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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059874
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
A63F7/02 328
A63F7/02 315A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167746
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】片瀬 宏之
(72)【発明者】
【氏名】服部 祐治
(72)【発明者】
【氏名】山内 幸司
(72)【発明者】
【氏名】片山 統揚
(72)【発明者】
【氏名】成田 晋治
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088CA02
2C088CA04
2C088CA19
(57)【要約】
【課題】天井特典を考慮してゲームを初期化すべき否かの判断を適切にサポート可能とする。
【解決手段】遊技場の管理者による初期化操作に応じて天井基準値迄の残スタートを初期化可能な遊技機1を管理対象とする遊技場用システムにおいて、管理装置5は、開店当初の残スタートが第1基準値に達しているか否かと、想定されるアウトが第2基準値に達しているか否かとにより、残スタートの初期化対象となる初期化対象台を特定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位遊技の実行に応じて更新される遊技機始動情報により天井条件が満たされた場合に天井特典を与え、遊技場の管理者による初期化操作に応じて前記遊技機始動情報を初期化可能な遊技機を対象とする遊技場用システムにおいて、
遊技機側から出力される遊技信号及び遊技場の管理者による操作入力の少なくとも一方によって、単位遊技の実行数に対応した管理始動情報及び1営業日当りに想定される稼動状況を示す想定稼動情報を少なくとも含む遊技情報を特定可能な遊技情報特定手段と、
遊技場における開店当初の管理始動情報と始動基準情報とを比較することで所定の特別始動条件を満たす遊技機を判定する第1判定手段と、
前記想定稼動情報と稼動基準情報とを比較することで所定の特別稼動条件を満たす遊技機を判定する第2判定手段と、
前記特別始動条件を満たす一方、前記特別稼動条件は満たさない、前記遊技機始動情報の初期化対象となる初期化対象遊技機を特定する特定手段と、を備える遊技場用システム。
【請求項2】
前記初期化対象遊技機を報知する報知手段を備え、
前記特定手段は、前記特別始動条件を満たす遊技機の内、前記特別稼動条件を満たすことで初期化対象遊技機とならない初期化候補遊技機を特定し、
前記報知手段は、前記初期化候補遊技機を、前記初期化対象遊技機と区別可能に報知する請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項3】
前記稼動基準情報は、前記管理始動情報に対応して複数設けられ、
前記第2判定手段は、判定対象となる遊技機を対象として特定された前記管理始動情報に対応する前記稼動基準情報を、複数設けられる前記稼動基準情報の中から特定し、その管理始動情報に対応する前記稼動基準情報を前記想定稼動情報との比較対象にする請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【請求項4】
前記始動基準情報は、前記想定稼動情報に対応して複数設けられ、
前記第1判定手段は、判定対象となる遊技機を対象として特定された前記想定稼動情報に対応する前記始動基準情報を、複数設けられる前記始動基準情報の中から特定し、その想定稼動情報に対応する前記始動基準情報を前記管理始動情報との比較対象にする請求項1から3の何れか一項に記載した遊技場用システム。
【請求項5】
単位遊技の実行に応じて更新される遊技機始動情報により天井条件が満たされた場合に天井特典を与え、遊技場の管理者による初期化操作に応じて前記遊技機始動情報を初期化可能な遊技機を対象とする遊技場用システムにおいて、
遊技機側から出力される遊技信号及び遊技場の管理者による操作入力の少なくとも一方によって、単位遊技の実行数に対応した管理始動情報及び1営業日当りに想定される稼動状況を示す想定稼動情報を少なくとも含む遊技情報を特定可能な遊技情報特定手段と、
遊技場における開店当初の前記管理始動情報及び前記想定稼動情報により特定可能な想定上の遊技場の損益を示す想定損益情報を遊技機単位で特定可能な損益情報特定手段と、
前記想定損益情報と、損益基準情報とを比較することで、所定の特別損益条件を満たす、前記遊技機始動情報の初期化対象となる初期化対象遊技機を特定する特定手段と、を備える遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一定数のゲームである天井基準ゲームを行っても大当りやART等の特別状態が発生しない場合に天井特典を与える所謂天井と呼ばれる機能がスロットマシンのような遊技機に設けられており、例えば特許文献1では前日分の天井基準ゲームの対象となる天井ゲームにより天井特典を期待する遊技者を考慮し、前日分の天井ゲームを初期化した場合に、その旨を遊技者に示唆することで遊技者とのトラブルを防止することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-14484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、天井ゲームを初期化する場合、初期化しない場合と比較して天井特典は発生し難くなるものの、上記の通りに遊技者とのトラブルが発生し得ることも想定され、遊技場にとって天井ゲームを初期化すべきか否かは非常に悩ましい課題となっていた。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、天井特典を考慮してゲームを初期化すべき否かの判断を適切にサポート可能な遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、単位遊技の実行に応じて更新される遊技機始動情報により天井条件が満たされた場合に天井特典を与え、遊技場の管理者による初期化操作に応じて遊技機始動情報を初期化可能な遊技機を対象とし、所定の特別始動条件を満たす遊技機であるか否かと、所定の特別稼動条件を満たす遊技機であるか否かとにより、遊技機始動情報の初期化対象となる初期化対象遊技機を特定するので、天井特典を考慮してゲームを初期化すべき否かの判断を適切にサポート可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図
図2】素データ一覧(機種A)を示す図
図3】遊技情報集計(機種A)を示す図
図4】遊技履歴を示す図
図5】内容概略を説明する図
図6】初期化台の報知例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して遊技機装置2が設置されている。これら遊技機1及び遊技機装置2は2台ずつ中継装置3に接続されており、中継装置3はLAN4を介して管理装置5(遊技情報特定手段、第1判定手段、第2判定手段、特定手段、報知手段、損益情報特定手段に相当する)と接続されている。又、遊技場内にはPOSや残高精算機(何れも図示せず)も設置されており、これらPOSや残高精算機もLAN4を介して管理装置5と接続されている。尚、図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置5の管理対象となっている。管理装置5は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード6、モニタ7、プリンタ(図示せず)等が接続されている。管理装置5は、遊技機側(遊技機1、遊技機装置2等)から出力される遊技信号を入力することで、遊技機1毎の遊技データ、会員登録された会員毎の個人データ、遊技機1や遊技機装置2等の稼動状態等を管理する。
【0009】
遊技機1は、CR(カードリーダ)パチンコ遊技機であり、盤面8に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル9、上部受皿10、下部受皿11を有すると共に、盤面8に、液晶表示部12、普図入賞口13、第1始動口14、第2始動口15、大入賞口16を有する。
【0010】
遊技機1は以下に示すように動作する。
(1)第1始動口14は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口15は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。
(2)第1始動口14又は第2始動口15への入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を行い、抽選結果を液晶表示部12において行う図柄変動にて報知し、その変動結果に応じて大当りとなる。
【0011】
(3)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0012】
(4)大当り抽選の当選確率(大当り確率)は1/300で、大当りがその後確変状態(確変)となる大当り(確変大当り)となる割合である確変率はヘソ入賞では65%であるのに対して電チューでは80%である。大当りが発生すると振分けられたラウンド(R)分だけ大入賞口16を開放する。ここでRはヘソ入賞では4Rに66.7%、10Rに33.3%に振分けられる一方、電チューでは4Rに16.7%、10Rに83.3%振分けられる。尚、1Rの上限入賞数は10個、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0013】
(5)確変中は大当り確率が1/50に向上すると共に各始動口14,15への入賞率が高くなる時短状態(時短)になる複合時短となり、大当り発生まで継続する。一方で、確変とならない通常大当りが発生した場合、100回の図柄変動が行われるまで継続する確変ではない時短(単独時短)となり、大当りが発生しなければ通常状態に戻る。
【0014】
(6)第2始動口15は普図入賞口13への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普図1回の変動時間は通常状態では30秒であり時短状態では3秒となる。又、開放時間は通常状態では0.3秒であり時短状態では5秒となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動時間が短くなる一方、開放時間は長くなることで第2始動口15の入賞率が高くなる。
【0015】
(7)初期化条件成立(例えば大当り発生やラムクリア)後の図柄変動数(遊技機始動情報に相当する)を管理しており、所定数(1000回、天井条件に相当する)の図柄変動を行う迄大当りとならなかった場合は所定数(700回)の図柄変動を行う迄時短(天井時短、天井特典に相当する)となるが、確変にはならないので単独時短となる。ここで、天井時短を発生させるための図柄変動は複合時短も含め確変中は加算対象にならないが、単独時短は確変ではないので加算対象となる。又、大当りが発生しないまま時短が終了した場合、それ以降に所定数(1000回)の図柄変動を行っても天井時短は発生しない。このような遊技機以外に、確変中も加算対象となるような遊技機や、所謂ST機のような構成の単独時短が発生しない遊技機、或いは大当り確率が複数設けられ、設定により変更可能な遊技機といった例示した遊技機以外の遊技機を管理対象としても良い。以上は、例えば機種Aについて例示したが、例えば機種Bであればラウンドの振分が異なる等、機種に応じて様々な値となる。
【0016】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打ち込みや各始動口14,15への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
アウト信号=消費玉を回収するアウトBOXから出力される消費価値(アウト)を特定可能な信号(稼動信号)である。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、遊技機から出力される信号でも良い。
【0017】
セーフ信号=遊技機から出力される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号である。入賞に応じた払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。尚、補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。又、玉を実際に払出した際に出力される実セーフ信号と、入賞に応じて払出が予約された場合に出力される入賞セーフ信号とがあるが、入賞から出力までのタイムラグを極力省くため後者を採用することが望ましい。
【0018】
スタート信号=遊技機から出力される始動入賞(S入賞)により変動(作動)する液晶表示部(役物)におけるスタート処理(図柄変動、役物作動、単位遊技)、及びスタート(スタート処理数)を特定可能な信号である。図柄変動確定時に出力されるので、信号入力に応じてスタート処理を特定する。尚、始動入賞時に出力されるS入賞信号にて代用しても良い。
【0019】
大当り信号=遊技機から出力される大当り期間を特定可能な信号である。大当り中にレベル出力される状態信号なので、大当り信号入力中を大当り中として特定する。
【0020】
特別状態信号=遊技機から出力される特別状態(甘中)を特定可能な信号である。第2始動口15の入賞率が向上する特別状態中(時短中(複合時短含む))にレベル出力される状態信号なので、特別状態信号入力中を特別状態中として特定する。尚、大当り確率が向上する確変中にレベル出力される状態信号(確変信号)であっても良い。又、大当り信号と特別状態信号の何れも入力していない期間を通常状態として特定する。"
【0021】
遊技機装置2は、所謂各台計数機能付の貸出機であり、遊技機1の遊技状態を示す状態表示灯17、貨幣(貨幣価値、有価価値)が投入される貨幣投入口18、遊技者からの操作入力を受け付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当たり確率等の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部19、持玉(会員であれば貯玉も含む、獲得価値、有価価値)を払い出すための払出釦20、払い出された玉が通過する払出ノズル21、一般カードや会員カードが挿入されるカード挿入口22、遊技機1の下部受皿11の下方に位置する着脱可能な計数受皿23等を有する。
【0022】
遊技機装置2は、以下に示すように動作する。
(1)貨幣を受付ける(貨幣受付処理)と、遊技機1と遊技機装置2の双方に入金額が表示されると共に貸出1単位(例えば500円)分の貸出玉(対価付与価値)が遊技機1から払出され(対価付与処理)、その対価付与処理に応じて入金額の表示が貸出玉の対価を除いた残高の表示となる。貨幣は複数回分の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。残高がある状態で遊技機1の貸出釦を押下(貸出操作、付与操作)すると、貸出1単位分の貸出玉が遊技機から払出され、その対価分を残高から引落とす。又、所謂各台計数機能も備えており、遊技者が獲得した獲得玉を計数し、その計数した獲得玉を対価として再度玉を払戻すことも可能で、その払戻し分の対価を除いた玉数を持玉として特定可能である。
【0023】
(2)残高や持玉が残存する状態で遊技機1の返却釦を押下(発行操作を受付)すると、残玉や持玉を特定可能な一般カードが発行される。尚、残高や持玉の一部を発行対象とする分割発行は説明の簡略化のため不可としたが、可能としても良い。
【0024】
(3)中継装置4とのシリアル通信(売上信号の受信)により貨幣受付処理や対価付与処理、残高や貸出玉数、入金額や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、計数玉、持玉、払戻玉、及び一般カードの受付や発行処理を特定可能であるが、これらはパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)でも特定可能である。
【0025】
管理装置5は、従来と同様に遊技情報を遊技機単位で集計し、図2に示す素データ一覧(機種A)を機種単位で集計する。尚、管理装置5は、周知の通り、台番と機種とを対応付ける機種設定等の設定も行う。図2に示す項目は以下の通りである。
アウト=アウト信号により特定される遊技機1にて消費された遊技価値である。
セーフ=セーフ信号により特定される遊技機1への入賞に応じて付与された遊技価値である。
【0026】
スタート=スタート信号により特定される遊技機1における役物の作動回数である。尚、以下も含め「甘中」とは時短などの特別状態期間に対応した遊技情報を示す。
売上玉=売上信号により特定される対応する遊技機装置2にて貨幣価値を対価として付与された遊技価値(貸出玉数、対価付与価値)である。
【0027】
大当り数=大当り信号により特定される大当り数である。「通常」は「特定」以外の大当り数であり、「特定」は特定の条件を満たす(例えばT1Yに対して設定される基準範囲(例えば800~)内のT1Yとなった)大当りである特定大当りの発生回数である。
【0028】
Tアウト=T中(大当り中及び甘中)のアウトである。
Tセーフ=T中(大当り中及び甘中)のセーフである。
T1アウト=T1中(大当り中)のアウトである。
T1セーフ=T1中(大当り中)のセーフである。
特T1アウト=特定大当りのみを対象としたT1中のアウトである。
特T1セーフ=特定大当りのみを対象としたT1中のセーフである。
【0029】
「平均」は機種Aを対象とした遊技機平均である。尚、本実施形態では説明の都合上、所謂貯玉に基づく再プレイシステムのない遊技場を前提としているが、再プレイシステムのある遊技場であれば、売上玉に再プレイ玉を含めて演算することが望ましい。尚、図1に示す払出しノズル21の再プレイ用とは遊技者が当該営業日に獲得した獲得玉を払戻す再プレイを指し、この再プレイ玉は売上玉に含める必要はない。
【0030】
又、管路装置5は、図3に示す遊技情報集計(機種A)を機種単位で集計する。図3に示す項目は以下の通りである。
ベース=状態(通常時、甘中)別の出率であり、「通常」はBセーフ÷BOにて特定し、「甘中」はBセーフA÷BOAにて特定する。以下も含め、通常中のアウトであるBOはBO=アウト-Tアウトにて特定し、通常中のセーフであるBセーフはBセーフ=セーフ-Tセーフ、甘中のアウトであるBOAはBOA=Tアウト-T1アウト、甘中のセーフであるBセーフAはBセーフA=Tセーフ-T1セーフにて特定しているが、BO、Bセーフ、BOA、BセーフAを素データとして特定しても良い。尚、以下では通常中のベースを単にベース、甘中のベースをBAとも言う。
【0031】
平均S=状態別のアウトに対する図柄変動数の割合であり、平均S=通常(甘中)スタート÷BO(BOA)にて特定する。尚、以下では通常中の平均SをS、甘中の平均SをSAAとも言う。
【0032】
T1Y、T1O=T1Yは平均大当り中出玉数であり、T1Y=(T1セーフ-T1アウト)÷合計大当り数にて特定する。T1Oは平均大当り中アウトであり、T1O=T1アウト÷合計大当り数にて特定する。尚、合計大当り数=通常大当り数+特定大当り数である。
【0033】
特T1Y、特T1O=特T1Yは特定大当りを対象としたT1Yであり、特T1Y=(特T1セーフ-特T1アウト)÷特定大当り数にて特定する。特T1Oは特定大当りを対象としたT1Oであり、特T1O=特T1アウト÷特定大当り数にて特定する。
【0034】
出率、Bサ、客滞率=出率はアウトに対するセーフの割合(払出率、付与率)であり、出率=セーフ÷アウトにて特定する。Bサは通常時の差玉数であり、Bサ=BO-Bセーフにて特定する。客滞率は売上玉に対するBサの割合であり、客滞率=Bサ÷売上玉にて特定する。
【0035】
粗利=遊技に応じた遊技場側の営業利益であり、粗利=売上額-獲得玉×貸単価×原価率にて特定する。尚、獲得玉(獲得価値)=売上玉+セーフ-アウト、売上額=売上玉×貸単価、貸単価=4円、原価率=90.9%にて演算する。
【0036】
玉単価、玉粗利=玉単価はアウト1当りの売上額であり、玉単価=売上額÷アウトにて特定する。玉粗利はアウト1当りの粗利であり、玉粗利=粗利÷アウトにて特定する
営業割数=実際の売上額(売上玉)に対する遊技場側の損益額(損失玉)の割合であり、営業割数=獲得玉÷売上玉にて特定する。
「平均」は機種Aを対象とした遊技機平均であり、図2の「合計」の対応値である。
【0037】
又、管路装置5は、図4に示すように、開店当初の残スタート(残S)を特定し、遊技履歴を集計する。図4に示す項目は以下の通りである。
時刻=レコードに対応した時刻であり、大当りや特別状態の発生時刻、レコード作成時刻等である。
状態=遊技機1の状態である。
アウト=遊技機1への打込玉数(使用媒体数)である。
セーフ=遊技機1からの払出玉数である。
S=図柄変動数(スタート)であり、管理始動情報に相当する。
T1Y=大当り中の出玉(セーフ-アウト)である。
【0038】
ここで、残スタートについて説明する。最初に前日最終スタート(前日最終S)について説明する。図4のように大当りが発生(図4であればT1Yが示されているレコードが大当り発生に対応)した場合、営業日における最終の大当り発生後からのスタートが前日最終スタートとなる。例えば図4の場合、NO33が最終レコードであり、この状態で閉店を迎えているので、NO31の大当りが最終大当りとなり、そこからNO32、NO33のスタートの合計となる「153」が翌日における前日最終スタートとなる。
【0039】
残スタートは天井時短が発生するまでに必要な残りスタート(管理始動情報)であり、スタート(例えば「520」)を天井基準値(例えば「1000」)から除外した値(例えば「480」)となる。残スタートの対象に確変期間は含まれないが単独時短は含まれるので、図4のように高確=確変と時短とを区別可能な遊技状態信号が出力されれば確変を除外して特定すれば良いが、出力されなければ時短のような特別状態が終了した場合に単独時短分を除外した上で残スタートを特定すれば良い。例えば図4の場合、NO32が遊技状態信号で単独時短かを特定できなくとも遊技機の仕様上、単独時短100回を必ず経て特賞が終了するのであれば特賞終了後の残スタートを単独時短分の100回を除いて特定し、そこからスタートを計上して残スタートを特定する。尚、本案における特賞とは大当りと特別状態との何れかである状態、例えば図4のNO1の大当りが始まってからNO4の時短が終わるまでとしている。
【0040】
以上から、開店当初の残スタートとは前日最終スタートを対象とした残スタートを示し、図4の場合、前日最終スタート(例えば「153」)を天井基準値(例えば「1000」)から除外した値(例えば「847」)となる。
【0041】
又、管理装置5は、前日のような過去のアウトに基づき1営業日当りに想定されるアウトを特定する。図5は、開店当初における残スタートと1営業日当りのアウトに応じて出率と玉粗利とをシミュレートした結果を示している。上記ではアウト「10000」の初期化時(例えばラムクリアのような遊技機1における天井時短までの図柄変動数を初期化する初期化処理後)及び初T後(営業開始後の初めての特賞後)を他と区別して識別表示しているが、これは平均Sが7%でアウト「10000」であるとスタートは「700」しか得られず、初期化時の残スタート「1000」だけでなく初T後の「900」にも達しないので、天井時短が発生しない旨を示しているが、数値は説明の都合上、他と同様に仮に同条件で天井時短が発生する場合を考慮した場合の数値を示している。
【0042】
図4にて説明した通り、残スタートは、確変期間は対象外となるが時短期間は対象となり、機種Aのように100回分の単独時短を介して特賞が終了するような機種の場合、特賞後の残スタートは天井基準値-単独時短=「1000-100=900」となるので、初T後の残スタートは「900」となるが、図5のようにアウトが大きくなるにつれて、開店当初の天井時短の影響比率が小さくなり、他の残スタートに対応した出率や玉粗利は初T後の値に近似していく。
【0043】
ここで、出率に注目すると、残スタートが「200」の場合、アウトが「15000」であれば、そのまま営業を開始すると「114.5%」であるが、残スタートを初期化すれば「95.4%」となり、差分の「19.1%」が初期化しない場合の遊技場の損失分となる。一方で、アウトが「40000」であれば、そのまま営業を開始すると「102.9%」であるが、残スタートを初期化すれば「95.7%」となり、差分の「7.2%」が初期化しない場合の遊技場の損失分となる。
【0044】
本実施形態では、このよう1営業日当りのアウトに応じて開店当初に発動し得る天井時短の影響度が小さくなる点に着目し、アウトに応じて残スタートを初期化すべきか否かを提示している。提示手順は以下の通りである。
【0045】
(1)閉店中における残スタート(開店当初の管理始動情報に相当する)に対して第1基準値(始動基準情報に相当する)を設定し、その第1基準値と比較して初期化対象台(初期化対象遊技機に相当する)又は初期化候補台(初期化候補遊技機に相当する)の何れかである特定対象台を特定する。例えば第1基準値「300」に達していない(特別始動条件を満たす)遊技機1を特定対象台として特定する。システム上の残スタートは大当りの発生のような初期化処理によっても初期化され、更に遊技機1における残スタートをラムクリアのような初期化処理によりクリアした場合にはその旨を入力することでも初期化される。勿論、以下(3)のように初期化対象台として報知した場合には初期化したとみなして残スタートを初期化しても良い。又、遊技機1における残スタートは遊技機1のラムクリアを行うことで初期化できるが、残スタートのみを対象としたクリア操作のように遊技機の仕様に応じて適宜適切な初期化操作を行えば良い。
【0046】
(2)特定対象台の想定されるアウト(想定稼動情報に相当する)に対して第2基準値(稼動基準情報に相当する)を設定し、その第2基準値と比較して初期化対象台(初期化対象遊技機に相当する)を特定する。例えば第2基準値「15000」に達していない(特別稼動条件を満たさない)遊技機を初期化対象台として特定する一方、達している(特別稼動条件を満たす)遊技機を初期化候補台として特定する。想定されるアウトは、例えば前日、前週同曜日の実際のアウトや経営計画を立てている場合における計画上のアウト、又、機種単位で任意で設定されるアウトといったように1営業日中に想定されるアウトであればどのようなアウトでも良く、例えば上記した前日のような過去のアウトに対して任意の下落率を乗じて想定されるアウトといった、従来から用いられる想定アウトを採用すれば良い。
【0047】
(3)初期化対象台は例えば図6のように島レイアウト帳票上で報知すれば良いが、例えば遊技情報を一覧化した図2図3のような帳票上に出力することや、所謂呼出ランプのようなデータ表示機にて報知する等、どのように報知しても良い。尚、表示以外に印字や音声にて報知することで提示しても勿論良い。
【0048】
図6は、初期化対象台の報知例を示しており、数値で示されるのが遊技機の台番であり、実際の遊技島の配置レイアウトを模している。台番の近傍が報知マスであり、報知マスに白抜きで「R」と示されるのが初期化対象台(例えば673番台)であり、白抜きではない「R」で示されるのがアウトが基準値に達していないことで初期化対象台とならなかった初期化候補台(例えば663番台)であり、このような態様にて初期化対象台や初期化候補台を報知する。
【0049】
以下ではこれまでに示した以外の初期台の抽出例を示す。
残スタートに対する第1基準値やアウトに対する第2基準値は機種単位で異なるので機種単位で設定することが望ましいが、遊技機単位で設定しても良い。
図5に示したようにアウトと残スタートとはマトリクス状に期待される出率や玉粗利等が異なるので、残スタートの第1基準値に応じたアウトの第2基準値、或いはアウトの第2基準値に応じた残スタートの第1基準値を設けるようにしても良い。例えば残スタート「100」~「300」はアウト「20000」、残スタート「300」~「600」はアウト「15000」、或いはアウト「0」~「15000」は残スタート「600」、アウト「15000」~「20000」は残スタート「300」としても良い。
【0050】
アウトと残スタートとから想定される出率や玉粗利の理論値(想定損益情報に相当する)を特定し、その理論値と基準値(損益基準情報に相当する)とを比較することで初期化対象台とするか否かを判定するといったように、間接的にアウトと残スタートとが基準値に達するかに応じて初期化対象台を特定しても良い。想定される理論値は例えば特開2016-106670のようにして特定することや、 特開2010-051377のように特定可能な情報をシミュレータに設定してシミュレートすることで特定すれば良い。
【0051】
アウトの代用としては遊技時間や総スタート等、稼動状況を示せばどのような遊技情報を採用しても良い。又、出率や玉粗利も、例えば粗利や所謂営業割数等、遊技場の損益を示せばどのような遊技情報を採用しても良い。尚、想定されるアウトは新台のような遊技者から支持される遊技機は多くなる一方、支持されない遊技機は少なくなるが、多い遊技機にて残スタートを初期化することで支持される状態から支持されない状態となることも本実施形態によれば防止可能となる。
【0052】
残スタートは閉店中には更新されないが、例えば試打ちにより更新される場合もある。この場合、当該試打ち後の残スタートを基準値との比較対象とすることが望ましいが、簡易的に閉店時の残スタートを開店当初の残スタートとみなして基準値との比較対象としても良い。
【0053】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す効果を得ることができる。
スタートが天井基準値に達した場合に天井特典を与え、遊技場の管理者による初期化操作に応じて天井基準値迄の残スタートを初期化可能な遊技機1を管理対象とする遊技場用システムにおいて、管理装置5は、開店当初の残スタートが第1基準値に達しているか否かと、想定されるアウトが第2基準値に達しているか否かとにより、残スタートの初期化対象となる初期化対象台を特定するので、天井特典を考慮してスタートを初期化すべき否かの判断を適切にサポート可能となる。
【0054】
残スタートが第1基準値に達していない遊技機1を特定対象台として特定し、特定対象台の内、想定されるアウトが第2基準値に達していない遊技機1を初期化対象台として特定する一方、達している遊技機1を初期化候補台として特定し、初期化対象台と初期化候補台とを区別可能に報知するので、天井特典が発生し易い遊技機1を把握した上で初期化対象台を把握可能となる。
【0055】
第2基準値が残スタートに対応して複数設けられ、残スタートが第1基準値に達していない特定対象台の残スタートに対応する第2基準値と、想定されるアウトとを比較することで初期化対象台であるか否かを特定するので、残スタートに応じた適切な第2基準値にて初期化対象台を特定可能となる。
【0056】
第1基準値が想定されるアウトに対応して複数設けられ、想定されるアウトが第2基準値に達していない特定対象台の想定されるアウトに対応する第1基準値と、残スタートとを比較することで初期化台であるか否かを特定するので、想定されるアウトに応じた適切な第1基準値にて初期化台を特定可能となる。
【0057】
スタートが天井基準値に達した場合に天井特典を与え、遊技場の管理者による操作により天井基準値迄の残スタートを初期化可能な遊技機を管理対象とし、開店当初の残スタートと想定されるアウトとにより特定可能な想定上の遊技場の損益を示す遊技情報と、その基準値とを比較することで、残スタートの初期化対象となる初期化対象台を特定するので、遊技場の損益を示す遊技情報に応じて遊技場における天井特典による損失の影響度を考慮してスタートを初期化すべき否かの判断を適切にサポート可能となる。
【0058】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
各設定値は管理者が任意に操作入力により設定しても、予め管理装置の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)のサーバから設定情報をダウンロードして設定しても良い。尚、この場合もサーバにて操作入力により入力された設定値となる。又、過去の遊技情報を基準値として設定しても勿論良い。
【0059】
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定しても良い。尚、例示した演算式は単なる例示であり、どのような演算式を採用しても良い。又、遊技信号としてパルス信号を例示したが、シリアル通信等による信号入力としても良い。
【0060】
閉店中に行う遊技機における初期化処理はラムクリア以外に、大当り確率を変更するような所謂設定値の変更、スタートのみを対象としたクリア処理、或いは試打ちにより大当りを発生させるといった初期化処理が想定される。
残スタートは前日の所謂最終スタートだけで特定するのではなく、例えば前日に大当りが発生しなかった場合は適宜、その更に前日の残スタートを加算して特定しても良い。
残スタートの代わりに簡易的に大当り後、或いは特別状態後のスタートが基準値に達している場合に初期化候補台として特定しても良いし、操作入力しても良い。
【0061】
説明の都合上、残スタートと基準値とを比較して初期化候補台を特定した上で、アウトと基準値とを比較して初期化対象台を特定したが、アウトと基準値とを比較して初期化候補台を特定した上で、残スタートと基準値とを比較して初期化対象台を特定したり、初期化候補台を特定することなく、アウトと残スタートとを各々の基準値と比較することでまとめて初期化対象台を特定したりしても良い。
【0062】
前日最終スタートにて遊技者は残スタートを把握可能になるが、前日最終スタートは遊技者に公開してもしなくとも良い。公開する場合、所謂呼出ランプのような各台情報表示機、島端に設けられる複数の遊技機の遊技情報を参照可能な集中型の情報表示機、或いは遊技場のwebページにて公開するといったように多種多様な公開方法を想定することができる。
天井特典として時短となる天井時短になることを例示したが、例えば大当りや確変になる、或いは遊技機の設定値のような遊技者にとって有益な情報を提供するといったようにどのような特典を採用しても良い。
【0063】
数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。又、識別出力についても例示した以外に記号を付ける等、どのような出力態様としても良く、出力としては印字、表示出力が少なくとも想定される。
【0064】
以上と超過についてはどちらを採用しても良く、「達した」等の表現は「以上となった」又は「超過した」の何れにも対応する表現となる。以下と未満についても同様であり、「達していない」等の表現は「以下となった」又は「未満となった」の何れにも対応する表現となる。
【0065】
対象となる遊技機としては遊技媒体をデータのみで管理する所謂封入式等の例示したパチンコ遊技機以外のパチンコ遊技機やスロットマシン等も採用することができる。尚、所謂封入式のように遊技媒体を払い出さない遊技機を考慮して遊技媒体は必要に応じて遊技価値と表現する。
【0066】
管理装置が行う処理の一部を中継装置、或いは遊技機装置等にて行っても良く、どの様に構成しても良い。更に例示した構成は変形例も含めて、どのように組み合わせても良いし、適宜、採用しない構成を設けても良い。
【符号の説明】
【0067】
図面中、1は遊技機、5は管理装置(遊技情報特定手段、第1判定手段、第2判定手段、特定手段、報知手段、損益情報特定手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6