特開 2022-59673 マスク支持具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022059673

(43)【公開日】2022-04-14

(54)【発明の名称】マスク支持具

(51)【国際特許分類】

   A41D 13/11 20060101AFI20220407BHJP

   A62B 18/08 20060101ALI20220407BHJP

【ＦＩ】

A41D13/11 Z

A62B18/08 D

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2020167403

(22)【出願日】2020-10-02

(71)【出願人】

【識別番号】506429259

【氏名又は名称】株式会社コスモ精機

(74)【代理人】

【識別番号】100121773

【弁理士】

【氏名又は名称】相原 正

(72)【発明者】

【氏名】松原 弘明

(72)【発明者】

【氏名】松原 正幸

【テーマコード（参考）】

2E185

【Ｆターム（参考）】

2E185AA07

2E185CC36

(57)【要約】

【課題】顔面への装着負担を大きく低減することのできるマスク支持具を提供する。
【解決手段】マスク支持具１は、口元を覆うマスク５の内側に設置され、マスク装着時の内部空間を確保するマスク支持具１において、上辺１１、左辺１２、右辺１３及び下辺１４を有する外縁フレーム１０と、外縁フレーム１０の内側に設置され、外縁フレーム１０の所定の場所を連結して補強する内側フレーム３０と、を備え、外縁フレーム１０を構成する上辺１１、左辺１２、右辺１３及び下辺１４は、真ん中部分が正面側に突出する湾曲形状であり、外縁フレーム１０の四隅は、顔面側に突出し、装着者の顔面に接触する接触凸部１５である。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

口元を覆うマスクの内側に設置され、前記マスク装着時の内部空間を確保するマスク支持具において、
上辺、左辺、右辺及び下辺を有する外縁フレームと、
前記外縁フレームの内側に設置され、前記外縁フレームの所定の場所を連結して補強する内側フレームと、を備え、
前記外縁フレームを構成する前記上辺、前記左辺、前記右辺及び前記下辺は、真ん中部分が正面側に突出する湾曲形状であり、前記外縁フレームの四隅は、顔面側に突出し、装着者の顔面に接触する接触凸部であることを特徴とするマスク支持具。

【請求項2】

前記外縁フレームの前記上辺、前記左辺、前記右辺及び前記下辺は、細帯形状であり、外側の縁が正面側に折り返され、顔面側が滑らかな曲面に形成されていることを特徴とする請求項１記載のマスク支持具。

【請求項3】

前記上辺及び前記下辺は、前記左辺及び前記右辺よりも正面側に突出するように湾曲していることを特徴とする請求項１又は２記載のマスク支持具。

【請求項4】

前記内側フレームは、前記上辺と前記下辺とを連結する縦辺と、前記左辺及び前記右辺を連結する横辺と、を有する十字フレームであり、前記縦辺は略直線状であり、前記横辺は真ん中部分が正面側に突出する湾曲形状であることを特徴とする請求項３記載のマスク支持具。

【請求項5】

前記縦辺は、正面側表面に形成された正面側に突出する正面凸条を備えることを特徴とする請求項４記載のマスク支持具。

【請求項6】

全体として縦方向に延在する略半円筒形状であることを特徴とする請求項４又は５記載のマスク支持具。

【請求項7】

前記接触凸部の接触面が梨子地であることを特徴とする請求項１乃至６何れか１項記載のマスク支持具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、人体の口元を覆うマスクの内側を支持するマスク支持具に関する。

【背景技術】

【0002】

ウィルス対策、花粉症対策等のために、人体の口の周辺を覆うマスクが従来から多数提供されている。マスクとしては、平型、プリーツ型、立体型等のマスクが存在するが、マスクを着用すると、マスクにより口の周りが覆われるため、通気性が低下して息苦しくなったり、平型やプリーツ型等であれば、マスクが唇にまとわりつき、特に会話の際などに不快に感じたりすることも多い。

【0003】

下記特許文献１には、平面式マスクの内側において顔面に装着することで、マスクと口や鼻との間に空間を確保し、マスクが唇に触れることを防止することのできるマスク支持具が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】登録実用新案公報第３２２６９６９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかし、特許文献１に開示されたマスク支持具は、顔面にフィットする環状フレームと、環状フレームから外側に凸の略半球形状の支持フレームとから構成されており、装着時に環状フレーム全体が口周りに密着してしまう。

【0006】

このように、常時環状フレーム全体が顔面に密着すると、装着者の顔面が、環状フレームとの接触部分において、装着中に常に押し込まれるため、装着負担が大きく、汗ばんできたり、化粧が広い範囲で取れたりしてしまう。また、マスク支持具を外した後も、接触部分に環状フレームの跡が残ってしまう。

【0007】

本願発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、顔面への装着負担を大きく低減することのできるマスク支持具を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

上記課題を解決するための本発明に係るマスク支持具は、口元を覆うマスクの内側に設置され、前記マスク装着時の内部空間を確保するマスク支持具において、上辺、左辺、右辺及び下辺を有する外縁フレームと、前記外縁フレームの内側に設置され、前記外縁フレームの所定の場所を連結して補強する内側フレームと、を備え、前記外縁フレームを構成する前記上辺、前記左辺、前記右辺及び前記下辺は、真ん中部分が正面側に突出する湾曲形状であり、前記外縁フレームの四隅は、顔面側に突出し、装着者の顔面に接触する接触凸部であることを特徴とする。

【発明の効果】

【0009】

本発明に係るマスク支持具によれば、装着時に外縁フレームの接触凸部が顔面に接触して装着されるため、マスク支持具と肌との接触面積を低減し、マスク支持具の装着負担を大きく低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】図１は、本発明の実施形態に係るマスク支持具の斜視図である。

【図2】図２は、本発明の実施形態に係るマスク支持具の正面図である。

【図3】図３は、本発明の実施形態に係るマスク支持具の平面図である。

【図4】図４は、本発明の実施形態に係るマスク支持具の底面図である。

【図5】図５は、本発明の実施形態に係るマスク支持具の右側面図である。

【図6】図６は、図２のＡ－Ａ線断面図である。

【図7】図７は、図２のＢ－Ｂ線断面図である。

【図8】図８は、本発明の実施形態に係るマスク支持具の装着状態を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、口の周辺を覆う不織布製の衛生マスク５を装着する際に、衛生マスク５の内側に設置されて、装着時の衛生マスク５の内部空間を確保するマスク支持具１について説明する。

【0012】

マスク支持具１は、外縁フレーム１０と、外縁フレーム１０の内側に設置された十字フレーム３０とを備えた左右対称のフレーム構造である。外縁フレーム１０と十字フレーム３０とは、合成樹脂材料から射出成形により一体に形成されている。

【0013】

外縁フレーム１０は、図２に示す正面視において略正方形状であり、上辺１１と、左辺１２と、右辺１３と、下辺１４とを備えている。各辺１１，１２，１３，１４は、所定の厚さで延在する細帯形状である。この外縁フレーム１０は、装着者の口が外縁フレーム１０の略中央に位置するように顔面に対して装着される。

【0014】

外縁フレーム１０は、各辺１１，１２，１３，１４の真ん中部分が正面側（外側）に向けて突出するように湾曲しており、上辺１１は平面視においてその真ん中部分が正面側に突出（図３参照）、左辺１２及び右辺１３は側方視においてその真ん中部分が正面側に突出（図５参照）、下辺１４は底面視においてその真ん中部分が正面側に突出する（図４参照）ように湾曲している。

【0015】

上辺１１は、装着時に、鼻の周囲に位置し、その内側に鼻を収容するため、4辺の中で最も大きく正面側に突出しており、平面視において、略Ｕ字状に湾曲している。また、下辺１４は、装着時に口の下方で顎の部分に接触する部分であり、上辺１１に次いで2番目に大きく正面側に突出しており、底面視において略円弧状に湾曲している。左辺１２及び右辺１３は、側方視において略円弧状に湾曲しており、その円弧の半径は下辺１４よりも大きく、その突出長さは下辺１４よりも短い。

【0016】

このように、外縁フレーム１０は、4つの辺１１，１２，１３，１４が全てその真ん中部分が正面側に突出するように湾曲しており、その四隅（各辺１１，１２，１３，１４同士の接続部分）は、逆に顔面側（内側）に突出し、接触凸部１５を形成している。マスク支持具１を衛生マスク５と一緒に顔面に装着する際には、この外縁フレーム１０の四隅の接触凸部１５が主として顔面に接触する。

【0017】

十字フレーム３０は、外縁フレーム１０の所定の場所を連結して補強しており、外縁フレーム１０の左右方向中心において鉛直方向に延在する縦辺３１と、外縁フレーム１０の上下方向中心において水平方向に延在し、縦辺３１と垂直に交差する横辺３５とを備えている。縦辺３１及び横辺３５は、所定の厚さで延在する細帯形状である。

【0018】

縦辺３１は、上端が上辺１１の左右真ん中に接続され、下端が下辺１４の左右真ん中に接続されている。横辺３５は、左端が左辺１２の上下真ん中に接続され、右端が右辺１３の上下真ん中に接続されている。

【0019】

縦辺３１は、略直線状であり、その正面側表面に正面側に突出する正面凸条３３を備えている。正面凸条３３は、十字フレーム３０の交差部分から下辺１４との接続部分にかけて、縦辺３１の略下半分全体に形成されている。横辺３５は、その左右方向の真ん中部分が正面側に突出するように略円弧形状に湾曲している。

【0020】

外縁フレーム１０は、上辺１１が下辺１４よりも正面側に大きく突出しているため、縦辺３１は、装着時の側面視において、上端が正面側に突出し、下端が顔面側に後退するように傾斜して延在する。

【0021】

このように、上辺１１及び下辺１４が左辺１２及び右辺１３よりも正面側に大きく突出するように構成し、縦辺３１を略直線状、横辺３５を正面側に凸の略円弧形状とすれば、マスク支持具１により囲まれる内部空間が、略球面状ではなく縦方向に延在する略半円筒形状となり、内部空間を広く確保することができる。

【0022】

ここで、外縁フレーム１０の各辺１１，１２，１３，１４の外側の縁には、外縁を正面側に滑らかに曲面状に折返した外側折返し曲面部２０が形成されており、外縁フレーム１０の顔面側（内側）には、滑らかなＲ面（曲面）が形成されている。これにより、装着時等に外縁フレーム１０の顔面側（内側）が顔面に接触する際に、このＲ面が肌に触れることになる。すなわち、外縁フレーム１０の接触面は、肌への負担の少ない柔らかな感触となり、マスク支持具１を装着する際の装着者の装着負担を大きく抑えることができる。

【0023】

また、外縁フレーム１０の各辺１１，１２，１３，１４や、十字フレーム３０の縦辺３１及び横辺３５の円弧部分は、各辺１１，１２，１３，１４，３１，３５において、単一の曲率半径ではなく、複数の曲率半径の円弧がつながるように組み合わされた円弧曲線、言い換えれば、複数の半径の円弧がつながった円弧曲線である。なお、縦辺３１は、上述したように、全体として略直線状であるが、大きな曲率半径の円弧を組み合わせており、全体としては略直線状となっている。

【0024】

このように、マスク支持具１のフレーム構造の各辺１１，１２，１３，１４，３１，３５を複数の曲率半径の円弧を組み合わせた線とすることで、単一の曲率半径の円弧や単一直線の場合と比べて、衛生マスク５の内面に接触するマスク支持具１の各辺１１，１２，１３，１４，３１，３５と衛生マスク５の内面との間に隙間ができやすく、マスク支持具１と衛生マスク５との接触面積が小さくなるため、衛生マスク５の内面にマスク支持具１が接触することによる衛生マスク５の通気性の低下を防ぐことができる。

【0025】

また、マスク支持具１の素材は、弾性を有する高分子であるエラストマーが用いられており、外縁フレーム１０及び十字フレーム３０は、接触等で外力が加わると弾性変形する。例えば、スチレン系エラストマーやオレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを用いることができる。もちろん、フレーム構造のマスク支持具１が弾性変形可能となる素材であれば、熱可塑性エラストマー以外の合成樹脂材料を適宜採用することができる。

【0026】

このように、フレーム構造のマスク支持具１を弾性変形部材で構成することで、衛生マスク５の内側において、マスク支持具１を顔面に接触させて設置する際に、外縁フレーム１０及び十字フレーム３０が変形しながら顔面に接触するため、顔面の肌に強い力がかかることがなく、装着者の装着負担を大きく軽減することができる。

【0027】

また、装着時にマスク支持具１が適宜変形可能であるため、様々な形状の顔にフィットして装着することができると共に、装着中に装着者が喋って口元が変形した場合でも、顔の変形に合わせてマスク支持具１が追従変形することができ、常に適した装着状態を維持することで、装着負担を大きく低減することができる。

【0028】

また、マスク支持具１は、表面にシボ加工が施され、多数の凹凸が形成された梨子地となっている。シボ加工は、マスク支持具１を射出成形する際の金型表面にエッチング処理やブラスト処理により細かな凹凸を形成することで実現することができる。

【0029】

このように、マスク支持具１の表面を梨子地とし、装着時に肌と接触する接触凸部１５の接触面が梨子地となるため、マスク支持具１が肌に触れる際の感触がざらざらとなり、接触面積も小さくなる。よって、マスク支持具１が汗ばんだ肌に張り付いたり、べとべとした感触となったりするのを防ぐことができ、マスク支持具１の装着による不快感を大きく低減することができる。

【0030】

マスク支持具１の外縁フレーム１０の帯形状の各辺１１，１２，１３，１４の厚みは１.6mm、十字フレーム３０の帯形状の各辺３１，３５の厚みは1mmである。外縁フレーム１０と十字フレーム３０の境界部分では徐々に厚みが変化している。

【0031】

以上、マスク支持具１の構成について説明したが、続いて、マスク支持具１の使用態様について説明する（図８参照）。マスク支持具１を衛生マスク５と一緒に顔面に装着する際には、内側を上にして拡げた衛生マスク５の中心上に、正面側を下にしてマスク支持具１を置き、そのまま、マスク支持具１を衛生マスク５と一体に顔面に装着する。

【0032】

衛生マスク５の両側のマスク紐６を耳に掛けると、衛生マスク５が口周りを覆って装着され、その内側には、顔面に押し付けられたマスク支持具１が収容されており、マスク支持具１も一緒に顔面に装着される。装着者は、マスク支持具１の中央付近に口が位置すると共に、マスク支持具１全体が衛生マスク５により覆われて外部から見えないように、マスク支持具１及び衛生マスク５の位置、姿勢等を調整する。

【0033】

このとき、マスク支持具１は、顔面側の内側に突出している外縁フレーム１０の四隅の接触凸部１５が装着者の口の周りに接触して押し付けられており、外縁フレーム１０は、四隅が拡がるように弾性変形している。よって、マスク支持具１の衛生マスク５の内面と接触する部分は、衛生マスク５を正面側へ押し返している。

【0034】

このように、衛生マスク５の内側に立体的なマスク支持具１が収容されているため、衛生マスク５の内側には、マスク支持具１によって内部空間が確保される。このため、装着者は衛生マスク５が口に直接接触することによって、唇を動かして喋るのが困難になったり、口が閉じられて呼吸が困難になったりするのを防ぐことができる。

【0035】

このとき、顔面に接触しているのは、主として四隅の接触凸部１５であり、接触面積が最小限に抑えられているので、衛生マスク５の内側にマスク支持具１を設置することによる装着負担の増加を最小限に抑えることができる。また、接触面積が小さく、マスク支持具１と顔面との間に大きな隙間ができるので、マスク支持具１の内部空間の通気性を良くすることもできる。

【0036】

また、マスク支持具１が外縁フレーム１０と十字フレーム３０とから構成される簡易なフレーム構造であるため、マスク支持具１を軽量に構成することもでき、軽量化によっても装着負担が軽減される。

【0037】

また、衛生マスク５の内面に接触する十字フレーム３０の縦辺３１の正面側に正面凸条３３が形成されており、装着時に、衛生マスク５内面とマスク支持具１との間に隙間ができ、衛生マスク５とマスク支持具１との接触面積が小さくなり、衛生マスク５の通気性の低下を防ぐことができる。

【0038】

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、マスク支持具を構成する部材の形状やサイズ、素材は適宜変形可能である。

【0039】

また、外縁フレームは、4辺からなるフレームであれば、正面視における形状も正方形に限らず、長方形や台形、さらには一部の辺に曲線を含むような方形であっても良い。また、十字フレームも十字形に限らず、外縁フレームの内側に設置されて外縁フレームを補強すると共にマスク内面に接触して支持するフレーム構造であれば、放射形やＹ字形等、適宜他の形状を採用することができる。

【符号の説明】

【0040】

１ マスク支持具
１０ 外縁フレーム
１１ 上辺
１２ 左辺
１３ 右辺
１４ 下辺
１５ 接触凸部
２０ 外側折返し曲面部
３０ 十字フレーム
３１ 縦辺
３３ 正面凸条
３５ 横辺
５ 衛生マスク
６ マスク紐

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】