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特開2022-59734樹脂封止装置、及び樹脂封止品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059734
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】樹脂封止装置、及び樹脂封止品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20220407BHJP
   B29C 33/00 20060101ALI20220407BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20220407BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
H01L21/56 T
B29C33/00
B29C45/17
B29C45/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167504
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 凌
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 高行
(72)【発明者】
【氏名】小口 達司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋平
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
5F061
【Fターム(参考)】
4F202AD05
4F202AD19
4F202AH33
4F202AM32
4F202CA12
4F202CB01
4F202CB12
4F202CB17
4F202CS02
4F206AD05
4F206AD19
4F206AH33
4F206AH37
4F206AM32
4F206JA02
4F206JB12
4F206JB17
4F206JC08
4F206JL02
4F206JM06
4F206JN41
4F206JP30
4F206JQ90
5F061AA01
5F061CA21
5F061DA11
5F061DD01
(57)【要約】
【課題】ローダハンドの支持部への負担を抑制しつつ不良品の発生を抑制可能である、樹脂封止装置、及び樹脂封止品の製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂封止装置(1)は、第1クリーナ部(140)を有するローダハンド(120)と、第2クリーナ部を有するアンローダハンド(220)と、ローダハンド(120)及びアンローダハンド(220)を制御する制御部(C)とを備え、制御部(C)は、ワークを樹脂封止金型(21)に搬入するときに樹脂封止金型(21)のうち少なくとも下金型(23)の金型面(23A)をローダハンド(120)によって清掃させ、ワークを樹脂封止金型(21)から搬出するときに樹脂封止金型(21)のうち少なくとも下金型(23)の金型面(23A)をアンローダハンド(220)によって清掃させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上金型と下金型とで構成された樹脂封止金型を用いて、ワークを樹脂封止するための樹脂封止装置であって、
前記上金型と前記下金型との間の空間に対して進退可能に構成されたローダハンドと、
前記上金型と前記下金型との間の空間に対して進退可能に構成されたアンローダハンドと、
前記ローダハンド及び前記アンローダハンドの動作を制御する制御部と
を備え、
前記ローダハンドは、ワークを保持可能に構成された第1ワーク保持部と、前記樹脂封止金型の内部への進入方向において前記第1ワーク保持部よりも前方側に配置された第1クリーナ部とを有し、
前記アンローダハンドは、ワークを保持可能に構成された第2ワーク保持部と、前記樹脂封止金型の内部への進入方向において前記第2ワーク保持部よりも前方側に配置された第2クリーナ部とを有し、
前記制御部は、ワークを前記樹脂封止金型に搬入するときに前記樹脂封止金型のうち少なくとも前記下金型の金型面を前記ローダハンドによって清掃させ、ワークを前記樹脂封止金型から搬出するときに前記樹脂封止金型のうち少なくとも前記下金型の金型面を前記アンローダハンドによって清掃させる、樹脂封止装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1クリーナ部を前記下金型の金型面に接近させた状態で、前記第1ワーク保持部にワークを保持させた前記ローダハンドを前記上金型と前記下金型との間の空間に進入させ、前記下金型の金型面を清掃する動作と、
前記第1ワーク保持部から前記下金型の金型面にワークを引き渡す動作と、
前記第1クリーナ部を前記下金型の金型面から離間させた状態で、前記第1ワーク保持部からワークを開放し前記ローダハンドを前記上金型と前記下金型との間の空間から退出させる動作とを制御する、
請求項1に記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記第1クリーナ部は、前記樹脂封止金型の金型面に向けて開口する第1吸引穴を有し、
前記第2クリーナ部は、前記樹脂封止金型の金型面に向けて開口する第2吸引穴と、少なくとも一部が前記第2吸引穴に収容されたブラシとを有する、
請求項1又は2に記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記第1クリーナ部は、前記樹脂封止金型の金型面に向けて突出し、前記第1吸引穴と前記樹脂封止金型の金型面との間に減圧された吸引空間を形成可能に構成された第1集塵部材をさらに有する、
請求項3に記載の樹脂封止装置。
【請求項5】
前記第1集塵部材は、前記第1吸引穴を囲む枠状に構成される、
請求項4に記載の樹脂封止装置。
【請求項6】
前記第1集塵部材は、前記第1吸引穴に対して前記ローダハンドの進入方向の前方側に配置された第1前方部分と、前記第1吸引穴に対して前記ローダハンドの進入方向の後方側に配置された第1後方部分とを有し、
前記樹脂封止金型の金型面の垂直方向において、前記第1前方部分の先端は、前記第1後方部分の先端に比べて、前記第1吸引穴に近い、
請求項4又は5に記載の樹脂封止装置。
【請求項7】
前記第1クリーナ部は、少なくとも一部が前記樹脂封止金型の金型面の垂直方向に沿って移動可能に構成され、
前記第1後方部分が前記樹脂封止金型の金型面に摺接するとき、前記第1前方部分は、前記樹脂封止金型の金型面から離間して構成される、
請求項6に記載の樹脂封止装置。
【請求項8】
前記樹脂封止金型からのワークの離型を補助するリリースフィルムを前記上金型の金型面に供給するフィルム供給装置をさらに備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の樹脂封止装置。
【請求項9】
樹脂封止金型で第1のワークを樹脂封止することと、
樹脂封止された第1のワークをアンローダハンドによって前記樹脂封止金型から搬出するときに、前記樹脂封止金型の金型面を前記アンローダハンドによって清掃することと、
第2のワークをローダハンドによって前記樹脂封止金型に搬入するときに、前記樹脂封止金型の金型面を前記ローダハンドによって清掃することと
を含む、樹脂封止品の製造方法。
【請求項10】
前記ローダハンドによって清掃することは、前記ローダハンドの第1ワーク保持部にワークを保持した状態で、前記ローダハンドの第1クリーナ部を前記樹脂封止金型のうち下金型の金型面に接近させつつ前記ローダハンドを前記樹脂封止金型の上金型と下金型との間の空間に進入させ、前記下金型の金型面を清掃することを含む、
請求項9に記載の樹脂封止品の製造方法。
【請求項11】
前記アンローダハンドによって清掃することは、前記樹脂封止金型の金型面をブラシで掻くことと、前記の金型面を吸引穴で吸引することとを含み、
前記ローダハンドによって清掃することは、前記樹脂封止金型の金型面を吸引穴で吸引することを含む、
請求項9又は10に記載の樹脂封止品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止装置、及び樹脂封止品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを樹脂で樹脂封止する樹脂封止装置において、樹脂封止金型の金型面は定期的に清掃が必要である。
【0003】
特許文献1には、ローダ及びアンローダの金型進入部にクリーナ部が備えられ、ワークを搬入または搬出するときにクリーナ部の回転するブラシが下型及び上型の金型表面を清掃する搬送機構が開示されている。
【0004】
特許文献2には、型開きした樹脂封止金型に進退動する際に上型面及び/又は下型面をクリーニングしつつ集塵するクリーナ装置であって、上型面及び/又は下型面に付着した塵を掻き落とすクリーニングブラシと、上型面及び/又は下型面の上の塵を集塵するダクト開口部とを備えるクリーナ装置が、ローダ及び/又はアンローダに設けられた樹脂封止装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-179025号公報
【特許文献2】特開2002-240046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的にはアンローダハンドに金型面をクリーニングするクリーナ部が備えられ且つ重複するクリーナ部はローダハンドに備えられていない。この場合、ローダハンドを支持する部分の負担は軽減されるが、アンローダハンドによる清掃後、ローダハンドがワークを搬入するまでに金型面に落下する塵が不良品の原因となる場合がある。他方で、アンローダハンドとローダハンドの両方に同一構成のクリーナ部が備えられても良いことから特許文献1及び2に記載のように、アンローダハンドとローダハンドの両方に同一構成のクリーナ部が備えられた従来例があり、ローダハンドの大型化による支持すべき重量の増大や、ブラシの動作の反動などに起因して、ローダへの負担が増大する場合がある。また、重複するクリーナ部があるためローダの機構が複雑になり樹脂封止装置のコスト高になる課題と、樹脂成形後の樹脂くずが装置内に飛散しない様にするため樹脂成形後すぐにクリーニングする必要から実際にはアンローダハンドのみにクリーナ部が設けられていた。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ローダハンドの支持部への負担を抑制しつつ不良品の発生を抑制可能である、樹脂封止装置、及び樹脂封止品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る樹脂封止装置は、上金型と下金型とで構成された樹脂封止金型を用いて、ワークを樹脂封止するための樹脂封止装置であって、上金型と下金型との間の空間に対して進退可能に構成されたローダハンドと、上金型と下金型との間の空間に対して進退可能に構成されたアンローダハンドと、ローダハンド及びアンローダハンドの動作を制御する制御部とを備え、ローダハンドは、ワークを保持可能に構成された第1ワーク保持部と、樹脂封止金型の内部への進入方向において第1ワーク保持部よりも前方側に配置された第1クリーナ部とを有し、アンローダハンドは、ワークを保持可能に構成された第2ワーク保持部と、樹脂封止金型の内部への進入方向において第2ワーク保持部よりも前方側に配置された第2クリーナ部とを有し、制御部は、ワークを樹脂封止金型に搬入するときに樹脂封止金型のうち少なくとも下金型の金型面をローダハンドによって清掃させ、ワークを樹脂封止金型から搬出するときに樹脂封止金型のうち少なくとも下金型の金型面をアンローダハンドによって清掃させる。
【0009】
この態様によれば、例えば、ローダハンドが、アンローダハンドによる清掃後に樹脂封止金型の金型面に落ちた塵を除去できる。例えば、ワークの設置の直前に塵を除去することで、不良品の発生率を低減できる。
【0010】
上記態様において、制御部は、第1クリーナ部を下金型の金型面に接近させた状態で、第1ワーク保持部にワークを保持させたローダハンドを上金型と下金型との間の空間に進入させ、下金型の金型面を清掃する動作と、第1ワーク保持部から下金型の金型面にワークを引き渡す動作と、第1クリーナ部を下金型の金型面から離間させた状態で、第1ワーク保持部からワークを開放しローダハンドを上金型と下金型との間の空間から退出させる動作とを制御してもよい。
【0011】
上記態様において、第1クリーナ部は、樹脂封止金型の金型面に向けて開口する第1吸引穴を有し、第2クリーナ部は、樹脂封止金型の金型面に向けて開口する第2吸引穴と、少なくとも一部が第2吸引穴に収容されたブラシとを有してもよい。
【0012】
この態様によれば、樹脂封止金型の金型面に固着した塵は、アンローダハンドの第2クリーナ部に備えられたブラシによって掻き落とされるので、ローダハンドの第1クリーナ部では第1吸引穴で塵を吸引することで除去することができる。したがって、ローダハンドの大型化・重量増大が抑制でき、ローダハンドを支持するローダへの負担が低減できる。
【0013】
上記態様において、第1クリーナ部は、樹脂封止金型の金型面に向けて突出し、第1吸引穴と樹脂封止金型の金型面との間に減圧された吸引空間を形成可能に構成された第1集塵部材をさらに有してもよい。
【0014】
この態様によれば、第1吸引穴の吸引力が向上することで第1クリーナ部の清掃効率が向上し、不良品の発生率を低減できる。
【0015】
上記態様において、第1集塵部材は、第1吸引穴を囲む枠状に構成されてもよい。
【0016】
この態様によれば、第1吸引穴の吸引力がさらに向上する。
【0017】
上記態様において、第1集塵部材は、第1吸引穴に対してローダハンドの進入方向の前方側に配置された第1前方部分と、第1吸引穴に対してローダハンドの進入方向の後方側に配置された第1後方部分とを有し、樹脂封止金型の金型面の垂直方向において、第1前方部分の先端は、第1後方部分の先端に比べて、第1吸引穴に近くてもよい。
【0018】
この態様によれば、清掃時にワークの側への塵の取りこぼしを低減できる。
【0019】
上記態様において、第1クリーナ部は、少なくとも一部が樹脂封止金型の金型面の垂直方向に沿って移動可能に構成され、第1後方部分が樹脂封止金型の金型面に摺接するとき、第1前方部分は、樹脂封止金型の金型面から離間して構成されてもよい。
【0020】
この態様によれば、ワークの側への塵の取りこぼしを低減しつつ、塵を吸引空間に取り込める。
【0021】
上記態様において、樹脂封止金型からのワークの離型を補助するリリースフィルムを上金型の金型面に供給するフィルム供給装置をさらに備えてもよい。
【0022】
この態様によれば、上金型の金型面はリリースフィルムによって保護されるため、塵の付着は生じない。したがって、第1クリーナ部及び第2クリーナ部は、下金型の金型面のみを清掃すればよく、ローダハンド及びアンローダハンドの大型化・重量増大が抑制できる。
【0023】
本発明の一態様に係る樹脂封止品の製造方法は、樹脂封止金型で第1のワークを樹脂封止することと、樹脂封止された第1のワークをアンローダハンドによって樹脂封止金型から搬出するときに、樹脂封止金型の金型面をアンローダハンドによって清掃することと、第2のワークをローダハンドによって樹脂封止金型に搬入するときに、樹脂封止金型の金型面をローダハンドによって清掃することとを含む。
【0024】
この態様によれば、例えば、ワークの設置の直前に塵を除去することで、不良品の発生率を低減できる。
【0025】
上記態様において、ローダハンドによって清掃することは、ローダハンドの第1ワーク保持部にワークを保持した状態で、ローダハンドの第1クリーナ部を樹脂封止金型のうち下金型の金型面に接近させつつローダハンドを樹脂封止金型の上金型と下金型との間の空間に進入させ、下金型の金型面を清掃することを含んでもよい。
【0026】
上記態様において、アンローダハンドによって清掃することは、樹脂封止金型の金型面をブラシで掻くことと、樹脂封止金型の金型面を吸引穴で吸引することとを含み、ローダハンドによって清掃することは、樹脂封止金型の金型面を吸引穴で吸引することを含んでもよい。
【0027】
この態様によれば、樹脂封止金型の金型面に固着した塵は、アンローダハンドのブラシによって掻き落とされるので、ローダハンドは第1吸引穴で塵を吸引することで除去することができる。したがって、ローダハンドの大型化・重量増大が抑制でき、ローダハンドを支持するローダへの負担が低減できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ローダハンドの支持部への負担を抑制しつつ不良品の発生を抑制可能である、樹脂封止装置、及び樹脂封止品の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態に係る樹脂封止装置の構成を概略的に示す平面図である。
図2】ローダハンドの構成を概略的に示す平面図である。
図3】樹脂封止金型に進入したローダハンドの構成を概略的に示す断面図である。
図4】アンローダハンドの構成を概略的に示す平面図である。
図5】樹脂封止金型から退出するアンローダハンドの構成を概略的に示す断面図である。
図6】第1実施形態に係る樹脂封止装置を用いた樹脂封止品の製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。各実施形態の図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0031】
<第1実施形態>
図1を参照しつつ、本発明の実施形態に係る樹脂封止装置1の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る樹脂封止装置の構成を概略的に示す平面図である。
【0032】
各々の図面には、各々の図面相互の関係を明確にし、各部材の位置関係を理解する助けとするために、便宜的にX軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系を付すことがある。X軸及びY軸を含む面を「XY面」とし、Z軸の矢印の向く方向を上方向、Z軸の矢印の向きとは反対方向を下方向とする。
【0033】
樹脂封止装置1は、ワークWを樹脂で樹脂封止(モールド)成形するために用いられる。図1に示すように、樹脂封止装置1は、樹脂封止前のワークWを供給するインモジュール10、ワークWを樹脂で樹脂封止するプレスモジュール20,30,40,50、及び、樹脂封止されたワークWを回収するアウトモジュール90を備えている。また、樹脂封止装置1は、インモジュール10、プレスモジュール20~50及びアウトモジュール90に亘って設けられた搬送機構を備えている。
【0034】
図1に示す例では、インモジュール10、プレスモジュール20~50及びアウトモジュール90が、それぞれX軸方向に並んで配置され、ローダ100及びアンローダ200がそれらの各モジュールに亘って延出するガイド部300に沿って移動可能に構成されている。ローダ100及びアンローダ200の動作は、樹脂封止装置1全体を制御する制御部Cによって制御される。
【0035】
樹脂封止装置1は、ワークWを樹脂封止する。樹脂封止装置1は、例えば、閉じた樹脂封止金型21~51のキャビティに注入する樹脂の充填圧力によって樹脂成形するトランスファ成形機である。なお、以下に示す例では、樹脂封止装置の一例として、ワークWを樹脂封止するプレスモジュール20~50を備える装置全体を説明するが、本発明に係る樹脂封止装置は必ずしもプレスモジュールを備えるものに限られるものではない。本発明に係る樹脂封止装置は、本実施形態に係る樹脂供給機構を有する装置(例えば、ローダ、ローダハンド、等)であって、ワークの樹脂封止に用いられるものであればよい。
【0036】
樹脂封止装置1は、例えば、半導体素子を樹脂封止する半導体樹脂封止装置である。この場合、ワークWは、例えば、半導体素子と、半導体素子の支持体とを含む。ワークWは限定されるものではないが、例えば、半導体素子が装着されたリードフレーム、半導体素子が装着されたインタポーザ基板、又は、半導体素子が一時的に貼合された粘着シート付きキャリアプレート等であってもよい。また、樹脂封止装置1は半導体樹脂封止装置に用いられるものに限定されるものではなく、半導体素子以外の素子(例えば、MEMSチップ、電子デバイスなど)を樹脂封止する樹脂封止装置に用いられるものであってもよい。なお、後述する実施形態では加熱により反りやうねりが発生するような薄型の短冊状のインタポーザ基板を用いて説明するが、それ以外のワークであってもよい。
【0037】
以下に、図1に示す各モジュールの構成について説明する。
【0038】
インモジュール10は、フレーム供給部15と、インデックス部13と、タブレット供給部17と、ワーク加熱部19とを備えている。フレーム供給部15には、複数のワークWを積み上げて収納した供給マガジンが並べられている。インデックス部13は、ワークWの向きを位置決めする。例えば、インデックス部13は、回転可能に設けられたテーブルであり、フレーム供給部15の供給マガジンから受け取った2つのワークWを、互いの同じ辺が向かい合うように整列させる。インデックス部13は、整列させた2つのワークWをワーク加熱部19に供給する。タブレット供給部17は、整列させた複数の樹脂タブレットPをローダハンド120のタブレット保持孔125に供給する。樹脂タブレットPは、例えば、樹脂の粉末やペレット等を柱体状に押し固めたもの、又は樹脂を柱体状に成形したものである。ワーク加熱部19は、ワークWを樹脂封止金型21~51への搬入前に予備的に加熱し(以下、「予備加熱」とする。)、ワークWと樹脂封止金型21~51との温度差を小さくする。ワーク加熱部19は、インデックス部13からワークWを受け取り可能に構成されている。
【0039】
プレスモジュール20,30,40,50は、それぞれ、樹脂封止金型21,31,41,51を備えている。プレスモジュール20~50はX軸方向に並んでおり、樹脂封止金型21~51もX軸方向に並んでいる。樹脂封止金型21~51は、例えば下金型と上金型とからなる開閉可能な一対の金型である。プレスモジュール20~50は、樹脂封止金型21~51の内部に形成されるキャビティにワークWを保持可能である。そして、プレスモジュール20~50は、当該キャビティに樹脂を注入することによって、ワークWを樹脂封止する。キャビティに注入される樹脂は、樹脂タブレットPを樹脂封止金型21~51の内部で軟化させたものである。本実施形態において、樹脂封止装置1は、例えば4つのプレスモジュールを備えているが、プレスモジュールの数は適宜変更可能である。
【0040】
アウトモジュール90は、ディゲートパレット91と、ディゲートハンド93と、ワーク収納部95を備えている。ディゲートパレット91は、不要樹脂が接続された状態のワークWをアンローダ200から受け取り、ディゲートハンド93の下に搬送する。ディゲートハンド93は、搬送されたワークWから不要樹脂(カルとランナ)を分離する。分離された不要樹脂は、カルボックスに回収される。不要樹脂を分離した樹脂封止済みのワークWは、ワーク収納部95の収納マガジンに収納される。アウトモジュール90は、プレスモジュール20~50から視てインモジュール10とは反対側に設けられている。但し、各モジュールの配置は上記に限定されるものではなく、インモジュール10及びアウトモジュール90が、プレスモジュール20~50から視て同じ側に設けられてもよい。
【0041】
搬送機構は、ガイド部300、ローダ100及びアンローダ200を有している。ガイド部300は、インモジュール10、プレスモジュール20~50及びアウトモジュール90を横断するように、X軸方向に延在している。
【0042】
搬送機構は、ワークW及び樹脂タブレットPを搬送する。具体的には、ローダ100はインモジュール10からプレスモジュール20~50のそれぞれにワークW及び樹脂タブレットPを搬送し、ローダ100のローダハンド120が樹脂封止金型21~51にワークW及び樹脂タブレットPを搬入する。アンローダ200のアンローダハンドが樹脂封止金型21~51から樹脂封止済みのワークWを搬出し、アンローダ200はプレスモジュール20~50からアウトモジュール90に樹脂封止済みのワークWを搬送する。
【0043】
制御部Cは、ワークWを樹脂封止金型21に搬入するときに樹脂封止金型21のうち少なくとも下金型23の金型面23Aをローダハンド120によって清掃させ、ワークWを樹脂封止金型21から搬出するときに樹脂封止金型21のうち少なくとも下金型23の金型面23Aをアンローダハンド220によって清掃させる。制御部Cは、ローダ100の動作を制御する制御部と、アンローダ200の動作を制御する制御部とを含む複数の制御部を有してもよい。
【0044】
次に、図2及び図3を参照しつつ、樹脂封止金型21及びローダハンド120の構成について説明する。図2は、ローダハンドの構成を概略的に示す平面図である。図3は、樹脂封止金型に進入したローダハンドの構成を概略的に示す断面図である。なお、樹脂封止金型31~51の構成は樹脂封止金型21の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0045】
樹脂封止金型21は、上金型22及び下金型23によって構成されている。上金型22は、下金型23に対向する金型面22Aを有し、下金型23は、上金型22に対向する金型面23Aを有する。型開き時、上金型22と下金型23とは互いに離間し、上金型22の金型面22Aと下金型23の金型面23Aとの間に、ローダハンド120及びアンローダハンド220が進入可能な空間が形成される。上金型22の側にはフィルム供給装置25が設けられている。フィルム供給装置25は、上金型22の金型面22AにリリースフィルムRFを供給する。フィルム供給装置25は、樹脂封止金型21で樹脂封止が行われた後の型開きの度にリリースフィルムRFを繰り出す繰り出し部26と、繰り出されたリリースフィルムRFを巻き取る巻き取り部27とを備えている。リリースフィルムRFは、樹脂封止されたワークWの樹脂封止金型21からの離型を補助する。また、リリースフィルムRFは、上金型22の金型面22Aへの樹脂などの塵の付着を防止し、上金型22の金型面22Aの清掃を不要にする。
【0046】
ローダ100は、ガイド部300に沿って移動可能に構成されたローダ本体190と、ローダ本体190に支持され樹脂封止金型21の内部(上金型22と下金型23との間の空間)に対して進退可能に構成されたローダハンド120とを備えている。ローダハンド120の動作は、制御部Cによって制御される。
【0047】
ローダハンド120は、例えば、樹脂封止前のワークWを樹脂封止金型21に搬入するために保持する第1ワーク保持部121,122と、樹脂タブレットPを樹脂封止金型21に搬入するために保持する複数のタブレット保持孔125と、樹脂封止金型21の内部への進入方向において第1ワーク保持部121,122よりも前方側に配置された第1クリーナ部140とを備えている。例えば、第1ワーク保持部121,122はX軸方向に並び、複数のタブレット保持孔125はY軸方向に並んでいる。複数のタブレット保持孔125は、第1ワーク保持部121と第1ワーク保持部122との間に配置されている。なお、第1ワーク保持部121,122及び複数のタブレット保持孔125の配置は上記に限定されるものではない。
【0048】
第1クリーナ部140は、樹脂封止金型21にワークWを搬入するための進入時に、下金型23の金型面23Aを清掃する。言い換えると、ローダハンド120は、第1ワーク保持部121,122にワークWを保持した状態で、第1クリーナ部140によって下金型23の金型面23Aを清掃しながら、上金型22と下金型23との間の空間に進入する。第1クリーナ部140が清掃する塵は、後述するアンローダハンド220による清掃の後であってローダハンド120が進入するまでに下金型23の金型面23Aに落下した塵であり、例えば、リリースフィルムRFから脱落した樹脂片等である。
【0049】
第1クリーナ部140は、下金型23の金型面23Aの垂直(Z軸)方向に移動可能に構成されている。これにより、制御部Cは、第1クリーナ部140を下金型23の金型面23Aに接近させた状態で、第1ワーク保持部121,122にワークWを保持させたローダハンド120を樹脂封止金型21の内部に進入させ、下金型23の金型面23Aを清掃させる。また、制御部Cは、第1ワーク保持部121,122から下金型23の金型面23AにワークWを引き渡させた後、第1クリーナ部140を下金型23の金型面23Aから離間させた状態で、第1ワーク保持部121,122からワークWを開放したローダハンド120を樹脂封止金型21の内部から退出させる。なお、本構成は上金型22にリリースフィルムRFが常時配置されているため下金型23のみを清掃する第1クリーナ部140が設けられているが、リリースフィルムRFを必要としない構成の場合は、上金型22の金型面22Aをクリーニングする上向きのクリーナ部がローダハンド120にさらに設けられているのが望ましい。
【0050】
第1クリーナ部140は、下金型23の金型面23Aに向けて開口する第1吸引穴141と、下金型23の金型面23Aに向けて突出し、第1吸引穴141と下金型23の金型面23Aとの間に減圧された吸引空間を形成可能に構成された第1集塵部材142とを備えている。
【0051】
第1吸引穴141は、吸引空間から塵を吸い取り、図示を省略したダクトに送る。第1吸引穴141は、X軸方向に延在し、第1ワーク保持部121,122の両方の全体とY軸方向で対向している。
【0052】
第1集塵部材142は、第1吸引穴141に対してローダハンド120の進入方向の前方側に配置された第1前方部分142Aと、第1吸引穴141に対してローダハンド120の進入方向の後方側に配置された第1後方部分142Bとを有している。第1前方部分142A及び第1後方部分142Bは、例えば、耐熱のシリコーンゴムやスポンジ等の弾性材料によって形成されている。一例として、第1前方部分142A及び第1後方部分142Bのそれぞれの一端が互いに接続され、それぞれの他端が互いに接続されている。すなわち、第1集塵部材142が第1吸引穴141を囲む枠状に設けられている。
【0053】
下金型23の金型面23Aの垂直方向において、第1前方部分142Aの先端は、第1後方部分142Bの先端に比べて、金型面23Aよりわずかに離間し隙間がある。言い換えると、第1前方部分142Aの先端は、第1後方部分142Bの先端に比べて第1吸引穴141に近い。ローダハンド120が樹脂封止金型21に進入するとき、すなわち第1クリーナ部140が下金型23の金型面23Aを清掃するとき、第1クリーナ部140とローダハンド120の間に取り付けてあるアクチュエータ145が可動伸長して第1後方部分142Bは、塵の取りこぼしがないよう、下金型23の金型面23Aに摺接する。このとき、第1前方部分142Aは、塵を吸引空間に取り込めるようエアー流れを作るために、下金型23の金型面23Aから離間している。ローダハンド120が樹脂封止金型21から退出するとき、下金型23の金型面23Aに設置されたワークWとの接触を避けるため、第1前方部分142A及び第1後方部分142Bの両方は、下金型23の金型面23Aから離間する。
【0054】
なお、第1集塵部材142の構成は上記に限定されるものではない。例えば、第1前方部分142A及び第1後方部分142Bは、互いに離間した板状の部材であってもよい。また、下金型23の金型面23Aの垂直方向において、第1前方部分142A及び第1後方部分142Bのそれぞれの先端は、第1吸引穴141から同程度離れてもよい。
【0055】
次に、図4及び図5を参照しつつ、アンローダハンド220の構成について説明する。図4は、アンローダハンドの構成を概略的に示す平面図である。図5は、樹脂封止金型から退出するアンローダハンドの構成を概略的に示す断面図である。なお、樹脂封止金型31~51の構成は樹脂封止金型21の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0056】
アンローダ200は、ガイド部300に沿って移動可能に構成されたアンローダ本体290と、アンローダ本体290に支持され樹脂封止金型21の内部(上金型22と下金型23との間の空間)に対して進退可能に構成されたアンローダハンド220とを備えている。アンローダハンド220の動作は、制御部Cによって制御される。
【0057】
アンローダハンド220は、例えば樹脂封止後のワークW(成形品)を樹脂封止金型21から搬出するために保持する第2ワーク保持部221,222と、樹脂封止金型21の内部への進入方向において第2ワーク保持部221,222よりも前方側に配置された第2クリーナ部240とを備えている。
【0058】
第2クリーナ部240は、樹脂封止金型21からワークWを搬出するための退出時に、下金型23の金型面23Aを清掃する。言い換えると、アンローダハンド220は、第2ワーク保持部221,222にワークWを保持した状態で、第2クリーナ部240によって下金型23の金型面23Aを清掃しながら、上金型22と下金型23との間の空間から退出する。第2クリーナ部240が清掃する塵は、例えば、樹脂封止に用いた樹脂が下金型23の金型面23Aに固着したもの(フラッシュバリ)等である。
【0059】
第2クリーナ部240は、下金型23の金型面23Aの垂直方向に移動可能に構成されている。これにより、制御部Cは、第2クリーナ部240を下金型23の金型面23Aから離間させた状態で、第2ワーク保持部221,222が空のアンローダハンド220を樹脂封止金型21の内部に進入させる。また、制御部Cは、第2ワーク保持部221,222で樹脂封止後のワークWを受け取った後、第2クリーナ部240を下金型23の金型面23Aに接近させた状態でアンローダハンド220を樹脂封止金型21の内部から退出させ、下金型23の金型面23Aを清掃させる。なお、本構成は上金型22にリリースフィルムRFが常時配置されているため下金型23のみを清掃する第2クリーナ部240を設けているが、リリースフィルムRFを必要としない構成の場合は、上金型22の金型面22Aをクリーニングする上向きのクリーナ部がアンローダハンド220にさらに設けられているのが望ましい。
【0060】
第2クリーナ部240は、下金型23の金型面23Aに向けて開口する第2吸引穴241と、下金型23の金型面23Aに向けて突出し、第2吸引穴241と下金型23の金型面23Aとの間に減圧された吸引空間を形成可能に構成された第2集塵部材242と、吸引空間において下金型23の金型面23Aに固着した塵を掻き落とすブラシ243とを備えている。ブラシ243は、例えば回転ブラシである。第2集塵部材242は、ブラシ243によって掻き落とされた塵の周囲への飛散を防ぐ役割も担っている。
【0061】
第2吸引穴241は、吸引空間から塵を吸い取り、図示を省略したダクトに送る。第2吸引穴241は、X軸方向に延在し、第2ワーク保持部221,222の両方の全体とY軸方向で対向している。
【0062】
第2集塵部材242は、第2吸引穴241に対してアンローダハンド220の進入方向の前方側に配置された第2前方部分242Aと、第2吸引穴241に対してアンローダハンド220の進入方向の後方側に配置された第2後方部分242Bとを有している。第2前方部分242A及び第2後方部分242Bは、例えば、耐熱シリコーンゴムやスポンジ等の弾性材料によって形成されている。一例として、第2前方部分242A及び第2後方部分242Bのそれぞれの一端が互いに接続され、それぞれの他端が互いに接続されている。すなわち、第2集塵部材242が第2吸引穴241を囲む枠状に設けられている。
【0063】
アンローダハンド220が樹脂封止金型21から退出するとき、すなわち第2クリーナ部240が下金型23の金型面23Aを清掃するとき、第2クリーナ部240とアンローダハンド220の間に取り付けてあるアクチュエータ245が可動伸長して下金型23の金型面23Aに摺接する。アンローダハンド220が樹脂封止金型21に進入するとき、下金型23の金型面23Aに設置されたワークWとの接触を避けるため、第2前方部分242A及び第2後方部分242Bの両方は、下金型23の金型面23Aから離間する。
【0064】
なお、第2集塵部材242の構成は上記に限定されるものではない。
【0065】
次に、図6を参照しつつ、樹脂封止品の製造方法について説明する。図6は、第1実施形態に係る樹脂封止装置を用いた樹脂封止品の製造工程を示すフローチャートである。
【0066】
まず、ワークWを樹脂封止金型21に搬入する(S10)。予備加熱された樹脂封止前のワークWをローダハンド120に保持させ、型開きした樹脂封止金型21の内部に搬入し、下金型23の金型面23Aに設置する。
【0067】
次に、ワークWを樹脂封止する(S20)。樹脂封止金型21を型締めし、樹脂封止金型21のキャビティに液状の樹脂を注入する。樹脂に圧力を加えつつ加熱し、樹脂を硬化させる。
【0068】
次に、樹脂封止金型21からワークWを搬出しつつ樹脂封止金型21を清掃する(S30)。まず、樹脂封止金型21を型開きし、下金型23の金型面23A上のワークWに干渉しないように、第2ワーク保持部221,222を下金型23の金型面23Aから離間させた状態で、アンローダハンド220を樹脂封止金型21の内部へ進入させる。次に、樹脂封止済みのワーク(成形品)Wを第2ワーク保持部221,222が取り上げ、アクチュエータ245を伸長させて第2クリーナ部240を下金型23の金型面23Aに向かって接近させる。次に、下金型23の金型面23Aを第2クリーナ部240に清掃させつつ、第2ワーク保持部221,222にワークWを保持したアンローダハンド220を樹脂封止金型21の内部から退出させる。つまり、下金型23の金型面23Aの清掃は、アンローダハンド220の樹脂封止金型21の内部への進入時には実施せず、退出時に実施する。この型開き後のアンローダハンド220の第2クリーナ部240による清掃は、成形後の樹脂カスが装置内に飛散する前に清掃するものであり、下金型23の金型面23Aに固着した樹脂や樹脂炭化物等を、ブラシ243を利用して掻き落としつつ第2吸引穴241で吸引し、除去する。
【0069】
次に、ワークWを樹脂封止金型21に搬入しつつ樹脂封止金型21を清掃する(S40)。まず、アンローダハンド220による樹脂封止金型21の清掃後、フィルム供給装置25を作動させ、上金型22の側のリリースフィルムRFを刷新する。次に、第1ワーク保持部121,122に樹脂封止前のワークWを保持させた状態で、アクチュエータ145を伸長させて第1クリーナ部140を下金型23の金型面23Aに向かって接近させる。次に、下金型23の金型面23Aを第1クリーナ部140に清掃させつつ、第1ワーク保持部121,122にワークWを保持したローダハンド120を樹脂封止金型21の内部に進入させる。次に、ワークWを第1ワーク保持部121,122から下金型23の金型面23Aに引き渡し、アクチュエータ145を収縮させて第1クリーナ部140を下金型23の金型面23Aから離間させる。次に、下金型23の金型面23A上のワークWに干渉しないように、第1ワーク保持部121,122を下金型23の金型面23Aから離間させた状態で、ローダハンド120を樹脂封止金型21の内部から退出させる。つまり、下金型23の金型面23Aの清掃は、ローダハンド120の樹脂封止金型21の内部への進入時に実施し、退出時には実施しない。この型開き後の2回目の清掃では、下金型23の金型面23Aに落下した樹脂片等を第1吸引穴141で吸引し除去する。
【0070】
樹脂封止品の製造は、樹脂封止金型31~51でも順次、上記と同様に実施される。
【0071】
以上のように、本発明の一実施形態に係る樹脂封止装置1は、第1クリーナ部140を有するローダハンド120と、第2クリーナ部240を有するアンローダハンド220と、ローダハンド120及びアンローダハンド220の動作を制御する制御部Cとを有し、制御部Cは、ローダハンド120が樹脂封止金型21~51の内部にワークWを搬入するときに、ローダハンド120によって樹脂封止金型21~51の内部を清掃させる。例えば、制御部Cは、第1クリーナ部140を下金型23の金型面23Aに接近させた状態で、第1ワーク保持部121,122にワークWを保持させたローダハンド120を上金型22と下金型23との間の空間に進入させ、下金型23の金型面23Aを清掃させ、第1クリーナ部140を下金型23の金型面23Aから離間させた状態で、第1ワーク保持部121,122からワークWを開放しローダハンド120を上金型22と下金型23との間の空間から退出させる動作とを制御する。
これによれば、例えば、ローダハンド120が、アンローダハンド220による清掃後に樹脂封止金型21~51の金型面に落ちた塵を除去できる。ワークWの設置の直前に塵を除去することで、不良品の発生率を低減できる。
【0072】
第1クリーナ部140は第1吸引穴141を有し、第2クリーナ部240は第2吸引穴241及びブラシ243を有している。
樹脂封止金型21~51の金型面に固着した樹脂カスは、アンローダハンド220の第2クリーナ部240に備えられたブラシ243によって掻き落とされる。アンローダハンド220には必然的にブラシを可動する機構が備わり、アンローダハンド220の重量増大を伴う大型化のため、アンローダ本体290の負担は大きくなる。一方のローダハンド120の第1クリーナ部140では第1吸引穴141で塵を吸引することで除去することができる。したがって、ローダハンド120の大型化・重量増大が抑制でき、ローダハンド120を支持するローダ本体190への負担が低減できる。
【0073】
上記態様において、第1クリーナ部140は、吸引空間を形成可能に構成された第1集塵部材142をさらに有してもよい。
これによれば、第1吸引穴141の吸引力が向上することで第1クリーナ部140の清掃効率が向上し、不良品の発生率を低減できる。
【0074】
上記態様において、第1集塵部材142は、第1吸引穴141を囲む枠状に構成されてもよい。
これによれば、第1吸引穴141の吸引力がさらに向上する。
【0075】
上記態様において、第1集塵部材142の第1前方部分142Aの先端は、第1後方部分142Bの先端に比べて、第1吸引穴141に近くてもよい。
これによれば、清掃時にワークWの側への塵の取りこぼしを低減できる。
【0076】
上記態様において、第1後方部分142Bが樹脂封止金型21~51の金型面に摺接するとき、第1前方部分142Aは、樹脂封止金型21~51の金型面から離間して構成されてもよい。
これによれば、ワークWの側への塵の取りこぼしを低減しつつ、塵を吸引空間に取り込める。
【0077】
上記態様において、第2クリーナ部240は、吸引空間を形成可能に構成された第2集塵部材242をさらに有してもよい。
これによれば、第2吸引穴241の吸引力が向上することで第2クリーナ部240の清掃効率が向上し、不良品の発生率を低減できる。
【0078】
上記態様において、第2集塵部材242は、第2吸引穴241を囲む枠状に構成されてもよい。
これによれば、第2吸引穴241の吸引力がさらに向上する。
【0079】
上記態様において、第1クリーナ部140は、下金型の金型面を清掃してもよい。
これによれば、アンローダハンド220による清掃後に発生する塵は落下物などの下金型に付着するものが多いため、下金型の金型面を清掃することで、充分に不良品の発生を低減できる。
【0080】
上記態様において、樹脂封止装置1は上金型の金型面にリリースフィルムRFを供給するフィルム供給装置25をさらに備えてもよい。
これによれば、上金型の金型面はリリースフィルムRFによって保護されるため、塵の付着は生じない。したがって、第1クリーナ部140及び第2クリーナ部240は、下金型の金型面のみを清掃すればよく、ローダハンド120及びアンローダハンド220の大型化・重量増大が抑制できる。なお、上金型22にリリースフィルムRFを必要としない構成の場合は、上金型22の金型面22Aをクリーニングする上向きのクリーナ部をローダハンド120にさらに設けても良い。
【0081】
本発明の一実施形態に係る樹脂封止品の製造方法は、樹脂封止された第1のワークWをアンローダハンド220によって樹脂封止金型21~51から搬出するときに、樹脂封止金型21~51の金型面をアンローダハンド220によって清掃することと、第2のワークWをローダハンド120によって樹脂封止金型21~51に搬入するときに、樹脂封止金型21~51の金型面をローダハンド120によって清掃することとを含む。例えば、ローダハンド120によって清掃することは、ローダハンド120の第1ワーク保持部121,122にワークWを保持した状態で、ローダハンド120の第1クリーナ部140を樹脂封止金型21のうち下金型23の金型面23Aに接近させつつローダハンド120を上金型22と下金型23との間の空間に進入させ、下金型23の金型面23Aを清掃することを含む。
これによれば、例えば、ワークの設置の直前に塵を除去することで、不良品の発生率を低減できる。
【0082】
上記態様において、アンローダハンド220によって清掃することは、樹脂封止金型21~51の金型面をブラシ243で掻くことと、樹脂封止金型21~51の金型面を第2吸引穴241で吸引することとを含み、ローダハンド120によって清掃することは、樹脂封止金型21~51の金型面を第1吸引穴141で吸引することを含んでもよい。
これによれば、樹脂封止金型21~51の金型面に固着した塵(樹脂カス)は、アンローダハンド220の第2クリーナ部240に備えられたブラシ243によって掻き落とされるので、ローダハンド120の第1クリーナ部140では第1吸引穴141で塵を吸引することで除去することができる。したがって、ローダハンド120の大型化・重量増大が抑制でき、ローダハンド120を支持するローダへの負担が低減できる。
【0083】
なお、上記の実施形態において、第2クリーナ部240が樹脂封止金型21~51の上金型及び下金型のうち下金型のみを清掃する構成を例に挙げて説明したが、第2クリーナ部240は上金型及び下金型の両方を清掃する構成でもよい。同様に第1クリーナ部140は上金型及び下金型の両方を清掃する構成でもよい。
【0084】
以上説明したように、本発明の一態様によれば、ローダハンドの支持部への負担を抑制しつつ不良品の発生を抑制可能である、樹脂封止装置、及び樹脂封止品の製造方法が提供できる。
【0085】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1…樹脂封止装置、10…インモジュール、20~50…プレスモジュール、21~51…樹脂封止金型、22…上金型、23…下金型、22A,23A…金型面、25…フィルム供給装置、RF…リリースフィルム、90…アウトモジュール、100…ローダ、120…ローダハンド、140…第1クリーナ部、141…第1吸引穴、142…第1集塵部材、142A…第1前方部分、142B…第1後方部分、200…アンローダ、220…アンローダハンド、240…第2クリーナ部、241…第2吸引穴、242…第2集塵部材、242A…第2前方部分、242B…第2後方部分、243…ブラシ
図1
図2
図3
図4
図5
図6