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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059979
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】電源装置、時計及び電圧検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/165 20060101AFI20220407BHJP
   G04C 10/00 20060101ALI20220407BHJP
   G04G 19/00 20060101ALN20220407BHJP
【FI】
G01R19/165 M
G04C10/00 Z
G04C10/00 A
G04G19/00 V
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167923
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】500198210
【氏名又は名称】セイコータイムクリエーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】金泉 貴之
(72)【発明者】
【氏名】細貝 則充
【テーマコード(参考)】
2F002
2F101
2G035
【Fターム(参考)】
2F002AA01
2F002AA04
2F002AB05
2F002AD09
2F002AE01
2F101DA05
2F101DB02
2F101DG04
2F101DH24
2G035AB03
2G035AC01
2G035AD02
2G035AD03
2G035AD04
2G035AD23
2G035AD27
2G035AD28
2G035AD41
2G035AD47
2G035AD65
(57)【要約】
【課題】単一の電圧検出器により、複数の電圧についての電圧降下の測定をする。
【解決手段】電源装置は、検出電圧入力端子と閾値選択端子とを備え、検出電圧入力端子に入力された電圧値が閾値選択端子により選択された閾値より大きいか否かを検出する検出部と、閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択部と、第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1スイッチと、第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、第1電源とは異なる第2電源の電圧を検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2スイッチと、第1スイッチ及び第2スイッチを排他的にオン状態に制御することにより、第1電源又は第2電源のいずれか一方の電圧値を検出電圧入力端子に入力する電圧選択部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出電圧入力端子と閾値選択端子とを備え、前記検出電圧入力端子に入力された電圧値が前記閾値選択端子により選択された閾値より大きいか否かを検出する検出部と、
前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択部と、
第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1スイッチと、
前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2スイッチと、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを排他的にオン状態に制御することにより、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択部と
を備える電源装置。
【請求項2】
前記閾値選択部は、前記電圧選択部により前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値が前記検出電圧入力端子に入力されている状態において、前記閾値選択端子に入力される電圧を、複数の電圧値に切り替える
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記検出部により検出された結果を取得する検出結果取得部を更に備え、
前記検出結果取得部は、前記第1負荷及び前記第2負荷に負荷変動がない期間において前記検出部により検出された結果を取得する
請求項1又は請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記電圧選択部は、前記第1負荷の電力消費量に基づいたタイミングにおいて、前記第1スイッチをオン状態に制御することにより前記第1電源の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力し、前記第2負荷の電力消費量に基づいたタイミングにおいて、前記第2スイッチをオン状態に制御することにより前記第2電源の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する
請求項1から請求項2のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記第1電源の電圧値は、前記第2電源の電圧値よりも大きく、
前記第2スイッチは、バイポーラトランジスタを含む
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記第1負荷と、
前記第1負荷に電力を供給する前記第1電源と、
前記第1負荷とは異なる前記第2負荷と、
前記第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる前記第2電源と、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電源装置と
を備える時計。
【請求項7】
検出電圧入力端子に入力された電圧値が閾値選択端子により選択された閾値より大きいか否かを検出する検出工程と、
前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択工程と、
第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1選択工程と、
前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2選択工程と、
前記第1選択工程及び前記第2選択工程により、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択工程と
を有する電圧検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、時計及び電圧検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電源と複数の負荷とを備え、それぞれの電源は、それぞれの電源に対応する負荷を駆動するよう構成された回路があった。それぞれの電源は、例えば異なる電源電圧により構成される。このような回路においては、複数の電源のうち特定の電源の電圧が所定の閾値よりも下回った場合、回路全体として機能を発揮できない場合がある。したがって、回路全体としての機能を確保するため、複数の電源それぞれの電圧降下を測定する技術があった(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-138531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電源の電圧降下の測定においては、負荷変動に伴う短時間の電圧降下を検出することが要求される。従来技術のような回路においては、それぞれの電源から供給される電圧の電圧降下を測定するため、電源の数に応じた電圧検出器を備え、それぞれの電圧検出器は、それぞれの電源の電圧降下を測定していた。すなわち、従来技術によれば、電源電圧の数だけ電圧検出器を用いなければならなかった。電圧検出器の数が増えた場合、コストが増加し制御回路の基板面積が大きくなる一方、コスト削減及び制御回路の基板面積削減についての要求がある。
【0005】
そこで、本発明は、単一の電圧検出器により、複数の電圧についての電圧降下の測定をすることができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電源装置は、検出電圧入力端子と閾値選択端子とを備え、前記検出電圧入力端子に入力された電圧値が前記閾値選択端子により選択された閾値より大きいか否かを検出する検出部と、前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択部と、第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1スイッチと、前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2スイッチと、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを排他的にオン状態に制御することにより、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択部とを備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る電源装置において、前記閾値選択部は、前記電圧選択部により前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値が前記検出電圧入力端子に入力されている状態において、前記閾値選択端子に入力される電圧を、複数の電圧値に切り替える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る電源装置は、前記検出部により検出された結果を取得する検出結果取得部を更に備え、前記検出結果取得部は、前記第1負荷及び前記第2負荷に負荷変動がない期間において前記検出部により検出された結果を取得する。
【0009】
また、本発明の一態様に係る電源装置において、前記電圧選択部は、前記第1負荷の電力消費量に基づいたタイミングにおいて、前記第1スイッチをオン状態に制御することにより前記第1電源の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力し、前記第2負荷の電力消費量に基づいたタイミングにおいて、前記第2スイッチをオン状態に制御することにより前記第2電源の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する。
【0010】
また、本発明の一態様に係る電源装置において、前記第1電源の電圧値は、前記第2電源の電圧値よりも大きく、前記第2スイッチは、バイポーラトランジスタを含む。
【0011】
また、本発明の一態様に係る時計は、前記第1負荷と、前記第1負荷に電力を供給する前記第1電源と、前記第1負荷とは異なる前記第2負荷と、前記第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる前記第2電源と、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電源装置とを備える。
【0012】
また、本発明の一態様に係る電圧検出方法は、検出電圧入力端子に入力された電圧値が閾値選択端子により選択された閾値より大きいか否かを検出する検出工程と、前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択工程と、第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1選択工程と、前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2選択工程と、前記第1選択工程及び前記第2選択工程により、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択工程とを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、単一の電圧検出器により、複数の電圧についての電圧降下の測定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る時計の機能構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る検出部の機能構成の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る電源装置の回路構成の一例を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る電源装置の検出電圧について説明をするための図である。
図5】第1の実施形態に係る電源装置の各電圧の判定結果の一例を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る電源装置の電池切れ予告判定の一例を示す図である。
図7】第1の実施形態に係る電源装置の判定結果と挙動の一例を示す図である。
図8】第1の実施形態に係る電源装置の一連の動作について説明をするための図である。
図9】第2の実施形態に係る電源装置の寄生ダイオードについて説明をするための図である。
図10】第2の実施形態に係る電源装置の回路構成について説明をするための図である。
図11】従来技術について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[従来技術]
まず、図面を参照しながら従来技術の問題点について説明する。
図11は、従来技術について説明するための図である。従来技術に係る時計99は、制御回路90と、電圧検出器91と、電圧検出器92と、電圧検出器93と、電圧検出器94と、負荷回路95と、時計体96とを備える。
負荷回路95には、電源1から電力が供給され、時計体96には、電源2から電力が供給される。例えば、電源1は3V(ボルト)の電力を供給し、電源2は1.5Vの電力を供給する。
【0016】
ここで、複数の電源電圧に対しそれぞれ複数の閾値を設け、電源電圧がそれぞれの閾値を下回ったか否かを検出したい場合がある。この一例において、電圧検出器91及び電圧検出器92は、電源1が所定の閾値を下回ったか否かを検出する。例えば、電圧検出器91の閾値は2.4Vであり、電圧検出器92の閾値は1.2Vである。電圧検出器91は電源1の電圧が2.4Vを下回った場合に、電圧降下を検出する。電圧検出器92は電源1の電圧が1.2Vを下回った場合に、電圧降下を検出する。電圧検出器91及び電圧検出器92は、検出結果を制御回路90に出力する。同様に、電圧検出器93及び電圧検出器94は、電源2が所定の閾値を下回ったか否かを検出する。例えば、電圧検出器93の閾値は1.2Vであり、電圧検出器94の閾値は1.0Vである。電圧検出器93は電源2の電圧が1.2Vを下回った場合に、電圧降下を検出する。電圧検出器94は電源2の電圧が1.0Vを下回った場合に、電圧降下を検出する。電圧検出器93及び電圧検出器94は、検出結果を制御回路90に出力する。
【0017】
上述したように、従来技術によれば、複数電源の電圧降下を検出したい場合、それぞれの電源電圧ごとに電圧検出器を備えなければならなかった。更に、複数の電源電圧に対しそれぞれ複数の閾値を設け、電源電圧がそれぞれの閾値を下回ったか否かを検出したい場合、それぞれの閾値ごとに電圧検出器を備えなければならなかった。したがって、従来技術によれば、電圧降下を検出したい電源の数及び閾値の数が増えるに従い、電圧検出器の数も増える。よって、従来技術によれば、電圧検出器の数が増えることに伴い、コストが増加し、基板面積も大きくなってしまうという問題点があった。
【0018】
[第1の実施形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
まず、図1から図8を参照しながら、第1の実施形態について説明する。
【0019】
[時計の機能構成]
図1は、第1の実施形態に係る時計1の機能構成の一例を示す図である。同図を参照しながら、時計1の機能構成の一例について説明する。
時計1は、電源装置10と、電源20と、負荷30とを備える。本実施形態において時計1は複数の電源20と、複数の電源20に対応する複数の負荷30とを備える。電源20は、電源20に対応する負荷30を駆動するための電力を供給する。以降、時計1が、第1電源21と、第1電源21に対応する第1負荷31と、第2電源22と、第2電源22に対応する第2負荷32とを備える場合の一例について説明する。
なお、第1電源21と第2電源22とを区別しない場合は電源20と記載し、第1負荷31と第2負荷32とを区別しない場合は、負荷30と記載することがある。
【0020】
電源20は、ユーザにより取り外しが可能な電源である。電源20は、例えば1.5Vの電池等であってもよい。電源20は、時計1が備える不図示の電池ボックスに備えられ、所定の方法によりユーザが電源20の容量が所定の値以下になったことを認識した場合に、ユーザにより、容量が所定の値以下になった電池とは別の電池に取り換えられる。ここで、ユーザが取り換える別の電池とは、未使用の電池である場合もあるし、ある程度使用したことにより容量が既に減っている電池である場合もある。例えばユーザは、時計1の指針が動かなくなったことを認識した場合又は時計1の特定の機能が使えなくなったことを認識した場合等、時計1の電源20の容量が所定の値以下になったことを認識する。時計1は、電池交換表示部を備えることにより、ユーザに電池の交換を促すよう構成されていてもよい。
【0021】
電源装置10は、電源20の電圧降下を検出する。本実施形態においては、時計1は、第1電源21と、第2電源22とを備えているため、電源装置10は、第1電源21における第1電圧V1の電圧降下を検出し、第2電源22における第2電圧V2の電圧降下を検出する。なお、電源装置10は、3以上の複数の電源の電圧降下を検出するよう構成されていてもよい。
【0022】
負荷30は、電源20から供給される電力により駆動される。本実施形態において、電源装置10は、負荷30として、第1負荷31と第2負荷32とを備える。
【0023】
電源装置10は、制御部40と、検出部50と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2とを備える。以降の説明において、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2とを区別しない場合、単にスイッチSWと記載する場合がある。
【0024】
検出部50は、検出電圧入力端子51と、閾値選択端子52と、出力端子53とを備える。検出部50は、検出電圧入力端子51に入力された電圧値が、閾値選択端子52により選択された閾値より大きいか否かを検出する。検出部50は、電圧降下を検出する対象の電源の数と等しい数の検出電圧入力端子51を備える。本実施形態において、電源装置10は、第1電源21及び第2電源22の2つの電源についての電圧降下を検出するため、第1検出電圧入力端子511及び第2検出電圧入力端子512を備える。
【0025】
図2は、第1の実施形態に係る検出部50の機能構成の一例を示す図である。同図を参照しながら、検出部50の機能構成の一例について説明する。検出部50は、コンパレータ540と、DAC(Digital Analog Converter)550とを備える。
【0026】
コンパレータ540は、正極側入力端子541と、負極側入力端子542と、出力端子543とを、入出力端子として備える。正極側入力端子541には、第1検出電圧入力端子511及び第2検出電圧入力端子512が接続される。負極側入力端子542には、DAC550の出力端子552が接続される。出力端子543には、出力端子53が接続される。コンパレータ540は、正極側入力端子541に印加される電圧と、負極側入力端子542に印加される電圧に応じた電圧を、電圧検出信号VDETとして出力端子543に出力する。
【0027】
DAC550は、入力端子551と、出力端子552とを入出力端子として備える。DAC550は、入力端子551に入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を出力端子552に出力する。具体的には、DAC550は、閾値選択端子52に入力された閾値選択信号THSELに応じたアナログ電圧を出力する。閾値選択信号THSELとは、制御部40により出力されるデジタル信号である。
なお、本実施形においては制御部40により出力されたデジタル信号である閾値選択信号THSELにより閾値を選択する構成を採用しているが、この一例に限定されない。例えば、制御部40がアナログ信号を出力することにより、コンパレータ540の負極側入力端子542に閾値電圧を入力するよう構成してもよい。
なお、コンパレータ540の正極側入力端子541及び負極側入力端子542に入力される信号を入れ替えることにより、出力端子543が出力する出力信号の極性を反転させるよう構成してもよい。
【0028】
図1に戻り、第1スイッチSW1は、制御部40により制御され、第1電源21の電圧である第1電圧V1を第1検出電圧入力端子511に入力するか否かを切り替える。すなわち、第1スイッチSW1は、第1負荷31に電力を供給する第1電源21の電圧である第1電圧V1を検出電圧入力端子51に入力するか否かを選択する。
第2スイッチSW2は、制御部40により制御され、第2電源22の電圧である第2電圧V2を第2検出電圧入力端子512に入力するか否かを切り替える。すなわち、第2スイッチSW2は、第1負荷31とは異なる第2負荷32に電力を供給する、第1電源21とは異なる第2電源22の電圧を、検出電圧入力端子51に入力するか否かを選択する。
【0029】
制御部40は、検出結果取得部41と、閾値選択部42と、電圧選択部43とを備える。
閾値選択部42は、閾値選択端子52に入力される電圧を選択する。具体的には、閾値選択部42は、検出部50に閾値選択信号THSELを出力することにより、検出対象の電圧を選択する。
電圧選択部43は、検出電圧入力端子51に入力される電圧を選択する。具体的には、電圧選択部43は、検出電圧選択信号PSSELを出力することにより、第1電源21又は第2電源22のいずれか一方の電圧値を検出電圧入力端子51に入力する。より具体的には、電圧選択部43は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を排他的にオン状態に制御することにより、検出電圧入力端子51に入力される電圧を選択する。すなわち、電圧選択部43は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を排他的にオン状態に制御することにより、第1電源21又は第2電源22のいずれか一方の電圧値を検出電圧入力端子51に入力する。例えば、電圧選択部43は、第1検出電圧選択信号PSSEL1を出力することにより第1スイッチSW1をオン状態に制御し、第2検出電圧選択信号PSSEL2を出力することにより第2スイッチSW2をオン状態に制御する。
検出結果取得部41は、検出部50により検出された結果を取得する。具体的には、検出結果取得部41は、検出部50により電圧降下が検出された場合に出力される信号である電圧検出信号VDETを取得する。
【0030】
[時計の回路構成]
図3は、第1の実施形態に係る電源装置10の回路構成の一例を示す図である。同図を参照しながら、時計1における電源装置10の回路構成の一例について説明する。図1を参照しながら説明した構成と同様の構成については、同様の符号を付すことにより、説明を省略する場合がある。
時計1は、第1電源21と、第2電源22と、第1負荷31と、第2負荷32と、制御部40と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、NOT回路431と、検出部50とを備える。
【0031】
第1負荷31は、LCD(Liquid Crystal Display)、LED(Light Emitting Diode)等の装飾用負荷、標準電波受信、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)等の通信機能、報時機能等の時計を計時する機能以外の機能を有する。制御部40は、第1制御信号SIG1により、第1負荷31を制御する。
第2負荷32は時計を計時する機能を有する。第2負荷32は、具体的には、時計体すなわちステッピングモータ等の指針を運針するための負荷であってもよい。制御部40は、第2制御信号SIG2により、第2負荷32を制御する。
【0032】
この一例において、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、FET(Field Effect Transistor)を含む。第2検出電圧選択信号PSSEL2がHレベルである場合に第2スイッチSW2のゲート端子にはHレベルが入力されるため、第2スイッチSW2はオンし、第2電源22の電圧が検出部50の検出電圧入力端子51に入力される。第1スイッチSW1のゲート端子は、第2スイッチSW2のゲート端子とNOT回路431を介して接続される。したがって、第2検出電圧選択信号PSSEL2がHレベルである場合に第1検出電圧選択信号PSSEL1はLレベルとなるため、第1スイッチSW1はオフである。第2検出電圧選択信号PSSEL2がLレベルである場合に第1検出電圧選択信号PSSEL1はHレベルとなるため、第1スイッチSW1はオンし、第1電源21の電圧が検出部50の検出電圧入力端子51に入力される。すなわち、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、排他的にオン状態に制御される。
【0033】
[各電源の検出電圧と検出タイミング]
図4は、第1の実施形態に係る電源装置10の検出電圧について説明をするための図である。図4(A)は、第1電源21の検出電圧について説明するための図である。図4(B)は、第2電源22の検出電圧について説明するための図である。
【0034】
図4(A)を参照しながら、第1電源21の検出電圧について説明する。第1電源21は、3V系の電源であり、検出回路を含む制御回路を駆動する。この一例において、電源装置10は、第1電源21の電圧が2.4Vより大きいか否か、及び2.3Vより大きいか否かを検出する。電源装置10は、無負荷状態において第1電源21の電圧が2.4Vより下回った場合に、電池切れ予告を行う。具体的には電源装置10は、リセット時及び通常時における無負荷時において、第1電源21の電圧が2.4Vより大きいか否かを検出する。通常時における無負荷時とは、例えば、毎時49分49秒から49分50秒の間であってもよい。この場合、検出結果取得部41は、第1負荷31及び第2負荷32に負荷変動がない期間において検出部50により検出された結果を取得する。
【0035】
また、電源装置10は、第1負荷31の負荷が最大負荷となる状態において、第1電源21の電圧が2.3Vより大きいか否かを検出する。第1負荷31の負荷が最大負荷となる状態とは、例えば、報時中であってもよい。この場合、電圧選択部43は、第1負荷31の電力消費量に基づいたタイミングにおいて、第1スイッチSW1をオン状態に制御することにより第1電源21の電圧値を検出電圧入力端子51に入力し、第2負荷32の電力消費量に基づいたタイミングにおいて、第2スイッチSW2をオン状態に制御することにより第2電源22の電圧値を検出電圧入力端子51に入力する。
【0036】
図4(B)を参照しながら、第2電源22の検出電圧について説明する。第2電源22は、1.5V系の電源であり、指針駆動用のモータを駆動する。この一例において、電源装置10は、第2電源22の電圧が1.35Vより大きいか否か、1.15Vより大きいか否か、及び1.8Vより小さいか否かを検出する。電源装置10は、無負荷状態において第2電源22の電圧が1.35Vより下回った場合に、分針パルス幅切り替えを行う。具体的には電源装置10は、通常時における無負荷時において、第2電源22の電圧が1.35Vより大きいか否かを検出する。分針パルス幅切り替えを行うことにより、低電圧時でも指針駆動ができるようにパルス幅を長くする。また、電源装置10は、負荷状態において第2電源22の電圧が1.15Vより下回った場合に、電池切れ予告を行う。具体的には電源装置10は、リセット時及び通常時における負荷時において、第2電源22の電圧が1.15Vより大きいか否かを検出する。また、電源装置10は、無負荷状態において第2電源22の電圧が1.8Vより上回った場合に、電池切れ予告を行う。具体的には電源装置10は、リセット時及び通常時における無負荷時において、第2電源22の電圧が1.8Vより小さいか否かを検出する。
【0037】
[各電源の判定結果]
図5は、第1の実施形態に係る電源装置10の各電圧の判定結果の一例を示す図である。図5(A)は、第1電源21の検出電圧に基づく判定結果の一例を示す図である。図5(B)は、第2電源22の検出電圧に基づく判定結果の一例を示す図である。電源装置10は、判定結果に基づき、第1負荷31又は第2負荷32を制御する。同図を参照しながら行う説明において、電源電圧が閾値以上である場合の検出結果をHとして、電源電圧が閾値以下である場合の検出結果をLとして記載する。
【0038】
図5(A)を参照しながら、第1電源21の検出電圧に基づく判定結果の一例について説明する。電源装置10は、2.4Vの検出結果がHであり、2.3Vの検出結果がLである場合、第1電源21の電圧は低下していると判定する。電源装置10は、2.4Vの検出結果がHであり、2.3Vの検出結果がHである場合、第1電源21の電圧は正常であると判定する。電源装置10は、2.4Vの検出結果がLであり、2.3Vの検出結果がLである場合、第1電源21の電圧は低下していると判定する。電源装置10は、2.4Vの検出結果がLであり、2.3Vの検出結果がHである場合、第1電源21の電圧は低下していると判定する。すなわち、電源装置10は、2.4Vの検出結果及び2.3Vの検出結果がいずれもHである場合には正常と判定し、2.4Vの検出結果又は2.3Vの検出結果のいずれか一方でもLである場合には低下と判定する。
【0039】
図5(B)を参照しながら、第2電源22の検出電圧に基づく判定結果の一例について説明する。電源装置10は、1.15Vの検出結果がHであり、1.8Vの検出結果がLである場合、第2電源22の電圧は正常であると判定する。電源装置10は、1.15Vの検出結果がHであり、1.8Vの検出結果がHである場合、第2電源22の電圧は低下していると判定する。電源装置10は、1.15Vの検出結果がLであり、1.8Vの検出結果がLである場合、第2電源22の電圧は低下していると判定する。電源装置10は、1.15Vの検出結果がLであり、1.8Vの検出結果がHである場合、第2電源22の電圧は低下していると判定する。すなわち、電源装置10は、1.15Vの検出結果がHであり、かつ1.8Vの検出結果がLである場合には正常と判定し、その他の場合には低下と判定する。
【0040】
[電池切れ予告判定]
図6は、第1の実施形態に係る電源装置10の電池切れ予告判定の一例を示す図である。同図を参照しながら、電池切れ予告判定の一例について説明する。
電源装置10は、各電源の判定結果に基づき、電池切れ予告判定を行う。同図における説明では、第1電源21の電圧を“制御回路用”と記載し、第2電源22の電圧を“ムーブ用”と記載する。電源装置10は、第1電源21の電圧が正常であり、かつ第2電源22の電圧が正常である場合、電池切れ予告判定は正常であると判定し、電池切れ予告を行わない。電源装置10は、第1電源21の電圧が低下であり、第2電源22の電圧が正常である場合、電池切れ予告判定は低下であると判定し、電池切れ予告を行う。電源装置10は、第1電源21の電圧が正常であり、第2電源22の電圧が低下である場合、電池切れ予告判定は低下であると判定し、電池切れ予告を行う。電源装置10は、第1電源21の電圧が低下であり、第2電源22の電圧が低下である場合、電池切れ予告判定は低下であると判定し、電池切れ予告を行う。すなわち、電源装置10は、第1電源21及び第2電源22の電圧のうち少なくとも一方が低下である場合、電池切れ予告判定は低下であると判定し、電池切れ予告を行う。
【0041】
[判定結果と挙動]
図7は、第1の実施形態に係る電源装置10の判定結果と挙動の一例を示す図である。同図を参照しながら、電源装置10の判定結果と挙動の一例について説明する。
電源装置10は、電池切れ予告判定の結果、正常である場合には、秒針を通常運針し、電池マークを消灯する。電源装置10は、電池切れ予告判定の結果、低下である場合には、秒針を00秒の位置に停止し、電池マークを点滅させる。
【0042】
[電源装置の一連の動作]
図8は、第1の実施形態に係る電源装置10の一連の動作について説明をするための図である。同図を参照しながら、電源装置10の一連の動作について説明する。
(ステップS110)不図示の時計制御部は、リセット動作が行われた場合、IO端子の初期化、RAM(Random Access Memory)の初期化等の通常動作に要する初期設定を行う。リセット動作は、例えば、電源投入時又はリセットボタン押下時等に行われる。
(ステップS120)電源装置10は、通常モードで起動した場合(すなわち、ステップS120;YES)、処理をステップS130に進める。電源装置10は、通常モード以外のモードで起動した場合(すなわち、ステップS120;NO)、処理を終了する。
【0043】
(ステップS130)電源装置10は、第2電源22を選択する。具体的には、電圧選択部43は、検出電圧選択信号PSSELを制御することにより、第1スイッチSW1をオフに、第2スイッチSW2をオンに制御する。第1スイッチSW1がオフに、第2スイッチSW2がオンに制御された結果、第2電源22の第2電圧V2が検出電圧入力端子51に入力される。以降、第1電源21の電圧を検出電圧入力端子51に入力するか否かを選択する工程を、第1選択工程とも記載する場合がある。また、第2電源22の電圧を検出電圧入力端子51に入力するか否かを選択する工程を、第2選択工程とも記載する場合がある。
(ステップS140)電源装置10は、検出電圧閾値を1.15Vに設定する。具体的には、閾値選択部42は、閾値選択信号THSELを制御することにより、検出電圧閾値を1.15Vに設定する。
(ステップS150)電源装置10は、第2電源22の電圧が1.15Vより下回っているか否かの検出を開始する。具体的には、検出結果取得部41は、検出電圧選択信号PSSEL及び閾値選択信号THSELを制御してから所定期間経過後の電圧検出信号VDETを確認する。
(ステップS160)電源装置10は、検出結果取得部41により取得された電圧検出信号VDETに基づく判定をし、判定結果を保存する。
【0044】
(ステップS170)電源装置10は、検出電圧閾値を1.8Vに設定する。具体的には、閾値選択部42は、閾値選択信号THSELを制御することにより、検出電圧閾値を1.8Vに設定する。ここで、本実施形においては、検出電圧入力端子51に入力される電圧が特定の電圧に固定されている状態において、閾値選択端子52を切り替える。すなわち、閾値選択部42は、電圧選択部43により第1電源21又は第2電源22のいずれか一方の電圧値が検出電圧入力端子51に入力されている状態において、閾値選択端子52に入力される電圧を、複数の電圧値に切り替える。
(ステップS180)電源装置10は、第2電源22の電圧が1.8Vより下回っているか否かの検出を開始する。具体的には、検出結果取得部41は、検出電圧選択信号PSSEL及び閾値選択信号THSELを制御してから所定期間経過後の電圧検出信号VDETを確認する。
(ステップS190)電源装置10は、検出結果取得部41により取得された電圧検出信号VDETに基づく判定をし、判定結果を保存する。
【0045】
(ステップS200)電源装置10は、第1電源21を選択する。具体的には、電圧選択部43は、検出電圧選択信号PSSELを制御することにより、第1スイッチSW1をオンに、第2スイッチSW2をオフに制御する。第1スイッチSW1がオンに、第2スイッチSW2がオフに制御された結果、第1電源21の第1電圧V1が検出電圧入力端子51に入力される。
(ステップS210)電源装置10は、検出電圧閾値を2.4Vに設定する。具体的には、閾値選択部42は、閾値選択信号THSELを制御することにより、検出電圧閾値を2.4Vに設定する。
(ステップS220)電源装置10は、第2電源22の電圧が2.4Vより下回っているか否かの検出を開始する。具体的には、検出結果取得部41は、検出電圧選択信号PSSEL及び閾値選択信号THSELを制御してから所定期間経過後の電圧検出信号VDETを確認する。
(ステップS230)電源装置10は、検出結果取得部41により取得された電圧検出信号VDETに基づく判定をし、判定結果を保存する。
【0046】
(ステップS240)電源装置10は、ステップS160において保存した判定結果が、第2電源22の電圧が1.15V以上である場合(すなわち、ステップS240;YES)、処理をステップS250に進める。電源装置10は、ステップS160において保存した判定結果が、第2電源22の電圧が1.15V以上であるものでない場合(すなわち、ステップS240;NO)、処理をステップS340に進める。
(ステップS250)電源装置10は、ステップS190において保存した判定結果が、第2電源22の電圧が1.8V未満である場合(すなわち、ステップS250;YES)、処理をステップS260に進める。電源装置10は、ステップS190において保存した判定結果が、第2電源22の電圧が1.8V未満であるものでない場合(すなわち、ステップS250;NO)、処理をステップS340に進める。
(ステップS260)電源装置10は、ステップS230において保存した判定結果が、第1電源21の電圧が2.4V以上である場合(すなわち、ステップS260;YES)、処理をステップS270に進める。電源装置10は、ステップS230において保存した判定結果が、第1電源21の電圧が2.4V以上であるものでない場合(すなわち、ステップS260;NO)、処理をステップS340に進める。
【0047】
(ステップS270)電源装置10は、第1電源21及び第2電源22の電圧が正常であると判定し、不図示の時計制御部は電池マークを消灯させる。
(ステップS280)時計制御部は、通常モードにおける動作の初期化に要するその他の処理を行う。なお、通常モードにおける動作の初期化に要するその他の処理とは、例えば、不図示のCPU(Central Processing Unit)が備える各機能を初期化する処理等であってもよい。
【0048】
(ステップS290)電源装置10は、第2電源22を選択する。具体的には、電圧選択部43は、検出電圧選択信号PSSELを制御することにより、第1スイッチSW1をオフに、第2スイッチSW2をオンに制御する。第1スイッチSW1がオフに、第2スイッチSW2がオンに制御された結果、第2電源22の第2電圧V2が検出電圧入力端子51に入力される。
(ステップS300)電源装置10は、検出電圧閾値を1.35Vに設定する。具体的には、閾値選択部42は、閾値選択信号THSELを制御することにより、検出電圧閾値を1.35Vに設定する。
(ステップS310)電源装置10は、第2電源22の電圧が1.35Vより下回っているか否かの検出を開始する。具体的には、検出結果取得部41は、検出電圧選択信号PSSEL及び閾値選択信号THSELを制御してから所定期間経過後の電圧検出信号VDETを確認する。
【0049】
(ステップS320)時計制御部は、第2電源22の電圧が1.35V以上である場合(すなわち、ステップS320;YES)、処理をステップS330に進める。時計制御部は、第2電源22の電圧が1.35V以上でない場合(すなわち、ステップS320;NO)、処理をステップS335に進める。
(ステップS330)時計制御部は、分針パルス幅を標準パルス幅にて制御する。すなわち、時計制御部は、通常の電力消費モードにおいて時計体を制御する。
(ステップS335)時計制御部は、分針パルス幅を標準パルス幅より長いパルス幅にて制御する。すなわち、時計制御部は、低電圧でも時分針を駆動できるパルス幅で制御する。
【0050】
(ステップS340)時計制御部は、リセットが行われてから30秒経過したか否かを判定する。時計制御部は、30秒経過した場合(すなわち、ステップS340;YES)、処理をステップS350に進める。時計制御部は、30秒経過していない場合(すなわち、ステップS340;NO)、処理をステップS370に進める。
(ステップS360)電源装置10は、動作を停止する。
(ステップS370)時計制御部は、電池マークを点滅させ、処理をステップS130に進める。
【0051】
[第1の実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、電源装置10は、検出部50を備えることにより、検出電圧入力端子51に入力された電圧値が閾値選択端子52により選択された閾値より大きいか否かを検出する。また、電源装置10は、電圧選択部43を備えることにより検出電圧入力端子51に入力される電圧を選択する。したがって、本実施形によれば、複数の電圧検出器を備えることなく、複数の電圧について、電圧降下の測定をすることができる。すなわち、単一の電圧検出器により、複数の電圧についての電圧降下の測定をすることができる。
また、電源装置10は、閾値選択部42を備えることにより閾値選択端子52に入力される電圧を選択する。したがって、本実施形によれば、複数の電圧検出器を備えることなく、複数の閾値について、電圧降下の測定をすることができる。すなわち、単一の電圧検出器により、複数の閾値についての電圧降下の測定をすることができる。
よって、本実施形によれば、単一の電圧検出器により、複数の電圧について複数の閾値の電圧降下の測定をすることができる。
【0052】
また、以上説明した実施形態によれば、電源装置10において、閾値選択部42は、電圧選択部43により第1電源21又は第2電源22のいずれか一方の電圧値が検出電圧入力端子51に入力されている状態において、閾値選択端子52に入力される電圧を、複数の電圧値に切り替える。すなわち、電源装置10は、検出対象の電圧を固定した状態において、閾値を切り替える。したがって、電源装置10は、検出対象の電圧を変更したことによる電圧変動の影響を受けることなく、検出対象の閾値を切り替えることができる。すなわち、本実施形によれば、電源装置10は、検出対象の電圧を変更したことによる電圧変動が減衰するまでの間、待つことを要せず、短時間で検出対象の電圧及び閾値の検出をすることができる。
【0053】
また、以上説明した実施形態によれば、電源装置10は、負荷変動がない期間における電圧降下を検出する。したがって、電源装置10は、無負荷状態における電源20の電圧降下を検出することができる。
【0054】
また、以上説明した実施形態によれば、電源装置10は、それぞれの負荷30の電力消費量に基づいたタイミングにおいて電圧値を検出する。したがって、電源装置10は、負荷が最大の状態における、電源20の電圧降下を検出することができる。
【0055】
[第2の実施形態]
次に、図9及び図10を参照しながら、第2の実施形態について説明する。
図9は、第2の実施形態に係る電源装置の寄生ダイオードについて説明をするための図である。同図を参照しながら、第2の実施形態に係る電源装置10の寄生ダイオードについて説明する。第1の実施形態において説明した構成と同様の構成については、同様の符号を付すことにより、説明を省略する場合がある。
【0056】
第2スイッチSW2を構成する回路素子としてpチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いた場合、pチャネルMOSFETはドレイン-ソース間に寄生ダイオードDを有する。この場合、第1電源21の電圧と第2電源22の電圧との差に応じて、第1電源21から第2電源22へ電流が回り込んでしまう場合がある。具体的には、第1スイッチSW1がオンし、第2スイッチSW2がオフしている場合において、第1電源21から、第1スイッチSW1のソース-ドレイン間に電流が流れ、寄生ダイオードDのアノード-カソード間に電流が流れることにより、第1電源21から第2電源22へ電流が回り込んでしまう場合がある。このような現象は、第1電源21の電圧と第2電源22の電圧との差が、寄生ダイオードDの順方向電圧VF及び第1スイッチSW1のオン抵抗に基づく電圧降下の合計値より大きい場合に生じる場合がある。第2の実施形態においては、第1電源21から第2電源22への電流の回り込みを抑止する。
【0057】
図10は、第2の実施形態に係る電源装置10Aの回路構成について説明をするための図である。電源装置10Aは、第2スイッチSW2に代えて、第2スイッチSW2Aを備える点において、電源装置10とは異なる。電源装置10と同様の構成については、同様の符号を付すことにより、説明を省略する場合がある。
【0058】
本実施形において、第1電源21の電圧値は、第2電源22の電圧値よりも大きい。具体的には、第1電源21の電圧値は3Vであるのに対し、第2電源22の電圧値は1.5Vである。この場合、電圧値が低い第2電源22を制御する第2スイッチSW2Aは、バイポーラトランジスタを含む。
なお、本実施形において、電圧値が高い第1電源21を制御する第1スイッチSW1は、バイポーラトランジスタよりも電圧降下の低いFETを用いるよう構成されていてもよい。
【0059】
[第2の実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、電源装置10において、第2スイッチSW2Aは、バイポーラトランジスタを含む。バイポーラトランジスタは、寄生ダイオードを有さないため、エミッタ-コレクタ間に電流が流れることはない。したがって、本実施形によれば、第2スイッチSW2Aは、バイポーラトランジスタを含むことにより、第1電源21から第2電源22へ電流が回り込んでしまうことを抑止することができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明したが、具体的な構成が上述した実施形態に限られるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での設計変更等も含まれる。
【0061】
なお、上述した実施形態における時計1及び電源装置10が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0062】
1…時計、10…電源装置、20…電源、21…第1電源、22…第2電源、30…負荷、31…第1負荷、32…第2負荷、SW…スイッチ、SW1…第1スイッチ、SW2…第2スイッチ、40…制御部、41…検出結果取得部、42…閾値選択部、43…電圧選択部、431…NOT回路、50…検出部、51…検出電圧入力端子、511…第1検出電圧入力端子、512…第2検出電圧入力端子、52…閾値選択端子、53…出力端子、540…コンパレータ、550…DAC、V1…第1電圧、V2…第2電圧、PSSEL…検出電圧選択信号、PSSEL1…第1検出電圧選択信号、PSSEL2…第2検出電圧選択信号、THSEL…閾値選択信号、VDET…電圧検出信号、SIG1…第1制御信号、SIG2…第2制御信号、D…ダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2021-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出電圧入力端子と閾値選択端子とを備え、前記検出電圧入力端子に入力された複数の電圧値が前記閾値選択端子により選択された前記複数の電圧値のそれぞれに対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出部と、
前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択部と、
第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1スイッチと、
前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2スイッチと、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを排他的にオン状態に制御することにより、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択部と
を備える電源装置。
【請求項2】
前記閾値選択部は、前記電圧選択部により前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値が前記検出電圧入力端子に入力されている状態において、前記閾値選択端子に入力される電圧を、複数の電圧値に切り替える
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記検出部により検出された結果を取得する検出結果取得部を更に備え、
前記検出結果取得部は、前記第1負荷及び前記第2負荷に負荷変動がない期間において前記検出部により検出された結果を取得する
請求項1又は請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記電圧選択部は、前記第1負荷の電力消費量に基づいたタイミングにおいて、前記第1スイッチをオン状態に制御することにより前記第1電源の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力し、前記第2負荷の電力消費量に基づいたタイミングにおいて、前記第2スイッチをオン状態に制御することにより前記第2電源の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する
請求項1から請求項2のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記第1電源の電圧値は、前記第2電源の電圧値よりも大きく、
前記第2スイッチは、バイポーラトランジスタを含む
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記第1負荷と、
前記第1負荷に電力を供給する前記第1電源と、
前記第1負荷とは異なる前記第2負荷と、
前記第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる前記第2電源と、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電源装置と
を備える時計。
【請求項7】
検出電圧入力端子に入力された複数の電圧値が閾値選択端子により選択された前記複数の電圧値のそれぞれに対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出工程と、
前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択工程と、
第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1選択工程と、
前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2選択工程と、
前記第1選択工程及び前記第2選択工程により、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択工程と
を有する電圧検出方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の一態様に係る電源装置は、検出電圧入力端子と閾値選択端子とを備え、前記検出電圧入力端子に入力された複数の電圧値が前記閾値選択端子により選択された前記複数の電圧値のそれぞれに対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出部と、前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択部と、第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1スイッチと、前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2スイッチと、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを排他的にオン状態に制御することにより、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択部とを備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また、本発明の一態様に係る電圧検出方法は、検出電圧入力端子に入力された複数の電圧値が閾値選択端子により選択された前記複数の電圧値のそれぞれに対応する複数の閾値より大きいか否かを検出する検出工程と、前記閾値選択端子に入力される電圧を選択する閾値選択工程と、第1負荷に電力を供給する第1電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第1選択工程と、前記第1負荷とは異なる第2負荷に電力を供給する、前記第1電源とは異なる第2電源の電圧を前記検出電圧入力端子に入力するか否かを選択する第2選択工程と、前記第1選択工程及び前記第2選択工程により、前記第1電源又は前記第2電源のいずれか一方の電圧値を前記検出電圧入力端子に入力する電圧選択工程とを有する。