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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059847
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20220407BHJP
   H02K 33/02 20060101ALI20220407BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H02K33/02 B
H04N5/222 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167703
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】羽多野 慎司
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】笠原 章吾
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
5H633
【Fターム(参考)】
2K005CA14
5C122EA54
5C122GD01
5C122GD09
5C122HA82
5H633BB03
5H633BB15
5H633BB16
5H633BB20
5H633GG02
5H633GG06
5H633GG08
5H633HH03
5H633HH05
5H633HH09
5H633HH13
5H633JA03
5H633JB05
(57)【要約】
【課題】光学モジュールを備える可動体を固定体に対してジンバル機構により移動させる構成の光学ユニットを小型化する。
【解決手段】光学モジュール12を備える可動体14と、固定体16と、光学モジュール12の少なくとも一部を通す孔部110aが設けられるジンバルフレーム110を備え、可動体14を固定体16に対して光軸方向と交差する方向を揺動軸として揺動可能に支持する支持機構としてのジンバル機構100と、コイル32と磁石24とを有し、支持機構で支持された可動体14を固定体16に対して移動させる駆動機構18と、を備え、コイル32及び磁石24のうちの一方は可動体側駆動機構として可動体14における光軸方向と交差する方向側に形成される側面部に設けられ、孔部110aは、光軸方向から見て可動体側駆動機構の少なくとも一部が孔部110aから見える大きさで設けられている光学ユニット10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光束が入射する光学モジュールを備える可動体と、
固定体と、
前記光学モジュールの少なくとも一部を通す孔部が設けられバネ性を有するジンバルフレームを前記光学モジュールの光軸方向において前記可動体よりも前記光束が入射する側に備え、前記可動体を前記固定体に対して前記光軸方向と交差する方向を揺動軸として揺動可能に支持する支持機構としてのジンバル機構と、
コイルと磁石とを有し、前記支持機構で支持された前記可動体を前記固定体に対して移動させる駆動機構と、
を備え、
前記コイル及び前記磁石のうちの一方は可動体側駆動機構として前記可動体における前記光軸方向と交差する方向側に形成される側面部に設けられ、前記コイル及び前記磁石のうちの他方は固定体側駆動機構として前記固定体における前記可動体側駆動機構と対向する位置に設けられ、
前記孔部は、前記光軸方向から見て前記可動体側駆動機構の少なくとも一部が前記孔部から見える大きさで設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記ジンバル機構は、前記可動体を前記固定体に対して前記光軸方向と交差する方向を揺動軸として複数方向に揺動可能に支持し、
前記駆動機構は、前記可動体側駆動機構と前記固定体側駆動機構とを複数有し、
前記孔部は、複数の前記駆動機構のすべてにおいて、前記光軸方向から見て前記可動体側駆動機構の少なくとも一部が前記孔部から見える大きさで設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記ジンバル機構は、前記光軸方向から見て前記ジンバルフレームの端部が前記固定体の外周面に揃う位置となる大きさで設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記可動体の前記光軸方向における前記光束が入射する側に設けられ、前記可動体を前記固定体に対して前記光軸方向を回転軸として回転可能に支持する回転支持機構を備え、
前記ジンバル機構は、前記可動体を前記固定体に対して最大範囲で揺動させた場合でも、前記ジンバルフレームと前記回転支持機構とが接触しない大きさで前記孔部が設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記可動体は、前記光軸方向から見て四角形であり、
前記孔部は、前記光軸方向から見た前記可動体の4方向の面に対応する4つの第1辺と、前記光軸方向から見た前記可動体の4方向の角部に対応し4つの前記第1辺同士の間に位置する4つの第2辺と、を有する8角形をしており、
前記ジンバル機構は、前記ジンバルフレームの前記第2辺と対応する位置に、前記固定体または前記可動体のいずれかと接続する接続部分を有することを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、可動体を固定体に対して複数方向に揺動可能に支持する支持機構と、支持機構で支持された可動体を固定体に対して移動させる駆動機構と、を備える光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、移動体を固定体に対して第1軸線周り及び第2軸線周りに回転可能に支持するジンバル機構と、ジンバル機構で支持された可動体を固定体に対して移動させるコイルと磁石とを有する駆動機構と、を備えた光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2019/221038A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の光学ユニットのような、従来から使用される可動体を固定体に対して複数方向に揺動可能な光学ユニットにおいては、可動体を固定体に対して揺動させる際に可動体がジンバル機構に接触しないように、可動体とジンバル機構のジンバルフレームとを離した位置に配置しなければならないことで、光学ユニットが大型化しがちであった。なお、特許文献1の光学ユニットは、可動体を固定体に対して光軸方向を回転軸として回転可能に支持するローリング支持機構を備えるが、このように、可動体を固定体に対して光軸方向を回転軸として回転可能に支持する回転支持機構を備える光学ユニットにおいては、回転支持機構の配置によっては、光学ユニットが特に大型化しがちであった。そこで、本発明は、光学モジュールを備える可動体を固定体に対してジンバル機構により移動させる構成の光学ユニットを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、光束が入射する光学モジュールを備える可動体と、固定体と、前記光学モジュールの少なくとも一部を通す孔部が設けられバネ性を有するジンバルフレームを前記光学モジュールの光軸方向において前記可動体よりも前記光束が入射する側に備え、前記可動体を前記固定体に対して前記光軸方向と交差する方向を揺動軸として揺動可能に支持する支持機構としてのジンバル機構と、コイルと磁石とを有し、前記支持機構で支持された前記可動体を前記固定体に対して移動させる駆動機構と、を備え、前記コイル及び前記磁石のうちの一方は可動体側駆動機構として前記可動体における前記光軸方向と交差する方向側に形成される側面部に設けられ、前記コイル及び前記磁石のうちの他方は固定体側駆動機構として前記固定体における前記可動体側駆動機構と対向する位置に設けられ、前記孔部は、前記光軸方向から見て前記可動体側駆動機構の少なくとも一部が前記孔部から見える大きさで設けられていることを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、ジンバル機構は孔部が設けられるジンバルフレームを有し、孔部は光軸方向から見て可動体側駆動機構の少なくとも一部が孔部から見える大きさで設けられている。すなわち、可動体における光軸方向と交差する方向側に形成される側面部に設けられる可動体側駆動機構が光軸方向から見て孔部から見えるほど大きな孔部がジンバル機構に設けられている。このため、このような大きな孔部により、可動体が固定体に対して揺動する際において可動体がジンバル機構に接触することを抑制しつつ、光軸方向におけるジンバル機構の配置を可動体に近づけることができる。したがって、光学ユニットを小型化することができる。
【0007】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ジンバル機構は、前記可動体を前記固定体に対して前記光軸方向と交差する方向を揺動軸として複数方向に揺動可能に支持し、前記駆動機構は、前記可動体側駆動機構と前記固定体側駆動機構とを複数有し、前記孔部は、複数の前記駆動機構のすべてにおいて、前記光軸方向から見て前記可動体側駆動機構の少なくとも一部が前記孔部から見える大きさで設けられている構成とすることができる。このような構成とすることで、可動体を固定体に対して特に広い範囲で移動させることを可能にしつつ、光学ユニットを小型化することができる。
【0008】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ジンバル機構は、前記光軸方向から見て前記ジンバルフレームの端部が前記固定体の外周面に揃う位置となる大きさで設けられている構成とすることができる。このような構成とすることで、ジンバル機構が固定体に対して光軸方向と交差する方向にはみ出さないぎりぎりの配置にすることができ、孔部を特に効果的に大きく構成することができる。このため、このような特に大きな孔部により、可動体が固定体に対して揺動する際において可動体がジンバル機構に接触することを抑制しつつ、ジンバル機構の配置を光軸方向において可動体に特に近づけることができる。したがって、光学ユニットを特に小型化することができる。
【0009】
本発明の光学ユニットにおいては、前記可動体の前記光軸方向における前記光束が入射する側に設けられ、前記可動体を前記固定体に対して前記光軸方向を回転軸として回転可能に支持する回転支持機構を備え、前記ジンバル機構は、前記可動体を前記固定体に対して最大範囲で揺動させた場合でも、前記ジンバルフレームと前記回転支持機構とが接触しない大きさで前記孔部が設けられている構成とすることができる。このような構成とすることで、一般的に大型化しやすい回転支持機構を可動体の光軸方向における光束が入射する側に備える構成の光学ユニットにおいて、光学ユニットを小型化することができる。なお、回転支持機構を可動体の光軸方向における光束が入射する側に備える構成とすることで、回転支持機構を可動体の内部に設ける構成などと比べて、回転支持機構を簡単に形成することができる。
【0010】
本発明の光学ユニットにおいては、前記可動体は、前記光軸方向から見て四角形であり、前記孔部は、前記光軸方向から見た前記可動体の4方向の面に対応する4つの第1辺と、前記光軸方向から見た前記可動体の4方向の角部に対応し4つの前記第1辺同士の間に位置する4つの第2辺と、を有する8角形をしており、前記ジンバル機構は、前記ジンバルフレームの前記第2辺と対応する位置に、前記固定体または前記可動体のいずれかと接続する接続部分を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、接続部分を太く構成することが容易となり、接続部分の太さを調整することにより、ジンバル機構による固定体及び可動体を支持する際に必要な予圧を簡単に調整することができる。
【発明の効果】
【0011】
光学モジュールを備える可動体を固定体に対してジンバル機構により移動させる構成の本発明の光学ユニットは、小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例に係る光学ユニットの平面図である。
図2】本発明の一実施例に係る光学ユニットの分解斜視図である。
図3図3とは異なる方向から見た本発明の一実施例に係る光学ユニットの分解斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係る光学ユニットの可動体の周辺部分の構成部材の分解斜視図である。
図5】本発明の一実施例に係る光学ユニットのジンバル機構及び接続部の斜視図である。
図6】本発明の一実施例に係る光学ユニットの可動体の周辺部分の構成部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1から図6に基づいて説明する。なお、図2及び図3において、符号Lが付された一点鎖線は光軸を示している。そして、R方向は光軸周り方向である。また、各図において、Z軸方向は、光軸方向であり、ローリングの軸方向である。また、X軸方向は、光軸と交差する方向、言い換えるとヨーイングの軸方向である。また、Y軸方向は、光軸と交差する方向、言い換えるとピッチングの軸方向である。ここで、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向において、矢印の向く方向を+方向、その反対方向を-方向とする。
【0014】
<光学ユニットの全体構成の概略>
最初に、本実施例に係る光学ユニット10の構成についての概略を説明する。図1などで表されるように、光学ユニット10は、光学モジュール12を備える可動体14と、X軸方向を回転軸とする方向(ヨーイング方向)、Y軸方向を回転軸とする方向(ピッチング方向)及びZ軸方向を回転軸とする方向(ローリング方向)に変位可能な状態で可動体14を保持する固定体16と、を備えている。また、固定体16に対して可動体14をヨーイング方向、ピッチング方向及びローリング方向に駆動する(回転させる)駆動機構18と、固定体16に対して可動体14をピッチング方向及びヨーイング方向に回転可能に支持するジンバル機構100と、固定体16に対して可動体14をローリング方向に回転可能に支持する回転支持機構200と、を備えている。
【0015】
<光学モジュール及び可動体について>
図1図2及び図4で表されるように、本実施例において、レンズなどを有する光学モジュール12は、略矩形筐体状の可動体14に形成されており、例えばカメラ付携帯電話機やタブレット型PC等に搭載される薄型カメラ等に用いられる。光学モジュール12は、被写体側(+Z方向側)にレンズを備え、矩形筐体状のハウジングの内部に撮像を行うための光学機器等が内蔵されている。本実施例の光学ユニット10は、一例として、光学モジュール12に生じたピッチングの振れ(Y軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)、ヨーイングの振れ(X軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)及びローリングの振れ(Z軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)の補正を行うアクチュエーターを内蔵し、ピッチングの振れの補正、ヨーイングの振れの補正及びローリングの振れの補正が可能な構成となっている。また、図4で表されるように、可動体14には、磁石24Aと磁石24Bと磁石24Cとが取り付けられている。
【0016】
<固定体について>
図1から図4で表されるように、固定体16は、+Z方向側から固定体16の内部に設けられる構成部材の一部を覆う上面側カバー部160と、-Z方向側から固定体16の内部に設けられる構成部材を覆う下面側カバー部161と、固定体16の内部において可動体14を囲う固定枠162と、を備えている。ここで、上面側カバー部160は、可動体14を挿入可能な略矩形の孔部160aを有し、孔部160aの4隅のうちの2つの対向する隅には、ジンバル機構100の延設部分120(延設部分120B)の段差部121に係合することで+Z方向にジンバル機構100が固定体16から抜け出さないようにジンバル機構100の固定体16に対する+Z方向への移動を規制する規制部160bが設けられている。また、固定枠162は、光軸方向(Z軸方向)と交差する方向である光軸周り方向(R方向)から可動体14の4面を取り囲むように設けられている。
【0017】
また、図4で表されるように、固定枠162の4隅のうちの2つの対向する隅162aには、ジンバル機構100の延設部分120(延設部分120B)を固定する接続部20(接続部20B)が固定される。そして、固定枠162の4隅のうちの別の2つの対向する隅162bには、ジンバル機構100の延設部分120(延設部分120A)と回転支持機構200の延設部分221を固定する接続部20(接続部20A)が配置される。
【0018】
また、図4で表されるように、固定枠162には、磁石24Aと対向する位置にコイル32Aが設けられ、磁石24Bと対向する位置にコイル32Bが設けられ、磁石24Cと対向する位置にコイル32Cが設けられている。本実施例において、コイル32A、コイル32B及びコイル32Cは一例として巻線コイルとして構成されているが、コイルをパターンとして基板配線内に取り込んだパターン基板(コイル基板)としてもよい。
【0019】
<駆動機構について>
駆動機構18は、磁石24と、該磁石24と対向するコイル32と、の対で構成される。磁石24のうち、磁石24A及び磁石24BはN極とS極とがZ軸方向に並んで配置され、磁石24CはN極とS極とがX軸方向に並んで配置される。磁石24がこのような配置で並べられていることで、駆動機構18のうち、磁石24Aとコイル32Aの対でY軸方向を回転軸とするピッチング駆動機構18Aを構成し、磁石24Bとコイル32Bの対でX軸方向を回転軸とするヨーイング駆動機構18Bを構成し、磁石24Cとコイル32Cの対でZ軸方向を回転軸とするローリング駆動機構18Cを構成している。ここで、磁石24Aと磁石24BはN極とS極とが1つずつ並び、コイル32Aとコイル32Bは1つのコイルで構成されている。一方、磁石24CはS極、N極、S極と順に並び、コイル32Cは2つのコイルで構成されている。しかしながら、磁石の構成やコイルの構成に特に限定はない。
【0020】
なお、本実施例の駆動機構18は、磁石24A、24B及び24Cが可動体14に形成され、コイル32A、32B及び32Cが固定体16に形成されるが、磁石24A、24B及び24Cが固定体16に形成され、コイル32A、32B及び32Cが可動体14に形成される構成としてもよい。また、本実施例の光学ユニット10は、駆動機構18として、ピッチング駆動機構18A、ヨーイング駆動機構18B及びローリング駆動機構18Cを備えているが、このうちの1つまたは2つのみを備える構成としてもよい。
【0021】
また、ピッチング、ヨーイング及びローリングの補正は以下のように行われる。光学ユニット10にピッチング方向、ヨーイング方向及びローリング方向の少なくともいずれか一方向の振れが発生すると、磁気センサー(ホール素子)によって振れを検出し、その結果に基づいて駆動機構18を駆動させる。或いは、振れ検出センサ(ジャイロスコープ)などを用いて、光学ユニット10の振れを検出してもよい。振れの検出結果に基づいて、駆動機構18がその振れを補正するように作用する。即ち、光学ユニット10の振れを打ち消す方向に可動体14を動かすように各コイル32A、32B及び32Cに電流が流され、これにより振れが補正される。
【0022】
このように、本実施例の光学ユニット10においては、可動体14を固定体16に対して、ピッチングの軸方向、ヨーイングの軸方向及びローリングの軸方向を回転軸として、回転させる駆動機構18を備えている。ここで、駆動機構18は、可動体14に対してX軸方向のうちのフレキシブル配線基板51が配置されている側(+X方向側)以外の位置に配置されていることが好ましい。駆動機構18をフレキシブル配線基板51が形成されていない側に配置できるので、駆動機構18とフレキシブル配線基板51との接触を抑制するために光学ユニット10を大きくする必要が無くなり、光学ユニット10を小型化できるためである。なお、本明細書における「回転」とは、360°回転することを要せず、回転方向に揺動する場合を含む意味である。
【0023】
<ジンバル機構について>
図1から図5で表されるように、ジンバル機構100は、光軸方向から見て略8角形の枠状のバネ性を有するジンバルフレーム110と、略8角形のジンバルフレーム110の1つおきの辺に対応する部分に形成された延設部分120と、を有している。延設部分120は、回転支持機構200の延設部分221に固定される接続部20Aに接続される延設部分120Aと、固定体16の固定枠162に固定される接続部20Bに接続される延設部分120Bと、を有している。ここで、図5で表されるように、延設部分120のうちの延設部分120Bには段差部121が設けられるが、上記のように、段差部121がジンバル機構100に設けられるとともに、固定体16の上面側カバー部160におけるZ軸方向において該段差部121とオーバーラップする位置に規制部160bが設けられることで、ジンバル機構100が固定体16から+Z方向側に抜け出ることが抑制される。
【0024】
図5で表されるように、接続部20の各々には球体が内側に向けて固定されることで形成された凸球面17が設けられ、延設部分120の各々には内側に凹む凹曲面19が形成されている。延設部分120の各々は外側に広がるように予圧がかかるようバネ性を有しており、凸球面17に凹曲面19を内側から嵌め込むことで、ジンバル機構100は接続部20に対して揺動可能に支持される。上記のように、ジンバルフレーム110はバネ性を有し、駆動機構18はピッチング駆動機構18Aとヨーイング駆動機構18Bとを有するので、ジンバル機構100は固定体に対してピッチングの軸方向(Y軸方向)及びヨーイングの軸方向(X軸方向)を揺動軸として揺動可能である。
【0025】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット10は、固定体16にジンバル機構100の延設部分120Bが接続部20Bにより固定され、回転支持機構200の延設部分221にジンバル機構100の延設部分120Aが接続部20Aにより固定されている。そして、詳細は後述するが、回転支持機構200は、ジンバル機構100に対して可動体14をローリングの軸方向(Z軸方向)を回転軸として回転可能に支持することが可能な構成となっている。このような構成となっていることで、本実施例の光学ユニット10は、ジンバル機構100及び回転支持機構200を介して、固定体16に対して可動体14がピッチングの軸方向(Y軸方向)、ヨーイングの軸方向(X軸方向)及びローリングの軸方向(Z軸方向)を回転軸(揺動軸)として移動可能な構成となっている。
【0026】
ジンバルフレーム110には、光学モジュール12の一部を通す孔部110aが設けられており、図1で表されるように、孔部110aは、光軸方向(Z軸方向)から見て孔部110aから磁石24A、24B及び24Cのいずれもが見える大きさとなっている。本実施例の光学ユニット10は、孔部160aがこのような大きさとなっていることで、固定体16に対して可動体14が傾いた場合でも可動体14がジンバル機構100に対して接触しない構成となっている。ここで、図6(a)は固定体16に対して可動体14が傾いていない状態を表しており、図6(b)は固定体16に対して可動体14が最大範囲で傾いている状態を表している。図6(b)で表されるように、固定体16に対して可動体14が最大範囲で傾いても、可動体14及び可動体14に配置される構成部材(本実施例では回転支持機構200)は、これらは孔部110aを通り、ジンバル機構100に対して接触しない。
【0027】
<回転支持機構について>
図2から図4で表されるように、回転支持機構200は、上面側カバープレート210を有する。また、ジンバルフレーム110の延設部分120Aと接続するために接続部20Aが固定される延設部分221が設けられた、プレートロール本体220を有する。また、プレートロール本体220に固定されるとともに、光軸周り方向(R方向)の円状に形成される第1環状溝231を有する環状プレート230を有する。また、第1環状溝231と対向する位置に配置される複数の球体241を所定の間隔に保つリテーナ240を有する。さらに、可動体14に固定されるとともに、第1環状溝231と対向する位置において光軸周り方向の円状に形成される第2環状溝251を有する下面側カバープレート250を有する。
【0028】
上面側カバープレート210と下面側カバープレート250とは、上面側カバープレート210に設けられた係合部212と下面側カバープレート250に設けられた被係合部252とが係合することで固定される。そして、第1環状溝231を有する環状プレート230と複数の球体241を所定の間隔に保つリテーナ240と下面側カバープレート250とでベアリング機構を形成するので、上面側カバープレート210及び下面側カバープレート250に対して環状プレート230が固定されたプレートロール本体220は光軸周り方向に回転する。下面側カバープレート250は可動体14に固定され、プレートロール本体220はジンバル機構100を介して固定体16に固定されるので、可動体14は、ジンバル機構100に対してローリングの軸方向(Z軸方向)を回転軸として回転可能であるとともに、固定体16に対してもローリングの軸方向を回転軸として回転可能である。
【0029】
なお、図2及び図4で表されるように、略4角形の可動体14には光軸方向から見て各々の4隅近傍に磁石262が設けられている。また、プレートロール本体220における各々の磁石262と対向する位置には磁性体222が設けられている。このような構成となっていることで、磁石262と磁性体222とで両者が引き合う磁気バネを構成し、可動体14の固定体16に対するローリングの軸方向の原点位置が自動で調整される。
【0030】
ここで、一旦まとめると、本実施例の光学ユニット10は、光束が入射する光学モジュール12を備える可動体14と、固定体16と、を備えている。また、光学モジュール12の少なくとも一部を通す孔部110aが設けられバネ性を有するジンバルフレーム110を光学モジュール12の光軸方向において可動体14よりも光束が入射する側(+Z方向側)に備え、可動体14を固定体16に対して光軸方向(Z軸方向)と交差する方向(X軸方向及びY軸方向)を揺動軸として揺動可能に支持する支持機構としてのジンバル機構100を備えている。また、ジンバル機構100とは別の支持機構としての回転支持機構200を備えている。さらに、コイル32と磁石24とを有し、支持機構で支持された可動体14を固定体16に対して移動させる駆動機構18を備えている。ここで、本実施例の光学ユニット10は、駆動機構18のうち、可動体14における光軸方向と交差する方向側に形成される側面部に設けられる可動体側駆動機構として磁石24を有し、固定体16における可動体側駆動機構と対向する位置に設けられる固定体側駆動機構としてコイル32を有している。ただし、可動体側駆動機構としてコイル32を有し、固定体側駆動機構として磁石24を有していてもよい。そして、ジンバルフレーム110に設けられた孔部110aは、光軸方向から見て可動体側駆動機構(磁石24)の少なくとも一部が孔部110aから見える大きさで設けられている。
【0031】
このように、本実施例の光学ユニット10においては、ジンバル機構100は孔部110aが設けられるジンバルフレーム110を有し、孔部110aは光軸方向から見て可動体側駆動機構の少なくとも一部が孔部110aから見える大きさで設けられている。すなわち、可動体14における光軸方向と交差する方向側に形成される側面部に設けられる可動体側駆動機構が光軸方向から見て孔部110aから見えるほど大きな孔部110aがジンバル機構100に設けられている。このため、このような大きな孔部110aにより、可動体14が固定体16に対して揺動する際において可動体14がジンバル機構100に接触することを抑制しつつ、光軸方向におけるジンバル機構100の配置を可動体14に近づけることができる。したがって、上記のような構成とすることで、光学ユニット10を小型化することができる。
【0032】
また、上記のように、本実施例の光学ユニット10においては、ジンバル機構100は、可動体14を固定体16に対して光軸方向と交差する方向を揺動軸として複数方向(X軸方向及びY軸方向)に揺動可能に支持し、駆動機構18は、可動体側駆動機構である磁石24と固定体側駆動機構であるコイル32とを複数(磁石24は磁石24A、24B及び24Cの3つ、コイル32はコイル32A、32B及び32Cの3つ)有している。そして、孔部110aは、図1で表されるように、複数の駆動機構18のすべてにおいて、光軸方向から見て可動体側駆動機構(磁石24は磁石24A、24B及び24C)の少なくとも一部が孔部110aから見える大きさで設けられている。このような構成としていることで、本実施例の光学ユニット10は、可動体14を固定体16に対して特に広い範囲で移動させることを可能にしつつ、小型化している。
【0033】
ここで、図1で表されるように、本実施例の光学ユニット10においては、ジンバル機構100は、光軸方向から見てジンバルフレーム110の-X方向側、+Y方向側及び-Y方向側において端部が固定体16の外周面に揃う位置となる大きさで設けられている。このような構成としていることで、ジンバル機構100が固定体16に対して光軸方向と交差する方向にはみ出さないぎりぎりの配置にすることができ、孔部110aを特に効果的に大きく構成している。このため、本実施例の光学ユニット10は、このような特に大きな孔部110aにより、可動体14が固定体16に対して揺動する際において可動体14がジンバル機構100に接触することを抑制しつつ、ジンバル機構100の配置を光軸方向において可動体14に特に近づけることを可能にしている。したがって、光学ユニット10を特に小型化することを可能にしている。なお、「外周面に揃う位置」とは、可動体14が固定体16に対して揺動していない基準位置において、外周面に完全に揃う位置である場合のほか、外周面に概ね揃う位置である場合も含む意味である。
【0034】
ここで、本実施例の光学ユニット10は、可動体14の光軸方向における光束が入射する側(+Z方向側)に、可動体14を固定体16に対して光軸方向を回転軸として回転可能に支持する回転支持機構200を備えている。そして、ジンバル機構100は、可動体14を固定体16に対して最大範囲で揺動させた場合でも、ジンバルフレーム110と回転支持機構200とが接触しない大きさで孔部110aが設けられている。本実施例の光学ユニット10は、このような構成としていることで、一般的に大型化しやすい回転支持機構200を可動体14の光軸方向における光束が入射する側に備える構成の光学ユニット10において、光学ユニット10を小型化することができる。なお、回転支持機構200を可動体14の光軸方向における光束が入射する側に備える構成とすることで、回転支持機構200を可動体14の内部に設ける構成などと比べて、回転支持機構200を簡単に形成することができる。
【0035】
また、図1などで表されるように、本実施例の光学ユニット10においては、可動体14は、光軸方向から見て四角形である。また、孔部110aは、光軸方向から見た可動体14の4方向の面に対応する4つの第1辺111と、光軸方向から見た可動体14の4方向の角部に対応し4つの第1辺111同士の間に位置する4つの第2辺112と、を有する8角形をしている。そして、ジンバル機構100は、ジンバルフレーム110の第2辺112と対応する位置に、固定体16または可動体14のいずれかと接続する接続部分である延設部分120を有している。本実施例の光学ユニット10は、このような構成としていることで、延設部分120を太く構成することが容易となり、延設部分120の太さを調整することにより、ジンバル機構100による固定体16及び可動体14を支持する際に必要な予圧を簡単に調整することができる。なお、「固定体16または可動体14のいずれかと接続する」とは、固定体16または可動体14のいずれかと直接接続することのほか、固定体16または可動体14のいずれかと他の部材(例えば本実施例では回転支持機構200)を介して接続することも含む意味である。
【0036】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
10…光学ユニット、12…光学モジュール、14…可動体、16…固定体、17…凸球面、18…駆動機構、18A…ピッチング駆動機構、18B…ヨーイング駆動機構、18C…ローリング駆動機構、19…凹曲面、20…接続部、20A…接続部、20B…接続部、24…磁石(可動体側駆動機構)、24A…磁石(可動体側駆動機構)、24B…磁石(可動体側駆動機構)、24C…磁石(可動体側駆動機構)、32…コイル(固定体側駆動機構)、32A…コイル(固定体側駆動機構)、32B…コイル(固定体側駆動機構)、32C…コイル(固定体側駆動機構)、51…フレキシブル配線基板、100…ジンバル機構(支持機構)、110…ジンバルフレーム、110a…孔部、111…第1辺、112…第2辺、120…延設部分(接続部分)、120A…延設部分(接続部分)、120B…延設部分(接続部分)、121…段差部、160…上面側カバー部、160a…孔部、160b…規制部、161…下面側カバー部、162…固定枠、162a…隅、162b…隅、200…回転支持機構(支持機構)、210…上面側カバープレート、220…プレートロール本体、221…延設部分、222…磁性体、230…環状プレート、231…第1環状溝、240…リテーナ、241…球体、250…下面側カバープレート、251…第2環状溝、262…磁石、L…光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6