(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059663
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】シート固定具
(51)【国際特許分類】
A01M 21/00 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
A01M21/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167383
(22)【出願日】2020-10-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】399001738
【氏名又は名称】有限会社ミネ
(74)【代理人】
【識別番号】100134050
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 博孝
(72)【発明者】
【氏名】峰村 良道
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121BB28
2B121BB35
2B121EA25
2B121FA01
2B121FA02
(57)【要約】
【課題】
ピンと押えプレートとを組み付けた状態でも嵩高となり難く、パッケージング作業も容易であり、更に使用するユーザーの作業性も高めることができるシート固定具を提供する。
【解決手段】
ピン120と押えプレート100を有してなるシート固定具10であって、押えプレート100を一方面から見ると、使用時にピン120を差し込む差込穴104から外縁部に至るまでスリット106が形成され、押えプレート100の他方面には、他方面側にのみ突出して且つスリット106の両側を架設するように桁部108が設けられ、更に当該桁部108は、差込穴104には形成されていない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防草シート等のシートを地面に固定するために使用され、ピンと押えプレートを有してなるシート固定具であって、
前記押えプレートを一方面から見ると、使用時に前記ピンを差し込む差込穴から外縁部に至るまで少なくとも1のスリットが形成され、
前記押えプレートの他方面には、当該他方面側にのみ突出して且つ前記スリットの両側を架設するように桁部が設けられ、
更に当該桁部は、前記差込穴には形成されていない
ことを特徴とするシート固定具。
【請求項2】
請求項1において、
前記桁部の高さは、前記押えプレートの他方面側の表面を基準として前記ピンの直径よりも大きくなるように構成される
ことを特徴とするシート固定具。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記スリットを略並行して2つ設けると共に、外縁部に向かって僅かに両スリットの間隔が広がるように形成し、
前記ピンは、1本の部材を折り曲げて「略U字形」乃至は「略コ字形」に形成して1の部材で2本分のピンとして機能するよう構成され、
前記ピンは、ピン先端に向かうほどピンの間隔が広がるように構成されており、且つ、自由状態における当該ピンの広がりの角度は、前記スリットの広がりの角度よりも大とされている
ことを特徴とするシート固定具。
【請求項4】
請求項1~4に記載のシート固定具のパッケージング方法であって、
前記差込穴に前記ピンを差し込んで、且つ、前記ピンを前記スリットに嵌合させた状態でパッケージ内に封入する
ことを特徴とするシート固定具のパッケージング方法。
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【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面に生える雑草の成長を防止する防草シートを地面に固定するためのシート固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、防草シートを地面に固定するためのシート固定具には様々な種類のものが存在する。
【0003】
例えば特許文献1に記載されるように、防草マットに設けられた穴に「ピン」を直接打ち込んで固定するものが一般的である。
【0004】
更に、特許文献1のように直接ピンのみで固定するよりも、非特許文献1で開示されているような「押えプレート」を併用する方がピン周りをより広範囲に押えることが可能となるため、ピン単体ではなく、押えプレートとセットで利用される場合も多く、両者がセットになって販売されている実情もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】楽天市場「防草シート ピン」の検索結果のページ https://search.rakuten.co.jp/search/mall/%E9%98%B2%E8%8D%89%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%88+%E3%83%94%E3%83%B3/100012/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ピンと押えプレートをセット販売する場合、パッケージングに色々な問題が生じていた。
【0008】
具体的には、ピンと押えプレートを別々に(組み付けずに)パッケージングすると、使用時にユーザーが1つ1つ組み付ける必要があり、特に大量のシート固定具が必要な場合は作業効率が悪化したり、組み付け時にピン先端で怪我をする場合もあった。
【0009】
一方で、ピンと押えプレートを組み付けた状態(押えプレートにピンを差し込んだ状態)でパッケージングしようとすると、非常に嵩張ってしまい、配送、陳列、保管等の様々な面で問題が生じてしまう。
【0010】
そこで本発明は、こういった問題点を解決するべくなされたものであって、予めピンと押えプレートとを組み付けた状態でも嵩高となり難く、パッケージング作業も容易であり、更に使用するユーザーの作業性も高めることができるシート固定具を提供する事をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するべく、本願発明は、防草シート等のシートを地面に固定するために使用され、ピンと押えプレートを有してなるシート固定具であって、前記押えプレートを一方面から見ると、使用時に前記ピンを差し込む差込穴から外縁部に至るまで少なくとも1のスリットが形成され、前記押えプレートの他方面には、当該他方面側にのみ突出して且つ前記スリットの両側を架設するように桁部が設けられ、更に当該桁部は、前記差込穴には形成されていないことを特徴とする。
【0012】
このような構成を採用したことによって、前記差込穴に前記ピンを差し込んだままピンをスリットに嵌合させるように倒すことが可能となり、その結果として嵩高になること無くパッケージ内に封入することが可能となった。加えて、桁部は押えプレートの他方面側(平面側)にのみ突出しており一方面側(底面側)には突出していないので、シートを押える面の一部が突起していない。仮に、押えプレートのシートを押える側の面(底面)に突起があると、その突起によって押えプレートとシートとの間に隙間が生じやすく、当該隙間に風が当たってシート固定具の浮き上がりを誘発することになり望ましくない。この点本発明では、押えプレートの一方面側(底面側)には桁部が突出していないため、このような不具合を未然に防止することが可能となっている。
【0013】
また、前記桁部の高さは、前記押えプレートの他方面側の表面を基準として前記ピンの直径よりも大きくなるように構成されることを特徴とする。
【0014】
このような構成を採用したことによって、ピンを倒した際に、ピンがスリット内に完全に入り込み、嵩高となることを防止している。
【0015】
また、前記スリットを略並行して2つ設けると共に、外縁部に向かって僅かに両スリットの間隔が広がるように形成し、前記ピンは、1本の部材を折り曲げて「略U字形」乃至は「略コ字形」に形成して1の部材で2本分のピンとして機能するよう構成され、前記ピンは、ピン先端に向かうほどピンの間隔が広がるように構成されており、且つ、自由状態における当該ピンの広がりの角度は、前記スリットの広がりの角度よりも大とされていることを特徴とする。
【0016】
このような構成を採用したことによって、ピンが広がろうとする力を利用して、パッケージング時にピンと押えプレートとを固定することが可能となっている。即ち、ピンを保持する保持爪のような構造を設ける必要がない。
【発明の効果】
【0017】
本発明を適用することで、予めピンと押えプレートとを組み付けた状態でも嵩高となり難く、パッケージング作業も容易であり、更に使用するユーザーの作業性も高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態の一例である押えプレートの概略構成図であって、(a)が平面(上面)図、(b)が底面(下面)図である。
【
図2】本発明の実施形態の一例である押えプレートの概略構成斜視図であって、(a)が平面側斜視図、(b)が底面側斜視図である。
【
図3】押えプレートとピンとを組み付けた状態(パッケージング状態)を示した図であって、(a)が正面図、(b)が背面図である。
【
図4】押えプレートとピンとを組み付けた状態(パッケージング状態)の側面図である。
【
図5】押えプレートとピンとを組み付けたまま、ピンを引き起こした状態を示した図である。
【
図7】本発明の実施形態の第2実施例である押えプレートの概略構成図であって、(a)が平面(上面)図、(b)が底面(下面)図である。
【
図8】本発明の実施形態の第2実施例である押えプレートの平面側斜視図である。
【
図9】第2実施例に係る押えプレートとピンとを組み付ける前の状態を示した図である。
【
図10】第2実施例に係る押えプレートとピンとを組み付けた状態(パッケージング状態)のを示した図であって、(a)が正面図、(b)が背面図である。
【
図11】第2実施例に係る押えプレートとピンとを組み付けた状態(パッケージング状態)の側面図である。
【
図12】第2実施例に係る押えプレートとピンとを組み付けたまま、ピンを引き起こした状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例であるシート固定具10について説明を加える。なお、図面理解容易の為、各部の大きさや寸法を誇張して表現している部分があり、実際の製品と必ずしも一致しない部分があることを付記しておく。また各図面は符号の向きに見るものとし、当該向きを基本に上下左右、手前、奥と表現する。
【0020】
〈シート固定具の構成〉
本発明の実施形態の一例として示すシート固定具10は、押えプレート100とピン120とを有してなる。
【0021】
ピン120は、金属製とされ、頭部を有する釘形状に構成される(
図3参照)。なお、必ずしも金属製でなくともよく樹脂などで構成されていてもよい。
【0022】
本実施形態における押えプレート100は、
図1~
図2に示しているように、直径6cm程度の略円盤形状に樹脂により成形されている。円形の基台部102の中央には、ピン120を差し込むための差込穴104が形成されている。基台部102の一方面102b側(底面側)には、当該差込穴104から基台部102の外周縁(外縁部)に至るようにスリット106が形成されている。このスリット106の幅は、少なくともピン120が入り込むことが可能な幅とされている。
【0023】
一方、基台部102の他方面102a側(平面側)には、当該他方面102a側にのみ突出して且つ前記スリット106の両側を架設するように桁部108が設けられている。なお、当該桁部108は、差込穴104の部分には形成されていない。その結果、差込穴104部分を除くスリット106の上部に、恰も「トンネル様の構造」が形成されている。なお、符号109は、ピン120を保持することが可能な保持爪である。
【0024】
また、
図2(a)に示しているように、桁部108の高さH1は、基台部102の他方面102a側の表面を基準としてピン120の直径よりも大きくなるように構成される
【0025】
〈シート固定具の作用・機能〉
シート固定具10は、
図3で示しているように、押えプレート100の差込穴104にピン120を差し込んだ状態からピン120の先端側(差込穴104から下の部分)がスリット106に嵌まる方向に倒し、ピン120の頭部側を保持爪109に保持させる。これにより、押えプレート100の基台部102とピン120が並行に並ぶような位置関係となり、ピン120の半径方向への嵩高さを大きく軽減することが可能となる。この状態でパッケージングを行う。
【0026】
購入したユーザーが使用する場合は、パッケージから組み付けられた状態のシート固定具10を取り出し、
図4に示しているように押えプレート100に対してピン120を起こして
図5のような状態とした上で、ハンマー等で頭部を叩いて防草シートの上から地面に打ち込で使用する。
図6は、シート固定具10が打ち込まれた状態の一例を示している。
【0027】
上記構成で説明した通り、シート固定具10は、押えプレート100を一方面102bから見ると、使用時にピン120を差し込む差込穴104から外縁部に至るまで少なくとも1のスリット106が形成され、押えプレート100の他方面102aには、他方面側にのみ突出して且つスリット106の両側を架設するように桁部108が設けられ、更に当該桁部108は、差込穴104には形成されていないことを特徴としていた。
【0028】
このような構成を採用したことによって、差込穴104にピン120を差し込んだままピン120をスリット106に嵌合させるように倒すことが可能となり、その結果として嵩高になること無くパッケージ内に封入することが可能となるのである。加えて、桁部108は押えプレート100の他方面102a側(平面側)にのみ突出しており一方面102b側(底面側)には突出していないので、シートを押える面の一部が突起していない。仮に、押えプレート100のシートを押える側の面(底面)に突起があると、その突起によって押えプレート100とシートとの間に隙間が生じやすく、当該隙間に風が当たってシート固定具10の浮き上がりを誘発することになり望ましくない。この点本発明では、押えプレート100の一方面102b側(底面側)には桁部108が突出していないため、このような不具合を未然に防止することが可能となっている。
【0029】
また、桁部108の高さは、押えプレート100の他方面102a側の表面を基準としてピン120の直径よりも大きくなるように構成されていた。
【0030】
このような構成を採用したことによって、ピン120を倒した際に、ピン120がスリット106内に完全に入り込み、パッケージ状態において嵩高となることを防止している。
【0031】
〈第2実施例〉
次に、
図7~
図12を参照しつつ、第2実施例のシート固定具20について説明する。
【0032】
第2実施例としてのシート固定具20を一言で説明すると、スリットが2本となり、それに合わせてピンも事実上2本に構成された点が特徴である。なお、既に説明したシート固定具10と同一又は類似する部分については、数字下2桁が共通する符号を付するに止め、重複説明は省略する。
【0033】
シート固定具20では、スリットが略並行して2つ(206a、206b)設けられ、それに合わせて桁部も2つ(208a、208b)備わっている(
図7及び
図8を参照)。なおこの2つのスリット206a、206bは、厳密には並行ではなく、基台部202bの外縁部(外周縁)に向かって僅かに両スリットの間隔が広がっている。
図7を前提にすると、僅かに「ハの字」となるように構成されている。
【0034】
一方、
図9に示しているように、ピン220は、1本の部材を折り曲げて「略U字形」に形成して1の部材で2本分のピン(220a、220b)として機能するよう構成される。2つのピン220a、220bは並行ではなく、ピン先端に向かうほどピンの間隔が広がるように構成されている。更に、自由状態における2本のピン220a、220bの広がりの角度θ2は、2つのスリット208a、208bの広がりの角度θ1よりも大きくなるように構成されている。なお、図示したピン220は「略U字形」に折り曲げられているがこれに限らず、例えば「略コ字形」に折り曲げて形成されていてもよい。
【0035】
なお、符号210は、ピン220と押えプレート200を組み付ける際に、ピン220を位置決めするための突起である。
【0036】
このような構成を採用したことによって、2本のピン220a、220dが広がろうとする力を利用して、パッケージング時にピン220と押えプレート200とを固定することが可能となっている。即ち、固定具10には存在したような「ピン220の頭部を保持する保持爪109」のような構造を設けなくとも、2本のピン220a、220dが広がろうとする力によってピンが2本の桁部208a、208b乃至はスリット206aに押圧され、この力によってピン220と押えプレート200が固定されるのである(
図10参照)。
【0037】
なお、パッケージから取り出してピン220を引き起こし(
図11参照)、引き起こした状態で防草シート等の上から地面に打ち込んで行く行程(
図12参照)は、上述したシート固定具10と同様である。
【符号の説明】
【0038】
10・・・シート固定具
100・・・押えプレート
102・・・基台部
104・・・差込穴
106・・・スリット
108・・・桁部
109・・・保持爪
120・・・ピン
【手続補正書】
【提出日】2021-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防草シート等のシートを地面に固定するために使用され、ピンと押えプレートを有してなるシート固定具であって、
前記押えプレートを一方面から見ると、使用時に前記ピンを差し込む差込穴から外縁部に至るまで少なくとも1のスリットが形成され、
前記押えプレートの他方面には、当該他方面側にのみ突出して且つ前記スリットの両側を架設するように桁部が設けられ、
更に当該桁部は、前記差込穴には形成されておらず、且つ、前記桁部の高さは、前記押えプレートの他方面側の表面を基準として前記ピンの直径よりも大きくなるように構成され、
前記スリットを略並行して2つ設けると共に、外縁部に向かって僅かに両スリットの間隔が広がるように形成し、
前記ピンは、1本の部材を折り曲げて「略U字形」乃至は「略コ字形」に形成して1の部材で2本分のピンとして機能するよう構成され、
前記ピンは、ピン先端に向かうほどピンの間隔が広がるように構成されており、且つ、自由状態における当該ピンの広がりの角度は、前記スリットの広がりの角度よりも大とされ、
前記押えプレートと前記ピンとを組み付ける際に当該ピンを位置決めするための手段として、前記2つのスリット同士を繋ぐ溝を形成することなく前記押えプレートの外縁から前記ピンの太さ程度中心側にオフセットされた位置且つ前記押えプレートの他方面側にのみ突出する突起を設けた
ことを特徴とするシート固定具。