通信モジュールである。通信部18は、赤外線通信、近距離無線通信などを行う通信モジュールを含んでいてもよい。
【0043】
音入出力部19は、音の入力及び出力を行う。例えば、音の入力は、音入出力部19のマイクにより行われる。音の出力は、音入出力部19のスピーカにより行われる。音入出力部19は、他の通信装置との通話のほか、外部音の収集またはゲーム進行に伴う音声または効果音等の出力に用いることもできる。
【0044】
報知部20は、ユーザに対し、視覚的、聴覚的または触覚的方法により通信装置100の状態を報知する。具体的には、報知部20は、ユーザに対して光、音または振動を用いて通信装置100の状態を報知する。例えば、報知部20は、ランプを点滅させたり筐体全体を振動させたりすることにより、外部装置との通信の有無をユーザに報知することができる。筐体全体の振動は、報知部20のバイブレータにより行われる。また、報知部20は、ゲーム進行に伴う画面状態の遷移等をユーザに報知することも可能である。例えば、報知部20は、タッチ操作が所定の条件を満たしたことをユーザに光、音または振動を用いて報知することができる。
【0045】
[サーバの構成]
図3は、本発明の第1実施形態におけるサーバ200の構成を示すブロック図である。本実施形態のサーバ200は、制御部21、記憶部22および通信部23を含む。
【0046】
制御部21は、CPUなどの演算処理回路(制御装置)およびRAM等の記憶装置を備える。制御部21は、記憶部22に記憶されたプログラムをCPUにより実行して、各種機能をサーバ200において実現させる。サーバ200の各要素から出力される信号は、サーバ200において実現される各種機能によって使用される。
【0047】
記憶部22は、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブなどの恒久的な情報保持および情報の書き換えが可能な記録装置(記録媒体)である。記憶部22は、プログラムおよび当該プログラムの実行に必要となるパラメータ等の情報を格納する。例えば、前述のゲームプログラムは、記憶部22に格納される。また、記憶部22は、ネットワークNWを介して他の装置(例えば、通信装置100)から受信した各種情報を格納する。
【0048】
通信部23は、制御部21の制御により、ネットワークNWと接続して、ネットワークNWに接続された通信装置100、他のサーバなど、他の装置と情報の送信および受信を行う無線通信モジュールである。他のサーバとしては、例えば、ゲームサーバ、SNSサーバ、メールサーバなどが例示できる。
【0049】
[ゲーム画面の構成]
以下に説明するゲーム画面GSは、
図3に示したサーバ200の制御部21(具体的には、制御部21が備えるプロセッサ)が、記憶部22から読み出したゲームプログラムを実行することにより、通信装置100の表示部13に表示される。ただし、
図2に示した通信装置100の制御部11(具体的には、制御部11が備えるプロセッサ)が、記憶部12に記憶されたゲームプログラムを実行して、自己の表示部13にゲーム画面GSを表示してもよい。
【0050】
図4は、本発明の第1実施形態におけるゲーム画面GSの構成を示す図である。通信装置100は、スマートフォン等の携帯端末である。本実施形態では、携帯端末を片手(具体的には、右手)で持ち、片手でゲーム操作を行う場合を想定している。通信装置100の表示部13には、ゲーム画面GSが表示されている。なお、表示部13とほぼ同じ領域に操作部14としてタッチセンサが配置される。
【0051】
図4に示すゲーム画面GSは、背景画像BG、プレイヤキャラクタ画像PC、および敵キャラクタ画像ECを含む。背景画像BGは、地面、建物、空などの背景を表現する画像である。プレイヤキャラクタ画像PCは、ユーザによって操作されるオブジェクト(操作対象のオブジェクト)を表現する画像である。敵キャラクタ画像ECは、コンピュータまたは他のユーザによって操作されるオブジェクト(非操作対象のオブジェクト)を表現する画像である。敵キャラクタ画像ECは、プレイヤキャラクタ画像PCが攻撃を実行する対象でもあることから、攻撃対象のオブジェクトとも言える。ただし、ゲーム画面GSは、一例に過ぎず、敵キャラクタ画像ECは省略されてもよい。つまり、建物や移動体(例えば、車両または航空機)などの非操作対象のオブジェクトが、攻撃対象のオブジェクトであってもよい。このように、ゲーム画面GSは、ゲーム世界を表現する仮想空間を可視化した画面である。具体的には、仮想空間の少なくとも1点に配置された仮想カメラによって撮像された映像がゲーム画面GSに相当する。
【0052】
図4に示すように、ゲーム画面GS内の下部には、操作領域OAがあらかじめ設定されている。本実施形態では、操作領域OAとして、略半円状の領域を配置する。操作領域OAが円弧状の外縁を有する場合、後述するスライド操作を全方向に行いやすいという利点
がある。ただし、この例に限らず、操作領域OAとして円形状、楕円形状または多角形状の領域を配置してもよい。本実施形態では、ユーザは、操作領域OAの内側(本実施形態では、プレイヤキャラクタ画像PCが位置する側)に対して、タッチ操作を行う。ただし、操作領域OAの内側に限らず、操作領域OAの外側に対してユーザが行ったタッチ操作も受け付けるようにしてもよい。
【0053】
本実施形態の場合、操作領域OAが、携帯端末を持った手の親指が届く範囲に設けられているため、片手の親指による操作が容易である。携帯端末を片手で操作する場合、基本的には携帯端末を持った手の親指でタッチ操作を行うからである。なお、
図4では、操作領域OAに対してプレイヤキャラクタ画像PCを重ねて表示する例を示したが、操作領域OAに対してプレイヤキャラクタ画像PCを重ねずに表示する(または、僅かに重ねて表示する)ことも可能である。この場合、操作中に指でプレイヤキャラクタ画像PCが隠れてしまうことを回避できる。
【0054】
本実施形態では、操作領域OAに対してタッチ操作による入力を行い、プレイヤキャラクタ画像PCを操作する。具体的には、操作領域OAに対して行うタッチ操作の組み合わせに応じて、プレイヤキャラクタ画像PCに異なる動作を実行させる。以下、プレイヤキャラクタ画像PCに、攻撃動作としてシューティング動作を実行させる例について説明する。ただし、この例に限らず、攻撃動作は、敵キャラクタに対してダメージ又は状態変化を与える動作であれば如何なる動作を含んでもよい。例えば、攻撃動作には、剣もしくは槍による攻撃、魔法による攻撃、エネルギー波の放出による攻撃などが含まれてもよい。
【0055】
図5及び
図6は、本発明の第1実施形態におけるゲーム画面GSにおいて長押し操作が行われた状態を示す図である。具体的には、
図5は、ゲーム画面GS内に敵キャラクタECが存在しない場合に、長押し操作による入力を行った状態を示している。
図6は、ゲーム画面GS内に敵キャラクタECが存在する場合に、長押し操作による入力を行った状態を示している。
図5及び
図6において、操作領域OAの内側の一点鎖線で囲んだ円で示す接触点CPが長押し操作の開始点に相当する。本実施形態では、ユーザの指で長押し操作を行うことを想定しているため、接触点CPは、ある範囲を占める領域として図示されている。
【0056】
ここで、長押し操作による入力の有無は、例えば、接触点CPにユーザの指が接触した後、指の接触を維持したまま所定時間が経過したか否かで判定することができる。つまり、接触点CPへの指の接触から所定時間が経過すると、長押し操作による入力であると判定される。逆に、所定時間経過前に指が画面から離れた場合、長押し操作による入力ではなく、通常のタップ操作であると判定される。また、本実施形態では、画面に対する指の接触をタッチ操作として扱う例を示すが、この例に限られるものではない。例えば、画面と指との間の距離が所定距離以下となったときにタッチ操作がなされたと判定することも可能である。この場合、画面と指との間の距離が、前述の所定距離を超えたときに指が画面から離れたと判定してもよい。
【0057】
図5に示すように、ゲーム画面GS内に攻撃対象(敵キャラクタEC)が存在しない場合、サーバ200の制御部21は、長押し操作による入力を取得すると、プレイヤキャラクタ画像PCに、攻撃動作(
図5ではシューティング動作)の準備動作を実行させる。具体的には、プレイヤキャラクタ画像PCが、手に持った武器(
図5では銃)を構え、シューティング態勢となるように表示される。本実施形態では、プレイヤキャラクタ画像PCがシューティング態勢になった状態を「攻撃モード」と呼ぶ場合がある。すなわち、ユーザが操作領域OAの内側に対して長押し操作を行うと、プレイヤキャラクタ画像PCが通常モードから攻撃モードに遷移する。
図5では、ゲーム画面GS内に攻撃対象が存在しないため、プレイヤキャラクタ画像PCはシューティング態勢となって待機する。
【0058】
他方、
図6に示すように、ゲーム画面GS内に攻撃対象が存在する場合、サーバ200の制御部21は、長押し操作による入力を取得すると、プレイヤキャラクタ画像PCに、攻撃動作を実行させる。具体的には、プレイヤキャラクタ画像PCが、シューティング態勢となり、かつ、武器から攻撃媒体(
図6では弾丸)を放出する。つまり、
図6では、ゲーム画面GS内に攻撃対象が存在するため、プレイヤキャラクタ画像PCは、敵キャラクタ画像ECに対してシューティングによる攻撃を行う。
【0059】
具体的には、長押し操作による入力がなされると、ゲーム画面GS内のプレイヤキャラクタ画像PCが銃を構える。プレイヤキャラクタ画像PCが銃を構えた状態において、敵キャラクタ画像ECがゲーム画面内GSに表示されていると、プレイヤキャラクタ画像PCは、敵キャラクタ画像ECを攻撃する。この場合、プレイヤキャラクタ画像PCは、自動的に敵キャラクタ画像ECに対して照準を合わせて攻撃を行う。このように、サーバ200の制御部21は、長押し操作による入力を取得すると、プレイヤキャラクタ画像PCに、攻撃動作の準備動作を実行させる。そして、プレイヤキャラクタ画像PCが準備動作を実行している状態において、敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GS内に位置すると、制御部21は、プレイヤキャラクタ画像PCに敵キャラクタ画像ECに対する攻撃動作を実行させる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態では、操作領域OA内において長押し操作による入力がなされると、敵キャラクタ画像ECが、所定の条件(ここでは、敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GS内に位置すること)を満たした場合、プレイヤキャラクタ画像PCは、敵キャラクタ画像ECを攻撃する(
図6)。しかしながら、敵キャラクタ画像ECが、前述の所定の条件を満たさない場合、プレイヤキャラクタ画像PCは、敵キャラクタ画像ECを攻撃せず、準備動作のみ実行する(
図5)。すなわち、本実施形態では、操作領域OA内において長押し操作による入力がなされた場合であっても、前述の所定の条件が満たされない限り、プレイヤキャラクタ画像PCは、攻撃動作を実行しない。したがって、ゲーム画面GS内に敵が存在せず、攻撃動作を実行する必要がない場合、プレイヤキャラクタ画像PCは、準備動作のまま待機することができる。
【0061】
さらに本実施形態では、プレイヤキャラクタ画像PCが、準備動作を維持したままゲーム画面GS内を移動できる。すなわち、プレイヤキャラクタ画像PCは、銃を構えたまま仮想空間内を前後左右に移動することが可能である。本実施形態では、ゲーム画面GSに対するスライド操作によってプレイヤキャラクタ画像PCを移動させることができる。
【0062】
図7は、本発明の第1実施形態におけるゲーム画面GSにおいて長押し操作を維持したままスライド操作が行われている状態を示す図である。具体的には、
図7は、プレイヤキャラクタ画像PCが、銃を構えながら前方のビルに向かって移動している様子を示している。本実施形態では、長押し操作から連続的に行われるスライド操作(方向入力操作)によって、シューティング態勢を維持したまま、プレイヤキャラクタ画像PCを移動させることができる。
【0063】
図7では、接触点CPで長押し操作を開始した後、任意の位置にある他の接触点CP’に向かってスライド操作を行っている様子を示している。本実施形態では、長押し操作を行った後、任意の方向に向かってスライド操作を行うことにより、指をスライドさせた方向にプレイヤキャラクタ画像PCを移動させることができる。このとき、スライド操作が操作領域OAの内側と操作領域OAの外側とに跨る場合においても、シューティング態勢を維持したままプレイヤキャラクタ画像PCを移動させることができる。
【0064】
図8は、本発明の第1実施形態におけるゲーム画面GSにおいて長押し操作を維持したままプレイヤキャラクタ画像の移動を停止した状態を示す図である。具体的には、
図8は、プレイヤキャラクタ画像PCが、前方のビルに現れた敵キャラクタ画像ECに対し、立ち止まった状態で攻撃している様子を示している。本実施形態では、接触点CP’から元の位置である接触点CPまで指を戻すことによって、シューティング態勢を維持したまま、プレイヤキャラクタ画像PCの移動を停止させることができる。
【0065】
前述の
図7に示した状態では、ユーザは、ゲーム画面GSに対して長押し操作を継続している。つまり、プレイヤキャラクタ画像PCは、攻撃モードを維持したまま移動している。この状態で、ゲーム画面GS内に敵キャラクタ画像ECが現れると、前述した所定の条件(敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GS内に位置すること)が満たされる。したがって、サーバ200の制御部21は、自動的に、プレイヤキャラクタ画像PCに敵キャラクタ画像ECに対する攻撃動作を実行させる。この状態が
図8に示す状態である。
【0066】
以上のように、プレイヤキャラクタ画像PCが攻撃モード(すなわち、ユーザの長押し操作により準備動作を実行している状態)で移動している場合、ゲーム画面GS内に敵キャラクタ画像ECが存在しなければ、プレイヤキャラクタ画像PCは、攻撃動作を実行しない。これに対し、プレイヤキャラクタ画像PCが攻撃モードで移動している途中で、ゲーム画面GS内に敵キャラクタ画像ECが現れると、プレイヤキャラクタ画像PCは、自動的に敵キャラクタ画像ECに対して攻撃動作を実行する。
【0067】
[攻撃動作に関する処理の説明]
図9は、本発明の第1実施形態において攻撃動作に関する処理を説明するためのフローチャート図である。本実施形態では、
図9に示す各ステップの処理をサーバ200の制御部21が実行する例を示す。すなわち、制御部21が、記憶部22に記憶されたゲームプログラムを読み出して実行することにより、
図9に示す各処理が実現される。
【0068】
ゲームプログラムが実行されると、制御部21は、通信装置100の表示部13に表示されたゲーム画面GSの操作領域OAに対し、長押し操作がなされたか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、制御部21は、通信装置100から長押し操作による入力を示す信号(以下、「長押し操作信号」という)を受信したとき、長押し操作信号に含まれる接触点CPの座標情報が操作領域OAの内側にあれば、操作領域OAの内側で行われた長押し操作による入力を取得したと判定する。
【0069】
ステップS101の判定結果がNOの場合、制御部21による処理は、再びステップS101に戻る。ステップS101の判定結果がYESの場合、制御部21は、敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GS内に位置するか否かを判定する(ステップS102)。
【0070】
ステップS102の判定結果がYESの場合、制御部21は、攻撃動作をプレイヤキャラクタ画像PCに実行させるための指示データを、通信装置100に対して送信する(ステップS103)。通信装置100の制御部11は、受信した指示データに基づいてプレイヤキャラクタ画像PCの表示データを生成する。その後、制御部11は、例えば
図6に示すように、生成した表示データに基づいて、攻撃動作(シューティング動作)を実行するプレイヤキャラクタ画像PCを表示部13に表示する。なお、ステップS102の判定結果がYESの場合、攻撃動作のための指示データを送信する前に、準備動作のための指示データを送信してもよい。すなわち、敵キャラクタがゲーム画面GS内に位置する場合に、一旦プレイヤキャラクタ画像PCに準備動作を実行させ、その後、すぐに攻撃動作に移行させるように制御してもよい。
【0071】
ステップS102の判定結果がNOの場合、制御部21は、攻撃動作の準備動作をプレイヤキャラクタ画像PCに実行させるための指示データを、通信装置100に対して送信する(ステップS104)。通信装置100の制御部11は、受信した指示データに基づいてプレイヤキャラクタ画像PCの表示データを生成する。その後、制御部11は、例えば
図5に示すように、生成した表示データに基づいて、準備動作(シューティング態勢)のプレイヤキャラクタ画像PCを表示部13に表示する。
【0072】
ステップS103又はステップS104により攻撃動作又は準備動作のための送信データを送信した後、制御部21は、ゲーム画面GSに対し、スライド操作がなされたか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、制御部21は、通信装置100からスライド操作(具体的には、接触点CPの移動)による入力を示す信号(以下、「スライド操作信号」という)を受信したとき、スライド操作による入力を取得したと判定する。
【0073】
ステップS105の判定結果がYESの場合、制御部21は、プレイヤキャラクタ画像PCに移動動作を実行させるための指示データを、通信装置100に対して送信する(ステップS106)。通信装置100の制御部11は、受信した指示データに基づいて、例えば
図7に示すように、スライド操作が示す方向に向かって移動する動作を行うプレイヤキャラクタ画像PCを表示部13に表示する。ステップS105の判定結果がNOの場合、制御部21は、ステップS106を経由せずにステップS107に進む。
【0074】
次に、制御部21は、長押し操作が解除されたか否かを判定する(ステップS107)。具体的には、制御部21は、通信装置100から長押し操作が解除されたことを示す信号(以下、「長押し解除信号」という)を受信したとき、長押し操作の解除による入力を取得したと判定する。
【0075】
ステップS107の判定結果がYESの場合、制御部21は、プレイヤキャラクタ画像PCを通常姿勢に戻すための指示データを、通信装置100に対して送信する(ステップS108)。通信装置100の制御部11は、受信した指示データに基づいて、例えば
図4に示すように、プレイヤキャラクタ画像PCのシューティング態勢を解除する。つまり、プレイヤキャラクタ画像PCは、銃を構えていない通常姿勢に戻る。ステップS107の判定結果がNOの場合、制御部21による処理は、再びステップS102に戻る。
【0076】
以上説明したように、本実施形態では、敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GS内に位置する場合、ユーザの長押し操作に応じて、プレイヤキャラクタ画像PCは、敵キャラクタ画像ECに対して攻撃動作を実行する。しかしながら、敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GS内に位置しない場合、プレイヤキャラクタ画像PCは、準備動作を実行する(すなわち、攻撃モードに移行する)だけであり、攻撃動作を実行しない。
【0077】
また、プレイヤキャラクタ画像PCが準備動作を実行している状態でゲーム画面GS内に敵キャラクタ画像ECが現れると、プレイヤキャラクタ画像PCは、自動的に敵キャラクタ画像ECに対して攻撃動作を実行する。逆に、プレイヤキャラクタ画像PCが攻撃動作を実行している状態でゲーム画面GS内から敵キャラクタ画像ECが消えると、プレイヤキャラクタ画像PCは、自動的に攻撃動作を解除する。
【0078】
以上のように、本実施形態では、ユーザの長押し操作によりプレイヤキャラクタ画像PCが攻撃態勢になったとしても、敵キャラクタ画像ECが所定の条件(本実施形態では、敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GS内に位置すること)を満たさない場合は、プレイヤキャラクタ画像PCによる攻撃動作が実行されない。逆に言えば、プレイヤキャラクタ画像PCは、敵キャラクタ画像ECが所定の条件を満たした場合に限り、敵キャラクタ画像ECに対して攻撃動作を実行する。すなわち、本実施形態によれば、プレイヤキャラクタの攻撃態勢を維持させつつ、不要な攻撃動作の実行を防ぐことができる。
【0079】
(変形例1)
本実施形態では、敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GS内に位置するか否かに応じて攻撃動作の可否を決定する例を示したが、この例に限られるものではない。ゲーム画面GS(すなわち、仮想カメラの撮像範囲全体)は、プレイヤキャラクタ画像PCの攻撃領域の一例であって、攻撃領域の形状又はサイズは、任意に設定することができる。本実施形態において、「攻撃領域」とは、プレイヤキャラクタ画像PCが攻撃動作を実行する範囲を示す領域である。つまり、本実施形態では、敵キャラクタ画像ECが攻撃領域の内側に位置する場合に、プレイヤキャラクタ画像PCが攻撃動作を実行する。例えば、攻撃領域として、ゲーム画面GS内に所定の半径を有する円形領域、又は、円形領域の一部の領域を設定することも可能である。
【0080】
(変形例2)
本実施形態では、サーバ200の制御部21がゲームプログラムを実行することによりゲーム画面GSを通信装置100の表示部13に表示している。したがって、通信装置100とサーバ200との通信状態が不安定であると、ゲームをリアルタイムに進行させることが困難となる場合がある。
【0081】
例えば、準備動作の実行中にゲーム画面GSに敵キャラクタ画像ECが現れた場合、プレイヤキャラクタ画像PCは自動的に攻撃動作を実行する。このとき、通信状態が不安定であると、通信にタイムラグが生じ、敵キャラクタ画像ECの動きに対してプレイヤキャラクタ画像PCの攻撃が追いつかなくなる場合がある。
【0082】
このような場合、敵キャラクタ画像EC又は攻撃媒体の衝突検知領域を通常よりも大きく設定してもよい。「衝突検知領域」とは、オブジェクト同士が画面上で重畳したことを検知する範囲に対応する領域である。通常、衝突検知領域は、オブジェクトの占有領域(外形の内側の領域)に略等しい。すなわち、敵キャラクタ画像EC及び攻撃媒体には、それぞれ自身の占有領域に略等しいサイズの衝突検知領域が設定されており、両者が重畳すると衝突(当たったこと)を検知する。つまり、敵キャラクタ画像EC又は攻撃媒体の衝突検知領域を通常よりも大きく設定することにより、敵キャラクタ画像ECに対して攻撃媒体が当たっていなくても、当たったとみなしてゲームを進行させることができる。
【0083】
このように、敵キャラクタ画像EC又は攻撃媒体の衝突検知領域を通常よりも大きく設定することにより、通信状態が不安定になって通信にタイムラグが生じた場合であっても、敵キャラクタ画像ECの動きに対してプレイヤキャラクタ画像PCの攻撃が追いつかなくなるという不具合を抑制することができる。例えば、攻撃媒体に対する敵キャラクタ画像ECの衝突検知領域は、前記敵キャラクタ画像ECの占有領域よりも大きくてもよい。
【0084】
また、上述した衝突検知領域の設定は、通信状態に応じて変更してもよい。例えば、通常の通信状態(第1通信状態)では、敵キャラクタ画像EC又は攻撃媒体の衝突検知領域をそれぞれの占有領域と略等しくしておく。これに対し、通常よりも通信速度が低い通信状態(第2通信状態)では、敵キャラクタ画像EC又は攻撃媒体の衝突検知領域をそれぞれの占有領域よりも大きく設定しておいてもよい。
【0085】
以上のように、通信状態に応じて適切な衝突検知領域を設定することにより、通信状態が不安定な環境下であっても、ストレスを感じることなくゲームを楽しむことができる。
【0086】
(変形例3)
本実施形態では、プレイヤキャラクタ画像PCが攻撃動作を実行している状態でゲーム画面GS内から敵キャラクタ画像ECが消えると、プレイヤキャラクタ画像PCが自動的に攻撃動作を解除する例を示したが、この例に限られるものではない。例えば、プレイヤキャラクタ画像PCは、自動的に敵キャラクタ画像ECを追尾するように制御されてもよい。具体的には、敵キャラクタ画像ECが横方向に移動した場合、プレイヤキャラクタ画像PCの向きは、敵キャラクタ画像ECの移動方向に合わせて変更されてもよい。
【0087】
本変形例によれば、敵キャラクタ画像ECの移動に合わせて仮想カメラの撮像方向が変更されるため、敵キャラクタ画像ECを継続的に仮想カメラの撮像範囲内(つまり、ゲーム画面GS内)に収めることができる。したがって、プレイヤキャラクタ画像PCは、敵キャラクタ画像ECを追尾しながら攻撃動作を継続することができる。仮想カメラの撮像範囲は、敵キャラクタ画像ECが常にゲーム画面GSのほぼ中央に位置するように変更されてもよい。また、仮想カメラの撮像範囲は、敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GSの外に出た場合に、再び敵キャラクタ画像ECをゲーム画面GS内に収めるように変更されてもよい。
【0088】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態とは異なる条件で攻撃動作の可否を決定する例について説明する。具体的には、敵キャラクタ画像ECがプレイヤキャラクタ画像PCから所定の距離以内に位置する場合に、攻撃動作が実行される例を示す。なお、本実施形態の説明に用いる図面において、第1実施形態と同じ要素については同じ符号を用いて説明を省略する。
【0089】
図10は、本発明の第2実施形態におけるゲーム画面GSにおいて長押し操作が行われた状態を示す図である。
図10において、プレイヤキャラクタ画像PCは、銃を構えたシューティング態勢で敵キャラクタ画像ECと対面している。このとき、仮想空間内において、プレイヤキャラクタ画像PCと敵キャラクタ画像ECとは、所定の距離(例えば、20m)を超えて離間している。具体的には、
図10では、プレイヤキャラクタ画像PCは、敵キャラクタ画像ECから25m離れた位置に立っているものとする。
【0090】
図10に示すように、本実施形態では、敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GS内に位置しているにもかかわらず、プレイヤキャラクタ画像PCは、敵キャラクタ画像ECに対して攻撃動作を実行しない。代わりに、本実施形態では、プレイヤキャラクタ画像PCが敵キャラクタ画像ECを攻撃できない要因が存在することを示す情報25が表示される。
図10に示す例では、敵キャラクタ画像ECに対して距離が遠すぎることを示す情報25として、「あと5m!」というメッセージが表示されている。
【0091】
敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GS内に存在するにもかかわらず、プレイヤキャラクタ画像PCが攻撃動作を実行しない場合、ユーザは、何が原因であるのか理解することができない。これに対し、本実施形態では、情報25を表示することにより、敵キャラクタ画像ECを攻撃できない要因が存在すること(例えば、敵キャラクタ画像ECを攻撃できない理由)をユーザに対して報知することができる。
【0092】
以上のように、本実施形態では、敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GS内に位置していたとしても、プレイヤキャラクタ画像PCが敵キャラクタ画像ECから遠い場合には、攻撃動作が実行されない。具体的には、本実施形態では、プレイヤキャラクタ画像PCが敵キャラクタ画像ECから20mを越えて離間している場合には、プレイヤキャラクタ画像PCは、敵キャラクタ画像ECを攻撃しない。すなわち、敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GS内に位置するという条件(第1条件)を満たした場合であっても、プレイヤキャラクタ画像PCが敵キャラクタ画像ECから20mを越えて離間しているという条件(第2条件)を満たした場合、攻撃動作を実行させることなくプレイヤキャラクタ画像PCに準備動作を実行させる。
【0093】
他方、プレイヤキャラクタ画像PCが敵キャラクタ画像ECから20m以内の範囲に位置する場合には、プレイヤキャラクタ画像PCは、敵キャラクタ画像ECに対して攻撃動作を実行する。前述のとおり、
図10では、プレイヤキャラクタ画像PCが敵キャラクタ画像ECから25m離れているため、あと5m近づけば攻撃可能になることを示すメッセージが表示されている。したがって、プレイヤキャラクタ画像PCを移動させてプレイヤキャラクタ画像PCと敵キャラクタ画像ECとの間の距離を20m以下に縮めると、プレイヤキャラクタ画像PCの動作は、準備動作から攻撃動作に移行する。
【0094】
逆に、敵キャラクタ画像ECが移動することによりプレイヤキャラクタ画像PCと敵キャラクタ画像ECとの間の距離が再び20mを越えた場合(第2条件を満たした場合)、プレイヤキャラクタ画像PCの動作は、攻撃動作から準備動作に移行する。この場合、ゲーム画面GSには、再び、敵キャラクタ画像ECに対してプレイヤキャラクタ画像PCの位置が遠すぎることを示す情報25が表示される。
【0095】
以上説明したように、本実施形態では、敵キャラクタ画像ECがプレイヤキャラクタ画像PCの攻撃領域の内側に位置する場合(第1条件を満たした場合)であっても、プレイヤキャラクタ画像PCが敵キャラクタ画像ECを攻撃できない要因が存在する場合(第2条件を満たした場合)には、ユーザが長押し操作を行ってもプレイヤキャラクタ画像PCに攻撃動作を実行させない。この場合、ユーザの長押し操作に対応して、プレイヤキャラクタ画像PCは、攻撃動作の準備動作を実行する。さらに、本実施形態では、プレイヤキャラクタ画像PCが敵キャラクタ画像ECを攻撃できない要因が存在することを示す情報25が表示される。
【0096】
なお、本実施形態では、プレイヤキャラクタ画像PCが敵キャラクタ画像ECを攻撃できない要因として、仮想空間内において、プレイヤキャラクタ画像PCと敵キャラクタ画像ECとが、所定の距離を超えて離間していることを例示した。しかしながら、上記要因は、この例に限られるものではない。例えば、上記要因として、武器に充填された攻撃媒体の量が所定量以下となった場合、プレイヤキャラクタ画像PCと敵キャラクタ画像ECとの間に攻撃できない対象(例えば、仲間、障害物等)が存在する場合、敵キャラクタ画像ECが攻撃を受け付けないアイテムを所持していたりスキルを発動していたりする場合、又は、通信装置100とサーバ200との間の通信状態が不安定になった場合などがあり得る。
【0097】
また、本実施形態では、プレイヤキャラクタ画像PCが敵キャラクタ画像ECを攻撃できない要因が存在することを示す情報25としメッセージを表示する例を示した。しかしながら、情報25は、この例に限られるものではなく、記号、図形、絵、又は色などを用いて上記要因の存在をユーザに報知してもよい。さらに、通信装置100の報知部20の機能(具体的には、バイブレータ機能)を利用して筐体を振動させたり、音入出力部19の機能(具体的には、スピーカ機能)を利用して音を出力したりすることにより上記要因の存在をユーザに報知してもよい。
【0098】
<第3実施形態>
本実施形態では、長押し操作による入力が開始された位置を識別できるようにした例について説明する。なお、本実施形態の説明に用いる図面において、第1実施形態と同じ要素については同じ符号を用いて説明を省略する。
【0099】
図11は、本発明の第3実施形態におけるゲーム画面GSにおいて長押し操作を維持したままスライド操作が行われている状態を示す図である。本実施形態では、ユーザによる長押し操作が開始された接触点CPの位置に対して識別画像30を表示する。識別画像30は、例えば、接触点CPを囲む輪を表現する画像であってもよいし、接触点CPに相当する領域を背景画像BGと区別できるような色で着色した画像であってもよい。識別画像30を表示することにより、ユーザは、スライド操作を行って接触点CPの位置が変化しても、長押し操作による入力がどの位置になされたのかを直感的に認識することができる。
【0100】
図12は、本発明の第3実施形態におけるゲーム画面GSにおいて長押し操作を維持したままプレイヤキャラクタ画像PCの移動を停止した状態を示す図である。
図8に示す動作をプレイヤキャラクタ画像PCに実行させるためには、ユーザは、接触点CP’から長押し操作の開始位置まで指をスライドさせる必要がある。この場合、本実施形態では、長押し操作が開始された位置に識別画像30が表示されているため、ユーザは、容易に指を元の位置に戻すことができる。
【0101】
以上のように、本実施形態によれば、スライド操作後に、ユーザの指をスライド操作前の位置に戻すことが容易となる。これにより、スライド操作を含むタッチ操作を用いてプレイヤキャラクタを操作するゲームにおいて、操作性を向上させることができる。
【0102】
<第4実施形態>
本実施形態では、第1実施形態とは異なる条件で攻撃動作の可否を決定する例について説明する。具体的には、敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GSに表示された照準領域に重畳する場合に、攻撃動作が実行される例を示す。なお、本実施形態の説明に用いる図面において、第1実施形態と同じ要素については同じ符号を用いて説明を省略する。
【0103】
図13は、本発明の第4実施形態におけるゲーム画面GSにおいて長押し操作が行われた状態を示す図である。本実施形態では、長押し操作に応じてプレイヤキャラクタ画像PCが準備動作に移行すると、ゲーム画面GSが、
図4などに示した俯瞰画面(プレイヤキャラクタ画像PCの背後から見た状況を表現する画面)からスコープ画面(銃のスコープを覗いたような状況を表現する画面)に変化する。
図13に示すように、スコープ画面の中央付近には、照準領域SR(銃の照準を合わせた領域)が表示される。スコープ画面の下部には、プレイヤキャラクタが構えた銃35が表示されている。ただし、スコープ画面になれば、ユーザは、プレイヤキャラクタ画像PCが銃を構えたことを直感的に認識できるため、銃35の表示は省略してもよい。
【0104】
図13に示す状態では、接触点CPにおいて長押し操作が行われているため、プレイヤキャラクタは、攻撃モードに移行している。ゲーム画面GS(
図13では、スコープ画面)には、敵キャラクタ画像ECが表示されているが、照準領域SRと敵キャラクタ画像ECとが重畳していない。そのため、プレイヤキャラクタは、敵キャラクタ画像ECに対して攻撃動作を実行しない。すなわち、本実施形態では、敵キャラクタ画像ECがゲーム画面GSに表示された照準領域に重畳することが、プレイヤキャラクタが準備動作から攻撃動作に移行するための条件となっている。
【0105】
図14は、本発明の第3実施形態におけるゲーム画面GSにおいて照準領域SRを敵キャラクタ画像ECに重畳させた状態を示す図である。スコープ画面では、長押し操作を維持したままスライド操作を行うと、スコープ画面の内容(具体的には、後述する照準領域SRの仮想空間内における位置)が変化する。つまり、本実施形態では、プレイヤキャラクタが準備動作を実行している状態でユーザがスライド操作を行うことにより、照準領域SRを任意の方向に移動させることができる。
【0106】
図14では、長押し操作を開始した接触点CPから接触点CP’へスライド操作を行うことにより、照準領域SRを、
図13に示した位置から敵キャラクタ画像ECの位置まで移動させた後の状態を示している。このように、長押し操作を維持したままスライド操作を行い、照準領域SRを敵キャラクタ画像ECに重畳させると、プレイヤキャラクタは、自動的に攻撃動作を実行する。
【0107】
本実施形態によれば、長押し操作によりプレイヤキャラクタが攻撃動作の準備動作に移行するとゲーム画面GSがスコープ画面に移行するため、ユーザが直感的に準備動作への移行を認識することができる。また、ゲーム画面GSがスコープ画面に変化することにより、ゲームの臨場感が向上し、ユーザのゲーム世界への没入感を高めることができる。
【0108】
<第5実施形態>
第1実施形態から第4実施形態では、ゲーム処理において、操作対象のオブジェクトが実行する動作の処理をサーバ200が行う例について説明した。しかしながら、この例に限られず、オブジェクトの動作を実行する処理は、通信装置100の制御部11が実行してもよい。この場合、ユーザによる操作入力の取得と操作対象のオブジェクトが実行する動作の実行とを通信装置100の制御部11が担い、それ以外の他のユーザとの同期処理等をサーバ200が担う構成とすればよい。
【0109】
また、他の例として、オブジェクトが実行する動作の実行処理を通信装置100およびサーバ200の間の分散処理として実行することも可能である。
【0110】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は前述の各実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、各実施形態(変形例を含む)を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、前述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0111】
前述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0112】
100…通信装置、11…制御部、12…記憶部、13…表示部、14…操作部、15…センサ部、16…撮像部、17…位置検出部、18…通信部、19…音入出力部、20…報知部、200…サーバ、21…制御部、22…記憶部、23…通信部、25…情報、30…識別画像、銃…35、1000…通信システム、NW…ネットワーク、GS…ゲーム画面、BG…背景画像、PC…プレイヤキャラクタ画像、EC…敵キャラクタ画像、OA…操作領域、CP、CP’…接触点