(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059706
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】ロボットモジュール及びモジュール型ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/08 20060101AFI20220407BHJP
F16S 3/08 20060101ALI20220407BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
B25J9/08
F16S3/08
F16C11/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167463
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】520384563
【氏名又は名称】瀧上 孝太
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】特許業務法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】瀧上 孝太
【テーマコード(参考)】
3C707
3J105
【Fターム(参考)】
3C707CU09
3C707HS27
3C707HT11
3J105AA02
3J105AC10
3J105BA50
(57)【要約】
【課題】剛性の高いモジュール型ロボットシステムを構成するロボットモジュールを提供する。
【解決手段】モジュール型ロボットシステムを構成するロボットモジュール2は、回転駆動手段としての電動モータ36を有し、六面体を構成する第1のブロック3と、回転駆動手段としての電動モータ46を有し、六面体を構成する第2のブロック4と、第1のブロック3の電動モータ36と第2のブロック4の電動モータ46とを連結するリンク5と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動手段を有し、六面体を構成する第1のブロックと、
回転駆動手段を有し、六面体を構成する第2のブロックと、
前記第1のブロックの前記回転駆動手段と前記第2のブロックの前記回転駆動手段とを連結するリンクと、を備える、ロボットモジュール。
【請求項2】
前記リンクは、伸縮自在に構成されている、請求項1に記載されたロボットモジュール。
【請求項3】
前記第1のブロック及び前記第2のブロックは、別のロボットモジュールの六面体の辺と接合するための接合部材を六面体の辺に有している、請求項1又は請求項2に記載された、ロボットモジュール。
【請求項4】
前記第1のブロック及び前記第2のブロックは、前記接合部材を六面体の全ての辺に有している、請求項3に記載された、ロボットモジュール。
【請求項5】
前記第1のブロック及び前記第2のブロックは、回転駆動手段としての電動モータと、前記電動モータを制御する回路基板と、前記電動モータ及び前記回路基板へ電力を供給するバッテリと、を有する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載された、ロボットモジュール。
【請求項6】
前記第1のブロック及び前記第2のブロックは、前記電動モータの回転軸に正対する六面体の特定の一面がブリッジ部を介して離間されて、前記リンクが回転するための隙間を形成するようにされている、請求項5に記載された、ロボットモジュール。
【請求項7】
前記第1のブロック及び前記第2のブロックは、別のロボットモジュールに対する接合面を変えることができるように、自転できるようにされている、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載された、ロボットモジュール。
【請求項8】
複数の請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載されたロボットモジュールを、全ての前記リンクの回転面を同一方向に揃えて配置することで、全体として変形可能な二次元構造を構成するようにされた、モジュール型ロボットシステム。
【請求項9】
複数の請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載されたロボットモジュールを、少なくとも1つの前記リンクの回転面を他の前記リンクの回転面と変えて配置することで、全体として変形可能な三次元構造を構成するようにされた、モジュール型ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットモジュールと、複数のロボットモジュールから構成されるモジュール型ロボットシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、人間が作業できないような過酷な環境下で作業する際に、ロボットが用いられることが多い。このようなロボットとして、同一構造の多数のユニット(ロボットモジュール)を結合/解除することで、様々な構造物を構成することが考えられている。
【0003】
ロボットモジュールによって構成される構造物は、二次元の形状をなすものであり、各モジュールは電磁力によって互いに結合/解除できるようになっており、隣接するモジュール間の相対的な結合関係を変化させることで、構造物全体の二次元の形状を変化させることができる。
【0004】
この種のロボットモジュールとして、例えば、特許文献1には、結合・離脱装置と、第1の結合部材と、第2の結合部材とを備えるとともに、両端が両結合部材の連結部に回動自在に連結する連結部材を備え、連結部材と結合部材を相対的に回転駆動する駆動装置を備えたことを特徴とする三次元構造物の自動組立体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された従来型のロボットモジュールでは、連結部材の長さが一定となっている。そうすると、結合部材(ブロック)間の距離が一定となり、結合部材(ブロック)を回転させて互いの位置を変化させるためには、結合部材(ブロック)の形状をかまぼこ型にする必要があった。ところが、このようにブロックの形状をかまぼこ型にするとブロック間に隙間が生じるため、モジュール型ロボットシステムの全体の剛性が低くなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、剛性の高いモジュール型ロボットシステムを構成するロボットモジュールと、ロボットモジュールから構成されるモジュール型ロボットシステムと、を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のロボットモジュールは、回転駆動手段を有し、六面体を構成する第1のブロックと、回転駆動手段を有し、六面体を構成する第2のブロックと、前記第1のブロックの前記回転駆動手段と前記第2のブロックの前記回転駆動手段とを連結するリンクと、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明のロボットモジュールは、回転駆動手段を有し、六面体を構成する第1のブロックと、回転駆動手段を有し、六面体を構成する第2のブロックと、第1のブロックの回転駆動手段と第2のブロックの回転駆動手段とを連結するリンクと、を備えている。このため、六面体の各面が互いに接合面となることで、全体として剛性の高いモジュール型ロボットシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】ロボットモジュールを構成要素に分解した分解図である。
【
図3】リンクが延ばされた状態のロボットモジュールの斜視図である。
【
図4】リンクが縮められた状態のロボットモジュールの斜視図である。
【
図5】一方のブロックが回転(公転)する途中のロボットモジュールの斜視図である。
【
図6】一方のブロックが回転(公転)する途中のロボットモジュールの斜視図である。
【
図7】一方のブロックが回転(公転)を完了したロボットモジュールの斜視図である。
【
図8】モジュール型ロボットシステムの変態について説明する斜視図である。(a)は変態前状態であり、(b)は変態途中状態であり、(c)は変態完了状態である。
【
図9】モジュール型ロボットシステムの変態について説明する斜視図である。(a)は変態前状態であり、(b)は変態途中状態であり、(c)は変態完了状態である。
【
図10】モジュール型ロボットシステムの変態について説明する斜視図である。(a)は変態前状態であり、(b)は変態途中状態であり、(c)は変態完了状態である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例0012】
以下に説明するロボットモジュール2を、組み合わせて配置することで、後述するモジュール型ロボットシステム(1)が構成される。ロボットモジュール2は、2つのブロック3、4を、電動モータ36を用いて0~270度回転させることで、様々な形態に変化できるようになっている。そして、個々のロボットモジュール2、・・・を協調させて動作させることによって、多種・多様な全体運動が可能である自律型のモジュール型ロボットシステム(1)となる。
【0013】
さらに、本実施例のロボットモジュール2は、後述するモジュール型ロボットシステム(1)の基本単位となるロボットであり、すべてのモジュールが同一形状である均質型として使用されることを想定して開発されている。さらに、以下に説明するように、ロボットモジュール2は、個別に制御可能であり、モジュール同士の機械的結合を自律的に変更することで自己再構成(分離・再結合)することができる。
【0014】
(ロボットモジュールの構成)
まず、
図1、
図2を用いて本実施例のロボットモジュール2の構成を説明する。ロボットモジュール2は、
図1、
図2に示すように、立方体(正六面体)の第1のブロック3と、立方体(正六面体)の第2のブロック4と、第1のブロック3と第2のブロック4とを連繋するリンク5と、から構成されている。
【0015】
このうち第1のブロック3は、各辺となるフレーム311~322によって、全体外形として剛性の高い立方体(六面体)を構成する。すなわち、第1のブロック3は、六面体の各辺をなす12本のフレーム311~322によって、骨格が形成されている。なお、本実施例では、第1のブロック3及び第2のブロック4は、フレーム構造であるとして説明したが、これに限定されるものではなく、六面体の各面がプレートによって構成された面構造であってもよい。
【0016】
そして、これらの12本のフレーム311~322には、別のブロック(第2のブロック4又は別のロボットモジュールのブロック)の辺と接合するための接合部材としてのマグネット331~354が設置されている。すなわち、24個のマグネット331~354が、各辺をなすフレーム311~322にそれぞれ2個ずつ配置されている。なお、マグネット431~454は、永久磁石であってもよいし、電磁石であってもよい。
【0017】
接合部材は、所定の吸着力で吸着しつつ、ブロック間の回転を可能とする構造であれば、どのような構造であってもよく、その意味で連結機構と称することもできる。例えば、一方には機械式の爪部材があり、他方には爪部材が係止される孔があってもよい。他にも、ピンとピン受孔(ボス)などの構造であってもよい。
【0018】
また、フレーム311~322のうち、図中の手前側の側面を構成するフレーム314、315、322、318は、ブリッジ部323を介して離間されており、リンク(5)が回転するために必要な隙間を形成するようになっている。すなわち、電動モータ36の回転軸に正対する特定の一面(フレーム314、315、322、318によって構成される面、
図1では手前に向いた面)は、ブリッジ部323のみで他の部分と繋がっている。このように隙間を設けることで、リンク5は、ブリッジ部323の両側の45度(合計90度)を除いた270度の範囲で回転することができるようになっている。
【0019】
そして、第1のブロック3は、骨格の内部に、フレーム311~322にX字型のブラケットを介して設置される回転駆動手段としての電動モータ36と、電動モータ36を制御する回路基板37と、電動モータ36及び回路基板37へ電力を供給するバッテリ38と、を有している。したがって、第1のブロック3は、それ単体でリンク5に相対的に回転することで、第2のブロック4を第1のブロック3に対して回転(公転)させたり、第1のブロック3自体を、リンク5に対して回転(自転)させたりできる。この他、図示しないが、第1のブロック3は、通信手段をさらに備えることで遠隔操作可能となっていることも好ましい。さらに、第1のブロック3は、電動モータ36とリンク5の間に減速装置(ギヤボックス)を備えることも好ましい。
【0020】
同様に、第2のブロック4は、各辺となるフレーム411~422によって、全体外形として剛性の高い立方体(六面体)を構成する。すなわち、第2のブロック4は、六面体の各辺をなす12本のフレーム411~422によって、骨格が形成されている。
【0021】
そして、これらの12本のフレーム411~422には、別のブロック(第1のブロック3又は別のロボットモジュールのブロック)の辺と接合するための接合部材としてのマグネット431~454が設置されている。すなわち、24個のマグネット431~454が、各辺をなすフレーム411~422にそれぞれ2個ずつ配置されている。なお、マグネット431~454は、永久磁石であってもよいし、電磁石であってもよい。
【0022】
接合部材は、所定の吸着力で吸着しつつ、ブロック間の回転を可能とする構造であれば、どのような構造であってもよく、その意味で連結機構と称することもできる。例えば、一方には機械式の爪部材があり、他方には爪部材が係止される孔があってもよい。他にも、ピンとピン受孔(ボス)などの構造であってもよい。
【0023】
また、フレーム411~422のうち、図中の手前側の側面を構成するフレーム414、415、422、418は、ブリッジ部423を介して離間されており、リンク(5)が回転するために必要な隙間を形成するようになっている。すなわち、電動モータ46の回転軸に正対する特定の一面(フレーム414、415、422、418によって構成される面、
図1では手前に向いた面)は、ブリッジ部423のみで他の部分と繋がっている。このように隙間を設けることで、リンク5は、ブリッジ部423の両側の45度(合計90度)を除いた270度の範囲で回転することができるようになっている。
【0024】
そして、第2のブロック4は、骨格の内部に、フレーム411~422にX字型のブラケットを介して設置される回転駆動手段としての電動モータ46と、電動モータ46を制御する回路基板47と、電動モータ46及び回路基板47へ電力を供給するバッテリ48と、を有している。したがって、第2のブロック4は、それ単体でリンク5に相対的に回転することで、第1のブロック3を第2のブロック4に対して回転(公転)させたり、第2のブロック4自体を、リンク5に対して回転(自転)させたりできる。この他、図示しないが、第2のブロック4は、通信手段をさらに備えることで遠隔操作可能となっていることも好ましい。さらに、第2のブロック4は、電動モータ46とリンク5の間に減速装置(ギヤボックス)を備えることも好ましい。
【0025】
リンク5は、第1のブロック3の電動モータ36の回転軸と、第2のブロック4の電動モータ46の回転軸と、を連結している。すなわち、リンク5は、2つの電動モータ36、46に固定されている。このため、これらの電動モータ36、46を回転させることで、第1のブロック3又は第2のブロック4を移動(公転)させたり、第1のブロック3又は第2のブロック4を回転(自転)させたりできる。そして、本実施例のリンク5は、鞘状(筒状)に形成される外部材51と、外部材51の内部に挿脱自在に嵌め込まれる内部材52と、を備えていることで、伸縮自在に構成されている。
【0026】
より具体的に言うと、
図3に示すように、リンク5が伸びた状態―すなわち、外部材51と内部材52のラップ長が少ない状態―では、第1のブロック3と第2のブロック4が正六面体の辺の長さの√2倍離れている。したがって、電動モータ36(46)の回転によってリンク5が回転してリンク5が伸ばされた状態であれば、第1のブロック3と第2のブロック4が、隅角部を乗り越えて相対的に回転できる。
【0027】
他方、
図4に示すように、リンク5が縮んだ状態―すなわち、外部材51と内部材52のラップ長が多い状態―では、第1のブロック3と第2のブロック4が正六面体の辺の長さの1倍離れている。したがって、電動モータ36(46)が回転せずにリンク5が縮んだ状態であれば、第1のブロック3と第2のブロック4が、隅角部を乗り越えて相対的に回転できない。
【0028】
なお、ここではリンク5には伸縮するための特別な動力がないものとして説明したが、これに限定されるものではなく、リンク5は伸縮するための動力を搭載することもできる。例えば、外部材51にラックが取り付けられ、内部材52側に支承されたピニオンギヤの回転によって伸縮する構造とすることができる。
【0029】
(変態動作について)
次に、
図4~
図7を用いて、本実施例のロボットモジュール2の変態動作について説明する。ここでは、一例として、第1のブロック3が、第2のブロック4の真横から、第2のブロック4の真上まで移動(図中では右回りに回転)する例について説明する。
【0030】
図4に示す初期の状態では、第1のブロック3が第2のブロック4の真横に位置しており、リンク5は横向きになっている。また、第1のブロック3のフレーム311と、第2のブロック4のフレーム413が互いに隣接した状態となっている。この状態では、リンク5の回転軸から回転軸までの長さは、最短状態―すなわち正六面体の辺と同一の長さ―となっている。電動モータ36、46は、いずれも回転していない。
【0031】
図4の初期の状態から、第2のブロック4の電動モータ46を図中で右回りに回転させることで、
図5に示すように、リンク5も右回りに回転する。そうすると、このリンク5の回転に伴って、第1のブロック3は、フレーム311とフレーム413の接線を回転中心として、右回りに回転する。そして、このようにリンク5及び第1のブロック3が回転する際には、リンク5が伸びることでこの回転を可能としている。逆に言うと、リンク5が伸びなければ、回転は不可能となる。
【0032】
この
図5に示す途中の状態(回転角度45度以下)では、第1のブロック3が第2のブロック4の斜め上に位置している。この状態では、リンク5の回転軸から回転軸までの長さは、最短状態―すなわち正六面体の辺と同一の長さ―よりも長く、最長状態―すなわち正六面体の辺の√2倍の長さ―よりも短くなっている。
【0033】
図5の途中の状態から、電動モータ46をさらに回転させると、リンク5がさらに回転して、第1のブロック3が第2のブロック4の斜め45度上に位置する状態となる。この状態では、リンク5の回転軸から回転軸までの長さは、最長状態―すなわち正六面体の辺の√2倍の長さ―となっている。
図4に示す初期の状態から
図6に示す斜め45度上の状態までは、リンク5は徐々に伸びていき、この後、
図6に示す状態から
図7に示す完了状態までは、リンク5は徐々に縮んでいく。
【0034】
図6の途中の状態から、第2のブロック4の電動モータ46を、さらに図中で右回りに回転させることで、
図7に示すように、リンク5も右回りに回転する。そうすると、このリンク5の回転に伴って、第1のブロック3は、フレーム311とフレーム413の接線を回転中心として、さらに右回りに回転する。そして、このようにリンク5及び第1のブロック3が回転する際には、リンク5が伸びることでこの回転を可能としている。逆に言うと、リンク5が伸びなければ、回転は不可能となる。
【0035】
その後、
図6の途中の状態から
図7の完了状態まで変形する途中に、第1のブロック3の電動モータ36は、右回りに90度回転(自転)するようにされている。このように、第1のブロック3が第2のブロック4の周りに回転(=公転)する際には、同時に第1のブロック3は回転(=自転)するようになっている。このように公転するブロックが自転することで、次の動作に支障がない状態(ブリッジ部323、423が対峙する状態)となる。
【0036】
そして、
図7に示す完了状態では、第1のブロック3が第2のブロック4の真上に位置しており、リンク5は縦向きになっている。この状態では、リンク5の回転軸から回転軸までの長さは、最短状態―すなわち正六面体の辺と同一の長さ―となっている。なお、電動モータ36、46は、いずれも回転していない。
【0037】
(モジュール型ロボットシステム)
次に、
図8~
図10を用いて、モジュール型ロボットシステム1の構成について説明する。モジュール型ロボットシステム1は、複数のロボットモジュール2、・・・から構成される。ここでは、最も簡単な例として、2つのロボットモジュール2A、2Bから構成されるモジュール型ロボットシステム1について説明する。
【0038】
本実施例のモジュール型ロボットシステム1では、
図8(a)に示すように、2つのロボットモジュール2A、2Bが、リンク5、5の回転面を同一方向に揃えて配置されている。したがって、この回転面の面内で変形が実施される。以下では、左側のロボットモジュール2Aが、右側のロボットモジュール2Bを超えて右側へ移動する場合の変形例について説明する。
【0039】
具体的には、
図8(a)~(c)に示すように、はじめに、左側のロボットモジュール2Aの第1のブロック3Aが、第2のブロック4Aの上に移動する。この際には、第2のブロック4Aの電動モータ(46)が回転することでリンク5Aが右回りに回転する。
【0040】
途中、リンク5Aは、回転角度にして0度~45度までは延び、45度~90度までは縮む。すなわち、電動モータ46がリンク5Aにモーメントを与えることで、第1のブロック3Aは、右上の辺を中心として回転しようとするが、これに伴ってリンク5Aが伸ばされる。加えて、第1のブロック3Aの電動モータ36が回転することで、第1のブロック3Aはブリッジ部323が最上部に位置するように自転する。
【0041】
続いて、
図8(c)~
図9(a)に示すように、左側のロボットモジュール2Aの第1のブロック3Aが、右側のロボットモジュール2Bの第1のブロック3Bの右に移動する。そして、
図9(a)~(c)に示すように、左側のロボットモジュール2Aの第1のブロック3Aが、右側のモジュール2Bの第2のブロック4Bの上に移動する。
【0042】
その後、
図10(a)~
図10(b)に示すように、左側のロボットモジュール2Aの第2のブロック4Aが、右側のロボットモジュール2Bの第2のブロック4Bの右に移動する。最後に、
図10(b)~(c)に示すように、左側のロボットモジュール2Aの第1のブロック3Aが、左側のモジュール2Aの第2のブロック4Aの右に移動する。
【0043】
(効果)
次に、本実施例のロボットモジュール2(2A、2B)等の奏する効果を列挙して説明する。
【0044】
(1)上述してきたように、本実施例のロボットモジュール2は、回転駆動手段としての電動モータ36を有し、六面体を構成する第1のブロック3と、回転駆動手段としての電動モータ46を有し、六面体を構成する第2のブロック4と、第1のブロック3の電動モータ36と第2のブロック4の電動モータ46とを連結するリンク5と、を備えている。このため、六面体の各面が互いに接合面となることで、全体として剛性の高いモジュール型ロボットシステム1を構築できる。
【0045】
(2)また、リンク5は、伸縮自在に構成されていることによって、第1のブロック3と第2のブロック4が相対的に移動(回転)でき、かつ、移動後には正六面体の面どうしが接することで全体の剛性を高めることができる。
【0046】
(3)さらに、第1のブロック3及び第2のブロック4は、別のロボットモジュール(2)の六面体の辺と接合するための接合部材としてのマグネット331-354(431-454)を六面体の辺に有している。このような構成によれば、ブロック3、4が移動(公転)する際の支点を構成でき、かつ、移動後には接合面間の吸着によって全体の剛性を高めることができる。
【0047】
(4)また、第1のブロック3及び第2のブロック4は、接合部材としてのマグネット331-354(431-454)を六面体の全ての辺に有していることで、すべての面を接合に使用することができる。つまり、このロボットモジュール2は、複数のロック面を有するため、相手ブロックの横面や上面に自由にロックさせることが可能である。
【0048】
(5)さらに、第1のブロック3及び第2のブロック4は、回転駆動手段としての電動モータ36(46)と、電動モータ36(46)を制御する回路基板37(47)と、電動モータ36(46)及び回路基板37(47)へ電力を供給するバッテリ38(48)と、を有している。このような構成によれば、ロボットモジュール2を個別に制御可能であり、モジュール同士の機械的結合を自律的に変更することで自己再構成(分離・再結合)することができる。
【0049】
(6)また、第1のブロック3及び第2のブロック4は、電動モータ36の回転軸に正対する六面体の特定の一面がブリッジ部323(423)を介して離間されて、リンク5が回転するための隙間を形成するようにされていることで、リンク5が0度~270度の広い可動範囲を回転できるようになる。
【0050】
(7)さらに、第1のブロック3及び第2のブロック4は、別のロボットモジュールに対する接合面を変えることができるように、自転できるようにされていることで、常に最適な回転位置(姿勢)を維持して、その後の変態(公転・自転)に備えることができるようになっている。
【0051】
(8)そして、本実施例のモジュール型ロボットシステム1は、上述した複数のロボットモジュール2、・・・を、全てのリンク5、・・・の回転面を同一方向に揃えて配置することで、全体として変形可能な二次元構造を構成することが可能である。つまり、X-Z平面にロボットモジュール2を配置すれば、X-Z平面の2次元の移動が可能となる。
【0052】
(9)他方で、別実施例のモジュール型ロボットシステム(1)は、上述した複数のロボットモジュール2、・・・を、少なくとも1つのリンク5の回転面を他のリンク5、・・・の回転面と方向を変えて配置することで、全体として変形可能な三次元構造を構成することも可能である。つまり、X-Z平面だけでなく、X-Y平面にもロボットモジュール2を配置すれば、Z-Z平面とX-Y平面を合わせた3次元の移動が可能となる。
【0053】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0054】
例えば、実施例のロボットモジュール2は、ブリッジ部323(423)を有するために、0度~270度の範囲を回転する仕様であったが、これに限定されるものではなく、中空シャフト等を用いた回転可能な接続構造を有していれば回転範囲を制限されることなく回転可能となる。