(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059852
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】蓋材、及びプレススルーパッケージ
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20220407BHJP
B65D 75/34 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B65D75/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167715
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000231626
【氏名又は名称】株式会社UACJ製箔
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 宏
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 洋平
(72)【発明者】
【氏名】村中 勇樹
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB82
3E067AC04
3E067BA34A
3E067BB12A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BC04A
3E067BC07A
3E067EA06
3E067EB29
3E067FA01
3E067FB04
3E067FC01
3E086AD24
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA15
3E086BB51
3E086BB62
3E086CA28
3E086DA08
(57)【要約】
【課題】簡単な構造でチャイルドレジスタンス機能が確保され、かつ開封時に、残存蓋部から剥離蓋部を剥離し易い蓋材等の提供。
【解決手段】プレススルー可能な基材層6と、基材層6の一方の面6a側に配される熱封緘性接着層7と、基材層6の他方の面6b側に配される離型層8とを有する残存蓋部4と、基材層6を補強する金属箔製の補強層10を有し、一方の面側に前記離型層が剥離可能な状態で貼り付けられる剥離蓋部5とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレススルー可能な基材層と、前記基材層の一方の面側に配される熱封緘性接着層と、前記基材層の他方の面側に配される離型層とを有する残存蓋部と、
前記基材層を補強する金属箔製の補強層を有し、一方の面側に前記離型層が剥離可能な状態で貼り付けられる剥離蓋部とを備える蓋材。
【請求項2】
前記基材層は、金属箔又は樹脂フィルムを含む請求項1に記載の蓋材。
【請求項3】
前記基材層は、透明樹脂フィルムを含み、
前記残存蓋部は、前記基材層と前記離型層との間に配され、前記基材層の前記一方の面側から、視認可能な第1印刷層を有する請求項1に記載の蓋材。
【請求項4】
前記基材層は、透明樹脂フィルムを含み、
前記剥離蓋部は、前記補強層の前記一方の面側に形成され、前記残存蓋部越しに視認可能な第1印刷層を有する請求項1に記載の蓋材。
【請求項5】
前記剥離蓋部は、前記補強層が前記離型層に対して剥離可能な状態で貼り付けられる請求項1~請求項4の何れか一項に記載の蓋材。
【請求項6】
被収容物が収容される収容部を含むシート状の樹脂容器と、
前記収容部の開口部を覆うように、前記樹脂容器に貼り付けられる請求項1~請求項5の何れか一項に記載の蓋材とを備えるプレススルーパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋材、及びプレススルーパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤、カプセル剤等の医薬品等の包装容器として、プレススルーパッケージ(以下、PTPと称する場合がある。)が使用されている。PTPは、医薬品等の被収容物が収容される収容部を含むシート状の樹脂容器と、収容部の開口部を覆うように、樹脂容器に貼り付けられる蓋材とを備えている。このようなPTPを開封する際、収容部内の被収容物が、収容部越しに力が加えられて蓋材側へ押し込まれる。そして、押し込まれた被収容物が、収容部の開口部を覆う部分の蓋材を押し破ることで、PTPが開封される。
【0003】
従来のPTPは、開封の容易さに重点を置いて設計されていたため、子供でも簡単に開封できる構造となっていた。しかしながら、子供が誤ってPTPを開封してしまう虞がある。そのため、近年、子供が容易に開封できないチャイルドレジスタンス(以下、CRと称する場合がある。)機能を備えたPTPが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、容器用シートと、その容器用シートに貼り付けられるシート状の蓋材とを備えるPTPが示されている。このPTPでは、プレススルー可能なアルミニウム箔(アルミ箔)を含む基材層と、その基材層に対して剥離可能な状態で積層されるカバーフィルムとを含む蓋材が利用されている。このPTPでは、蓋材の端部にある基材層と、カバーフィルムとの界面部に、接着処理がなされていない非接着処理領域が形成されている。そして、その非接着処理領域が形成された部分のカバーフィルムが、PTPの開封時の掴み代として用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記PTPでは、例えば、幼児がカバーフィルムの掴み代を咥えて歯で開封してしまう虞があった。
【0007】
また、上記PTPの蓋材は、積層構造が複雑であるため、掴み代が形成されているカバーフィルムと基材層との接着部分以外に、他の層と層との間(例えば、基材層のアルミニウム箔と、それに隣接する層との間)の界面で剥離が生じてしまうことがあった。その結果、カバーフィルムの剥離が不安定となることがあった。
【0008】
また、上記PTPの蓋材は、積層構造が複雑であるため、その製造工程も複雑にならざるを得ない事情があった。
【0009】
本発明の目的は、簡単な構造でチャイルドレジスタンス機能が確保され、かつ開封時に、残存蓋部から剥離蓋部を剥離し易い蓋材、及びそれを用いたプレススルーパッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> プレススルー可能な基材層と、前記基材層の一方の面側に配される熱封緘性接着層と、前記基材層の他方の面側に配される離型層とを有する残存蓋部と、前記基材層を補強する金属箔製の補強層を有し、一方の面側に前記離型層が剥離可能な状態で貼り付けられる剥離蓋部とを備える蓋材。
【0011】
<2> 前記基材層は、金属箔又は樹脂フィルムを含む前記<1>に記載の蓋材。
【0012】
<3> 前記基材層は、透明樹脂フィルムを含み、前記残存蓋部は、前記基材層と前記離型層との間に配され、前記基材層の前記一方の面側から、視認可能な第1印刷層を有する前記<1>に記載の蓋材。
【0013】
<4> 前記基材層は、透明樹脂フィルムを含み、前記剥離蓋部は、前記補強層の前記一方の面側に形成され、前記残存蓋部越しに視認可能な第1印刷層を有する前記<1>に記載の蓋材。
【0014】
<5> 前記剥離蓋部は、前記補強層が前記離型層に対して剥離可能な状態で貼り付けられる前記<1>~<4>の何れか1つに記載の蓋材。
剥離蓋部における金属箔製の補強層が、離型層に対して貼り付けられると、安定して、補強層と離型層との間の界面で、剥離蓋部を剥離することができる。
【0015】
<6> 被収容物が収容される収容部を含むシート状の樹脂容器と、前記収容部の開口部を覆うように、前記樹脂容器に貼り付けられる前記<1>~<5>の何れか1つに記載の蓋材とを備えるプレススルーパッケージ。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡単な構造でチャイルドレジスタンス機能が確保され、かつ開封時に、残存蓋部から剥離蓋部を剥離し易い蓋材、及びそれを用いたプレススルーパッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態1に係るプレススルーパッケージの構成を模式的に表した断面図
【
図2】
図1のプレススルーパッケージにおいて、剥離蓋部が、残存蓋部から剥離される様子を模式的に表した断面図
【
図3】ヒートロールを利用して、蓋材の熱封緘性接着層を、樹脂容器の本体部に対して接着(熱接着)する工程を模式的に表した説明図
【
図4】実施形態2に係るプレススルーパッケージの構成を模式的に表した断面図
【
図5】実施形態3に係るプレススルーパッケージの構成を模式的に表した断面図
【
図6】
図5のプレススルーパッケージにおいて、剥離蓋部が、残存蓋部から剥離される様子を模式的に表した断面図
【
図7】実施形態4に係るプレススルーパッケージの構成を模式的に表した断面図
【
図8】
図7のプレススルーパッケージにおいて、剥離蓋部が、残存蓋部から剥離される様子を模式的に表した断面図
【
図9】実施形態5に係るプレススルーパッケージの構成を模式的に表した断面図
【
図10】
図9のプレススルーパッケージにおいて、剥離蓋部が、残存蓋部から剥離される様子を模式的に表した断面図
【
図11】比較例3に係るプレススルーパッケージの構成を模式的に表した断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本発明の実施形態1に係るプレススルーパッケージ1を、
図1~
図3を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態1に係るプレススルーパッケージ1の構成を模式的に表した断面図である。プレススルーパッケージ1は、被収容物T(錠剤、カプセル剤等の医薬品)を収容するチャイルドレジスタンス機能を備えた包装容器である。
【0019】
プレススルーパッケージ(PTP)1は、被収容物Tが収容される収容部21を含むシート状の樹脂容器2と、収容部21の開口部21aを覆うように、樹脂容器2に貼り付けられる蓋材3とを備える。
【0020】
樹脂容器2は、PTP用の公知の樹脂容器であり、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、非晶性ポリエチレンテレフタレート等の透明な熱可塑性樹脂からなる。樹脂容器2は、シート状の本体部22と、その本体部22から外側に膨出するように形成された収容部21とを備えている。収容部21は、通常、複数個形成される。
図1には、説明の便宜上、1つの収容部21が示されている。収容部21は、内側に被収容物Tを収容するための空間Sを有する凹部状をなし、本体部22との境界部分に開口部21aを備えている。収容部21は、平面視した際に、被収容物Tの形状に倣った形をなしている。樹脂容器2は、例えば、厚みが60μm~400μm程度のシート材が所定形状に加工されたものからなる。
【0021】
蓋材3は、残存蓋部4と、剥離蓋部5とを備えている。残存蓋部4は、プレススルー可能な基材層6と、樹脂容器2側を向く基材層6の一方の面6a側に配される熱封緘性接着層7と、樹脂容器2側の反対側を向く基材層6の他方の面6b側に配される離型層8とを有する。離型層8は、接着剤層9を介して基材層6の他方の面6b側に積層されている。
【0022】
基材層6は、プレススルー可能な薄手の素材からなる。開封時に収容部21越しに被収容物Tに力が加えられて、被収容物Tが残存蓋部4側へ押し込まれると、残存蓋部4の基材層6が被収容物Tによって押し破られる。基材層6は、例えば、樹脂フィルムからなる。特に、本実施形態の基材層6は、光透過性を有する透明樹脂フィルムからなる。
【0023】
透明樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム等が利用される。
【0024】
基材層6の厚みは、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、9μm~24μmが好ましい。
【0025】
本実施形態の基材層6は、透明樹脂フィルムからなるため、
図1に示されるように、利用者Uは、基材層6の面6b側(樹脂容器2側の反対側)にある第1印刷層11を、残存蓋部4越しに視認することができる。なお、熱封緘性接着層7及び接着剤層9は、第1印刷層11の視認性を妨げない程度の厚みとなっている。
【0026】
熱封緘性接着層7は、蓋材3を樹脂容器2の本体部22に接着して、樹脂容器2の収容部21に収容された被収容物Tを封緘するためのものであり、PTP用の公知の熱接着剤からなる。熱封緘性接着層7は、具体的には、ポリエステル系接着剤、ポリプロピレン系接着剤、塩化ビニル系接着剤、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体系接着剤(塩酢ビ系接着剤)等の熱接着剤が利用される。
【0027】
離型層8は、剥離蓋部5の補強層10の一方の面10a側に貼り付けられ、剥離蓋部5を剥離可能な状態で保持する。離型層8としては、例えば、アクリル樹脂、硝化綿、塩酢ビ系樹脂、ポリオレフィン樹脂等からなる群より選ばれる少なくとも1つが利用される。
【0028】
離型層8は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、乾燥後の質量が、0.01g/m2~3g/m2の範囲で形成される。また、離型層8の剥離強度(剥離蓋部5の剥離強度)は、2.0N/15mm未満であることが好ましく、1.8N/15mm以下であることがより好ましい。離型層8の剥離強度の値がこのような範囲であると、剥離蓋部5のピール性が確保されつつ、CR性が確保される。なお、離型層8の剥離強度の下限値は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、0.8N/15mm以上であることが好ましい。離型層8の剥離強度(剥離蓋部5の剥離強度)の測定方法は、後述する。
【0029】
離型層8は、基材層6の他方の面6b側に、接着剤層9を介して積層されている。接着剤層9は、例えば、ドライラミネート法やウェットラミネート法等の公知の接着方法により形成される。接着剤層9は、例えば、乾燥後の質量が、1g/m2~6g/m2の範囲で形成される。
【0030】
剥離蓋部5は、開封前の状態では、残存蓋部4に積層され、プレススルー可能な基材層6が容易に破れないように基材層6等を補強する機能(CR機能)を備えている。そのため、本実施形態のPTP1では、子供(幼児)が誤って、残存蓋部4の基材層6等を押し破って、収容部21内の被収容物Tを取り出すことが抑制される。開封前の状態において、離型層8と補強層10とは、幼児等の子供が容易に剥がせない程度の力で互いに密着している。なお、剥離蓋部5は、PTP1の開封時に、残存蓋部4から剥離される。
【0031】
剥離蓋部5は、基材層6を補強する補強層10を備えている。補強層10は、樹脂容器2側を向く一方の面10a側に、離型層8が剥離可能な状態で貼り付けられる。補強層10は、アルミニウム箔等の金属箔製である。補強層10の厚みは、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、10μm~40μmが好ましい。
【0032】
剥離蓋部5は、補強層10以外に、樹脂容器2側を向く一方の面10a側に形成される第1印刷層11を備えている。
【0033】
第1印刷層11は、被収容物Tの情報やその他情報を表示するものであり、公知の有色の印刷インキを用いて公知の印刷方法により設けられる。第1印刷層11は、金属箔からなる補強層10の一方の面10a上に、点在するように部分的に形成される。第1印刷層11は、例えば、カーボンブラック、フタロシニアンブルー、フタロシニアングリーン、キナクリドン系、アゾ系、チタニア等の着色剤(顔料)をバインダー樹脂に含有させた印刷インキをグラビア印刷法等により形成される。このような第1印刷層11は、樹脂容器2側から、利用者Uが、残存蓋部4越しに視認することができる。
【0034】
剥離蓋部5は、更に、補強層10の他方の面10b側に形成される第2印刷層12を備えている。つまり、本実施形態の補強層10は、両面に印刷層(第1印刷層11、第2印刷層12)が形成されている。第2印刷層12も、基本的には、第1印刷層11と同様、被収容物Tの情報やその他情報を表示するものであり、公知の有色の印刷インキを用いて公知の印刷方法により設けられる。第2印刷層12は、金属箔からなる補強層10の他方の面10b上に、部分的又は全面的に形成される。
【0035】
また、剥離蓋部5は、第2印刷層12を覆うように補強層10の他方の面10b側に形成される公知の透明な保護層(オーバープリント層)13を備えている。このような保護層13に使用される樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ニトロセルロース樹脂、ブチラール樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミノ樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、ポリアミド等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
【0036】
本実施形態のPTP1では、開封時に、蓋材3の剥離蓋部5が、残存蓋部4から剥離される。具体的には、剥離蓋部5の補強層10と、残存蓋部4の離型層8との間の界面で剥離が生じる。なお、金属箔からなる補強層10の面10a上には、第1印刷層11が形成されているものの、第1印刷層11は、点在するように部分的に形成されているため、第1印刷層11が形成されていない箇所の補強層10の面10aが、離型層8に対して直に接触した状態となっている。つまり、剥離蓋部5の補強層10は、残存蓋部4の離型層8に対して剥離可能な状態で貼り付けられている。
【0037】
図2は、
図1のプレススルーパッケージ1において、剥離蓋部5が、残存蓋部4から剥離される様子を模式的に表した断面図である。PTP1の開封時には、補強層10と離型層8との間の界面で互いに離れるように、蓋材3の端部側の剥離蓋部5が、利用者によって残存蓋部4側から剥がされる。
【0038】
剥離蓋部5の補強層10と、残存蓋部4の離型層8との間の界面における接着力は、その界面の近くに存在する他の界面(例えば、残存蓋部4の接着剤層9と離型層8との間の界面、残存蓋部4の接着剤層9と基材層6との間の界面、剥離蓋部5の補強層10と保護層13又は第2印刷層12との間の界面等)の接着力と比べて小さくなるように設定されている。そのため、PTP1の開封時に、例えば、利用者の指先によって、PTP1の端部に力が加えられると、剥離蓋部5の補強層10と、残存蓋部4の離型層8との間の界面の剥離が、優先的に生じる。このようにして、金属箔からなる補強層10と離型層8との間の界面で確実に剥離することができる。
【0039】
なお、剥離蓋部5が、残存蓋部4から剥離された後は、収容部21内の被収容物Tに対して、外側から収容部21越しに力が加えられて、被収容物Tが残存蓋部4側へ押し込まれる。そして、その押し込まれた被収容物Tは、収容部21の開口部21aを覆う部分の残存蓋部4を押し破り、PTP1の収容部21から取り出される。
【0040】
以上のように、本実施形態のPTP1及び蓋材3は、簡単な構造でありながらCR機能が確保され、しかも、開封時に、残存蓋部4から剥離蓋部5を剥離し易い構造となっている。
【0041】
また、上述したように、本実施形態のPTP1では、基材層6が、光透過性を有する透明樹脂フィルムからなる。そのため、樹脂容器2側から、補強層10の一方の面10a側に形成された第1印刷層11を、視認することができる。つまり、本実施形態の場合、金属箔からなる補強層10の外側の面(面10b)のみならず、樹脂容器2側を向く内側の面(面10a)も、被収容物T等の情報を表示する印刷層を形成することができる。
【0042】
また、本実施形態のPTP1では、金属箔からなる補強層10を含む剥離蓋部5が、樹脂容器2に対して、残存蓋部4よりも外側に配置されている。そのため、蓋材3の熱封緘性接着層7を、樹脂容器2の本体部22に対して接着(熱接着)する際、剥離蓋部5側から、ヒートロールが当てられる形となる。
図3は、ヒートロールHを利用して、蓋材3の熱封緘性接着層7を、樹脂容器2の本体部22に対して接着(熱接着)する工程を模式的に表した説明図である。
図3に示されるように、ヒートロールHの近くに、金属箔(補強層10)を含む剥離蓋部5が配置されるため、耐熱性に優れ、剥離蓋部5側から高温で加熱して、蓋材3と樹脂容器2とを熱封緘することができる。そのため、本実施形態のPTP1は、生産性が良い構造となっている。
【0043】
<実施形態2>
次いで、本発明の実施形態2に係るプレススルーパッケージ1Aを、
図4を参照しつつ説明する。
図4は、実施形態2に係るプレススルーパッケージ1Aの構成を模式的に表した断面図である。本実施形態のPTP1Aは、樹脂容器2と、蓋材3Aとを備えている。樹脂容器2及び被収容物Tは、実施形態1と同様である。本実施形態のPTP1Aは、実施形態1の蓋材3に代えて、蓋材3Aを用いたものである。蓋材3Aの基本的な構造は、実施形態1と同じであり、残存蓋部4Aと剥離蓋部5Aとを備えている。
【0044】
ただし、本実施形態の残存蓋部4Aは、実施形態1と比べて、基材層6Aが異なっている。具体的には、基材層6Aは、プレススルー可能なアルミニウム箔等の金属箔からなる。金属箔としては、一般的にPTP用途で知られている金属箔が用いられる。このような金属箔としては、例えば、従来、一般的にPTP用途で知られているアルミニウム箔(例えば、JIS等で規定される1N30、1070、1100、8021、8079材等の硬質材(厚さ:10μm~20μm程度))が用いられる。
【0045】
なお、基材層6A以外の残存蓋部4Aの構成は、実施形態1と同じであり、基材層6Aの一方の面6Aa側に配される熱封緘性接着層7と、基材層6Aの他方の面6b側に配される離型層8と、離型層8と基材層6Aとの間に介在される接着剤層9とを備えている。
【0046】
また、本実施形態の剥離蓋部5Aは、第1印刷層11(実施形態1参照)を備えていないこと以外は、実施形態1の剥離蓋部5と同様の構成を備えている。剥離蓋部5Aは、基材層6Aを補強する、実施形態1と同様の補強層10と、補強層10の外側(樹脂容器2側の反対側)の面10bに形成される実施形態1と同様の第2印刷層12と、その第2印刷層12を覆うように補強層10の面10b側に形成される実施形態1と同様の保護層13とを備えている。なお、本実施形態の剥離蓋部5Aも、樹脂容器2側を向く補強層10の一方の面10a側に、残存蓋部4Aの離型層8が剥離可能な状態で貼り付けられる。
【0047】
本実施形態のPTP1A及び蓋材3Aも、実施形態1と同様、簡単な構造でありながらCR機能が確保され、しかも、開封時に、残存蓋部4Aから剥離蓋部5Aを剥離し易い構造となっている。
【0048】
特に、本実施形態のPTP1A及び蓋材3Aは、残存蓋部4Aの基材層6Aとして、一般的にPTP用途で知られている金属箔を用いることができる。そのため、本実施形態のPTP1A及び蓋材3Aでは、剥離蓋部5Aが剥離された後、樹脂容器2内から被収容物Tを、従来通りに押し出す形で、容易に取り出すことができる。
【0049】
なお、本実施形態も、実施形態1と同様、剥離蓋部5Aに金属箔からなる補強層10を備えるため、蓋材3Aと樹脂容器2とを熱封緘し易く、生産性が良い構造となっている。
【0050】
<実施形態3>
次いで、本発明の実施形態3に係るプレススルーパッケージ1Bを、
図5を参照しつつ説明する。
図5は、実施形態3に係るプレススルーパッケージ1Bの構成を模式的に表した断面図である。本実施形態のPTP1Bは、樹脂容器2と、蓋材3Bとを備えている。樹脂容器2及び樹脂容器2に収容される被収容物Tは、実施形態1と同様である。PTP1Bは、実施形態1の蓋材3に代えて、蓋材3Bを用いたものである。蓋材3Bは、実施形態1と同様、残存蓋部4Bと剥離蓋部5Bとを備えている。ただし、本実施形態のPTP1Bは、実施形態1とは異なり、第1印刷層11Bが、残存蓋部4Bに設けられている。第1印刷層11Bは、残存蓋部4Bの接着剤層9Bと離型層8Bとの間に形成される。
【0051】
残存蓋部4Bは、実施形態1と同様、プレススルー可能な透明樹脂フィルム(ポリエステルフィルム等)からなる基材層6Bと、基材層6Bの一方の面6Ba側に配される熱封緘性接着剤層7Bと、基材層6Bの他方の面6Bb側に配される離型層8Bとを有する。離型層8Bは、接着剤層9B及び第1印刷層11Bを介して基材層6Bの他方の面6Bb側に積層されている。
図5に示されるように、基材層6Bの他方の面6Bb上に、接着剤層9Bが形成され、その接着剤層9B上に更に第1印刷層11Bが形成されている。そして、離型層8Bは、第1印刷層11Bに接するように形成されている。
【0052】
第1印刷層11Bは、接着剤層9Bと離型層8Bとの間において、全面的に形成されている。第1印刷層11Bは、被収容物Tの情報やその他情報を表示するものであり、樹脂容器2側から、残存蓋部4B越しに視認することができる。熱封緘性接着剤層7B及び接着剤層9Bは、第1印刷層11Bの視認性を妨げない程度の厚みに調整されている。なお、基材層6B、熱封緘性接着剤層7B、接着剤層9B、離型層8Bは、実施形態1と同様のものが利用される。第1印刷層11Bも、基本的には、実施形態1と同様のものが利用される。ただし、本実施形態の第1印刷層11Bは、第1印刷層11Bと離型層8Bとの間の接着力、及び第1印刷層11Bと接着剤層9Bとの間の接着力が、離型層8Bと剥離蓋部5Bの補強層10Bとの間の接着力よりも強いことが求められる。
【0053】
剥離蓋部5Bは、基材層6Bを補強する金属箔(アルミニウム箔等)製の補強層10Bと、補強層10Bの外側(樹脂容器2側の反対側)の面10Bbに形成される実施形態1と同様の第2印刷層12Bと、その第2印刷層12Bを覆うように補強層10Bの面10Bb側に形成される実施形態1と同様の保護層13Bとを備えている。剥離蓋部5Bは、樹脂容器2側を向く補強層10Bの一方の面10Ba側に、残存蓋部4Bの離型層8Bが剥離可能な状態で貼り付けられる。
【0054】
本実施形態の剥離蓋部5Bは、実施形態1と同様、開封前の状態では、残存蓋部4Bに積層され、プレススルー可能な基材層6Bが容易に破れないように基材層6Bを補強する機能(CR機能)を備えている。
【0055】
図6は、
図5のプレススルーパッケージ1Bにおいて、剥離蓋部5Bが、残存蓋部4Bから剥離される様子を模式的に表した断面図である。PTP1Bの開封時には、離型層8Bと、補強層10Bとの間の界面で互いに離れるように、蓋材3Bの端部側の剥離蓋部5Bが、利用者によって残存蓋部4Bから剥がされる。
【0056】
なお、剥離蓋部5Bが、残存蓋部4Bから剥離された後は、収容部21内の被収容物Tに対して、外側から収容部21越しに力が加えられて、被収容物Tが残存蓋部4B側へ押し込まれる。そして、その押し込まれた被収容物Tは、収容部21の開口部21aを覆う部分の残存蓋部4Bを押し破り、PTP1Bの収容部から取り出される。
【0057】
以上のような本実施形態のPTP1B及び蓋材3Bは、実施形態1と同様、簡単な構造でありながらCR機能が確保され、しかも、開封時に、残存蓋部4Bから剥離蓋部5Bを剥離し易い構造となっている。
【0058】
また、本実施形態のPTP1Bは、実施形態1と同様、基材層6Bが、光透過性を有する透明樹脂フィルムからなるため、樹脂容器2側から、離型層8Bと接着剤層9Bとの間に形成された第1印刷層11Bを、視認することができる。なお、本実施形態のPTP1Bでは、剥離蓋部5Bが、残存蓋部4Bから剥離された後、第1印刷層11Bは、残存蓋部4Bの一部として、樹脂容器2側に残る。そのため、本実施形態のPTP1Bは、剥離蓋部5Bを剥離した後でも、樹脂容器2側に、被収容物Tの情報等を、第1印刷層11Bとして残したい場合に好適である。なお、他の実施形態においては、第1印刷層11Bが離型層8Bと接着剤層9Bとの間において、全面的ではなく、部分的に形成されてもよい。
【0059】
また、本実施形態も、実施形態1と同様、剥離蓋部5Bは、金属箔からなる補強層10Bを備えるため、蓋材3Bと樹脂容器2とを熱封緘し易く、生産性が良い構造となっている。
【0060】
<実施形態4>
次いで、本発明の実施形態4に係るプレススルーパッケージ1Cを、
図7を参照しつつ説明する。
図7は、実施形態4に係るプレススルーパッケージ1Cの構成を模式的に表した断面図である。本実施形態のPTP1Cは、樹脂容器2と、蓋材3Cとを備えている。樹脂容器2及び樹脂容器2に収容される被収容物Tは、実施形態1と同様である。PTP1Cは、実施形態1の蓋材3に代えて、蓋材3Cを用いたものである。蓋材3Cは、実施形態1と同様、残存蓋部4Cと剥離蓋部5Cとを備えている。ただし、本実施形態のPTP1Cは、実施形態1とは異なり、第1印刷層11Cが、残存蓋部4Cに設けられている。第1印刷層11Cは、残存蓋部4Cの基材層6Cと接着剤層9Cとの間に形成される。
【0061】
残存蓋部4Cは、実施形態1と同様、プレススルー可能な透明樹脂フィルム(ポリエステルフィルム等)からなる基材層6Cと、基材層6Cの一方の面6Ca側に配される熱封緘性接着剤層7Cと、基材層6Cの他方の面6Cb側に配される離型層8Cとを有する。離型層8Cは、第1印刷層11C及び接着剤層9Cを介して基材層6Cの他方の面6Cb側に積層されている。
図7に示されるように、基材層6Cの他方の面6Cb上に、第1印刷層11Cが形成され、その第1印刷層11C上に更に接着剤層9Cが形成されている。そして、離型層8Cは、接着剤層9Cに接するように形成されている。
【0062】
第1印刷層11Cは、基材層6Cと接着剤層9Cとの間において、全面的に形成されている。第1印刷層11Cは、被収容物Tの情報やその他情報を表示するものであり、樹脂容器2側から、残存蓋部4C越しに視認することができる。熱封緘性接着剤層7Cは、第1印刷層11Cの視認性を妨げない程度の厚みに調整されている。なお、基材層6C、熱封緘性接着剤層7C、接着剤層9C、離型層8Cは、実施形態1と同様のものが利用される。第1印刷層11Cも、基本的には、実施形態1と同様のものが利用される。ただし、本実施形態の第1印刷層11Cは、第1印刷層11Cと基材層6Cとの間の接着力、及び第1印刷層11Cと接着剤層9Cとの間の接着力が、離型層8Cと剥離蓋部5Cの補強層10Cとの間の接着力よりも強いことが求められる。
【0063】
剥離蓋部5Cは、基材層6Cを補強する金属箔(アルミニウム箔等)製の補強層10Cと、補強層10Cの外側(樹脂容器2側の反対側)の面10Cbに形成される実施形態1と同様の第2印刷層12Cと、その第2印刷層12Cを覆うように補強層10Cの面10Cb側に形成される実施形態1と同様の保護層13Cとを備えている。剥離蓋部5Cは、樹脂容器2側を向く補強層10Cの一方の面10Ca側に、残存蓋部4Cの離型層8Cが剥離可能な状態で貼り付けられる。
【0064】
本実施形態の剥離蓋部5Cは、実施形態1と同様、開封前の状態では、残存蓋部4Cに積層され、プレススルー可能な基材層6Cが容易に破れないように基材層6Cを補強する機能(CR機能)を備えている。
【0065】
図8は、
図7のプレススルーパッケージ1Cにおいて、剥離蓋部5Cが、残存蓋部4Cから剥離される様子を模式的に表した断面図である。PTP1Cの開封時には、離型層8Cと、補強層10Cとの間の界面で互いに離れるように、蓋材3Cの端部側の剥離蓋部5Cが、利用者によって残存蓋部4Cから剥がされる。
【0066】
なお、剥離蓋部5Cが、残存蓋部4Cから剥離された後は、収容部21内の被収容物Tに対して、外側から収容部21越しに力が加えられて、被収容物Tが残存蓋部4C側へ押し込まれる。そして、その押し込まれた被収容物Tは、収容部21の開口部21aを覆う部分の残存蓋部4Cを押し破り、PTP1Cの収容部から取り出される。
【0067】
以上のような本実施形態のPTP1C及び蓋材3Cは、実施形態1と同様、簡単な構造でありながらCR機能が確保され、しかも、開封時に、残存蓋部4Cから剥離蓋部5Cを剥離し易い構造となっている。
【0068】
また、本実施形態のPTP1Cは、実施形態1と同様、基材層6Cが、光透過性を有する透明樹脂フィルムからなるため、樹脂容器2側から、基材層6Cと接着剤層9Cとの間に形成された第1印刷層11Cを、視認することができる。なお、本実施形態のPTP1Cでは、剥離蓋部5Cが、残存蓋部4Cから剥離された後、第1印刷層11Cは、残存蓋部4Cの一部として、樹脂容器2側に残る。そのため、本実施形態のPTP1Cは、剥離蓋部5Cを剥離した後でも、樹脂容器2側に、被収容物Tの情報等を、第1印刷層11Cとして残したい場合に好適である。なお、他の実施形態においては、第1印刷層11Cが基材層6Cと接着剤層9Cとの間において、全面的ではなく、部分的に形成されてもよい。
【0069】
また、本実施形態も、実施形態1と同様、剥離蓋部5Cは、金属箔からなる補強層10Cを備えるため、蓋材3Cと樹脂容器2とを熱封緘し易く、生産性が良い構造となっている。
【0070】
<実施形態5>
次いで、本発明の実施形態5に係るプレススルーパッケージ1Dを、
図9を参照しつつ説明する。
図9は、実施形態5に係るプレススルーパッケージ1Dの構成を模式的に表した断面図である。本実施形態のPTP1Dは、樹脂容器2と、蓋材3Dとを備えている。樹脂容器2及び樹脂容器2に収容される被収容物Tは、実施形態1と同様である。PTP1Dは、実施形態1の蓋材3に代えて、蓋材3Dを用いたものである。蓋材3Dは、実施形態1と同様、残存蓋部4Dと剥離蓋部5Dとを備えている。本実施形態のPTP1Dでは、実施形態1と同様、第1印刷層11Dが、剥離蓋部5D側に形成されているものの、実施形態1とは異なり、離型層8Dと補強層10Dとの間において、第1印刷層11Dが全面的に形成されている。
【0071】
残存蓋部4Dは、実施形態1と同様、プレススルー可能な透明樹脂フィルム(ポリエステルフィルム等)からなる基材層6Dと、基材層6Dの一方の面6Da側に配される熱封緘性接着剤層7Dと、基材層6Dの他方の面6Db側に配される離型層8Dとを有する。離型層8Dは、接着剤層9Dを介して基材層6Dの他方の面6Db側に積層されている。
図9に示されるように、基材層6Dの他方の面6Db上に、接着剤層9Dが形成され、その接着剤層9Dに接するように、離型層8Dが形成されている。
【0072】
剥離蓋部5Dは、基材層6Dを補強する金属箔(アルミニウム箔等)製の補強層10Dと、補強層10Dの外側(樹脂容器2側の反対側)の面10Dbに形成される実施形態1と同様の第2印刷層12Dと、その第2印刷層12Dを覆うように補強層10Dの面10Db側に形成される実施形態1と同様の保護層13Dとを備えている。また、剥離蓋部5Dは、樹脂容器2側を向く補強層10Dの一方の面10Da側に、第1印刷層11Dが形成されている。
【0073】
第1印刷層11Dは、残存蓋部4Dの接着剤層9Cと剥離蓋部5Dの補強層10Dとの間において、全面的に形成されている。第1印刷層11Dは、被収容物Tの情報やその他情報を表示するものであり、樹脂容器2側から、残存蓋部4D越しに視認することができる。なお、残存蓋部4Dにおける熱封緘性接着剤層7D、接着剤層9D及び離型層8Dは、第1印刷層11Dの視認性を妨げない程度の厚みに調整されている。また、残存蓋部4Dにおける基材層6D、熱封緘性接着剤層7D、離型層8D、接着剤層9D、実施形態1と同様のものが利用される。
【0074】
剥離蓋部5Dは、樹脂容器2側を向く一方の面5Da側に、残存蓋部4Dの離型層9Dが剥離可能な状態で貼り付けられる。つまり、剥離蓋部5Dの第1印刷層11D上に、残存蓋部4Dの離型層9Dが剥離可能な状態で貼り付けられる。本実施形態の第1印刷層11Dは、第1印刷層11Dと補強層10Dとの間の接着力よりも、第1印刷層11Dと離型層8Dとの間の接着力が弱いことが求められる。また、第1印刷層11Dと離型層8Dとの間の接着力は、離型層8Dと接着剤層9Dとの間の接着力や、接着剤層9Dと基材層6Dとの間の接着力よりも弱いことが求められる。このように接着力が設定されることで、剥離蓋部5Dの剥離時に、第1印刷層11Dと離型層8Dとの間の界面で確実に剥離蓋部5Dの剥離が行われる。なお、第1印刷層11Dと離型層8Dとの間の接着力等は、第1印刷層11Dに使用するバインダー樹脂等を適宜、選択することによって調整される。
【0075】
本実施形態の剥離蓋部5Dは、実施形態1と同様、開封前の状態では、残存蓋部4Dに積層され、プレススルー可能な基材層6Dが容易に破れないように基材層6Dを補強する機能(CR機能)を備えている。
【0076】
図10は、
図9のプレススルーパッケージ1Dにおいて、剥離蓋部5Dが、残存蓋部4Dから剥離される様子を模式的に表した断面図である。PTP1Dの開封時には、離型層8Dと、第1印刷層11Dとの間の界面で互いに離れるように、蓋材3Dの端部側の剥離蓋部5Dが、利用者によって残存蓋部4Dから剥がされる。
【0077】
なお、剥離蓋部5Dが、残存蓋部4Dから剥離された後は、収容部21内の被収容物Tに対して、外側から収容部21越しに力が加えられて、被収容物Tが残存蓋部4D側へ押し込まれる。そして、その押し込まれた被収容物Tは、収容部21の開口部21aを覆う部分の残存蓋部4Dを押し破り、PTP1Dの収容部から取り出される。
【0078】
以上のような本実施形態のPTP1D及び蓋材3Dは、実施形態1と同様、簡単な構造でありながらCR機能が確保され、しかも、開封時に、残存蓋部4Dから剥離蓋部5Dを剥離し易い構造となっている。
【0079】
また、本実施形態のPTP1Dは、実施形態1と同様、基材層6Dが、光透過性を有する透明樹脂フィルムからなるため、樹脂容器2側から、離型層8Dと補強層10Dとの間に形成された第1印刷層11Dを、視認することができる。
【0080】
また、本実施形態も、実施形態1と同様、剥離蓋部5Dは、金属箔からなる補強層10Dを備えるため、蓋材3Dと樹脂容器2とを熱封緘し易く、生産性が良い構造となっている。
【0081】
なお、上記実施形態1~5の各PTPは、本発明の目的を損なわない限り、蓋材に他の公知の層が積層されてもよい。
【0082】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0083】
〔実施例1〕
図1に示されるPTP1と基本的な構造が同じである実施例1のPTPを作製した。実施例1の樹脂容器及び蓋材の各構成は、以下の通りである。
【0084】
<樹脂容器>
ポリ塩化ビニル(PVC)を用いて、樹脂容器を作製した。
【0085】
<蓋部>
基材層として、ポリエステルフィルム(透明樹脂フィルム)(商品名「ティアファイン」、東洋紡株式会社、厚み14μm)を用意した。基材層の一方の面側に、ポリエステル系接着剤(商品名「B-9」、タナカケミカル株式会社製)を、バーコーターを用いて塗工(塗布量:3.6g/m2)し、その塗工物を120℃で10秒間乾燥させて、熱封緘性接着層を形成した。補強層として、片面に第2印刷層及び保護層(OPコート)が形成されたアルミニウム箔(株式会社UACJ製、厚み:25μm、1N30-H18)を用意した。
【0086】
補強層の一方の面に、バーコーターを用いて、離型層を形成するために製品名「MF790PTPOPワニス」(東洋インキ株式会社製)を、1.3±0.5g/m2の塗布量で塗工し、その塗工物を、180℃で10秒間乾燥させて、離型層を得た。そして、その離型層に積層する形で、2液硬化型ドライラミネート用接着剤を使用して、接着剤層を形成した。具体的には、主剤として、製品名「ディックドライ LX500」(DICグラフィックス株式会社製)10質量部、硬化剤として、製品名「KW75」(DICグラフィックス株式会社製)1質量部を使用し、それらの混合物をバーコーターを用いて、塗布量5.0±0.5g/m2の塗布量で、離型層に積層する形で、接着剤層を形成した。そして、その接着剤層に、上記基材層を貼り合わせた。このようにして、実施例1の蓋材を作製した。なお、実施例1の蓋材では、第1印刷層は、形成されていない。
【0087】
<PTP>
上述した樹脂容器と蓋材とを、シール温度が150℃、シール圧が0.2MPa、及びシール時間が1秒の条件で、ヒートシール(熱封緘)することで貼り合わせて、錠剤(被収容物)を収容した実施例1のPTPを作製した。
【0088】
〔実施例2〕
図4に示されるPTP1Aと基本的な構造が同じである実施例2のPTPを作製した。実施例2の樹脂容器及び蓋材の各構成は、以下の通りである。
【0089】
実施例1と同様の樹脂容器を作製した。また、基材層として、アルミニウム箔(株式会社UACJ製、厚み:17μm、1N30-H18)を用意した。その基材層の一方の面側に、塩酢ビ系接着剤(商品名「1E」、櫻宮化学株式会社製)を、バーコーターを用いて塗工(塗布量:3.7g/m2)し、その塗工物を120℃で10秒間乾燥させて、熱封緘性接着層を形成した。補強層として、片面に第2印刷層及び保護層(OPコート)が形成されたアルミニウム箔(株式会社UACJ製、厚み:17μm、1N30-H18)を用意した。
【0090】
補強層の一方の面に、バーコーターを用いて、離型層を形成するために実施例1と同様、製品名「MF790PTPOPワニス」(東洋インキ株式会社製)を、1.3±0.5g/m2の塗布量で塗工し、その塗工物を、180℃で10秒間乾燥させて、離型層を得た。そして、その離型層に積層する形で、2液硬化型ドライラミネート用接着剤を使用して、接着剤層を形成した。具体的には、主剤として、製品名「ディックドライ LX500」(DICグラフィックス株式会社製)10質量部、硬化剤として、製品名「KW75」(DICグラフィックス株式会社製)1質量部を使用し、それらの混合物をバーコーターを用いて、塗布量5.0±0.5g/m2の塗布量で、離型層に積層する形で、接着剤層を形成した。そして、その接着剤層に、上記基材層を貼り合わせた。このようにして、実施例2の蓋材を作製した。また、実施例1等と同様、樹脂容器と蓋材とを熱封緘することで貼り合わせて、錠剤(被収容物)を収容した実施例2のPTPを作製した。
【0091】
〔実施例3〕
図4に示されるPTP1Aと基本的な構造が同じである実施例3のPTPを作製した。実施例3の樹脂容器及び蓋材の各構成は、以下の通りである。
【0092】
実施例1と同様の樹脂容器を作製した。また、基材層として、実施例2と同様、アルミニウム箔(株式会社UACJ製、厚み:17μm、1N30-H18)を用意した。その基材層の一方の面側に、実施例2と同様、塩酢ビ系接着剤(商品名「1E」、桜宮化学株式会社製)を、バーコーターを用いて塗工(塗布量:3.7g/m2)し、その塗工物を120℃で10秒間乾燥させて、熱封緘性接着層を形成した。補強層として、実施例2と同様、片面に第2印刷層及び保護層(OPコート)が形成されたアルミニウム箔(株式会社UACJ製、厚み:17μm、1N30-H18)を用意した。
【0093】
補強層の一方の面に、バーコーターを用いて、離型層を形成するために製品名「S-01クリアー」(タナカケミカル株式会社製)を、1.3±0.5g/m2の塗布量で塗工し、その塗工物を、180℃で10秒間乾燥させて、離型層を得た。そして、その離型層に積層する形で、2液硬化型ドライラミネート用接着剤を使用して、接着剤層を形成した。具体的には、主剤として、製品名「ディックドライ LX500」(DICグラフィックス株式会社製)10質量部、硬化剤として、製品名「KW75」(DICグラフィックス株式会社製)1質量部を使用し、それらの混合物をバーコーターを用いて、塗布量5.0±0.5g/m2の塗布量で、離型層に積層する形で、接着剤層を形成した。そして、その接着剤層に、上記基材層を貼り合わせた。このようにして、実施例3の蓋材を作製した。また、実施例1等と同様、樹脂容器と蓋材とを熱封緘することで貼り合わせて、錠剤(被収容物)を収容した実施例3のPTPを作製した。
【0094】
〔比較例1〕
実施例1のポリエステルフィルムからなる基材層に代えて、セロハン(商品名「MST#300」、フタムラ化学株式会社製)からなる基材層を使用し、実施例1の離型層を形成するための材料に代えて、製品名「No20セミクリアー90改2」(大阪印刷インキ製造株式会社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のPTPを作製した。
【0095】
〔比較例2〕
実施例2の基材層(アルミニウム箔、厚み:17μm、1N30-H18)に代えて、アルミニウム箔(株式会社UACJ製、厚み:20μm、1N30-H18)からなる基材層を使用し、実施例2の補強層(アルミニウム箔、厚み:17μm、1N30-H18)に代えて、アルミニウム箔(株式会社UACJ製、厚み:40μm、8021-O)からなる補強層を使用し、実施例2の離型層を形成するための材料に代えて、製品名「No20セミクリアー90改2」(大阪印刷インキ製造株式会社製)を使用したこと以外は、実施例2と同様にして、比較例2のPTPを作製した。
【0096】
〔比較例3〕
図7は、比較例3に係るプレススルーパッケージ1Xの構成を模式的に表した断面図である。比較例3として、
図11に示される構成のPTP1Xを作製した。
【0097】
樹脂容器2は、実施例1と同様である。また、基材層6Xとして、アルミニウム箔(株式会社UACJ製、厚み:20μm、1N30-H18)を用意した。その基材層6Xの一方の面側に、塩酢ビ系接着剤(商品名「1E」、桜宮化学株式会社製)を、バーコーターを用いて塗工(塗布量:3.7g/m2)し、その塗工物を120℃で10秒間乾燥させて、熱封緘性接着層7Xを形成した。また、基材層6Xの他方の面側に、バーコーターを用いて、製品名「MF790PTPOPワニス」(東洋インキ株式会社製)を、1.3±0.5g/m2の塗布量で塗工し、その塗工物を、210℃で10秒間乾燥させて、離型層18X1を得た。
【0098】
補強層10Xとして、片面に第2印刷層12X及び保護層13X(OPコート)が形成されたアルミニウム箔(株式会社UACJ製、厚み:17μm、1N30-H18)を用意した。補強層10Xの一方の面側に、バーコーターを用いて、製品名「MF790PTPOPワニス」(東洋インキ株式会社製)を、1.3±0.5g/m2の塗布量で塗工し、その塗工物を、180℃で10秒間乾燥させて、離型層18X2を得た。そして、その離型層18X2に積層する形で、2液硬化型ドライラミネート用接着剤を使用して、接着剤層19Xを形成した。具体的には、主剤として、製品名「ディックドライ LX500」(DICグラフィックス株式会社製)10質量部、硬化剤として、製品名「KW75」(DICグラフィックス株式会社製)1質量部を使用し、それらの混合物をバーコーターを用いて、塗布量5.0±0.5g/m2の塗布量で、離型層18X2に積層する形で、接着剤層18X2を形成した。そして、その接着剤層19Xに、熱封緘性接着層7X及び離型層18X1が形成された基材層6Xを貼り合わせた。このようにして、比較例3の蓋材3Xを作製した。なお、比較例3の蓋材3Xは、熱封緘性接着層7X及び基材層6Xが残存蓋部4Xに対応し、それ以外の部分が、剥離蓋部5Xに対応する。
【0099】
そして、実施例1等と同様、樹脂容器2と蓋材3Xとを熱封緘することで貼り合わせて、錠剤(被収容物)Tを収容した比較例3のPTP1Xを作製した。
【0100】
各実施例及び各比較例のPTPについて、以下に示される評価を行った。
【0101】
〔ピール性〕
各実施例及び各比較例のPTPについて、蓋材の剥離蓋部を、指先で摘まんで剥離し、その剥離性(ピール性)を、以下の基準に従って評価した。結果は、表1に示した。
<基準>
・剥離蓋部を容易に剥離できる ・・・・・ 「◎」
・剥離蓋部を剥離可能だが、剥離時に固さ(抵抗感)がある ・・・・・ 「×」
・剥離蓋部を剥離できない ・・・・・ 「××」
【0102】
〔剥離強度〕
各実施例及び各比較例の蓋材を用意し、その蓋材から、幅15mmの短冊状の試験片を作製した。そして、試験片について、150mm/minの条件で、180度剥離試験を行い、剥離蓋部の剥離強度(N/15mm)を測定した。結果は、表1に示した。
【0103】
〔プッシュ性〕
上記ピール性の評価時に使用した各PTPを使用して、錠剤(被収容物)を取り出す際に、蓋材の押し破り易さ(プッシュ性)を、以下の基準に従って評価した。結果は、表1に示した。なお、比較例2は、ピール性の評価時に、剥離蓋部を剥離することができなかった。そのため、比較例2については、剥離蓋部が貼り付けられた状態で、プッシュ性の評価を行った。
<基準>
・蓋材を押し破って、容易に錠剤を押し出すことができる ・・・・・ 「◎」
・蓋材を押し破る際に固さを感じるが錠剤の押し出しは可能 ・・・・・ 「〇」
・蓋材を押し破れず、錠剤の押し出しができない ・・・・・ 「×」
【0104】
【0105】
表1に示されるように、実施例1~3のPTPは、ピール性、及びプッシュ性に優れる。これらのPTPは、CR機能のみならず、所謂、シニアフレンドリー(SF)機能を備えていることが確かめられた。
【0106】
比較例1は、基材層として、セロハンを使用した場合である。比較例1では、プッシュ性が悪く、セロハンを押し破り難いことが確かめられた。また、比較例1では、離型層が、製品名「No20セミクリアー90改2」から形成されるため、ピール性が悪い結果となった。
【0107】
比較例2は、剥離界面が接着剤層の凝集破壊となっていたため、ピール性が悪い結果となった。また、剥離蓋部を剥離できなかったため、プッシュ性も悪い結果となった。
【0108】
比較例3は、蓋材中に、離型層が2つ形成されており、一方の離型層は、アルミニウム箔からなる基材層に隣接し、他方の離型層は、アルミニウム箔からなる補強層に隣接している。このような比較例3では、基材層と離型層との間の界面や、補強層と離型層との間の界面が不安定となるため、ピール性が悪い結果となったと推測される。また、比較例3のプッシュ性は、良い結果となった。
【0109】
なお、各実施例及び各比較例の結果より、剥離蓋部の剥離強度は、2N/15mm未満であることが好ましいと言える。剥離強度が2N/15mmを超えると、ピール性に問題が生じると言える。
【符号の説明】
【0110】
1,1A,1B…PTP、2…樹脂容器、3,3A,3B…蓋材、4,4A,4B…残存蓋部、5,5A,5B…剥離蓋部、7…熱封緘性接着層、8…離型層、9…接着剤層、10…補強層、11…第1印刷層、12…第2印刷層、13…保護層、18…離型層