(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059966
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】水質改善装置
(51)【国際特許分類】
C02F 7/00 20060101AFI20220407BHJP
C02F 3/22 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
C02F7/00
C02F3/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167892
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】512078708
【氏名又は名称】有限会社アルファサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100163533
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 義信
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 吉男
【テーマコード(参考)】
4D029
【Fターム(参考)】
4D029AA03
4D029AB05
4D029BB11
4D029CC08
(57)【要約】
【課題】ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を効率的に高めて好気性環境に水質改善する水質改善装置を提供する。
【解決手段】ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域12の深層域における貧酸素状態の深層水12Cの溶存酸素を高めて好気性環境に水質改善する水質改善装置10であって、深層域に、酸素を含む微細気泡Bを含有し且つ深層水12Cの水温と略同じ温度の微細気泡水を供給する微細気泡水供給手段16を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を高めて好気性環境に水質改善する水質改善装置であって、
前記深層域に、酸素を含む微細気泡を含有し且つ前記深層水の水温と略同じ温度の微細気泡水を供給する微細気泡水供給手段を備えたことを特徴とする水質改善装置。
【請求項2】
前記微細気泡水供給手段は、
前記深層域に取水口が配置され、前記取水口から前記深層水を採取水として取水する取水管と、
前記取水管で取水した採取水に前記微細気泡を含有させて微細気泡水を製造する微細気泡水製造手段と、
前記深層域に排出口が配置され、前記排出口から前記微細気泡水製造手段で製造した微細気泡水を前記深層域に排水する排水管と、
前記深層域から前記取水管で取水した前記採取水を前記微細気泡水製造手段及び前記排水管を介して前記深層域に循環させる循環手段と、を備えた請求項1に記載の水質改善装置。
【請求項3】
前記微細気泡水供給手段は、
前記閉鎖性水域の表層域又は中層域に取水口が配置され、前記取水口から前記深層水よりも溶存酸素が大きいが水温が高い表層水又は中層水を採取水として取水する取水管と、
前記取水管で取水した採取水に微細気泡を含有させて微細気泡水を製造する微細気泡水製造手段と、
前記深層域における前記深層水の水温を検出する水温検出手段と、
前記取水管で取水した前記採取水又は前記微細気泡水製造手段で製造した微細気泡水が前記水温検出手段で検出した深層水の水温と略同じ温度になるように冷却する冷却手段と、
前記深層水の水温と略同じ温度の前記微細気泡水を前記深層域に排水する排水管と、
前記取水管で取水した前記採取水を前記微細気泡水製造手段、前記冷却手段及び前記排水管を介して前記深層域に循環させる循環手段と、を備えた請求項1に記載の水質改善装置。
【請求項4】
前記微細気泡水製造手段は気泡径が10μm以下の微細気泡を発生させるマイクロバブル発生手段又はナノバブル発生手段である請求項2又は3に記載の水質改善装置。
【請求項5】
前記冷却手段は、
上下方向に間隔を開けて複数枚の板状部材が積層され、前記取水管で取水された前記採取水が前記板状部材の表面を水膜状態で流れると共に上側の板状部材の先端部から下側の板状部材の基端部へ順番に落流して上下方向の蛇行落流を形成する蛇行落流形成手段と、
前記板状部材の表面に設けられ、前記板状部材の表面を水膜状態で流れる前記採取水に乱流を発生させる複数個の邪魔板と、
前記複数枚の板状部材の側方から外気を送風して、前記乱流を発生しながら前記蛇行落流する前記採取水に前記外気を吹き付けて攪拌状態で気液接触混合させる送風手段と、を備え、
前記気液接触混合を繰り返すことにより前記採取水を冷却する請求項3又は4に記載の水質改善装置。
【請求項6】
前記取水管内に空気を上向きに曝気して前記取水管内にエアリフト効果による前記採取水の上向流を発生させる曝気手段と、
前記曝気手段で曝気された採取水が流入すると共に前記排水管に連通された槽であって、前記槽に流入した採取水を前記微細気泡水製造手段で処理して製造した微細気泡と前記曝気手段での曝気により生じた大径気泡とを分離する気泡分離槽と、
前記大径気泡が前記気泡分離槽内を浮上する浮上速度よりも前記気泡分離槽から前記排水管へ流出する流出水の流出速度が遅くなるようにすることで前記大径気泡と前記微細気泡とを分離する気泡分離手段と、を有する請求項2から5の何れか1項に記載の水質改善装置。
【請求項7】
ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を高めて好気性環境に水質改善する水質改善装置であって、
前記深層域に、酸素を含む気体を含有し且つ前記深層水の水温と略同じ温度の気液混合水を供給する気液混合水供給手段を備えたことを特徴とする水質改善装置。
【請求項8】
前記気液混合水供給手段は、
前記閉鎖性水域の表層域又は中層域又は深層域に取水口が配置され、前記取水口から表層水又は中層水又は深層水を採取水として取水する取水管と、
前記取水管で取水した前記採取水に気体を含有させて気液混合水を製造する気液混合水製造手段と、
前記深層域における前記深層水の水温を検出する水温検出手段と、
前記取水管で取水した前記採取水又は前記気液混合水製造手段で製造した気液混合水を前記水温検出手段で検出した深層水の水温と略同じ温度になるように冷却する冷却手段と、
前記深層水の水温と略同じ温度の気液混合水を前記深層域に排水する排水管と、
前記取水管で取水した前記採取水を前記気液混合水製造手段、前記冷却手段及び前記排水管を介して前記深層域に循環させる循環手段と、を備えた請求項7に記載の水質改善装置。
【請求項9】
前記気液混合水供給手段は、前記気液混合水製造手段と前記冷却手段とを一装置とした気液混合冷却水製造手段を有し、
前記気液混合冷却水製造手段は、
上下方向に間隔を開けて複数枚の板状部材が積層され、前記取水管で取水された前記採取水が前記板状部材の表面を水膜状態で流れると共に上側の板状部材の先端部から下側の板状部材の基端部へ順番に落流して上下方向の蛇行落流を形成する蛇行落流形成手段と、
前記板状部材の表面に設けられ、前記板状部材の表面を水膜状態で流れる前記採取水に乱流を発生させる複数個の邪魔板と、
前記複数枚の板状部材の側方から外気を送風して、前記乱流を発生しながら前記蛇行落流する前記採取水に前記外気を吹き付けて攪拌状態で気液接触混合させる送風手段と、を備え、
前記気液接触混合を繰り返すことにより前記気液混合水の製造と冷却とを同時に行う請求項8に記載の水質改善装置。
【請求項10】
前記板状部材及び前記邪魔板は鉄または水酸化鉄を含む請求項5又は9に記載の水質改善装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質改善装置に係り、特にダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を高めて好気性環境に水質改善する水質改善装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダム湖や湖沼等の水深の深い閉鎖性水域では、春から秋にかけて水面近くの表層域における表層水の水温が太陽熱で温まり比重が軽くなる。一方、水面から遠く太陽熱が届きにくい深層域における深層水の水温は冷たく比重が大きい。これにより、春から秋にかけて閉鎖性水域は表層域と深層域との2層に安定して分離する成層化現象が生じる。例えば表層水の水温と深層水の水温との温度差が5℃程度あると表層水と深層水とが混ざり合わない成層化現象が発生する。また、水深の深い閉鎖性水域では、風による水の循環は表層域部分が主であり、深層域まで循環されることはない。
【0003】
この結果、表層水と深層水との水の循環が不十分になり大気から表層水に溶け込んだ酸素が深層水まで届かなくなるため、深層水の酸素量が減少して貧酸素状態が生じる。溶存酸素量が水1L当たり2mgを切る貧酸素状態になると、酸欠で深層域に生息する魚等の生物が死ぬ危険があると言われている。
【0004】
図8に示すように、特に80m以上の水深を有する閉鎖性水域12では、水温の高い表層域の表層水12Aと水温の低い深層域の深層水12Cとの間に中間水温の中間層域の中層水12Bの3層に分離する場合もある。
【0005】
従来は、春から秋にかけて生じる深層水の貧酸素状態を、冬に起きる全層循環という現象によって解消していた。この全層循環の現象は、
図8の矢印に示すように、冬に表層水12Aの水温が冷たい大気によって冷却されて比重が大きくなることによって深層水12Cの方向に沈み込み、表層水12A、中層水12B、深層水12Cが混じり合う現象である。これにより、深層水12Cの溶存酸素量が大きくなり、深層水の酸素量を1年間維持し魚等の生物が酸欠にならないようになっていた。
【0006】
しかし、近年の温暖化により、冬に表層水が十分に冷却されなくなり、全層循環が発生し難くなっている。これにより、1年を通して成層化現象が発生するようになり、深層水12Cに貧酸素状態が発生し、魚等の生物が死ぬ危険があるだけでなく、富栄養化の危険もある。
【0007】
このような背景から、深層水12Cの貧酸素状態を改善して好気性環境にする提案がなされている。
【0008】
特許文献1には、アオコが増殖した水面下であって浮遊物のない水層(いわゆる表層域)に吸水口を有する吸水管を循環ポンプの吸水口に接続し、循環ポンプの吐出側に貧酸素水層(いわゆる深層域)に吐出口を有する送水管を接続する。そして、送水管の途中にマイクロバブル発生装置を配設し、送水管の吐出口からマイクロバブルを含有した水を吐出することで、貧酸素水層の水質改善を行う水質浄化装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、気泡径の小さなマイクロバブルは気泡径の大きな気泡よりも浮上速度が遅く水中における滞留時間が長くなることが知られており、特許文献1でもこのマイクロバブルの特徴を利用している。
【0011】
しかしながら、特許文献1のように、表層水を使用して製造したマイクロバブルを深層域の深層水に供給しても満足できるほどに遅い浮上速度を得ることはできない。それは、表層水は温度が高いので、深層域にマイクロバブルとともに供給しても、温度の高い水はマイクロバブルとともに上に上がってしまうからである。この結果、貧酸素水層である深層域におけるマイクロバブルの滞留時間を十分に確保できず、マイクロバブルの特徴を水質改善に十分生かせていないのが実情である。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を効率的に高めて好気性環境に水質改善する水質改善装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発明者は、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を高めるために、酸素を含む微細気泡を含有する微細気泡水又は酸素を含む気体を混合した気液混合水を供給しても、深層域における深層水の水温と、供給する微細気泡水又は気液混合水の水温との間に水温差があると、深層水と微細気泡水又は気液混合水との間で成層化現象が発生し、深層水と微細気泡水又は気液混合水とが混ざり合い難くなり、深層水の溶存酸素を効率的に高めることができないという新規な知見に基づいて本発明を達成した。
【0014】
微細気泡水は酸素を含む多数の微細気泡(例えば空気の気泡)が水に懸濁して白く濁った懸濁水の状態を言い、気液混合水は酸素を含む気体(例えば空気)が水に混合溶解して溶存酸素の高くなった溶解水の状態を言う。
【0015】
本発明の水質改善装置は目的を達成するために、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を高めて好気性環境に水質改善する水質改善装置であって、深層域に、酸素を含む微細気泡を含有し且つ深層水の水温と略同じ温度の微細気泡水を供給する微細気泡水供給手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
ここで、深層水の水温と略同じ温度の微細気泡水とは、微細気泡水を深層水に供給したときに、微細気泡水と深層水との間で成層化せずに混ざり合う温度差を言い、深層水の水温に対して微細気泡水の水温が±2℃の範囲内、好ましくは±1℃の範囲内を意味する。
【0017】
本発明の水質改善装置によれば、貧酸素状態の深層域に微細気泡を含有する微細気泡水を単に供給するのとは異なり、深層域の深層水と略同じ温度の微細気泡水を供給するようにした。このように、貧酸素状態の深層域の水温と略同じ温度の微細気泡水を深層域に供給することで、深層域における深層水と供給した微細気泡水との間の成層化現象を防止できるので、浮上速度が遅い微細気泡の特徴を十分に生かすことができる。
【0018】
これにより、微細気泡の深層域における滞留時間を飛躍的に長くすることができるので、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を効率的に高めて好気性環境に水質改善することができる。
【0019】
本発明の態様において、微細気泡水供給手段は、深層域に取水口が配置され、取水口から深層水を採取水として取水する取水管と、取水管で取水した採取水に微細気泡を含有させて微細気泡水を製造する微細気泡水製造手段と、深層域に排出口が配置され、排出口から微細気泡水製造手段で製造した微細気泡水を深層域に排水する排水管と、深層域から取水管で取水した採取水を微細気泡水製造手段及び排水管を介して前記深層域に循環させる循環手段と、を備えることが好ましい。
【0020】
本発明の態様は、微細気泡水を製造するために閉鎖性水域から採取する採取水として深層水を使用することで、特別な冷却装置を使用しなくても、深層域に、酸素を含む微細気泡を含有し且つ深層水の水温と略同じ温度の微細気泡水を供給できるようにしたものである。これにより、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を効率的に高めて好気性環境に水質改善することができる。
【0021】
ちなみに、深層域から深層水を取水してから微細気泡水を深層域に供給するまでの間に水温が上昇して微細気泡水の水温が上記した±2℃の範囲内を逸脱する場合には、取水した深層水又は製造した微細気泡水を冷却することが必要である。
【0022】
本発明の態様において、微細気泡水供給手段は、閉鎖性水域の表層域又は中層域に取水口が配置され、取水口から深層水よりも溶存酸素が大きいが水温が高い表層水又は中層水を採取水として取水する取水管と、取水管で取水した採取水に微細気泡を含有させて微細気泡水を製造する微細気泡水製造手段と、深層域における深層水の水温を検出する水温検出手段と、取水管で取水した採取水又は微細気泡水製造手段で製造した微細気泡水が水温検出手段で検出した深層水の水温と略同じ温度になるように冷却する冷却手段と、深層水の水温と略同じ温度の微細気泡水を深層域に排水する排水管と、取水管で取水した採取水を微細気泡水製造手段、冷却手段及び排水管を介して深層域に循環させる循環手段と、を備えることが好ましい。
【0023】
本発明の態様は、微細気泡水を製造するために閉鎖性水域から採取する採取水として深層水よりも溶存酸素が大きいが水温が高い表層水又は中層水を使用する場合である。
本発明の態様によれば、深層水の水温よりも高い水温の表層水又は中層水を使って微細気泡水を製造する場合には、微細気泡水が深層域における深層水の水温と略同じ温度になるように冷却してから深層域に供給するようにした。これにより、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を効率的に高めて好気性環境に水質改善することができる。
【0024】
本発明の態様において、微細気泡水製造手段は気泡径が10μm以下の微細気泡を発生させるマイクロバブル発生手段又はナノバブル発生手段であることが好ましい。
気泡径が10μm以下の微細気泡であれば浮上速度を顕著に遅くでき、本発明による成層化現象の防止と相まって、閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を一層効率的に高めることができる。より好ましい気泡径は5μm以下である。
【0025】
本発明の態様において、冷却手段は、上下方向に間隔を空けて複数枚の板状部材が積層され、取水管で取水された採取水が板状部材の表面を水膜状態で流れると共に上側の板状部材の先端部から下側の板状部材の基端部へ順番に落流して上下方向の蛇行落流を形成する蛇行落流形成手段と、板状部材の表面に設けられ、板状部材の表面を水膜状態で流れる採取水に乱流を発生させる複数個の邪魔板と、複数枚の板状部材の側方から外気を送風して、乱流を発生しながら蛇行落流する採取水に外気を吹き付けて攪拌状態で気液接触混合させる送風手段と、を備え、気液接触混合を繰り返すことにより採取水を冷却することが好ましい。
【0026】
本発明の態様は、本発明の水質改善装置に使用する冷却手段の好ましい構成を示したものである。
【0027】
本発明の態様において、取水管内に空気を上向きに曝気して取水管内にエアリフト効果による採取水の上向流を発生させる曝気手段と、曝気手段で曝気された採取水が流入すると共に排水管に連通された槽であって、槽に流入した採取水を微細気泡水製造手段で処理して製造した微細気泡と曝気手段での曝気により生じた大径気泡とを分離する気泡分離槽と、大径気泡が気泡分離槽内を浮上する浮上速度よりも気泡分離槽から前記排水管へ流出する流出水の流出速度が遅くなるようにすることで大径気泡と微細気泡とを分離する気泡分離手段と、を有することが好ましい。
【0028】
本発明の態様は、曝気手段を設けてエアリフト効果を発生させることによって、取水管から排水管に水を循環させるための循環手段としてポンプを省略可能としたもので、ランニングコストを削減できる。
【0029】
また、曝気手段を設けることによって、取水した採取水の溶存酸素量を予め大きくしてから微細気泡水製造手段で微細気泡を製造でき、しかも曝気手段の曝気で形成された大径気泡は気泡分離槽と気泡分離手段で分離して深層域には供給されないようにした。
【0030】
本発明の水質改善装置は目的を達成するために、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を高めて好気性環境に水質改善する水質改善装置であって、深層域に、酸素を含む気体を含有し且つ深層水の水温と略同じ温度の気液混合水を供給する気液混合水供給手段を備え、たことを特徴とする。
【0031】
本発明は、上記した微細気泡水の代わりに気液混合水を深層域に供給するようにしたものであり、この場合にも、深層域における深層水と供給した気液混合水との間の成層化現象を防止できるので、深層水と気液混合水とが混ざり合い、貧酸素状態の深層水の溶存酸素を効率的に高めることができる。
【0032】
ここで、深層水の水温と略同じ温度の気液混合水とは、気液混合水を深層水に供給したときに、気液混合水と深層水との間で成層化せずに混ざり合う温度差を言い、深層水の水温に対して気液混合水の水温が±2℃の範囲内、好ましくは±1℃の範囲内を意味する。
【0033】
本発明の態様において、気液混合水供給手段は、閉鎖性水域の表層域又は中層域又は深層域に取水口が配置され、取水口から表層水又は中層水又は深層水を採取水として取水する取水管と、取水管で取水した採取水に気体を含有させて気液混合水を製造する気液混合水製造手段と、深層域における深層水の水温を検出する水温検出手段と、取水管で取水した採取水又は気液混合水製造手段で製造した気液混合水を水温検出手段で検出した深層水の水温と略同じ温度になるように冷却する冷却手段と、深層水の水温と略同じ温度の気液混合水を深層域に排水する排水管と、取水管で取水した採取水を気液混合水製造手段、冷却手段及び排水管を介して深層域に循環させる循環手段と、を備えることが好ましい。
【0034】
本発明の態様によれば、深層域に、酸素を含む気体を含有し且つ深層水の水温と略同じ温度の気液混合水を供給することができるので、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を効率的に高めて好気性環境に水質改善することができる。
ちなみに、採取水として深層水を使用し、供給する気液混合水の水温を深層域における深層水の水温と略同じにできる場合には冷却手段を使用する必要はない。
【0035】
本発明の態様において、気液混合水供給手段は、気液混合水製造手段と冷却手段とを一装置とした気液混合冷却水製造手段を有し、気液混合冷却水製造手段は、上下方向に間隔を空けて複数枚の板状部材が積層され、取水管で取水された採取水が板状部材の表面を水膜状態で流れると共に上側の板状部材の先端部から下側の板状部材の基端部へ順番に落流して上下方向の蛇行落流を形成する蛇行落流形成手段と、板状部材の表面に設けられ、板状部材の表面を水膜状態で流れる採取水に乱流を発生させる複数個の邪魔板と、複数枚の板状部材の側方から外気を送風して、乱流を発生しながら蛇行落流する採取水に外気を吹き付けて攪拌状態で気液接触混合させる送風手段と、を備え、気液接触混合を繰り返すことにより気液混合水の製造と冷却とを同時に行うことが好ましい。
【0036】
本発明の態様は、上述の微細気泡水供給手段で使用した冷却手段を冷却目的のみならず採取水に外気を含有させる気液混合目的にも使用するようにしたものである。これにより、気液混合水製造手段と冷却手段とを一つの装置として構成したので、気液混合水供給手段の装置構成をコンパクト化できる。
【0037】
本発明の態様において、板状部材及び邪魔板は鉄(Fe)で製作するのが好ましく、水酸化鉄を含むことも好ましい。これにより、閉鎖性水域におけるリンを鉄製の板状部材及び邪魔板で水酸化鉄として吸着除去することができるので、閉鎖性水域の富栄養現象の防止にも寄与することができるが、リン回収を考えずメンテナンス作業を優先する事を考えた時に、板状部材及び邪魔板は、ステンレス製やアルミ製でもこの限りではない。
【発明の効果】
【0038】
本発明の水質改善装置によれば、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を効率的に高めて好気性環境に水質改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の水質改善装置の実施形態例1の全体構成を説明する概念図
【
図2】加圧溶解法による微細気泡水製造手段の一例を説明する説明図
【
図3】本発明の水質改善装置の実施形態例2の全体構成を説明する概念図
【
図4】冷却手段の一例で強制空冷式を説明する説明図
【
図6】本発明の水質改善装置の実施形態例3を説明する断面図
【
図7】本発明の水質改善装置の実施形態例4を説明する断面図
【
図8】閉鎖性水域における全層循環について説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面にしたがって本発明の水質改善装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0041】
本発明は以下の好ましい実施の形態により説明される。本発明の範囲を逸脱することなく、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
【0042】
[本発明の水質改善装置の基本概念]
本発明の水質改善装置は、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を高めて好気性環境に水質改善するものであって、深層域に、酸素を含む微細気泡を含有し且つ深層水の水温と略同じ温度の微細気泡水を供給することを基本概念とし、そのための微細気泡水供給手段を主たる装置構成とする。
【0043】
また、本発明の水質改善装置は、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を高めて好気性環境に水質改善する水質改善装置であって、深層域に、酸素を含む気体を含有し且つ深層水の水温と略同じ温度の気液混合水を供給することを基本概念とし、そのための気液混合水供給手段を主たる装置構成とする。
【0044】
即ち、本発明は、貧酸素状態の深層水に単に酸素を含む微細気泡水又は気液混合水を供給するのではなく、供給する微細気泡水又は気液混合水の水温を深層域における深層水の水温と略同じにすることで、深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を効率的に高めて好気性環境に水質改善するものである。
【0045】
ここで、深層域とは、閉鎖性水域の水面近傍の表層水に溶け込む酸素が届き難く貧酸素状態になり易い湖底近傍の水層域を言い、閉鎖性水域の深さによって異なるが、湖底から例えば10m程度の水層域を言う。また、微細気泡水は酸素を含む多数の微細気泡(例えば空気の気泡)が水に懸濁して白く濁った懸濁水の状態を言い、気液混合水は酸素を含む気体(例えば空気)が水に混合溶解して溶存酸素の高くなった溶解水の状態を言う。
【0046】
水質改善装置は、閉鎖性水域の陸地を設置基地として設けることもできるが、水質改善装置を船等の移動手段に搭載して閉鎖性水域を移動可能な構成とすることが好ましい。即ち、
図1及び
図3に示すように、閉鎖性水域12の移動手段としてフロート14Aを備えた筏状構造物14を使用し、筏状構造物14に微細気泡水供給手段16と、それを動かすバッテリー18(自家発電機も含む)とを搭載した場合で説明する。なお、筏状構造物14は例えばボート等で引っ張ることで閉鎖性水域12の水質改善が必要なエリアに移動することができる。
【0047】
なお、
図1及び
図3に破線で示すように、閉鎖性水域12が表層域の表層水12A(例えば15℃)、中間層域の中層水12B(例えば10℃)、深層域の深層水12C(例えば5℃)の3層に成層化し、これにより貧酸素状態になった深層水12Cの溶存酸素を高めて好気性環境に水質改善する場合で以下に説明する。符号Eは陸地を示す。
【0048】
また、以下の説明において、表層水12A、中層水12B、深層水12Cの他に採取水との用語を使用している。この理由は、以下に説明する水質改善装置10の各実施形態例において深層水12Cを取水する場合、表層水12A又は中層水12Bを取水する場合、表層水12A又は中層水12B又は深層水12Cを取水する場合がある。したがって、表層水12A又は中層水12Bを取水する場合、表層水12A又は中層水12B又は深層水12Cを取水する場合には、長い文章の繰り返しを避けるために採取水という用語を用いている。
【0049】
[水質改善装置の実施形態例1]
水質改善装置10の実施形態例1は、深層域から取水した深層水12Cで微細気泡水を製造することで、深層水12Cの水温と略同じ温度(±2℃以内)の微細気泡水を深層域に供給する最もシンプルな構成であり、
図1に示すように、微細気泡水供給手段16として、取水管20と、微細気泡水製造手段22と、排水管24と、循環手段26とで構成されている。
【0050】
取水管20は、取水口20Aから深層水12Cを採取水として取水するパイプ状の管であって、深層域に取水口20Aが配置される。取水管20の取水口20Aにはゴミ等の異物を除去するフィルタ(図示せず)が設けられる。そして、取水管20の取水口20Aとは反対側は循環手段26を介して微細気泡水製造手段22に連結される。
【0051】
微細気泡水製造手段22は、取水した深層水12Cに酸素を含む微細気泡を含有させて微細気泡水を製造するものであり、平均気泡径として10μm以下の微細気泡を発生できるものが好ましい。平均気泡径が10μm以下の微細気泡は、気泡径が極めて小さく気泡にかかる浮力も小さいために浮上速度が極めて遅く水中に滞留している時間が長いという特性(水中長時間滞留特性)、気泡がマイナスに帯電しており気泡同士の合体や吸収が起こりにくいため、小さい気泡径のまま長い時間均一に液中に分散することができるという特性(気泡小径維持特性)を有している。より好ましくは平均気泡径が5μm以下である。
【0052】
10μm以下の微細気泡を発生させる微細気泡水製造手段22としては、例えば加圧溶解方式、高速旋回方式、超音波方式等によりマイクロバブル又はナノバブルを発生する公知の装置を使用できる。
【0053】
図2は、加圧溶解方式の微細気泡水製造手段22の一例であり、主として、取水管20で取水された深層水12Cを貯める貯留槽28と、貯留槽28の深層水12Cと空気とを高圧下で混合することにより空気が過飽和状態で溶解した空気飽和水を形成するエアー混合ポンプ30と、高圧下にある空気飽和水を減圧することで空気飽和水から溶解した溶存空気を発泡させた発泡水を形成する減圧ノズル32と、貯留槽28内の底部から貯留槽28内の深層水12Cに発泡水を噴出する噴出ノズル34とで構成される。
【0054】
エアー混合ポンプ30では0.1MPaから0.6MPa近傍の圧力下で水と空気を混合することが好ましく、減圧ノズル32では0.1MPaから0.6MPaの圧力から大気圧近傍まで急激に減圧することが好ましい。なお、本実施の形態では、酸素を含む気体として空気の例で説明したが、酸素そのものを使用することもできる。
【0055】
排水管24は、
図1に示すように、深層域に排水口24Aが配置され、排水口24Aから微細気泡水製造手段22で発生した微細気泡水を深層域に排水する。
循環手段26は、深層域から取水した深層水12Cを取水管20、微細気泡水製造手段22及び排水管24を介して深層域に循環させるものであり、本実施の形態では、循環手段26としてはポンプ26Aを使用した場合で
図1に示している。
【0056】
図2に示すように、筏状構造物14に搭載された微細気泡水製造手段22の貯留槽28の液面28Aは閉鎖性水域12の水面12Dよりも高い位置にあり、ポンプ26Aで水質改善装置10に取水された水は液面差により排水管24から排水される。なお、図示しないが排水管24に排水用のポンプを設けることもできる。
【0057】
上記の如く構成された第1の実施の形態の水質改善装置10の一態様によれば、取水管20により深層域の深層水12Cを取水し、微細気泡水製造手段22によって取水した深層水12Cで微細気泡水を発生して深層域に戻すようにした。
【0058】
このように、貧酸素状態の深層水12Cの水温と略同じ温度の微細気泡水を深層域に供給することで、深層域における深層水12Cと微細気泡水とが水温差に起因する層を形成して混ざり合い難くなる成層化現象を防止できる。これにより、供給した微細気泡水は深層水12Cに良く混ざり合って一体化するので、上記した微細気泡の水中長時間滞留特性及び気泡小径維持特性を一層発揮することができる。
【0059】
これにより、微細気泡の深層域における滞留時間を飛躍的に長くすることができるので、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を効率的に高めて好気性環境に水質改善することができる。
【0060】
ちなみに、深層域に貧酸素状態が発生する条件下では、表層水12Aの水温は深層水12Cの水温よりも高くなっている。したがって、従来技術のように表層水12Aで発生させた温かい微細気泡水を冷たい深層水12Cに供給すると、微細気泡水と深層水12Cとの温度差によって微細気泡水と深層水12Cとの間に成層化現象が生じ易くなり、微細気泡水が深層域に留まり難くなる。
【0061】
ここで、深層水12Cの水温と略同じ温度の微細気泡水とは、微細気泡水を深層水12Cに供給したときに、微細気泡水と深層水との間で成層化しないで良く混ざり合う温度差を言い、深層水12Cの水温に対して微細気泡水の水温が±2℃の範囲内、好ましくは±1℃の範囲内である。
【0062】
なお、水質改善装置10の実施形態例1は、深層域から取水した深層水12Cで微細気泡水を製造することで、深層水12Cの水温と略同じ温度(±2℃以内)の微細気泡水を深層域に供給できることを前提としたときの最もシンプルな装置構成である。したがって、深層域から深層水12Cを取水してから微細気泡水を深層域に供給するまでに水温が上昇して上記の±2℃以内を逸脱する場合には、取水した深層水12C又は製造した微細気泡水を冷却することが必要である。
【0063】
なお、
図1で示した水質改善装置10の実施形態例1は、酸素を含む微細気泡水を深層域に供給する図として説明したが、酸素を含む気液混合水を深層域に供給する場合には、微細気泡水製造手段22を気液混合水製造手段(図示せず)に交換すればよい。
【0064】
気液混合水製造手段としては、効率的に気液混合できればどのような装置でもよいが、例えばダイアフラムポンプ、イジェクター装置、渦流ポンプ等を使用することができる。また、後記する
図4の冷却手段38を気液混合水製造手段として使用することもできる。
【0065】
[水質改善装置の実施形態例2]
本発明の水質改善装置10の実施形態例2は、深層水12Cよりも水温の高い表層水12A又は中層水12Bの採取水を微細気泡水の製造に使用するものであり、
図3に示すように、微細気泡水供給手段16として、取水管20と、微細気泡水製造手段22と、水温検出手段36と、冷却手段38と、排水管24と、循環手段26とで構成される。
【0066】
なお、水質改善装置10の実施形態例1と同じ手段及び部材は同符号を付して説明する。また、
図3では、取水管20の取水口20Aを表層域に配置した場合の例で示している。また、微細気泡水製造手段22及び排水管24については、上記の実施形態例1と同じなので説明は省略する。
【0067】
循環手段26は、表層域から取水した採取水を取水管20、冷却手段38、微細気泡水製造手段22及び排水管24を介して深層域に循環させるものであり、上記の実施形態例1の循環経路に冷却手段38が増えただけで基本的にはポンプ26Aが使用される。
【0068】
取水管20は、取水口20Aから表層水12A又は中層水12Bを採取水として取水するパイプ状の管であって、表層域又は中層域に取水口20Aが配置される。取水管20の取水口20Aにはゴミ等の異物を除去するフィルタ(図示せず)が設けられる。そして、取水管20の取水口20Aとは反対側は循環手段26を介して冷却手段38に連結される。
【0069】
水温検出手段36は、深層域における深層水12Cの水温を検出するものであり、深層域に配置された水温検出センサ36Aと、信号ケーブル36Bを介して水温検出センサ36Aで検出した検出水温を冷却手段38の制御部38Aに送る。
【0070】
なお、排水管24内の出口近傍の管内水温を検出する排水温検出センサ36Cを設け、制御部38Aにより水温検出センサ36Aと排水温検出センサ36Cを対比して排水管24から深層域に供給する微細気泡水の水温を管理すると更によい。
【0071】
冷却手段38は、取水管20で取水した採取水の水温を深層水12Cの水温まで冷却するものである。水質改善装置10が閉鎖性水域12の陸地Eを設置基地として設けられる場合には冷凍機等の大掛かりな装置を使用できるが、水質改善装置10を筏状構造物14に搭載する場合にはできるだけシンプル且つ軽量なものが好ましい。
【0072】
ここでは強制空冷式の冷却手段38を使用した場合で説明する。
【0073】
図4は、強制空冷型の冷却手段38の構造を説明する説明図である。
図4に示すように、冷却手段38は、主として、取水管20で取水された採取水を冷却する冷却部40と、冷却部40に外気を送風する送風部42と、冷却部40を通った外気を排気する排気部44と、冷却部40で冷却された採取水を貯める受水部46とで構成される。
【0074】
冷却部40は、主として四角箱状の筐体48の内部に上下方向に間隔を空けて積層された複数枚の板状部材50で構成される。
図4では6枚の板状部材50で図示しているが、この枚数に限定されない。筐体48の前壁48Aには、送風部42からの外気を導入する多数の通気口48Bが形成されると共に後壁48Cには外気を排気部44に排気する多数の通気口48Dが形成される。また、筐体48の上面には、採取水を筐体の内部に取り込む導入管52が設けられ、導入管52の一端が
図3に示したポンプ26Aの排気側に連結される。なお、
図4の右側を前側とし、左側を後側とする。また、筐体48の前後方向に対して水平面上で直交する方向を筐体48の左右方向と言うことにする。
【0075】
複数枚の板状部材50は、筐体48の前壁48Aと後壁48Cとの間に平行に掛け渡された棒状の一対の梁部材(図示せず)の上に載置されることで着脱自在に支持される。筐体48の上下方向には、板状部材50の積層数よりも多い段数の梁部材が間隔を置いて設けられており、板状部材50の積層する枚数を可変したり、板状部材50の積層間隔を調整したりすることができるようになっている。
【0076】
また、複数枚の板状部材50は、筐体48の前後方向の長さよりも短く形成され、積層されたときに上から下に向かって板状部材50の先端部50Aと筐体48の前壁48A又は後壁48Cとの間で上から下に向かって交互に離間して隙間Wが形成されるように配置される。即ち、
図4の最上段の板状部材50は先端部(
図4の左端)が筐体48の後壁48Cから離間しており、次の板状部材50は先端部(
図4の右端)が筐体48の前壁48Aから離間している。それ以降の板状部材50について同様に先端部が前壁48A又は後壁48Cとの間で交互に離間している。この場合、板状部材50の基端部50B及び両側辺部は筐体48に接するか近接した状態の何れでもよい。
【0077】
これにより、
図4に実線矢印で示すように、取水管20で取水された採取水が導入管52を介して複数枚の板状部材50の一番上の板状部材50の基端部50Bの位置に供給される。そして、一番上の板状部材50を伝って先端部50A側に流れ隙間Wから次の板状部材50に流れ落ちることによって、複数枚の板状部材50を上側から下側に蛇行しながら流れ落ちる上下方向の蛇行落流を形成する。このように、複数枚の板状部材50を上側から下側に蛇行しながら流れ落とすことで冷却距離を長く確保することができる。
【0078】
図5に示すように、板状部材50は、矩形な底板54と側板56とで構成された底の浅いトレー構造に形成され、側板56のうち先端部50A側の側板が取り除かれて開放されている。そして、板状部材50の底板54の上面には、ジグザグ状に折曲された屏風形状の複数個の邪魔板58が配列される。
【0079】
図5には、板状部材50の底板54の先端部50A側の半分のエリアに、5個の邪魔板58を底板54の幅方向(前記した筐体48の左右方向と同じ)において等間隔になるように平行に配列すると共に基端部50B側のエリアに4個の邪魔板58を底板54の幅方向において等間隔になるように平行に配列した場合で示している。なお、板状部材50と底板54との幅方向は同じ意味で使用している。
【0080】
上記した板状部材50及び邪魔板58は、鉄を含んで形成されることが好ましく、水酸化鉄を含むことも好ましい。例えば板状部材50及び邪魔板58自体を鉄で製作してもよく、鉄以外の材質の板状部材50及び邪魔板58の表面に鉄または水酸化鉄の被膜を形成してもよい。板状部材50及び邪魔板58自体を鉄で製作すると、鉄は水中での酸化で水酸化鉄を形成する。これにより、閉鎖性水域12におけるリンを板状部材50及び邪魔板58で吸着除去することができるので、閉鎖性水域12の富栄養現象の防止にも寄与する。
【0081】
また、板状部材50の底板54の先端部50Aには、四角形状の切り欠き60が底板54の幅方向に等間隔で形成される。底板54の先端部50Aに切り欠き60を形成することで、底板54の上を流れた採取水が底板54の幅方向の一部に偏って落流するのではなく幅方向全体から均等に流れ落ち易くなる。
【0082】
このように、板状部材50に邪魔板58を設けることで、板状部材50を流れる採取水の流れが乱されて乱流を形成するので、採取水と外気とが攪拌状態で接触する。また、板状部材50の先端部50A側に配列された邪魔板58と、基端部50B側に配列された邪魔板58とは、板状部材50の幅方向でズレを有して配列したことで、一層乱流が発生し易い。これにより、採取水と外気との接触効率が向上するので、採取水を効率的に冷却することができる。
【0083】
図4に示すように、送風部42は冷却部40の前側に設けられる。送風部42は、冷却部40に外気を送る送風手段としての送風機62と、冷却部40の筐体48の前壁48Aと送風機62との間に設けられた複数枚の整流板64とで構成され、送風ボックス66の内部に収納される。送風ボックス66の後側(筐体48側)が開放されて筐体48の前壁48Aに支持されると共に送風ボックス66の前壁66Aには外気を取り込む多数の通気口66Bが形成される。
【0084】
また、複数枚の整流板64は、側方から見た形状が山型形状に形成され、送風ボックス66内の上下方向に等間隔で配列される。これにより、冷却部40に送気する外気を整流する。
【0085】
図4に示すように、排気部44は、冷却部40の後側に設けられる。排気部44は、内部に排気通路68Aが形成された排気ダクト68で形成され、排気ダクト68の前側(筐体48側)の一部が開放されて筐体48の後壁48Cに支持される。また、排気ダクト68の上端部に排気口68Bが形成される。
【0086】
図4に示すように、受水部46は冷却部40の下側に設けられる。受水部46は、冷却部40で冷却された表層水を受ける受水槽70と、冷却部40の筐体48の開放された底面と受水槽70の上面とを仕切る金網状のスクリーン72とで構成される。これにより、冷却部40で冷却された採取水はスクリーン72を通過して受水槽70に受水される。受水槽70の側面には、冷却された採取水を微細気泡水製造手段22に送液する送液管74が設けられる。
【0087】
これにより、送風機62によって取り込まれた外気(
図4の破線矢印)は、整流板64で整流されて冷却部40の筐体48内に送られる。筐体48内に送り込まれた外気は、複数枚の板状部材50の上を水膜状態で伝って上側から下側に蛇行しながら流れ落ちる採取水(
図4の実線矢印)と接触する。この結果、採取水は外気との熱交換及び気化熱効果によって冷却される。冷却された採取水は受水槽70に溜まり、送液管74を介して微細気泡水製造手段22に送られる。一方、採取水と接触した外気は排気ダクト68を通って外部に排気される。
【0088】
かかる採取水の冷却において、冷却手段38の制御部38Aは、水温検出手段36で検出された深層水12Cの水温に基づいて、採取水の水温が検出した水温に±2℃(好ましくは±1℃)の範囲内で冷却されるように送風機62の送風量を調整する。また、採取水の冷却距離を長くしたい場合には、板状部材50の積層枚数を増やすことも可能である。
【0089】
上記の如く構成された水質改善装置10の実施形態例2によれば、深層水12Cの水温よりも高い水温の採取水(表層水12A又は中層水12B)を使って微細気泡水を製造する場合には、取水した採取水を深層域における深層水12Cの水温と略同じ温度まで冷却してから深層域に供給するようにした。
【0090】
これにより、上記した水質改善装置10の実施形態例1で述べたように、微細気泡の深層域における滞留時間を飛躍的に長くすることができるので、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を効率的に高めて好気性環境に水質改善することができる。
【0091】
ちなみに、採取水の水温を深層域における深層水12Cの水温よりも低くなるように冷却し過ぎると、微細気泡水と深層水12Cとの温度差によって微細気泡水と深層水12Cとの成層化現象が生じ易くなり、微細気泡水と深層水12Cとが混ざりにくくなり、水質改善の効率が低下する。即ち、本発明では、貧酸素状態にある深層域に供給する微細気泡水の水温が深層水12Cの水温に高くも低くもない略同じにすることが重要である。
【0092】
図3では、冷却手段38の後段に微細気泡水製造手段22を配置したが、配置を逆にして微細気泡水を製造してから冷却してもよい。また、微細気泡水の水温が深層水12Cの水温に対して略同じになっているかを確認するために、排水管24の出口に更に排水温検出センサ36Cを設けることが好ましい。
【0093】
なお、
図3で示した水質改善装置10の実施形態例2は、酸素を含む微細気泡水を深層域に供給する図として説明したが、酸素を含む気液混合水を深層域に供給する場合には、微細気泡水製造手段22を気液混合水製造手段に交換すればよい。
【0094】
また、水質改善装置10の実施形態例2では、深層水12Cよりも水温が高い表層水12A又は中層水12Bを使用したので冷却手段38を設置する必要があるが、深層水12Cを取水する場合には設置した冷却手段38を使用しないで済む場合もある。
【0095】
[水質改善装置の実施形態例3]
本発明の水質改善装置の実施形態例3は、微細気泡水を製造する採取水の溶存酸素を予め高め且つ循環手段26としてポンプ26Aを省略できるように構成したものであり、
図6に示すように、実施形態例1又は実施形態例2の構成に、曝気手段76と、気泡分離槽78と、気泡分離手段80とを更に設けたものである。なお、水質改善装置10の実施形態例1及び実施形態例2と同じ手段及び部材は同符号を付して説明する。
【0096】
図6は、水質改善装置10の実施形態例1に曝気手段76と、気泡分離槽78と、気泡分離手段80とを更に設けた場合であり、実施形態例2に適用する場合には循環配管22Bに微細気泡水製造手段22と冷却手段38(図示せず)とを設ければよい。
なお、気泡分離手段80は、曝気手段76の曝気による大径気泡Aと微細気泡水製造手段22による微細気泡Bとを効率的に分離できるものであればどのような手段でもよいが、実施形態例3では曝気量調整手段76D又は排水管24に設けた排水量調整バルブ82の例で説明する。また、
図6では、実施形態例3のメカニズムを分かり易くするために、取水管20と排水管24を他の部材や手段に比べて大きく図示している。
【0097】
曝気手段76は、取水管20内の採取水(表層水12A又は中層水12B又は深層水12C)に空気を上向きに曝気して取水管20内にエアリフト効果による採取水の上向流を発生させると共に採取水の溶存酸素を予め高めるものであり、取水管20内に配設された曝気管76Aと、曝気管76Aにエアー配管76Bを介して接続されたブロアー76Cと、曝気管76Aから曝気する曝気量を調整する曝気量調整手段76Dとで構成される。
【0098】
気泡分離槽78は、大径気泡Aと微細気泡Bとを分離する槽であって、曝気手段76で曝気された採取水が流入すると共に排水管24に接続されている。そして、気泡分離槽78に流入した採取水を循環ポンプ22A及び循環配管22Bにより微細気泡水製造手段22との間で循環させる。これにより、曝気で形成された大径気泡Aと微細気泡水製造手段22で形成された微細気泡Bとが混在した混在気泡水が気泡分離槽78に貯留される。
【0099】
図6に示すように、取水管20内に曝気することによるエアリフト効果によって、取水管20内の深層水12C又は表層水12Aに上向流が発生する。上向流は気泡分離槽78の液面78Aに達すると下向きに方向転換して下向流となる流れを形成する。また、エアリフト効果によって、気泡分離槽78の液面78Aが上がり、取水管20の越流口と気泡分離槽の液面78Aとの間に液面差Hが生じる。これにより、気泡分離槽78の水は排水管24から排水される。これにより、取水管20から気泡分離槽78を経由して排水管24に流れる水の流れが生じるので、実施形態例1及び実施形態例2で示した循環手段26としてポンプ26Aを省略できる。
【0100】
また、実施形態例3によれば、曝気手段76を設けてエアリフト効果を発生させることによって、取水した採取水の溶存酸素量を予め大きくしてから微細気泡水製造手段22で微細気泡を発生できるので、より多くの酸素を深層域に供給することができる。
【0101】
この場合、曝気手段76で曝気して形成された気泡は微細気泡水製造手段22で微細気泡に比べて顕著に大径な気泡である。したがって、大径気泡Aを微細気泡Bと一緒に深層域に供給すると、深層域にエアリフト効果が生じてしまい、微細気泡の深層域での滞留時間に悪影響を与える。この対策として、実施形態例3では、大径気泡の浮上速度よりも気泡分離槽78から排水管24に流出する流出速度が遅くなるようにする気泡分離手段80を設けるようにした。
【0102】
気泡分離手段80は、気泡分離槽78における混在気泡水中の曝気による大径気泡Aと微細気泡水製造手段22による微細気泡Bとを浮上速度の違いを利用して分離するものである。具体的には、気泡分離手段80は大径気泡Aが気泡分離槽78内を浮上する浮上速度よりも気泡分離槽78から排水管24へ流出する流出水の流出速度が遅くなるようにする。
【0103】
図6では、上記したように気泡分離手段80として、曝気量調整手段76Dと排水管24に設けた排水量調整バルブ82の例で示している。即ち、曝気量調整手段76Dの曝気量を調整してエアリフト効果の大きさを可変することによって取水管20から気泡分離槽78に流入する流入量が制御されるので、気泡分離槽78から排水管24への流出量も制御される。これにより、気泡分離槽78から排水管24への流出速度を調整することができる。また、排水量調整バルブ82は、排水管24の流れを調整することができるので、気泡分離槽78から排水管24への流出速度を調整することができる。この場合、曝気量調整手段76Dと排水量調整バルブ82とを併用してもよく、曝気量調整手段76Dと排水量調整バルブ82との何れかを使用してもよい。これにより、簡単な構成で、大径気泡が深層域に供給されるのを極力避けることができる。
【0104】
なお、図示しないが、曝気手段76として微細気泡を発生させるマイクロバブル発生手段又はナノバブル発生手段を用いることもできる。この場合、微細気泡によるエアリフト効果は大径気泡に比べて小さいが、マイクロバブル発生ノズル及びナノバブル発生ノズルの圧力を上げて、取水管20内に上向きの噴出流することでエジェクター効果を形成し、噴出流によって液面差Hを形成することが好ましい。
【0105】
上記の如く構成された水質改善装置10の実施形態例3によれば、上記した水質改善装置10の実施形態例1及び実施形態例2で述べたように、微細気泡の深層域における滞留時間を飛躍的に長くすることができるので、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を効率的に高めて好気性環境に水質改善することができる。
【0106】
また、曝気手段76と、気泡分離槽78と、気泡分離手段80とを更に設けたので、微細気泡水を製造する採取水の溶存酸素を予め高めることができ、微細気泡と相まって一層効率的に水質改善することができる。更には、循環手段26としてポンプ26Aを省略することができるので、ランニングコストを低減できる。
【0107】
[水質改善装置の実施形態例4]
本発明の水質改善装置10の実施形態例4は、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域12の深層域における貧酸素状態の深層水12Cの溶存酸素を高めて好気性環境に水質改善する水質改善装置であって、深層域に、酸素を含む気体を含有し且つ深層水の水温と略同じ温度の気液混合水を供給する気液混合水供給手段84を主たる構成としている。なお、水質改善装置10の実施形態例1、実施形態例2、及び実施形態例3と同じ手段及び部材は同符号を付して説明する。
【0108】
図7に示すように、気液混合水供給手段84は、主として取水管20と、気液混合冷却水製造手段88と、水温検出手段36と、冷却手段38と、排水管24と、循環手段26とで構成される。
【0109】
なお、実施形態例4は、採取水として表層水12A、中層水12B、深層水12Cの何れの採取水にも適用できるが、
図7では採取水として深層水12Cよりも水温の高い表層水12Aの例で図示している。また、気液混合水の水温が深層水12Cの水温に対して略同じになっているかを確認するために、排水管24の出口に更に排水温検出センサ36Cを設けることが好ましい。
【0110】
取水管20は、閉鎖性水域12の表層水12A又は中層水12B又は深層水12Cに取水口20Aが配置され、取水口20Aから表層水12A又は中層水12B又は深層水12Cを採取水として取水する。
【0111】
気液混合冷却水製造手段88は、上下方向に間隔を空けて複数枚の板状部材50が積層され、取水管20で取水された採取水が板状部材50の表面を水膜状態で流れると共に上側の板状部材50の先端部50Aから下側の板状部材50の基端部50Bへ順番に落流して上下方向の蛇行落流を形成する蛇行落流形成手段と、板状部材50の表面に設けられ、板状部材50の表面を水膜状態で流れる採取水に乱流を発生させる複数個の邪魔板58と、複数枚の板状部材50の側方から外気を送風して、乱流を発生しながら蛇行落流する採取水に外気を吹き付けて攪拌状態で気液接触混合させる送風手段としての送風機62と、を備え、気液接触混合を繰り返すことにより気液混合水の製造と冷却とを同時に行う。
【0112】
即ち、気液混合冷却水製造手段88は、取水管20で取水した採取水に酸素を含む気体(例えば空気)を混合して気液混合水を製造する処理と、気液混合水を深層域における深層水12Cの水温と略同じになるように冷却する処理とを同時に行う。
図7の気液混合冷却水製造手段88の構造から分かるように、構造的には
図4に示した冷却手段38と同じである。
【0113】
これは、本発明者が
図4の冷却手段38は、冷却手段38としての役目の他に、乱流を発生しながら蛇行落流する採取水に外気を吹き付けて攪拌状態で気液接触混合させることによって気体と液体とを効率よく混合する気液混合水製造手段86としての役目を有することに着目し、冷却手段38と気液混合水製造手段86とを一体化した装置として構成した。したがって、本発明の水質改善装置10の実施形態例4は、冷却手段38と気液混合水製造手段86とを別装置として構成することもできる。
【0114】
水温検出手段36は、深層域における深層水12Cの水温を検出する。
排水管24は、深層水12Cの水温と略同じ温度の気液混合水を深層域に排水する。
循環手段26は、取水管20で取水した採取水を気液混合水製造手段86、冷却手段38及び排水管24を介して深層域に循環させる。
【0115】
上記の如く構成された水質改善装置10の実施形態例4によれば、取水管20により取水した採取水によって溶存酸素が高く且つ深層域における深層水12Cと略同じ水温まで冷却した気液混合水を深層域に戻すようにした。
【0116】
このように、溶存酸素が高く且つ貧酸素状態の深層水12Cの水温と略同じ温度の気液混合水を深層域に供給することで、深層域における深層水12Cと気液混合水とが水温差に起因する層を形成して混ざり合い難くなる成層化現象を防止できる。これにより、供給した気液混合水は深層水12Cに良く混ざり合って一体化する。
【0117】
これにより、ダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の深層域における貧酸素状態の深層水の溶存酸素を効率的に高めて好気性環境に水質改善することができる。
また、気液混合水製造手段86と冷却手段38とを一装置とした気液混合冷却水製造手段88を用いることで、気液混合水供給手段84の装置スケールをコンパクト化できる。
【符号の説明】
【0118】
10…水質改善装置、12…閉鎖性水域、12A…表層水、12B…中層水、12C…深層水、12D…水面、14…筏状構造物、14A…フロート、16…微細気泡水供給手段、18…バッテリー、20…取水管、20A…取水口、22…微細気泡水製造手段、22A…循環ポンプ、22B…循環配管、24…排水管、24A…排水口、26…循環手段、26A…ポンプ、28…貯留槽、28A…液面、30…エアー混合ポンプ、32…減圧ノズル、34…噴出ノズル、36…水温検出手段、36A…水温検出センサ、36B…信号ケーブル、36C…排水温検出センサ、38…冷却手段、38A…制御部、40…冷却部、42…送風部、44…排気部、46…受水部、48…筐体、48A…前壁、48B…通気口、48C…後壁、48D…通気口、50…板状部材、50A…先端部、50B…基端部、52…導入管、54…底板、56…側板、58…邪魔板、60…切り欠き、62…送風機、64…整流板、66…送風ボックス、66A…前壁、66B…通気口、68…排気ダクト、68A…排気通路、68B…排気口、70…受水槽、72…スクリーン、74…送液管、76…曝気手段、76A…曝気管、76B…エアー配管、76C…ブロアー、76D…曝気量調整手段、78…気泡分離槽、80…気泡分離手段、82…排水量調整バルブ、84…気液混合水供給手段、86…気液混合水製造手段、88…気液混合冷却水製造手段、A…大径気泡、B…微細気泡、E…陸地、W…隙間