IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 岡部 実の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060015
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】洗浄剤
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/50 20060101AFI20220407BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20220407BHJP
   C11D 7/12 20060101ALI20220407BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
C11D7/50
C11D7/26
C11D7/12
C11D7/22
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167977
(22)【出願日】2020-10-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】516008464
【氏名又は名称】岡部 実
(74)【代理人】
【識別番号】100095359
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 篤
(72)【発明者】
【氏名】岡部 実
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003BA12
4H003DA01
4H003DA05
4H003DA11
4H003DB01
4H003DB02
4H003EA16
4H003EB02
4H003EB04
4H003EB09
4H003EB38
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA04
4H003FA27
(57)【要約】
【課題】虫の衝突による汚れや、衣類に付着した垢、たばこのヤニ、カビ、ペンキ、コールタール、油性ペンのインクなどの汚れを容易に除去することができるとともに、汚れ除去の効果が長続きし、また、牛脂や豚脂の有効利用を図ることができる洗浄剤を提供する。
【解決手段】牛脂および豚脂の少なくとも一方と、炭酸水素ナトリウムと、流動パラフィンと、ロジン変性フェノール樹脂およびアルキド樹脂の少なくとも一方と、エチルアルコールとを含む。牛脂および豚脂の少なくとも一方の10重量部に対し、炭酸水素ナトリウム5乃至20重量部、流動パラフィンを50乃至200重量部、ロジン変性フェノール樹脂およびアルキド樹脂の少なくとも一方を2乃至10重量部、エチルアルコールを10乃至30重量部含むことが好ましい。さらに、ティーツリー油0.2乃至2重量部を含むことが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牛脂および豚脂の少なくとも一方と、炭酸水素ナトリウムと、流動パラフィンと、ロジン変性フェノール樹脂およびアルキド樹脂の少なくとも一方と、エチルアルコールとを含むことを特徴とする洗浄剤。
【請求項2】
前記牛脂および前記豚脂の少なくとも一方の10重量部に対し、前記炭酸水素ナトリウム5乃至20重量部、前記流動パラフィンを50乃至200重量部、前記ロジン変性フェノール樹脂および前記アルキド樹脂の少なくとも一方を2乃至10重量部、前記エチルアルコールを10乃至30重量部含むことを特徴とする請求項1記載の洗浄剤。
【請求項3】
ティーツリー油0.2乃至2重量部を含むことを特徴とする請求項2記載の洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントガラスには、走行中に虫などの衝突により汚れが付着するが、その汚れは虫の体液のために粘着性があり、なかなか除去しにくかった。
従来、固形ワツクス類0.5~15重量%、シリコーン油0.1~5重量%、非イオン界面活性剤1~10重量%、陰イオン界面活性剤1~5重量%、液状パラフイン8~20重量%、水溶性高分子化合物5~10重量%、及び残部が水からなるクリーナーが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来、流動パラフィンとエチルアルコールと水とを含んでなる洗浄剤が種々、開示されている(例えば、特許文献2~5参照)。
ところで、牛脂、豚脂は、産業廃棄物として大量に処分されており、処分に廃棄コストがかかることから問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平61-233099号公報
【特許文献2】国際公開第2018/021110号
【特許文献3】特開2014-074125号公報
【特許文献4】特開2013-181153号公報
【特許文献5】特開平10-273697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1~5に記載のクリーナー、洗浄剤でも、虫の衝突による汚れは十分に除去しにくいという課題があった。それらのクリーナー、洗浄剤では、虫の衝突による汚れが除去できたように見えても、汚れが広がって全体が白っぽくなっていた。さらに、その汚れ除去の効果は続かず、自動車の走行により次第にフロントガラスに虫の衝突による汚れが付着していた。
また、特許文献1~5に記載のクリーナーでは、油剤を使用するものでも、牛脂や豚脂の利用は難しく、牛脂や豚脂の有効利用を図ることはできないという課題があった。
また、1つの洗浄剤で、衣類に付着した垢、たばこのヤニ、カビ、ペンキなどの汚れを除去できる洗浄剤は従来なかった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、虫の衝突による汚れや、衣類に付着した垢、たばこのヤニ、カビ、ペンキ、コールタール、油性ペンのインクなどの汚れを容易に除去することができるとともに、汚れ除去の効果が長続きし、また、牛脂や豚脂の有効利用を図ることができる洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、虫の衝突による汚れが蛋白質を主成分とする虫の粘着性の体液によるものであることに着目し、試行錯誤の結果、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る洗浄剤は、牛脂および豚脂の少なくとも一方と、炭酸水素ナトリウムと、流動パラフィンと、ロジン変性フェノール樹脂およびアルキド樹脂の少なくとも一方と、エチルアルコールとを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る洗浄剤は、前記牛脂および前記豚脂の少なくとも一方の10重量部に対し、前記炭酸水素ナトリウム5乃至20重量部、前記流動パラフィンを50乃至200重量部、前記ロジン変性フェノール樹脂および前記アルキド樹脂の少なくとも一方を2乃至10重量部、前記エチルアルコールを10乃至30重量部含むことが好ましい。
本発明に係る洗浄剤は、さらにティーツリー油0.2乃至2重量部を含むことが好ましい。
【0008】
本発明に係る洗浄剤は、重量比で等量乃至50倍の水で希釈して使用される。
本発明に係る洗浄剤は、水で希釈し、除去する汚れに散布、塗布、その他の方法で付着させた後、布などで拭いて使用する。本発明に係る洗浄剤により、虫の衝突による汚れを容易に除去することができる。本発明に係る洗浄剤は、虫の衝突による汚れのほか、衣類に付着した垢、たばこのヤニ、カビ、ペンキ、コールタール、油性ペンのインクなどの汚れの除去にも使用可能である。本発明に係る洗浄剤による洗浄効果は、長期間持続可能である。本発明に係る洗浄剤は、牛脂および豚脂の少なくとも一方を含むため、廃棄物となる牛脂、豚脂などの有効利用を図ることができる。
本発明に係る洗浄剤は、ティーツリー油を含む場合、臭いを除去することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、虫の衝突による汚れや、衣類に付着した垢、たばこのヤニ、カビ、ペンキ、コールタール、油性ペンのインクなどの汚れを容易に除去することができるとともに、汚れ除去の効果が長続きし、また、牛脂や豚脂の有効利用を図ることができる洗浄剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態の洗浄剤は、牛脂および豚脂の少なくとも一方と、炭酸水素ナトリウムと、流動パラフィンと、ロジン変性フェノール樹脂およびアルキド樹脂の少なくとも一方と、エチルアルコールとを含む。本発明の実施の形態の洗浄剤は、牛脂および豚脂の少なくとも一方の10重量部に対し、炭酸水素ナトリウム5乃至20重量部、流動パラフィンを50乃至200重量部、ロジン変性フェノール樹脂およびアルキド樹脂の少なくとも一方を2乃至10重量部、エチルアルコールを10乃至30重量部含むことが好ましい。
さらに、ティーツリー油0.2乃至2重量部を含むことが好ましい。
【0011】
実施の形態の洗浄剤は、重量比で等量乃至50倍の水で希釈して使用される。水は、抗菌水から成ることが好ましい。抗菌水としては、pH12~13の強アルカリ性電解水を用いることができる。
【0012】
実施の形態の洗浄剤は、水で希釈し、除去する汚れに散布、塗布、その他の方法で付着させた後、布などで拭いて使用する。この洗浄剤により、虫の衝突による汚れを容易に除去することができる。虫の衝突による汚れのほか、衣類に付着した垢、たばこのヤニ、カビ、ペンキ、コールタール、油性ペンのインクなどの汚れの除去にも使用可能である。この洗浄剤による洗浄効果は、長期間持続可能である。自動車のフロントガラスに用いた場合、使用後1か月間、フロントガラスにほとんど虫の汚れを付着させない効果があった。本発明に係る洗浄剤は、牛脂および豚脂の少なくとも一方を含むため、廃棄物となる牛脂、豚脂などの有効利用を図ることができる。
本発明に係る洗浄剤は、ティーツリー油を含む場合、臭いを除去することができる。
【実施例0013】
以下の配合により、洗浄剤を製造した。
牛脂10重量部に対し、炭酸水素ナトリウム10重量部、流動パラフィン100重量部、ロジン変性フェノール樹脂5重量部、エチルアルコールを15重量部、精製水200重量部を混合し、実施例1の洗浄剤を製造した。また、実施例1の洗浄剤にティーツリー油1重量部を混合し、実施例2の洗浄剤を製造した。製造した実施例1、2の洗浄剤をそれぞれ同じ型の噴霧器に収容した。
また、実施例1の洗浄剤でロジン変性フェノール樹脂の代わりにロジン変性フタル酸樹脂を加えた実施例3の洗浄剤と、実施例2の洗浄剤でロジン変性フェノール樹脂の代わりにロジン変性フタル酸樹脂を加えた実施例4の洗浄剤とを製造し、実施例1、2と同様に噴霧器に収容した。
【0014】
また、比較のため、市販の窓ガラス洗浄剤として比較例1(「ガラスマジックリン」花王株式会社製)、比較例2(「スクラビングバブル ガラスクリーナー」SCジョンソン社製)を準備した。製造した比較例1、2の洗浄液をそれぞれ実施例1、2と同じ型の噴霧器に収容した。
【0015】
〔試験1〕
実施例1~4と比較例1、2の洗浄剤の洗浄効果を確認するため、(a)多数の虫が衝突して付着したフロントガラス、(b)たばこのヤニが付着した金属板、(c)カビが付着した金属板、(d)ペンキが付着した金属板、(e)コールタールが付着した金属板、(f)油性ペンのインクが付着した金属板を準備した。付着した虫は、羽虫や蛾、甲虫類などであった。
実施例1~4と比較例1、2の洗浄剤を(a)~(f)にそれぞれ噴霧し、布タオルで拭いた。
その結果、実施例1~4の洗浄剤では、いずれも(a)~(f)の汚れを容易に除去することができた。また、実施例1~4の洗浄剤で洗浄した(a)のフロントガラスでは、洗浄後1か月間、ほとんど虫の汚れを付着させないコーティング効果があった。
それに対し、比較例1、2の洗浄剤では、(a)~(f)の汚れをいずれも容易には除去することができず、圧をかけて何度も擦ることで、汚れを薄くできる程度であった。また、比較例1、2の洗浄剤で洗浄した(a)のフロントガラスでは、洗浄後すぐに虫の汚れが付着してしまった。
【0016】
〔試験2〕
実施例1~4と、比較例1、2の各洗浄剤にティーツリー油を混合したものの臭い除去効果を確認するため、比較例1、2の各洗浄剤330gにそれぞれティーツリー油1gを混合したものを準備した。また、(g)排泄後の人糞を紙に付着させ、1時間経過したものを準備した。
実施例1~4と比較例1、2の各洗浄剤にティーツリー油を混合したものを(g)の紙にそれぞれ噴霧し、噴霧から3分経過後、臭いを確認した。
その結果、実施例1、3の洗浄剤および比較例1、2の各洗浄剤にティーツリー油を混合したものでは、(g)の臭いをある程度、除去することができたが、まだまだ臭っていた。それに対し、実施例2、4の洗浄剤では、(g)の臭いをかなり除去することができた。
【手続補正書】
【提出日】2021-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牛脂および豚脂の少なくとも一方と、炭酸水素ナトリウムと、流動パラフィンと、ロジン変性フェノール樹脂およびロジン変性アルキド樹脂の少なくとも一方と、エチルアルコールとを含むことを特徴とする洗浄剤。
【請求項2】
前記牛脂および前記豚脂の少なくとも一方の10重量部に対し、前記炭酸水素ナトリウム5乃至20重量部、前記流動パラフィンを50乃至200重量部、前記ロジン変性フェノール樹脂および前記ロジン変性アルキド樹脂の少なくとも一方を2乃至10重量部、前記エチルアルコールを10乃至30重量部含むことを特徴とする請求項1記載の洗浄剤。
【請求項3】
ティーツリー油0.2乃至2重量部を含むことを特徴とする請求項2記載の洗浄剤。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明者は、虫の衝突による汚れが蛋白質を主成分とする虫の粘着性の体液によるものであることに着目し、試行錯誤の結果、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る洗浄剤は、牛脂および豚脂の少なくとも一方と、炭酸水素ナトリウムと、流動パラフィンと、ロジン変性フェノール樹脂およびロジン変性アルキド樹脂の少なくとも一方と、エチルアルコールとを含むことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係る洗浄剤は、前記牛脂および前記豚脂の少なくとも一方の10重量部に対し、前記炭酸水素ナトリウム5乃至20重量部、前記流動パラフィンを50乃至200重量部、前記ロジン変性フェノール樹脂および前記ロジン変性アルキド樹脂の少なくとも一方を2乃至10重量部、前記エチルアルコールを10乃至30重量部含むことが好ましい。
本発明に係る洗浄剤は、さらにティーツリー油0.2乃至2重量部を含むことが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態の洗浄剤は、牛脂および豚脂の少なくとも一方と、炭酸水素ナトリウムと、流動パラフィンと、ロジン変性フェノール樹脂およびロジン変性アルキド樹脂の少なくとも一方と、エチルアルコールとを含む。本発明の実施の形態の洗浄剤は、牛脂および豚脂の少なくとも一方の10重量部に対し、炭酸水素ナトリウム5乃至20重量部、流動パラフィンを50乃至200重量部、ロジン変性フェノール樹脂およびロジン変性アルキド樹脂の少なくとも一方を2乃至10重量部、エチルアルコールを10乃至30重量部含むことが好ましい。
さらに、ティーツリー油0.2乃至2重量部を含むことが好ましい。