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特開2022-59948産業用ロボットのハンド、産業用ロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059948
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】産業用ロボットのハンド、産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/04 20060101AFI20220407BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
B25J15/04 A
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167858
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】改野 重幸
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707CV07
3C707CW07
3C707CX03
3C707ES17
3C707EV23
3C707FS01
3C707GS11
3C707HS14
3C707HS27
3C707HT02
3C707HT20
3C707NS13
5F131AA02
5F131AA03
5F131BB02
5F131BB03
5F131CA37
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA42
5F131DA54
5F131DA62
5F131DB03
5F131DB12
5F131DB13
5F131DB14
5F131DB15
5F131DB22
5F131DB34
5F131DB42
5F131DB43
5F131DB45
5F131DB52
5F131DB57
5F131DB58
5F131DB62
5F131DB72
5F131DB76
5F131DB88
5F131DC26
5F131FA13
5F131FA26
5F131FA32
5F131KA22
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑制しながら、用途に応じた使い分けを可能とする産業用ロボットのハンドとこれを備える産業用ロボットを提供する。
【解決手段】ハンド14は、吸引用ウエハ搭載部14cとグリップ用ウエハ搭載部14aのいずれか一方を支持可能に構成された支持部14bを備え、支持部14bは、吸引用ウエハ搭載部14cを支持している状態にて吸引孔14c3に繋がる空気流路144a2と、空気配管Pの先端と空気流路144a2とを連結する連結部材147aを含む吸引用ユニット147、及び、グリップ用ウエハ搭載部14aを支持している状態にてウエハ2の端面を押圧可能なグリップ用ユニット146のうちの一方のみを有し、吸引用ユニット147とグリップ用ユニット146のうちの他方を取り付けるための取り付け部を更に備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物が搭載され、当該搬送対象物の端面が当接する当接面を含む端面当接部材を有する第一搭載部と、搬送対象物が搭載され、当該搬送対象物を吸引して保持する吸引孔を有する第二搭載部と、が交換可能に構成された産業用ロボットのハンドであって、
前記第一搭載部と前記第二搭載部のいずれか一方を支持可能に構成された支持部を備え、
前記支持部は、
前記第二搭載部を支持している状態にて前記吸引孔に繋がる空気流路と、
前記産業用ロボットに収容された空気配管の先端と前記空気流路とを連結する連結部材を含む第一ユニット、及び、前記第一搭載部を支持している状態にて前記第一搭載部に搭載された搬送対象物の端面を押圧可能な第二ユニットのうちの一方のみと、
前記第一ユニットと前記第二ユニットのうちの他方を取り付けるための取り付け部と、を有する産業用ロボットのハンド。
【請求項2】
請求項1記載の産業用ロボットのハンドであって、
前記第二ユニットは、エアシリンダを有し、
前記第一ユニットの前記連結部材と、前記エアシリンダの吸排気口とには、共通の前記空気配管が接続可能に構成されている産業用ロボットのハンド。
【請求項3】
請求項1又は2記載の産業用ロボットのハンドであって、
前記取り付け部は、前記第二ユニットを取り付けるためのものである産業用ロボットのハンド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の産業用ロボットのハンドと、
前記空気配管と、
前記ハンドを支持するアームと、
前記アームを支持するアーム支持部と、を備える産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットのハンドとこれを備える産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ等の搬送対象物を搬送する産業用ロボットが知られている。例えば特許文献1には、搬送対象物が搭載される4個のハンドと、4個の前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、前記アームの基端側が回動可能に連結される本体部と、を備える産業用ロボットが記載されている。この産業用ロボットでは、4個のハンドを第1ハンド対と第2ハンド対とすると、第1ハンド対および第2ハンド対のいずれか一方を構成する2個のハンドの保持部は、搬送対象物の端面が当接する当接面を有する端面当接部材と、搬送対象物の端面が当接面に押し付けられるように搬送対象物を押す押付機構とを備えている。また、第1ハンド対および第2ハンド対のいずれか他方を構成する2個のハンドの保持部は、搬送対象物を吸引して保持する吸引孔を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-119326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
産業用ロボットにおいて半導体ウエハを保持する方法としては、特許文献1のように、ウエハの端面(外周面)を押圧して保持するグリップ保持方式と、ウエハを吸引して保持する吸引保持方式と、が知られている。同じ産業用ロボットであっても、その用途によっては、グリップ保持方式と吸引保持方式を切り替えたい場合がある。そこで、グリップ保持方式のためのユニットと吸引保持方式のためのユニットの両方を組み込んだハンドを製造することが考えらえる。しかし、このようなハンドでは、製造コストが高くなり、ユーザへの販売額も高くる。そのため、一方のユニットを不要としているユーザにとっては、余分な費用を支払うことになる。
【0005】
本発明の目的は、製造コストを抑制しながら、用途に応じた使い分けを可能とする産業用ロボットのハンドとこれを備える産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の産業用ロボットのハンドは、搬送対象物が搭載され、当該搬送対象物の端面が当接する当接面を含む端面当接部材を有する第一搭載部と、搬送対象物が搭載され、当該搬送対象物を吸引して保持する吸引孔を有する第二搭載部と、が交換可能に構成された産業用ロボットのハンドであって、前記第一搭載部と前記第二搭載部のいずれか一方を支持可能に構成された支持部を備え、前記支持部は、前記第二搭載部を支持している状態にて前記吸引孔に繋がる空気流路と、前記産業用ロボットに収容された空気配管の先端と前記空気流路とを連結する連結部材を含む第一ユニット、及び、前記第一搭載部を支持している状態にて前記第一搭載部に搭載された搬送対象物の端面を押圧可能な第二ユニットのうちの一方のみと、前記第一ユニットと前記第二ユニットの他方を取り付けるための取り付け部と、を備えるものである。
【0007】
本発明の一態様の産業用ロボットは、前記ハンドと、前記空気配管と、前記ハンドを支持するアームと、前記アームを支持するアーム支持部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、製造コストを抑制しながら、用途に応じた使い分けを可能とする産業用ロボットのハンドとこれを備える産業用ロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態にかかる製造システムの概略構成を正面側から説明するための図である。
図2図1に示す製造システムの概略構成を上側から説明するための図である。
図3図1に示す水平多関節ロボットの側面図である。
図4図3に示す水平多関節ロボットの、アーム支持部が上昇している状態の側面図である。
図5図3に示す水平多関節ロボットの平面図である。
図6図5に示すハンドの支持部近傍の詳細構成を示す模式図である。
図7図6の支持部にグリップ用ユニットを取り付けた状態を示す模式図である。
図8図7に示す状態の支持部にグリップ用ウエハ搭載部を装着した状態を示す模式図である。
図9図7に示す状態の支持部に吸引用ウエハ搭載部を装着した状態を示す模式図である。
図10図3に示す保持部の内部の構造を説明するための概略図である。
図11図3に示す保持部の内部の構造を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
(製造システムの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる製造システム1の概略構成を正面側から説明するための図である。図2は、図1に示す製造システム1の概略構成を上側から説明するための図である。
【0012】
本形態の製造システム1は、半導体を製造するための半導体製造システムである。この製造システム1は、半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする)に対して所定の処理を実行する複数の処理装置3を有する処理部4を備えている。処理部4は、複数階建てで構成されるとともに複数階の各階に処理装置3が複数個設置されている。また、製造システム1は、処理部4の各階ごとに設置され処理装置3に対するウエハ2の搬入および搬出を行う水平多関節ロボット5(以下、「ロボット5」とする)を備えている。本形態のウエハ2は、ロボット5によって搬送される搬送対象物である。
【0013】
以下の説明では、上下方向に直交する図1等のX方向を「左右方向」とし、上下方向および左右方向に直交する図1等のY方向を「前後方向」とする。また、左右方向のうちのX1方向側を「右」側とし、その反対側であるX2方向側を「左」側とし、前後方向のうちのY1方向側を「前」側とし、その反対側であるY2方向側を「後(後ろ)」側とする。
【0014】
本形態の処理部4は、図1に示すように、2階建てで構成されている。処理部4の1階と処理部4の2階とのそれぞれには、ロボット5が1台ずつ設置されている。ロボット5は、処理部4の内部に設置されている。また、処理部4の1階と2階とのそれぞれには、たとえば、6個の処理装置3が設置されている。具体的には、図2に示すように、処理部4の1階と2階とのそれぞれには、左右方向で隣接配置される3個の処理装置3が前後方向において所定の間隔をあけた状態で2箇所に設置されている。また、各処理装置3は、ウエハ2が載置されるウエハ載置部6を備えている。
【0015】
ロボット5は、処理部4の1階と2階とのそれぞれにおいて、前側に配置される3個の処理装置3と、後ろ側に配置される3個の処理装置3との間に設置されている。また、ロボット5は、処理部4の1階と2階とのそれぞれにおいて、左右方向における処理部4の中心位置に設置されている。処理部4の1階と2階とのそれぞれには、ロボット5を固定するための固定フレーム7が設けられており、ロボット5は固定フレーム7に固定されている。
【0016】
製造システム1は、複数のウエハ2が収容される2個の収容部10、11を有する昇降装置12を備えている。昇降装置12は、処理部4の内部の右端側に設置されている。また、昇降装置12は、前後方向において、ロボット5と略同じ位置に配置されている。この昇降装置12は、固定フレーム7に固定されている。製造システム1は、上下方向から見たときに、左右方向においてロボット5との間に昇降装置12を挟むように配置される水平多関節ロボット13(図1参照。以下、「ロボット13」とする)を備えている。ロボット13は、処理部4の外部に設置されるとともに、前後方向において、昇降装置12と略同じ位置に配置されている。なお、図2では、ロボット13の図示を省略している。
【0017】
(水平多関節ロボットの構成)
図3は、図1に示すロボット5の側面図である。図4は、図3に示すロボット5の、アーム支持部17が上昇している状態の側面図である。図5は、図3に示すロボット5の平面図である。図6は、図5に示すハンド14の支持部14b近傍の詳細構成を示す模式図である。図7は、図6の支持部14bにグリップ用ユニット146を取り付けた状態を示す模式図である。図8は、図7に示す状態の支持部14bにグリップ用ウエハ搭載部14aを装着した状態を示す模式図である。図9は、図7に示す状態の支持部14bに吸引用ウエハ搭載部14cを装着した状態を示す模式図である。図10は、図3に示す保持部18の内部の構造を説明するための概略図である。図11は、図3に示す保持部18の内部の構造を説明するための断面図である。
【0018】
ロボット5は、3リンクアーム型のロボットである。このロボット5は、ウエハ2が搭載される2個のハンド14、15と、ハンド14、15が先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に動作するアーム16と、アーム16の基端側が回動可能に連結されるアーム支持部17と、アーム支持部17を昇降可能に保持する保持部18とを備えている。また、ロボット5は、アーム16に対してハンド14、15を回動させるハンド駆動機構19と、アーム16を駆動するアーム駆動機構20とを備えている(図3参照)。また、ロボット5は、保持部18に対してアーム支持部17を昇降させるアーム昇降機構21を備えている(図10図11参照)。
【0019】
アーム16は、アーム支持部17に基端側が回動可能に連結される第1アーム部24と、第1アーム部24の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部25と、第2アーム部25の先端側に基端側が回動可能に連結される第3アーム部26とから構成されている。すなわち、アーム16は、互いに相対回動可能に連結される3個のアーム部を備えている。第1アーム部24、第2アーム部25および第3アーム部26は、中空状に形成されている。アーム支持部17と第1アーム部24と第2アーム部25と第3アーム部26とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。
【0020】
ハンド14、15は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されている。ハンド14、15は、ハンド14の基端側部分とハンド15の基端側部分とが上下方向で重なるように配置されている。また、ハンド14が上側に配置され、ハンド15が下側に配置されている。ハンド14、15の基端側部分は、第3アーム部26の先端側に回動可能に連結されている。ハンド14、15の先端側部分の上面は、ウエハ2が搭載される搭載面となっており、ハンド14、15の先端側部分の上面には、1枚のウエハ2が搭載される。ハンド14、15は、第3アーム部26よりも上側に配置されている。
【0021】
なお、図2では、ハンド15の図示を省略している。また、本形態のロボット5の動作時には、ハンド14とハンド15とが上下方向で重なる場合もあるが、ほとんどの場合、ハンド14とハンド15とは、上下方向で重なっていない。たとえば、図2の二点鎖線で示すように、ハンド14が処理装置3の中へ入り込んでいるときには、ハンド15は、アーム支持部17側へ回転しており、処理装置3の中に入っていない。このときのハンド14に対するハンド15の回転角度は、たとえば、120°~150°である。
【0022】
保持部18は、略直方体の箱状に形成されている。保持部18の上端面および下端面は、上下方向に直交する平面となっている。また、保持部18の前後の両側面は、前後方向に直交する平面となっており、保持部18の左右の両側面は、左右方向に直交する平面となっている。上述のように、ロボット5は、処理部4の固定フレーム7に固定されている。本形態では、保持部18の前側面が固定フレーム7に固定されている。すなわち、保持部18の前側面が処理部4に固定されている。
【0023】
アーム支持部17は、略直方体の箱状に形成されている。アーム支持部17の上端面および下端面は、上下方向に直交する平面となっている。また、アーム支持部17の前後の両側面は、前後方向に直交する平面となっており、アーム支持部17の左右の両側面は、左右方向に直交する平面となっている。第1アーム部24の基端側は、アーム支持部17の上端面に回動可能に連結されている。アーム支持部17は、保持部18の後ろ側に配置されており、アーム支持部17と保持部18とは前後方向においてずれている。また、アーム支持部17は、保持部18の後側面に沿って昇降可能となっている。アーム支持部17の高さ(上下方向の長さ)は、保持部18の高さ(上下方向の長さ)よりも低くなっている。
【0024】
アーム駆動機構20は、図3に示すように、アーム16が伸縮するように第1アーム部24および第2アーム部25を一緒に回動させる第1駆動機構27と、第2アーム部25に対して第3アーム部26を回動させる第2駆動機構28とを備えている。第1駆動機構27は、モータ30と、モータ30の動力を減速して第1アーム部24に伝達するための減速機31と、モータ30の動力を減速して第2アーム部25に伝達するための減速機32とを備えている。第2駆動機構28は、モータ33と、モータ33の動力を減速して第3アーム部26に伝達するための減速機34とを備えている。なお、第1駆動機構27は、左右方向に平行な仮想線上を第2アーム部25と第3アーム部26との連結部が直線的に移動するように、第1アーム部24および第2アーム部25を回動させる。
【0025】
モータ30は、アーム支持部17の内部に配置されている。減速機31は、アーム支持部17と第1アーム部24とを繋ぐ関節部を構成している。減速機32は、第1アーム部24と第2アーム部25とを繋ぐ関節部を構成している。モータ30と減速機31とは、図示を省略するプーリおよびベルトを介して連結され、モータ30と減速機32とは、図示を省略するプーリおよびベルト等を介して連結されている。モータ33は、第2アーム部25の内部に配置されている。減速機34は、第2アーム部25と第3アーム部26とを繋ぐ関節部を構成している。モータ33と減速機34とは、図示を省略する歯車列を介して連結されている。
【0026】
ハンド駆動機構19は、モータ35と、モータ35の動力を減速してハンド14に伝達するための減速機36と、モータ37と、モータ37の動力を減速してハンド15に伝達するための減速機38とを備えている。モータ35、37および減速機36、38は、第3アーム部26の内部に配置されている。ハンド14の基端側と減速機36とは、図示を省略するプーリおよびベルトを介して連結され、ハンド15の基端側と減速機38とは、図示を省略するプーリおよびベルトを介して連結されている。
【0027】
アーム昇降機構21は、図10図11に示すように、上下方向を軸方向として配置されるボールネジ39と、ボールネジ39を回転させるモータ40と、ボールネジ39に係合するナット部材41と、アーム支持部17を上下方向へ案内するガイドレール42およびガイドブロック43とを備えている。このアーム昇降機構21は、保持部18の内部に配置されている。
【0028】
ボールネジ39は、保持部18の一部を構成するフレーム44に回転可能に保持されている。ボールネジ39の下端側には、プーリ45が固定されている。モータ40は、フレーム44に固定されている。モータ40の出力軸には、プーリ46が固定されている。プーリ45とプーリ46とには、ベルト47が架け渡されている。ガイドレール42は、フレーム44に固定されている。ガイドレール42は、ガイドレール42の長手方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、本形態では、フレーム44の左右の両端側の2箇所にガイドレール42が固定されている。
【0029】
ナット部材41は、アーム支持部17の前側面に固定される固定部材48(図11参照)に固定されている。ガイドブロック43も固定部材48に固定されている。固定部材48には、後ろ側へ突出する突出部48aが形成されており、突出部48aの後端面がアーム支持部17の前側面に固定されている。固定部材48は、保持部18の一部を構成するカバー49に覆われている。カバー49には、突出部48aが配置されるスリット状の配置孔49aが形成されている。
【0030】
アーム昇降機構21は、図3に示すアーム支持部17の下限位置と図4に示すアーム支持部17の上限位置との間でアーム支持部17を昇降させる。アーム支持部17が下限位置まで下降しているときには、図3に示すように、保持部18の上端面は、第1アーム部24の下面よりも上側にある。具体的には、保持部18の上端面は、アーム支持部17の上端面に回動可能に連結される第1アーム部24の基端側部分の下面よりも上側にある。
【0031】
また、アーム支持部17が下限位置まで下降しているときには、保持部18の上端面は、第3アーム部26の下面よりも下側にある。本形態では、アーム支持部17が下限位置まで下降しているときに、保持部18の上端面は、第2アーム部25の上面よりもわずかに下側にある。すなわち、アーム支持部17が下限位置まで下降しているときに、保持部18の上端面は、上下方向において、第2アーム部25の上面と第2アーム部25の下面との間にある。
【0032】
ロボット13は、図1に示すように、ウエハ2が搭載される2個のハンド52、53と、ハンド52が先端側に回動可能に連結されるアーム54と、ハンド53が先端側に回動可能に連結されるアーム55と、アーム54、55の基端側が回動可能に連結されるアーム支持部56と、アーム支持部56を昇降可能に保持する本体部57とを備えている。ハンド52、53には、複数枚のウエハ2が搭載可能となっている。
【0033】
また、ロボット13は、アーム54に対してハンド52を回動させるハンド駆動機構(図示省略)と、アーム55に対してハンド53を回動させるハンド駆動機構(図示省略)と、アーム54を駆動するアーム駆動機構(図示省略)と、アーム55を駆動するアーム駆動機構(図示省略)と、本体部57に対してアーム支持部56を回動させるアーム支持部駆動機構(図示省略)と、本体部57に対してアーム支持部56を昇降させるアーム昇降機構(図示省略)とを備えている。
【0034】
上述のように、ロボット13は、上下方向から見たときに、左右方向においてロボット5との間に昇降装置12を挟むように配置されている。具体的には、ロボット13は、図1に示すように、左右方向において、処理部4の1階に設置されるロボット5との間に昇降装置12を挟むように配置されている。このロボット13は、収容部10、11に対するウエハ2の搬入および搬出を行う。
【0035】
(ハンドの詳細構成)
ロボット5、ロボット13に搭載されるハンドの詳細構成について説明する。ロボット5、ロボット13に搭載される各ハンドは、いずれも同じ構成であってもよいし、別の構成であってもよい。以下では、ロボット5のハンド14を例示して、ハンドの詳細構成について説明する。本明細書における“固着”とは、固着対象となる2つの部材が、接着、圧入嵌合、ネジ止め、ボルト締め等によって強固に一体化されている状態を言う。
【0036】
ハンド14は、ウエハ2を搭載する搭載部として、グリップ保持方式にてウエハ2を保持するために用意されたグリップ用ウエハ搭載部14a(図8参照)と、吸引保持方式にてウエハ2を保持するために用意された吸引用ウエハ搭載部14c(図5参照)との2種類が着脱可能(換言すると交換可能)に構成されたものである。以下では、まず、吸引用ウエハ搭載部14cが装着された第一形態のハンド14について説明する。なお、グリップ用ウエハ搭載部14aが装着されたハンド14のことを第二形態のハンド14と記載する。
【0037】
図5に示すように、第一形態のハンド14は、ウエハ2が搭載される吸引用ウエハ搭載部14cと、吸引用ウエハ搭載部14cをその基端側で支持する支持部14bと、を備えている。第一形態のハンド14は、上下方向から見たときに所定の軸線を対称軸とする略線対称に形成されている。吸引用ウエハ搭載部14cの先端側は、二股状に形成されており、上下方向から見たときの吸引用ウエハ搭載部14cの形状は、略Y形状となっている。吸引用ウエハ搭載部14cは、平板状に形成されている。
【0038】
二股状に形成される吸引用ウエハ搭載部14cの先端側の上面には、吸引用ウエハ搭載部14cに搭載されたウエハ2の裏面を吸引して保持するための吸引孔14c3を含む吸引パッド14c1が設けられている。すなわち、吸引用ウエハ搭載部14cには、2個の吸引パッド14c1が設けられている。吸引用ウエハ搭載部14cの内部には、2つの吸引孔14c3の各々と繋がる搭載部側流路14c2が形成されている。2つの搭載部側流路14c2は、それぞれ、吸引孔14c3の近傍位置から、支持部14b側の基端部14cs(図6参照)まで延びて形成されている。
【0039】
図6に示すように、支持部14bは、前後方向及び左右方向に平行な略平板状の基台144aを有する。基台144aの上面には、前後方向の略中央に凹部144bが形成されている。基台144aの上面には、後端部に貫通孔144cが形成されている。貫通孔144cは、図4に示したアーム16、アーム支持部17、及び保持部18の内部に繋がっている。貫通孔144cには、2本の空気配管Pが少なくとも挿通されている。2本の空気配管Pのうちの一方は、アーム16、アーム支持部17、及び保持部18の内部を通り、電磁弁を介して、図示省略の空気吸入源と空気供給源に接続されている。2本の空気配管Pのうちの他方は、アーム16、アーム支持部17、及び保持部18の内部を通り、図示省略の空気吸入源に接続されている。
【0040】
上記の電磁弁は、ロボット5の図示しない制御部(プロセッサ)によって制御される。この制御により、2本の空気配管Pの一方は、空気を吸入する状態と、空気を送出する状態とを切替可能になる。第一形態のハンド14が装着されたロボット5では、2本の空気配管Pがいずれも空気吸入源に接続される。そして、空気を吸入する動作と、空気の吸入しない動作とが切り替えられるようになる。
【0041】
第一形態のハンド14では、2本の空気配管Pに接続された空気吸入源が作動することで、吸引用ウエハ搭載部14cに搭載されたウエハ2の裏面と対面する吸引孔14c3から空気の吸引が行われる。この吸引動作により、ウエハ2は、吸引パッド14c1に吸着して保持される。空気吸入源の作動を停止することで、ウエハ2の吸着を解除可能となる。
【0042】
基台144aの前端部の下面には、左右方向の両端において凹部144s(切り欠き)が形成されている。この2つの凹部144sには、吸引用ウエハ搭載部14cの2股状に分かれて形成された基端部14csがそれぞれ収容され、その状態で、基端部14csと凹部144sの底面とがボルトなどによって固定されている。
【0043】
基台144aの前端部の内部には、前後方向に延びる空気流路144a2が、左右方向に離間して2つ形成されている。2つの空気流路144a2は、それぞれ、凹部144sと部分的に重なっている。基台144aの各凹部144sの底面には、その凹部144sと重なる空気流路144a2に繋がる孔部144a1が形成されている。2つの孔部144a1は、それぞれ、吸引用ウエハ搭載部14cの搭載部側流路14c2と連通する。つまり、第一形態のハンド14では、空気流路144a2、孔部144a1、搭載部側流路14c2、及び吸引孔14c3が繋がることで、1つの空気吸引流路が形成される。
【0044】
基台144aの凹部144bには、2つの空気流路144a2の各々と空気配管Pの先端部148aとを連結するための連結部材147aを含む2つの吸引用ユニット147が固着されている。2つの吸引用ユニット147の各々には、図示省略しているが、上記の空気吸引流路の圧力等を検出する各種センサ、空気吸引流路を通過する空気の流速等を制御するコントローラ等の電子部品が収容されている。空気配管Pは、吸引用ユニット147に対して着脱可能に構成されている。
【0045】
基台144aの上面において、左右方向に離間して並ぶ2つの凹部144sの間には、後述するグリップ用ユニット146の筐体146Kをボルトによって固着するための2つの孔部144haが形成されている。基台144aの凹部144bの底面においても、左右方向に離間して並ぶ2つの吸引用ユニット147の間に、グリップ用ユニット146の筐体146Kをボルトによって固着するための4つの孔部144hbが形成されている。孔部144hb及び孔部144haが、グリップ用ユニット146を支持部14bに取り付けるための取り付け部を構成している。つまり、支持部14bは、この取り付け部に、グリップ用ユニット146を取り付けることが可能に構成されている。取り付け部を構成する孔部の数は6つに限るものではなく任意の数とすることができる。
【0046】
図7に示すように、グリップ用ユニット146は、筐体146Kと、筐体146Kに収容されたエアシリンダ146aと、円筒状のローラ146cと、ローラ146cの回転軸を軸支するローラ支持部材146bと、を備えている。ローラ146cは上下方向に延びている。ローラ支持部材146bは、前端部においてローラ146cを回転自在に支持している。ローラ支持部材146bの後端部は、エアシリンダ146aのピストンロッド146a2に支持されている。
【0047】
エアシリンダ146aは、空気供給口と空気排出口とからなる吸排気口を備える。空気供給口と空気排出口の各々には継手146a1が接続されている。この2つの継手146a1のそれぞれには、空気配管Pの先端部148aが連結可能となっている。第二形態のハンド14をロボット5に装着する場合には、電磁弁の制御により、2本の空気配管Pの一方が空気吸入源に接続され、2本の空気配管Pの他方が空気供給源に接続されて、空気の給排出動作が可能になる。
【0048】
グリップ用ユニット146の筐体146Kには、図示省略しているが、空気圧力を制御するコントローラ、レギュレータ、及びローラ支持部材146bの前後方向の位置を検出する位置検出機構等が更に収容されている。グリップ用ユニット146は、ローラ146cを動かすための機構や上記の位置検出機構が必要なため、吸引用ユニット147よりも部品点数が多く、製造コストは高くなる。
【0049】
図8に示す第二形態のハンド14では、ウエハ2が搭載されるグリップ用ウエハ搭載部14aが、その基端側で支持部14bによって支持される。グリップ用ウエハ搭載部14aの先端側は、二股状に形成されており、上下方向から見たときのグリップ用ウエハ搭載部14aの形状は、略Y形状となっている。グリップ用ウエハ搭載部14aは、平板状に形成されている。グリップ用ウエハ搭載部14aの基端部の構造は、吸引用ウエハ搭載部14cと略同じである。つまり、グリップ用ウエハ搭載部14aの基端部は二股状に構成されており、支持部14bの各凹部144sに対してボルトによって固着される。
【0050】
二股状に形成されるグリップ用ウエハ搭載部14aの先端側の上面には、ウエハ2の端面(外周面)が当接する第一当接面141b1と、ウエハ2の裏面が当接する第二当接面141a1とを有する端面当接部材141が固定されている。すなわち、グリップ用ウエハ搭載部14aには、2個の端面当接部材141が固定されている。グリップ用ウエハ搭載部14aの基端側の上面の2箇所には、ウエハ2が載置されるウエハ載置部材142が固定されている。ウエハ2は、端面当接部材141とウエハ載置部材142とに搭載される。グリップ用ウエハ搭載部14aの基端側には、左右方向に並ぶ2つのウエハ載置部材142の間に開口143が設けられている。
【0051】
第二形態のハンド14では、グリップ用ユニット146内のエアシリンダ146aが作動することで、ローラ146cによるウエハ2の端面の押圧が可能になる。エアシリンダ146aの作動により、ローラ146cは、図8の破線で示すように、ローラ146cがウエハ2の端面に接触して第一当接面141b1に向かってウエハ2を押圧する押圧位置と、図8の実線で示すようにローラ146cがウエハ2の端面から離れるように退避する退避位置との間で直線的に移動する。このような動作によって、押圧位置ではウエハ2を保持可能であり、退避位置ではウエハ2の保持を解除可能となる。
【0052】
ハンド14は、例えば、支持部14bと吸引用ウエハ搭載部14cとが1つのセットとして販売される。そして、このセットに対するオプション品として、グリップ用ユニット146とグリップ用ウエハ搭載部14aのセットが販売される。支持部14b及び吸引用ウエハ搭載部14cを購入したユーザは、支持部14bに吸引用ウエハ搭載部14cを装着するだけで、第一形態のハンド14を利用可能となる。上記のオプション品を追加購入したユーザは、支持部14bにグリップ用ユニット146を取り付け、グリップ用ユニット146を取り付けた支持部14bにグリップ用ウエハ搭載部14aを装着することで、図8に示す第二形態のハンド14を利用可能になる。また、グリップ用ユニット146を取り付けた後であっても、図9に示すように、グリップ用ウエハ搭載部14aを吸引用ウエハ搭載部14cに交換することで、第一形態のハンド14を利用可能になる。図9の例では、支持部14bにグリップ用ユニット146を取り付けた状態で、支持部14bに吸引用ウエハ搭載部14cを装着しているが、グリップ用ユニット146をいったん取り外してから、グリップ用ユニット146のない支持部14bに対し、吸引用ウエハ搭載部14cを装着するように構成してもよい。
【0053】
(製造システムの概略動作)
製造システム1では、ロボット13の右側に複数枚のウエハ2が収容されるカセット(図示省略)が配置されており、ロボット13は、このカセットと収容部10、11との間でウエハ2を搬送する。ロボット13が収容部10に対するウエハ2の搬入や搬出を行うときには、収容部10が下限位置まで下降している。処理部4の2階に設置されるロボット5は、処理部4の2階に設置される処理装置3と収容部10との間でウエハ2を搬送する。このときには、収容部10は、上限位置まで上昇している。処理部4の1階に設置されるロボット5は、処理部4の1階に設置される処理装置3と収容部11との間でウエハ2を搬送する。
【0054】
(本形態の主な効果)
以上のハンド14によれば、支持部14bには、吸引用ユニット147とグリップ用ユニット146のうちの吸引用ユニット147のみが設けられ、グリップ用ユニット146を取り付けるための取り付け部が更に設けられる。これにより、吸引用ユニット147とグリップ用ユニット146の両方を支持部14bに予め固着する構成と比べて、ハンド14の製造コストを下げることができる。
また、取り付け部にグリップ用ユニット146を後付けすることで、グリップ保持方式によるウエハ2の保持を行いたい場合と、吸引保持方式によりウエハ2の保持を行いたい場合との両方に対応することができる。この結果、ユーザは、単一のハンド14を購入し、オプション品を追加購入することで、用途に応じた使い分けが可能になる。
【0055】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0056】
例えば、支持部14bには、吸引用ユニット147とグリップ用ユニット146のうちのグリップ用ユニット146のみが設けられ、吸引用ユニット147を取り付けるための取り付け部が更に設けられる構成としてもよい。この構成であっても、ハンド14の製造コストを抑えることができる。
【0057】
支持部14bには、グリップ用ユニット146を取り付けるための取り付け部に加えて、ウエハ2を収納するエースにウエハ2が入っていることを検出するマッピング機能を実現するためのユニット等の他の機能ユニットを追加で取り付けるための別の取り付け部が設けられてもよい。このようにすることで、ハンド14の機能をアップデート可能となる。
【0058】
上述した形態では、収容部11は、柱状部材60に固定され、収容部11の上側に配置される収容部10は、処理部4の1階と2階との間で昇降可能となっている。この他にもたとえば、収容部11の上側に配置される収容部10が柱状部材60に固定され、収容部11が処理部4の1階と2階との間で昇降可能となっていても良い。この場合には、収容部10は、処理部4の2階に設置されるロボット5が収容部10に対してウエハ2の搬入および搬出を行うことが可能な位置で固定されている。また、この場合には、ロボット13は、左右方向において、処理部4の2階に設置されるロボット5との間に昇降装置12を挟むように配置されている。すなわち、この場合には、ロボット13は、処理部4の2階と同じ高さで配置されている。なお、この場合の収容部10は、第2の収容部である。
【0059】
上述した形態では、昇降装置12は、収容部11を備えているが、昇降装置12は、収容部11を備えていなくても良い。この場合には、昇降機構61は、処理部4の2階に設置されるロボット5が収容部10に対してウエハ2の搬入および搬出を行うことが可能な位置と、処理部4の1階に設置されるロボット5が収容部10に対してウエハ2の搬入および搬出を行うことが可能な位置との間で収容部10を昇降させる。この場合には、たとえば、処理部4の1階に設置される処理装置3で処理された後のウエハ2を収容部10に収容して、処理部4の2階へ直接、搬送することが可能になる。
【0060】
上述した形態では、処理部4は、2階建てで構成されているが、処理部4は、1階建てで構成されても良い。この場合には、昇降装置12が不要になる。また、処理部4は、3階建て以上で構成されても良い。たとえば、処理部4は、3階建てで構成されても良い。
この場合には、たとえば、昇降装置12は、収容部10、11に加えて、処理部4の1階と3階との間で昇降可能な収容部を備えるとともに、昇降機構61に加えて、この収容部を処理部4の1階と3階との間で昇降させる昇降機構を備えている。
【0061】
また、処理部4が3階建てで構成される場合には、昇降機構61によって、処理部4の1階と3階との間で収容部10を昇降させても良い。すなわち、処理部4の2階に設置されるロボット5が収容部10に対してウエハ2の搬入および搬出を行うことが可能な位置と、処理部4の3階に設置されるロボット5が収容部10に対してウエハ2の搬入および搬出を行うことが可能な位置とに収容部10を昇降させても良い。さらに、処理部4が3階建てで構成される場合には、収容部10が固定され、処理部4の1階と2階との間で収容部11が昇降するとともに、昇降装置12は、処理部4の2階と3階との間で昇降する収容部を備えていても良い。
【0062】
上述した形態では、アーム支持部17が下限位置まで下降しているときに、保持部18の上端面は、上下方向において、第2アーム部25の上面と第2アーム部25の下面との間にある。この他にもたとえば、アーム支持部17が下限位置まで下降しているときに、
保持部18の上端面は、上下方向において、第1アーム部24の上面と第1アーム部24の基端側部分の下面との間にあっても良い。また、上述した形態では、保持部18の前側面が処理部4の固定フレーム7に固定されているが、保持部18の底面が処理部4の各階の床面に固定されても良い。また、上述した形態では、第3アーム部26の先端側に2個のハンド14、15が取り付けられているが、第3アーム部26の先端側に取り付けられるハンドは1個であっても良い。
【0063】
上述した形態では、処理部4の1階と2階とのそれぞれに6個の処理装置3が設置されているが、処理部4の1階と2階とのそれぞれに5個以下または7個以上の処理装置3が設置されても良い。また、上述した形態では、ロボット5の前後の両側に処理装置3が配置されているが、ロボット5の前後の一方側のみに処理装置3が配置されても良い。また、上述した形態では、製造システム1は、半導体を製造するための半導体製造システムであるが、製造システム1は、半導体以外の物を製造するシステムであっても良い。すなわち、ロボット5は、たとえば、ガラス基板等のウエハ2以外の搬送対象物を搬送しても良い。
【0064】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0065】
(1)
搬送対象物(ウエハ2)が搭載され、当該搬送対象物の端面が当接する当接面(第一当接面141b1)を含む端面当接部材(端面当接部材141)を有する第一搭載部(グリップ用ウエハ搭載部14a)と、搬送対象物(ウエハ2)が搭載され、当該搬送対象物を吸引して保持する吸引孔(吸引孔14c3)を有する第二搭載部(吸引用ウエハ搭載部14c)と、が交換可能に構成された産業用ロボット(ロボット5)のハンド(ハンド14)であって、
前記第一搭載部と前記第二搭載部のいずれか一方を支持可能に構成された支持部(支持部14b)を備え、
前記支持部は、
前記第二搭載部を支持している状態にて前記吸引孔に繋がる空気流路(空気流路144a2)と、
前記産業用ロボットに収容された空気配管(空気配管P)の先端と前記空気流路とを連結する連結部材(連結部材147a)を含む第一ユニット(吸引用ユニット147)、及び、前記第一搭載部を支持している状態にて前記第一搭載部に搭載された搬送対象物の端面を押圧可能な第二ユニット(グリップ用ユニット146)のうちの一方のみと、
前記第一ユニットと前記第二ユニットの他方を取り付けるための取り付け部と、を備える産業用ロボットのハンド。
【0066】
(1)によれば、支持部には、第一ユニットと第二ユニットの一方が設けられ、第一ユニットと第二ユニットの他方を取り付けるための取り付け部が設けられる。これにより、第一ユニットと第二ユニットの両方を支持部に有する構成と比べて、製造コストを下げることができる。また、第一ユニットと第二ユニットの他方を取り付け部に後付けすることで、第一搭載部を使用して搬送対象物の保持を行いたい場合と、第二搭載部を使用して搬送対象物の保持を行いたい場合との両方に対応することができる。この結果、単一のハンドによって、用途に応じた使い分けが可能になる。また、取り付け部が第二ユニットを取り付けるためのものである場合には、機構の異なる複数の第二ユニットのいずれかを選択的に取り付けることもできる。これにより、ユーザの要望に合わせた柔軟なカスタマイズが可能になる。
【0067】
(2)
(1)記載の産業用ロボットのハンドであって、
前記第二ユニットは、エアシリンダ(エアシリンダ146a)を有し、
前記第一ユニットの前記連結部材と、前記エアシリンダの吸排気口とには、共通の前記空気配管が接続可能に構成されている産業用ロボットのハンド。
【0068】
(2)によれば、共通の空気配管の接続対象を第一ユニットと第二ユニットの間で変えるだけで、異なる方式での搬送対象物の保持が可能になる。例えば、第一ユニットと第二ユニットの両方を支持部に有する構成を想定すると、各ユニットに対して専用の配管が必要となる。これに対し、(2)によれば、各ユニットに対して専用の配管が不要になるため、産業用ロボットの製造コストを下げることができる。
【0069】
(3)
(1)又は(2)記載の産業用ロボットのハンドであって、
前記取り付け部は、前記第二ユニットを取り付けるためのものである産業用ロボットのハンド。
【0070】
(3)によれば、第一ユニットよりも構造が複雑でコストの高い第二ユニットが支持部に設けられていない。このため、ハンドの製造コストを下げることができる。
【0071】
(4)
(1)から(3)のいずれか1つに記載の産業用ロボットのハンドと、
前記空気配管と、
前記ハンドを支持するアーム(アーム16)と、
前記アームを支持するアーム支持部(アーム支持部17)と、を備える産業用ロボット。
【符号の説明】
【0072】
1 製造システム
2 ウエハ(半導体ウエハ)
3 処理装置
4 処理部
5 ロボット(水平多関節ロボット)
10 収容部
11 収容部(第2の収容部)
12 昇降装置
14、15 ハンド
14a グリップ用ウエハ搭載部
14c 吸引用ウエハ搭載部
14b 支持部
144a2 空気流路
147 吸引用ユニット
147a 連結部材
146 グリップ用ユニット
146a エアシリンダ
146c ローラ
P 空気配管
16 アーム
17 アーム支持部
18 保持部
19 ハンド駆動機構
20 アーム駆動機構
21 アーム昇降機構
24 第1アーム部
25 第2アーム部
26 第3アーム部
27 第1駆動機構
28 第2駆動機構
61 昇降機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11