(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059794
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】蒟蒻用色付粉の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 5/43 20160101AFI20220407BHJP
A23L 19/00 20160101ALN20220407BHJP
【FI】
A23L5/43
A23L19/00 102Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167617
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】500372485
【氏名又は名称】株式会社マルモト
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 周一
【テーマコード(参考)】
4B016
4B018
【Fターム(参考)】
4B016LC03
4B016LC04
4B016LE02
4B016LG07
4B016LP01
4B016LP05
4B016LQ10
4B018LB03
4B018LE03
4B018MA07
4B018MC01
4B018MD53
4B018ME14
4B018MF04
4B018MF06
4B018MF07
4B018MF14
(57)【要約】
【課題】食品産業廃棄物である飛粉を用いた蒟蒻用色付粉の製造方法及び蒟蒻用色付粉を提供する。
【解決手段】この蒟蒻用色付粉の製造方法及び蒟蒻用色付粉は、蒟蒻粉製造時の副産物であり食品産業廃棄物として処分される飛粉を用いて蒟蒻用色付粉を製造する。このため、海藻(カジメ)と比較して原料コストが極めて安く、蒟蒻用色付粉を安価で提供することができる。また、食品産業廃棄物の再利用を行うため廃棄物の削減と食品ロスの低減、地球環境の保護にも貢献することができる。またさらに、蒟蒻用色付粉は海藻等とは異なり蒟蒻芋を原料とするものであるから、本発明の蒟蒻用色付粉を用いて製造された蒟蒻は原材料名の欄に蒟蒻粉・蒟蒻飛粉と記載することが可能となる。これにより、製品の商品価値を向上することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒟蒻粉の製造時の副産物である飛粉を取得する取得工程と、
前記飛粉に水を加え混錬する加水混錬工程と、
加水混錬した飛粉を所定の形状に成形する成形工程と、
成形された飛粉を乾燥する乾燥工程と、
乾燥した飛粉を50μm~1200μmの大きさに粉砕する粉砕工程と、
粉砕した飛粉を高温処理して黒色乃至濃茶色となるまで変色させる高温処理工程と、を有する蒟蒻用色付粉の製造方法。
【請求項2】
大きさが50μm~1200μmで黒色乃至濃茶色に変色した飛粉によって構成された蒟蒻用色付粉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒟蒻を製造する際に用いる蒟蒻用色付粉の製造方法及びその蒟蒻用色付粉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蒟蒻は日本で古くから食されてきた食物であり、一般的に蒟蒻芋をすりおろしたものに水と水酸化カルシウム等の凝固剤を入れて固めることで製造する方法と蒟蒻芋を原料とした蒟蒻粉に水と水酸化カルシウム等の凝固剤を入れて固めることで製造する方法とがある。そして、蒟蒻芋をすりおろしたものや旧来の蒟蒻粉には蒟蒻芋の表皮及び澱粉等が適度に混入し、この表皮及び澱粉等が蒟蒻の色を茶色に着色するとともに蒟蒻内部の茶褐色の粒となる。ただし、現在の蒟蒻は表皮部分が完全に取り除かれた白色の蒟蒻粉(精粉)を使用して製造することが一般的であり、このような白色の蒟蒻粉で製造された蒟蒻はそのままでは白色となる。しかしながら、消費者の多くは旧来の茶色で茶褐色の粒を内含した蒟蒻を好む傾向があり、流通量は旧来の茶色の蒟蒻の方が多い。このため、茶色の蒟蒻を製造するために、白色の蒟蒻粉に別途黒色乃至濃茶色の蒟蒻用色付粉を添加して着色することが一般的に行われている。
【0003】
そして、この蒟蒻用色付粉としては茶褐色の海藻である「カジメ」の粉末を用いることが多い。しかしながら、地球温暖化に伴う海水温の変化や磯焼けの発生、自然保護による規制の強化等の原因により「カジメ」の収穫量は激減し、その価格は高騰しており、これが蒟蒻用色付粉の材料コストを増大させ大きな問題となっている。この問題点に対し、本願発明者らはコーヒー抽出滓を原料とした下記[特許文献1]に記載の食品用着色料及びその製造方法に関する発明を行った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コーヒー抽出滓を原料とした食品用着色料は成分に問題が有り蒟蒻用色付粉として使用することはできなかった。このため、本願発明者らは茶葉もしくは茶殻を原料として用いた[特願2019-138422号]に記載の発明を行った。しかしながら、茶葉もしくは茶殻を用いた色付粉は着色の観点からは使用可能であるものの、細かな繊維質が混入し、この繊維質が毛髪等の異物に見えるため商品化が困難であった。
【0006】
ところで、蒟蒻粉(精粉)を製造する際の蒟蒻芋の表皮を含む表層部分は飛粉として分離除去される。この飛粉は一部、肥料や飼料として使用されるものの大部分は食品産業廃棄物として処分されるのが現状である。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、食品産業廃棄物である飛粉を用いた蒟蒻用色付粉の製造方法及びその蒟蒻用色付粉の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1)蒟蒻粉の製造時の副産物である飛粉を取得する取得工程S200と、
前記飛粉に水を加え混錬する加水混錬工程S202と、
加水混錬した飛粉を所定の形状に成形する成形工程S204と、
成形された飛粉を乾燥する乾燥工程S206と、
乾燥した飛粉を50μm~1200μmの大きさに粉砕する粉砕工程S208と、
粉砕した飛粉を高温処理して黒色乃至濃茶色となるまで変色させる高温処理工程S210と、を有する蒟蒻用色付粉の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)大きさが50μm~1200μmで黒色乃至濃茶色に変色した飛粉によって構成された蒟蒻用色付粉を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る蒟蒻用色付粉の製造方法及び蒟蒻用色付粉は、蒟蒻粉製造時の副産物であり食品産業廃棄物として処分される飛粉を用いて蒟蒻用色付粉を製造する。このため、原料コストが極めて安く、蒟蒻用色付粉を安価で提供することができる。また、食品産業廃棄物の再利用を行うため廃棄物の削減と食品ロスの低減、地球環境の保護にも貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る蒟蒻用色付粉の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る蒟蒻用色付粉の製造方法及び蒟蒻用色付粉について図面に基づいて説明する。ここで、
図1は本発明に係る蒟蒻用色付粉の製造方法のフローチャートである。本発明に係る蒟蒻用色付粉の製造方法では、先ず、蒟蒻粉(精粉)の製造工程での副産物である飛粉を取得する(取得工程S200)。
【0012】
次に、取得された飛粉に水を加え混錬する(加水混錬工程S202)。このときの混錬装置としては蒟蒻用練機、蒟蒻用ミキシング、リボンブレンダー、連続製麺加湿装置、製麺機、ギャーペレタイザ、エクストルードオ-ミックス、スクリュー型混合器、ニーダー、エクストルーダー等、加水した粉体の混錬が可能であれば如何なる装置を用いても良い。また、このときの加水量は混錬装置及び次の成形工程S204で用いる成形装置に適した粘度となる量であり、飛粉1重量に対し10wt%~120wt%であり、概ね60wt%~80wt%である。尚、飛粉は70μm以下の微粒子のため飛散し易く、そのままでは取り扱いの際に防塵マスク、防塵服、除塵装置等が必要となる。しかしながら、この加水混錬工程S202にて水を加え混錬することで飛粉はペースト状もしくは塊状となり飛散することはない。このため防塵対策が不要となり、作業性の向上と防塵対策にかかるコストの削減を図ることができる。
【0013】
次に、ペースト状もしくは塊状の飛粉を乾燥しやすい所定の形状、例えば、周知のフード成型機を用いて所定の厚みのペレット状もしくは板状とする。または、2つのローラを回転させながらその間隙を通過させるロール圧縮機を用いて圧縮、延伸し厚さ0.5mm~5mm程度のシート状とする(成形工程S204)。尚、この成形機に関しても特に限定はなく顆粒状、板状、ペレット状等の所望の形状に成形可能であれば如何なる装置を用いても良い。
【0014】
次に、成形した飛粉を乾燥し、含有する水分量を概ね15%以下とする(乾燥工程S206)。尚、この乾燥には周知の乾燥機を用いることができる。中でも特に、乾燥室を通過する事で連続的に乾燥が可能なキャタピラ式乾燥機等を用いることが好ましい。
【0015】
次に、乾燥した飛粉を概ね50μm~1200μmの大きさに粉砕、整粒する(粉砕工程S208)。この粉砕にはハンマーミル、ピンミル、インパクトミル、リングローラーミル、気流粉砕機(ターボミル)、ロールミル、破断機等、周知の粉砕装置を用いることができる。
【0016】
ここで、一般的な飛粉は白色または薄灰色のため、そのままでは蒟蒻用色付粉としては色が薄い。よって、粉砕工程S208で粉砕した飛粉を180℃~220℃の高温で加熱処理し、殺菌を行うと同時に黒色乃至濃茶色となるまで焦げ目を付けて変色させる(高温処理工程S210)。この高温処理工程S210に用いる加熱装置は、ロッキングミキサ、加熱攪拌機、レーディゲミキサ、赤外線アニール炉、円錐型リボン混合乾燥装置、水乾機、パドルドライヤ等、特に限定は無く周知の加熱装置、乾燥機を用いることができる。
【0017】
次に、高温処理した飛粉を商品に応じて篩い、例えば50μm~300μm、50μm~600μm、50μm~800μm、50μm~1000μm、50μm~1200μmといった最大粒径の異なる蒟蒻用色付粉とする(粒度調整工程S212)。これにより、大きさが50μm~1200μmで黒色乃至濃茶色に変色した飛粉によって構成された本発明に係る蒟蒻用色付粉が完成する。
【0018】
以上のように、本発明に係る蒟蒻用色付粉の製造方法及び蒟蒻用色付粉は、蒟蒻粉製造時の副産物であり食品産業廃棄物として処分される飛粉を用いて蒟蒻用色付粉を製造する。このため、海藻(カジメ)と比較して原料コストが極めて安く、蒟蒻用色付粉を安価で提供することができる。また、食品産業廃棄物の再利用を行うため廃棄物の削減と食品ロスの低減、地球環境の保護にも貢献することができる。
【0019】
またさらに、本発明に係る蒟蒻用色付粉は海藻等とは異なり蒟蒻芋を原料とするものであるから、本発明の蒟蒻用色付粉を用いて製造された蒟蒻は原材料名の欄に蒟蒻粉・蒟蒻飛粉と記載することが可能となる。これにより、製品の商品価値を向上することができる。
【0020】
尚、本例で示した蒟蒻用色付粉の製造方法の各工程は一例であり条件、方法、使用設備等は適宜変更が可能である。また、他の必要な工程を適宜挿入することも、上記の工程を複数回行うことも可能である。さらに、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0021】
S200 取得工程
S202 加水混錬工程
S204 成形工程
S206 乾燥工程
S208 粉砕工程
S210 高温処理工程
【手続補正書】
【提出日】2022-01-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒟蒻粉の製造時の副産物である飛粉を取得する取得工程と、
前記飛粉に水を加え混錬する加水混錬工程と、
加水混錬した飛粉を所定の形状に成形する成形工程と、
成形された飛粉を乾燥する乾燥工程と、
乾燥した飛粉を50μm~1200μmの大きさに粉砕する粉砕工程と、
粉砕した飛粉を高温処理して黒色乃至濃茶色となるまで変色させる高温処理工程と、を有する蒟蒻用色付粉の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒟蒻を製造する際に用いる蒟蒻用色付粉の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蒟蒻は日本で古くから食されてきた食物であり、一般的に蒟蒻芋をすりおろしたものに水と水酸化カルシウム等の凝固剤を入れて固めることで製造する方法と蒟蒻芋を原料とした蒟蒻粉に水と水酸化カルシウム等の凝固剤を入れて固めることで製造する方法とがある。そして、蒟蒻芋をすりおろしたものや旧来の蒟蒻粉には蒟蒻芋の表皮及び澱粉等が適度に混入し、この表皮及び澱粉等が蒟蒻の色を茶色に着色するとともに蒟蒻内部の茶褐色の粒となる。ただし、現在の蒟蒻は表皮部分が完全に取り除かれた白色の蒟蒻粉(精粉)を使用して製造することが一般的であり、このような白色の蒟蒻粉で製造された蒟蒻はそのままでは白色となる。しかしながら、消費者の多くは旧来の茶色で茶褐色の粒を内含した蒟蒻を好む傾向があり、流通量は旧来の茶色の蒟蒻の方が多い。このため、茶色の蒟蒻を製造するために、白色の蒟蒻粉に別途黒色乃至濃茶色の蒟蒻用色付粉を添加して着色することが一般的に行われている。
【0003】
そして、この蒟蒻用色付粉としては茶褐色の海藻である「カジメ」の粉末を用いることが多い。しかしながら、地球温暖化に伴う海水温の変化や磯焼けの発生、自然保護による規制の強化等の原因により「カジメ」の収穫量は激減し、その価格は高騰しており、これが蒟蒻用色付粉の材料コストを増大させ大きな問題となっている。この問題点に対し、本願発明者らはコーヒー抽出滓を原料とした下記[特許文献1]に記載の食品用着色料及びその製造方法に関する発明を行った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コーヒー抽出滓を原料とした食品用着色料は成分に問題が有り蒟蒻用色付粉として使用することはできなかった。このため、本願発明者らは茶葉もしくは茶殻を原料として用いた[特願2019-138422号]に記載の発明を行った。しかしながら、茶葉もしくは茶殻を用いた色付粉は着色の観点からは使用可能であるものの、細かな繊維質が混入し、この繊維質が毛髪等の異物に見えるため商品化が困難であった。
【0006】
ところで、蒟蒻粉(精粉)を製造する際の蒟蒻芋の表皮を含む表層部分は飛粉として分離除去される。この飛粉は一部、肥料や飼料として使用されるものの大部分は食品産業廃棄物として処分されるのが現状である。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、食品産業廃棄物である飛粉を用いた蒟蒻用色付粉の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1)蒟蒻粉の製造時の副産物である飛粉を取得する取得工程S200と、
前記飛粉に水を加え混錬する加水混錬工程S202と、
加水混錬した飛粉を所定の形状に成形する成形工程S204と、
成形された飛粉を乾燥する乾燥工程S206と、
乾燥した飛粉を50μm~1200μmの大きさに粉砕する粉砕工程S208と、
粉砕した飛粉を高温処理して黒色乃至濃茶色となるまで変色させる高温処理工程S210と、を有する蒟蒻用色付粉の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る蒟蒻用色付粉の製造方法は、蒟蒻粉製造時の副産物であり食品産業廃棄物として処分される飛粉を用いて蒟蒻用色付粉を製造する。このため、原料コストが極めて安く、蒟蒻用色付粉を安価で提供することができる。また、食品産業廃棄物の再利用を行うため廃棄物の削減と食品ロスの低減、地球環境の保護にも貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る蒟蒻用色付粉の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る蒟蒻用色付粉の製造方
法について図面に基づいて説明する。ここで、
図1は本発明に係る蒟蒻用色付粉の製造方法のフローチャートである。本発明に係る蒟蒻用色付粉の製造方法では、先ず、蒟蒻粉(精粉)の製造工程での副産物である飛粉を取得する(取得工程S200)。
【0012】
次に、取得された飛粉に水を加え混錬する(加水混錬工程S202)。このときの混錬装置としては蒟蒻用練機、蒟蒻用ミキシング、リボンブレンダー、連続製麺加湿装置、製麺機、ギャーペレタイザ、エクストルードオ-ミックス、スクリュー型混合器、ニーダー、エクストルーダー等、加水した粉体の混錬が可能であれば如何なる装置を用いても良い。また、このときの加水量は混錬装置及び次の成形工程S204で用いる成形装置に適した粘度となる量であり、飛粉1重量に対し10wt%~120wt%であり、概ね60wt%~80wt%である。尚、飛粉は70μm以下の微粒子のため飛散し易く、そのままでは取り扱いの際に防塵マスク、防塵服、除塵装置等が必要となる。しかしながら、この加水混錬工程S202にて水を加え混錬することで飛粉はペースト状もしくは塊状となり飛散することはない。このため防塵対策が不要となり、作業性の向上と防塵対策にかかるコストの削減を図ることができる。
【0013】
次に、ペースト状もしくは塊状の飛粉を乾燥しやすい所定の形状、例えば、周知のフード成型機を用いて所定の厚みのペレット状もしくは板状とする。または、2つのローラを回転させながらその間隙を通過させるロール圧縮機を用いて圧縮、延伸し厚さ0.5mm~5mm程度のシート状とする(成形工程S204)。尚、この成形機に関しても特に限定はなく顆粒状、板状、ペレット状等の所望の形状に成形可能であれば如何なる装置を用いても良い。
【0014】
次に、成形した飛粉を乾燥し、含有する水分量を概ね15%以下とする(乾燥工程S206)。尚、この乾燥には周知の乾燥機を用いることができる。中でも特に、乾燥室を通過する事で連続的に乾燥が可能なキャタピラ式乾燥機等を用いることが好ましい。
【0015】
次に、乾燥した飛粉を概ね50μm~1200μmの大きさに粉砕、整粒する(粉砕工程S208)。この粉砕にはハンマーミル、ピンミル、インパクトミル、リングローラーミル、気流粉砕機(ターボミル)、ロールミル、破断機等、周知の粉砕装置を用いることができる。
【0016】
ここで、一般的な飛粉は白色または薄灰色のため、そのままでは蒟蒻用色付粉としては色が薄い。よって、粉砕工程S208で粉砕した飛粉を180℃~220℃の高温で加熱処理し、殺菌を行うと同時に黒色乃至濃茶色となるまで焦げ目を付けて変色させる(高温処理工程S210)。この高温処理工程S210に用いる加熱装置は、ロッキングミキサ、加熱攪拌機、レーディゲミキサ、赤外線アニール炉、円錐型リボン混合乾燥装置、水乾機、パドルドライヤ等、特に限定は無く周知の加熱装置、乾燥機を用いることができる。
【0017】
次に、高温処理した飛粉を商品に応じて篩い、例えば50μm~300μm、50μm~600μm、50μm~800μm、50μm~1000μm、50μm~1200μmといった最大粒径の異なる蒟蒻用色付粉とする(粒度調整工程S212)。これにより、大きさが50μm~1200μmで黒色乃至濃茶色に変色した飛粉によって構成された本発明に係る蒟蒻用色付粉が完成する。
【0018】
以上のように、本発明に係る蒟蒻用色付粉の製造方法は、蒟蒻粉製造時の副産物であり食品産業廃棄物として処分される飛粉を用いて蒟蒻用色付粉を製造する。このため、海藻(カジメ)と比較して原料コストが極めて安く、蒟蒻用色付粉を安価で提供することができる。また、食品産業廃棄物の再利用を行うため廃棄物の削減と食品ロスの低減、地球環境の保護にも貢献することができる。
【0019】
またさらに、本発明による蒟蒻用色付粉は海藻等とは異なり蒟蒻芋を原料とするものであるから、本発明による蒟蒻用色付粉を用いて製造された蒟蒻は原材料名の欄に蒟蒻粉・蒟蒻飛粉と記載することが可能となる。これにより、製品の商品価値を向上することができる。
【0020】
尚、本例で示した蒟蒻用色付粉の製造方法の各工程は一例であり条件、方法、使用設備等は適宜変更が可能である。また、他の必要な工程を適宜挿入することも、上記の工程を複数回行うことも可能である。さらに、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0021】
S200 取得工程
S202 加水混錬工程
S204 成形工程
S206 乾燥工程
S208 粉砕工程
S210 高温処理工程