(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059791
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/187 20060101AFI20220407BHJP
H01R 13/15 20060101ALI20220407BHJP
H01R 13/405 20060101ALI20220407BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20220407BHJP
【FI】
H01R13/187 A
H01R13/15 Z
H01R13/405
A24F40/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167610
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】上遠野 賢一
(72)【発明者】
【氏名】野川 義輝
(72)【発明者】
【氏名】本田 裕貴
【テーマコード(参考)】
4B162
5E087
【Fターム(参考)】
4B162AA02
4B162AA22
4B162AC22
4B162AC31
5E087EE07
5E087EE11
5E087FF02
5E087GG02
5E087HH01
5E087JJ01
5E087KK05
5E087MM02
5E087QQ06
5E087RR02
5E087RR06
5E087RR29
(57)【要約】
【課題】簡素な構成でありながら、端子と相手方端子との接続を容易、かつ、確実に行うことができ、接続抵抗が低く、接続が切断されることがなく、低コストでありながら、信頼性が高くなるようにする。
【解決手段】ハウジング10と、該ハウジング10に取付けられる端子と、該端子に接続される相手方端子を保持するリテーナとを備え、前記端子は、前記相手方端子と接触する接触部を含み、該接触部は、略音叉状の形状を有し、互いに基部が連結された一対のレバー部と、一対のレバー部の間の接触凹部とを含み、各レバー部は少なくとも一部がハウジング10に保持され、前記リテーナは、絶縁材と、該絶縁材に固定された保定材とを含み、該保定材は、その長手方向に観てコ字状であり、その幅方向に弾性変形可能であって、前記接触凹部内において前記相手方端子を前記レバー部に押圧する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ハウジングと、該ハウジングに取付けられる端子と、該端子に接続される相手方端子を保持するリテーナとを備え、
(b)前記端子は、前記相手方端子と接触する接触部を含み、該接触部は、略音叉状の形状を有し、互いに基部が連結された一対のレバー部と、一対のレバー部の間の接触凹部とを含み、各レバー部は少なくとも一部がハウジングに保持され、
(c)前記リテーナは、絶縁材と、該絶縁材に固定された保定材とを含み、該保定材は、その長手方向に観てコ字状であり、その幅方向に弾性変形可能であって、前記接触凹部内において前記相手方端子を前記レバー部に押圧することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記絶縁材は、前記ハウジングと係合して保持される請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子は、前記接触部の反対側の端部に形成された基板接続部を含み、該基板接続部は基板に接続される請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記端子は、前記ハウジングと一体化されている請求項1~3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記相手方端子は、相手方部材の一端に接続されたフレキシブルな帯状部材であって、一方の面が絶縁層によって覆われ、他方の面に導電層が露出し、前記一方の面に前記保定材が接触し、前記他方の面に前記レバー部が接触する請求項1~4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記相手方部材の温度を検出する温度検出器を支持する検出器用端子を更に備える請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記相手方部材は筒状の部材であり、
前記検出器用端子は、その先端に接続された検出器保持部であって前記温度検出器が固定される検出器保持部と、該検出器保持部に接続され、前記相手方部材の側面に接触する接触部とを含む請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記相手方部材は、内部に空洞が形成されたヒータであり、前記空洞内には、被加熱部材をガイドする金属筒が収容される請求項7に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒータ等の電気機器をバッテリ等の電源と電気的に接続するために、回路の端部に接続されたリードに接続パッドを接続し、該接続パッドを介して、端子に接続する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図11は従来のヒータの接続構成を示す斜視図である。
【0004】
図において、801は、たばこ加熱装置等に使用されるヒータであり、セラミック材料等から成る円筒状の絶縁基体891と、該絶縁基体891の内部に設けられた線状の発熱抵抗体892とを有する。なお、811は、ヒータ801における発熱領域であり、812は、ヒータ801における非発熱領域である。
【0005】
そして、発熱領域811における発熱抵抗体892の両端は、それぞれ、絶縁基体891の内部においてリード部851の一端に接続され、非発熱領域812において、各リード部851の他端は、絶縁基体891の表面に配設された電極パッド852に接続され、各電極パッド852の表面に導電性の端子853の一端が接続される。
【0006】
これにより、各端子853の他端に接続される図示されないバッテリ等の電源からの電力が発熱抵抗体892に供給され、ヒータ801が発熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来のヒータ801においては、発熱抵抗体892と端子853との間に、リード部851及び電極パッド852という複数の介在部材が存在するので、構成が複雑化し、かつ、発熱抵抗体892と端子853との間の接続抵抗が大きくなるので、導電効率が低下してしまう。また、発熱抵抗体892とリード部851との接続、リード部851と電極パッド852との接続、及び、電極パッド852と端子853との接続は、一般的に、はんだ等の導電性接続剤によって行われる。そのため、はんだ付のような導電性接続剤の付与作業が必要となり、製造コストが高くなってしまう。しかも、はんだ等の導電性接続剤による接続箇所は、長期間の使用後や、振動、衝撃等の外力を受けたときなどに破断する可能性があり、信頼性が低い。
【0009】
ここでは、前記従来の技術の問題点を解決して、簡素な構成でありながら、端子と相手方端子との接続を容易、かつ、確実に行うことができ、接続抵抗が低く、接続が切断されることがなく、低コストでありながら、信頼性の高いコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、コネクタにおいては、ハウジングと、該ハウジングに取付けられる端子と、該端子に接続される相手方端子を保持するリテーナとを備え、前記端子は、前記相手方端子と接触する接触部を含み、該接触部は、略音叉状の形状を有し、互いに基部が連結された一対のレバー部と、一対のレバー部の間の接触凹部とを含み、各レバー部は少なくとも一部がハウジングに保持され、前記リテーナは、絶縁材と、該絶縁材に固定された保定材とを含み、該保定材は、その長手方向に観てコ字状であり、その幅方向に弾性変形可能であって、前記接触凹部内において前記相手方端子を前記レバー部に押圧する。
【0011】
他のコネクタにおいては、さらに、前記絶縁材は、前記ハウジングと係合して保持される。
【0012】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記端子は、前記接触部の反対側の端部に形成された基板接続部を含み、該基板接続部は基板に接続される。
【0013】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記端子は、前記ハウジングと一体化されている。
【0014】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記相手方端子は、相手方部材の一端に接続されたフレキシブルな帯状部材であって、一方の面が絶縁層によって覆われ、他方の面に導電層が露出し、前記一方の面に前記保定材が接触し、前記他方の面に前記レバー部が接触する。
【0015】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記相手方部材の温度を検出する温度検出器を支持する検出器用端子を更に備える。
【0016】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記相手方部材は筒状の部材であり、前記検出器用端子は、その先端に接続された検出器保持部であって前記温度検出器が固定される検出器保持部と、該検出器保持部に接続され、前記相手方部材の側面に接触する接触部とを含む。
【0017】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記相手方部材は、内部に空洞が形成されたヒータであり、前記空洞内には、被加熱部材をガイドする金属筒が収容される。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、コネクタは、簡素な構成でありながら、端子と相手方端子との接続を容易、かつ、確実に行うことができ、接続抵抗が低く、接続が切断されることがなく、コストを低減し、かつ、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施の形態におけるコネクタの斜視図であって、(a)は斜め前方から観た図、(b)は斜め後方から観た図である。
【
図2】本実施の形態におけるコネクタの分解図である。
【
図3】本実施の形態におけるトップケースを取外したコネクタを示す斜視図である。
【
図4】本実施の形態におけるトップケースの斜視図である。
【
図5】本実施の形態におけるトップケース、リテーナ及びヒータユニットを取外したコネクタを示す斜視図であって、(a)は第1の斜視図、(b)は第2の斜視図である。
【
図6】本実施の形態におけるリテーナを示す図であって、(a)はリテーナの斜視図、(b)は保定材の斜視図である。
【
図7】本実施の形態におけるハウジングを除去した状態を示す斜視図である。
【
図8】本実施の形態におけるハウジングを除去した状態を示す上面図である。
【
図9】本実施の形態における端子と検出器用端子との位置関係を示す第1の斜視図である。
【
図10】本実施の形態における端子と検出器用端子との位置関係を示す第2の斜視図である。
【
図11】従来のヒータの接続構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は本実施の形態におけるコネクタの斜視図、
図2は本実施の形態におけるコネクタの分解図、
図3は本実施の形態におけるトップケースを取外したコネクタを示す斜視図、
図4は本実施の形態におけるトップケースの斜視図である。なお、
図1において、(a)は斜め前方から観た図、(b)は斜め後方から観た図である。
【0022】
図において、1は本実施の形態におけるコネクタであり、ハウジング10と、該ハウジング10に取付けられる端子51とを備える。前記コネクタ1は、相手方部材としてのヒータ72を含むヒータユニット70と、バッテリ等の図示されない電源に接続された基板91とを電気的に接続するために使用されるものであり、前記コネクタ1には前記ヒータユニット70及び基板91が取付けられる。
【0023】
前記ヒータユニット70は、いかなる被加熱対象(被加熱部材)を加熱するものであってもよいが、ここでは、被加熱対象が、電子たばこであって、例えば、加熱式たばこである場合を例にとって説明する。本実施の形態において、前記ヒータユニット70は、加熱部材であるヒータ72と該ヒータ72内に収容される金属筒71とを含んでいる。前記ヒータ72は、いかなる種類のものであってもよいが、ここでは、内部に空洞72aが形成された筒状の部材であって、前記空洞72a内に、ステンレス鋼等の金属から成る円筒状の被加熱部材をガイドするガイド部材としての金属筒71が収容されるものとする。なお、該金属筒71は、例えば、板厚が0.15〔mm〕程度、外径が7.0〔mm〕程度の円筒であり、内部に被加熱部材収容空洞71aが形成されているものとする。また、前記ヒータ72は、望ましくは、導電層(ヒータ層)の上にポリイミドから成る絶縁層を積層したフレキシブル回路基板(FPC)を角筒状に形成したものであるが、セラミックス製のものであってもよい。
【0024】
なお、本実施の形態において、コネクタ1の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記コネクタ1の各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、前記コネクタ1の各部の姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0025】
前記ハウジング10は、樹脂等の絶縁性の材料であって、望ましくは、いわゆるフードコンタクトマテリアルと称される材料から成り、図に示される例においては、概略直方体状の外観を有する。そして、前記ハウジング10は、本体部11と、該本体部11の前面11aに着脱可能に取付けられた前方部としてのトップケース12とを有する。また、前記本体部11は、その後面11bから後方に延出する後方突出部13とその前面11aから前方に延出する前方突出部14とを含んでいる。前記後方突出部13及び前方突出部14は、本体部11と一体的に形成されている。なお、前記後方突出部13の下側(Z軸負方向側)側面には、基板接続凸部13cが形成され、該基板接続凸部13cの下端に基板91が取付けられる。
【0026】
また、前記コネクタ1は、前記ヒータ72の温度を検出する温度検出器としてのサーミスタ67を支持する検出器用端子61を備える。そして、前記端子51及び検出器用端子61は、ハウジング10に圧入されて保持されるものであってもよいが、ここでは、前記端子51及び検出器用端子61は、オーバーモールド成形(インサート成形)によってハウジング10と一体化される部材であるものとして説明する。したがって、前記端子51及び検出器用端子61はハウジング10から離間して存在するものではないが、説明の都合上、
図2においては、ハウジング10から離間しているように描画されていることに留意されたい。
【0027】
なお、
図2に示されるように、本実施の形態において、端子51は、一対であって、第1端子51A及び第2端子51Bを含み、また、検出器用端子61も、一対であって、第1検出器用端子61A及び第2検出器用端子61Bを含んでいる。ここでは、第1端子51A及び第2端子51Bを統合的に説明する場合には、端子51として説明し、第1検出器用端子61A及び第2検出器用端子61Bを統合的に説明する場合には、検出器用端子61として説明する。
【0028】
各端子51は、導電性の金属板に曲げ加工を施して一体的に形成された部材であって、ハウジング10の前後方向(X軸方向)に延在する本体部52と、該本体部52の前端に接続された接触部54と、該接触部54の反対側の端部に形成された基板接続部53とを有する。該基板接続部53は、前記本体部52の後端における側縁に約90度曲げて接続され、下方(Z軸負方向)に向けて延出する。なお、第2端子51Bの本体部52及び基板接続部53は、第1端子51Aの本体部52及び基板接続部53よりも長くなるように形成されている。そして、前記基板接続部53の下端は、ハウジング10の後方突出部13の下側側面から突出し、基板91の表面に形成された電力接続部92にはんだ付等の手段によって導電可能に接続される。
【0029】
また、各検出器用端子61は、導電性の金属板に曲げ加工を施して一体的に形成された部材であって、ハウジング10の前後方向に延在する本体部62と、該本体部62の前端に接続された電極接続部64と、前記本体部62の後端に接続された基板接続部63とを有する。該基板接続部63は、本体部62の後端から後方(X軸負方向)に向けて延出する第1部63aと、該第1部63aの後端に約90度曲げて接続され、下方(Z軸負方向)に向けて延出する第2部63bとを有する。なお、前記第1部63aの途中には、クランク状に屈曲した屈曲部63cが形成されている。なお、第2検出器用端子61Bの基板接続部63は、第1検出器用端子61Aの基板接続部63よりも長くなるように形成されている。そして、前記基板接続部63の下端は、ハウジング10の後方突出部13の下側側面から突出し、基板91の表面に形成された信号接続部93にはんだ付等の手段によって導電可能に接続される。
【0030】
さらに、第2検出器用端子61Bの本体部62には、枝分れ部62aが形成され、該枝分れ部62aの先端には、検出器保持部64aが接続されている。該検出器保持部64aの前端面は、前記電極接続部64の前端面とともに、前方突出部14の前面14aに露出する。そして、前記サーミスタ67は、前記検出器保持部64aの前端面に固定されて保持され、前記サーミスタ67から延出する一対の線状導電材である電極部材68の先端は、それぞれ、第1検出器用端子61A及び第2検出器用端子61Bの電極接続部64にはんだ等の接続部材68aを介して、導電可能に接続される。
【0031】
ハウジング10の本体部11には、前面11aから後方に向けて凹入する凹入部としてのヒータ取付凹部15が形成されている。そして、前記本体部11には、後方突出部13の後面13bからヒータ取付凹部15の前面15aまで連通するように、貫通孔16が形成されている。前記金属筒71は、ヒータ72よりも長尺であり、該ヒータ72の空洞72a内には、その前端がヒータ72の前端とほぼ同一位置となり、その後端がヒータ72の後端よりも後方に突出するように収容される。そして、前記金属筒71の後端から所定の長さ範囲は、ヒータ取付凹部15の前面15aから、前記貫通孔16内に進入する。
【0032】
前記ヒータ72は、その一端(具体的には後端)に接続された電極部材である一対のリードタブ73を備える。各リードタブ73は、前記端子51に接続される相手方端子として機能するフレキシブルな帯状部材であって、導電層とポリイミドから成る絶縁層とを積層した一種のフレキシブル回路基板であり、一方の面、すなわち、前方側の面は絶縁層によって覆われ、他方の面、すなわち、後方側の面には導電層が露出している。なお、
図2に示される例において、各リードタブ73は、前後方向に対して垂直な面内において横方向(Y軸方向)に延在する被保持部73aと、約90度に屈曲された屈曲部73cを介して、前記被保持部73aの先端に接続され、後方に向けて延出する被接触部73bとを含んでいる。なお、前記ヒータ72がハウジング10に取付けられる以前の状態、すなわち、初期状態において、各リードタブ73はヒータ72の軸方向である前後方向に対して垂直な面内において横方向に延在する一枚の帯状の部材であって、屈曲部73cは形成されていないことに留意されたい。
【0033】
前記ヒータ72は、被保持部73aの後方側の面をヒータ取付凹部15の前面15aに対向させて、その後端がヒータ取付凹部15内に収容された後、相手方端子保持部材としてのリテーナ21によって、前記被保持部73aの前方側の面が押圧されることにより、ヒータ取付凹部15内に保持される。前記リテーナ21は、前記ハウジング10と係合して保持される部材である。そして、前記リテーナ21は、ハウジング10と同様の材料から成る部材であって、上下方向に延在する板部材である絶縁材としての本体部22と、該本体部22に固定された保定材58とを備える。前記本体部22は、その両端に接続された横方向に延在する一対のリードタブ保持部23を含んでいる。そして、前記本体部22と一対のリードタブ保持部23とによって三方を画定された空間は、ヒータ72と干渉しないためのヒータ用空間22aとなっている。また、前記保定材58は、導電性の金属板に曲げ加工を施して一体的に形成された一対の部材である。各保定材58は、上下方向に延在する帯状の本体部58aと、該本体部58aの両側縁に約90度曲げて接続され、後方に向けて延出する一対の押圧板58bとを有する。前記保定材58は、その長手方向(Z軸方向)に観てコ字状に形成され、その幅方向(Y軸方向)に弾性的に変形可能な部材であり、対向する押圧板58b同士の間隔は、弾性的に変位可能である。なお、前記保定材58は、リテーナ21に組付けられるものであってもよいが、ここでは、オーバーモールド成形によってリテーナ21と一体化される部材であるものとして説明する。
【0034】
そして、前記金属筒71の後端から所定の長さ範囲がヒータ取付凹部15の前面15aから貫通孔16内に挿入され、ヒータ72のリードタブ73が、ヒータ取付凹部15の前面15aに当接又は近接させられた状態で、リテーナ21がヒータ取付凹部15に取付けられると、
図3に示されるように、ヒータユニット70がハウジング10に取付けられた状態となる。その後、トップケース12が本体部11の前面11aに取付けられると、
図1に示されるように、本実施の形態におけるコネクタ1を得ることができる。
【0035】
前記トップケース12は、概略矩形の前面12aを含む部材であり、
図4に示されるように、後面12b側に、周囲が側壁12hで画定された空洞状の後方凹部12dが形成された角筒状の容器のような部材である。なお、前記側壁12hの一部には、欠落部12cが形成され、該欠落部12c内に前方突出部14が収容される。また、前記前面12aには、金属筒71の被加熱部材収容空洞71aとほぼ同一内径の前面開口12fが形成され、該前面開口12fを通して、被加熱部材を被加熱部材収容空洞71a内に挿入することができる。なお、前記前面12aにおける前面開口12fの周囲には、前方に向けて突出するリブ12f1が形成されている。また、前記後方凹部12d内には、前方に向けて突出する壁状のヒータ保持筒部12eが形成されている。トップケース12が本体部11の前面11aに取付けられると、ヒータ72の前端から所定の長さ範囲の部分が、前記ヒータ保持筒部12e内に収容されて保持されるので、ヒータ72及びヒータユニット70の姿勢が安定する。
【0036】
また、前記トップケース12は、所定箇所(図に示される例においては、2箇所)に形成されたねじ部材通過孔12gを有し、該ねじ部材通過孔12gを通過するように取付けられた雄ねじを有するねじ部材81によって、本体部11の前面11aに固定される。なお、該前面11aには、ねじ孔11gが形成され、前記ねじ部材81は、前記ねじ孔11gに螺入されて固定される。
【0037】
次に、前記端子51とヒータ72との接続状態、及び、前記サーミスタ67とヒータ72との位置関係について詳細に説明する。
【0038】
図5は本実施の形態におけるトップケース、リテーナ及びヒータユニットを取外したコネクタを示す斜視図、
図6は本実施の形態におけるリテーナを示す図、
図7は本実施の形態におけるハウジングを除去した状態を示す斜視図、
図8は本実施の形態におけるハウジングを除去した状態を示す上面図、
図9は本実施の形態における端子と検出器用端子との位置関係を示す第1の斜視図、
図10は本実施の形態における端子と検出器用端子との位置関係を示す第2の斜視図である。なお、
図5において、(a)は第1の斜視図、(b)は第2の斜視図であり、
図6において、(a)はリテーナの斜視図、(b)は保定材の斜視図である。
【0039】
図6に示されるように、リテーナ21には一対の保定材58が一体化されており、リテーナ21の本体部22の両端における後方(X軸負方向)側の面から、押圧板58bの各対が後方に向けて延出している。また、前記本体部22の中央部における後方側の面には、後方に向けて延出する一対の係合凸部21bが接続され、対向する係合凸部21b同士の間は、係合凹部21cとなっている。さらに、一対のリードタブ保持部23のそれぞれの側縁には、係止突起21aが形成されている。なお、一対の保定材58同士は、押圧板58bも含めて、互いに離間しており、互いに接触することはない。
【0040】
一方、
図5に示されるように、ハウジング10の本体部11におけるヒータ取付凹部15には、後方に向けて凹入する端子ヒータ接続凹部17が形成されている。そして、リテーナ21がヒータ取付凹部15に取付けられると、前記本体部22の中央部における後方側の面から後方に向けて延出する係合凸部21b及び押圧板58bが、前記端子ヒータ接続凹部17内に収容される。この際、該端子ヒータ接続凹部17の中央部分に形成された仕切り壁17bが、相対的に係合凹部21c内に進入して、該係合凹部21cと係合するので、リテーナ21のヒータ取付凹部15に対する位置関係は安定する。また、ヒータ取付凹部15の互いに対向する内側面には、係止凹部15cがそれぞれ形成され、各係止凹部15cにリテーナ21の対応する係止突起21aが係止される。これにより、リテーナ21の本体部22は、ハウジング10の本体部11と係合して保持され、リテーナ21がハウジング10から外れることが防止される。
【0041】
また、前記端子ヒータ接続凹部17内には、各端子51の接触部54の一部が露出している。
図9、10等に示されるように、該接触部54は、略音叉状(略フォーク状)の形状の部分であって、互いに基部が連結された一対のレバー部54aと、各レバー部54aに形成された接続突起54cとを含んでいる。なお、各レバー部54aは互いに平行に延在し、その間の空間は前記保定材58の押圧板58bが進入する接触凹部54bとして機能する。また、各レバー部54aの接続突起54c同士は、互いに対向して、接触凹部54b内に突出する。そして、前記端子ヒータ接続凹部17の内側面の2箇所には、端子収容凹部17aが形成され、各端子51の接触部54における一方のレバー部54aは、前記端子収容凹部17a内に位置する。なお、各接触部54は、接続突起54c以外の部分の少なくとも一部がハウジング10に埋設した状態となっており、各レバー部54aも少なくとも一部がハウジング10に埋設して保持された状態となっている。したがって、各レバー部54aは、ハウジング10によって固定されているので、弾性的に変形することがなく、互いに対向する接続突起54c同士の間隔も弾性的に変化することがない。
【0042】
前述のように、ヒータ72は、各リードタブ73の被保持部73aの後方側の面をヒータ取付凹部15の前面15aに対向させて、その後端がヒータ取付凹部15内に収容された後、リテーナ21のリードタブ保持部23によって、各リードタブ73の被保持部73aの前方側の面が押圧されることにより、ヒータ取付凹部15内に保持される。この際、各リードタブ73の先端側に位置する被接触部73bは、端子ヒータ接続凹部17の前面側に位置するので、リテーナ21の本体部22から後方に向けて延出する保定材58の押圧板58bによって、端子ヒータ接続凹部17内に押込まれ、さらに、対応する端子51の接触部54における接触凹部54b内に押込まれる。これにより、
図7及び8に示されるように、屈曲部73cが形成され、前記被接触部73bは、一対の押圧板58bの一方に沿って後方に向けて延出し、該押圧板58bと前記レバー部54aの接続突起54cとの間に挟込まれる。
【0043】
ここで、前記リードタブ73は、前述のように、導電層と絶縁層とを積層した一種のフレキシブル回路基板であって、前方側の面は絶縁層によって覆われ、後方側の面には導電層が露出しているので、
図7及び8に示されるような状態において、被接触部73bの押圧板58b側の面は絶縁層に覆われた面であり、被接触部73bの押圧板58bと反対側の面に導電層が露出している。したがって、前記押圧板58bとレバー部54aの接続突起54cとの間に挟込まれた被接触部73bの導電層は、レバー部54aの接続突起54cと接触して導通する。これにより、ヒータ72が端子51と導通し、該端子51及び基板91を介して、電源に電気的に接続される。なお、前述のように、保定材58は弾性的に変形可能な部材であって、対向する押圧板58b同士の間隔は、弾性的に変位可能であるので、被接触部73bの導電層は、レバー部54aの接続突起54cに押付けられ、端子51の接触部54との接触が確実に維持される。
【0044】
また、第2検出器用端子61Bの枝分れ部62aの先端に接続された検出器保持部64aにおいて、サーミスタ67が固定される前端面の先端には、約90度曲げて接続され、後方に向けて延出する接触部64bが接続されている。該接触部64bは、
図8に示されるように、ヒータ72の側面と平行に延在して、該ヒータ72の側面に接触する。これにより、該ヒータ72の熱が、接触部64bを通して、サーミスタ67に伝達されるので、該サーミスタ67は、ヒータ72の温度を正確に検出することができる。そして、前記サーミスタ67の一対の電極部材68の先端が、検出器用端子61の電極接続部64に、接続部材68aを介して、導電可能に接続されているので、前記サーミスタ67が検出したヒータ72の温度は、検出器用端子61及び基板91を介して、図示されない制御装置によって検出される。
【0045】
なお、
図5(a)に示されるように、前方突出部14におけるヒータ取付凹部15側の側面には、その表面がヒータ72の側面に当接又は近接する突条部14cが形成され、検出器保持部64aは、接触部64bが前記突条部14cの表面に露出するようにして、前方突出部14内に埋込まれている。したがって、ヒータ72の側面と接触部64bとの接触が安定して維持される。なお、ヒータ72の側面との接触を良好なものにするために、必要に応じて、接触部64bの表面に突起を形成することもできる。
【0046】
このように、本実施の形態において、コネクタ1は、ハウジング10と、ハウジング10に取付けられる端子51と、端子51に接続されるリードタブ73を保持するリテーナ21とを備え、端子51は、リードタブ73と接触する接触部54を含み、接触部54は、略音叉状の形状を有し、互いに基部が連結された一対のレバー部54aと、一対のレバー部54aの間の接触凹部54bとを含み、各レバー部54aは少なくとも一部がハウジング10に保持され、リテーナ21は、本体部22と、本体部22に固定された保定材58とを含み、保定材58は、その長手方向に観てコ字状であり、その幅方向に弾性変形可能であって、接触凹部54b内においてリードタブ73をレバー部54aに押圧する。
【0047】
これにより、コネクタ1は、簡素な構成でありながら、端子51とリードタブ73との接続を容易、かつ、確実に行うことができ、接続抵抗が低く、接続が切断されることがなく、低コストでありながら、信頼性を向上させることができる。
【0048】
また、本体部22は、ハウジング10と係合して保持される。したがって、リテーナ21がハウジング10から外れることが防止される。
【0049】
さらに、端子51は、接触部54の反対側の端部に形成された基板接続部53を含み、基板接続部53は基板91に接続される。これにより、リードタブ73は、端子51を介して、基板91に電気的に接続される。
【0050】
さらに、端子51は、ハウジング10と一体化されている。したがって、端子51の位置決めが確実に行われ、さらに、コネクタ1の構成が簡素化され、かつ、コネクタ1の製造が容易となり、製造コストを低減することができる。
【0051】
さらに、リードタブ73は、ヒータ72の一端に接続されたフレキシブルな帯状部材であって、一方の面が絶縁層によって覆われ、他方の面に導電層が露出し、一方の面に保定材58が接触し、他方の面にレバー部54aが接触する。したがって、リードタブ73と端子51の接触部54との接触が確実に維持される。
【0052】
さらに、ヒータ72の温度を検出するサーミスタ67を支持する検出器用端子61を更に備える。これにより、ヒータ72の温度を検出することができる。
【0053】
さらに、ヒータ72は筒状の部材であり、検出器用端子61は、その先端に接続された検出器保持部64aであってサーミスタ67が固定される検出器保持部64aと、検出器保持部64aに接続され、ヒータ72の側面に接触する接触部64bとを含む。したがって、サーミスタ67は、ヒータ72の温度変化を、タイムラグなしに、正確に検出することができる。
【0054】
さらに、ヒータ72は、内部に空洞72aが形成され、空洞72a内には、被加熱部材をガイドする金属筒71が収容される。したがって、被加熱部材を均一に、かつ、安定的に加熱することができる。
【0055】
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本開示は、コネクタに適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 コネクタ
10 ハウジング
11、22、52、58a、62 本体部
11a、12a、14a、15a 前面
11b、12b、13b 後面
11g ねじ孔
12 トップケース
12c 欠落部
12d 後方凹部
12e ヒータ保持筒部
12f 前面開口
12f1 リブ
12g ねじ部材通過孔
12h 側壁
13 後方突出部
13c 基板接続凸部
14 前方突出部
14c 突条部
15 ヒータ取付凹部
15c 係止凹部
16 貫通孔
17 端子ヒータ接続凹部
17a 端子収容凹部
17b 仕切り壁
21 リテーナ
21a 係止突起
21b 係合凸部
21c 係合凹部
22a ヒータ用空間
23 リードタブ保持部
51、853 端子
51A 第1端子
51B 第2端子
53、63 基板接続部
54、64b 接触部
54a レバー部
54b 接触凹部
54c 接続突起
58 保定材
58b 押圧板
61 検出器用端子
61A 第1検出器用端子
61B 第2検出器用端子
62a 枝分れ部
63a 第1部
63b 第2部
63c、73c 屈曲部
64 電極接続部
64a 検出器保持部
67 サーミスタ
68 電極部材
68a 接続部材
70 ヒータユニット
71 金属筒
71a 被加熱部材収容空洞
72、801 ヒータ
72a 空洞
73 リードタブ
73a 被保持部
73b 被接触部
81 ねじ部材
91 基板
92 電力接続部
93 信号接続部
811 発熱領域
812 非発熱領域
851 リード部
852 電極パッド
891 絶縁基体
892 発熱抵抗体