(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059949
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20220407BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167859
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細川 正己
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707CY36
3C707DS01
3C707ES17
3C707FS01
3C707NS13
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131CA38
5F131CA46
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB06
5F131DB12
5F131DB13
5F131DB14
5F131DB15
5F131DB22
5F131DB45
5F131DB52
5F131DB62
5F131DB76
(57)【要約】
【課題】交換作業の手間を抑制しつつ小型化が可能な産業用ロボットを提供すること。
【解決手段】ハンドコラム30は、押付部材31dを駆動する駆動機構4pと、押付部材31dの駆動による押付部材31dの移動をガイドするガイド溝4hと、気体を吸引する空気配管4cと、を有する。ハンド取付部4mにウエハクランプハンド31が取り付けられている場合にガイド溝4hを空気配管4cと接続する第1吸引路を形成可能である。また、ハンド取付部4mに真空吸着ハンド32が取り付けられている場合に真空吸着ハンド32の吸引孔32bを空気配管4cと接続する第2吸引路を形成可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を保持するハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、前記アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備え、
前記ハンドは、第1保持部材と第2保持部材とを付け替え可能な第1取付部を有するハンド基端部を有し、
前記第1保持部材は、前記搬送対象物の端面が当接する端面当接部材と、前記搬送対象物の端面が前記端面当接部材に押し付けられるように前記搬送対象物を押す押付部材と、を有し、
前記第2保持部材は、前記搬送対象物を吸引して保持する吸引孔を有し、
前記ハンド基端部は、前記押付部材を駆動する駆動機構と、前記押付部材の駆動による前記押付部材の移動をガイドするガイド溝と、気体を吸引する気体吸引部と、を備え、
前記第1取付部に前記第1保持部材が取り付けられている場合に前記ガイド溝を前記気体吸引部と接続する第1吸引路を形成可能であり、
前記第1取付部に前記第2保持部材が取り付けられている場合に前記吸引孔を前記気体吸引部と接続する第2吸引路を形成可能である、
産業用ロボット。
【請求項2】
請求項1記載の産業用ロボットであって、
前記ハンド基端部は、第1ブロックと第2ブロックとを付け替え可能な第2取付部を有し、
前記第1取付部に前記第1保持部材が取り付けられ前記第2取付部に前記第1ブロックが取り付けられると前記第1吸引路が形成され、
前記第1取付部に前記第2保持部材が取り付けられ前記第2取付部に前記第2ブロックが取り付けられると前記第2吸引路が形成される、
産業用ロボット。
【請求項3】
請求項2記載の産業用ロボットであって、
前記第1ブロックは、前記気体吸引部と接続される第1開口部と、前記第1取付部に前記第1保持部材が取り付けられ前記第2取付部に前記第1ブロックが取り付けられると前記ガイド溝に通じる第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部とを繋ぐ吸引路と、を有する、
産業用ロボット。
【請求項4】
請求項2又は3記載の産業用ロボットであって、
前記第2ブロックは、前記気体吸引部と接続される第3開口部と、前記第1取付部に前記第2保持部材が取り付けられ前記第2取付部に前記第2ブロックが取り付けられると前記吸引孔と接続される第4開口部と、前記第3開口部と前記第4開口部とを繋ぐ吸引路と、を有する、
産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウエハ等の搬送対象物を搬送するハンドを備える産業用ロボットが知られている。例えば、特許文献1には、搬送対象物を搬送するハンドとして、搬送対象物の端面が当接する端面当接部材を有し、搬送対象物の端面を端面当接部材に押し付けて搬送対象物を保持するグリップ型のハンドと、搬送対象物を吸引して保持する吸引型のハンドと、を別々に備える産業用ロボットが知られている。グリップ型のハンドと吸引型のハンドは、例えば産業用ロボットの用途に応じて使い分けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1のようにグリップ型のハンドと吸引型のハンドを別々に備える産業用ロボットは大型になる。また、グリップ型のハンドと吸引型のハンドとを付け替え可能にすることも考えられるが、ハンド自体の交換作業には手間がかかる。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、交換作業の手間を抑制しつつ小型化が可能な産業用ロボットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の産業用ロボットは、搬送対象物を保持するハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、前記アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備え、前記ハンドは、第1保持部材と第2保持部材とを付け替え可能な第1取付部を有するハンド基端部を有し、前記第1保持部材は、前記搬送対象物の端面が当接する端面当接部材と、前記搬送対象物の端面が前記端面当接部材に押し付けられるように前記搬送対象物を押す押付部材と、を有し、前記第2保持部材は、前記搬送対象物を吸引して保持する吸引孔を有し、前記ハンド基端部は、前記押付部材を駆動する駆動機構と、前記押付部材の駆動による前記押付部材の移動をガイドするガイド溝と、気体を吸引する気体吸引部と、を備え、前記第1取付部に前記第1保持部材が取り付けられている場合に前記ガイド溝を前記気体吸引部と接続する第1吸引路を形成可能であり、前記第1取付部に前記第2保持部材が取り付けられている場合に前記吸引孔を前記気体吸引部と接続する第2吸引路を形成可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、交換作業の手間を抑制しつつ小型化が可能な産業用ロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の一例を示す平面図である。
【
図2】ウエハクランプハンド31を設けたハンド3の構成の一例を説明するための斜視図である。
【
図3】
図2のウエハクランプ用ブロック5の構造の一例を示す図である。
【
図4】真空吸着ハンド32を設けたハンド3の構成の一例を説明するための斜視図である。
【
図5】
図4の真空吸着用ブロック6の構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の一例を示す平面図である。
【0011】
本形態の産業用ロボット1は、搬送対象物としての半導体ウエハ2を搬送するための水平多関節型ロボットである。この産業用ロボット1は、半導体ウエハ2が搭載されるハンド3と、ハンド3が先端側に回動可能に連結されるアーム7と、アーム7の基端側が回動可能に連結される本体部8とを備えている。以下の説明では、産業用ロボット1を「ロボット1」とし、半導体ウエハ2を「ウエハ2」とする。
【0012】
本体部8は、略四角柱状に形成されている。本体部8の内部には、アーム7を昇降させるアーム昇降機構(図示省略)が収納されている。アーム7は、第1アーム部9と第2アーム部10とから構成されている。第1アーム部9及び第2アーム部10は、中空状に形成されている。第1アーム部9の基端側は、本体部8に回動可能に連結されている。第2アーム部10の基端側は、第1アーム部9の先端側に回動可能に連結されている。また、ロボット1は、本体部8に対して第1アーム部9を回動させる第1アーム駆動機構(図示省略)と、第1アーム部9に対して第2アーム部10を回動させる第2アーム駆動機構(図示省略)とを備えている。
【0013】
ハンド3は、第2アーム部10の先端側に回動可能に連結されている。ハンド3は、上下方向から見たときに回動中心C1(
図1参照)を中心に回動可能となっている。本体部8と第1アーム部9と第2アーム部10とハンド3とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。また、ロボット1は、ハンド3を回動させるためのモータを含むハンド駆動機構(図示省略)を備えている。
【0014】
ハンド3は、ハンドコラム30と、ハンドコラム30に対して取り付け可能なウエハクランプハンド31又は真空吸着ハンド32(
図4参照)と、によって構成される。
図1の例においてはハンドコラム30に対してウエハクランプハンド31が取り付けられている。ハンドコラム30は、本発明のハンド基端部の一例である。ウエハクランプハンド31は、本発明の第1保持部材の一例である。真空吸着ハンド32は、本発明の第2保持部材の一例である。
【0015】
(ウエハクランプハンド31を設けたハンド3の構成)
図2は、ウエハクランプハンド31を設けたハンド3の構成の一例を説明するための斜視図である。
図3は、
図2のウエハクランプ用ブロック5の構造の一例を示す図である。
【0016】
ウエハクランプハンド31は、二股状に形成されるウエハ搭載部31aと、端面当接部材31bとを有し、ウエハ2の端面が端面当接部材31bに押し付けられるようにウエハ2を押し付けることによりウエハ2を保持するグリップ型(把持型)の保持部である。また、ウエハクランプハンド31は、ウエハ載置部材31cと、押付部材31dと、ローラ31eと、固定部材31fと、を有する。
【0017】
端面当接部材31bは、二股状に形成されるウエハ搭載部31aの先端側の上面に固定されている。すなわち、ウエハ搭載部31aには、2個の端面当接部材31bが固定されている。なお、ウエハ搭載部31aの基端側の上面の2箇所には、ウエハ2が載置されるウエハ載置部材31cが固定されており、ウエハ2は、端面当接部材31bとウエハ載置部材31cとに搭載される。
【0018】
押付部材31dは、ハンドコラム30からの駆動により、端面当接部材31bに向かってウエハ2の端面(外周面)を押し付ける角棒形状の部材である。押付部材31dの基端側の端部はハンドコラム30に差し込まれており、押付部材31dの先端側の端部は二股状に形成されている。二股状に形成される押付部材31dの先端側の上面には、ウエハ2の端面に接触するローラ31eが回転可能に設けられている。すなわち、押付部材31dには、2個のローラ31eが固定されている。
【0019】
このローラ31eは、上下方向を回転の軸方向として回転可能となっている。押付部材31dは、ローラ31eがウエハ2の端面に接触して端面当接部材31bに向かってウエハ2を押し付ける押付位置と、ローラ31eがウエハ2の端面から離れるように退避する退避位置との間で直線的に移動する。
図2においては押付部材31dが退避位置にある。
【0020】
固定部材31fは、ウエハ搭載部31aの基端側の端部に設けられており、後述のハンドコラム30のハンド取付部4mに対してウエハクランプハンド31を固定するための部材である。固定部材31fは、ハンド取付部4mに設けられた4つのネジ孔4oに対応する4つのネジ孔31gを有する。固定部材31fをハンド取付部4mに取り付けた状態で、4つのネジ孔31gを介して4本のネジ31hを4つのネジ孔4oに固定することにより、ハンド取付部4mに対して固定部材31fを固定することができる。
【0021】
ハンドコラム30は、内部空間4aを有する筐体である。内部空間4aの底面には孔4bが設けられており、ハンド3の外部(例えば本体部8)から延びた空気配管4cが、孔4bを介して内部空間4aに導入されている。空気配管4cは、例えば本体部8の側から気体(例えば空気)を吸引するものであり、本発明の気体吸引部の一例である。内部空間4aに導入された空気配管4cの端部には継手4dが設けられている。
【0022】
また、内部空間4aには、ウエハクランプハンド31の押付部材31dの先端部を保持する保持部材4eと、保持部材4eを前後方向D1に移動させるためのソレノイド4fと、保持部材4eの位置を検知するためのセンサ4gと、が設けられている。保持部材4e及びソレノイド4fは、押付部材31dを駆動する駆動機構4pを構成する。
【0023】
また、ハンドコラム30には、ウエハクランプハンド31の押付部材31dの移動をガイドするガイド溝4hと、後述のウエハクランプ用ブロック5(
図4参照)を設置可能なブロック取付部4iと、ハンド取付部4mと、が設けられている。ガイド溝4hは、ウエハクランプハンド31の押付部材31dの形状に合わせた略平板形状の溝である。
【0024】
ハンド取付部4mは、本発明の第1取付部の一例である。ハンド取付部4mは、上記のウエハクランプハンド31の固定部材31fや、後述の真空吸着ハンド32の固定部材32d(
図4参照)の底面と篏合する形状に形成されている。また、ハンド取付部4mは、空気孔4nと、4つのネジ孔4oと、を有する。
【0025】
ブロック取付部4iは、本発明の第2取付部の一例である。ブロック取付部4iは、ウエハクランプ用ブロック5や後述の真空吸着用ブロック6の底面と篏合する形状に形成されている。ウエハクランプ用ブロック5は本発明の第1ブロックの一例である。真空吸着用ブロック6は本発明の第2ブロックの一例である。ブロック取付部4iには、4つのネジ孔4jと空気孔4kとが設けられている。4つのネジ孔4jは、ブロック取付部4iに対してウエハクランプ用ブロック5を固定するためのネジ孔である。空気孔4kは、ハンド取付部4mに設けられた空気孔4nに通じた空気孔である。
【0026】
ウエハクランプ用ブロック5は、ブロック取付部4iに取り付け可能なブロックである。ウエハクランプ用ブロック5には4つのネジ孔5bが設けられている。ウエハクランプ用ブロック5をブロック取付部4iに取り付けた状態で、4つのネジ孔5bを介して4本のネジ5cを4つのネジ孔4jに固定することにより、ブロック取付部4iに対してウエハクランプ用ブロック5を固定することができる。
【0027】
また、ウエハクランプ用ブロック5には、空気配管5aが接続されている。空気配管5aの一端は、継手4dを介して空気配管4cと接続可能である。空気配管5aの他端は、ウエハクランプ用ブロック5の内部に接続可能である(
図3参照)。
【0028】
図3において、ウエハクランプ用ブロック5の正面5A、右側断面5B、上面5C、左側面5D、底面5E、及び背面5Fを示している。右側断面5Bは、正面5AのA-A断面をウエハクランプ用ブロック5の右側から見た図になっている。
図3に示す切欠部5dは、
図2に示した空気配管5aを配置するための切欠部である。切欠部5dに配置された空気配管5aのうち継手4dと接続される端部とは反対の端部は、ウエハクランプ用ブロック5に設けられた空気孔5eに接続される。
【0029】
右側断面5Bに示すように、空気孔5eは、ウエハクランプ用ブロック5の内部で直角に曲がっており、第1開口部5fと、第2開口部5gと、吸引路5hと、を有する。第1開口部5fは、ウエハクランプ用ブロック5の正面5Aに設けられている。第1開口部5fに、空気配管5aを介して空気配管4cが接続される。
【0030】
空気孔5eの第2開口部5gは、ウエハクランプ用ブロック5の底面5Eに設けられている。具体的には、ウエハクランプ用ブロック5は、ブロック取付部4iに取り付けられた状態においてガイド溝4h上に位置する部分を有し、この部分に第2開口部5gが設けられている。したがって、第2開口部5gは、ウエハクランプ用ブロック5がブロック取付部4iに取り付けられるとガイド溝4hに通じる。
【0031】
吸引路5hは、第1開口部5fと第2開口部5gとを繋ぎ、第2開口部5gから第1開口部5fへの空気の吸引路となる、ウエハクランプ用ブロック5の内部空間である。
【0032】
したがって、ハンド取付部4mにウエハクランプハンド31が設けられている状態においては、継手4d、空気配管5a、及び空気孔5eにより、ガイド溝4hを空気配管4c(気体吸引部)と接続する第1吸引路が形成される。この第1吸引路により、ガイド溝4hの空気を吸引することができる。これにより、ガイド溝4hと押付部材31dとの間の隙間にあるホコリ等の異物を排出し、ハンド3の動作不良を抑制することができる。
【0033】
なお、ガイド溝4hと押付部材31dとの間の隙間にある異物には、孔4bから内部空間4aに進入したものや、内部空間4a内の保持部材4eやソレノイド4fの駆動で生じたものや、ガイド溝4hと押付部材31dと間の摩擦により生じたものなどがある。
【0034】
(真空吸着ハンド32を設けたハンド3の構成)
図4は、真空吸着ハンド32を設けたハンド3の構成の一例を説明するための斜視図である。
図5は、
図4の真空吸着用ブロック6の構造の一例を示す図である。
【0035】
真空吸着ハンド32は、先細の平板形状のウエハ搭載部32aと、ウエハ搭載部32aに設けられた吸引孔32bと、を有し、ウエハ搭載部32aに載置したウエハ2を吸引孔32bにより吸引することで保持する吸引型(吸着型)の保持部である。また、真空吸着ハンド32は、吸引路32cと、固定部材32dと、を備える。
【0036】
吸引孔32bは、先細形状に形成されるウエハ搭載部32aの先端側の上面に設けられている。吸引路32cは、ウエハ搭載部32aの内部に設けられており、吸引孔32bから固定部材32dまで延びている。
【0037】
固定部材32dは、ウエハ搭載部32aの基端側の端部に設けられており、ハンドコラム30のハンド取付部4mに対して真空吸着ハンド32を固定するための部材である。固定部材32dは、ハンド取付部4mに設けられた4つのネジ孔4oに対応する4つのネジ孔32eを有する。固定部材32dをハンド取付部4mに取り付けた状態で、4つのネジ孔32eを介して4本のネジ32fを4つのネジ孔4oに固定することにより、ハンド取付部4mに対して固定部材32dを固定することができる。
【0038】
固定部材32dの底面には、吸引路32cに通じる空気孔32gが設けられている。空気孔32gは、固定部材32dをハンド取付部4mに取り付けた状態で、ハンド取付部4mの空気孔4nと接続される位置に設けられている。
【0039】
真空吸着用ブロック6は、ウエハクランプ用ブロック5に代えてブロック取付部4iに設置可能なブロックである。真空吸着用ブロック6には4つのネジ孔6bが設けられている。真空吸着用ブロック6をブロック取付部4iに取り付けた状態で、4つのネジ孔6bを介して4本のネジ6cを4つのネジ孔4jに固定することにより、ブロック取付部4iに対して真空吸着用ブロック6を固定することができる。
【0040】
また、真空吸着用ブロック6には、空気配管6aが接続されている。空気配管6aの第1端部は、継手4dを介して空気配管4cと接続可能である。空気配管6aの第2端部は、真空吸着用ブロック6の内部に接続可能である(
図5参照)。
【0041】
図5においては、真空吸着用ブロック6の正面6A、右側面6B、上面6C、左側断面6D、底面6E、及び背面6Fを示している。左側断面6Dは、正面6AのB-B断面を真空吸着用ブロック6の左側から見た図になっている。
【0042】
真空吸着用ブロック6には、空気孔6eが設けられている。左側断面6Dに示すように、空気孔6eは、真空吸着用ブロック6の内部で直角に曲がっており、第3開口部6fと、第4開口部6gと、吸引路6hと、を備える。
【0043】
第3開口部6fは、空気配管6aの第2端部を接続するための開口部であり、真空吸着用ブロック6の正面6Aに設けられている。第3開口部6fに、空気配管6aを介して空気配管4cが接続される。
【0044】
第4開口部6gは、真空吸着用ブロック6の底面6Eに設けられている。具体的には、真空吸着用ブロック6は、ブロック取付部4iに取り付けられた状態において空気孔4k上に位置する部分を有し、この部分に第4開口部6gが設けられている。したがって、真空吸着用ブロック6がブロック取付部4iに取り付けられた状態において、第4開口部6gは空気孔4kと繋がる。空気孔4kは、上記のように、ハンド取付部4mの空気孔4nと通じており、空気孔4nは真空吸着ハンド32の空気孔32g及び吸引路32cを介して吸引孔32bと通じている。なお、
図4の例では、第4開口部6gと空気孔4kとの接続に、空気の漏れを防止するためのOリング6dが用いられる。
【0045】
吸引路6hは、第3開口部6fと第4開口部6gとを繋ぎ、第4開口部6gから第3開口部6fへの空気の吸引路となる、真空吸着用ブロック6の内部空間である。
【0046】
したがって、ハンド取付部4mに真空吸着ハンド32が設けられている状態においては、継手4d、空気配管6a、空気孔6e、空気孔4k、空気孔4n、空気孔32g、及び吸引路32cにより、真空吸着ハンド32の吸引孔32bを空気配管4c(気体吸引部)と接続する第2吸引路が形成される。この第2吸引路により、空気配管4cから空気を吸引することで、吸引孔32bとウエハ2との間に吸引力を発生させ、ウエハ2を把持することができる。
【0047】
このように、ハンド3においては、ハンドコラム30に対してグリップ型のウエハクランプハンド31と吸引型の真空吸着ハンド32とを付け替えることができる。そして、ウエハクランプハンド31を用いる際にはハンドコラム30にウエハクランプ用ブロック5を設け、真空吸着ハンド32を用いる際にはハンドコラム30に真空吸着用ブロック6を設けることにより、それぞれの用途に応じた吸引路を容易に形成可能である。
【0048】
(本形態の主な効果)
本形態のロボット1によれば、ハンドコラム30に対してウエハクランプハンド31と真空吸着ハンド32とを付け替えることで、ハンド3全体を付け替えなくても、グリップ型のハンド3と吸引型のハンド3とを切り替えることができる。これにより、ハンド3自体を交換する構成と比べて、交換作業の手間を省きつつ、装置を小型化することができる。
【0049】
また、ハンドコラム30のハンド取付部4mに対してウエハクランプハンド31を取り付ける場合はハンドコラム30の空気配管4c(気体吸引部)を押付部材31dとガイド溝4hとの間の隙間からの気体の吸引に用い、ハンドコラム30に対して真空吸着ハンド32を取り付ける場合はハンドコラム30の空気配管4c(気体吸引部)をウエハ2の吸引に用いることができるため、ハンド基端部を兼用することができる。このため、押付部材31dとガイド溝4hとの間の隙間からの気体の吸引とウエハ2の吸引とのそれぞれについてハンドコラム30に気体吸引部を設ける構成と比べて、装置を小型化することができる。
【0050】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0051】
上述した形態では、アーム7は、第1アーム部9及び第2アーム部10の2個のアーム部によって構成されているが、アーム7は、3個以上のアーム部によって構成されてもよい。また、上述した形態では、ロボット1は、ウエハ2を搬送するためのロボットであるが、ロボット1は、液晶用のガラス基板等の他の搬送対象物を搬送するロボットであってもよい。
【0052】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0053】
(1)
搬送対象物を保持するハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、前記アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備え、
前記ハンドは、第1保持部材と第2保持部材とを付け替え可能な第1取付部を有するハンド基端部を有し、
前記第1保持部材は、前記搬送対象物の端面が当接する端面当接部材と、前記搬送対象物の端面が前記端面当接部材に押し付けられるように前記搬送対象物を押す押付部材と、を有し、
前記第2保持部材は、前記搬送対象物を吸引して保持する吸引孔を有し、
前記ハンド基端部は、前記押付部材を駆動する駆動機構と、前記押付部材の駆動による前記押付部材の移動をガイドするガイド溝と、気体を吸引する気体吸引部と、を備え、
前記第1取付部に前記第1保持部材が取り付けられている場合に前記ガイド溝を前記気体吸引部と接続する第1吸引路を形成可能であり、
前記第1取付部に前記第2保持部材が取り付けられている場合に前記吸引孔を前記気体吸引部と接続する第2吸引路を形成可能である、
産業用ロボット。
【0054】
(1)のように構成すると、ハンド基端部に対して第1保持部材と第2保持部材とを付け替えることで、ハンド全体を付け替えなくても、グリップ型のハンドと吸引型のハンドとを切り替えることができる。これにより、ハンド自体を交換する構成と比べて、交換作業の手間を省きつつ、装置を小型化することができる。
【0055】
また、ハンド基端部の第1取付部に対して第1保持部材を取り付ける場合はハンド基端部の気体吸引部を押付部材とガイド溝との間の隙間からの気体の吸引に用い、ハンド基端部に対して第2保持部材を取り付ける場合はハンド基端部の気体吸引部を搬送対象物の吸引に用いることができるため、ハンド基端部を兼用することができる。このため、押付部材とガイド溝との間の隙間からの気体の吸引と搬送対象物の吸引とのそれぞれについてハンド基端部に気体吸引部を設ける構成と比べて、装置を小型化することができる。
【0056】
(2)
(1)記載の産業用ロボットであって、
前記ハンド基端部は、第1ブロックと第2ブロックとを付け替え可能な第2取付部を有し、
前記第1取付部に前記第1保持部材が取り付けられ前記第2取付部に前記第1ブロックが取り付けられると前記第1吸引路が形成され、
前記第1取付部に前記第2保持部材が取り付けられ前記第2取付部に前記第2ブロックが取り付けられると前記第2吸引路が形成される、
産業用ロボット。
【0057】
(2)のように構成すると、ハンド基端部の第2取付部に対して第1ブロックと第2ブロックとを付け替えることで、ハンド基端部に第1保持部材が取り付けられている場合の第1吸引路と、ハンド基端部に第2保持部材が取り付けられている場合の第2吸引路と、を容易に形成することができる。
【0058】
(3)
(2)記載の産業用ロボットであって、
前記第1ブロックは、前記気体吸引部と接続される第1開口部と、前記第1取付部に前記第1保持部材が取り付けられ前記第2取付部に前記第1ブロックが取り付けられると前記ガイド溝に通じる第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部とを繋ぐ吸引路と、を有する、
産業用ロボット。
【0059】
(3)のように構成すると、ハンド基端部の第2取付部に対して第1ブロックを取り付けることにより、ハンド基端部に第1保持部材が取り付けられている場合の第1吸引路を形成することができる。
【0060】
(4)
(2)又は(3)記載の産業用ロボットであって、
前記第2ブロックは、前記気体吸引部と接続される第3開口部と、前記第1取付部に前記第2保持部材が取り付けられ前記第2取付部に前記第2ブロックが取り付けられると前記吸引孔と接続される第4開口部と、前記第3開口部と前記第4開口部とを繋ぐ吸引路と、を有する、
産業用ロボット。
【0061】
(4)のように構成すると、ハンド基端部の第2取付部に対して第2ブロックを取り付けることにより、ハンド基端部に第2保持部材が取り付けられている場合の第2吸引路を形成することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 ウエハ(半導体ウエハ)
3 ハンド
4a 内部空間
4b 孔
4c,5a,6a 空気配管
4d 継手
4e 保持部材
4f ソレノイド
4g センサ
4h ガイド溝
4i ブロック取付部
4j,4o,5b,6b,31g,32e ネジ孔
4k,4n,5e,6e,32g 空気孔
4m ハンド取付部
4p 駆動機構
5 ウエハクランプ用ブロック
6 真空吸着用ブロック
5A,6A 正面
5B 右側断面
5C,6C 上面
5D 左側面
5E,6E 底面
5F,6F 背面
5c,6c,31h,32f ネジ
5d 切欠部
5f 第1開口部
5g 第2開口部
5h,6h,32c 吸引路
6B 右側面
6D 左側断面
6d Oリング
6f 第3開口部
6g 第4開口部
7 アーム
8 本体部
9 第1アーム部
10 第2アーム部
30 ハンドコラム
31 ウエハクランプハンド
31a,32a ウエハ搭載部
31b 端面当接部材
31c ウエハ載置部材
31d 押付部材
31e ローラ
31f,32d 固定部材
32 真空吸着ハンド
32b 吸引孔
C1 回動中心
D1 前後方向