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特開2022-59685駐車マス管理システム、駐車マス係員端末およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059685
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】駐車マス管理システム、駐車マス係員端末およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220407BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167428
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】秋鹿 陽介
(72)【発明者】
【氏名】蕨 美緒
(72)【発明者】
【氏名】中戸 英貴
(72)【発明者】
【氏名】山本 英俊
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】 限られた数の駐車マスにて乗客を乗車させる旅客車両に対する乗客の乗車を円滑にすることに寄与する駐車マス管理技術を提供する。
【解決手段】 旅客車両に対して乗客を乗せるための駐車マスを複数備えた駐車場を管理する駐車マス管理システムは、駐車マスへ入庫する旅客車両に対する乗客の乗車を円滑にするための乗車円滑化システムと、駐車場への旅客車両の入庫に対する滞在時間に応じた駐車料金を徴収するための駐車料金徴収システムと、を備える。乗車円滑化システムは、駐車マスの利用に関する予約データを駐車マスの係員が閲覧可能とするためのマス係員端末へ送信する。駐車料金の精算が済んだらマス係員端末へその旨を送信する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旅客車両に対して乗客を乗せるための駐車マスを複数備えた駐車場を管理する駐車マス管理システムであって、
その駐車マス管理システムは、 前記の駐車マスへ入庫する旅客車両に対する乗客の乗車を円滑にするための乗車円滑化システムと、
前記の駐車場への前記の旅客車両の入庫に対する滞在時間に応じた駐車料金を徴収するための駐車料金徴収システムと、を備え、
前記の乗車円滑化システムは、
前記の旅客車両による前記の駐車マスの利用に関する予約データを予め蓄積している駐車マス管理データベースと、
前記の駐車マス管理データベースに蓄積された予約データを前記の駐車マスの係員が閲覧可能とするためのマス係員端末と、
前記の旅客車両が前記の駐車マスの利用に関する予約証を備えている場合にその予約証に係る予約証データを取得する予約証データ取得手段と、
その予約証データ取得手段が取得した予約証データを前記の駐車マス管理データベースの予約データと照合するデータ照合手段と、
そのデータ照合手段が照合することでその照合に係る予約データが遂行された旨を反映した予約遂行データを前記のマス係員端末へ送信する遂行データ送信手段と、 を備え、
前記の駐車料金徴収システムは、
前記の旅客車両へ搭載されたETC車載機との無線通信をすることによって前記の駐車場へ当該旅客車両が入庫した旨を検知して車両特定データおよび入庫時刻データを受信する入庫データ受信手段と、
前記の旅客車両が前記の駐車場から出庫しようとする際に前記のETC車載機との無線通信をすることによって当該旅客車両が出庫する旨を検知して車両特定データおよび出庫時刻データを受信する出庫データ受信手段と、
前記の入庫時刻データおよび前記の出庫時刻データに紐付けられた車両特定データに対する駐車料金を算出する駐車料金算出手段と、
前記の駐車料金算出手段によって精算の終了を確認したら前記の駐車場を出庫したとする出庫データを前記の駐車マス管理データベースへ出力する出庫データ送信手段と、
を備えた駐車マス管理システム。
【請求項2】
前記の予約証データ取得手段は、前記のマス係員端末に備えることとした
請求項1に記載の駐車マス管理システム。
【請求項3】
前記の予約証データ取得手段は、ETC車載機との無線通信をする前記の入庫データ受信手段に備えることとした
請求項1に記載の駐車マス管理システム。
【請求項4】
前記の出庫データ送信手段は、前記の出庫データを前記のマス係員端末へも送信することとした
請求項1から請求項3のいずれかに記載の駐車マス管理システム。
【請求項5】
前記の遂行データ送信手段は、前記の駐車場へ入出庫する旅客車両の予約データ等を表示するために前記の駐車場に設置した電子看板に対して前記の予約証データを反映した駐車マスの遂行データを送信することとした
請求項1から請求項4のいずれかに記載の駐車マス管理システム。
【請求項6】
前記の出庫データ送信手段は、所定の予約データに紐付けられる乗客の引率者に係る引率端末へ、当該予約データ前記の予約証データを反映した駐車マスの遂行データを送信することとした
請求項1から請求項5のいずれかに記載の駐車マス管理システム。
【請求項7】
前記の駐車場へ向かう旅客車両を待機させる待機場において待機している旅客車両に係る管理データを蓄積した待機場データベースを備えている場合に、
その待機場データベースは、必要なデータを前記の駐車マス管理データベースから予め受信しており、
前記の遂行データ送信手段は、前記の待機場データベースに対して前記の予約証データを反映した駐車マスの遂行データを送信することとした
請求項1から請求項6のいずれかに記載の駐車マス管理システム。
【請求項8】
前記の駐車料金徴収システムは、前記の旅客車両が予約証を備えていない場合に、予約証が無い旨を示す予約無しデータを前記のマス係員端末へ送信することとした
請求項1から請求項7のいずれかに記載の駐車マス管理システム。
【請求項9】
旅客車両に対して乗客を乗せるための駐車マスを複数備えた駐車場を管理する駐車マス管理システムを制御するコンピュータプログラムであって、
前記の旅客車両による前記の駐車マスの利用に関する予約データを予め蓄積している予約データ蓄積手順と、
前記の旅客車両が前記の駐車マスの利用に関する予約証を備えている場合にその予約証に係る予約証データを取得する予約証データ取得手順と、
その予約証データ取得手順にて取得した予約証データを前記の予約データと照合するデータ照合手順と、
そのデータ照合手順にて照合することでその照合に係る予約データが遂行された旨を反映した予約遂行データを前記のマス係員端末へ送信する遂行データ送信手順と、
前記の旅客車両へ搭載されたETC車載機との無線通信をすることによって前記の駐車場へ当該旅客車両が入庫した旨を検知して車両特定データおよび入庫時刻データを受信する入庫データ受信手順と、
前記の旅客車両が前記の駐車場から出庫しようとする際に前記のETC車載機との無線通信をすることによって当該旅客車両が出庫する旨を検知して車両特定データおよび出庫時刻データを受信する出庫データ受信手順と、
前記の入庫時刻データおよび前記の出庫時刻データに紐付けられた車両特定データに対する駐車料金を算出する駐車料金算出手順と、
前記の駐車料金算出手順にて精算の終了を確認したら前記の駐車場を出庫したとする出庫データを前記の駐車マス管理データベースへ出力する出庫データ送信手順と、を
前記の駐車マス管理システムに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記の出庫データ送信手順は、前記の出庫データを前記のマス係員端末へも送信することとした
請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記の遂行データ送信手順は、前記の駐車場へ入出庫する旅客車両の予約データ等を表示するために前記の駐車場に設置した電子看板に対して前記の予約証データを反映した駐車マスの遂行データを送信することとした
請求項9または請求項10のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記の遂行データ送信手順は、所定の予約データに紐付けられる乗客の引率者に係る引率端末へ、当該予約データ前記の予約証データを反映した駐車マスの遂行データを送信することとした
請求項9から請求項11のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記の駐車場へ向かう旅客車両を待機させる待機場において待機している旅客車両に係る管理データを蓄積した待機場データベースを備えている場合に、 その待機場データベースは、必要なデータを前記の駐車マス管理データベースから予め受信しており、
前記の遂行データ送信手順は、前記の待機場データベースに対して前記の予約証データを反映した駐車マスの遂行データを送信することとした
請求項9から請求項12のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記の旅客車両が予約証を備えていない場合に、予約証が無い旨を示す予約無しデータを前記のマス係員端末へ送信する予約無しデータ送信手順を、前記の駐車マス管理システムに実行させることとした
請求項9から請求項13のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
旅客車両に対して乗客を乗せるための駐車マスを複数備えた駐車場において、入庫した旅客車両の運転手に対する指示を出す駐車マス係員が閲覧可能なマス係員端末であって、
前記の旅客車両による前記の駐車マスの利用に関する予約データを駐車マス管理データベースから受信する予約データ受信手段と、
前記の駐車場へ入庫した旅客車両が備えた予約証に係る予約証データを受信する予約証データ受信手段と、
前記の予約証データ受信手段が受信した予約証データおよび前記の予約データを照合することでその照合に係る予約データが遂行された旨を反映した前記の駐車マスの現状を示す駐車マス現状データを受信する遂行データ受信手段と、
前記の駐車場を出庫したとする出庫データを受信する出庫データ受信手段と、
前記の予約データ、前記の予約証データ、前記の駐車マス現状データおよび出庫データに基づいて、画面出力するデータの優先順位を決定する優先データ演算手段と、
その優先データ演算手段によって決定された優先順位に基づいて前記の予約データ、前記の予約証データ、前記の遂行データ、および出庫データを画面出力するデータ出力手段と、
を備えたマス係員端末。
【請求項16】
旅客車両に対して乗客を乗せるための駐車マスを複数備えた駐車場において、入庫した旅客車両の運転手に対する指示を出す駐車マス係員が閲覧可能なマス係員端末を制御するコンピュータプログラムであって、
前記の旅客車両による前記の駐車マスの利用に関する予約データを駐車マス管理データベースから受信する予約データ受信手順と、
前記の駐車場へ入庫した旅客車両が備えた予約証に係る予約証データを受信する予約証データ受信手順と、
前記の予約証データ受信手順にて受信した予約証データおよび前記の予約データを照合することでその照合に係る予約データが遂行された旨を反映した予約遂行データを受信する遂行データ受信手順と、
前記の駐車場を出庫したとする出庫データを受信する出庫データ受信手順と、
前記の予約データ、前記の予約証データ、前記の駐車マス現状データおよび出庫データに基づいて、画面出力するデータの優先順位を決定する優先データ演算手順と、
その優先データ演算手順にて決定された優先順位に基づいて前記の予約データ、前記の予約証データ、前記の遂行データ、および出庫データを画面出力するデータ出力手順と、を
前記のマス係員端末に実行させることとしたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型バス等の旅客車両に対して、乗客が乗降する乗降スペースとして提供されている駐車マスの有効活用を実現するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の駅、空港といったターミナルは、列車や航空機が到着するとその乗客が降車してバスやタクシーといった小回りの利く交通手段(小回り交通手段)への乗り換えという必要性が発生する。逆に、小回り交通手段を使ってターミナルへ到着した人は、鉄道や航空機へ乗り換える。そして、ターミナルには、「乗り換え」の場所として「輸送モール」が用意されている。
【0003】
小回り交通手段としてのバスは、ターミナルに近接した場所にバス営業所を構えていることが多い。そして、そのバス営業所から輸送モールへバスを運転手が移動させ、乗客を乗せて所定の運行を実施することとなる。
【0004】
特許文献1には、バス営業所において、翌日の運行予定に合わせてバスの駐車位置を変更するという作業負担を軽減するための技術が開示されている。すなわち、「入庫時のバスの駐車位置にかかわらず、かつ、バスの駐車位置の移動を行うことなく、翌日のバスの出庫を円滑に行うことが可能な配車計画を行うバス管理システム」が開示されている(図1参照)。
【0005】
さて、輸送モールにおいて、前便のバスが何らかのトラブルによって出発できない場合も、配車計画に基づいて、車庫から輸送モールへとバスが補充されることになる。従って、輸送モールの限られたスペース内に複数台のバスが滞留し、更なる遅延等に繋がるおそれがある。
【0006】
特許文献2には、前述の問題点に対して、輸送モールに移動体(バス)を滞留させることなく、複数台の移動体を効率的に運行させることができる運行管理の技術が開示されている。すなわち、複数のバスと、それらバスに対応づけられた情報通信装置と、その情報通信装置との通信可能な運行管理装置とからなり、前記の情報通信装置からバスの出発情報を受信したとき、前記出発情報および予め定められた運行情報に基づいて、前記移動体の補充先となる乗降場所および前記移動体の行先を含む配車情報を決定し、決定した配車情報を、補充予定の移動体に対応付ける、という技術である(図2参照)。
【0007】
ところで、駐車場における車両の入出庫を管理するため、車両に搭載されたETC車載機との無線通信を利用するシステムが提案されている。たとえば、特許文献3に開示された駐車場サーバおよび駐車料金精算システムでは、割引情報が反映された駐車料金をETCシステムにてキャッシュレス決済を可能とする技術が開示されている。
【0008】
駐車場における車両の入出庫の管理を、車両ナンバープレートを撮影するカメラを用いるシステムも提案されている。たとえば、特許文献4には、カメラとETCシステムとを組み合わせることで駐車券を不要とする駐車場管理を実現する技術が開示されている。
【0009】
季節、曜日、時間帯などの要因で混み合う駐車場を利用したい者としては、日時を指定して駐車車室(駐車マス)を予約できることが望ましい。駐車場の提供者としても、円滑な利用のためにも駐車場を予約して運用できることが望ましい。そこで、様々な駐車場予約システムが提案されている。たとえば、特許文献5には、カラーコーン(登録商標)や予約専用車室を用いることなく車室予約サービスを実現するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007-264876号公報
【特許文献2】特開2020-77106号公報
【特許文献3】特開2019-101544号公報
【特許文献4】特許第6305103号公報
【特許文献5】特開2020-119188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
さて、日本有数の観光地であり、修学旅行の目的地としても人気のある京都駅をターミナルの例として、現状の課題について説明する。
【0012】
(京都駅周辺のバスモール)
京都駅のバス乗降スペースは、地上階の八条口で12台のバスが駐車できる駐車マスを備えた駅直結バスモール(以下、「駅直結モール」と略記)と、東本願寺前に設けられたバス約7台分のエキストラモールとが利用されている。この駅直結モールおよびエキストラモールでも足りないトップシーズンは、本来的には降車専用としているバス2台分の降車用モール、および行政が民有の土地と臨時契約して提供される暫定モールも利用される。
【0013】
たとえば、新幹線を利用して京都駅に到着する団体客(引率者を含む修学旅行生)を想定する。一車両に約100名が乗車するが、修学旅行シーズンには専用列車が臨時ダイヤとして組まれ、16両全て、すなわち1600名が修学旅行生となる。1600名の修学旅行生(引率者を含む)が京都駅へ到着すると、修学のための拠点へ移動するためにバスへ乗り換える。バス一台の定員は約50名なので、32台のバスが必要となる。
こうした数字からも、駅直結バスモールにおける円滑な運用が求められていることは明らかである。
【0014】
(バス待機所)
京都駅からの所要時間が約10分の場所には、「鴨川西ランプ営業所」と称されるバス待機所がある。このバス待機所には、最大で約40台のバスが待機できるので、京都市内にバス待機所を保有していないバス会社(たとえば京都以外の他府県を本拠とするようなバス会社)は、この待機所を利用することとなっている。そして、このバス待機所から「所定のタイミング」にて駅直結モール等へ向かい、駅直結モール等で乗客を乗せ、目的地へ向かって出発することとなっている。
換言すれば、「鴨川西ランプ営業所」を活用することで、京都市内にバス待機所を保有していないバス会社であっても、京都駅までの所要時間が計算できる(ある程度の誤差に収められる)こととなる。
【0015】
(駅直結モールの駐車料金について)
駅直結バスモールは、所定時間(たとえば10分)を超えて乗車待ちをするバスから駐車料金の徴収をするとともに、降車の場合は無料とする、といった取り決めが採用されている。前述したように降車に要する時間は短いが、乗車待ちは駐車時間がまちまちである。よって、長時間の駐車となりがちな乗車待ちのバスに対しては、乗降スペースを占有することに対する対価の支払いを要求することに合理性がある。
【0016】
(京都駅周辺の渋滞発生)
ところが、10分を超える乗車待ちのバスからは駐車料金を徴収する、という取り決めが前提となっていることによって、具体的には、以下のような問題が発生している。すなわち、バス運転手は、駅直結バスモールにおける駐車時間を短く(駐車料金を安くまたは無料で済ませ)ようとする。そのために、団体客の幹事との電話連絡などを介してバス乗降スペース(駅直結モール)に入るタイミングを調整するために、京都駅の近傍の路肩へバスを駐車させてしまう。その結果、路肩にバスが駐車して道路が狭くなっていることを原因とした京都駅周辺での交通渋滞が発生している。
【0017】
限られた台数のバスしか駐車できない駅直結バスモールを合理的に運用するためには、こうした現状を前提とした駐車マス予約システムおよび駐車料金精算システムを導入することが必須である。しかし、京都駅における駅直結バスモールを合理的に運用するためには、前述した先行技術に開示された技術では不十分である。
【0018】
たとえば、特許文献2に開示された技術を、京都駅に直結したバス乗降スペースに採用したとしても、解決できないと予想される。すなわち、特許文献2に開示された技術は、乗降所(61)として一般の停留所を想定した技術であり、バス乗降スペースにおいて駐車料金が徴収されることに対応する技術ではないと考えられるからである。
【0019】
(バス車両運営の実態と駐車マス予約システムとのギャップ)
駐車料金精算システムに駐車マス予約システムの機能を付加した技術としては、予約に係る車両を特定するための車両特定データを、駐車マス予約システムへ予め含ませる必要がある。
【0020】
一方、バス会社におけるバス車両の運営は、予約を遂行する車両を予約の直前まで特定できない、という実態がある。すなわち、バス車両はバス運転者に紐付けられているのが一般的であり、且つバス運転者は当日の体調などに応じて勤務態勢が決まる。加えて、バス車両の整備状況も毎日異なる。このため、予定していた運転手が自らの使うバス車両にて予約を遂行することができず、別の運転手が予約遂行に向かう、ということが頻繁に起きている。
【0021】
上述のようなバス会社の実態から、車両番号による車両特定データを駐車マス予約システムに含ませることが困難である。バス車両を特定した上で予約しなければならないからである。このため、特許文献3、4,5に開示された技術を単純に組み合わせても、京都駅直結モールにおける駐車マス予約システムおよび駐車料金精算システムは、合理的に運用することが困難である。
【0022】
(運用困難な別の理由)
駐車マス予約システムに予約した内容に基づいたバス待機所から駅直結モール等へ向かうタイミングの指示、駐車料金を支払うことを前提とした駅直結モールへの入庫、入出庫が連続的に発生する駐車マス、50人単位となる乗客の乗車、駐車料金の支払い手続を伴う出庫、といった一連の作業が存在する。
【0023】
この一連の作業を円滑で安全に実行するためには、駐車マスにてバス運転手へ的確な指示を出す駐車マス係員の存在が欠かせない。多くの乗客の行動に対する安全確保、バス運転手の駐車マス近辺での技量差とその技量差に対する指示など、臨機応変な判断が多く必要であり、自動化は困難だからである。
【0024】
駐車マス係員による駐車マスの運用が更に円滑となれば、駅周辺に発生する渋滞の緩和にも繋がる。したがって、駐車マス係員を的確にサポートする技術が望まれている。駐車マス係員の経験などによる属人的な技能の差を埋めることも期待できる。
【0025】
本発明が解決しようとする課題は、駐車料金の徴収を前提とした旅客車両の乗降を円滑にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前述した課題を解決するため、駐車マス係員への情報提供が可能な駐車マス管理システムに係る第一の発明、および第一の発明に係る駐車管理装置を制御するコンピュータプログラムに係る第二の発明を提供する。
【0027】
(第一の発明)
第一の発明は、旅客車両に対して乗客を乗せるための駐車マスを複数備えた駐車場を管理する駐車マス管理システムに係る(図4図5参照)。
その駐車マス管理システムは、 前記の駐車マスへ入庫する旅客車両に対する乗客の乗車を円滑にするための乗車円滑化システムと、
前記の駐車場への前記の旅客車両の入庫に対する滞在時間に応じた駐車料金を徴収するための駐車料金徴収システムと、を備える(図4参照)。
【0028】
前記の乗車円滑化システムは、前記の旅客車両による前記の駐車マスの利用に関する予約データを予め蓄積している駐車マス管理データベースと、
前記の駐車マス管理データベースに蓄積された予約データを前記の駐車マスの係員が閲覧可能とするためのマス係員端末と、
前記の旅客車両が前記の駐車マスの利用に関する予約証を備えている場合にその予約証に係る予約証データを取得する予約証データ取得手段と、
その予約証データ取得手段が取得した予約証データを前記の駐車マス管理データベースの予約データと照合するデータ照合手段と、
そのデータ照合手段が照合することでその照合に係る予約データが遂行された旨を反映した予約遂行データを前記のマス係員端末へ送信する遂行データ送信手段と、
を備える。
【0029】
前記の駐車料金徴収システムは、前記の旅客車両へ搭載されたETC車載機との無線通信をすることによって前記の駐車場へ当該旅客車両が入庫した旨を検知して車両特定データおよび入庫時刻データを受信する入庫データ受信手段と、
前記の旅客車両が前記の駐車場から出庫しようとする際に前記のETC車載機との無線通信をすることによって当該旅客車両が出庫する旨を検知して車両特定データおよび出庫時刻データを受信する出庫データ受信手段と、
前記の入庫時刻データおよび前記の出庫時刻データに紐付けられた車両特定データに対する駐車料金を算出する駐車料金算出手段と、
前記の駐車料金算出手段によって精算の終了を確認したら前記の駐車場を出庫したとする出庫データを前記の駐車マス管理データベースへ出力する出庫データ送信手段と、
を備える。
【0030】
(用語説明)
「旅客車両」とは、50人前後が乗車可能な大型バスや20~30人前後が乗車可能な中小型のバスを指すが、マイクロバスや10名以下の乗車を想定したジャンボタクシーなどを含んでも良い。
【0031】
「予約証」とは、駐車マスの予約内容を特定するためのデータ(たとえば、団体名、入庫予定時刻など)を電子的に読み取り可能としたデジタル予約証、駐車マス係員が目視できるようなアナログ予約証、デジタルおよびアナログの両機能を備えたハイブリッド型予約証のいずれをも含む。
【0032】
「予約証データ取得手段」とは、後述する発明のバリエーションにて記載する場合の他、予約証を撮影する予約証カメラ(図6参照)、予約証に搭載された近距離無線通信チップに書き込まれたデータを読み取り可能な近距離無線通信チップ、などが該当する。
【0033】
(作用)
旅客車両へ搭載されたETC車載機との無線通信をすることによって駐車場へ当該旅客車両が入庫した旨を検知して車両特定データおよび入庫時刻データを、入庫データ受信手段が受信する。
旅客車両が前記の駐車マスの利用に関する予約証を備えている場合に、その予約証に係る予約証データを予約証データ取得手段が取得する。 その予約証データ取得手段が取得した予約証データを、データ照合手段が駐車マス管理データベースの予約データと照合する。 そのデータ照合手段が照合することでその照合に係る予約データが遂行された旨を反映した予約遂行データを、遂行データ送信手段がマス係員端末へ送信する。
マス係員は、マス係員端末にて駐車マス現状データを参照できるので、駐車マスを出入りする旅客車両の運転手等へ出す指示の円滑化に寄与する。
【0034】
旅客車両が前記の駐車場から出庫しようとする際にETC車載機との無線通信をすることによって当該旅客車両が出庫する旨を検知して車両特定データおよび出庫時刻データを、出庫データ受信手段が受信する。その出庫データ受信手段が受信した出庫時刻データに紐付けられた車両特定データに対する駐車料金を、前記の入庫時刻データを用いることで駐車料金算出手段が算出する。
駐車料金算出手段によって精算の終了を確認したら、出庫データ送信手段は、当該旅客車両が駐車場を出庫したとする出庫データを駐車マス管理データベースへ出力する。駐車マス管理データベースにおいては、当該旅客車両による予約データが遂行されたこととして処理することができる。
【0035】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、前記の予約証データ取得手段を前記のマス係員端末に備える、とすることが可能である。
【0036】
たとえば、予約証に二次元バーコードや読み取りやすい数字などの記号が印刷されている場合に、マス係員端末に搭載されたカメラにて予約証データ取得手段とする(図5参照)。 予約証に近距離無線通信チップが搭載されている場合に、マス係員端末に搭載された近距離無線通信チップにて予約証データ取得手段とすることとしてもよい(図5参照)。
【0037】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明における、以下のように形成することが可能である。
すなわち、前記の予約証データ取得手段は、ETC車載機との無線通信をする前記の入庫データ受信手段に備える、とすることが可能である(図7参照)。
【0038】
入庫データ受信手段は、ETC車載機との無線通信をするハードウェアとして、駐車料金徴収システムの一部として構成されているが、このバリエーション2のように乗車円滑化システムの機能の一部を代用することが可能である。
【0039】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明における、以下のように形成することが可能である。
すなわち、出庫データ送信手段は、前記の出庫データを前記のマス係員端末へも送信することとしてもよい(図4参照)。
【0040】
なお、出庫データを受信したマス係員端末においては、出庫データに係る予約データは、画面表示から消し去ったり、処理済みデータとして別の画面へ推移しないと表示できなくなるようにしたりするのが望ましい。駐車マス係員が最も閲覧参照すべきデータとは異ならせることで、作業を円滑にするためである。
【0041】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明は、以下のように形成することが可能である。
すなわち、 前記の遂行データ送信手段は、前記の駐車場へ入出庫する旅客車両の予約データ等を表示するために前記の駐車場に設置した電子看板に対して前記の予約証データを反映した駐車マスの遂行データを送信することとするのである(図5参照)。
【0042】
(用語説明)
「電子看板」とは、デジタルサイネージとも呼ばれ、液晶、CRT、有機ELなどによって文字や画像動画などを出力できるディスプレイである。音声を出力できるスピーカが備えられていると、より好ましい。時々刻々と変化するデータを常に最新の状態に更新し、その遂行データを表示する。駐車場から旅客車両へ乗車予定の乗客やその乗客を案内する案内人などが、閲覧して利用する。
【0043】
(作用)
遂行データ送信手段は、駐車場に設置した電子看板に対して予約証データを反映した駐車マスの遂行データを送信する。その遂行データを電子看板が反映して出力すれば、駐車場から旅客車両へ乗車予定の乗客やその乗客を案内する案内人などの利便性が高い状態で維持できる。
【0044】
(第一の発明のバリエーション5)
第一の発明は、以下のように形成することが可能である。
すなわち、 前記の出庫データ送信手段は、所定の予約データに紐付けられる乗客の引率者に係る引率端末へ、当該予約データ前記の予約証データを反映した駐車マスの遂行データを送信することとしてもよい(図4参照)。
【0045】
(用語説明)
「引率者」とは、乗客が団体旅行客である場合には、その団体旅行の引率する旅行代理店の添乗員、乗客が修学旅行生であれば、その修学旅行の引率教員である。
【0046】
引率者に係る引率端末へ、自分たちが乗車予定の旅客車両が駐車場にて待機しているなどの情報が送信される。したがって、引率者は、例えば電車から降車したり駅構内を歩いたりしているときであっても、乗車予定の旅客車両の状態を知ることができる。そのため、適切な引率、たとえば乗客達を急がせるなどの行動につながり、結果として駐車マスの円滑運用に寄与する。
【0047】
(第一の発明のバリエーション6)
第一の発明は、以下のように形成することが可能である。
すなわち、 前記の駐車場へ向かう旅客車両を待機させる待機場において待機している旅客車両に係る管理データを蓄積した待機場データベースを備えている場合に、
その待機場データベースは、必要なデータを前記の駐車マス管理データベースから予め受信しており、
前記の遂行データ送信手段は、前記の待機場データベースに対して前記の予約証データを反映した駐車マスの遂行データを送信することとするのである(図4参照)。
【0048】
待機場データベースに蓄積された管理データに基づいて、予約証を出力する予約証出力手段を待機場に備えておくこととする(図3参照)。旅客車両は、予約証を入手してから駐車場へ向かわなければならないので、待機場においては、旅客車両の物理的な管理が可能となる。
【0049】
(第一の発明のバリエーション7)
第一の発明は、以下のように形成することが可能である。
すなわち、前記の駐車料金徴収システムは、前記の旅客車両が予約証を備えていない場合に、予約証が無い旨を示す予約無しデータを前記のマス係員端末へ送信することとしてもよい(図9参照)。
【0050】
(作用)
予約証を備えていなかった旅客車両についても、予約無しデータがマス係員端末へ送信される。その予約無しデータをもマス係員端末において出力させることができるのであれば、予約証を備えていない旅客車両と備えている旅客車両とが混在する駐車場において、駐車マス係員における作業の円滑化に寄与することとなる。
【0051】
(第二の発明)
第二の発明は、旅客車両に対して乗客を乗せるための駐車マスを複数備えた駐車場を管理する駐車マス管理システムを制御するコンピュータプログラムに係る。
そのコンピュータプログラムは、 前記の旅客車両による前記の駐車マスの利用に関する予約データを予め蓄積している予約データ蓄積手順と、
前記の旅客車両が前記の駐車マスの利用に関する予約証を備えている場合にその予約証に係る予約証データを取得する予約証データ取得手順と、
その予約証データ取得手順にて取得した予約証データを前記の予約データと照合するデータ照合手順と、
そのデータ照合手順にて照合することでその照合に係る予約データが遂行された旨を反映した予約遂行データを前記のマス係員端末へ送信する遂行データ送信手順と、
前記の旅客車両へ搭載されたETC車載機との無線通信をすることによって前記の駐車場へ当該旅客車両が入庫した旨を検知して車両特定データおよび入庫時刻データを受信する入庫データ受信手順と、
前記の旅客車両が前記の駐車場から出庫しようとする際に前記のETC車載機との無線通信をすることによって当該旅客車両が出庫する旨を検知して車両特定データおよび出庫時刻データを受信する出庫データ受信手順と、
前記の入庫時刻データおよび前記の出庫時刻データに紐付けられた車両特定データに対する駐車料金を算出する駐車料金算出手順と、
前記の駐車料金算出手順にて精算の終了を確認したら前記の駐車場を出庫したとする出庫データを前記の駐車マス管理データベースへ出力する出庫データ送信手順と、を
前記の駐車マス管理システムに実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0052】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、前記の出庫データ送信手順を、前記の出庫データを前記のマス係員端末へも送信することとしてもよい。
【0053】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の遂行データ送信手順は、前記の駐車場へ入出庫する旅客車両の予約データ等を表示するために前記の駐車場に設置した電子看板に対して前記の予約証データを反映した駐車マスの遂行データを送信することとしてもよい。
【0054】
(第二の発明のバリエーション3)
第二の発明における前記の遂行データ送信手順は、所定の予約データに紐付けられる乗客の引率者に係る引率端末へ、当該予約データ前記の予約証データを反映した駐車マスの遂行データを送信することとしてもよい。
【0055】
(第二の発明のバリエーション4)
第二の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、 前記の駐車場へ向かう旅客車両を待機させる待機場において待機している旅客車両に係る管理データを蓄積した待機場データベースを備えている場合に、 その待機場データベースは、必要なデータを前記の駐車マス管理データベースから予め受信しており、
前記の遂行データ送信手順は、前記の待機場データベースに対して前記の予約証データを反映した駐車マスの遂行データを送信することとしてもよい。
【0056】
(第二の発明のバリエーション5)
第二の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の旅客車両が予約証を備えていない場合に、予約証が無い旨を示す予約無しデータを前記のマス係員端末へ送信する予約無しデータ送信手順を、前記の駐車マス管理システムに実行させることとしてもよい。
【0057】
(第三の発明)
第三の発明は、 旅客車両に対して乗客を乗せるための駐車マスを複数備えた駐車場において、入庫した旅客車両の運転手に対する指示を出す駐車マス係員が閲覧可能なマス係員端末に係る。
すなわち、前記の旅客車両による前記の駐車マスの利用に関する予約データを駐車マス管理データベースから受信する予約データ受信手段と、
前記の駐車場へ入庫した旅客車両が備えた予約証に係る予約証データを受信する予約証データ受信手段と、
前記の予約証データ受信手段が受信した予約証データおよび前記の予約データを照合することでその照合に係る予約データが遂行された旨を反映した前記の駐車マスの現状を示す駐車マス現状データを受信する遂行データ受信手段と、
前記の駐車場を出庫したとする出庫データを受信する出庫データ受信手段と、
前記の予約データ、前記の予約証データ、前記の駐車マス現状データおよび出庫データに基づいて、画面出力するデータの優先順位を決定する優先データ演算手段と、
その優先データ演算手段によって決定された優先順位に基づいて前記の予約データ、前記の予約証データ、前記の遂行データ、および出庫データを画面出力するデータ出力手段と、
を備えたマス係員端末である。
【0058】
(第四の発明)
第四の発明は、旅客車両に対して乗客を乗せるための駐車マスを複数備えた駐車場において、入庫した旅客車両の運転手に対する指示を出す駐車マス係員が閲覧可能なマス係員端末を制御するコンピュータプログラムに係る。
すなわち、 前記の旅客車両による前記の駐車マスの利用に関する予約データを駐車マス管理データベースから受信する予約データ受信手順と、
前記の駐車場へ入庫した旅客車両が備えた予約証に係る予約証データを受信する予約証データ受信手順と、
前記の予約証データ受信手順にて受信した予約証データおよび前記の予約データを照合することでその照合に係る予約データが遂行された旨を反映した予約遂行データを受信する遂行データ受信手順と、
前記の駐車場を出庫したとする出庫データを受信する出庫データ受信手順と、
前記の予約データ、前記の予約証データ、前記の駐車マス現状データおよび出庫データに基づいて、画面出力するデータの優先順位を決定する優先データ演算手順と、
その優先データ演算手順にて決定された優先順位に基づいて前記の予約データ、前記の予約証データ、前記の遂行データ、および出庫データを画面出力するデータ出力手順と、を
前記のマス係員端末に実行させるコンピュータプログラムである。
【0059】
第二の発明または第四の発明に係るコンピュータプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末手段へ伝送することも可能である。
また、第二の発明または第四の発明に係るコンピュータプログラムを記録媒体へ記憶させて提供することもできる。 ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、ハードディスク、CD-R、DVD-R、フラッシュメモリなどである。
【発明の効果】
【0060】
第一の発明によれば、旅客車両に対する乗客の乗車を円滑にすることに寄与する駐車マス管理システムを提供することができた。
第二の発明によれば、旅客車両に対する乗客の乗車を円滑にすることに寄与する駐車マス管理システムの制御用コンピュータプログラムを提供することができた。
第三の発明によれば、旅客車両に対する乗客の乗車を円滑にすることに寄与するマス係員端末を提供することができた。
第四の発明によれば、旅客車両に対する乗客の乗車を円滑にすることに寄与するマス係員端末の制御用コンピュータプログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】先行技術(特開2007-264876号)に開示された技術を示す図である。
図2】先行技術(特開2020-77106号)に開示された技術を示す図である。
図3】駐車マス予約システム(トップシーズン以外の標準型)を示す概念図である。
図4】本発明に係る駐車マス運営システム全体を示す概念図である。
図5】駐車マス運営システムにおける第一の実施形態を示す概念図である。
図6】駐車マス運営システムにおける第二の実施形態を示す概念図である。
図7】駐車マス運営システムにおける第三の実施形態を示す概念図である。
図8】駐車マス運営システムにおける第四の実施形態を示す概念図である。
図9】駐車マス運営システムにおける第五の実施形態を示す概念図である。
図10】駐車マス運営システムにおいて、予約証が無い旅客車両が入庫した場合の実施形態(第六)を示す概念図である。
図11】マス係員端末とその表示画面を示す図である。
図12】予約証を示す拡大図である。
図13】電子看板とその表示画面を示す図である。引率端末も電子看板と同じデータを表示可能であることも合わせて図示している。
図14】バス運転手が携帯するスマートフォンとその表示画面を示す図である。
図15】駐車場へバスが入庫してから出庫するまでを示すフローチャートであり、補助的な概念も示している。
図16】駐車場を利用したバスによる駐車料金の精算に関する場合分けを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、本発明を図面および実施形態に基づいて、説明する。ここで使用する図面は、図3から図16である。図中、二点破線による矢印は無線通信を、実線による矢印は有線通信を示している。また矢印に付された数字やアルファベットは、若い順にデータ処理の順番を示している。
【0063】
図3
図3は、春や秋の観光のトップシーズン(繁忙期)以外の駐車マス予約システムの概略を示している。
駐車マスの予約を希望する予約者(たとえば旅行代理店、団体旅行の幹事など)は、事前登録を済ませ(図示を省略)、自らに係る予約者端末にて、予約サーバが提供している「駐車マス空き閲覧サイト」にアクセスし、空き状況を閲覧する(1)。そして、自らを特定するための属性情報(団体名や代表の連絡先など)と希望する日時とを含んだデータを、予約打診送信手段から送信する(2)。
【0064】
予約サーバにおいては、予約打診送信手段から送信されたデータを予約打診受信手段が受信し、駐車マス管理データベースへ格納し(3)、蓄積されたデータと照合して予約の可否を判断し(4)、予約可否送信手段にて返信する(5)。
【0065】
予約者は、自らに係る端末にて予約可能である旨を受信した場合には、正式な予約の意思を示すデータを予約意思送信手段が送信する(7)。予約サーバは、その予約意思に関するデータを予約意思受信手段にて受信し、駐車マス管理データベースに対して、予約データとして蓄積する(8)。予約内容を確定させた旨を確認するため、予約内容送信手段にて予約確定を送信する。そして、それを予約者端末の予約内容受信手段が受信する(9)。
【0066】
確定された予約内容は、予約内容を遂行するバス会社に係る端末がアクセスした場合に閲覧可能な「予約遂行データバス会社用サイト」に蓄積されつつ、データ更新が随時なされる(9)。
バス会社の端末(たとえば、待機場端末や待機場サーバ)は、予約遂行データ閲覧手段にて予約遂行データバス会社用サイトへアクセスし(10)、予約小出力手段(たとばプリンタ)にて予約証を出力する(11)。出力された予約証は、その予約証に係る予約データを遂行するためのバスに携帯させることとなる。予約証を携帯するバスは、ETC車載機が搭載された車両に限る。
【0067】
図4
図4は、本発明に係る駐車マス管理装置を中心として、図3に示した予約サーバおよび待機場端末、駐車マスのある駐車場へ入庫してきたバス車両、駐車マスにてバス運転手への指示を出すマス係員が携帯するマス係員端末(たとえばタブレット型端末)、バス車両へ乗車する乗客の引率者に係る引率端末(たとえばスマートフォン)、のそれぞれの関係を概念的に示している。
【0068】
駐車マス管理装置は、旅客車両に対して乗客を乗せるための駐車マスを複数備えた駐車場を管理する装置である。その駐車マス管理装置は、 前記の駐車マスへ入庫する旅客車両に対する乗客の乗車を円滑にするための乗車円滑化システムと、 前記の駐車場への前記の旅客車両の入庫に対する滞在時間に応じた駐車料金を徴収するための駐車料金徴収システムと、を備えている。
なお、特許請求の範囲における「駐車マス管理システム」は、駐車マス管理装置にマス係員端末を含めたシステムを示す表現としている。
【0069】
乗車円滑化システムは、駐車場へ入庫してきたバスの前面に掲げられた予約証からデータを取得してデータ処理を実行するシステムである。そのデータ処理の順序は、カッコ書きの数字で示している。
駐車料金徴収システムは、駐車場へ入庫してきたバスのETC車載機から「入庫した」旨のデータを取得してデータ処理を実行するシステムである。そのデータ処理の順序は、カッコ書きの小文字アルファベットで示している。
【0070】
乗車円滑化システムは、予約サーバの駐車マス管理データベースから、予め駐車マス管理データを取得し、駐車マス現場データベースに蓄積しておく(0)。予約証に係る予約証データ(乗客の団体名などの属性データ、入庫予定時刻、出庫予定時刻)を予約証データ取得手段が取得する(1)。そして、駐車マス現場データベースに蓄積されていた予約データを用いて、予約証データをデータ照合手段が照合する(2)。照合できた場合、係る予約データが遂行された旨の遂行データを、マス係員端末、引率端末、および待機場端末へ遂行データ送信手段が送信する(4)。
【0071】
なお、「予約証データ取得手段」の具体例については、いくつかのバリエーションがある。そのバリエーションについては、図5図6図7を用いて後述する。
【0072】
駐車料金徴収システムは、バス車両に搭載されたETC車載機から当該車両が駐車場へ入庫した旨のデータ(車両番号を特定するデータは含まれないが、当該車両を他の車両と区別するための識別データは含む)を、入庫データ受信手段が近距離通信によって取得し、その入庫データを取得した時刻データを記録する(a)。
【0073】
一方、当該バス車両への乗車が済んで駐車マスを出発すると、出庫データ受信手段がETC車載機との近距離通信によって、当該車両を識別するため識別データを取得する(c)そして、その時刻データとともに、駐車料金精算手段へ送る(d)。駐車料金精算手段は入庫データ受信手段が受信した入庫時刻データを使って駐車料(10分未満の駐車は無料といった設定も含む)を算出し、バス車両の運転手へ提示する。運転手が駐車料金の精算を終了し、または事前精算の登録者である旨を把握する。そして、出庫手続が完了したとして当該バス車両が出庫した旨の出庫データを、出庫データ送信手段が駐車マス管理データベースやマス係員端末へ送信する(e)。
【0074】
図示が複雑になるので省略しているが、マス係員端末は、駐車マス管理データベースから予約データを予め取得している。マス係員端末は、遂行データ送信手段から送信されてくる遂行データ(4)、および出庫データ送信手段から送信されてくる出庫データにより、駐車場の直近の予約状況、現状の駐車状況などのデータを取得しており、表示出力させることができる。このため、マス係員は現状の確認や直後の状況把握が容易となり、マス係員の作業の効率化、円滑化に繋がる行動に寄与する。
【0075】
引率端末もまた、図示が複雑になるので省略しているが、駐車マス管理データベースから予約データを予め取得している。加えて、遂行データを受信する(4)。したがって、駐車場の直近の予約状況、現状の駐車状況などのデータが、引率端末には蓄積されている。これらのデータを表示出力させることで、引率者は駐車場の現状を知ることができる。よって、引率端末は、引率に係る乗客を駐車マスまで導く行動を円滑にする行動に寄与する。
【0076】
駐車マス管理装置を含めた前述の駐車マス運営システムを、京都駅に直結したバス乗車専用駐車場に適用した場合、バス乗降スペースは、バス12台が駐車できる広さしかない。しかし、マス係員端末を使ったマス係員が、次々と入庫するバスを誘導し、乗客が乗車したバスを円滑に出庫させることができる。
【0077】
バス乗降スペースは、京都駅へ移動してきたバスから降車する団体客も利用する。したがって、乗車待ちをするバスだけでなく、乗客を乗せてきたバスがお客を降車させるためにも使っている。乗車に比べると降車は、掛かる時間(ひいては駐車時間)が比較的短い。そのため、京都駅においては、乗車専用の駐車場をバス12台分、降車専用の駐車場をバス2台分確保している。
なお、降車専用の駐車場は、イレギュラーな事態が発生した場合、臨時の乗車スペースとしても使うことがあり、その誘導もマス係員が実行する。
【0078】
図5
図5は、図4に示した「予約証データ取得手段」をマス係員端末が実行する場合の実施形態を示している。「予約証データ取得手段」をマス係員端末にて実行させるには、更にいくつかの方法がある。
なお、図4では乗車円滑化システムと駐車料金徴収システムとを分けて図示していたが、概念的な図示であるために分けることができるのであり、図5では分けることが困難であるため分けていない。
【0079】
第一の方法としては、予約証に表示された文字データをマス係員が目視し、マス係員端末に表示されている入庫予定のバス車両に関するデータと照合し、一致したデータに対して「入庫済み」を示すデータ入力(タブレット端末であれば、所定の画面箇所をタッチ)を、マス係員が実行する方法である。
【0080】
第二の方法としては、予約証に予約証データを示す二次元バーコードを印刷しておき、マス係員端末に搭載されているカメラにてその二次元バーコードを読み取らせる方法(図示は省略)である。第一の方法に比べて入力ミスがなくなる、というメリットがある。
【0081】
第三の方法としては、予約証に予約証データを格納したデータチップを格納しておき、マス係員端末に搭載されている短距離無線通信チップとの無線通信を介して予約証データを、マス係員端末が読み取る方法(図示は省略)である。
予約証にデータチップを格納する必要があり、そのデータチップへ予約証データを書き込むデータライターがバス待機場に必要となる。しかし、データチップへの予約証データ書き換えをすればよいので、予約証が使い捨ての紙媒体ではなくなる、というメリットがある。
【0082】
図5に示す実施形態では、図4では説明しなかった電子看板を含んでいる。この電子看板とは、バス駐車場における乗客の乗降場所に設置され、液晶パネルなどの表示装置によって文字などによって、駐車マスの現状データを出力する。出力されるデータは、前述した引率端末と同じ内容とすることを想定して図示しているが、引率端末に表示されるデータと電子看板に出力されるデータとが一致している必要はない。
乗客や引率者は、自らが乗車するバスが既に駐車しているか、といった確認をすることができる。
【0083】
図5に示す実施形態においても、予約証を基点とする情報処理が乗車円滑化システムとなり、ETC車載機を基点とする情報処理が駐車料金徴収システムとなっている点は、図4に示した実施形態と同様である。そのデータ処理の順序は、カッコ書きの小文字アルファベットで示し、細かな説明を省略する。
【0084】
遂行データ送信手段がマス係員端末のみならず電子看板へも遂行データを送信し(5)、出庫データ送信手段が出庫データを電子看板へも送信することで、電子看板において必要なデータの出力が可能となっている。
出庫データ送信手段もまた、電子看板へバス車両が出庫した旨の出庫データを送信する(f)。駐車マス現場データベースにも出庫データを送信したら、出庫データは予約サーバの駐車マス管理データベースにも送信する(g)。
【0085】
図6
図6に示す実施形態では、予約証データ取得手段として予約証用カメラを採用している。予約証に印刷された数字や記号、二次元バーコードなどを撮影してデジタル化処理し、予約証データを取得するのである。前述したマス係員端末に搭載されているカメラにてその二次元バーコードを読み取らせる方法に比べ、マス係員の作業負担を減らすことができる。
乗車円滑化システム、および駐車料金徴収システムについては図4に示した実施形態と同様であり、細かな説明は省略する。
【0086】
図7
図7に示す実施形態では、駐車場へ入庫した際に駐車券を発券する発券機に予約証データ取得手段を備えることとした。予約証に印刷された数字や記号、二次元バーコードなどを、発券機に備えたスキャナが読み取ってデジタル化処理し、予約証データを取得するのである。
乗車円滑化システム、および駐車料金徴収システムについては図4に示した実施形態と同様であり、細かな説明は省略する。
【0087】
図8
図8に示す実施形態では、駐車場に設置されている駐車マス管理装置の機能の一部を、予約サーバが代行するシステムを示している。すなわち、予約サーバが駐車マス管理システムの一部となっており、サーバにて主要データを一括管理している。
【0088】
駐車マス管理装置には、予約サーバの駐車マス現場データベースを備えない。すなわち、予約サーバと同じデータを保有させることはせず、予約証データ取得手段が取得した予約証データは、予約証データ送信手段を介して予約サーバへ送信させる(1,2,3)。予約証データを受信した予約サーバにおいては、受信した予約証データと駐車マス管理データベースに蓄積されていた予約データとをデータ照合手段が照合する(4,5)。照合した結果、予約データが遂行されたと判断した場合には(6)、遂行データ送信手段が遂行データをマス係員端末、引率端末、電子看板、待機場管理データベースへ送信するのである(7)。
【0089】
図8においては、予約証データ取得手段を図4と同じパターンとして図示しているが、予約証データ取得手段は、前述したように図5(マス係員端末への入力)、図6(予約証用カメラ)、図7(発券機による予約証読み取り)のようなバリエーションがあり得る。詳細な図示は省略する。
【0090】
図9
図9に示す実施形態では、図8に示した実施形態と若干異なる。すなわち、駐車マス管理装置において駐車マス管理データベースを保有しないものの、データ照合手段は備えているのである。予約証データを取得したら予約サーバへ送信するが(1,2,3)、その予約証データに紐付けられる予約データを予約サーバから受信し(6)、現場でのデータ照合を実行するのである(7)。
その他の点については、図8に示した実施形態と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0091】
図10
図10に示す実施形態では、予約証を備えずに、本発明に係る駐車マス管理システムのある駐車場へ入庫してきたバス車両をどのように扱うか、を示している。
予約証を単に携帯し忘れたバス車両が該当するが、予約をせずに駐車場へ入ってくるバス車両もあり得るので、例外処理として説明する。
【0092】
図10では、バス車両にETC車載機が搭載されているものとして説明する。
駐車場へ入庫すると、ETC車載機との無線通信をすることで、入庫データ受信手段が入庫の旨を受信する(a)。その入庫時刻のデータは、駐車料金精算手段へ送られる(b)。
【0093】
図15において再び説明するが、駐車場の入口には、入庫をサポートする入庫サポート係員が常駐している。この入庫サポート係員が、あるいはバス車両運転手が発券機において予約者ではない「一般車」を選択することで、発券機からは「予約証なしの駐車券」を発券する。この「予約証なしの駐車券」が発券されると、その旨はマス係員端末へ送信される(b’)。マス係員端末が予約なしバス車両が入庫した旨を出力したら、マス係員は、予約証がないバス車両が入庫したことを認識することができる。
【0094】
乗客が乗車したら駐車していた駐車マスを出て駐車場を出る旨の意思表示をバス車両の運転手が示す。具体的には、精算機に対して「予約証なしの駐車券」を挿入する(d)。この挿入された時刻と前述の入庫時刻とを用いて駐車時間を算出し、駐車料金を計算し、バス運転手へ精算を促す(e)。その精算が完了したら駐車場のゲートがオープンし、バス車両が出庫する。出庫が完了したら、出庫データ送信手段が出庫完了の旨を駐車マス現場データベースへ送信する(f)。
【0095】
予約証はないので予約証データ取得手段が予約証データを取得することはできないし、駐車マス現場データとの照合も行えないが、予約証なしのバス車両が入庫し、出庫まで完了した旨を駐車マス現場データベースにおいて記録したら、遂行データ送信手段を介してマス係員端末への送信する(g、h)。出庫完了の旨は、出庫データ送信手段がマス係員端末への送信することとしてもよい(f’)。
マス係員端末が出庫完了の旨を出力したら、マス係員は予約証がないバス車両が出庫した旨を認識することができる。
【0096】
図11
図11では、マス係員端末の出力画面の一例を示している。
具体的には、入庫するバス車両を特定するための入庫ツアー名、入庫時刻、車両番号、予約の有無、予定出庫時刻を一覧表示している。
【0097】
マス係員端末は、無線通信端末として、以下のような機能(手段)を実現するタブレット型端末である。
すなわち、バス車両による前記の駐車マスの利用に関する予約データを駐車マス管理データベースから受信する予約データ受信手段と、 駐車場へ入庫した旅客車両が備えた予約証に係る予約証データを受信する予約証データ受信手段と、 予約証データ受信手段が受信した予約証データおよび予約データを照合することでその照合に係る予約データが遂行された旨を反映した駐車マスの現状を示す駐車マス現状データを受信する遂行データ受信手段と、 駐車場を出庫したとする出庫データを受信する出庫データ受信手段と、 予約データ、予約証データ、駐車マス現状データおよび出庫データに基づいて、画面出力するデータの優先順位を決定する優先データ演算手段と、 その優先データ演算手段によって決定された優先順位に基づいて予約データ、予約証データ、遂行データ、および出庫データを画面出力するデータ出力手段と、を備える。
【0098】
図12
図12では、予約証に印刷されたデータの一例を示している。
上半分が駐車マスの予約データを示し、入庫予定の日時、出庫予定の日時を含んでいる。
下半分は、この図においては空欄としているが、待機場(たとえば、鴨川西ランプ営業所)の予約をしている場合には、その待機場の予約データを表示する。
【0099】
図13
図13では、電子看板へ出力されたデータの一例を示している。
入庫予定時刻、駐車マスの番号(乗車場所の番号)、ツアー名を一覧表示している。
【0100】
電子看板と同じデータを、引率端末にも表示させる旨も図示している。ただし、電子看板と引率端末において同じデータを出力させなければならない、ということではない。引率端末に特有な情報を出力させたり、引率端末には不要な情報を出力させないようにしたりしてもよい。
【0101】
図14
図14では、バス運転手が携帯しているスマートフォンへ出力されたデータの一例を示している。
詳細な説明や図示は省略するが、そのバス運転手が担当する乗客を特定する情報のみを表示させる。バス待機場を出発すべき出発時刻、乗客を特定するためのデータであるツアー番号、駅直結のバス駐車場へ入庫すべき時刻である予定入庫時刻が一覧となって出力される。
【0102】
このようにバス運転手ごとのデータを出力させるためには、待機場端末が予約サーバにおける駐車マス管理データベースからのデータを取得し、バス運転手の担当(割り振り)を入力していることが前提となる。
【0103】
図15
図15では、駐車場へバスが入庫してから出庫するまでを示すフローチャートを示すとともに、補助的な概念も示している。
【0104】
駐車場へバスが入庫する(S10)。入庫の際に、そのバスにETC車載機が搭載されているか否かが判定される(S11)。搭載されていれば、駐車場の入庫ゲートが自動的に開放されるが、次に予約証を携帯しているか否かを(入庫サポート係員、または入庫カメラなどが)確認する(S12)。予約証が携帯されていれば、「予約車両」であるとしてETCの入庫データ受信手段が受信した入庫時刻データに基づいた自動精算の処理へ向かうこととなる(S13)。
【0105】
バス車両にETCが搭載されていない場合には、予約証を携帯していない。予約証を携帯する車両はETC搭載が原則だからである。
ETCが搭載されているが予約証を携帯していないバス車両、およびETCを搭載していないバス車両に対しては、「一般車」としての駐車券を発券機にて発券させることで入庫ゲートが開放される(S14)。この駐車券の発券は、入庫サポート係員が補助することが多い。バス運転手が「一般車」と「予約車」との区別に迷って入庫に時間が掛かることを防ぐためである。
【0106】
乗客の乗車を完了してバスが出発し(S15)、駐車料金の精算を終了したら(S16)、出庫ゲートが開放され、バスが駐車場を出庫できる(S17)。
【0107】
図16
図16は、図15に示した駐車料金の精算の箇所を詳述したフローチャートである。
乗客の乗車を完了してバス車両が出発する(S15)。このバス車両が、事前精算などの手続によって駐車料金を事前精算できる車両であるか否かが判断される(S151)。この判断は、ETC車載機による精算が可能か否かによる。事前精算ができるバス車両の場合には、ゲートが開放され(S154)、バスは出庫できる(S17)。
【0108】
事前精算できる車両ではない(ETCが搭載されていない車両である)場合、発券された駐車券を精算機へ投入する。投入されると、駐車券に書き込まれた入庫時刻データと出庫しようとする時刻とから算出された駐車時間が、初期の無料時間内であるかいなかを算出する(S152)。無料時間内であると判断された場合には、ゲートが開放され(S154)、バスは出庫できる(S17)。
【0109】
無料時間内ではない場合には、バス運転手が駐車料金を精算する(S153)。その精算が完了するとゲートが開放され(S154)、バスは出庫できる(S17)。
【0110】
以上説明してきた実施形態によれば、旅客車両に対する駐車場からの乗客の乗車を円滑にすることに寄与する駐車マス管理システム、およびマス係員端末やそれを運営する情報システムを提供することができた。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、駐車場の運営業、駐車場やバスを利用する旅行業、旅行を企画したり運営したりする旅行代理業、駐車場の運営に必要な機器の製造業やメンテナンス業、駐車場に関わるデータを扱うデータサービス業、などにおいて、利用可能性を有する。
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図15
図16