IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイナミックマップ基盤株式会社の特許一覧

特開2022-59709情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置
<>
  • 特開-情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置 図1
  • 特開-情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置 図2
  • 特開-情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置 図3
  • 特開-情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置 図4
  • 特開-情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置 図5
  • 特開-情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置 図6
  • 特開-情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置 図7
  • 特開-情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置 図8
  • 特開-情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059709
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20220407BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
G01C21/26 A
G08G1/0968 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167466
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】517207875
【氏名又は名称】ダイナミックマップ基盤株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 晋明
(72)【発明者】
【氏名】矢野 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】雨谷 広道
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB04
2F129BB20
2F129BB26
2F129EE02
2F129EE78
2F129EE89
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF20
2F129FF47
2F129FF62
2F129FF71
2F129GG17
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
(57)【要約】
【課題】レーン単位での車両の走行履歴を容易に管理すること。
【解決手段】情報処理方法は、プロセッサを含む情報処理装置が実行する情報処理方法であって、プロセッサが、レーン単位で管理可能な所定の精度レベルを有する地図データを取得すること(S104)、衛星測位システムからの信号に基づきレーン単位での位置を測定可能なロケータにより出力される車両の位置情報を順に取得すること(S102)、順に取得された位置情報を、地図データに対応付けて、地図データ上における車両の走行履歴を管理すること(S110)、を実行する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを含む情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記プロセッサが、
レーン単位で管理可能な所定の精度レベルを有する地図データを取得すること、
衛星測位システムからの信号に基づきレーン単位での位置を測定可能なロケータにより出力される車両の位置情報を順に取得すること、
順に取得された前記位置情報を、前記地図データに対応付けて、前記地図データ上における前記車両の走行履歴を管理すること、を実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記プロセッサが、
前記走行履歴に基づいて、前記車両の走行に対するレーン単位での料金を決定すること、をさらに実行する請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記決定することは、
前記位置情報に基づく前記車両の第1位置と、前記車両が走行するレーンの区画線の第2位置との位置関係に基づいて、前記車両の走行レーンを特定すること、
特定された前記走行レーンに基づいて、前記レーン単位での料金を決定すること、を含む請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記走行レーンを特定することは、
前記車両の車幅にさらに基づいて、前記車両の走行レーンを特定することを含む、請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記位置関係は、前記車両と、当該車両に近接するレーン間の区画線との距離を含む、請求項3又は4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記決定することは、
前記車両が走行レーンを変更する場合、レーン変更時にかかる時間を用いて、当該レーン変更時における料金を決定すること、を含む請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記決定することは、
レーン変更の回数に応じて前記料金を調整することを含む、請求項2から6のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
プロセッサを含む情報処理装置に実行させるプログラムであって、
前記プロセッサに、
レーン単位で管理可能な所定の精度レベルを有する地図データを取得すること、
衛星測位システムからの信号に基づきレーン単位での位置を測定可能なロケータにより出力される車両の位置情報を順に取得すること、
順に取得された前記位置情報を、前記地図データに対応付けて、前記地図データ上における前記車両の走行履歴を管理すること、を実行させるプログラム。
【請求項9】
プロセッサを含む情報処理装置であって、
前記プロセッサが、
レーン単位で管理可能な所定の精度レベルを有する地図データを取得すること、
衛星測位システムからの信号に基づきレーン単位での位置を測定可能なロケータにより出力される車両の位置情報を順に取得すること、
順に取得された前記位置情報を、前記地図データに対応付けて、前記地図データ上における前記車両の走行履歴を管理すること、を実行する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の走行レーンに応じて課金を行う技術がある。例えば、車載装置から自車走行レーンと、この自車走行レーンにおいて車両が走行した距離とを判断可能な走行情報に基づいて、車両の通行料金を算出する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-73233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、車載装置から送信される走行情報に位置情報が含まれることは記載されているが、当時の技術水準において、車載装置により取得される位置情報からどうやって走行レーンを特定するのかが明らかではない。
【0005】
他方、近年、高精度な地図データが生成され、この地図データの精度レベルは、約0.5mでの精度を可能とし、レーンを区別することが可能となっている。
【0006】
そこで、本発明は、高精度な位置情報を取得可能なロケータを車両に設け、このロケータにより取得される高精度な位置情報と、高精度な地図データとを用いることで、レーン単位での車両の走行履歴を容易に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、プロセッサを含む情報処理装置が実行する情報処理方法であって、前記プロセッサが、レーン単位で管理可能な所定の精度レベルを有する地図データを取得すること、衛星測位システムからの信号に基づきレーン単位での位置を測定可能なロケータにより出力される車両の位置情報を順に取得すること、順に取得された前記位置情報を、前記地図データに対応付けて、前記地図データ上における前記車両の走行履歴を管理すること、を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レーン単位での車両の走行履歴を容易に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る地図データの階層構造の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る車両の構成の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るデータベースの一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る走行履歴情報の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態におけるレーンチェンジの一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る走行管理及び課金処理に関する処理の一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の一実施形態に係る課金処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0011】
<システムの概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。図1に示す情報処理システム1は、高精度ロケータを搭載する車両10と、情報処理装置20と、GNSS(Global Navigation Satellite System)において利用される測位衛星30を含み、これらはネットワークNを介して相互にデータの送受信をすることが可能である。また、車両10や情報処理装置20の数は1つ以上あってもよい。
【0012】
車両10は、高精度ロケータを搭載する車両である。また、車両10は、GNSSの測位衛星30から信号を受信し、高精度ロケータを用いて自車両の位置情報を検出可能である。また、車両10は、自動運転システムを搭載し、自動運転(自律走行)が可能な車両でもよい。
【0013】
高精度ロケータは、衛星測位システムからの信号に基づきレーン単位での位置を測定可能なロケータであり、公知のロケータを使用すればよい。高精度ロケータは、例えば、準天頂衛星からの情報を受信し、後述する高精度3次元地図データと組み合わせることで、レーン単位での車両10の位置情報を取得することが可能である。例えば、高精度ロケータを用いることで、車両位置の精度が約0.5m以下に高められる。位置情報は、例えば緯度、経度、高度の3次元位置情報、又は緯度、経度の2次元位置情報を含む。
【0014】
測位衛星30は、位置情報の計測に必要な信号を送信する衛星である。例えば、測位衛星30は、GNSSに用いられる衛星であり、高精度な位置情報に関する信号を送信可能な衛星(例えば準天頂衛星)を含んでもよい。
【0015】
情報処理装置20は、例えばサーバであり、車両10から、高精度ロケータにより取得される車両10の位置情報等を取得する。また、情報処理装置20は、以下に説明する地図データを用いて車両10の走行履歴をレーン単位で管理したり、レーン単位で課金が行なわれる車道等を車両10が走行した場合は、レーン単位で課金を行って走行料金を決定したりする。なお、情報処理装置20は、複数の情報処理装置から構成されてもよい。
【0016】
<地図データの概要>
ここで、本実施形態で用いられる地図データの概要について説明する。本実施形態で用いる地図データは、例えば、自動運転等に用いられる高精度な3次元地図のデータである。具体例としては、この地図データは、周辺車両の情報や交通情報といった、より動的な情報が付加されたリアルタイムに提供されるダイナミックマップと呼ばれる地図のデータである。本実施形態で用いられる地図データは、例えば4つの階層に分類される。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態に係る地図データの階層構造の一例を示す図である。図2に示す例では、地図データは、静的情報SI1、準静的情報SI2、準動的情報MI1、動的情報MI2に分類される。
【0018】
静的情報SI1は、3次元の高精度な基盤的地図データ(高精度3次元地図データ)であって、路面情報、車線情報、3次元構造物等を含み、地物を示す3次元位置座標や線形ベクトルデータから構成される。準静的情報SI2、準動的情報MI1及び動的情報MI2は、時々刻々と変化する動的データであって、位置情報を基に静的情報に重畳されるデータである。
【0019】
準静的情報SI2は、交通規制情報、道路工事情報、広域気象情報などを含む。準動的情報MI1は、事故情報、渋滞情報、狭域気象情報などを含む。動的情報MI2は、ITS(Intelligent Transport System)情報を含み、周辺車両、歩行者、信号情報などを含む。
【0020】
ダイナミックマップの実現には、静的情報SI1に対応する高精度3次元地図データ(以下、「HD(High Definition)マップ」とも称する。)の構築が重要になる。HDマップは、レーン単位で管理可能な所定の精度レベルを有する。例えば、精度レベルとして、デジタル化された地図でその位置や高さの精度を示すために用いられる地図情報レベルが用いられると、HDマップは、地図情報レベル500(相当縮尺1/500)程度及び地図情報レベル500より精緻なレベルを有するマップである。
【0021】
以下、本実施形態に係る、レーン単位での走行管理や課金処理に用いられる車両10や情報処理装置20等について説明する。
【0022】
<車両の構成>
図3は、本発明の一実施形態に係る車両10の構成の一例を示す図である。図1に示す例では、車両10は、車載器として、高精度ロケータ101と、プロセッサ102と、各種センサ103と、通信装置104とを備える。
【0023】
高精度ロケータ101は、例えば精度50cmで高精度に自車位置を演算するロケータであり、精度50cm程度以下であるので結果的にレーン単位での位置を測定することが可能になる。また、高精度ロケータ101は、測位衛星30からの測位補強信号や搬送波位相を用いた測位を行ったり、カメラを用いたレーンマップマッチングを行ったり、GNSSのRawデータを用いて精度評価を行ったりしてもよい。
【0024】
プロセッサ102は、車両10の運転制御等を行い、又は、外部の装置とのデータの送受信を制御する。各種センサ103は、車載カメラ、車速センサ、加速度センサを含む。通信装置104は、外部の装置とデータの送受信を行う。例えば、通信装置104は、高精度ロケータ101により取得された車両10の位置情報を情報処理装置20に送信する。
【0025】
<情報処理装置の構成>
図4は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置20の構成の一例を示す図である。情報処理装置20は、1つ又は複数の処理装置(CPU:Central Processing Unit)210、1つ又は複数のネットワーク通信インタフェース220、記憶装置230、ユーザインタフェース250及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス270を含む。なお、ユーザインタフェース250は必ずしも必要ではない。
【0026】
記憶装置230は、例えば、DRAM、SRAM、他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリである。また、記憶装置230は、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリでもよい。また、記憶装置230は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体でもよい。
【0027】
また、記憶装置230の他の例として、CPU210から遠隔に設置される1つ又は複数の記憶装置でもよい。ある実施形態において、記憶装置230はCPU210により実行されるプログラム、モジュール及びデータ構造、又はそれらのサブセットを格納する。
【0028】
記憶装置230は、情報処理システム1により用いられるデータを記憶する。例えば、記憶装置230は、車両10の走行管理や課金処理に関するデータを記憶する。具体例としては、ダイナミックマップ、HDマップ、走行履歴情報、レーン単位での料金情報などが記憶装置230に記憶される。
【0029】
図5は、本発明の一実施形態に係るデータベースの一例を示す図である。図5に示す例では、記憶装置230はダイナミックマップデータを高精度地図データベースとして記憶する。上述したように、ダイナミックマップデータは、静的情報SI1と、準静的情報SI2と、準動的情報MI1と、動的情報MI2とを含み、それぞれの情報が関連付けられている。
【0030】
ダイナミックマップデータに含まれる静的情報SI1は、HDマップを含み、HDマップは、地物データを含む。この地物データは、アプリケーションがダイナミックマップを利用する際に基本となる情報であり、信号機、車道、車線などの地物に関するデータを含む。
【0031】
図6は、本発明の一実施形態に係る走行履歴情報の一例を示す図である。図6に示す例では、走行履歴情報は、記憶装置230に記憶され、車両IDに関連付けて、走行距離や走行時間を含む走行履歴情報、料金情報などが含まれる。
【0032】
図6に示す「車両ID」は、車両を識別可能な情報である。「走行履歴」情報は、車両10のレーン単位での走行履歴を含む情報であり、レーン単位で「走行距離」、「走行時間」が管理される。「料金」情報は、例えば、レーンごとに課金された結果を加算した金額を含む情報である。
【0033】
図4に戻り、本実施形態に係る車両10の走行管理、又は課金処理に関する処理を実行するCPU210について説明する。CPU210は、記憶装置230に記憶されるプログラムを実行することで、走行制御部212、送受信部213、取得部214、管理部215、決定部216、特定部217を構成する。
【0034】
CPU210は、後述する各部の処理を制御し、車両10の走行管理又は課金処理に関する処理を実行するように構成される。
【0035】
走行制御部212は、各種データを用いて、車両10の走行管理を制御する。例えば、走行制御部212は、車両10の走行履歴を管理したり、走行履歴に基づき課金される料金を管理したりする。
【0036】
送受信部213は、外部装置に対して、ネットワーク通信インタフェース220を介してデータの送受信を行う。例えば、送受信部213は、車両10や各測位衛星30からデータや信号等を受信する受信部として構成され、車両10や各測位衛星30にデータや信号等を送信する送信部としても構成される。具体例として、送受信部213は、車両10から、高精度ロケータ101により取得される位置情報を受信し、走行履歴情報や、走行に基づき課金された料金情報を、車両10に送信する。
【0037】
取得部214は、レーン単位で管理可能な所定の精度レベルを有する地図データを取得する。例えば、取得部214は、記憶装置230から、地図情報レベル500又はそれ以上の精度を有するHDマップを取得する。
【0038】
また、取得部214は、衛星測位システムからの信号に基づきレーン単位での位置を測定可能なロケータ(例えば高精度ロケータ101)により出力される車両10の位置情報を順に取得する。例えば、取得部214は、送受信部213により受信される車両10の位置情報を順に取得する。取得部214は、ネットワーク通信インタフェース220を介して、車両10の位置情報を直接取得してもよい。
【0039】
管理部215は、取得部214により順に取得された位置情報を地図データに対応付けて、この地図データ上における車両10の走行履歴を管理する。例えば、管理部215は、高精度ロケータ101により測定された車両10の位置情報を、HDマップ上にマッピングする。管理部215は、HDマップ上でマッピングされた車両10の位置を走行履歴情報として管理したり、HDマップ上で車両10がどのレーンを走行しているかを特定し、特定された走行レーンに基づく走行履歴情報を管理したりしてもよい。
【0040】
以上の処理により、車両10が高精度ロケータ101を搭載することにより、レーン単位での位置が測定可能な車両10の位置情報を取得することが可能になり、また、情報処理装置20側ではHDマップを使用することにより、車両10位置の高精度なマッピングが可能になり、例えば車両10のレーン単位での走行管理を容易に行うことができる。本実施形態の場合、位置情報の位置の精度と、地図データの精度とが高精度に同程度であるため、それぞれのマッピング処理において、位置補正等に処理をかけずに効率よく実行することが可能である。そのため、車両10の走行履歴を効率的に管理することが可能になる。
【0041】
また、決定部216は、管理部215により管理される走行履歴に基づいて、車両10の走行に対するレーン単位での料金を決定してもよい。例えば、決定部216は、記憶装置230に記憶される走行レーンごとの料金情報を参照し、車両10が走行したレーン、その走行距離又は走行時間を用いてレーンごとの料金を算出し、各レーンの料金を加算することで、その車両10の走行料金を決定する。車両10の料金情報は、例えば有料道路ごとに管理されてもよく、所定時間単位の料金、又は所定距離単位の料金を含む。
【0042】
この処理により、レーン単位で走行料金が異なる車道を車両10が走行する場合、レーン単位での走行履歴を用いたり、車両10の走行位置を高精度(例えば0.5m精度)で地図データ上にマッピングしたりして、実際の走行レーンを容易に把握でき、レーン単位での課金処理を容易に実行することが可能になる。
【0043】
また、決定部216は、車両10の位置情報に基づく車両10の第1位置と、車両10が走行するレーンの区画線の第2位置との位置関係に基づいて、車両10の走行レーンを特定する特定部217を有してもよい。この場合、決定部216は、特定部217により特定された走行レーンに基づいて、レーン単位での料金を決定してもよい。
【0044】
例えば、車両10がレーン間の区画線を跨って走行するような場合、車両10がどちらのレーンを走行しているのかを決定することが困難になる。この場合、特定部217は、例えば、車両10に搭載される高精度ロケータ101の位置に関する車両10の第1位置と、レーン間の区画線の第2位置との位置関係を用いて、第2位置(又は区画線)を基準にして、第1位置がどのレーンに位置するかを特定し、車両10が属するレーンを判定してもよい。
【0045】
車両10の第1位置は、高精度ロケータ101の車両10内の位置に基づき算出可能な車両10に関する任意の位置であり、例えば、車両10の中心位置などの位置である。区画線の第2位置は、例えば、第1位置から区画線に垂線を引いた場合の交点である。
【0046】
図7は、本発明の一実施形態におけるレーンチェンジの一例を示す図である。図7に示す例では、車両10は、利用料金が低いAレーンから、利用料金が高いBレーンにレーンチェンジ(車線変更)する。また、車両10は、進行方向に進む際に、(1)~(6)の順でAレーンからBレーンにレーンチェンジする。
【0047】
特定部217は、例えば、車両10の中心位置を第1位置P1とする場合、区画線ABを境界にして、第1位置がどちらのレーンに属するかで走行レーンを特定してもよい。図7に示す例では、特定部217は、(1)~(3)の場合はAレーン、(4)~(6)の場合はBレーンを特定する。
【0048】
この処理により、レーンチェンジや追い越し等の際に、車両10がレーンを跨るような場合でも、適切に車両10の走行レーンを特定することができ、走行管理やレーン単位での課金処理を適切に行うことができる。
【0049】
また、特定部217は、区画線に関する所定条件を満たす場合、例えば、車両10の第1位置と区画線の第2位置との距離が所定距離以内になる場合に、走行レーンの特定を実行してもよい。具体例として、車両10が区画線に近づいて走行する場合に、どちらのレーンを走行しているかを特定するため、特定部217による走行レーン特定処理を実行させる。なお、特定部217によるレーン特定処理は、走行履歴を管理する際に管理部215において常時実行するようにしてもよい。
【0050】
また、特定部217は、走行レーンを特定する際に、車両10の車幅にさらに基づいて、車両10の走行レーンを特定してもよい。例えば、特定部217は、予め保持しておいた自車両の車幅と、高精度ロケータ101の車内位置とに基づいて、車両10の最右端、又は最左端を特定することができ、その端部の位置と区画線の位置との関係を用いて走行レーンを特定してもよい。例えば、特定部217は、車両10全体が区画線を超えた場合に、レーンチェンジと判定してもよい。
【0051】
図7の例を用いると、特定部217は、車両10の左端部が区画線ABを超えた場合にレーンチェンジをしたと判定してもよい。すなわち、特定部217は、(1)~(4)の場合はAレーン、(5)~(6)の場合はBレーンを走行レーンとして特定する。
【0052】
この処理によれば、車両10の車幅を用いて走行レーンを特定することができるため、車両10による車幅の違いを考慮した走行レーンの特定を行うことができる。
【0053】
また、上述した車両10の第1位置と区画線の第2位置との位置関係は、車両10と、車両10に近接するレーン間の区画線との距離(例えば最短距離)を含んでもよい。これにより、車両10と区画線との位置関係について、第1位置から区画線に垂線を引くなどして第2位置を明確に特定し、この位置関係をより適切に求めることが可能になる。
【0054】
また、決定部216は、車両10が走行レーンを変更する場合、レーンチェンジ時にかかる時間を用いて、レーンチェンジ時における料金を決定してもよい。例えば、図7に示す例を用いれば、レーンチェンジの際に、AレーンとBレーンに跨る時間が均等ではない場合もあるため、決定部216は、車両10が区画線ABを跨る時間又は距離((3)~(4)の時間又は距離)を算出し、これらの移行時間又は移行距離を按分することで走行料金を決定してもよい。例えば、決定部216は、Aレーンの料金とBレーンの料金とを加算して2で割った金額に、(3)~(4)の移行時間又は移行距離を乗算して、車両10が区画線に跨る際の料金を決定してもよい。
【0055】
この処理により、車両10がレーン間の区画線に跨った場合に、詳細にどちらのレーンに属するかを特定しなくても、車両10がレーンに跨った時間(移行時間)、又は距離(移行距離)に基づいて料金を決定することが可能になる。
【0056】
また、決定部216は、レーンチェンジの回数に応じて料金を調整することを含んでもよい。例えば、決定部216は、レーンチェンジの回数が多いほど、又は所定回数を超えた場合に所定料金を加算するようにしてもい。また、決定部216は、レーンチェンジがなければ、料金をディスカウントしてもよい。
【0057】
この処理により、車両10に対して事故の危険性が高くなるレーンチェンジに対し、無用なレーンチェンジを防止することが可能になる。
【0058】
また、車両10がレーン間の区画線に跨った状態のままで走行する場合もありうる。例えば、図7に示す例を用いれば、車両10は、低い料金に課金される(3)又は(4)の状態で、車両を追い越していく場合などが想定される。このようなケースを防止するため、決定部216は、所定期間以上、車両10がレーン間の区画線に跨っている場合、所定金額を加算するようにしてもよい。
【0059】
<動作処理>
次に、情報処理システム1の走行管理及び課金処理に関する各処理について説明する。図8は、本発明の一実施形態に係る走行管理及び課金処理に関する処理の一例を示すフローチャートである。図8に示す処理は、車両10と情報処理装置20とで協働して実行される処理である。
【0060】
ステップS102において、情報処理装置20の走行制御部212は、管理対象の車両10が走行開始したか否かを判定する。例えば、走行制御部212は、車両10のエンジン起動や、車両位置の移動を検知して走行開始を判定する。車両10が走行開始すれば(ステップS102-YES)、処理はステップS104に進み、車両10が走行開始していなければ(ステップS102-NO)、処理はステップS102に戻る。
【0061】
ステップS104において、取得部214は、HDマップなどの地図データを、記憶装置230などの格納先から取得する。地図データの取得は、位置情報をマッピングする前の何れかのタイミングで取得していればよく、このタイミングでなくてもよい。
【0062】
ステップS106において、取得部214は、車両10から出力される、高精度ロケータ101により測定された車両10の位置情報を取得する。
【0063】
ステップS108において、管理部215は、取得される位置情報を地図データに対応付ける。例えば、管理部215は、位置情報を地図データ上にマッピングする。
【0064】
ステップS110において、管理部215は、車両10の走行履歴を管理する。管理部215は、高精度ロケータ101により測定される位置情報と、HDマップとを用いて、高精度な走行履歴を管理する。
【0065】
ステップS112において、走行制御部212は、車両10が走行を終了したか否かを判定する。走行制御部212は、エンジン停止や、車両10が所定時間移動しないことを検知した場合などに、走行終了を判定する。走行が終了すれば(ステップS112-YES)、処理はステップS114に進み、走行が終了していなければ(ステップS112-NO)、処理はステップS102に戻り、次の位置情報が取得される。
【0066】
ステップ114において、決定部216は、車両10の走行履歴に基づいて、レーン単位での課金処理を実行し、走行レーンの利用料金を決定する。なお、ステップS114における処理は、例えばステップS110の後に実行され、走行中にリアルタイムに料金計算が行われてもよい。
【0067】
以上の処理によれば、車両10が高精度ロケータ101を搭載することにより、レーン単位での位置が測定可能な車両10の位置情報を取得することが可能になり、また、情報処理装置20側ではHDマップを使用することにより、車両10位置の高精度なマッピングが可能になり、例えばレーン単位での走行管理を容易に行うことができる。本実施形態の場合、位置情報の位置の精度と、地図データの精度とが高精度に同程度であるため、それぞれのマッピング処理において、位置補正等に処理をかけずに効率よく実行することが可能できる。そのため、車両10の走行履歴を効率的に管理することが可能になる。
【0068】
また、レーン単位で走行料金が異なる車道を車両10が走行する場合、レーン単位での走行履歴を用いたり、車両10の走行位置を高精度(例えば0.5m精度)で地図データ上にマッピングしたりして、実際の走行レーンを容易に把握でき、レーン単位での課金処理を容易に実行することが可能になる。
【0069】
図9は、本発明の一実施形態に係る課金処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す例では、情報処理装置20は、車両10の第1位置と、レーン間の区画線の第2位置との位置関係を用いて、車両10の走行レーンを特定する例について説明する。
【0070】
ステップS202において、特定部217は、車両10の任意の位置が、レーン間の区画線に関する所定条件を満たすか否かを判定する。区画線に関する所定条件とは、例えば、車両10の位置と、区画線との距離が所定距離以内になることを含む。所定条件が満たされれば(ステップS202-YES)、処理はステップS204に進み、所定条件が満たされなければ(ステップS202-NO)、処理はステップS206に進む。
【0071】
車両10の任意の位置は、リアルタイム処理であれば、有料道路の走行を開始した走行中の車両10の位置でもよいし、オフライン処理であれば、走行履歴情報に含まれる、有料道路の走行を開始した車両10の位置でもよい。
【0072】
ステップS204において、決定部216は、特定される走行レーンの料金、及びその走行レーンを走行した距離又は時間に基づいて、料金を決定する。
【0073】
ステップS206において、特定部217は、車両10の第1位置と、レーン間の区画線の第2位置との位置関係を特定する。例えば、位置関係は、車両10の中心位置から区画線までの距離を求めることを含む。
【0074】
ステップS208において、特定部217は、特定した位置関係に基づいて、車両10が走行した走行レーンを特定する。例えば、特定部217は、車両10の中心位置が位置するレーンを、走行レーンとして特定する。なお、管理部215は、特定部217により特定された走行レーンを用いて、車両10の走行管理を行ってもよい。
【0075】
ステップS210において、決定部216は、特定された走行レーンに基づいて、利用料金を決定する。例えば、決定部216は、特定された走行レーン、レーン単位の料金、レーン単位の走行時間又は走行距離を用いて、利用料金を決定する。
【0076】
ステップS212において、決定部216は、車両10が走行する有料道路での走行が終了したか否かを判定する。有料道路での走行が終了すれば(ステップS212-YES)、処理は終了し、有料道路での走行が終了していなければ(ステップS212-NO)、処理はステップS202に戻る。
【0077】
以上の処理によれば、車両10がレーンを跨り、どちらのレーンを走行しているかの判断が難しい場合であっても、適切なレーン特定処理を行うことで、走行レーンを特定することができる。また、情報処理装置20は、特定された走行レーンに基づいて、レーン単位での利用料金を決定することができる。
【0078】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。例えば、本発明は、情報処理装置20が実行する処理について、一部の処理を、他の情報処理装置に移行したり、複数の情報処理装置を適宜統合したりしてもよい。
【0079】
<変形例>
HDマップでは、車線を構成する構成点を所定間隔で設け、構成点間を接続することで、車線リンクを形成することが可能である。また、この車線の構成点に、車線の構成点を識別するIDを付与することが可能である。
【0080】
この場合、自動運転システム等において、車両10は、高精度ロケータ101により測定される位置情報を、車両10が保持するHDマップにマッピングする。車両10は、HDマップにマッピングされた車両位置の情報として、車線の構成点のIDを出力することが可能になる。
【0081】
車両10が、車線の構成点のIDを出力する場合は、情報処理装置20は、このIDを管理することで、レーン単位での走行履歴を管理することが可能になり、地図データの位置情報の突合処理などが不要になる。
【0082】
上記変形例の場合、取得部214は、車両10の位置情報として、HDマップにおける車線の構成点のIDを取得する。管理部215は、車両10の走行履歴として、車線の構成点のIDを順に記憶して管理する。このとき、管理部215は、車線の構成点のIDを見やすさの観点等からHDマップに対応付けて、HDマップ上における車両10の走行履歴として管理してもよい。これにより、情報処理装置20の処理負荷を軽減しつつ、より効率的に車両10の走行履歴を管理することができる。
【0083】
また、上述した実施形態や変形例では、車両10の走行について説明したが、走行レーンを走行する飛行体の場合にも本開示の技術を適用することができる。飛行体は、例えば、無人又は有人の飛行体、ドローン等を含む。
【符号の説明】
【0084】
1…情報処理システム、10…車両、20…情報処理装置、30…測位衛星、101…高精度ロケータ、102…プロセッサ、103…各種センサ、104…通信装置、210…CPU、212…走行制御部、213…送受信部、214…取得部、215…管理部、216…決定部、217…特定部、230…記憶装置、250…ユーザインタフェース、220…ネットワーク通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9