(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022059990
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】要冷機器の電力削減システム
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20220407BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
F25D11/00 101E
F25B49/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167943
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】520385674
【氏名又は名称】株式会社マイカンパニー
(71)【出願人】
【識別番号】520385375
【氏名又は名称】野垣 建二
(74)【代理人】
【識別番号】110000073
【氏名又は名称】特許業務法人プロテック
(74)【代理人】
【識別番号】100167070
【弁理士】
【氏名又は名称】狹武 哲詩
(74)【代理人】
【識別番号】100108051
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 生央
(72)【発明者】
【氏名】都築 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】野垣 建二
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045AA03
3L045AA05
3L045AA06
3L045CA02
3L045DA02
3L045LA05
3L045LA12
3L045LA15
3L045LA16
3L045MA05
3L045MA20
3L045NA09
3L045NA19
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA05
(57)【要約】
【課題】既存の要冷機器システムに機器を追加して、電力削減を実現する。
【解決手段】ヒートポンプシステムと、要冷ケース温度計と、外気温度計と、コンプレッサー電力量計と、電力削減コンピューターとを有する要冷機器の電力削減システムであって、前記電力削減コンピューターは、通信装置と、外気温情報受領装置と、ケース温度情報受領装置と、電力情報受領装置と、データベース装置と、電力削減プラン設定装置と、コンプレッサーオンオフ制御回路と、制御信号発生装置と、電力消費量保存装置と、電力削減率計算装置と、電力削減プラン再設定装置とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
要冷ケース内に設けられた熱交換器である蒸発器と、室外に設けられた熱交換器である凝縮器と、前記蒸発器を通った冷媒を圧縮して高温高圧にして前記凝縮器に送るコンプレッサーと、前記凝縮器を通った冷媒を急激に膨張させて低温低圧にして前記蒸発器に送る膨張弁と、前記蒸発器から前記コンプレッサーまで、前記コンプレッサーから前記凝縮器まで、前記凝縮器から前記膨張弁まで、前記膨張弁から前記蒸発器までを結ぶ配管とからなるヒートポンプシステムと、
前記要冷ケース内の温度を測り、当該要冷ケース温度情報を送信する通信機能付き要冷ケース温度計と、
前記コンプレッサーを駆動するモーターが消費する電力を計測し、当該電力消費情報を外部に送る通信機能付きコンプレッサー電力量計と、
前記通信機能付き要冷ケース温度計からの要冷ケース温度情報に基づいて、コンプレッサーのオンオフを制御する電力削減コンピューターとを有する要冷機器の電力削減システムであって、
前記電力削減コンピューターは、
通信を実行する通信装置と、
前記通信機能付き要冷ケース温度計から要冷ケース温度情報を受領するケース温度情報受領装置と、
前記通信機能付きコンプレッサー電力量計からコンプレッサーの消費電力情報を受領する電力情報受領装置と、
前記ケース温度情報受領装置が受領した要冷ケース温度情報、前記電力情報受領装置が受領した消費電力情報を含む情報を検索可能に保存するデータベース装置と、
前記コンプレッサーのオンオフを要冷ケース温度情報に基づいて実行するプランと、前記コンプレッサーをオンにし続けるプランとを切り替えることを可能にする電力削減プラン設定装置と、
前記コンプレッサーのオンオフを制御するコンプレッサーオンオフ制御回路と、
前記電力削減プラン設定装置が設定したプランと、前記要冷ケース温度情報とに基づいて、前記コンプレッサーオンオフ制御回路に送る制御信号を発生する制御信号発生装置と、
前記電力情報受領装置が受領した消費電力情報に基づいて、日々の電力消費量を前記外気温情報及び電力削減プランがどちらであるかの情報とともに前記データベース装置に保存する電力消費量保存装置と
を有することを特徴とする電力削減システム。
【請求項2】
請求項1に記載する電力削減システムであって、
前記電力削減コンピューターは、さらに、
前記ケース温度情報受領装置が受領する要冷ケース温度情報が、許容範囲内から許容範囲外へ変化する際、及び許容範囲外から許容範囲内へ変化する際に、その旨をメンテナンス担当者の用いる外部端末へ通知するアラートメール発信装置を有することを特徴とする電力削減システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する電力削減システムであって、
前記電力削減コンピューターは、さらに、
前記電力消費量消費量保存装置が保存した電力消費量に基づいて、外気温が近似し、電力削減プランが異なる日の電力消費量に基づいて、電力削減率を計算する電力削減実績計算装置と、
前記電力削減率計算装置が計算した電力削減率に基づいて、前記電力削減プラン設定装置が設定したプランを再設定する電力削減プラン再設定装置と
を有することを特徴とする電力削減システム。
【請求項4】
前記電力削減コンピューターは、遠隔地のメンテナンス担当者が用いる端末機器からアクセス可能であり、遠隔地から動作状況の監視が可能であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載する電力削減システム。
【請求項5】
前記電力削減コンピューターは、遠隔地のメンテナンス担当者が用いる端末機器からアクセス可能であり、遠隔地から前記電力削減プラン再設定装置を制御可能であることを特徴とする請求項3に記載する電力削減システム。
【請求項6】
前記要冷ケース又は前記ヒートポンプシステムが、同一の店舗に複数存在し、前記電力削減コンピューターは単一の装置を用いてそれらの複数の要冷ケース又はヒートポンプシステムを制御することを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載する電力削減システム。
【請求項7】
前記通信機能付き要冷ケース温度計又は前記通信機能付きコンプレッサー電力量計は、複数の要冷ケース又は複数のヒートポンプシステムを代表する一つに設置することを特徴とする請求項6に記載する電力削減システム。
【請求項8】
前記電力削減コンピューターは、さらに、前記電力削減実績計算装置の計算結果に基づいて、電力削減プランの違いによる電力コストを比較するコスト比較装置を有することを特徴とする請求項3又は請求項5に記載する電力削減システム。
【請求項9】
前記電力削減コンピューターは、さらに、前記電力削減実績計算装置の計算結果及び前記コスト比較装置の比較結果を外部に見せることが可能なウェブページを作成するウェブページ作成装置を有することを特徴とする請求項3、請求項5又は請求項8のいずれか1項に記載する電力削減システム。
【請求項10】
前記電力削減コンピューターは、さらに、外部に見せる情報から、個人情報を捨象する個人情報捨象装置を有することを特徴とする請求項9に記載する電力削減システム。
【請求項11】
前記電力削減コンピューターは、前記コスト比較装置の出力に基づいて、前記電力削減プラン再設定装置が動作して、電力削減プランを再設定することを特徴とする請求項10に記載する電力削減システム。
【請求項12】
請求項1に記載した電力削減システムであって、前記コンプレッサーの出力側にリザーブタンクを設けて、当該リザーブタンクの出力を前記凝縮器に供給することを特徴とする電力削減システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット、デパートメントストアなどの冷蔵又は冷凍を要する場所でヒートポンプシステムに用いるコンプレッサーがインバーター制御ではない(インバーター制御機能を持たないか、持っていてもそれを使わない)場合において、オンオフ制御を行うことで要冷機器の電力を削減するコンピューターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ファンを駆動することによってフィルタを介して取り込まれた熱媒体を、冷媒が供給される熱交換器で調温して吹き出す空調機と接続される空調制御装置において、 前記熱交換器に冷媒を供給しない状態で前記ファンを駆動する前記空調機の検査運転を実行する制御手段と、前記検査運転中に前記熱交換器の近傍に設けられた温度センサによって計測された前記熱交換器に関する温度を示す温度データ及び当該温度が計測された時刻を含むログデータを取得するログデータ取得手段と、前記取得されたログデータに基づいて前記フィルタの詰まりを検査する検査処理手段とを具備する空調制御装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、各要冷機器内に取り付けられた制御対象と、該各制御対象に対して個別に設けられ、該各制御対象をオン・オフ制御する個別スイッチ手段とが、接続線を介して直列に接続されて、前記制御対象と前記個別スイッチ手段とに電圧が印加されている要冷機器の制御回路において、前記個別スイッチ手段の電源側端子と接地側端子とから、それぞれ第1、第2引出線を引き出し、かつ前記制御対象の電源側端子と接地側端子とから、それぞれ第3、第4引出線を引き出し、また前記個別スイッチ手段の前記接地側端子と前記制御対象の前記電源側端子とを接続している前記接続線を切断すると共に、前記制御対象の前記電源側端子から更に引き出した第5引出線を、前記第2引出線に前記要冷機器外で接続し、しかも前記個別スイッチ手段から引き出した第1、第2引出線に、前記制御対象を前記要冷機器外でオン・オフ制御する外部個別スイッチ手段を接続し、該各外部個別スイッチ手段を前記各要冷機器外の一箇所に集約したことを特徴とする要冷機器の制御回路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-076558号公報
【特許文献2】実登3129951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
要冷機器を用いる場所では、電力を削減したいという課題がある。一方で、ヒートポンプシステムのコンプレッサーに用いるモーターには、インバーター制御のものもあるが、インバータでは、常時電力使用しており、電力供給上の不利益が指摘されることがある。
本発明の発明者は、特許文献2に示す要冷機器の制御回路を考案した。そして、インバーター制御ではないコンプレッサー(コンプレッサーがインバーター制御機能を持たないか、持っていてもそれを使わない場合)のオンオフを細かく制御することで、電力消費を削減できる可能性があるとみて、実験を繰り返してきた。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、既存の要冷機器システムに機器を追加して、電力削減を実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る要冷機器の電力削減システムは、
要冷ケース内に設けられた熱交換器である蒸発器と、室外に設けられた熱交換器である凝縮器と、前記蒸発器を通った冷媒を圧縮して高温高圧にして前記凝縮器に送るコンプレッサーと、前記凝縮器を通った冷媒を急激に膨張させて低温低圧にして前記蒸発器に送る膨張弁と、前記蒸発器から前記コンプレッサーまで、前記コンプレッサーから前記凝縮器まで、前記凝縮器から前記膨張弁まで、前記膨張弁から前記蒸発器までを結ぶ配管とからなるヒートポンプシステムと、
前記要冷ケース内の温度を測り、当該要冷ケース温度情報を送信する通信機能付き要冷ケース温度計と、
前記コンプレッサーを駆動するモーターが消費する電力を計測し、当該電力消費情報を送信する通信機能付きコンプレッサー電力量計と、
前記通信機能付き要冷ケース温度計からの要冷ケース温度情報に基づいて、コンプレッサーのオンオフを制御する電力削減コンピューターとを有する要冷機器の電力削減システムであって、
前記電力削減コンピューターは、
通信を実行する通信装置と、
前記通信機能付き要冷ケース温度計から要冷ケース温度情報を受領するケース温度情報受領装置と、
前記通信機能付きコンプレッサー電力量計からコンプレッサーの消費電力情報を受領する電力情報受領装置と、
前記ケース温度情報受領装置が受領した要冷ケース温度情報、前記電力情報受領装置が受領した消費電力情報を含む情報を検索可能に保存するデータベース装置と、
前記コンプレッサーのオンオフを要冷ケース温度情報に基づいて実行するプランと、前記コンプレッサーをオンにし続けるプランとを切り替えることを可能にする電力削減プラン設定装置と、
前記コンプレッサーのオンオフを制御するコンプレッサーオンオフ制御回路と、
前記電力削減プラン設定装置が設定したプランと、前記要冷ケース温度情報とに基づいて、前記コンプレッサーオンオフ制御回路に送る制御信号を発生する制御信号発生装置と、
前記電力情報受領装置が受領した消費電力情報に基づいて、日々の電力消費量を前記外気温情報及び電力削減プランがどちらであるかの情報とともに前記データベース装置に保存する電力消費量保存装置と、
前記電力消費量消費量保存装置が保存した電力消費量に基づいて、外気温が近似し、電力削減プランが異なる日の電力消費量に基づいて、電力削減率を計算する電力削減実績計算装置と、
前記電力削減率計算装置が計算した電力削減率に基づいて、前記電力削減プラン設定装置が設定したプランを再設定する電力削減プラン再設定装置と
を有することを特徴とする
これにより、既存システムに最小限の機器を追加することにより、電力削減を可能にする。
【0008】
前記電力削減コンピューターは、さらに、
前記ケース温度情報受領装置が受領する要冷ケース温度情報が、許容範囲内から許容範囲外へ変化する際、及び許容範囲外から許容範囲内へ変化する際に、その旨をメンテナンス担当者の用いる外部端末へ通知するアラートメール発信装置を有することを特徴とする。
これにより、外部端末を有するメンテナンス担当者へ、異常事態の発生を速やかに通知することが可能となる。
【0009】
前記電力削減コンピューターは、さらに
前記電力消費量消費量保存装置が保存した電力消費量に基づいて、外気温が近似し、電力削減プランが異なる日の電力消費量に基づいて、電力削減率を計算する電力削減実績計算装置と、
前記電力削減率計算装置が計算した電力削減率に基づいて、前記電力削減プラン設定装置が設定したプランを再設定する電力削減プラン再設定装置と
を有することを特徴とする。
これにより、電力削減実績を確認した上で、適切な電力削減プランの再設定が可能となる。
【0010】
また、前記電力削減コンピューターは、遠隔地のメンテナンス担当者の端末機器につながり、遠隔地から動作状況のモニターが可能であることを特徴とする。
これにより、メンテナンス担当者が現場に足を運ばなくとも、動作状況を確認できる。
【0011】
また、前記電力削減コンピューターは、遠隔地のメンテナンス担当者の端末機器につながり、遠隔地から前記電力削減プラン再設定装置を制御可能であることを特徴とする。
これにより、メンテナンス担当者は、現場に足を運ばなくとも、電力削減プランの切り替えをすることができる。
【0012】
また、前記要冷ケース又は前記ヒートポンプシステムが、同一の店舗に複数存在し、前記電力削減コンピューターは単一の装置を用いてそれらの複数の要冷ケース又はヒートポンプシステムを制御することを特徴とする。
これにより、最小限の機器の設置により、電力削減効果をあげることができる。
【0013】
また、前記通信機能付き要冷ケース温度計又は前記通信機能付きコンプレッサー電力量計は、複数の要冷ケース又は複数のヒートポンプシステムを代表する一つに設置することを特徴とする。
これにより、より少ない機器の設置により、電力削減効果をあげることができる。
【0014】
また、前記電力削減コンピューターは、さらに、前記電力削減実績計算装置の計算結果に基づいて、電力削減プランの違いによる電力コストを比較するコスト比較装置を有することを特徴とする。
これにより、オンオフ制御を実行する場合と、オフにしない場合との電力コストの比較をするデータを作成できる。
【0015】
また、前記電力削減コンピューターは、さらに、前記電力削減実績計算装置の計算結果及び前記コスト比較装置の比較結果を外部に見せることが可能なウェブページを作成するウェブページ作成装置を有する。
これにより、外部からアクセスして、電力削減効果を見ることができる。
【0016】
また、前記電力削減コンピューターは、さらに、外部に見せる情報から、個人情報を捨象する個人情報捨象装置を有する。
これにより、この電力削減システムを導入したい見込み客や、検討をしている客に対しても、電力削減実績を見せることができる。
さらに、前記電力削減システムは、前記コンプレッサーの出力側にリザーブタンクを設けて、当該リザーブタンクの出力を前記凝縮器に供給することを特徴とする。
これにより、コンプレッサーのオフ時にも、安定して冷媒を供給可能である。
【0017】
また、前記電力削減コンピューターは、前記コスト比較装置の出力に基づいて、前記電力削減プラン再設定装置が動作して、電力削減プランを再設定することを特徴とする。
これにより、メンテナンス担当者が、監視を続けなくても、適切な電力削減プランに再設定して、運転を続けることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上、説明したように、本発明の電力削減システムは、、既存システムに最小限の機器を追加することにより、電力削減を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る電力削減システムの全体を示すシステム構成図である。
【
図2】電力削減コンピューターの構成を示す図である。
【
図3】電力削減の実績について2019年5月前半の計測結果である。
【
図4】電力削減の実績について2019年5月後半の計測結果である。
【
図5】電力削減の実績について2019年8月前半の計測結果である。
【
図6】電力削減の実績について2019年8月後半の計測結果である。
【
図7】電力削減の実績について2019年11月前半の計測結果である。
【
図8】電力削減の実績について2019年11月後半の計測結果である。
【
図9】電力削減の実績について2020年2月前半の計測結果である。
【
図10】電力削減の実績について2020年2月後半の計測結果である。
【
図11】要冷ケースがバルブを有している場合のシステム構成図である。
【
図12】コンプレッサーの出力側にリザーブタンクを設けた実施例を示すシステム構成図である。
【
図13】コンプレッサー自動制御仕様の判定要素を示す図である。
【
図14】コンプレッサー自動制御仕様の判定値を示す図である。
【
図15】コンプレッサー自動制御仕様がもつ従来の要冷機器にない新規要素を示す図である。
【
図16】コンプレッサー自動制御仕様において、現在の温度が、他の設定温度との関係で、いずれの温度帯にあるかを示す図である。
【
図17】コンプレッサー自動制御による、温度変化を示すグラフである。
【
図18】コンプレッサー自動制御仕様の制御の方針を示す図である。
【
図19】コンプレッサー自動制御仕様の制御の考え方を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の要冷機器の電力削減システムを実施するための最良の形態を詳細に説明する。
図1から
図2までは、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0021】
図1は、本発明の電力削減システムの全体を示すシステム構成図である。
図1に示す機器のうち、既存のシステムに追加する機器は、
図2に詳細を示す電力削減コンピューター10、コンプレッサーのモーターが消費する電力量を計測し、その情報をする(コンプレッサーの)電力量計22、要冷ケース内部の温度を測定し、その情報を電力削減コンピュータ10に送信する(通信機能付き)要冷ケース温度計31、外気温を測定し、その情報を電力削減コンピュータ10に送信する(通信機能付き)外気温度計33である。外気温度計は、必ずしも本システムの内部に設けなくともよい。例えば、気象庁が発表するその地域の気温を用いることとしてもよい。
要冷ケース30の内部に熱交換器(蒸発器)25と、熱交換器(蒸発器)25の霜を取るための霜取りヒーター32と、熱交換器(蒸発器)25との組み合わせでヒートポンプシステム20を構成するコンプレッサー21、凝縮器23、膨張弁24は、既存の要冷機器のシステムにもともとあるものである。
【0022】
図2は、本発明のシステムの電力削減コンピューター内の構成を示す図である。
通信装置44は、電力削減コンピュータ10との間で通信を必要とする機器、たとえば、要冷ケース温度計31、外気温度計33、電力量計22などとの間で通信を実行する装置である。また、通信装置44は、本システムのメンテナンス担当者が用いる通信端末からのアクセスを必要に応じて可能とすることもできる。
外気温情報受領装置45は、外気温度計33から定期的、例えば6秒ごとに送られてくる外気温情報を受け取って、データベース装置48に保存する装置である。
ケース温度情報受領装置46は、要冷ケース温度計31から定期的、例えば6秒ごとに送られてくるケース温度情報を受け取って、データベース装置48に保存する装置である。
電力情報受領装置47は、電力量計22から定期的、例えば6秒ごとに送られてくる電力情報を受け取って、データベース装置48に保存する装置である。
データベース装置48は、外気温情報、ケース温度情報、電力情報を含む各種情報を、検索可能な状態で保存する装置である。
電力削減プラン設定装置49は、主にコンプレッサーのオンオフを温度情報に基づいて、どのように制御するかについてのプランを設定する装置である。例えば、プラン1、プラン2、プラン3、プラン4、プラン5、などと複数のプランをあらかじめ用意しておく(あとからカスタマイズして、プラン6、プラン7などを作ることもできる)。プラン1は、システムを運用し始めの所定期間(例えば、一か月の間)に用いるプランとして位置付けられ、一日ごとに交互に、コンプレッサーを動かし続ける日(非制御日)と、オンオフを細かく制御して要冷機器の温度を狭い温度範囲に収まるようにする日(制御日)とを繰り返すというプランである。プラン2、プラン3、などは、非制御日と制御日との頻度を変えることや、メンテナンス日を入れることなどでさまざまな変形や多様性を取り入れたプランを作成可能である。そのような複数のプランの中の一つを選んで設定するのが電力削減プラン設定装置49である。この電力削減プラン設定装置49が設定するプランには、ケース温度情報がどれだけの温度幅になるように設定するかの情報が含まれていて、当該プランに基づいて後述する制御信号発生装置57が(コンプレッサーオンオフ制御回路58を介して)コンプレッサー21を制御するための制御信号を発生する。ケースに収納するものが、野菜であるのか、飲料であるか、冷凍食品であるか、アイスクリームであるか、など、ケースの中身の種類によって、異なる温度幅への設定がなされる。
アラートメール発信装置50は、コンプレッサーのオンオフを切り替えることにより要冷機器の温度を所定の範囲内に収まるように制御している際に、ケース温度情報受領装置46が受領する要冷ケースの温度情報が許容範囲を超えた際(及び許容範囲外から許容範囲内に戻った際)に、メンテナンス担当者(及び関係者)に警告メールを発信する装置である。この警告メールは、「許容範囲内から許容範囲外への変化」と「許容範囲外から許容範囲内への変化」とで、区別できるように発せられる。霜取り(除霜、デフ)を計画的に、例えば一日に6回実行する要冷機器にあっては、その霜取りの実行の際に「許容範囲内から許容範囲外への変化」を知らせる警告メールが発せられ、その後、しばらくして霜取りが終わると「許容範囲外から許容範囲内への変化」を知らせる警告メールが発せられる。メンテナンス担当者は、対となるこれらの警告メールを受け取るときには、霜取りによるものであると判断して、正常にシステムが動作していることと理解する。これらの対となるべきメールが、対となって送られてこないときには、異常が発生したと判断して、システムのメンテナンスに駆けつけることとなる。
電力消費量保存装置51は、所定期間ごと(例えば、一日ごと)のコンプレッサーの電力消費量を、その時の外気温の情報と紐づけて、データベース装置48に保存する装置である。
電力削減実績計算装置52は、電力消費量保存装置51が保存した電力消費量の数値の中から、外気温の情報が似通ったものを選び出して、どれだけ電力削減ができたかを計算する装置である。
電力削減プラン再設定装置53は、電力削減実績計算装置の計算結果に基づいて、電力削減プランを再設定する(又は、そのための提案を顧客かメンテナンス担当者に行う)装置である。例えば、プラン1が前述したような非制御日と制御日とを一日単位で交互に繰り返すプランであり、プラン7として、制御日を三日続けた後に、非制御日を一日設けるという制御日の頻度を高めるプランが用意されているとした場合に、プラン1で本システムを運用し続けて、電力削減実績計算装置が外気温の情報が似通ったものを選び出して20%以上の電力削減ができたときに、その実績データを蓄積し、それが所定の回数(例えば3回)に到達したらプラン7に切り替えるという運用が可能である。その場合のプランの再設定を行うのが、電力削減プラン再設定装置53である。例えば、6月1日と6月2日とが外気温が似通っている(例えば1ディグリー未満の違いである)ので、その電力削減実績を抽出したところ、制御日の電力は非制御日の電力の75%に当たることがわかった。この削減率は、25%である。これを一回目とカウントする。引き続き見ると、6月5日と6月6日とが外気温が似通っている。その電力削減実績は、79%である。削減率が21%である。これを2回目とカウントする。さらに、6月9日と6月10日とが外気温が似通っている。その電力削減率は、78%である。削減率は、22%である。このように20パーセントの電力削減ができた回数が所定の回数(ここでは、3回)に達したので、その翌日から、オンオフ制御を細かく制御するプラン(制御日)の頻度を高めるプランであるプラン7に変更するという再設定が可能である。
コスト比較装置54は、削減できた電力のコストと、本システムを導入した費用(例えば、リース料)とを比較して、このシステムの有用性を見える化するための装置である。
ウェブページ作成装置55は、電力削減コンピュータの動作状況や、電力削減率などの情報を外部からのアクセスに答えて見せることができるようにウェブページを作成する装置である。
個人情報捨象装置56は、外部に見せる情報から、個人情報を捨象し、統計データにするなどして、直接の顧客以外にも、利用可能な情報とする装置である。
制御信号発生装置57は、電力削減プラン設定装置49が設定したプラン、電力削減プラン再設定装置53が再設定したプランなどに基づいて、コンプレッサー21を制御するための制御信号を発生する装置である。
コンプレッサーオンオフ制御回路58は、制御信号発生装置57が発生した制御信号に基づいて、コンプレッサー(のモーター)を制御する回路である。特許文献2に示す制御回路を使用することができる。
【0023】
≪システムの運用手順、動作≫
ステップ1 まず、既存の要冷機器のシステムに、温度計、電力量計、パソコン(電力削減コンピューター)などの追加機器を取り付け、必要な配線や、通信のやり取りの動作確認を行う。
ステップ2 最初の一か月間を試用期間と定めて、一日ごと交互に、従来の運転の仕方、すなわち、オンオフの細かい制御をしない使い方(従来プラン)と、例えば6秒ごとの温度情報に基づいてオンオフ制御を細かく実行する使い方(オンオフ制御プラン)とを繰り返して、消費電力がどれだけになるかを、外気温データと共にデータどりする。
ステップ3 外気温が似通った日のデータを比較することにより、電力削減の実績を調べる。
ステップ4 電力削減が期待した通り(またはそれ以上)出たことを確認して、次のプラン(継続的にオンオフ制御をするプラン)へ移行する。
という、四つのステップを踏んで、このシステムの運用をすることができる。
また、リースなどにより、このシステムを導入すると、毎月のリース料が発生するが、その額と、電力削減により月ごとの電力料金が減る分とを比較して、このシステムを継続するメリットを、前述したコスト比較装置54、ウェブページ作成装置55、個人情報捨象装置56の働きにより、実感できる。
【0024】
≪これまでの実績データ≫
これまで、あるスーパーマーケットにおいて得られた運用実績データをここに挙げる。
図3は、電力削減の実績について2019年5月前半の計測結果である。
図4は、電力削減の実績について2019年5月後半の計測結果である。
図5は、電力削減の実績について2019年8月前半の計測結果である。
図6は、電力削減の実績について2019年8月後半の計測結果である。
図7は、電力削減の実績について2019年11月前半の計測結果である。
図8は、電力削減の実績について2019年11月後半の計測結果である。
図9は、電力削減の実績について2020年2月前半の計測結果である。
図10は、電力削減の実績について2020年2月後半の計測結果である。
制御日(要冷ケース温度情報に基づいて、コンプレッサーのオンオフを制御する日)と、非制御日(コンプレッサーを常時稼働する日)とを交互に繰り返す。すなわち、制御日の翌日は非制御日とし、非制御日の翌日は制御日とする。
図4において、5月17日の制御日と、5月18日の非制御日とを比べると、気象庁一日平均外気温が20度、20.3度と似通っている。要冷機需要電力合計が、制御日が、1135.771キロワットであり、非制御日が1525.223キロワットであるので、制御日の電力は、非制御日の電力の74.47%である。すなわち、削減率は、25.53%である。
図5において、8月1日の制御日と、8月2日の非制御日とを比べると、気象庁一日平均外気温が30.5度、30.2度と似通っている。要冷機需要電力合計が、制御日が、2083.282キロワットであり、非制御日が2506.622キロワットであるので、制御日の電力は、非制御日の電力の83.11%である。すなわち、削減率は、16.89%である。
図7において、11月3日の制御日と、11月2日の非制御日とを比べると、気象庁一日平均外気温が15.8度、15.7度と似通っている。要冷機需要電力合計が、制御日が、1339.67キロワットであり、非制御日が1568.03キロワットであるので、制御日の電力は、非制御日の電力の85.44%である。すなわち、削減率は、14.56%である。
図10において、2月17日の制御日と、2月16日の非制御日とを比べると、平均外気温が13.49度、13.32度と似通っている。要冷機需要電力合計が、制御日が、886.868キロワットであり、非制御日が1210.048キロワットであるので、制御日の電力は、非制御日の電力の73.29%である。すなわち、削減率は、26.71%である。
このように、年間を通じて、春夏秋冬すべてにわたって、電力削減の効果が認められる。本システムを既存の要冷機器に追加する場合に必要となる費用を7年リースで組む場合に、その月々のリース料金を支払っても、利益がでるだけの電力削減ができることが認められる。
【0025】
≪ビジネススキームを顧客に提案する≫
BCPスマートビジネスモデル:省エネで持続可能事業を推進し店舗と周辺顧客の非常事態対策を支援する。
Who, What, How, Why
コンセプト:省エネ社会環境貢献による持続可能社会構築事業。
Who:生鮮食品量販店、
What:要冷機器のCO2排出量 & 電気代コスト削減高、
How:エコクール(本発明に係る電力削減のサービス名)のAIシステムによるコンプレッサ過冷却削減およびアイドリングストップ
テスト期間90日で、20%以上の電力削減実績が出ることを確認した後に本システムを導入する。
Why:削減高がリース活用時の導入費を上回る。
エコクールBCPサポート省エネビジネスモデルのプロセスは、次の3ステップである。
ステップ1. 設備投資費不要で、システム総額¥650万程度で7年リースを活用する。
ステップ2. 効果確認後の購入効果検証デモを3ヶ月実施し、20%~削減確認後購入する。
ステップ3. 導入月より収益向上月額リースを支払いながらも電力削減高が上回り収益が向上する。
【0026】
≪従来型要冷機器の4つの課題≫
課題-1 要冷機器が電気を大量消費、環境(CO2大量排出)と経費に大きな負荷を与えている。
課題-2 店舗数が多く(国内に2万店舗~)、ここでの効率的で効果的な環境負荷軽減が必須。
課題-3 地域住民に安全で低価格な食品を提供するため、対策は店舗負担の少ないことが条件。
課題-4 3種類の温度帯の要冷機器での冷凍、チルド、葉物/日配品食品への対応が条件。
【0027】
≪エコクールの使命:省エネ環境負荷と経費軽減に要する上記4課題解決策≫
1.使用電力の可視化と削減
3つのカテゴリーの温度帯(経済産業省資源エネルギー庁ベンチマーク制度対応)可視化。同時に、AI/人工知能により過冷却を自動制御し、省エネ(電気消費量20%削減)を実現。
2.設備投資不要 導入月~収益
改正後のリース規準の活用で、電気代の月額の削減額が導入費を上回り、導入月から店舗収益向上を実現。
3.問題発生時の迅速発見
要冷機器に設置の6秒毎測定センサ温度計により、故障などの時間と場所を特定。
4.設備投資不要で大量導入可能
例えば多店舗(100店)展開のチェーンストアで、従来型のビジネス慣習で設備投資100店舗分を用意し導入するために要する期間は10年程度。仮に3年後に非常事態が発生した場合、70店舗は対応できない。同様に3年後70店舗はCO2の排出削減、コスト削減はできない。
リースを活用することで、これらの課題は導入月から同時に全100店舗に対応可能となり、問題を解決に導く。金利計算により目先だけの儲けを重視することよりも、社会性を重視することを、店舗負担なく達成し、社会貢献と店舗収益の向上を同時に実現する。
現状の金融至上主義経済で生じる課題を解決し、健全な資本主義経済の新しいあり方を示す。それがBCP持続可能な社会の構築に必要な経済の構造基盤であり、それを具現化するシステムである。
【0028】
≪液バック現象について≫
一般的に、ヒートポンプシステムにおいて、冷媒はガス化されてコンプレッサーに吸入される。要冷ケース内の熱交換器の凍結や、熱伝達能力の大幅ダウン、インバータ制御時のオーバースペック、冷気を吸い込むなど、何らかの原因で熱交換不良を起こすと、冷媒が液状のままコンプレッサーに吸入されてしまうという不具合が生じることがある。この現象は、「液バック現象」と呼ばれており、この状態が続くと、コンプレッサの焼き付け現象を発生させることがある。
この液バック現象は、インバータ制御のコンプレッサーにおいて、見られた現象であり、メンテナンス業者の悩みの種であった。
しかし、本発明の電力削減システムを用いて、
図3から
図10までの電力削減実績データを取った期間にあっては、一度も、この「液バック現象」が起きなかった。
本発明の優位性を示すものであると考えられる。
【0029】
図11は、要冷ケース30がバルブ38を有している場合のシステム構成図である。
バルブ38は、例えば、電磁バルブであり、電磁的に開閉を制御できるバルブである。バルブ38は、膨張弁24と熱交換器(蒸発器)25の配管途中に設けられて、電磁的手段により開閉がなされる。その開閉は、バルブ制御部39が、要冷ケース温度計31からの温度情報にしたがって、冷えすぎたらバルブを閉じ、温度が上がったらバルブを開けるという制御処理を実行するものである。このバルブ制御部39は、電力削減コンピューター10とは独立して動作する。
電力削減コンピューター10によるコンプレッサーのオンオフ制御がなされない場合には、バルブ制御部39によるバルブの開閉が夏では一日に50回から70回程度行われ、冬では、一日に千回程度行われることが知られている。
電力削減コンピューター10によるコンプレッサーのオンオフ制御がなされる場合には、バルブ制御部39によるバルブの開閉は一日当たり5回程度で済むことが、本システムの稼働実験によりわかった。
したがって、本発明によるコンプレッサーのオンオフは、要冷ケースが備える開閉バルブ(電磁バルブ)の摩耗を防ぐ効果が期待できる。
【0030】
≪コンプレッサーの出力側にリザーブタンクを設けた実施例について≫
図12は、コンプレッサー21の出力側にリザーブタンク29を設けた実施例を示すシステム構成図である。リザーブタンク29は、高温高圧の状態の冷媒をためる空間を提供するものであり、たとえば、10メガパスカル程度の圧力に耐えられる構造を有している。そして、その容量が大きいほど、本発明の電力削減システムにおいては、役に立つと考えられる。コンプレッサーがオフになる時間においてもリザーブタンクにためられた冷媒の余圧をもって、ヒートポンプサイクルに冷媒を供給し続けることが可能となる。
図1、
図11、
図12に描いたシステム構成図では、コンプレッサーが一台であって、ヒートポンプサイクルも一つであるかのように描いてあるが、実際のスーパーマーケットなどの店舗にあっては、5台から8台のコンプレッサーを運用し、それぞれのコンプレッサーごとに、蒸発温度の設定をする。たとえば、ドリンクの要冷ケースのためには、庫内の温度を3℃から15℃にするために、蒸発温度をマイナス5℃の設定をとする。野菜の要冷ケースのためには、庫内の温度を2℃から10℃にするために、蒸発温度をマイナス10℃の設定とする。精肉鮮魚の要冷ケースのためには、庫内の温度をマイナス5℃から2℃にするために、蒸発温度をマイナス17℃の設定とする。チルド食品の要冷ケースのためには、庫内温度をマイナス12℃からマイナス8℃にするために、蒸発温度をマイナス30℃の設定とする。冷凍食品やアイスクリームの要冷ケースのためには、庫内温度をマイナス30℃からマイナス18℃にするために、蒸発温度をマイナス40℃の設定とする。このように、蒸発温度の設定をコンプレッサーごとに行うので、複数のコンプレッサーを運用することとなる。
【0031】
≪コンプレッサー自動制御仕様についての詳細≫
以下、
図13から
図19を参照しつつ、コンプレッサー自動制御仕様について説明する。
図1、
図2、
図11、
図12に示した電力削減コンピュータが実行する制御の詳細である。
図13は、コンプレッサー自動制御仕様の判定要素を示す図である。6秒ごとのケース温度、バルブの開閉、18秒ごとの電力量平均値が判定要素となる。
図14は、コンプレッサー自動制御仕様の判定値を示す図である。ケース温度については、現在の温度と12秒前の温度との差を、0.1度又はマイナス0.1度との大小関係において判定する。バルブについては、開いているか、閉まっているかを判定する。電力量については、現在から12秒前までの平均値と、36秒前から48秒前までの平均値との差を、プラス1ワット又はマイナス1ワットとの大小関係において判定する。
図15は、コンプレッサー自動制御仕様がもつ従来の要冷機器にない新規要素を示す図である。従来の要冷機器は、上限温度及び下限温度の二つがあって、制御しているのに対して、本発明においては、非制御上限温度、制御上限温度、制御上限温度閾値、制御下限温度閾値、制御下限温度、非制御下限温度の概念を用いて、狹い温度幅で制御をするものである。
図16は、コンプレッサー自動制御仕様において、現在の温度が、他の設定温度との関係で、いずれの温度帯にあるかを示す図である。0から8までが温度帯を示している。
図17は、コンプレッサー自動制御による、温度変化を示すグラフである。本発明は、温度帯4におおむねおさまるように制御するものである。
図18は、コンプレッサー自動制御仕様の制御の方針を示す図である。
図19は、コンプレッサー自動制御仕様の制御の考え方を示す図である。
【0032】
≪補正、または分割に役立つと思われる技術事項のメモ≫
図2に描いた電力削減コンピューターでは、一台のコンピューター内にすべての機能を設けてあるように描いたが、複数のコンピューターを用いて、分担することも可能である。
図2に描いた各機器オンオフ制御回路58は、コンピューターと一体であるように描いたが、各機器オンオフ制御回路58をコンプレッサー21や霜取りヒーター32の傍に設けるようにし、電力削減コンピューター10との間には、無線通信により制御信号をやり取りするようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のシステムは、要冷機器のメンテナンス業、要冷機器の製造業に利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 電力削減コンピューターー
20 ヒートポンプシステム
21 コンプレッサー
22 (コンプレッサーの)電力量計
23 凝縮器
24 膨張弁
25 熱交換器(蒸発器)
29 リザーブタンク
30 要冷ケース
31 要冷ケース温度計
32 霜取りヒーター
33 外気温度計
38 バルブ
39 バルブ制御部
44 通信装置
45 外気温情報受領装置
46 ケース温度受領装置
47 電力情報受領装置
48 データベース装置
49 電力削減プラン設定装置
50 アラートメール発信装置
51 電力消費量保存装置
52 電力削減実績計算装置
53 電力削減プラン再設定装置
54 コスト比較装置
55 ウェブページ作成装置
56 個人情報捨象装置
57 制御信号発生装置
58 コンプレッサーオンオフ制御回路