(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059710
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】接合用役物および建物外壁の設置構造
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
E04F13/08 W
E04F13/08 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167467
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】305003542
【氏名又は名称】旭トステム外装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】田中 進
(72)【発明者】
【氏名】中村 大
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA14
2E110AA15
2E110AA42
2E110AA43
2E110AA57
2E110AB04
2E110AB22
2E110BD14
2E110BD23
2E110CA07
2E110CC02
2E110CC12
2E110CC25
2E110DA10
2E110DA12
2E110DB14
2E110DC02
2E110DD02
2E110DD10
2E110GB01Z
2E110GB23W
(57)【要約】
【課題】止水性およびずれ防止性の高い接合用役物および建物外壁の設置構造を提供すること。
【解決手段】右辺と左辺のいずれか一方の縦辺に裏合いじゃくり部10が形成され、他方の縦辺に段差加工の無い縦端面が形成される四角板状の2つの外壁パネル1を接合する接合用役物2であって、第1接合用役物2は、外壁パネル1の裏面に平行に延びる基部20と、基部20から外壁パネル1側に向けて突出する凸部21と、を有し、凸部21は、外壁パネル1の裏面に平行に延びて接するとともに、外壁パネル1との間にシール材24を備える止水面部22と、止水面部22から外壁パネル1側に向けて突起するとともに、一方の外壁パネル1の裏合いじゃくり部10に挿入され、2つの外壁パネル1との間にシール材を有しない突起部23と、を有する接合用役物である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
右辺と左辺のいずれか一方の縦辺に裏合いじゃくり部が形成され、他方の縦辺に段差加工の無い縦端面が形成される四角板状の2つの外壁パネルを接合する接合用役物であって、
前記接合用役物は、
前記外壁パネルの裏面に平行に延びる基部と、
前記基部から前記外壁パネル側に向けて突出する凸部と、を有し、
前記凸部は、
前記外壁パネルの裏面に平行に延びるとともに、前記外壁パネルの裏面に当接するシール材を備える止水面部と、
前記止水面部から前記外壁パネル側に向けて突起するとともに、前記一方の外壁パネルの裏合いじゃくり部に挿入され、2つの前記外壁パネルとの間にシール材を有しない突起部と、を有する、接合用役物。
【請求項2】
前記接合用役物はさらに、前記基部から前記外壁パネル側に向けて立ち上がり、少なくとも一部が前記外壁パネルに当接する立ち上がり部を有する、請求項1に記載の接合用役物。
【請求項3】
前記接合用役物は、前記突起部に関して対称に構成される、請求項1または2に記載の接合用役物。
【請求項4】
前記2つの外壁パネルと、
請求項1から3のいずれかに記載の接合用役物と、を有して構成される建物外壁の設置構造であって、
前記2つの外壁パネルは、一方の前記外壁パネルの前記裏合いじゃくり部と他方の前記外壁パネルの前記縦端面との接合部で前記接合用役物によって接合され、
前記突出部は、前記裏合いじゃくり部に挿入され、
前記止水面部および前記シール材は前記外壁パネルの内側に当接されてシール面を形成する、シーリングレス工法による建物外壁の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接合用役物および建物外壁の設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窯業系サイディングの外壁材を接合する形態として、外観上目地部を目立たなくし、意匠性を向上させたシーリングレス工法が知られている。シーリングレス工法として、接合する2つの外壁材の接合端部に合いじゃくり加工を施し、接合部にジョイナー(接合用役物)を使用することでシーリングを外壁内側に設け、外観に露出しないように施工することが行われている(例えば、特許文献1を参照)
【0003】
特許文献1に記載のようなシーリングレス工法においては、接合用役物に止水性及び外壁材のずれ防止性が求められる。止水性については、上述のように止水のためのシール材を外壁内側に設けることで、外壁材内部への雨水等の侵入を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、止水のために外壁材の裏合いじゃくり部にシール材を配置した場合、シール材の弾性に由来して、外壁材と接合用役物の相対位置がずれることがある。例えば、地震や衝撃によって建物に強い力が加わった際、外壁材がシール材を圧縮するなどしてずれが生じ、シール材の変形により止水性が低下する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、右辺と左辺のいずれか一方の縦辺に裏合いじゃくり部が形成され、他方の縦辺に段差加工の無い縦端面が形成される四角板状の2つの外壁パネルを接合する接合用役物であって、前記接合用役物は、前記外壁パネルの裏面に平行に延びる基部と、前記基部から前記外壁パネル側に向けて突出する凸部と、を有し、前記凸部は、前記外壁パネルの裏面に平行に延びるとともに、前記外壁パネルの裏面に当接するシール材を備える止水面部と、前記止水面部から前記外壁パネル側に向けて突起するとともに、前記一方の外壁パネルの裏合いじゃくり部に挿入され、2つの前記外壁パネルとの間にシール材を有しない突起部と、を有する、接合用役物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の外壁パネル1の水平方向の断面図である。
【
図2】第1実施形態における第1接合用役物2の水平方向の断面図である。
【
図3】第1実施形態における建物外壁の第1設置構造100を模式的に示す図である。
【
図4】第1実施形態の外壁パネル設置状態について示す斜視図である。
【
図5】第2実施形態における建物外壁の第2設置構造200を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態である建物外壁の第1設置構造100は、右縦辺に裏合いじゃくり部10が形成され、左縦辺に段差加工の無い縦端面が形成される四角板状の外壁パネル1と、2つの外壁パネル1を接合する第1接合用役物2と、を有して構成される、シーリングレス工法による建物外壁設置構造である。2つの外壁パネル1は、一方の外壁パネル1の裏合いじゃくり部10と他方の外壁パネル1の縦端面との接合部で第1接合用役物2によって接合される。
【0009】
図1に示すように、外壁パネル1は、右縦辺に裏合いじゃくり部10が形成され、左縦辺に段差加工の無い縦端面が形成される四角板状の外壁パネルである。外壁パネル1を構成する材料としては、一般的に建物の外壁パネルに用いられる、窯業系サイディングを用いる。なお、上辺および下辺については特に限定されないが、複数の外壁パネル1を上下に並べてシーリングレス工法によって取付施工するために、上辺および下辺にも合いじゃくり部が形成されていてもよい。
【0010】
外壁パネル1において、裏合いじゃくり部10の横方向の幅は従来のシーリングレス工法用の外壁パネルに形成される合いじゃくり部と比べて狭く設計されており、後述する第1接合用役物2の突起部23の幅と略同一、もしくは突起部23を挿入可能な程度に突起部23の幅よりもわずかに大きく形成される。具体的には、突起部23の幅に合わせて0.5~3.0mmであることが好ましい。
【0011】
これにより、一方の外壁パネル1の裏合いじゃくり部10と、他方の外壁パネル1の段差のない縦端面との間に突起部23が挿入された際に、外壁パネル1の位置ずれ防止性が高く構成される。さらに、裏合いじゃくり部10の幅と突起部23の幅は略同一であるため、突起部23の挿入時の位置合わせが容易に行える。加えて、裏合いじゃくり部10の幅が狭く形成されているため、現場において合いじゃくり加工を行う必要性が発生した時でも、外壁パネルを浅く切り欠くだけで裏合いじゃくり部10を形成でき、従来よりも簡易に加工を行うことができる。
【0012】
図2に水平断面視にて示す第1接合用役物2は、外壁パネル1の縦辺に沿って上下に延びる金属部品であり、外壁パネル1に平行に延びる基部20と、基部20から外壁パネル1側に向けて突出する凸部21とを有する。また本実施形態において第1接合用役物2は、基部20の凸部21と反対側に、内壁5との距離に応じてスペーサー25を備えていてもよい。
【0013】
凸部21は、外壁パネル1の裏面に平行に延びて接するとともに、外壁パネル1との間にシール材24を備える止水面部22を有する。凸部21はさらに、止水面部22から外壁パネル1側に向けて突起するとともに、一方の外壁パネル1の裏合いじゃくり部10に挿入され、2つの外壁パネル1との間にシール材を有しない突起部23を有する。
【0014】
止水面部22は、外壁パネル1の裏面に平行に延びるとともに、外壁パネル1の裏面に当接するシール材24を備える。外壁パネル1の裏面を、表面にシール材24を有する止水面部22に押し付けるようにしてシール面を形成することで、雨水等の外壁パネル裏側への侵入を防止する。
【0015】
突起部23の幅は、裏合いじゃくり部10の幅と略同一に構成される。突起部23は、2つの外壁パネル1との間にシール材を有しない。これにより、第1接合用役物2と外壁パネル1の位置合わせが容易に行えるとともに、外壁パネル1の位置ずれを防止する。
【0016】
シール材24は弾性を有する物質で構成される。止水面部22と外壁パネル1の裏面との間に配置されて圧縮されることで、シール性を発揮する。シール材24の形状は雨水の侵入を防止できるものであれば特に限定されない。例えばシート状のシール材24を、止水面部22に沿って貼り付けるようにして用いることができる。
【0017】
第1接合用役物2はさらに、基部20から外壁パネル側1に向けて立ち上がり、少なくとも一部が外壁パネル1に当接する立ち上がり部26を有する。これにより、接合部から侵入した雨水を外壁パネル1の裏側奥深くまで侵入しないように止水する。また、基部20と、立ち上がり部26と、凸部21と、外壁パネル1の接合端付近と、で囲まれた領域は縦方向に連通しており、雨どいとして排水する役割を果たすため、雨水の侵入をより効果的に防止することができる。
【0018】
第1接合用役物2は、突起部23に関して対称に構成される。具体的には、突起部23は、建物の内外方向および上下方向に延びる平面状に形成される。この平面に関して、基部20、止水面部22、立ち上がり部26、シール材24およびスペーサー25は、対称に構成されている。これにより、第1接合用役物2の形状が対称性を有することで、取付施工の際に取り付け方向の間違いが発生しにくく、作業性が向上する。
【0019】
図3に示すように、第1設置構造100では、2つの外壁パネル1が第1接合用役物2を用いて接合されるとともに、留め金具3やビス4によって建物内壁5に取り付けられる。建物の内壁5は、外壁パネル1が設置される内側に配置され、壁面材50や柱51の他、断熱材等を内部に有していてもよい。壁面材50は、防水紙で構成されることが好ましく、建物外壁の防水性が向上する。
【0020】
第1設置構造100では、外壁パネル1の裏合いじゃくり部10に第1接合用役物2の突起部23が挿入され、止水面部22およびシール材24が外壁パネル1の裏面に当接される。さらに、突出部23と、裏合いじゃくり部10との間、及び、突起部23と、段差加工の無い縦端面との間には、弾性体のシール材が介在しない。
【0021】
かかる設置構造により、シール材24が止水面部22と外壁パネル1の裏面との間に配置されて圧縮されることで、シール性を発揮するため、2つの外壁パネル1の接合端はシーリングレス工法によって接合され、外観上、継ぎ目が目立たないように施工できる。これにより、建物外壁の意匠性が向上する。本開示の第1設置構造100では、一方の接合端には合いじゃくり加工を施すことなくそのまま接合を行うことができ、施工の作業効率が向上する。一方の接合端は段差加工の無い縦端面であるから、施工現場において実際の建物の寸法に合わせて外壁パネル1の一端を切断して形成されることもできる。
【0022】
第1接合用役物2の2つの立ち上がり部26はそれぞれ、一部が2つの外壁パネルに当接されることで、接合部から侵入した雨水を外壁パネル1の裏側奥深くまで侵入しないように止水する。また、基部20と、立ち上がり部26と、凸部21と、外壁パネル1の接合端付近と、で囲まれた領域は縦方向に連通しており、雨どいとして排水する役割を果たすため、雨水の侵入をより効果的に防止することができる。
【0023】
さらに、突起部23の幅と外壁パネル1の裏合いじゃくり部10の幅が略同一であり、両者の間に弾性体のシール材を有しない構造を採用することで、突起部23の挿入時の位置合わせが容易に行えるとともに、外壁パネル1の高いずれ防止性を有する。
【0024】
加えて、外壁パネル1の裏合いじゃくり部10の横方向の幅が狭いことで、外壁パネル1の長さを短くして使う場合においても留め金具3を固定する余地が大きくなるため、窓際部等狭い箇所での取付施工の作業性が向上する。
【0025】
詳しくは、例えば建物の窓際部などでは、建物の外壁面における窓の配置に合わせて外壁パネル1の長さ寸法を調整する必要がある。隣り合う外壁パネル1の端部から窓までの距離が短い場合、窓際にはその距離に応じて短く裁断した外壁パネル1を設けることとなる。外壁パネルには取付の安定性の観点から留め金具3を用いて金具留め工法を施すことが好ましいところ、外壁パネル1が短く裁断されている場合、留め金具3を取り付ける幅が足りず、金具留め施工が難しいことがある。特に、裏合いじゃくり加工がなされている場合には、さらに留め金具3を取り付ける余地が小さい。その点、裏合いじゃくり部10が狭く形成されていれば、留め金具3を固定しやすくなり、取付施工の作業性が向上するほか、より確実に金具止め工法を行えるため、取付の安定性が向上する。
【0026】
図4に示すように、シーリングレス工法による第1設置構造100によって接合された2つの外壁パネル1の継ぎ目には外観にシール材が露出せず、建物外壁は高い意匠性、止水性、ずれ防止性を有する。
【0027】
以上、本発明の第1実施形態である第1設置構造100について説明した。第1設置構造100によれば、以下の効果を奏する。
【0028】
第1設置構造100に係る第1接合用役物2は、右辺と左辺のいずれか一方の縦辺に裏合いじゃくり部10が形成され、他方の縦辺に段差加工の無い縦端面が形成される四角板状の2つの外壁パネル1を接合する接合用役物2であって、第1接合用役物2は、外壁パネル1の裏面に平行に延びる基部20と、基部20から外壁パネル1側に向けて突出する凸部21と、を有し、凸部21は、外壁パネル1の裏面に平行に延びて接するとともに、外壁パネル1との間にシール材24を備える止水面部22と、止水面部22から外壁パネル1側に向けて突起するとともに、一方の外壁パネル1の裏合いじゃくり部10に挿入され、2つの外壁パネル1との間にシール材を有しない突起部23と、を有する。
【0029】
これにより、一方の外壁パネル1の裏合いじゃくり部10と、他方の外壁パネル1の段差のない縦端面との間に突起部23が挿入された際に、外壁パネル1の位置ずれ防止性が高く構成される。さらに、裏合いじゃくり部10の幅と突起部23の幅は略同一であるため、突起部23の挿入時の位置合わせが容易に行える。
【0030】
また、建物外壁取付施工のシーリングレス工法において、意匠性や施工の作業性および十分な止水性を担保できるとともに、外壁パネル1の裏合いじゃくり部の横方向の幅を狭く設計することができ、シーリングレス工法用の外壁パネル1をシーリング工法においても併用することができる。1種のパネルで両工法を併用できることで、資材管理や施工作業の負担が軽減され、またパネルの取り違え等のヒューマンエラーを未然に防止することが可能になる。また、金具留め工法の施工がしやすくなり、窓際部等狭い箇所での取付施工の作業性や取付の安定性が向上する。
【0031】
第1接合用役物2はさらに、基部20から外壁パネル側1に向けて立ち上がり、少なくとも一部が外壁パネル1に当接する立ち上がり部26を有する。これにより、接合部から侵入した雨水を外壁パネル1の裏側奥深くまで侵入しないように止水する。また、基部20と、立ち上がり部26と、凸部21と、外壁パネル1の接合端付近と、で囲まれた領域は縦方向に連通しており、雨どいとして排水する役割を果たすため、雨水の侵入をより効果的に防止することができる。
【0032】
第1接合用役物2は、突起部23に関して対称に構成される。これにより、第1接合用役物2の形状が対称性を有することで、取付施工の際に取り付け方向の間違いが発生しにくく、作業性が向上する。
【0033】
また本開示は、2つの外壁パネル1と、第1接合用役物2と、を有して構成される建物外壁の第1設置構造100であって、2つの外壁パネル1は、一方の外壁パネル1の裏合いじゃくり部10と他方の外壁パネルの前記縦端面との接合部で第1接合用役物2によって接合され、突出部23は、裏合いじゃくり部10に挿入され、止水面部22およびシール材24は外壁パネル1の内側に当接されてシール面を形成する、シーリングレス工法による建物外壁の第1設置構造100を提供する。
【0034】
これにより、外壁の止水性及び位置ずれ防止性に優れた建物外壁の設置構造が得られる。また、1種の外壁パネルでシーリングレス工法およびシーリングレス工法の両工法を併用できることで、資材管理や施工作業の負担が軽減され、またパネルの取り違え等のヒューマンエラーを未然に防止することが可能になる。
【0035】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、
図5に示す建物外壁の第2設置構造200である。
【0036】
第2設置構造200は、外壁パネル1と、ハット型の形状を有し、ハット型の凸部8の横方向の幅が第1接合用役物の突出部の板厚よりも広く形成される第2接合用役物6と、湿式のシール材7と、を有して構成される、シーリング工法による建物外壁の第2設置構造200である。
【0037】
第2設置構造200において、2つの外壁パネル1は、一方の外壁パネル1の裏合いじゃくり部10と他方の外壁パネル1の縦端面との接合部で第2接合用役物6によって接合され、凸部8は、一部が2つの第2外壁パネルの間に挿入され、湿式のシール材7は、2つの外壁パネル1と凸部8に三方を囲まれた目地部に封入される。
【0038】
外壁パネル1は、第1実施形態と同一のものが併用できる。通常、接合端に合いじゃくり部が形成されているシーリングレス工法用の外壁パネルは、シーリング工法の施工上、目地部へのシール材の封入が困難であり、シーリング工法には適用することが難しい。本実施形態の外壁パネル1は、裏合いじゃくり部10に由来する接合端面の段差が浅いため、接合端面に段差のない外壁パネルの場合と同様にシール材を封入できる。したがって外壁パネル1によれば、シーリング工法による取付施工も可能となる。
【0039】
第2接合用役物6は外壁パネル1の縦辺に沿って上下に延びる金属部品であり、水平方向の断面は
図6に示すようなハット型の形状を有する。第2接合用役物6は第2設置構造200において、横方向に隣り合う2つの外壁パネル1同士を一方の外壁パネル1の裏合いじゃくり部10と他方の外壁パネル1の段差加工の無い縦端面で接合するために用いられる。
【0040】
シール材7は、通常のシーリング工法に用いられる材料や施工方法を用いることができる。即ち、ウレタンやシリコン等のシール材を用いることができ、2つの外装パネル1の継ぎ目にペースト状のシール材を封入し、硬化させることで形成されてよい。
【0041】
図5に示すように、第2設置構造200において、2つの外壁パネル1が第1接合用役物2を用いて接合されるとともに、留め金具3やビス4によって建物内壁5に取り付けられる。このとき、2つの外壁パネル1間には第2接合用役物6の凸部8が挿入され、2つの外壁パネル1と凸部8に三方を囲まれた領域にシール材7が封入される。
【0042】
かかる設置構造により、2つの外壁パネル1の接合端は、段差のない端面同士と同様に、高いシール性を有して接合される。これにより、建物外壁の耐水性が向上する。また、意匠性の高いシーリングレス工法とシール性に優れたシーリング工法を建物の部位によって併用することが簡便になるため、取付施工全体の効率が向上する。
【0043】
以上、本発明の第2実施形態である第2設置構造200について説明した。第2設置構造200によれば、以下の効果を奏する。
【0044】
第2設置構造200は、外壁パネル1と、ハット型の形状を有し、ハット型の凸部8の横方向の幅が第1接合用役物2の突起部23の幅よりも広く形成される第2接合用役物6と、湿式のシール材7と、を有して構成される建物外壁の第2設置構造200であって、2つの外壁パネル1は、一方の外壁パネル1の裏合いじゃくり部10と他方の外壁パネル1の縦端面との接合部で第2接合用役物6によって接合され、凸部8は、一部が2つの外壁パネル1の間に挿入され、シール材7は、2つの外壁パネル1と凸部8に三方を囲まれた目地部に封入される、シーリング工法による建物外壁の設置構造である。
【0045】
これにより、建物外壁取付施工のシーリング工法において、シーリングレス工法に使用する外壁パネル1を併用して使用できるとともに、接合端面に段差のない外壁パネルの場合と同様に優れたシール性を発揮できる。
【符号の説明】
【0046】
1…外壁パネル、10…裏合いじゃくり部、2…第1接合用役物、20…基部、21…凸部、22…止水面部、23…突起部、24…シール材、25…スペーサー、26…立ち上がり部、3…留め金具、4…ビス、5…内壁、50…壁面材、51…柱、6…第2接合用役物、7…シール材、8…凸部、100…第1設置構造、200…第2設置構造