(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059951
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20220407BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
B25J9/22 A
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167862
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 渉
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS24
3C707BS03
3C707HS27
3C707HT20
3C707LS15
3C707NS13
5F131AA02
5F131AA03
5F131CA38
5F131CA45
5F131CA49
5F131DA02
5F131DB12
5F131DB54
5F131DB62
5F131DD03
5F131DD25
5F131DD26
5F131DD33
5F131DD43
5F131DD72
5F131DD76
5F131KA15
5F131KA52
5F131KA72
5F131KB05
5F131KB12
5F131KB32
(57)【要約】
【課題】狭い場所での教示を可能にすることができる産業用ロボットを提供すること。
【解決手段】第1センサ14は、第1センサ14の発光素子の光軸及び受光素子の光軸が左右方向と平行になるように配置されている。第2センサ15は、第2センサ15の発光素子の光軸及び受光素子の光軸が前後方向と平行になるように配置されている。搭載部3に搭載されるウエハ2の位置が教示されるときに、移動機構9によってハンド4を前後方向へ移動させて、第1センサ14によって搭載部3又は搭載部3に搭載される教示用治具の前後方向の位置を検知するとともに、移動機構9によってハンド4を左右方向へ移動させて、第2センサ15によって搭載部3又は教示用治具の左右方向の位置を検知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物が搭載される搭載部への前記搬送対象物の搬入及び前記搭載部からの前記搬送対象物の搬出を行う産業用ロボットにおいて、
前記搬送対象物を把持し水平方向へ直線的に移動するハンドと、
前記搭載部に対して前記搬送対象物を搬送するときの前記ハンドの移動方向を第1方向とし、前記第1方向と上下方向とに直交する方向を第2方向とすると、前記ハンドを前記第1方向及び前記第2方向へ移動させる移動機構と、
発光素子と受光素子とを有し前記ハンドに取り付けられる第1センサ及び第2センサとを備え、
前記第1センサは、前記第1センサの前記発光素子の光軸及び前記受光素子の光軸が前記第2方向と平行になるように配置され、
前記第2センサは、前記第2センサの前記発光素子の光軸及び前記受光素子の光軸が前記第1方向と平行になるように配置され、
前記搭載部に搭載される前記搬送対象物の位置が教示されるときに、前記移動機構によって前記ハンドを前記第1方向へ移動させて、前記第1センサによって前記搭載部又は前記搭載部に搭載される教示用治具の前記第1方向の位置を検知するとともに、前記移動機構によって前記ハンドを前記第2方向へ移動させて、前記第2センサによって前記搭載部又は前記教示用治具の前記第2方向の位置を検知する、
産業用ロボット。
【請求項2】
請求項1記載の産業用ロボットであって、
前記ハンドを昇降させる昇降機構を備え、
前記搭載部に搭載される前記搬送対象物の位置が教示されるときに、前記昇降機構によって前記ハンドを昇降させて、前記第1センサによって前記搭載部又は前記教示用治具の上下方向の位置を検知する、
産業用ロボット。
【請求項3】
請求項1又は2記載の産業用ロボットであって、
前記ハンドを前記第1方向と平行な回転軸を中心に回転させる回転機構を備え、
前記第2センサは、前記第1方向を前後方向とした場合の前記ハンドの両側面のいずれかに設けられており、
前記搭載部は、水平方向の位置が互いに異なる第1搭載部及び第2搭載部を含み、
前記第1搭載部及び前記第2搭載部に搭載される各搬送対象物の位置が教示されるときに、前記移動機構によって前記ハンドを前記第2方向へ移動させて、前記第2センサによって前記第1搭載部又は前記第1搭載部に搭載される教示用治具の前記第2方向の位置を検知した後、前記回転機構によって前記ハンドを前記回転軸を中心に反転させ、前記移動機構によって前記ハンドを前記第2方向へ移動させて、前記第2センサによって前記第2搭載部又は前記第2搭載部に搭載される教示用治具の前記第2方向の位置を検知する、
産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハを搬送する産業用ロボットが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献1参照には、搭載部に搭載される搬送対象物の位置を自動で教示する産業用ロボットが記載されている。特許文献1の産業用ロボットは、光軸が左右方向と平行な発光素子及び受光素子を有する第1センサと、光軸が前後方向及び左右方向に対して傾いた方向でありかつ水平な発光素子及び受光素子を有する第2センサと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成において、ハンドに教示用のセンサを1つ設ける場合、ハンドの進入角度を変化させながら複数回のセンシングを行う必要があるため、ハンドの移動範囲が大きくなり、教示のための空間を広く確保する必要がある。
【0005】
また、特許文献1の構成では、例えば教示の対象物が複数ある場合に、ハンドの進入位置を変えながら複数回のセンシングを行う必要があるため、ハンドの移動範囲が大きくなり、教示のための空間を広く確保する必要がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、狭い場所での教示を可能にすることができる産業用ロボットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の産業用ロボットは、搬送対象物が搭載される搭載部への前記搬送対象物の搬入及び前記搭載部からの前記搬送対象物の搬出を行う産業用ロボットにおいて、前記搬送対象物を把持し水平方向へ直線的に移動するハンドと、前記搭載部に対して前記搬送対象物を搬送するときの前記ハンドの移動方向を第1方向とし、前記第1方向と上下方向とに直交する方向を第2方向とすると、前記ハンドを前記第1方向及び前記第2方向へ移動させる移動機構と、発光素子と受光素子とを有し前記ハンドに取り付けられる第1センサ及び第2センサとを備え、前記第1センサは、前記第1センサの前記発光素子の光軸及び前記受光素子の光軸が前記第2方向と平行になるように配置され、前記第2センサは、前記第2センサの前記発光素子の光軸及び前記受光素子の光軸が前記第1方向と平行になるように配置され、前記搭載部に搭載される前記搬送対象物の位置が教示されるときに、前記移動機構によって前記ハンドを前記第1方向へ移動させて、前記第1センサによって前記搭載部又は前記搭載部に搭載される教示用治具の前記第1方向の位置を検知するとともに、前記移動機構によって前記ハンドを前記第2方向へ移動させて、前記第2センサによって前記搭載部又は前記教示用治具の前記第2方向の位置を検知する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、狭い場所での教示を可能にすることができる産業用ロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の概略構成を示す側面図である。
【
図3】
図1に示す産業用ロボット1の動作を説明するための図である。
【
図4】
図1に示すロボット1が第1搭載部3aの上下方向の位置を検知するときのハンド4の動作を説明するための図である。
【
図5】
図1に示すロボット1が第1搭載部3aの前後方向の位置を検知するときのハンド4の動作を説明するための図である。
【
図6】
図1に示すロボット1が第1搭載部3aの左右方向の位置を検知するときのハンド4の動作を説明するための図である。
【
図7】
図1に示すロボット1が第2搭載部3bの左右方向の位置を検知するときのハンド4の動作を説明するための図である。
【
図8】ハンド4を適用した水平多関節型ロボットの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
(産業用ロボットの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の概略構成を示す側面図である。
図2は、
図1に示すハンド4の平面図である。
図3は、
図1に示す産業用ロボット1の動作を説明するための図である。
【0012】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする。)を搬送するロボットである。具体的には、ロボット1は、ウエハ2が搭載される搭載部3へのウエハ2の搬入及び搭載部3からのウエハ2の搬出を行うロボットである。ウエハ2は、円板状に形成されている。搭載部3は、例えば、ウエハ2に対して所定の処理を行う処理装置の内部に配置されている。また、本形態の搭載部3は、円板状に形成されている。
【0013】
ロボット1は、ウエハ2を把持するハンド4と、ハンド4を昇降可能に保持する柱部5と、柱部5を水平方向へ移動可能に保持するベース部6と、柱部5に対してハンド4を昇降させる昇降機構8とを備えている。また、ロボット1は、ベース部6に対してハンド4及び柱部5を水平方向へ直線的に移動させる移動機構9を備えており、ハンド4は、ウエハ2を搬送する際に水平方向へ直線的に移動する。
【0014】
以下の説明では、重力方向と平行な方向を上下方向とする。また、搭載部3に対してウエハ2を搬送する際(すなわち、搭載部3へのウエハ2の搬入及び搭載部3からのウエハ2の搬出を行う際)のハンド4の移動方向(
図1等に示すY方向)を前後方向とする。また、上下方向と前後方向とに直交する方向(
図1等に示すX方向)を左右方向とする。本形態では、前後方向は第1方向であり、左右方向は第2方向である。
【0015】
柱部5は、上下方向に細長い柱状に形成されている。昇降機構8は、例えば、柱部5に回転可能に取り付けられるボールネジと、このボールネジに係合するとともにハンド4に固定されるナット部材と、このボールネジを回転させるモータと、ハンド4を上下方向へ案内するガイド部とを備えている。この昇降機構8は、中空状に形成される柱部5の内部に配置されている。
【0016】
ベース部6は、前後方向に細長いブロック状に形成されている。移動機構9は、例えば、ベース部6に回転可能に取り付けられるボールネジと、このボールネジに係合するとともに柱部5に固定されるナット部材と、このボールネジを回転させるモータと、柱部5を前後方向へ案内するガイド部とを備えている。移動機構9は、中空状に形成されるベース部6の内部に配置されており、ハンド4及び柱部5を前後方向へ移動させる。また、移動機構9は、左右方向へ柱部5を移動させる機構を含む。
【0017】
また、ハンド4は、前後方向と平行な回転軸T1を中心に回転可能である。例えば、柱部5は、柱部5に対して回転軸T1を中心にハンド4を回転させるモータ等の回転機構10を備える。
【0018】
ハンド4は、例えば、棒状に形成される2本のフォーク部11と、フォーク部11の基端が取り付けられるフォーク支持部12とを備えている。フォーク部11は、直線状に形成されている。2本のフォーク部11は、互いに略平行に配置されるとともに、左右方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。2本のフォーク部11の間隔は、搭載部3の直径よりも大きくなっている。また、2本のフォーク部11は、上下方向において同じ位置に配置されている。
図2に示すように、ウエハ2は、2本のフォーク部11の上面に搭載されている。また、フォーク部11の上面側には、ウエハ2を把持する把持機構(図示省略)が取り付けられている。フォーク支持部12は、ブロック状に形成されており、柱部5に昇降可能に保持されている。
【0019】
図2に示すように、ハンド4には、第1センサ14と第2センサ15とが取り付けられている。第1センサ14は、発光素子を有する発光部16と、受光素子を有する受光部17とを備える透過型の光学式センサである。同様に、第2センサ15は、発光素子を有する発光部18と、受光素子を有する受光部19とを備える透過型の光学式センサである。
【0020】
発光部16は、2本のフォーク部11のうちの一方のフォーク部11の先端部分に取り付けられ、受光部17は、2本のフォーク部11のうちの他方のフォーク部11の先端部分に取り付けられている。発光部16と受光部17とは、左右方向で対向するように配置されている。すなわち、第1センサ14は、発光部16及び受光部17の光軸(具体的には、発光部16の発光素子及び受光部17の受光素子の光軸)L1が左右方向と平行になるように配置されている。
【0021】
発光部18及び受光部19は、ハンド4の側面部分、具体的にはフォーク支持部12の両側面のうち左側の側面に取り付けられている。
図2の例では、ハンド4の側面部分に設けられた窪みの両端部に発光部18及び受光部19が取り付けられているが、発光部18及び受光部19は、ハンド4の側面部分に設けられた2つの突起部に取り付けられてもよい。
【0022】
発光部18と受光部19とは、前後方向で対向するように配置されている。すなわち、第2センサ15は、発光部18及び受光部19の光軸(具体的には、発光部18の発光素子及び受光部19の受光素子の光軸)L2が前後方向と平行になるように配置されている。また、発光部18と受光部19との間隔は、搭載部3の直径よりも大きくなっている。
【0023】
以上のように構成されたロボット1は、ハンド4の上下動と前後方向への水平移動との組合せによって、
図3の(A)~(C)に示すように、搭載部3へのウエハ2の搬入と、搭載部3からのウエハ2の搬出とを行う。
【0024】
(搭載部に搭載されるウエハの位置の教示方法)
図4は、
図1に示すロボット1が第1搭載部3aの上下方向の位置を検知するときのハンド4の動作を説明するための図である。
図5は、
図1に示すロボット1が第1搭載部3aの前後方向の位置を検知するときのハンド4の動作を説明するための図である。
図6は、
図1に示すロボット1が第1搭載部3aの左右方向の位置を検知するときのハンド4の動作を説明するための図である。
図7は、
図1に示すロボット1が第2搭載部3bの左右方向の位置を検知するときのハンド4の動作を説明するための図である。ここでは、搭載部3として、水平方向に並んだ2つの第1搭載部3a及び第2搭載部3bの位置を検出する場合について説明する。
【0025】
本形態では、第1搭載部3a及び第2搭載部3bの上下方向の位置、前後方向の位置及び左右方向の位置の検知結果に基づいて、第1搭載部3a及び第2搭載部3bに搭載されるウエハ(例えばウエハ2)の位置をロボット1に自動で教示するオートティーチが行われる。すなわち、本形態では、第1搭載部3a及び第2搭載部3bに搭載されるウエハの位置をロボット1に教示する際に、第1搭載部3a及び第2搭載部3bの上下方向の位置、前後方向の位置、及び左右方向の位置を検知する。
【0026】
具体的には、
図4に示すように、第1センサ14の光軸L1が第1搭載部3aを通過するように昇降機構8によってハンド4を昇降させて、第1センサ14によって第1搭載部3aの上下方向の位置を検知する。より具体的には、昇降機構8によってハンド4を昇降させて、第1センサ14によって第1搭載部3aの下面又は上面の位置を検知する。第2搭載部3bの上下方向の位置についても同様の方法により検知することができる。
【0027】
また、第1搭載部3a及び第2搭載部3bの上下方向の位置が同じである場合、検知した第1搭載部3aの上下方向の位置を第2搭載部3bの上下方向の位置として認識し、第2搭載部3bの上下方向の位置の検出動作を省いてもよい。
【0028】
また、
図5に示すように、第1センサ14の光軸L1が搭載部3を通過するように移動機構9によってハンド4を前後方向へ移動させて、第1センサ14によって搭載部3の前後方向の位置を検知する。より具体的には、移動機構9によってハンド4を前後方向へ移動させて、第1センサ14によって搭載部3の側面の位置を検知する。第2搭載部3bの前後方向の位置についても同様の方法により検知することができる。
【0029】
また、
図6に示すように、ハンド4を第1搭載部3a及び第2搭載部3bの間に移動させてから、第2センサ15の光軸L2が第1搭載部3aを通過するように移動機構9によってハンド4を左右方向へ移動させて、第2センサ15によって第1搭載部3aの左右方向の位置を検知する。より具体的には、移動機構9によってハンド4を左右方向へ移動させて、第2センサ15によって第1搭載部3aの側面の位置を検知する。
【0030】
また、
図7に示すように、
図6に示した状態から回転機構10によってハンド4を回転軸T1を中心に反転させ、第2センサ15の光軸L2が第2搭載部3bを通過するように移動機構9によってハンド4を左右方向へ移動させて、第2センサ15によって第2搭載部3bの左右方向の位置を検知する。より具体的には、移動機構9によってハンド4を左右方向へ移動させて、第1センサ14によって第2搭載部3bの側面の位置を検知する。これにより、ハンド4の移動範囲を小さくしつつ第1搭載部3a及び第2搭載部3bの位置を検知することができる。
【0031】
図4に示した上下方向の位置検知と、
図5に示した前後方向の位置検知と、
図6,
図7に示した左右方向の位置検知と、は任意の順序で行うことができる。一例としては、まず
図4に示した上下方向の位置検知を行ってハンド4の上下方向の位置を調整し、次に
図5に示した前後方向の位置検知を行って教示の対象物(例えば第1搭載部3a)の位置を大まかに認識した後、
図6,
図7に示した左右方向の位置検知を行うことができる。
【0032】
又は、まず
図4に示した上下方向の位置検知を行ってハンド4の上下方向の位置を調整し、次に
図6,
図7に示した左右方向の位置検知を行って教示の対象物(例えば第1搭載部3a)の位置を大まかに認識した後、
図5に示した前後方向の位置検知を行ってもよい。また、教示の対象物の上下方向の大まかな位置が既知である場合は、
図4に示した上下方向の位置検知を、
図5に示した前後方向の位置検知や
図6,
図7に示した左右方向の位置検知よりも後に行ってもよい。
【0033】
(本形態の主な効果)
このように、本形態では、ハンド4が、発光素子の光軸及び受光素子の光軸が左右方向(第2方向)と平行になる第1センサ14に加えて、発光素子の光軸及び受光素子の光軸が前後方向(第1方向)と平行になる第2センサ15を備える。
【0034】
これにより、例えば、まず第1センサ14を用いて搭載部3の前後方向の位置検知を行った後に、ハンド4の姿勢(向き)をほぼ変えずに、第2センサ15を用いて搭載部3の左右方向の位置検知を行うことができる。又は、まず第2センサ15を用いて搭載部3の左右方向の位置検知を行った後に、ハンド4の姿勢(向き)をほぼ変えずに、第1センサ14を用いて搭載部3の前後方向の位置検知を行うことができる。したがって、教示に要するハンド4の進入角度(ハンド4の振り幅)を小さくすることができる。このため、狭い場所での教示が可能になる。
【0035】
また、ハンド4を前後方向(第1方向)と平行な回転軸T1を中心に回転させる回転機構10を備えることで、第1搭載部3aの左右方向の位置検知を行った後に、回転機構10によってハンド4を回転軸T1を中心に反転させ、第2搭載部3bの左右方向の位置検知を行うことができる。これにより、教示の対象物(例えば第1搭載部3a及び第2搭載部3b)が複数ある場合に、ハンド4の各側面のいずれか一方にしか第2センサ15が設けられていなくても、ハンド4の移動範囲を小さくしつつ第1搭載部3a及び第2搭載部3bの位置を検知することができる。
【0036】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0037】
上述した形態では、第1センサ14及び第2センサ15によって、例えば搭載部3の上下方向の位置、前後方向の位置及び左右方向の位置を検知するとともに、その検知結果に基づいて、搭載部3に搭載されるウエハ2の位置をロボット1に教示している。この他にも例えば、搭載部3に搭載されるウエハ2の位置をロボット1に教示する際に、搭載部3に教示用治具を搭載してもよい。この場合には、上述した形態と同様に、教示用治具の上下方向の位置、前後方向の位置及び左右方向の位置を第1センサ14及び第2センサ15によって検知するとともに、その検知結果に基づいて、搭載部3に搭載されるウエハ2の位置をロボット1に教示する。
【0038】
上述した形態では、ウエハ2は、ハンド4の上面(具体的には、2本のフォーク部11の上面)に搭載されて把持されている。この他にも例えば、所定のウエハホルダにウエハ2が固定され、2本のフォーク部11が左右方向へ移動可能に構成されるとともに、ウエハホルダの所定の箇所が2本のフォーク部11の間に挟まれることで、ウエハ2がハンド4に把持されてもよい。すなわち、ウエハ2は、ウエハホルダを介してハンド4に把持されてもよい。また、この場合には、ウエハホルダの所定の箇所が搭載部3に搭載されてもよい。すなわち、ウエハ2は、ウエハホルダを介して搭載部3に搭載されてもよい。
【0039】
上述した形態では、第1センサ14及び第2センサ15は、透過型の光学式センサであるが、第1センサ14及び第2センサ15は、反射型の光学式センサであってもよい。
【0040】
上述した形態では、搭載部3は、円板状に形成されているが、搭載部3は、円板状以外の形状に形成されてもよい。例えば、搭載部3は、楕円板状に形成されてもよいし、四角板状等の多角板状に形成されてもよいし、所定形状をなすブロック状に形成されてもよい。また、搭載部3が円板状以外の形状に形成される場合に、搭載部3に教示用治具を搭載して、教示用治具の上下方向の位置、前後方向の位置及び左右方向の位置を第1センサ14及び第2センサ15によって検知するとともに、その検知結果に基づいて、搭載部3に搭載されるウエハ2の位置をロボット1に教示してもよい。
【0041】
上述した形態において、ロボット1は、その先端側にハンド4が回動可能に連結される伸縮可能なアームを備えていてもよい。この場合には、アームの基端側は、柱部5に回動可能に連結される。また、アームの伸縮動作によってハンド4は、前後方向へ直線的に移動する。また、上述した形態において、ロボット1は、上下方向を回動の軸方向として柱部5を回動させる回動機構を備えていてもよい。また、上述した形態では、ロボット1によって搬送される搬送対象物は、ウエハ2であるが、ロボット1によって搬送される搬送対象物は、ガラス基板等のウエハ2以外のものであってもよい。
【0042】
上記のハンド4をロボット1に適用する構成について説明したが、ハンド4はロボット1に限らず、ウエハ2等の搬送対象物を搬送するハンドを有し、教示(オートティーチ)が行われる各種のロボットに適用することができる。
図8は、ハンド4を適用した水平多関節型ロボットの一例を示す平面図である。上記のハンド4は、例えば
図8に示す産業用ロボット81に適用することもできる。
【0043】
産業用ロボット81は、搬送対象物としてのウエハ2を搬送するための水平多関節型ロボットである。産業用ロボット81は、半導体ウエハ2が搭載されるハンド4と、ハンド4が先端側に回動可能に連結されるアーム87と、アーム87の基端側が回動可能に連結される本体部85とを備えている。
【0044】
本体部85は、略四角柱状に形成されている。本体部85の内部には、アーム87を昇降させるアーム昇降機構(図示省略)が収納されている。アーム87は、第1アーム部88と第2アーム部89とから構成されている。第1アーム部88及び第2アーム部89は、中空状に形成されている。第1アーム部88の基端側は、本体部85に回動可能に連結されている。第2アーム部89の基端側は、第1アーム部88の先端側に回動可能に連結されている。また、産業用ロボット81は、本体部85に対して第1アーム部88を回動させる第1アーム駆動機構(図示省略)と、第1アーム部88に対して第2アーム部89を回動させる第2アーム駆動機構(図示省略)とを備えている。
【0045】
ハンド4は、第2アーム部89の先端側に回動可能に連結されている。ハンド4は、上下方向から見たときに回動中心C1(
図1参照)を中心に回動可能となっている。本体部85と第1アーム部88と第2アーム部89とハンド4とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。また、産業用ロボット81は、ハンド4を回動させるためのモータを含むハンド駆動機構(図示省略)を備えている。
【0046】
このような産業用ロボット81においても、ロボット1と同様に、ハンド4を用いた教示を行うことができる。
【0047】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0048】
(1)
搬送対象物が搭載される搭載部への前記搬送対象物の搬入及び前記搭載部からの前記搬送対象物の搬出を行う産業用ロボットにおいて、
前記搬送対象物を把持し水平方向へ直線的に移動するハンドと、
前記搭載部に対して前記搬送対象物を搬送するときの前記ハンドの移動方向を第1方向とし、前記第1方向と上下方向とに直交する方向を第2方向とすると、前記ハンドを前記第1方向及び前記第2方向へ移動させる移動機構と、
発光素子と受光素子とを有し前記ハンドに取り付けられる第1センサ及び第2センサとを備え、
前記第1センサは、前記第1センサの前記発光素子の光軸及び前記受光素子の光軸が前記第2方向と平行になるように配置され、
前記第2センサは、前記第2センサの前記発光素子の光軸及び前記受光素子の光軸が前記第1方向と平行になるように配置され、
前記搭載部に搭載される前記搬送対象物の位置が教示されるときに、前記移動機構によって前記ハンドを前記第1方向へ移動させて、前記第1センサによって前記搭載部又は前記搭載部に搭載される教示用治具の前記第1方向の位置を検知するとともに、前記移動機構によって前記ハンドを前記第2方向へ移動させて、前記第2センサによって前記搭載部又は前記教示用治具の前記第2方向の位置を検知する、
産業用ロボット。
【0049】
(1)のように構成すると、例えば、まず第1センサを用いて搭載部の第1方向の位置検知を行った後に、ハンドの姿勢(向き)をほぼ変えずに、第2センサを用いて搭載部の第2方向の位置検知を行うことができる。又は、まず第2センサを用いて搭載部の第2方向の位置検知を行った後に、ハンドの姿勢(向き)をほぼ変えずに、第1センサを用いて搭載部の第1方向の位置検知を行うことができる。したがって、教示に要するハンドの進入角度(ハンドの振り幅)を小さくすることができる。このため、狭い場所での教示が可能になる。
【0050】
(2)
(1)記載の産業用ロボットであって、
前記ハンドを昇降させる昇降機構を備え、
前記搭載部に搭載される前記搬送対象物の位置が教示されるときに、前記昇降機構によって前記ハンドを昇降させて、前記第1センサによって前記搭載部又は前記教示用治具の上下方向の位置を検知する、
産業用ロボット。
【0051】
(2)のように構成すると、搭載部に搭載される搬送対象物の上下方向の位置の教示も行うことが可能になる。
【0052】
(3)
(1)又は(2)記載の産業用ロボットであって、
前記ハンドを前記第1方向と平行な回転軸を中心に回転させる回転機構を備え、
前記第2センサは、前記第1方向を前後方向とした場合の前記ハンドの両側面のいずれかに設けられており、
前記搭載部は、水平方向の位置が互いに異なる第1搭載部及び第2搭載部を含み、
前記第1搭載部及び前記第2搭載部に搭載される各搬送対象物の位置が教示されるときに、前記移動機構によって前記ハンドを前記第2方向へ移動させて、前記第2センサによって前記第1搭載部又は前記第1搭載部に搭載される教示用治具の前記第2方向の位置を検知した後、前記回転機構によって前記ハンドを前記回転軸を中心に反転させ、前記移動機構によって前記ハンドを前記第2方向へ移動させて、前記第2センサによって前記第2搭載部又は前記第2搭載部に搭載される教示用治具の前記第2方向の位置を検知する、
産業用ロボット。
【0053】
(3)のように構成すると、第1搭載部の左右方向の位置検知を行った後に、回転機構によってハンドを反転させて第2搭載部の左右方向の位置検知を行うことができる。これにより、教示の対象物が複数ある場合に、ハンドの各側面のいずれか一方にしか第2センサが設けられていなくても、ハンドの移動範囲を小さくしつつ第1搭載部及び第2搭載部の位置を検知することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 ウエハ(半導体ウエハ)
3 搭載部
3a 第1搭載部
3b 第2搭載部
4 ハンド
5 柱部
6 ベース部
8 昇降機構
9 移動機構
10 回転機構
11 フォーク部
12 フォーク支持部
14 第1センサ
15 第2センサ
16,18 発光部
17,19 受光部
81 産業用ロボット
85 本体部
87 アーム
88 第1アーム部
89 第2アーム部